説明

治療学的に有効なイミダゾピリジンの製造のための新規の中間体

本発明は、式(I)の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩に関し、その本発明による化合物は治療学的に有効な化合物の製造のための有用な中間体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、有効化合物の製造のための有用な中間体として製薬工業において使用される新規化合物に関する。
【0002】
従来技術
国際特許出願WO98/42707号、WO00/17200号、WO00/26217号、WO00/63211号、WO01/72756号、WO01/72754号、WO01/72757号、WO02/34749号、WO03/016310号、WO03/014120号及びWO03/014123号は、非常に特化された置換型を有し、胃疾患及び腸疾患の治療のために適しているべきである三環式のイミダゾピリジン誘導体並びにそれらの一定の製造方法を開示している。
【0003】
発明の開示
本発明は、前記の三環式のイミダゾピリジン誘導体の新規の製造方法及び該方法で使用される有用な中間体に関する。
【0004】
このように本発明は、第一の態様では、式1
【0005】
【化1】

の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩に関する。
【0006】
本発明による化合物は、例えばこれらが結晶形で単離される場合に種々の溶剤量を有してよいことは当業者には知られている。従ってまた本発明は、式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の全ての溶媒和物、特に全ての水和物を含む。
【0007】
本発明による式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩は、式2
【0008】
【化2】

の化合物から、反応式1に示されるように、式3の1,5−ナフタレンジスルホン酸と式4の2−メトキシエタノールとの反応によって製造できる。式2のジオールのシス/トランスのジオール混合物又は式2のジオールのシス化合物又はトランス化合物のいずれかの反応により、主に、式1の化合物の所望の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の沈殿が生ずる。酸性反応条件下に、式2のジオール及び式1の化合物の7位におけるキラル中心はエピマー化し、そしてシス化合物とトランス化合物との平衡が確立される。式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩は、これらの反応混合物から沈殿する唯一の化合物である。
【0009】
反応式1:
【0010】
【化3】

【0011】
1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物は、1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物との種々のモル比で、本発明による酸付加塩を形成する。
【0012】
本発明による有利な酸付加塩は、1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物とのモル比が1:1〜2:1である酸付加塩である。
【0013】
本発明による特に有利な酸付加塩は、1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物とのモル比が1:1〜1.2:1である酸付加塩である。
【0014】
反応式1に示される反応は、溶剤を使用しなくても、又は適当な溶剤又は適当な溶剤混合物中で実施される。該反応は、有利には適当な溶剤中で実施される。
【0015】
該反応は、有利には水の不在下に実施される。
【0016】
反応式1に示される反応のために有利な溶剤は、ケトン、例えばアセトン、メチルエチルケトン又はイソブチルメチルケトン又はエーテル、例えばジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチルt−ブチルエーテルである。
【0017】
反応式1に示される反応のために特に有利な溶剤はイソブチルメチルケトンである。
【0018】
更に本発明は、国際特許出願WO00/17200号から公知の式1
【0019】
【化4】

の化合物及びそれらの塩の製造のための、式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の使用に関する。
【0020】
この点に関して、式1の化合物の適当な塩は、殊に全ての酸付加塩である。薬学で慣用に使用される無機酸及び有機酸の薬理学的に認容性の塩を特に挙げることができる。適当な塩は、例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、酢酸、クエン酸、D−グルコン酸、安息香酸、2−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、酪酸、スルホサリチル酸、マレイン酸、ラウリン酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、シュウ酸、酒石酸、エンボン酸、ステアリン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸又は3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸のような酸との水溶性及び水不溶性の酸付加塩であり、その際、前記の酸は塩調製において(一塩基酸又は多塩基酸のどちらが考慮されるかに依存して、そしてどの塩が望ましいかに依存して)等モル量比又はそれとは異なる比で使用される。
【0021】
式1の化合物のこれらの塩は、特許出願WO00/17200号に挙げられており、そしてこれらは反応式1に示される本発明による方法に不適である。
【0022】
式1の化合物の製造のための、本発明による式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の使用方法は、反応式2に示されるように、式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩と塩基とを反応させて、後処理することで行われる。
【0023】
反応式2:
【0024】
【化5】

【0025】
本発明による式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の製造のための式2
【0026】
【化6】

の出発ジオール化合物は公知である(WO00/17200号を参照)。
【0027】
特許出願WO00/17200号において、式2a
【0028】
【化7】

のトランスジオール化合物は、式2aの化合物と2−メトキシエタノール及び硫酸との反応による式1の化合物の製造のために、使用される。硫酸を用いたWO00/17200号に記載される前記反応により、不所望な式1bの化合物は、所望の式1の化合物と同量かそれより多量にさえ形成される。
【0029】
【化8】

【0030】
WO00/17200号に記載される式2の化合物のエーテル化反応における不所望な式1bの化合物の形成の欠点は本発明により克服できる。式2の化合物と2−メトキシエタノールとの反応において硫酸の代わりに1,5−ナフタレンジスルホン酸を使用することにより、高収率で、式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩が主に形成され、この塩は引き続いての工程で式1の化合物に変換できる。
【0031】
以下の実施例は本発明を更に説明するものであり、それを制限するものではない。省略形のminは分を表し、hは時間を表し、かつm.p.は融点を表す。
【0032】
実施例
[(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロ−イミダゾ−[1,2−h][1,7]−ナフチリジンの1,5−ナフタレンジスルホン酸塩
18.8g(52.2ミリモル)の1,5−ナフタレンジスルホン酸四水和物を100mlの2−メトキシエタノール中に溶解させた。70mlの2−メトキシエタノールを真空中(50ミリバール)で留去して、結晶水を除去した。5.00g(16.2ミリモル)の(7R,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2−h][1,7]−ナフチリジンと(7S,8R,9R)−7,8−ジヒドロキシ−2,3−ジメチル−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2−h][1,7]−ナフチリジンを20mlの2−メトキシエタノール中に溶かした溶液を添加した。該混合物を60mlのイソブチルメチルケトンで希釈し、次いで室温で30時間撹拌した。得られた懸濁液を0℃に冷却し、そしてその温度で2時間撹拌し、次いで濾過した。残留物を50mlのイソブチルメチルケトンで洗浄し、次いで真空中で乾燥させることで、8.9g(13.6ミリモル、収率:84%)の表題化合物が得られた。
【0033】
融点:147℃(半融)、180℃(分解)
H−NMR(200MHz,DMSO):δ=2,40(s,3H);2,43(s,3H);3,27(s,3H);3,46(m,2H);3,86(m,2H);3,96(m,1H);4,53(d,1H);4,66(d,1H);7,35−7,49(m,8H);7,90−7,98(m,3H);8,86(d,2H)
【0034】
式1の化合物の製造のための、本発明による式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸塩の使用
[(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2−h][1,7]−ナフチリジン]の1,5−ナフタレンジスルホン酸塩8.9g(13.6ミリモル)を水酸化ナトリウム(40.4ミリモル)の希釈された水溶液に添加した。次いで遊離塩基をジクロロメタンで抽出し、そして有機相を真空中で濃縮した。残留物を酢酸エチルで磨りつぶすことで、3.4g(9.3ミリモル、収率:68%)の[(7R,8R,9R)−2,3−ジメチル−8−ヒドロキシ−7−(2−メトキシエトキシ)−9−フェニル−7,8,9,10−テトラヒドロ−イミダゾ[1,2−h][1,7]ナフチリジン]が得られた。
【0035】
商業的利用
式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩は、国際特許出願WO00/17200号に開示される、式1の有効化合物及びそれらの塩の製造のための有用な中間体である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩。
【請求項2】
1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物とのモル比が1:1〜2:1である、請求項1記載の式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩。
【請求項3】
1,5−ナフタレンジスルホン酸と式1の化合物とのモル比が1:1〜1.2:1である、請求項1記載の式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩。
【請求項4】
式1の化合物及びそれらの塩の製造のための、請求項1記載の式1の化合物の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の使用。
【請求項5】
請求項1記載の1,5−ナフタレンジスルホン酸付加塩の製造方法において、式2
【化2】

の化合物と式3の1,5−ナフタレンジスルホン酸及び式4のアルコール
【化3】

とを反応させ、次いで後処理することを含む方法。
【請求項6】
適当な溶剤中で実施する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
溶剤として、アセトン、メチルエチルケトン又はイソブチルメチルケトンから選択されるケトン又はジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル又はメチルt−ブチルエーテルから選択されるエーテル中で実施する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
溶剤として、イソブチルメチルケトン中で実施する、請求項5記載の方法。

【公表番号】特表2007−502852(P2007−502852A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−530186(P2006−530186)
【出願日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050780
【国際公開番号】WO2004/101566
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(390019574)アルタナ ファルマ アクチエンゲゼルシャフト (69)
【氏名又は名称原語表記】ALTANA Pharma AG
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2、 D−78467 Konstanz、 Germany
【Fターム(参考)】