説明

治療因子としてのベンゾイミダゾール誘導体

【課題】下図に例示化合物を示す特定の置換ベンゾイミダゾール化合物を提供する。


【解決手段】当該化合物は、終末糖化物質に対するレセプター(RAGE)とそのリガンド(例えば終末糖化物質(AGE)、S100/カルグラニュリン/EN−RAGE、βアミロイドおよびアンホテリン)との間の相互作用のモジュレーターとして有用であり、そしてRAGEによって引き起こされるヒトにおける疾患の処理、処置、制御または補助処置として有用である。このような疾患または疾患状態としては、急性炎症および慢性炎症、糖尿病末期の合併症の発生(例えば血管透過性の増大、腎障害、アテローム性動脈硬化症および網膜症)、アルツハイマー病の発生、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および腫瘍転移が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の陳述)
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、「Benzimidazole Derivatives As Therapeutic Agents」という名称の2001年3月5日に出願された米国仮出願番号第60/273,377合に基づいて優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、終末糖化物質(advanced glycated end products)と結合するレセプター(RAGE)によって引き起こされる疾患の処理、処置、制御または補助処置について、RAGEならびにそのリガンド(例えば終末糖化物質(AGE)、S100/カルグラニュリン(calgranulin)/EN−RAGE、βアミロイドおよびアンホテリン(amphoterin))との相互作用のモジュレーターである化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
タンパク質または脂質のアルドース糖とのインキュベーションは、タンパク質上のアミノ基の非酵素的グリケーションおよび酸化をもたらしてアマドリ付加物を形成する。時間とともにこの付加物は、さらなる転移、脱水および他のタンパク質との架橋を受けて、終末糖化物質(AGE)として公知の複合体を形成する。AGEの形成を促進する因子としては、(例えばアミロイドーシスにおける)タンパク質代謝回転の遅延、高いリジン含量を有する高分子の蓄積、および(例えば糖尿病における)高い血液グルコースレベルが挙げられた(Horiら、J.Biol.Chem.270:25752〜761、(1995))。AGEは、糖尿病および正常な老化に関連した合併症を含む種々の障害に関係している。
【0004】
AGEは、微小血管構造の内皮細胞、単球およびマクロファージ、平滑筋細胞、血管間膜細胞(mesengial cell)およびニューロン上の細胞表面レセプターとの特異的結合および可飽和結合を示す。終末糖化物質と結合するレセプター(RAGE)は、細胞表面分子の免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。RAGEの細胞外(N末端)ドメインは、3つの免疫グロブリン型領域を含み、1つのV(可変)型ドメインの後に2つのC型(定常)ドメインが続く(Neeperら、J.Biol.Chem.267:14998〜15004(1992))。1つの膜貫通スパニングドメインおよび短い極めて荷電したサイトゾルテイルが、この細胞外ドメインに続く。このN末端の細胞外ドメインは、RAGEのタンパク質分解によって単離されて、VドメインおよびCドメインから構成される可溶性RAGE(sRAGE)を産生し得る。
【0005】
RAGEは、大半の組織において発現され、そして特に、胚発生の間の皮質ニューロンにおいて見出される(Horiら、J.Biol.Chem.270:25752〜761(1995))。RAGEのレベルの増大はまた、老化組織(Schleicherら、J.Clin.Invest.99(3):457〜468(1997))、ならびに糖尿病性網膜、糖尿病性血管構造および糖尿病性腎臓(Schmidtら、Nature Med.1:1002〜1004(1995))において見出される。異なる組織および器官におけるRAGEの活性化は、多くの病態生理学的結果を導く。RAGEは、以下を含む種々の状態に関係している。急性炎症および慢性炎症(Hofmannら、Cell 97:889〜901(1999))、糖尿病末期の合併症の発生(例えば血管透過性の増大(Wautierら、J.Clin.Invest.97:238〜243(1995))、腎障害(Teilletら、J.Am.Soc.Nephrol.11:1488〜1497(2000))、アテローム性動脈硬化症(Vlassaraら、The Finnish Medical Society DUODECIM、Ann.Med.28:419〜426(1996))および網膜症(Hammesら、Diabetologia 42:603〜607(1999)))。RAGEはまた、アルツハイマー病(Yanら、Nature 382:685〜691(1996))、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および腫瘍転移(Taguchiら、Nature 405:354〜357(2000))に関係している。
【0006】
AGEに加えて他の化合物がRAGEに結合し得、そしてRAGEを調節し得る。正常な発生において、RAGEはアンホテリン(培養胚ニューロンにおける神経突起成長を媒介するポリペプチド)と相互作用する(Horiら、1995)。RAGEはまた、EN−RAGE(カルグラニュリンとの実質的類似性を有するタンパク質)と相互作用することが示されている(Hofmannら、Cell 97:889〜901(1999))。RAGEはまた、βアミロイドと相互作用することが示されている(Yanら、Nature 389:589〜595(1997);Yanら、Nature 382:685〜691(1996);Yanら、Proc.Natl.Acad.Sci.、94:5296〜5301(1997))。
【0007】
リガンド(例えばAGE、S100/カルグラニュリン/EN−RAGE、βアミロイド、CML(Nε−カルボキシメチルリジン)およびアンホテリン)のRAGEへの結合は、種々の遺伝子の発現を変更することが示されている。例えば多くの細胞型において、RAGEとそのリガンドとの間の相互作用は、酸化ストレスを生成し、これはそれによって遊離基感受性の転写因子であるNF−κBの活性化、およびNF−κB調節遺伝子(例えばサイトカインであるIL−1β、TNF−αなど)の活性化をもたらす。さらに、いくつかの他の調節経路(例えばp21ras、MAPキナーゼ、ERK1およびERK2を伴う経路)が、AGEおよび他のリガンドのRAGEへの結合によって活性化されることが示されている。実際に、RAGE自身の転写は、少なくとも部分的にNF−κBによって調節される。従って、上昇的かつしばしば有害な悪循環が、リガンド結合によって開始される正のフィードバックループによって勢いづく。従って、生理学的リガンドのRAGEへの結合の拮抗が、AGE、およびRAGEに対する他のリガンドの過剰な濃度によって引き起こされる病態生理学的変化のダウンレギュレーションについての本発明者らの目的である。
【0008】
従って、生理学的リガンドのRAGEレセプターへの結合を拮抗する化合物の開発についての必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、特定の置換ベンゾイミダゾール化合物を提供する。本発明の実施態様は、以下に表されるような式(I)の化合物、その調製方法、その化合物からなる薬学的組成物およびヒトまたは動物の障害の処置におけるその使用のための方法を提供する。本発明の化合物は、終末糖化物質に対するレセプター(RAGE)とそのリガンド(例えば終末糖化物質(AGE)、S100/カルグラニュリン/EN−RAGE、βアミロイドおよびアンホテリン)との相互作用のモジュレーターとして有用である。この化合物は、種々の適用(RAGEによって引き起こされるヒトにおける疾患の処理、処置、制御および/または補助としての適用を含む)において有用である。このような疾患または疾患状態としては、急性炎症および慢性炎症、糖尿病末期の合併症の発生(例えば血管透過性の増大、腎障害、アテローム性動脈硬化症および網膜症)、アルツハイマー病の発生、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および腫瘍転移が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
第一の態様において、本発明は特定の置換ベンゾイミダゾール化合物を提供する。このような化合物は、以下により詳細に議論されるように、RAGEのその生理学的リガンドとの相互作用の調節、好ましくは阻害に有用である。
【0011】
第二の態様において、本発明は以下の式(I)で表された化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【化1】

【0012】
(式中、mは0〜3の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
はアリールからなり、
は以下のいずれかからなり、
a)式−N(R10)、−NHC(O)Rまたは−NHC(O)ORの化合基、
b)式−ORの化合基、
c)式−SR、−SOR、−SO、−SONHRまたは−SON(R10)の化合基、
(ここでRおよびR10は独立して以下のいずれかからなり、
1)−H;
2)−アリール;
3)以下のいずれかからなる化合基;
a)−C1〜6アルキル;
b)−C1〜6アルキルアリール
d)
【化2】

【0013】
e)−アリール:
f)−C1〜6アルキル;あるいは
g)−C1〜6アルキルアリール;
およびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)H;
b)−アリール;
c)−C1〜6アルキル;
d)−C1〜6アルキルアリール;または
e)−C1〜6アルコキシアリール;
、R、RおよびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)−H;
b)−C1〜6アルキル;
c)−アリール;
d)−C1〜6アルキルアリール;
e)−C(O)−O−C1〜6アルキル;
f)−C(O)−O−C1〜6アルキルアリール;
g)−C(O)−NH−C1〜6アルキル;
h)−C(O)−NH−C1〜6アルキルアリール;
i)−SO−C1〜6アルキル;
j)−SO−C1〜6アルキルアリール;
k)−SO−アリール;
l)−SO−NH−C1〜6アルキル;
m)−SO−NH−C1〜6アルキルアリール;
n)−C(O)−C1〜6アルキル;
o)−C(O)−C1〜6アルキルアリール;
p)−Y−C1〜6アルキル;
q)−Y−アリール;
r)−Y−C1〜6アルキルアリール;
s)−Y−C1〜6アルキレン−NR1314;または
t)−Y−C1〜6アルキレン−W−R15;あるいは
(ここでYおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)−、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化3】

【0014】
のいずれかからなり、
16およびR17は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、R15は独立してアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル;
11、R12、R13およびR14は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、
13およびR14は統合されて、R13およびR14が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、そして/またはR11およびR12は独立して統合されてR11およびR12が結合される原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでoおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化4】

【0015】
のいずれかからなり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19における該アリール基および/またはアルキル基は必要に応じて1〜4回置換基で置換され得、ここで該置換基または置換される用語は、以下のいずれかからなる化合基をいい、
a)−H;
b)−Z−C1〜6アルキル;
−Z−アリール;
−Z−C1〜6アルキルアリール;
−Z−C1〜6−アルキル−NR2021
−Z−C1〜6−アルキル−W−R22;あるいは
(ここでZおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化5】

【0016】
のいずれかからなり、
ここでR20およびR21は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、
22、R23およびR24は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなる。)
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル、そして、
20およびR21は統合されてR20およびR21が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでqおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化6】

【0017】
のいずれかからなり、
25、R26およびR27は独立して水素、アリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
好ましい実施態様において本発明は、以下の式(II)によって示されるようにmが0〜3の整数であることと、nが0であることと、Rが水素であることと、を特徴とする化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグからなる。
【化7】

【0018】
(式中、Rはアリール基からなり、
は式−N(R10)、−NHC(O)Rまたは−NHC(O)ORの化合基からなり、
(ここでRおよびR10は独立して以下のいずれかからなり、
1)−H;
2)−アリール;または
3)−C1〜6アルキルもしくは−C1〜6アルキルアリールのいずれかからなる化合基
は以下のいずれかからなり、
a)H;
b)−アリール;
c)−C1〜6アルキル;
d)−C1〜6アルキルアリール;または
e)−C1〜6アルコキシアリール;
、R、RおよびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)−H;
b)−C1〜6アルキル;
c)−アリール;
d)−C1〜6アルキルアリール;
e)−C(O)−O−C1〜6アルキル;
f)−C(O)−O−C1〜6アルキルアリール;
g)−C(O)−NH−C1〜6アルキル;
h)−C(O)−NH−C1〜6アルキルアリール;
i)−SO−C1〜6アルキル;
j)−SO−C1〜6アルキルアリール;
k)−SO−アリール;
l)−SO−NH−C1〜6アルキル;
m)−SO−NH−C1〜6アルキルアリール;
n)−C(O)−C1〜6アルキル;
o)−C(O)−C1〜6アルキルアリール;
p)−Y−C1〜6アルキル;
q)−Y−アリール;
r)−Y−C1〜6アルキルアリール;
s)−Y−C1〜6アルキレン−NR1314;または
t)−Y−C1〜6アルキレン−W−R15;あるいは
(ここでYおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化8】

【0019】
のいずれかからなり、
16およびR17は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、R15はアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル;
13およびR14は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、
13およびR14は統合されてR13およびR14が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでoおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化9】

【0020】
のいずれかからなり、
そしてここでR、R、R、R、R、R、R10、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19における該アリール基および/またはアルキル基は必要に応じて1〜4回置換基で置換され得、ここで該置換基または置換される用語は、以下のいずれかからなる化合基をいい、
a)−H;
b)−Z−C1〜6アルキル;
−Z−アリール;
−Z−C1〜6アルキルアリール;
−Z−C1〜6−アルキル−NR2021;および
−Z−C1〜6−アルキル−W−R22;あるいは
(ここでZおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化10】

【0021】
のいずれかからなり、
ここでR20およびR21は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、そして、
22、R23およびR24は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなる。)
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル、そして、
20およびR21は統合されてR20およびR21が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでqおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化11】

【0022】
のいずれかからなり、
25、R26およびR27は独立して水素、アリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
式(I)の化合物および式(II)の化合物において、示される種々の官能基は、ハイフンを有する官能基において結合点を有することが理解されるべきである。換言すれば、−C1〜6アルキルアリールの場合において、結合点は、アルキル基であることが理解されるべきであり、例えばベンジルである。−C(O)−NH−C1〜6アルキルアリールのような化合基の場合において、この結合点はカルボニル炭素である。
【0023】
上記の式(I)において、下付き文字のmおよびnは、3つまでのメチレン結合の存在を示す。換言すれば、mが3である場合、R基は、−CHCHCH−結合を介して結合される。mが0である場合、R基は直接結合される(すなわち共有結合を介して)。
【0024】
また、上記の式(I)によって示される化合物の個々の鏡像異性体、ならびにその任意の完全なラセミ混合物または部分的なラセミ混合物が本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、1つ以上の立体中心が逆転されるそのジアステレオ異性体との混合物として、上記の式によって表される化合物の個々の鏡像異性体を含む。
【0025】
その高い生物学的活性について好ましい本発明の化合物を、以下の表1において名称によって列挙する。
【表1】







【0026】
別の態様において、本発明は、式(I)または式(II)の化合物、および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤からなる薬学的組成物からなる。
【0027】
一実施態様において、この薬学的組成物は、経口投薬単体または非経口投薬単体の形態にある。好ましくは、式(I)または式(II)の化合物は、1日につき体重1kg当たり約0.01mg〜500mgの範囲の用量として投与される。より好ましくは、この化合物は、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜200mgの範囲の用量として投与される。なおより好ましくは、この化合物は、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜100mgの範囲の用量として投与される。
【0028】
一実施態様において、この薬学的組成物は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択される1つ以上の治療因子をさらに含んでなる。
【0029】
別の態様において、本発明は、RAGEのその生理学的リガンドとの相互作用の阻害のための方法からなり、この方法は、その阻害を必要とする被験体に少なくとも1つの式(I)または式(II)の化合物を投与するステップからなる。
【0030】
一実施態様において、このリガンドは、終末糖化物質(AGE)、S100/カルグラニュリン/EN−RAGE、βアミロイドおよびアンホテリンから選択される。
【0031】
なお別の態様において、本発明は、急性炎症および慢性炎症、糖尿病の症状、血管透過性、腎障害、アテローム性動脈硬化症、網膜症、アルツハイマー病、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および/または腫瘍転移からなる群より選択される疾患状態を処置するための方法からなり、この方法は、この処置を必要とする被験体に治療有効量の少なくとも1つの式(I)または式(II)の化合物を投与するステップからなる。
【0032】
なお別の態様において、本発明は、RAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置を必要とするヒトに治療有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物を投与するステップからなるRAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置のための方法からなり、ここで治療有効量がRAGEレセプターに対するリガンドの結合を少なくとも部分的に阻害するに十分な化合物からなる。
【0033】
一実施態様において、この方法は、この疾患の予防および/または処置を必要とする被験体に少なくとも1つのアジュバントおよび/またはさらなる治療因子を投与するステップを含む。好ましくは、この治療因子は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択される。
【0034】
また好ましくは、このRAGE媒介性ヒト疾患は、急性炎症および/または慢性炎症、異常な血管透過性、腎障害、アテローム性動脈硬化症、網膜症、アルツハイマー病、勃起機能不全、腫瘍浸潤および/または腫瘍転移からなる。
【0035】
本明細書中において使用される場合、用語「アルキル」は、指定の炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素をいう。本明細書中において使用される場合の「アルキル」の例としては、メチル、n−ブチル、n−ペンチル、イソブチルおよびイソプロピルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0036】
本明細書中において使用される場合、用語「アルコキシ」は、酸素原子に結合した指定の炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖の炭化水素をいう。本明細書中において使用される場合の「アルコキシ」の例としては、メトキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、イソブトキシおよびイソプロポキシなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
本明細書中において使用される場合、用語「アリール」は、5員〜7員の芳香族環、または必要に応じて置換されるベンゼン環系(必要に応じて1つ以上の窒素、酸素または硫黄のヘテロ原子を含む)をいい、ここでN−酸化物ならびに一酸化硫黄および二酸化硫黄が許容される置換である。このような環は、1つ以上の5員〜7員の芳香族環(必要に応じて1つ以上の窒素、酸素または硫黄のヘテロ原子を含む)に縮合され得る。好ましいアリール基としては、フェニル、ビフェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、フェナントリル、1−アントラセニル、ピリジル、フリル、フラニル、チオフェニル、インドリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、テトラゾリル、ピラジニル、ピリミジル、キノリル、イソキノリル、ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾインドリル、ピラゾリル、イソインドリル、プリニル、カルバゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリルなどが挙げられる。これに関して、特に好ましいアリール基としては、フェニル、2−ナフチル、1−ナフチル、ビフェニル、ならびにtert−ブチルオキシ、ベンジルオキシ、フェネチルオキシ、n−ブチルオキシ、イソプロピルオキシおよびフェノキシによって必要に応じて置換される類似の環系が挙げられる。
【0038】
本明細書中において使用される場合、用語「アルキレン」は、指定の炭素原子数を有する直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素遊離基をいう。本明細書中において使用される場合の「アルキレン」の例としては、メチレン、エチレンなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0039】
本明細書中において使用される場合、用語「アルケニレン」は、指定の炭素原子数および1つ以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素遊離基をいう。本明細書中において使用される場合の「アルケニレン」の例としては、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、メチレン−1,1−ジイルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0040】
本明細書中において使用される場合、用語「アルキニレン」は、指定の炭素原子数および1つ以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖または分枝鎖の二価の炭化水素遊離基をいう。本明細書中において使用される場合の「アルキニレン」の例としては、エチン−1,2−ジイル、プロピン−1,3−ジイルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
本明細書中において使用される場合、用語「必要に応じて」は、引き続いて記載される事象が生じるかもしれないしまた生じないかもしれないことを意味し、そして生じる事象および生じない事象の両方を含む。
【0042】
本明細書中において使用される場合、用語「置換される」は、指定の置換基(単数または複数)での置換をいい、別段の通知がない限り複数の程度の置換が容認される。
【0043】
本明細書中において使用される場合、化学構造用語「含む」または「含んでいる」は、1つ以上のO、S、SO、SO、NまたはN−アルキル(例えば−CH−O−CH−、−CH−SO−CH−、−CH−NH−CHなどを含む。)のいずれかにおいて上記で規定される置換基に沿った任意の位置でのインライン置換をいう。
【0044】
本明細書中において使用される場合、用語「溶媒和物」は、溶質(本発明においては式(I)の化合物)および溶媒によって形成される可変化学量論の複合体である。本発明の目的についてのこのような溶媒は、この溶質の生物学的活性を妨げないかもしれない。溶媒は、例えば水、エタノールまたは酢酸であり得る。
【0045】
本明細書中において使用される場合、用語「生物的に加水分解可能なエステル」は、a)親物質の生物学的活性を妨げないが、インビボでこの物質に有利な性質(例えば作用の持続、作用の開始など)を得るか、またはb)生物学的に不活性であるが、被験体によってインビボで生物学的に活性な素に容易に転換されるかのいずれかの薬物物質(本発明においては式(I)の化合物)のエステルである。この利点は、例えば生物的に加水分解可能なエステルが、消化管から経口によって吸収され、そして血漿において(I)に変換されることである。このようなものの多くの例が当該分野で公知であり、そして例えば低級アルキルエステル(例えばC〜C)、低級アシルオキシアルキルエステル、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステルおよびコリンエステルが挙げられる。
【0046】
本明細書中において使用される場合、用語「生物的に加水分解可能なアミド」は、a)親物質の生物学的活性を妨げないが、インビボでこの物質に有利な性質(例えば作用の持続、作用の開始など)を得るか、またはb)生物学的に不活性であるが、被験体によってインビボで生物学的に活性な素に容易に転換されるかのいずれかの薬物物質(本発明においては一般式(I)の化合物)のアミドである。この利点は、例えば生物的に加水分解可能なアミドが、消化管から経口によって吸収され、そして血漿において(I)に変換されることである。このようなものの多くの例が当該分野で公知であり、そして例えば低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミドおよびアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられる。
【0047】
本明細書中において使用される場合、用語「プロドラッグ」は、生物的に加水分解可能なアミドおよび生物的に加水分解可能なエステルを含み、そしてまたa)このようなプロドラッグにおいて生物的に加水分解可能な官能基が式(I)の化合物に包含される化合物(例えばRにおけるカルボキシル基およびRにおけるアミンによって形成されるラクタム)、ならびにb)所定の官能基において生物学的に酸化または還元されて、式(I)の薬物物質を生じ得る化合物を包含する。これらの官能基の例としては、1,4−ジヒドロピリジン、N−アルキルカルボニル−1,4−ジヒドロピリジン、1,4−シクロヘキサジエン、tert−ブチルなどが挙げられるがこれらに限定されない。
【0048】
用語「薬理学的に有効な量」は、研究者または臨床家によって追求されている組織、動物またはヒトの生物学的応答または医学的応答を惹起する薬物または薬学的因子の量を意味するべきである。この量は、治療有効量であり得る。
【0049】
用語「アルキル」または「アリール」あるいはこれらの接頭語根のいずれかが置換基の名称に現れるときはいつも(例えばアリールアルコキシアリールオキシ)、これらは「アルキル」および「アリール」について上記で得られるこれらの限定を含むように解釈されるべきである。アルキル置換基は、1以上の程度の不飽和を有する置換基と機能的に等価であるように認識されるべきである。指定の炭素原子数(例えばC1〜6)は、独立して、アルキル部分における炭素原子数をいうか、または用語「アルキル」がその接頭語根として現れるより大きな置換基のアルキル部分をいうべきである。同様に、用語「C〜Cアルケニル」および「C〜Cアルキニル」は、それぞれ2〜8の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する基、または2〜8の炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する基をいう。
【0050】
本明細書中において使用される場合、用語「オキソ」は、置換基=Oをいうべきである。
【0051】
本明細書中において使用される場合、用語「ハロゲン」または「ハロ」は、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素を含むべきである。
【0052】
本明細書中において使用される場合、用語「メルカプト」は、置換基−SHをいうべきである。
【0053】
本明細書中において使用される場合、用語「カルボキシ」は、置換基−COOHをいうべきである。
【0054】
本明細書中において使用される場合、用語「シアノ」は、置換基−CNをいうべきである。
【0055】
本明細書中において使用される場合、用語「アミノスルホニル」は、置換基−SONHをいうべきである。
【0056】
本明細書中において使用される場合、用語「カルバモイル」は、置換基−C(O)NHをいうべきである。
【0057】
本発明はまた、式(I)の化合物の調製のための方法に加えて、式(I)の化合物の調製における中間体として有用な化合物の合成のための方法を提供する。
【0058】
例えば、アルデヒド(1)は、摂氏25〜100度の温度で、溶媒(例えばエタノール)においてフェニレンジアミン化合物(2)と縮合されて、生成物ベンゾイミダゾール(3)を獲得し得、ここでこの中間体付加物は、自発的酸化を受ける(スキーム1)。
【0059】
(スキーム1)
【化12】

【0060】
別の実施態様において、このアルデヒド(1)(スキーム2)は、溶媒(例えばTHF)における塩基(例えばNMM)の存在下でのクロロギ酸イソブチルとの酸(4)の処理、その後のN−メチル−O−メチルヒドロキシルアミンとの処理によって合成されて、中間体O,N−ジメチルアミドを形成し得る。このアミドは単離され、そして0℃でTHFまたはエーテルにおいてLAHと処理されて、アルデヒド(1)得うる。あるいはこのアルデヒド(1)は、溶媒(例えばTHF)における塩基(例えばNMM)の存在下でのクロロギ酸イソブチルとの酸(4)の処理、その後の水素化ホウ素ナトリウムとの処理によって合成されて、中間体として第一級アルコールを得うる。このアルコールは、試薬(例えばDMSO/塩化オキサリル)と酸化され、その後−78℃〜0℃でDCMにおいてトリエチルアミンと処理されて、アルデヒド(1)を得る。あるいはこのアルコール中間体は、0℃〜25℃の温度で、DCMにおいて二クロム酸ピリジニウムとの処理によって酸化されて、アルデヒド(1)を得うる。
【0061】
(スキーム2)
【化13】

【0062】
スキーム3は、置換アリーレンジアミンの合成を記載する。
【0063】
(スキーム3)
【化14】

【0064】
従って一実施態様において、オルト−フルオロニトロフェノール(例えば(5))は、溶媒(例えばDMFまたはアセトニトリル)において、塩基としてアルカリ金属炭酸塩の存在下で、ハロゲン化アルキルまたは他のアルキル化剤、R28−LGとアルキル化され得る。LGは、脱離基(例えばヨウ化物、臭化物、メタンスルホナートなど)を表し得る。この変換において、R28は、アルキル、またはLGを保有する炭素で求核置換を受け得る基である。この中間体は、0℃〜100℃の温度で、溶媒(例えばTHF)において第三級アミン塩基の存在下でアミンR−NHと処理されて、(6)を得うる。(6)におけるニトロ基の還元は、25℃〜100℃の温度での中性または酸性のエタノールにおける塩化第一スズとの(6)の処理によって果たされて、アニリン(7)を得うる。あるいは(6)は、25℃〜80℃の温度で、溶媒(例えばエタノール)における木炭に対する貴金属触媒(例えばパラジウム)との(6)の処理、および水素供給源(例えば気体水素またはギ酸アンモニウム)との(6)の処理によって還元されて、(7)を得うる。この芳香族ジフルオロニトロ化合物(8)は、類似の様式で利用され得、(8)の場合においては、1つのフルオロが、ニトロ基に対してオルトである。1当量のアミンR−NHとの(8)の処理は、このオルトフッ素の選択的置換を得る。この中間体における第二のフッ素は、アルコールR28−OHによって置換されて、(9)を得うる。この場合において、R28はアルキルまたはアリールであり得る。上記のように塩化第一スズを用いた(9)におけるニトロ基の還元は、(7)を提供する。
【0065】
スキーム4は、フェニルエーテル(11)の合成を記載する。
【0066】
(スキーム4)
【化15】

【0067】
従って一実施態様において、フェノール(10)は、−70℃〜25℃の温度で溶媒(例えばTHF)において、アルコールR29−OH、トリフェニルホスフィンまたは他の適切なホスフィン試薬、およびジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)またはジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)と処理されて、(11)を得うる。R29は、アルキル基(好ましくは事実上第一級または第二級)である。あるいは(10)は、25℃〜100℃の温度で、溶媒(例えばDMF、アセトンまたはアセトニトリル)においてアルカリ金属炭酸塩または他の適切な塩基の存在下でR29−LGと処理されて、(11)を提供し得る。
【0068】
本発明の方法において使用される一般的手順を以下に記載する。
【0069】
(一般的実験)
LC−MSデータを、YMC Combiscreen ODS−A 50×4.6mmカラムを用いて、2487二重波長検出器を装備したWaters 600コントローラー上での勾配溶出およびLeap Technologies HTS PAL Autosamplerを用いて獲得する。25% B(97.5% アセトニトリル、2.5% 水、0.05% TFA)および75% A(97.5% 水、2.5% アセトニトリル、0.05% TFA)から100% Bの3分間勾配を流す。MSは、Micromass ZMD器械である。すべてのデータを、別段の通知がない限りポジティブモードで獲得する。H NMRデータを、Varian 300 MHz分光計上で獲得する。
【0070】
本実施例において使用される略語は以下の通りである。
【0071】
APCI=気圧化学イオン化
BOC=tert−ブトキシカルボニル
BOP=(1−ベンゾトリアゾリルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
d=日
DIAD=ジイソプロピルアゾジカルボキシラート
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DCM=ジクロロメタン
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
DMF=N,N−ジメチルホルムアミド
DMPU=1,3−ジメチルプロピレン尿素(dimethypropylene urea)
DMSO=ジメチルスルホキシド
EDC=1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩
EDTA=エチレンジアミン四酢酸
ELISA=固相酵素免疫検定法
ESI=エレクトロスプレーイオン化
ether=ジエチルエーテル
EtOAc=酢酸エチル
FBS=ウシ胎仔血清
g=グラム
h=時間
HBTU=O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HMPA=ヘキサメチルリン酸トリアミド
HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール
Hz=ヘルツ
i.v.=静脈内
kD=キロダルトン
L=リットル
LAH=水素化アルミニウムリチウム
LDA=リチウムジイソプロピルアミド
LPS=リポ多糖類
M=モル
m/z=質量対電荷の比
mbar=ミリバール
MeOH=メタノール
mg=ミリグラム
min=分
mL=ミリリットル
mM=ミリモル
mmol=ミリモル
mol=モル
mp=融点
MS=質量分析法
N=正常
NMM=N−メチルモルホリン、4−メチルモルホリン
NMR=核磁気共鳴分光法
p.o.=経口で
PBS=リン酸緩衝化生理食塩水溶液
PMA=酢酸ミリスチン酸ホルボール
ppm=百万分率
psi=1平方インチ当たりのポンド数
=相対TLC移動度
rt=室温
s.c.=皮下の
SPA=シンチレーション近接アッセイ
TEA=トリエチルアミン
TFA=トリフルオロ酢酸
THF=テトラヒドロフラン
THP=テトラヒドロピラニル
TLC=薄層クロマトグラフィー
=保持時間
従って一実施態様において、以下の化合物が、本明細書中に記載されるスキームに従って合成された。
【0072】
(一般的手順)
(一般的手順I:置換アルデヒドの合成)
ステップA:CHCl(0.05〜1M)における置換酸の溶液を−15℃まで冷却し、そしてNMM(1〜2当量)およびクロロギ酸イソブチル(1〜2当量)で処理する。この得られる反応混合物を−15℃で15分間撹拌し、そして固体N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(1〜2当量)で処理する。次いでこの反応混合物を室温まで徐々に温め、そして撹拌をさらに45分間継続する。この反応混合物をDCMで希釈し、そして水およびブラインで洗浄した。次いでこの溶液を乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、粗製アミドを得る。
【0073】
ステップB:この粗製アミドをジエチルエーテル(0.05〜1M)に溶解し、そして−20℃まで冷却する。THF(0.5〜1当量)における水素化アルミニウムリチウムの1M溶液を、この反応混合物に徐々に添加し、そして撹拌を−20℃で0.5〜1時間継続する。次いでメタノール(1mL)を−20℃でこの反応混合物に添加する。この反応混合物を0℃まで温め、そして10% 重硫酸カリウム水溶液で処理する。この得られる混合物を分液漏斗に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出する。この有機層を、0.5N HCl、水およびブラインで洗浄する。次いでこの抽出物を乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、粗製アルデヒドを得る。
【0074】
(一般的手順II:ヒドロキシ置換されるフェニレンジアミンの合成)
ステップA:2−芳香族フルオロニトロ化合物を、THF(0.05〜1M)に溶解し、そして第一級アミン(1〜2当量)で処理し、そして6時間還流する。この反応混合物を室温まで冷却し、そして真空中で濃縮する。この残渣をEtOAcに再溶解する。この混合物を、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄する。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、アミンを得る。
【0075】
ステップB:上記のように得られる2−芳香族アルキルアミノニトロ化合物をエタノール(0.05〜1M)に溶解し、そして塩化スズ(II)水和物(2〜10当量)で処理する。次いでこの中身を一晩還流する。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、そしてこの反応混合物のpHが7〜8になるまで撹拌しながら、飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理する。形成される沈殿物を濾過で除き、そしてこの濾液をおよそ3分の1量に濃縮し、そして酢酸エチルで希釈する。この有機層をブラインで洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させる。真空中での溶媒除去はアニリンを得る。
【0076】
(一般的手順III:アルコキシ置換されるフェニレンジアミンの合成)
ステップA:2−フルオロ−4−芳香族ヒドロキシニトロ化合物をDMF(0.05〜1M)に溶解し、そしてハロゲン化アルキルまたはメタンスルホナート(1.2〜1.5当量)およびKCOまたはCSCO(2当量)で処理し、そして6〜12時間、70〜90℃で加熱する。この反応混合物を室温まで冷却し、そして水で希釈して相同混合物を得る。この溶液をEtOAcで2回抽出する。合わせた有機化合物を水およびブラインで洗浄する。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、4−芳香族アルコキシニトロ化合物を得る。
【0077】
ステップB:上記のように得られる4−芳香族アルコキシニトロ化合物をTHF(0.05〜1M)に溶解し、そして室温で第一級アミン(1〜2当量)で処理する。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮する。この残渣をEtOAcに再溶解する。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄する。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、ニトロアミンを得る。
【0078】
ステップC:このニトロアミン化合物をエタノール(0.05〜1M)に溶解し、そして10% Pd/C(100mg/ミリモル)とともに添加する。この反応混合物を1気圧の圧力下、室温で水素化する。セライトパッドを通じてこの中身を濾過し、そしてこの溶媒を真空中で除去して、ジアミンを得る。
【0079】
あるいはこのニトロアミン化合物を、一般的手順II(ステップB)において記載されるように、塩化スズ(II)を用いて還元する。
【0080】
(一般的手順IV:2−置換されるベンゾイミダゾールの合成)
オルト−フェニレンジアミン化合物およびアルデヒド化合物(各々およそ等モル量)をエタノール(0.05〜2M)において混合し、そしてこの溶液を一晩還流する。次いでこの中身を室温まで冷却し、そして真空中で濃縮する。得られる残渣を、5%のメタノール/クロロホルムを用いて溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、所望のベンゾイミダゾール生成物を得る。
【0081】
(一般的手順V:フェノールのアルキル化)
フェノールを乾燥THF(0.05〜1M)において撹拌し、そしてアルコール(1〜2当量)およびトリフェニルホスフィン(1〜2当量)で処理する。この混合物を0℃まで冷却し、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシラート(DIAD)またはジエチルアゾジカルボキシラート(DEAD)(1〜2当量)で処理する。この反応混合物を室温まで温め、そして窒素雰囲気下で一晩撹拌する。この反応混合物を水で希釈し、そしてこの混合物をEtOAcで抽出する。この有機層を水およびブラインで洗浄し、そしてNaSO上で乾燥させる。この溶媒を真空中で除去し、そしてこの得られる生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、アルキル化フェノールを得る。
【0082】
(実施例1)
【化16】

【0083】
CHCl(10mL)におけるBOC−D−(O−ベンジル)チロシン(557mg)の溶液を−15℃まで冷却し、そしてN−メチルモルホリン(0.5mL)およびクロロギ酸イソブチル(0.3mL)で処理した。この得られる反応混合物を−15℃で15分間撹拌し、そして固体N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(300mg)で処理した。次いでこの反応混合物を室温まで徐々に温め、そして撹拌をさらに45分間継続する。この反応混合物をCHCl(10mL)で希釈し、水(15mL)およびブライン(15mL)で洗浄した。次いでこの溶液を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そしてこの溶媒を真空中で除去して、粗製アミド(760mg)を得、これをさらに精製せずに次のステップについて使用した。
【0084】
上記からの粗製アミドをジエチルエーテル(5mL)に溶解し、そして−20℃まで冷却した。THF(4mL)における水素化アルミニウムリチウムの1M溶液を、この反応混合物に徐々に添加し、そして撹拌を−20℃で45分間継続した。次いでメタノール(1mL)を−20℃でこの反応混合物に添加した。この反応混合物を0℃まで温め、そして10% 重硫酸カリウム水溶液(10mL)で処理した。この得られる混合物を分液漏斗に注ぎ、そして酢酸エチル(2×10mL)で抽出し、そして層を分離した。この有機層を、0.5NのHCl(20mL)、水(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。次いでこの抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そしてこの溶媒を真空中で除去して、粗製アルデヒド(520mg)を得、これをさらに精製せずに使用した。
【0085】
3−フルオロ−4−ニトロフェノール(800mg)を、THF(10mL)に溶解し、そしてn−ブチルアミン(1mL)とともに添加し、そして6時間還流した。この反応混合物を室温まで冷却し、そして真空中で濃縮した。この残渣を酢酸エチル(25mL)に再溶解し、そして分液漏斗に取った。この中身を、飽和重炭酸ナトリウム溶液(20mL)、水(20mL)およびブライン(20mL)で洗浄した。次いでこの抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、そしてこの溶媒を真空中で除去して、粗製アミン(950mg)を得、これをさらに精製せずに使用した。
【0086】
上記のように得られる3−n−ブチルアミノ−4−ニトロフェノール(450mg)をエタノール(10mL)に溶解し、そして塩化スズ(II)水和物(3g)で処理した。次いでこの中身を一晩還流した。次いでこの反応混合物を室温まで冷却し、そしてこの反応混合物のpHが7〜8になるまで撹拌しながら、飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理した。形成される沈殿物を濾過で除き、そしてこの濾液を本来の量のおよそ3分の1に濃縮し、そして酢酸エチル(20)で希釈し、そして層を分離した。この有機層をブライン(10mL)で洗浄し、そして硫酸ナトリウム上で乾燥させる。濾過および真空中での溶媒除去は粗製アニリン(300mg)を得、これをさらに精製せずに使用した。
【0087】
260mgのジアミノフェノールおよびBOC−D−(O−ベンジル)チロシンから上記で得られる355mgのアミノアルデヒドをエタノール(10mL)に溶解し、そしてこの溶液を一晩還流した。次いでこの中身を室温まで冷却し、そして真空中で濃縮した。得られる残渣をシリカゲルのカラムに通し、そして5%のメタノール/クロロホルムで溶出して、240mgの所望のベンゾイミダゾール生成物を得た。
【0088】
上記で形成される170mgのベンゾイミダゾール生成物を乾燥THF(5mL)に溶解し、そして3−ジエチルアミノ−1−プロパノール(150μL)およびトリフェニルホスフィン(262mg)とともに添加した。この中身を0℃まで冷却し、そしてジイソプロピルアゾジカルボキシラート(200μL)とともに添加した。この反応混合物を室温まで温め、そして窒素雰囲気下で一晩撹拌した。この反応混合物を酢酸エチル/水(5mL/3mL)で希釈し、そして層を分離した。この水層を酢酸エチル(5mL)でさらに抽出した。この有機層を合わせ、そして水およびブラインで洗浄し、そしてNaSO上で乾燥させた。この溶液を濾過し、そしてこの溶媒を真空中で除去した。この得られる粗生成物を、溶離剤としてトリエチルアミン/メタノール/CHCl/ヘキサン(1:2:40:40)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、120mgの実施例1による化合物を得た。LC:Tγ 1.84分;MS:m/z 629.4(M+1)。
【0089】
(実施例2)
【化17】

【0090】
40mgの実施例1による化合物を、ジオキサン(1mL)における4MのHClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、淡黄色の固体(30mg)としてアミン塩(実施例2による化合物)を得た。LC:Tγ 1.65分;MS:m/z 529.4(M+H)。
【0091】
(実施例3)
【化18】

【0092】
MsCl(6.0mmol)を、無水DCM(6mL)において3−ジエチルアミノ−1−プロパノール(6.0mmol)、TEA(6.0mmol)の撹拌溶液に0℃で滴下によって添加し、そしてこの混合物を同じ温度で10分間撹拌し、そして室温でさらに1時間撹拌した。真空中での溶媒の除去後、一般的手順III(ステップA)に従って、この固体残渣を無水DMF(10mL)において4−クロロ−3−ニトロフェノール(5.0mmol)およびKCO(10mmol)と混合した。この粗生成物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離剤として5% MeOH/DCM)を用いて精製して、2−クロロ−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(1.3g)を得た。
【0093】
上記のように得られるアルコキシニトロ化合物(1mmol)を、密閉チューブにおいてn−ブチルアミン(2mL)および塩化銅(I)(1mmol)とともに添加し、そして80℃で一晩加熱した。この反応混合物を室温まで冷却し、水(10mL)で希釈し、そしてEtOAc(2×10mL)で抽出した。次いで合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、そしてNaSO上で乾燥させた。真空中での溶媒の除去は、生成物、2−n−ブチルアミノ−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(300mg)を得、これを任意の精製を伴わずにさらなる変換について使用した。
【0094】
上記のように得られるニトロアミン(0.8mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10% Pd/C(80mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−n−ブチルアミノ−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(200mg)を得た。
【0095】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−D−(O−ベンジル)チロシンの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(実施例1に記載されるように)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−エチル]−3−ブチル−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(100mg)を得た。LC:Tγ 2.15分;MS:m/z 629.7(M+H)。
【0096】
(実施例4)
【化19】

【0097】
40mgの実施例3を、ジオキサン(1mL)における4MのHClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、塩酸塩(30mg)としてアミン、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−ブチル−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールを得た。LC:Tγ 2.02分;MS:m/z 529.7(M+H)。
【0098】
(実施例5)
【化20】

【0099】
DMF(4mL)において3−フルオロ−4−ニトロフェノール(2mmol)および3−ジエチルアミノ−1−プロパノールのメタンスルホナート(2.5mmol)の溶液をKCO(4mmol)とともに添加し、そして一般的手順III(ステップA)に従って加熱した。この生成物、2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いた精製後に得た(470mg)。
【0100】
上記のように得られるニトロ化合物(1.5mmol)をDMF(4mL)に溶解し、そして炭酸アンモニウム(500mg)とともに添加した。次いでこの反応混合物を80℃で48時間加熱した。EtOAc(2×10mL)。次いでこの合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、そしてNaSO上で乾燥させた。真空中での溶媒の除去は、2−ニトロ−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(300mg)を生じ、これを任意の精製を伴わずにさらなる変換について使用した。
【0101】
上記のように得られるニトロアニリン(0.8mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10%のPd/C(80mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−アミノ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(200mg)を得た。
【0102】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−D−(O−ベンジル)チロシンの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(実施例1に記載されるように)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−エチル]−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(90mg)を得た。LC:Tγ 1.91分;MS:m/z 573.6(M+H)。
【0103】
(実施例6)
【化21】

【0104】
30mgの実施例3を、ジオキサン(1mL)における4MのHClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、塩酸塩(20mg)として2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールを得た。LC:Tγ 1.80分;MS:m/z 473.6(M+H)。
【0105】
(実施例7)
【化22】

【0106】
DMF(20ml)におけるBoc−3−Tyr−OH(4.2mmol)および臭化ベンジル(10mmol)の溶液をKCO(20ミリモル)で処理し、そして室温で20時間撹拌した。この反応混合物をエーテル(150ml)で希釈し、そしてこの中身を水(2×100ml)およびブライン(1×50ml)で洗浄し、そしてNaSO上で乾燥させた。溶媒の除去後、淡黄色の油を得、これをTHF(20mL)に溶解した。2NのNaOH水溶液(20ml)をこの反応混合物に添加し、そして一晩撹拌した。反応の完了後、エーテル(100ml)および水(50ml)を添加し、そして激しく撹拌した。エーテル層を捨て、そして水層をクエン酸の添加によって酸性にし、この生成物をエーテル(3×40ml)で抽出し、そして乾燥させた(NaSO)。真空中での溶媒の除去は、白色固体として生成物、Boc−(O−ベンジル)−3−Tyr−OH(1.6g)を生じた。
【0107】
CHCl(10mL)におけるBoc−(O−ベンジル)−3−Tyr−OH(600mg)の溶液を−15℃まで冷却し、そしてN−メチルモルホリン(0.5mL)およびクロロギ酸イソブチル(0.3mL)で処理した。この得られる反応混合物を−15℃で15分間撹拌し、そして固体N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(300mg)で処理した。この手順の残りは、実施例1に記載される通りであった。得られる粗製アミド(730mg)を、さらに精製せずに次のステップについて使用した。
【0108】
ジエチルエーテル(5mL)における上記からの粗製アミドを、実施例1に記載される手順に従って、THF(4mL)における水素化アルミニウムリチウムの1M溶液を用いて対応するアルデヒドに転換した。この粗製アルデヒド(500mg)をさらに精製せずに使用した。
【0109】
THF(5mL)における2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンの溶液(2mmol;実施例5に記載される調製)を、室温でn−ブチルアミン(2.4当量)で処理した。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮した。この残渣をEtOAc(10mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、生成物、2−n−ブチルアミノ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(580mg)を得、これをさらに精製せずにさらなる変換について使用した。
【0110】
上記のように得られるニトロアミン(1.0mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10%のPd/C(100mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−n−ブチルアミノ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(260mg)を得た。
【0111】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−(O−ベンジル)−3−Tyr−OHの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(以前に記載される)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[2−(3−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(130mg)を得た。LC:Tγ 2.12分;MS:m/z 630.0(M+H)。
【0112】
(実施例8)
【化23】

【0113】
CHCl(10mL)におけるBoc−(OEt)−Tyr−OH(2mmol)の溶液を−15℃まで冷却し、そしてN−メチルモルホリン(0.5mL)およびクロロギ酸イソブチル(0.3mL)で処理した。この得られる反応混合物を−15℃で15分間撹拌し、そして固体N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(300mg)で処理した。この手順の残りは、実施例1に記載される通りであった。得られる粗製アミド(700mg)を、さらに精製せずに次のステップについて使用した。
【0114】
ジエチルエーテル(5mL)における上記からの粗製アミドを、実施例1に記載される手順に従って、THF(4mL)における水素化アルミニウムリチウムの1M溶液を用いて対応するアルデヒドに転換した。この粗製アルデヒド(500mg)をさらに精製せずに使用した。
【0115】
上記のように形成されるアルデヒド(0.5mmol)および2−n−ブチルアミノ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(0.5mmol:実施例7により合成された化合物)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−エトキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(120mg)を得た。LC:Tγ 1.98分;MS:m/z 568.0(M+H)。
【0116】
(実施例9)
【化24】

【0117】
DMF(10mL)におけるBoc−D−Tyr−OH(2mmol)および臭化ベンジル(2.4mmol)の溶液をDIEA(3mmol)とともに添加し、そして室温で撹拌した。反応の完了後、4−クロロフェネチルアルコール(2.2mmol)をこの反応混合物に添加し、その後トリフェニルホスフィン(2.2mmol)およびDIAD(2.4mmol)を添加した。このワークアップは、一般的手順Vに記載される通りであった。この粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、Boc−D−(O−4−クロロフェネチル)−Tyr−OBn(800mg)を得た。
【0118】
上記で形成されるベンジルエステル(1mmol)を酢酸エチル(10mL)に溶解し、そして5% Pd/Cで処理した。この反応混合物を1atmで10〜20分間水素化する。形成される生成物、Boc−D−(O−4−クロロフェネチル)−Tyr−OH(360mg)を、任意の精製を伴わずにさらなる変換について使用した。
【0119】
CHCl(10mL)におけるBoc−D−(O−4−クロロフェネチル)−Tyr−OH(1mmol)溶液を−15℃まで冷却し、そしてN−メチルモルホリン(0.5mL)およびクロロギ酸イソブチル(0.3mL)で処理した。この得られる反応混合物を−15℃で15分間撹拌し、そして固体N,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(300mg)で処理した。この手順の残りは、実施例1に記載される通りであった。得られる粗製アミド(400mg)を、さらに精製せずに次のステップについて使用した。
【0120】
ジエチルエーテル(5mL)における上記からの粗製アミドを、実施例1に記載される手順に従って、THF(4mL)における水素化アルミニウムリチウムの1M溶液を用いて対応するアルデヒドに転換した。この粗製アルデヒド(300mg)をさらに精製せずに使用した。
【0121】
上記のように形成されるアルデヒド(0.5mmol)および2−n−ブチルアミノ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(0.5mmol;実施例7に記載される合成)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−(4−クロロ)フェネトキシ)フェニル]−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(150mg)を得た。LC:Tγ 2.24分;MS:m/z 678.0(M+H)。
【0122】
(実施例10)
【化25】

【0123】
THF(5mL)における2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンの溶液(2mmol:実施例5に記載される調製)を、室温で3−ジエチルアミノ−1−プロピルアミン(2.4mmol)で処理した。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮した。この残渣をEtOAc(10mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、生成物、2−(3−ジエチルアミノ−1−プロピルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(620mg)を得、これをさらに精製せずにさらなる変換について使用した。
【0124】
上記のように得られるニトロアミン(1.0mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10% Pd/C(100mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−(3−ジエチルアミノ−1−プロピルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(300mg)を得た。
【0125】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−(O−ベンジル)−Tyr−OHの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(以前に記載される)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−(3−ジエチルアミノ−1−プロピル)−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(160mg)を得た。LC:Tγ 1.90分;MS:m/z 687.0(M+H)。
【0126】
(実施例11)
【化26】

【0127】
THF(5mL)における2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンの溶液(2mmol;実施例5に記載される調製)を、室温でエチルアミン(4mmol)で処理した。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮した。この残渣をEtOAc(10mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、生成物、2−(エチルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(520mg)を得、これをさらに精製せずにさらなる変換について使用した。
【0128】
上記のように得られるニトロアミン(1.0mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10% Pd/C(100mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−(エチルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(240mg)を得た。
【0129】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−(O−ベンジル)−Tyr−OHの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(以前に記載される)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−エチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(140mg)を得た。LC:Tγ 2.01分;MS:m/z 602.0(M+H)。
【0130】
(実施例12)
【化27】

【0131】
50mgの実施例10を、ジオキサン(1mL)における4MのHClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、塩酸塩(35mg)として2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−(3−ジエチルアミノ−1−プロピル)−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールを得た。LC:Tγ 0.85分;MS:m/z 587.0(M+H)。
【0132】
(実施例13)
【化28】

【0133】
THF(5mL)における2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンの溶液(2mmol;実施例5に記載される調製)を、室温でベンジルアミン(2.4mmol)で処理した。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮した。この残渣をEtOAc(10mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、生成物、2−(ベンジルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(620mg)を得、これをさらに精製せずにさらなる変換について使用した。
【0134】
上記のように得られるニトロアミン(1mmol)をエタノール(10mL)に溶解し、そして塩化スズ(II)水和物(5mmol)で処理した。次いでこの中身を、一般的手順II(ステップB)に従って一晩還流した。この粗製アニリン(280mg)を、任意の精製を伴わずにさらなる変換について使用した。
【0135】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−(O−ベンジル)−Tyr−OHの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(以前に記載される)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ベンジル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(160mg)を得た。LC:Tγ 2.04分;MS:m/z 664.0(M+H)。
【0136】
(実施例14)
【化29】

【0137】
45mgの実施例13を、ジオキサン(1mL)における4MのHClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、塩酸塩(30mg)として2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−ベンジル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールを得た。LC:Tγ 1.97分;MS:m/z 564.0(M+H)。
【0138】
(実施例15)
【化30】

【0139】
THF(5mL)における2−フルオロ−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼンの溶液(2mmol:実施例5に記載される調製)を、室温でプロピルアミン(3mmol)で処理した。反応の完了後、この反応混合物を真空中で濃縮した。この残渣をEtOAc(10mL)に再溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液、水およびブラインで洗浄した。次いでこの有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そしてこの溶媒を真空中で除去して、生成物、2−(プロピルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ニトロベンゼン(540mg)を得、これをさらに精製せずにさらなる変換について使用した。
【0140】
上記のように得られるニトロアミン(1.0mmol)をEtOH(5mL)に溶解し、そして10% Pd/C(100mg)とともに添加した。この反応混合物を、一般的手順III(ステップC)におけるように水素化して、生成物、2−(プロピルアミノ)−4−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)アニリン(270mg)を得た。
【0141】
上記のように形成されるジアミン(0.5mmol)およびBOC−(O−ベンジル)−Tyr−OHの還元から得られるアルデヒド(0.5mmol)(以前に記載される)の混合物を、一般的手順IVに従って使用して、生成物、2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−プロピル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール(150mg)を得た。LC:Tγ 2.1分;MS:m/z 616.0(M+H)。
【0142】
(実施例16)
【化31】

【0143】
45mgの実施例15を、ジオキサン(1mL)における4M HClにおいて一晩撹拌した。次いで溶媒を真空中で除去し、そして得られる残渣をエーテルとともに粉砕し、そして撹拌した。エーテルをデカントで除き、そしてこのエーテル洗浄を2回以上繰り返した。次いでこの生成物を真空下で乾燥させて、塩酸塩(35mg)として2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−プロピル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールを得た。LC:Tγ 1.82分;MS:m/z 516.0(M+H)。
【0144】
(生物学的アッセイ)
以下のアッセイ方法は、式(I)の化合物を同定するために利用され、この化合物は、RAGEとの結合に有効であり、従ってRAGEのモジュレーター、好ましくはアンタゴニストとして有用である。この方法はまた、この日に出願された同時係属中の米国出願番号第09/799,152号(代理人名簿TTP2000−02)に記載され、そして主張される。
【0145】
(一般的アッセイ手順)
100mM 重炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.8)におけるS100b、βアミロイドおよびCML(1ウェル当たり500ng/100μL)を、NUNC Maxisorp平底96ウェルマイクロタイタープレートのウェル上にロードする。このプレートを4℃で一晩インキュベートする。このウェルを吸引し、そして37℃で2時間、1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含む50mMのイミダゾール緩衝化生理食塩水(pH7.2)(1mM CaCl/MgClを含む)(1ウェル当たり300μL)で処理する。このウェルを吸引し、そして155mMのNaClのpH7.2緩衝化生理食塩水で3回(1ウェル当たり400μL)洗浄し、そして各々の洗浄の間に10秒間浸す。
【0146】
試験化合物を、ナノピュア(nanopure)水(濃度:10〜100μM)に溶解する。DMSOを共溶媒として使用し得る。2%のDMSOにおける25μLの試験化合物溶液を、75μLのsRAGE(4.0×10−4mg/mL FAC)とともに各々のウェルに添加し、そしてサンプルを37℃で1時間インキュベートする。このウェルを155mMのNaClのpH7.2緩衝化生理食塩水で3回洗浄し、そして各々の洗浄の間に10秒間浸す。
【0147】
非放射性結合を、0.2%のウシ血清アルブミンおよび1mMのCaClを含む5mLの50mMのイミダゾール緩衝化生理食塩水(pH7.2)に以下を添加することによって行う。
【0148】
10μLのビオチン化ヤギF(ab’)2抗マウスIgG(8.0×10−4mg/mL、FAC)
10μLのアルカリホスファターゼストレプトアビジン(3×10−3mg/mLのFAC)
10μLのsRAGEに対するポリクローナル抗体(FAC 6.0×10−3mg/mL)。
【0149】
この混合物を37℃で30分間インキュベートする。100μLの複合体を各々のウェルに添加し、そしてインキュベーションを室温で1時間行う。ウェルを洗浄緩衝液で3回洗浄し、そして各々の洗浄の間に10秒間浸す。1Mのジエタノールアミン(HClでpHを9.8に調整する)における100μLの1mg/mL(pNPP)を添加する。色を室温で1〜2時間、暗所で顕色する。この反応を、10μLの停止溶液(50% エタノールにおける0.5NのNaOH)で停止し、そして吸光度を405nmにおいてマイクロプレートリーダーで分光光度計によって測定する。
【0150】
以下の式1の化合物を、上記のアッセイ方法に従って試験した。
【0151】
ELISAアッセイのIC50(μM)は、50%のシグナルが阻害されている化合物の濃度を表した。
【表2】


【表3】

【0152】
本発明は、本発明のRAGE調節化合物からなる薬学的組成物をさらに提供する。用語「薬学的組成物」は、本明細書中で使用されて、哺乳動物宿主に、例えば経口、局所、非経口、吸入スプレーまたは直腸によって、従来の無毒性キャリア、希釈剤、アジュバント、ビヒクルなどを含む単位投薬処方において投与され得る組成物を意味する。本明細書中で使用されるような用語「非経口」は、皮下注入、静脈内注入、筋肉内注入、槽内注入または注入技術によるものを含む。
【0153】
本発明の化合物を含む薬学的組成物は、例えば錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性懸濁液もしくは油性懸濁液、分散可能粉末もしくは分散可能顆粒、乳剤、ハードカプセルもしくはソフトカプセル、またはシロップもしくはエリキシルとしての経口使用に適切な形態にあり得る。経口使用について意図される組成物は、任意の公知の方法に従って調製され得、そしてこのような組成物は、薬学的に洗練されかつ口に合う製剤を提供するために、甘味剤、香味剤、着色剤および防腐剤からなる群より選択される1つ以上の因子を含み得る。錠剤は、無毒性の薬学的に受容可能な賦形剤と混合して活性成分を含み得、これは錠剤の製造に適切である。これらの賦形剤は、例えば不活性希釈剤(例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム)、顆粒化剤および崩壊剤(例えばコーンスターチまたはアルギン酸)、結合剤(例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア)および潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルク)であり得る。この錠剤はコーティングされないかもしれないか、または胃腸管における崩壊および吸収を遅延し、それによってより長い期間にわたる持続作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされ得る。例えば、時間遅延物質(例えばモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリル)が利用され得る。これらはまた、本明細書中において参考として援用される米国特許第4,356,108号、同第4,166,452号および同第4,265,874号に記載される技術によってコーティングされて、制御放出のための浸透性治療錠剤を形成し得る。
【0154】
経口使用のための処方物はまた、ハードゼラチンカプセル(ここでこの活性成分は、不活性固形希釈剤(例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン)と混合される)あるいはソフトゼラチンカプセル(ここでこの活性成分は、水または油媒体(例えばラッカセイ油、流動パラフィンもしくはオリーブ油)と混合される)として得られ得る。
【0155】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合して活性化合物を含み得る。このような賦形剤は、懸濁剤(例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアラビアゴム)であり、分散剤または湿潤剤は、天然に存在するホスファチド(例えばレシチン)、あるいはアルキレンオキシドの脂肪酸との縮合生成物(例えばポリオキシエチレンステアラート)、またはエチレンオキシドの長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、またはエチレンオキシドの脂肪酸およびヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレアート)、またはエチレンオキシドの脂肪酸および無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。この水性懸濁液はまた、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤および1つ以上の甘味剤(例えばスクロースまたはサッカリン)を含み得る。
【0156】
油性懸濁液は、活性成分を植物油(例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油またはヤシ油)あるいは鉱油(例えば流動パラフィン)に懸濁することによって処方され得る。この油性懸濁液は、濃化剤(例えばみつろう、ハードパラフィンまたはセチルアルコール)を含み得る。上記で示されるような甘味剤および香味剤は、口に合う経口製剤を提供するために添加され得る。これらの組成物は、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸)の添加によって保存され得る。
【0157】
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な分散可能粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤および1つ以上の防腐剤と混合して活性化合物を提供する。適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤は、上記ですでに述べられるものによって例示される。さらなる賦形剤(例えば甘味剤、香味剤および着色剤)がまた存在し得る。
【0158】
本発明の薬学的組成物はまた、水中油形乳剤の形態にあり得る。この油相は、植物油(例えばオリーブ油もしくはラッカセイ油)または鉱油(例えば流動パラフィン)、あるいはその混合物であり得る。適切な乳化剤は、天然に存在するゴム(例えばアラビアゴムまたはトラガカントゴム)、天然に存在するホスファチド(例えばダイズ、レシチン)、およびエステルまたは脂肪酸および無水ヘキシトール由来の部分エステル(例えばソルビタンモノオレアート)、ならびに上記の部分エステルのエチレンオキシドとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)であり得る。この乳剤はまた、甘味剤および香味剤を含み得る。
【0159】
シロップおよびエリキシルは、甘味剤(例えばグリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールまたはスクロース)とともに処方され得る。このような処方物はまた、粘滑剤、防腐剤、ならびに香味剤および着色剤を含み得る。この薬学的組成物は、滅菌注入可能な水性または油性懸濁液の形態にあり得る。この懸濁液は、上記の適切な分散剤または湿潤剤、および懸濁剤を用いて、公知の方法に従って処方され得る。この滅菌注入可能製剤はまた、無毒の非経口許容の希釈剤または溶媒における滅菌注入可能溶液または懸濁液(例えば1,3−ブタンジオールにおける溶液として)であり得る。利用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒は、水、リンガー液および等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として簡便に利用される。この目的について、任意の口当たりのよい不揮発性油が、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを用いて利用され得る。さらに、脂肪酸(例えばオレイン酸)は、注入可能物質の調製における使用を提供する。
【0160】
この組成物はまた、本発明の化合物の直腸投与についての坐剤の形態にあり得る。これらの組成物は、薬物を適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製され得、この賦形剤は、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体であり、従って直腸で溶解して薬物を放出する。このような物質としては、例えばカカオ脂およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0161】
局所使用について、本発明の化合物を含む懸濁液のクリーム、軟膏、ゼリー、溶液などが意図される。この適用の目的について、局所適用は、口内洗浄剤および含嗽剤を含むべきである。
【0162】
本発明の化合物はまた、リポソーム送達系(例えば小さな単層小胞、大きな単層小胞および多層小胞)の形態で投与され得る。リポソームは、種々のリン脂質(例えばコレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリン)から形成され得る。
【0163】
また、本発明によって本発明のプロドラッグが提供される。
【0164】
本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩(ここで塩基性基または酸性基がこの構造中に存在する)がまた、本発明の範囲内に含められる。用語「薬学的に受容可能な塩」は、本発明の化合物の無毒性塩をいい、これは一般的に遊離塩基を適切な有機酸または無機酸と反応させることによって調製されるか、あるいは酸を適切な有機塩基または無機塩基と反応させることによって調製される。代表的な塩としては、以下の塩が挙げられる。酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩化水素化物、エデト酸塩、エジシラート、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニラート、ヘキシルレゾルシナート、ヒドラバミン(Hydrabamine)、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトアート、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メタンスルホン酸塩、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、マレイン酸一カリウム、ムチン酸塩(Mucate)、ナプシラート、硝酸塩、N−メチルグルカミン、シュウ酸塩、パモエート(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、カリウム、サリチル酸塩、ナトリウム、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクラート、トシラート、トリエチオジド、トリメチルアンモニウムおよび吉草酸塩。酸性置換基(例えば−COOH)が存在する場合、投薬形態としての使用について、アンモニウム塩、モルホリニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、バリウム塩、カルシウム塩などが形成され得る。塩基性基(例えばアミノまたは塩基性のヘテロアリール遊離基(例えばピリジル))が存在する場合、酸性塩(例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、硫酸塩、トリフルオロ酢酸塩、トリクロロ酢酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩(oxlate)、マレイン酸塩、ピルビン酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、ケイ皮酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ピクリン酸塩など)が形成され得、そしてJournal
of Pharmaceutical Science、66、2(1977)、1〜19頁に列挙される薬学的に受容可能な塩に関連した酸を含む。
【0165】
薬学的に受容可能ではない他の塩は、本発明の化合物の調製において有用であり得、そしてこれらは本発明のさらなる態様を形成する。
【0166】
さらに、本発明の化合物のいくつかが、水または一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成し得る。このような溶媒和物はまた、本発明の範囲内に包含される。
【0167】
従ってさらなる実施態様において、本発明の化合物、あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、またはプロドラッグ、および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤からなる薬学的組成物が提供される。
【0168】
本発明の化合物は、1つの内因性リガンドに結合するRAGEのモジュレーター、すなわちβアミロイド−RAGE相互作用の選択的モジュレーターとして選択的に作用し、従ってアルツハイマー病および関連する痴呆の処置において特に有利である。
【0169】
さらに、本発明の化合物は、他よりむしろ2つ以上の内因性リガンドとのRAGE相互作用のモジュレーターとして作用する。このような化合物は、RAGEによって媒介される関連病理または非関連病理(すなわちアルツハイマー病および癌)の処置において有利である。
【0170】
さらに本発明の化合物は、そのリガンドのうちのどの1つにも結合するRAGEのモジュレーターとして作用し、それによって酸化ストレスの発生およびNF−κB調節遺伝子(例えばサイトカイン、IL−1およびTNF−α)の活性化が妨げられる。従って、RAGEへの生理学的リガンドの結合の拮抗は、標的される異常生理学的結果を妨げ、そして疾患の処理または処置に有用である(すなわち、AGE−RAGE相互作用は、糖尿病の合併症を導き、S100/EN−RAGE/カルグラニュリン−RAGE相互作用は、炎症疾患を導き、βアミロイド−RAGE相互作用は、アルツハイマー病を導き、そしてアンホテリン−RAGE相互作用は、癌を導く)。
【0171】
(I.RAGEおよび糖尿病の合併症)
上記のように、本発明の化合物は糖尿病の合併症の処置に有用である。最終的に終末糖化物質(AGE)の形成をもたらす高分子の非酵素的グリコシド化(glycoxidation)が、炎症部位、腎不全、高血糖の存在および全身性または局所性の酸化ストレスに関連した他の状態の存在において増強されることが示されている(Dyer,D.ら、J.Clin.Invest.、91:2463〜2469(1993);Reddy,S.ら、Biochem.、34:10872〜10878(1995);Dyer,D.ら、J.Biol.Chem.、266:11654〜11660(1991);Degenhardt,T.ら、Cell Mol.Biol.、44:1139〜1145(1998))。血管構造におけるAGEの蓄積は、限局性に発生し得るか(透析に関連したアミロイドーシスを伴う患者において見出されるAGE−βミクログロブリンから構成される関節のアミロイドにおけるように)(Miyata,T.ら、J.Clin
.Invest.、92:1243〜1252(1993);Miyata,T.ら、J.Clin.Invest.、98:1088〜1094(1996))、または広く発生し得る(糖尿病を伴う患者の血管構造および組織によって例示されるように)(Schmidt,A−M.ら、Nature Med.、1:1002〜1004(1995))。糖尿病を伴う患者における経時でのAGEの進歩的な蓄積は、内因性のクリアランス機構が、AGE沈着の部位で有効に機能することができないことを示唆する。このような蓄積されるAGEは、多くの機構によって細胞性質を変更する能力を有する。RAGEが正常組織および正常な血管構造において低レベルで発現されるが、このレセプターのリガンドが蓄積する環境においては、RAGEがアップレギュレートされるようになることが示されている(Li,J.ら、J.Biol.Chem.、272:16498〜16506(1997);Li,J.ら、J.Biol.Chem.、273:30870〜30878(1998);Tanaka,N.ら、J.Biol.Chem.、275:25781〜25790(2000))。RAGE発現は、糖尿病の血管構造における内皮細胞、平滑筋細胞および浸潤性の単核食細胞において増大される。また細胞培養における研究は、AGE−RAGE相互作用が、血管のホメオスタシスにおいて重要な細胞性質の変化を引き起こしたことを実証した。
【0172】
(II.RAGEおよびアミロイドーシスにおける細胞機能不全)
また上記のように、本発明の化合物は、アミロイドーシスおよびアルツハイマー病の処置において有用である。RAGEは、サブユニットの構成に関係なくβシートの原線維物質(アミロイド−βペプチド、Aβ、アミリン、血清アミロイドA、プリオン由来ペプチド)を結合する細胞表面レセプターのようである(Yan,S−D.ら、Nature、382:685〜691(1996);Yan,S−D.ら、Nat.Med.、6:643〜651(2000))。アミロイドの沈着は、RAGEの発現の増強をもたらすことが示されている。例えば、アルツハイマー病(AD)を伴う患者の脳において、RAGE発現は、ニューロンおよびグリアにおいて増大する(Yan,S−D.ら、Nature 382:685〜691(1996))。RAGEとのAβ相互作用の結果は、ニューロン対小グリア細胞に対して全く異なるようである。小グリア細胞は、Aβ−RAGE相互作用の結果として活性化されるようになるが、一方運動性の増大およびサイトカインの発現によって反映されるように、早期のRAGE媒介性のニューロンの活性化は、より遅い時点で細胞傷害性に取って代わる。Aβの細胞相互作用におけるRAGEについての役割のさらなる証拠は、このレセプターがブロックされた場合のAβ誘導性の大脳血管収縮の阻害および脳実質への血液脳関門を横切るペプチドの移動に関係する(Kumar,S.ら、Neurosci.Program、p141〜#275.19(2000))。RAGE−アミロイド相互作用の阻害は、細胞性RAGEの発現および細胞ストレスマーカー(ならびにNF−κB活性化)を減少させ、そしてアミロイド沈着を減少させることが示されており(Yan,S−D.ら、Nat.Med.、6:643〜651(2000))、これはアミロイドが豊富な環境(早期の段階であっても)での細胞性質の混乱ならびにアミロイド蓄積での細胞性質の混乱の両方におけるRAGE−アミロイド相互作用についての役割を示唆する。
【0173】
(III.RAGEおよび免疫/炎症応答の伝播)
上記のように、本発明の化合物は炎症の処置に有用である。例えば、S100/カルグラニュリンは、結合ペプチドによって連結される2つのEFハンド領域によって特徴付けられる密に関連したカルシウム結合ポリペプチドのファミリーからなることが示されている(Schafer,B.ら、TIBS、21:134〜140(1996);Zimmer,D.ら、Brain Res.Bull.、37:417〜429(1995);Rammes,A.ら、J.Biol.Chem.、272:9496〜9502(1997);Lugering,N.ら、Eur.J.Clin.Invest.、25:659〜664(1995))。S100/カルグラニュリンはシグナルペプチドを欠失するが、嚢胞性線維症および慢性関節リウマチにおけるように、S100/カルグラニュリンは、特に慢性の免疫/炎症応答部位で細胞外空間へのアクセスを獲得することが長く公知であった。RAGEは、多くのメンバーのS100/カルグラニュリンファミリーに対するレセプターであり、このファミリーは、細胞(例えばリンパ球および単核食細胞)に対するその炎症性(proinflammatory)効果を媒介する。また、遅延型過敏症応答、IL−10ヌルマウスにおける大腸炎、コラーゲン誘導性関節炎および実験的自己免疫脳炎モデルに対する研究は、RAGE−リガンド相互作用(おそらくS100/カルグラニュリンとの相互作用)が、炎症カスケードにおいて隣接した役割を有することを示唆する。
【0174】
(IV.RAGEおよびアンホテリン)
上記のように、本発明の化合物は、腫瘍および腫瘍転移の処置に有用である。例えばアンホテリンは、高速移動群Iの非ヒストン染色体DNA結合タンパク質であり(Rauvala,H.ら、J.Biol.Chem.、262:16625〜16635(1987);Parkikinen,J.ら、J.Biol.Chem.268:19726〜19738(1993))、これはRAGEと相互作用することが示されている。アンホテリンが、神経突起成長を促進し、ならびに線維素溶解系におけるプロテアーゼ複合体の集合のための表面として役立つことが示されている(また細胞移動度に寄与することが公知である)。さらに、RAGEをブロックする局所的な腫瘍成長阻害効果が、原発性腫瘍モデル(C6グリオーマ)、ルイス肺転移モデル(Taguchi,A.ら、Nature 405:354〜360(2000))、およびv−Ha−ras導入遺伝子を発現するマウスにおいて自発的に生じる乳頭腫(Leder,A.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.、87:9178〜9182(1990))において観察されている。
【0175】
アンホテリンは、高速移動群Iの非ヒストン染色体DNA結合タンパク質である(Rauvala,H.およびR.Pihlaskari.1987.Isolation and some characteristics of an adhesive factor of brain that enhances neurite outgrowth in central neurons. J.Biol.Chem.262:16625〜16635. Parkikinen,J.、E.Raulo、J.Merenmies、R.Nolo、E.Kajander、M.BaumannおよびH.Rauvala.1993.Amphoterin,the 30 kDa protein in a family of HIMG1−type polypeptides. J.Biol.Chem.268:19726〜19738)。
【0176】
(V.RAGEおよび勃起機能不全)
海綿状の(cavernosal)小動脈および洞における平滑筋細胞の弛緩は、陰茎への血流の増大をもたらし、これは海綿体圧力を上昇させて、陰茎の勃起を最高潮に至らせる。一酸化窒素は、海綿状の平滑筋弛緩の原理的な刺激因子と考えられる(Wingard CJ、Clinton W、Branam H、Stopper VS、Lewis RW、Mills TM、Chitaley K. Antagonism of Rho−kinase stimulates rat penile erection via a nitric oxide−independent pathway. Nature Medicine 2001 Jan;7(1):119〜122を参照のこと)。RAGE活性化は、NADHオキシダーゼ様酵素を介してオキシダントを産生し(Yan,S−D.、Schmidt A−M.、Anderson,G.、Zhang,J.、Brett,J.、Zou,Y−S.、Pinsky,D.およびStern,D. Enhanced cellular oxidant stress by the interaction of advanced glycation endproducts with their receptors/binding proteins. J.Biol.Chem.269:9889〜9887、1994を参照のこと)、従って一酸化窒素の循環を抑制する。場合によってはAGEの細胞内産生を減少させることによるRAGEシグナリング経路の活性化の阻害によって、オキシダントの発生が弱められる。RAGE遮断薬は、RAGEへのリガンドのアクセスをブロックすることによって、陰茎の勃起を促進および容易にし得る。
【0177】
このカルシウム感作性のRhoキナーゼ経路は、陰茎の弛緩を維持するために、海綿状の血管収縮において相乗作用的役割を果たし得る。Rhoキナーゼの拮抗作用は、海綿体圧力の増大をもたらし、これは一酸化窒素とは無関係に勃起性応答を開始する(Wingardら)。RAGEによって活性化されるシグナリング機構のうちの1つは、Rhoキナーゼファミリー(例えばcdc42およびrac)を伴う(Huttunen HJ、Fages C、Rauvala H. Receptor for advanced glycation end products(RAGE)−mediated neurite outgrowth and activation of NF−kappaB require the cytoplasmic domain of the receptor but different downstream signaling pathway. J.Biol Chem 1999 Jul 9;274(28):19919〜24を参照のこと)。従って、RAGEシグナリング経路の抑制を介したRhoキナーゼの活性化の阻害は、一酸化窒素とは無関係に陰茎の勃起を増強および刺激する。
【0178】
従ってさらなる態様において、本発明は、RAGEの生理学的リガンドとの相互作用の阻害のための方法を提供する。この態様の好ましい実施態様において、本発明は、急性炎症および慢性炎症、血管透過性、腎障害、アテローム性動脈硬化症、網膜症、アルツハイマー病、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および/または腫瘍転移からなる群より選択される疾患状態の処置のための方法を提供し、これはこの処置を必要とする被験体に本発明の化合物を好ましくは薬理学的に有効な量で、より好ましくは治療有効量で投与するステップからなる。好ましい実施態様において、少なくとも1つの式(I)の化合物が、単独または1つ以上の公知の治療因子と組み合わせてのいずれかで利用される。さらに好ましい実施態様において、本発明は、RAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置(処置は、この特定の障害についての完全な治癒またはこの障害の発生の予防のために、この障害から生じる1つ以上の症状の緩和からなる)の方法を提供し、この方法は、これを必要とするヒトに治療有効量の本発明の化合物、好ましくは式(I)の化合物を投与するステップからなる。
【0179】
この方法において、有効量を構成するものに影響を及ぼす因子は、被験体の寸法および体重、治療因子の生分解性、治療因子の活性、ならびにそのバイオアベイラビリティーに依存する。本明細書中で使用される場合、句「それを必要とする被験体」は、哺乳動物被験体、好ましくはヒトを含み、このヒトは、1つ以上の前述の疾患または疾患状態に罹患するか、あるいはこのような疾患または疾患状態の危険性にあるかのいずれかである。従って、本発明の治療方法の文脈において、この方法はまた、哺乳動物被験体を予防的に、すなわちこのような疾患または疾患状態の診断の開始前に処置するための方法から構成される。
【0180】
本発明のさらなる態様において、本発明のRAGEモジュレーターは、アジュバントの治療処置または他の公知の治療因子との組み合わせ治療処置において利用される。
【0181】
本明細書中で使用される場合、用語「処置」は、患者が患っている所定の障害についての処置の完全なスペクトルをいい、これはこの特定の障害についての完全な治癒またはこの障害の発生の予防のために、この障害から生じるあるすべての症状のうちの大多数の緩和を含む。
【0182】
以下は、本発明のRAGEモジュレーターと組み合わせて利用され得るアジュバントおよびさらなる治療因子の非包括的な一覧表である:
(抗癌因子の薬理学的分類):
1.アルキル化剤:シクロホスファミド、ニトロソ尿素類、カルボプラチン、シスプラチン、プロカルバジン
2.抗生物質:ブレオマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン
3.代謝拮抗物質:メトトレキサート、シタラビン、フルオロウラシル
4.植物アルカロイド:ビンブラスチン、ビンクリスチン、エトポシド、パクリタキセル
5.ホルモン:タモキシフェン、酢酸オクトレオチド、フィナステリド、フルタミド
6.生物的反応修飾物質:インターフェロン、インターロイキン
(慢性関節リウマチ(炎症)についての処置の薬理学的分類)
1.鎮痛薬:アスピリン
2.NSAID(非ステロイド抗炎症薬):イブプロフェン、ナプロキセン、ジクロフェナク
3.DMARD(疾患修飾性抗リウマチ薬):メトトレキサート、金製剤、ヒドロキシクロロキン、スルファサラジン
4.生物的反応修飾物質、DMARD:エタネルセプト(Etanercept)、インフリキシマブ、グルココルチコイド
(真性糖尿病についての処置の薬理学的分類)
1.スルホニル尿素:トルブタミド、トラザミド、グリブリド、グリピジド
2.ビグアニド:メトホルミン
3.多種多様の経口因子:アカルボース、トログリタゾン
4.インスリン
(アルツハイマー病についての処置の薬理学的分類)
1.コリンエステラーゼ阻害薬:タクリン、ドネペジル
2.抗精神病薬:ハロペリドール、チオリダジン
3.抗うつ薬:デシプラミン、フルオキセチン、トラゾドン、パロキセチン
4.抗鎮痙薬:カルバマゼピン、バルプロ酸
さらなる好ましい実施態様において、本発明は、RAGE媒介性疾患を処置する方法を提供し、この方法は、その処置を必要とする被験体に、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択される治療因子と組み合わせて治療有効量の式(I)の化合物を投与するステップからなる。さらなる好ましい実施態様において、本発明は上記のような本発明の薬学的組成物を提供し、この方法は、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択される1つ以上の治療因子をさらに含んでなる。
【0183】
概して、本発明の化合物(好ましくは式(I))は、1日につき処置されている被験体の体重1kg当たり約0.01mg〜500mgの投薬レベルで投与され、好ましい投薬範囲は、1日につき体重1kg当たり0.01mgと200mgとの間であり、最も好ましくは、1日につき体重1kg当たり0.1mg〜100mgである。単回投薬を生じるためにキャリア物質と組み合わせられ得る活性成分の量は、処置される宿主、および投与の特定の様式に依存して変化する。例えば、ヒトへの経口投与について意図される処方物は、適切かつ簡便な量のキャリア物質とともに1mg〜2グラムの式(I)の化合物を含み得、このキャリア物質は、組成物合計の約5パーセント〜95パーセントに変化し得る。投薬単体形態は、一般的に約5mg〜約500mgの間の活性成分を含む。この投薬は、処置されている被験体の特定の臨床状態に基づいて、臨床家によって個別化されなければならない。従って、任意の特定の患者についての特定の投薬レベルは、利用される特定の化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、排出速度、薬物の組み合わせおよび治療を受けている特定の疾患の重篤度を含む種々の因子に依存することが理解される。
【0184】
本発明は、その特定の好ましい実施態様に関して記載および例示してきたが、当業者は、種々の変化、改変および置換が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくここにおいてなされ得ることを理解する。例えば、本明細書中に示されるように、好ましい投薬ではなく有効な投薬が、RAGE媒介性疾患について処置されている哺乳動物の反応性における変化の結果として適用可能であり得る。同様に、観察される特定の薬理学的応答が、選択される特定の活性な化合物、または一緒にいる薬学的キャリアが存在するか否か、ならびに利用される処方の型および投与の様式に従って、そしてこれらに依存して変化し得、そしてこの結果におけるこのような期待される変化または差異が、本発明の目的および実施に従って意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)で表された化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【化1】


(式中、mは0〜3の整数であり、
nは0〜3の整数であり、
はアリールからなり、
は以下のいずれかからなり、
a)式−N(R10)、−NHC(O)Rまたは−NHC(O)ORの化合基、
b)式−ORの化合基、
c)式−SR、−SOR、−SO、−SONHRまたは−SON(R10)の化合基、
(ここでRおよびR10は独立して以下のいずれかからなり、
1)−H;
2)−アリール;
3)以下のいずれかからなる化合基;
a)−C1〜6アルキル;
c)−C1〜6アルキルアリール;
d)
【化2】


e)−アリール;
f)−C1〜6アルキル;あるいは
g)−C1〜6アルキルアリール;
およびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)H;
b)−アリール;
c)−C1〜6アルキル;
d)−C1〜6アルキルアリール;または
e)−C1〜6アルコキシアリール;
、R、RおよびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)−H;
b)−C1〜6アルキル;
c)−アリール;
d)−C1〜6アルキルアリール;
e)−C(O)−O−C1〜6アルキル;
f)−C(O)−O−C1〜6アルキルアリール;
g)−C(O)−NH−C1〜6アルキル;
h)−C(O)−NH−C1〜6アルキルアリール;
i)−SO−C1〜6アルキル;
j)−SO−C1〜6アルキルアリール;
k)−SO−アリール;
l)−SO−NH−C1〜6アルキル;
m)−SO−NH−C1〜6アルキルアリール;
n)−C(O)−C1〜6アルキル;
o)−C(O)−C1〜6アルキルアリール;
p)−Y−C1〜6アルキル;
q)−Y−アリール;
r)−Y−C1〜6アルキルアリール;
s)−Y−C1〜6アルキレン−NR1314;または
t)−Y−C1〜6アルキレン−W−R15;あるいは
(ここでYおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化3】


のいずれかからなり、
16およびR17は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、R15は独立してアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル;
11、R12、R13およびR14は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、
13およびR14は統合されて、R13およびR14が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、そして/またはR11およびR12は独立して統合されて、R11およびR12が結合される原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでoおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化4】


のいずれかからなり、
ここでR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19における該アリール基および/またはアルキル基は必要に応じて1〜4回置換基で置換され得、ここで該置換基または置換される用語は、以下のいずれかからなる化合基をいい、
a)−H;
b)−Z−C1〜6アルキル;
−Z−アリール;
−Z−C1〜6アルキルアリール;
−Z−C1〜6−アルキル−NR2021;および
−Z−C1〜6−アルキル−W−R22
(ここでZおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化5】


のいずれかからなり、
ここでR20およびR21は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、そして、
22、R23およびR24は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなる。)
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル、そして、
20およびR21は統合されて、R20およびR21が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでqおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化6】


のいずれかからなり、
25、R26およびR27は独立して水素、アリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
【請求項2】
以下の式(II)によって表されるように、mが0〜3の整数であることと、nが0であることと、Rが水素であることとを特徴とする請求項1に記載の化合物あるいはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物またはプロドラッグ。
【化7】


(式中、Rはアリール基からなり、
は式−N(R10)、−NHC(O)Rまたは−NHC(O)ORの化合基からなり、
(ここでRおよびR10は独立して以下のいずれかからなり、
1)−H;
2)−アリール;または
3)−C1〜6アルキルもしくは−C1〜6アルキルアリール
のいずれかからなる化合基である。)
は以下のいずれかからなり、
a)H;
b)−アリール;
c)−C1〜6アルキル;
d)−C1〜6アルキルアリール;または
e)−C1〜6アルコキシアリール;
、R、RおよびRは独立して以下のいずれかからなり、
a)−H;
b)−C1〜6アルキル;
c)−アリール;
d)−C1〜6アルキルアリール;
e)−C(O)−O−C1〜6アルキル;
f)−C(O)−O−C1〜6アルキルアリール;
g)−C(O)−NH−C1〜6アルキル;
h)−C(O)−NH−C1〜6アルキルアリール;
i)−SO−C1〜6アルキル;
j)−SO−C1〜6アルキルアリール;
k)−SO−アリール;
l)−SO−NH−C1〜6アルキル;
m)−SO−NH−C1〜6アルキルアリール;
n)−C(O)−C1〜6アルキル;
o)−C(O)−C1〜6アルキルアリール;
p)−Y−C1〜6アルキル;
q)−Y−アリール;
r)−Y−C1〜6アルキルアリール;
s)−Y−C1〜6アルキレン−NR1314;または
t)−Y−C1〜6アルキレン−W−R15
(ここでYおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化8】


のいずれかからなり、
16およびR17は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、
15はアリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールからなる。)
u)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル、
13およびR14は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールからなり、
13およびR14は統合されて、R13およびR14が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでoおよびpは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化9】


のいずれかからなり、
そしてここでR、R、R、R、R、R、R10、R13、R14、R15、R16、R17、R18およびR19における該アリール基および/またはアルキル基は必要に応じて1〜4回置換基で置換され得、ここで該置換基または置換される用語は、以下のいずれかからなる化合基をいい、
a)−H;
b)−Z−C1〜6アルキル;
−Z−アリール;
−Z−C1〜6アルキルアリール;
−Z−C1〜6−アルキル−NR2021;および
−Z−C1〜6−アルキル−W−R22
(ここでZおよびWは独立して−CH−、−O−、−N(H)、−S−、SO−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−NHSONH−、−O−CO−、
【化10】


のいずれかからなり、
ここでR20およびR21は独立して水素、アリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなり、そして、
22、R23およびR24は独立してアリール、C〜Cアルキル、C〜Cアルキルアリール、C〜CアルコキシまたはC〜Cアルコキシアリールのいずれかからなる。)
c)ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、カルバモイルまたはカルボキシル、そして、
20およびR21は統合されて、R20およびR21が結合される窒素原子に結合した式−(CH−X−(CH−を有する環を形成し得、ここでqおよびrは独立して1、2、3または4であり、Xは直接結合、−CH−、−O−、−S−、−S(O)−、−C(O)−、−CON(H)−、−NHC(O)−、−NHCON(H)−、−NHSO−、−SON(H)−、−C(O)−O−、−O−C(O)−、−NHSONH−、
【化11】


のいずれかからなり、
25、R26およびR27は独立して水素、アリール、C〜CアルキルまたはC〜Cアルキルアリールのいずれかからなる。)
【請求項3】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾール三塩酸塩からなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−エチル]−3−ブチル−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−ブチル−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−tert−ブトキシカルボニルアミノ−1−エチル]−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−6−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物が2−[2−(3−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−エトキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−(4−クロロ)フェネトキシ(phenethoxy))フェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ブチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−(3−ジエチルアミノ−1−プロピル)−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−エチル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−(3−ジエチルアミノ−1−プロピル)−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−ベンジル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−ベンジル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−1−エチル]−3−プロピル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
前記化合物が2−[(1R)−2−(4−ベンジルオキシフェニル)−1−アミノ−1−エチル]−3−プロピル−5−(3−ジエチルアミノ−1−プロポキシ)ベンゾイミダゾールからなることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
請求項1に記載の式(I)の化合物、および1つ以上の薬学的に受容可能なキャリア、賦形剤または希釈剤からなる薬学的組成物。
【請求項20】
経口投薬単体または非経口投薬単体の形態であることを特徴とする請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記化合物が、1日につき体重1kg当たり約0.01mg〜500mgの範囲の用量として投与されることを特徴とする請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記化合物が、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜200mgの範囲の用量として投与されることを特徴とする請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記化合物が、1日につき体重1kg当たり約0.1mg〜100mgの範囲の用量として投与されることを特徴とする請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択される1つ以上の治療因子をさらに含んでなることを特徴とする請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
RAGEのその生理学的リガンドとの相互作用の阻害のための方法であって、この阻害を必要とする被験体に少なくとも1つの請求項1に記載の式(I)の化合物を投与するステップからなる方法。
【請求項26】
前記リガンドが、終末糖化物質(advanced glycated end products)(AGEs)、S100/カルグラニュリン(calgranulin)/EN−RAGE、βアミロイドおよびアンホテリン(amphoterin)から選択されることを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項27】
急性炎症および慢性炎症、糖尿病の症状、血管透過性、腎障害、アテローム性動脈硬化症、網膜症、アルツハイマー病、勃起機能不全ならびに腫瘍浸潤および/または腫瘍転移からなる群より選択される疾患状態を処置するための方法であって、この処置を必要とする被験体に治療有効量の少なくとも1つの請求項1に記載の式(I)の化合物を投与するステップからなる方法。
【請求項28】
RAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置を必要とするヒトに治療有効量の請求項1に記載の式(I)の化合物を投与するステップからなるRAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置の方法であって、治療有効量がRAGEレセプターに対するリガンドの結合を少なくとも部分的に阻害するのに十分な化合物からなる方法。
【請求項29】
RAGE媒介性ヒト疾患の予防および/または処置を必要とする被験体に少なくとも1つのアジュバントおよび/またはさらなる治療因子を投与するステップをさらに含んでなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記治療因子が、アルキル化剤、代謝拮抗物質、植物アルカロイド、抗生物質、ホルモン、生物的反応修飾物質、鎮痛薬、NSAID、DMARD、グルココルチコイド、スルホニル尿素、ビグアニド、インスリン、コリンエステラーゼ阻害薬、抗精神病薬、抗うつ薬および抗鎮痙薬からなる群より選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、急性炎症および/または慢性炎症からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、異常な血管透過性からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、腎障害からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、アテローム性動脈硬化症からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、網膜症からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、アルツハイマー病からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、勃起機能不全からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記RAGE媒介性ヒト疾患が、腫瘍浸潤および/または腫瘍転移からなることを特徴とする請求項28に記載の方法。

【公開番号】特開2010−43097(P2010−43097A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−221004(P2009−221004)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【分割の表示】特願2002−569141(P2002−569141)の分割
【原出願日】平成14年3月5日(2002.3.5)
【出願人】(502031821)トランス テック ファーマ,インコーポレイテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】TRANSTECH PHARMA,INC.
【住所又は居所原語表記】4170 Mendenhall Oaks Parkway,Suite 110 High Point,NC 27265 U.S.A.
【Fターム(参考)】