説明

洗浄剤組成物

【課題】 起泡力が高く、洗浄時に髪のもつれをほぐし、洗い心地が良く、さらに乾燥後の櫛通りが良い洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】 カルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に水素原子が結合したカチオン性ポリマー(A)に、カチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を混合し、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合して得られるカチオン性ポリマー(B)を含有する洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄剤組成物、特に毛髪用洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、洗浄時においては好ましい感触を付与したり、毛髪の絡みをほぐすコンディショニング感を付与することを目的として、洗浄剤や化粧料に水溶性ポリマーが配合されてきた。例えば、水溶性多糖類やポリエチレングリコール(特許文献1)が挙げられ、さらに、イオン性官能基を持つものとして、カチオン化セルロース(特許文献2)に代表される多糖のカチオン性誘導体やカチオン性(メタ)アクリレート共重合体(特許文献3)等の4級アンモニウム基を有するポリマー、ベタインを有する重合体(特許文献4)、カルボキシル基を有する重合体(特許文献5)、ホスホリルコリンを有する重合体(特許文献6)等が挙げられる。しかし、従来のポリマーを配合した洗浄剤では機能が不十分であった。
【特許文献1】特開平03−179098号公報
【特許文献2】特公昭45−20318号公報
【特許文献3】特開昭46−750号公報
【特許文献4】特開昭58−124712号公報
【特許文献5】特開昭55−500941号公報
【特許文献6】特開平09−315949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、起泡力が高く、洗浄時に髪のもつれをほぐし、洗い心地が良く、さらに乾燥後の櫛通りが良い洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に水素原子が結合したカチオン性ポリマー(A)に、カチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を混合し、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合して得られるカチオン性ポリマー(B)を含有する洗浄剤組成物を提供する。
【発明の効果】
【0005】
本発明の洗浄剤組成物は、起泡力が高く、洗浄時に髪のもつれをほぐし、洗い心地が良く、さらに乾燥後の櫛通りが良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
[カチオン性ポリマー(A)]
カチオン性ポリマー(A)は、カルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に水素原子が結合したカチオン性のポリマーである(以下、幹ポリマーとも呼ぶ)。
【0007】
カチオン性ポリマー(A)は、カチオン性ビニル系単量体を重合するか、あるいはカチオン性ビニル系単量体と他のビニル系単量体とを共重合するか、又は3級アミノ基を有するビニル系単量体を重合あるいはそれと他のビニル系単量体を共重合した後に4級化することによって得られる。これらのビニル系単量体のうち少なくとも1つは、カルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に水素原子を有する必要がある。
【0008】
カチオン性ポリマー(A)としては、例えば、式(I)で表される構造単位を有するものが挙げられる。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式(I)中、R1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基;R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は式−(CH2CHR5O)nHであり、R5は水素原子又はメチル基、nは1〜10の数;Xは−O−又は−NH−;Y-は対アニオン;mは1〜5の数を示す。〕
式(I)において、R1は水素原子又はメチル基が好ましい。R2、R3、R4はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基が好ましく、メチル基、エチル基が更に好ましい。Xは−NH−が好ましい。Y-はCl-等のハロゲンイオン、CH3SO4-、C25SO4-等のアルキル硫酸イオンが好ましい。mは3が好ましい。
【0011】
カチオン性ビニル系単量体以外の共重合し得るビニル系単量体としては、非イオン性基を有するビニル系単量体(以下非イオン性ビニル系単量体という)が好ましく用いられ、親水性の非イオン性ビニル系単量体が更に好ましい。ここでビニル系単量体が親水性とは、有機概念図−基礎と応用−(田中善生著、三共出版株式会社、昭和59年5月10日発行)において、単量体の無機性(I)と有機性(O)の比率[I/O]が、0.6以上であることを言う。
【0012】
このような非イオン性ビニル系単量体として、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリルアミド;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(エチレングリコールの重合度1〜30)等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−イソブチル(メタ)アクリルアミド等のアルキル(炭素数1〜8)(メタ)アクリルアミド;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル(総炭素数2〜8)(メタ)アクリルアミド;ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N−ビニルピロリドン等のN−ビニル環状アミド;N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等のN−ビニルアミド;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(炭素数1〜8)基を有する(メタ)アクリル酸エステル;N−(メタ)アクリロイルモルホリン等の環状アミド基を有する(メタ)アクリルアミド等が例示される。
【0013】
ここで、(メタ)アクリルアミドとは、アクリルアミド又はメタクリルアミドを、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを意味する。
【0014】
また、このような非イオン性ビニル系単量体として、共重合後に加水分解することにより水酸基を生じる単量体を用いることができ、酢酸ビニルが例示される。
【0015】
これら非イオン性ビニル系単量体として、(メタ)アクリルアミド系単量体及びN−ビニル系単量体から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。
【0016】
(メタ)アクリルアミド系単量体としては、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミドが好ましく、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミドがさらに好ましい。
【0017】
N−ビニル系単量体としては、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド等が好ましく、N−ビニルピロリドン、N−ビニルアセトアミドがさらに好ましい。
【0018】
本発明のカチオン性ポリマー(A)を構成する全単量体中の非イオン性ビニル系単量体の割合は、10〜90重量%が好ましく、20〜80重量%が更に好ましい。
【0019】
本発明のカチオン性ポリマー(A)の重量平均分子量は、十分な滑り感を得、またカチオン性ポリマー(B)の製造において、著しくゲル化するのを抑え、取り扱いを容易にし、高い性能を有する洗浄剤組成物を得る観点から、プルランを標準物質としたゲルパーミエイションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)の測定において、1,000〜1,000,000が好ましく、1,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜300,000が特に好ましく、50,000〜100,000が最も好ましい。
【0020】
カチオン性ポリマー(A)は、例えば下記の合成法1又は2により合成することができる。
【0021】
合成法1:3級アミノ基を有するビニル系単量体(例えば式(II)で表される化合物)を含むビニル系単量体を重合した後、その反応物をハロゲン化アルキル、硫酸ジアルキル等の4級化剤と反応させ、4級化する方法。
【0022】
【化2】

【0023】
(式中、R1,R2,R3、X及びmは前記の意味を示す。)
合成法2:4級アンモニウム基を有するビニル系単量体(例えば式(III)で表される化合物)を含むビニル系単量体を重合する方法。
【0024】
【化3】

【0025】
(式中、R1,R2,R3、R4、X、m及びY-は前記の意味を示す。)
合成法1、合成法2において、ビニル系単量体の重合は、公知のラジカル重合法、例えば溶液重合法により行うことができる。
【0026】
重合開始剤としては、例えば過酸化ナトリウム等の過酸化物、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のアゾ化合物が挙げられる。本発明のカチオン性ポリマー(A)は、連鎖移動による分岐が少ないことが望ましいため、アゾ化合物が好ましく用いられる。
【0027】
溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。反応温度、反応時間は、ビニル系単量体により適宜決められるが、3〜15時間、50〜100℃で反応を行うことが好ましい。
【0028】
分子量の制御は、重合温度、重合開始剤の種類及び量、ビニル系単量体濃度等の重合条件を適宜選択することにより行うことができる。前述の非イオン性ビニル系単量体を共重合させてもよい。
【0029】
[カチオン性ポリマー(B)]
カチオン性ポリマー(B)は、カチオン性ポリマー(A)に、カチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を混合し、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合して得られるポリマーである。
【0030】
重合開始剤として用いられる過硫酸塩の例としては、過硫酸ナトリウム等が挙げられる。重合開始剤の量は、ビニル系単量体に対して、0.001〜0.4モル倍が好ましく、0.005〜0.2モル倍がより好ましい。過硫酸塩又は過酸化水素は、金属やアミン等の還元剤との共存下、レドックス型開始剤として用いても良い。
【0031】
カチオン性ポリマー(A)の存在下で、過硫酸塩又は過酸化水素を作用させることで、カチオン性ポリマー(A)のカルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に存在する水素原子等を引き抜き、カチオン性ポリマー(A)上にラジカルを生成させることができる。そのとき、カチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を添加することでカチオン性ポリマー(A)から新たなカチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体をグラフト重合させ、カチオン性基を有する枝分かれ構造を持つカチオン性ポリマー(B)が生成する。このような構造が、毛髪や皮膚への吸着を促進させ、良好な感触を発現させるものと思われる。
【0032】
カチオン性ポリマー(B)を製造するために用いるカチオン性ビニル系単量体の例としては、上述の式(III)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
カチオン性ポリマー(B)を製造するために用いるカチオン性ビニル系単量体以外のビニル系単量体として、非イオン性ビニル系単量体を用いることが好ましい。非イオン性ビニル系単量体の種類、共重合割合は、カチオン性ポリマー(A)で述べたものと同じである。
【0034】
カチオン性ポリマー(B)の製造において、カチオン性ポリマー(A)に対して用いるカチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体の割合は、洗髪時の滑り感や、乾燥後の良好な櫛通り及び感触を得る観点から、カチオン性ポリマー(A)100重量部に対して、10〜150重量部が好ましく、15〜120重量部が更に好ましく、20〜110重量部が特に好ましい。
【0035】
カチオン性ポリマー(B)を製造する際に用いるカチオン性ビニル系単量体の割合は、洗髪時の滑り感や、乾燥後の良好な櫛通り及び感触を得る観点から、全単量体中5〜90重量%であることが好ましく、7〜80重量%が更に好ましく、9〜70重量%が特に好ましい。
【0036】
カチオン性ポリマー(B)は、例えば下記の合成法1又は2により合成することができる。
【0037】
合成法1:カチオン性ポリマー(A)の存在下、3級アミノ基を有するビニル系単量体(例えば前記式(II)で表される化合物)を含むビニル系単量体を、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合した後、その反応物をハロゲン化アルキル、硫酸ジアルキル等の4級化剤と反応させ、4級化する方法。
【0038】
合成法2:カチオン性ポリマー(A)の存在下、4級アンモニウム基を有するビニル系単量体(例えば前記式(III)で表される化合物)を含むビニル系単量体を、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合する方法。
【0039】
合成法1、合成法2において、ビニル系単量体は更に非イオン性ビニル系単量体を含むものが好ましい。ビニル系単量体の重合は、公知のラジカル重合法、例えば溶液重合法により行うことができる。
【0040】
溶媒としては、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類が好ましい。反応温度、反応時間は、ビニル系単量体により適宜決められるが、3〜15時間、50〜150℃で反応を行うことが好ましく、70〜150℃がさらに好ましく、90〜150℃が特に好ましい。
【0041】
かくして、カチオン性ポリマー(A)を主鎖とし、連鎖移動により枝分かれ構造を有した高分子量のカチオン性ポリマー(B)が得られる。
【0042】
本発明のカチオン性ポリマー(B)の重量平均分子量は、プルランを標準物質としたGPCの測定において、50,000以上が好ましく、100,000以上がさらに好ましく、200,000以上が特に好ましく、カチオン性ポリマー(B)の20%水溶液においてゲル状であっても良い。
【0043】
[洗浄剤組成物]
本発明の洗浄剤組成物は、カチオン性ポリマー(B)を含有する。洗浄剤組成物中のカチオン性ポリマー(B)の含有量は、0.01〜3重量%が好ましく、0.1〜2.5重量%が更に好ましく、0.1〜2重量%が特に好ましい。
【0044】
本発明の洗浄剤組成物は、アニオン性、カチオン性、非イオン性及び両性界面活性剤から選択された少なくとも1種の界面活性剤を含有することが好ましい。
【0045】
アニオン性界面活性剤としては、通常の洗浄剤組成物に用いられるものであれば制限されず、例えば以下に示すものが挙げられる。
(A−i)アルキルベンゼンスルホン酸塩、好ましくは平均炭素数10〜16のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩。
(A−ii)アルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩、好ましくは平均炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有し、1分子内に平均0.5〜8モルのエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが0.1/9.9〜9.9/0.1の比で、あるいはエチレンオキサイドとブチレンオキサイドが0.1/9.9〜9.9/0.1の比で付加したアルキルエーテル硫酸塩又はアルケニルエーテル硫酸塩。
(A−iii)アルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩、好ましくは平均炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩。
(A−iv)オレフィンスルホン酸塩、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するオレフィンスルホン酸塩。
(A−v)アルカンスルホン酸塩、好ましくは平均10〜20の炭素原子を1分子中に有するアルカンスルホン酸塩。
(A−vi)高級脂肪酸塩、好ましくは平均10〜24の炭素原子を1分子中に有する飽和又は不飽和脂肪酸塩。
(A−vii)(アミド)エーテルカルボン酸型界面活性剤。
(A−viii)α−スルホ脂肪酸塩又はエステル、好ましくは平均10〜20の炭素原子から成るアルキル基又はアルケニル基を有するα−スルホ脂肪酸塩又はエステル。
(A−ix)N−アシルアミノ酸型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜24のアシル基及び遊離カルボン酸残基を有するN−アシルアミノ酸型界面活性剤(例えばN−アシルザルコシネート、N−アシル−β−アラニン等)。
(A−x)リン酸エステル型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜24のアルキル基もしくはアルケニル基又はそれらのアルキレンオキサイド付加物を有するリン酸モノ又はジエステル型界面活性剤。
(A−xi)スルホコハク酸エステル型界面活性剤、好ましくは炭素数8〜22の高級アルコールもしくはそのエトキシレート等のスルホコハク酸エステル又は高級脂肪酸アミド由来のスルホコハク酸エステル。
(A−xii)ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル硫酸塩。
(A−xiii)モノグリセライド硫酸エステル塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するモノグリセライド硫酸塩。
(A−xiv)アシル化イセチオン酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するアシル化イセチオン酸塩。
(A−xv)アルキルグリセリルエーテル硫酸塩又はアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基もしくはそれらのアルキレンオキサイド付加物を有するアルキルグリセリルエーテル硫酸塩又はアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩。
(A−xvi)アルキル又はアルケニルアミドスルホネート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルアミドスルホネート。
(A−xvii)アルカノールアミドスルホコハク酸塩、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルカノールアミドスルホコハク酸塩。
(A−xviii)アルキルスルホアセテート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキルスルホアセテート。
(A−xix)アシル化タウレート、好ましくは炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸基を有するアシル化タウレート。
(A−xx)N−アシル−N−カルボキシエチルグリシン塩、好ましくは炭素数6〜24のアシル基を有するN−アシル−N−カルボキシエチルグリシン塩。
【0046】
これらのアニオン性界面活性剤の塩、すなわちアニオン性残基の対イオンとしては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)を挙げることができる。
【0047】
これらのうち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンスルホコハク酸アルキルエステル塩が好ましい。
【0048】
カチオン性界面活性剤としては、炭素数8〜24の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を少なくとも1つ有する第4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0049】
非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキサイド、好ましくはエチレンオキサイド(EO)、特に好ましくは平均6〜30モルのEOを付加した、炭素数8〜22の脂肪族第一もしくは第二又は直鎖もしくは分岐鎖アルコールあるいはフェノールのアルキレンオキサイド付加物等を挙げることができる。また、モノ又はジアルキルアルカノールアミドやアルキルポリグリコシドも含まれる。例えば、ココモノ又はジエタノールアミド、ココモノイソプロパノールアミド及びココグルコシド等である。
【0050】
両性界面活性剤としては、アルキル基及びアシル基が8〜18個の炭素原子を有するアルキルアミンオキサイド、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等が挙げられる。具体的には、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミノジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。これらのうち、脂肪酸アミドプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、特にラウリン酸アミドプロピルベタインが好ましい。
【0051】
本発明の洗浄剤組成物中の界面活性剤の含有量は、好ましくは2〜40重量%、更に好ましくは5〜30重量%である。
【0052】
また、本発明の洗浄剤組成物は、シリコーン化合物を含有することが好ましい。本発明の組成物中のシリコーン化合物の含有量は、好ましくは0.1〜10重量%、さらに好ましくは0.1〜5重量%である。シリコーン化合物として、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンや他のシリコーン誘導体が好ましく用いられる。
具体的には、下記一般式(IV)で表されるジメチルポリシロキサンが好ましい。
【0053】
【化4】

【0054】
(式中、aは3〜20000の数を示す。)
アミノ変性シリコーンとしては、各種アミノ変性シリコーンが使用できるが、特に平均分子量が約3000〜100000のアモジメチコーン(Amodimethicone)の名称でCTFA辞典(米国,Cosmetic Ingredient Dictionary)第3版中に記載されているものが好ましい。上記のアミノ変性シリコーンは水性乳濁液として用いるのが好ましく、市販品としては、SM 8704C(東レ・シリコーン社製)やDC 929(ダウ・コーニング社製)等が挙げられる。
【0055】
その他、ポリエーテル変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン等が挙げられる。これらのシリコーン化合物の中では、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーンが好ましい。
【0056】
本発明の洗浄剤組成物中には、前記成分のほか、通常の洗浄剤組成物に用いられる成分、例えばプロピレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ソルビトール、パンテノール等の保湿剤;エチレングリコールジステアリン酸エステル等のパール化剤;染料、顔料等の着色剤;メチルセルロース、ポリエチレングリコール、エタノール等の粘度調整剤;カチオン化セルロース、カルボキシベタイン型ポリマー等の増粘剤;クエン酸、水酸化カリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム等の塩類、植物エキス類、防腐剤、殺菌剤、キレート剤、ビタミン剤、抗炎症剤、抗フケ剤、香料、色素、紫外線防止剤、水等を配合しても良い。
【0057】
また、本発明の洗浄剤組成物は、イオン交換水で10重量倍に希釈したときの水溶液のpHが3〜10、特にpH5〜8が好ましく、洗浄剤組成物に酸又はアルカリを加えて調整すればよい。
【0058】
本発明の洗浄剤組成物は、皮膚、毛髪等の化粧料用洗浄剤組成物として好ましく用いることができ、毛髪用洗浄剤としてさらに好ましく用いることができる。
【0059】
本発明の洗浄剤組成物は、非イオン性親水性基をカチオン基近傍に導入したカチオン性ポリマー(B)の配合により、カチオン性ポリマーが皮膚や毛髪に残存し易くなるものと推測され、そのため感触が向上するものと考えられる。
【実施例】
【0060】
以下の製造例中の%は重量基準で、また実施例中の%は有効成分換算した重量基準で表す。
【0061】
製造例1:カチオン性ポリマー(A−1)の合成
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた五つ口フラスコにジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):68.9g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):21.05g、イソプロピルアルコール:98.6g、イオン交換水:50gを入れ、続いて、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩:0.63gをイオン交換水:80.65gに溶解させた開始剤水溶液を添加し、窒素置換後、窒素雰囲気下、54℃、5時間重合反応を行った。重合終了後、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(A−1)を93%の収率で得た。重量平均分子量は98,500(プルラン換算)であった。
【0062】
製造例2:カチオン性ポリマー(A−2)の合成
還流冷却器、滴下ロート、温度計、窒素置換用ガラス管、及び攪拌装置を取り付けた五つ口フラスコにジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):68.9g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):21.05g、2−メルカプトエタノール:3.60g、イオン交換水:140.1gを入れ、続いて、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩:0.63gをイオン交換水:80.65gに溶解させた開始剤水溶液を添加し、窒素置換後、窒素雰囲気下、54℃、5時間重合反応を行った。重合終了後、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(A−1)を93%の収率で得た。重量平均分子量は51,000(プルラン換算)であった。
【0063】
製造例3:カチオン性ポリマー(B−1)の合成
製造例1と同様の五つ口フラスコに製造例1で合成したカチオン性ポリマー(A−1):10gをイオン交換水:40gに入れて溶解させた。窒素置換後、95℃まで温度を上げ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):2g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):0.61g、イオン交換水:13.92gからなる水溶液と過硫酸ナトリウム:0.64g(モノマーに対し0.2モル倍に相当)、イオン交換水:16.71gからなる水溶液をそれぞれ同時に2時間滴下し、重合を行った。滴下終了後、同じ温度で5時間反応を行い、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(B−1)を85%の収率で得た。重量平均分子量は273,000(プルラン換算)であった。
【0064】
製造例4:カチオン性ポリマー(B−2)の合成
製造例1と同様の五つ口フラスコに製造例1で合成したカチオン性ポリマー(A−1):10gをイオン交換水:40gに入れて溶解させた。窒素置換後、95℃まで温度を上げ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):5g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):1.53g、イオン交換水:10gからなる水溶液と過硫酸ナトリウム:0.80g(モノマーに対し0.1モル倍に相当)、イオン交換水:16.71gからなる水溶液をそれぞれ同時に2時間滴下し、重合を行った。滴下終了後、同じ温度で5時間反応を行い、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(B−2)を90%の収率で得た。重量平均分子量は1,060,000(プルラン換算)であった。
【0065】
製造例5:カチオン性ポリマー(B−3)の合成
製造例1と同様の五つ口フラスコに製造例2で合成したカチオン性ポリマー(A−2):10gをイオン交換水:40gに入れて溶解させた。窒素置換後、95℃まで温度を上げ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):5g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):1.53g、イオン交換水:10gからなる水溶液と過硫酸ナトリウム:1.6g(モノマーに対し0.2モル倍に相当)、イオン交換水:16.71gからなる水溶液をそれぞれ同時に2時間滴下し、重合を行った。滴下終了後、同じ温度で5時間反応を行い、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(B−3)を91%の収率で得た。重量平均分子量は125,000(プルラン換算)であった。
【0066】
製造例6:カチオン性ポリマー(B−4)の合成
製造例1と同様の五つ口フラスコに製造例2で合成したカチオン性ポリマー(A−2):10gをイオン交換水:40gに入れて溶解させた。窒素置換後、95℃まで温度を上げ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):10g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):3.06g、イオン交換水:10gからなる水溶液と過硫酸ナトリウム:3.2g(モノマーに対し0.2モル倍に相当)、イオン交換水:16.71gからなる水溶液をそれぞれ同時に2時間滴下し、重合を行った。滴下終了後、同じ温度で5時間反応を行い、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(B−4)を93%の収率で得た。重量平均分子量は643,000(プルラン換算)であった。
【0067】
比較製造例1:カチオン性ポリマー(C)の合成
製造例1と同様の五つ口フラスコにカチオン性ポリマーを溶解させずに、イオン交換水のみを40g入れた。窒素置換後、95℃まで温度を上げ、ジメチルアミノプロピルアクリルアミドを塩化メチルで4級化した4級塩(興人(株)製、75%水溶液):10g、ジメチルアクリルアミド(興人(株)製):3.06g、イオン交換水:10gからなる水溶液と過硫酸ナトリウム:3.2g(モノマーに対し0.2モル倍に相当)、イオン交換水:16.71gからなる水溶液をそれぞれ同時に2時間滴下し、重合を行った。滴下終了後、同じ温度で5時間反応を行い、アセトンによる再沈殿によりカチオン性ポリマー(C)を90%の収率で得た。重量平均分子量は94,800(プルラン換算)であった。
【0068】
実施例1〜4及び比較例1〜2
表1に示す組成の洗浄剤組成物を常法により製造し、下記の方法で起泡量、毛髪に対する感触及び乾燥後の櫛通りを評価した。
【0069】
実施例1〜4は、カチオン性ポリマーとして、(B−1)〜(B−4)を用いたものである。比較例1は、幹ポリマーを用いずに製造したカチオン性ポリマー(C)を用いたものである。比較例2は、カチオン性ポリマー(A−1)を用いたものである。
結果を表1に示す。
【0070】
<評価方法>
健常な20〜30代の日本人女性の毛髪20g(15cm)のトレスに洗浄剤組成物1gを塗布し、1分間泡立て、その後すすいで、ドライヤ−で乾燥した。この操作を専門パネラ−1名により行い、そのときの起泡量、毛髪に対する感触及び乾燥後の櫛通りを以下の基準で官能評価した。
【0071】
・起泡量:
○…十分な泡立ちを示す
△…泡立つが不足と感じる
×…ほとんど泡立たない
・毛髪に対する感触:
○…きしみがなくなめらかで非常に良好
△…きしみがやや強く、なめらかさが不良
×…きしみが強く不良
・乾燥後の櫛通り:
○…スム−ズなすべりを感じる
△…若干、引っかかり感がある
×…引っかかり感があり重い
【0072】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボニル基もしくは水酸基のα位の炭素原子に水素原子が結合したカチオン性ポリマー(A)に、カチオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を混合し、過硫酸塩又は過酸化水素を開始剤として重合して得られるカチオン性ポリマー(B)を含有する洗浄剤組成物。
【請求項2】
カチオン性ポリマー(B)が、ビニル系単量体の0.001〜0.4モル倍の過硫酸塩又は過酸化水素を用いて得られるものである、請求項1記載の洗浄剤組成物。
【請求項3】
カチオン性ポリマー(B)が、カチオン性ポリマー(A)100重量部に対して、10〜150重量部のビニル系単量体を用いて得られるものである、請求項1又は2記載の洗浄剤組成物。
【請求項4】
カチオン性ポリマー(A)が、カチオン性ビニル系単量体と非イオン性ビニル系単量体とを含むビニル系単量体の共重合で得られるものである、請求項1〜3いずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項5】
カチオン性ポリマー(B)が、カチオン性ポリマー(A)の存在下、カチオン性ビニル系単量体及び非イオン性ビニル系単量体を含むビニル系単量体を共重合させて得られるものである、請求項1〜4いずれかに記載の洗浄剤組成物。
【請求項6】
非イオン性ビニル系単量体が、(メタ)アクリルアミド系単量体及びN−ビニル系単量体から選ばれる少なくとも1種である請求項4又は5記載の洗浄剤組成物。
【請求項7】
更にシリコーン化合物を含有する、請求項1〜6いずれかに記載の洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2006−169355(P2006−169355A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362786(P2004−362786)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】