説明

治療用剤としての3−アリールスルファニル及び3−ヘテロアリールスルファニル置換ベンゾ[b]チオフェン

本発明は、炎症性疾患、心血管疾患、及び癌を含む疾患及び状態の治療における剤として有用な、R1、R2、R3、及びLが明細書中でそれについて定義される値のいずれかを有する式Iのベンゾ[b]チオフェン及びその医薬として許容される塩を提供する。1以上の式Iの化合物を含む医薬組成物もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本願は、その教示を本明細書中に援用する、2003年6月5日出願の米国仮特許出願番号60/476,057号の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
フォスフォイノシチド−3−キナーゼ(PI3Ks)は3’−OH上でフォスフォイノシトールをリン酸化し、PI−3−P(フォスファチヂルイノシトール3−リン酸)、PI−3,4−P2及びPI−3,4,5−P3を生成する脂質キナーゼのファミリーである。1のクラスのPI3Ksは成長因子により刺激される。別のクラスのPI3KsはG−タンパク質連結型受容体により活性化され、及びPI3Kγを含む。上記成長因子に刺激されたPI3Ks(例えば、PI3Kα)は細胞増殖及び癌に関連している。PI3Kγはシグナルカスケードに関連していることが示されている。例えば、PI3KγはC5a、fMLP、ADP、及びIL−8の如きリガンドに応答して活性化される。さらに、PI3Kγは免疫疾患に関連している(Hirsch et al. Science 2000;287:1049−1053)。PI3Kγナルマクロファージは減少した走化性応答及び炎症と闘う減少した能力を示す(Hirsch et al., 2000,上記)。さらに、PI3Kγはまた血栓崩壊性疾患(例えば、血栓塞栓症、虚血性疾患、心臓発作、及び卒中)にも関連している(Hirsch et al. FASEB J. 2000;15(11):2019−2021;及びHirsch et al. FASEB J., July 9 2001;10.1096/fj.00−0810fje(Hirsch et al., 2001として本明細書中に引用される))。
【0003】
PI3Ksのメンバーの阻害剤はヒト疾患の治療のために開発されている(例えば、WO 01/81346;WO 01/53266;及びWO 01/83456を参照のこと)。医薬剤としての使用のためのPI3Ksを阻害しうる追加の化合物について要求がある。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
1の局面において、本発明は式Iのベンゾ[b]チオフェン:
【化1】

又はその医薬として許容される塩を提供する;
ここで、R2及びR3は:
(i)R2はメトキシである、及びR3はH、メチル、メトキシ及びCH3OCH2−から成る群から選ばれる;
(ii)R2はメチルである、及びR3はメトキシである;
(iii)R2はエトキシである、及びR3はHである
から成る群から選ばれる;
ここで、Lは不在、−CH2CH2−、C1−C4アルキレン又は
【化2】

である;
ここで、R1は:フェニル、フラニル、5−員ヘテロアリール、及びベンゾ[1,3]ヂオキソリルから成る群から選ばれる場合により置換される基である、
ここで、前記場合により置換される基は:
−CN、Br、F、Cl、−CF3、−OH、−CH3、−CH2CH3、C1−C4アルキル、O−C1−C3アルキル、O−CH3、−N(CH32、−C(O)O−CH3、−CH2−C(O)O−CH3、−CH2CH2−C(O)O−CH3、−C(O)OH、−CH2−C(O)OH、及び−CH2CH2−C(O)OHから成る群から独立に選ばれる1、2又は3の置換基を有しうる。
【0005】
式Iのある態様において、R2はメトキシである、及びR3はメチルである−式IIの化合物:
【化3】


【0006】
式IIのある態様において、R1は場合により置換されるフェニルである。式IIの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式IIの化合物の例は、非限定的に:
3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
5−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−ヂメチルアミノ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸;
{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸;及び
3−{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸
を含む。
【0007】
式IIの化合物の例はまた:
5−メトキシ−6−メチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
5−メトキシ−6−メチル−3−フェネチルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
を含む。
【0008】
式Iのある態様において、R2はメトキシである、及びR3はメトキシである−式IIIの化合物:
【化4】

。式IIIのある態様において、R1は場合により置換されるフェニルである。式IIIの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式IIIの化合物の例は、非限定的に:
3−(2,5−ヂメトキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸メチルエステル;
5,6−ヂメトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
5,6−ヂメトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
を含む。
【0009】
式Iのある態様において、R2はメチルである、及びR3はメトキシである−式IVの化合物:
【化5】


【0010】
式IVのある態様において、R1は場合により置換されるフェニルである。式IVの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式IVの化合物の例は、非限定的に:
3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニルメチル]−安息香酸;及び
3−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−1−フェニル−プロピルスルファニル]−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
を含む。
【0011】
式Iのある態様において、R2はメトキシである、及びR3はCH3−O−CH2−である−式Vの化合物:
【化6】


【0012】
式Vのある態様において、R1は場合により置換されるフェニルである。式Vの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式Vの化合物の例は:
5−メトキシ−6−メトキシメチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
である。
【0013】
式Iのある態様において、R2はエトキシである、及びR3はHである−式VIの化合物:
【化7】


【0014】
式VIのある態様において、R1は置換されるフェニルである。式VIの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式VIの化合物の例は、非限定的に:
5−エトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
5−エトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
{4−[5−エトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸;及び
3−{4−[5−エトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸
を含む。
【0015】
式Iのある態様において、R2はメトキシである、及びR3はHである−式VIIの化合物:
【化8】


【0016】
式VIIのある態様において、R1は場合により置換されるフェニルである。式VIIの他の態様において、R1は置換されないフェニルである。式VIIの化合物の例は:
5−メトキシ−3−o−トリスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
である。
【0017】
式Iのある態様において、R1は置換されるフェニルである−式VIIIの化合物:
【化9】

ここで、R6は:
Br、F、Cl、−CF3、−OH、−CH3、−CH2CH3、C1−C4アルキル、O−C1−C3アルキル、O−CH3、−N(CH32、−C(O)O−CH3、−CH2−C(O)O−CH3、−CH2CH2−C(O)O−CH3、−C(O)OH、−CH2−C(O)OH、及び−CH2CH2−C(O)OH
から成る群から独立に選ばれる1、2又は3の置換基である。式VIIIのある態様において、R2又はR3はメトキシである。式VIIIの他の態様において、Lは不在、−CH2CH2−、C1−C4アルキレン又は
【化10】

である。式VIIIの化合物の例は3−(2,5−ヂメトキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
である。
【0018】
ある態様において、R1は置換されないフェニルである−式IXの化合物:
【化11】

ここで、Lは−CH2CH2−、C2−C4アルキレン又は
【化12】

である。
【0019】
式IXのある態様において、R2はメトキシである、及びR3はメトキシである。式IXの化合物の例は、非限定的に:
5−メトキシ−6−メチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
5−メトキシ−6−メチル−3−フェネチルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
を含む。
【0020】
他の局面において、本発明は治療的に有効な量の式I〜IXの化合物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する。ある態様において、これらの組成物はPI3K仲介障害又は状態の治療において有用である。本発明に係る化合物はまた癌、血栓崩壊性疾患、心疾患、卒中、慢性関節リウマチの如き炎症性疾患又は他のPI3K仲介障害の治療のために有用な化合物をも含む医薬組成物中に混合されうる。
【0021】
他の局面において、本発明は:PI3K仲介状態又は障害を患う患者に、治療的に有効な量の式I〜IXの化合物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を投与することを含む、PI3K仲介障害又は状態を患う患者の治療方法を提供する。ある態様において、PI3K仲介状態又は障害は:慢性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、及び自己免疫疾患から成る群から選ばれる。他の態様において、上記PI3K仲介状態又は障害は:心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深層静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定なアンギナ、血栓塞栓症、肺の塞栓症、血栓崩壊性疾患、急性動脈虚血、末梢血栓閉塞、及び冠状動脈疾患から成る群から選ばれる。また他の態様において、上記PI3K仲介状態又は障害は:癌、結腸癌、グリア芽細胞腫、子宮内膜癌腫、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌腫、甲状腺癌腫、細胞リンパ腫、リンパ球増殖性障害、小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌腫、グリオーム、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、頸部の癌、及び白血病から成る群から選ばれる。さらに他の態様において、上記PI3K仲介状態又は障害は:II型糖尿病から成る群から選ばれる。また他の態様において、上記PI3K仲介状態又は障害は:呼吸疾患、気管支炎、喘息、及び慢性閉塞性肺疾患から成る群から選ばれる。ある態様において、上記患者はヒトである。
【0022】
定義
本明細書中で使用されるとき、以下の用語は別段の定めなき限り、それらに帰する意味を有する。
【0023】
「PI3K仲介障害又は状態」は障害又は状態の発端、1以上の症状又は疾患マーカーの発現、重篤さ又は進行における1以上のPI3Ks又はPI3Pリン酸(例えば、PTEN等)の参加により特徴付けられる。PI3K仲介障害及び状態は、非限定的に:慢性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、肺の線維症、自己免疫疾患、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、高血圧、深層静脈血栓症、卒中、心筋梗塞、不安定なアンギナ、血栓塞栓症、肺の塞栓症、血栓崩壊性疾患、急性動脈虚血、末梢血栓閉塞、冠状動脈疾患、癌、乳癌、グリア芽細胞腫、子宮内膜癌腫、肝細胞癌腫、結腸癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌腫、甲状腺癌腫、小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌腫、グリオーム、前立腺癌、卵巣癌、頸部の癌、白血病、細胞リンパ腫、リンパ球増殖性障害、II型糖尿病、呼吸疾患、気管支炎、喘息、及び慢性閉塞性肺疾患を含む。
【0024】
PI3Kはフォスフォイノシトールの3’−OHをリン酸化し、PI3Pを生成することができる酵素である。PI3Ksは、非限定的に、PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、及びPI3Kδを含む。PI3Kは典型的に少なくとも1の触媒サブユニット(例えば、p110γ)を含み、及び制御サブユニット(例えば、p101等)をさらに含みうる。
【0025】
上記用語「アルキル基」又は「アルキル」は直鎖の又は有枝鎖の炭素鎖ラヂカルを含む。上記用語「アルキレン」は置換されない又は置換されるアルカンのヂラヂカルをいう。例えば、「C1-6アルキル」は1〜6の炭素原子を有するアルキル基である。直鎖のアルキル基の例は、非限定的に、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等を含む。有枝鎖のアルキル基の例は、非限定的に、イソプロピル、第三−ブチル、イソブチル等を含む。アルキレン基の例は、非限定的に、−CH2−、−CH2−CH2−、−CH2−CH(CH3)−CH2−、及び−(CH21-6を含む。アルキレン基はアルキルについて以下に示される基で置換されうる。
【0026】
さらに、上記用語アルキルは「置換されないアルキル」及び「置換されるアルキル」の両方を含み、そのうちの後者は炭化水素骨格の1以上の炭素上の水素を置換する(例えば、1、2、3、4、5又は6の炭素上の水素を置換する)置換基を有するアルキル基をいう。上記置換基は、非限定的に、C2−C6−アルケニル、C2−C6−アルキニル、ハロ、I、Br、Cl、F、−OH、−COOH、スルフヒドリル、(C1−C6−アルキル)S−、C1−C6−アルキルスルフィニル、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、−NH2、=O、=S、=N−CN、=N−OH、−OCH2F、−OCHF2、−OCF3、−SCF3、−SO2−NH2、C1−C6−アルコキシ、−C(O)O−(C1−C6アルキル)、−O−C(O)−(C1−C6アルキル)、−C(O)−NH2、−C(O)−N(H)−C1−C6アルキル、−C(O)−N(C1−C6アルキル)2、−OC(O)−NH2、−C(O)−H、−C(O)−(C1−C6アルキル)、−C(S)−(C1−C6アルキル)、−NR7072を含みうる、ここで、R70及びR72はH、C1−C6−アルキル、C2−C6−アルケニル、C2−C6−アルキニル、及びC(O)−C1−C6−アルキルからそれぞれ独立に選ばれる。
【0027】
典型的な置換されるアルキル基はしたがってアミノメチル、2−ニトロエチル、4−シアノブチル、2,3−ヂクロロペンチル、及び3−ヒドロキシ−5−カルボキシへキシル、2−アミノエチル、ペンタクロロエチル、トリフルオロメチル、2−ヂエチルアミノエチル、2−ヂメチルアミノプロピル、エトキシカルボニルメチル、メタニルスルファニルメチル、メトキシメチル、3−ヒドロキシペンチル、2−カルボキシブチル、4−クロロブチル、及びペンタフルオロエチルである。
【0028】
「アルコキシ」は酸素をとおして結合される上記に挙げられるアルキル基をいい、その例はメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、第三−ブトキシ等を含む。さらに、アルコキシはO−(CH22−O−CH3等の如きポリエーテルをいう。上記用語「アルコキシ」は置換される及び置換されないアルコキシ基の両方を含むと意図される。アルコキシ基はアルキルについて上記に示されるものの如き基で炭素原子上で置換されうる。典型的な置換されるアルコキシ基はアミノメトキシ、トリフルオロメトキシ、2−ヂエチルアミノエトキシ、2−エトキシカルボニルエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等を含む。
【0029】
「ハロ」はフルオロ、クロロ、ブロモ、及びヨードを含む。
「アルケニル」は2以上の炭素原子を有する及び少なくとも1の炭素−炭素二重結合を含む直鎖の及び有枝鎖の炭化水素ラヂカルを意味し、及びエテニル、3−ブテン−1−イル、2−エテニルブチル、3−ヘキセン−1−イル等を含む。上記用語「アルケニル」は置換される及び置換されないアルケニル基両方を含むと意図される。「C2−C6−アルケニル」は2〜6の炭素原子を有するアルケニル基である。アルケニル基はアルキルについて上記に示されるものの如き基で置換されうる。上記用語「アルケニレン」は置換される又は置換されないアルケンのヂラヂカルをいう。アルケニレン基の例は、非限定的に、−CH=CH−、−CH=CH−CH2−、及び−(CH21-6−CH=CH−CH2−を含む。
【0030】
「アルキニル」は2以上の炭素原子を有する及び少なくとも1の炭素−炭素三重結合を含む直鎖の及び有枝鎖の炭化水素ラヂカルを意味し、及びエチニル、3−ブチン−1−イル、プロピニル、2−ブチン−1−イル、3−ペンチン−1−イル等を含む。上記用語「アルキニル」は置換される及び置換されないアルキニル基の両方を含むと意図される。アルキニル基はアルキルについて上記に示されるものの如き基で置換されうる。ある態様において、直鎖の又は有枝鎖のアルキニル基はその骨格中に6以下の炭素原子を有する(例えば、直鎖についてC2−C6、有枝鎖についてC3−C6)。上記用語C2−C6は2〜6の炭素原子を含むアルキニル基を含む。上記用語「アルキニレン」は置換される又は置換されないアルキンのヂラヂカルをいう。アルキニレン基の例は、非限定的に、−CH≡CH−、−C≡C−CH2−、及び−(CH21-6−C≡C−CH2−を含む。
【0031】
アリール基は芳香族炭化水素ラヂカルである。さらに、上記用語「アリール」は多環状アリール基、例えば、ナフチルの如き二環状アリール基を含む。典型的なアリール基はフェニル、及びナフチルを含む。フェニルは、非限定的に、アルキルについて上記に示されるそれらの置換基の如き置換基で1以上の位置で置換されない又は置換されうる。典型的な置換されるフェニル基は、非限定的に、3−クロロフェニル、2,6−ヂブロモフェニル、2,4,6−トリブロモフェニル、2,6−ヂクロロフェニル、4−トリフルオロメチルフェニル、3−アミノ−4−ニトロフェニル、3,5−ヂヒドロキシフェニル、3−メチル−フェニル、4−メチル−フェニル、3,5−ヂメチル−フェニル、3,4,5−トリメトキシ−フェニル、3,5−ヂメトキシ−フェニル、3,4−ヂメトキシ−フェニル、3−メトキシ−フェニル、4−メトキシ−フェニル、4−第三−ブチル−フェニル、4−ヘキシル−フェニル、4−シアノ−フェニル、3,5−ヂ−トリフルオロメチル−フェニル、3,5−ヂフルオロ−フェニル、4−クロロ−フェニル、3−トリフルオロメチル−フェニル、4−メトキシカルボニル−フェニル、2−トリフルオロメトキシ−フェニル、3,5−ヂクロロ−フェニル、2−メトキシ−5−メチル−フェニル、2−フルオロ−5−メチル−フェニル、4−フェノキシ−フェニル、4−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェニル等を含む。ナフタレニルの如き多環状アリール基は、非限定的に、アルキルについて上記に示されるそれらの置換基の如き置換基で1以上の位置で置換されない又は置換されうる。上記用語「アリール」は置換される及び置換されないフェニル基の両方を含むと意図される。
【0032】
「5−員のヘテロアリール」は1〜4の炭素原子及び:1O;1S;1N;2N;3N;4N;1S及び1N;1S及び2N;1O及び1N;及び1O及び2Nから成る群から選ばれる1〜4のヘテロ原子を有する安定な5−員単環状芳香環ラヂカルである。安定な5−員ヘテロアリールの例示的な例は、非限定的に、フラニル、2−フラニル、3−フラニル、イミダゾリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサヂアゾリル、オキサゾリル、ピリヂニル、2−、3−又は4−ピリヂニル、ピリミヂニル、2−、4−又は5−ピリミヂニル、ピラゾリル、ピローリル、2−又は3−ピローリル、ピラジニル、ピリダジニル、3−又は4−ピリダジニル、2−ピラジニル、チエニル、2−チエニル、3−チエニル、テトラゾリル、チアゾリル、チアヂアゾリル、トリアジニル及びトリアゾリルを含む。
【0033】
ヘテロアリールはまた1以上の(互変異性化され、環にC=O基を与えうる)−OH官能基で環炭素上で置換される及び/又は1又は2の酸素原子により環硫黄原子上で置換され、それぞれ、S=O又はSO2基を与える環系をも含みうる。
【0034】
本発明における化合物のいくつかはエナンチオマー、ヂアステレオマーを含む立体異性体、及び幾何異性体として存在しうる。幾何異性体はE又はZ配置として存在しうる、アルケニル基を有する本発明に係る化合物を含み、その場合、その全ての幾何異性形、E及びZ、cis及びtrans、及びそれらの混合物は本発明の範囲内である。本発明に係るいくつかの化合物は1超の炭素原子で置換されうるシクロアルキル基を有し、その場合、その全ての幾何異性形、cis及びtrans、及びそれらの混合物は本発明の範囲内である。(R)、(S)、エピマー、ヂアステレオマー、cis、trans、syn、anti、(E)、(Z)、互変異性形、及びそれらの混合物を含む、これらの形の全ては本発明に係る化合物中で企図される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
発明の詳細な説明
I. 序説
本発明は、炎症性疾患、心血管疾患、及び癌を含む、疾患及び状態の治療における剤として有用な、R1、R2、R3、及びLが本明細書中にそれらについて定義される値のいずれかを有する式I〜IXのベンゾ[b]チオフェン、及びその医薬として許容される塩に関する。1以上の式I〜IXの化合物を含む医薬組成物もまた提供される。
【0036】
II. 化合物の調製
本発明に係る化合物(例えば、式I〜IXの化合物)は本分野において知られる合成法及び以下に示されるスキーム中に概略される合成法を適用することにより調製されうる。
【0037】
【化13】

スキーム1において、酸クロリド20をアセトニトリルの如き好適な溶媒中でトリエチルアミンの如き塩基の存在下でアミノテトラゾールにカップリングし、22を作出する。22をその後1,8−ヂアザバイシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン(DBU)又は1,5−ヂアザバイシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)の如き第三アミンでの処理により3位でチオール23、HS−L−R1にカップリングし、24を得る。式23の化合物の例は、非限定的に、ベンゼンチオール、4−メルカプト−フェノール、2−メチル−ベンゼンチオール、2−フェニル−エタンチオール、及び3−(4−メルカプト−フェニル)−プロピオン酸メチルエステルを含む。ある態様において、24上のR1のエステル置換基はテトラヒドロフラン(THF)の如き溶媒中で水酸化ナトリウムの如き好適な塩基を用いて対応する酸に加水分解されうる。
【0038】
【化14】

スキーム2において、ベンゾチオフェン30(例えば、3−メルカプト−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル)をアセトニトリルの如き溶媒中でトリエチルアミンの如き塩基及び、Xがハロ基である式31の化合物(X−C1−C4アルキレン−R1)(例えば、4−ブロモメチル−ベンゾニトリル)と反応し、32(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル)を得る。Raはカルボン酸基を保護する及び塩基加水分解により続いて除去されうる好適な基(例えば、C1−C4アルキル、イソプロピル、フェニル、ベンジル、メチル等)でありうる。
【0039】
エステル32その後THF及びメタノールの混合物の如き溶媒中でLiOH、KOH又はNaOHの如き塩基を用いて34に加水分解する。無水CH2Cl2中のカルボン酸34(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸)を触媒量のDMF(ヂメチルフォルムアミド)、続いて塩化オキサリルで処理しうる。アセトニトリルをその後この混合物に添加し、続いて5−アミノテトラゾール及びトリエチルアミンを添加し、36(例えば、3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)アミド)を得る。34の塩化オキサリル及びDMFとの反応はTHF(テトラヒドロフラン)中で行われうる。
あるいは、酸34をTHF(テトラヒドロフラン)の如き非プロトン溶媒中でカルボニルヂイミダゾール(CDI)と反応し、続いて5−アミノテトラゾールを添加し、カルボキサミド36を得うる。
【0040】
III. 化合物の評価
本発明に係る化合物(例えば、式I〜IXの化合物及びその医薬として許容される塩)はそれらのPI3Kを阻害する能力について分析されうる。これらの分析の例は以下に示され、及びPI3K活性のin vitro及びin vivo分析を含む。
【0041】
本発明のある態様において、非限定的に、環状ヌクレオチド依存タンパク質キナーゼ、PDGF、チロシンキナーゼ、MAPキナーゼ、MAPキナーゼキナーゼ、MEKK、サイクリン依存タンパク質キナーゼを含む1以上の酵素に比較して1以上のPI3Ksを選択的に阻害する化合物がある。本発明の他の態様において、他のPI3Kに比較して1のPI3Kを選択的に阻害する化合物がある。例えば、ある態様において、本発明に係る化合物はPI3Kα又はPI3Kβに比較してPI3Kγを選択的に阻害する能力を示す。化合物は、第一の酵素に対する上記化合物のIC50が第二の化合物に対する上記化合物のIC50より小さいとき、第二の酵素に比較して第一の酵素を選択的に阻害する。上記IC50は、例えば、in vitroPI3K分析において計測されうる。
現在好ましい態様において、本発明に係る化合物はin vitro又はin vivo分析(以下を参照のこと)においてPI3K活性を阻害するそれらの能力について分析されうる。
【0042】
PI3K分析はPI3K阻害化合物の存在下又は非存在下で行われ、及び酵素活性の量は上記PI3K阻害化合物の阻害活性の決定のために比較される。
PI3K阻害化合物を含まないサンプルは100の相対PI3K活性値を割り当てられる。PI3K活性の阻害は、PI3K阻害化合物の存在下でのPI3K活性がコントロールサンプル(すなわち、阻害化合物なし)より小さいとき、達成される。化合物のIC50はコントロールサンプル活性の50%を示す化合物の濃度である。ある態様において、本発明に係る化合物は約100μM未満のIC50を有する。他の態様において、本発明に係る化合物は約1μM以下のIC50を有する。また他の態様において、本発明に係る化合物は約200nM以下のIC50を有する。
【0043】
PI3Kγ分析は本分野において示されている(例えば、Leopoldt et al. J. Biol. Chem., 1998;273:7024−7029を参照のこと)。典型的に、p101及びp110γタンパク質の複合体を含むサンプルはGβ及びGγタンパク質と混合される(例えば、Gタンパク質β1/γ2サブユニット)。放射性標識ATP(例えば、γ−32P−ATP)がその後この混合物に添加される。脂質基質は脂質ミセルを含むPIP2を作出することにより形成される。反応はその後上記脂質及び酵素混合物を添加することにより開始され、及びH3PO4の添加で停止される。上記脂質生成物はその後ガラスファイバーフィルタープレートに移され、及びH3PO4で何回か洗浄される。放射活性脂質生成物(PIP3)の存在は本分野において周知の放射分析法を用いて計測されうる。
【0044】
成長因子制御PI3Ksの活性はまた脂質キナーゼ分析を用いて計測されうる。例えば、PI3Kαは制御及び触媒サブユニットを含むサンプルを用いて分析されうる。活性化するペプチド(例えば、pYペプチド、SynPep Corp.)は放射性標識ATPと共に上記サンプルに添加される。脂質ミセルを含むPIP2はその後上記サンプルに添加され、反応を開始する。上記反応は上記に示されるPI3Kγ分析について示されるように生じさせられ、及び分析される。分析はまた細胞抽出物を用いて行われうる(Susa et al. J. Biol. Chem., 1992;267:22951−22956)。
【0045】
IV. 医薬として許容される塩及び溶媒和物
本発明において使用されるべき化合物は非溶媒和化形及び水和化形を含む溶媒和化形で存在しうる。一般的に、水和化形を含む上記溶媒和化形は非溶媒和化形と同等であり、及び本発明の範囲内に含まれると意図される。
本発明に係る化合物(例えば、式I〜IXの化合物)は非限定的に、酸添加及び/又は塩基性塩を含む、両方の医薬として許容される塩をさらに形成することができる。式(I)の化合物の医薬として許容される塩はその酸添加及び塩基性塩(二塩を含む)を含む。好適な塩の例は例えば、Stahl and Wermuth, Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Wiley−VCH, Weinheim, Germany (2002);及びBerge et al., “Pharmaceutical Salts,” J. of Pharmaceutical Science, 1977;66:1−19中に見られうる。
【0046】
式I〜IXの化合物の医薬として許容される酸添加塩は式I〜IXの化合物の塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨー化水素酸、亜リン酸等の如き無機酸に由来する非毒性塩、及び脂肪族一及び二カルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルフォン酸等の如き有機酸に由来する塩を含む。上記塩はしたがって、酢酸、アスパラギン酸、安息香酸、ベシル酸(ベンゼンスルフォン酸)、重炭酸/炭酸、重硫酸、カプリル酸、カムシル酸(カンファースルフォン酸)、クロロ安息香酸、クエン酸、エヂシル酸(1,2−エタンヂスルフォン酸)、リン酸二水素、ジニトロ安息香酸、エシル酸(エタンスルフォン酸)、フマル酸、グルセプト酸、グルコン酸、グルクロン酸、ヒベンズ酸、塩酸/クロリド、臭化水素酸/ブロミド、ヨー化水素酸/ヨーディド、イソブチル酸、リン酸一水素、イセチオン酸、D−乳酸、L−乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、メシル酸(メタンスルフォン酸)、メタリン酸、メチル安息香酸、メチル硫酸、2−ナプシル酸(2−ナフタレンスルフォン酸)、ニコチン酸、硝酸、オロト酸、シュウ酸、パルモ酸、フェニル酢酸、リン酸、フタル酸、プロピオン酸、ピロリン酸、ピロ硫酸、糖酸、セバシン酸、ステアリン酸、スベリン酸、琥珀酸、硫酸、亜硫酸、D−酒石酸、L−酒石酸、トシル酸(トルエンスルフォン酸)、及びキシナフォ酸塩等を含む。アルギン酸、グルコン酸、ガラクツロン酸等の如きアミノ酸の塩もまた企図される。
【0047】
上記塩基性化合物の酸添加塩は慣用の様式で上記遊離塩基形を十分な量の所望の酸と接触させ、塩を作出することにより調製される。上記遊離塩基形は慣用の様式で上記塩形を塩基と接触させ、及び上記遊離塩基を単離することにより再生されうる。上記遊離塩基形は極性溶媒中での溶解性の如きある物理的特性においてそれらのそれぞれの塩形とはいくらか異なるが、他の点では上記塩は本発明の目的のためにそれらのそれぞれの遊離塩基と同等である。
【0048】
医薬として許容される塩基添加塩は水酸化アルカリ及びアルカリ土壌金属又は有機アミンのものの如き、金属又はアミンと共に形成される。陽イオンとして使用される金属の例はアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム等である。好適なアミンの例はアルギニン、コリン、クロロプロカイン、N,N’−ヂベンジルエチレンヂアミン、ヂエチルアミン、ヂエタノールアミン、ヂオールアミン、エチレンヂアミン(エタン−1,2−ヂアミン)、グリシン、リジン、メグルミン、N−メチルグルカミン、オールアミン、プロカイン(ベンザチン)、及びトロメタミンを含む。
【0049】
酸性化合物の塩基添加塩は慣用の様式で上記遊離酸形を十分な量の所望の塩基と接触させ、上記塩を作出することにより調製される。上記遊離酸形は慣用の様式で上記塩形を酸と接触させ、及び上記遊離酸を単離することにより再生されうる。上記遊離酸形は極性溶媒中での溶解性の如きある物理的特性においてそれらのそれぞれの塩形とはいくらか異なるが、他の点では上記塩は本発明の目的のためにそれらのそれぞれの遊離酸と同等である。
【0050】
V. 医薬組成物及び投与方法
本発明はまたそのための医薬として許容される担体、希釈剤又は賦形剤と共に治療的に有効な量の式I〜IXの化合物又はその医薬として許容される塩を含む医薬組成物を提供する。上記句「医薬組成物」は医療の又は獣医学の使用における投与に好適な組成物をいう。上記句「治療的に有効な量」は特定の患者又は患者集団において単独で又は他の医薬剤又は治療と共に投与されるとき、処置される障害又は状態を阻害する、止める又はそれらにおける改善を許容するのに十分な、化合物又はその医薬として許容される塩の量を意味する。例えば、ヒト又は他の哺乳類において、治療的に有効な量は研究室の又は臨床の設定において実験的に決定されうる又は処置される特定の疾患及び患者について、the United States Food and Drug Administration又は同等の外国の機関のガイドラインにより必要とされる量でありうる。
【0051】
適切な投与形態、投与量、及び投与経路の決定は医薬及び医学分野の通常の技術のレベルの範囲内であり、及び以下に示されることが理解されるべきである。
本発明に係る化合物はシロップ、エリキシル剤、懸濁物、粉末、顆粒、錠剤、カプセル、舐剤、トローチ剤、水溶液、クリーム、軟膏、ローション、ジェル、エマルジョン等の形態の医薬組成物として調合されうる。好ましくは、本発明に係る化合物は定量的に又は定性的に計測されるPI3K仲介障害に関連する症状又は疾患徴候における減少を引き起こすであろう。
【0052】
本発明に係る化合物から医薬組成物を調製するために、医薬として許容される担体は固体又は液体でありうる。固体形調製物は粉末、錠剤、ピル、カプセル、カシェ剤、坐剤、及び分散可能な顆粒を含む。固体担体は希釈剤、香味剤、結合剤、保存剤、錠剤崩壊剤又はカプセル化物質としてもはたらきうる1以上の物質でありうる。
【0053】
粉末において、上記担体は細かく分けられた活性成分を伴う混合物中の細かく分けられた固体である。錠剤において、上記活性成分は好適な割合で必要な結合特性を有する担体と混合され、及び所望の形及び大きさに圧縮される。
【0054】
上記粉末及び錠剤は1%〜95%(w/w)の活性化合物を含む。ある態様において、上記活性化合物は5%〜70%(w/w)に及ぶ。好適な担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融解ロウ、ココアバター等である。上記用語「調製物」は、他の担体を伴う又は伴わない活性成分がそのようにそれに関連する担体により囲まれるカプセルを提供する担体としてのカプセル化物質を伴う活性化合物の調剤を含むと意図される。同様に、カシェ剤及び舐剤が含まれる。錠剤、粉末、カプセル、ピル、カシェ剤、及び舐剤は経口投与に好適な固体投与形態として使用されうる。
【0055】
坐剤を調製するために、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物の如き低融解ロウははじめに融解され、及び上記活性成分は攪拌により、その中に均一に分散される。上記融解した均一な混合物はその後便利な大きさの型に注がれ、冷却され、及びそれにより固体化する。
【0056】
液体形調製物は溶液、懸濁物、及びエマルジョン、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液を含む。非経口注入のために、液体調製物は水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液で調合されうる。
【0057】
経口使用のために好適な水溶液は上記活性成分を水中に溶解し、及び所望のように好適な着色、香味、安定化、及び濃化剤を添加することにより調製されうる。経口使用のために好適な水性懸濁物は上記細かく分けられた活性成分を天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及び他の周知の懸濁剤の如き粘性物質を伴う水中に分散させることにより作出されうる。
【0058】
使用直前に経口投与のための液体形調製物に変換されることが意図される固体形調製物もまた含まれる。上記液体形は溶液、懸濁物、及びエマルジョンを含む。これらの調製物は上記活性成分に加えて、着色剤、香味剤、安定化剤、緩衝液、人工及び天然甘味剤、分散剤、濃化剤、可溶化剤等を含みうる。
【0059】
上記医薬調製物は好ましくは単位投与形態である。上記形態において、上記調製物は適切な量の上記活性成分を含む単位用量に分けられる。上記単位投与形態は包装された調製物であり、上記包装はひとくくりにした錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末の如き、別々の量の調製物を含みうる。また、上記単位投与形態はカプセル、錠剤、カシェ剤又は舐剤自体でありうる又はそれは包装された形態中の適切な数のこれらのいずれかでありうる。
【0060】
単位用量調製物中の活性成分の量は特定の適用及び上記活性成分の有効性にしたがって、0.1mg〜1000mg、好ましくは1.0mg〜100mg又は1%〜95%(w/w)の単位用量に変化され又は合わせられうる。上記組成物は、所望の場合、また他の和合性の治療用剤をも含みうる。
【0061】
医薬として許容される担体は部分的には投与される特定の組成物により、及び上記組成物を投与するために使用される特定の方法により決定される。したがって、本発明に係る医薬組成物の広くさまざまな好適な調剤がある(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., Gennaro et al. Eds., Lippincott Williams and Wilkins, 2000を参照のこと)。
【0062】
単独の又は他の好適な成分を伴う本発明に係る化合物は吸入を介して投与されるエーロゾル調剤に作出されうる(すなわち、それらは「噴霧され」うる)。エーロゾル調剤はヂクロロヂフルオロメタン、プロパン窒素等の如き、加圧された許容される駆出剤中に入れられうる。
【0063】
例えば、静脈内、筋内、皮内、及び皮下経路によるような、非経口投与に好適な調剤は抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤、及び上記調剤を意図される受容者の血液と等張にする溶質を含みうる水性及び非水性等張滅菌注入溶液、及び懸濁剤、可溶化剤、濃化剤、安定化剤、及び保存剤を含みうる水性及び非水性滅菌懸濁物を含む。本発明の実施において、組成物は、例えば、静脈内注入により、経口で、局所で、腹腔内に、のう内に又は包膜内に投与されうる。化合物の調剤はアンプル及びバイアルの如き、単位用量の又は多用量の密閉容器中に提示されうる。注入溶液及び懸濁物は以前に示される種類の滅菌粉末、顆粒、及び錠剤から調製されうる。
【0064】
本発明の内容において患者に投与される用量は時間にわたり患者において有益な治療応答に影響するのに十分であるべきである。上記用語「患者」は哺乳類鋼のメンバーをいう。哺乳類の例は、非限定的に、ヒト、霊長類、チンパンジー、げっ歯類、マウス、ラット、ウサギ、ウマ、家畜、イヌ、ネコ、ヒツジ、及びウシを含む。
【0065】
上記用量は使用される特定の化合物の有効性及び患者の状態、並びに処置される患者の体重又は表面領域により決定されるであろう。上記用量の大きさはまた特定の患者における特定の化合物の投与に付随する悪い副作用の存在、性質、及び程度によっても決定されるであろう。処置される障害の治療又は予防において投与されるべき化合物の有効な量を決定することにおいて、医師は上記化合物の循環血漿値、化合物の毒性、及び/又は疾患の進行等の如き因子を評価しうる。一般的に、化合物の用量当量は典型的な患者について約1μg/kg〜100mg/kgである。多くの異なる投与方法は当業者に知られる。
【0066】
投与のために、本発明に係る化合物は、集団及び患者の全体の健康に適用されるとき、非限定的に、上記化合物のLD50、上記化合物の薬物速度論プロファイル、禁忌を示される薬物、及びさまざまな濃度での上記化合物の副作用を含みうる因子により決定される速度で投与されうる。投与は単一の又は別々の用量を介して達成されうる。
【0067】
典型的な錠剤、非経口、及びパッチ調剤の例は以下のものを含む:
【表1】

本発明に係る化合物(例えば、式I〜IXの化合物又はその医薬として許容される塩)をラクトース及びトウモロコシデンプン(混合のための)と混合し、及び均一になるまで配合し、粉末にしうる。トウモロコシデンプン(ペーストのための)を6mLの水中に懸濁し、及び攪拌しながら加熱し、ペーストを形成する。上記ペーストを上記混合した粉末に添加し、及び上記混合物を粒状化する。上記湿性粒状物をNo.8ハードスクリーンにとおし、及び50℃で乾燥させる。上記混合物を1%ステアリン酸マグネシウムで潤滑化し、及び錠剤に圧縮する。上記錠剤をPI3K仲介障害又は状態の治療のために患者に1〜4日毎の速度で投与する。
【0068】
非経口溶液調剤実施例1
注入のための700mLのプロピレングリコール及び200mLの水の溶液中に20.0gの本発明に係る化合物を添加しうる。上記混合物を攪拌し、及び上記pHを塩酸で5.5に合わせる。上記体積を注入のために水で1000mLに合わせる。上記溶液を滅菌し、それぞれ2.0mL(40mgの本発明の化合物)を含む5.0mLアンプルに満たし、及び窒素下で密閉する。上記溶液をPI3K仲介障害又は状態を患う及び治療の必要のある患者に注入により投与する。
【0069】
パッチ調剤実施例1
10ミリグラムの本発明に係る化合物を1mLのプロピレングリコール及び樹脂製のクロス結合剤を含む2mgのアクリル酸に基づいた重合体粘着剤と混合しうる。上記混合物を不浸透性の裏打ち(30cm2)に適用し、及びPI3K仲介障害又は状態の維持された放出処置のために患者の背上部に適用する。
【0070】
VI. PI3K仲介障害及び状態の治療方法
本発明に係る化合物及び本発明に係る化合物を含む医薬組成物はPI3K仲介障害又は状態を患う患者に投与されうる。PI3K仲介障害及び状態は、上記障害又は状態の性質に因り、本発明に係る化合物を用いて予防的に、急性的に、及び慢性的に処置されうる。典型的に、これらの方法のそれぞれにおける宿主又は患者はヒトであるが、他の哺乳類もまた本発明に係る化合物の投与から恩恵を受けうる。
【0071】
治療適用において、本発明に係る化合物は広くさまざまな経口及び非経口投与形態で調製され、及び投与されうる。上記用語「投与」は化合物を患者と接触させる方法をいう。したがって、本発明に係る化合物は注入により、すなわち、静脈内に、筋内に、皮膚内に、皮下に、十二指腸内に、非経口で又は腹腔内に投与されうる。また、本明細書中に示される化合物は吸入により、例えば、鼻内に、投与されうる。さらに、本発明に係る化合物は経皮で、局所で及び埋め込みを介して投与されうる。ある態様において、本発明に係る化合物は経口でデリバリーされる。上記化合物はまた直腸で、頬で、膣内に、眼に、andially又は注入によりデリバリーされうる。
【0072】
本発明に係る医薬方法において利用される化合物は毎日約0.001mg/kg〜約100mg/kgの開始投与量で投与されうる。ある態様において、上記毎日の用量範囲は約0.1mg/kg〜約10mg/kgである。しかしながら、上記投与量は患者の必要性、処置される状態の重篤さ、及び使用される化合物に因り変化されうる。特定の状況についての適切な投与量の決定は実施者の技術の範囲内である。一般的に、治療は上記化合物の最適用量より少ない、より少量の投与量で開始される。その後、上記投与量は状況下での最適効果が達成されるまで小さな増加で増大される。便利のために、上記全体の毎日の投与量は、所望の場合、1日の中で部分に分けられ、及び投与されうる。上記用語「治療(処置)」は処置される障害に関連する又はそれにより引き起こされる少なくとも1の症状又は特徴の急性の、慢性の又は予防の消去又は緩和を含む。例えば、治療は障害のいくつかの症状の消去、障害の病理学的進行の阻害又は障害の完全な根絶を含みうる。本発明に係る化合物は患者に共投与されうる。上記用語「共投与される」は同じ医薬組成物又は別々の医薬組成物中で組み合わせにより患者に投与される、2以上の異なる医薬剤又は治療(例えば、放射線治療)の投与を意味する。したがって、共投与は2以上の医薬剤を含む単一の医薬組成物の同時の投与又は同じ若しくは異なるときの同じ患者への2以上の異なる組成物の投与を含む。例えば、8 a.m.に本発明に係る化合物を含む第一の投与量を投与され、及びその後1〜12時間後、例えば、その同じ日の6 p.m.にCELEBREX(商標)を投与される患者は本発明に係る化合物及びCELEBREX(商標)を共投与されている。あるいは、例えば、8 a.m.に本発明に係る化合物及びCELEBREX(商標)を含む単一の投与量を投与されうる患者は本発明に係る化合物及びCELEBREX(商標)を共投与されている。
【0073】
したがって、本発明に係る化合物はまた癌の治療に有用な化合物(例えば、TAXOL(商標)、タキソテレ、GLEEVEC(商標)(Imatinib Mesylate)、アドリアマイシン、ダウノマイシン、シスプラチン、エトポシド、ヴィンカアルカロイド、ヴィンブラスチン、ヴィンクリスチン、メトトレキセート又はアドリアマイシンの如き細胞毒性薬、ダウノマイシン、シス−プラチナ、エトポシド、及びヴィンクリスチンの如きアルカロイド、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、エンドスタチン及びアンギオスタチン、VEGF阻害剤、及びメトトレキセートの如き代謝拮抗物質)をも共投与されうる。本発明に係る化合物はまたタキサン誘導体、プラチナ協調複合体、ヌクレオシドアナログ、アントラサイクリン、トポイソメラーゼ阻害剤又はアロマターゼ阻害剤と共にも使用されうる。放射線治療もまた癌の治療のために本発明に係る化合物と共投与されうる。
【0074】
本発明に係る化合物はまた血栓崩壊性疾患、心疾患、卒中等の治療のために有用な化合物(例えば、アスピリン、ストレプトキナーゼ、組織プラスミノーゲンアクチヴェーター、ウロキナーゼ、抗凝集薬、抗血小板薬(例えば、PLAVIX(商標);重硫酸クロピドグレル)、スタチン(例えば、LIPITOR(商標)(Atorvastatin calcium)、ZOCOR(商標)(Simvastatin)、CRESTOR(商標)(Rosuvastatin)等)、ベータブロッカー(例えば、Atenolol)、NORVASC(商標)(アムロヂピンベシレート)、及びACE阻害剤(例えば、Accupril(商標)(Quinapril Hydrochloride)、Lisinopril等))とも共投与されうる。
【0075】
本発明に係る化合物はまたACE阻害剤、スタチン、LIPITOR(商標)(Atorvastatin calcium)の如き脂質低下剤、NORVASC(商標)(アムロヂピンベシレート)の如きカルシウムチャネルブロッカーの如き化合物と共にも高血圧の治療のために共投与されうる。本発明に係る化合物はまたフィブレート、ベータ−ブロッカー、NEPI阻害剤、アンギオテンシン−2−受容体アンタゴニスト及び血小板凝集阻害剤と共にも使用されうる。
【0076】
慢性関節リウマチを含む、炎症性疾患の治療のために、本発明に係る化合物は(REMICADE(商標)、CDP−870及びHUMIRA(商標)(アダリムマブ)の如き)抗−TNFαモノクローナル抗体及び(ENBREL(商標)の如き)TNF−受容体免疫グロブリン融合分子の如きTNF−α阻害剤、IL−1阻害剤、受容体アンタゴニスト又は可溶性IL−1Rα(例えば、KINERET(商標)又はICE阻害剤)、非ステロイド抗炎症剤(NSAIDS)、ピロキシカム、ヂクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、イブプロフェン、フェナメート、メフェナミン酸、インドメタシン、スリンダック、アパゾン、ピラゾロン、フェニルブタゾン、アスピリン、(CELEBREX(商標)(セレコキシブ)、VIOXX(商標)(ロフェコキシブ)、BEXTRA(商標)(ヴァルデコキシブ)及びエトリコキシブの如き)COX−2阻害剤、メタロプロテアーゼ阻害剤(好ましくはMMP−13選択的阻害剤)、NEUROTIN(商標)、プレガバリン、低用量メトトレキセート、レフルノミド、ヒドロキシクロロキン、d−ペニシルラミン、オーラノフィン又は非経口の若しくは経口の金の如き剤と共投与されうる。
【0077】
本発明に係る化合物は変形性関節症の治療のために現存する治療用剤と共投与されうる。組み合わせで使用されるべき好適な剤はピロキシカム、ヂクロフェナク、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びイブプロフェンの如きプロピオン酸、メフェナミン酸の如きフェナメート、インドメタシン、スリンダック、アパゾン、フェニルブタゾンの如きピラゾロン、アスピリンの如きサリチル酸塩、セレコキシブ、ヴァルデコキシブ、ロフェコキシブ及びエトリコキシブの如きCOX−2阻害剤の如き標準の非ステロイド抗炎症剤(本明細書中後にNSAID’s)、鎮痛薬及びコルチコステロイド及びヒアルガン及びシンヴィスクの如きヒアルロン酸の如き関節内治療を含む。
【0078】
本発明に係る化合物はまたViracept、AZT、アシクロヴィル及びファムシクロヴィルの如き抗ウイルス剤、及びValantの如き抗敗血症化合物と共にも共投与されうる。
【0079】
本発明に係る化合物は(セルトラリンの如き)抗うつ剤、(デプレニル、L−Dopa、Requip、Mirapex、セレジン及びラサジリンの如きMAOB阻害剤、Tasmarの如きcomP阻害剤、A−2阻害剤、ドパミン再取り込み阻害剤、NMDAアンタゴニスト、Nicotineアゴニスト、Dopamineアゴニスト及び神経性一酸化窒素合成酵素の阻害剤の如き)抗振せん麻痺薬、及びドネペジル、タクリン、α2δリガンド、NEUROTIN(商標)、プレガバリン、COX−2阻害剤、プロペントフィルリン又はメトリフォネートの如き抗アルツハイマー病薬の如きCNS剤とさらに共投与されうる。
【0080】
本発明に係る化合物はEVISTA(商標)(塩酸ラロキシフェン)、ドロロキシフェン、ラソフォキシフェン又はフォソマックスの如き骨粗しょう症剤及びFK−506及びラパマイシンの如き免疫抑制剤とさらに共投与されうる。
【実施例】
【0081】
実施例
【化15】

【0082】
【表2】

【0083】
【表3】

【0084】
【表4】

【0085】
【表5】

【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
【表8】

【0089】
実施例1〜65は以下のように合成された:
中間体1. 3−クロロ−5−エトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル。 3−(3−エトキシ−フェニル)−アクリル酸(5.3g、28mmol)、ピリヂン(0.21mL、2.65mmol)、ヂメチルフォルムアミド(2.05mL、26mmol)、塩化チオニル(10.4mL)及びクロロベンゼン(40ml)のスラリーを21時間の間還流まで熱した。上記反応を室温まで冷却し、及び上記溶媒を減圧下で除去した。上記残留物をヂクロロメタン(15mL)中に溶解し、及びメタノール(15mL)で処理した。生ずる固体をろ過により除去し、及びメタノールで洗浄し、上記表題の化合物(6.7g、88%)を得た。
【化16】

【0090】
中間体2. 3−クロロ−5−エトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 THF(20mL)中の中間体1(2.0g、7.39mmol)の溶液に1N NaOH(20mL)を添加した。上記混合物を攪拌し、及び65〜75℃まで2時間熱し、及びその後室温まで冷却させた。上記反応混合物をEtOAcで2回洗浄し、及びその後酸性化し、オフホワイトの固体沈殿物を得た。上記沈殿物をEtOAcで何回か抽出した。上記有機物を塩水で洗浄し、及び濃縮させ、5−エトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸を得た。CH2Cl2中の3−クロロ−5−エトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1.8g、7.01mmol)の室温の溶液に塩化オキサリル(1.35mL、15.5mmol)、続いて2〜3滴のDMFを添加した。上記反応を室温で2時間攪拌し、及びその後濃縮させた。上記残留物をCH3CN(60mL)中に溶解した。トリエチルアミン(1.08mL、7.75mmol)、続いて5−アミノテトラゾール(0.725g、9.52mmol)を上記反応に添加した。上記反応を60℃で16時間攪拌し、及びその後室温まで冷却させた。上記混合物をH2O(〜30mL)で希釈し、固体沈殿物を得た。上記固体をろ過し、H2O及びCH3CNで洗浄し、上記表題の化合物(1.2g、50%)を得た。MS:M+1=324.
【0091】
中間体3. 3−クロロ−5−メトキシ−6−ブロモメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル。 3−クロロ−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル(2.5g、9.2mmol)、N−ブロモスクシンイミド(1.71g、9.99mmol)、触媒量のAIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)及び四塩化炭素(80mL)の混合物を還流まで24時間熱した。上記溶液を冷却し、及び減圧下で濃縮させた。上記粗い生成物をヘキサン−ヂクロロメタン(1〜2)を移動相として用いて少量のシリカゲルにとおした。減圧下での濃縮は上記表題の化合物(2.1g、65%)を与えた。
【化17】

【0092】
中間体4. 3−クロロ−5−メトキシ−6−(メチルカルボニルオキシ)メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル。 DMF(20ml)及びTHF(10ml)中の中間体3(2.1g、6.0mmol)及び酢酸ナトリウム(1.48g、18mmol)の混合物を80℃まで18時間熱した。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記残留物を酢酸エチル/水中に溶解した。上記有機層を塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、及び減圧下で濃縮させ、上記表題の化合物(2.1g、95%)を得た。
【化18】

【0093】
中間体5. 3−クロロ−5−メトキシ−6−ヒドロキシメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸メチルエステル。 メタノール(80mL)中の中間体4(1.86g、5.7mmol)の溶液を炭酸カリウム(2g)と共に18時間攪拌した。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記残留物を水で何回か滴定し、及び乾燥させた。上記残留物を酢酸エチル/メタノールから再結晶化し、上記表題の化合物(0.89g、54%)を得た。
【化19】

【0094】
中間体6. 3−クロロ−5−メトキシ−6−メトキシメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸。 DMF(5ml)中の中間体5(0.25g、0.87mmol)の溶液をNaH(0.038g、0.95mmol)で処理し、及び15分間攪拌した。インドメタン(0.27mL、4.35mmol)を添加し、及び18時間混合を続けた。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記残留物を酢酸エチル中に溶解した。上記溶液を1N NaOH、水、塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、及び減圧下で濃縮させ、0.220g(89%)の粗い化合物を得た。上記エステルをTHF(5ml)中に溶解し、及び1N NaOH(2ml)と共に18時間攪拌した。上記THFを減圧下で除去し、及び酢酸エチルで抽出した。上記水層を酸性になるまでHClで処理し、及び上記生成物をろ過により回復し、上記表題の化合物(0.11g、44%)を得た。
【化20】

【0095】
中間体7. 3−クロロ−5−メトキシ−6−メトキシメチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 中間体6(0.11g、0.38mmol)、塩化チオニル(2ml)及びヂクロロメタン(5ml)の溶液を50℃まで2時間熱した。上記反応を環境温度まで冷却し、及び上記溶媒を減圧下で除去し、中間体6の酸クロリドを得た。上記酸クロリド、トリエチルアミン(0.10ml、0.77mmol)、及び5−アミノ−1H−テトラゾール(0.065g、0.77mmol)をアセトニトリル(10ml)中に溶解し、及び70℃まで18時間熱した。上記溶媒の半分を減圧下で除去し、及び生ずる溶液を水(1ml)で処理し、生成物を沈殿させた。上記生成物をろ過により除去し、アセトニトリル/水で洗浄し、及び乾燥させ、上記表題の化合物(0.1g、74%)を得た。
【化21】

【0096】
中間体8. 塩化3−クロロ−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニル。 3−(4−メトキシ−3−メチル−フェニル)−アクリル酸(Kulkarni et al.(1967) Indian J. Chem. 5: 471−474)(5.3g、28mmol)、ピリヂン(0.21mL、2.65mmol)、ヂメチルフォルムアミド(2.05mL、26mmol)、塩化チオニル(10.4mL)及びクロロベンゼン(40mL)を還流まで21時間熱した。上記反応を室温まで冷却し、及び上記溶媒を減圧下で除去した。上記残留物をトルエン中に再溶解し、及び減圧下で濃縮させた。上記表題の化合物をトルエン/ヘキサンから再結晶化し、上記表題の化合物(4.1g、28%)を得た。
【化22】

【0097】
中間体9. 3−クロロ−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 アセトニトリル(60ml)中の中間体8(2.0g,7.2mmol)、5−アミノテトラゾール(0.649g、7.6mmol)、及びトリエチルアミン(1.32mL、9.4mmol)の溶液を還流まで18時間の間熱した。上記反応を冷却し、及び上記溶媒を減圧下で除去した。水を上記残留物に添加し、及び生ずる固体をろ過により回収した。上記乾燥させた固体をヂクロロメタン/メタノールから再結晶化させ、上記表題の化合物(1.7g、72%)を得た。
【化23】

【0098】
中間体10. 3−クロロ−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 中間体9の合成について示されるものと類似の様式で、アセトニトリル(200mL)中の塩化3−クロロ−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニル(Connor et al.(1992) J. Med. Chem, 35: 958−965)(5.82g、20mmol)、5−アミノテトラゾール(1.7g、20.0mmol)、及びトリエチルアミン(5.58mL、40.0mmol)は上記表題の化合物(5.0g、76%)を与えた。MS:M+1=340.
【0099】
中間体11. 3−クロロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 中間体9の合成について示されるものと類似の様式で、アセトニトリル中の塩化3−クロロ−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニル(Connor et al.(1995) J. Med. Chem, 38: 4597−4614)、5−アミノテトラゾール、及びトリエチルアミンは上記表題の化合物を与えた。MS:M+1=310.マイクロ分析:計算された:C=42.66;H=2.60;N=22.61.発見された:C=43.01;N=2.70;H=22.0.
【0100】
中間体12. 3−メトキシ−4−メチル桂皮酸。 3−(3−メトキシ−4−メチル−フェニル)−アクリル酸出発物質を以下の反応にしたがって調製した:3−メトキシ−4−メチルベンズアルデヒド(20.0mL、137mmol)をピペリヂン(6mL)及びピリヂン(200mL)の混合物中でマロン酸(27.2g、206mmol)と共に2.5時間還流した。上記混合物を2分の1の体積まで濃縮させた。H2O(〜20mL)及び1N HCl(〜6mL)を添加し、固体沈殿物を得た。上記固体をろ過し、及び1N HCl及びその後H2Oですすぎ、及びその後en vacuoで乾燥させ、上記表題の生成物を計量可能な収率で得た。MS:M+1=193.1(APCI).
【化24】

【0101】
中間体13. 塩化3−クロロ−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボニル。 中間体12(9.18g、47.8mmol)を還流コンデンサーとフィットしたアルゴンでパージした丸底フラスコ中のピリヂン(0.39mL)、DMF(3.51mL)、及びクロロベンゼン(60mL)の混合物中に溶解した。塩化チオニル(17.8mL、244mmol)をシリンジを介して上記混合物に添加した。上記反応を攪拌し、及び活発な還流まで18時間熱した。上記反応を室温まで冷却させ、及びその後en vacuoで濃縮させた。上記残留物をCH2Cl2(〜40mL)中に溶解し、及びその後過剰のヘキサンで希釈した。上記希釈物をおよそ2分の1の体積まで濃縮させ、沈殿物を得た。上記固体沈殿物をろ過し、回収し、及びen vacuoで乾燥させ、上記表題の生成物(8.49g、32.9mmol、69%)を茶色−灰色のふわふわした固体として得た。
【0102】
中間体14. 3−クロロ−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 中間体7の合成について示されるものと同様の様式で、中間体13を上記表題の化合物(0.442g;58%)に変換した。MS:M+1=324.
【0103】
所望のチオール(R1−L−SH)の溶液を、上記溶液(DMF)の最終モーラーが0.66Mの所望のチオール(1当量)及び0.66M DBUであるように調製した。適切なバイアル(2ドラム)に、上記所望の中間体2、7、9、10、11又は14(1.5ml、0.11mmol)及び上記所望のチオール溶液(0.5mL、0.33mmol)を添加した。上記バイアルに蓋をし、及び振騰しながら80℃まで10時間熱した。上記反応を冷却し、及びBohdan Mini Blockの個々の容器に移した。上記バイアルをDMF(0.5ml)で洗浄し、及び上記洗浄物をMini Block中の適切な容器に移した。ArgoPore(商標)−Isocyanate capture resin(0.20g)(Argonaut Technologies, Inc., Foster City, CA)をそれぞれの容器に添加し、及び2時間混合した。生ずる溶液を上記樹脂を除去するためにろ過した。上記樹脂をその後DMF(0.5mL)で洗浄した。上記反応をその後酢酸(0.2Mメタノール、0.5ml)で処理し、及びその後上記溶媒を減圧下で除去した。上記残留物をメタノール(2mL)中に溶解し、及びBohdan Mini Block上の新しい容器に移した。Argonaut MP−TsOH capture resin(0.20g)(Argonaut Technologies, Inc., Foster City, CA)をそれぞれの容器に添加し、及び18時間混合した。上記樹脂をろ過により除去し、上記樹脂をメタノール(0.4mL)及びDMF(1.5mL)で洗浄した。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記表題の化合物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0104】
実施例55〜64の合成のために、The Argonaut MP−TsOH capture resinをろ過により除去し、及び上記に示されるようにメタノール(0.4ml)及びDMF(1.5ml)で洗浄した。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記残留物をTHF(1.0mL)中に再溶解した。上記溶液をその後水酸化ナトリウム(1mL、1.0N)で処理し、及び18時間振騰させた。上記溶媒を減圧下で除去し、及び上記残留物を水(0.5mL)中に再溶解し、及びHCl(1ml、1.0N)で処理した。上記溶液を酢酸エチルで抽出し、及び上記有機抽出物を減圧下で濃縮させた。実施例1〜65の表題の化合物を逆相クロマトグラフィーにより精製した。
【0105】
実施例1. 5,6−ヂメトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0106】
実施例2. 5−メトキシ−6−メチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0107】
実施例3. 5−エトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0108】
実施例4. 3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0109】
実施例5. 5,6−ヂメトキシ−3−o−トリスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0110】
実施例6. 3−(2−エチル−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0111】
実施例7. 3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)アミド。
【0112】
実施例8. 3−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0113】
実施例9. 3−(2,4−ヂメチル−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0114】
実施例10. 3−(2,3−ヂクロロ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0115】
実施例11. 3−(3,4−ヂメチル−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0116】
実施例12. 3−(3,4−ヂクロロ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0117】
実施例13. 5,6−ヂメトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0118】
実施例14. 3−(4−ヒドロキシ−3−メトキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0119】
実施例15. 3−(2,5−ヂメトキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0120】
実施例16. 5−メトキシ−3−(2−メチル−フラン−3−イルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0121】
実施例17. 5−メトキシ−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0122】
実施例18. 5−メトキシ−3−o−トリスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0123】
実施例19. 3−(2−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0124】
実施例20. 3−(2−ブロモ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0125】
実施例21. 3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0126】
実施例22. 5−メトキシ−3−(3−メトキシフェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0127】
実施例23. 3−(4−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0128】
実施例24. 3−(2,5−ヂメトキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0129】
実施例25. 3−(2,3−ヂクロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0130】
実施例26. 5−メトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0131】
実施例27. 3−(ベンゾ[1,3]ヂオキソール−5−イルスルファニル)−5−メトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0132】
実施例28. 3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0133】
実施例29. 5,6−ヂメトキシ−3−(2−メチル−フラン−3−イルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0134】
実施例30. 3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0135】
実施例31. {4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸メチルエステル。
【0136】
実施例32. 3−{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸メチルエステル。
【0137】
実施例33. 3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0138】
実施例34. 5−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0139】
実施例35. 3−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0140】
実施例36. 3−(3−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0141】
実施例37. 5−メトキシ−3−(4−メトキシ−フェニルスルファニル)−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0142】
実施例38. 3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0143】
実施例39. 3−(3−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0144】
実施例40. {4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸メチルエステル。
【0145】
実施例41. 3−{4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸メチルエステル。
【0146】
実施例42. 6−メトキシ−5−メチル−3−(3−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0147】
実施例43. 3−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−1−フェニル−プロピルスルファニル]−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0148】
実施例44. 3−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−1−フェニル−プロピルスルファニル]−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0149】
実施例45. 3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0150】
実施例46. 6−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0151】
実施例47. 3−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0152】
実施例48. 3−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸メチルエステル。
【0153】
実施例49. {4−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸メチルエステル。
【0154】
実施例50. 5,6−ヂメトキシ−3−(3−トリフルオロメチル−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0155】
実施例51. 5,6−ヂメトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0156】
実施例52. 5−エトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0157】
実施例53. 3−(4−ヂメチルアミノ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0158】
実施例54. 5−メトキシ−6−メチル−3−フェネチルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0159】
実施例55. 4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸。
【0160】
実施例56. {4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸。
【0161】
実施例57. 3−{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸。
【0162】
実施例58. 4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸。
【0163】
実施例59. {4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸。
【0164】
実施例60. 4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニルメチル]−安息香酸。
【0165】
実施例61. {4−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸。
【0166】
実施例62. 3−{4−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸。
【0167】
実施例63. {4−[5−エトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸。
【0168】
実施例64. 3−{4−[5−エトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸。
【0169】
実施例65. 5−メトキシ−6−メトキシメチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド。
【0170】
中間体15. 3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル。 3−メルカプト−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸ベンジルエステル(3.6g、10mmol)を120mLのアセトニトリル(ACN)中でアルファ−ブロモ−パラ−トルニトリル(1.96g、10mmol)及びトリエチルアミン(TEA)(1.80mL、13mmol)と混合した。上記反応を環境温度で5時間攪拌した。上記溶媒を真空下で除去した。水を上記残留物に添加し、及び上記固体をろ過により回収した。収率:4.75g、100%。
【0171】
中間体16. 3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸。 テトラヒドロフラン(THF)(50mL)、メタノール(MeOH)(10mL)及び1N水酸化ナトリウム(NaOH)(50mL、50mmol)中の中間体15(4.75g、10mmol)を還流まで1時間熱した。上記反応を冷却し、及び1N HClで酸性化した。上記生成物を酢酸エチル(EtOAc)に抽出した。上記層を分離し、及び上記有機層をろ過した。上記固体をメタノール(MeOH)で洗浄し、上記表題の生成物を得た。収率:2.26g、59%。
【0172】
実施例66. 3−(4−シアノ−ベンジルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(2H−テトラゾール−5−イル)−アミド。 中間体16(0.58g、1.5mmol)をアルゴンでパージしたフラスコ中で無水テトラヒドロフラン(THF)(15mL)中に溶解した。触媒量のDMF、続いて塩化オキサリル(0.4mL、3.0mmol)をシリンジを介して添加した。上記反応を室温で1時間攪拌した。上記溶媒を真空下で除去した。上記残留物をTHF(10mL)中に再溶解し、及び5−アミノテトラゾール(0.155g、1.8mmol)及びトリエチルアミン(0.25mL、1.8mmol)を添加した。上記反応を環境温度で1.5時間攪拌した。上記反応をH2O及びEtOAcで希釈した。上記固体をろ過し、MeOHですすぎ、及びin vacuoで乾燥させ、上記表題の生成物を得た。収率:0.47g、69%。C2016632・0.2H2Oについてのマイクロ分析:計算された:C,52.67;H,3.62;N,18.43.発見された:C,52.38;H,3.90;N,18.16.
【0173】
生物学的実施例1
PI3Kγタンパク質発現及び精製プロトコル
ESF921培地中で生育させたSpodtera frugiperda細胞にglu−tagged p101を発現するバキュロウイルス及びHA−tagged p110γを発現するバキュロウイルスを3:1のp101バキュロウイルス対p110γバキュロウイルスの割合で共感染させた。Sf9細胞を10Lバイオリアクター中で1×107総細胞/mLになるまで生育させ、及び感染48〜72時間後に回収した。感染した細胞のサンプルをその後免疫沈降法及びWestern Blot分析法によりp101/p110γPI3キナーゼの発現について試験した(以下を参照のこと)。
【0174】
PI3Kγを精製するために、細胞ペーストのグラム当たり4倍量の室温の低浸透圧の溶解緩衝液(1mM MgCl2、1mM DTT、5mM EGTA、1mM Pefabloc、0.5μM アプロチニン、5μM ロイペプチン、2μM ペプスタチン、5μM E64、pH8)を冷凍した細胞ペレット上に攪拌しながら注ぎ、その後400psiの窒素「爆弾」(599HC T316、Parr Instrument Co, Moline, IL)中で溶解した。NaClを150mMになるように添加し、及びコール酸ナトリウムを1%になるように添加し、及びさらなる45分間混合した。上記溶解物を14,000rpmでの25分間の遠心分離によりきれいにした。上記溶解物をその後抗−glu−結合Protein−G Sepharoseビーズ(Covance Research Products, Richmond, CA)上に20mL樹脂/50g細胞ペーストを用いてロードした。上記カラムを15倍量の洗浄緩衝液(1mM DTT、0.2mM EGTA、1mM Pefabloc、0.5μM アプロチニン、5μM ロイペプチン、2μM ペプスタチン、5μM E64、150mM NaCl、1%コール酸ナトリウム、pH8)で洗浄した。PI3Kγをgluタグの結合と競合する100μg/mLのペプチドを含む6カラム体積量の洗浄緩衝液で溶離した。溶離したタンパク質(OD280記録をとることにより決定された)を含むカラム画分を回収し、及び0.2mM EGTA、1mM DTT、1mM Pefabloc、5μM ロイペプチン、0.5%コール酸ナトリウム、150mM NaCl、及び50%グリセロール、pH8中で透析した。上記画分をさらなる使用まで−80℃で貯蔵した。
【0175】
生物学的実施例2
Gタンパク質サブユニット発現
Spodtera frugiperda細胞にglu−tagged Gタンパク質β1を発現するバキュロウイルス及びGタンパク質β2を発現するバキュロウイルスを1:1のglu−tagged Gタンパク質β1バキュロウイルス対Gタンパク質β2バキュロウイルスの割合で共感染させた。Sf9細胞を10Lのバイオリアクター中で生育させ、及び感染48〜72時間後に回収した。感染した細胞のサンプルを以下に示されるようにWestern Blot分析によりGタンパク質β1/β2発現について試験した。細胞溶解物をホモジェナイズし、及び生物学的実施例1中のようにglu−taggedビーズのカラム上にロードし、及びgluペプチドでカラムから競合させて出し、及び生物学的実施例1中に示されるようにプロセスした。
【0176】
生物学的実施例3
Western Blot分析
タンパク質サンプルを8% Tris−Glycineゲル上で分け、及び45μMニトロセルロース膜に移した。上記ブロットをその後TBST(50mM Tris、200mM NaCl、0.1% Tween 20、ph7.4)中の5%ウシ血清アルブミン(BSA)及び5%卵白アルブミンで室温で1時間ブロックし、及び0.5%BSAを含むTBST中に1:1000に希釈した一次抗体で4℃で一晩インキュベートした。p110γ、p110α、p110β、p85α、Gタンパク質β1、及びGタンパク質γ2サブユニットについての一次抗体をSanta Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz,CAから購入した。p101サブユニット抗体をp101ペプチド抗原に基づいてResearch Genetics, Inc., Huntsville, ALで開発した。
【0177】
上記一次抗体とのインキュベーション後、上記ブロットをTBST中で洗浄し、及び0.5%BSAを含むTBST中に1:10,000に希釈したヤギ−抗−ウサギHRP結合物(Bio−Rad Laboratories, Inc., Hercules, CA, product Number 170−6515)と共に室温で2時間インキュベートした。上記抗体をECL(商標)検出試薬(Amersham Biosciences Corp., Piscataway, New Jersey)で検出し、及びKodak ISO400Fスキャナー上で定量した。
【0178】
生物学的実施例4
免疫沈降法
生物学的実施例1又は2からの100μLの細胞ペーストを解凍し、及び400μLの低浸透圧の溶解緩衝液(25mM tris、1mM DTT、1mM EDTA、1mM Pefabloc、5μM ロイペプチン、5μM E−64(Roche)、1% Nonidet P40、pH7.5〜8)で氷上で溶解した。上記溶解物をglu−taggedビーズ(Covance Research Products,Cambridge,England,product Number AFC−115P)と共に室温で2時間インキュベートした。上記ビーズを洗浄緩衝液(20mM Tris、pH7.8〜8、150mM NaCl2、0.5% NP40)中で3回洗浄し、及び上記タンパク質を2倍のサンプル緩衝液(Invitrogen Corporation,Carlsbad,CA,product Number LC1676)中で熱することにより上記ビーズから溶離させた。
【0179】
生物学的実施例5
PI3Kγ in vitroキナーゼ分析
表1中の化合物の阻害特性をin vitroPI3K分析において分析した。96ウェルポリプロピレンプレートにおいて、それぞれのウェルに2μLのDMSO中の所望の最終濃度の50倍の化合物をスポットした。それぞれの反応についての精製組換えp101/p110γタンパク質(0.03μg;〜2.7nM)及びGタンパク質β1/γ2サブユニット(0.09μg;〜57.7nM)を分析緩衝液(30mM HEPES、100mM NaCl、1mM EGTA、及び1mM DTT)中で混合した。ATP及び[γ−32P−ATP](0.09μCi)を、上記反応中の最終ATP濃度が20μMであるようにこの混合物に添加した。脂質ミセルを上記分析緩衝液中でフォスファチヂルイノシトール−4,5−二リン酸(PIP2)、フォスファチヂルエタノールアミン(PE)、及びNa−コール酸を10分間超音波処理し、MgCl2を添加し、及び氷上で20分間インキュベートすることにより形成させ、上記反応中の最終濃度は25μM PIP2、300μM PE、0.02%Na−コール酸、及び10mM MgCl2であった。上記反応を50μLの総体積中の等体積の脂質及び酵素の混合物を添加することにより開始し、室温で20分間反応させ、及び100μL 75mM H3PO4で停止させた。上記脂質生成物をガラスファイバーフィルタープレートに移し、及び75mM H3PO4で何回か洗浄した。放射活性脂質生成物(PIP3)の存在を、Wallac Optiphase mixをそれぞれのウェルに添加し、及びWallac 1450 Triluxプレートリーダー(PerkinElmer Life Sciences Inc., Boston, MA 02118)内でカウントすることにより計測した。試験されたそれぞれの化合物についてのIC50は表1中にμMで報告される:
【0180】
【表9】

【0181】
【表10】

【0182】
【表11】

【0183】
本明細書中に示される実施例及び態様は例示の目的のためのみであること、及びそれに照らしたさまざまな改変又は変化が当業者に提案されるであろう及びこの明細書の本質及び範囲並びに付属の請求項の範囲内に含まれるべきであることが理解される。本明細書中に引用される全ての公開公報、特許、及び特許出願は全ての目的についてそれらを全体として本明細書中に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化1】

{式中、R2及びR3は:
(i)R2はメトキシである、及びR3はH、メチル、メトキシ及びCH3OCH2−から成る群から選ばれる;
(ii)R2はメチルである、及びR3はメトキシである;
(iii)R2はエトキシである、及びR3はHである
から成る群から選ばれる;
ここで、Lは不在、−CH2CH2−、C1−C4アルキレン又は
【化2】

である;
ここで、R1は:フェニル、フラニル、5−員ヘテロアリール、及びベンゾ[1,3]ヂオキソリルから成る群から選ばれる場合により置換される基である、
ここで、前記場合により置換される基は:
−CN、Br、F、Cl、−CF3、−OH、−CH3、−CH2CH3、C1−C4アルキル、O−C1−C3アルキル、O−CH3、−N(CH32、−C(O)O−CH3、−CH2−C(O)O−CH3、−CH2CH2−C(O)O−CH3、−C(O)OH、−CH2−C(O)OH、及び−CH2CH2−C(O)OH
から成る群から独立に選ばれる1、2又は3の置換基を有しうる}
又はその医薬として許容される塩。
【請求項2】
1は場合により置換されるフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項3】
2はメトキシである、及びR3はH、メチル、メトキシ及びCH3OCH2−から成る群から選ばれる、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
前記化合物は:
3−(4−ヒドロキシ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
5−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−イソプロピル−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−(4−ヂメチルアミノ−フェニルスルファニル)−5−メトキシ−6−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸;
{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−酢酸;
3−{4−[5−メトキシ−6−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−フェニル}−プロピオン酸;
5−メトキシ−6−メチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
5−メトキシ−6−メチル−3−フェネチルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
から成る群から選ばれる、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
前記化合物は:
3−(2,5−ヂメトキシ−フェニルスルファニル)−5,6−ヂメトキシ−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
3−[5,6−ヂメトキシ−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニル]−安息香酸メチルエステル;
5,6−ヂメトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;及び
5,6−ヂメトキシ−3−フェネチルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
から成る群から選ばれる、請求項3に記載の化合物。
【請求項6】
前記化合物は5−メトキシ−6−メトキシメチル−3−フェニルスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミドである、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物は5−メトキシ−3−o−トリスルファニル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミドである、請求項3に記載の化合物。
【請求項8】
2はメチルである、及びR3はメトキシである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
前記化合物は:
3−(3−クロロ−フェニルスルファニル)−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
6−メトキシ−3−(3−メトキシ−フェニルスルファニル)−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド;
4−[6−メトキシ−5−メチル−2−(1H−テトラゾール−5−イルカルバモイル)−ベンゾ[b]チオフェン−3−イルスルファニルメチル]−安息香酸;及び
3−[2−(アセチル−メチル−アミノ)−1−フェニル−プロピルスルファニル]−6−メトキシ−5−メチル−ベンゾ[b]チオフェン−2−カルボン酸(1H−テトラゾール−5−イル)−アミド
から成る群から選ばれる、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
PI3K仲介状態又は障害を患う患者に、治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を投与すること:
を含むPI3K仲介障害又は状態を患う患者の治療方法。
【請求項11】
前記PI3K仲介状態又は障害は:
慢性関節リウマチ、変形性関節症、乾癬性関節炎、乾癬、炎症性疾患、自己免疫疾患、呼吸疾患、気管支炎、喘息、及び慢性閉塞性肺疾患
から成る群から選ばれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記PI3K仲介状態又は障害は:
癌、結腸癌、グリア芽細胞腫、子宮内膜癌腫、肝細胞癌、肺癌、黒色腫、腎細胞癌腫、甲状腺癌腫、細胞リンパ腫、リンパ球増殖性障害、小細胞肺癌、扁平上皮細胞肺癌腫、グリオーム、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、頸部の癌、及び白血病
から成る群から選ばれる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記化合物は請求項1〜9のいずれか1に記載の化合物である、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
治療的に有効な量の請求項1に記載の化合物及び医薬として許容される担体:
を含む医薬組成物。
【請求項15】
治療的に有効な量の請求項1〜9のいずれか1に記載の化合物及び医薬として許容される担体:
を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−526614(P2006−526614A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508434(P2006−508434)
【出願日】平成16年5月24日(2004.5.24)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001866
【国際公開番号】WO2004/108716
【国際公開日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミティド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】