説明

洗剤、漂白剤、ならびに食器洗い機および食器手洗い用洗剤のための水沈殿軟化系

本発明は、分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤から構成される水軟化系に関する。また、本発明は、水の軟化方法、水軟化剤および該剤の使用ならびに該剤を含有する洗剤および洗浄剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤を併用することによる、水の軟化方法、ならびに対応する水軟化剤およびその使用、ならびにこのような水軟化剤を含有する洗剤および洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
洗剤および食器用洗剤が問題なく機能するために予め必要なことの一つは、軟水の存在である。厄介な水の硬度を排除するため種々の可能性が存在する。最も古い方法は、例えば、ソーダまたはソーダ/水ガラス混合物を使用する沈殿軟化である。この方法の欠点は、その多段階の原理的要求、すなわち、硬水は、まず、沈殿軟化剤によって除去される硬度を有する必要があり、および、この沈殿方法の間に洗濯物を加えてはならない(そうしなければ厄介な炭酸カルシウム堆積物が洗濯物に生じる)ことである。適切な水軟化の後にのみ、実際の洗剤を使用することができる。
【0003】
この問題のため、高ソーダ含量を有する洗剤は、軟水の地域でのみ、または軟化水を用いて操業する洗濯業者においてのみ、使用することができた。
【0004】
以下に記載する新規水軟化方法は、厄介な炭酸カルシウム堆積物を洗濯物上および洗濯装置上に生じさせることなく、高レベルのソーダを含有する処方物を用いて作業することを可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の基本的な考え方は、厄介な沈殿生成物の同時分散を伴う水の段階的な軟化である。この目的のため、沈殿軟化剤(例えば、ソーダ、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、または水溶性シリケートなど)に加えて、水硬度と非常に迅速に反応する石鹸を使用する。この場合、石鹸の効果は、不溶性カルシウム石鹸が最初の反応において迅速に形成されるので、より遅く反応するソーダ(または重炭酸ナトリウムなど)は、水中でさらなるカルシウムを見付けられず、さらなる沈殿反応は起こらない、ということである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
カルシウム石鹸の沈殿の厄介なフレークが存在しないことを確実にするため、石鹸は、迅速に分散されなければならない。これは、有利には、分散剤、特にポリアスパラギン酸のナトリウム塩を用いることによって達成される。例えば、ポリアスパルタートは、カルシウム石鹸を非常に微粉化された様式で分散させ、懸濁を維持するので、その結果、乳白溶液が生じ、既知のフレーク様のカルシウム石鹸の沈殿は発生しない。
【0007】
したがって、本発明の主題は、分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤、有利には炭酸アルカリおよび/または重炭酸アルカリおよび/または水溶性シリケートの併用による、水の軟化方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
好適な本発明の実施態様によれば、分散剤は、ポリアスパラギン酸、水溶性ポリアスパラギン酸塩、ポリアクリル酸、水溶性ポリアクリル酸塩、スルホン化または硫酸化油(例えば、トルコ赤油)、PEP-PEO型ブロックコポリマー(ポリエチレンプロピレンとポリエチレンオキシドとのコポリマー)、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリカルボン酸ポリマー、リン酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される。
【0009】
ポリカルボキシレートポリマーは、好適には、アクリル酸および/またはマレイン酸単位を含有するホモポリマーまたはコポリマーである。本発明においては、ホモポリマーが特に好適に使用され、必要に応じてコポリマーと組み合わせて使用される。また、ポリアクリレートが好適である。通常、ポリアクリレートは、ナトリウム塩の形態で使用される。特に、3000〜8000g/モル、特に好適には4000〜5000g/モルの分子量を有するポリアクリレートが、本発明に特によく適していることが分かった。ポリカルボキシレートポリマーについて本明細書に記載した分子量は、原則として、UV検出器を使用したゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって決定された重量平均分子量Mwである。測定は、調査したポリマーに構造が類似するために現実的な分子量の値を与える外部ポリアクリル酸標準に対して行った。これらの値は、ポリスチレンスルホン酸を標準として使用した分子量の値とかなり離れる。ポリスチレンスルホン酸に対して測定した分子量は、通常、本明細書に記載した分子量よりも高い。
【0010】
ポリカルボキシレートコポリマーは、特に、20,000g/モルと70,000g/モルとの間の分子量を有する、アクリル酸とメタクリル酸とのコポリマー、およびアクリル酸またはメタクリル酸とマレイン酸とのコポリマーである。50〜90重量%のアクリル酸と50〜10重量%のマレイン酸とを含有するアクリル酸とマレイン酸とのコポリマーが、特に適当であることが分かった。また、水溶性を改善するため、ポリマーは、モノマーとして、アリルスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸およびメタリルスルホン酸も含有することができる。特に好適なものは、2より多くの異なるモノマー単位から構成される生分解性ポリマーであり、このポリマーは、モノマーとして、アクリル酸塩およびマレイン酸塩ならびにビニルアルコールまたはビニルアルコール誘導体、または、モノマーとして、アクリル酸塩および2-アルキルアリルスルホン酸塩ならびに糖誘導体を含有する。さらなる好適なコポリマーは、モノマーとして、好適には、アクロレインおよびアクリル酸/アクリル酸塩、またはアクロレインおよび酢酸ビニルを含む。好適な変形において、これらのコポリマーおよびポリアクリレートの両方が本方法に使用され、ポリアクリレートとアクリル酸-マレイン酸-コポリマーとの比は、有利には、2:1〜1:20、好適には1:1〜1:15の範囲である。
【0011】
さらなる好適な実施態様によれば、脂肪酸は、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノレイン酸、リノレン酸、ベヘン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、および(好適にはC20〜C22の)他の不飽和脂肪酸、ならびにそれらの混合物、およびそれらのアルカリ塩から選択される。
【0012】
洗濯試験において、例えば、ソーダ/石鹸混合物、および、分散剤として、例えば、ナトリウム塩の形態のマレイン酸-アクリル酸コポリマーを含有する処方物は、炭酸カルシウムの形態のさらなる灰分堆積物をほとんど生成しなかった。分散したCa石鹸は、有利には、わずかに隆起した許容可能な堆積物を生じさせる。有利には、これらの堆積物は、実際、それらが洗濯物を輝かせ、それに柔らかな手触りを与え、その結果、特に、さらなるコンディショナーを省くことができるので、正の効果を有する。
【0013】
好適な本発明の実施態様によれば、脂肪酸および/またはそのアルカリ塩と分散剤との重量比は、20:1〜1:3、好適には10:1〜2:1である。
【0014】
さらなる好適な実施態様によれば、沈殿軟化剤(好適には炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、水溶性シリケート、およびそれらの混合物)と分散剤との重量比は、20:1〜2:1、好適には10:1〜2:1である。
【0015】
分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤の組合せを、剤(特に洗剤)全体に基づいて、10〜60重量%、特に16〜50重量%の範囲の濃度で使用する場合、さらなる好適な本発明の実施態様となる。
【0016】
強錯化作用を有する化合物、例えば、イミドコハク酸、ニトリロ三酢酸、クエン酸、カルボキシメチル-タルトロン酸または-リンゴ酸および/またはそれらのアルカリ塩、リン酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラアセテート、ホスホネート(例えば、アミノトリスメチレンホスホン酸(ATMP))などをさらに使用することによって、さらに、所望のようにカルシウム石鹸の量を制御することができ、および洗濯石鹸の中にCa石鹸を再活性化させることができる。したがって、Ca石鹸の増白特性の強さも調整することができる。
【0017】
同様に、好適な実施態様によれば、強錯化化合物、例えば、特に、上記に挙げたものまたはCaを錯化する同等に作用するものがさらに使用される。
【0018】
分散剤と強錯化化合物との重量比は、さらなる好適な実施態様によれば、5:1〜1:5、好適には1:1〜3:1である。
【0019】
ホスホネートは、特に、ヒドロキシアルカン-またはアミノアルカンホスホネートである。ヒドロキシアルカンホスホネートのなかでも、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホネート(HEDP)が特に重要である。それは好適にはナトリウム塩として使用される;二ナトリウム塩は中性的に反応し、四ナトリウム塩はアルカリpH(9)にて反応する。適当なアミノアルカンホスホネートは、好適にはエチレンジアミンテトラメチレンホスホネート(EDTMP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホネート(DTPMP)、およびそれらのより高級な同族体である。それらは、好適には、中性的に反応するナトリウム塩の形態で、例えば、EDTMPの六ナトリウム塩として、またはDTPMPの七および八ナトリウム塩として使用される。また、HEDP(1-(ヒドロキシエチリデン)ビホスホネート)も使用に好適である。さらに、アミノアルカンホスホネートは、重金属に結合する顕著な能力を有する。したがって、特に漂白剤を含有する場合、アミノアルカンホスホネート(特にDTPMP)を使用すること、または上記ホスホネートの混合物を使用することが好適であり得る。このようなホスホネートは、剤中に、有利には0.05〜2.0重量%の量で、好適には0.1〜1重量%の量で含有される。
【0020】
適当な錯化剤は、例えば、INCIにしたがって設計された、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook中に詳細が記載されている以下の錯化剤である:アミノトリメチレンホスホン酸、β-アラニン二酢酸、カルシウム二ナトリウムEDTA、シクロデキストリン、シクロヘキサンジアミン四酢酸、二アンモニウムEDTA、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、二カリウムEDTA、二ナトリウムアザシクロヘプタンジスホスホネート、二ナトリウムEDTA、ピロリン酸二ナトリウム、EDTA、エチドロン酸、ガラクタル酸、グルコン酸、グルクロン酸、HEDTA、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、メチルシクロデキストリン、三リン酸五カリウム、ペンテト酸五ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、ペンテト酸、フィチン酸、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、ポリリン酸カリウム、リボン酸、ジヒドロキシエチルグリシン酸ナトリウム、ナトリウムグルセプテート、グルコン酸ナトリウム、Glycereth-1ポリリン酸ナトリウム、六メタリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、フィチン酸ナトリウム、ポリジメチルグリシノフェノールスルホン酸ナトリウム、トリメタリン酸ナトリウム、TEA-EDTA、TEA-ポリホスフェイト、テトラヒドロキシエチルエチレンジアミン、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、エチドロン酸四カリウム、ピロリン酸四カリウム、四ナトリウムEDTA、エチドロン酸四ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、三カリウムEDTA、ジカルボキシメチルアラニン酸三ナトリウム、三ナトリウムEDTA、三ナトリウムHEDTA、三ナトリウムNTA、およびリン酸三ナトリウム。
【0021】
また、錯化剤として使用可能なものは、第三級アミン、特に第三級アルカノールアミン(アミノアルコール)である。該アルカノールアミンは、官能基として、アミノ基と、ヒドロキシ基および/またはエーテル基の両方を有する。特に好適な第三級アルカノールアミンは、トリエタノールアミンおよびテトラ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン(N,N,N',N'-テトラキス-(2-ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン)である。
【0022】
さらなる本発明の主題は、分散剤、脂肪酸および/またはそのアルカリ塩、および、好適には炭酸アルカリおよび/または重炭酸アルカリおよび/または水溶性シリケートから選択される、沈殿軟化剤を含有する水軟化剤である。また、上記の言及は、好適には水軟化剤にも適用される。
【0023】
好適な実施態様によれば、それは、10〜70重量%の沈殿軟化剤、好適には炭酸アルカリおよび/または重炭酸アルカリ、5〜20重量%の脂肪酸および/またはそのアルカリ塩、0〜25重量%(好適には8〜20重量%)のペルオキシジェン化合物、0〜10重量%(好適には2〜8重量%)の非イオン性界面活性剤、0〜15重量%(好適には3〜10重量%)の陰イオン性界面活性剤、および分散剤(好適には4〜25重量%、有利には5〜25重量%、より有利には6〜20重量%、さらにより有利には7〜16重量%、特に8〜12重量%の量)を含有する。
また、さらなる錯化剤も、好適には上記のように含有され得る。
【0024】
水軟化剤は、通常の洗剤処方物またはそれに一体化されたものに対して、例えば、シート状シリケート(例えば、SKS-6)またはゼオライトに基づいて構成されたものに対して付与することができる。
【0025】
当該処方物は、好適には水溶性ビルダー含有し、これは好適な実施態様に該当する。この場合、水不溶性ビルダーの割合は、処方物全体に基づいて3重量%未満である場合が好適である。
【0026】
一方、内容物が主にゼオライト含有またはシート状シリケート含有処方物またはそれらの混合物である場合、本明細書に記載の軟化系によって、軟化の促進が達成され得る。
【0027】
好適な実施態様によれば、このような場合のビルダー系は、水不溶性イオン交換体、例えば、好適には、シート状シリケート(例えば、SKS-6)またはゼオライト(例えば、A、X、Y、またはP型ゼオライト)から構成される。
【0028】
イオン交換体量は、好適には、8重量%と70重量%の間(好適には25重量%と50重量%の間)である。
【0029】
さらなる好適な実施態様によれば、本発明の剤は、抑泡剤、好適にはシリコーン油またはパラフィン油に基づくものをさらに含有する。
【0030】
したがって、有利には、沈殿軟化作用を有する経済的な水溶性物質(例えば、ソーダ、ビカーボネート、およびシリケートなど)を使用して、優れた二次的洗濯特性を与える生成物を処方することができる。ソーダとビカーボネートの混合物の場合、例えば、pHは、繊細な布地用洗剤に必要とされる方法で設定することができる。非常にひどく汚れた洗濯物(例えば、作業着)用洗剤の場合、強力な洗濯効果のために、例えば、水溶性シリケートおよびソーダを用いて、高いpH値を有する混合物を製造することができる。
【0031】
漂白剤として、例えば、意図された付与および付与温度に応じて、過炭酸ナトリウムおよび/または過ホウ酸ナトリウムを、単独でまたは混合して、有利には漂白活性剤、例えば、TAED(N,N,N',N'-テトラアセチルエチレンジアミン)またはナトリウム-p-ノナノイルオキシベンゼンスルホネートと組み合わせて使用することができる。30℃付近の洗濯温度のため、漂白剤フタルイミドペルオキソヘキサン酸(PAP)を、さらにまたは単独で使用することができる。例えば、PAPとペルカーボネートおよびTADの混合物は、20〜60℃の範囲で使用するための漂白剤を与え、PAPの抗菌特性は、その使用を通じてさらに引き出される。
【0032】
好適な実施態様によれば、本発明の水軟化剤は、ペルオキシジェン化合物として、過炭酸アルカリ、過ホウ酸アルカリ、アルカリ過酢酸(TAED)、またはフタルイミドペルオキソヘキサン酸、および/またはそれらの混合物を含有する。
【0033】
さらなる本発明の主題は、上記のように、洗剤、洗濯補助剤、漂白剤、洗浄剤、食器洗いおよび自動食器洗い用洗剤としての、またはこのような剤の構成成分としての、水軟化剤の使用にある。
【0034】
さらなる本発明の主題は、上記のような水軟化剤を含有する洗剤および洗浄剤によって表される。
【0035】
この種類の洗剤および洗浄剤は、そこに含有された水軟化剤に加えて、先行技術から推断される、洗剤および洗浄剤を特徴付ける全ての通常の特徴および成分を含むことができる。
【0036】
本発明の洗剤および/または洗浄剤の重要な成分は、陰イオン性、双性イオン性、両性、および/または非イオン性界面活性剤、特に陰イオン性界面活性剤である。これらは、特に、スルホネートおよびスルフェートを含む。
【0037】
同様に、陽イオン性界面活性剤は、洗剤および洗浄剤中に含有され得る。さらなる好適な本発明の実施態様において、陽イオン性界面活性剤は、洗剤および洗浄剤の全体に基づいて、5重量%までの量、好適には4重量%までの量、特に1〜3重量%の量で洗剤および洗浄剤に含まれる。柔らかさの局面に加えて、グレーイングおよび二次的洗濯効果の改善もこれにより達成される。
【0038】
好適な本発明の実施態様において、当該洗剤および洗浄剤中に含有される陽イオン性界面活性剤は、第四級アンモニウム化合物、好適にはアルキル化第四級アンモニウム化合物である。
好適な実施態様によれば、これは、式(I):
(I) R(R)(R)(R)N
〔式中、R、RおよびRは、互いに独立して、C〜Cアルキル、C〜Cヒドロキシアルキル、ベンジルおよび-(CO)H(ここでxは2〜5である)から選択され、およびRは、C〜C22アルキルであり、およびXは、陰イオン、好適にはハロゲン化物イオン、メト硫酸イオン、メトリン酸イオンまたはリン酸イオンである〕
で示される第四級アンモニウム化合物、ならびにそれらの混合物である。
【0039】
さらなる好適な本発明の実施態様によれば、第四級アンモニウム化合物は、式(II):
(II) R3−n
〔式中、Rは、C〜C24アルキルまたはアルケニルであり、各Rは、互いに独立して-(C2nO)基(ここでnは1〜4であり、xは1〜14であり、およびRは、メチル、エチル、または好適には水素である)であり、および各Rは、互いに独立して、C〜C12アルキルまたはアルケニル基であり、mは、1〜3であり、およびXは、陰イオン、好適にはハロゲン化物イオン、メト硫酸イオン、メトリン酸イオンまたはリン酸イオンである〕
で示されるもの、ならびにそれらの混合物である。Rは、特に-CHCHOH基であり、各Rは、特にいずれの場合も互いに独立してC〜Cアルキルであり、mは、1または2であり、およびRは、特に直鎖状C〜C14アルキル基である。
【0040】
式(I)および/または(II)で示される第四級アンモニウム化合物を含有する本発明の洗剤および洗浄剤は有利である。なぜなら、適当に適用された場合、それらは、繊維製品が非常に柔らかく、柔軟になり、乾燥時間が低減し、アイロンがけが容易になり、および妥当な場合、帯電防止性にさえなるばかりでなく、幾つかの場合、堆積感受性、白色度、グレーイングおよび二次的洗濯効果に関して顕著な改善も達成されるという結果を生じるからである。利点は、基材表面への堆積物の形成に関して得られる。
【0041】
好適な実施態様において、陽イオン性界面活性剤は、C〜C16アルキルジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム化合物、好適にはC12〜C14アルキルジ(ヒドロキシエチル)メチルアンモニウム化合物、および/またはC〜C16アルキル(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム化合物、好適にはC12〜C14アルキル(ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウム化合物であり、特には、各々のハロゲン化物、メト硫酸塩、メトリン酸塩またはリン酸塩、またはそれらの混合物である。
【0042】
上記陽イオン性化合物は、本発明において望ましいが、それにもかかわらず、他の陽イオン性界面活性剤、例えば、アルキル化第四級アンモニウム化合物、好適には、特に、第四級化ジまたはトリエタノールアミンまたは類似化合物と、エステル結合またはアミド結合を通じて結合した、2つの疎水性基を有するものも、有利に使用することができる。
【0043】
このような化合物は、有利には、以下の式(III):
【0044】
【化1】

【0045】
〔式中、Rは、0、1、2または3つの二重結合を有する12〜22個の炭素原子を有する脂肪族アルキル基を示し、
10は、H、OHまたは特にO(CO)R12を示し、
11は、R10と独立して、H、OHまたはO(CO)R13を示し、
ここでR12およびR13は、互い独立して、それぞれ0、1、2または3つの二重結合を有する12〜22個の炭素原子を有する脂肪族アルキル基を示し、
a、bおよびcは、いずれの場合も互い独立して、1、2または3の数値であり得、
は、適当な陰イオン、好適にはハロゲン化物イオン、メト硫酸イオン、メトリン酸イオンまたはリン酸イオンである〕
で示されるもの、ならびにそれらの混合物から選択され、および/または、式(IV):
【0046】
【化2】

【0047】
〔式中、R14、R15およびR16は、互いに独立して、C1〜4アルキル、アルケニルまたはヒドロキシアルキル基を示し、
17およびR18は、互い独立して選択され、0、1、2または3つの二重結合を有するC8〜28アルキル基を示し、
uは、0と5の間の数値であり、
は、適当な陰イオン、好適にはハロゲン化物イオン、メト硫酸イオン、メトリン酸イオンまたはリン酸イオンである〕
で示されるもの、ならびにそれらの混合物から選択され得る。
【0048】
この種類の好適な代表例は、N-メチル-N(2-ヒドロキシエチル)-N,N-(ジタローアシルオキシエチル)アンモニウムメトスルフェートまたはN-メチル-N(2-ヒドロキシエチル)-N,N-(ジパルミトイルエチル)アンモニウムメトスルフェートである。
【0049】
ここで、可能性のある陰イオン性界面活性剤を詳細に記載する。スルホネートタイプの界面活性剤として適当なものは、好適には、C9〜13アルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、すなわち、例えば、末端または内部二重結合を有するC12〜C18モノオレフィンから、三酸化硫黄ガスを用いるスルホン化およびその後の該スルホン化生成物のアルカリまたは酸加水分解によって得られるような、アルケン-およびヒドロキシアルカンスルホネートならびにジスルホネートの混合物である。
【0050】
また、適当なものは、C12〜C18アルカンから、例えば、スルホクロロ化またはスルホキシド化およびその後の加水分解または中和により得られる、それらのアルカンスルホネートである。
【0051】
また、適当なものは、α-スルホ脂肪酸のエステル(エステルスルホネート)、例えば、脂肪酸分子中に8〜20個の炭素原子を有する植物および/または動物起源の脂肪酸のメチルエステルのα-スルホン化およびその後の水溶性モノ塩への中和によって得られる、水素化ココナッツ脂肪酸、パーム核脂肪酸または獣脂脂肪酸のα-スルホン化メチルエステルである。これらは、好適には水素化ココナッツ脂肪酸、パーム脂肪酸、パーム核脂肪酸または獣脂脂肪酸のα-スルホン化エステルである。ここで不飽和脂肪酸(例えばオレイン酸)のスルホン化生成物も、少量(好適には約2〜3重量%以下の量)で存在し得る。特に好適なものは、エステル基中に4個以下の炭素原子を有するアルキル鎖を含むα-スルホ脂肪酸アルキルエステル、例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルである。α-スルホ脂肪酸のメチルエステル(MES)ならびにそれらの鹸化二塩を使用することは、特に有利である。
【0052】
さらに適当な陰イオン性界面活性剤は、モノ、ジ-およびトリエステルならびにそれらの混合物によって代表される硫酸化脂肪酸グリセリンエステル、例えば、1〜3モルの脂肪酸によるモノグリセリンのエステル化による、またはトリグリセリドと0.3〜2モルのグリセリンとのエステル交換による製造の間に得られるものである。
【0053】
好適な硫酸アルキル(アルケニル)は、C12〜C18脂肪アルコール(例えば、ココナッツ脂肪アルコール、獣脂脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコールまたはステアリルアルコール)またはC10〜C20オキソアルコールからの硫酸半エステルおよびこれらの鎖長を有する第二級アルコールの硫酸半エステルのアルカリ塩(特にはナトリウム塩)である。また、好適なものは、石油化学に基づいて製造される合成直鎖アルキル基を含有し、脂肪化学原材料に基づく適切な化合物の分解挙動と類似した分解挙動を有する、上記鎖長を有する硫酸アルキル(アルケニル)である。洗濯テクノロジーの観点から、硫酸C12〜C16アルキルおよび硫酸C12〜C15アルキル、および硫酸C14〜C15アルキルが特に好適である。
【0054】
また、適当なものは、1〜6モルのエチレンオキシドを用いてエトキシル化された直鎖状または分枝状C7〜21アルコール(例えば、平均3.5モルのエチレンオキシド(EO)を有する2-メチル-分枝状C9〜11アルコール、または1〜4のEOを有するC12〜18脂肪アルコール)の硫酸モノエステルである。それらの激しい発泡挙動のために、それらは、洗剤中に比較的少量(例えば、1〜5重量%の量)でのみ使用される。
【0055】
また、さらなる適当な陰イオン性界面活性剤は、アルキルスルホコハク酸の塩である。これは、スルホスクシナートまたはスルホコハク酸エステルとも称され、および、スルホコハク酸とアルコール(好適には、脂肪アルコールおよび特にはエトキシル化脂肪アルコール)のモノエステルおよび/またはジエステルである。好適なスルホスクシナートは、C8〜18脂肪アルコール基またはそれらの混合物を含有する。特に好適なスルホスクシナートは、それ自身非イオン性界面活性剤(以下の説明を参照のこと)に相当すると考えられるエトキシル化脂肪アルコール由来の脂肪アルコール残基を含有する。また、その脂肪アルコール残基が狭範囲の分布を有するエトキシル化脂肪アルコールに由来するスルホスクシナートが特に好適である。同様に、アルキル(アルケニル)鎖中に好適には8〜18個の炭素原子を有するアルキル(アルケニル)コハク酸またはその塩を使用することもできる。
【0056】
さらなる可能性のある陰イオン性界面活性剤は、アミノ酸の脂肪酸誘導体、例えば、N-メチルタウリン(タウリド)および/またはN-メチルグリシン(サルコシド)である。これに関して特に好適なものは、サルコシドまたはサルコシネート、とりわけ、高級および妥当な場合モノまたはポリ不飽和脂肪酸のサルコシネート(例えばオレイルサルコシネート)である。
【0057】
陰イオン性界面活性剤は、それらのナトリウム塩、カリウム塩またはアンモニウム塩の形態で、および、有機塩基(例えば、モノ、ジまたはトリエタノールアミン)の可溶性塩として存在し得る。陰イオン性界面活性剤は、好適には、それらのナトリウム塩またはカリウム塩の形態、特にはナトリウム塩の形態で存在する。
【0058】
陰イオン性界面活性剤および双性イオン性および両性界面活性剤に加えて、非イオン性界面活性剤は、特に好適である。
【0059】
使用される非イオン性界面活性剤は、好適には、アルコキシル化された(有利にはエトキシル化された)、特には、好適には8〜18個の炭素原子とアルコール1モル当たり平均して1〜12モルのエチレンオキシド(EO)を有する第一級アルコールである。ここで、アルコール基は、直鎖状、または好適には2位でメチル分岐されたものでよく、あるいは、オキソアルコール基において通常存在するような、直鎖状基とメチル分枝状基の混合物を含有してもよい。
【0060】
しかしながら、特に好適なものは、12〜18個の炭素原子を有する天然起源のアルコール(例えば、ココナッツアルコール、パームアルコール、獣脂脂肪アルコールまたはオレイルアルコール)から構成される直鎖状基と、アルコール1モル当たり平均して2〜8のEOを有するアルコールエトキシレートである。好適なエトキシル化アルコールとしては、例えば、3のEOまたは4のEOを有するC12〜14アルコール、7のEOを有するC9〜11アルコール、3のEO、5のEO、7のEOまたは8のEOを有するC13〜15アルコール、3のEO、5のEOまたは7のEOを有するC12〜18アルコールおよびこれらの混合物(例えば、3のEOを有するC12〜14アルコールと7のEOを有するC12〜18アルコールの混合物)が挙げられる。示したエトキシル化度は、統計的平均値を表し、これは、特定の生成物について、自然数または分数であり得る。好適なアルコールエトキシレートは、限定された同族体分布を有する(狭範囲エトキシレート、NRE)。これらの非イオン性界面活性剤に加えて、12より多いEOを有する脂肪アルコールも上記のように使用することができる。これらの例は、14のEO、16のEO、20のEO、25のEO、30のEOまたは40のEOを有する(獣脂)脂肪アルコールである。
【0061】
また、非イオン性界面活性剤に含まれるものは、一般式:
RO(G)
〔式中、Rは、主として直鎖状の、またはメチル分岐した、特には2位でメチル分岐した、8〜22個、好適には12〜18個の炭素原子を有する脂肪族基であり、およびGは、5個または6個の炭素原子を有するグリコース単位(好適にはグルコース)を示す。モノグリコシドおよびオリゴグリコシドの分布を示すオリゴマー化度xは、1と10の間の任意の数(これは、分析的に決定されるべき大きさとして、少数値と想定することもできる)、好適には1.2と1.4の間の数である〕
を有するアルキルグリコシドである。
【0062】
同様に、適当なものは、式(V)
【0063】
【化3】

【0064】
〔式中、R19COは、6〜22個の炭素原子を有する脂肪族アシル基、R20は、水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはヒドロキシアルキル基、およびZは、3〜10個の炭素原子および3〜10個のヒドロキシル基を有する直鎖状または分枝状ポリヒドロキシアルキル基を示す〕
で示されるポリヒドロキシ脂肪酸アミドである。
【0065】
ポリヒドロキシ脂肪酸アミドは、好適には、5個または6個の炭素原子を有する還元糖、特にグルコースから誘導される。また、ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの群に属するものは、式(VI):
【0066】
【化4】

【0067】
〔式中、R21は、7〜12個の炭素原子を有する直鎖状または分枝状アルキル基またはアルケニル基を示し;R22は、2〜8個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキレン基またはアリーレン基を示し;およびR23は、1〜8個の炭素原子を有する直鎖状、分枝状または環状アルキル基またはアリール基またはオキシアルキル基を示し、C1〜4アルキル基またはフェニル基が好適であり;およびZは、そのアルキル鎖が少なくとも2個のヒドロキシル基で置換された直鎖状ポリヒドロキシアルキル基、または、アルコキシル化された(好適にはエトキシル化またはプロポキシル化された)その基の誘導体である〕
で示される化合物である。ここでZは、好適には、糖(例えば、グルコース、フルクトース、マルトース、ラクトース、ガラクトース、マンノースまたはキシロース)の還元アミノ化によって得られる。次いで、N-アルコキシ-またはN-アリールオキシ-置換化合物は、例えば、触媒としてのアルコキシドの存在下、脂肪酸メチルエステルと反応させることによって、所望のポリヒドロキシ脂肪酸アミドに変換することができる。
【0068】
単独の非イオン性界面活性剤として、または、他の非イオン性界面活性剤と組み合わせて、特にアルコキシル化脂肪アルコールおよび/またはアルキルグリコシドと一緒に組み合わせて、のいずれかで使用され得る、使用に好適な非イオン性界面活性剤のさらなるクラスは、アルコキシル化、好適にはエトキシル化、またはエトキシル化およびプロポキシル化された、好適にはアルキル鎖中に1〜4個の炭素原子を含有する、脂肪酸アルキルエステル、特に、例えば、日本特許出願JP 58/217598中に記載されるもののような、脂肪酸メチルエステルである。非イオン性界面活性剤として好適なものは、平均3〜15のEO、特に平均5〜12のEOを有するC12〜C18脂肪酸メチルエステルであり、一方、高度エトキシル化脂肪酸メチルエステルは、上記のように、結合剤として特に有利である。特に、10〜12のEOを有するC12〜C18脂肪酸メチルエステルは、界面活性剤および結合剤の両方として使用することができる。
【0069】
アミンオキシドタイプの非イオン性界面活性剤、例えば、N-ココアルキル-N,N-ジメチルアミンオキシドおよびN-タローアルキル-N,N-ジヒドロキシエチルアミンオキシド、および脂肪酸アルカノールアミドタイプの非イオン性界面活性剤も適当であり得る。これらの非イオン性界面活性剤の量は、好適にはエトキシル化脂肪アルコールの量以下、特にはその半分の量以下である。
【0070】
可能性のあるさらなる界面活性剤は、いわゆるゲミニ界面活性剤である。一般的には、これらは、1分子当たり2つの親水性基および2つの疎水性基を有する化合物であると理解される。これらの基は、通常、いわゆる「スペーサー」によって互いに分離されている。このスペーサーは、通常、炭化水素鎖であり、これは、親水性基が互いに独立して作用できるように十分な距離離れるように、十分に長くあるべきである。
【0071】
このタイプの界面活性剤は、通常、非常に低い臨界ミセル濃度および水の表面張力を強く低減する能力により特徴付けられる。しかしながら、例外的なケースとして、用語「ゲミニ界面活性剤」は、二量体界面活性剤ばかりでなく、三量体界面活性剤も意味すると理解される。適当なゲミニ界面活性剤は、例えば、硫酸化ヒドロキシ混合エーテルまたは二量体アルコール-ビス-および三量体アルコール-トリス-スルフェートおよびエーテルスルフェートである。末端キャップド二量体および三量体混合エーテルは、特にそれらの二官能性および多官能性を特徴とする。例えば、上記末端キャップド界面活性剤は、良好な湿潤特性を有し、低発泡性であり、その結果、それらは、自動洗いまたは洗浄方法における使用に特に適している。しかしながら、ゲミニポリヒドロキシ脂肪酸アミドまたはポリポリヒドロキシ脂肪酸アミドも使用することができる。
【0072】
漂白剤は、上記に挙げられている。水中にHを生じさせる漂白剤として役立つ化合物の中でも、過ホウ酸ナトリウム四水和物、過ホウ酸ナトリウム一水和物および過炭酸ナトリウムが特に重要である。使用され得る他の漂白剤は、例えば、ペルオキシピロホスフェート、シトレートペルハイドレート、およびHを生じさせる過酸塩または過酸、例えば、過安息香酸塩、ペルオキシフタル酸塩、ジペルアゼライン酸、フタロイミノ過酸またはジペルドデカン二酸である。上記で議論したように、好適な実施態様において、過炭酸ナトリウムは、漂白剤として使用される。
【0073】
他の洗剤成分としては、グレーイング抑制剤(汚れ担体)、抑泡剤、漂白活性剤、蛍光増白剤、酵素、繊維製品柔軟物質、染料、および芳香剤、ならびに、それらのナトリウム塩またはカリウム塩の形態のスルフェートおよびクロリドが挙げられる。
【0074】
漂白活性剤は、上記に挙げられている。過加水分解条件下、好適には1〜10個の炭素原子(特には2〜4個の炭素原子)を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸および/または(置換されていてもよい)過安息香酸を産出する化合物は、漂白活性剤として使用することができる。上記炭素原子数のO-アシル基および/またはN-アシル基および/または置換されていてもよいベンゾイル基を有する物質が適当である。
【0075】
多アシル化アルキレンジアミン(特には、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED))、アシル化トリアジン誘導体(特には、1,5-ジアセチル-2,4-ジオキソヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン(DADHT))、アシル化グリコールウリル(特には、テトラアセチルグリコールウリル(TAGU))、N-アシルイミド(特には、N-ノナノイルスクシンイミド(NOSI))、アシル化フェノールスルホネート(特には、n-ノナノイル-またはイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n-またはイソ-NOBS))、カルボン酸無水物(特には、フタル酸無水物)、アシル化多価アルコール(特には、トリアセチン、エチレングリコールジアセテートおよび2,5-ジアセトキシ-2,5-ジヒドロフラン)および独国特許出願DE-A-196 16 693およびDE-A-196 16 767から既知のエノールエステルおよび欧州特許出願EP-A-0 525 239に記載されているアセチル化ソルビトールおよびマンニトールおよびそれらの混合物(SORMAN)、アシル化糖誘導体、特にペンタアセチルグルコース(PAG)、ペンタアセチルフルクトース、テトラアセチルキシロースおよびオクタアセチルラクトース、ならびに、アセチル化、必要に応じてN-アルキル化、グルカミンおよびグルコノラクトン、および/またはN-アシル化ラクタム、例えば、N-ベンゾイルカプロラクタムが好適である。また、親水性的に置換されたアシルアセタールおよびアシルラクタムも好適に使用される。このような漂白活性剤は、通常の量、好適には、当該洗剤および/または洗浄剤全体に基づいて、1重量%〜10重量%の量、特に2重量%〜8重量%の量で含まれる。
【0076】
抑泡剤として適当なものは、例えば、有機ポリシロキサンおよびそれらの超微粒の、必要に応じてシラン化された、ケイ酸との混合物、ならびにパラフィン、ワックス、微結晶性ワックス、およびそれらのシラン化ケイ酸またはビスステアリルエチレンジアミドとの混合物である。また、異なる抑泡剤の混合物、例えば、シリコーン、パラフィンまたはワックスの混合物も有利に使用される。抑泡剤、特にシリコーン-および/またはパラフィン-含有抑泡剤は、好適には、水溶性または水に分散性である粒状担体物質に結合される。
これに関して、パラフィンとビスステアリルエチレンジアミドの混合物が特に好適である。
【0077】
酵素として可能性のあるものは、特に、加水分解酵素のクラスのもの、例えば、プロテアーゼ、リパーゼまたは脂肪分解活性酵素、アミラーゼ、セルラーゼまたはそれらの混合物である。また、酸化還元酵素も適当である。
【0078】
細菌の菌株または真菌、例えば、バシラス・スブティリス(Bacillus subtilis)、バシラス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)、ストレプトミセス・グリセウス(Streptomyces griseus)およびフミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)から得られた酵素活性物質が特に適当である。スブチリシンタイプのプロテアーゼ、および特にバシラス・レントゥス(Bacillus lentus)から得られるプロテアーゼが好適に使用される。これに関して、酵素の混合物、例えば、プロテアーゼおよびアミラーゼまたはプロテアーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解活性酵素の混合物、またはプロテアーゼおよびセルラーゼの混合物、またはセルラーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解活性酵素の混合物、またはプロテアーゼ、アミラーゼおよびリパーゼまたは脂肪分解活性酵素の混合物、またはプロテアーゼ、リパーゼまたは脂肪分解活性酵素およびセルラーゼの混合物、特には、プロテアーゼおよび/またはリパーゼ含有混合物または脂肪分解活性酵素を有する混合物が特に興味深い。このような脂肪分解活性酵素の例は、既知のクチナーゼである。また、特定の場合、ペルオキシダーゼまたはオキシダーゼも適当であることが分かった。適当なアミラーゼとしては、特にα-アミラーゼ、イソアミラーゼ、プルラナーゼおよびペクチナーゼが挙げられる。セロビアーゼとしても既知である、セロビオ加水分解酵素、エンドグルカナーゼおよびβ-グルコシダーゼおよびそれらの混合物は、セルラーゼとして好適に使用される。異なるタイプのセルラーゼは、それらのCMCアーゼおよびアビセラーゼ活性において異なるので、必要とされる活性は、制御されたセルラーゼの混合物によって調節することができる。
【0079】
酵素は、早過ぎる分解に対してそれらを保護するために、担体材料上に吸着され得るか、および/または被覆物質中に埋め込まれ得る。酵素、酵素混合物または酵素顆粒の割合は、例えば、約0.1〜5重量%、好適には0.1〜約2重量%であり得る。
【0080】
ホスホネートに加えて、当該洗剤および/または洗浄剤は、さらなる酵素安定剤を含有し得る。例えば、0.5〜1重量%のギ酸ナトリウムが使用され得る。また、溶解性カルシウム塩により安定化され、および好適には酵素に基づいて約1.2重量%のカルシウム含量を有するプロテアーゼを使用することもできる。カルシウム塩に加えて、マグネシウム塩も安定剤として役立つ。しかしながら、ホウ素化合物、例えば、ホウ酸、ホウ素の酸化物、ホウ砂および他のホウ酸アルカリ金属、例えば、オルトホウ酸(HBO)、メタホウ酸(HBO)およびピロホウ酸(テトラホウ酸H)の塩を使用することは、特に有利である。
【0081】
セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(Na塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、および混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、およびそれらの混合物、ならびにポリビニルピロリドンは、好適には、グレーイング抑制剤として、例えば、洗剤および/または洗浄剤に基づいて、0.1〜5重量%の量で使用することができる。
【0082】
当該洗剤および/または洗浄剤は、蛍光増白剤として、ジアミノスチルベンジスルホン酸の誘導体またはそのアルカリ金属塩を含有し得る。適当な蛍光増白剤は、例えば、4,4'-ビス-(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸の塩、またはモルホリノ基の代わりにジエタノールアミノ基、メチルアミノ基およびアニリノ基または2-メトキシエチルアミノ基を有するその類似構造の化合物の塩である。また、置換ジフェニルスチリルタイプの増白剤、例えば、4,4'-ビス-(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニルまたは4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ塩も存在し得る。また、上記増白剤の混合物も使用することができる。
【0083】
本発明の洗剤および/または洗浄剤は、それらが粒状(これは好適である)である場合、任意のかさ密度を有することができる。可能性のあるかさ密度の範囲は、600g/l未満、例えば300g/lの低かさ密度から、600〜750g/lの中程度のかさ密度を経て、少なくとも750g/lの高かさ密度までの範囲である。しかしながら、高かさ密度を有する洗剤および/または洗浄剤の好適な変形において、かさ密度は、実際、800g/lを超える。これに関して、850g/lを超えるかさ密度が特に有利であり得る。
【0084】
先行技術から既知の任意の方法は、このような洗剤および/または洗浄剤を製造するために適当である。
【0085】
特に高いかさ密度の洗剤および/または洗浄剤を製造する場合に好適な製造法の変形において、洗剤および/または洗浄剤混合物は、最終的な圧縮工程を受ける。また、これに関して、さらなる成分は、圧縮工程後にのみ、洗剤および/または洗浄剤中に混合することができる。
【0086】
好適な本発明の実施態様において、成分の圧縮は、圧力凝集方法を使用して行う。固体プレミックス(乾燥洗剤ベース)が受ける圧力凝集方法は、種々の装置中で行うことができる。異なる圧力凝集方法は、使用される凝集器のタイプに基づいて区別される。本発明に好適な最もよく使用される好適な4つの圧力凝集方法は、押出、ローラープレスまたは圧縮、パンチプレス(ペレット化)および錠剤化であり、本発明に好適な圧力凝集手順は、押出-、ローラー圧縮-、ペレット化-または錠剤化手順である。上記の全ての好適な圧縮方法は、プレミックスが圧力下で圧縮および可塑化され、および個々の粒子は、空隙率を低減させながら一緒に押し付けられ、互いに結合するという共通点を有する。全ての方法(錠剤化の場合に限定を伴う)において、工作機械は、高温に加熱でき、あるいは剪断力から生じる熱を除去するために冷却できる。全ての方法において、結合剤は、圧縮補助剤として使用することができる。
【実施例】
【0087】
以下の洗剤を処方物B〜Gにしたがって製造した。
【0088】
【表1】

【0089】
洗濯試験(ドラム式自動洗濯機中、60℃、水硬度16度(ドイツ硬度)にて13回洗濯;布地:漂白した綿布およびテリークロス)において、二次的洗濯結果を、パラメーター(例えば、R値(軽減値)、ベルガー(Berger)白色度、灰分、および堆積物)によって決定した。これらの値を、各処方物に関して以下に示す。IVは、初期値を示し、およびAは、市販の洗剤の銘柄を示す。
【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
結果が示すように、ソーダ(ビカーボネート)/石鹸混合物および分散剤としてSokalan CP 5を含有する処方物C、D、EおよびGは、炭酸カルシウムの形態の灰分堆積物をほとんど生成しなかった。一方、分散剤を含有しない処方物BおよびFは、一定の灰分堆積物を示した。試験が示しているように、分散したCa石鹸は、わずかに隆起した、しかし許容可能な有機堆積物を生じさせた。しかしながら、これらのカルシウム堆積物は、布地を増白し、柔らかくすることによる、布地に対する正の効果を有した。
【0093】
また、さらなる洗濯試験を以下の処方物を使用して行った(ドラム式自動洗濯機中、60℃、水硬度16度(ドイツ硬度)にて13回洗濯)。
【0094】
【表4】

【0095】
洗濯試験後、いずれの場合も、灰分を決定して二次的洗濯結果を確かめた。
【0096】
【表5】

【0097】
結果が示すように、ソーダ/石鹸混合物および分散剤としてSokalan CP 5を含有する処方物A1〜E1およびG1は、炭酸カルシウムの形態の灰分堆積物をほとんど生成しなかった。一方、分散剤を含有しない処方物F1は、一定の灰分堆積物を示した。
【0098】
さらに、さらなる洗濯試験を以下の処方物(A2)を用いて行った(ドラム式自動洗濯機中、60℃、水硬度16度(ドイツ硬度)にて13回洗濯)。
【0099】
【表6】

【0100】
グレーイング、カラーグレーイング、および灰分に関して、以下の二次的洗濯結果を得た。
【0101】
【表7】

【0102】
同様に、分散剤としてポリアスパルタートを有するこの処方物は、顕著な灰分値を生じさせた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤を併用することによる、水の軟化方法。
【請求項2】
沈殿軟化剤は、炭酸アルカリおよび/または重炭酸アルカリおよび/または水溶性シリケートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分散剤は、ポリアスパラギン酸、水溶性ポリアスパラギン酸塩、ポリアクリル酸、水溶性ポリアクリル酸塩、スルホン化または硫酸化油、PEP-PEO型ブロックコポリマー(ポリエチレンプロピレンとポリエチレンオキシドとのコポリマー)、ドデシル硫酸ナトリウム、ポリカルボン酸ポリマー、リン酸ナトリウム、およびそれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
脂肪酸および/またはそのアルカリ塩と分散剤との重量比は、20:1〜1:3、好適には10:1〜2:1である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
好適には炭酸アルカリ、重炭酸アルカリ、水溶性シリケート、およびそれらの混合物から選択される沈殿軟化剤と分散剤との重量比は、20:1〜2:1、好適には10:1〜2:1である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤の組合せを、10〜60重量%、特に16〜50重量%の範囲内の濃度で使用する、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
好適にはイミドコハク酸、ニトリロ三酢酸、クエン酸、カルボキシメチル-タルトロン酸または-リンゴ酸および/またはそれらのアルカリ塩、リン酸ナトリウム、エチレンジアミンテトラアセテート、ホスホネート(例えば、アミノトリスメチレンホスホン酸(ATMP))から選択される強錯化作用を有する化合物、または匹敵する作用を有するCa-錯化化合物、またはそれらの混合物を、さらに使用する、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
分散剤と強錯化化合物との重量比は、5:1〜1:5、好適には1:1〜3:1である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
分散剤、脂肪酸および/またはそれらのアルカリ塩、および沈殿軟化剤を含有する水軟化剤。
【請求項10】
a)10〜70重量%の沈殿軟化剤、
b)5〜20重量%の脂肪酸および/またはそのアルカリ塩、
c)0〜25重量%のペルオキシジェン化合物、
d)0〜10重量%の非イオン性界面活性剤、
e)0〜15重量%の陰イオン性界面活性剤、
f)分散剤
を含有する、請求項9に記載の剤。
【請求項11】
過炭酸アルカリ、過ホウ酸アルカリ、アルカリ過酢酸(TAED)、またはフタルイミドペルオキソヘキサン酸、および/またはそれらの混合物を、ペルオキシジェン化合物として使用する、請求項9または10に記載の剤。
【請求項12】
洗剤、洗剤補助剤、漂白剤、洗浄剤、食器洗いおよび自動食器洗い用洗剤としての、またはこれらの剤の構成成分としての、請求項9〜11のいずれかに記載の剤の使用。
【請求項13】
請求項9〜12のいずれかに記載の水軟化剤を含有する、洗剤および洗浄剤。

【公表番号】特表2007−522922(P2007−522922A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549952(P2006−549952)
【出願日】平成17年1月8日(2005.1.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000109
【国際公開番号】WO2005/070839
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】