説明

注油状態検出器

【課題】下タンクへの荷卸の開始、終了を検出することができる注油状態検出器を提供すること。
【解決手段】設置した状態で上方となる位置に流入口27を、また底部に前記流入口27からの流入量よりも少ない流出量で液を排出する流出口28を備え、フロート室25を形成するケース26と、フロート室内に上下動可能に配置されたフロート31と、フロート31の移動に応動するセンサ30とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気放出ガス中に含まれるガス状炭化水素の処理回収装置及び方法に係り、特に、ガソリン給油時に漏れ出すガソリン蒸気を処理するための装置に適した注油状態検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリン等の燃料油は揮発性が高く、給油所に埋設された地下タンクにローりより荷卸しが開始されると、地下タンク上部に滞留するベーパが通気管を介して大気に放出され、資源が無駄となるだけでなく、引火による火災の危険性や、環境汚染を引き起こす恐れがある。
【0003】
そこで本出願人は、特許文献1に記載したようなベーパを液化して再利用するベーパ回収技術を提案した。
しかし、荷卸開始時や終了時に回収装置を起動、停止させるスイッチの操作が必要であったり、また注油ホースから滴垂する可能性のある状態での注油口から注油ホースを取り外す恐れがあるなどの不都合を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2005−170999
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは地下タンクへの荷卸の開始、終了を検出することができる注油状態検出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を達成するために本発明は、設置した状態で上方となる位置に流入口を、また底部に前記流入口からの流入量よりも少ない流出量で液を排出する流出口を備えてフロート室を形成するケースと、前記フロート室内に上下動可能に配置されたフロートと、前記フロートの移動に応動する検出手段とからなる。
【発明の効果】
【0007】
注油ホースによる給油の開始、注油ホースからの滴垂を確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の注油状態検出器が適用される給油所の一例を示すものである。
【図2】注油状態検出ユニットが設けられた給油管を示す図である。
【図3】注油状態検出器を注油管に設けた注油状態検出ユニットの一実施例を示す斜視図である。
【図4】注油状態検出器への液の流入を示す断面図である。
【図5】地下タンクへの給油作業を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は本発明の注油状態検出器が適用される給油所の一例を示すものであって、地下タンク1は、給油管2を介してローリ3による給油が可能で、また上部の空間1aが通気管4により大気に連通している。
通気管4には分岐管4aを介して回収ライン5が接続されており、これにはストレーナ6、コンプレッサ7、電磁弁8、凝縮機9が接続され、凝縮機9の液排出口9aには回収ガソリン戻しライン10が接続され、戻し弁11を介して給油管2に連通されている。
【0010】
凝縮機9の気排出口9bには高濃度化装置12が接続し、その凝縮成分排出口12aは電磁弁8の上流側に接続され、また空気排出口12bは空気放出ライン13により通気管4の分岐管4aよりも下流側の分岐管4bに連通されている。なお、図中符号14は、通気管4の分岐管4cとローリ3とを接続するリターンホースを、また矢印→は流体の流れを示す。
【0011】
給油管2は、図2に示すように注油口20とタンクに連通する本管である注油配管21との間に中継管22を配置して構成され、この中継管22に注油状態検出器23が取り付けられている。注油状態検出器23を備えた中継管22は注油状態検出ユニット24としても取り扱うことが可能である。
【0012】
図3、及び図4はそれぞれ注油状態検出器の一実施例を注油状態検出ユニットの形態で示すもので、注油状態検出ユニット24を構成する中継管22には、注油状態検出器23
のフロート室25を構成するケース26に対向する位置に上下関係となるように流入口27とこれよりも小径の流出口28とが設けられている。
【0013】
流入口27には注油口20から流れ込んだ液を上部から受けてフロート室25に導く液受け29が設けられ、またフロート室25には液位に応動してスイッチからなるを作動させるフロート31が収容されている。
【0014】
このように構成された装置の動作を図5のフローチャトに基づいて説明する。
この実施例において、ローリ3と地下タンク1の給油口2とをホース15で接続して荷卸を開始すると、給油口2の下部に配置された注油状態検出器23に燃料油が流れ込む。もとより流出口28からの流出量よりも流れ込量が多いからフロート室25のフロート31が上昇してフロートセンサ30がオンとなり(ステップ イ)信号が制御手段17に出力する。
【0015】
制御手段17は、コンプレッサを作動させるとともに電磁弁7を開として通気管の蒸気を凝縮装置9に圧送する(ステップ ロ)。これにより、操作員に特別な作業を必要とすることなく、荷卸時の蒸気を凝縮装置9に確実に送気してベーパを回収することができる。
【0016】
このようにして地下タンク1への注油が継続している状態では注油状態検出器23の流出口28からの流出量よりも大量の液が流入するから、注油状態検出器23は信号を継続して出力しベーパを凝縮装置9で確実に回収する。
【0017】
地下タンク1への注油が終了すると、注油状態検出器23への液の流れ込みは停止するが、注油状態検出器23のフロート室25には液が残留していてかつ流出口28からは徐々に排出されるから所定時間が経過した段階、つまり給油ホースの液垂れが終了した時点でフロート31が所定位置まで降下してフロートセンサ30がオフとなり(ステップ ハ)信号が停止する。
【0018】
制御手段17は、コンプレッサを停止させるとともに電磁弁7を閉とし、さらに報知器を18作動させて注油が完了したことを操作員に知らせる(ステップ ニ)。
【0019】
このようにローリからの注油が完了してさらに所定時間が経過した時点で給油の完了を報知するため、ホースから滴垂する可能性のある状態での給油口2からの取り外しを防止でき、また凝縮装置の無用な運転を防止できる。
【0020】
なお、上述の実施例においては、注油状態検出器23を中継管を介して給油管に配置しているが、給油管に直接取り付けても同様の作用効果を奏する。
【符号の説明】
【0021】
2 給油管
20 注油口
21 注油配管
22 中継管
23 注油状態検出器
24 注油状態検出ユニット
25 フロート室
26 ケース
27 流入口
28 流出口
29 液受け
30 フロートセンサ
31 フロート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置した状態で上方となる位置に流入口を、また底部に前記流入口からの流入量よりも少ない流出量で液を排出する流出口を備えてフロート室を形成するケースと、前記フロート室内に上下動可能に配置されたフロートと、前記フロートの移動に応動する検出手段とからなる注油状態検出器。
【請求項2】
前記流入口の流入側に上部からの液を受ける液受け部材が設けられている請求項1に記載の注油状態検出器。
【請求項3】
注油口とタンクに連通する本管との間に接続可能な中継管に配置されている請求項1に記載の注油状態検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−150021(P2012−150021A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9356(P2011−9356)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ (167)
【Fターム(参考)】