説明

治療用の置換シクロペンタン類

治療用化合物を本明細書において開示する。また、それらの化合物に関連する方法、組成物および医薬品も開示する。本明細書に開示する化合物は、眼の症状、腸疾患および脱毛症を治療するのに使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願との相互参照)
本出願は、2008年3月18日に出願された米国仮特許出願第61/037,625号および2009年3月16日に出願された米国非仮特許出願第12/404,753号の権利を主張する;両出願は、その全体を本明細書に合体させる。
【背景技術】
【0002】
眼圧降下剤は、術後およびレーザー線維柱帯切除術後の高眼圧症状発現、緑内障のような多くの各種高眼圧症状の治療において、さらに、術前補助薬として有用である。
緑内障は、眼圧上昇に特徴を有する眼の疾患である。その病因に基づき、緑内障は、原発性または続発性として分類されている。例えば、成人における原発性緑内障(先天性緑内障)は、開放隅角または急性もしくは慢性閉塞隅角のいずれかであり得る。続発性緑内障は、ブドウ膜炎、眼球腫瘍または膨化白内障のような先在眼疾患に由来する。
原発性緑内障の根底にある原因は、今のところ未知である。眼圧上昇は、房水流出の障害に基づく。慢性開放隅角緑内障においては、前眼房およびその解剖構造は正常のようであるが、房水の排出が阻害されている。急性または慢性閉塞隅角緑内障においては、前眼房が浅く、濾過胞角が狭窄し、虹彩が小柱網をシュレム管の入口で遮断し得る。瞳孔散大は、虹彩の根元を隅角の前方へ押し得、また、瞳孔ブロックを発生させ得、従って、急性発作が生ずる。狭前眼房角を有する目は、種々の重症度の急性閉塞隅角緑内障発作にかかりやすい。
【0003】
続発性緑内障は、房水の後眼房から前眼房への、そして、その後のシュレム管への流れによる何らかの干渉に起因する。前眼部の炎症性疾患は、膨隆虹彩内に完全虹彩後癒着を生じることによって房水散逸を妨げ得、排出チャンネルを滲出液で閉塞し得る。他の一般的な病因は、眼球腫瘍、膨化白内障、網膜中心静脈閉塞症、眼の外傷、術式および眼内出血である。
全てのタイプをまとめて検討すると、緑内障は、40歳以上の全人口の約2%において発症し、急速な失明に進行する前の数年間は無症状であり得る。手術が適応でない場合においては、局所β‐アドレナリン受容体拮抗薬が、伝統的に、緑内障治療における選択薬物である。
【0004】
ある種のエイコサノイド類およびその誘導体は、緑内障の管理に使用するのに現在商業的に入手可能である。エイコサノイド類および誘導体としては、プロスタグランジン類およびその誘導体のような多くの生物学的に重要な化合物がある。プロスタグランジン類は、下記の構造式を有するプロスタン酸の誘導体として説明することができる。
【化1】

【0005】
種々のタイプのプロスタグランジンが、プロスタン酸骨格の構造およびその脂環式環上に担持された置換基に応じて知られている。さらなる分類は、包括的タイプのプロスタグランジンの後の下付き数字[例えば、プロスタグランジンE1(PGE1)、プロスタグランジンE2(PGE2)]によって示される側鎖中の不飽和結合の数、およびαまたはβ[例えば、プロスタグランジンF(PGF)]によって示される脂環式環上の置換基の構造に基づく。
【0006】
下記に示すプロスタグランジンEアナログは、本明細書に参考として明確に合体させる次の文献において開示されている:米国特許第5,462,968号;米国特許第5,698,598号;および米国特許第6,090,847号。
【化2】

【0007】
プロスタグランジンEP2選択性作用薬は、緑内障の治療において有用であり、数種の医療用途を有するものと信じている。例えば、米国特許第6,437,146号は、プロスタグランジンEP2選択性作用薬の“関節および筋肉の炎症および疼痛(例えば、関節リウマチ、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、痛風性関節炎、若年性関節炎等)、炎症性皮膚症状(例えば、日焼け、火傷、湿疹、皮膚炎等)、炎症性眼症状(例えば、結膜炎等)、炎症に関与する肺疾患(例えば、喘息、気管支炎、ハト病(pigeon fancier's desease)、農夫肺等)、炎症に関連する胃腸管症状(例えば、アフター性潰瘍、クローン病、萎縮性胃炎、ガストリチス バリアロフォーム(gastritis varialofome)、潰瘍性大腸炎、セリアック病、限局性回腸炎、過敏性腸症候群等)、歯肉炎、炎症、術後または負傷後の疼痛および腫れ、発熱、炎症に関連する疼痛および他の症状、アレルギー性疾患、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、腱炎、滑液包炎、結節性動脈周囲炎、リウマチ熱、シェーグレン症候群、ベーチェット病、甲状腺炎、I型糖尿病、糖尿病性合併症(糖尿病性細小血管症、糖尿病性網膜症、糖尿病性ネフロパシー等)、ネフローゼ症候群、再生不良性貧血、重症筋無力症、ブドウ膜炎接触性皮膚炎、乾癬、川崎病、サルコイドーシス、ホジキン病、アルツハイマー病、腎臓機能障害(腎炎、腎炎症候群等)、肝機能障害(肝炎、肝硬変等)、胃腸障害(下痢、炎症性腸疾患等)、ショック、骨粗しょう症のような異常骨代謝に特徴を有する骨疾患(特に、閉経後骨粗しょう症)、高カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、骨パジェット病、骨溶解、骨への転移を有するまたは有さない悪性腫瘍の高カルシウム血症、関節リウマチ、歯周炎、骨関節炎、骨痛、骨減少症、癌悪液質、結石症(calculosis)、結石症(lithiasis) (特に、尿石症)、固形癌、メサンギウム増殖性糸球体腎炎、浮腫(例えば、心臓性浮腫、脳水腫等)、悪性高血圧症等のような高血圧症、月経前緊張症、尿石、急性または慢性不全に起因する疾患のような乏尿症、高リン酸塩尿症等の治療および予防における”使用を教示している。
米国特許第6,710,072号は、EP2作用薬の“骨粗しょう症、便秘、腎障害、性機能障害、脱毛症、糖尿病、癌および免疫調節障害等;急性心筋梗塞、血管内血栓、高血圧症、肺高血圧症、虚血性心疾患、うっ血性心不全および狭心症のような種々の病態生理学的疾患”の治療および予防における使用を教示している。
【発明の概要】
【0008】
本明細書においては、緑内障、炎症性腸疾患の治療、育毛の刺激、産毛から硬毛への転換の刺激において有用な化合物を開示する。これらの化合物自体を以下に開示する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
下記を含む化合物またはその製薬上許容し得る塩もしくはプロドラッグを、本明細書において開示する:
【0010】
【化3】

(式中、点線は、結合の存在または不存在を示す)。
【0011】
点線は結合の存在または不存在を示すので、下記に示す化合物、またはその製薬上許容し得る塩もしくはそプロドラッグが可能である。
【0012】
【化4】

【0013】
【化5】

【0014】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するものではないが、下記の構造において示す立体化学性を有する化合物、並びにその製薬上許容し得る塩およびプロドラッグを特に意図する。
【0015】
【化6】

【0016】
【化7】

【0017】
【化8】

【0018】
本明細書に開示する化合物は、哺乳類における緑内障または高眼圧症の予防または治療において、或いは緑内障または高眼圧症の治療用医薬品の製造において有用である。さらに、本明細書に開示する化合物は、脱毛症の治療においても有用であり得る。また、本明細書において開示する化合物は、上記で列挙した疾患のようなプロスタグランジンEP2作用薬による治療に適するような当該技術において開示された疾患の治療においても有用である。
【0019】
“製薬上許容し得る塩”とは、親化合物の活性を保持し、親化合物と比較して、投与する対象者に対してまた投与するのに関連して何らさらなる有害なまたは厄介な作用を与えない任意の塩である。また、製薬上許容し得る塩は、酸、他の塩、または酸もしくは塩に転換するプロドラッグの投与の結果として生体内で生じ得る任意の塩も称する。
【0020】
酸性官能基の製薬上許容し得る塩類は、有機または無機塩基から誘導し得る。塩は、一価または多価イオンを含み得る。特に興味があるのは、無機イオンのリチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムおよびマグネシウムである。有機塩は、アミン類、特にモノ‐、ジ‐およびトリアルキルアミンまたはエタノールアミンのようなアンモニウム塩によって製造し得る。また、塩は、カフェイン、トロメタミンおよび同様な分子によっても形成し得る。塩酸またはある種の他の製薬上許容し得る酸は、アミンまたはピリジン環のような塩基性基を含有する化合物と塩を形成し得る。
【0021】
“プロドラッグ”は投与後に治療活性化合物に転換する化合物であり、この用語は、当該技術において一般に理解されているように本明細書においても広く解釈すべきである。本発明の範囲を限定するつもりはないが、転換は、エステル基またはある種の他の生物学的に不安定な基の加水分解によって生じ得る。一般的には(必然的ではなく)、プロドラッグは、転換する治療活性化合物よりも不活性であるかまたはあまり活性でない。本明細書において開示する化合物のエステルプロドラッグを、特に意図する。エステルは、C1のカルボン酸(即ち、天然プロスタグランジンの末端カルボン酸)から誘導し得、或いはエステルは、フェニル環のような分子の他の部分のカルボン酸官能基から誘導し得る。限定するつもりはないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステルまたはヘテロアリールエステルであり得る。用語アルキルとは、当業者が一般的に理解している意味を有し、線状、枝分れまたは環状アルキル成分を称する。エステルのアルキル成分が1〜6個の炭素原子を有するC1‐6アルキルエステルは、特に有用であり、限定するものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n‐ブチル、sec‐ブチル、イソ‐ブチル、t‐ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよび1〜6個の炭素原子を有するこれらの組合せ等がある。C1‐6アルキルエステルは、エステルの酸素に直接結合する1〜6個の炭素を有するアルキル成分を有する。
【0022】
また、下記の化合物も意図し、さらにまた、これら化合物の任意の製薬上許容し得る塩または任意のプロドラッグを本発明においては特に意図する。全ての化合物が、特記している場合を除き、ジアステレオマーの混合物である。
【0023】
【化9】

【0024】
【化10】

【0025】
【化11】

【0026】
【化12】

【0027】
【化13】

【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

【0030】
【化16】

【0031】
1つの実施態様は、上記で開示した化合物のような本明細書において開示するいずれかの化合物の、緑内障または高眼圧症の治療用医薬品の製造における使用である。
もう1つの実施態様は、上記で開示した化合物のような本明細書において開示するいずれかの化合物の、炎症性腸疾患の治療用医薬品の製造における使用である。
もう1つの実施態様は、上記で開示した化合物のような本明細書において開示するいずれかの化合物を、哺乳類の眼に緑内障または高眼圧症の治療のために局所投与することを含む方法である。
もう1つの実施態様は、上述した化合物を含む本明細書において開示した任意の化合物の、脱毛症の治療用医薬品の製造における使用である。
【0032】
当業者であれば、医薬品の投与または製造に当っては、本明細書において開示する化合物を当該技術においてそれ自体周知である製薬上許容し得る賦形剤と混合し得ることは容易に理解し得るであろう。特に、全身投与すべき薬物は、経口投与または非経口投与または吸入に適する粉末、ピル、錠剤等として、或いは、溶液、エマルジョン、懸濁液、エアゾール、シロップまたはエリキシル剤として調合し得る。
【0033】
固形の投与剤形または医薬品用には、無毒性固形担体として、限定するものではないが、製薬級のマンニトール、ラクトース、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリン酸ナトリウム、ポリアルキレングリコール、タルカム、セルロース、グルコース、スクロースおよび炭酸マグネシウムがある。固形投与剤形は、コーティーングしなくてもよく、或いは、既知の方法によってコーティーングして胃腸管内での崩壊および吸収を遅延させ、それによって、長期に亘る持続作用を付与し得る。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を使用し得る。また、固形投与剤形は、米国特許第4,256,108号、第4,166,452号および第4,265,874号に記載された方法によってコーティーングして、制御放出用の浸透性治療用錠剤を調製することもできる。薬物投与可能な液体投与剤形は、例えば、例えば水、生理食塩水、含水デキストロース、グリセリン、エタノール等のような担体中の1種以上の現在有用な化合物および任意成分としての製薬用アジュバントの溶液または懸濁液を含み、それによって、溶液または懸濁液を調製することができる。必要に応じて、投与すべき製薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の無毒性補助物質もまた含有し得る。そのような助剤の典型的な例は、酢酸ナトリウム、モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、酢酸ナトリウム、オレイン酸トリエタノールアミン等である。そのような投与剤形の実際の調製方法は、既知であり、当業者にとっては明白であろう;例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Company, Easton, Pa., 16th Edition, 1980を参照されたい。投与すべき製剤組成物は、いずれにしても、一定量の1種以上の現在有用な化合物を所望する治療効果を与える有効量で含有する。
【0034】
非経口投与は、一般的には、皮下、筋肉内または静脈内のいずれかの注射に特徴を有する。注射物質は、通常の剤形で、液体の溶液または懸濁液、注入前に液体中溶液または懸濁液にするのに適する固形剤形、またはエマルジョンのいずれかとして調製し得る。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセリン、エタノール等である。さらに、必要に応じて、投与する注射用製薬組成物は、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝剤等のような少量の無毒性補助物質も含有し得る。
投与する現在有用な化合物(1種以上)の量は、所望する治療効果(単数または複数の)、治療する特定の哺乳類、哺乳類症状の重篤度および性質、投与方式、使用する特定化合物(1種以上)の有効性および薬力学、並びに処方医師の判断による。現在有用な化合物(1種以上)の製薬上有効な投与量は、約0.5または約1〜約100mg/kg/日の範囲内であり得る。
【0035】
眼科的に許容し得る液体を、眼に局所投与し得るように調合する。快適性を可能な限り最大限にするべきであるが、場合によって、製剤検討事項(例えば、薬物安定性)は、最適よりも低い快適性を必要とする。快適性を最大限にできない場合、液体は、液体が患者にとって局所眼科使用において寛容であるように調合すべきである。さらに、眼科的に許容し得る液体は、単回使用用に包装するか、或いは、多数回使用における汚染を防止するために防腐剤を含有しなければならない。
【0036】
眼科用途においては、液剤または医薬品は、多くの場合、主ビヒクルとして生理食塩溶液を使用して調製し得る。眼科用液剤は、好ましくは、適切な緩衝系によって快適なpHに維持すべきである。また、製剤は、通常製薬上許容し得る防腐剤、安定剤および界面活性剤も含有し得る。
本発明の製薬組成物において使用し得る防腐剤は、限定するものではないが、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀および硝酸フェニル水銀がある。有用な界面活性剤は、例えば、Tween 80である。同様に、各種の有用なビヒクルを、本発明の眼科用調製物において使用し得る。これらのビヒクルとしては、限定するものではないが、ポリビニルアルコール、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポロキサマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよび精製水がある。
【0037】
張度調節剤は、必要に応じてまたは便宜上添加し得る。張度調節剤としては、限定するものではないが、塩類、とりわけ塩化ナトリウム、塩化カリウム;マンニトールまたはグリセリン;或いは任意の他の適切な眼科的に許容し得る張度調節剤がある。
pHを調整するための種々の緩衝液および手段は、得られる製剤が眼科的に許容し得る限り使用し得る。従って、緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液およびホウ酸塩緩衝液がある。酸または塩基類は、これらの製剤のpHを必要に応じて調整するのに使用し得る。
【0038】
同様な趣旨において、本発明において使用する眼科的に許容し得る酸化防止剤としては、限定するものではないが、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、アセチルシステイン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンがある。
眼科用製剤に含ませ得る他の賦形剤成分は、キレート剤である。有用なキレート剤は、エデト酸二ナトリウムであるが、他のキレート剤もエデト酸二ナトリウムの代りにまたは一緒に使用し得る。
【0039】
上記の各成分は、通常、下記の量で使用する:


【0040】
局所用途においては、本明細書において開示する化合物を含有するクリーム、軟膏、ゲル、液剤または懸濁液等を使用する。局所製剤は、一般に、製薬用担体、共溶媒、乳化剤、浸透促進剤、防腐剤系および皮膚軟化剤からなり得る。
本発明の活性化合物の実際の投与量は、特定の化合物および治療すべき症状による;適切な投与量の選択は、明らかに熟練技術者の知識範囲内である。
また、本明細書において開示する化合物は、緑内障または他の症状の治療において有用な他の薬物との併用においても有用である。
【0041】
緑内障の治療においては、下記の群の薬物との併用治療を意図する:
カルテオロール、レボブノロール、メチパラノロール(metiparanolol)、チモロール半水和物、マレイン酸チモロール、ベタキソロールのようなβ1‐選択性拮抗薬等のようなβ‐遮断薬(またはβ‐アドレナリン拮抗薬)、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ。
【0042】
下記のようなアドレナリン作用薬
ホウ酸エピネフリン、塩酸エピネフリンおよびジピベフリン等のような非選択的アドレナリン作用薬、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ;および、
アプラクロニジン、ブリモニジン等のようなα2‐選択性アドレナリン作用薬、またはその製薬上許容し得る塩またはそのプロドラッグ;
アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド等のような炭酸脱水酵素阻害薬、またはその製薬上許容し得る塩またはそのプロドラッグ。
【0043】
下記のようなコリン作用薬
カルバコール、塩酸ピロカルピン、硝酸ピロカルビン、ピロカルピン等のような直接作用性コリン作用薬、またはその製薬上許容し得る塩またはそのプロドラッグ;
デメカリウム、エコチオフェート、フィゾスチグミン等のようなコリンエステラーゼ抑制剤、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ;
メマンチン、アマンタジン、リマンタジン、ニトログリセリン、デキストロファン、デトロメトルファン、CGS‐19755、ジヒドロピリジン、ベラパミル、エモパミル、ベンゾチアゼピン、ベプリジル、ジフェニルブチルピペリジン、ジフェニルピペラジン、HOE 166および関連薬、フルスピリレン、エリプロジル、イフェンプロジル、CP‐101、606、チバロシン、2309BTおよび840S、フルナリジン、ニカルジピン、ニフェジンピン(nifedimpine)、ニモジピン、バルニジピン、ベラパミル、リドフラジン、乳酸プレニラミン、アミロリド等のようなグルタミン酸拮抗薬およびCa2+チャンネル遮断薬のような他の神経保護薬、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ;
ビマトプロストのようなプロスタミド類、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ;および、
トラボプロスト、UFO‐21、クロプロステノール、フルプロステノール、13,14‐ジヒドロ‐クロプロステノール、イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト等のようなプロスタグランジン類。
WIN‐55212‐2およびCP‐55940等のようなCB1作用薬を包含するカンナビノイド類、またはその製薬上許容し得る塩、またはそのプロドラッグ。
【0044】
緑内障のような眼に影響を与える疾患の治療においては、これらの化合物は、局所、眼周囲、眼内または当該技術において既知の任意の他の有効な手段により投与し得る。
また、これらの化合物は、以下のような目の後部に影響を与える症状を治療または予防するのにも使用し得る:非滲出性加齢性黄斑変性症(ARMD)、滲出性加齢性黄斑変性症(ARMD)、脈絡膜血管新生、糖尿病性網膜症、急性黄斑視神経網膜症、中心性漿液性網脈絡膜症、類嚢胞黄斑部浮腫および糖尿病性黄斑浮腫のような黄斑変性症/網膜変性症;急性多発性小板状色素上皮症、ベーチェット病、散弾状脈絡膜炎(birdshot retinochoroidopathy)、感染症(梅毒、ライム病、結核症、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(扁平部炎)、多巣性脈絡膜炎、多発消失性白点症候群(mewds)、眼サルコイドーシス、後部強膜炎、匍行性脈絡膜炎、網膜下線維症およびブドウ膜炎症候群、フォークト・小柳・原田症候群のようなブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎;網膜動脈閉塞性疾患、網膜中心静脈閉塞症、播種性血管内凝固障害、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧性基底部変化、眼虚血症候群、網膜動脈毛細血管瘤、コーツ病、傍中心窩毛細血管拡張症、半網膜静脈閉塞、乳頭静脈炎、網膜中心動脈閉塞、網膜動脈分枝閉塞症、頸動脈疾患(CAD)、樹氷状分枝血管炎(frosted branch angiitis)、鎌状赤血球網膜症および他の異常血色素症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症およびエーレス(Eales)病のような血管疾患/滲出性疾患;交感性眼炎、網膜ブドウ膜炎疾患、網膜剥離、外傷、レーザーに起因する症状、光線力学療法に起因する症状、光凝固、術中の灌流低下、放射線網膜症および骨髄移植網膜症のような外傷性/外科的症状;増殖性硝子体網膜症および網膜上膜症、および増殖性糖尿病網膜症のような増殖性疾患;眼ヒストプラスマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラスマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ症、HIV感染に関連する網膜疾患、HIV感染に関連する脈絡膜疾患、HIV感染に関連するブドウ膜炎疾患、ウィルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外部壊死、真菌性網膜疾患、眼梅毒、眼結核症、片側性瀰漫性亜急性視神経網膜炎およびハエ蛆症のような感染性障害;網膜色素変性症、網膜ジストロフィーに関連する全身性障害、先天性定常性夜盲症、錐体ジストロフィー、スタルガルト病および黄色斑眼底、ベスツ病、網膜色素上皮のパターンジストロフィー、X連鎖性網膜分離症、ソーズビー(Sorsby)眼底ジストロフィー、良性同心性黄斑変性症、ビエッティ(Bietti's)水晶体ジストロフィーおよび弾性線維性仮性黄色腫のような遺伝性疾患;網膜剥離、黄斑円孔および巨大網膜裂傷のような網膜裂傷/孔;腫瘍に関連する網膜疾患、網膜色素上皮の先天性肥大、後部ブドウ膜メラノーマ、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜と網膜色素上皮の合併過誤腫、網膜芽腫、眼底の血管増殖腫瘍、網膜萎縮および眼内リンパ節腫瘍のような腫瘍;並びに、点状脈絡膜内層症、急性多発性小板状後部色素上皮症、近視性網膜変性症および急性網膜色素上皮症のような眼の後部に影響する混合型の他の疾患。好ましくは、上記疾患または症状は、網膜色素変性症、増殖性硝子体網膜症(PVR)、加齢性黄斑変性症(ARMD)、糖尿病性網膜症、糖尿病性黄斑浮腫、網膜剥離、網膜裂傷、ブドウ膜炎またはサイトメガロウイルス性網膜炎である。
【0045】
育毛刺激のための用途
1つの実施態様においては、本明細書において開示する化合物は、禿頭症および/または脱毛の治療において有用であり得る。脱毛症(禿頭症)は、正常または異常毛髪いずれかの欠乏症であり、主として、ヒトにおける美容上の問題である。脱毛症は、容易に見受けられる硬毛、幅広直径、染髪の欠乏症である。しかしながら、いわゆる禿頭症の人においては、硬毛の顕著な欠乏があるものの、皮膚には産毛が存在し、この産毛は、その存在を判定するのに顕微鏡検査を必要とし得る微細で無色の毛である。この産毛は、硬毛へのプレカーサーである。
【0046】
本明細書において説明する化合物は、例えば、産毛が硬毛として成長するような転換並びに硬毛の成長速度の増進を刺激するのに使用し得る。本明細書において説明する化合物の育毛の刺激における有用性は、下記のようにして発見した。
【0047】
緑内障患者を治療する過程においては、治療が片目においてのみ適切であり得る。日常の診察過程において、ビマトプロスト(bimatoprost)、即ち、プロスタグランジンのアナログで治療している患者が、治療していない目におけるよりも治療している目において長くて、濃くそして太いまつげが生えることを発見した。検査すると、違いは、極めて顕著であることが判明した。まつげは、治療した目において、より長く、且つより太くて濃密な外観を有していた。治療した目の眼瞼上のまつげ外観は、その外観が両側的現象を示す場合、全く魅力的なようであった。その非対称性の結果としては、一方側での長いまつげは、美容的観点からは嫌悪的であると解釈し得た。全身検査を、その非対称現象の結果として実施した。この変貌した外観は単独所見ではなかったことがまもなく明らかとなった。片目のみにビマトプロストを投与した複数の患者の眼瞼を比較すると、数名の患者におけるビマトプロストで治療した方のまつげおよび隣接体毛において微妙な変化が明らかになった。明確な差異は、6ヶ月よりも長く片側基準で上記薬物を投与した全ての患者のまつげおよび隣接体毛において変動する度合で識別し得た。
【0048】
まつげの変化は、注意をこの問題に絞った時点で、数名の患者における肉眼検査で明白であった。淡色の体毛およびまつげを有する患者においては、上記の差異は、細隙灯生体顕微鏡の高倍率および照明機能の助けによってのみ容易に観察された。緑内障のフォローアップ検査過程においては、注意は、一般的に、目自体に直接絞られる。必要な高出力倍率の結果として、片目のみが1回観察され、その目が、まつげには焦点が当てられない高い十分な出力で観察される。これらの高出力においては、両目間の如何なるまつげの非対称性も、両目の眼瞼のまつげおよび隣接体毛の注意深い意図的な比較による以外には、注目されないようである。
【0049】
より健全な育毛が上記プロスタグランジンアナログの投与後の治療領域において生じたという結論に至った観察パラメーターは、複数であった、これらのパラメーターとしては、まつげの長さ増大;正常なまつげ線に沿ったまつげ数の増大;まつげの厚さおよび光沢の増大;正常なまつげ成長領域に隣接する暫定的領域における助まつげ(auxiliary lash)様硬毛の増加;内および外眼角領域における助まつげ様硬毛の増大;まつげの色素増大;隣接眼瞼の皮膚上の微細毛の数の増加、長さの増大および光沢と厚さの増大;および、最後の、まつげおよびまつげ様硬毛の垂直角度形成の増大がある。育毛がビマトプロストのようなプロスタグランジンアナログによって刺激を受けているという上記の結論は、そのように、単一のパラメーターにおける差異の証拠によって裏付けされているのではなく、多数の対象者における対照領域に対する治療領域の体毛外観の複数のパラメーターに基づいている。
【0050】
本明細書において説明する化合物は、プロスタグランジンアナログであり、従って、ビマトプロストと同様な活性を有し、構造的類似性を有し、従って、育毛を刺激し、産毛の硬毛への転換の刺激が期待される。1つの実施態様においては、本明細書において説明する化合物およびそのプロドラッグは、育毛の刺激において使用し得る。本明細書において使用するとき、育毛とは、動物の頭皮、眉、眼瞼、髭および他の皮膚領域に関連する体毛を包含する。
【0051】
1つの実施態様においては、上記化合物は、皮膚科的に適合し得るビヒクルまたは担体と混合する。本明細書において説明するような組成物を調製するのに使用し得るビヒクルは、例えば、例えば生理食塩水のような水溶液、オイル溶液または軟膏を含み得る。さらにまた、上記ビヒクルは、例えば、塩化ベンザルコニウムのような皮膚科的に適合し得る防腐剤;例えば、ポリソルベート80のような界面活性剤;リポソームまたはポリマー類、例えば、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンおよびヒアルロン酸も含み得る;これらは、粘度を増大させるために使用し得る。さらにまた、薬物を投与すべき場合、可溶性または不溶性の薬物挿入物を使用することも可能である。
【0052】
1つの実施態様においては、有効な養毛刺激量の上記で定義したような1種以上の化合物と皮膚科的に適合し得る担体とを含む皮膚科用組成物を、養毛の刺激のための局所治療用に製剤化し得る。活性化合物の有効量は、当業者であれば、決定し得ることであるが、使用する化合物、投与頻度および所望する結果に応じて変動するであろう。上記化合物は、上記皮膚科組成物の一般に約0.0000001〜約50質量%の範囲である。好ましくは、上記化合物は、皮膚科組成物全体の約0.001〜約50質量%、より好ましくは上記組成物の約0.1〜約30質量%の範囲である。
【0053】
1つの実施態様においては、本発明の化合物の養毛の刺激における使用は、ヒトおよび動物の双方を含む哺乳類種における使用を見出している。ヒトにおいては、本明細書において説明する化合物は、例えば、頭皮、顔髭、頭、恥部領域、上唇部、眉および眼瞼に使用し得る。その生皮のために飼育する動物、例えば、ミンクにおいては、本明細書において説明する化合物は、身体表面の全体に亘って適用して、生皮全体を商業的理由のために改良し得る。また、この方法は、動物における美容的理由においても使用し得、例えば、疥癬またはある程度の脱毛症を生じる他の疾患による地肌を有するイヌおよびネコの皮膚に適用し得る。
【0054】
育毛の刺激を意図する製薬組成物としては、局所および局部作用に適する製薬組成物がある。本明細書において使用するときの用語“局所”とは、適切な製薬用担体中に混入し且つ薄毛または禿頭部位に適用して局所作用を発揮させるための、本明細書において説明するような化合物の使用に関連する。従って、そのような局所用組成物としては、上記化合物を治療すべき皮膚と直接接触させることによって外的に適用する製剤形がある。この目的のための通常の製剤形としては、軟膏、塗布薬(liniment)、クリーム、シャンプー、ローション、ペースト、ゼリー、スプレー、エアゾール等があり、治療すべき身体部分に応じてパッチまたは含浸包帯において適用し得る。用語“軟膏”は、油性、水溶性およびエマルジョンタイプの基剤、例えば、ペトロラタム、ラノリン、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物を含む製剤(クリームを含む)を包含する。
【0055】
典型的には、上記化合物は、治療すべき身体部、例えば、眼瞼、眉、皮膚または頭皮に局所的に長時間繰返して使用し得る。好ましい投与処方は、一般に、少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、最も好ましくは少なくとも6ヶ月の治療期間における毎日のような規則的な投与を含む。
【0056】
眼瞼または眉においての局所使用においては、上記活性化合物は、製薬上許容し得る緩衝剤または塩を添加することによって生理学的に許容し得るオスモル濃度を示す水溶液、クリーム、軟膏またはオイル中で製剤化し得る。そのような製剤は、ディスペンサーに応じて、添加剤として、ベンズアルコニウムクロリド、クロルヘキシジン、クロロブタノール、パラヒドロキシ安息香酸並びに硝酸塩、塩化物、酢酸塩およびホウ酸塩のようなフェニル水銀塩のような防腐剤;または、酸化防止剤;並びに、EDTA、ソルビトール、ホウ酸等のような添加剤を含有し得または含有し得ない。さらにまた、特に、水溶液は、多糖類、例えば、メチルセルロース;ムコ多糖類、例えば、ヒアルロン酸およびコンドロイチン硫酸、または多価アルコール、例えば、ポリビニルアルコールのような粘度上昇剤も含有し得る。また、種々の遅延放出性ゲルおよびマトリックス、並びに、例えば、その場でゲルを形成する物質をベースとする可溶性および不溶性接眼挿入物も使用し得る。使用する実際の製剤および化合物に応じて、種々の量の薬剤および種々の投与処方を使用し得る。典型的には、眼瞼の治療における化合物の日量は、眼瞼当り約0.1ng〜約100mgであり得る。
【0057】
皮膚および頭皮においての局所使用においては、上記化合物は、活性成分の担体として軟膏、クリーム、塗布薬またはパッチを使用して有利に製剤化し得る。また、これらの製剤は、ディスペンサーおよび使用の性質に応じて、防腐剤を含有し得または含有し得ない。そのような防腐剤としては、上述したような防腐剤;および、メチル‐、プロピル‐またはブチル‐パラヒドロキシ安息香酸;ベタイン;クロルヘキシジン;ベンズアルコニウムクロリド等がある。また、遅延放出伝達用の各種マトリックスも使用し得る。典型的には、頭皮に適用すべき投与量は、化合物および製剤に応じて、1日当り約0.1ng〜約100mg、より好ましくは1日当り約1ng〜約10mg、最も好ましくは1日当り約10ng〜約1mgの範囲である。製剤に応じた投与日量を達成するために、上記化合物は、酸化防止剤と一緒にまたは酸化防止剤なしで、1日1回または数回投与し得る。
また、これらの化合物は、ぜん息の治療において有用である。
【0058】
実施例
【化17】

【0059】
(R)‐4‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐ヨード‐シクロペンテ‐2‐エノン (2)
A.G. Myers and P. S. Dragovich J. Am. Chem. Soc. 1993, 115, 7021に記載されている手順と同様な手順に従った。ジクロロメタン(5mL)中のエノン1 (3.163g、14.9ミリモル;Evotec OAI社、英国、オックスフォードアビントンミルトンパーク151、OX 14 4SD)とピリジン (5mL)の0℃溶液を、ピリジン(12mL)/ジクロロメタン(12mL)中のI2 (6.511g、25.7ミリモル)の溶液で処理した。反応物を室温に温め、2時間後、1M HCl (60mL)を添加した。得られた混合物を、100mLの1M HCl中に注ぎ入れ、その後、ジクロロメタン(3×60mL)で抽出した。混ぜ合せたジクロロメタン溶液を飽和NaHSO3溶液および塩水で洗浄し、その後、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、化合物2(4.600g、91%)を得た。
【0060】
1‐(4‐ブロモ‐フェニル)‐ヘキサン‐1‐オール (4)
n‐ペンチルMgBr (29mL、58ミリモル、2M/エーテル)を、THF (100mL)中の4‐ブロモベンズアルデヒド(9.953g、54ミリモル)の0℃溶液に添加した。1時間後、反応物を200mLの飽和塩化アンモニウム溶液を添加することによって失活させた。得られた混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、4 (10.501g、76%)を得た。
【0061】
[1‐(4‐ブロモ‐フェニル)‐ヘキシルオキシ]‐tert‐ブチル‐ジメチル‐シラン (5)
TBSOTf (2.9mL、12.6ミリモル)を、ジクロロメタン(30mL)中の4(3.017g、11.7ミリモル)と2,6‐ルチジン (1.6mL、13.7ミリモル)の氷冷溶液に添加した。反応物を室温で2時間撹拌し、その後、100mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加した。得られた混合物をジクロロメタン(30mL)で抽出し、ジクロロメタン層を1M HCl (2×50mL)および塩水 (50mL)で洗浄した。その後、ジクロロメタン溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン)により精製して、化合物5(3.843g、88%)を得た。
【0062】
3‐アリル‐安息香酸エチルエステル (7)
40mLのTHF中の3‐ヨード安息香酸エチル(2.434g、8.8ミリモル)の−45℃溶液を、i‐PrMgCl (4.8mL、9.6ミリモル、2M/エーテル)で処理した。1時間後、臭化アリル(1.6mL、18.9ミリモル)を、次いで、CuCN (79mg、0.88ミリモル)を添加した。反応物を1時間撹拌し、その後、50mLの飽和NH4Cl溶液を添加して失活させた。水(30mL)を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(5%酢酸エチル/ヘキサン→10%)により精製して、化合物7(1.145g、68%)を得た。
【0063】
3‐{3‐[(R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐5‐オキソ‐シクロペンテ‐1‐エニル]‐プロピル}‐安息香酸エチルエステル (8)
0.5mLのTHF中の7(303mg、1.6ミリモル)の溶液を、6mLのTHF中の9‐BBNダイマー(393mg、1.6ミリモル)の溶液に添加した。4時間後、0.1mLのH2Oを添加した。溶液を20分間撹拌し、その後、DMF (3.2mL)中のPdCl2(dppf) (78mg、0.11ミリモル)と2(387mg、2.0ミリモル)の混合物にカニューレで移した。K3PO4 (0.7mL、2.1ミリモル、3M)を添加し、暗色溶液を1.25時間撹拌した。その後、溶液を50mLの塩水中に注ぎ入れ、得られた混合物を酢酸エチル(2×30mL)で抽出した。混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、292mg (46%)のエノン8を得た。
【0064】
1〜8 → → 3‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐安息香酸 (13)
13まで至る順序を、スキーム1に示しているようにして、また、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)の図5、6(,本明細書に参考として明確に合体させる)に記載されているようにして完了させた。
【0065】
化合物14a
トリエチルアミンとクロロギ酸エチルを、室温のCH2Cl2中の化合物13の溶液に順次添加した。2.5時間後、トリエチルアミンとエチレングリコールを添加した。室温で1夜撹拌した後、反応混合物をH2OとCH2Cl2間に分配させた。相を分離し、水性相をCH2Cl2 (2×)で抽出した。混ぜ合せた有機相を1N HClで洗浄し、次いで、乾燥させ(MgSO4)、濃縮し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー (10%CH3OH/CH2Cl2)により精製して、化合物14aを得た。
【0066】
化合物14b
トリエチルアミンとクロロギ酸エチルを、室温のCH2Cl2中の化合物13の溶液に順次添加した。2.5時間後、トリエチルアミンと4‐(2‐ヒドロキシエチル)‐モルフィンを添加した。室温で1夜撹拌した後、反応混合物をH2OとCH2Cl2間に分配させた。相を分離し、水相をCH2Cl2 (2×)で抽出した。混ぜ合せた有機相を1N HClで洗浄し、次いで、乾燥させ(MgSO4)、濃縮し、真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのフラッシュカラムクロマトグラフィー(10%CH3OH/CH2Cl2)により精製して、化合物14bを得た。
【0067】
5‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐チオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステル
標題化合物を、1〜12において説明している手順と同様な手順を使用し、5‐ブロモ‐チオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステルによって出発して調製した;上記メチルエステルは、次のようにして5‐ブロモ‐チオフェン‐2‐カルボン酸から調製した:塩化アセチル(6.87mL、96.6ミリモル)を、メタノール(30mL)中の5‐ブロモ‐チオフェン‐2‐カルボン酸(4.0g、19.3ミリモル)に添加した。反応物を1夜撹拌し、その後、加熱して1.5時間還流させた。反応物を室温に冷却し、その後、蒸発させた。残留物を120mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液で処理し、得られた混合物をジクロロメタン(3×100mL)で抽出した。混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させて、3.57g (84%)の5‐ブロモ‐チオフェン‐2‐カルボン酸メチルエステルを得た。
【0068】
5‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐チオフェン‐2‐カルボン酸
標題化合物を、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されたウサギ肝臓エステラーゼ手順を使用する上記メチルエステルの加水分解によって調製した。
【0069】
5‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐チオフェン‐2‐カルボン酸イソプロピルエステル
標題化合物を、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号 (現在2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載された標準手順を使用して、上記の相応する酸から調製した。
【0070】
【化18】

【0071】
(E)‐3‐(3‐ヒドロキシメチル‐フェニル)‐アクリル酸メチルエステル (17)
Reich, S.H. et.al. J.Med.Chem. 2000, 43, 1670に記載されている手順に従った。Pd(OAc)2 (8.2mg、0.037ミリモル)とトリエチルアミン(0.360mL、2.58ミリモル)を、CH3CN (4.5mL)中の3‐ヨードベンジルアルコール15(0.27mL、2.13ミリモル)とアクリル酸メチル16(0.220mL、2.44ミリモル)の溶液に添加した。反応容器をテフロン(登録商標)スクリューキャップで密閉し、100℃で5時間加熱した。この時点で、反応物を室温に冷却し、チューブに0.22mLよりも多いアクリル酸メチル、11.7mgのPd(OAc)2と0.360mLのトリエチルアミンを装入した。反応物を100℃で1夜加熱し、その後、10mLの飽和塩化アンモニウム溶液を添加した。得られた混合物をジクロロメタン(3×40mL)で抽出し、混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、395mg (97%)の化合物17を得た。
【0072】
3‐(3‐ヒドロキシメチル‐フェニル)‐プロピオン酸メチルエステル (18)
(Ph3P)3RhCl (11.5mg、0.012ミリモル)を、0.400mLのエタノール中の17(25mg、0.13ミリモル)の溶液に添加した。反応物を、101.33kPa (1気圧)のH2バルーン下に20時間撹拌し、その後、セライトによって濾過した。蒸発乾固し、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、化合物18(21mg、82%)を得た。
【0073】
3‐(3‐ヨードメチル‐フェニル)‐プロピオン酸メチルエステル (19)
0.40mLの1,2‐ジクロロエタン中のPh3P (36mg、0.14ミリモル)、I2 (41mg、0.16ミリモル)およびイミダゾール(10.5mg、0.15ミリモル)の混合物を、15分間撹拌し、その後、0.10mLの1,2‐ジクロロエタン中の18(20.5mg、0.11ミリモル)の溶液を、カニューレによって添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、次いで、塩基性アルミナによって濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を蒸発させ、残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィーにより精製して、化合物19(26mg、81%)を得た。
【0074】
3‐[3‐((1R,2S,3R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐オキソ‐シクロペンチルメチル)‐フェニル]‐プロピオン酸メチルエステル (20)
THF (3mL)中の臭化アリール5(759mg、2.0ミリモル)の−78℃溶液を、tert‐ブチルリチウム (2.6mL、4.4ミリモル、1.7M/ペンタン)で処理した。30分後、Me2Zn (1.1mL、2.2ミリモル、2M/トルエン)を添加し、得られた溶液を0℃で15分間撹拌し、その後、−78℃に再冷却した。1.7mLのTHF中のエノン1(319mg、1.5ミリモル;Evotec OAI社、英国、オックスフォードアビントンミルトンパーク151、OX 14 4SD)を、シリンジポンプによって1時間に亘って添加した。得られた混合物を−78℃で2時間撹拌し、その後、HMPA (2.2mL、12.6ミリモル)を、次いで、THF (1.6mL)中の19(2.641g、8.7ミリモル)の溶液を添加した。反応物を−40℃で1夜撹拌し、その後、40mLの飽和塩化アンモニウム溶液を添加することによって失活させた。少量の水を添加して固形物を溶解し、得られた混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー (10%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、およそ35%のヨウ化ベンジル19が混在する標題ケトン(438mg)を得た。
【0075】
【化19】

【0076】
3‐[3‐((1R,2S,3R,5S)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5-ヒドロキシ‐シクロペンチルメチル)‐フェニル]‐プロピオン酸メチルエステル (21)
2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号 (現在2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている標準のL‐セレクトリド手順を使用し、224mg (エノン1‐1から22%)の純粋化合物21を得た。
【0077】
3〜2 → → 3‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチルメチル}‐フェニル)‐プロピオン酸 (24)
スキーム3に示しているような順序を、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号 (現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図6に記載されている標準手順を使用して完了させた。
【0078】
3‐[3‐((1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐{3‐[ヒドロキシ‐(1‐プロピル‐シクロブチル)‐メチル]‐フェニル}‐シクロペンチルメチル)‐フェニル]‐プロピオン酸メチルエステルおよび3‐[3‐((1R,2S,3R,5R)‐5-クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐{3‐[ヒドロキシ‐(1‐プロピル‐シクロブチル)‐メチル]‐フェニル}‐シクロペンチルメチル)‐フェニル]‐プロピオン酸
各標題化合物を、臭化アリール3〜6(2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図1、4に記載されたようにして調製した)によって出発して、23/24と同様にして調製した。
【0079】
【化20】

【0080】
(2R,3S,4R)‐2‐アリル‐4‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐3‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐シクロペンタノン (27)
化合物27を、20について説明した手順と同様な手順を使用して調製した。
【0081】
27 → (1S,2R,3S,4R)‐2‐アリル‐4‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐3‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐シクロペンタノール (28) → 1‐[(1S,2R,3R,5R)‐2‐アリル‐5‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐3-クロロ‐シクロペンチル]‐4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐ベンゼン (29)
この順序は、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図6において記載されたようにして実施した。
【0082】
2‐[3‐((1R,2S,3R,5R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5-クロロ‐シクロペンチル)‐プロピル]‐チアゾール‐5‐カルボン酸エチルエステル (31)
0.2mLのTHF中の29(39mg、0.069ミリモル)の溶液を、0.2mLのTHF中の9‐BBNダイマー (17mg、0.07ミリモル)の混合物にカニューレで移し、0.2mLのTHFで濯ぎ落した。反応物を50℃の油浴内に2.5時間置き、室温に冷却し、H2O (10μL)を添加した。30分後、溶液を、DMF (0.2mL)中のエチル 2‐ブロモチアゾール‐5‐カルボキシレート4‐4(15mg、0.063ミリモル)とPdCl2(dppf) (5mg、0.007ミリモル)の溶液にカニューレで移した。K3PO4 (31μL、0.09ミリモル、3M)を添加し、溶液を50℃の油浴内に置いた。反応物を1夜撹拌し、その後、15mLの酢酸エチル/15mLの水(少量の塩水を添加した)間に分配させた。水性層を15mLの酢酸エチルでさらに抽出し、混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上での調製TLC (10%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、化合物31(4mg、0.0057ミリモル、8%)を得た。
【0083】
31 → 2‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐チアゾール‐5‐カルボン酸エチルエステル (32) → 2‐(3‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐プロピル)‐チアゾール‐5‐カルボン酸 (33)
この順序は、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図6において説明されているようにして実施した。
【0084】
33の34aと34bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1において説明しているようにして実施した。
【0085】
【化21】

【0086】
(Z)‐7‐((1R,2S,3R,5R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐フルオロ‐シクロペンチル)‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (36)
0.5mLのジクロロメタン中の35(109mg、0.17ミリモル)の溶液を、0.75mL中のジクロロメタン中のデオキソフルオル [ビス(2‐メトキシエチル)アミノサルファートリフルオリド(34μL、0.18ミリモル)の溶液にカニューレで移し入れ、0.25mLのジクロロメタンで濯ぎ落した。反応物を−78℃で2時間撹拌し、その後、10mLの飽和NaHCO3を添加して失活させた。混合物をジクロロメタン(3×15mL)で抽出し、混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー (1%酢酸エチル/ヘキサン→2%)により精製して、25mg (23%)の37と53mgの不純物36を得た。
【0087】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐フルオロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (38)
2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されているHF‐ピリジン手順を追試し、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(40%酢酸エチル/ヘキサン)の後に、30mgの不純物37を得た。分取TLC (35%酢酸エチル/ヘキサン)によってさらに精製して、7mgの純粋38を得た。
【0088】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐フルオロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸 (39)
前述したLiOH手順を使用した(2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号;現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)。
【0089】
39の40aと40bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1に説明しているようにして実施する。
【0090】
【化22】

【0091】
(Z)‐7‐((1R,2S,3R,5S)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐ヒドロキシ‐シクロペンチル)‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (35)および(Z)‐7‐((1R,2S,3R,5R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐ヒドロキシ‐シクロペンチル)‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (42)
NaBH4 (9mg、0.24ミリモル)を、メタノール(0.5mL)中の(Z)‐7‐((1R,2S,3R)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐オキソ‐シクロペンチル)‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル(41) (55mg、0.087ミリモル;2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図5に記載されているようにして調製)の溶液に添加した。20分後、1M HCl (10mL)を添加し、得られた混合物をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(MgSO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン→15%)により精製して、27mg (49%)の42と16mg (29%)の35を8mgの混合画分と一緒に得た。
【0092】
(Z)‐7‐((1R,2S,3R,5S)‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐2‐{4‐[1‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐ヘキシル]‐フェニル}‐5‐クロロ‐シクロペンチル)‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (43)
メタンスルホニルクロリド(15μL、0.19ミリモル)とトリエチルアミン(30μL、0.21ミリモル)を、ジクロロメタン(0.3mL)中の42(50mg、0.08ミリモル)の溶液に添加した。1.5時間後、飽和重炭酸ナトリウム溶液 (15mL)を添加し、得られた混合物をジクロロメタン(3×15mL)で抽出した。混ぜ合せたジクロロメタン溶液を蒸発させて粗メシラートを得た。
粗メシラートを0.7mLのトルエン中に取込み、(n‐Bu)4NCl (246mg、0.90ミリモル)を添加した。混合物を80℃で1時間撹拌し、その後、シリカゲル(20%酢酸エチル/ヘキサン)で濾過して43(40mg、77%)を得た。
【0093】
43 → (Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5S)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (44) → (Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5S)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸 (45)
この順序は、スキーム7に示しているように、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている手順に従い完了させた。
45の46aと46bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1において説明しているようにして実施する。
【0094】
【化23】

【0095】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸 (50)
標題化合物を、スキーム8に示しているように、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)、図9に記載されている方法と同様な方法で調製した。
【0096】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸イソプロピルエステル (51)
この化合物は、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている標準手順を使用して調製した。
【0097】
50の個々のジアステレオマーの調製
個別のジアステレオマーを、48の段階において分取HPLCによって分離した:約5mgサンプル/試験;Chiralcel OD semiprepカラム(1×25cm)、2.4mL/分の流量、10%イソプロピルアルコール/ヘキサン;保持時間 = 17.6分および23.8分。その後、個々のジアステレオマーを、スキーム8に示しており、また、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されているようにして別々に取出した。
50の51aと51bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1において説明しているようにして実施する。
【0098】
【化24】

【0099】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐1,1‐ジメチル‐ヘプチル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸 (エントリー31、表1)および(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(2‐ヒドロキシ‐1,1‐ジメチル‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸
各化合物を、スキーム9に示しているように、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号) 、図7〜9に記載されている手順と同様な手順を使用して調製した。
【0100】
【化25】

【0101】
(Z)‐7‐[(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐(4‐ヘキシル‐フェニル)‐3‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (61)
Et3SiH (30□L、0.19ミリモル)を、次いで、TFA (90□L、1.17ミリモル)を、ジクロロエタン(0.10mL)中の49(23mg、0.046ミリモル)の溶液に添加した。15分後、反応物を4mLの飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加して失活させた。得られた混合物をジクロロメタン(3×30mL)で抽出し、混ぜ合せたジクロロメタン溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン→15%→20%)により精製して、21mg (110%)の61を得た。
【0102】
(Z)‐7‐[(1R,2S,3R,5R)‐5‐クロロ‐2‐(4‐ヘキシル‐フェニル)‐3‐ヒドロキシ‐シクロペンチル]‐ヘプテ‐5‐エン酸 (62)
標題化合物を、2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている標準のLiOH手順を使用して調製した。
【0103】
62の63aと63bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1において説明しているようにして実施する。
【0104】
【化26】

【0105】
(Z)‐7‐[(1R,2S,3R,5R)‐2‐[4‐(1‐アセトキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐3‐(tert‐ブチル‐ジメチル‐シラニルオキシ)‐5‐クロロ‐シクロペンチル]‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (64)
n‐ペンチルMgBr (130□L、0.26ミリモル)を、THF (0.9mL)中の4 (114mg、0.24ミリモル)の0℃溶液に添加した。2.5時間後、1mLの酢酸エチルを添加し、反応物を室温に温めた。室温で30分後、10mLの飽和塩化アンモニウム溶液を添加し、得られた混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。混ぜ合せた酢酸エチル溶液を乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、蒸発させた。シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー(10%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、113mg (80%)の64を得た。
【0106】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3R,5R)‐2‐[4‐(1‐アセトキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸メチルエステル (65)
2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている標準のHF‐ピリジン脱保護法を使用した。
【0107】
4‐ニトロ‐安息香酸 (1S,2S,3R,4R)‐2‐[4‐(1‐アセトキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐4‐クロロ‐3‐((Z)‐6‐メトキシカルボニル‐ヘキセ‐2‐エニル)‐シクロペンチルエステル (66)
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(11□L、0.057ミリモル)を、THF (0.600mL)中のPh3P (15.6mg、0.059ミリモル)、4‐ニトロ安息香酸(8.3mg、0.050ミリモル)および65(17mg、0.036ミリモル)の混合物に添加した。反応物を1夜撹拌し、その後、揮発物を真空中で濃縮した。残留物をシリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー (30%酢酸エチル/ヘキサン)により精製して、10mg (45%)の66を得た。
【0108】
(Z)‐7‐{(1R,2S,3S,5R)‐5‐クロロ‐3‐ヒドロキシ‐2‐[4‐(1‐ヒドロキシ‐ヘキシル)‐フェニル]‐シクロペンチル}‐ヘプテ‐5‐エン酸 (67)
2004年12月10日に出願された米国特許出願第11/009,298号(現在、2006年8月15日に刊行された米国特許第7,091,231号)に記載されている標準のLiOH加水分解手順を使用した。
【0109】
67の68aと68bへの転換
この順序は、スキーム1の工程1において説明しているようにして実施する。
【0110】
生体内実施例
上記からの各化合物を生体内試験して、それら化合物の眼内圧を降下させる能力を測定する。
化合物14aを正常眼圧イヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物を、レーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物14bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0111】
化合物25aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物25bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0112】
化合物34aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物34bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0113】
化合物40aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物40bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0114】
化合物46aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物46bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0115】
化合物51aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物51bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0116】
化合物60aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物60bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0117】
化合物63aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物63bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0118】
化合物68aを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
化合物68bを正常眼圧のイヌにおいて試験する。眼内圧(IOP)はベースラインから降下する。また、この化合物をレーザー誘発高眼圧サルにおいても試験したところ、IOPはベースラインから降下する。
【0119】
炎症性腸疾患の治療は、患っている哺乳類に本明細書において説明する化合物を投与することによって達成し得る。炎症性腸疾患は、限定するものではないが潰瘍性大腸炎およびクローン病のような腸の炎症に特徴を有する種々の疾患を説明している。治療は、経口投与により、座薬または非経口投与或いはある種の他の適切な方法により達成し得る。
【0120】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、本明細書において開示する化合物の経口投与剤形による直腸への伝達は、当該技術において既知の任意の多くの方法によって達成し得る。例えば、J Pharm Pharmaceut Sci 6 (1): 33‐66, 2003におけるChourasiaおよびJainによる、さらに、Shareef等(AAPS PharmSci 2003; 5 (2) Article 17)による概説は、多くの有用な方法を説明している。本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、これらの方法は、1) アゾまたは炭水化物系プロドラッグのようなプロドラッグの投与;2) 薬物の結腸への伝達用に設計したポリマーによるコーティーング或いは薬物のそのようなポリマー中への封入または含浸;3) 薬物の持続放出伝達;4) 生体接着剤系の使用等を含む。
【0121】
何ら理論によって拘束するつもりはないが、腸管微生物叢がアゾ結合の還元的開裂を可能にし、2個の窒素原子をアミン官能基として残存させるものと信じている。本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、アゾプロドラッグ法は、炎症性腸疾患の治療のための臨床試験において、5‐アミノサリチル酸をヒトの結腸に伝達するのに使用されている。また、下部GIの細菌がグリコシド、グルクロニド、シクロデキストリン、デキストランおよび他の炭水化物を消化し得る酵素を有することも信じられており、これらの炭水化物から調製したエステルプロドラッグは、親活性薬物を結腸に選択的に伝達することが証明されている。例えば、デキサメタゾン、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾンおよびフルドロコルチゾンのプロドラッグによるラットまたはモルモットにおける生体内および生体外試験は、グリコシド接合体がステロイド類のヒト結腸への伝達において有用であり得ることを示唆している。他の生体内試験は、ステロイドまたは非ステロイド抗炎症薬のグルクロニド、シクロデキストリンおよびデキストランプロドラッグがこれらの薬物の下部GI管への伝達において有用であることを示唆している。サリチル酸およびグルタミン酸のアミドは、サリチル酸のウサギおよびイヌの結腸への伝達において有用であることが証明されている。
【0122】
本発明の範囲を如何なる形でも限定するつもりはないが、アミラーゼ、アラビノガラクタン、キトサン、コンドロイチン硫酸、デキストラン、グアーゴム、ペクチン、キシリン等のような炭水化物ポリマーまたはアゾ基含有ポリマーを使用して薬物化合物をコーティーングすることができ、或いは、薬物を上記ポリマー中に含浸または封入させることもできる。経口投与した後、上記ポリマーは、上部GI管内では安定なままであるが、下部GIの微生物叢によって消化され、そのようにして薬物が治療のために放出されるものと信じている。
【0123】
また、pHに対して感受性であるポリマーも、結腸が上部GI管よりも高いpHを有するので使用し得る。そのようなポリマーは、商業的に入手可能である。例えば、Rohm Pharmaceuticals社(ドイツ国ダルムシュタット)は、ポリマー中の遊離カルボン酸基の数に基づき種々のpH範囲に亘って多様な溶解性を有するpH依存性メタクリレート系ポリマーおよびコポリマーを、商品名EudragitRとして商業的に提供している。数種のEudragitR投与剤形が、潰瘍性大腸炎およびクローン病の治療のためにサルサラジン(salsalazine)を伝達するのに現在使用されている。また、時間放出系、生体接着系および他の伝達系も研究されている。
【0124】
上記の説明は、本発明を実施するのに使用し得る特定の方法および組成物を詳述しており、意図する最良の形態を示している。しかしながら、当業者にとっては、所望の薬理特性を有するさらなる化合物を同様な方法で調製し得ること、また、開示した化合物は種々の出発化合物から種々の化学反応を介しても得ることができることが明白である。同様に、種々の製薬組成物も、実質的に同じ結果でもって調製し使用することができる。従って、詳細ではあるが、上記は、明細書に示されており、本発明の範囲全体を限定するものと解釈すべきではなく、むしろ、本発明の範囲は、特許請求の範囲の法的解釈によってのみ決定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の式を有する化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化1】


(式中、Yは、下記
【化2】


であり;
点線は、結合の存在または不存在を示す)。
【請求項2】
下記の式を有する請求項1記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化3】



【請求項3】
下記の式を有する請求項1記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化4】



【請求項4】
下記の式を有する請求項3記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化5】



【請求項5】
下記の式を有する請求項1記載の化合物、またはその製薬上許容し得る塩:
【化6】



【請求項6】
請求項1記載の化合物を、必要とする哺乳類に投与することを特徴とする脱毛症の治療方法。

【公表番号】特表2011−515406(P2011−515406A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500890(P2011−500890)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/037355
【国際公開番号】WO2009/117388
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】