波長多重分離フィルタ、波長多重分離方式及び波長多重分離方法
【課題】 使用できない無駄な帯域が生じることを抑制し波長帯域の自由な配分を可能にする波長多重分離フィルタを得る。
【解決手段】 本発明による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、該2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が該基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする。
【解決手段】 本発明による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、該2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が該基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は波長多重分離フィルタ、波長多重分離方式及び波長多重分離方法に関し、特にフィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタと、占有スペクトル幅が複数種類ある光信号を任意に効率良く多重する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
<波長グリッド>
波長多重においては、個々の通信チャネルは波長に割り当てられて多重されるが、その波長としては、ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) G.694.1で勧告されている、波長グリッドと呼ばれる標準規格化された波長群を用いる。
【0003】
波長グリッドは、周波数193.100THzをanchor周波数とし、そこから一定間隔で波長グリッドが定義される。図6は波長グリッドについて説明するための図である。図6では、100GHz間隔の波長グリッドが示されている。図6に示すように、anchor周波数から、0,±100GHz,±200GHz,...離れた周波数が波長グリッドとなる。
【0004】
この波長グリッドの標準化によって、光フィルタや光源などの波長選択性のある光部品が異なるメーカー間でも共通仕様化され、産業上、極めて大きなメリットがあった。
【0005】
<波長多重分離フィルタ>
波長(周波数)多重システムの設計において、波長チャネルの多重分離を行うバンドパスフィルタは重要な要素の一つである(例えば特許文献1〜3参照)。理想的な波長多重分離フィルタとは、所定の周波数範囲(周波数スロット)内の成分は低ロスで通過させ、それ以外の周波数成分は除去する、というものである。図6に示すように、周波数スロットは、チャネルに割り当てられた周波数帯であり、隣り合う波長グリッドの中間点を境界とした周波数(波長)範囲のことである。横軸を周波数、縦軸を通過損失としたフィルタ特性グラフをフィルタ形状と呼ぶ。
【0006】
理想的な波長多重分離フィルタは、所定の周波数スロット内は低損失かつフラットで、それ以外はロス無限大、その境目は急峻に変化、という矩形のフィルタ形状を持つものである。図6では、193.3THzを中心とした±50GHzの範囲の周波数スロットが示されており、そのチャネルを多重分離するためのフィルタ形状の一例が示されている。
【0007】
<フィルタの合成>
フィルタが信号に与える効果は一般には線形であり、重ね合わせの原理が使える。つまり、複数のフィルタを直列つなぎしたものを一つのフィルタのように扱える。また、フィルタ以外の効果も線形な範囲では、それらフィルタの接続順序が変わっても、一つのフィルタとして見たときのフィルタリング効果は変わらない。
【0008】
<代表的な波長多重分離フィルタ:固定型>
今日、波長多重光伝送システムに使用されている波長多重分離フィルタには、特徴のある幾つかのフィルタが使い分けられている。まず、複数の波長を1本に多重する、またはその逆の分離を行う固定のフィルタがある。AWG(Arrayed Waveguide Grating)がその典型である。AWGはフィルタ特性があまり急峻でないので、それを補うためにインターリーバー(Interleaver)と呼ばれるフィルタが使われることもある(例えば特許文献1参照)。
【0009】
インターリーバーは1入力2出力、もしくはその逆向きであり、周波数スロットを周波数的に交互に選択分離する。波長グリッドに番号を付けたとすると、偶数波長グループと奇数波長グループに分ける(または合波する)ものである。インターリーバーの先にAWGが接続されて、個々の波長まで多重分離される。インターリーバーのフィルタ形状はAWGのそれよりも矩形に近い。
【0010】
<代表的な波長多重分離フィルタ:可変型>
昨今は、波長パスの新規開通や迂回などをある程度動的に行うために、可変型の波長多重分離フィルタも使用される。可変型の波長多重分離フィルタとしてはWB(Wavelength Blocker)やWSS(Wavelength Selective Switch)などが知られている。これら可変型フィルタは電気制御信号に基づいてフィルタ形状を変えられるように作られている(例えば特許文献2参照)。
【0011】
図7は可変型フィルタの代表的な構成を模式的に示す図である。図7に示すように、可変型フィルタは、回折格子13を用いた分光器の構成がベースとなっており、分光した先には液晶ディスプレーの画素のような、場所ごとに反射率または反射角度を電気制御信号に応じて変化することができるミラー15が置かれている。一つの画素を一つの周波数スロットに対応させることで、各周波数スロットごとの通過(スルー)、阻止(ブロック)を切り換えることができる。WSSでは、電気的に反射方向を変えることができる角度可変ミラーが使用され、入出力ファイバ10として複数のファイバがアレイ状に並んだ構成になっている。各波長毎に反射角度をそれぞれ微小に変えることで、周波数スロット単位での方路選択ができるようになっている。
【0012】
これらWB,WSSの中には、複数チャネル分の帯域を結合してひとつのバンドパスフィルタを形成できる特徴を持ったものもある(例えば特許文献3参照)。すなわち、結合された周波数スロットの境目はほとんどなく、完全に一つのバンドパスフィルタになるという特質を持つ。図8は50GHz間隔WBのフィルタ形状を3通りに変えた場合の各フィルタ形状を示す図である。図8では、各フィルタ形状を見分けやすくするために、上下方向に少しずらしてプロットされている。
【0013】
図8には、3つの周波数スロットの範囲が図示されている。フィルタ形状Aは、スロット1と3だけをスルー、他をブロックに設定したときのフィルタ形状である。同様に、フィルタ形状Bは、スロット1と2だけをスルー、他をブロックに設定したときのフィルタ形状、フィルタ形状Cは、全てのスロットをスルーに設定したときのフィルタ形状である。図8に示すように、スルー設定のチャネルが隣接すると、その境目はなめらかに結ばれて窪みも生じない。このような可変型フィルタが一般に入手可能となっている。実際のOADM(Optical Add/Drop Multiplex)やWXC(Wavelength Cross Connect)を含む光ネットワークにおいては、各ノードではほとんどのチャネルがスルー設定で使用されるので、このような特徴を持ったフィルタを用いれば、フィルタによる信号スペクトル削られ効果が低減され、それによる伝送性能の劣化を軽減できる。
【0014】
<非対称インターリーバー>
チャネルごとに伝送レートが異なる場合、それによって変調スペクトル幅も異なるので、必要な帯域もチャネルごとに異なることになる。しかし、波長多重システムの波長グリッドは等間隔が基本であるため、様々な伝送レートのチャネルを混在させる場合、周波数スロットは、最も広い帯域を要するチャネルに合わせて確保することになる。これには二つの問題がある。一つは、それほど帯域を必要としないチャネルに対しても一律に広い帯域を割り当てることになるので、有限で貴重な伝送帯域の利用率が低下し、不経済となることである。もう一つは、最も広い帯域を要するチャネルを、システム導入時に決めなければならないことである。
【0015】
もし将来の技術トレンドの変化によって、当初想定していなかったほどの広帯域がチャネル当たりに必要になったり、その逆に用意していた広い帯域が結局不要になったとしても、既に運用に供されているシステムの中のフィルタを入れ替えることは困難である。もしフィルタを交換することになれば、使用中の全ての波長チャネルを別のシステムに一時待避させねばならないからである。
【0016】
周波数スロット幅をチャネル毎に異ならせることができれば、スペクトルが細い信号は細い周波数スロットに、スペクトルが太い信号は太い周波数スロットに収容することができ、全体の波長多重の収容効率を上げることができる。このために考案された手法として非対称インターリーバーがある(例えば非特許文献1及び2参照)。通常のインターリーバは偶数波長が入出力されるポートと奇数波長が入出力されるポートのフィルタ形状が等しくなるように設計されるが、この非対称型は、たとえば67%,33%のように故意にその割合を半分からずらしている。そして、スペクトル幅が広い信号は、周波数スロットが広い側の波長グリッドを使い、スペクトル幅が狭い信号は、周波数スロットが狭い側の周波数グリッドを使う。
【0017】
【特許文献1】特開2004−297228号公報
【特許文献2】特開2006−243571号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0146655号明細書
【非特許文献1】"Optical add/drop multiplexer with asymmetric bandwidth allocation and dispersion compensation hybrid 10-Gb/s and 40-Gb/s DWDM transmission", Fishman, D.A. et.al., OFC/NFOEC 2006, OWI64, 2006
【非特許文献2】"10G/40G-Hybrid Dense-WDM Systems with Flexible OADM Upgradability", K. Nakamura et al., ECOC2003, Tu3.6.6, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
波長多重光伝送システムにおいて、スペクトル幅が互いに異なる光信号を混在させる場合、周波数スロットが等間隔でかつ固定的であると、細いスペクトル幅の信号を収納すると隙間だらけで不経済となったり、逆に太いスペクトル幅の信号が入れられないという課題がある。この不都合を解消すべく、細い周波数スロットと太い周波数スロットを交互に配置する方法が考案されたが、その割当ては固定的で柔軟性がないため、当初計画に沿った導入から外れるなどして無駄が生じる問題は残っている。
【0019】
そこで可変型の波長多重分離フィルタ(WB,WSS)が用いられるのであるが、それには分解能の制約がある。フィルタ形状を自由に変形可能とするには、非常に細かい分解能が必要であり、技術的、コスト的に非現実的である。そのため必要最低限の分解能に抑える必要があるが、すると今度はチャネル間に隙間を置かざるを得ず、不経済になるという問題が再浮上する。
【0020】
この問題を図13を用いて説明する。具体例として、スペクトル幅が100GHz幅の周波数スロットと略一致する信号(以下、100GHz幅の信号と称する)とスペクトル幅が50GHz幅の周波数スロットと略一致する信号(以下、50GHz幅の信号と称する)を混在させることを考える。波長多重分離フィルタとして、より細かい50GHz間隔用のフィルタを用いれば100GHz幅の信号も取り扱えるように思われるが、それが不可能であることを説明する。
【0021】
波長グリッドは、その周波数間隔を1/2や1/4にしても、必ず元の波長グリッドを含む系列になっている。周波数間隔が半分になるときには、元の波長グリッドの中点に新たな波長グリッドが置かれるからである。そのため、周波数間隔が1/2や1/4の波長グリッド用のWB,WSSは、元の波長グリッド用に使用することができない。以降では、このようにITU−T G.694.1により標準化された配置の波長グリッドを標準の波長グリッドと称する。
【0022】
図13を参照すると、50GHz間隔用のWB,WSSを中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号の多重分離に使おうとすると、フィルタ形状が隣のチャネルにはみ出してしまうか、もしくは使える帯域が半分になってしまうという問題があることが理解される。また、さらに細かい25GHz間隔用のWB,WSSを用いても、問題は軽減されはするが、解決できないことが分かる。高分解能化によってこの問題を実質的に支障が出ないところまで軽減するには、分解能を相当に高めなければならず、コスト的、技術的に困難がある。
【0023】
このように、可変フィルタを用いることでスペクトル幅が互いに異なる光信号をある程度柔軟性を持って混在配置させることができるものの、波長グリッドと波長グリッドの間に、使用できない無駄な帯域が生じて不経済になったり、各周波数スロットの使用可能な帯域幅が減ってしまうなどの問題があった。
【0024】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、使用できない無駄な帯域が生じることを抑制し波長帯域の自由な配分を可能にする波長多重分離フィルタ、波長多重分離方式及び波長多重分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする。
【0026】
本発明による波長多重分離方式は、上記の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする。
【0027】
本発明による波長多重分離方式は、上記の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍 (nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする。
【0028】
本発明による波長多重分離方法は、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明による波長多重分離方法は、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、使用できない無駄な帯域が生じることを抑制し波長帯域を自由に配分することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の理解を助けるために、本発明に関連する技術について説明する。
【0032】
<波長多重光伝送システム>
今日、基幹伝送システムでは、波長多重を用いた光ファイバ伝送システムが多用されるようになっている。複数の通信チャネルを異なる波長に割り当てて、1本の光ファイバ内に複数のチャネルを収容させることで、大容量なものでは数Tb/s級におよぶ伝送容量のシステムが実用に供されている。
【0033】
<変調スペクトル広がり>
波長多重は複数の独立した通信チャネルを波長領域で束ねる手法であるが、その個々の通信チャネルの信号が持つスペクトル幅もシステム設計上、重要な設計要素である。CW(連続波)である搬送波に伝送したい情報を載せるべく変調を施すと、スペクトルは広がる。その幅は、伝送レート(ビットレート)が高くなるにつれて広くなる傾向を持つ。
【0034】
伝送システム中に存在するフィルタがこの変調スペクトルの一部を削ってしまうと、信号に波形歪みが生じて、伝送情報の誤りが増えるなどの劣化が生じる。誤りが十分に少ない高品位な伝送をするためには、その情報伝達に必要な帯域を確保するようにフィルタを設計する必要がある。各チャネルに割り当てる周波数スロットの幅は、最低でもその信号が必要とする幅が必要である。(必要以上に周波数スロットが広いのは不経済ではあるが、伝送品質の観点では問題はない。)
【0035】
<波長多重システムの容量増設の考え方>
一般に波長多重システムでは、導入初期には少ない波長数(少ない送受信器)で運用開始し、トラフィックの需要増加に応じて波長チャネル(送受信器)を増設していく形が取られる。その理由は大きく二つある。まずは初期投資を抑えるためである。また、送受信器はいくつかの信号フォーマット種別があるので、運用開始時点で、どの種類の送受信器をどれくらいの割合で使うかを決めずに済むためである。また、システム導入後にはなかった新しい信号フォーマットが将来規定されるとしても対応できる可能性があるためである。また、技術の進歩によって、同じ信号フォーマットの送受信器であっても後から購入する方が安価になると期待できるという理由もある。
【0036】
<波長多重分離ノードの構成>
波長多重分離フィルタを波長多重光伝送システムのノード装置として構成する際の概念図が図9〜図12に示される。図9は端局(Terminalノード)の構成を示す図であり、AWG16及び17を備えた端局を示す。図10は2方路OADMノードの構成を示す図であり、図11及び12は多方路OADM(WXCとも称される)ノードの構成を示す図である。方路数とは接続対地数である。
【0037】
図10に示した2方路OADMノードは、カプラ18及び20と、WB19と、AWG21及び22とを備え、自ノードへのAdd/Drop信号の他に2対地と接続できる能力を持っている。なお、図10〜12では、反対方向の処理部の記載は省略している。図11及び12はWXCを構成する基本部分のみを示している。図11に示したノード構成は、WSS23と、カプラ24と、AWG25及び26とを備え、分配時にWSS23により波長選択しながら分配し、合波時はカプラ24により波長無依存に合波する方式である。図12に示したノード構成は、カプラ27と、WSS28と、AWG29及び30とを備え、分配時はカプラ27により波長無依存に分配し、合波時にWSS23により波長選択しながら合波する方式(broadcast and select方式と称される)である。これら2つが基本方式として知られている。図11及び12の構成では、WSSが分岐側もしくは合波側に設けられているが、WSSを分岐側と合波側の両方に設けるようにしてもよい。
【0038】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】
本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであり、基準とする周波数間隔の倍の分解能を持つ。すなわち、本実施の形態による波長多重分離フィルタにおいて、信号の通過/阻止を切り替えることが可能な最小の周波数スロット(周波数範囲)は基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔に相当する。また、本実施の形態による波長多重分離フィルタでは、この周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされている。このような波長多重分離フィルタ(WB,WSS)を用いれば、基準とする周波数間隔の整数倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの波長が収容可能である。
【0040】
図1は本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタについて説明するための図である。図1では、基準とする周波数間隔は50GHz間隔としている。図1に示すように、本実施の形態による波長多重分離フィルタは、その周波数間隔が基準周波数間隔の半分の25GHzであり、その周期は25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期に比べて半周期 (12.5GHz)シフトしてある。
【0041】
図1を見れば直ちに分かるように、本実施の形態による波長多重分離フィルタの2スロット分は、基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと完全に一致する。図1では説明の便宜上、本実施の形態による波長多重分離フィルタの隣接スロットの隙間にdipを示しているが、図8を用いて説明したように隣接スロットを結合してひとつのバンドパスフィルタを形成できるので、実際にはこの部分は完全につなげることができる。同様に、本実施の形態による波長多重分離フィルタの4スロット分が100GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致することから、本実施の形態による波長多重分離フィルタは50GHz幅の信号と100GHz幅の信号の混在した状態を多重分離できることが分かる。
【0042】
図2は本実施の形態による波長多重分離フィルタを用いて異なるスペクトル幅の信号を収容する様子を説明するための図である。上述したように、本実施の形態による波長多重分離フィルタの2スロット分は、基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致し、4スロット分は100GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致する。また、本実施の形態による波長多重分離フィルタの6スロット分は、150GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致する。
【0043】
したがって、図13に示したようなはみ出しが起きず、図2に示すように、中心周波数が基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号及び中心周波数が150GHz間隔の標準の波長グリッド上にある150GHz幅の信号が隙間なく配置できる。このような特質は、図13に示した通常の50GHz間隔用もしくは25GHz間隔用のWB,WSSでは得ることができない。
【0044】
ただし、複数の異なる周波数間隔系列が混在する場合はその切り替わり点に隙間が生じてしまうことがある。図2では、中心周波数が基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号を混在させたケースも一例として示されている。異なる周波数間隔系列の切り替わり点において、このような無駄な帯域が生じることから、なるべく切り替わり点が少なくなるように信号を配置したほうがよい。もし2種類であれば、これら2種類の周波数間隔の信号を全伝送可能帯域の短波端と長波端からそれぞれ配置するようにすることにより、切り替わり点を中程の一箇所だけにできるので、帯域の無駄を低減できる。
【0045】
この切り替わり点での無駄な帯域の発生は、標準の波長グリッドの配置からくる制約であり、チャネル波長を標準の波長グリッドからずらさない限り、避けられないものである(ずらす発想を取り入れたのが後述する本発明の第2の実施の形態である)。逆を言えば、本実施の形態では、各チャネル波長は標準の波長グリッドに乗っているので、イレギュラーな波長の送受信器を用意する必要はない。
【0046】
本実施の形態による波長多重分離フィルタのフィルタ配置は、中心周波数が基準とする周波数間隔の標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が基準とする周波数間隔と略一致する信号と、その整数倍の周波数間隔の標準の波長グリッド上に中心周波数がありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号を無駄なく多重分離するための最低限の分解能条件である。分解能を極めて細かくしたのと同様の効果が、単に基準とする周波数間隔の倍の分解能のWB,WSSを用意するだけで得られるので、コスト面で優位である。
【0047】
なお、25GHz間隔の本実施の形態による波長多重分離フィルタを用いてスペクトル幅が25GHz幅の周波数スロットと略一致する信号を波長多重できるようにするには、図2に示すように、該信号の中心周波数を25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期から半周期ずらすことができる光送受信器を用いればよい。
【0048】
また、本実施の形態では、基準とする周波数間隔は50GHz間隔としたが、これに限られるものではなく、例えば25GHz間隔または100GHz間隔としてもよい。例えば基準とする周波数間隔が100GHz間隔であれば、50GHz間隔、25GHzシフトのWB,WSSが用いられる。
【0049】
また、本実施の形態による波長多重分離フィルタは、基準とする周波数間隔の倍の分解能を持ち、この分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされているものであるが、基準とする周波数間隔の例えば4倍や8倍の分解能を持つものであってもよい。すなわち、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされている波長多重分離フィルタであればよい。ただし、分解能は基準とする周波数間隔の倍の分解能(N=1)であっても十分な効果が得られ、また、基準とする周波数間隔の例えば4倍や8倍の分解能を持たせる場合よりコスト面で有利である。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について図3を用いて説明する。本発明の第2の実施の形態では、本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタが用いられる。第2の実施の形態と第1の実施の形態との違いは、中心周波数が基準とする周波数間隔50GHzの整数倍の周波数間隔の波長グリッド上にありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号を、基準とする周波数間隔の半分の25GHz間隔の標準の波長グリッド単位で自由に配置することを許していることである。
【0051】
図3に示すように、50GHz幅の信号と100GHz幅の信号とが混在する状態において、50GHz幅の信号の中心周波数は50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗っているが、100GHz幅の信号の中心周波数は100GHz間隔の標準の波長グリッドに限定することなく25GHz間隔の標準の波長グリッドに乗るよう配置されている。同様に、50GHz幅の信号と100GHz幅の信号と150GHz幅の信号とが混在する状態において、50GHz幅の信号の中心周波数は50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗っているが、100GHz幅及び150GHz幅の信号の中心周波数はそれぞれ100GHz間隔及び150GHz間隔の標準の波長グリッドに限定することなく25GHz間隔の標準の波長グリッドに乗るようシフト配置されている。
【0052】
このように、本発明の第2の実施の形態では、基準とする周波数間隔の半分の25GHz間隔の標準の波長グリッド単位で各スペクトル幅の信号を自由に配置することを許しているので、複数の異なるスペクトル幅の信号が混在する場合でも、隙間を生じずに密に詰めて配置することができる。他の特長は第1の実施の形態と同様であるので省略する。
【0053】
現在、波長多重光伝送システムに用いられる送受信器の光源には、フルバンドチューナブル(full−band tunable)LDという光源が搭載されているのが一般的になってきている。このLDは、制御コマンドにより発振波長を切り換えられる。その発振波長は自由に設定できるのではなく、波長グリッド上で選択するようになっている。今日、一般的なフルバンドチューナブルLD光源では、波長グリッドとして50GHz系列か、25GHz系列での選択指定が一般的である。したがって、その指定可能間隔よりも広い周波数間隔の波長グリッド用の送受信器であっても、それより細かい波長設定能力を持っている場合があり、この場合には本発明の第2の実施の形態が適用可能である。
【0054】
以上説明した本発明の第1及び第2の実施の形態では、フィルタ(WB,WSS) の方が半周期シフトされたが、そのシフトを行わず、光信号の波長の方をシフトしても、相対的な関係は変わらないので、同じ効果が得られることは言うまでもない。ただし光源波長をシフトさせるほうが、シフトさせる対象物が多いので煩雑になる。
【0055】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明の第3の実施の形態では、本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタが波長多重光伝送システムにおけるノード装置に適用され、WSSがシステムの波長多重数をカバーする十分なポート数を備えていない場合の、固定フィルタとの併用方法が例示される。
【0056】
図14は本発明に関連する波長多重光伝送システムの構成を示す図である。図14に示す波長多重光伝送システムでは、基準間隔は50GHz間隔であり、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号とが混在して波長多重分離される。図14の構成は、100GHz幅の信号のために100GHz間隔のAWGを用いる構成である。ここでは説明を簡単にするため、100GHz間隔のAWGは100GHzの周波数スロット幅をもつフィルタであると考える。波長多重側は、100GHz間隔、+0Hzオフセット(シフト)のAWG1と、100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG2と、カプラ3とを有する。
【0057】
図15は図14に示す波長多重光伝送システムの波長多重側の作用を説明するための図である。図15に示すように、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号と、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている信号とがAWG1の入力ポートPort1A,1B,1C,1D,・・・に入力される。なお、図14のAWG1の入力ポートを上から順にPort1A,1B,1C,1D,・・・としている。
【0058】
また、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうちAWG1に入力される信号以外の信号がAWG2の入力ポートPort2A,2B,2C,2D,2E,・・・に入力される。なお、図14のAWG2の入力ポートを上から順にPort2A,2B,2C,2D,2E,・・・としている。そして、AWG1の多重出力とAWG2の多重出力とがカプラ3により合波されて出力される。
【0059】
波長分離側は、波長多重側の逆の流れで構成すればよく、図14に示すように、カプラ31と、100GHz間隔、+0HzオフセットのAWG5と、100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG6とを有する。ただしここまでの構成では、50GHz幅の信号をきちんと分離できないので、図14には示されていないが、50G/100Gのインターリーバー(ILV)が各波長の受信器の前段(AWG5及び6の出力ポートの後段)に挿入される必要がある。
【0060】
図16は図14に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。図16に示すように、カプラ3の多重出力は、カプラ31により分岐されてAWG5及び6に入力され、AWG5の出力ポートPort5A,5B,5C,5D,・・・及びAWG6の出力ポートPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・からそれぞれ分離光が出力される。なお、図14のAWG5の出力ポートを上から順にPort5A,5B,5C,5D,・・・とし、図14のAWG6の出力ポートを上から順にPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・としている。
【0061】
AWG5及び6の各出力ポートの出力光のうちAWG6の出力ポートPort6Bの出力光に着目すると、50GHz幅の信号がきちんと分離されておらず、隣接チャネルを含んでいるので、該出力光は出力ポートPort6Bの後段のインターリーバーにより波長分離される。
【0062】
図14の構成では、インターリーバーを受信器に個別に備えなければならないので、不経済であるという問題がある。そこで、インターリーバーを複数の受信器で共用するために、図17に示すように、分離側のAWG6を、50GHz間隔で倍のポート数を持つAWG35と置換するか、50G/100Gインターリーバー32が前段に設けられた100GHz間隔、+0HzオフセットのAWG33と100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG34に置換する構成が考えられる。ただしこの場合、100GHzグリッドに相当する波長グリッドの信号は、分離出力ポートが2つあり、信号スペクトル幅が50GHz幅か、100GHz幅かによって使い分けねばならないため、使用上、間違えやすいという問題がある。
【0063】
そこで、図4に示すような構成が有効である。図4は本発明の第3の実施の形態による波長多重光伝送システムの構成を示す図であり、図14及び17と同等部分は同一符号にて示している。図4に示す波長多重光伝送システムは、カプラ31の代わりに1入力2出力のWSS(25GHz間隔、12.5GHzシフト)4を用いる点で図14に示す波長多重光伝送システムと異なる。図4に示す波長多重光伝送システムの波長多重側は、図15を用いて説明した図14に示す波長多重光伝送システムの波長多重側と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
図5は図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側は、図11の構成に本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタを適用した一例と考えることができる。WSS4は、その周波数間隔が基準とする50GHz間隔の半分の25GHzであり、その周期は25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期に比べて半周期(12.5GHz)シフトされている。
【0065】
図5に示すように、カプラ3の多重出力(50GHz幅の信号と100GHz幅の信号の混在WDM信号)がWSS4に入力される。WSS4は上述したように25GHz間隔、12.5GHzシフトの可変型フィルタであるので、50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗った周波数スロット、及びその整数倍の周波数スロットを任意のポートにフィルタリングしつつ振り分けることができる。ここでは、後につながるAWG5,6で個々の波長に分離するために、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号と、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている信号との多重光を、WSS4の出力ポートPort4AからAWG5に出力する。また、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち出力ポートPort4Aから出力される信号以外の信号の多重光を、WSS4の出力ポートPort4BからAWG6に出力する。なお、図4のWSS4の2つの出力ポートを上から順にPort4A,4Bとしている。
【0066】
AWG5に入力された多重光は個々の信号に分離されて、AWG5の出力ポートPort5A,5B,5C,5D,・・・から出力される。なお、図5では、AWG5の出力光はPort5Dの出力光(中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号)のみ示されているが、他の出力ポートPort5A,5B,5Cから、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている個々の信号が出力されることは勿論である。
【0067】
また、AWG6に入力された多重光は個々の信号に分離されて、AWG6の出力ポートPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・から出力される。なお、図5では、AWG6の出力光はPort6Bの出力光のみ示されているが、他の出力ポートPort6A,6Cからも、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうちAWG5から出力される信号以外の個々の信号が出力されることは勿論である。
【0068】
図4の構成をとれば、追加のインターリーバを用いる必要はなく、また各波長グリッドに対応するポートは1つなので、使用上の間違いも少なくできる。同様に、図10及び12の構成に本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタを適用可能である。例えば図4において、カプラ3の代わりに、本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタとして2入力1出力のWSS(25GHz間隔、12.5GHzシフト)を用いてもよい。
【0069】
また、図4の構成では、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号とが混在されていたが、これらに加えてさらに中心周波数が150GHz間隔の標準の波長グリッド上にある150GHz幅の信号や中心周波数が200GHz間隔の標準の波長グリッド上にある200GHz幅の信号のような、中心周波数が基準とする周波数間隔の整数倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号が追加混在されてもよい。
【0070】
この場合、波長多重側及び波長分離側それぞれにK個のAWGが用いられる。ここで、Kは、例えば50GHz幅、100GHz幅及び150GHz幅の信号が混在される場合、これらの中で最も広いスペクトル幅である150GHzを基準とする周波数間隔50GHzで除した値である3となる。K=2の場合が図4の構成である。
【0071】
波長多重側のK個のAWG各々は、複数の入力ポートを有し、複数の入力ポート各々は、基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、基準とする周波数間隔のK倍である。
【0072】
波長多重側のK個のAWGのうち1番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、i(iは2以上かつK以下の整数)番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して基準とする周波数間隔オフセットされている。
【0073】
波長分離側のK個のAWG各々は、複数の出力ポートを有し、複数の出力ポート各々は、基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、基準とする周波数間隔のK倍である。
【0074】
波長分離側のK個のAWGのうち1番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、i番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して基準とする周波数間隔オフセットされている。なお、WSS4は波長分離側のK個のAWGに対応してK個の出力ポートを有する。
【0075】
なお、図4の構成は、AWGなどの固定フィルタとWB,WSSなどの可変フィルタを組み合わせたものである。このような混在構成をしなければならない主な理由は、WSSのポート数が、当面は波長多重数よりもずっと少ないポート数のものしか実現できないためである。今日、一般的なWSSのポート数は9ポート程度であり、40波や80波などの波長多重数に比べるとずっと少ない。WSSのポートはWXC実現のための方路振り分けに優先して使用されるのが通例である。したがって、当面は固定フィルタとの混在使用が想定される。図11及び12において、WSSのポートの先に固定多重分離フィルタ(AWG)が配されているのはこのためである。
【0076】
もし、システムの波長多重数をカバーする十分なポート数を備えるWSSが入手可能となれば、固定フィルタを併用する必要はない。固定フィルタを用いないほうが利便性が高まるので望ましい。この場合、例えば図9においてAWGを本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタに置き換えることも可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタについて説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタを用いて異なるスペクトル幅の信号を収容する様子を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態について説明するための図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態による波長多重光伝送システムの構成を示す図である。
【図5】図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。
【図6】波長グリッドについて説明するための図である。
【図7】可変型フィルタの代表的な構成を模式的に示す図である。
【図8】50GHz間隔WBのフィルタ形状を3通りに変えた場合の各フィルタ形状例を示す図である。
【図9】端局の構成を示す図である。
【図10】2方路OADMノードの構成を示す図である。
【図11】多方路OADMノードの構成を示す図である。
【図12】多方路OADMノードの構成を示す図である。
【図13】本発明に関連する可変型波長多重分離フィルタの問題点を説明するための図である。
【図14】本発明に関連する波長多重光伝送システムの構成を示す図である。
【図15】図14に示す波長多重光伝送システムの多重側の作用を説明するための図である。
【図16】図14に示す波長多重光伝送システムの分離側の作用を説明するための図である。
【図17】本発明に関連する波長多重光伝送システムの別の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1,2,5,6 AWG
3 カプラ
4 WSS
【技術分野】
【0001】
本発明は波長多重分離フィルタ、波長多重分離方式及び波長多重分離方法に関し、特にフィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタと、占有スペクトル幅が複数種類ある光信号を任意に効率良く多重する方式に関する。
【背景技術】
【0002】
<波長グリッド>
波長多重においては、個々の通信チャネルは波長に割り当てられて多重されるが、その波長としては、ITU−T(International Telecommunication Union−Telecommunication Standardization Sector) G.694.1で勧告されている、波長グリッドと呼ばれる標準規格化された波長群を用いる。
【0003】
波長グリッドは、周波数193.100THzをanchor周波数とし、そこから一定間隔で波長グリッドが定義される。図6は波長グリッドについて説明するための図である。図6では、100GHz間隔の波長グリッドが示されている。図6に示すように、anchor周波数から、0,±100GHz,±200GHz,...離れた周波数が波長グリッドとなる。
【0004】
この波長グリッドの標準化によって、光フィルタや光源などの波長選択性のある光部品が異なるメーカー間でも共通仕様化され、産業上、極めて大きなメリットがあった。
【0005】
<波長多重分離フィルタ>
波長(周波数)多重システムの設計において、波長チャネルの多重分離を行うバンドパスフィルタは重要な要素の一つである(例えば特許文献1〜3参照)。理想的な波長多重分離フィルタとは、所定の周波数範囲(周波数スロット)内の成分は低ロスで通過させ、それ以外の周波数成分は除去する、というものである。図6に示すように、周波数スロットは、チャネルに割り当てられた周波数帯であり、隣り合う波長グリッドの中間点を境界とした周波数(波長)範囲のことである。横軸を周波数、縦軸を通過損失としたフィルタ特性グラフをフィルタ形状と呼ぶ。
【0006】
理想的な波長多重分離フィルタは、所定の周波数スロット内は低損失かつフラットで、それ以外はロス無限大、その境目は急峻に変化、という矩形のフィルタ形状を持つものである。図6では、193.3THzを中心とした±50GHzの範囲の周波数スロットが示されており、そのチャネルを多重分離するためのフィルタ形状の一例が示されている。
【0007】
<フィルタの合成>
フィルタが信号に与える効果は一般には線形であり、重ね合わせの原理が使える。つまり、複数のフィルタを直列つなぎしたものを一つのフィルタのように扱える。また、フィルタ以外の効果も線形な範囲では、それらフィルタの接続順序が変わっても、一つのフィルタとして見たときのフィルタリング効果は変わらない。
【0008】
<代表的な波長多重分離フィルタ:固定型>
今日、波長多重光伝送システムに使用されている波長多重分離フィルタには、特徴のある幾つかのフィルタが使い分けられている。まず、複数の波長を1本に多重する、またはその逆の分離を行う固定のフィルタがある。AWG(Arrayed Waveguide Grating)がその典型である。AWGはフィルタ特性があまり急峻でないので、それを補うためにインターリーバー(Interleaver)と呼ばれるフィルタが使われることもある(例えば特許文献1参照)。
【0009】
インターリーバーは1入力2出力、もしくはその逆向きであり、周波数スロットを周波数的に交互に選択分離する。波長グリッドに番号を付けたとすると、偶数波長グループと奇数波長グループに分ける(または合波する)ものである。インターリーバーの先にAWGが接続されて、個々の波長まで多重分離される。インターリーバーのフィルタ形状はAWGのそれよりも矩形に近い。
【0010】
<代表的な波長多重分離フィルタ:可変型>
昨今は、波長パスの新規開通や迂回などをある程度動的に行うために、可変型の波長多重分離フィルタも使用される。可変型の波長多重分離フィルタとしてはWB(Wavelength Blocker)やWSS(Wavelength Selective Switch)などが知られている。これら可変型フィルタは電気制御信号に基づいてフィルタ形状を変えられるように作られている(例えば特許文献2参照)。
【0011】
図7は可変型フィルタの代表的な構成を模式的に示す図である。図7に示すように、可変型フィルタは、回折格子13を用いた分光器の構成がベースとなっており、分光した先には液晶ディスプレーの画素のような、場所ごとに反射率または反射角度を電気制御信号に応じて変化することができるミラー15が置かれている。一つの画素を一つの周波数スロットに対応させることで、各周波数スロットごとの通過(スルー)、阻止(ブロック)を切り換えることができる。WSSでは、電気的に反射方向を変えることができる角度可変ミラーが使用され、入出力ファイバ10として複数のファイバがアレイ状に並んだ構成になっている。各波長毎に反射角度をそれぞれ微小に変えることで、周波数スロット単位での方路選択ができるようになっている。
【0012】
これらWB,WSSの中には、複数チャネル分の帯域を結合してひとつのバンドパスフィルタを形成できる特徴を持ったものもある(例えば特許文献3参照)。すなわち、結合された周波数スロットの境目はほとんどなく、完全に一つのバンドパスフィルタになるという特質を持つ。図8は50GHz間隔WBのフィルタ形状を3通りに変えた場合の各フィルタ形状を示す図である。図8では、各フィルタ形状を見分けやすくするために、上下方向に少しずらしてプロットされている。
【0013】
図8には、3つの周波数スロットの範囲が図示されている。フィルタ形状Aは、スロット1と3だけをスルー、他をブロックに設定したときのフィルタ形状である。同様に、フィルタ形状Bは、スロット1と2だけをスルー、他をブロックに設定したときのフィルタ形状、フィルタ形状Cは、全てのスロットをスルーに設定したときのフィルタ形状である。図8に示すように、スルー設定のチャネルが隣接すると、その境目はなめらかに結ばれて窪みも生じない。このような可変型フィルタが一般に入手可能となっている。実際のOADM(Optical Add/Drop Multiplex)やWXC(Wavelength Cross Connect)を含む光ネットワークにおいては、各ノードではほとんどのチャネルがスルー設定で使用されるので、このような特徴を持ったフィルタを用いれば、フィルタによる信号スペクトル削られ効果が低減され、それによる伝送性能の劣化を軽減できる。
【0014】
<非対称インターリーバー>
チャネルごとに伝送レートが異なる場合、それによって変調スペクトル幅も異なるので、必要な帯域もチャネルごとに異なることになる。しかし、波長多重システムの波長グリッドは等間隔が基本であるため、様々な伝送レートのチャネルを混在させる場合、周波数スロットは、最も広い帯域を要するチャネルに合わせて確保することになる。これには二つの問題がある。一つは、それほど帯域を必要としないチャネルに対しても一律に広い帯域を割り当てることになるので、有限で貴重な伝送帯域の利用率が低下し、不経済となることである。もう一つは、最も広い帯域を要するチャネルを、システム導入時に決めなければならないことである。
【0015】
もし将来の技術トレンドの変化によって、当初想定していなかったほどの広帯域がチャネル当たりに必要になったり、その逆に用意していた広い帯域が結局不要になったとしても、既に運用に供されているシステムの中のフィルタを入れ替えることは困難である。もしフィルタを交換することになれば、使用中の全ての波長チャネルを別のシステムに一時待避させねばならないからである。
【0016】
周波数スロット幅をチャネル毎に異ならせることができれば、スペクトルが細い信号は細い周波数スロットに、スペクトルが太い信号は太い周波数スロットに収容することができ、全体の波長多重の収容効率を上げることができる。このために考案された手法として非対称インターリーバーがある(例えば非特許文献1及び2参照)。通常のインターリーバは偶数波長が入出力されるポートと奇数波長が入出力されるポートのフィルタ形状が等しくなるように設計されるが、この非対称型は、たとえば67%,33%のように故意にその割合を半分からずらしている。そして、スペクトル幅が広い信号は、周波数スロットが広い側の波長グリッドを使い、スペクトル幅が狭い信号は、周波数スロットが狭い側の周波数グリッドを使う。
【0017】
【特許文献1】特開2004−297228号公報
【特許文献2】特開2006−243571号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2005/0146655号明細書
【非特許文献1】"Optical add/drop multiplexer with asymmetric bandwidth allocation and dispersion compensation hybrid 10-Gb/s and 40-Gb/s DWDM transmission", Fishman, D.A. et.al., OFC/NFOEC 2006, OWI64, 2006
【非特許文献2】"10G/40G-Hybrid Dense-WDM Systems with Flexible OADM Upgradability", K. Nakamura et al., ECOC2003, Tu3.6.6, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
波長多重光伝送システムにおいて、スペクトル幅が互いに異なる光信号を混在させる場合、周波数スロットが等間隔でかつ固定的であると、細いスペクトル幅の信号を収納すると隙間だらけで不経済となったり、逆に太いスペクトル幅の信号が入れられないという課題がある。この不都合を解消すべく、細い周波数スロットと太い周波数スロットを交互に配置する方法が考案されたが、その割当ては固定的で柔軟性がないため、当初計画に沿った導入から外れるなどして無駄が生じる問題は残っている。
【0019】
そこで可変型の波長多重分離フィルタ(WB,WSS)が用いられるのであるが、それには分解能の制約がある。フィルタ形状を自由に変形可能とするには、非常に細かい分解能が必要であり、技術的、コスト的に非現実的である。そのため必要最低限の分解能に抑える必要があるが、すると今度はチャネル間に隙間を置かざるを得ず、不経済になるという問題が再浮上する。
【0020】
この問題を図13を用いて説明する。具体例として、スペクトル幅が100GHz幅の周波数スロットと略一致する信号(以下、100GHz幅の信号と称する)とスペクトル幅が50GHz幅の周波数スロットと略一致する信号(以下、50GHz幅の信号と称する)を混在させることを考える。波長多重分離フィルタとして、より細かい50GHz間隔用のフィルタを用いれば100GHz幅の信号も取り扱えるように思われるが、それが不可能であることを説明する。
【0021】
波長グリッドは、その周波数間隔を1/2や1/4にしても、必ず元の波長グリッドを含む系列になっている。周波数間隔が半分になるときには、元の波長グリッドの中点に新たな波長グリッドが置かれるからである。そのため、周波数間隔が1/2や1/4の波長グリッド用のWB,WSSは、元の波長グリッド用に使用することができない。以降では、このようにITU−T G.694.1により標準化された配置の波長グリッドを標準の波長グリッドと称する。
【0022】
図13を参照すると、50GHz間隔用のWB,WSSを中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号の多重分離に使おうとすると、フィルタ形状が隣のチャネルにはみ出してしまうか、もしくは使える帯域が半分になってしまうという問題があることが理解される。また、さらに細かい25GHz間隔用のWB,WSSを用いても、問題は軽減されはするが、解決できないことが分かる。高分解能化によってこの問題を実質的に支障が出ないところまで軽減するには、分解能を相当に高めなければならず、コスト的、技術的に困難がある。
【0023】
このように、可変フィルタを用いることでスペクトル幅が互いに異なる光信号をある程度柔軟性を持って混在配置させることができるものの、波長グリッドと波長グリッドの間に、使用できない無駄な帯域が生じて不経済になったり、各周波数スロットの使用可能な帯域幅が減ってしまうなどの問題があった。
【0024】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、使用できない無駄な帯域が生じることを抑制し波長帯域の自由な配分を可能にする波長多重分離フィルタ、波長多重分離方式及び波長多重分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする。
【0026】
本発明による波長多重分離方式は、上記の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする。
【0027】
本発明による波長多重分離方式は、上記の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍 (nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする。
【0028】
本発明による波長多重分離方法は、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明による波長多重分離方法は、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、使用できない無駄な帯域が生じることを抑制し波長帯域を自由に配分することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施の形態について説明する前に、本発明の理解を助けるために、本発明に関連する技術について説明する。
【0032】
<波長多重光伝送システム>
今日、基幹伝送システムでは、波長多重を用いた光ファイバ伝送システムが多用されるようになっている。複数の通信チャネルを異なる波長に割り当てて、1本の光ファイバ内に複数のチャネルを収容させることで、大容量なものでは数Tb/s級におよぶ伝送容量のシステムが実用に供されている。
【0033】
<変調スペクトル広がり>
波長多重は複数の独立した通信チャネルを波長領域で束ねる手法であるが、その個々の通信チャネルの信号が持つスペクトル幅もシステム設計上、重要な設計要素である。CW(連続波)である搬送波に伝送したい情報を載せるべく変調を施すと、スペクトルは広がる。その幅は、伝送レート(ビットレート)が高くなるにつれて広くなる傾向を持つ。
【0034】
伝送システム中に存在するフィルタがこの変調スペクトルの一部を削ってしまうと、信号に波形歪みが生じて、伝送情報の誤りが増えるなどの劣化が生じる。誤りが十分に少ない高品位な伝送をするためには、その情報伝達に必要な帯域を確保するようにフィルタを設計する必要がある。各チャネルに割り当てる周波数スロットの幅は、最低でもその信号が必要とする幅が必要である。(必要以上に周波数スロットが広いのは不経済ではあるが、伝送品質の観点では問題はない。)
【0035】
<波長多重システムの容量増設の考え方>
一般に波長多重システムでは、導入初期には少ない波長数(少ない送受信器)で運用開始し、トラフィックの需要増加に応じて波長チャネル(送受信器)を増設していく形が取られる。その理由は大きく二つある。まずは初期投資を抑えるためである。また、送受信器はいくつかの信号フォーマット種別があるので、運用開始時点で、どの種類の送受信器をどれくらいの割合で使うかを決めずに済むためである。また、システム導入後にはなかった新しい信号フォーマットが将来規定されるとしても対応できる可能性があるためである。また、技術の進歩によって、同じ信号フォーマットの送受信器であっても後から購入する方が安価になると期待できるという理由もある。
【0036】
<波長多重分離ノードの構成>
波長多重分離フィルタを波長多重光伝送システムのノード装置として構成する際の概念図が図9〜図12に示される。図9は端局(Terminalノード)の構成を示す図であり、AWG16及び17を備えた端局を示す。図10は2方路OADMノードの構成を示す図であり、図11及び12は多方路OADM(WXCとも称される)ノードの構成を示す図である。方路数とは接続対地数である。
【0037】
図10に示した2方路OADMノードは、カプラ18及び20と、WB19と、AWG21及び22とを備え、自ノードへのAdd/Drop信号の他に2対地と接続できる能力を持っている。なお、図10〜12では、反対方向の処理部の記載は省略している。図11及び12はWXCを構成する基本部分のみを示している。図11に示したノード構成は、WSS23と、カプラ24と、AWG25及び26とを備え、分配時にWSS23により波長選択しながら分配し、合波時はカプラ24により波長無依存に合波する方式である。図12に示したノード構成は、カプラ27と、WSS28と、AWG29及び30とを備え、分配時はカプラ27により波長無依存に分配し、合波時にWSS23により波長選択しながら合波する方式(broadcast and select方式と称される)である。これら2つが基本方式として知られている。図11及び12の構成では、WSSが分岐側もしくは合波側に設けられているが、WSSを分岐側と合波側の両方に設けるようにしてもよい。
【0038】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0039】
本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタは、フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであり、基準とする周波数間隔の倍の分解能を持つ。すなわち、本実施の形態による波長多重分離フィルタにおいて、信号の通過/阻止を切り替えることが可能な最小の周波数スロット(周波数範囲)は基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔に相当する。また、本実施の形態による波長多重分離フィルタでは、この周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされている。このような波長多重分離フィルタ(WB,WSS)を用いれば、基準とする周波数間隔の整数倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの波長が収容可能である。
【0040】
図1は本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタについて説明するための図である。図1では、基準とする周波数間隔は50GHz間隔としている。図1に示すように、本実施の形態による波長多重分離フィルタは、その周波数間隔が基準周波数間隔の半分の25GHzであり、その周期は25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期に比べて半周期 (12.5GHz)シフトしてある。
【0041】
図1を見れば直ちに分かるように、本実施の形態による波長多重分離フィルタの2スロット分は、基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと完全に一致する。図1では説明の便宜上、本実施の形態による波長多重分離フィルタの隣接スロットの隙間にdipを示しているが、図8を用いて説明したように隣接スロットを結合してひとつのバンドパスフィルタを形成できるので、実際にはこの部分は完全につなげることができる。同様に、本実施の形態による波長多重分離フィルタの4スロット分が100GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致することから、本実施の形態による波長多重分離フィルタは50GHz幅の信号と100GHz幅の信号の混在した状態を多重分離できることが分かる。
【0042】
図2は本実施の形態による波長多重分離フィルタを用いて異なるスペクトル幅の信号を収容する様子を説明するための図である。上述したように、本実施の形態による波長多重分離フィルタの2スロット分は、基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致し、4スロット分は100GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致する。また、本実施の形態による波長多重分離フィルタの6スロット分は、150GHz間隔の標準の波長グリッドの周波数スロットと一致する。
【0043】
したがって、図13に示したようなはみ出しが起きず、図2に示すように、中心周波数が基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号及び中心周波数が150GHz間隔の標準の波長グリッド上にある150GHz幅の信号が隙間なく配置できる。このような特質は、図13に示した通常の50GHz間隔用もしくは25GHz間隔用のWB,WSSでは得ることができない。
【0044】
ただし、複数の異なる周波数間隔系列が混在する場合はその切り替わり点に隙間が生じてしまうことがある。図2では、中心周波数が基準とする50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号を混在させたケースも一例として示されている。異なる周波数間隔系列の切り替わり点において、このような無駄な帯域が生じることから、なるべく切り替わり点が少なくなるように信号を配置したほうがよい。もし2種類であれば、これら2種類の周波数間隔の信号を全伝送可能帯域の短波端と長波端からそれぞれ配置するようにすることにより、切り替わり点を中程の一箇所だけにできるので、帯域の無駄を低減できる。
【0045】
この切り替わり点での無駄な帯域の発生は、標準の波長グリッドの配置からくる制約であり、チャネル波長を標準の波長グリッドからずらさない限り、避けられないものである(ずらす発想を取り入れたのが後述する本発明の第2の実施の形態である)。逆を言えば、本実施の形態では、各チャネル波長は標準の波長グリッドに乗っているので、イレギュラーな波長の送受信器を用意する必要はない。
【0046】
本実施の形態による波長多重分離フィルタのフィルタ配置は、中心周波数が基準とする周波数間隔の標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が基準とする周波数間隔と略一致する信号と、その整数倍の周波数間隔の標準の波長グリッド上に中心周波数がありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号を無駄なく多重分離するための最低限の分解能条件である。分解能を極めて細かくしたのと同様の効果が、単に基準とする周波数間隔の倍の分解能のWB,WSSを用意するだけで得られるので、コスト面で優位である。
【0047】
なお、25GHz間隔の本実施の形態による波長多重分離フィルタを用いてスペクトル幅が25GHz幅の周波数スロットと略一致する信号を波長多重できるようにするには、図2に示すように、該信号の中心周波数を25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期から半周期ずらすことができる光送受信器を用いればよい。
【0048】
また、本実施の形態では、基準とする周波数間隔は50GHz間隔としたが、これに限られるものではなく、例えば25GHz間隔または100GHz間隔としてもよい。例えば基準とする周波数間隔が100GHz間隔であれば、50GHz間隔、25GHzシフトのWB,WSSが用いられる。
【0049】
また、本実施の形態による波長多重分離フィルタは、基準とする周波数間隔の倍の分解能を持ち、この分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされているものであるが、基準とする周波数間隔の例えば4倍や8倍の分解能を持つものであってもよい。すなわち、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされている波長多重分離フィルタであればよい。ただし、分解能は基準とする周波数間隔の倍の分解能(N=1)であっても十分な効果が得られ、また、基準とする周波数間隔の例えば4倍や8倍の分解能を持たせる場合よりコスト面で有利である。
【0050】
次に、本発明の第2の実施の形態について図3を用いて説明する。本発明の第2の実施の形態では、本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタが用いられる。第2の実施の形態と第1の実施の形態との違いは、中心周波数が基準とする周波数間隔50GHzの整数倍の周波数間隔の波長グリッド上にありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号を、基準とする周波数間隔の半分の25GHz間隔の標準の波長グリッド単位で自由に配置することを許していることである。
【0051】
図3に示すように、50GHz幅の信号と100GHz幅の信号とが混在する状態において、50GHz幅の信号の中心周波数は50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗っているが、100GHz幅の信号の中心周波数は100GHz間隔の標準の波長グリッドに限定することなく25GHz間隔の標準の波長グリッドに乗るよう配置されている。同様に、50GHz幅の信号と100GHz幅の信号と150GHz幅の信号とが混在する状態において、50GHz幅の信号の中心周波数は50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗っているが、100GHz幅及び150GHz幅の信号の中心周波数はそれぞれ100GHz間隔及び150GHz間隔の標準の波長グリッドに限定することなく25GHz間隔の標準の波長グリッドに乗るようシフト配置されている。
【0052】
このように、本発明の第2の実施の形態では、基準とする周波数間隔の半分の25GHz間隔の標準の波長グリッド単位で各スペクトル幅の信号を自由に配置することを許しているので、複数の異なるスペクトル幅の信号が混在する場合でも、隙間を生じずに密に詰めて配置することができる。他の特長は第1の実施の形態と同様であるので省略する。
【0053】
現在、波長多重光伝送システムに用いられる送受信器の光源には、フルバンドチューナブル(full−band tunable)LDという光源が搭載されているのが一般的になってきている。このLDは、制御コマンドにより発振波長を切り換えられる。その発振波長は自由に設定できるのではなく、波長グリッド上で選択するようになっている。今日、一般的なフルバンドチューナブルLD光源では、波長グリッドとして50GHz系列か、25GHz系列での選択指定が一般的である。したがって、その指定可能間隔よりも広い周波数間隔の波長グリッド用の送受信器であっても、それより細かい波長設定能力を持っている場合があり、この場合には本発明の第2の実施の形態が適用可能である。
【0054】
以上説明した本発明の第1及び第2の実施の形態では、フィルタ(WB,WSS) の方が半周期シフトされたが、そのシフトを行わず、光信号の波長の方をシフトしても、相対的な関係は変わらないので、同じ効果が得られることは言うまでもない。ただし光源波長をシフトさせるほうが、シフトさせる対象物が多いので煩雑になる。
【0055】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を用いて説明する。本発明の第3の実施の形態では、本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタが波長多重光伝送システムにおけるノード装置に適用され、WSSがシステムの波長多重数をカバーする十分なポート数を備えていない場合の、固定フィルタとの併用方法が例示される。
【0056】
図14は本発明に関連する波長多重光伝送システムの構成を示す図である。図14に示す波長多重光伝送システムでは、基準間隔は50GHz間隔であり、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号とが混在して波長多重分離される。図14の構成は、100GHz幅の信号のために100GHz間隔のAWGを用いる構成である。ここでは説明を簡単にするため、100GHz間隔のAWGは100GHzの周波数スロット幅をもつフィルタであると考える。波長多重側は、100GHz間隔、+0Hzオフセット(シフト)のAWG1と、100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG2と、カプラ3とを有する。
【0057】
図15は図14に示す波長多重光伝送システムの波長多重側の作用を説明するための図である。図15に示すように、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号と、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている信号とがAWG1の入力ポートPort1A,1B,1C,1D,・・・に入力される。なお、図14のAWG1の入力ポートを上から順にPort1A,1B,1C,1D,・・・としている。
【0058】
また、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうちAWG1に入力される信号以外の信号がAWG2の入力ポートPort2A,2B,2C,2D,2E,・・・に入力される。なお、図14のAWG2の入力ポートを上から順にPort2A,2B,2C,2D,2E,・・・としている。そして、AWG1の多重出力とAWG2の多重出力とがカプラ3により合波されて出力される。
【0059】
波長分離側は、波長多重側の逆の流れで構成すればよく、図14に示すように、カプラ31と、100GHz間隔、+0HzオフセットのAWG5と、100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG6とを有する。ただしここまでの構成では、50GHz幅の信号をきちんと分離できないので、図14には示されていないが、50G/100Gのインターリーバー(ILV)が各波長の受信器の前段(AWG5及び6の出力ポートの後段)に挿入される必要がある。
【0060】
図16は図14に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。図16に示すように、カプラ3の多重出力は、カプラ31により分岐されてAWG5及び6に入力され、AWG5の出力ポートPort5A,5B,5C,5D,・・・及びAWG6の出力ポートPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・からそれぞれ分離光が出力される。なお、図14のAWG5の出力ポートを上から順にPort5A,5B,5C,5D,・・・とし、図14のAWG6の出力ポートを上から順にPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・としている。
【0061】
AWG5及び6の各出力ポートの出力光のうちAWG6の出力ポートPort6Bの出力光に着目すると、50GHz幅の信号がきちんと分離されておらず、隣接チャネルを含んでいるので、該出力光は出力ポートPort6Bの後段のインターリーバーにより波長分離される。
【0062】
図14の構成では、インターリーバーを受信器に個別に備えなければならないので、不経済であるという問題がある。そこで、インターリーバーを複数の受信器で共用するために、図17に示すように、分離側のAWG6を、50GHz間隔で倍のポート数を持つAWG35と置換するか、50G/100Gインターリーバー32が前段に設けられた100GHz間隔、+0HzオフセットのAWG33と100GHz間隔、+50GHzオフセットのAWG34に置換する構成が考えられる。ただしこの場合、100GHzグリッドに相当する波長グリッドの信号は、分離出力ポートが2つあり、信号スペクトル幅が50GHz幅か、100GHz幅かによって使い分けねばならないため、使用上、間違えやすいという問題がある。
【0063】
そこで、図4に示すような構成が有効である。図4は本発明の第3の実施の形態による波長多重光伝送システムの構成を示す図であり、図14及び17と同等部分は同一符号にて示している。図4に示す波長多重光伝送システムは、カプラ31の代わりに1入力2出力のWSS(25GHz間隔、12.5GHzシフト)4を用いる点で図14に示す波長多重光伝送システムと異なる。図4に示す波長多重光伝送システムの波長多重側は、図15を用いて説明した図14に示す波長多重光伝送システムの波長多重側と同様であるので、その説明を省略する。
【0064】
図5は図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側は、図11の構成に本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタを適用した一例と考えることができる。WSS4は、その周波数間隔が基準とする50GHz間隔の半分の25GHzであり、その周期は25GHz間隔の標準の波長グリッドの周期に比べて半周期(12.5GHz)シフトされている。
【0065】
図5に示すように、カプラ3の多重出力(50GHz幅の信号と100GHz幅の信号の混在WDM信号)がWSS4に入力される。WSS4は上述したように25GHz間隔、12.5GHzシフトの可変型フィルタであるので、50GHz間隔の標準の波長グリッドに乗った周波数スロット、及びその整数倍の周波数スロットを任意のポートにフィルタリングしつつ振り分けることができる。ここでは、後につながるAWG5,6で個々の波長に分離するために、中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号と、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている信号との多重光を、WSS4の出力ポートPort4AからAWG5に出力する。また、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち出力ポートPort4Aから出力される信号以外の信号の多重光を、WSS4の出力ポートPort4BからAWG6に出力する。なお、図4のWSS4の2つの出力ポートを上から順にPort4A,4Bとしている。
【0066】
AWG5に入力された多重光は個々の信号に分離されて、AWG5の出力ポートPort5A,5B,5C,5D,・・・から出力される。なお、図5では、AWG5の出力光はPort5Dの出力光(中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号)のみ示されているが、他の出力ポートPort5A,5B,5Cから、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうち中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッドにも乗っている個々の信号が出力されることは勿論である。
【0067】
また、AWG6に入力された多重光は個々の信号に分離されて、AWG6の出力ポートPort6A,6B,6C,6D,6E,・・・から出力される。なお、図5では、AWG6の出力光はPort6Bの出力光のみ示されているが、他の出力ポートPort6A,6Cからも、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号のうちAWG5から出力される信号以外の個々の信号が出力されることは勿論である。
【0068】
図4の構成をとれば、追加のインターリーバを用いる必要はなく、また各波長グリッドに対応するポートは1つなので、使用上の間違いも少なくできる。同様に、図10及び12の構成に本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタを適用可能である。例えば図4において、カプラ3の代わりに、本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタとして2入力1出力のWSS(25GHz間隔、12.5GHzシフト)を用いてもよい。
【0069】
また、図4の構成では、中心周波数が50GHz間隔の標準の波長グリッド上にある50GHz幅の信号と中心周波数が100GHz間隔の標準の波長グリッド上にある100GHz幅の信号とが混在されていたが、これらに加えてさらに中心周波数が150GHz間隔の標準の波長グリッド上にある150GHz幅の信号や中心周波数が200GHz間隔の標準の波長グリッド上にある200GHz幅の信号のような、中心周波数が基準とする周波数間隔の整数倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が該整数倍の周波数間隔と略一致する信号が追加混在されてもよい。
【0070】
この場合、波長多重側及び波長分離側それぞれにK個のAWGが用いられる。ここで、Kは、例えば50GHz幅、100GHz幅及び150GHz幅の信号が混在される場合、これらの中で最も広いスペクトル幅である150GHzを基準とする周波数間隔50GHzで除した値である3となる。K=2の場合が図4の構成である。
【0071】
波長多重側のK個のAWG各々は、複数の入力ポートを有し、複数の入力ポート各々は、基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、基準とする周波数間隔のK倍である。
【0072】
波長多重側のK個のAWGのうち1番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、i(iは2以上かつK以下の整数)番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目のAWGの複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して基準とする周波数間隔オフセットされている。
【0073】
波長分離側のK個のAWG各々は、複数の出力ポートを有し、複数の出力ポート各々は、基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、基準とする周波数間隔のK倍である。
【0074】
波長分離側のK個のAWGのうち1番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、i番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目のAWGの複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して基準とする周波数間隔オフセットされている。なお、WSS4は波長分離側のK個のAWGに対応してK個の出力ポートを有する。
【0075】
なお、図4の構成は、AWGなどの固定フィルタとWB,WSSなどの可変フィルタを組み合わせたものである。このような混在構成をしなければならない主な理由は、WSSのポート数が、当面は波長多重数よりもずっと少ないポート数のものしか実現できないためである。今日、一般的なWSSのポート数は9ポート程度であり、40波や80波などの波長多重数に比べるとずっと少ない。WSSのポートはWXC実現のための方路振り分けに優先して使用されるのが通例である。したがって、当面は固定フィルタとの混在使用が想定される。図11及び12において、WSSのポートの先に固定多重分離フィルタ(AWG)が配されているのはこのためである。
【0076】
もし、システムの波長多重数をカバーする十分なポート数を備えるWSSが入手可能となれば、固定フィルタを併用する必要はない。固定フィルタを用いないほうが利便性が高まるので望ましい。この場合、例えば図9においてAWGを本発明の第1及び第2の実施の形態による波長多重分離フィルタに置き換えることも可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタについて説明するための図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態による波長多重分離フィルタを用いて異なるスペクトル幅の信号を収容する様子を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態について説明するための図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態による波長多重光伝送システムの構成を示す図である。
【図5】図4に示す波長多重光伝送システムの波長分離側の作用を説明するための図である。
【図6】波長グリッドについて説明するための図である。
【図7】可変型フィルタの代表的な構成を模式的に示す図である。
【図8】50GHz間隔WBのフィルタ形状を3通りに変えた場合の各フィルタ形状例を示す図である。
【図9】端局の構成を示す図である。
【図10】2方路OADMノードの構成を示す図である。
【図11】多方路OADMノードの構成を示す図である。
【図12】多方路OADMノードの構成を示す図である。
【図13】本発明に関連する可変型波長多重分離フィルタの問題点を説明するための図である。
【図14】本発明に関連する波長多重光伝送システムの構成を示す図である。
【図15】図14に示す波長多重光伝送システムの多重側の作用を説明するための図である。
【図16】図14に示す波長多重光伝送システムの分離側の作用を説明するための図である。
【図17】本発明に関連する波長多重光伝送システムの別の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1,2,5,6 AWG
3 カプラ
4 WSS
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする波長多重分離フィルタ。
【請求項2】
N=1であることを特徴とする請求項1記載の波長多重分離フィルタ。
【請求項3】
請求項1または2記載の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、
前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする波長多重分離方式。
【請求項4】
請求項1または2記載の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、
前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする波長多重分離方式。
【請求項5】
K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記K個の固定フィルタ各々は、前記複数の入力ポートにそれぞれ入力された光信号を各入力ポートの透過特性によりフィルタリングして多重し、前記波長多重分離フィルタは、前記K個の固定フィルタそれぞれから出力される波長多重信号を多重することを特徴とする請求項3記載の波長多重分離方式。
【請求項6】
K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の出力ポートを有し、前記複数の出力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記波長多重分離フィルタは、入力された波長多重信号をK個の波長多重信号に分離して前記K個の固定フィルタに出力し、前記K個の固定フィルタ各々は、前記波長多重分離フィルタからの波長多重信号を前記複数の出力ポートの透過特性によりフィルタリングして分離することを特徴とする請求項3記載の波長多重分離方式。
【請求項7】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、
基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする波長多重分離方法。
【請求項8】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、
基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする波長多重分離方法。
【請求項9】
前記波長多重分離光伝送システムは、K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを更に含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記K個の固定フィルタ各々が前記複数の入力ポートにそれぞれ入力された光信号を各入力ポートの透過特性によりフィルタリングして多重するステップと、前記波長多重分離フィルタが前記K個の固定フィルタそれぞれから出力される波長多重信号を多重するステップとを更に含むことを特徴とする請求項7記載の波長多重分離方法。
【請求項10】
前記波長多重分離光伝送システムは、K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを更に含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の出力ポートを有し、前記複数の出力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記波長多重分離フィルタが入力された波長多重信号をK個の波長多重信号に分離して前記K個の固定フィルタに出力するステップと、前記K個の固定フィルタ各々が前記波長多重分離フィルタからの波長多重信号を前記複数の出力ポートの透過特性によりフィルタリングして分離するステップとを更に含むことを特徴とする請求項7記載の波長多重分離方法。
【請求項11】
N=1であることを特徴とする請求項7〜10いずれか記載の波長多重分離方法。
【請求項1】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタであって、基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされていることを特徴とする波長多重分離フィルタ。
【請求項2】
N=1であることを特徴とする請求項1記載の波長多重分離フィルタ。
【請求項3】
請求項1または2記載の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、
前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする波長多重分離方式。
【請求項4】
請求項1または2記載の波長多重分離フィルタを用いた波長多重分離方式であって、
前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離することを特徴とする波長多重分離方式。
【請求項5】
K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記K個の固定フィルタ各々は、前記複数の入力ポートにそれぞれ入力された光信号を各入力ポートの透過特性によりフィルタリングして多重し、前記波長多重分離フィルタは、前記K個の固定フィルタそれぞれから出力される波長多重信号を多重することを特徴とする請求項3記載の波長多重分離方式。
【請求項6】
K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の出力ポートを有し、前記複数の出力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記波長多重分離フィルタは、入力された波長多重信号をK個の波長多重信号に分離して前記K個の固定フィルタに出力し、前記K個の固定フィルタ各々は、前記波長多重分離フィルタからの波長多重信号を前記複数の出力ポートの透過特性によりフィルタリングして分離することを特徴とする請求項3記載の波長多重分離方式。
【請求項7】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、
基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記n倍の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする波長多重分離方法。
【請求項8】
フィルタ形状が可変の波長多重分離フィルタを含む波長多重分離光伝送システムの波長多重分離方法であって、
基準とする周波数間隔の2N 倍(Nは1以上の整数)の分解能を持ち、前記2N 倍の分解能に対応する周波数スロットの中心周波数の周波数配置が前記基準とする周波数間隔の1/2N の周波数間隔を持つ標準の波長グリッドの周波数配置に対し半周期オフセットされた前記波長多重分離フィルタを用いて、中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔と略一致する信号、及び中心周波数が前記基準とする周波数間隔の1/2の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にありスペクトル幅が前記基準とする周波数間隔のn倍(nは2以上の整数)の周波数間隔と略一致する信号を多重分離するステップを含むことを特徴とする波長多重分離方法。
【請求項9】
前記波長多重分離光伝送システムは、K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを更に含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の入力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記K個の固定フィルタ各々が前記複数の入力ポートにそれぞれ入力された光信号を各入力ポートの透過特性によりフィルタリングして多重するステップと、前記波長多重分離フィルタが前記K個の固定フィルタそれぞれから出力される波長多重信号を多重するステップとを更に含むことを特徴とする請求項7記載の波長多重分離方法。
【請求項10】
前記波長多重分離光伝送システムは、K個(Kは前記信号のうち最も広いスペクトル幅と略一致する周波数間隔を前記基準とする周波数間隔で除した値)で一群の固定フィルタを更に含み、
前記K個の固定フィルタ各々は、複数の出力ポートを有し、前記複数の出力ポート各々は、前記基準とする周波数間隔のK倍に相当する透過帯域幅を有し、前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の間隔は、前記基準とする周波数間隔のK倍であり、
前記K個の固定フィルタのうち1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数は、前記基準とする周波数間隔のK倍の周波数間隔を持つ標準の波長グリッド上にあり、
前記K個の固定フィルタのうちi(iは2以上かつK以下の整数)番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置は、i−1番目の固定フィルタの前記複数の出力ポートの透過帯域幅の中心周波数の周波数配置に対して前記基準とする周波数間隔オフセットされ、
前記波長多重分離フィルタが入力された波長多重信号をK個の波長多重信号に分離して前記K個の固定フィルタに出力するステップと、前記K個の固定フィルタ各々が前記波長多重分離フィルタからの波長多重信号を前記複数の出力ポートの透過特性によりフィルタリングして分離するステップとを更に含むことを特徴とする請求項7記載の波長多重分離方法。
【請求項11】
N=1であることを特徴とする請求項7〜10いずれか記載の波長多重分離方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−210841(P2009−210841A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54234(P2008−54234)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]