説明

治療用の感熱性ポリマーおよび調製方法

マイクロエマルジョンから感熱性ポリマーを調製する方法を提供する。そのマイクロエマルジョンは感熱性ポリマーを形成できるモノマーと重合性界面活性剤を含む。マイクロエマルジョンには、作製されたポリマーの特性を変えるために追加のコモノマーを含めることができる。得られる感熱性ポリマーはナノポーラスであってよい。本発明によるポリマーは、創傷被覆としての使用、または細胞の移植部位への送達のための使用を含む医療施用での使用に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、一般に創傷被覆および細胞移植などの医療施用で使用するのに適したナノポーラスポリマーを含むポリマー材料およびその調製方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
[0002]創傷治療は、やけどの治療、外科処置後の癒着の防止および整容外科においてそれを重視する多くの研究者にとって関心の高い分野である。創傷被覆を使用する目的は、過剰の体液損失および細菌感染を阻止し、かつ組織再生の加速を促進することによって創傷治療を加速することである(T.Stephen、Wound management and dressings、The Pharmaceutical Press、London、(1990年)、1)。
【0003】
[0003]現在、利用できる被覆材料は簡単に擦り切れるガーゼでできていることが多い。ガーゼの繊維が治癒している創傷部の新生組織に取り込まれ、続く被覆材の取り外しを著しく困難で痛みの伴うものにしがちである。これは、増殖し被覆材料上に移動している可能性のある線維芽細胞または上皮細胞を引き剥がし、それによって創傷に第2の損傷を与えることによって正常な治癒過程を損なう可能性もある(Cochrane等、Biomaterials(1999年)20:1237)。被覆材をいつも変えなければならないのはこういう場合である。
【発明の概要】
【0004】
[0004]一態様では、本発明は、感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンを重合するステップを含む感熱性ポリマーの調製方法を提供する。
【0005】
[0005]他の態様では、本発明は、創傷に感熱性ポリマーを施用する(apply)ステップと、創傷からそのポリマーを取り外す直前に感熱性ポリマーの温度を低下させてポリマーの取り外しを容易にするステップと、創傷からそのポリマーを取り外すステップとを含む創傷に被覆を施し被覆を解く方法を提供する。
【0006】
[0006]さらに他の態様では、本発明は、感熱性ナノポーラスポリマー中に治療薬剤を混和するステップと、感熱性ナノポーラスポリマーを創傷に施用するステップとを含む治療薬剤を創傷に送達する方法を提供する。
【0007】
[0007]他の態様では、本発明は、感熱性ナノポーラスポリマー上で細胞を培養するステップと、その細胞を含むポリマーを移植部位に配置するステップとを含む移植部位に細胞を送達する方法を提供する。
【0008】
[0008]さらに他の態様では、本発明はナノポーラスである感熱性ポリマーを提供する。本発明は、本発明の方法の様々な実施形態に従って調製した感熱性ナノポーラスポリマーも提供する。本発明は、感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンから形成した感熱性ナノポーラスポリマーをさらに提供する。
【0009】
[0009]本発明は、マイクロエマルジョンから感熱性ポリマーを調製するための方法を提供する。このポリマーは創傷の被覆および細胞の移植部位への送達などの医療用途に有用である。
【0010】
[0010]したがって、本発明は、本発明の様々な実施形態による感熱性ポリマーの創傷被覆としての使用、ならびに創傷への治療薬剤の送達および移植部位への細胞の送達にも関する。
【0011】
[0011]ポリマーは、感熱性ポリマーを形成できるモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンを重合することによって形成させる。
【0012】
[0012]モノマーなどを混ぜ込んだマイクロエマルジョンからポリマーを形成させることによって、ポリマーは、医療用途の関連でそのポリマーを使用した場合に利点をもたらす感熱膨潤性の特徴を備える。例えば、ポリマーを被覆材として創傷に施用して細菌感染のリスクを最小にすることができる。周囲温度を調節することによってポリマーの親水性が変化し、創傷からのポリマーの取り外しが容易になり、それによって創傷部位での治癒過程の途絶が少なくなる。
【0013】
[0013]ポリマーをナノポーラスにし、通気を可能にして断熱をもたらすことができる。当業者に周知のように、ポリマーは透明にもすることができ、時期を早めて被覆材を取り外す必要なく創傷の観察が可能になる。さらに、本発明のポリマーは、一般に微生物が浸透できず、それによって創傷の感染のリスクを最小にする助けとなる保護壁を提供する。
【0014】
[0014]ポリマーの気孔は、ポリマーを薬物、抗生物質、細胞因子、核酸またはペプチドなどの治療薬剤を創傷に送達するのに適したものにする。ポリマーに治療薬剤を混和すると、ポリマーを創傷に一旦施用すれば、治療薬剤を持続放出させることができる。
【0015】
[0015]このポリマーは、培養した細胞または組織の創傷または移植部位への送達のための媒体としても使用することができる。
【0016】
[0016]添付の図と合わせて本発明の具体的な実施形態の形態説明を精査すれば、本発明の他の態様と特徴が当業者に明らかとなろう。
【詳細な説明】
【0017】
[0027]理想的には、創傷被覆は柔軟性、気体浸透性があり、丈夫であり、かつ水分損失を制御する能力を有していなければならない。創傷の迅速な閉鎖をもたらして敗血症および開いた創傷からの過剰な体液損失を防止するものでなければならない。それは、創傷によく付着し、肉芽組織または新規の上皮組織に損傷をもたらすことなく、施用されかつ取り外され易くなければならない。好ましくは、時期を早めて被覆材を取り除く(創傷治療過程を中断させる結果となる)必要なく、創傷の観察が可能になるように透明であるべきである。創傷への施用の間その形状を保持すべきであり、また施用されて快適でなければならない。さらに、抗原性または局所毒性および全身毒性を示してはならない。最後に、それは費用効果が高くなければならない。幅広い研究にもかかわらず、現在そうした材料は得られていない(Wiseman等、「Wound dressings:Design and use」)(Cohen,DiegelmannおよびLinndblad編)Philadelphia:WB Saunders Co.1992年、562;Dale,Prof Nurse 12 Suppl、1997年、12;RotheおよびFalanga、Arch Dermatol 1989年、125:1390;PumaおよびBabu,Burns、2000年、26:56;PruittおよびLevine、Arch Surg 1984年 19:312)。
【0018】
[0028]ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(「PNIPAAm」)などの感熱性ポリマーはより低い臨界溶解下限温度(「LCST」)を示す。PNIPAAmは、水中で約32℃の明確なLCSTを示すよく知られた感熱性ポリマーである。PNIPAAmは、32℃未満の水溶液中で拡がった鎖構造で完全に水和し、この温度を超えると広範に脱水されて圧縮される。
【0019】
[0029]感熱性ポリマーは、その温度が臨界溶解下限温度(「LCST」)を通過すると相シフトを受けるポリマーである。LCSTより上で、ポリマーは脱水されて、水に溶解し難くなる。LCSTより下で、ポリマーは広範に水和され、その結果、より水溶性となる。いくつかのポリ(アクリルアミド)誘導体、例えばポリ(アルキル化アクリルアミド)は感熱性であり、これらに限定されないがそれらには、ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(「PNIPAAm」)またはポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)(「PDEAAm」)が含まれる。
【0020】
[0030]本発明の文脈では、「感熱性ポリマー」は、水に対して高い親和性を有し、したがって、本明細書でLCSTと呼ぶ所与の温度未満で膨潤可能なポリマーを指す。
【0021】
[0031]感熱性ポリマーを形成できるモノマーは、それ自体、または他のモノマー化合物と重合して感熱性のポリマーを形成できるモノマー化合物である。例えば、モノマーが自己重合して感熱性ホモポリマーを形成するか、または他のモノマー化合物と重合してそのそれぞれが感熱特性を示すランダムコポリマーまたはブロックコポリマーを形成することができる。
【0022】
[0032]本発明者等は、感熱性ポリマーを形成できるモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンの重合によって感熱性ポリマーが得られることを見出した。したがって、このポリマーは、材料を医療用途の関連で使用した場合に利点をもたらす感熱膨潤性の特徴を有する。例えば、ナノポーラスである感熱性ポリマー膜を被覆材として創傷に施用することができる。被覆材を取り外す必要がある場合、創傷の温度をポリマーのLCSTより下に低下させて膜を膨潤させ、それによって、創傷部位からの被覆材の取り外しを容易にすることができる。
【0023】
[0033]したがって、本発明は、感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンを重合するステップを含む感熱性ポリマーを調製するための方法を提供する。
【0024】
[0034]当技術分野で理解されているように、「マイクロエマルジョン」は、連続相かまたは2つの連続相である親水性溶液相、疎水性溶液相および界面活性剤からなる透明で分散した液体系を指す。このマイクロエマルジョンは、一般に1nm〜100nm程度の平衡領域サイズを有する。マイクロエマルジョンの調製は当技術分野で周知であり、重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンが、様々なナノ構造を有する透明の固体ポリマーを調製するために使用されている。重合性界面活性剤はそれ自体、または他のモノマー化合物と重合してポリマーを形成することができる。界面活性剤をポリマー中に混和するので、重合の後でポリマーから界面活性剤を分離する必要性が避けられる。
【0025】
[0035]第1のモノマーと重合性界面活性剤を水と組合せて混合物を形成させ、次いでそれを分散させることができる。当業者に周知の標準的な技術で、マイクロエマルジョンを作製するためにその混合物を分散させてマイクロエマルジョンを形成させることができる。例えば、混合物を超音波にかけて渦巻混合させるか、あるいは撹拌して混合物内に異なった相の微小液滴を生成させることができる。その微小液滴は直径が約1nm〜約100nmである。あるいは、例えば混合物を、ナノメータースケールの細孔を有するフィルターに通して、それによって微細な液滴を生成させることができる。
【0026】
[0036]マイクロエマルジョンで使用する第1のモノマーは重合して感熱性ポリマーを形成する任意のモノマーであってよい。一般にそうしたモノマーは対象での使用のために安全でなければならず、他のモノマーと重合することが好ましく、そうしたモノマーには、これらに限定されないが、N−イソプロピルアクリルアミドおよびN,N−ジエチルアクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体が含まれる。さらに、モノマーは重合してナノポーラスマトリックスを形成し、良好な気体浸透と、ポリマー中に組み込める生理活性薬剤の良好な持続放出とを可能にすることが特に望ましい。ナノポーラスマトリックスは、マイクロエマルジョンの成分が、当業者が理解されるような2つの連続相を形成するのに妥当な比である場合に得ることができる。モノマーは、紫外線および光開始剤の存在下で重合できるか、過硫酸アンモニウム(APS)およびN,N,N,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)などの酸化還元対の存在下で重合できるか、あるいは、熱の存在下での重合、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)の使用による熱重合可能であることがさらに望ましい。
【0027】
[0037]一実施形態では、第1のモノマーは、アルキル化アクリルアミドなどのアクリルアミド誘導体、例えばN−イソプロピルアクリルアミド(「NIPAAm」)またはN,N−ジエチルアクリルアミド(「DEAAm」)であり、これらは重合してポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)(「PNIPAAm」)またはポリ(N,N−ジエチルアクリルアミド)(「PDEAAm」)をそれぞれ生成する。PNIPAAmは、水の中で約32℃の明確なLCSTを示すよく知られた感熱性ポリマーである。PNIPAAmは32℃未満の水の中で拡がった鎖構造で完全に水和し、この温度を超えると広範に脱水され圧縮される。PNIPAAmは細胞培養において首尾よく使用される。そこでは、その熱応答性の特性によって、培養した細胞を、酵素処理する必要なく離脱させることが可能になる(Takezawa等、Bioetechnol.(1990年)8:854)。PNIPAAmでコーティングすると、培養温度がPNIPAAmのLCSTを下回って低下するまで、処理した培養表面は疎水性に保持される。さらに、Lin等は、PNIPAAmミクロゲルビーズをロードしたEudragit Eフィルムは25℃〜37℃で剥離強度の著しい低下を示すことを報告している。これは、PNIPAAmのLCSTより低い25℃では、比較的親水性のPNIPAAmミクロゲルビーズによる流体の吸収が、フィルムの付着特性を低下させてより小さい剥離強度をもたらしたことが原因である可能性がある(Lin等、Biomaterials(2001年)22:2999)。他のモノマーの例には、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−n−プロピルメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−イソプロピルメチルアクリルアミド、N−シクロプロピルアクリルアミド、または類似のアクリレートもしくはメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート−co−アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド−co−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート−co−ヒドロキシエチルアクリレート、エチルアクリルアミド、シクロプロピルアクリルアミド、n−プロピルアクリルアミド、あるいはイソプロピルアクリルアミドが含まれる。
【0028】
[0038]マイクロエマルジョンで使用する界面活性剤は任意の重合性界面活性剤でよく、したがってモノマーと共重合することができる。別の実施形態では、界面活性剤はω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート(「C−PEO−C11−MA−40」)またはフルロニック(fluronic)68−ジアクリレートであってよい。
【0029】
[0039]マイクロエマルジョンは1種または複数のモノマーをさらに含むことができ、そのモノマーは感熱性ポリマーを形成してもしなくてもよく、かつ感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーおよび重合性界面活性剤と共重合してポリマーを形成できる。感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーに加えてマイクロエマルジョン中に含めるモノマーを本明細書では「コモノマー」と称する。
【0030】
[0040]コモノマーは、重合して医療用途での使用に適した材料を形成し、感熱性ポリマーを形成できるモノマーと共重合できる任意のモノマーを含むことができる。様々な実施形態では、コモノマーはメチルメタクリレート(「MMA」)および/または2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)を含む。これらのコモノマーを使用して、得られるポリマーの機械的強度および親水性をそれぞれ改善し調節する。
【0031】
[0041]当業者は理解されるように、マイクロエマルジョン中の上記構成成分のそれぞれの正確な量はそれほど重要ではないが、いくつかの要素に依存しており、残りの構成成分の割合に応じて、各構成成分についてその量を変えることができる。例えば、所望の感熱特性をポリマーが得るようにするには、感熱性ポリマーを形成できる十分な量のモノマーを含有させなければならない。さらに、任意の所与のポリマーについてLCSTは、適当なコモノマーを使用し、かつコモノマーと第1のモノマーの比を変えることによって調節することができる。これは、特定の用途に望ましいように、異なる温度範囲で膨潤の非連続的変化が起こり得ることを意味する。また、全モノマー含量が多くなりすぎて得られたポリマーが硬くなりすぎる、又は柔軟性を失うことがないようにしなければならない。
【0032】
[0042]含めることができる異なるタイプのモノマーのタイプと比を変化させて、得られるポリマーの特性に影響を及ぼすようにすることができる。例えば、1種または複数のコモノマーが感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーより疎水性であって、そのコポリマーの含有量を増大させて、ポリマーの疎水性を増大させることができる。当業者はLCST、疎水性および引張強度などの得られる膜の様々な特性への効果を決めるために、どのように異なるモノマーを混合し、かつその比を変えるかを理解されていよう。
【0033】
[0043]マイクロエマルジョンを形成させるために使用する混合物中において、第1のモノマーとコモノマーとの比は、得られるポリマーの所望の特性に応じて変えることができる。様々な実施形態では、その比は1:0、5:3、3:1、1:1または1:3である。その比を変化させることによって、得られる膜の熱感受性、したがってその膨潤特性を望むように改変することができる。
【0034】
[0044]一実施形態では、混合物中の水、重合性界面活性剤および全モノマー含量の濃度はそれぞれ約15%〜約50%、約20%〜約45%、約25%〜約50%(重量/重量)であってよい。
【0035】
[0045]他の実施形態では、この方法は、任意選択的に架橋剤を用いた架橋のステップをさらに含むことができる。例えば、架橋は、化学的架橋、光化学的架橋、電子ビーム架橋、紫外線架橋または当業者に周知の他の方法によって実施することができる。架橋の方法は、架橋されるマイクロエマルジョンの成分の性質によることになる。
【0036】
[0046]例えば、ある種の界面活性剤、例えばC−PEO−C11−MA−40を重合性界面活性剤として使用する場合、マイクロエマルジョンは、例えばエチレングリコールジメタクリレート(「EGDMA」)などの化学架橋剤を含むことができる。化学架橋剤は、マイクロエマルジョンの様々な成分を架橋させる任意の化学架橋剤、例えば、ビニルまたはアクリル二重結合を有するモノマーを架橋することができる任意の架橋剤であってよい。したがって選択される具体的な架橋剤は、マイクロエマルジョン中のモノマーおよび重合性界面活性剤の性質によって変る。
【0037】
[0047]一実施形態では、架橋剤の濃度は全モノマーの重量に対して約5%である。
【0038】
[0048]マイクロエマルジョンは、当業者に周知の標準的な技術で重合させることができる。例えば、マイクロエマルジョンは加熱、触媒の添加、マイクロエマルジョンへの照射あるいはマイクロエマルジョン中への遊離基の導入によって重合させることができる。選択される重合の方法はマイクロエマルジョンの成分の性質によって変る。
【0039】
[0049]マイクロエマルジョンの重合には触媒の使用を含めることができる。触媒は、異なるタイプのモノマーと界面活性剤との重合を促進する任意の触媒または重合開始剤であってよい。選択する個々の触媒は、用いる具体的なモノマー(第1のモノマーおよび任意のコモノマー)および重合性界面活性剤または重合方法によって変る。例えば、光開始剤を触媒として使用する場合、マイクロエマルジョンを紫外線にかけることによって重合を実施することができる。例えば、光開始剤2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを使用することもできるし、またアルキルアリールケトンを使用することもできる。
【0040】
[0050]一実施形態では、光開始剤の濃度は全モノマーと界面活性剤を合わせた重量に対して約0.1%〜約0.3%である。
【0041】
[0051]マイクロエマルジョンは、重合する前に所望の最終形状にすることができる。例えば、マイクロエマルジョンを注ぐかまたは広げて、マイクロエマルジョンを重合してポリマー膜を形成させる前に所望の厚さの薄層にして膜を形成させることができる。マイクロエマルジョンは望むなら、例えば、重合させる前にマイクロエマルジョンを鋳型の中に注いで、繊維または管を形成させることもできる。重合した後、ポリマーから形成された膜を水で濯いで平衡化させ、任意選択的に乾燥し、医療または臨床用途での使用に向けて殺菌することができる。
【0042】
[0052]ポリマーおよび得られる膜はナノ構造化されていてよく、これは材料が規則正しい構造の領域を有することを意味する。これらの規則正しい領域はナノメーターのスケールであり、一般に約1nm〜約100nmの範囲である。水が占有した容積によって、マイクロエマルジョン中で細孔が形成される。したがって、別の実施形態では、材料および得られる膜の中の細孔は、マイクロエマルジョン中で約1nm〜約100nm、約10nm〜約100nm、約50nm〜約100nmまたは約50nmの大きさの親水性相を有する。
【0043】
[0053]本発明の方法によってポリマーが形成される場合、創傷被覆として使用した際にその下にある創傷を見ることができ、かつ治癒過程を監視することができるようにポリマーは透明であることが好ましい。
【0044】
[0054]上記方法で調製した感熱性ポリマーは、強くて柔軟性があり、かつ伸縮可能であることが好ましい。これらの特性はマイクロエマルジョンを形成させるために使用するモノマーのタイプと量の影響を受ける。例えばある実施形態では、コモノマーHEMAを含めると、その親水性特性によってポリマーの柔軟性を改善することができる。
【0045】
[0055]具体的な実施形態では、ポリマーの引張強度は約4MPa〜約20MPaの範囲であってよい。ある実施形態では、コモノマーのメチルメタクリレートを含めると、ポリマーの引張強度は低下するが、弾力性を増大させることができる。これは多分、ポリマー鎖間の疎水性相互作用を可能にする疎水性コモノマーによるものである。当業者は容易に、異なるモノマー成分を変えてポリマーの様々な所望の機械的特性を実現することができる。
【0046】
[0056]不十分な水蒸気の浸透によって引き起こされた創傷被覆の下での体液の残留、または急速な水分損失によって引き起こされた肉芽形成している創傷床の脱水は、創傷の治癒に重大な問題をもたらす。理想的な創傷被覆は、蒸発による創傷からの水分損失を最適速度に維持して、過剰な脱水と滲出物の蓄積の両方を防止することである。肉芽形成している創傷では、第1度やけどの皮膚の20倍もある約5138g/m/日の蒸発水分損失が認められる。
【0047】
[0057]低い水蒸気透過速度(WVTR)を有する創傷被覆材には、それぞれ168±32g/m/日、139±23g/m/日および326±44g/m/日のWVTRを有するVigilon(登録商標)、VigilonカバーフィルムおよびStretch'n'Seal(登録商標)の被覆材が含まれる(Ruiz−Cardona等、Biomaterials(1996年)17:1639)。Tegaderm(登録商標)およびBioclusive(登録商標)、ならびに多くの接着被覆材も低い水蒸気透過速度を有する。これらは、それぞれ491±44g/m/日および382±26g/m/日のWVTRを有する。OpSite(登録商標)(426g/m/日のWVTR)は、約28μmの厚さであり、皮膚移植ドナー部位の被覆材としてある程度首尾よく使用されている。しかし、しばしばその材料に穴を空け、体液を吸い出して体液のたまりをしばしば除かなければならない。
【0048】
[0058]その一方、Geliperm(登録商標)などの親水性材料は高いWVTRを有している。Geliperm(登録商標)は10972±995g/m/日のWVTRを有している。しかし、そうした高いWVTRを有する創傷被覆を用いると、創傷表面の全体的な脱水を招く可能性がある(Queen等、Biomaterials(1987年)8:367)。
【0049】
[0059]ある実施形態では、本明細書で述べる感熱性ナノポーラス膜は約500g/m/日〜約2000g/m/日の範囲のWVTR値を示すことができる。ある実施形態では、WVTRは約500g/m/日〜約900g/m/日の範囲である。したがって、このポリマーは、軽い蒸発水分損失を受ける創傷に使用するのに特によく適合している。WVTRは細孔の大きさと膜の調製に使用したモノマー組成物によって影響を受ける。したがって、異なる界面活性剤を選択するか、またはマイクロエマルジョンのモノマー含量もしくは水の含量を調節することによって、個々のナノポーラス膜のWVTRを調節することができる。
【0050】
[0060]上記方法で作製された感熱性ポリマーは生物学的に適切なLCSTを有することが好ましい。すなわち、LCSTは、しかるべく施用されている場合にポリマーの温度がLCSTより高く、かつ患者を傷つけることなくポリマーを膨潤させる必要がある場合に、容易にLCSTを下回ることができるような温度範囲でなければならない。膜のLCSTは、創傷を有する患者の体温より少なくとも若干低いことが好ましい。一実施形態では、ポリマーは創傷部位の温度より低いLCSTを有する。一実施形態では、創傷を有する患者はヒトであり、膜のLCSTは約32℃〜37℃である。所与のポリマーのLCSTは、例えば、冷却の際に、膜に施用する溶液中に様々な塩を含めることによって、その条件下で膜がそのLCSTより下に移行する条件を変えることによって調節することができる。一般に、塩を含有する溶液中ではLCSTはより低い。
【0051】
[0061]ポリマーおよび得られる膜の膨潤特性は、LCSTを温度がより大きく下回れば回るほどポリマーはより大きく膨潤するという点で温度依存性である。温度依存性は必ずしも線形ではなく、ポリマーはLCST近傍で不連続な膨潤比を示すことがある。
【0052】
[0062]ポリマーの膨潤特性は材料を形成するのに使用された第1のモノマーの濃度にも依存する。そのモノマーの濃度が大きいほど、温度の低下に応じて材料の膨潤性が増大する。
【0053】
[0063]ポリマーおよび得られる膜は熱的に安定であって、医療用途での使用前の膜の殺菌が可能であることが好ましい。別の実施形態では、ポリマーは少なくとも約300℃の分解温度を有する。熱安定性は、マイクロエマルジョン組成物が異なっていても影響を受けないようであり、臨床用に適用する前に、膜を例えばオートクレーブ処理によって殺菌できるので大きな利点をもたらす。
【0054】
[0064]別の実施形態では、得られるポリマーは生体適合性があり、非細胞傷害性であり、かつ非アレルギー性であり、創傷部位の組織の炎症を最小限に抑える。
【0055】
[0065]本発明の方法の別の実施形態で調製される感熱性ポリマーは、治癒を要する開いた創傷を閉じるための創傷被覆として有用である。創傷はどの動物のものであってよく、例えば、非限定的に哺乳類、例えばヒトであってよい。被覆材を換える必要がある場合、創傷から取り外す前の膜の膨潤によって取り外しが容易になり治癒過程の中断が最小限に抑えられるので、膜の膨潤特性は、それを創傷被覆として特に有用なものにしている。
【0056】
[0066]したがって、創傷からポリマーを取り外す直前に創傷に感熱性ポリマーを施用するステップと、感熱性ポリマーの温度を低下させてポリマーの取り外しを容易にするステップと、創傷からポリマーを取り外すステップとを含む、創傷に被覆を施し、被覆を解く方法を提供する。
【0057】
[0067]ポリマーはナノポーラスであってよく、膨潤しているかまたは膨潤していない状態で創傷に施用することができる。膨潤している状態でポリマーを施用する場合、施用する前にLCSTより低い温度で水に浸漬させる。ポリマーの温度依存性の膨潤特性のため、被覆材が温まって収縮することになる。
【0058】
[0068]しかし、乾燥状態でポリマーを施用する場合、例えば創傷に過剰の滲出物が存在する場合には施用前にそれを乾燥させる。
【0059】
[0069]治癒しつつある創傷の中断を最小限にして被覆材を取り外すために、取り外す前に水の存在下でポリマーの温度を下げる。ポリマーが冷却される温度が低ければ低いほど、ポリマーの膨潤はより大きくなる。その温度は、取り外しを容易にするのに十分であり、かつ患者の不快さまたは創傷部位での組織への損傷を最小限にする温度でなければならない。
【0060】
[0070]本発明の方法の別の実施形態で調製した感熱性ナノポーラスポリマーを、様々な治療薬剤を創傷部位へ送達するために使用して創傷の治癒を促進させることができる。例えば、抗生物質、抗炎症剤もしくは凝固剤などの薬物、創傷修復に関与するホルモンまたは核酸もしくはポリペプチドなどの他の生体分子を創傷部位に送達するのが望ましい。
【0061】
[0071]一般に、治療薬剤をポリマーマトリックス中に混和することができる。これは、ポリマーを創傷に置いた後での治療薬剤の制御放出を可能にする。
【0062】
[0072]したがって、治療薬剤を感熱性ナノポーラスポリマー中に混和するステップと、その感熱性ナノポーラスポリマーを創傷に施用するステップとを含む、創傷に治療薬剤を送達する方法を提供する。
【0063】
[0073]治療薬剤は、感染の治癒または予防に関して創傷に治療効果または予防効果を有する任意の薬剤であってよい。例えば、これらに限定されないが、治療薬剤は、薬物、抗生物質、抗炎症薬、凝固因子、ホルモン、核酸、ペプチド、細胞因子または細胞表面受容体のためのリガンドであってよい。
【0064】
[0074]その薬剤は、創傷部位の炎症を最小限に抑え、かつ治癒過程の妨害を最小限に抑えることが好ましい。また、治療薬剤は感熱性ナノポーラスポリマーの物理的または化学的特性を妨げないものであることが好ましい。
【0065】
[0075]治療薬剤は、例えば、その薬剤を含む溶液中にポリマー膜を浸すことによってポリマー中に取り込むことができる。あるいは、用いる個々の重合条件下で薬剤が安定である場合、重合プロセスの間にその薬剤をナノポーラス膜に混和することができる。
【0066】
[0076]膜の組成を変えると、治療薬剤の放出プロファイルを変え、治療薬剤の最初の勢いよい放出の程度を変えることができる。一般に、治療薬剤は持続放出の形で膜から放出される。
【0067】
[0077]また、健全な成長細胞または組織がその部位に定着するように、創傷または他の移植部位に移植細胞もしくは組織を送達することが望ましい。本発明の別の実施形態によるポリマーの多孔性の性質は、その感熱膨潤性の特徴と一緒になって、細胞または組織を移植部位に送達するための媒体としてポリマーの有用性に寄与する。
【0068】
[0078]一態様では、感熱性ナノポーラスポリマー上に細胞を培養するステップと、細胞を含むポリマーを移植部位上に置くステップとを含む移植部位への細胞の送達方法を提供する。様々な実施形態では、細胞をその上に培養する前に、ポリマーを、ヒアルロン酸、コラーゲンまたは任意の他の生体適合性のあるマトリックスでコーティングすることができる。
【0069】
[0079]ポリマーは1つの細胞、複数の細胞、または組織を移植部位に送達するのに使用することができる。したがって、「細胞」は単一の細胞および組織を含む複数の細胞を含む。細胞または組織は、移植を施される患者から得ることができ、また他の供給源から得ることもできる。細胞または組織は、そのトランスジーンが細胞または組織を遺伝子治療に適したものにする、トランスジェニック細胞または組織であってもよい。
【0070】
[0080]ポリマーの温度を低下させることによって、ポリマーは膨潤し、細胞はポリマーから移植部位へより容易に放出される。新たな組織が形成された後、移植部位からポリマーを取り外すことができる。あるいは、細胞およびポリマーの移植とそれに続くインキュベーション期間の後であってかつ新たな組織が形成される前に、ポリマーを取り外すことができる。一実施形態では、ポリマーを、移植部位に施用する前に膨潤させることができる。
【0071】
[0081]異なる最適温度で様々な細胞タイプをポリマーから離脱させることができる。細胞タイプがポリマーから離脱する温度は、ポリマーを形成させるために用いる個々のモノマータイプとその比を調節することによって変えることができる。
【0072】
[0082]移植部位は、創傷部位、ならびに耳および角膜を含む細胞へ送達することが望まれる任意の他のアクセス可能な部位を含む任意の移植部位であってよい。例えば、ポリマーを、対象の耳の中の正円窓膜を修復するために細胞を送達するか、または人工角膜移植のために細胞を送達するために使用することができる。
【0073】
[0083]本発明のポリマーは、温度依存性の膨潤性特徴をもつ材料を有することが望ましい他の用途で有利に使用することができる。例えば、ナノポーラスポリマーを、幹細胞培養を含む細胞または組織培養の足場として使用することができる。培養細胞の成長用の支持体として感熱性ナノポーラス膜または繊維を使用すると、培養容器から細胞を取り出すための厳しい酵素的または物理的中断をとることなく培養細胞の移動が可能になる。さらに、ポリマーがナノポーラスであることによって、本発明の感熱性ナノポーラスポリマーは、ナノメーターの大きさを有する粒子をろ過するかまたは分離する分離技術に使用することができる。また、ポリマーは、分離しようとする細胞の個々のタイプに結合できるリガンドを膜に結合させることによって、細胞を分離することができる。
【0074】
[0084]以下の実験は、感熱性ポリマーの調製方法および得られるポリマーならびにその使用方法を例示するものであり、本明細書で開示した方法、ポリマーまたは使用の広範な態様を制限するものではない。
【実施例】
【0075】
1.使用した材料
[0085]Sigmaからのメチルメタクリレート(MMA)および2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を減圧下で蒸留した。N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を結晶化(n−ヘキサン)によって精製した。Aldrichからのエチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(DMPA)を、さらに精製することなく使用した。ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレートマクロモノマー(C−PEO−C,MA−40)はLiu等によるJ.Macromol.Sci、Pure Appl.Chem.(1996年)A33,3:337に記載のプロトコルによって合成した。
【0076】
[0086]フルロニック68−ジアクリレートを合成するために、フルオリック(fluoric)−68をトリエチルアミンと一緒にドライCHCl中に溶解する。窒素環境下、撹拌しながらメタクリロイルクロリドをその溶液に滴下し、次いで溶液を氷浴中で半時間インキュベートした。混合物を室温でさらに終夜撹拌した。沈澱したトリエチルアンモニウムクロリドをろ過し、過剰のアクリロイルクロライド、CHClおよびトリエチルアミンをロータリーエバポレータで除去した。残留物を蒸留クロロホルム中に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液で2回洗浄した。クロロホルム溶液をさらに飽和ブラインで2回洗浄した。蒸発させた後、クロロホルム溶液から固形生成物を回収した。粗生成物をクロロホルムからエーテルに3回再沈澱させて高純度の生成物を得た。
【0077】
2.膜調製
[0087]多孔性膜をマイクロエマルジョン重合によって直接調製した。そうしたマイクロエマルジョンは、様々な量のHEMA、MMA、NIPAAm、超純水および界面活性剤C−PEO−C11−MA−40またはフルロニック68−ジアクリレート、C−PEO−C11−MA−40を使用した場合の架橋剤EGDMA、ならびに光開始剤DMPAを含む。
【0078】
[0088]2枚の20cm×20cmガラスプレートを洗浄して室温で乾燥した。マイクロエマルジョンと接するガラス表面を、少量のシリコンオイルを含む組織を用いて磨いて、重合後のポリマー膜を除去できるようにする。約1gの各マイクロエマルジョンをまずガラスプレート上に注ぎ、続いて、別のガラスプレートを被せてゆっくり広げた。これによって、2枚のガラスプレートの間に空気の泡が取り込まれる可能性を低くした。ガラスプレート間にスペーサとして薄いアルミホイルシートの小片を用いて膜の厚さを調節した。
【0079】
[0089]重合反応をUV反応器中で6時間行った。膜を脱イオン水中に浸漬させ、その脱イオン水を1週間毎日取り換え、次いでさらに特性評価にかけた。
【0080】
[0090]形成された膜の組成を表1に示す。各組成の残る2%は架橋剤EGDMAである。
【0081】
【表1】

【0082】
3.トポグラフィー分析
[0091]Thermo Microscope Autoprobe CP Research型原子間力顕微鏡(AFM)装置(Park Scientific Instrument,Sunnyvale,CA)をコンタクトモードで使用して、膜の表面トポグラフを試験した。0.40N/mの力定数でシリコンカンチレバー上に装着された円錐状の窒化ケイ素チップを用いた。Siカンチレバー(インテグラルチップを備える)は長さ180μm、幅38μm、厚さ1μmを有し、かつ45kHzの共鳴周波数を有していた。各画像は521×512データポイントを含む。表面立体画像はIP2.1画像ソフトウェア(Image Software)を用いて処理した。
【0083】
[0092]膜の断面のトポグラフィーを、JEOL6700電界放射銃走査型電子顕微鏡(FEG−SEM)を用いて検査した。膜を液体窒素中で凍結破断させて断面を露出させた。試験する前にサンプルを室温で24時間真空乾燥させ、JEOLイオンスパッタJFC−1100金コーティング装置を用いて金の薄層をコーティングした。
【0084】
[0093]図1に示すように、表面トポグラフィー分析により、膜表面は典型的には100nm未満の細孔を含むことが示された。図2に示した膜の断面の走査型電子顕微鏡写真は、水を含むことによって加工工程の間に生じた、ランダムに分布したナノ構造化されたチャンネルを示した。そのチャンネルは直径50nm〜100nmである。
【0085】
4.熱特性
[0094]ポリマー膜の分解温度をPerkin Elmer熱重量分析器(TGA)で分析した。白金セル中に入れた約10mgのサンプルの熱的挙動を30℃〜800℃で評価した。ドライ窒素流下で10℃/分の温度勾配をかけ、重量損失を連続的に記録した。サンプル重量がシャープに減少する温度範囲を分解温度と見なした。
【0086】
[0095]熱分析は、異なるモノマー組成物を有する膜が、300℃〜350℃の範囲の同じような分解温度(Td)を有していることを示した。この結果は、膜は最大で300℃まで熱的に安定であり、マイクロエマルジョン組成物を変えても得られる膜の熱安定性に影響を及ぼさないことを示している。この熱安定性は、臨床用の使用の前にオートクレーブ処理かまたは他の手段で膜を安定化させることができることを意味しているので大きな利点である。
【0087】
5.膨潤特性
[0096]ポリマー膜の平衡膨潤比(「ESR」)を、種々の温度で蒸留水中に平衡になるまで浸漬させて予め計量しておいた乾燥サンプルを用いて測定した。その後、ろ紙で過剰の表面水を除去した。十分に膨潤したサンプルの重量を記録した。ESRを、式ESR(%)=(Ws−Wd)/Ws×100(式中、Wdは乾燥サンプル重量を表し、Wsは膨潤平衡後の湿潤サンプル重量である)によって決定した。
【0088】
[0097]膜は温度依存性の膨潤比を示した(図3)。これらは低温でより高度に膨潤するようである。32℃〜37℃の範囲で膨潤比の不連続な減少が起こり、これは膨潤挙動が多分PNIPAAmのLCSTによって影響を受けることを示唆している。この温度範囲を超える周囲温度で、膜の親水性が減少し、より低い膨潤比をもたらした。一般に、マイクロエマルジョン中のNIPAAmモノマー含量が増大すると、膜の温度への感受性は向上した。
【0089】
[0098]総膜重量に対する水の含量を、様々な膜について表2に示したような温度範囲で測定した。
【0090】
【表2】

【0091】
6.水蒸気透過速度
[0099]膜の水蒸気透過速度(WVTR)をASTM E96水法によって測定した。簡単に述べると、16mmの直径の複数の膜ディスクをそれぞれ、不透水性の封止剤の助けを受けて、10mLの蒸留水を入れたプラスチック容器に装着した。この容器は水が膜を通って環境室中に蒸発できるように逆の位置で置いた。容器を定期的に計量して、膜サンプルを通る環境室中への水の透過速度を測定した。環境室の温度は32℃で相対湿度は50%であった。WVTRを式WVTR=W/(t×A)(式中、Wは時間tで面積Aを有する膜サンプルを通って透過した水蒸気の重量である)から計算した。ある膜について観察されたWVTR値を表3に示す。
【0092】
【表3】

【0093】
7.機械的特性
[00100]工学的な観点から、機械的特性が良好であると、創傷被覆用に使用される材料は、使用の間その形状を維持できるようになる。ここで3つのパラメーター、引張強度、最大歪み率、およびヤング率を測定してナノ構造化された膜の機械的特性を決定する。
【0094】
[00101]膜の破断時歪み(%)、ヤング率および引張強度をInstronの微小力試験機(microforce tester)で測定した。ASTM638に記載の標準サイズを有するサンプルを使用した。引っ張り速度は0.25mm/分であった。
【0095】
[00102]異なる組成を有する膜は機械的挙動が異なることが分かった(表4)。その引張強度は4.8MPa〜6.9MPaの範囲にあった。最も高かったのはHMN2であった。NIPAAmとHEMAだけを含む膜はより高い引張強度とヤング率を示したが、その破断時歪み率は損なわれた。これは、ポリマー鎖間の強力な親水性相互作用に起因している可能性がある。マイクロエマルジョンにMMAを加えると、膜はその引張強度を幾分失ったが、その伸び率は48%〜86%の範囲で増加した。比較すると、皮膚の引張強度およびヤング率は、それぞれ通常2.5MPa〜16MPaおよび6MPa〜40MPaである。同様の強度と若干高いヤング率を有するポリマーが、皮膚組織を置き換えるために最もよく使用される(Silve、Biomaterials,Medical Devices and Tissue Engineering:An Integrated Approach、Chapman & Hall、英国、1994年、46)。ナノ構造化された膜の引張強度が4.8MPa〜6.9MPaの範囲であり、ヤング率が140Mpa〜380Mpaであるという事実は、これらの膜が創傷被覆として使用するのに十分な耐久力を有していることを示唆している。
【0096】
【表4】

【0097】
[00103]膨潤した状態の膜の機械的特性も検査した。HMN1およびHMN4は湿潤後、機械的特性が低下しており、HMN2およびHMN3はその引張強度を維持しておりその柔軟性のほとんどを維持していた(表5)。
【0098】
【表5】

【0099】
8.固体膜と接触した際の細胞の生存可能性の検討
[00104]インビトロでの細胞毒性検討用の膜を調製するために、膜を2×2mmのピースにカットしてPBS溶液中に終夜浸した。70℃のオーブン中で乾燥した後、細胞毒性検討で使用するために、これらをオートクレーブ処理した。様々な元のモノマー濃度を有する膜について予備的検討を実施した。生存細胞を数える前に、EL4細胞(C57BL/6Jマウスリンパ腫細胞系)を24時間および48時間インキュベートした。対照(試験物を有していない細胞)および試験物について複製物は3つであった。結果を、対照に対する生存細胞の割合で示した。
【0100】
[00105]膜と共に24時間および48時間インキュベーションした後、細胞は、107.5%〜60.8%および104.5%〜69.2%の生存率をそれぞれ示した(表6)。いくつかのトライアルにおける細胞の生存率の増大は、順化の期間(その後に細胞は適応し正常な成長を開始する)のシグナルのようである。
【0101】
【表6】

【0102】
9.薬物ローディング
[00106]薬物などの治療薬を創傷部位へ送達するのに膜を使用できるかどうかを判断するために、モデル薬物スコポラミンを用いて膜を試験した。4℃、1g/100mLの濃度で3日間膜をスコポラミンベース中に浸漬させた。次いで薬物をロードした膜を空気乾燥し、インビトロで試験した。インビトロでの試験を、Vankel VK7000溶解試験ステーションで、PBS(pH7.4)中、37℃で実施した。所定の間隔で、HPLC分析用に1mLのサンプルを抜き取り、その分を新鮮なPBSバッファーで置き換えた。
【0103】
[00107]HMN1およびHMN2膜について、スコポラミンの3日間にわたる持続放出が観察された(図4)。これは、抗菌剤または創傷治療促進剤などの薬物の持続的な送達に膜が適しており、より高い創傷治療の効能が得られる可能性があることを示している。
【0104】
10.膜からの細胞送達
[00108]膜からの細胞離脱に対する温度の影響を、マウスの腫瘍線維芽細胞(L929、ATCC、USA)を用いて検討した。細胞培養で使用する前に膜をオートクレーブ処理した。この実験では、各膜を24ウェルプレートの直径に正確に合わせてカットし、次いでそれらを試験用ウェル中に置いた。対照ウェルの表面は手を加えないでおいた。次いで、L929マウス線維芽細胞を、5×10細胞/mLの密度で膜上またはウェル表面に播種し、加湿した5%COの環境下、37℃で培養した。約48時間後、培養物を、冷時処理として4、10、15、20および27℃で半時間インキュベートした。続いて各ウェルの内容物を吸い取り新鮮な24ウェルプレートに移した。次いでこれらの新鮮なプレートをインキュベータに戻し、離脱した細胞を再付着させ細胞成長を開始させた。次いで元のプレートの各ウェルを、リン酸バッファーを用いた生理食塩水(PBS)で25℃で穏やかに洗浄し、MTTアッセイで各ウェル中の残留する細胞の生存率を評価した。
【0105】
[00109]細胞は、図5に示すようにすべての膜の表面上に十分付着していた。細胞は、それ自体で堅固に組織化されて、細胞質突起によって連結された凝集体になっている(図6Bおよび6Cと比較されたい)。対照サンプルでは観察されなかった現象である。
【0106】
[00110]4℃で約30分間インキュベーション後、膜に付着した細胞の50%〜70%が離脱していることが判明した。対照プレートでは明らかな細胞離脱は見られなかった。図7に示すように離脱に対する温度冷却の影響も検討した。15℃で最大数の細胞が膜から離脱した。しかし、膜に対する温度冷却の影響は、細胞のタイプが異なれば変り、また膜組成が変れば変ることに留意されたい。感熱性膜から離脱し移植された細胞は、新規の表面に付着し、正常な成長を開始した(図8)。この結果は、離脱した細胞の生存を示しており、初期の細胞死が、認められた離脱の原因であることへの証拠を構成している。膜のこの特性は、膜が細胞移植用の媒体としての使用に適していることを示している。
【0107】
[00111]代表的な膜を図9に示す。これは膜の透明性を示しており、下にある創傷を見えるようにしている。
【0108】
[00112]当業者が理解されるように、本明細書で述べた例示の実施形態の多くの変更形態が可能である。むしろ、本発明は、特許請求の範囲で定義のその範囲内のすべてのそうした変更形態を包含するものである。
【0109】
[00113]本明細書で参照した文書を参照により本明細書にすべて組み込む。
【図面の簡単な説明】
【0110】
[0017]図では、本発明の実施形態を例としてのみ示す。
【図1】感熱性多孔膜の表面トポグラフィーを示す原子間力顕微鏡画像である。
【図2】感熱性多孔膜断面の走査電子顕微鏡画像である。
【図3】膜の温度依存的な膨潤特性を示すための、様々なモノマー組成を有する膜の膨潤比対温度のグラフである。
【図4】モデル薬物であるスコポラミンのスコポラミンをロードした膜からのインビトロでの放出プロファイルをプロットした図である。
【図5】異なるモノマー組成:(A)HMN1、(B)HMN2、(C)HMN2a、(D)HMN3、(E)HMN4を有する膜および(F)細胞培養プレート上の細胞の写真画像である。
【図6】種々の表面上で成長した細胞の写真画像であり、:(A)感熱性多孔膜(HMN1)、(B)細胞培養プレートおよび(C)膜上の凝集体間を繋ぐ細胞のクローズアップである。
【図7】種々の膜から離脱した細胞の割合を温度の関数としてプロットした図である。
【図8】種々の膜から離脱し、培養プレート上に再付着して成長した細胞:(A)HMN1、(B)HMN2、(C)HMN2a、(D)HMN3および(E)HMN4の写真画像である。
【図9】膜の透明度を示す代表的な膜の写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンを重合するステップを含む感熱性ポリマーの調製方法。
【請求項2】
前記第1のモノマーがアクリルアミド誘導体である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1のモノマーがアルキル化アクリルアミドである請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のモノマーがN−イソプロピルアクリルアミドである請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記重合性界面活性剤がω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレートまたはフルロニック68−ジアクリレートである請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロエマルジョンがコモノマーを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロエマルジョンがメチルメタクリレートまたは2−ヒドロキシエチルメタクリレートを含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重合性界面活性剤がω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレートであり、前記マイクロエマルジョンが化学架橋剤をさらに含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記架橋剤がEGDMAである請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記マイクロエマルジョンが光開始剤をさらに含む請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記光開始剤が2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンである請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記重合するステップが前記マイクロエマルジョンに紫外線照射を施すことを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
重合の前に所望の厚さのマイクロエマルジョンの層を調製するステップを含む請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロエマルジョンが、約20%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約10%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約10%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記マイクロエマルジョンが、約10%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約10%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約20%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロエマルジョンが、約7.5%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約7.5%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約15%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約33%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロエマルジョンが、約10%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約20%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約10%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロエマルジョンが、約25%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約10%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約5%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記マイクロエマルジョンが、約30%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約10%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記マイクロエマルジョンが、約10%(重量/重量)のN−イソプロピルアクリルアミド、約25%(重量/重量)のメチルメタクリレート、約5%(重量/重量)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、約35%(重量/重量)のω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、約23%(重量/重量)の水および約2%のエチレングリコールジメタクリレートを含む請求項13に記載の方法。
【請求項21】
創傷に感熱性ポリマーを施用するステップと、
創傷から前記ポリマーを取り外す直前に、感熱性ポリマーの温度を低下させて前記ポリマーの取り外しを容易にするステップと、
創傷から前記ポリマーを取り外すステップと
を含む、創傷に被覆を施し、その被覆を解く方法。
【請求項22】
感熱性ナノポーラスポリマー中に治療薬剤を混和するステップと、
前記感熱性ナノポーラスポリマーを創傷に施用するステップと
を含む、創傷に治療薬剤を送達する方法。
【請求項23】
前記治療薬剤が薬物、抗生物質、抗炎症薬、凝固因子、ホルモン、核酸、ペプチド、細胞因子または細胞表面受容体のためのリガンドである請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記治療薬剤が薬物または抗生物質である請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記治療薬剤が創傷治療促進剤である請求項22に記載の方法。
【請求項26】
感熱性ナノポーラスポリマー上で細胞を培養するステップと、
前記細胞を含む前記ポリマーを移植部位に置くステップと
を含む、細胞を移植部位に送達する方法。
【請求項27】
前記感熱性ナノポーラスポリマーの温度を低下させて前記ポリマーの取り外しを容易にするステップと、
移植部位から前記ポリマーを取り外すステップと
をさらに含む請求項26に記載の方法。
【請求項28】
温度を低下させる前記ステップを、細胞を担持する前記感熱性ナノポーラスポリマーを移植部位に置いた後に実施する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項1から20のいずれか一項に記載の方法によって調製した感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項30】
請求項13に記載の方法によって調製した感熱性ナノポーラス膜。
【請求項31】
ナノポーラスである感熱性ポリマー。
【請求項32】
少なくとも約300℃の分解温度を有する請求項31に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項33】
約500g/m/日〜約2000g/m/日の水蒸気透過速度を有する請求項32に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項34】
約4MPa〜約20MPaの引張強度を有する請求項33に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項35】
感熱性ポリマーを形成できる第1のモノマーと重合性界面活性剤を含むマイクロエマルジョンから形成した請求項34に記載の感熱性ポリマー。
【請求項36】
前記第1のモノマーがN−イソプロピルアクリルアミドである請求項35に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項37】
前記重合性界面活性剤がω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレートまたはフルロニック68−ジアクリレートである請求項36に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項38】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約20:10:10:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項39】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約10:10:20:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項40】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約7.5:7.5:15:35:33:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項41】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約10:20:10:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項42】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約25:10:5:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項43】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約30:10:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項44】
前記マイクロエマルジョンが、N−イソプロピルアクリルアミド、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ω−メトキシポリ(エチレンオキシド)40ウンデシルα−メタクリレート、水およびエチレングリコールジメタクリレートを、約10:25:5:35:23:2の比で含む請求項37に記載の感熱性ナノポーラスポリマー。
【請求項45】
前記移植部位が対象の耳の正円窓膜または角膜である請求項28に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−537302(P2007−537302A)
【公表日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520144(P2006−520144)
【出願日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000094
【国際公開番号】WO2005/007717
【国際公開日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】