説明

治療薬および他の種類の薬剤を送達するための装置および方法

埋め込み式薬物送達システムは、特定の組織に少量の薬物を送達することを目標とする。いくつかの場合では、薬物送達システムは、薬物を含むハウジングに接続された埋め込み式浸透圧ポンプを含み、そのハウジングは、標的組織への最終的な送達のための針、人工内耳、または他の種類の部材に接続されている。いくつかの実施形態では、皮下ポートは外部ポンプから流体を受け取る。ポートは、標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための針または他の部材に接続されている。固形と液体の両方の製剤を使用することができる。固形薬物を使用するいくつかの態様では、別個の薬物媒体(生理食塩水など)を使用して固形薬物の一部分を溶解させることができ、薬物を担持した媒体は、その後標的組織に送達される。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
薬物は、局所に、例えば治療される特定の組織に送達された場合に、人体において最も効率的に作用することが知られている。薬物が全身に送達されると、治療中である以外の組織が、大量のその薬物に曝露されることがある。この曝露により副作用の可能性がはるかに高くなる。特定の組織に対する標的指向性の薬物送達は、特に標的となる組織が体内深くにある場合にしばしば課題となる。多くの場合、1回量または複数回量の薬物または他の薬剤は、特殊な注射デバイスによってのみ、ある一定の組織に送達することができる。
【0002】
到達困難な可能性がある組織の1つのグループは、蝸牛、および内耳における他の特定の蝸牛下部の位置を含む。内耳組織に関連している各種の疾患および状態の治療のために、治療薬を中耳または内耳のいずれかに送達することができる。治療が有益である可能性がある内耳組織構造の領域は、蝸牛などの骨迷路の部分を含む。しかしながら、内耳への治療薬の制御された有効な様式での送達は、内耳の大きさおよび構造が原因で困難である。これは、中耳を内耳から分離する組織物質(例えば正円窓膜)についても同様である。内耳組織は、侵襲的な顕微鏡手術を通じてのみ容易に接近可能であるような大きさおよび位置の組織である。
【0003】
通常、蝸牛を含む内耳の骨迷路への接近は、正円窓膜または側頭骨を含むがそれに限定されるわけではない、中耳と内耳との界面の各種構造を通じて行われる。公知のように、内耳領域は、鼓膜(tympanic membrane)(例えば鼓膜(ear drum))と内耳との間の、空気を含む組織区域を含む。現在、内耳の疾患および状態を治療するために中耳および内耳に治療薬を送達するための各種方法が存在する。これらの方法は、鼓膜を通じた薬物の注射、ならびに薬物を担持したスポンジおよび他の薬物放出性材料の外科的埋め込みを含む。従来の方法により、最終的に治療薬が内耳に(例えば正円窓膜を通じた灌流によって)送達されることはあるが、一般にその送達はあまり制御されず、内耳の内側に到達する治療薬の量は正確には不明である。
【0004】
多くの他の解剖学的領域は、侵襲的手術なしには接近が困難である可能性がある。例えば、癌、アレルギー関連障害、および各種の自己免疫疾患を、薬物のリンパ節への直接注射により治療すること(例えば、アレルギーを、免疫抑制剤、または免疫応答をIgEからIgGに変化させる薬物で治療すること)はしばしば有益である。多くの腫瘍もまた、各種化合物の標的送達により有効に治療することができる。しかしながら、多くの場合、標的となるリンパ節、腫瘍、または他の解剖学的領域は、放射線学的手順、抗体が細胞表面の抗原を標的とするアフィニティー技術、または酵素を標的とするプロドラッグ技術などの特殊で時間を消費する技術を用いてのみ位置を見つけることができる。少量の薬物を長期間にわたって接近しにくい領域に供給することにより実際上の問題が生じる可能性がある。各治療は、複雑で、侵襲的かつ高価な医療手順を必要とすることがある。経時的に反復される外科的処置は、多くの場合、医学界および/または患者にとって望ましくない。
【0005】
薬物または他の薬剤を、組織特異的な様式で、断続的または連続的に送達することが望ましいことがある、多くの他の状況が存在する。例としては、慢性痛、片頭痛、聴覚皮質の状態、下丘の状態、および各種神経障害を治療するための、脳への薬物送達を含む。
【0006】
上記のような状況、ならびに多くの他のシナリオにおいて、従来の方法およびシステムは、薬剤を所望の位置に、制御された効率的な様式で送達しない。結果として、意図した解剖学的領域に導入される薬剤の量および回数を有効に制御することができない。
【発明の開示】
【0007】
発明の概要
本概要は、以下に詳細な説明でさらに説明する、単純化された形態での選択された概念を導入するために提供される。本概要は、特許請求された主題の主要または重要な特徴を同定することを意図しておらず、特許請求された主題の範囲を決定する上での助けとして使用されることも意図していない。
【0008】
本発明のいくつかの態様は、特定の組織への薬物の標的送達に使用できる埋め込み式薬物送達システムを含む。そのようなシステムを用いて、少量の薬物を標的組織に、断続的または連続的に、短期間または長期間(例えば数ヶ月もしくは数年)送達することができる。いくつかの態様では、埋め込み式浸透圧ポンプは、薬物/フィルターカプセル、カテーテル、および針、または他の実施される末端部材に流体連通している。末端部材(針、蝸牛カテーテル、人工内耳電極などであり得る)は、薬物を標的組織に送達する。少なくともいくつかの他の態様では、埋め込み式薬物送達システムは、皮下(SC)ポート、カテーテル、および薬物を標的組織に最終的に送達するための針(または他の末端部材)を含む。外部ポンプ(すなわち患者の身体の外側)はSCポートに接続している。いくつかの実施形態では、外部ポンプは、液体製剤をポートに供給することができる。
【0009】
しかしながら、固形と液体の両方の製剤を使用することができる。固形薬物を使用する態様では、別個の薬物媒体を使用して、SCポートのリザーバまたは薬物保持カプセル内に含まれる固形薬物の一部分を溶解させることができる。次に、媒体(例えば生理食塩水、リンゲル液、人工外リンパなど)を、埋め込み式カテーテルを通じて標的組織に送達する。いくつかの場合では、媒体は外部ポンプから供給する。さらに他の場合では、媒体は埋め込み式浸透圧ポンプから供給する。
【0010】
本発明の態様は、耳鳴、内耳の感染症、炎症性疾患、内耳癌、聴神経腫瘍、音響外傷、メニエール病などの聴覚関連および他の病気を治療するための、内耳への薬物の送達;慢性痛、精神疾患、および他の中枢神経系疾患を治療するための、脳への薬物の送達;ならびに癌、アレルギー、自己免疫疾患、および他の疾病を治療するための、腫瘍、患部組織、およびリンパ節への薬物の送達を含むがそれに限定されるわけではない治療を含み、かつ/またはそれを促進する。
【0011】
前述の本発明の概要、ならびに以下の好ましい態様の詳細な説明は、特許請求された本発明に関して、限定としてではなく一例として含まれる添付の図面と併せて読んだ際によりよく理解される。
【0012】
詳細な説明
本発明の少なくともいくつかの態様は、特定の解剖学的領域への薬物の、断続的または連続的で、短期間または長期間の標的送達を可能にするシステムを含む。以下の説明は、これらの態様のいくつかに係るデバイスおよび方法の多くの例を提供する。しかしながら、本発明は、記載された特定のデバイス(またはそれらのデバイスの具体的に記載された使用)に限定されるわけではない。各種の態様は、薬物の送達に使用可能であるものとして記載される。特許請求の範囲を含む本明細書で使用される「薬物」は、治療用化合物に限定されるわけではない。その代わりに、「薬物」は診断薬および他の種類の薬剤を含む。また、以下の説明は、薬物がそこに有利に送達され得る組織のうちのいくつかの例、ならびに治療され得る疾患および他の状態の例を提供する。しかしながら、本発明は、具体的に同定された組織に薬物を送達するための、または具体的に同定された疾患もしくは状態を治療するための使用に限定されるわけではない。
【0013】
少なくともいくつかの態様に係る薬物送達システムは、各種の埋め込み式部材の組み合わせを含む。これらの部材は、浸透圧ポンプ、皮下(SC)ポート、カテーテル、および末端部材を含む。本明細書で使用する末端部材とは、カテーテルがそれに流体連通しており、標的組織に薬物もしくは他の薬剤を送達する(またはそこから流体を抜き取る)要素を指す。いくつかの態様では、末端部材は直針、骨髄穿刺針(bone needle)、または他の種類の針である。他の態様では、末端部材は人工内耳電極であり得る。さらに他の態様では、末端部材は単にカテーテルの剥き出しの開口端であり得る。他の種類の末端部材もまた本発明の範囲内である。
【0014】
いくつかの場合では、浸透圧ポンプ(および/またはSCポンプ)ならびに他のシステム部材は、患者の頭部側での皮下埋め込みが可能になる程度に小さく、中耳、内耳、または頭部に薬物を送達するために使用することができる。しかしながら、これらの部材はまた、患者の身体上の他のどこでも埋め込むことができる。いくつかの態様では、SCポートは、内部リザーバまたはキャビティ内に薬物を含む。外部ポンプシステムおよび輸液セットは、SCポートに接続されている。カテーテルおよび末端部材は、SCポートに流体連通しており、また埋め込まれてもいる。流体は、外部ポンプシステムからSCポートに送達され、次にその流体は薬物をSCポートのキャビティから標的組織まで搬送する。これらおよび他の態様は、任意の特定の組織(例えば中耳または内耳、リンパ節、癌腫瘍、関節炎の関節、脳または脊柱、患部臓器など)に薬物を送達するために使用することができる。これにより各種の治療用途が可能になる。例えば、ある種の薬物を、自己免疫疾患の治療に対する免疫療法のアプローチを潜在的に提供する強力な免疫応答を生成し、かつワクチン様応答を生成するために適用することができる。また、薬物は、慢性痛の治療のために神経、脊柱、脳脊髄液、および関連組織に送達することもできる。
【0015】
本発明の態様を使用して固形または液体製剤である薬物を送達することができる。固形薬物は、長期間その安定性を維持するという利点をしばしば有する。また、固形薬物は高い薬物対体積比および狭い表面積を有する。固形薬物を使用する場合、固体を、生理食塩水、リンゲル液、または人工外リンパなどの流体を含む埋め込み式リザーバまたは外部リザーバからの液体で侵食させることで、薬物を液体に溶解させることができ、次にその液体は標的組織に送達することができる。
【0016】
図1は、少なくともいくつかの態様に係る薬物送達システムの図である。図1のシステムは、埋め込み式浸透圧ポンプ5と、薬物/フィルターハウジング6とを含む。以下で説明するように、ハウジング6は、内部キャビティと、入口と、出口とを含む。第1のカテーテル7のルーメンは、浸透圧ポンプ5の出口と薬物/フィルターハウジング6の入口とを接続する。本明細書で使用する「カテーテル」(または「カニューレ」)は、流体がその中を流れることができる1つまたは複数の内部ルーメンを有する、チューブまたは他の細長体である。第2のカテーテル8のルーメンは、薬物/フィルターハウジング6の出口を骨髄穿刺針9に接続する。理解できる通り、流体通路は、ポンプ5と、カテーテル7のルーメンと、ハウジング6の内部キャビティと、カテーテル8のルーメンと、骨髄穿刺針9とによって形成される。他の種類の末端部材を骨髄穿刺針9の代わりに使用することもあり得る。例えば、図1に示すものと同様のシステムは、末端部材として直針または人工内耳を代わりに使用することもあり得る。
【0017】
浸透圧ポンプ5は、当技術分野で公知の種類である。そのようなポンプ(例えば、カリフォルニア州CupertinoのDurect Corp.により商品名DUROS(登録商標)およびCHRONOGESIC(登録商標)で販売されているポンプ)は、他の用途での使用が知られており、例えば米国特許第4,034,756号(参照により本明細書に組み入れられる)に記載されている。一般に、埋め込み式浸透圧ポンプは、浸透圧の差を組み入れることで、ポンプ内の膜の透水性に関連して予め定められた流量で薬物を動かす。通常、この機構は、高い浸透圧を有するオスモポリマー(osmopolymer)、塩、または他の材料を使用することで、周囲の組織環境から液体を吸収し、区画の体積を増大させる。この体積増加がピストンを動かすか、または可撓性リザーバを圧縮することにより、ポンプから液体が排出される。ピストン(または移動可能なシール)は、液体を含むリザーバからオスモポリマーを分離する。ポンプのハウジングは、水または適切な液体をオスモポリマーに到達させる半透性の本体からなることができる。ポンプの送達速度は、ポンプの外側の膜の透過性により決定される。
【0018】
従来の浸透圧ポンプは、液体製剤を液体リザーバ内に保持する。その代わりに、図1の浸透圧ポンプ5は、薬物媒体(生理食塩水、リンゲル液、または人工外リンパなど)を含む。媒体は、薬物/フィルターハウジング6の内側の固形薬物との混合用にポンプ5から排出される。他の態様では、ポンプ5は、薬物を含むが、薬物/フィルターハウジング6からさらなる薬物を運搬するための媒体としても使用される液体を排出することができる。
【0019】
浸透圧ミニポンプは、少量の液体を連続的に長期間送達することができる。しかしながら、従来の浸透圧ポンプの内部リザーバに補充することは困難である可能性がある。したがって、図1の態様は、短時間の手術中に浸透圧ポンプ5の簡便な取り外しおよび交換を可能にする嵌合(図1には図示せず)を含む。また、浸透圧ポンプの流量の制御も困難である可能性がある。図1の態様の変形は、低浸透圧の環境流体から(ポンプ内の)半透膜を単離する、ポンプに接続された制御可能な弁を含む。これにより、流体送達ピストンを駆動するポンプ区画への流体の流入が防止される。制御弁は、電界がそれを横切って印加された際に変形する圧電素子であり得る。そのような弁は、内部電子装置パッケージにより、またはRF伝達を通じて(例えば、患者が体外に装着する外部信号システムから)信号を受け取る内部制御モジュールにより接続および制御することができる。さらに他の態様では、小さな磁気的に作動するスイッチが、弁用の電子装置に組み込まれている。弁は、患者の身体における制御用電子装置が埋め込まれた部分の上に、十分な強度の磁石を設置することで開閉される。同様の磁気的に作動するスイッチは、ペースメーカーおよび埋め込み式細動除去器などの埋め込み式デバイスに見られる。しかしながら、そのような制御弁を使用した場合でも、浸透圧ポンプは即時オン/即時オフの様式では機能することができない。例えば、制御弁が閉じた時点と、ポンプ送達が漸減する時点との間に遅れがあり得る。この遅れの間にポンプは浸透圧平衡に達する。さらに他の態様では、ポンプ出口のカテーテル7上に制御弁または切換弁を設置することでこれに対処することができる。さらに他の態様では、即時のポンプ閉鎖を必要とする緊急の状況において浸透圧を放出するために、圧力放出弁が含まれることもあり得る。
【0020】
図2は、図1の薬物/フィルターハウジング6の断面図である。ハウジング6は、1つまたは複数の固形薬物および抗菌フィルターを保持するカプセルとして役立つ。ハウジング6は、生体適合性でもあり、分注される薬物との適合性もあるチタンまたは他の材料から形成される。ハウジング6の近位(または「上流」)端は、永久にハウジングに取り付けられていてもよく、取り外し可能でもよい多孔質ケージ11を保持する。やはりチタンまたは他の生体および薬物適合性材料から形成されるケージ11は、固形薬物を保持する。その薬物は、一体型、粉末の形態、ペレットの形態、またはある種の他の固体の構成とすることができる。ケージ11上の複数の孔によって、ポンプ5からの流体を固形薬物と混合し、その固形薬物の一部分を溶解した形態で運び出すことが可能になる。ホルダー6の遠位(または「下流」)端は、三次元抗菌フィルター12を含む。本明細書で使用する「抗菌フィルター」とは、薬物を運搬する流体を通過させる程度に小さいが、細菌または他の望ましくない要素の通過を妨害する孔径を有するフィルターのことである。ハウジング6は、2つの部品の組立体(部品6aおよび6b)であり、それによって、(例えば薬物を変更するために、もしくは薬物を使い果たした際に)ケージ11および/または(フィルターが目詰まりを起こした場合に)フィルター12を交換するようにハウジング6を分解および再組立することが可能になる。部品6aおよび6bは、ねじ接続または他の種類の機械的機構(例えばかみ合いタブおよびスロット)によって互いに取り付け可能とすることができる。カテーテル7は、部品6aの入口に取り付けられており、カテーテル8は、部品6bの出口に取り付けられている。カテーテル7および8は、エポキシまたは他の接着剤で取り付けることができる。他の態様では、かかりの付いたコネクタを使用することができる。クリップおよび/または他のロック機構を使用してカテーテル7および8をハウジング6に対して保持することもあり得る。
【0021】
少なくともいくつかの態様では、浸透圧ポンプ5および薬物/フィルターハウジング6は、患者の頭蓋において特別に準備されたポケットに埋め込まれる大きさである。カテーテル7および8は、やはり患者の頭蓋上に準備された溝の中に設置することができる。
【0022】
少なくともいくつかの態様では、皮下(SC)ポートは、患者の体内に埋め込まれており、埋め込まれたカテーテルおよび末端部材に流体連通するように設置されている。SCポートは、液体薬物または固形薬物を保持するために使用できる内部キャビティまたはリザーバを含む。自己密封型のエラストマー(例えばシリコーン)セプタムはリザーバを覆う。また、薬物の吸着を最小限に抑えるために、セプタムは薬物適合性のフルオロポリマーを積層したライニングを有することができる。流体をリザーバに導入するように、ノンコアリングニードルをセプタムに挿入することができる。その流体は、液体製剤であってもよく、リザーバのキャビティ内に既に位置している固形薬物を溶解させ、その溶解した薬物を標的組織に送達するための液体媒体であってもよい。いくつかの態様では、液体製剤は、リザーバ内に含まれるさらなる固形薬物を溶解させるための媒体として使用される。
【0023】
SCポートは皮膚の真下に埋め込まれているため、セプタムが位置している場所を決定し、ポートのリザーバに薬物または媒体を注射中であると確認することがより困難であることがある。したがって、針がセプタムを貫通した際に信号を送るように、リザーバの内側に任意的な電子センサを設置することができる。この種類の検出器は米国特許第6,962,580号に記載されている。SCポート内の針の存在または不在を検出および表示するための他のシステムは、導電性針、機械スイッチ、磁気スイッチ、ホール効果センサ、電界、磁界、または誘導子を利用することができる。針検出システムがSCポート内に含まれる場合、検出システムは薬物適合性材料で作られる(またはそれで保護される)べきである。さらに他の態様では、SCポートのリザーバが満杯になっていることを表示し、過剰充填を避けるために、圧力センサがSCポート内に(または針注射システムに対して)組み込まれている。
【0024】
薬物保持リザーバは、薬物適合性材料(例えばステンレス鋼、チタン、または薬物適合性ポリマー)で構成されている(またはコートされている)べきである。また、この材料は組織拒絶を防ぐように生体適合性であるべきである。また、リザーバ材料は、薬物の繰り返しの補充および分注、ならびに薬物含有媒体の潜在的な腐蝕作用に耐性があるべきである。また、リザーバ材料は、長期間劣化せずに薬物を保持し、埋め込まれたままでいることができなければならない。薬物を固形状態で保持するためにSCポートが使用されることになっている場合、リザーバ材料は、薬物がリザーバの壁に付着しないように適合性であるべきである。薬物(固形であれ液体であれ)と接触するリザーバ表面は、いずれの薬物も吸着せず、水/生理学的流体を透過させないように適合性であるべきである。
【0025】
SCポートの例は、参照により本明細書に組み入れられる、米国特許出願第11/337,815号(表題「Apparatus and Method for Delivering Therapeutic and/or Other Agents to the Inner Ear and to Other Tissues」、2006年1月24日出願)に記載されているものを含む。
【0026】
図3は、少なくともいくつかの態様に係るSCポート22の外部斜視図である。SCポート22は、インライン抗菌フィルター48を有する出口チューブ47を含む。出口チューブ47は、(フィルター48の出口側で)カテーテルと接続することができ、次にカテーテルは末端部材に接続される。キャップ49は、ねじり取り機構によりベース50から取り外し可能である。セプタム51はキャップ49の先端で露出している。キャップ49を取り外すと、セプタム51、およびSCポート22の内側にある固形薬物カートリッジ(図示せず)を交換することができる。ベース50は、患者の身体にSCポート22を固定するために使用できる複数の突起52(図示する態様では耳)を含む。耳52の孔は、例えば骨ねじ穴または縫合用の小穴として使用することができる。ポート22は、ポートが患者の皮膚を突き破ることを避けるために低い外形を有する。
【0027】
図4は、SCポート22の断面図である。ベース50は、その中に形成されている内部キャビティ53を有する。キャビティ53内のウェルの中には、1つまたは複数の固形薬物または他の化合物を保持する任意的なケージ54が位置している。ケージ54はハンドル55を含む。キャップ49およびセプタム51を取り外した際に、ハンドル55はケージ54の簡単な取り外し(または交換)を可能にする。他の態様では、SCポートは取り外し不可能な薬物保持ケージを含む。少なくともいくつかのそのような態様では、SCポートを開口し、新しい固形薬物を取り外し不可能なケージに設置することで薬物を交換する。抗菌フィルター48は、ねじ接続56によって出口チューブ47に取り付けることができ、それによって、仮に目詰まりを起こした場合に抗菌フィルターの取り外しおよび交換が可能になる。いくつかの態様では、ベース50およびキャップ49は、キャップ49をベース50上にねじ止めすることを可能にするはめ合いねじ山を有する。さらに他の態様では、ベース50は、キャップ49の溝の中に嵌合されるロックタブを有する(またはその逆である)。ねじ接続またはタブ/溝接続により、簡便なキャップ49の取り外しおよびセプタム51の交換(例えばセプタム51が注射針によって過度に穿刺された場合)、ポート内部の洗浄、または固形薬物ケージ54の補充が可能になる。
【0028】
図4の態様、ならびに固形薬物が使用される他の態様では、薬物を溶融、成形、または圧縮して、SCポートまたはSCポートのケージ(そのようなケージが取り外し可能であれ取り外し不可能であれ)のデザインにより決定されるような所定の大きさおよび形状にすることができる。次に、薬物を担持したケージを、デバイスの埋め込み時に据えつけることができる。あるいは、薬物ケージを、デバイスの製造時に、または製造者/販売者からのデバイスの輸送時に据えつけることもあり得る。薬物ケージが取り外し可能である態様では、薬物ケージの使用により、SCポート、リザーバ、ポンプ、または他の部材内の薬物ケージを含む区画を小手術で開口して薬物を補充することが可能になる。薬物ケージが取り外し不可能である少なくともいくつかの態様では、薬物は、カプセルまたはポート全体の取り外しにより補充される。
【0029】
図5は、別の態様に係るSCポート22'の断面図を示す。円柱状の薬物ケージ54'は、先端の小空間58を除いて薬物リザーバ全体を満たす。ケージ54'の内部および周辺には、媒体が固形薬物の周辺を循環した後、出口カテーテルを通じて外に出ることを可能にするのに十分な余地がある。同様の機能を有するSCポート22'ならびにSCポート22(図3および4)の部材は、図5の参照番号にアポストロフィが含まれる以外は、2つの図において同一の参照番号を有する。図6は、別の態様に係るSCポート22''を示す。ポート22''のセプタムおよびカバーを取り外して、多孔質の薬物保持ケージの代わりに固形薬物ペレットで充填されたポート22''の内部キャビティを示す。同様の機能を有するSCポート22''ならびにSCポート22(図3および4)の部材は、図6の参照番号に2つのアポストロフィが含まれる以外は、2つの図において同一の参照番号を有する。
【0030】
少なくともいくつかの態様では、図3〜6に示すようなポートは、患者の頭蓋において特別に準備されたポケットに埋め込まれる大きさである。
【0031】
図7は、図1〜5の態様で使用できるような固形薬物保持ケージの外部斜視図である。これらの(および他の)態様で使用されるケージは類似しているが、所与のケージが意図されているSCポートまたは薬物/フィルターハウジングのキャビティに対応する寸法を有する。図8は、図7のケージの断面図である。固形薬物ケージは、1つまたは複数の固形薬物を保持し、液体媒体が容器を通じて薬物の周囲を流れることを可能にし、それによって固形薬物の一部を侵食するように設計された容器である。次に、薬物の侵食されて今や溶解した部分は、侵食用の媒体によって標的組織に運搬される。ケージの内部および周辺には、媒体が固形薬物の周辺を循環することを可能にするのに十分な余地がある。図8に示すように、ケージの一態様は、内壁の中に切り込まれて、ケージを通じた流体の流れに流路を与える溝を組み入れることができる。いくつかの態様では、固形薬物は溶融、成形、または圧縮されて、ケージの大きさにより決定される所定の大きさおよび形状になる。この薬物の固形セクションは、媒体を通過させるためにそれに穿孔された1つまたは複数の孔を有することができる。他の態様では、薬物ケージを(図6に示すペレットと類似の)複数のより小さい固形薬物ペレットで充填することができる。そのような場合、媒体は、薬物を途中で溶解しつつペレット間の空間を通過することができる。いくつかの態様では、固形薬物ケージは取り外し可能に設計されており、便宜的に、図4に示すような任意的なハンドルを含むことができる。薬物ケージの使用により、ケージが位置しているSCポートまたは薬物/フィルターハウジング内の区画を小手術で開口して薬物を補充することが可能になる。固形薬物ケージは、薬物適合性/生体適合性材料(例えばステンレス鋼、チタン、または薬物適合性ポリマー)で構成されている(またはコートされている)ことが好ましい。材料は、意図した薬物が付着しないと考えられるものが好ましい。また、ケージ内の孔の大きさは、ケージ内に保持されるべき薬物によって異なることがある。例えば、固形薬物の一体型の断片を保持するためのケージは、粉末またはペレットの形態の固形薬物を保持するためのケージよりも大きい孔を有することがある。また、ケージ孔の大きさは、意図した薬物の溶解度、および/または液体媒体中の薬物の所望の濃度によって異なることがある。いくつかの態様では、薬物ケージは取り外し可能ではない。
【0032】
先に示したように、抗菌フィルターは、SCポートの出口上またはインライン薬物/フィルターハウジング内に設置することができる。他の態様では、抗菌フィルターを、他の位置内に(例えばSCポートのキャビティ内、薬物ケージを有さない別個のインラインハウジング内などに)含めることができる。薬物を患者に送達する前に、少なくとも1個の抗菌フィルターを流体通路に含めることが好ましい。抗菌フィルターは、多孔質ステンレス鋼、チタン、または生体適合性および薬物適合性ポリマー材料から構成される。この種類のシステムに好適な抗菌フィルターの製造は、上述した米国特許出願第11/337,815号に詳しく記載されている。抗菌フィルターは好ましい部材であり、安全性の利点を与える。細菌が送達システムに導入され、標的組織に達した場合、患者は細菌性髄膜炎または他の重大な感染症に罹患することもあり得る。孔径0.2μm以下の細孔を有するインラインフィルターは、患者への細菌の到達を防ぐことができる。三次元多孔質金属抗菌フィルターは、耐変形性および小型であることから好ましい。
【0033】
多くの種類のカテーテルを各種の態様で使用することができる。少なくともいくつかの態様では、埋め込み式カテーテルは、フルオロポリマー(例えばPTFE、FEP、ETFE、およびPFA)、シリコーンゴム、PVC、PEEK、ポリイミド、ならびにポリウレタンなどの薬物および生体適合性材料から形成されている。カテーテル用に選択される的確な化合物は、送達されるべき薬物に依存すると考えられる。使用できるいくつかのカテーテルの例は、上記の米国特許出願第11/337,815号に記載されている。シングルルーメンおよびマルチルーメンカテーテルを使用することができる。適切なカテーテルおよびコネクタの選択および組立は、本明細書に記載の情報が提供されれば、当業者の能力の範囲内である。
【0034】
図9A〜9Cは、末端部材、他のカテーテル、浸透圧ポンプもしくはSCポート、または他の部材にカテーテルを接合するために各種の態様で使用できるコネクタのいくつかの斜視図である。コネクタは、緊密な接続の助けとなるかかりの付いた末端、またはフレア型の末端を有する。コネクタの長さに沿った途中に位置しているリングは、コネクタのそれぞれの側のカテーテルまたは他の部材が十分に係合されてコネクタ片と緊密な接続を形成することを確実にするためのチューブ挿入止めとして働く。図9A〜9Cのコネクタは、チタン、ステンレス鋼、およびフルオロポリマーなどの生体および薬物適合性材料から形成することができる。図9A〜9Cのコネクタは、カテーテルと末端部材との堅固な接続を促進する寸法を有する。例えば、末端部材は、スタイレットチューブ孔を有する人工内耳電極であることもあり得る。そのような場合、コネクタは、人工内耳電極内のスタイレットチューブ孔に挿入される。他の例として、腫瘍、関節炎の関節、脳、肝臓、または他の組織に薬物を送達するために、コネクタを針組立体に挿入することもあり得る。
【0035】
いくつかの態様では、複数のチューブが合流して「Y」形の接続を形成し、2本の別個のシングルルーメンチューブが合流して単一のデュアルルーメンチューブになる。例えば、1本のチューブを第1のSCポートに取り付けることができ、もう1本のチューブを第2のSCポート(または浸透圧ポンプおよび薬物/フィルターハウジング)に取り付けることができ、それによって複数の薬物を送達時に混合することが可能になる。デュアルルーメンチューブの第1および第2のルーメンは、個々のチューブのそれぞれのシングルルーメンに流体連通したままである。一態様では、ルーメンの円形孔への挿入と、意図した目的に適し、規制当局により承認され得るシアノアクリレートまたは他の接着剤の塗布とにより、2本の個々のチューブが、デュアルルーメンチューブに対して取り付けられ、封止される。図10および11は、それぞれそのような接続の断面図および斜視図である。いくつかの態様では、金属またはプラスチックのコネクタを使用してデュアルルーメンチューブと2本の個々のチューブとを接合することができる。少なくとも一態様では、分岐チューブは単体の構造を有し、1つの部品として押出加工される。これは、米国特許第5,945,052号に記載のものと類似の特別な押出ダイを用いて製造することができる。代替の態様では、分岐チューブを成形して単体の構造を与えることができる。これらのマルチルーメンチューブおよび分岐マルチルーメンチューブは、薬物の添加、過剰な流体の抜き取り、生理学的流体のサンプリング、標的組織でのバイオセンサの設置、電気刺激、電気検出などの複数の同時目的のための柔軟性を提供する。図10および11ではデュアルルーメンを有するカテーテルを示すが、代替の態様では3つ以上のルーメンを有するカテーテルを使用することもあり得る。これらのルーメンのいくつかまたは全部は、別個のポート、浸透圧ポンプなどに接続することができる。
【0036】
カテーテルは、SCポートまたは他の部材に永久に接続されていてもよく、取り外し可能および再取り付け可能であってもよい。いくつかの態様では、クリップまたは他のロック機構を使用することができる。スナップ/ロック嵌合の一例は米国特許第4,929,236号に記載されている。ロック嵌合の他の例は、ねじ接続、ツイストロック、またはタブロックを含むカテーテル/接続を含む。これらおよび他の種類のコネクタは、シングルまたはマルチルーメンカテーテルと共に使用することができる。いくつかの態様では、2つ以上のSCポート(または浸透圧ポンプ)をマルチルーメンチューブ(または別個のチューブ)に接続して、標的組織への複数の流体の同時投与を可能にするか、または1つのデバイスが流体を送達している間にもう1つのデバイスが流体を抜き取ることを可能にするようにする。
【0037】
先に指摘したように、固形薬物は、埋め込み式ポンプを含まない薬物送達システムで時々使用されることがある。このアプローチにより、固形薬物を含むSCポートを患者内に埋め込むことが可能になる。流体通路を、SCポートのキャビティから、カテーテルのルーメンを通じて、末端部材の出口まで形成する。次に、滅菌媒体を担持した外部ポンプシステムを、輸液セットと共にポートに定期的に取り付ける。次に、外部ポンプシステムから送達される媒体を使用して薬物の一部分を溶解させる。次に、媒体および薬物はSCポートの出口から外に出て、流体通路を流れて標的組織に送達される。このアプローチにより、埋め込み式ポンプシステムの複雑さ、および仮に機械的または電子的故障があった場合の複雑な修理の可能性が回避される。
【0038】
図12は、上記のアプローチを実施する1つの配置を示す。SCポート(ブロック図の形態で示す)はカテーテルに接続され、そのカテーテルはまた患者の体内に埋め込まれる。直針組立体は、カテーテルの遠位端に取り付けられる。フランジまたは他の種類の針止めは、標的組織への針の過度の挿入を防ぐ。直針近くの任意的な縫合アンカーは、カテーテルを定位置に固定する手段を与える。本明細書に記載の他の構成と同様に、図12の構成は、リンパ節、腫瘍、または他の組織に治療薬、免疫療法薬、およびワクチンを送達するために使用することができる。SCポートは、外部ポンプからポートに導入される滅菌媒体(例えば生理食塩水、リンゲル液、人工外リンパなど)によってその後溶解される、固形薬物を含むこともあり得る。あるいは、SCポートは「空」である可能性があり、外部ポンプが、外部シリンジまたは他のリザーバからSCポートのキャビティ内に薬物と滅菌媒体との両方を与える。このようにして導入することができる薬物および他の薬剤は、実際的な治療を提供する上で針注射では不十分である断続的または短期的治療を必要とする患者に対する、免疫療法用のプラスミド、ペプチド、タンパク質、細胞毒性薬、免疫保護剤、ステロイド(酢酸トリアムシノロン、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロンなど)、ならびに他の治療薬を含む。
【0039】
図12に示す配置の代替として、SCポートを骨髄穿刺針、人工内耳電極、または他の種類の末端部材に接続することもあり得る。例えば、図13は骨髄穿刺針に接続されているSCポートおよびカテーテルを示し、骨髄穿刺針は、蝸牛に薬物を送達するための蝸牛カニューレに取り付けられている。蝸牛カニューレは、患者の蝸牛に挿入できる小さいチューブである。蝸牛カニューレは、送達された薬物を複数の位置で放出するための1つまたは複数の孔を含んでもよい。図13の態様の変形では、コネクタ片(図9A〜9Cに示すような)を骨髄穿刺針の代わりに使用する。さらに他の変形では、バイオセンサを蝸牛カニューレと組み合わせることができる。もちろん、直針、骨髄穿刺針、または他の種類の針を通じて接続しない代替の態様では、埋め込み式浸透圧ポンプをカテーテルおよび蝸牛カニューレと共に使用することができる。これらの態様では、カテーテル、蝸牛カニューレ、または人工内耳電極は、9A〜Cのコネクタのうちの1つによりカテーテルに接続することができる。
【0040】
図14は、各種の態様(埋め込み式浸透圧ポンプを有する態様およびそれを有さない態様を含む)で使用できる人工内耳電極を示す。従来の人工内耳電極と同様に、図14の人工内耳電極は、聴覚障害のある患者の蝸牛を刺激する電極を含む。しかしながら、図14の人工内耳電極は、内部導管に流体連通している薬物送達孔をさらに含む。その導管は、カテーテルが(例えば図9A〜9Cに示すようなコネクタにより)それと接続できる接続部位で終止する。図14の人工内耳電極内の薬物送達孔は電極と同じ側にある。他の態様では、薬物送達孔が他の側(例えば反対側)に位置していることもあり得る。
【0041】
図15は、本発明の別の態様に係る埋め込み式SCポート122の斜視図である。図16は、SCポート122の断面図である。SCポート122は、2つのセプタム151aおよび151b(図15)により覆われている2つのキャビティ153aおよび153b(図16)を含む。キャビティ153aは、(出口チューブ147aを通じて)デュアルルーメンカテーテル102のルーメン101に流体連通している。キャビティ153bは、(入口チューブ147bを通じて)デュアルルーメンカテーテル102のルーメン103に流体連通している。図15および16の態様では、標的組織のフラッシングが可能となり、ポートの一方の側(セプタム151a、キャビティ153a、および出口147a)は他の供給源(例えば外部ポンプ)から流体を受け取り、他方の側(セプタム151b、キャビティ153b、および入口147b)は標的組織から流体を抜き取るために使用される。いくつかの態様では、キャビティ153aは薬物および/または抗菌フィルター(図示せず)を含むこともでき、あるいは抗菌フィルターを出口147a内に設置することもできる。図15および16の態様では、単一のキャップがキャビティ153aおよび153b上のセプタム151aおよび151bを保持する。他の態様では、別々のキャップを使用することができる。さらに他の態様では、一方の側は取り外し可能なキャップで覆われ、他方の側は取り外し不可能なキャップで覆われている。好ましくは、標的組織に伝達される流体を受け取る側もまた、流体伝達経路内に抗菌フィルター(図示せず)を含む。
【0042】
図15の態様を用いることで、SCポートおよびカテーテルをプライミングし、かつ/または組織部位を洗浄するために、マルチルーメンカテーテルの1つのルーメンを使用できる。もう1つのルーメンは、過剰な流体を除去するために使用される。例えば、システムが大きいデッドボリュームを有する場合、システムをマルチルーメンチューブを用いて洗浄することができる。組織に流入する過剰な流体は、チューブのヘッドでの過剰圧力を避けるために、チューブ内の第2のルーメンから排出されると考えられる。あるいは、デッドボリュームが交換され、望ましくない流体がシステムから洗い流され、組織が薬物を受け取る用意ができるまで、チューブのヘッドにある組織を注射流体で洗浄することができる。これは、薬物が不安定で新しい薬物と交換する必要がある場合にも有用であると考えられる。
【0043】
少なくともいくつかの態様では、図1〜6および12〜16のいずれかに関して先に記載したような薬物送達システムは、乳様突起の骨膜内に設置されており、薬物送達システムからのカニューレは(皮膚と乳様突起との間の)骨膜内、または乳様突起骨上に刻まれた溝の中に位置している。カテーテルは、側頭骨に延伸しており、人工内耳電極が側頭骨を貫通して蝸牛に達する直前までその埋め込みと一緒になっている。患者内に埋め込み可能にするために、システムの部材は生体適合性材料から構成される(またはその中に包まれる)。少なくともいくつかの実施形態では、部材の薬物と接触する表面は、pHが4〜9の薬物と適合性がある材料から形成される。部材(または部材がその中に設置された包装)は、他の頭蓋の位置(例えば予め穿孔されたポケット内に設置され、骨ねじで固定される)、筋肉、または他の組織に取り付け可能とすることができる。
【0044】
図17Aおよび17Bは、別の態様に係る薬物送達システムを示す。浸透圧ポンプ5'は、ポンプ5'の出口がやや拡大しており、内部ねじ山を有する以外は図1の浸透圧ポンプ5と同様である。薬物/フィルターハウジング6'は、図1および2のハウジング6と同様である。しかしながら、ハウジング6'は、ポンプ5'の出口の内部ねじ山に対応する外部ねじ山を有する。図17Bに示すように、これによりポンプ5'とハウジング6'との直接的な取り付けを促進し、それによって図1に示すカテーテルのうち1つ(すなわちカテーテル7)の必要が回避される。(図2のカテーテル7に接続されているハウジング6の入口と同様の)ハウジング6'の入口は、ポンプ5'の出口に流体連通するように設置されている。ハウジング6の寸法は、送達される薬物、および薬物の所望の濃度を与えるために必要な表面積に依存すると考えられる。
【0045】
図17A〜17Bの構成は、ハウジング6'内の薬物および/またはフィルターを交換するための、ポンプ5'からのハウジング6'の定期的な取り外しを可能にする。図17A〜17Bの態様の変形では、ポンプ5'とハウジング6'との他の種類の接続機構(例えばロックタブおよび溝)を使用する。さらに他の変形では、ハウジング6'は永久に(例えば接着剤で)ポンプ5'に取り付けられている。
【0046】
図18は、さらなる態様に係る流体送達システムの概略ブロック図である。図18の態様は、(例えば図3〜6、12、13、および15に関して記載されているような)SCポートの態様の特徴と、(図1〜2のハウジング6などの)別個の薬物/フィルターハウジングとを組み合わせたものである。図18の態様では、固形薬物は、SCポートのキャビティ内の代わりに、別個のハウジング内に設置されている。カテーテルは、SCポートの出口と薬物/フィルターハウジングの入口とを接続し、もう1つのカテーテルは、薬物/フィルターハウジングの出口を末端部材(図示せず)に接続する。SCポートの内部キャビティ、カテーテルのルーメン、薬物/フィルターハウジングの内部キャビティ、および末端部材は流体通路を形成する。媒体(例えば生理食塩水、リンゲル液、人工外リンパ)は、外部ポンプおよび流体供給源に連結している輸液セットを介し、SCポートのセプタムを通じて導入される。外部供給源からの流体は、SCポートからカテーテルおよびハウジングを通じて末端部材に流れる。その流体が流れると、ハウジング内の固形薬物が溶解し、末端部材が埋め込まれている標的組織に送達される。
【0047】
上記のようなシステムを使用して、多くの状態を治療および/または診断する各種薬物のうちいずれかを投与することができる。以下は、いくつかのそのような使用を例示するために、限定としてではなく一例として提供される。
【0048】
耳鳴、内耳の感染症、炎症性疾患、内耳癌、聴神経腫瘍、音響外傷、メニエール病などの聴覚関連障害および他の病気を治療するために、本明細書に記載のようなシステムを使用して内耳に治療薬を送達することができる。いくつかの場合では、薬物は、図14に示すような改変型の人工内耳電極を通じて適用することができる。他の場合(すなわち、人工内耳電極が望ましくない場合)では、骨内の孔を通じて蝸牛に(短い針もしくはカニューレを用いて蝸牛の基底回転に、または適切な位置に1個もしくは複数の孔を有するカニューレを用いてさらに深く蝸牛にのいずれかに)直接薬物を送達することもあり得る。
【0049】
他の例としては、慢性痛、片頭痛、およびパーキンソン病、てんかん、統合失調症またはアルツハイマー病などの各種神経障害を治療するための、脳への薬物送達を含む。ドーパミン作動薬を使用して、パーキンソン病が生じると考えられる脳の部分である黒質のドーパミン受容体を刺激することができる。クロルプロマジン(トラジン)などのドーパミン受容体を遮断する薬物は、統合失調症を治療するために大脳基底核に送達することができる。
【0050】
直接薬物送達の他の用途は以下を含む。
・各種障害を治療するために、ホルモンを下垂体、視床下部、または松果体に送達することもあり得る。
・タウリンは、脳卒中、およびてんかんなどの各種発作障害の治療などの各種治療用途のために使用できる神経保護物質である。しかしながら、タウリンは、血液脳関門を有効に横断することはない。脳卒中、外傷性脳損傷、または発作の焦点での注射によるタウリンの直接送達は、この問題を解決し、タウリンの治療上の使用を実行可能にすると考えられる。
・各種タンパク質ホルモンの送達は、作用部位に到達する前にプロテアーゼによる急速な分解が理由で妨害される。本明細書に記載のようなシステムの使用によりこの問題に対処することもあり得る。これにより、例えば局所痛の治療において、他の非タンパク質薬物(例えばモルヒネ)の習慣性を回避するためにエンドルフィンを使用することが可能になることもあり得る。
・必要なホルモンの組織特異的送達により、特異性および治療効果が増強されることもあり得る。これは、外側副腎細胞への心房性ナトリウム利尿因子(ANF)またはアトリオペプチン(atriopeptin)の送達;遠位尿細管へのアルギニンバソプレシンの送達;胆嚢収縮および胆汁流を刺激するため、または膵酵素の分泌を増加させるためのコレシストキニンの送達;ヘモグロビン合成を刺激するための骨髄へのエリスロポエチンの送達;子宮筋収縮を減少させるための胎盤へのリラキシンの送達;ならびに受精能を増強するための睾丸および卵巣への卵胞刺激ホルモンの送達を含むこともあり得る。
・先天性代謝異常を治療するために、必要な組織に所要の酵素を送達すること、例えば、テイ-サックス病を治療するために、血液脳関門を横切って網膜黄斑にヘキソサミニダーゼAを送達することもあり得る。また、神経細胞アポトーシスを誘導するグルタミン酸を、神経保護性であるγ-アミノ酪酸に変換するために、脳損傷の焦点に酵素のグルタミン酸デカルボキシラーゼを送達することもあり得る。
・遺伝子治療は、欠損遺伝子を、それを欠く組織に送達することにより最も効率的になると考えられる。例えば、アデノシンデアミナーゼ欠損症またはゴーシェ病をそれぞれ治療するために、胸腺、脾臓、または骨髄に直接、アデノシンデアミナーゼまたはグルコセレブロシダーゼのための遺伝子を送達することもあり得る。同様に、所要の種類の幹細胞または前駆細胞のいずれかによる細胞補充療法は、標的組織に直接送達することもあり得る。これは、パーキンソン病を治療するための黒質向けの前駆細胞の送達、または糖尿病を治療するための膵臓の島α、β、δ、および/もしくはPP細胞向けの前駆細胞の送達を含むこともあり得る。
・慢性痛、精神疾患、および他の中枢神経系疾患を治療するために、本明細書に記載のようなシステムを使用して脳の各種領域に薬物を送達することができる。いくつかの場合では、骨髄穿刺針を用いて頭蓋内の孔を通じて脳に薬物を送達することができる。
・アレルギー状態において免疫応答を調節するか、またはTH1/TH2バランスを改善するように設計された治療薬で自己免疫疾患を治療するために、本明細書に記載のようなシステムを使用して(例えば直針を用いて)リンパ節に薬物を送達することができる。また、そのようなシステムはハチ毒、粉塵、ブタクサ、ネコ、食物などに対するアレルギーを治療するために使用することもできる。
・腫瘍または腫瘍の薬物耐性を克服するように設計された細胞毒性薬または抗癌プロドラッグで局所治療するように、本明細書に記載のようなシステムを使用して癌腫瘍に(例えば直針または他の種類の針を用いて)薬物を送達することができる。また、先に記載のようなシステムは、癌の予防的または免疫療法的治療を可能にすることもあり得る。例えば、いくつかの態様では、癌用の免疫療法薬(抗癌「ワクチン」)をリンパ節(例えば鼠径リンパ節)に注射する。癌免疫療法薬は、例えばUS 2005/0130920、US 2005/0013812、US 2004/0223949、US 2004/0209836、US 2004/0156858、およびUS 2004/0091995に記載されている。好ましい癌免疫療法薬は、1つまたは複数の抗原エピトープを発現させることで、標的癌細胞上の同一のエピトープを認識するべくT細胞を訓練するように適切に構成された、1つまたは複数のDNAプラスミドを含むことができる。次に、そのように訓練されたT細胞は、リンパ節を離れて、同一のエピトープを有する癌細胞を死滅させる(それと結合するか、それを攻撃する)。また、この治療によって、引き続いて標的タンパク質または細胞に結合する/それを中和する、同一のエピトープを認識する抗体を区別および生成するようにB細胞が訓練される。治療期間中、抗体価をさらに高め、よりよい全体的治療応答を与えることができるペプチドまたはタンパク質のエピトープの混合物などの他の物質を注射することができる。他の態様では、癌の免疫療法薬または化学療法薬を、腫瘍またはその近傍に直接注射することができる。
・上記の米国特許出願第11/337,815号に記載の状態を治療する(または他の状態を治療する)ために、上記のようなシステムを使用して米国特許出願第11/337,815号に記載の化合物のいずれかを送達することもあり得る。
・他の使用は、免疫療法または遺伝子治療(遺伝子治療)のためのプラスミドの送達;ペプチド、タンパク質、ステロイド(例えば酢酸トリアムシノロン、デキサメタゾン、およびメチルプレドニゾロン)ならびに他の抗炎症治療薬の送達;ならびに細胞毒性薬および他の治療薬の送達を含む。
以上は単に例である。直接薬物送達の可能な用途は、本明細書で余すところなく列挙するにはあまりに多すぎる。
【0051】
本発明の多くの特徴、利点、および態様を、前述の説明では添付の図面を参照しながら詳細に説明してきた。しかしながら、上記の説明および図面は単に例示的であり、本発明は例示された態様に限定されるわけではない。本発明の範囲または精神から逸脱することなく、当業者は前記態様の様々な変更および改変を行うことができる。例としての材料および寸法が提供されたが、本発明は、一請求項の文言により具体的に要求されない限り、そのような材料または寸法に限定されるわけではない。上記態様の要素および使用は、先に具体的に記載した以外の様式で再編成および組み合わせることができ、任意のおよびすべての置換は本発明の範囲内である。本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される「流体連通している」とは、流体が1つの部材からもう1つの部材に流れることができることを意味する。そのような流れは、中間にある(具体的に言及されない)1つまたは複数の他の部材を経由することができ、それは(例えば弁により)選択的に中断させても中断させなくてもよい。また、本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される「連結している」は、1つまたは複数の中間部材により(移動可能または固定的に)取り付けられた2つの部材を含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】浸透圧ポンプと固形薬物/フィルターハウジングとを含む、少なくともいくつかの態様に係る埋め込み式薬物送達システムの図である。
【図2】図1に示す固形薬物/フィルターハウジングの断面図である。
【図3】少なくともいくつかの態様に係る皮下(SC)ポートの斜視図である。
【図4】図3のSCポートの断面図である。
【図5】別の態様に係るSCポートの断面図である。
【図6】固形薬物ペレットを含むSCポートの斜視図である。
【図7】少なくともいくつかの態様に係る薬物ケージの斜視図である。
【図8】図7のケージの断面図である。
【図9】図9A〜9Cは、少なくともいくつかの態様に係るチューブコネクタを示す。
【図10】ダブルルーメンカテーテルに対する2本のチューブの接続を示す。
【図11】ダブルルーメンカテーテルに対する2本のチューブの接続を示す。
【図12】SCポート、カテーテル、および直針の図である。
【図13】SCポート、カテーテル、骨髄穿刺針、および蝸牛カニューレの図である。
【図14】人工内耳電極の図である。
【図15】別の態様に係るSCポートの斜視図である。
【図16】図15のSCポートの断面図である。
【図17】図17Aおよび17Bは、少なくともいくつかのさらなる態様に係る埋め込み式薬物送達システムを示す。
【図18】別の態様に係る埋め込み式薬物送達システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部キャビティと、出口と、キャビティをポートの外部から分離する自己密封型のセプタムとを含む皮下埋め込み式ポート;
ポートの出口に流体連通しているルーメンを有するカテーテル;
カテーテルに流体連通しており、かつ標的組織内への埋め込み用に構成されている末端部材;および
1つまたは複数の固形薬物を位置させる流体通路が、ポートのキャビティと末端コネクタの出口との間で延伸しており、ポートのキャビティと末端部材の出口との間の流体通路にポンプが存在しない、ポートのキャビティと、カテーテルのルーメンと、末端コネクタとを含む流体通路内に位置している1つまたは複数の固形薬物
を含む、標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための装置。
【請求項2】
1つまたは複数の固形薬物がポートのキャビティ内に位置している、請求項1記載の装置。
【請求項3】
1つまたは複数の固形薬物が、ポートから分離されたハウジング内に位置している、請求項1記載の装置。
【請求項4】
ポートがベースとキャップとをさらに含み、キャビティを露出させるためにキャップをベースから非破壊的に取り外すことが可能である、請求項1記載の装置。
【請求項5】
ポートが、ヒトの頭蓋上に埋め込まれる大きさである、請求項1記載の装置。
【請求項6】
ポートのキャビティと末端部材の出口との間の流体通路の一部分内に位置している抗菌フィルターをさらに含み、該抗菌フィルターが、約0.2μmの最大孔径を有する三次元フィルターである、請求項1記載の装置。
【請求項7】
1つまたは複数の固形薬物が、ポートのキャビティ内に位置している取り外し可能なケージ内に含まれる、請求項1記載の装置。
【請求項8】
1つまたは複数の固形薬物が、ポートのキャビティ内に位置している取り外し不可能なケージ内に含まれる、請求項1記載の装置。
【請求項9】
末端部材が人工内耳電極である、請求項1記載の装置。
【請求項10】
末端部材が針である、請求項1記載の装置。
【請求項11】
末端部材がカテーテルの開口端である、請求項1記載の装置。
【請求項12】
ポートが、第1および第2の内部キャビティと第1および第2のセプタムとを含み、
第1および第2のセプタムが、それぞれ第1および第2のキャビティをポートの外部から分離し、
カテーテルが第1および第2のルーメンを含み、
ポートが、第1のキャビティをカテーテルの第1のルーメンに流体連通するように設置する出口を含み、かつ
ポートが、第2のキャビティをカテーテルの第2のルーメンに流体連通するように設置する入口を含む、
請求項1記載の装置。
【請求項13】
ポートが、ポートの本体部分から延伸している複数の突起を含み、各突起がその中に形成される開口を含み、開口が、生きているヒトまたは動物にポートを埋め込む際のねじまたは縫合穴として使用される大きさおよび配置である、請求項1記載の装置。
【請求項14】
内部キャビティと、出口と、キャビティをポートの外部から分離する自己密封型のセプタムと、ベースと、キャップとを含み、キャビティを露出させるためにキャップをベースから非破壊的に取り外すことが可能である、皮下埋め込み式ポート;および
ポートのキャビティ内に位置している1つまたは複数の固形薬物
を含む、標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための装置。
【請求項15】
ポートが、ヒトまたは動物の頭蓋上に埋め込まれる大きさである、請求項14記載の装置。
【請求項16】
キャビティに流体連通している出口と、出口内に位置している抗菌フィルターとをさらに含み、該抗菌フィルターが、約0.2μmの最大孔径を有する三次元フィルターである、請求項14記載の装置。
【請求項17】
1つまたは複数の固形薬物が、ポートのキャビティ内に位置している取り外し可能なケージ内に含まれる、請求項14記載の装置。
【請求項18】
1つまたは複数の固形薬物が、ポートのキャビティ内に位置している取り外し不可能なケージ内に含まれる、請求項14記載の装置。
【請求項19】
ポートが、ポートの本体部分から延伸している複数の突起を含み、各突起がその中に形成される開口を含み、開口が、生きているヒトまたは動物にポートを埋め込む際のねじまたは縫合穴として使用される大きさおよび配置である、請求項14記載の装置。
【請求項20】
出口を有する皮下埋め込み式浸透圧ポンプ;
ポンプの出口に流体連通している入口と、入口に流体連通しかつ1つまたは複数の固形薬物を含む内部キャビティと、キャビティに流体連通している出口とを有する皮下埋め込み式ハウジング;
ハウジングの出口に流体連通しているルーメンを有するカテーテル;および
カテーテルのルーメンに流体連通しており、かつ標的組織内への埋め込み用に構成されている末端部材
を含む、標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための装置。
【請求項21】
ハウジングが第1および第2のセクションをさらに含み、キャビティを露出させるために第1および第2のセクションを互いに非破壊的に取り外すことが可能である、請求項20記載の装置。
【請求項22】
ハウジングをポンプから非破壊的に取り外すことが可能である、請求項20記載の装置。
【請求項23】
ポンプの出口とハウジングの入口とが第2のカテーテルにより接続されている、請求項22記載の装置。
【請求項24】
ハウジングが、1つまたは複数の固形薬物とハウジングの出口との間の流体通路内に配置されている抗菌フィルターをさらに含む、請求項20記載の装置。
【請求項25】
1つまたは複数の固形薬物が、ハウジングのキャビティ内に位置している取り外し可能なケージ内に含まれる、請求項20記載の装置。
【請求項26】
ハウジングが、1つまたは複数の固形薬物とハウジングの出口との間の流体通路内に配置されている抗菌フィルターをさらに含む、請求項25記載の装置。
【請求項27】
1つまたは複数の固形薬物が、ハウジングのキャビティ内に位置している取り外し不可能なケージ内に含まれる、請求項20記載の装置。
【請求項28】
末端部材が人工内耳電極である、請求項20記載の装置。
【請求項29】
末端部材が針である、請求項20記載の装置。
【請求項30】
末端部材がカテーテルの開口端である、請求項20記載の装置。
【請求項31】
生きているヒトまたは動物の皮下に、内部キャビティと、出口と、キャビティをポートの外部から分離する自己密封型のセプタムとを有するポートを埋め込む段階;
出口を有しかつポートのキャビティに流体連通している末端部材を、生きているヒトまたは動物の標的組織に埋め込む段階;
ヒトまたは動物にポートを埋め込んだ後、ポートのキャビティと外部の流体源とを接続するために針をポートのセプタムに挿入する段階;および
ポートのキャビティと末端部材の出口との間の流体通路内に位置している1つまたは複数の固形薬物の一部分を、埋め込み式ポンプに依存することなく標的組織に運搬するように、流体を外部の流体源からポートのキャビティに供給する段階
を含む、ヒトまたは動物の標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための方法。
【請求項32】
皮下にポートを埋め込む段階が、ヒトまたは動物の頭蓋上にポートを埋め込むことを含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
皮下にポートを埋め込む段階が、耳鳴、内耳の感染症、炎症性疾患、内耳癌、聴神経腫瘍、音響外傷、またはメニエール病のうち少なくとも1つを治療するための1つまたは複数の固形薬物を含むポートを埋め込むことを含み、
標的組織に末端部材を埋め込む段階が、ヒトの内耳に末端部材を埋め込むことを含む、
請求項32記載の方法。
【請求項34】
ポンプの出口に流体連通している入口と、入口に流体連通しかつ1つまたは複数の固形薬物を含む内部キャビティと、キャビティに流体連通している出口とをハウジングが含み、カテーテルが該ハウジングの出口に流体連通している、生きているヒトまたは動物の皮下に浸透圧ポンプ、カテーテル、およびハウジングを埋め込む段階;ならびに
出口を有しかつカテーテルに流体連通している末端部材を、ヒトまたは動物の標的組織に埋め込む段階
を含む、ヒトまたは動物の標的組織に1つまたは複数の薬物を送達するための方法。
【請求項35】
皮下に浸透圧ポンプを埋め込む段階が、ヒトまたは動物の頭蓋上に浸透圧ポンプおよびハウジングを埋め込むことを含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
皮下に浸透圧ポンプを埋め込む段階が、耳鳴、内耳の感染症、炎症性疾患、内耳癌、聴神経腫瘍、音響外傷、またはメニエール病のうち少なくとも1つを治療するための1つまたは複数の固形薬物を含むハウジングを埋め込むことを含み、
標的組織に末端部材を埋め込む段階が、ヒトの内耳に末端部材を埋め込むことを含む、
請求項35記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2009−535155(P2009−535155A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−509597(P2009−509597)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/009753
【国際公開番号】WO2007/133389
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508322211)ニューロシステック コーポレイション (3)
【Fターム(参考)】