説明

洗剤及び洗浄剤に使用するための漂白増進剤の組合せ

特に、布地からインク汚れを洗浄するための漂白に関して、過酸化化合物の特性は、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤と、鉄及びマンガンイオンと錯体を形成できるテルピリジン化合物、又はそれに応じて予め調製された鉄又はマンガン錯体との組合せを使用することによって改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過酸素化合物及び/又は空気中酸素を活性化するための、特に布地洗濯時に着色汚れを漂白するための、漂白活性剤と、鉄及びマンガンイオンと錯体を形成できるテルピリジン化合物又はそれに応じて調製された鉄又はマンガン錯体との組合せの使用、並びにこのような漂白増進組合せを含む、洗剤、クレンジング剤及び殺菌剤に関する。
【背景技術】
【0002】
無機過酸素化合物、特に過酸化水素及び水に溶けて過酸化水素を放出する固体過酸素化合物、例えば過ホウ酸ナトリウム及び過炭酸ナトリウムは、殺菌及び漂白のための酸化剤として長い間使用されてきた。希薄溶液におけるこれらの物質の酸化作用は、温度に強く依存する。例えば、アルカリ性漂白液中の過酸化水素又は過ホウ酸塩による汚れた布地の十分に迅速な漂白は、約 80 ℃を超えた温度でしか達成されない。低温における無機過酸素化合物の酸化作用は、与えられた過加水分解条件下でペルオキシカルボン酸を生じることができる漂白活性剤、及び主に下記物質から選ばれる文献より既知の多数の化合物の添加によって改善することができる:N-又は O-アシル化合物、例えば、GB 836 988 から既知の反応性エステル、ポリアシル化アルキレンジアミン、特に N,N,N',N'-テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル、N-アシル化ヒダントイン、ヒドラジド、トリアゾール、ヒドロトリアジン、ウラゾール、ジケトピペラジン、スルフリルアミド及びシアヌレート、カルボン酸無水物、特に無水フタル酸、カルボン酸エステル、特にナトリウムノナノイルオキシベンゼンスルホネート(NOBS)、ナトリウムイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート、O-アシル化糖誘導体、例えばペンタアセチルグルコース、及び N-アシル化ラクタム、例えば N-ベンゾイルカプロラクタム。これらの物質を添加することによって、水性ペルオキシド洗濯液の漂白活性を著しく増加することができるので、ペルオキシド洗濯液では 95 ℃でのみ得られた漂白活性を、早々と約 60 ℃の温度で基本的に得ることができる。
【0003】
しかしながら、布地洗濯条件下で、比較的短鎖のペルオキシカルボン酸を放出するこのような漂白活性剤(その最も重要な例は TAED)が、親水性着色汚れに対して特に著しい有効性を示す一方で、比較的長鎖のペルオキシカルボン酸を放出する漂白活性剤(例えば NOBS)が、疎水性着色汚れに対して高い有効性を示すことが、識別法を用いて見出された。生じ得る汚れの全てに対する高い漂白特性を平均して十分に実現するために、異なった鎖長を有するペルオキシカルボン酸を放出する漂白活性剤混合物の添加が、様々な機会、例えば WO 96/17920 又は EP 0 257 700 A2 に提案されてきた。
【0004】
エネルギーを節約する洗濯法及び漂白法に対する試みとして、60 ℃より著しく低い、特に 45 ℃未満、そして冷水温度に至るまでの洗濯温度が、ここ数年重要になってきた。
【0005】
これらの低温では、今まで知られてきた活性化合物の活性が、一般に著しく減少する。それ故、この温度範囲でより活性な活性剤を開発する努力がなされてきた。しかしながら、特定の場合において、低温高活性漂白活性剤は、中温又は高温でその有効性を失うことに注意しなければならない。洗剤又はクレンジング剤の洗浄特性に対する高い要求により、純粋な酸化剤より増加した漂白特性が同様に必要とされ得る。
【0006】
様々な機会において、洗剤及びクレンジング剤中の過酸素化合物又は空気中酸素の酸化強度を増加するため、遷移金属化合物、特に遷移金属錯体の添加が提案されてきた。この目的のために提案された遷移金属化合物は、例えば、以下のものを含む:DE 195 29 905 から既知の、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム又はモリブデンのサレン錯体、DE 196 20 267 から既知のそれらの類似 N-化合物、DE 195 36 082 から既知の、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム又はモリブデンのカルボニル錯体、DE 196 05 688 から既知の、マンガン、鉄、コバルト、ルテニウム、モリブデン、チタン、バナジウム及び銅の窒素含有三脚型配位子錯体、DE 196 20 411 から既知の、コバルト、鉄、銅及びルテニウムのアミン錯体、DE 44 16 438 から既知の、マンガン、銅及びコバルト錯体、EP 0 272 030 から既知のコバルト錯体、EP 0 392 592 から既知のマンガン、鉄、コバルト及び銅錯体、WO 96/23859、WO 96/23860 及び WO 96/23861 から既知のコバルト錯体、及び EP 0 443 651 又は EP 0 458 397、EP 0 458 398、EP 0 549 271、EP 0 549 272、EP 0 544 490 及び EP 0 544 519 に記載のマンガン錯体。EP 0 832 969 に従って得られる、活性成分の漂白活性化合物もここに記載できる。漂白活性剤と遷移金属漂白触媒との組合せは、例えば、最大電流密度を有する電位の規定された範囲で電気化学的に酸化され得る遷移金属錯体に関する、WO 95/27775 及び DE 196 13 103 から既知である。
【0007】
WO 2004/007657 は、ある種の、四級窒素原子を有する少なくとも1個の基で置換されているテルピリジン配位子を有する、マンガン、チタン、鉄、コバルト、ニッケル又は銅錯体、及び酸化反応用触媒としてのその使用に関する。この錯体の使用は、該錯体を含む、洗剤、クレンジング剤、殺菌剤又は漂白剤によってももたらされ、このような製剤の追加の通常成分のうち、従来の漂白活性剤も記載されている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
意外なことに、ある種の漂白活性剤、即ち、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤と、ある種のマンガン又は鉄錯体、即ち、以下に記載するテルピリジン型配位子を有する錯体との組合せが、優れた漂白増進作用を示し、加えて、この漂白増進作用は、洗剤又はクレンジング剤の所望の温度分布全体にわたって維持され、該製剤の添加又はその上記成分の組合せ添加によって、商業的に入手可能な製剤を添加した場合より、処理された布地がダメージを受けないことが見出された。
【0009】
従って、本発明の主題は、特に水性界面活性剤含有液において、布地洗濯時に、着色汚れを漂白するための、過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、並びに一般式(II):
【化1】

[式中、M はマンガン又は鉄を表し、X は無機配位子を表し、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する漂白触媒の組合せの使用である。本発明の更なる主題は、洗濯物の同時殺菌又は代替殺菌のための対応する使用である。
【0010】
本発明で目的とした結果は、式(II)に相当する錯体ではなく、対応するテルピリジン配位子のみが添加され、洗濯水が鉄イオン及び/又はマンガンイオンを含むときにも達成される。ここで、記載した金属の酸化状態は、通常重要ではない。なぜなら、洗濯水中に存在する様々な酸化状態間での酸化還元平衡の調整は、通常迅速だからである。従って、本発明の更なる主題は、水性の、特にマンガンイオン及び/又は鉄イオンを含む界面活性剤含有液において、布地洗濯時に、着色汚れを漂白及び/又は洗濯物を殺菌するための、過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、並びに式(I):
【化2】

[式中、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する化合物の組合せの使用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
式(I)又は式(II)に相当する化合物において、アニオン(Ym-)は、好ましくは有機アニオン、例えば、シトレート、オキサレート、タータレート、ホルメート、C2〜18 カルボキシレート、C1〜18 アルキルスルフェート、特にメトスルフェート、又は対応するアルカンスルホネートである。式(II)に相当する化合物において、無機配位子(X)は、好ましくは、ハロゲン化物、特に、塩化物、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトレート、ハイドロジェンスルフェート、水酸化物又はヒドロペルオキシドである。
【0012】
本発明の使用は、過酸素含有漂白剤、記載した型の漂白活性剤、式(I)に相当する化合物又は式(II)に相当する漂白触媒、並びに該漂白活性剤、該化合物又は該漂白触媒に適合性である通常成分を含んでなる、洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤の添加によって、特に容易に実現され得る。従って、これらの組成物は更なる本発明の主題である。
【0013】
本発明の組成物は、好ましくは、0.01 重量%〜2 重量%、特に 0.1 重量%〜1 重量%の式(I)に相当する化合物を含む。組成物が、式(I)に相当する化合物を含む場合、組成物が、マンガン塩及び/又は鉄塩及び/又は式(I)の化合物に相当する配位子を有さないマンガン錯体及び/又は鉄錯体を更に含むことが好ましい。マンガン又は鉄、或いはマンガンと鉄の合計の、式(I)に相当する化合物に対するモル比は、0.001:1〜2:1、特に 0.01:1〜1:1 である。更に好ましい態様では、本発明の組成物は、0.01 重量%〜1.5 重量%、特に 0.05 重量%〜1 重量%の式(II)に相当する漂白触媒を含む。
【0014】
適当な過酸素化合物は、特に、有機過酸又は有機酸過酸塩、例えば、フタルイミド過カプロン酸、過安息香酸又はジペルオキシドデカン二酸塩、過酸化水素、及び洗濯又は洗浄条件下で過酸化水素を放出する無機塩、例えば、過ホウ酸塩、過炭酸塩及び/又は過ケイ酸塩を包含する。ここで、酵素系、即ちオキシダーゼ及びその基質によって、過酸化水素を生成することもできる。固体の過酸素化合物を使用する場合は、粉体又はペレット状で使用することができ、それらは既知の方法によって基本的にカプセル化されていてもよい。アルカリ過炭酸塩、アルカリ過ホウ酸塩一水和物、アルカリ過ホウ酸塩四水和物、又は 3 重量%〜10 重量%の過酸化水素を含む水溶液としての過酸化水素が、特に好ましく使用される。特に、本発明の洗剤又はクレンジング剤は、好ましくは 50 重量%まで、特に 5 重量%〜30 重量%の量で過酸素化合物を含み、一方、本発明の殺菌剤は、好ましくは 0.5 重量%〜40 重量%、特に 5 重量%〜20 重量%の過酸素化合物を含む。
【0015】
本発明に従って使用される組合せ又は本発明の組成物の、好ましい追加成分としての、アミド型漂白活性剤は、好ましくは、アンモニア誘導体或いはモノ-又はビス-アルキルアミン誘導体である。好適には、式(III):
(R1-CO-)nX (III)
[式中、R1 は、1〜10個の炭素原子を有する、アリール基、アルキル基、アルケニル基又はシクロアルキル基を表し、n は、1〜4 の数を表し、X は、一方が窒素原子、他方がアシル基 R1-CO と直接結合している窒素含有脱離基を表す。]
に相当する化合物及びその混合物から選ばれる。R1 が、フェニル基、C1〜C5 アルキル基、9-デセニル基及びそれらの混合物であって、アルキル基が直鎖又は分枝であってよい、式(III)の化合物が好ましい。直鎖基 R1 を有する式(III)の化合物のうち、1〜9個の炭素原子を有するものが特に好ましい。式(III)に相当するこれらの化合物は、対応する非置換化合物 HnX の、反応性 R1-CO 誘導体(例えば酸塩化物)による N-アセチル化によって、既知の方法を用いて調製できる。好ましい窒素含有脱離基 X は、該窒素が切断可能なアシル基 R1-CO-以外に少なくとも1個の更なるアシル基を有するものである。
【0016】
式(III)に相当する化合物のこのようなタイプの例は、アンモニアのトリアセチル化生成物、一級アルキルアミノ類のジアセチル化生成物、例えばエチレンジアミンのジアセチル化生成物である。記載した少なくとも1個の更なるアシル基がアシル基 R1-CO-ではない場合も、段階的過加水分解活性のために、対応するペルオキシカルボン酸が基 R1-CO-からのみ主として形成されることが好ましい。これは、式(III)に相当する化合物中の基 R1-CO-を有する窒素が環状アミド又はイミド構造の一部でもある場合に達成できる。最後に記載した化合物は、アシルアミド又はアシルイミドとも称され、各々、部分名「アシル」は基 R1-CO-を表す。このようなアシルアミドのアミド部は、好ましくは、任意に置換されていてよいカプロラクタム基又はバレロラクタム基からなり、このようなアシルイミドのイミド部は、好ましくは、スクシンイミド基、マレインイミド基又はフタルイミド基からなり、これらの基は任意に C1〜C4 アルキル基、ヒドロキシル基、COOH-基及び/又は SO3H-基で置換されていてよく、最後に記載した置換基はその塩として存在してもよい。N-ノナノイル-及び N-イソノナノイルスクシンイミドが好ましいアシルイミドである。N,N,N',N'-テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)が、特に好ましい化合物の1つである。
【0017】
スルホニルフェニルエステル型漂白活性剤は、好ましくは、X がスルホン酸基によって置換されたフェノキシ基又はそのアルカリ金属塩を表し、n が特に 1 である、記載の式(III)の化合物に相当する。この型の特に好ましい化合物は、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム及びラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムを包含する。
【0018】
四級窒素置換アセトニトリルに対応する型の漂白活性剤は、好ましくは、式(IV):
【化3】

[式中、R1 は、-H、-CH3、C2〜24 アルキル又はアルケニル基、基-Cl、-Br、-OH、-NH2、-CN から選ばれる少なくとも1個の置換基を有する置換 C2〜24 アルキル又はアルケニル基、C1〜24 アルキル基を有するアルキル又はアルケニルアリール基、或いは芳香環上に C1〜24 アルキル基及び少なくとも1個の更なる置換基を有する置換アルキル又はアルケニルアリール基を表し、R2 及び R3 は、相互に独立に、-CH2-CN、-CH3、-CH2-CH3、-CH2-CH2-CH3、-CH(CH3)-CH3、-CH2-OH、-CH2-CH2-OH、-CH(OH)-CH3、-CH2-CH2-CH2-OH、-CH2-CH(OH)-CH3、-CH(OH)-CH2-CH3、-(CH2CH2-O)nH(n は 1、2、3、4、5 又は 6 である。)から選ばれ、X はアニオンである。]
に相当する。
【0019】
これらの中で、R1 が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又は n-ブチル、n-ヘキシル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル又は n-オクタデシル基を表し、R2 及び R3 が、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル及びヒドロキシエチルから選ばれ、有利には、これらの基の一方又は両方がシアノメチル基であってよい、カチオン性ニトリルが好ましい。トリメチルアンモニウムアセトニトリル塩、例えば、塩化物、硫酸塩、硫酸水素塩、メトスルフェート又はエトスルフェートの添加が特に好ましい。
【0020】
本発明の好ましい態様では、本発明の組成物は、0.5 重量%〜10 重量%、特に 1 重量%〜8 重量%の記載した型の漂白活性剤を含む。アミド型漂白活性剤及び四級窒素置換アセトニトリル型漂白活性剤が一緒に存在する場合が特に好ましい。
【0021】
粒状の洗剤、クレンジング剤及び殺菌剤に使用するため、本発明の組合せにおいて使用される物質は、好ましくは、室温で固体である。式(I)又は式(II)に相当する化合物を、好ましくは、特に水性界面活性剤含有液において、布地洗濯時に、着色汚れを漂白するために、記載した漂白活性剤と組み合わせて使用する。これに関して、用語「着色汚れの漂白」は、広範な意味で理解されるべきであり、布地上に見られる汚れの漂白、洗濯液中に存在する汚れの漂白、及び洗濯液中に存在する布地着色料の酸化分解のいずれも包含する。これらは別の着色布地に吸着し得る前に、洗濯条件下で布地から除去される。また、硬質表面(特に皿)用の洗浄溶液においても使用するため、用語「漂白」は、硬質表面上に見られる汚れ(特に茶)の漂白、及び硬質表面から除去され食器洗浄液中に存在する汚れの漂白の両方を意味すると理解される。
【0022】
本発明の方法及び本発明の使用の範囲では、特に低温における無機過酸素化合物の、酸化作用の著しい増進が要求されるとき、例えば、布地、毛髪又は硬質表面を漂白するとき、有機又は無機中間体を酸化するとき、及び殺菌のためのいずれにおいても、本発明の組合せを使用できる。
【0023】
本発明の使用は、本質的に、過酸素化合物が、強酸化する副生物を得るため本発明の組合せに使用されている化合物と反応できる状態を創り出すことにある。特に、その反応相手が水溶液中で相互作用する場合に、このような状態になる。これは、場合によっては、別々の状態の、過酸素化合物、式(I)及び/又は式(II)に相当する化合物を、洗剤又はクレンジング剤の溶液に、別々に添加することによって生じ得る。しかしながら、本発明の方法は、有利には、記載した成分を含む、本発明の洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤を使用することによって行われる。また、過酸素不含有製剤を使用する場合、過酸素化合物を、それ自体、或いは好ましくは水溶液又は懸濁液として、洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤の溶液に添加することもできる。
【0024】
この状態は、最終用途に依存して広範に変化し得る。例えば、純粋な水溶液の他に、水と適当な有機溶媒の混合物も考えられる。一般に、添加される過酸素化合物の量は、10 ppm〜10 %の活性酸素、好ましくは 50 ppm〜5,000 ppm の活性酸素が溶液中に存在するように選択される。
【0025】
粉末固体として、二次圧縮粒子として、均一な溶液又は懸濁液として存在し得る本発明の洗剤、クレンジング剤及び殺菌剤は、本発明に従って使用される組合せに加えて、本発明のような製剤用の既知である通常成分全てを基本的に含むことができる。特に、本発明の洗剤及びクレンジング剤は、ビルダー、追加の界面活性剤、水混和性溶媒、酵素、金属イオン封鎖剤、電解質、pH 調整剤、特殊効果を有するポリマー、例えば、汚れ遊離ポリマー、色移り阻害剤、グレーイング阻害剤、しわ低減ポリマー及び保形剤、並びに更なる助剤、例えば、蛍光増白剤、発泡調節剤、追加の過酸素活性剤、着色剤及び香料を含むことができる。
【0026】
先に記載した成分に加えて、本発明の殺菌剤は、例えば特定の細菌に対する殺菌活性を増進するため、通常の抗菌剤を含むことができる。このような抗菌性添加剤は、好ましくは、本発明の殺菌剤に、10 重量%まで、特に 0.1 重量%〜5 重量%の量で含まれる。
【0027】
過加水分解条件下でペルオキシカルボン酸又はペルオキシイミド酸を形成する上記した種類の典型的な物質、及び/又は通常の漂白活性遷移金属錯体を、本発明で使用される組合せに、追加で添加できる。
【0028】
本発明の組成物は、1種以上の界面活性剤を含むことができ、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びそれらの混合物が、特に対象となる。適当な非イオン性界面活性剤は、特に、各々、アルキル基中に12〜18個の炭素原子有し、3〜20個、好ましくは4〜10個のアルキルエーテル基を有する、アルキルグリコシド、及びアルキルグリコシド或いは直鎖又は分枝アルコールのエトキシル化及び/又はプロポキシル化生成物である。また、N-アルキルアミン、隣接ジオール、脂肪酸エステル及び脂肪酸アミドの対応するエトキシル化及び/又はプロポキシル化生成物(アルキル基に関して記載した長鎖アルコール誘導体に対応する)、並びにアルキル基中に5〜12個の炭素原子を有するアルキルフェノールも使用できる。
【0029】
適当なアニオン性界面活性剤は、特に石鹸、並びに好ましくはカチオンとしてアルカリ金属イオンを含む、スルフェート基又はスルホネート基含有石鹸である。使用可能な石鹸は、好ましくは、12〜18個の炭素原子を有する飽和又は不飽和脂肪酸のアルカリ金属塩である。これらの種類の脂肪酸は、完全に中和されていない状態で使用することもできる。スルフェート型の使用可能な界面活性剤は、12〜18個の炭素原子を有する脂肪アルコールのスルホン酸半エステルの塩、及び低いエトキシル化度を有する上記非イオン性界面活性剤の硫酸化生成物を包含する。スルホネート型の使用可能な界面活性剤は、アルキル基中に9〜14個の炭素原子を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネート、12〜18個の炭素原子を有するアルキルスルホネート、12〜18個の炭素原子を有するオレフィンスルホネート(対応するモノオレフィンと三酸化硫黄との反応によって得られる)、及びα-スルホ脂肪酸(脂肪酸メチルエステル又は脂肪酸エチルエステルのスルホン化によって得られる)を包含する。
【0030】
これらの種類の界面活性剤は、好ましくは、本発明のクレンジング剤又は洗剤に、5 重量%〜50 重量%、特に 8 重量%〜30 重量%の量で含まれる。一方、本発明の殺菌剤及び本発明のクレンジング剤は、好ましくは 0.1 重量%〜20 重量%、特に 0.2 重量%〜5 重量%の界面活性剤を含む。
【0031】
本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも1種の水溶性及び/又は非水溶性の有機及び無機ビルダーを含む。適当なビルダーは、ポリカルボン酸、特にクエン酸及び糖酸、単量体及び重合体アミノポリカルボン酸、特にポリアスパラギン酸、ポリホスホン酸、特にアミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラキス(メチレンホスホン酸)及び 1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、重合体ヒドロキシ化合物、例えばデキストリン、並びに重合体(ポリ)カルボン酸、特に、WO 93/16110 又は WO 92/18542 或いは EP 0 232 202 に従って多糖又はデキストリンの酸化によって得られたこれらのポリカルボキシレート、重合体アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸及びこれらの混合ポリマーを包含し、カルボン酸官能基を含まない共重合化重合性物質を少量含むこともできる。
【0032】
遊離酸に各々基づいて、不飽和カルボン酸のホモポリマーの相対分子量は、一般に 5,000〜200,000 であり、そのコポリマーの相対分子量は、2,000〜200,000、好ましくは 50,000〜120,000 である。特に好ましいアクリル酸−マレイン酸コポリマーは、50,000〜100,000 の相対分子量を有する。好ましくはないが適当なこの種の化合物は、アクリル酸又はメタクリル酸と、ビニルエーテル(例えばビニルメチルエーテル)、ビニルエステル、エチレン、プロピレン及びスチレンとのコポリマーであり、酸の含有量は少なくとも 50 重量%である。モノマーとして2つの不飽和酸及び/又はそれらの塩、並びに第三モノマーとしてビニルアルコール及び/又はエステル化ビニルアルコール又は炭水化物を含むターポリマーを、水溶性有機ビルダーとして使用することもできる。第一の酸モノマー又はその塩は、モノエチレン性不飽和 C3〜C8 カルボン酸、好ましくは C3〜C4 モノカルボン酸、特に(メタ)アクリル酸から誘導される。第二の酸モノマー又はその塩は、C4〜C8 ジカルボン酸(マレイン酸が特に好ましい)の誘導体、及び/又はアルキル又はアリール基で2位置換されているアリルスルホン酸の誘導体であり得る。これらの種類のポリマーは、特に、DE 42 21 381 及び DE 43 00 772 に記載の方法に従って製造でき、一般に 1,000〜200,000 の相対分子量を有する。更に好ましいコポリマーは、DE 43 03 320 及び DE 44 17 734 に記載されているコポリマーであり、好ましくは、モノマーとして、アクロレイン及びアクリル酸/アクリル酸塩又は酢酸ビニルを有する。特に液状製剤製造のためには、有機ビルダーを、水溶液、好ましくは 30〜50 重量%水溶液として添加し得る。一般に、記載した酸の全てを、それらの水溶性塩、特にそれらのアルカリ金属塩として添加する。
【0033】
これらの種類の有機ビルダーは、40 重量%まで、特に 25 重量%まで、好ましくは 1 重量%〜8 重量%の量で所望により含まれ得る。記載した上限値に近い量を、ペースト又は液体、特に水性の、本発明の組成物に、好ましくは添加する。
【0034】
水溶性無機ビルダーは、特に、そのアルカリ性、中性又は酸性のナトリウム塩又はカリウム塩として存在できる、重合体アルカリ金属リン酸塩に関する。その例は、二リン酸四ナトリウム、二リン酸二水素二ナトリウム、三リン酸五ナトリウム、いわゆるヘキサメタリン酸ナトリウム、及び対応するカリウム塩、又はナトリウム塩とカリウム塩との混合物である。特に、結晶性又は無定形アルカリ金属アルミノケイ酸塩を、50 重量%まで、好ましくは 40 重量%以下、液状製剤中へは特に 1 重量%〜5 重量%の量で、非水溶性水分散性無機ビルダーとして添加する。これらの中で、洗剤用の結晶性アルミノケイ酸ナトリウム、特に、ゼオライトA、P及び任意にXが好ましい。記載した上限値に近い量を、好ましくは、固体粒状製剤に添加する。適当なアルミノケイ酸塩は、特に、30 μm 超の粒度を有する粒子を示さず、好ましくは粒子の少なくとも 80 重量%が 10 μm 未満である。DE 24 12 837 の記載に従って測定できるカルシウム結合能は、一般に、100〜200 mg CaO/g である。
【0035】
記載したアルミノケイ酸塩の適した代替物又は部分代替物は、単独で又は無定形ケイ酸塩との混合物として存在できる、結晶性アルカリ金属ケイ酸塩である。本発明の製剤にビルダーとして使用できるアルカリ金属ケイ酸塩は、好ましくは、0.95 以下、特に 1:1.1〜1:12 のアルカリ金属酸化物の SiO2 に対するモル比を有し、無定形又は結晶性であり得る。好ましいアルカリ金属ケイ酸塩は、1:2〜1:2.8 の Na2O:SiO2 モル比を有する、ケイ酸ナトリウム、特に無定形ケイ酸ナトリウムである。1:1.9〜1:2.8 の Na2O:SiO2 モル比を有するケイ酸ナトリウムは、EP 0 425 427 の方法に従って製造できる。
【0036】
単独又は無定形ケイ酸塩との混合物として存在できる結晶性ケイ酸塩は、好ましくは、一般式 Na2SixO2x+1・yH2O[式中、いわゆる元素比 x は 1.9〜4 の数であり、y は 0〜20 であり、x は好ましくは 2、3 又は 4 である。]に相当する結晶性層状ケイ酸塩である。この一般式に相当する結晶性層状ケイ酸塩は、例えば、EP 0 164 514 に記載されている。好ましい結晶性層状ケイ酸塩は、記載した一般式において、x が 2 又は 3 の値をとるケイ酸塩である。β-及びδ-二ケイ酸ナトリウム Na2Si2O5・yH2O の両方が特に好ましく、β-二ケイ酸ナトリウムは、例えば、WO 91/08171 に記載の方法から得ることができる。1.9〜3.2 の元素比を有するδ-ケイ酸ナトリウムは、特開平 04-238809 又は特開平 04-260610 に従って製造できる。上記一般式に相当する実質上無水の結晶性アルカリ金属ケイ酸塩[式中、x は 1.9〜2.1 の数である。]は、EP 0 548 599、EP 0 502 325 及び EP 0 425 428 に記載されているように、無定形アルカリ金属ケイ酸塩からも製造でき、本発明の組成物に使用できる。
【0037】
本発明の製剤の更に好ましい態様では、EP 0 436 835 に従って砂及び酸化ナトリウムから調製され得る、2〜3 の元素比を有する結晶性層状ケイ酸ナトリウムを添加する。本発明の製剤の更に好ましい態様では、EP 0 164 552 及び/又は EP 0 294 753 の方法から調製されるような、1.9〜3.5 の元素比を有する結晶性ケイ酸ナトリウムを添加する。本発明の製剤の好ましい態様では、例えば WO 95/22592 に記載されているか又は例えば Nabion(登録商標)15 の商品名で商業的に入手可能であるような、アルカリ金属ケイ酸塩及びアルカリ金属炭酸塩の粒状化合物を添加する。アルカリ金属アルミノケイ酸塩、特にゼオライトが、追加のビルダーとして存在する場合、無水活性物質に各々基づいた、アルミノケイ酸塩のケイ酸塩に対する重量比は、好ましくは 1:10〜10:1 である。無定形及び結晶性の両方のアルカリ金属ケイ酸塩を含む製剤では、無定形アルカリ金属ケイ酸塩の結晶性アルカリ金属ケイ酸塩に対する重量比は、好ましくは、1:2〜2:1、特に 1:1〜2:1 である。
【0038】
ビルダーは、好ましくは、本発明の洗剤又はクレンジング剤に、60 重量%まで、特に 5 重量%〜40 重量%の量で含まれる。一方、本発明の殺菌剤は、好ましくは、水の硬度成分を錯化するビルダーを含まず、好適には、20 重量%以下、特に 0.1〜5 重量%の、好ましくは、アミノポリカルボン酸、アミノポリホスホン酸、ヒドロキシポリホスホン酸、それらの水溶性塩及びそれらの混合物を含む群から選ばれる、重金属錯化剤を含む。
【0039】
本発明の好ましい態様では、本発明の組成物は、水溶性ビルダーブロックを含む。用語「ビルダーブロック」の使用は、本発明の組成物が水溶性ビルダー以外のビルダーを含まない、即ち、本発明の製剤に含まれるビルダーの全てが記載した「ブロック」に要約される(せいぜい市販製剤の通常成分に不純物として含まれ得る量の物質、又は少量の添加安定剤は可能である。)と強調することを目的としている。用語「水溶性」は、ビルダーブロックが、本発明の製剤に含まれる量で、通常条件下、残留することなく溶解することを意味する。本発明の組成物は、好ましくは、少なくとも 15 重量%かつ 55 重量%まで、特に 25 重量%〜50 重量%の水溶性ビルダーブロックを含む。水溶性ビルダーブロックは、好ましくは、下記成分からなる:
a)5 重量%〜35 重量%の、クエン酸、アルカリ金属クエン酸塩、及び/又はアルカリ金属炭酸水素塩に少なくとも部分的に置き換わってもよいアルカリ金属炭酸塩、
b)10 重量%までの元素比 1.8〜2.5 を有するアルカリ金属ケイ酸塩、
c)2 重量%までのホスホン酸及び/又はアルカリ金属ホスホン酸塩、
d)50 重量%までのアルカリ金属リン酸塩、
e)10 重量%までの重合体ポリカルボン酸塩。これらの量は、洗剤又はクレンジング剤全体に基づき、これは、特に記載がない限りは、以下の量の全てにも適用される。
【0040】
本発明の組成物の好ましい態様では、水溶性ビルダーブロックは、成分 b)、c)、d)及び e)の少なくとも2つを 0 重量%超の量で含む。
【0041】
成分 a)に関して、本発明の組成物の好ましい態様では、15 重量%〜25 重量%の、アルカリ金属炭酸水素塩に少なくとも部分的に置き換わってもよいアルカリ金属炭酸塩、及び 5 重量%まで、特に 0.5 重量%〜2.5 重量%のクエン酸及び/又はアルカリ金属クエン酸塩が含まれる。本発明の組成物の別の態様では、成分 a)は、5 重量%〜25 重量%、特に 5 重量%〜15 重量%のクエン酸及び/又はアルカリ金属クエン酸塩、並びに 5 重量%まで、特に 1 重量%〜5 重量%の、アルカリ金属炭酸水素塩に少なくとも部分的に置き換わってもよいアルカリ金属炭酸塩を含む。アルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属炭酸水素塩の両方が存在する場合、成分 a)は、好ましくは、10:1〜1:1 の重量比で、アルカリ金属炭酸塩とアルカリ金属炭酸水素塩を含む。
【0042】
成分 b)に関して、本発明の組成物の好ましい態様では、1 重量%〜5 重量%の元素比 1.8〜2.5 を有するアルカリ金属ケイ酸塩が含まれる。
【0043】
成分 c)に関して、本発明の組成物の好ましい態様では、0.05 重量%〜1 重量%のホスホン酸及び/又はアルカリ金属ホスホン酸塩が含まれる。ホスホン酸は、複数のホスホン酸基を有してよい(いわゆるポリホスホン酸)、任意に置換されていてよいアルキルホスホン酸も含むと理解される。これらは、好ましくは、ヒドロキシ及び/又はアミノアルキルホスホン酸及び/又はそのアルカリ金属塩、例えば、ジメチルアミノメタンジホスホン酸、3-アミノプロパン-1-ヒドロキシ-1,1-ジホスホン酸、1-アミノ-1-フェニル-メタンジホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、アミノ-トリス(メチレンホスホン酸)、N,N,N',N'-エチレンジアミン-テトラキス(メチレンホスホン酸)、及び DE 11 07 207 に記載されている亜リン酸のアセチル化誘導体から選ばれ、これらの所望の混合物としても使用できる。
【0044】
成分 d)に関して、本発明の組成物の好ましい態様では、15 重量%〜35 重量%のアルカリ金属リン酸塩、特にポリリン酸三ナトリウムが含まれる。「アルカリ金属リン酸塩」は、種々のリン酸のアルカリ金属(特にナトリウム及びカリウム)塩に対する総称であり、高分子量の典型例のうち、メタリン酸(HPO3n とオルトリン酸(H3PO4)が区別され得る。これらのリン酸塩は種々の内在する利点を備える:それらは、アルカリ性源として作用し、機械部品上への水垢及び布地への石灰付着物を防ぎ、更に洗浄力に対して寄与する。
【0045】
リン酸二水素ナトリウム NaH2PO4 は、二水和物(密度 1.91 g/cm3、融点 60 ℃)及び一水和物(密度 2.04 g/cm3)として存在する。両方の塩は、加熱時に結晶水を失い、200 ℃で弱酸性の二リン酸塩(二リン酸水素二ナトリウム、Na2H2P2O7)に転化し、より高温では三メタリン酸ナトリウム(Na3P3O9)及びマッドレル塩になる、白色の易水溶性粉体である。NaH2PO4 は酸のように反応する。リン酸を水酸化ナトリウムで 4.5 の pH 値に調整し、泥状物を噴霧乾燥して調製される。
【0046】
リン酸二水素カリウム(一級又は一塩基性のリン酸カリウム、二リン酸カリウム、KDP)KH2PO4 は、密度 2.33 g/cm3 及び融点 253 ℃(分解してポリリン酸カリウム (KPO3)x を形成)を有し、水に容易に溶ける白色塩である。
【0047】
リン酸水素二ナトリウム(二級リン酸ナトリウム)Na2HPO4 は、無色の、水に非常に容易に溶ける結晶性塩である。リン酸水素二ナトリウムは、無水で、並びに 2 mol(密度 2.066 g/cm3、95 ℃で脱水)、7 mol(密度 1.68 g/cm3、5 H2O の脱離を伴う融点 48 ℃)及び 12 mol(密度 1.52 g/cm3、5 H2O の脱離を伴う融点 35 ℃)の水を伴って、存在する。リン酸水素二ナトリウムは 100 ℃で無水物になり、より強く加熱すると、二リン酸塩 Na4P2O7 に転化する。リン酸水素二ナトリウムは、指示薬としてフェノールフタレインを用いた、炭酸ナトリウム溶液によるリン酸の中和によって調製される。
【0048】
リン酸水素二カリウム(二級又は二塩基性のリン酸カリウム)K2HPO4 は、水に容易に溶ける無定形白色塩である。リン酸三ナトリウム(三級リン酸ナトリウム)Na3PO4 は、十二水和物では 1.62 g/cm3 の密度及び 73〜76 ℃の融点(分解)を有し、十水和物(19〜20 %の P2O5 に相当)では 100 ℃の融点を有し、無水状態(39〜40 %の P2O5 に相当)では 2.536 g/cm3 の密度を有する、無色の結晶として存在する。リン酸三ナトリウムは、アルカリ性反応を伴って容易に水に溶け、ちょうど 1 mol のリン酸二ナトリウム及び 1 mol の NaOH の溶液を蒸発することによって調製される。
【0049】
リン酸三カリウム(三級又は三塩基性のリン酸カリウム)K3PO4 は、2.56 g/cm3 の密度、1340 ℃の融点を有する白色溶解性粒状粉であって、アルカリ性反応を伴って容易に水に溶ける。リン酸三カリウムは、例えば、炭素及び硫酸カリウムを含むトーマススラグの加熱によって調製される。高価であるにも拘わらず、より易溶性かつそれ故に高活性のリン酸カリウムが、洗剤産業では、対応するナトリウム化合物以上に極めて好ましい。
【0050】
二リン酸四ナトリウム(ピロリン酸ナトリウム)Na4P2O7 は、無水状(2.534 g/cm3 の密度、988 ℃の融点、880 ℃とも表示)、及び十水和物(1.815〜1.836 g/cm3 の密度、脱水を伴う 94 ℃の融点)として存在する。両物質は、アルカリ性反応を伴って水に溶ける無色の結晶である。Na4P2O7 は、リン酸二ナトリウムを 200 ℃より高い温度まで加熱するか、リン酸と炭酸ナトリウムとの化学量論比での反応及び溶液の噴霧乾燥によって調製される。十水和物は、重金属塩及び硬度塩をキレート化し、従って水の硬度を低下させる。
【0051】
二リン酸カリウム(ピロリン酸カリウム)K4P2O7 は、三水和物として存在し、水溶性で 2.33 g/cm3 の密度を有する無色の吸湿性粉体であり、その 1 %溶液の pH は、25 ℃で 10.4 である。NaH2PO4 又は KH2PO4 の縮合により、比較的高分子量のリン酸ナトリウム及びリン酸カリウムが生じる。それらは、環状タイプ(メタリン酸ナトリウム及びカリウム)と鎖状タイプ(ポリリン酸ナトリウム及びカリウム)に区別され得る。特に後者は、多くの異なった呼称によって知られている:溶成リン酸塩又は熱リン酸塩、グレーアム塩、クロール塩及びマッドレル塩。高分子のリン酸ナトリウム及びリン酸カリウムの全ては、まとめて「縮合」リン酸塩として知られている。工業的に重要な三リン酸五ナトリウム Na5P3O10(三ポリリン酸ナトリウム)は、n が 3 である一般式 NaO-[P(O)(ONa)-O]n-Naの、無水の又は 6 H2O を含む結晶である、白色の水溶性非吸湿性塩である。該無水塩は、100 g の水に、室温では約 17 g、60 ℃では 約 20 g、100 ℃では約 32 g 溶解する。この溶液を 100 ℃で 2 時間加熱すると、約 8 %のオルトリン酸塩及び約 15 %の二リン酸塩が加水分解により生じる。三リン酸五ナトリウムの調製では、リン酸を炭酸ナトリウム溶液又は水酸化ナトリウムと化学量論比で反応させ、溶液を噴霧乾燥する。グレーアム塩及び二リン酸ナトリウムのように、三リン酸五ナトリウムは、多くの不溶性金属化合物(石灰石鹸などを含む)を溶解する。
【0052】
K5P3O10(三ポリリン酸カリウム)は、例えば、50 重量%溶液(23 %超の P2O5、25 %の K2O)として市販されている。ポリリン酸カリウムは、洗剤産業で広範に使用されている。
【0053】
三ポリリン酸ナトリウムカリウムも存在し、本発明の範囲で同様に使用できる。これらは、例えば、三メタリン酸ナトリウムを KOH で加水分解することによって調製される。
(NaPO3)3 + 2 KOH → Na3K2P3O10 + H2O
本発明において、これらは、三ポリリン酸ナトリウム、三ポリリン酸カリウム、又はこれらの混合物として同様に使用できる。三ポリリン酸ナトリウムと三ポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、三ポリリン酸カリウムと三ポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物、及び三ポリリン酸ナトリウムと三ポリリン酸カリウムと三ポリリン酸ナトリウムカリウムの混合物も本発明において使用できる。
【0054】
成分 e)に関して、本発明の組成物の好ましい態様では、1.5 重量%〜5 重量%の重合体ポリカルボン酸塩、特に、アクリル酸、メタクリル酸及び/又はマレイン酸の重合生成物又は共重合生成物から選ばれるものが含まれる。これらの中では、アクリル酸ホモポリマーがあり、とりわけ 5,000 D〜15,000 D(PA 標準)の範囲の平均分子量を有するものが特に好ましい。
【0055】
上記したオキシダーゼに加えて、本発明の組成物に使用できる酵素は、下記種類のものである:プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、ヘミセルラーゼ、キシラナーゼ、ペルオキシダーゼ及びこれらの混合物、例えば、BLAP(登録商標)、Optimase(登録商標)、Opticlean(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Alcalase(登録商標)、Esperase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Durazym(登録商標)及び/又は Purafect(登録商標)OxP のようなプロテアーゼ、Termamyl(登録商標)、Amylase-LT(登録商標)、Maxamyl(登録商標)、Duramyl(登録商標)及び/又は Purafect(登録商標)OxAm のようなアミラーゼ、Lipolase(登録商標)、Lipomax(登録商標)、Lumafast(登録商標)及び/又は Lipozym(登録商標)のようなリパーゼ、Celluzyme(登録商標)及び/又は Carezyme(登録商標)のようなセルラーゼ。細菌源又は真菌、例えば、bacillus subtilis、bacillus licheniformis、streptomyceus griseus、humicola lanuginosa、humicola insolens、pseudomonas pseudoalcaligenes 又は pseudomonas cepacia から得られる酵素活性物質が、特に適している。例えば EP 0 564 476 又は WO 94/23005 に記載されている、任意に使用してよい酵素は、担体材料上に担持されていてもよく、及び/又は早すぎる不活性化から酵素を保護するためにカプセル材料に内蔵されていてもよい。それらは、本発明の洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤に、好ましくは 10 重量%まで、特に 0.2 重量%〜2 重量%の量で含まれ、例えば、WO 94/02597、WO 94/02618、WO 94/18314、WO 94/23053 又は WO 95/07350 から知られている酵素のような、酸化分解に対して安定化された酵素が特に好ましく使用される。
【0056】
本発明の好ましい態様では、組成物は、5 重量%〜50 重量%、特に 8 重量%〜30 重量%のアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤、60 重量%まで、特に 5 重量%〜40 重量%のビルダー、並びに 0.2 重量%〜2 重量%の酵素(プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びこれらの混合物から選ばれる。)を含む。
【0057】
本発明の組成物に使用できる有機溶媒は、特に該組成物が液状又はペースト状のとき、1〜4個の炭素原子を有するアルコール、特に、メタノール、エタノール、イソプロパノール及び t-ブタノール、2〜4個の炭素原子を有するジオール、特に、エチレングリコール及びプロピレングリコール、これらの混合物、並びに記載した化合物類から誘導されたエーテルを包含する。これらの種類の水混和性溶媒は、好ましくは、本発明の洗剤、クレンジング剤及び殺菌剤中に、30 重量%未満、特に 6 重量%〜20 重量%の量で存在する。
【0058】
他成分を混合して所望の水準に pH を調整するために、本発明の組成物は、その系及び環境に適合性である酸、特に、クエン酸、酢酸、酒石酸、リンゴ酸、グリコール酸、コハク酸、グルタル酸及び/又はアジピン酸、並びに無機酸、特に硫酸、或いは塩基、特に水酸化アンモニウム又はアルカリ金属水酸化物を含むことができる。これらの種類の pH 調整剤は、好ましくは、本発明の組成物に、20 重量%以下、特に 1.2 重量%〜17 重量%の量で含まれる。
【0059】
例えば処理された布地表面に汚れ防止性を与える、「汚れ遊離」ポリマー又は汚れ遊離物質は、「汚れ防止剤」として知られており、その例は、非イオン性又はカチオン性セルロース誘導体である。特に、活性ポリエステル汚れ遊離ポリマーは、ジカルボン酸、例えば、アジピン酸、フタル酸又はテレフタル酸、ジオール、例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール、並びにポリジオール、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールのコポリエステルを包含する。使用される好ましい汚れ遊離ポリエステルは、2つのモノマーのエステル化によって形式上得られる化合物を包含する。この第一のモノマーは、ジカルボン酸 HOOC-Ph-COOH であり、第二のモノマーは、重合体ジオール H-(O-(CHR11-)a)bOH としても存在できるジオール HO-(CHR11-)aOH である。ここで、Ph は、1〜4個の置換基(1〜22個の炭素原子を有するアルキル基、スルホン酸基、カルボキシル基及びこれらの混合物から選ばれる。)を有してよい o-、m-又は p-フェニル基を意味し、R11 は、水素、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基及びこれらの混合物であり、a は 2〜6 の数であり、b は 1〜300 の数である。好ましくは、単量体ジオール単位-O-(CHR11-)aO-及び重合体ジオール単位-(O-(CHR11-)a)bO-の両方が、得られるポリエステル中に存在する。単量体ジオール単位の重合体ジオール単位に対するモル比は、好ましくは 100:1〜1:100、特に 10:1〜1:10 の範囲である。重合体ジオール単位の重合度 b は、好ましくは 4〜200、特に 12〜140 の範囲である。好ましい汚れ遊離ポリエステルの、分子量、平均分子量、又は分子量分布の最大値は、250〜100,000、特に 500〜50,000 である。
【0060】
Ph 基に基づく酸は、好ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメリット酸、メリット酸、スルホフタル酸異性体、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、及びこれらの混合物から選ばれる。それらの酸基がポリマー内でエステル結合の一部でない限りは、それらは好ましくは塩として、特にアルカリ金属塩又はアンモニウム塩として存在する。これらの中で、ナトリウム塩及びカリウム塩が特に好ましい。
【0061】
所望により、モノマー HOOC-Ph-COOH に代えて、少なくとも2個のカルボキシル基を有する別の酸を、少量、特に 10 mol%未満(上記の意味を有する Ph の割合に基づく)の量で、汚れ遊離ポリエステルに含むことができる。アルキレン及びアルケニレンジカルボン酸の例は、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸及びセバシン酸を包含する。
【0062】
好ましいジオール HO-(CHR11-)aOH は、R11 が水素であり、a が 2〜6 の数であるジオール、a が 2 であり、R11 が、水素、及び1〜10個、特に1〜3個の炭素原子を有するアルキル基から選ばれるジオールを包含する。最後に記載したジオールは、特に好ましくは、一般式 HO-CH2-CHR11-OH[式中、R11 は上記意味を有する。]に相当するジオールである。ジオール成分の例は、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール及びネオペンチルグリコールである。
【0063】
重合体ジオールの中では、1,000〜6,000 の平均分子量を有するポリエチレングリコールが特に好ましい。所望により、これらのポリエステルは、末端ブロックされ得る。このブロック基は、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基及びモノカルボン酸エステルであり得る。エステル結合によって結合したブロック基は、5〜32個、特に5〜18個の炭素原子を有する、アルキル、アルケニル及びアリールモノカルボン酸に基づき得る。それらは、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ラウロレイン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ペトロセリン酸、ペトロセライジン酸、オレイン酸、リノール酸、リノライジン酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキン酸、ガドレイン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、クルパノドン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、メリシン酸、25個まで、特に1〜12個の合計炭素原子を含む1〜5個の置換基を有してよい安息香酸、例えば、t-ブチル安息香酸を包含する。ブロック基は、5〜22個の炭素原子を有するヒドロキシモノカルボン酸に基づいてもよく、その例は、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、リシノール酸、その水素化生成物、ヒドロキシステアリン酸、o-、m-及び p-ヒドロキシ安息香酸を包含する。ヒドロキシモノカルボン酸は、それ自身互いに、そのヒドロキシル基及びカルボニル基によって結合でき、従って、末端基中に複数存在できる。好ましくは、末端基あたりのヒドロキシモノカルボン酸単位の数、即ちオリゴマー度は、1〜50、特に 1〜10 の範囲である。本発明の好ましい態様では、エチレンテレフタレート及びポリエチレンオキシドテレフタレートのポリマーを、単独で又はセルロース誘導体と組み合わせて使用する。ポリエチレングリコール単位は、750〜5,000 の分子量を有し、エチレンテレフタレートのポリエチレンオキシドテレフタレートに対するモル比は、50:50〜90:10 である。
【0064】
本発明の布地用洗剤に使用できる色移り阻害剤は、特に、ポリビニルピロリドン、ポリビニルイミダゾール、重合体 N-オキシド、例えばポリビニルピリジン-N-オキシド、及びビニルピロリドンとビニルイミダゾール及び任意の更なるモノマーとのコポリマーを包含する。
【0065】
特に、レーヨン、スパンレーヨン、綿及びこれらの混紡からなる、布地表面は、各繊維が、繊維方向に垂直の折り曲げ、屈曲、加圧、押しつぶしに敏感なので、しわになり易いため、本発明の組成物は、防しわ剤を含んでよい。防しわ剤は、例えば、主としてエチレンオキシドで処理された、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸アルキロールエステル、脂肪酸アルキロールアミド又は脂肪アルコールに基づく合成物、或いは、レシチン又は変性リン酸エステルに基づく生成物を包含する。
【0066】
グレーイング阻害剤は、硬質表面、特に布地表面から除去された汚れを洗浄液中に懸濁したままにする働きをする。これには、主に有機の水溶性コロイドが適しており、その例は、デンプン、にかわ、ゼラチン、デンプン又はセルロースのエーテルカルボン酸又はエーテルスルホン酸の塩、或いはセルロース又はデンプンの酸性硫酸エステルの塩である。酸基含有水溶性ポリアミドも、この目的のために適している。また、上記のデンプン誘導体に代えて、例えば、アルデヒドデンプンを使用することもできる。しかしながら、セルロースエーテル、例えば、カルボキシメチルセルロース(ナトリウム塩)、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース及び混合エーテル、例えば、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース及びこれらの混合物を使用することが好ましく、例えば、製剤に基づいて 0.1〜5 重量%の量で添加できる。
【0067】
組成物は、蛍光増白剤、特に、ジアミノスチルベンジスルホン酸又はそのアルカリ金属塩を含んでよい。適当な蛍光増白剤は、例えば、4,4'-ビス-(2-アニリノ-4-モルホリノ-1,3,5-トリアジニル-6-アミノ)スチルベン-2,2'-ジスルホン酸の塩、或いはこのモルホリノ基に代えてジエタノールアミノ基、メチルアミノ基、アニリノ基又は 2-メトキシエチルアミノ基を含む類似構造化合物の塩である。置換ジフェニルスチリル型の蛍光増白剤も存在してよく、その例は、4,4'-ビス(2-スルホスチリル)ジフェニル、4,4'-ビス(4-クロロ-3-スルホスチリル)ジフェニル又は 4-(4-クロロスチリル)-4'-(2-スルホスチリル)ジフェニルのアルカリ金属塩である。上記蛍光増白剤の混合物も使用できる。
【0068】
特に自動の洗濯及び洗浄過程で使用する場合、通常の抑泡剤を組成物に添加することが有利であり得る。適当な抑泡剤は、例えば、高含有の C18〜C24 脂肪酸を有する天然又は合成起源の石鹸を包含する。適当な非界面活性型抑泡剤は、例えば、オルガノポリシロキサン、及びこれと任意にシリル化されていてよい超微小シリカとの混合物、パラフィン、蝋、微小蝋、及びこれらとシリル化シリカとの混合物、又はビス-脂肪酸アルキレンジアミンである。各種抑泡剤の混合物、例えば、シリコーン、パラフィン又は蝋の混合物も有利に使用される。好ましくは、抑泡剤、特にシリコーン含有及び/又はパラフィン含有抑泡剤を、粒状の水溶性又は水分散性担体材料に担持する。特にこの場合、パラフィンとビスステアリルエチレンジアミドの混合物が好ましい。
【0069】
また、銀製物品の変色を防ぐ活性物質、いわゆる銀腐食防止剤を本発明の組成物に添加できる。好ましい銀腐食防止剤は、有機二硫化物、二価フェノール、三価フェノール、任意にアルキル又はアミノアルキル置換されていてよいトリアゾール、例えばベンゾトリアゾール、並びにコバルト、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム又はセリウムの塩及び/又は錯体である。ここで記載した金属は、原子価状態 II、III、IV、V 又は VI で存在する。
【0070】
鉄及びマンガンイオンを有する錯体を形成できるテルピリジン化合物、並びに対応する予め調製された鉄又はマンガン錯体は、任意に被覆及び/又は着色されていてよく、従来の担体材料及び/又は造粒助剤を含んでよい、粉体又は顆粒として存在できる。それらを顆粒として使用する場合、それらは、所望により、アミド型、スルホニルフェニルエステル型又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤を含むこともできる。
【0071】
本発明の固体組成物の製造は、困難ではなく、基本的に、既知の方法、例えば噴霧乾燥又は造粒によって行うことができ、後に、過酸素化合物及び漂白活性化合物を任意に添加してよい。高い嵩密度、特に 650 g/l〜950 g/l の嵩密度を有する本発明の組成物を製造するためには、EP 0 486 592 から知られている、押出工程を用いた方法が好ましい。水溶液又は他の標準的溶媒含有溶液としての本発明の洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤は、特に有利には、成分を単純に混合することによって製造される。該成分を、それ自体又は溶液として、自動混合機に添加できる。特に自動食器洗浄のための、組成物の好ましい態様では、それらはタブレット状で存在し、EP 0 579 659 及び EP 0 591 282 に開示されている方法に従って製造できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、式(I):
【化1】

[式中、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する化合物、並びに該漂白剤、該漂白活性剤及び該化合物に適合性である通常成分を含んでなる、洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤。
【請求項2】
0.01 重量%〜2 重量%、特に 0.1 重量%〜1 重量%の式(I)に相当する化合物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
マンガン塩及び/又は鉄塩及び/又は式(I)の化合物に相当する配位子を有さないマンガン錯体及び/又は鉄錯体を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
マンガン又は鉄、或いはマンガンと鉄の合計の、式(I)に相当する化合物に対するモル比が、0.001:1〜2:1、特に 0.01:1〜1:1 の範囲である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、式(II):
【化2】

[式中、M はマンガン又は鉄を表し、X は無機配位子を表し、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する漂白触媒、並びに該漂白活性剤及び該漂白触媒に適合性である通常成分を含んでなる、洗剤、クレンジング剤又は殺菌剤。
【請求項6】
0.01 重量%〜1.5 重量%、特に 0.05 重量%〜1 重量%の式(II)に相当する漂白触媒を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
式(I)及び/又は式(II)に相当する化合物中のアニオン Ym- が有機アニオンであり、及び/又は式(II)に相当する化合物中の無機配位子がハロゲン化物、ペルクロレート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトレート、ハイドロジェンスルフェート、水酸化物又はヒドロペルオキシドである、請求項1〜6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
50 重量%まで、特に 5 重量%〜30 重量%の過酸素漂白剤を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
過酸素化合物が、過酸化水素、一水和物又は四水和物として存在できるアルカリ金属過ホウ酸塩、アルカリ金属過炭酸塩及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
0.5 重量%〜10 重量%、特に 1 重量%〜8 重量%の、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤を含む、請求項1〜9のいずれかに記載の組成物。
【請求項11】
アミド型漂白活性剤が、アシルジアルキルアミン、ジアシルアルキルアミン及び/又はテトラアシルアルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミンであり、スルホニルフェニルエステル型漂白活性剤が、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、イソノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム及び/又はラウロイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムであり、及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型漂白活性剤がトリメチルアンモニウムアセトニトリル塩である、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
水溶性ビルダーブロックを含む請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
5 重量%〜50 重量%、特に 8 重量%〜30 重量%のアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤、60 重量%まで、特に 5 重量%〜40 重量%のビルダー、並びに 0.2 重量%〜2 重量%の、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、アミラーゼ、プルラナーゼ、セルラーゼ、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及びこれらの混合物から選ばれる酵素を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の組成物。
【請求項14】
特に水性界面活性剤含有液において、布地洗濯時に、着色汚れを漂白及び/又は洗濯物を殺菌するための、過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、並びに一般式(II):
【化3】

[式中、M はマンガン又は鉄を表し、X はハロゲンを表し、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する漂白触媒の組合せの使用。
【請求項15】
特にマンガンイオン及び/又は鉄イオンを含む水性界面活性剤含有液において、布地洗濯時に、着色汚れを漂白及び/又は洗濯物を殺菌するための、過酸素含有漂白剤、アミド型、スルホニルフェニルエステル型及び/又は四級窒素置換アセトニトリル型の漂白活性剤、並びに一般式(I):
【化4】

[式中、Ym- はアニオンを表し、m と n の積は 2 である。]
に相当する漂白触媒の組合せの使用。

【公表番号】特表2007−538121(P2007−538121A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517024(P2007−517024)
【出願日】平成17年5月7日(2005.5.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/004973
【国際公開番号】WO2005/116181
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(391008825)ヘンケル コマンディットゲゼルシャフト アウフ アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】Henkel KGaA
【住所又は居所原語表記】Henkelstrasse 67,D−40589 Duesseldorf,Germany
【Fターム(参考)】