説明

注入流体の複式濾過システム

【課題】 食肉加工品にピクルス液を注射する食肉注入装置に用いられる濾過システムを得る。
【解決手段】 フィルタは、タンクと、第1の回転式フィルタ12と、第2の回転式フィルタ14とから成る。第1の回転式フィルタ12は、くさび型ワイヤ巻き円筒と、縦溝を有し、固体粒片を第2のフィルタ12の方へ押しのけるために回転する錐状部30とを有する。第2のフィルタ12は、渦巻き効果が発生している場合には、全ての固体材料及び発泡を、確実にフィルタの外部に除外するよう、さらに多数のくさび型ワイヤを用いている。注入流体は、注入針20のための第2のフィルタ14の内部の中心から回収される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
食肉加工品に対する機械的注入工程では、ピクルス液が、多数の中空針を通して肉に注入される。中空針の食肉への射し込みを繰り返し行うことにより、ピクルス液の添加量は、所定のパーセンテージになるよう調整される。過剰なピクルス液は、製品の下に置かれたトレーに集められ、濾過により肉粒片を取り除いた後、再使用される。
【0002】
現在利用できる濾過システムは、通常、低速で回転するくさび型ワイヤドラムを有している。回収された液は、ドラムの外側を流れ、液は、ワイヤの間を通り抜けて、タンクに回収される一方、固体粒片は、回転中のドラムの外側に漉される。次いで、液は、不動のフィルターを通して濾過され、その後、ポンプにより、中空針に吸い揚げられる。
【0003】
しかし、液が肉粒片を同伴したまま輸送される場合がしばしばある。さらに、この濾過で、注入ピクルス液から、粒子を完全に取り除くことができなかった場合、中空針に戻されるピクルス液中に、粒子がとどまることになる。液中にこのような粒片物が存在すれば、針が詰まってしまい、注入のパーセンテージに対して、悪影響を及ぼすこととなる。
【0004】
更に、フィルター、特に静置スクリーンは、液中に残存する粒子により詰まり易い傾向を持っている。このような詰まりが生じると、ポンプ圧の減少、噴射圧の損失、注入速度の変動といったことが生じるが、これを低減するために、繰り返し洗浄を行うことが必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
システム全体の洗浄を行うことなく、静置フィルターだけを洗浄しても、固形物がフィルターを通り抜けてしまい、システムの下流で、詰まりが生じてしまう。
【0006】
上記したところに鑑み、本発明の主な目的は、現状技術を改良した、注入流体の濾過に用いるろ過システムを提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、錐状部上のらせん条の高さを利用して、流体を保持しながら、固体材料をフィルターの終点まで輸送しうる濾過システムを提供することである。
【0008】
本発明のまた別の目的は、液体の流体面が連続的に発泡で満たされるようにした濾過システムを提供することである。
【0009】
本発明のさらに別の目的は、濾過システムの効率を向上させることである。
【0010】
本発明のまたさらに別の目的は、食肉加工品に対する注入工程以外の濾過のために用いることができる濾過システムを提供することである。
【0011】
本発明のさらにまた別の目的は、装置の運転中においても、逆流が可能な濾過装置を提供することにある。
【0012】
上記した以外の本発明の目的、特徴または利点は、明細書及び特許請求の範囲の記載により、明らかになると思う。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、フィルタタンクと、内部錐状部を有する濾過円筒から成る第1の回転式フィルタとを有する濾過システムを提供するものである。本発明の使用時では、濾過円筒と内部錐状部とは、一緒に回転する。この濾過システムは、さらに、第1の回転式フィルタにより濾過される固体粒子を受容する略閉鎖型の第2の回転式フィルタを有している。次いで、擦過板により、第2のフィルタの外側表面から、固体粒子を取り除き、かつ、第2のフィルタの内側から濾過された液体は、管により吸い上げられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
「流体」、「ピクルス流体」及び「液体」は、本明細書を通じて、互換的に用いられ、これらすべての語は、固液懸濁液の液体部分を表わす。「固体」、「固体粒」、「固体材料」及び「食肉粒片」も同様に、本明細書を通じて、互換的に用いられ、固液懸濁液に含まれる固体部分を表わす。「ピクルス注入液」、「注入器流体」、「ピクルス液」及び「懸濁液」は、本明細書を通じて、互換的に用いられ、これらの語は、すべて、固液懸濁液または混合物を表わす。
【0015】
図1に示すように、本発明の濾過システムは、食肉注入装置10に用いられている。この濾過システムは、第1の回転式フィルタ12と、第2の回転式フィルタ14と、タンク16と、タンク16から濾過されたピクルス注入を受容し、ピクルス注入液を注入針20へ輸送するポンプ18とを有している。注入針20は、上部カバー22によって保護されており、濾過されたピクルス注入液を、食肉加工品24に注入する。
【0016】
図2〜図4は、食肉注入装置10の濾過システムを示す。この濾過システムは、濾過前のピクルス液を第1の回転式フィルタ12に導く樋26を有する。第1の回転式フィルタ12は、錐状部30を有するくさび型ワイヤ巻き円筒28から成っている。錐状部30は、樋26を延伸させるための中心開口33を有する端板31に取り付けられ、差し込みスロット32は、錐状部30が円筒28内にぴったりと適合し、これらが一体となって回転できるよう、錐状部30を受容している。円筒28と錐状部30は、一体となって回転し、簡易開放型の差込接続によって、着脱自在に取り付けられている。
【0017】
好ましくは、円筒28は、内側に平らな端部を有するくさび型のワイヤを有し、これらワイヤ間の隙間は、約0.5mm(0.02インチ)である。別の用途に対しては、径及び寸法が異なるワイヤを用いる。たとえば、濾過を最適化するためには、ワイヤ間の隙間を変える。さらに別の用途では、円筒28は、くさび型ワイヤの代わりに、多数の孔を有する材料から構成される。
【0018】
錐状部30は、螺旋により構成され、これら螺旋間のピッチは、用途に応じて、等間隔でもよく、又は可変間隔でもよい。錐状部30はまた、流体を保持しつつ、円筒28の終点まで固体材料をさらに輸送することが可能な、縦溝(図面には示さず)を有しており、この縦溝の高さは、濾過円筒28を介する液体の濾過を最適化するよう、長さ方向に変化してもよく、又は長さ方向に一定であってもよい。
【0019】
さらに錐状部は、濾過円筒を介する液体の濾過を最適化するよう、長さ方向に一定のピッチを有していてもよく、又は、長さ方向に可変のピッチを有していてもよい。
【0020】
ギア34は、第1の回転式フィルタ12の第2の端部35に固定され、食肉注入装置10において、モータ40に接続される軸38のピニオン歯車36と係合する。運転中は、モータは、ピニオン36の軸38を回転し、ギア34が回転する。
【0021】
第2のフィルタ14は、くさび型ワイヤ巻き円筒42より構成され、この円筒42は、外面45を有し、また、タンク16の側壁の部品である板44を一端に、ギア43を他端に有しており、この板44とギア43とは、一部がタンク16内に没している内部室53を形成している。
【0022】
ギア43は、動作自在にピニオン歯車36に接続されることにより、ピニオン歯車36は、第1の回転式フィルタ12と第2の回転式フィルタ14とを、動作自在に回転させる。円筒42を清浄化するための擦過板48が、動作自在にタンク16に取り付けられている。
【0023】
擦過板48は、機械的なブレードであってもよく、あるいはエアナイフであってもよい。また、円筒42から取り除かれた材料を受容するための容器50が、タンク16に取り付けられている。
【0024】
壁板44から、管52が、外側に向かって延び、第2のフィルタ14の内部室53と連通する。この管52は、第2のフィルタ14の内部室53で濾過された液体の出口となる。管52は、動作自在にポンプ18に接続され、濾過された液体を、第2のフィルタ14の内部室53から注入針20へと輸送する。
【0025】
運転中、食肉粒片を内包するピクルス流体が、樋26から円筒28内へ流入する。液体は、円筒28のワイヤの間の隙間を通り抜けて、タンク16に流出し、他方、固体粒片は、回転する錐状部30によって、円筒28に平行に輸送される。
【0026】
一例では、錐状部30と濾過円筒28と、異なる速度で回転する。次いで、固体粒片は、過剰液体と共に、円筒28の第2の端部35から、第2の回転式フィルタ14の外面45上へと流入する。円筒42が回転すれば、固体粒片は、くさび型ワイヤに集められ、擦過板48へと輸送され、そこで、固体粒片は容器50内に堆積される。
【0027】
ポンプ18により、第2の回転式フィルタ14の内部室53から、管52を介して液体を吸い込めば、内部室53で負圧が発生する。この負圧により、流体は、タンク16から、円筒42を通して内部室53へ吸い込まれる。この流体内に残留する全ての固形物が、回転シリンダ42の外面45上に堆積し、シリンダが回転することにより、これら固形物は擦過板48へ輸送される。
【0028】
円筒42が回転すれば、タンク16内で流体面に浮遊するあらゆる発泡(タンパク質及び脂肪)は、すくい上げられて、擦過板48へと輸送され、そこで取り除かれて、容器50内に堆積される。
【0029】
その後、濾過済み液体は管52により、円筒42の内部室53から、注入針20へと輸送される。管52が、濾過済み液体を円筒42の内部室53から輸送することにより、追加の濾過済み液体が、第1の回転シリンダー12を通して、タンク16に導入され、システム内で消費された分の流体を補充する。
【0030】
用途によっては、濾過システムの運転中に、フィルタを逆流により洗浄する。第1の回転式フィルタ12を逆流により洗浄するため、エアナイフが、第1の回転式フィルタ12の近傍に設置されている。
【0031】
同様に、第2の回転式フィルタ内にノズルを配置することにより、第2の回転式フィルタ14を、逆流により洗浄してもよい。第2の回転式フィルタ14の内部では、流体は、高圧でポンプ輸送されて逆流し、閉塞を生じさせている粒片を、タンク16内へ逆流させる。
【0032】
このように、従来の技術を改良した、注入器流体の濾過のための濾過システムが得られる。この濾過システムは、2台の回転式円筒状フィルタを用いることにより、静置型のフィルタの必要性を排除する。
【0033】
またこのシステムは、タンク内の液体の表面が連続的に発泡で満たされる状況を作り出す渦巻き効果を発生させる。このシステムは、食肉ピクルス液漬け込みのプロセスや、その他の固体粒片を液体から濾過により取り出すためのプロセスに用いることができる。さらに、このシステムにおけるフィルタでは、装置の運転中に逆流を生じさせることもできる。
【0034】
本発明において、その技術的範囲の本質から離れることなく、上記の他の多種多様な変形が可能であることは、いわゆる当業者には理解されるところであると思う。これら全ての変形や変更は、本発明の特許請求の範囲に収まり、また特許請求の範囲により、カバーされるものと解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】食肉注入装置の側面図である。
【図2】食肉注入装置の濾過システムの側面図である。
【図3】食肉注入装置の濾過システムの、図2の線4−4に沿った断面図である。
【図4】食肉注入装置のフィルタシステムの側面図であり、擦過板を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0036】
10 食肉注入装置
12 第1の回転式フィルタ
14 第2の回転式フィルタ
16 タンク
18 ポンプ
20 注入針
22 上部カバー
24 食肉加工品
26 樋
28 円筒
30 錐状部
32 差し込みスロット
33 中心開口
34 ギア
35 第2の端部
36 ピニオン歯車
38 軸
40 モータ
42 円筒
44 板
45 外面
48 擦過板
50 容器
52 管
53 内部室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔性の外側面を有する第1の細長い濾過円筒と、
第1の端部及び第2の端部と、内部錐状部とを有する第1の回転式フィルタと、
第1の回転式フィルタに動作自在に接続され、第1の回転式フィルタから液体を受容するように構成されているタンクと、
多孔性の外側面を有する第2の伸長濾過円筒と、内部室を形成する第1の端部及び第2の端部とを有し、その一部がタンク内に配置され、第1の回転式フィルタから固型廃棄物を受容するように構成されている第2の回転式フィルタ
とを備えることを特徴とする、固型廃棄物を濾過するための濾過システム。
【請求項2】
動作自在にタンクに接続された、第2の回転式フィルタの外側表面から、固型廃棄物を取り除くための手段を、更に備えていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
第2の伸長濾過円筒の内部室と連通する管を、更に備えていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記管に流動可能な状態でに接続される注入手段を、更に備えていることを特徴とする、請求項3に記載の濾過システム。
【請求項5】
固型廃棄物を取り除くための前記手段は、擦過板であることを特徴とする、請求項2に記載の濾過システム。
【請求項6】
固型廃棄物を取り除くための前記手段は、空気ナイフであることを特徴とする、請求項2に記載の濾過システム。
【請求項7】
システムの運転中に、第1のフィルタを逆流により洗浄する逆流洗浄手段を、更に備えていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項8】
システムの運転中に、第2のフィルタを逆流により洗浄する逆流洗浄手段を、更に備えていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項9】
錐状部と第1の伸長濾過円筒とは、動作自在に差込接続に接続されることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項10】
第1のフィルタに動作自在に接続される第1のギアと、第2のフィルタに動作自在に接続される第2のギアとを更に備え、第1のギアと第2のギアとは、共通の駆動手段により駆動されるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項11】
第1のギアと第2のギアとは、異なる速度で駆動されるようになっていることを特徴とする、請求項10に記載の濾過システム。
【請求項12】
第1の回転式フィルタの第1の伸長濾過円筒は、一定の隙間もって巻かれるくさび型形のワイヤにより構成され、もって、所定の寸法の固体の通過を防止しつつ液体を通過させるようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項13】
第1の回転式フィルタの第1の伸長濾過円筒は、くさび型ワイヤにより構成されており、前記ワイヤを、前記ワイヤ間の隙間が長さ方向に所定の様式で変化するように巻くことにより、通過できる固体の寸法を漸次大きくしてあることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項14】
第1の回転式フィルタの錐状部は、その長さ方向に対して一定の高さを有していることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項15】
第1の回転式フィルタの錐状部の高さは、その長さ方向に対して変化することにより、濾過円筒を通過する液体の濾過を最適化していることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項16】
第1の回転式フィルタの錐状部は、その長さ方向に対して一定のピッチを有していることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項17】
第1の回転式フィルタの錐状部のピッチは、その長さ方向に対して変化することにより、濾過円筒を通過する液体の濾過を最適化していることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項18】
錐状部と第1の濾過円筒とは、異なる速度で回転するようになっていることを特徴とする、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項19】
第1の伸長濾過円筒と内部錐状部とを有する第1の回転式フィルタに、固液懸濁液を導入する固液懸濁液導入工程と、
多孔性の外筒に、液体を通過させつつ、錐状部により、固体をフィルタの第2の端部に移動させる固液分離工程と、
第1の端部及び第2の端部を有する第2の伸長濾過円筒と、多孔性の外側面とを備え、その一部がタンク内に配置されている、第2の回転式フィルタの、外側へ、固体を脱落させる固体除外工程と、
第2の回転式フィルタを回転させることにより、固体は、擦過板に移動する一方で、全ての残留流体は、タンクからの流体と共に多孔性の外面を通過し、そこから流体は濾過システムの外へとポンプ輸送される回収工程
とを備えることを特徴とする、固液懸濁液から固体を濾過する方法。
【請求項20】
第2の回転式フィルタは、タンク内の液体の表面から発泡を取り除くことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
第2の回転式フィルタの表面の内側において、流体を、高圧でポンプ輸送し、逆流を生じさせることにより、閉塞を生じさせていた粒子をタンクに戻すことを特徴とする、請求項19に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2007−508142(P2007−508142A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535562(P2006−535562)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033205
【国際公開番号】WO2005/037402
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(506148349)ストーク タウンゼント インコーポレイテッド (11)
【Fターム(参考)】