説明

洗剤組成物

自動食器洗浄機用洗剤組成物であって、a)組成物の少なくとも9重量%の被覆漂白剤粒子であって、粒子の少なくとも5重量%の風解性材料を含む被覆層を有する粒子、及びb)活性酵素を含有している、組成物の少なくとも0.5重量%の粒剤、を含み、粒剤が風解性材料を含む、自動食器洗浄機用洗剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の分野に属する。特に、自動食器洗浄機用洗剤組成物、好ましくは単位用量形態の組成物に関連する。より詳細には、被覆された漂白剤粒子及び酵素含有粒剤を高濃度で含む、自動食器洗浄機用組成物に関し、漂白剤粒子及び酵素含有粒剤の被覆層は風解性材料を含む。組成物は、様々な温度サイクルにかけた場合でさえも、保存特性及び加工の点で丈夫である。
【背景技術】
【0002】
粉末の取り扱いは非常に複雑な関心事である。粉末特性は、湿度及び温度などの、粉末の周囲の環境条件で大きく変化する。多くの場合、特に粉末の周りに何らかの保護が存在する場合、周囲湿度の変化よりも温度変化の方がより早く粉末に影響を与える。特に、粉末特性は温度サイクルにより大きく影響され得る。粉末には温度変化にさらされる可能性があり、温度が高温から低温へと及びその逆に変化することは、温度変化に関連付けられる加工問題を有する。特に低温条件下(例えば夜間)では、製造プラント及び/又は倉庫(粉末が保管される)内の粉末温度は、粉末の露点より低く下降し得ることが判明している。これらの条件下、粒剤内にて空気中の水分が粒子接触点で凝縮する場合があり、水和結晶の液架橋などを生じ、ケーキングを引き起こす恐れがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この問題に対する一部の解決法では、異なる温度条件下で新たな問題を生じる場合がある。例えば、低温条件下で粉末取り扱い性を改善するために取られた対応は、同じ粉末について高温条件下では問題を生じる場合がある。
【0004】
本発明の目的の1つは、上記の議論を考慮して、温度変化に耐性のある洗剤組成物を提供することである。本発明の洗剤組成物はまた、あらゆる範囲の環境条件下で保存に安定である必要もある。本発明の洗剤組成物はまた、優れた洗浄特性も有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様では、自動食器洗浄機用洗剤組成物が提供され、組成物は固形組成物である。組成物は、
a)組成物の少なくとも8重量%、好ましくは約9重量%〜約25重量%、より好ましくは約10重量%〜約20重量%の被覆漂白剤粒子(この粒子は、粒子の少なくとも4重量%、好ましくは約5重量%〜約20重量%、より好ましくは約6重量%〜約15重量%の風解性材料を、被覆層の形態で含む)、及び
b)活性酵素を含有している、組成物の少なくとも0.5重量%、好ましくは約0.8重量%〜約5重量%、より好ましくは約1重量%〜約2重量%の粒剤、を含み、ここで粒剤は、少なくとも30重量%、好ましくは約35重量%〜約70重量%、より好ましくは約40重量%〜約60重量%の粒剤を含み、風解性材料と活性酵素は少なくとも4:1、好ましくは少なくとも5:1、より好ましくは4:1〜20:1、特に5:1〜10:1の重量比である。
【0006】
粒剤は高濃度の活性酵素を含有し、本発明の組成物中で安定である。酵素活性が高いことから、粒剤は小型洗剤での使用に好適である。組成物が保存安定性の改善を呈するためには、漂白剤が風解性材料で被覆されていることと、酵素粒剤が高濃度の風解性材料を含んでいることの両方が必須である。
【0007】
本発明の第2の態様では、自動食器洗浄機用洗剤組成物が提供され、組成物は固形組成物である。組成物は、
a.)組成物の少なくとも8重量%、好ましくは約9重量%〜約25重量%、より好ましくは約10重量%〜約20重量%の被覆漂白剤粒子(この粒子は、粒子の少なくとも4重量%、好ましくは約5重量%〜約20重量%、より好ましくは約6重量%〜約15重量%の風解性材料を、被覆層の形態で含む)、及び
b.)活性酵素を含有している、組成物の少なくとも0.5重量%、好ましくは約0.8重量%〜約5重量%、より好ましくは約1重量%〜約2重量%の粒剤、を含み、ここで粒剤は、少なくとも40重量%、好ましくは約50重量%〜約80重量%、より好ましくは約55重量%〜約65重量%の粒剤を含む。好ましくは、粒剤は少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは約1重量%〜約10重量%及び特に約2重量%〜約5重量%の活性酵素を含む。
【0008】
低温条件では、ケーキングを促進し、自動洗浄用洗剤粉末の流動性と取り扱い性に悪影響を与え得る、水の凝縮が生じる場合がある。理想的には、粉末は、低温で水を取り込み、かつ高温で水を放出するのに十分に融通が利くべきである。一部の無水材料(吸湿性材料)は大気から水蒸気を吸収する傾向が強く、ひいては水和化合物に変化する。これらの材料の一部は、取り込んだ水に、自身が実質的に溶解するような程度にまで水を吸収してしまう(潮解性物質)。一部の他の無水材料は、ケーキングを促進して製品の安定性に影響を及ぼす傾向のある、永続的な構築系(例えば安定な水和物)を形成する水を吸収する。風解性材料で被覆された漂白剤粒子と、高濃度の風解性材料を有する酵素含有粒剤とを含む粉末組成物は、粉末特性及び完成した自動食器洗浄機用洗剤組成物の安定性に悪影響を及ぼすことのない水の取り込み及び放出に貢献する。
【0009】
本明細書において、「風解性材料」は、無水形態時に水を取り込んで水和することができ、より乾燥しているあるいはより高温の環境に置かれた際には、容易に水和水を放出することのできる材料であると理解される。好ましくは、本発明の組成物で使用する風解性材料は、無水形態と水和形態の間で少なくとも0.8g/cm3、より好ましくは少なくとも1g/cm3及び特に少なくとも1.2g/cm3の密度差を有する。この密度差が粒子を分解するメカニズムをもたらす:粉末の露点未満に粉末の温度が低下するにつれて水が凝縮する結果として、粒子結晶の液架橋が形成される。粒子間に結晶の液架橋を形成している水和材料は、冷却期間後に温度が上昇する(温度サイクルにおいて見られるように)につれて、無水(又はより水和されていない)形態に戻る。無水(又はより水和されていない)形態が伴うより高い結晶密度は、結晶容積の低下に基づいてこれらの結晶の液架橋を分解するメカニズムをもたらす。このメカニズムは、粉末の構造に低い温度の期間が悪影響及び永続的な影響を及ぼすことのないようにし、組成物の良好な取り扱い性に貢献する。
【0010】
本明細書で用いるのに好ましい風解性材料としては、硫酸塩及びクエン酸塩が挙げられ、本明細書で用いるのに特に好ましいものは硫酸ナトリウムである。漂白剤を被覆する風解性材料は、酵素粒剤の風解性材料と同一であっても異なっていても良い。好ましくは、材料は同一のものである。
【0011】
好ましくは、本発明の組成物は単位用量形態である。錠剤及び水溶性パウチは、本明細書で用いるのに好ましい単位用量形態である。
【0012】
単位用量製品の製造加工で、必要とされる製造者の仕様に従わないような均衡が生じ、それゆえ販売に際して安定でなくなる場合がある。これは特に、加工が開始してから終了するまでの間の、製品を製造している段階、すなわち加工が定常状態の操作に至る前の段階について言える。
【0013】
経済的及び環境的な理由のために、これらの「非安定性」の製品(本明細書においては「廃棄物」又は「不良品」としても参照される)に取り組む必要がある。1つの選択肢は、不良品を粉末に戻し、新しい製品を製造するために再利用するというものである。再使用される粉末は、通常はすぐには加工されないことから、比較的長時間にわたり環境へと曝露され、したがってケーキングする場合もある;流動性と取り扱い性の課題は、作りたての粉末の場合と比べ、より深刻なものになり得る。これらのストレス条件下でさえも、本発明の組成物が呈する加工課題は少ない。
【0014】
好ましくは、組成物の重量は20グラム未満であり、好ましくは約5〜約19、より好ましくは約6〜約18及び特に約7〜約12グラムである。単位用量が低重量である場合、充填剤又は犠牲材料のための空間が十分でないことに起因して、加工するのが更により難しくなる。
【0015】
好ましい実施形態では、組成物はエトキシ化/プロポキシ化非イオン性界面活性剤を含む。通常、非イオン性界面活性剤はペースト形態である。通常、ペーストは、粉末を最終的な単位用量製品へと転換する前に、粉末上に噴霧される。通常、粉末を単位用量製品へと転換する前には休止期間(粉末が水を吸収し得る)が必要とされる。錠剤の場合、この休止期間は特に重要である。非イオン性界面活性剤の噴霧後に粉末を休止させない場合、錠剤となる混合物は非常にべたつくようになり、打錠装置中に残る残留物の量がかなり多くなる。本発明の組成物はこれらの条件下での使用に好適である。
【0016】
本発明の組成物には、有機及び無機漂白剤を使用できる。好ましい実施形態では、漂白剤は無機過酸化物であり、特に過炭酸塩である。本明細書で用いるのに好ましい酵素としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0017】
酵素と漂白剤の両方を含む組成物では、典型的には、漂白化合物が酵素に対して有害に働くことから、酵素の安定性にまつわる課題が生じる。この課題は、1)酵素性能の損失及びそれに伴う洗剤組成物の性能の損失、及び/又は2)洗剤組成物中に含有させる必要のある酵素濃度の増加、ひいてはそれに伴なう費用の増加、のいずれかにより生じる。
【0018】
本発明の組成物は、高湿度条件下でさえも優れた保存時安定性を示す。本発明の組成物中では、酵素含有粒剤及び漂白剤のいずれもが安定であることが見出されている。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、組成物はリン酸塩ビルダーを不含であり、これは環境的な観点から有利であるが、しかしながら、加工の複雑性をもたらす。リン酸塩は吸湿性材料であり、組成物の加工性、取り扱い性及び安定性に貢献する。組成物が、組成物に水分をもたらすような材料、あるいは吸湿性でない材料(例えば一部の非リン酸塩ビルダー及び一部の抗スケールポリマーなど)を更に含む場合には、追加の複雑性が顕在化する。
【0020】
本発明の組成物は優れた洗浄性をもたらすと同時に、あらゆる範囲の湿度条件及び温度サイクル下で安定である。
【0021】
本発明の第3の態様では、本発明の組成物を製造するための方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明は、自動食器洗浄機用洗剤組成物を想定している。組成物は、風解性材料で被覆された漂白剤粒子と、高濃度の風解性材料を含有している酵素粒剤とを含む。組成物は温度サイクル安定性の点で非常に丈夫である。この組成物は良好な取り扱い及び保存安定特性を有すると同時に、優れた洗浄性を提供する。
【0023】
漂白剤
本発明の組成物は被覆漂白剤粒子を含む。粒子は、風解性材料、好ましくは硫酸塩又はクエン酸塩、より好ましくは硫酸ナトリウムで被覆される。漂白剤粒子は、粒子の少なくとも5重量%の風解性材料、好ましくは粒子の約5重量%〜約20重量%、より好ましくは約6重量%〜約15重量%、及び特に約7重量%〜約12重量%の風解性材料を含む。
【0024】
無機及び有機漂白剤は、本明細書で用いるのに好適な漂白剤である。無機漂白剤としては、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過リン酸塩、過硫酸塩及び過ケイ酸塩のような過水和物塩が挙げられる。無機過水和物塩は通常アルカリ金属塩である。過炭酸のアルカリ金属塩、特に過炭酸ナトリウムは、本明細書で用いるのに好ましい過水和物である。過炭酸塩は被覆形態の製品に組み込まれ、製品安定性と、抗ケーキング特性をもたらす。
【0025】
文献には、漂白剤の被覆として使用することができる多数の材料が記載されているが、この文献は漂白剤粒子のケーキング又は漂白剤粒子の温度サイクル安定性(すなわち漂白剤粒子が温度変化に耐える能力)に関する課題に対処していない。本発明に関しては、漂白剤は風解性材料で、好ましくは硫酸塩又はクエン酸塩で、より好ましくは硫酸ナトリウムで被覆される必要がある。被覆には他の材料を含み得るが、好ましくは被覆は、被覆の40重量%未満、より好ましくは20重量%未満、及び更により好ましくは10重量%未満、特に1重量%未満で他の材料を含み、すなわち好ましくは、被覆は本質的に風解性材料からなり、より好ましくは、被覆は本質的に硫酸ナトリウムからなる。
【0026】
本明細書で用いるのに特に好ましいのは、実質的に漂白剤からなるコア(好ましくは過炭酸ナトリウムからなるコア)と、このコアを取り囲む、風解性材料(好ましくは硫酸ナトリウム)を含む被覆層と、を含む、過炭酸塩粒子である。コアは噴霧式流動層造粒により製造することができ、被覆層は水性風解性材料を噴霧することにより得ることができ、好ましくは硫酸ナトリウム溶液を漂白剤の未被覆粒子上に噴霧することによって得られる。水分を蒸発させるため、流動層の温度は35〜100℃である。風解性材料が硫酸ナトリウムである場合、被覆層の適用中の流動層の温度は、十水和物の転移温度(32.4℃)よりも高く維持される。
【0027】
漂白剤は複数の方法を用いて被覆することができ、例えば流動層で被覆することができる。この方法の詳細は、欧州特許第862 842(A1)号及び米国特許第6,113,805号に見出される。
【0028】
ペルオキシ一過硫酸カリウムは、本明細書で有用な別の無機過水和物塩である。
【0029】
典型的な有機漂白剤は、ジアシル及びテトラアシルペルオキシドを含む有機ペルオキシ酸、特に、ジペルオキシドデカン二酸(diperoxydodecanedioc acid)、ジペルオキシテトラデカン二酸(diperoxytetradecanedioc acid)、及びジペルオキシヘキサデカン二酸(diperoxyhexadecanedioc acid)である。過酸化ジベンゾイルは、本明細書において好ましい有機ペルオキシ酸である。モノ−及びジペルアゼライン酸、モノ−及びジペルブラシル酸、並びにN−フタロイルアミノペルオキシカプロン酸(N-phthaloylaminoperoxicaproic acid)も、本明細書での使用に適している。
【0030】
ジアシルペルオキシド、特にジベンゾイルペルオキシドは、好ましくは約0.1〜約100μm、好ましくは約0.5〜約30μm、より好ましくは約1〜約10μmの重量平均径を有する粒子の形態で存在すべきである。好ましくは、少なくとも約25%、より好ましくは少なくとも約50%、更により好ましくは少なくとも約75%、最も好ましくは少なくとも約90%の粒子が10μmより小さく、好ましくは6μmより小さい。上記の粒径範囲内のジアシルペルオキシドは、より大きなジアシルペルオキシド粒子よりも優れた染み除去を、特にプラスチック食器からの除去を提供し、同時に自動食器洗浄機での使用中に、望ましくない付着及び被膜形成を最少化することも見出された。したがって、好ましいジアシルペルオキシドの粒径によって、配合者は低濃度のジアシルペルオキシドでの良好な染み除去を達成することができ、それによって付着及び被膜形成が軽減される。逆に、ジアシルペルオキシドの粒径が増すにつれて、良好な染み除去には更に多くのジアシルペルオキシドが必要となり、食器洗浄方法の間に関わる表面への付着を増やすことになる。
【0031】
更なる一般的な有機漂白剤としてはペルオキシ酸が挙げられ、具体例はアルキルペルオキシ酸及びアリールペルオキシ酸である。好ましい代表例は、(a)ペルオキシ安息香酸及びその環置換誘導体、例えばアルキルペルオキシ安息香酸、またペルオキシ−α−ナフトエ酸及びモノ過フタル酸マグネシウム、(b)脂肪族又は置換脂肪族ペルオキシ酸、例えばペルオキシラウリン酸、ペルオキシステアリン酸、ε−フタルイミドペルオキシカプロン酸[フタロイミノペルオキシへキサン酸(PAP)]、o−カルボキシベンズアミドペルオキシカプロン酸、N−ノネニルアミドペルアジピン酸及びN−ノネニルアミドペルコハク酸、並びに(c)脂肪族及び芳香脂肪族ペルオキシジカルボン酸、例えば1,12−ジペルオキシカルボン酸、1,9−ジペルオキシアゼライン酸、ジペルオキシセバシン酸、ジペルオキシブラシル酸、ジペルオキシフタル酸、2−デシルジペルオキシブタン−1,4−二酸、N,N−テレフタロイルジ(6−アミノペルカプロン酸)である。
【0032】
好ましくは、本発明の製品は過炭酸塩を含有する。同様に好ましいのは、被覆過炭酸塩及び被覆若しくは未被覆PAP、又は被覆過炭酸塩及び被覆若しくは未被覆DAPを含む製品である。
【0033】
好ましくは、被覆漂白剤粒子は、約300μm〜約1200μm、より好ましくは約400μm〜約1000μm、及び特に約500μm〜約900μmの重量幾何平均粒径を有する。好ましくは、被覆漂白剤粒子には、低濃度の、特に粒子の10重量%未満の微粒子及び粗粒子を含み、粒子は約1400μmよりも大きく、より好ましくは約1200μmよりも大きく、又は約200μmよりも小さく、より好ましくは約100μmよりも小さい。更にこれらの平均粒径及び粒度分布は、本発明の組成物の優れた加工特性に貢献する。特に好ましい実施形態では、加工の観点から、粒子は約500〜約1000μmの重量幾何平均粒径を有し、ポリマーの3重量%未満は約1180μmよりも大きく、粒子の約5重量%未満は約200μmよりも小さい。重量幾何平均粒径は、レーザー回折に基づくMalvern粒径分析計を使用して測定することができる。
【0034】
酵素粒剤
本明細書で用いるのに好適な酵素粒剤としては、以下のいずれかの技術により形成されるものが挙げられる:
a)噴霧乾燥製品(この製品では、噴霧乾燥塔で酵素含有液性溶液が霧化されて小さい液滴を形成し、噴霧乾燥塔から落下している間に酵素を含有している粒子材料を形成する。この方法により非常に小さい粒子を製造することができる(Michael S.Showell(編);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;page 140〜142;Marcel Dekker))。
b)積層製品(この製品では、予め形成された不活性なコア粒子の周りに、酵素が層として被覆される。通常は流動層装置において酵素含有溶液が霧化され、そこで予め形成されたコア粒子が流動することで、酵素含有溶液がコア粒子に付着し、乾燥した後に、乾燥した酵素の層がコア粒子の表面に残される。所望の大きさの有用なコア粒子を製造できる場合には、この方法により所望の大きさの粒子を得ることができる。この種類の製品は、例えば国際公開第97/23606号に記載されている)。
c)コア粒子に吸収させた製品(Absorbed core particles)(この製品では、酵素を層としてコアの周りに被覆するというよりも、酵素をコアの表面上及び/又はコア中に吸収させる。このような方法は、国際公開第97/39116号に記載されている)。
d)押し出し又はペレット化製品(この製品では、酵素含有ペーストを押し出してペレットにするか、圧力下で小さい開口部を通して押し出し次いで粒子状に刻み、続いて乾燥させる。通常、押し出し開口部が製造された部材(通常、孔あきプレート)には、押し出し開口部にわたって生じる圧力低下に対する耐性に限界があることから、この場合、粒子は相当の大きさを有する。また、小さい開口部を用いる場合には、非常に高い押し出し圧により、酵素ペーストに生じる熱が増加し、これは酵素にとって有害である(Michael S.Showell(編);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;page 140〜142;Marcel Dekker))。
e)小球状製品(この製品では、酵素粉末が溶融ワックスに懸濁され、この懸濁液が冷却チャンバへと噴霧され(例えば回転ディスク式アトマイザーにより)、液滴が急速に固化する(Michael S.Showell(編);Powdered detergents;Surfactant Science Series;1998;vol.71;page 140〜142;Marcel Dekker)。得られる製品では、酵素は不活性な材料の表面上に濃縮される代わりに、材料内に不均一に分配されている。同様に、米国特許第4,016,040号及び同第4,713,245号は、この技術に関する文書である)。
f)造粒ミキサー製品(この製品では、酵素を含有している液体を、従来の造粒成分の乾燥粉末組成物に加える。好適な割合で液体と粉末を混合し、液体の湿分を乾燥粉末に吸収させるにつれて、乾燥粉末の成分は付着及び疑集し始めて粒子を構築し、酵素を含む粒剤を形成する。このような方法は米国特許第4,106,991号(NOVO NORDISK)及び関連する文書である欧州特許第170360(B1)号、同第304332(B1)号、同第304331号、国際公開第90/09440号及び同第90/09428号に記載される。この方法に関する特定の製品では、様々な高剪断ミキサーを造粒機として使用することができ、酵素、充填剤及び結合剤などからなる粒剤を、セルロース繊維と混合することで粒子を補強し、いわゆるT粒剤を得ることかできる。補強された粒子はより丈夫になり、酵素屑(enzymatic dust)の放出が低下する)。
【0035】
本発明の組成物での使用に好ましい酵素粒剤はコアシェル構造を有する。好ましいコアシェルの実施形態では、コアは、好ましくは酵素が不含有である、中央部分を含み、周囲の層は酵素を含有し、かつシェルは複数の層を含み、最も外側の層は保護層となる。好ましい実施形態では、コアの中央部分と、シェルの層の少なくとも一層は風解性材料を含む。好ましくは、コアの中央部分は、粒子の総重量の1重量%〜60重量%、より好ましくは3重量%〜50重量%、及び特に5%重量%〜40重量%に相当する。好ましくは、層は、粒子の総重量の0.5重量%〜40重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%、及び特に3重量%〜20重量%に相当する風解性材料を含む好ましくは、最も外側の層は、ポリビニルアルコール、より好ましくは酸化チタン(美観的な理由のため)、特にこれらの混合物を含む。好ましくは、保護層は、粒子の総重量の0.05重量%〜20重量%、より好ましくは0.1重量%〜15重量%、及び特に1重量%〜3重量%に相当する。酵素粒剤は同様に酸化防止剤、染料、活性化剤、可溶化剤、結合剤などの添加材料も含有し得る。実施形態の酵素は流動層での層化方法により製造することができ、この方法は米国特許第5,324,649号、同第6,602,841(B1)号、及び同第2008/0206830(A1)号に記載されている。
【0036】
本実施形態の酵素はまた、方法の組み合わせによっても製造することができる。このような酵素粒剤は、酵素を不含のあるいは酵素を含有しているコア(好ましくは風解性材料を含み、より好ましくは硫酸ナトリウムを含む)の周りに形成され、コアはミキサー造粒機又は押出成形機のいずれかの使用を含む、様々な方法を用いて製造できる。次いでコアは流動層方法で処理され、この方法で酵素がコア上に噴霧される。次いでコアは層(好ましくは風解性材料、より好ましくは硫酸ナトリウムを含む)により被覆され、最終的にはヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリビニルアルコール及びそれらの誘導体(所望により更に二酸化チタンも含有する)、ポリエチレングリコール及び/又はカオリン、あるいはこれらの任意の混合物を含む群から選択されるポリマーで被覆される。本明細書で用いるのに好適な酵素粒剤製造方法は、米国特許第6,348,442(B2)号、同第2004/0033927(A1)号、同第7,273,736号、国際公開第00/01793号、米国特許第6,268,329(B1)号、及び米国特許第2008/0206830(A1)号に記載される。好ましくは、粒剤は、粒剤の約30重量%〜約75重量%、好ましくは約40重量〜約50重量%の風解性材料を含み、風解性材料は硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム及びこれらの混合物を含む群から選択され、好ましくは、硫酸ナトリウムである。
【0037】
好ましくは、酵素粒剤は、約200μm〜約1200μm、より好ましくは約300μm〜約1000μm、及び特に約400μm〜約600μmの重量幾何平均粒径を有する。
【0038】
酵素に関連する用語
アミノ酸修飾に関する命名法
本明細書において酵素変異体を説明する際、参照し易くするために以下の命名法、元のアミノ酸、位置、置換したアミノ酸、が使用される。
【0039】
この命名法に従うと、例えば、195位でグルタミン酸をグリシンに置換したものはG195Eと表示する。同じ位置でグリシンが欠失したものはG195*と表示し、追加のアミノ酸残基、例えばリジンを挿入したものはG195GKと表示する。特定の酵素が他の酵素と比較して「欠失」を含有し、このような位置で挿入が行われる場合、これは、位置36におけるアスパラギン酸の挿入については*36Dというように、示される。複数の変異はプラスにより分離され、すなわち、S99G+V102Nは位置99と102における変異が、各々グリシンをセリンに、及び、アスパラギンをバリンに、置換することを表す。ある位置(例えば、102)におけるアミノ酸が、アミノ酸の群、例えば、N及びIからなる群から選択される別のアミノ酸により置換され得る場合、これはV102N/Iにより示される。
【0040】
全ての場合において、一般に認められたIUPACの一文字又は三文字アミノ酸略記を採用する。
【0041】
プロテアーゼアミノ酸の番号付与
本特許において使用される番号付与は、SEQ ID No:1として列挙される特定のプロテアーゼ(PB92)に対する番号付与である。代替的な番号付与スキームは、当該技術分野において一般的に使用されるいわゆるBPN’番号付与スキームである。便宜のため、これらの番号付与スキームを以下の表1で比較する。
【0042】
【表1】

【0043】
アミノ酸の同一性
2つのアミノ酸配列間の関連性は、パラメーター「同一性」により説明される。本発明の目的上、2つのアミノ酸配列のアラインメントは、EMBOSSパッケージ(http://emboss.org)バージョン2.8.0内のNeedleというプログラムを用いることによって割り出す。Needleプログラムは、Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(1970)J.Mol.Biol.48,443〜453に記載されている国際的なアラインメントアルゴリズムを実装する。用いる置換マトリクスはBLOSUM62、ギャップオープニングペナルティは10、ギャップエクステンションペナルティは0.5である。
【0044】
本明細書で使用される酵素のアミノ酸配列(「本配列(invention sequence)」)と異なるアミノ酸配列(「異質配列(foreign sequence)」)との間の同一性の度合いは、2つの配列のアラインメントにおける完全一致の数を「本配列」の長さ又は「異質配列」の長さのいずれか短い方で除算して、計算される。この結果を同一度(%)として表す。完全一致は、「本配列」と「異質配列」に、同一のアミノ酸残基が重複部分の同じ位置に備わっている場合に発生する。配列の長さは、配列内のアミノ酸残基の数である。
【0045】
α−アミラーゼ
本明細書における使用に好適なα−アミラーゼには、細菌由来又は真菌由来のものが挙げられる。化学操作された又は遺伝子操作された突然変異体(変異型)が含まれる。好ましいアルカリ性α−アミラーゼは、バチルスの菌種から、例えば、Bacillus licheniformis、Bacillus amyloliquefaciens、Bacillus stearothermophilus、Bacillus subtilis、又は他のバチラス種、例えばバチルス種NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、Bacillus sp.707、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)から由来する。好ましいアミラーゼとしては、以下のものが挙げられる。
(a)国際公開第94/02597号、同第94/18314号、同第96/23874号、及び同第97/43424号に記載の変異体、特に、国際公開第96/23874号のSEQ ID No.2としてリストされた酵素に対して、以下の位置:15、23、105、106、124、128、133、154、156、181、188、190、197、202、208、209、243、264、304、305、391、408及び444のうちの1つ以上が置換された変異体。
(b)米国特許第5,856,164号及び国際公開第99/23211号、同96/23873号、同00/60060号、及び同06/002643号に記述されている変異体、特に、SEQ ID No.2として記載されているAA560酵素に対する次の1つ以上の位置に置換を有する変異体:
9、26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、195、202、203、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、320、323、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、458、461、471、482、484、ただし、これらはまた、好ましくはD183*及びG184*の欠失を含有する。
(c)国際公開第06/002643号でのSEQ ID No.4(バチルスSP722からの野生型酵素)と少なくとも90%の同一性を呈し、特に位置183及び184で欠損を有する変異体、並びに本明細書に参照により組み込まれる国際公開第00/60060号に記載の変異体。
(d)SEQ ID NO:5と少なくとも95%以上同一性を呈する変異体、Bacillus sp.707由来の野生型酵素、特に、M202、M208、S255、R172、及び/又はM261の位置の1つ以上に突然変異を含むもの。
【0046】
好適な市販のα−アミラーゼは、DURAMYL(登録商標)、LIQUEZYME(登録商標)、TERMAMYL(登録商標)、TERMAMYL ULTRA(登録商標)、NATALASE(登録商標)、SUPRAMYL(登録商標)、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、FUNGAMYL(登録商標)及びBAN(登録商標)(Novozymes A/S)、BIOAMYLASE−D(G)、BIOAMYLASE(登録商標)L(Biocon India Ltd.)、KEMZYM(登録商標)AT 9000(Biozym Ges.m.b.H,Austria)、RAPIDASE(登録商標)、PURASTAR(登録商標)、OPTISIZE HT PLUS(登録商標)及びPURASTAR OXAM(登録商標)(Genencor International Inc.)並びにKAM(登録商標)(花王、日本)である。一態様では、好ましいアミラーゼは、NATALASE(登録商標)、STAINZYME(登録商標)及びSTAINZYME PLUS(登録商標)、並びにこれらの混合物である。
【0047】
本明細書で用いるのに好ましいアミラーゼは、低温アミラーゼである。低温アミラーゼを含む組成物は、洗浄性を損なうことのない、エネルギー効率により優れた食器洗浄方法を可能にする。更に、本明細書に使用するのに好適なのは、2つ以上のアミラーゼの混合物の組み合わせであり、好ましくはこの混合物は、低温アミラーゼを少なくとも1つ含む。アミラーゼの混合物は、特に再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーと共に使用されるとき、より広い温度及び/又は基材範囲にわたって洗浄の向上に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0048】
本明細書で使用される「低温アミラーゼ」は、25℃で、参照アミラーゼの相対活性の少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍を呈するアミラーゼである。本明細書で使用される「参照アミラーゼ」は、商標名Termamyl(商標)(Novozymes A/S)で市販される、SEQ ID No.3の酵素である。本明細書で使用するとき、「相対活性」は、アッセイを行った温度における酵素の活性を、pH 9で測定されたその最適温度におけるその活性で除算することから得られる率である。
【0049】
好ましくは低温アミラーゼは、以下の特性の1つ以上を有する。
(a)50℃において、それらの最大活性の60%以上、好ましくは70%、より好ましくは80%、特に90%
(b)40℃において、それらの最大活性の30%以上、好ましくは40%、より好ましくは50%、更に好ましくは60%、特に70%
(c)30℃において、それらの最大活性の20%以上、好ましくは30%、より好ましくは40%。
【0050】
本明細書において以下に記載される周知の標準的なアミラーゼアッセイにより、活性を測定することができ、活性について20℃〜90℃でアッセイを行う。
【0051】
化学的又は遺伝的に改変された変異型(変異体)を含め、本明細書で使用される低温アミラーゼは、Bacillus sp.NCIB 12289、NCIB 12512、NCIB 12513、DSM 9375(米国特許第7,153,818号)、DSM 12368、DSMZ no.12649、KSM AP1378(国際公開第97/00324号)、KSM K36又はKSM K38(欧州特許第1,022,334号)から誘導されたものと、90%以上、好ましくは95%、より好ましくは98%、更により好ましくは99%、及び特に100%同一性を有する、アルカリアミラーゼである。好ましい低温アミラーゼには、以下のものが挙げられる。
(a)米国特許第5,856,164号及び国際公開第99/23211号、同第96/23873号、同第00/60060号、及び同第06/002643号に記述されている変異体、特に、SEQ ID NO:2として記載されているAA560酵素に対する次の1つ以上の位置に置換を有する変異体:
9、26、30、33、82、37、106、118、128、133、149、150、160、178、182、186、193、195、202、203、214、231、256、257、258、269、270、272、283、295、296、298、299、303、304、305、311、314、315、318、319、320、323、339、345、361、378、383、419、421、437、441、444、445、446、447、450、458、461、471、482、484、ただし、これらはまた、好ましくはD183*及びG184*の欠失を含有する。
(b)国際公開第06/002643のSEQ ID No.4と90%以上同一を呈する変異体、Bacillus SP722からの野生型酵素、特に、183位及び184位の欠失を伴う変異体と、国際公開第00/60060号に記述されている変異体であり、これらは参考として本明細書に組み込まれる。
好適な市販の低温α−アミラーゼには、STAINZYME(登録商標)、STAINZYME PLUS(登録商標)、STAINZYME ULTRA(登録商標)及びNATALASE(登録商標)(Novozymes A/S)が挙げられる。
(c)SEQ ID No.5と少なくとも95%以上同一を呈する変異体、Bacillus sp.707由来の野生型酵素、特に、M202、M208、S255、R172、及び/又はM261の位置の1つ以上に突然変異を含むもの。
【0052】
本明細書に使用するのに特に好ましい低温アミラーゼは、次のいずれかを含むアミラーゼ変異体である:
(a)SEQ ID NO:2に対して次の位置で、1つ以上、好ましくは3つ以上の置換を有する:
9、26、149、182、186、202、257、295、299、323、339及び345、並びに、
(b)所望により、118、183、184、195、320及び458(存在する場合は好ましくはR118K、D183*、G184*、N195F、R320K及び/又はR458Kを含む)の位置において1つ以上、好ましくは全て、置換及び/又は欠失を有する:
又は
(c)SEQ ID NO:5に対してM202、M208、S255、R172、及び/又はM261の位置で少なくとも1つの置換を有する。好ましくはこのアミラーゼは、M202L、M202V、M202S、M202T、M202I、M202Q、M202W、S255N及び/又はR172Qの1つ以上を含む。特に好ましいのは、M202L又はM202Tの変異を含むものである。
【0053】
最も好ましい低温アミラーゼには、次の突然変異の組み合わせを含むものが挙げられる:
(i)M9L+M323T;
(ii)M9L+M202L/T/V/I+M323T;
(iii)M9L+N195F+M202L/T/V/I+M323T;
(iv)M9L+R118K+D183*+G184*+R320K+M323T+R458K;
(v)M9L+R118K+D183*+G184*+M202L/T/V/I+R320K+M323T+R458K;
(vi)M9L+G149A+G182T+G186A+M202L+T257I+Y295F+N299Y+M323T+A339S+E345R;
(vii)M9L+G149A+G182T+G186A+M202I+T257I+Y295F+N299Y+M323T+A339S+E345R;
(viii)M9L+R118K+G149A+G182T+D183*+G184*+G186A+M202L+T257I+Y295F+N299Y+R320K+M323T+A339S+E345R+R458K;
(ix)M9L+R118K+G149A+G182T+D183*+G184*+G186A+N195F+M202L+T257I+Y295F+N299Y+R320K+M323T+A339S+E345R+R458K;
(x)M9L+R118K+G149A+G182T+D183*+G184*+G186A+M202I+T257I+Y295F+N299Y+R320K+M323T+A339S+E345R+R458K;
(xi)M9L+R118K+D183*+D184*+N195F+M202L+R320K+M323T+R458K;
(xii)M9L+R118K+D183*+D184*+N195F+M202T+R320K+M323T+R458K;
(xiii)M9L+R118K+D183*+D184*+N195F+M202I+R320K+M323T+R458K;
(xiv)M9L+R118K+D183*+D184*+N195F+M202V+R320K+M323T+R458K;
(xv)M9L+R118K+N150H+D183*+D184*+N195F+M202L+V214T+R320K+M323T+R458K;又は、
(xvi)M9L+R118K+D183*+D184*+N195F+M202L+V214T+R320K+M323T+E345N+R458K。
【0054】
商標名STAINZYME PLUS(登録商標)として市販されているアミラーゼが、最も好ましい。
【0055】
高温アミラーゼは、pH 9、温度25℃において、相対活性が0.25未満、又は典型的には0.2未満であるものとして特徴づけられる。そのような酵素の例には、この試験の参照酵素であるTermamyl(商標)があり、これはBacillus licheniformisから得られた野生型酵素であり、この配列はSEQ ID NO:3である。
【0056】
α−アミラーゼ活性のためのアッセイ
p−ニトロフェノール発色団(Infinityアミラーゼ試薬(Thermo Electron(Woburn,MA,USA,Cat #:TR25421))で改変されたマルトヘプタオシドを使用して、アミラーゼ活性を測定する。発色団の遊離をアミラーゼ活性を介して開始する。アミラーゼ活性を最初にAMUで測定する。1AMU(アミラーゼ単位)は、1分当たりの小さな炭水化物(G2〜4)の初期形成速度が1分当たり1μモルの4−ニトロフェノールに相当するように、PNP−G7(p−ニトロフェニル−α,D−マルトヘプタオシド)炭水化物基質を加水分解する酵素の量である。
【0057】
対照酵素(商標名Termamyl(商標)(Novozymes A/S)で販売されているSEQ ID No:3のもの)に対してこの試験を行う。これらのアミラーゼ単位(AMU)を、0.133mgのTermamyl(商標)が1KNUに相当する変換率を使用して、kNUの単位に変換する。したがって、上記アッセイを使用して、酵素試料が0.266mgのTermamyl(商標)により示されるものと等しい活性を示す場合、その活性は2KNUであると考えられる。
【0058】
分析
200μLの希釈酵素含有試料を2500μLのInfinityアミラーゼ試薬に加える。混合し、37℃で4.5分間にわたってインキュベートする。吸光度を415nmで読み取る。
【0059】
好ましくは、本発明の組成物中の低温アミラーゼは、洗剤組成物1グラム当たり少なくとも6KNUの活性、より好ましくは少なくとも7.5KNUの活性を有する。
【0060】
プロテアーゼ
好適なプロテアーゼとしては、スブチリシン(EC3.4.21.62)のような、中性又はアルカリ性の微生物セリンプロテアーゼなどの、メタロプロテアーゼ及びセリンプロテアーゼが挙げられる。好適なプロテアーゼとしては、動物、植物又は微生物の起源のものが挙げられる。微生物起源が好ましい。化学操作された又は遺伝子操作された突然変異体が含まれる。プロテアーゼはセリンプロテアーゼ、好ましくは、アルカリ性微生物プロテアーゼ又はキモトリプシン若しくはトリプシン様プロテアーゼである。中性又はアルカリ性のプロテアーゼとして以下のものが挙げられる。
(a)サブチリシン(EC 3.4.21.62)(Bacillus lentus、B.alkalophilus、B.subtilis、B.amyloliquefaciens、Bacillus pumilus及びBacillus gibsoniiなどのバチルスから誘導されたものを含む)(米国特許第6,312,936(B1)号、同第5,679,630号、同第4,760,025号、DE102006022216A1号及びDE102006022224A1に記載)。
(b)トリプシン(例えばブタ又はウシ由来)などのトリプシン型又はキモトリプシン型プロテアーゼ(国際公開第89/06270号に記述されているフサリウムプロテアーゼ、及び同第05/052161号及び同第05/052146号に記述されているCellumonasに由来するキモトリプシンプロテアーゼを含む)。
(c)メタロプロテアーゼ(国際公開第07/044993(A2)号に記述されているBacillus amyloliquefaciensから誘導されたものを含む)。
【0061】
好適な市販のプロテアーゼ酵素としては、商品名Alcalase(登録商標)、Savinase(登録商標)、Primase(登録商標)、Durazym(登録商標)、Polarzyme(登録商標)、Kannase(登録商標)、Liquanase(登録商標)、Ovozyme(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Everlase(登録商標)、及びEsperase(登録商標)でNovozymes A/S(Denmark)により販売されているもの、商品名Maxatase(登録商標)、Maxacal(登録商標)、Maxapem(登録商標)、Properase(登録商標)、Purafect(登録商標)、Purafect Prime(登録商標)、Purafect Ox(登録商標)、FN3(登録商標)、FN4(登録商標)、Excellase(登録商標)、及びPurafect OXP(登録商標)でGenencor Internationalにより販売されているもの、及び商品名Opticlean(登録商標)及びOptimase(登録商標)でSolvay Enzymesにより販売されているものが挙げられる。
【0062】
本発明の組成物において、2つ以上のプロテアーゼの混合物を使用することができ、低温プロテアーゼを少なくとも1つ含むそのような混合物が、本明細書において使用するのに好ましい。プロテアーゼの混合物は、再付着防止剤及び/又はスルホン化ポリマーと共に使用されるとき、より広い温度及び/又は基材範囲にわたって洗浄の向上に貢献することができ、優れた光沢効果を提供することができる。
【0063】
低温プロテアーゼ
洗剤に一般的に使用されるプロテアーゼは、50℃の高温、特に60℃で、非常に有効である。そのような一般に使用されるプロテアーゼは、Bacillus lentusの野生型サブチリシンプロテアーゼであり、Savinase(商標)又はPurafect(商標)の商標名で販売され、参照プロテアーゼとして後述される。
【0064】
本発明の組成物中に存在する1つ以上のプロテアーゼを、低温プロテアーゼにすることは、特に有用であり得ることが見出されている。本明細書で使用される「低温プロテアーゼ」は、25℃で、参照プロテアーゼの相対活性の少なくとも1.2倍、好ましくは少なくとも1.5倍、より好ましくは少なくとも2倍を呈するプロテアーゼである。本明細書において「参照プロテアーゼ」は、Bacillus lentusの野生型サブチリシンプロテアーゼであり、Savinase(商標)又はPurafect(商標)の商標名で市販されており、その配列はSEQ ID No:4である。本明細書で使用するとき、「相対活性」は、アッセイを行った温度における酵素の活性を、pH 9で測定されたその最適温度におけるその活性で除算することから得られる率である。
【0065】
本明細書に用いるための低温プロテアーゼは、Bacillus lentusの野生型酵素と少なくとも90%の、好ましくは少なくとも95%の、より好ましくは少なくとも98%の、更に好ましくは少なくとも99%の、特に100%の同一性を示し、参照として本明細書に組み込まれている、国際公開第00/37627号に示すようなBPN’番号付けシステム及びアミノ酸略称を用いて、以下の位置の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上において変異を含む、ポリペプチドを含む:
68、87、99、101、103、104、118、128、129、130、167、170、194、205及び222。
【0066】
好ましくは、突然変異は、V68A、S87N、S99D、S101G、S103A、V104N/I、Y167A、R170S、A194P、V205I及び/又はM222Sの1つ以上、好ましくは2つ以上、更に好ましくは3つ以上から選択される。
【0067】
SEQ ID NO:4の酵素と直接比較すると、上記の突然変異の組は、下記の位置における突然変異に対応する:
66、85、97、99、101、102、116、126、127、128、161、164、188、199及び216。
【0068】
好ましくは、この突然変異は、SEQ ID NO:4の酵素に対し、下記の1つ以上、好ましくは2つ以上、より好ましくは3つ以上から選択される:
V66A、S85N、S97D、S99G、S101A、V102N/I、Y161A、R164S、A188P、V199I及び/又はM216S。
【0069】
最も好ましくは、プロテアーゼは、SEQ ID NO:1に対する下記の突然変異を含む群から選択される(突然変異番号は、BPN’番号ではなくSEQ ID NO:1に対する直接の番号である):
(i)G116V+S126L+P127Q+S128A、
(ii)G116V+S126N+P127S+S128A+S160D、
(iii)G116V+S126L+P127Q+S128A+S160D、
(iv)G116V+S126V+P127E+S128K、
(v)G116V+S126V+P127M+S160D、
(vi)G116V+S126F+P127L+S128T、
(vii)G116V+S126L+P127N+S128V、
(viii)G116V+S126F+P127Q、
(ix)G116V+S126V+P127E+S128K+S160D、
(x)G116V+S126R+P127S+S128P、
(xi)S126R+P127Q+S128D、
(xii)S126C+P127R+S128D、
(xiii)S126C+P127R+S128G、
(xiv)S99G+V102N、
(xv)N74D+N85S+S101A+V102I、
(xvi)V66A+N85S+S99G+V102N
【0070】
このような低温プロテアーゼの例としては、Polarzyme(商標)(Novozymes A/S,Bagsvaerd,Denmark)、Properase(商標)、Properase BS(商標)、FN3(商標)、FN4(商標)及びExcellase(登録商標)(Genencor International Inc.,Palo Alto,California,USA)が挙げられる。
【0071】
高温プロテアーゼは、pH 9、温度60℃において、Bacillus lentus由来の野生型以上の相対活性を有するものとして特徴付けられ、商標名Savinase(商標)又はPurafect(商標)として販売されている。好ましい実施形態において、この高温プロテアーゼは、Savinase(商標)又はPurafect(商標)である。本明細書で使用するとき、「相対活性」は、アッセイを行った温度における酵素の活性を、pH 9で測定されたその最適温度におけるその活性で除算することから得られる率である。
【0072】
プロテアーゼ活性の分析
プロテアーゼ活性は、ジメチルカゼイン(DMC)を使用して測定される。ペプチドの放出は、プロテアーゼ作用を介して開始される。プロテアーゼ活性は、PU単位で測定される。1PU(プロテアーゼ単位)は、1分間のペプチドの形成初期速度が1分間当たりの1μモルのグリシンに対応するよう、カゼインを加水分解する酵素の量である。1KPUは1000プロテアーゼ単位に等しい。
【0073】
分析
2,4,6トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBSA)溶液及びDMC溶液を調製する。全ての成分は、特に明記しない限り、Sigma−Aldrich(Milwaukee,USA)からである。0.40mLのTNBSA(Sigma Cat No P−2297)を50mLの脱イオン水に溶解させることにより、TNBSA溶液を作製する。5.09gの塩化カリウム(Sigma Catalogue No:P−3911)及び1.545gのホウ酸(Sigma Catalogue No:B−0399)を500mLの脱イオン水に溶解させることにより、DMC溶液を作製する。この溶液を10分間にわたって撹拌して溶解させ、50%のNaOHを使用してpHを9.0に調整する。次に、2gのDMCを加え(DMC(British Drug House,Cat No.79457))、溶液を撹拌して溶解させる。
【0074】
1800μLのDMC溶液に100μLの希釈酵素含有試料(0.04%の塩化カルシウムを有する0.5%亜硫酸ナトリウム溶液(各々、Sigma Catalogue No:C−5080及びSigma Catalogue No:S−6672))を加える。得られた溶液を混合して、37℃で4分間にわたってインキュベートする。次に、この混合液に900μLのTNBSA溶液を加え、更に5分間にわたってインキュベートする。吸光度を415nmで読み取る。
【0075】
本発明の変異型プロテアーゼは、好ましくは組成物1グラム当たり少なくとも0.3KNPU、より好ましくは組成物1グラム当たり少なくとも0.7KNPU、特に組成物1グラム当たり1KNPUの活性を有する。
【0076】
酵素の添加
本発明の組成物で用いるのに好適な追加的な酵素は、ヘミセルラーゼ、セルラーゼ、セロビオースデヒドロゲナーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、マンナナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ケラチナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ及びこれらの混合物からなる群から選択される1つ以上の酵素を含むことができる。
【0077】
好ましい実施形態では、このような追加的な酵素は、リパーゼからなる群から選択されてもよく、例えば、配列が米国特許第6,939,702(B1)号の5及び6ページのSEQ ID No 1であるHumicola Lanuginosaの野生型の位置3、224、229、231及び233のいずれかにおける電気的に中性又は負に帯電しているアミノ酸の、R又はKでの置換を含む「第一サイクルリパーゼ」、好ましくはT231R及びN233R変異を含む変異体である。1つのこのような好ましい変異体が、商標名Lipex(登録商標)(Novozymes A/S(Bagsvaerd,Denmark))で販売されている。
【0078】
洗浄活性物質
何らかの洗浄成分を、本発明の製品の一部として使用することができる。所与の濃度は重量%であり、かつ組成物全体について指す(包装又は包囲材料を有する単位用量形態の場合、水溶性材料製の包みは除外する)。組成物はリン酸塩ビルダーを含有し、あるいはリン酸塩ビルダーは含まずに、漂白活性化剤、漂白触媒、界面活性剤、アルカリ源、抗スケールポリマー、抗腐食剤(例えばケイ酸ナトリウム)及び処理剤から選択され得る1つ以上の洗剤活性成分を含むことができる。本明細書で用いるのに非常に好ましい洗浄成分としては、ビルダー化合物、アルカリ源、界面活性剤、抗スケールポリマー(好ましくはスルホン化ポリマー)、酵素及び従来の漂白剤が挙げられる。
【0079】
界面活性剤
本明細書で用いるのに好適な界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤が挙げられる。従来、非イオン性界面活性剤は表面改質の目的で自動食器洗浄に使用されており、特にフィルム形成と斑点形成を避け、光沢を改善するためのシート化の目的で使用される。非イオン性界面活性剤はまた、汚れの再付着の防止にも貢献することが判明している。
【0080】
好ましくは本発明の製品は非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系を含み、より好ましくは、非イオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤系は、蒸留水中で1%濃度の時に、40〜70℃、好ましくは45〜65℃の間で測定されるような転相温度を有する。「非イオン性界面活性系」は、本明細書では2つ以上の非イオン性界面活性剤の混合物を意味する。本明細書で使用するのに好ましいのは、非イオン性界面活性系である。これらは、単一の非イオン性界面活性剤よりも、製品中で洗浄及び仕上がり特性の改善並びに良好な安定性を有すると考えられる。
【0081】
転相温度は、界面活性剤又はその混合物が、その温度より低いときに油を含んだミセルとして優先的に水相内で小区分を形成し、その温度より高いのときに水を含んだ逆転ミセルとして油相内で優先的に小区分を形成する温度である。転相温度は、曇りが生じる温度を識別することにより、視覚的に測定することができる。
【0082】
非イオン性界面活性剤又は界面活性システムの転相温度は、次のようにして測定することができる:対応する界面活性剤又は混合物1重量%を含む、蒸留水中水溶液を調製する。転相温度分析の前に、この溶液を静かに撹拌し、この方法が確実に化学的平衡状態で起こるようにする。転相温度は、75mm密封試験管に入れたこの溶液を、温度安定な水浴に浸漬して、測定する。漏れがないことを確認するため、試験管は、転相温度測定の前後で計量を行う。温度があらかじめ予測した転相温度の数度下に達するまで、毎分1℃未満の速度で温度を徐々に上げる。視覚的に濁りが最初に見られたときの、転相温度を測定する。
【0083】
好適な非イオン性活性剤としては、次のものが挙げられる:i)エトキシル化非イオン性界面活性剤(炭素原子6〜20個のモノヒドロキシアルカノール又はアルキルフェノールと、アルコール又はアルキルフェノール1モル当たり好ましくは12モル以上、特に好ましくは16モル以上、更により好ましくは20モル以上のエチレンオキシドとの反応により調製される)、ii)炭素原子6〜20個と、少なくとも1つのエトキシ基及びプロポキシ基を有する、アルコールアルコキシル化界面活性剤。本明細書で使用するのに好ましいのは、界面活性剤i)及びii)の混合物である。
【0084】
別の好適な非イオン性界面活性剤は、次の式で表わされる、エポキシで末端保護されたポリ(オキシアルキル化)アルコールである:
R1O[CH2CH(CH3)O]x[CH2CH2O]y[CH2CH(OH)R2] (I)
式中、R1は炭素原子4〜18個を有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素ラジカルであり、R2は炭素原子2〜26個を有する直鎖又は分枝鎖の脂肪族炭化水素ラジカルであり、xは平均値が0.5〜1.5、より好ましくは約1である整数であり、yは値が15以上、より好ましくは20以上の整数である。
【0085】
好ましくは、式Iの界面活性剤は、末端エポキシド単位[CH2CH(OH)R2]中に少なくとも約10個の炭素原子を有する。本発明による好適な式Iの界面活性剤は、例えば、Olin Corporationによる国際公開第94/22800号(1994年10月13日公開)に記載のOlin CorporationのPOLY−TERGENT(登録商標)SLF−18B非イオン性界面活性剤である。
【0086】
好ましくは、本明細書において再付着防止剤として使用するための非イオン性界面活性剤及び/又は系は、Draves濡れ性方法(以下の条件、3gのフック、5g綿糸、0.1重量%の水溶液で、25℃の温度下で標準方法ISO 8022を使用する)により測定されるとき、360秒未満、好ましくは200秒未満、より好ましくは100秒未満、特に60秒未満のDraves濡れ時間を有する。
【0087】
アミンオキシド界面活性剤も再付着防止界面活性剤として本発明において有用であり、次式を有する直鎖及び分枝鎖化合物が挙げられる。
【0088】
【化1】

式中、R3は8〜26個の炭素原子、好ましくは8〜18個の炭素原子を含有する、アルキル、ヒドロキシアルキル、アシルアミドプロピル及びアルキルフェニル基、又はこれらの混合物から選択され、R4は2〜3個の炭素原子、好ましくは2個の炭素原子を含有するアルキレン又はヒドロキシアルキレン基、又はこれらの混合物であり、xは0〜5、好ましくは0〜3であり、各R5は1〜3個、好ましくは1〜2個の炭素原子を含有するアルキル又はヒドロキシアルキル基、又は1〜3個、好ましくは1個のエチレンオキシド基を含有するポリエチレンオキシド基である。R5基は、例えば酸素原子又は窒素原子を介して互いに結合して、環状構造を形成できる。
【0089】
これらのアミンオキシド界面活性剤としては、特に、C10〜C18アルキルジメチルアミンオキシド、及びC8〜C18アルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが挙げられる。このような物質の例としては、ジメチルオクチルアミンオキシド、ジエチルデシルアミンオキシド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキシド、ジメチルドデシルアミンオキシド、ジプロピルテトラデシルアミンオキシド、メチルエチルヘキサデシルアミンオキシド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキシド、セチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、タロージメチルアミンオキシド、及びジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキシドが挙げられる。C10〜C18アルキルジメチルアミンオキシド及びC10〜18アシルアミドアルキルジメチルアミンオキシドが好ましい。
【0090】
界面活性剤は、組成物全体の0〜10重量%、好ましくは0.1〜10重量%、及び最も好ましくは0.25〜6重量%の量で存在し得る。
【0091】
ビルダー
本明細書で用いるためのビルダーとしては、リン酸塩ビルダー及びリン酸塩不含ビルダーが挙げられる。存在する場合、ビルダーは、組成物の5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜50重量%の濃度で使用する。一部の実施形態においては、製品は、リン酸塩ビルダーと非リン酸塩ビルダーの混合物を含む。
【0092】
リン酸塩ビルダー
好ましいリン酸塩ビルダーとしては、モノリン酸塩、ジリン酸塩、トリポリホスフェート又はポリホスフェートオリゴマーが使用される。これらの化合物のアルカリ金属塩、特にナトリウム塩は好ましい。特に好ましいビルダーはトリポリリン酸ナトリウム(STPP)である。
【0093】
非リン酸塩ビルダー
好ましい非リン酸塩ビルダーとしては、アミノ酸系化合物、特にMGDA(メチル−グリシン−二酢酸)並びにそれらの塩及び誘導体、及びGLDA(グルタミン−N,N−二酢酸)並びにそれらの塩及び誘導体が挙げられる。GLDA(それらの塩及び誘導体)は特に、本発明に従って好ましく、それらの四ナトリウム塩が特に好ましい。好ましくは、MGDA又はGLDAは、本発明の組成物中に、組成物の0.5重量%〜20重量%、より好ましくは約1重量%〜約10重量%、特に約2〜約7重量%の濃度で存在する。
【0094】
MGDA及び/又はGLDAに加えて、又はこれらの代わりに本明細書で用いるのに好適なビルダーとしては、水溶性の硬度イオンの錯体(封鎖ビルダー)を形成する、クエン酸塩などのビルダー、並びに硬度イオンの沈殿物(沈殿ビルダー)を形成する、カーボネート(例えば炭酸ナトリウム)などのビルダーが挙げられる。
【0095】
他の好適な非リン酸塩ビルダーとしては、アミノ酸系化合物又はコハク酸系化合物が挙げられる。用語「コハク酸塩系化合物」及び「コハク酸系化合物」は、本明細書において互換的に使用される。他の好適なビルダーは、米国特許第6,426,229号で述べられている。特に好適なビルダーとしては、例えば、アスパラギン酸−N−一酢酸(ASMA)、アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、アスパラギン酸−N−モノプロピオン酸(ASMP)、イミノ二コハク酸(IDA)、N−(2−スルホメチル)アスパラギン酸(SMAS)、N−(2−スルホエチル)アスパラギン酸(SEAS)、N−(2−スルホメチル)グルタミン酸(SMGL)、N−(2−スルホエチル)グルタミン酸(SEGL)、N−メチルイミノ二酢酸(MIDA)、α−アラニン−N,N−二酢酸(α−ALDA)、セリン−N,N−二酢酸(SEDA)、イソセリン−N,N−二酢酸(ISDA)、フェニルアラニン−N,N−二酢酸(PHDA)、アントラニル酸−N,N−二酢酸(ANDA)、スルファニル酸−N,N−二酢酸(SLDA)、タウリン−N,N−二酢酸(TUDA)及びスルホメチル−N,N−二酢酸(SMDA)、並びにこれらのアルカリ金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
【0096】
好ましくは、非リン酸塩ビルダーは、組成物中に、組成物全体の少なくとも1重量%、より好ましくは少なくとも5重量%、更により好ましくは少なくとも10重量%、及び最も好ましくは少なくとも20重量%の量で存在する。好ましくは、これらのビルダーは、組成物全体の最大50重量%、より好ましくは最大45重量%、更により好ましくは最大40重量%、及び特に最大35重量%の量で存在する。好ましい実施形態では、組成物は組成物全体の20重量%以下のリン酸塩ビルダー、より好ましくは組成物全体の10重量%以下のリン酸塩ビルダーを含有し、最も好ましくは組成物は実質的にはリン酸塩ビルダーを含まない。
【0097】
他の非リン酸塩ビルダーとしては、ポリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマー、並びにそれらの部分的若しくは完全に中和された塩、モノマーのポリカルボン酸及びヒドロキシカルボン酸、並びにそれらの塩が挙げられる。上記の化合物の好ましい塩は、アンモニウム及び/又はアルカリ金属塩、すなわち、リチウム、ナトリウム及びカリウム、並びに特に好ましい塩はナトリウム塩である。
【0098】
好適なポリカルボン酸は、非環式、脂環式、複素環式及び芳香族カルボン酸であり、これらの場合において少なくとも2つのカルボキシル基が含まれ、これらはそれぞれ、互いに離れた場所に分離され、好ましくはわずか炭素原子2つ分、互いに離れている。2つのカルボキシル基を含むポリカルボキシレートは、例えばマロン酸、(エチレンジオキシ)二酢酸、マレイン酸、ジグリコール酸、酒石酸、タルトロン酸、及びフマル酸の水溶性の塩を含む。3つのカルボキシル基を含有するポリカルボキシレートとしては、例えば水溶性クエン酸塩が挙げられる。それに相応するものとして、好適なヒドロキシカルボン酸は、例えばクエン酸である。他の好適なポリカルボン酸は、アクリル酸のホモポリマーである。他の好適なビルダーは、国際公開第95/01416号に記載されており、その内容は本明細書において参照として記載される。
【0099】
抗スケールポリマー
このポリマーは、使用される場合、組成物の約0.1重量%〜約50重量%、好ましくは0.5重量%〜約20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の任意の好適な量で使用される。スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、本発明の組成物に特に好適である。
【0100】
本明細書に記載される好適なスルホン化/カルボキシル化ポリマーは、約100,000Da以下、又は約75,000Da以下、又は約50,000Da以下、又は約3,000Da〜約50,000Da、好ましくは約5,000Da〜約45,000Daの重量平均分子量を有し得る。
【0101】
本明細書に記載されるように、スルホン化/カルボキシル化ポリマーは、(a)一般式(I):
【0102】
【化2】

(式中、R1〜R4は、独立に、水素、メチル、カルボン酸基又はCH2COOHであり、式中、カルボン酸基は中和することができる)を有する少なくとも1つのカルボン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造ユニット、(b)任意選択的に、式(II):
【0103】
【化3】

(式中、R5は水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、Xは芳香族であるか(Xが芳香族である時、R5は水素又はメチルである)又はXは一般式(III):
【0104】
【化4】

(式中、R6は(R5とは独立に)水素、C1〜C6アルキル、又はC1〜C6ヒドロキシアルキルであり、YはO又はNである)を有するかのいずれかである)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される1つ以上の構造ユニット、及び一般式(IV):
【0105】
【化5】

(式中、R7は少なくとも1つのsp2結合を含む基であり、AはO、N、P、S又はアミド若しくはエステル結合であり、Bはモノ−又は多環式芳香族基又は脂肪族基であり、各tは独立して0又は1であり、かつM+はカチオンである)を有する少なくとも1つのスルホン酸モノマーから誘導される少なくとも1つの構造ユニットを含み得る。1つの態様では、R7は、C2〜C6アルケンである。別の態様では、R7は、エテン、ブテン、又はプロペンである。
【0106】
好ましいカルボン酸モノマーには、以下:アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、メタクリル酸、又はアクリル酸のエトキシレートエステル、アクリル酸、の1つ以上が挙げられ、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。好ましいスルホン化モノマーには、以下の1つ以上が挙げられる:(メタ)アリルスルホン酸ナトリウム、スルホン酸ビニル、フェニル(メタ)アリルエーテルスルホン酸ナトリウム又は2−アクリルアミド−メチルプロパンスルホン酸。好ましい非イオン性モノマーには、以下の1つ以上が挙げられる:(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、メチル(メタ)アクリルアミド、エチル(メタ)アクリルアミド、t−ブチル(メタ)アクリルアミド、スチレン又はα−メチルスチレン。
【0107】
好ましくは、ポリマーは以下の濃度のモノマーを含む:ポリマーの約40重量%〜約90重量%の、好ましくは約60重量%〜約90重量%の、1つ以上のカルボン酸モノマー;ポリマーの約5重量%〜約50重量%の、好ましくは約10重量%〜約40重量%の、1つ以上のスルホン酸モノマー;及び任意選択的にポリマーの約1重量%〜約30重量%の、好ましくは約2重量%〜約20重量%の、1つ以上の非イオン性モノマー。特に好ましいポリマーは、ポリマーの約70重量%〜約80重量%の少なくとも1つのカルボン酸モノマーと、ポリマーの約20重量%〜約30重量%の少なくとも1つのスルホン酸モノマーとを含む。
【0108】
カルボン酸は好ましくは(メタ)アクリル酸である。スルホン酸モノマーは、好ましくは以下のうちの1つである:2−アクリルアミドメチル−1−プロパンスルホン酸、2−メタクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、3−メタクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸(allysulfonic acid)、メタリルスルホン酸(methallysulfonic acid)、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、2−ヒドロキシ−3−(2−プロペニルオキシ)プロパンスルホン酸、2−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−スルホプロピルアクリレート、3−スルホプロピルメタクリレート、スルホメチルアクリルアミド、スルホメチルメタクリルアミド、及びこれらの水溶性塩。不飽和スルホン酸モノマーは、最も好ましくは2−アクリルアミド−2−プロパンスルホン酸(AMPS)である。
【0109】
好ましい市販のポリマーとしては、Alco Chemicalにより供給されるAlcosperse 240、Aquatreat AR 540及びAquatreat MPS、Rohm & Haasにより供給されるAcumer 3100、Acumer 2000、Acusol 587G及びAcusol 588G、BF Goodrichにより供給されるGoodrich K−798、K−775及びK−797、並びに、ISP technologies Inc.により供給されるACP 1042が挙げられる。特に好ましいポリマーは、Rohm & Haasにより供給されるAcusol 587G及びAcusol 588Gである。
【0110】
ポリマーにおいて、全ての又は一部のカルボン酸基又はスルホン酸基は、中和された形態で存在することができ、すなわち、全ての又は一部の酸性基中のカルボン酸基及び/又はスルホン酸基の酸性水素原子は、金属イオンで、好ましくはアルカリ金属イオンで、特にナトリウムイオンで、置換することができる。
【0111】
ケイ酸塩
好ましいケイ酸塩は、ケイ酸ナトリウム、例えば二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、及び結晶性フィロケイ酸塩などである。ケイ酸塩がある場合は、典型的には、組成物の約1重量%〜約20重量%、好ましくは約5重量%〜約15重量%の濃度で存在する。
【0112】
漂白活性化剤
漂白活性化剤は、一般的に、60℃以下の温度での洗浄過程において漂白作用を増強する有機過酸前駆体である。本明細書で用いるのに好適な漂白活性化剤としては、過加水分解条件(perhydrolysis condition)下で好ましくは1〜10個の炭素原子、特に2〜4個の炭素原子を有する脂肪族ペルオキシカルボン酸、及び/又は任意に置換された過安息香酸をもたらす化合物が挙げられる。好適な物質は、指定された炭素原子の数のO−アシル及び/若しくはN−アシル基並びに/又は任意に置換されたベンゾイル基を有する。好ましいのは、ポリアシル化アルキレンジアミン、特にテトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、アシル化トリアジン誘導体、特に1,5−ジアセチル−2,4−ジオキソヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン(DADHT)、アシル化グリコールウリル、特にテトラアセチルグリコールウリル(TAGU)、N−アシルイミド、特にN−ノナノイルスクシンイミド(NOSI)、アシル化フェノールスルホネート、特にn−ノナノイル−又はイソノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はイソ−NOBS)、無水カルボン酸、特に無水フタル酸、アシル化多価アルコール、特にトリアセチン、二酢酸エチレングリコール及び2,5−ジアセトキシ−2,5−ジヒドロフラン及び更にはトリエチルアセチルシトレート(TEAC)である。漂白活性化剤は、本発明の組成物に含まれる場合、組成物全体の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度であり得る。
【0113】
漂白触媒
本明細書で用いるのに好ましい漂白触媒としては、トリアザシクロノナンマンガン及び関連錯体(米国特許第4246612号、同第5227084号);ビスピリジルアミンコバルト、ビスピリジルアミン銅、ビスピリジルアミンマンガン、及びビスピリジルアミン鉄、及び関連錯体(米国特許第5114611号);並びにペンタミンアセテートコバルト(III)及び関連錯体(米国特許第4810410号)が挙げられる。本明細書で用いるのに好適な漂白触媒の完全な記述は、国際公開第99/06521号、34ページ、26行〜40ページ、16行に見ることができる。漂白触媒は、本発明の組成物に含まれる場合、組成物全体の約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.5〜約2重量%の濃度であり得る。
【0114】
金属処理剤
金属処理剤は、金属(アルミニウム、ステンレス鋼、及び非鉄金属(銀及び銅など)を含む)の錆、腐食又は酸化を防止又は低減し得る。好適な例としては、次の1つ以上が挙げられる。
(a)ベンゾトリアゾール又はビス−ベンゾトリアゾールとこれらの置換誘導体を包含するベンザトリアゾール。ベンゾトリアゾール誘導体は、芳香族環上の使用可能な置換部位が部分的又は完全に置換されている化合物である。好適な置換基としては、直鎖又は分枝鎖のC1〜C20−アルキル基と、ヒドロキシル、チオ、フェニル又はフッ素、塩素、臭素、及びヨウ素などのハロゲンが挙げられる。
(b)金属が酸化状態II、III、IV、V又はVIの1つにある、亜鉛、マンガン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、コバルト、ガリウム、及びセリウムの塩及び/又は錯体からなる群から選択される金属塩及び錯体。1つの態様では、好適な金属塩及び/又は金属錯体は、硫酸Mn(II)、クエン酸Mn(II)、ステアリン酸Mn(II)、Mn(II)アセチルアセトネート、K2TiF6、K2ZrF6、CoSO4、Co(NO3)2及びCe(NO3)3、亜鉛塩(例えば、硫酸亜鉛、水亜鉛土又は酢酸亜鉛からなる群から選択され得る。
(c)ケイ酸ナトリウム又はカリウム、二ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、結晶性フィロケイ酸塩、及びこれらの混合物を包含するケイ酸塩。
【0115】
銀/銅腐食阻害剤として作用する更なる好適な有機及び無機レドックス活性物質は、国際公開第94/26860号及び国際公開第94/26859号で開示されている。
【0116】
好ましくは、本発明の組成物は、組成物全体の0.1〜5重量%、より好ましくは0.2〜4重量%、特に0.3〜3重量%の金属処理剤を含み、好ましくは金属処理剤は亜鉛塩である。
【0117】
単位用量形態
好ましくは、本発明の製品は1回用量製品である。1回用量形態の製品としては錠剤、カプセル、サッシェ、パウチなどが挙げられる。本明細書で用いるのに好ましいものは、水溶性フィルムで包装された錠剤及び1回用量形態(包装された錠剤、カプセル、サッシェ、パウチが挙げられる)及び射出成型された容器で包装された錠剤及び1回用量形態である。本発明の単位用量形態は好ましくは、水溶性多区画パックである。
【0118】
多区画パックは、複数の区画を形成する複数の水溶性包装材料により形成され、区画の1つは本発明の組成物を含有し、他の区画は液体組成物を含有することができ、この液体組成物は水性であってよく(すなわち液体組成物の10重量%を超える水を含む)、この区画は温水溶解性材料から作製される。一部の実施形態では、本発明の組成物を含む区画は冷水溶解性材料から作製される。異なる成分を分離し、かつ制御放出することが可能になる。他の実施形態では、全ての区画が温水溶解性材料からなる。
【0119】
好ましいパックは、他の区画の上に重ね合わせられた(すなわち上に配置された)、少なくとも2つの隣り合った区画を含み、パウチが特に好ましい。この配置は、パックの小型化、丈夫さ及び強度に貢献し、更にこの配置は、必要とされる水溶性材料の量を最小化する。3つの区画を形成するのに必要とされる材料は3片だけである。パックの丈夫さはまた、パックの物理的健全性を損なうことなく、非常に薄いフィルムの使用を可能にする。パックはまた、区画を折り畳む必要なく固定形状の機械分配器内で使用できることから、非常に使いやすい。パックの少なくとも2つの区画は、2つの異なる組成物を含有する。「異なる組成物」とは、本明細書では、少なくとも1つの成分が異なる組成物を意味する。
【0120】
好ましくは、少なくとも1つの区画は固体組成物を含有し、他の区画は液体組成物を含有し、これらの組成物では、固体の、液体に対する比が、好ましくは約20:1〜約1:20、より好ましくは約18:1〜約2:1、更により好ましくは約15:1〜約5:1である。この種類のパックは、パックが広範囲の固体:液体の比の値を有する組成物を収容できることから非常に多目的である。洗剤成分の多くは、固体形態での、好ましくは粉末形態での使用に最も好適であることから、特に好ましいものは固体対液体比が高いパウチであることが見出されている。本明細書で定義される固体:液体の比は、パック内の全ての固体組成物の重量と全ての液体組成物の重量との間の関係を指す。
【0121】
好ましい固体:液体の重量比は、約2:1〜約18:1であり、より好ましくは約5:1〜約15:1である。これらの重量比は、洗剤の成分の大半が液体形態である場合において好適である。
【0122】
好ましくは2つの隣り合った区画には、同じものであり得るが、好ましくは異なる液体組成物が収容され、他の区画には固体組成物が、好ましくは粉末形態で、より好ましくは圧密化粉末で収容される。固体組成物は、パックの強度及び丈夫さに貢献する。
【0123】
ディスペンサーへの適合性の理由から、特に自動食洗機では、本明細書の1回用量形態の製品は正方形又は長方形の基材を有し、高さは約1〜約5cm、より好ましくは約1〜4cmである。好ましくは固体組成物の重量は約5〜約20グラム、より好ましくは約10〜約15グラムであり、液体組成物の重量は約0.5〜約4グラム、より好ましくは約0.8〜約3グラムである。
【0124】
好ましい実施形態では、異なる区画を形成するフィルムの少なくとも2つは、同一条件下で異なる溶解度を有し、それらのフィルムが部分的又は全体的に包む組成物の内容物を異なる時間に放出する。
【0125】
多区画パウチの成分の制御放出は、フィルムの厚さ及び/又はフィルム材料の溶解度を変えることによって達成することができる。フィルム材の溶解性は、例えば国際公開第02/102,955号の17及び18ページに記載されているようにフィルムの架橋により、遅らせることができる。すすぎ剤を放出するように設計された他の水溶性フィルムは、米国特許第4,765,916号及び同第4,972,017号に記載されている。フィルムのワックス性被覆層(国際公開第95/29982号を参照のこと)は、すすぎ剤放出を補助し得る。pHにより制御される放出手段、とりわけ選択される程度のアセチル化を有するアミノ−アセチル化多糖は、国際公開第04/111178号に記載されている。
【0126】
異なる区画(区画が、異なる溶解度を有するフィルムで作製されている)を有する多区画パウチによる遅延放出を得る他の手段は、国際公開第02/08380号に教示されている。
【0127】
本明細書で示される百分率は全て、特に指定しない限り組成物に対する重量による。
【実施例】
【0128】
実施例で使用される略語
実施例では、省略された構成要素の識別表示は、次の意味を有する。
【0129】
【表2】

【0130】
下記の実施例において、濃度は全て組成物(固体又は液体組成物のいずれか)に対する重量パーセントで記載されている。
【0131】
(実施例1)
以下の表で一覧される組成物は、固体組成物(粉末形態)を含む第一区画と、液体組成物を含む、粉末区画上に重ねておかれる液体区画と、を有する多区画パウチの中に組み込まれる。パウチはMonosolから供給されるMonosol M8630から作製される。固体組成物の重量は17グラムであり、液体組成物の重量は2グラムである。
【0132】
【表3】

【0133】
本発明のプロテアーゼとアミラーゼを含有している粒剤は、米国特許第2008/0206830(A1)号に記載の方法により作製される。実施例1のパウチ用の粉末は良好な加工特性を有し、かつ保存に安定である。組成物は優れた洗浄性を提供する。
【0134】
本明細書に開示されている寸法及び値は、列挙した正確な数値に厳しく制限されるものとして理解すべきではない。それよりむしろ、特に規定がない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示された寸法は、「約40mm」を意味することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動食器洗浄機用洗剤組成物であって、
a)前記組成物の少なくとも9重量%の被覆漂白剤粒子であって、該粒子の少なくとも5重量%の風解性材料を含む被覆層を有する粒子、及び
b)活性酵素を含有している、前記組成物の少なくとも0.5重量%の粒剤、を含み、該粒剤が、該粒剤の少なくとも30重量%の風解性材料を含み、該風解性材料及び前記活性酵素が少なくとも4:1の重量比である、自動食器洗浄機用洗剤組成物。
【請求項2】
自動食器洗浄機用洗剤組成物であって、
a)前記組成物の少なくとも9重量%の被覆漂白剤粒子であって、該粒子の少なくとも5重量%の風解性材料を含む被覆層を有する粒子、及び
b)活性酵素を含有している、前記組成物の少なくとも0.5重量%の粒剤、を含み、該粒剤が少なくとも50重量%の風解性材料を含む、自動食器洗浄機用洗剤組成物。
【請求項3】
更に前記組成物の0.1〜5重量%のエトキシ化/プロポキシ化非イオン性界面活性剤を含む、請求項1又は2に記載の洗剤組成物。
【請求項4】
前記自動食器洗浄機用洗剤組成物が単位用量形態であり、好ましくは錠剤又は水溶性サッシェの形態である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項5】
前記組成物の重量が約20グラム未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項6】
前記漂白剤が無機過酸化物である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項7】
前記風解性材料がクエン酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項8】
前記組成物がリン酸塩を不含であり、かつ非リン酸塩洗剤ビルダーを含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項9】
前記組成物が抗スケールポリマーを含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の洗剤組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載の洗剤組成物の製造方法であって、
a)粉末を調製する工程、及び
b)工程a)の粉末を用いて単位用量形態の製品を製造する工程、を含む、方法。

【公表番号】特表2012−517501(P2012−517501A)
【公表日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549181(P2011−549181)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/022155
【国際公開番号】WO2010/090915
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】