説明

油性固形化粧料

【課題】形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす油性固形化粧料に関する。
【解決手段】 次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)固形状油分 0.1〜10%
(B)イヌリン脂肪酸エステル
(C)炭素数6〜30の分岐脂肪酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとの置換度が3以上のエステル 30〜95%
を含有し、成分(B)/成分(A)の比が1/3〜300/1であることを特徴とする油性固形化粧料を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形状保持、発汗が無い等の安定性が良好で、ベタツキがなくなめらかにのび、かつ化粧料のとれ、つきが良く、肌への付着性に優れ、均一な化粧膜を形成し十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れた油性固形化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
安定性の良好な油性固形化粧料を得るためには、これまでワックスなどの固形状油分やデキストリン脂肪酸エステルなどの油性ゲル化剤を多量に配合する技術が用いられてきた。しかしながら、ワックスなどの固形状油分やデキストリン脂肪酸エステルなどの油性ゲル化剤を多量に配合すると、のびが重くなる、化粧膜のツヤがなくなる等、使用感の良好なものを得ることが難しく、従来から、これらの欠点を解消するために様々な技術が提案されてきた。例えば、高分子量ポリエチレンワックスと特定の油剤を組み合わせて固形状にする技術(例えば特許文献1)、デキストリン脂肪酸エステルと重質流動イソパラフィンを用いて透明性の高い固形化粧料を得る技術(例えば特許文献2)などが挙げられる。また、固形状油分とフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを組み合わせることにより、化粧持ちに特に優れる固形化粧料を得る技術(例えば特許文献3)も提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭63−230618号公報
【特許文献2】特開平9−235210号公報
【特許文献3】特開平7−196437号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、高分子量ポリエチレンワックスと特定の油剤を用いる技術は、形状保持などの安定性と使用時ののびが良好な固形化粧料が得られるが、肌へ付着性が悪く化粧料のつきが少ないため、塗布膜が薄く均一性に欠け十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)が得られにくい等の欠点があった。これらの欠点を解決するためにワックスの配合量を減らした場合は、使用時の化粧料のとれ、つきは改善されるが、にじみ等の化粧持ちが悪くなってしまう。また、デキストリン脂肪酸エステルを用いた場合は、透明性の高い固形化粧料を得ることが出来るが、安定性を確保できる量を配合するとベタツキが生じのびが重くなってしまう場合があった。また、固形状油分とフラクトオリゴ糖脂肪酸エステルを組み合わせて得られる固形化粧料は、形状保持性、発汗の無さなどの安定性や、にじみの無さなどの化粧持ちには優れるが、油性ゲル構造が強固なために化粧料のとれ、つきが悪く、使用性、使用感の点において充分満足できるものではなかった。油性固形化粧料において、特にスティックなどに成型した場合は、化粧料のとれ、つきが良くないと、のびが重くなる、十分な化粧効果が得られにくい、化粧膜の均一性が損なわれる等、使用性や使用感の良好な化粧料が得られなくなることから考えて、化粧料のとれ、つきは油性固形化粧料において非常に重要な項目であるといえる。このため、形状保持などの安定性に優れると共に化粧料のとれ、つきが良くなめらかにのびて肌へ付着し、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れた油性固形化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは油性固形化粧料において、固形状油分と、イヌリン脂肪酸エステルと、炭素数6〜30の分岐脂肪酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとの置換度が3以上のエステルを組み合わせて用いることにより、非常に化粧料のとれ、つきに優れ、かつ固形状油分が少なくても形状保持性に優れ、発汗が無い等の安定性が良好であり、ベタツキがなくなめらかにのび、均一な化粧膜と十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れた油性固形化粧料が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)固形状油分 0.1〜10質量%
(B)イヌリン脂肪酸エステル 0.5〜30質量%
(C)炭素数6〜30の分岐脂肪酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとの置換度が3以上のエステル 30〜95%
を含有し、成分(B)/成分(A)の比が1/3〜300/1であることを特徴とする油性固形化粧料を提供するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料は、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良く、肌への付着性に優れるため、なめらかにのび、均一な化粧膜と十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる成分(A)の固形状油分としては、常温で固形状を有するもので、通常化粧料に使用される、いわゆるワックス類であればいずれでも良く、例えばパラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレンプロピレンコポリマー、カルナウバワックス、モクロウ、キャンデリラワックス、ミツロウ、トリベヘン酸グリセリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0008】
これら固形状油分は、本発明の油性固形化粧料に0.1〜10質量%(以下、単に「%」という)、好ましくは1〜10%の範囲で配合される。この範囲であれば、安定性とベタツキがなく、なめらかにのびる良好な使用感の点で好ましい。0.1%未満であると、形状保持性、発汗などの高温安定性に問題を生じやすく、逆に10%を超えると、使用時に硬さを感じ化粧料のつきが悪くツヤが不足するなどの使用性が悪くなる。
【0009】
本発明に用いられる成分(B)のイヌリン脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜32の直鎖または分枝鎖の飽和または不飽和脂肪酸とイヌリンとのエステル化合物で、イヌリンの平均分子量は300〜10,000の範囲が好ましく、これらを1種又は2種以上を用いることができる。具体的には、特開平3−197409号公報や特開2002−193732号公報に記載されているものが挙げられ、市販品としては、レオパールISK(千葉製粉(株)製)等が挙げられる。これらのイヌリン脂肪酸エステルは、成分(A)及び成分(C)を含有する油剤をゲル化させ、安定性を向上するとともに、化粧料のとれ、つきが良く均一な化粧膜を形成させる効果がある。
【0010】
本発明の油性固形化粧料における成分(B)の配合量は0.5〜30%であり、成分(B)/成分(A)の比が1/3〜300/1である。この範囲であれば、安定性と化粧料のとれ、つきが良く、均一な化粧膜が得られる点で好ましい。
【0011】
本発明に用いられる成分(C)の炭素数6〜30の分岐脂肪酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとの置換度が3以上のエステルは、成分(A)及び成分(B)によって形状保持性、発汗が無い等の安定性に非常に優れる油性ゲルを形成し、この油性ゲルは、化粧料のとれ、つきが良く肌への付着性に優れるため、重ね付けしても均一な化粧膜が得られるものである。具体的には、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、下記一般式(I)で表されるイソステアリン酸と、グリセリン及び/またはジグリセリンとのエステル化合物である、トリイソステアリン酸グリセリル及び/またはトリイソステアリン酸ジグリセリルが特に好ましい。
【0012】
【化2】

上記一般式(I)で表されるイソステアリン酸は、側鎖を有するα−オレフィンを出発物質とするアルドール縮合反応で合成されるものであるが、(I)で表される構造を有するものであれば合成方法は限定されるものではない。例えば、無触媒または触媒存在化、常圧溶剤還流もしくは減圧下において脱水反応することによりエステル化反応を行い、エステル化反応終了後、必要に応じて、反応混合物を脱色剤により脱色、脱臭精製するか、真空蒸留による精製を行うことによって得ることができる。
【0013】
本発明に用いられる成分(C)の市販品としては、TIO(N)、サラコス3318、コスモール43N(いずれも日清オイリオ社製)、TRIFAT S−308(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。
本発明の油性固形化粧料における成分(C)の配合量は、化粧料中に30〜95%であり、特に40〜80%が好ましい。この範囲であれば安定性、使用感ともに優れた化粧料が得られる。
【0014】
本発明の油性固形化粧料は、その形状がスティック状であるとき最も本発明の効果を発揮する。特に化粧料のとれ、つきが良く肌への付着性に優れるため、なめらかにのび、均一な化粧膜と十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす点において優れる。
【0015】
本発明の化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、前記必須成分以外の各種成分、例えば、油性成分、粉体成分、界面活性剤、水性成分、水溶性高分子、紫外線吸収剤、保湿剤、皮膜形成剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料などを各種の効果を付与するために適宜配合することができる。
本発明の油性固形化粧料は、メイクアップ、スキンケア、頭髪製品等、種々の油性固形化粧料とすることができるが、製品形態では、口紅、リップグロス、下地用のリップベース、口紅オーバーコート、リップクリーム等の口唇化粧料、アイカラー、アイライナー、アイブロウ等のアイメイクアップ化粧料、フェイスカラー、ファンデーション、コンシーラー、クレンジング、アイクリーム、チーク等に適用することができる。
【0016】
次に以下に実施例をあげて本発明をさらに説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0017】
本発明品1〜3および比較品1〜3:口紅
表1に示す組成の口紅を、下記製造方法にてスティック状に調製し、安定性(形状保持性、発汗の無さ)、使用感(ベタツキのなさ、なめらかなのび)、化粧料のとれ、つき、化粧効果(発色の良さ、ツヤ)について、下記評価方法に基づいて評価した結果をあわせて表1に示す。
【0018】
【表1】

【0019】
注1:レオパールISK(千葉製粉社製)
注2:レオパールKL(千葉製粉社製)
注3:コスモール43N(日清オイリオ社製)
注4:メチルポリシロキサン:シリコン KF−96(10CS)(信越化学工業社製)
注5:AEROSIL R−976S(日本アエロジル社製)
(製造方法)
A:成分1〜11を90℃で加熱混合する。
B:成分12〜21をAに加え均一に分散混合し、脱泡後、容器に溶融充填し、製品とする。
【0020】
(評価方法)
1.安定性試験
安定性(形状保持性、発汗の無さ)については、各試料の40℃で1ヶ月保存後の状態を観察し、室温保存品と比較して、下記判定基準により評価した。
(判定基準)
◎:変化なく良好。
○:油剤のしみ出し等外観にわずかに変化があるが、室温に戻すと使用に問題ない。
△:発汗や硬さに変化があり、室温に戻しても変化がある。
×:明らかに変化があり形状維持が困難である。
【0021】
2.官能評価
使用感(ベタツキのなさとなめらかなのび)、化粧料のとれ、つき、化粧効果(発色の良さ、ツヤ)について、専門パネル20名による使用テストを行い、パネル各人が下記評価基準にて7段階に評価し評点を付け、試料ごとにパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記判定基準により判定した。
(評価基準)
(評点):(評価)
6:非常に良い
5:良い
4:やや良い
3:普通
2:やや悪い
1:悪い
0:非常に悪い
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点を超える :非常に良好:◎
3点を超えて5点以下:良好 :○
1点を超えて3点以下:やや不良 :△
1点以下 :不良 :×
【0022】
表1に示すように、本発明品1〜3の口紅は、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。それに対し、比較品はいずれも本発明品に劣る結果となり、特に、イヌリン脂肪酸エステルに替えてパルミチン酸デキストリンを配合した比較例1は、形状保持などの安定性に特に劣り、特定のエステルの代わりにリンゴ酸ジイソステアリルを配合した比較例2は安定性(形状保持性、発汗の無さ)と化粧料のとれ、つきに、ワックスの配合量に対するイヌリン脂肪酸エステルの配合量が少ない比較例3は、化粧料のとれ、つき、化粧効果(発色の良さ、ツヤ)、ワックスの配合量が多い比較例4は、使用感(ベタツキのなさ、なめらかなのび)、化粧料のとれ、つき、化粧効果(発色の良さ、ツヤ)に特に劣るものであった。
【実施例2】
【0023】
リップグロス
(成分) (%)
1.キャンデリラワックス 0.1
2.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 7
3.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
4.トリイソステアリン酸グリセリル(注6) 5
5.液状ラノリン 5
6.水添ポリイソブテン 10
7.ポリブテン 10
8.(アクリル酸アルキル/アクリル酸ジメチコン)コポリマー 10
9.セチルジメチコンコポリオール(注7) 0.5
10.無水ケイ酸 0.5
11.雲母チタン 5
12.赤色202号 0.2
13.ポリエチレンワックス処理セリサイト 3
14.球状ウレタン粉末(注8) 5
15.酸化防止剤 0.05
16.防腐剤 0.05
17.紫外線吸収剤 0.1
注6:サラコス3318(日清オイリオ社製)
注7:ABIL EM−90(ゴールドシュミット社製)
注8:プラスティックパウダー D400(平均粒子系 約12μm)(根上工業社製)
(製造方法)
A:1〜9を90℃に加熱し溶解する。
B:Aに10〜17を加え、均一に混合分散する。
C:Bを90℃に加熱溶解し、容器に皿流し込み、製品を得た。
以上のようにして得られた実施例2のリップグロスは、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。
【実施例3】
【0024】
ロングラスティング口紅
(成分) (%)
1.エチレンプロピレンコポリマー 7
2.イヌリンパルミチン酸エステル(エステル置換度3) 2
3.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 7
4.(ベヘン酸/エイコサン二酸)グリセリル 5
5.トリイソステアリン酸ジグリセリル(注3) 15
6.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
8.フルオロアルキルオルガノポリシロキサン(注9) 10
9.トリメチルシロキシケイ酸溶液(注10) 10
10.ジポリヒドロキシステアリン酸PEG(注11) 5
11.疎水化煙霧状無水ケイ酸 3
12.シリコーン処理(2%)雲母チタン 5
13.シリコーン処理(3%)酸化鉄雲母チタン 2
14.パーフルオロアルキルリン酸DEA処理(5%)セリサイト 5
15.赤色202号 0.3
16.黄色5号 1
17.レシチン処理酸化チタン 0.5
18.シリコーン処理(2%)黒酸化鉄 0.1
19.ヒアルロン酸ナトリウム 1
20.1,3−ブチレングリコール 0.5
注9:KF5002(信越化学工業社製)
注10:シリコンKF7312J(信越化学工業社製)
注11:Arlacel P135(ICI社製)
(製造方法)
A:1〜10を90℃に加熱溶解し、11〜18を加え均一に分散混合する。
B:Aに19、20を加え均一に分散混合する。
C:Bを脱泡して容器に溶融(90℃)充填し、スティック状の製品を得た。
以上のようにして得られた実施例3のロングラスティング口紅は、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。
【実施例4】
【0025】
日焼け止め料
(成分) (%)
1.フィッシャートロプシュワックス 3
2.イヌリン(パルミチン酸/2−エチルヘキサン酸)エステル
(エステル置換度3) 1
3.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 残量
4.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 40
5.トリフルオロプロピル変性シリコーン(注12) 15
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
7.パラメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル 5
8.トリメチルシロキシケイ酸溶液(注10) 5
9.シリコーン処理(10%)微粒子酸化亜鉛 5
10.微粒子酸化チタン 5
11.POE(10)モノオレイン酸エステル 0.5
12.1,3−ブチレングリコール 0.5
13.香料 0.05
14.ローズマリー抽出液 0.1
注12:FS1265(300CS)(東レ・ダウコーニングシリコーン社製)
(製造方法)
A:1〜8を90℃にて加熱溶解し、9〜11を加えて均一に混合分散する。
B:Aに14〜16を加えて均一に混合する。
C:Bを冷却後、容器に充填して、製品を得た。
以上のようにして得られた実施例4の日焼け止め料は、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(サンカット効果)をもたらす、優れたものであった。
【実施例5】
【0026】
油性ファンデーション
(成分) (%)
1.ポリエチレンワックス 3
2.パラフィンワックス 2
3.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 5
4.トリイソステアリン酸グリセリル(注6) 10
5.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
6.架橋型メチルポリシロキサン(注13) 10
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 20
8.メタクリル変性メチルポリシロキサン溶液(注14) 1
9.ポリオキシアルキレン変性ジメチルポリシロキサン(注15) 2
10.PEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(注16) 1
11.フッ素ポリエーテル共変性シリコーン(注17) 0.5
12.ベンガラ 1
13.黄酸化鉄 1
14.酸化チタン 3
15.黒酸化鉄 0.1
16.微粒子酸化亜鉛 5
17.球状ポリスチレン(粒径10μm) 5
18.セスキオレイン酸ソルビタン 0.2
19.ビタミンEアセテート 0.2
20.香料 0.03
21.ジプロピレングリコール 0.5
22.パラオキシ安息香酸エチル 0.2
注13:KSG−16(信越化学工業社製)
注14:KP−545(信越化学工業社製)
注15:KF−6017(信越化学工業社製)
注16:KF−6028(信越化学工業社製)
注17:FPD−4694(カネボウ社製)
(製造方法)
A:成分1〜11を90℃にて加熱溶解後、成分12〜18を加え均一分散する。
B:Bに成分19〜22を加え均一に混合後、脱泡してジャー容器に充填し、製品を得た。
以上のようにして得られた実施例5の油性ファンデーションは、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。
【実施例6】
【0027】
油性アイシャドウ
(成分) (%)
1.シリコーン処理(3%)タルク 5
2.シリコーン処理(2%)マイカ 10
3.球状シリカ(粒径12μm) 2
4.チッ化ホウ素(注18) 5
5.シリコーン処理(3%)酸化チタン処理合成金雲母(注19) 10
6.結晶セルロース 3
7.シリコーン処理(3%)合成金雲母 5
8.球状シリコーン粉末(注20) 2
9.赤色226号 0.5
10.群青 0.5
11.オゾケライトワックス 10
12.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 3.5
13.トリイソステアリン酸ジグリセリル(注3) 5
14.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 残量
15.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
16.ジイソオクタン酸ネオペンチルグリコール 15
17.流動パラフィン 5
18.12−ヒドロキシステアリン酸 0.5
19.油溶性アルニカエキス 0.1
20.パラオキシ安息香酸ブチル 0.2
注18:SHP−6(水島合金鉄社製)
注19:プロミネンスSF(トピー工業社製)
注20:KSP−100(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜10を均一に混合する。
B:成分11〜20を90℃にて均一に溶解後、Aを加えて均一に混合分散する。
C:Cを容器に溶融(90℃)充填して、皿流し込みの製品を得た。
以上のようにして得られた実施例6の油性アイシャドウは、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。
【実施例7】
【0028】
油性固形アイライナー
(成分) (%)
1.フッ素処理(5%)タルク 5
2.フッ素処理(3%)合成マイカ 5
3.球状ナイロン粉体(粒径12μm) 1
4.アミホープ(注21) 1
5.シリコーン処理(2%)酸化鉄雲母チタン 1
6.ポリメチルメタクリレート(粒径12μm) 2
7.チタン/酸化チタン焼結物 5
8.疎水化煙霧状無水ケイ酸 1
9.セレシンワックス 1
10.マイクロクリスタリンワックス 1
11.イヌリンステアリン酸エステル(注1) 5
12.トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル 40
13.デカメチルシクロペンタシロキサン 10
14.軽質流動イソパラフィン 残量
15.有機変性ベントナイト 2
16.プロピレンカーボネイト 0.5
17.トリメチルシロキシケイ酸溶液(注10) 5
18.メタクリル変性メチルポリシロキサン溶液(注14) 3
19.油溶性ローズマリーエキス 0.1
20.フェノキシエタノール 0.3
注21:SHP−6(水島合金鉄社製)
(製造方法)
A:成分1〜8を均一に混合する。
B:成分9〜13、17、18を90℃にて均一に溶解後、Aを加えて均一に混合分散する。
C:成分14〜16を均一に分散し、Bに19、20と共に加えて混合し、容器に溶融(90℃)充填して製品を得た。
以上のようにして得られた実施例7の油性固形アイライナーは、形状保持性に優れると共に発汗が無い等の安定性が良好で、かつ化粧料のとれ、つきが良いため、使用時になめらかにのび、十分な化粧効果(発色の良さ、ツヤ)をもたらす、優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)及び(C);
(A)固形状油分 0.1〜10質量%
(B)イヌリン脂肪酸エステル 0.5〜30質量%
(C)炭素数6〜30の分岐脂肪酸とグリセリンおよび/またはジグリセリンとの置換度が3以上のエステル 30〜95%
を含有し、成分(B)/成分(A)の比が1/3〜300/1であることを特徴とする油性固形化粧料。
【請求項2】
成分(C)のエステルが、下記一般式(I)で表されるイソステアリン酸と、グリセリン及び/またはジグリセリンとのエステル化合物、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1記載の油性固形化粧料。
【化1】

【請求項3】
形状がスティック状であることを特徴とする請求項1または2記載の油性固形化粧料。

【公開番号】特開2006−52155(P2006−52155A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233766(P2004−233766)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000145862)株式会社コーセー (734)
【Fターム(参考)】