説明

波源探索装置および波源探索方法

【課題】探索作業者に探索対象の位置を示す明確な指標を与えることが可能な波源探索装置およびこの波源探索装置を用い、監視対象の地域を自由に変更することが可能な波源探索方法を提供する。
【解決手段】波動信号を受信するアンテナと、アンテナに到来した波動信号の波源の方向を示す情報を含む位置推定情報を出力する観測手段と、観測手段によって得られた位置推定情報に基づいて、波源の位置を示す目視可能な指標を提供する指標提供手段とを備えて波源探索装置を構成する。このような波源探索装置を移動体に搭載し、観測指示に応じて、波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる観測実行ステップと、得られた観測結果に対応して、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって波動信号の波源の位置に関する指標を移動体の操縦者に提供することにより、移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する針路決定支援ステップとを備えて波源探索方法を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救難信号の発信源や違法基地局の位置を探索するための波源探索装置およびこの波源探索装置を用いた波源探索方法に関する。
携帯電話やPHSなどの移動端末の普及に伴って、地下街などにおいても移動端末を利用可能とするシステムが通信事業者などによって整えられてきている一方で、個々の商店や雑居ビルなどによって、店内やビルなどの屋内にいる顧客の移動端末の電波を正規の基地局へと中継する違法な基地局が設置される例が後を絶たない。
【0002】
このような違法基地局から発信される電波は、移動通信システムの加入者端末と正規の基地局との間の通信を阻害する場合があるため、違法基地局の位置を突き止めるための探索技術が要望されている。
また一方、山岳や海洋において遭難した人をいち早く救助するためには、船舶に備えられた救難信号ブイなどの救難信号の発信源を迅速に探索する技術が必要とされている。
【背景技術】
【0003】
図15に、従来の波源探索方法の説明図を示す。
例えば、山岳で遭難した人を探す探索者は、指向性アンテナ401の向きを変えながら遭難者が携帯している発信器などからの信号に関する受信器402の受信強度が最も大きくなる方向を探し、探し当てた方向に向かって移動した後に、再び指向性アンテナ401の向きを変えながら受信強度が最も大きくなる方向を探す作業を繰り返す。
【0004】
このようにして次第に発信器などの波源に接近していき、最終的には目視によって発信器などの波源および遭難者を発見していた。
違法基地局に代表される不法電波発信局の探索もまた、同様にして、波源の方向の検出と移動を繰り返して波源に次第に接近し、最終的には、波源である違法な電波を発信しているアンテナを見つけ出すことで違法基地局の所在地を特定し、その違法なアンテナを含む設備の撤去などをその設置者に求めているのが現状である。
【0005】
一方、携帯電話やPHSなどの移動通信システムの付加サービスとして、加入者が携帯している移動通信端末からの信号に基づいて、加入者の位置に関する情報を加入者本人や契約で特定された人物に提供するサービス、いわゆる位置情報提供サービスが注目を集めている(非特許文献1参照)。
この位置情報提供サービスは、移動端末がゾーンを移動するたびに移動先の基地局に位置登録を行う機能を利用して提供されているもので、契約で指定された加入者の位置をゾーンの大きさ単位で特定し、その加入者の近傍の地域情報を提供したり、または、その加入者の位置そのものを契約で指定された別の人物に提供したりすることができる。
【0006】
非特許文献1には、加入者が位置登録している基地局における加入者の移動端末からの信号に関する受信強度ともに、その周辺の基地局における受信強度を考慮することにより、ゾーンの大きさに相当する精度よりも高い精度で加入者の位置を特定する技術が紹介されている。
また一方、複数のアンテナ素子を規則的に配置して構成されるアレーアンテナに関する技術として、アレーアンテナに到来する複数の到来波それぞれの到来方向を高精度で推定する技術がある(非特許文献2参照)。
【非特許文献1】「PHSの位置情報提供サービス誤差数百m以内で自動通知」、日経コミュニケーションズ、1998年2月2日号、130〜133pp
【非特許文献2】「アレーアンテナによる適応信号処理」、第173ページないし第268ページ、科学技術出版社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図15に示したような指向性アンテナ401を用いた波源探索技術では、波源の方向は、最大の受信強度が得られたときに、受信アンテナが向けられていた方向として探索作業者が主観的に把握するのに任されており、その方向を示す明確な指標が探索作業者に提供されることはなかった。このため、1つの不法電波発信局を発見するために、随時、不法電波の到来方向を測定しては主観的に把握した方向に移動する作業を繰り返していった後に、最終的に、目視で波源の位置を突き止める必要がある。また、指向性アンテナ401を用いたこの方法では、発信源が一つであることを前提としているため、原理的に、複数の発信源を同時に探索することができない。
【0008】
一方、非特許文献1の技術は、基本的に、移動通信システムの既存機能を利用したサービスを実現するための技術であるので、この技術をそのまま不特定の発信源の位置探索に適用することは難しい。なぜなら、不特定の発信源は、当然ながら、位置登録機能などは持ち合わせていない上、その素性も全く明らかではないからである。もしも、非特許文献1に開示された複数の基地局における受信強度に基づいて加入者の位置を特定する技術を不特定の発信源探索に適用しようとするならば、不特定の発信源を探索するためだけに、移動通信システムのカバーエリア全体に渡って、本来の移動通信システムに属する基地局とは別に多数の基地局を設置するあるいは、正規の基地局に新たに不法発信源の探索のための受信設備を設置する必要が生じてしまう。また、このような固定的な施設を必要とするシステムでは、監視が必要な地域が変わっても容易には設置場所などを変更することができないため、時宜に応じた運用が難しい。
【0009】
これに対して、違法基地局が設置されていることが疑われる地域は日々変化しあるいは拡大しており、また、限られた範囲内に複数の違法基地局が設置されている場合も考えられる一方、広大な地域に散在している場合も考えられる。このような違法基地局を発見するためには、探索範囲が限定されない探索技術や、探索対象の位置を探索作業者が直感的に把握することを支援する技術が必要とされている。同様に、災害救助分野などにおいても、特に、山岳や海洋で遭難した人を救助するように、探索対象の人や物の位置に関する予備知識がない状態で探索を開始する場合などに、上述したような探索技術が有効であることは明らかである。
【0010】
本発明は、探索作業者に探索対象の位置を示す明確な指標を与えることが可能な波源探索装置およびこの波源探索装置を用い、監視対象の地域を自由に変更することが可能な波源探索方法を提供することを目的とする。
本発明は、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明にかかわる第1の波源探索装置は、アンテナと、観測手段と、指標提供手段とから構成される。
本発明にかかわる第1の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
アンテナは、音波および電磁波を含む波動信号を受信する。観測手段は、アンテナに到来した波動信号に対応する受信信号を観測し、アンテナに到来した波動信号の波源の方向を示す情報を含む位置推定情報を出力する。指標提供手段は、観測手段によって得られた位置推定情報に基づいて、波源の位置を示す目視可能な指標を提供する。
【0012】
このように構成された第1の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
波動信号の到来に応じてアンテナによって得られた受信信号を信号解析手段によって解析することにより、例えば、波動信号が到来した方向およびその波動信号の受信強度から推定される波源までのおおよその距離を示す位置推定情報を作成することができる。このようにして得られた位置推定情報に基づいて、指標提供手段により、例えば、波源の方向を探索作業者が目視可能な指標によって示すことにより、探索作業者が波源の位置を特定するために移動体を進めるべき方向を決定する際に極めて有効な情報を提供し、波源探索作業を支援することができる。
【0013】
本発明にかかわる第2の波源探索装置は、第1の波源探索装置に備えられた指標提供手段に、光源と、方向調整手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第2の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた指標提供手段において、光源は、所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する。方向調整手段は、位置推定情報に基づいて、光源によって指向性ビームが射出される方向を調整し、波源の方向に指向性ビームを射出させる。
【0014】
このように構成された第2の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
位置推定情報によって示された波源の方向に従って、方向調整手段が、光源が指向性ビームを射出する方向を調整することにより、指向性ビームの射出方向を波源の方向に一致させ、この指向性ビームおよびこれによって照明された建物などの物体や地点を波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供する。
【0015】
本発明にかかわる第3の波源探索装置は、第1の波源探索装置の備えられた観測手段に、到来方向推定手段および距離推定手段を備えるとともに、指標提供手段に、光源と、方向調整手段と、強度調整手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第3の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた観測手段において、到来方向推定手段は、アンテナで得られた受信信号に基づいて、アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。距離推定手段は、到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、波動信号の波源までの距離を推定し、波源までの距離に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。また、指標提供手段において、光源は、所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する。方向調整手段は、位置推定情報に基づいて、光源によって指向性ビームが射出される方向を調整し、波源の方向に指向性ビームを射出させる。強度調整手段は、位置推定情報に含まれる波源までの距離に応じて、光源によって射出される指向性ビームの強度を調整する。
【0016】
このように構成された第3の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
到来方向推定手段によって得られた到来方向を示す情報と距離推定手段によって得られた距離を示す情報とを含む位置推定情報が指標提供手段に渡される。この位置推定情報に含まれる波源の方向を示す情報に従って、方向調整手段により指向性ビームを射出する方向が調整され、指向性ビームの射出方向が波源の方向に向けられる。一方、位置推定情報に含まれる波源までの距離を示す情報に従って、強度調整手段により、この指向性ビームの強度が調整される。このようにして調整された指向性ビームの射出方向および強度またはこれによって照明された建物などの物体や地点が、波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供される。
【0017】
本発明にかかわる第4の波源探索装置は、第1の波源探索装置の備えられた観測手段に、到来方向推定手段および距離推定手段を備えるとともに、指標提供手段に、光源と、方向調整手段と、拡がり特性調整手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第4の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた観測手段において、到来方向推定手段は、アンテナで得られた受信信号に基づいて、アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。距離推定手段は、到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、波動信号の波源までの距離を推定し、波源までの距離に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。また、指標提供手段において、光源は、所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する。方向調整手段は、位置推定情報に基づいて、光源によって指向性ビームが射出される方向を調整し、波源の方向に指向性ビームを射出させる。拡がり特性調整手段は、位置推定情報に含まれる波源までの距離に応じて、光源によって射出される指向性ビームの拡がりに関する特性を調整する。
【0018】
このように構成された第4の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
到来方向推定手段によって得られた到来方向を示す情報と距離推定手段によって得られた距離を示す情報とを含む位置推定情報が指標提供手段に渡される。この位置推定情報に含まれる波源の方向を示す情報に従って、方向調整手段により指向性ビームを射出する方向が調整され、指向性ビームの射出方向が波源の方向に向けられる。一方、位置推定情報に含まれる波源までの距離を示す情報に従って、拡がり特性調整手段により、例えば、推定された距離の大小に応じて指向性ビームのビーム径を絞ったり広げたりするというように、この指向性ビームの拡がりに関する特性が調整される。このようにして調整された指向性ビームの射出方向およびそのビームの広がり方が、またはこれによって照明された建物などの物体や地点およびそこでの拡がりが、波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供される。
【0019】
本発明にかかわる第5の波源探索装置は、第1の波源探索装置の備えられた観測手段に、到来方向推定手段および距離推定手段を備えるとともに、指標提供手段に、光源と、方向調整手段と、色特性調整手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第5の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた観測手段において、到来方向推定手段は、アンテナで得られた受信信号に基づいて、アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。距離推定手段は、到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、波動信号の波源までの距離を推定し、波源までの距離に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。また、指標提供手段において、光源は、所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する。方向調整手段は、位置推定情報に基づいて、光源によって指向性ビームが射出される方向を調整し、波源の方向に指向性ビームを射出させる。色特性調整手段は、位置推定情報に含まれる波源までの距離に応じて、光源によって射出される指向性ビームの色に関する特性を調整する。
【0020】
このように構成された第5の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
到来方向推定手段によって得られた到来方向を示す情報と距離推定手段によって得られた距離を示す情報とを含む位置推定情報が指標提供手段に渡される。この位置推定情報に含まれる波源の方向を示す情報に従って、方向調整手段により指向性ビームを射出する方向が調整され、指向性ビームの射出方向が波源の方向に向けられる。一方、位置推定情報に含まれる波源までの距離を示す情報に従って、色特性調整手段により、例えば、推定された距離の大小に応じて指向性ビームの色を青から黄色を経て赤に変化させるというように、この指向性ビームを人間の視覚によって捉えた際の色に関する特性が調整される。このようにして調整された指向性ビームの射出方向およびそのビームの色が、またはこれによって照明された建物などの物体や地点およびその色が、波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供される。
【0021】
本発明にかかわる第6の波源探索装置は、第1の波源探索装置の備えられた指標提供手段に、撮像手段と、光軸調整手段と、映像出力手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第6の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた指標提供手段において、撮像手段は、視野内に捉えた映像を撮影する。光軸調整手段は、位置推定情報に基づいて、撮像手段の光軸方向を調整し、波源の方向と撮像手段の光軸とを一致させる。映像出力手段は、撮像手段によって撮影された映像を出力する。
【0022】
このように構成された第6の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
位置推定情報によって示された波源の方向に従って、光軸調整手段が、撮像手段の光軸の方向を調整して撮像手段の光軸方向を波源の方向に一致させることにより、波源が存在すると考えられる方向の光景を撮像手段の視野に捉えさせる。このときに撮像手段によって撮影され、映像出力手段によって出力された映像または画像が、波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供される。
【0023】
本発明にかかわる第7の波源探索装置は、第1の波源探索装置の備えられた観測手段に、到来方向推定手段および距離推定手段を備えるとともに、指標提供手段に、撮像手段と、光軸調整手段と、撮像範囲調整手段と、映像出力手段とを備えて構成される。
本発明にかかわる第7の波源探索装置の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置に備えられた観測手段において、到来方向推定手段は、アンテナで得られた受信信号に基づいて、アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。距離推定手段は、到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、波動信号の波源までの距離を推定し、波源までの距離に関する推定結果を位置推定情報の一部として出力する。また、指標提供手段において、撮像手段は、視野内に捉えた映像を撮影する。光軸調整手段は、位置推定情報に基づいて、撮像手段の光軸方向を調整し、波源の方向と撮像手段の光軸とを一致させる。拡大率調整手段は、位置推定情報に含まれる波源までの距離に応じて、撮像手段によって捉えられる映像に関する拡大率を調整する。映像出力手段は、撮像手段によって撮影された映像を出力する。
【0024】
このように構成された第7の波源探索装置の動作は、下記の通りである。
到来方向推定手段によって得られた到来方向を示す情報と距離推定手段によって得られた距離を示す情報とを含む位置推定情報が指標提供手段に渡される。この位置推定情報に含まれる波源の方向を示す情報に従って、光軸調整手段により撮像手段の光軸の向きが調整され、波源が存在すると考えられる方向の光景を撮像手段の視野に捉えさせる。一方、位置推定情報に含まれる波源までの距離を示す情報に従って、拡大率調整手段により、例えば、推定された距離が大きい場合には、撮像手段に備えられた光学系を望遠状態とするというように、推定された距離の大小に応じて撮像手段に備えられた光学系の焦点距離などを変化させ、この撮像手段の視野に捉えられる映像に関する拡大率を調整する。このようにして光軸方向および撮像範囲が調整された撮像手段によって捉えられた映像が、波源の位置を示す目視可能な指標として探索作業者に提供される。
【0025】
本発明にかかわる第1の波源探索方法は、第1の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップと、針路決定支援ステップとから構成される。
本発明にかかわる第1の波源探索方法の原理は、以下の通りである。
上述した第1の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップは、波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる。針路決定支援ステップは、観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって出力される波動信号の波源の位置に関する指標を移動体の乗員に提供することにより、移動体と探索対象の波源の位置との相対位置の把握を促して、移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する。
【0026】
このように構成された第1の波源探索方法の動作は、下記の通りである。
観測指示の入力に応じて、観測実行ステップにおいて、波源探索装置に備えられたアンテナによって捉えられた受信信号に基づいて、観測手段により、アンテナに到来した波動信号の波源の位置に関する観測が行われる。この観測結果に基づいて指標提供手段によって出力される波源の位置に関する目視可能な指標を、針路決定支援ステップにおいて、移動体の乗員に提供することにより、移動体と探索対象の波源の相対位置を移動体の乗員が把握することを促し、移動体の乗員が移動体の針路を決定する作業を支援する。
【0027】
つまり、この波源探索方法では、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって提供された目視可能な指標に基づいて、移動体の乗員は、移動体と探索対象の波源との相対位置を直感的に把握することが可能であるので、波源を発見するために有効な針路決定を容易に行うことができる。故に、上述した観測実行ステップと針路決定支援ステップとを繰り返すことにより、着実に波源探索を進め、波源の発見を確実にすることができる。
【0028】
本発明にかかわる第2の波源探索方法は、第2の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップと、針路決定支援ステップとから構成される。
本発明にかかわる第2の波源探索方法の原理は、以下の通りである。
上述した第2の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップは、波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる。針路決定支援ステップは、観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって波動信号の波源の位置に関する指標として出力される指向性ビームの射出方向を移動体の乗員に提供することにより、移動体の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異の把握を促して、移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する。
【0029】
このように構成された第2の波源探索方法の動作は、下記の通りである。
観測指示の入力に応じて、観測実行ステップにおいて、波源探索装置に備えられたアンテナによって捉えられた受信信号に基づいて、観測手段により、アンテナに到来した波動信号の波源の位置に関する観測が行われる。この観測結果に基づいて指標提供手段によって出力される指向性ビームの射出方向が、針路決定支援ステップにおいて、移動体の乗員に提供され、これにより、移動体の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異を移動体の乗員が把握することが促され、移動体の乗員が移動体の針路を決定する作業を支援する。
【0030】
つまり、この波源探索方法では、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって射出された指向性ビームの射出方向に基づいて、移動体の乗員は、移動体の現在の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異を直感的に把握することが可能であるので、波源を発見するために有効な針路決定を容易に行うことができる。故に、上述した観測実行ステップと針路決定支援ステップとを繰り返すことにより、着実に波源探索を進め、波源の発見を確実にすることができる。
【0031】
本発明にかかわる第3の波源探索方法は、第3乃至第5の波源探索装置のいずれかを搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップと、針路決定支援ステップとから構成される。
本発明にかかわる第3の波源探索方法の原理は、以下の通りである。
上述した第3乃至第5の波源探索装置のいずれかを搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップは、波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる。経路決定支援ステップは、観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって波動信号の波源の位置に関する指標として出力される指向性ビームの射出方向および指向性ビームの強度または広がり方または色を移動体の乗員に提供することにより、移動体の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異および波源までの距離の把握を促して、移動体を進めるべき移動経路を決定する作業を支援する。
【0032】
このように構成された第3の波源探索方法の動作は、下記の通りである。
観測指示の入力に応じて、観測実行ステップにおいて、波源探索装置に備えられたアンテナによって捉えられた受信信号に基づいて、観測手段により、アンテナに到来した波動信号の波源の位置に関する観測が行われ、この観測結果に基づいて指標提供手段によって指向性ビームが出力される。この指向性ビームの射出方向により、探索対象の波源が位置する方位が示され、また、その強度または広がり方または色により、上述した波源までの距離が示されるので、経路決定支援ステップにおいて、これらの指標を移動体の乗員に提供することにより、探索対象の波源が位置する方位と移動体の針路との差異および波源までの距離に関する直感的な把握が促され、移動体の乗員が移動体の針路を決定する作業を支援することができる。
【0033】
つまり、この波源探索方法では、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって射出された指向性ビームの射出方向に基づいて、移動体の乗員は、移動体の現在の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異を直感的に把握し、また、この指向性ビームの強度の大小または広がり方または色の変化に応じて波源までの大まかな距離を把握することが可能であるので、波源を発見するために有効な針路決定を容易に行うことができる。故に、上述した観測実行ステップと経路決定支援ステップとを繰り返すことにより、着実に波源探索を進め、波源の発見を確実にすることができる。
【0034】
本発明にかかわる第4の波源探索方法は、第6の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップと、針路決定支援ステップとから構成される。
本発明にかかわる第4の波源探索方法の原理は、以下の通りである。
上述した第6の波源探索装置または第7の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、観測実行ステップは、波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる。針路決定支援ステップは、観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって波動信号の波源の位置に関する指標として出力される到来方向に光軸が向けられた撮像手段に捉えられた映像を移動体の乗員に提供することにより、移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する。
【0035】
このように構成された第4の波源探索方法の動作は、下記の通りである。
観測指示の入力に応じて、観測実行ステップにおいて、波源探索装置に備えられたアンテナによって捉えられた受信信号に基づいて、観測手段により、アンテナに到来した波動信号の波源の位置に関する観測が行われ、この観測結果に基づいて指標提供手段によって波源の方向に向けられた撮像手段によって捉えられた映像が出力される。この映像には、アンテナに到来した波動信号の波源が位置する地点の近傍の地理的な特徴や特徴的な建造物およびこの地点と移動体の位置との間に存在する物体などに関する情報を含んでいる。したがって、針路決定支援ステップにおいて、この映像を移動体の乗員に提供することにより、探索対象の波源の位置を示す情報に加えて、その周囲に存在するランドマークや波源の位置に至る経路上に想定される障害物などについて、移動体の乗員に直感的な把握を促し、移動体の乗員が移動体の針路を決定する作業を支援することができる。
【0036】
つまり、この波源探索方法では、波源探索装置に備えられた指標提供手段によって出力される映像に基づいて、移動体の乗員は、探索対象の波源の位置に近くに存在するランドマークや、想定される障害物を把握し、把握したランドマークを目指す針路を取ったり、把握した障害物を回避する針路をとったりすることにより、波源を発見するために有効な針路決定を容易に行うことができる。故に、上述した観測実行ステップと針路決定支援ステップとを繰り返すことにより、着実に波源探索を進め、波源の発見を確実にすることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明にかかわる波源探索装置によれば、例えば、アレーアンテナを用いた波源の方向の観測結果を示す目視可能な指標を提供することができるので、探索作業を行う人物による波源の位置の直感的な把握を支援し、波源の探索作業の効率化を図ることができる。
特に、目視可能な指標として指向性ビームを提供することにより、波源が存在する方向に関する直感的な把握を確実に支援することができる。更に、観測結果から推定される波源までの距離に応じて、指向性ビームの強度や広がり方および色など指向性ビームの様々な属性を変更することにより、波源の方向とともにそこまでの距離に関する指標を同時に提供することも可能である。
【0038】
また、目視可能な指標として観測結果として得られた波源の方向の映像を提供することにより、波源が存在する方向に関する直感的な把握を助けるとともに、波源が存在すると推定される位置の周辺に関する情報を併せて提供することができる。
一方、本発明にかかわる波源探索方法によれば、上述した波源探索装置による観測結果として得られる目視可能な指標を、波源探索装置を搭載した移動体の乗員に提供し、この移動体の乗員による針路決定作業を支援することにより、移動体が観測された波源の位置に到達するまでの過程を大幅に効率化することができる。
【0039】
特に、目視可能な指標として指向性ビームを提供する波源探索装置を採用した波源探索方法では、移動体の乗員は、観測された波源の方向を示す指向性ビームと移動体の針路との際を意識しつつ針路を決定することができるので、観測された波源の位置に迅速に到達し、波源を確実に発見することができる。更に、指向性ビームの方向によって波源の方向を示すとともに、この指向性ビームの強度や広がり方および色といった属性の変化によって波源までの距離を示す構成の波源探索装置を採用した波源探索方法では、移動体の乗員は、波源のおおよその位置を直感的に把握することができるので、より迅速に波源の位置に到達することが可能である。
【0040】
また、目視可能な指標として波源の方向の映像を提供する波源探索装置を採用した波源探索方法では、移動体の乗員は、観測された波源の方向およびその周辺に存在するランドマークや想定される障害物などを確認しつつ、適切な針路の決定を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1に、本発明にかかわる波源探索装置の第1の実施形態を示す。
図1に示した波源探索装置において、サーチライト201は、ジンバル機構202に取り付けられており、このジンバル機構202を操作することにより、指向性ビームを射出する方向を自在に変更可能である。また、図1に示したアレーアンテナ203の受信信号に基づいて、到来方向推定処理部211は、例えば、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)アルゴリズムなどを利用して、アレーアンテナ203に到来した波動信号に関する到来方向を推定する。この到来方向推定処理部211による推定結果に基づいて、機構制御部212は、ジンバル機構202を操作して、上述したサーチライト201による指向性ビームの射出方向を波動信号の到来方向に一致させる。一方、図1に示したライト駆動部213は、到来方向推定処理部211による推定結果の出力に応じて、サーチライト201への駆動電力を供給あるいは遮断して、指向性ビームの出力を制御する。
【0042】
次に、このように構成された波源探索装置を利用した波源探索方法について説明する。
図2に、本発明にかかわる波源探索方法の原理を説明する図を示す。
図2に示した移動体(例えばヘリコプター)には、図1に示した波源探索装置が搭載されている。移動体の乗員によって入力される観測指示に応じて、この波源探索装置により、図1に示したアレーアンテナ203に到来した波動信号について到来方向の推定が行われ、この推定結果が、サーチライト201から射出される指向性ビームの方向として出力される。
【0043】
図3に、波源探索動作を表す流れ図を示す。
例えば、違法基地局の存在が疑われる領域に基づいて設定した探索領域へと移動体を移動させ(ステップ301)、この探索領域に移動体が到達したときに、移動体の乗員による観測指示の入力に応じて、波源探索装置に備えられたアレーアンテナ203(図1参照)に到来する波動信号の到来方向の観測が行われる(ステップ302)。
【0044】
この観測結果に基づいて、図1に示した機構制御部212がジンバル機構202を操作して、サーチライト201の光軸と波動信号の到来方向とを一致させるとともに、ライト駆動部213によってサーチライト201への駆動電力が供給され、推定された波動信号の到来方向に指向性ビームが射出される(ステップ303)。
この指向性ビームによって、探索対象である違法基地局の位置が確実に特定できたと判断した場合に、移動体の乗員により、波源探索装置に探索の完了が指示され、これに応じて、ステップ304の肯定判定となって探索処理は終了される。
【0045】
一方、例えば、移動体の針路と指向性ビームの射出方向とに差異がある場合のように、探索対象の位置がまだ特定できない場合には(ステップ304の否定判定)、上述した指向性ビームの射出方向に基づいて、移動体の針路と探索対象の波源が位置する方向との差異が移動体の乗員によって把握され、適切な針路変更操作が行われて、移動体は、指向性ビームの射出方向に移動させられる(ステップ305)。その後、移動体の乗員による観測指示の入力に応じて、再び、ステップ302〜ステップ304の処理が繰り返される。
【0046】
このように、移動体の移動によって任意に決定される観測位置において、アレーアンテナ203に到来する波動信号の到来方向を観測し、この観測結果として得られる到来方向を指向性ビームの射出方向として示すことにより、波源を探索するために有効な針路(すなわち、指向性ビームの方向に向かう針路)を移動体の乗員が決定するように促すことができる。
【0047】
ここで、観測された波動信号の到来方向に向かって進んでいくことにより、確実に波源の位置に到達すると考えられる。したがって、上述した観測処理およびこの観測結果に基づく針路決定支援処理を繰り返すことにより、探索対象の波源(例えば、違法基地局)を確実に発見することができる。
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムを用いてもよい。また、図1に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。
【0048】
また、図1に示したサーチライト201に代えて、レーザー光源を利用して極めて指向性の高い指向性ビームを出力することも可能である。また一方、図1に示したライト駆動部213により、初めて観測結果が得られた後、探索完了が指示されるまでサーチライト201に駆動電力を供給しつづけ、指向性ビームの射出方向を観測結果が更新されるごとに更新してもよいし、観測結果が出力されてから所定の時間後に(あるいは、針路変更の完了に応じて)一旦駆動電力の供給を遮断してサーチライト201を消灯し、次の観測結果が得られたときに、改めてサーチライト201を点灯して指向性ビームの出力を再開してもよい。
(第2の実施形態)
図4に、本発明にかかわる波源探索装置の第2の実施形態を示す。
【0049】
なお、図4に示す構成要素のうち、図1に示した各部と同等のものについては、図1に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図4に示した距離評価部214は、到来方向推定処理部211において、アレーアンテナ203に到来した波動信号の相関を表す行列について固有値解析処理を行った際に得られる複数の固有値を受け取り、これらの固有値に基づいて、アレーアンテナ203に到達した波動信号に関するS/Nを求め、このS/Nに対応する距離を波源までの距離の推定結果として出力して、駆動電力調整部215の処理に供する。
【0050】
ここで、上述した波動信号の相関を表す行列の固有値は、アレーアンテナ203に到来した少なくとも一つの波動信号それぞれに対応する受信電力および熱雑音成分の電力を示している。したがって、例えば、距離評価部214において、推定された到来方向に対応する固有値と熱雑音成分に対応する固有値との比の値を求めることにより、アレーアンテナ203に到達した波動信号に関するS/Nを求めることができる。
【0051】
また一方、波源までの距離とS/Nとの間には負の相関があると考えられる。つまり、波源までの距離が遠いほどS/Nは低くなり、逆に、波源までの距離が近ければS/Nは高い値となる。したがって、上述したようにして求めたS/Nは、到来方向推定処理部211による推定結果に対応する波動信号の波源までの距離を示す評価値として利用することができる。
【0052】
したがって、図4に示した波源探索装置では、図5に示すように、到来方向への指向ビームの射出に先立って、距離評価部214により、波源までの距離を示す評価値として上述したS/Nが求められ(ステップ311)、この評価値に基づいて、駆動電力調整部215により、ライト駆動部213がサーチライト201に供給する駆動電力の大きさを調整することにより、サーチライト201が点灯した際に射出される指向性ビームの強度が調整される(ステップ312)。
【0053】
例えば、駆動電力調整部215により、S/Nに比例する大きさとなるようにライト駆動部213が供給する駆動電力を調整すれば、到来方向が推定された波源までの距離が短いときには強度の大きい指向性ビームがサーチライト201によって射出され、一方、波源までの距離が遠いときには、サーチライト201によって射出される指向性ビームの強度は小さくなる。
【0054】
このようにして、指向性ビームの強度が波源までの距離に応じて調整されている場合には、移動体の乗員は、指向性ビームの方向によって探索対象の波源が位置する方向を把握するとともに、この指向性ビームの強度に基づいて波源までのおおよその距離を把握することができる。つまり、この場合は、指向性ビームの射出方向に関する指標を提供することによって移動体を進めるべき針路の決定を支援するとともに、波源までの距離に関する指標を提供することによって移動体の速度調整に関する決定を支援することができる。
【0055】
例えば、指向性ビームの強度によって波源までの距離が小さいことが示されている場合に、移動体の乗員は、図3および図5に示したステップ305において、指向性ビームの方向に移動する速度を緩め、移動体をゆっくりと移動させることにより、探索対象の波源を確実に発見することができる。その一方、波源までの距離が大きいことが示されている場合には、逆に、移動体を速く移動させることにより、波源の存在する位置の近傍に迅速に移動体を到達させることができる。
【0056】
また、MUSICアルゴリズムによって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度は、当然ながら、その波動信号の波源からの距離に反比例して減少すると考えられる。したがって、距離評価部214により、到来方向を推定する過程において求めた行列の固有値に基づいて波源との距離を評価し、この評価結果に基づいて、駆動電力調整部215によって指向性ビームの強度を変更することも可能である。なぜなら、到来方向が推定された波動信号に対応する固有値は、この波動信号の受信強度ときわめて高い相関を持っているからである。
【0057】
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムなど、到来方向を推定する過程において固有値解析を行うアルゴリズムを用いることができる。
また、図4に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。この場合は、距離評価部214により、最大の受信強度と他の方向にアンテナを向けたときの雑音強度との比に基づいてS/Nを求め、このS/Nに応じて、駆動電力調整部215がサーチライト201に供給される駆動電力を調整することにより、指向性ビームの強度を決定することができる。また、最大の受信強度そのものに応じて、指向性ビームの強度を決定することも可能である。
(第3の実施形態)
図6に、本発明にかかわる波源探索装置の第3の実施形態を示す。
【0058】
なお、図6に示す構成要素のうち、図1あるいは図4に示した各部と同等のものについては、図1あるいは図4に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図6に示したサーチライト201から射出された指向性ビームは、絞り機構216による拡がり特性の調整を受けた後に外部に射出される。また、図6に示した絞り調整部217は、距離評価部214によって得られた評価結果に基づいて、絞り機構216によって指向性ビームに対して施される拡がり特性の調整動作を制御する。
【0059】
このように構成された波源探索装置を用いた場合は、図7に示すように、到来方向への指向ビームの射出に先立って、距離評価部214により、波源までの距離を示す評価値として上述したS/Nが求められ(ステップ311)、この評価値に基づいて、絞り調整部217により、絞り機構216がサーチライト201の射出瞳の径を調整することにより、サーチライト201が点灯した際に外部に射出されるビーム径、すなわち、指向性ビームの拡がりに関する特性が調整される(ステップ313)。
【0060】
例えば、絞り調整部217により、距離評価部214によって求められたS/Nに逆比例する大きさに射出瞳の径を調整すれば、波源探索装置を搭載した移動体が波源に近づくにつれて、波源の方向を示す指向性ビームのビーム径を細く絞って示すことができる。
このようにして、指向性ビームのビーム径が波源までの距離に応じて調整されている場合には、移動体の乗員は、指向性ビームの方向によって探索対象の波源が位置する方向を把握するとともに、この指向性ビームのビーム径に基づいて波源までのおおよその距離を把握することができる。つまり、この場合は、指向性ビームの射出方向に関する指標を提供することによって移動体を進めるべき針路の決定を支援するとともに、波源までの距離に関する指標を提供することによって移動体の速度調整に関する決定を支援することができる。
【0061】
例えば、指向性ビームのビーム径が絞られたことによって波源までの距離が小さいことが示されている場合に、移動体の乗員は、図3および図7に示したステップ305において、指向性ビームの方向に移動する速度を緩め、移動体をゆっくりと移動させることにより、探索対象の波源を確実に発見することができる。その一方、ビーム系が大きい指向性ビームが射出されたことによって波源までの距離が大きいことが示されている場合には、逆に、移動体を速く移動させることにより、波源の存在する位置の近傍に迅速に移動体を到達させることができる。
【0062】
また、絞り機構216に複数の異なる形状の絞りを用意し、絞り調整部217からの指示に応じて、これらの絞りの一つを選択的にサーチライト201から射出された指向性ビームの光路に配置することにより、指向性ビームの形状を変化させることもできる。
また、MUSICアルゴリズムによって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度は、当然ながら、その波動信号の波源からの距離に反比例して減少すると考えられる。したがって、距離評価部214により、到来方向を推定する過程において求めた行列の固有値に基づいて波源との距離を評価し、この評価結果の基づいて、絞り調整部217によって指向性ビームのビーム径あるいはビームの形状を変更することも可能である。なぜなら、到来方向が推定された波動信号に対応する固有値は、この波動信号の受信強度ときわめて高い相関を持っているからである。
【0063】
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムなど、到来方向を推定する過程において固有値解析を行うアルゴリズムを用いることができる。
また、図6に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。この場合は、距離評価部214により、最大の受信強度と他の方向にアンテナを向けたときの雑音強度との比に基づいてS/Nを求め、このS/Nに応じて、絞り調整部217が絞り調整部217による調整動作を制御することにより、指向性ビームのビーム径やビームの形状を決定することができる。また、最大の受信強度そのものに応じて、指向性ビームのビーム径やビームの形状を決定することも可能である。
(第4の実施形態)
図8に、本発明にかかわる波源探索装置の第4の実施形態を示す。
【0064】
なお、図8に示す構成要素のうち、図1あるいは図4に示した各部と同等のものについては、図1あるいは図4に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図8に示したサーチライト201から射出された指向性ビームは、カラーフィルタ218に備えられた複数のフィルタのいずれかを介して外部に射出される。また、図8に示したフィルタ選択部219は、距離評価部214によって得られた評価結果に基づいて、カラーフィルタ218に備えられた複数のフィルタのいずれかを選択することにより、波源探索装置から出力された指向性ビームの色を制御する。
【0065】
このように構成された波源探索装置を用いた場合は、図9に示すように、到来方向への指向ビームの射出に先立って、距離評価部214により、波源までの距離を示す評価値として上述したS/Nが求められ(ステップ311)、この評価値に基づいて、フィルタ選択部219により、カラーフィルタ218に適切なフィルタの挿入を指示することにより、サーチライト201が点灯した際に外部に射出される指向性ビームの色が波源までの距離に応じて変更される(ステップ314)。
【0066】
例えば、カラーフィルタ218に備えられた複数のフィルタと、波源までの距離を示す評価値として得られるS/Nの値の範囲とを予め対応付けておき、フィルタ選択部219により、距離評価部214によって求められたS/Nに対応するフィルタを選択する旨をカラーフィルタ218に指示すれば、波源探索装置を搭載した移動体が波源に近づくにつれて、波源の方向を示す指向性ビームの色を段階的に変化させて示すことができる。
【0067】
このようにして、指向性ビームの色が波源までの距離に応じて調整されている場合には、移動体の乗員は、指向性ビームの方向によって探索対象の波源が位置する方向を把握するとともに、この指向性ビームの色に基づいて波源までのおおよその距離を把握することができる。つまり、この場合は、指向性ビームの射出方向に関する指標を提供することによって移動体を進めるべき針路の決定を支援するとともに、波源までの距離に関する指標を提供することによって移動体の速度調整に関する決定を支援することができる。
【0068】
例えば、指向性ビームの色によって波源までの距離が小さいことが示されている場合に、移動体の乗員は、図3および図9に示したステップ305において、指向性ビームの方向に移動する速度を緩め、移動体をゆっくりと移動させることにより、探索対象の波源を確実に発見することができる。その一方、波源までの距離が大きいことが示されている場合には、逆に、移動体を速く移動させることにより、波源の存在する位置の近傍に迅速に移動体を到達させることができる。
【0069】
また、MUSICアルゴリズムによって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度は、当然ながら、その波動信号の波源からの距離に反比例して減少すると考えられる。したがって、距離評価部214により、到来方向を推定する過程において求めた行列の固有値に基づいて波源との距離を評価し、この評価結果の基づいて、フィルタ選択部219が適切なフィルタを選択する旨の指示をカラーフィルタ218に伝えることによって指向性ビームの色を変更することも可能である。なぜなら、到来方向が推定された波動信号に対応する固有値は、この波動信号の受信強度ときわめて高い相関を持っているからである。
【0070】
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムなど、到来方向を推定する過程において固有値解析を行うアルゴリズムを用いることができる。
また、図8に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。この場合は、距離評価部214により、最大の受信強度と他の方向にアンテナを向けたときの雑音強度との比に基づいてS/Nを求め、このS/Nに応じて、フィルタ選択部219がカラーフィルタ218に適切なフィルタの選択を指示することにより、指向性ビームの色を波源までの距離に応じて決定することができる。また、最大の受信強度そのものに応じて、指向性ビームの色を決定することも可能である。
(第5の実施形態)
図10に、本発明にかかわる波源探索装置の第5の実施形態を示す。
【0071】
なお、図10に示す構成要素のうち、図1に示した各部と同等のものについては、図1に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図10に示した波源探索装置では、サーチライト201(図1参照)に代えて、ビデオカメラ204がジンバル機構202に取り付けられており、機構制御部212が到来方向推定処理部211による推定結果に応じて、このジンバル機構202を操作することにより、アレーアンテナ203に到来した波動信号について推定された到来方向にビデオカメラ204の光軸を一致させる。また、このビデオカメラ204によって捉えられた映像は、信号処理部221を介して表示部222によって表示される。この信号処理部221は、例えば、到来方向推定処理部211によって有効な到来方向が推定されたときに、ビデオカメラ204によって得られたビデオ信号に対応する映像を表示部222によって表示するための適切な処理を施し、この処理結果を表示部222に渡すことにより映像出力を得る。
【0072】
このように構成された波源探索装置が搭載された移動体を用いて波源を探索する際には、図11(a)に示すように、アレーアンテナに到来した波動信号について推定された到来方向に、ビデオカメラ204の光軸が合わせられるので、このビデオカメラ204により、移動体の位置から波源の位置(図11(a)において符号S1を付して示す)を見たときに移動体の乗員の視野に捉えられる光景が捉えられ、表示部222(図10参照)を介して移動体の乗員に提供される(図11(b)参照)。
【0073】
したがって、図12に示すように、図3に示したステップ303に代えて、波動信号の到来方向に関する観測結果に応じて、ビデオカメラ204の光軸を調整するステップ(ステップ321)と、このビデオカメラ204によって撮影された映像を表示部222を介して移動体の乗員に提供するステップ(ステップ322)とが実行される。
このように、図10に示した波源探索装置を採用した場合には、図11(b)に示したように、探索対象の波源が存在することが期待される方向に向けられたビデオカメラ204によって捉えられた映像を、波源の位置に関する目視可能な指標として提供することができる。このような映像を見ることにより、移動体の乗員は、波源が存在すると期待できる方向とともに、その方向に存在する建物や樹木または地形的な特徴などのランドマークを認識することができる。故に、この場合は、図3に示したステップ305に代えて実行されるステップ323において、移動体の乗員は、このようにして認識したランドマークを目標として移動体の針路を決定したり、障害となることが予想される樹木を迂回するように針路を決定したりして、探索対象の波源を迅速に発見するために有効な針路に向けて移動体を移動させる。
【0074】
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムなどを用いることができる。
また、図10に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。
(第6の実施形態)
図13に、本発明にかかわる波源探索装置の第6の実施形態を示す。
【0075】
なお、図13に示す構成要素のうち、図10または図4に示した各部と同等のものについては、図10または図4に示した符号を付して示し、その説明を省略する。
図13に示したカメラ制御部223は、距離評価部214によって得られた評価結果に応じて、例えば、ビデオカメラ204に備えられた光学系の焦点距離を調整し、このビデオカメラ204の視野に捉えるべき範囲の大きさを調整する。
【0076】
このように構成された波源探索装置が搭載された移動体を用いて波源を探索する際には、図14に示すように、アレーアンテナ203(図13参照)に到来した波動信号について到来方向を推定するとともに(図14のステップ302)、上述した第2の実施形態において説明したようにして、図13に示した距離評価部214によって波源までの距離を評価する(図14のステップ311)。
【0077】
次いで、図13に示したビデオカメラ204の光軸を波動信号の到来方向に合わせるとともに(図14のステップ321)、ステップ311において得られた波源までの距離に関する評価結果に応じて、図13に示したカメラ制御部223により、ビデオカメラ204に備えられた光学系を操作することによってその焦点距離を調整し、これによって、ビデオカメラ204によって捉えられる映像に関する拡大率を調整する(図14のステップ324)。
【0078】
例えば、図13に示した距離評価部214により、波源までの距離が大きい旨の評価結果が得られた場合に、カメラ制御部223により、ビデオカメラ204を波動信号の到来方向に向けたときに捉えられる視野の中心部分をズームアップするようにビデオカメラ204に備えられた光学系を調整する。これにより、図13に示したビデオカメラ204により、図11(b)において破線で囲って示すような範囲を拡大した映像を撮影し、図13に示した表示部222を介して移動体の乗員に提供することができる。
【0079】
このようにして、ビデオカメラ204によって捉えられる映像に関する拡大率が波源までの距離に応じて調整されている場合には、移動体の乗員は、波動信号の波源から大きな距離を隔てているときにも、この波源の近傍を拡大して捉えた映像の提供を受けることによって、波源の近傍に位置する建物や樹木および地形的な特徴などのランドマークを正確に把握することができる。そして、その後、波源探索装置を搭載した移動体が波源に近づくにつれて、ビデオカメラ204の光学系は前方の光景を広角にて捉えられる状態に調整され、波源の周辺に関する詳細な映像情報を移動体の乗員に提供することができる。
【0080】
このように、波源の近傍を拡大して捉えた映像を探索の初期に提供することにより、移動体の乗員が移動体の針路を大まかに決定するために目標とすべき適切なランドマークを認識することを支援することができ、また、波源の周辺に関する詳細な映像情報を移動体の乗員に提供することにより、移動体の乗員が波源までの経路に存在する障害物などを認識することを助け、波源を特定するために適切な移動体の進入経路を決定する作業を支援することができる。
【0081】
なお、到来方向推定処理部211において、波動信号の到来方向を推定するために利用するアルゴリズムは、上述したMUSICアルゴリズムに限らず、BeamFormerアルゴリズムや、ESPRITアルゴリズムなど、到来方向を推定する過程において固有値解析を行うアルゴリズムを用いることができる。
また、図13に示したアレーアンテナ203の代わりに、鋭い指向性を持つアンテナを用い、最も大きな受信強度が得られる方向を到来方向とすることも可能である。この場合は、距離評価部214により、最大の受信強度と他の方向にアンテナを向けたときの雑音強度との比に基づいてS/Nを求め、このS/Nに応じて、カメラ制御部223がビデオカメラ204に備えられた光学系の焦点距離を調整することにより、ビデオカメラ204によって捉えられる映像に関する拡大率を波源までの距離に応じて決定することができる。また、最大の受信強度そのものに応じて、ビデオカメラ204によって捉えられる映像に関する拡大率を決定することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0082】
上述したように、本発明にかかわる波源探索装置は、アンテナに到来する波動信号に関する観測結果に基づいて、この波動信号の到来方向を含む波源の位置に関する情報を人間の視覚によって捉えることが可能な目視可能な指標として出力することにより、波源の探索作業を実行する人間が波源の位置を直感的に把握することを極めて有効に支援することができる。また、この波源探索装置を移動体に搭載し、この移動体を波源探索装置によって出力される目視可能な指標に基づいて移動させることにより、探索対象の波源を効率よく探索することが可能である。
【0083】
上述した波源探索装置およびこの波源探索装置を利用した波源探索方法では、探索対象の波源からの波動信号を任意の位置において観測し、この任意の観測位置から見た波源の位置に関する情報を目視可能な指標として提供することができる。したがって、予め特定できない範囲に散在する違法基地局や遭難者が携帯している発信器や漂流物に付けられている発信器などを迅速に発見し、移動基地局の摘発や遭難者の早期救助および漂流物の早期回収において極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明にかかわる波源探索装置の第1の実施形態を示す図である。
【図2】本発明にかかわる波源探索方法の原理を説明する図である。
【図3】波源探索動作を表す流れ図である。
【図4】本発明にかかわる波源探索装置の第2の実施形態を示す図である。
【図5】波源探索動作を表す流れ図である。
【図6】本発明にかかわる波源探索装置の第3の実施形態を示す図である。
【図7】波源探索動作を表す流れ図である。
【図8】本発明にかかわる波源探索装置の第4の実施形態を示す図である。
【図9】波源探索動作を表す流れ図である。
【図10】本発明にかかわる波源探索装置の第5の実施形態を示す図である。
【図11】ビデオカメラに捉えられる映像を説明する図である。
【図12】波源探索動作を表す流れ図である。
【図13】本発明にかかわる波源探索装置の第6の実施形態を示す図である。
【図14】波源探索動作を表す流れ図である。
【図15】従来の波源探索手法を説明する図である。
【符号の説明】
【0085】
201 サーチライト
202 ジンバル機構
203 アレーアンテナ
204 ビデオカメラ
211 到来方向推定処理部
212 機構制御部
213 ライト駆動部
214 距離評価部
215 駆動電力調整部
216 絞り機構
217 絞り調整部
218 カラーフィルタ
219 フィルタ選択部
221 信号処理部
222 表示部
223 カメラ制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音波および電磁波を含む波動信号を受信するアンテナと、
前記アンテナに到来した波動信号に対応する受信信号を観測し、前記アンテナに到来した波動信号の波源の方向を示す情報を含む位置推定情報を出力する観測手段と、
前記観測手段によって得られた位置推定情報に基づいて、前記波源の位置を示す目視可能な指標を提供する指標提供手段と
を備えたことを特徴とする波源探索装置。
【請求項2】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記指標提供手段は、
所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する光源と、
前記位置推定情報に基づいて、前記光源によって前記指向性ビームが射出される方向を調整し、前記波源の方向に前記指向性ビームを射出させる方向調整手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項3】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記観測手段は、
前記アンテナで得られた受信信号に基づいて、前記アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する到来方向推定手段と、
前記到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、前記波動信号の波源までの距離を推定し、前記波源までの距離に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する距離推定手段とを備え、
前記指標提供手段は、
所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する光源と、
前記位置推定情報に基づいて、前記光源によって前記指向性ビームが射出される方向を調整し、前記波源の方向に前記指向性ビームを射出させる方向調整手段と、
前記位置推定情報に含まれる前記波源までの距離に応じて、前記光源によって射出される指向性ビームの強度を調整する強度調整手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項4】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記観測手段は、
前記アンテナで得られた受信信号に基づいて、前記アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する到来方向推定手段と、
前記到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、前記波動信号の波源までの距離を推定し、前記波源までの距離に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する距離推定手段とを備え、
前記指標提供手段は、
所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する光源と、
前記位置推定情報に基づいて、前記光源によって前記指向性ビームが射出される方向を調整し、前記波源の方向に前記指向性ビームを射出させる方向調整手段と、
前記位置推定情報に含まれる前記波源までの距離に応じて、前記光源によって射出される指向性ビームの拡がりに関する特性を調整する拡がり特性調整手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項5】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記観測手段は、
前記アンテナで得られた受信信号に基づいて、前記アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する到来方向推定手段と、
前記到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、前記波動信号の波源までの距離を推定し、前記波源までの距離に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する距離推定手段とを備え、
前記指標提供手段は、
所望の方向に適切な指向性を持つビーム状の可視光によって形成される指向性ビームを射出する光源と、
前記位置推定情報に基づいて、前記光源によって前記指向性ビームが射出される方向を調整し、前記波源の方向に前記指向性ビームを射出させる方向調整手段と、
前記位置推定情報に含まれる前記波源までの距離に応じて、前記光源によって射出される指向性ビームの色に関する特性を調整する色特性調整手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項6】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記指標提供手段は、
視野内に捉えた映像を撮影する撮像手段と、
前記位置推定情報に基づいて、前記撮像手段の光軸方向を調整し、前記波源の方向と前記撮像手段の光軸とを一致させる光軸調整手段と、
前記撮像手段によって撮影された映像を出力する映像出力手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項7】
請求項1に記載の波源探索装置において、
前記観測手段は、
前記アンテナで得られた受信信号に基づいて、前記アンテナに到来した波動信号の方向を推定し、到来方向に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する到来方向推定手段と、
前記到来方向推定手段によって到来方向が推定された波動信号に関する受信強度を示す情報に基づいて、前記波動信号の波源までの距離を推定し、前記波源までの距離に関する推定結果を前記位置推定情報の一部として出力する距離推定手段とを備え、
前記指標提供手段は、
視野内に捉えた映像を撮影する撮像手段と、
前記位置推定情報に基づいて、前記撮像手段の光軸方向を調整し、前記波源の方向と前記撮像手段の光軸とを一致させる光軸調整手段と、
前記位置推定情報に含まれる前記波源までの距離に応じて、前記撮像手段によって捉えられる映像に関する拡大率を調整する拡大率調整手段と、
前記撮像手段によって撮影された映像を出力する映像出力手段とを備えた
ことを特徴とする波源探索装置。
【請求項8】
請求項1に記載の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、
波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、前記波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる観測実行ステップと、
前記観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、前記波源探索装置に備えられた指標提供手段によって出力される前記波動信号の波源の位置に関する指標を前記移動体の操縦者に提供することにより、前記移動体と探索対象の波源の位置との相対位置の把握を促して、前記移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する針路決定支援ステップと
を備えたことを特徴とする波源探索方法。
【請求項9】
請求項2に記載の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、
波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、前記波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる観測実行ステップと、
前記観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、前記波源探索装置に備えられた指標提供手段によって前記波動信号の波源の位置に関する指標として出力される前記指向性ビームの射出方向を前記移動体の操縦者に提供することにより、前記移動体の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異の把握を促して、前記移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する針路決定支援ステップと
を備えたことを特徴とする波源探索方法。
【請求項10】
請求項3乃至請求項5のいずれかに記載の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、
波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、前記波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる観測実行ステップと、
前記観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、前記波源探索装置に備えられた指標提供手段によって前記波動信号の波源の位置に関する指標として出力される前記指向性ビームの射出方向および前記指向性ビームの強度または広がり方または色を前記移動体の操縦者に提供することにより、前記移動体の針路と探索対象の波源が位置する方位との差異および前記波源までの距離の把握を促して、前記移動体を進めるべき移動経路を決定する作業を支援する経路決定支援ステップと
を備えたことを特徴とする波源探索方法。
【請求項11】
請求項6または請求項7に記載の波源探索装置を搭載した移動体の移動を利用した波源探索方法において、
波源の探索のための観測を実行する旨の観測指示に応じて、前記波源探索装置に備えられた観測手段による観測動作を実行させる観測実行ステップと、
前記観測実行ステップにおいて得られる観測結果に対応して、前記波源探索装置に備えられた指標提供手段によって前記波動信号の波源の位置に関する指標として出力される前記到来方向に光軸が向けられた前記撮像手段に捉えられた映像を前記移動体の操縦者に提供することにより、前記移動体を進めるべき針路を決定する作業を支援する針路決定支援ステップと
を備えたことを特徴とする波源探索方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2006−138681(P2006−138681A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327008(P2004−327008)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】