説明

泡消火薬剤混合システム

【課題】 維持管理を容易にし、ランニングコストの削減を図ることができる泡消火薬剤混合システムを得る。
【解決手段】 水用のポンプ3で水が送り込まれる水配管4と泡消火薬剤用のポンプ8で泡消火薬剤が送り込まれる泡消火薬剤配管9とにオリフィス5,10がそれぞれ設けられ、各オリフィス5,10の一次側の水の圧力と泡消火薬剤の圧力が等圧力となるように制御され、各オリフィス5,10を通った水と泡消火薬剤が混合配管11で混合されて送り出される泡消火薬剤混合システムであって、各オリフィス5,10の一次側の水配管4aと泡消火薬剤配管9aに圧力センサ13,14をそれぞれ設け、泡消火薬剤用のポンプ8に、各圧力センサ13,14の出力を入力として一次側の水の圧力と一次側の泡消火薬剤の圧力が一致するように泡消火薬剤用のポンプ8の回転数を制御するインバータ制御回路17備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泡消火設備において、水と泡消火薬剤とを所定の比率で混合する泡消火薬剤混合システムである。
【背景技術】
【0002】
従来、泡消火設備において、水と泡消火薬剤とを所定の比率で混合する泡消火薬剤混合システムとして、等圧調合方式(プレッシャー・サイド・プロポーショナー)のものと、差圧調合方式(プレッシャー・プロポーショナー)のものとがある。(例えば、非特許文献1または特許文献1参照。)。
【0003】
等圧調合方式の泡消火薬剤混合システムは、水と泡消火薬剤とが送り込まれる水配管と泡消火薬剤配管とにオリフィスをそれぞれ設け、前記各オリフィスの一次側の水の圧力と泡消火薬剤の圧力を等圧弁により等圧力となるように制御し、前記各オリフィスを通った前記水と泡消火薬剤を混合配管で混合するようになっている。
【0004】
また、差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムは、水と泡消火薬剤とが送り込まれる水配管と泡消火薬剤配管にオリフィスをそれぞれ設け、水配管に送り込まれた加圧水を、泡消火薬剤を蓄えた泡消火薬剤タンクに導入してその圧力で泡消火薬剤を加圧して泡消火薬剤配管に送り込み、前記各オリフィスを通った前記水と泡消火薬剤を混合配管で混合するようになっている。この差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムとしては、泡消火薬剤タンク内にダイヤフラムを設置し、ダイヤフラム内に泡消火薬剤を収容し、泡消火薬剤タンク内でダイヤフラムの外側に圧力水を圧送してダイヤフラムを加圧し、内部の泡消火薬剤を泡消火薬剤配管に送り込むタイプのものと、泡消火薬剤タンク内に泡消火薬剤を直接収容し、泡消火薬剤タンク内の泡消火薬剤の上面に圧力水を圧送して泡消火薬剤を加圧して泡消火薬剤配管に送り込むタイプのものとがある。
【非特許文献1】平成18年9月15日に危険物保安技術協会から発行された「屋外タンク貯蔵所の泡消火設備の一般的な点検に係る講習テキスト 第2版」p73〜p80
【特許文献1】特開平6−262053号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、等圧調合方式の泡消火薬剤混合システムでは、次のような問題点がある。
【0006】
(a)等圧弁を長期間使用しないで放置すると、内部に残留した泡消火薬剤による内部部品の固着、また内部に残留した泡消火薬剤による腐食等で性能が低下し易い。
【0007】
(b)等圧弁の機能を点検する場合は、泡消火薬剤混合装置の泡消火設備を実際に運転する必要があり、その際に発生する多量の泡水溶液の産業廃棄物処理に多大の手間と莫大な費用がかかる。
【0008】
一方、差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムでは、次のような問題点がある。
【0009】
(a)泡消火薬剤を収容する泡消火薬剤タンクは圧力容器にする必要があり、高価である。
【0010】
(b)泡消火設備の動作中に泡消火薬剤を補充できず、消火活動に手間取った場合、継続して消火活動を行うには、別の手段(消防自動車等)で対応する必要がある。また、泡消火薬剤タンク内にダイヤフラムを収容して、このダイヤフラムの中に泡消火薬剤を入れて外側から加圧水で加圧するタイプのものでは、ダイヤフラムの中に泡消火薬剤をポンプで圧送充填するが、その際、ダイヤフラムを傷めるおそれがあるため、非常に神経を使う。
【0011】
(c)泡消火薬剤タンク内にダイヤフラムを収容した泡消火薬剤混合システムの場合には、泡消火薬剤タンク内のダイヤフラムが膨らんでいるのか、萎んでいるのか、泡消火薬剤タンクの外からは確認できないため、従来行われている液面計測による泡消火薬剤の充填量の確認では信頼性が低く、泡消火薬剤の貯蔵量の管理が困難である。また、システムの始動時や停止時に水配管側で発生するウォーターハンマーによりダイヤフラムが破損するおそれがある。
【0012】
(d)泡消火薬剤タンク内にダイヤフラムを収容した泡消火薬剤混合システムの場合、ダイヤフラムはゴム製のため、短期間に劣化し易く、ダイヤフラムの寿命が短い。新たにダイヤフラムを交換するための購入費、交換費用等でランニングコストが高い。
【0013】
本発明の目的は、維持管理を容易にし、ランニングコストの削減を図ることができる泡消火薬剤混合システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、水用のポンプで水が送り込まれる水配管と泡消火薬剤用のポンプで泡消火薬剤が送り込まれる泡消火薬剤配管とにオリフィスがそれぞれ設けられ、前記各オリフィスの一次側の水の圧力と泡消火薬剤の圧力が等圧力となるように制御され、前記各オリフィスを通った前記水と泡消火薬剤が混合配管で混合されて送り出される泡消火薬剤混合システムであって、前記各オリフィスの一次側の水配管と泡消火薬剤配管に圧力センサがそれぞれ設けられ、前記泡消火薬剤用のポンプには、前記各圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力と前記一次側の泡消火薬剤の圧力が一致するように前記泡消火薬剤用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の、前記水用のポンプには、前記一次側の水の圧力を設定する圧力設定手段と、前記オリフィスの一次側の水配管に設られた前記圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力が前記圧力設定手段で設定された圧力となるように前記水用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられていることを特徴とする。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の、前記オリフィスの一次側の泡消火薬剤配管に、該泡消火薬剤配管に設けられた前記圧力センサの下流側に位置して、前記泡消火薬剤を収容する泡消火薬剤タンクと連通する循環バイパス管が接続され、更に前記オリフィスと循環バイパス管接続位置の間の泡消火薬剤配管には、試験用運転時に閉じ通常の運転時に開く試験用弁が設けられ、前記循環バイパス管には試験用運転時に開き通常の運転時に閉じる試験用弁が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の泡消火薬剤混合システムによれば、前記各オリフィスの一次側の水配管と泡消火薬剤配管に圧力センサがそれぞれ設けられ、前記泡消火薬剤用のポンプには、前記各圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力と前記一次側の泡消火薬剤の圧力が一致するように前記泡消火薬剤用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられているので、オリフィスの一次側の水配管における水の圧力と常に同じ圧力をもって泡消火薬剤をオリフィスの一次側の泡消火薬剤配管に送り込むことができる。
【0018】
そして、インバータ制御回路により前記泡消火薬剤用のポンプの回転数を制御してオリフィスの一次側の水配管における水の圧力と常に同じ圧力をもって泡消火薬剤をオリフィスの一次側の泡消火薬剤配管に送り込むので、従来の等圧調合方式の泡消火薬剤混合システムにおける等圧弁の必要がなくなり、また、差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムを採用する必要もなくなることから、等圧調合方式の泡消火薬剤混合システムや差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムにおける問題点が解消できる。
【0019】
請求項2に記載の泡消火薬剤混合システムによれば、請求項1に記載の、前記水用のポンプには、前記一次側の水の圧力を設定する圧力設定手段が備えられ、前記オリフィスの一次側の水配管に設られた前記圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力が前記圧力設定手段で設定された圧力となるように前記水用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられているので、圧力設定手段により前記一次側の水の圧力を設定することにより、放水量を容易に制御することができ、例えば、消火状況に応じて、即時に放水量を制御することが可能となる。
【0020】
請求項3に記載の泡消火薬剤混合システムによれば、請求項1または2に記載の、前記オリフィスの一次側の泡消火薬剤配管に、該泡消火薬剤配管に設けられた前記圧力センサの下流側に位置して、前記泡消火薬剤を収容する泡消火薬剤タンクと連通する循環バイパス管が接続され、更に前記オリフィスと循環バイパス管接続位置の間の泡消火薬剤配管には、試験用運転時に閉じ通常の運転時に開く試験用弁が設けられ、前記循環バイパス管には試験用運転時に開き通常の運転時に閉じる試験用弁が設けられているので、前記圧力センサ、前記インバータ制御回路、前記ポンプ等の機能点検のために試験運転をする場合、泡消火薬剤配管に設けた試験用弁を閉じ、前記循環バイパス管に設けた試験用弁を開いて運転することにより、泡消火薬剤タンクから泡消火薬剤配管に送り出された泡消火薬剤は、循環バイパス管に流れ泡消火薬剤タンクに戻され、泡消火薬剤タンク、泡消火薬剤配管、循環バイパス管を循環することになるので水と泡消火薬剤が接触せず、従来の試験運転で多大な手間と莫大なコストが掛かっていた産業廃棄処理しなければならない泡水溶液の発生を無くすことができ、また泡消火薬剤の無駄な消費を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明に係る泡消火薬剤混合システムを実施するための最良の形態を、図面に示す実施例にて詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第1実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【0023】
本例の泡消火薬剤混合システムでは、水1は水源水槽2に貯蔵されていて、水用のポンプ3で汲み上げられて水配管4に送り込まれるようになっている。水用のポンプ3は、水を汲み上げるロータよりなる汲み上げ機構3aと、これを回転させるモータ3bとで構成されている。水配管4には水用のオリフィス5が設けられている。
【0024】
また、泡消火薬剤6は、泡消火薬剤タンク7に貯蔵されていて、泡消火薬剤用のポンプ8で汲み上げられて泡消火薬剤配管9に送り込まれるようになっている。泡消火薬剤用のポンプ8は、泡消火薬剤6を汲み上げる汲み上げ機構8aと、これを回転させるモータ8bとで構成されている。泡消火薬剤配管9には、泡消火薬剤用のオリフィス10が設けられている。
【0025】
水用のオリフィス5の二次側の水配管4aと泡消火薬剤用のオリフィス10の二次側の泡消火薬剤配管9aには、水用のオリフィス5を通った水1と泡消火薬剤用のオリフィス10を通った泡消火薬剤6を混合する混合配管11が接続され、混合配管11の先端部には水1と泡消火薬剤6の混合液を吐出する吐出部12が設けられている。
【0026】
水用のオリフィス5の一次側の水配管4bには、一次側の水配管4b内における水1の圧力を検出する圧力センサ13が設けられ、泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bには、一次側の泡消火薬剤配管9b内における泡消火薬剤6の圧力センサ14が設けられている。
【0027】
そして、泡消火薬剤用のポンプ8のモータ8bには、圧力センサ13,14と信号線15,16を介して接続され、圧力センサ13,14の出力を入力として一次側の水配管4b内の水1の圧力と一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が一致するように泡消火薬剤用のポンプ8の回転数、即ちモータ8bの回転数を制御するインバータ制御回路17が備えられている。
【0028】
上記のように構成された第1実施例の泡消火薬剤混合システムでは、水用のポンプ3のモータ3bの駆動により水源水槽2に貯蔵されている水1が汲み上げられて水配管4に圧送され、泡消火薬剤用のポンプ8のモータ8bの駆動により泡消火薬剤タンク7に貯蔵されている泡消火薬剤6が汲み上げられて泡消火薬剤配管9に圧送され、そして、水用のオリフィス5の一次側の水配管4b及び泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに設けられている圧力センサ13,14が、一次側の水配管4b内の水1の圧力及び一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力を検出する。
【0029】
圧力センサ13,14から出力する圧力信号は信号線15,16を介してインバータ制御回路17に入力される。圧力センサ13,14から一次側の水配管4b内の水1の圧力及び一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が入力されたインバータ制御回路17は、一次側の水配管4b内の水1の圧力と一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が一致するように泡消火薬剤用のポンプ8の回転数、即ちモータ8bの回転数を制御する。
【0030】
これにより、水用のオリフィス5の一次側の水配管4bにおける水1の圧力と常に同じ圧力をもって泡消火薬剤6を泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに送り込むことができる。
【0031】
そして、インバータ制御回路17により泡消火薬剤用のポンプ8の回転数を制御して水用のオリフィス5の一次側の水配管4bにおける水1の圧力と常に同じ圧力をもって泡消火薬剤6を泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに送り込むので、従来の等圧調合方式の泡消火薬剤混合システムにおける等圧弁の必要がなくなり、また、差圧調合方式の泡消火薬剤混合システムを採用する必要もなくなる。
【0032】
図2は、本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第2実施例の構成を示す概略的な説明図である。同図において、図1に示した第1実施例と対応する部分に同一符号をつけて、第1実施例と対応する部分の構成の説明を省略する。
【0033】
本例では、水用のポンプ3のモータ3bに、水用のオリフィス5の一次側の水配管4bの水の圧力を設定する圧力設定手段18と、一次側の水配管4bに設けられている圧力センサ13と信号線19を介して接続され、圧力センサ13の出力を入力として一次側の水配管4b内の水1の圧力が圧力設定手段18で設定された圧力となるように水用のポンプ3の回転数、即ちモータ3bの回転数を制御するインバータ制御回路20が備えられている。圧力設定手段18は任意に設定した圧力をインバータ制御回路20に入力するものであり、その構成にあっては特に限定されない。その他の構成は第1実施例と同様なので、第1実施例の説明を援用する。
【0034】
上記のように構成された第2実施例の泡消火薬剤混合システムでは、圧力設定手段18により一次側の水配管4bの水の圧力を設定すると、圧力センサ13から一次側の水配管4b内の水1の圧力が入力されたインバータ制御回路20は、圧力設定手段18により入力されている圧力と一次側の水配管4b内の水1の圧力とが一致するように水用のポンプ3の回転数、即ちモータ3bの回転数を制御する。
【0035】
このように、圧力設定手段18で一次側の水配管4bの水の圧力を設定することにより、必要な放水量を容易に求めることができ、また、消火状況等に応じて、一次側の水配管4bの水の圧力を変更することにより、即時に放水量を制御することが可能となる。 また、このようにして一次側の水配管4bにおける水の圧力に変更があっても、圧力センサ13,14から一次側の水配管4b内の水1の圧力及び一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が入力されたインバータ制御回路17により、一次側の水配管4b内の水1の圧力と一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が一致するように泡消火薬剤用のポンプ8の回転数、即ちモータ8bの回転数が制御されるので、水用のオリフィス5の一次側の水配管4bにおける水1の圧力と同じ圧力をもって泡消火薬剤6を泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに送り込むことができ、常に所定の比率で混合した水1と泡消火薬剤6の混合液を吐出部12から吐出させることができる。その他の効果は、第1実施例と同様なので、第1実施例の説明を援用する。
【0036】
図3は、本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第3実施例の構成を示す概略的な説明図である。同図において、図2に示した第2実施例と対応する部分に同一符号をつけて第2実施例と対応する部分の構成の説明を省略する。
【0037】
本例では、泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに、該泡消火薬剤配管9bに設けられた圧力センサ14の下流側に位置して、泡消火薬剤6を収容する泡消火薬剤タンク7と連通する循環バイパス管21が接続されている。
【0038】
また、一次側の泡消火薬剤配管9bには、泡消火薬剤用のオリフィス10を設けた位置と循環バイパス管21を接続した位置の間に、試験用運転時に閉じ通常の運転時に開く試験用弁22が設けられ、循環バイパス管21には試験用運転時に開き通常の運転時に閉じる試験用弁23が設けられている。試験用弁22,23にあっては、本例では電磁弁が用いられ、電磁弁からなる試験用弁22,23には、試験用弁制御配線24を介して本例の運転動作を試験用運転モードと通常運転モードとに切り換える運転制御回路25と接続しており、運転制御回路25で、試験用運転モードと通常運転モードとを切り換えることにより、試験用弁22,23が自動的に前記開閉動作をするようになっている。
【0039】
また、試験用弁22,23の前記開閉動作にあっては、試験用運転時と通常運転時に手動により試験用弁22,23を前記のように開閉するようにしてもよい。その他の構成は第2実施例と同様なので、第2実施例の説明を援用する。
【0040】
上記のように構成された第3実施例の泡消火薬剤混合システムでは、圧力センサ13,14、インバータ制御回路17,20、水用のポンプ3、泡消火薬剤用のポンプ8等の機能点検のために試験運転をする場合、次のようにして行われる。
【0041】
試験用の運転は、一次側の泡消火薬剤配管9bに設けた試験用弁22を閉じ、循環バイパス管21に設けた試験用弁23を開いて運転する。
【0042】
運転により、水用のポンプ3により水1を水配管4に圧送していること、泡消火薬剤用のポンプ8により泡消火薬剤6を泡消火薬剤配管9に圧送していること、そして、水用のオリフィス5の一次側の水配管4b及び泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに設けられている圧力センサ13,14が、一次側の水配管4b内の水1の圧力及び一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力を検出し、それぞれの圧力を信号線15,16を介してインバータ制御回路17に入力していること、一次側の水配管4b内の水1の圧力及び一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が入力されたインバータ制御回路17が、一次側の水配管4b内の水1の圧力と一次側の泡消火薬剤配管9b内の泡消火薬剤6の圧力が一致するように泡消火薬剤用のポンプ8の回転数、即ちモータ8bの回転数を制御し、水用のオリフィス5の一次側の水配管4bにおける水1の圧力と同じ圧力となるように泡消火薬剤6を泡消火薬剤用のオリフィス10の一次側の泡消火薬剤配管9bに送り込むこと、といったことが正常に行われているか、即ち、圧力センサ13,14、インバータ制御回路17,20、水用のポンプ3、泡消火薬剤用のポンプ8等が正常に機能しているかの点検を行う。
【0043】
かかる試験用の運転は、前記のように一次側の泡消火薬剤配管9bに設けた試験用弁22を閉じ、循環バイパス管21に設けた試験用弁23を開いて運転するので、泡消火薬剤タンク7から一次側の泡消火薬剤配管9bに送りだされた泡消火薬剤6は、泡消火薬剤用のオリフィス10の手前で循環バイパス管21に流れて泡消火薬剤タンク7に戻され、泡消火薬剤タンク7、一次側の泡消火薬剤配管9b、循環バイパス管21を循環することになる。
【0044】
これにより、水1と泡消火薬剤6が接触せず、従来の試験運転で多大な手間と莫大なコストが掛かっていた産業廃棄処理しなければならない泡水溶液の発生を無くすことができ、また泡消火薬剤の無駄な消費を無くすことができることになる。
【0045】
なお、本例は第2実施例をベースとして実施しているが、第1実施例をベースとしても実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第1実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【図2】本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第2実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【図3】本発明に係る泡消火薬剤混合システムの第3実施例の構成を示す概略的な説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 水
2 水源水槽
3 水用のポンプ
3a 汲み上げ機構
3b モータ
4 水配管
4a 二次側の水配管
4b 一次側の水配管
5 水用のオリフィス
6 泡消火薬剤
7 泡消火薬剤タンク
8 泡消火薬剤用のポンプ
8a 汲み上げ機構
8b モータ
9 泡消火薬剤配管
9a 二次側の泡消火薬剤配管
9b 一次側の泡消火薬剤配管
10 泡消火薬剤用のオリフィス
11 混合配管
12 吐出部
13、14 圧力センサ
15、16 信号線
17 インバータ制御回路
18 圧力設定手段
19 信号線
20 インバータ制御回路
21 循環バイパス管
22、23 試験用弁
24 試験用弁制御配線
25 運転制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水用のポンプで水が送り込まれる水配管と泡消火薬剤用のポンプで泡消火薬剤が送り込まれる泡消火薬剤配管とにオリフィスがそれぞれ設けられ、前記各オリフィスの一次側の水の圧力と泡消火薬剤の圧力が等圧力となるように制御され、前記各オリフィスを通った前記水と泡消火薬剤が混合配管で混合されて送り出される泡消火薬剤混合システムであって、
前記各オリフィスの一次側の水配管と泡消火薬剤配管に圧力センサがそれぞれ設けられ、前記泡消火薬剤用のポンプには、前記各圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力と前記一次側の泡消火薬剤の圧力が一致するように前記泡消火薬剤用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられていることを特徴とする泡消火薬剤混合システム。
【請求項2】
前記水用のポンプには、前記一次側の水の圧力を設定する圧力設定手段と、前記オリフィスの一次側の水配管に設られた前記圧力センサの出力を入力として前記一次側の水の圧力が前記圧力設定手段で設定された圧力となるように前記水用のポンプの回転数を制御するインバータ制御回路が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の泡消火薬剤混合システム。
【請求項3】
前記オリフィスの一次側の泡消火薬剤配管に、該泡消火薬剤配管に設けられた前記圧力センサの下流側に位置して、前記泡消火薬剤を収容する泡消火薬剤タンクと連通する循環バイパス管が接続され、更に前記オリフィスと循環バイパス管接続位置の間の泡消火薬剤配管には、試験用運転時に閉じ通常の運転時に開く試験用弁が設けられ、前記循環バイパス管には試験用運転時に開き通常の運転時に閉じる試験用弁が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の泡消火薬剤混合システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−69198(P2010−69198A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242281(P2008−242281)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【出願人】(000229405)日本ドライケミカル株式会社 (7)
【Fターム(参考)】