説明

洗浄剤

【課題】
鉄粉等の金属粉、鉄錆、その他の金属酸化物、更には油脂等の重質の汚れが付着した車両の塗装面や作業着やウエス等の繊維類は通常の洗浄方法では全く取れないか、取るのに多大の苦労を要していたが、これらの汚れを塗装面や繊維その他の素地上に悪影響を与える事無く、極めて安全、簡便に除去出来る洗浄剤を提供する。
【解決手段】
チオカルボン酸及びチオカルボン酸塩の1種又は2種以上の化合物0.5〜60重量%と酸化防止剤0.1〜60重量%を有効成分として含有する組成物を金属粉汚れ除去剤として使用する事。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業着やウエスなどの繊維、車両等の表面の鉄粉などの金属粉、鉄錆、その他の金属酸化物、更には油脂などの重質の汚れを、塗装面や繊維その他の素地上に悪影響を与えることなく、きわめて安全、簡便に除去できる洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車の塗装表面は太陽光線、雨水、空気などの劣化要因にさらされ、大気中の埃、ばい煙、油粒子などの汚れが付着している。またこれら以外に汚れとして鉄分の付着が極めて大きく、工場地帯などでは車に付着する汚れ成分の約半分が鉄分であると云われている。
【0003】
又、鉄道の走行する近くではレールや車輛のブレーキなどから発生する鉄分、また一般道路や高速道路でも車のブレーキなどから発生する鉄分も大気中を浮遊し、自動車や電車等の車両等に付着して汚染する。鉄粉は鋭利な角をもっている場合が多く、塗装面につきささって付着している場合が多く、細かい鉄の破片は酸性雨や紫外線によって非常に酸化されやすく、放置すると付着した油分とともに容易に固着し、しかも一度固着してしまうと、非常に除去しにくくなる。また、塗装表面では、最悪の場合、塗装を浸食することがある。したがって、自動車や電車等の車両は、これら塗膜保護の観点から、また、外観上の観点からも、その表面に付着した鉄粉や汚れ等を洗い流すため、度々洗浄される。
【0004】
このような車両等に付着した鉄粉等の汚れを除去するために、従来は界面活性剤による洗浄、コンパウンド、研磨剤入りのワックスを用いて付着表面を研磨する方法や、液状樹脂に研磨剤を分散させ可塑性固型状としたもので摩擦により鉄粉等の汚れを除去する方法が行われていた。
【0005】
しかし、界面活性剤を用い洗浄により除去する方法では、鉄粉が鋭利な形で塗面につきささっている場合は全くとれない。また研磨剤入りのワックス等では塗装面を研磨しないため殆んどとれない。コンパウンド等で付着表面を研磨して除去する方法では、付着表面に傷を付け光沢がなくなり失透したり、又付着表面を研磨することで塗膜が薄くなり、塗膜の劣化を早める。液状樹脂に研磨剤を分散させ摩擦により除去する方法にあっては、塗面を粘土状物でこすりながら除去していくため極めて多大の労力、時間を必要とした。
【0006】
これらの欠点を解消するために鉄と化学反応をおこし、水溶性のFe塩にするチオカルボン酸およびその塩の水溶液、若しくはそれにノニオン系、アニオン系、両性、カチオン系などの種々の通常の界面活性剤と組み合わせたものが提案されている。しかしチオカルボン酸およびその塩の水溶液では、多種の油汚れ等の複合汚染物中の鉄粉と効率的に反応し、除去することはできない。
【0007】
チオカルボン酸塩を主剤とする鉄錆除去剤の技術が特許文献1,2及び3に開示されている。迅速に鉄錆を溶解し、しかも溶解した鉄イオンを青紫色に発色させるので除錆作業の様子が目でみて分かるという点で優れた効果を有している。
【0008】
一方鉄工所などの機械部品製造加工工場で使用される作業着やウエスなどは、一般の衣類と同様に洗濯用合成洗剤や石鹸などを用いて洗濯されていた。しかし、作業着やウエスなどは、一般の衣類とは異なり、金属粉、鉄錆その他の金属酸化物、機械油などの油脂類が樹脂化したものなどの重質の汚れが付着している。このため、通常の洗剤や石鹸などによる洗濯では油脂類以外の汚れの除去ができず、洗濯後の繊維に黒ずみが残る。
【0009】
繊維についた錆の除去方法として、特許文献4には、衣類についた赤さび部分にチオカルボン酸塩就中チオグリコール酸アンモニウムを付け、アイロンにて加温した後、水洗いする方法が開示されている。しかし、このようなアイロン掛け作業を伴う汚れ除去方法は、大量の作業着やウエスなどの汚染除去には適していないうえに、前記チオグリコール酸アンモニウムのみでは、作業着やウエスなどの重質汚れの除去は不十分である。また、鉄錆などの金属酸化物の汚れ除去方法として、塩酸、酢酸、蓚酸などの鉱酸や有機酸を使用する方法もあるが、繊維を大きく傷めてしまう場合が多い。
【0010】
チオカルボン酸塩特にチオグリコール酸塩を使用した場合には、イオウ化合物特有の臭気があり使用上問題となっていた。
【0011】
この臭気を緩和する為にチオグリコール酸又はその塩の脱臭方法が特許文献5に開示されたり、香料等によるマスキングが行われているが、根本的な対策とはなっていなかった。
【0012】
また、チオグリコール酸及びチオグリコール酸塩は、アンモニアアルカリ性においては二価、三価の鉄イオンと反応して水溶性になることが知られているが空気中で酸化されてジチオグリコール酸になり、その還元性を失活し洗浄能力を著しく低下する。そのためこれらの鉄錆除去剤は変色のおそれがあり、水で洗い流す事は極めて困難となる。また、新たな錆の発生の原因となったり、汚れの再付着をも併発してしまうおそれがある。鉄錆除去剤を希釈した場合、乾燥や変色を防止する方向にできるが、鉄錆除去効果が弱まってしまう。
【0013】

【特許文献1】特許1918892
【特許文献2】特開平07−216395号
【特許文献3】特開平09−241681号
【特許文献4】特開平10−219562号
【特許文献5】特許1349353
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は上記の点に鑑み、金属粉、鉄錆その他の金属酸化物、更には油脂などの重質の汚れが付着した車両表面や作業着やウエスなどの繊維について、常温で有効な洗浄剤で、かつ繊維等のこれ等素材を傷めることのない洗浄剤を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明に係る洗浄剤は、チオカルボン酸及びチオカルボン酸塩の1種または2種以上の化合物、好ましくは0.5〜85重量%と、酸化防止剤好ましくは0.1〜60重量%を含有し、更に好ましくは界面活性剤を0.1〜30重量%含有せしめ、必要に応じ更にキレート剤、溶剤、ビルダー成分、増粘剤などを加えたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の除去剤によれば、金属粉や鉄粉、その他の金属酸化物、油脂などの重質の汚れが付着した車両表面や、作業着、ウエスなどの繊維等の素地を傷めることなく、簡単にその汚れを除去することが出来るという大きな効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明のチオカルボン酸及び/またはチオカルボン酸塩は、鉄錆と反応してキレート化合物を形成することで水に可溶化または分散し、除去可能とするものである。本発明の洗浄剤、即ち鉄粉 汚れ除去剤には、チオカルボン酸またはチオカルボン酸塩が必須成分として含まれる。チオカルボン酸としては、チオグルコール酸(メルカプト酢酸)、チオ乳酸、チオコハク酸、チオリンゴ酸、チオサルチル酸等が挙げら,特にチオ乳酸、チオリンゴ酸が好ましい。
【0018】
また、チオカルボン酸塩としては、これらのチオカルボン酸の金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等が挙げられる。例えば、チオグリコール酸塩としては、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸カルシウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸メチルアミン、チオグリコール酸エチルアミン、チオグリコール酸モノエタノールアミン、チオグリコール酸ジエタノールアミン、チオグリコール酸トリエタノールアミン等が挙げられる。更に、チオリンゴ酸塩としては、チオリンゴ酸アンモニウム、チオリンゴ酸モノエタノールアミン、チオリンゴ酸ジエタノールアミン、チオリンゴ酸トリエタノールアミン等が挙げられる。これ等の中で特にチオグリコール酸ナトリウム、チオグリコール酸アンモニウム、チオグリコール酸ジエタノールアミンが好ましい。
【0019】
本発明において、チオカルボン酸及びまたはチオカルボン酸塩の含有量としては、洗浄剤全量に対して、0.5重量%以上、好ましく、0.5〜85重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0020】
この際チオカルボン酸及びまたはチオカルボン酸塩の配合量が85重量%を越えると、低温での洗浄剤の安定性が低下し、また0.5重量%未満では、目的とする鉄錆の可溶化による除去効果を達成できない場合がある。
【0021】
発明者らは、チオカルボン酸及びまたはチオカルボン酸塩の空気による酸化劣化を防止し、その還元力を長時間保持させて鉄粉などの金属粉、鉄錆その他の金属酸化物の溶解を促進させる目的で酸化防止剤を添加することにより、飛躍的に洗浄剤中のチオカルボン酸及びまたはチオカルボン酸塩の洗浄性能を維持できること見いだした。
【0022】
本発明に於いて使用される酸化防止剤としては、物質が酸素による酸化変質するのを防ぐ薬剤である。その酸化防止剤の具体的なものとしては、ノルジヒドログアヤレチン酸、グアヤク脂、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシアニゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、α−トコフェロール(ビタミンE)等が例示できる。また、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウムなどの亜硫酸塩、次亜硫酸ナトリウム、次亜硫酸カリウムなどの次亜硫酸塩、イソアスコルビン酸、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナリリウム、アスコルゴン酸カリウムなどのアスコルビン酸塩、チオソルビトール、塩酸システイン、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウムなどのチオ硫酸塩、没食子酸、没食子酸ナトリウム、ピロガロール、タンニン酸、柿渋、グリオキサール、酒石酸、ヒドロキノン、ロンガリット、サリチル酸、グルコン酸、ピロカテコール、3−ヒドロキシ酪酸、プロピオン酸、フタル酸、イソフタル酸、3−ヒドロキシサリチル酸、3,5−ジヒドロキシサリチル酸、コハク酸、スルホサリチル酸、トリグリコール酸、等の水溶性酸化防止剤が例示できる。そして、この例示された酸化防止剤の中から選ばれた1種または2種以上のものが用いられる。この酸化防止剤の使用量は洗浄剤中0.1〜60重量%、特に好ましくは0.2〜10重量%である。
【0023】
本発明の洗浄剤は、原則としてチオカルボン酸及びまたはその塩と酸化防止剤とから成るが、これに更に界面活性剤が含有されていることが好ましい。
【0024】
この界面活性剤は、洗浄剤成分を汚染物に良好に浸透させるとともに、機械油などの油脂が樹脂化した汚染の除去効果を発揮する。この界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸エステルソーダ、ジアルキルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルなどが挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン(エチレン)アルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレン(エチレン)アルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレングリコールアルキルエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられるが特にその種類を限定するものではない。これらの界面活性剤の配合量は、好ましくは洗浄剤中で0.1〜30重量%、より好ましくは2〜10重量%である。
【0025】
本発明に於いては、上記成分の他に、 更にキレート剤,溶剤、ビルダー及び増粘剤の少なくとも1種を必要に応じて含有せしめることができる。
【0026】
この際の増粘剤としては、アクリル酸重合体を好ましいものと挙げることが出来、このものでは、特に架橋型アクリル酸重合体を用いることが好ましい。そのアクリル酸重合体の具体的な例は、ジュンロンシリーズ(PW−110、PW−150(日本純薬(株))、カーボポールシリーズ(907、910など、昭和電工(株))等が例示できる(特開平9−77605号公報参照)。そのアクリル酸重合体の含有量としては、0.0001〜6重量%、好ましくは0.01〜0.5重量%とするのが望ましい。
【0027】
上記アクリル酸重合体に対して、アクリル酸重合体を中和するために、アルカリ剤を加え、アクリル酸重合体に混合して増粘させ、水不溶性もしくは水難溶性とすることが出来る。その具体的なアルカリ塩としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水、モルフォリンなどを挙げることができる(特開平9−77605号公報参照)。
【0028】
そのアルカリ塩の含有量としては、アクリル酸重合体を中和してpHを5.0〜9.0、好ましくは、pH6.5〜7.5に調整するのに必要な量であり、架橋型アクリル酸重合体の含有量にもよるが、通常0.00001〜20重量%を、好ましくは0.01〜0.5重量%とする。
【0029】
さらに本発明の増粘剤として蛋白質が使用される。この蛋白質としては水溶性のゼラチン等が用いられ、水不溶性のカゼイン、カゼインナトリウム、グルテン等が挙げられる。この際の蛋白質の使用量は0.01〜30重量%、好ましくは0.2〜10重量%である。
【0030】
また更に増粘剤として多糖類があり、この多糖類としては多糖類単体やその誘導体を用いることができ、それには水溶性のアラビアガム、ジェランガム、キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、サイリウムシードガム等が有る。
【0031】
さらに増粘剤として合成樹脂が使用出来、この合成樹脂では水溶性のポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、等が用いられる。その添加量は全体量100重量部に対して、0.1〜20.0、好ましくは1.0〜10.0、より好ましくは、3.0〜8.0重量部を用いる。
【0032】
その他の増粘剤の1種として無機系物質があり、この無機系物質としては、カオリン、セリサイト、蛙目粘土、雲母、合成雲母、疎水化合成雲母、ベントナイト、疎水化ベントナイトなどのカードハウス凝集やカードパック凝集をする粘土鉱物、超微粒子シリカ、超微粒子アルミナなどを挙げることができる。全体量100重量部に対して、0.1〜20.0、好ましくは5.0〜12.0、より好ましくは、8.0〜9.0重量部用いる。
【0033】
その他のものであっても目的の増粘効果を得られる物で有れば特に限定するものではない。
【0034】
本発明洗浄剤には、更にエチレンジアミン四酢酸塩などのキレート剤、アルカノールアミンなどの有機ビルダー、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸塩、炭酸塩などの無機ビルダー、アルコール類、セロソルブ類、グリコール類、グリコールエーテル類などの溶剤を適宜配合することができる。また、必要に応じて、香料、消臭剤、除菌剤、防腐剤などの添加剤を配合することができる。
【0035】
キレート剤は、金属封鎖剤として作用し、鉄錆以外の金属酸化物を水に可溶化して除去可能とする。具体的に使用可能な好ましいキレート剤としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIDA)、ジヒドロキシエチルグリシン(DHEG)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ジエチレントリアミノ五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラアミノ六酢酸(TTHA)、L−グルタミン酸二酢酸(GLDA)、L−アスパラギン酸−N,N−二酢酸(ASDA)、2−ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HIMDA)、グルコン酸塩、3−ヒドロキシ−2,2−イミノジコハク酸(HIDS)、ヒドロキシエタンジホスホン酸や、上記組成物もしくは酸の一部ないし全てが、アルカリ金属、アンモニウム等で中和された物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。洗浄剤中のキレート剤の配合量は0〜15重量%、好ましくは2〜5重量%である。
【0036】
本発明に於いては、ビルダーとしては、有機及び無機いずれも使用出来る。前者としてアルカノールアミンを例示出来、これを添加することにより、アルカノールアミンが洗浄助剤として作用すると同時にpH調整剤として作用する。アルカノールアミンとしては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミンなどを挙げることができる。洗浄剤中のアルカノールアミンの配合量は0〜5重量%である。また、洗浄剤のpHは7.5〜8.5の範囲となるように調整することが好ましい。
【0037】
また、無機ビルダーとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩、メタ珪酸ソーダなどのケイ酸塩などが挙げられる。洗浄剤中の無機ビルダーの配合量は0〜15重量%である。
【0038】
溶剤は、油脂などの汚染物を溶解し、より洗浄効果を高めるものである。溶剤としては、アルコール系溶剤、セロソルブ系溶剤、炭化水素系溶剤、アンモニア水、グリコール類、グリコールエーテル類などを使用することができる。アルコール系溶剤としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。セロソルブ系溶剤としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブなどが挙げられる。これらの溶剤の配合量は、洗浄剤組成物中で0〜20重量%であり、またセロソルブ系溶剤およびアルコール系溶剤を併用するような場合には、それぞれ1〜10重量%の範囲で配合することが好ましい。
【0039】
上記のような成分以外に、本発明の繊維用洗浄剤には、香料、消臭剤、除菌剤、防腐剤、農薬などの各種添加剤を配合することができる。
その香料としては、匂いを漂わす人体に無害なものである。それには天然香料と合成香料とに分けられ、さらに天然香料は植物性香料と動物性香料に分けられる。天然香料と合成香料とを混合して、匂いを調整した調合香料も用いることができる。
【0040】
天然香料としては、アカシア油、アニスシード油、アビエス油、アプシンス油、アルモンドビッター油、アンゲリカ油、アンブレットシード油、イノンド油、イランイラン油、イリス油、ういきょう油、ウィンターグリーン、ウォームウッド油、エストラゴン油、エレミ油、オークモス油、オコチア油、オニオン油、オポパナックス油、オランダセリ油、オリス油、オリバナム油、オレンジ油、カシア油(桂油、桂皮油)、カシー油、カナンガ油、カミツレ油、カモミル油、ガヤックウッド油、カヤプテ油、カラシ油、カラムス油、ガーリック油、カルダモン油、ガルバナム油、黄ずいせん油、キャラウエー油、苦へんとう油、クミン油、クラリーセージ油、グレープフルーツ油、クローブ油、ローレル葉油、コエンドロ油、コスタス油、コランダー油、サンダルウッド油、シダーウッド油、シトロネラ油、ジャスミン油、ショウガ油、しょうぶ根油、ジル油、、ジンジャー油、ジンジャークラス油、シンナモン油、すいせん油、スターアニス油、スパイク油、スペアミントオイル、セージ油、ゼラニウム油、タイム油、タンジェリン油、チュベローズ油、テレビン油、ナーシサス油、ナツメグ油、ニオガヨモギ油、にくずく油、ネロリ油、パイン油、パセリ油、バジル油、バーチ油、パチュリ油、ハッカ油、バラ油、パルマローザ油、白檀油、ヒヤシンス油、ベイ油、ベイ葉油、ベチバー油、ペニーロイヤル油、ヘノポジ油、ペパーミント油、ベリラ油、芳油、芳しょう葉油、ホップ油、ポライ油、ミモザ油、ミルテ油、ミルトル油、ミル油、ミント油、メース油、ユーカリ油、ライム油、ラバンジン油、ラベンダー油、リセアキュベバ油、リナロエ油、レモングラス油、レモン油、ローズウッド油、ローズマリー油、ローズ油、ロベージ油等が例示できる。そして、この例示された天然香料の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0041】
また、合成香料としては、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、d−リモネン、ジペンテン、テルピノーレン、アロオシメン、オシメン、p−サイメン、β−カリオフィレン、青葉アルコール、3−オクテノール、9−デセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトネロール、l−シトロネロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、アロシメロール、ミルセノール、α−ピネオール、抱水テルピン、l−メントール、ボルネオール、イソプレゴール、ノポール、ボルニルメトキシシクロヘキサノール、メロリドール、ファルネソール、サンタロール、イソ・イ・スーパー、サンダロール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール、ベンジルアルコール、β−フェニルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アニスアルコール、α−アミルシンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビノール、メチルフェニルカルビノール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、ジメチルフェニルカルビノール、β−フェニルエチルメチルエチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フェニルグリコール、tert−ブチルシクロヘキサノール、アニソール、p−アセチルアニソール、ジフェニルオキサイド、ジメチルハイドロキノン、p−クレゾールメチルエーテル、アネトール、ジヒドロアネトール、チモール、カルバクロール、オイゲノール、イソオイゲノール、メチルオイゲノール、メチルイソオイゲノール、ベンジルイソオイゲノール、サフロール、イソサフロール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、バニトロープ、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−ノニルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、n−ウンデシルアルデヒド、ウンデシレンアルデヒド、ドデシルアルデヒド、メチルノニルアセトアルデヒド、n−トリデシルアルデヒド、n−テトラデシルアルデヒド、n−ヘキサデシルアルデヒド、ノナジエナール、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラ−ル、ペリラアルデヒド、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、α−アミルシンナミックアルデヒド、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、アニスアルデヒド、クミンアルデヒド、ヘリオトロピン、ヘリオナール、サイクラメンアルデヒド、p−tert−α−メチルヒドロシンナミックアルデヒド、サリチルアルデヒド、ヒドロトロパアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、γ−ウンデカラクトン、メチルフェニルグリシド酸エチル、γ−ノニルラクトン、p−メチル−β−フェニルグリシド酸エチル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、リラール、マイラックアルデヒド、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、メチル−n−アミルケトン、エチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−ノニルケトン、メチルヘプテン、ジアセチル、l−カルボン、d−カルボン、メントン、d−プレゴン、ピペリトン、しょう脳、メチルセドリン、アセトフェノン、p−メチルアセトフェノン、p−メトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジリデンアセトン、メチルナフチルケトン、ヨノン、ダマスコン、ダマセノン、メチルヨノン、イロン、マルトール、エチルマルトール、ヒドキシフラン、ネロン、ヒドロキシフェニルブタノン、アニシルアセトン、ジャスモン、ヒドロジャスモン、ヌートカトン、ムスコン、ジベトン、シクロペンタデカン、シクロヘキサデセノン、シクロペンタデカノリド、アンブレットリド、シクロヘキサデカノリド、エチレンブラシレート、エチレンドデカンジオエート、12−オキサヘキサデカノリド、11−オキサヘキサデカノリド、10−オキサヘキサデカノリド、ムスクキシロール、ムスク・ケトン、ムスク・アンブレット、ムスク・チベテン、モスケン、ファントリド、セレストリド、トラセオライド、ベルサリド、トナリド、ガラクソリド、ローズオキサイド、オキサイドケトン、3,3,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、ジヒドロメチルペンテニルピラン、リナロールオキサイド、シネオール、ビシクロジヒドロホモファルネシルオキサイド、フェニルエチルイソアミルエーテル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ベンジル、ギ酸フェニル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸イソボルニル、酢酸テルピニル、酢酸ベンジル、酢酸フェニルエチル、酢酸メチルフェニルカルビニル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、酢酸イソオイゲノール、酢酸ミルセニル、酢酸第3級ブチルシクロヘキシル酢酸ジヒドロテルピニル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸シトロネリル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸ベンジル、プロピオン酸シンナミル、酪酸エチル、酪酸イソアミル、酪酸ゲラニル、酪酸リナリル、イソ酪酸リナリル、酪酸シトロネリル、イソ酪酸シトロネリル、イソ酪酸ベンジル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸ゲラニル、イソ吉草酸ベンジル、イソ吉草酸シンナミル、ヘプチンカルボン酸メチル、ヘプチンカルボン酸イソアミル、ヘプチンカルボン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、オクチンカルボン酸メチル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、β−メチルメルカプトプロピオン酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸イソブチル、安息香酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、安息香酸リナリル、安息香酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸ゲラニル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸エチル、桂皮酸ベンジル、桂皮酸シンナミル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、サリチル酸イソブチル、サリチル酸イソアミル、サリチル酸アリル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸フェニルエチル、アニス酸メチル、アニス酸エチル、アンスラニル酸メチル、メチルアンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、ジヒドロジャスモン酸メチル、ジャスモン酸メチル、合成オークモス、安息香酸、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸、クマリン、インドール、スカトール、2−メチルテトラヒドロキノリン、6−メチルキノリン、6−メチルテトラヒドロキノリン、7−メチルキノリン、イソブチルキノリン、6−イソプロピルキノリン、テトラメチルピラジン、アセチルピロール、ゲラニルトリル、ブロムスチール、酢酸トリクロルメチルフェニルカルビニル、フルフリルメルカプタン等が例示できる。そして、この例示された合成香料の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる
消臭剤としては、不快な臭いを芳香性、マスキング、中和してその臭いの原因を消すものである。そのような消臭剤の具体的な例の芳香性よる消臭剤としては、ローズ油、スズラン油、キンモクセイ油、ジャスミン油、レモン油、クチナシ油、ミント油、バイオレット油等の香料を用いることができる。またマスキングには前記香料の中でもシンナミックアルデヒド、バニリン、ヘリオトロピン、クマリン、カルボン、カナファー、ボネオール等が例示できる。さらに中和して消臭する消臭剤としては、テレピン油、丁子油、桂皮油、シダー油、オレンジ油、レモン油、橙皮油等が例示できる。また、その他にフラボノイド等も用いることができる。そして、この例示された消臭剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0042】
防腐剤としては、微生物等の繁殖を抑えて、薬剤等の品質を劣化せずに保存する目的で用いられるものであり、具体的には安息香酸、サリチル酸、デヒドロ酢酸、ソルビン酸、ホウ酸、クロルキシレノール、レゾルシン、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール、チモール、ヒノキチール、チオキソロン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾトニウム、ラウリルジ(アミノエチル)グリシン、グルコン酸クロルヘキシジン、クロロブタノール等が例示できる。そして、この例示された防腐剤の中から選ばれた1種または2種以上のものも用いることができる。
【0043】
農薬としては、農業用の薬剤であり、動物、昆虫、ダニ、線虫、微生物等を忌避もしくは死滅させるものである。それには殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤等がある。
【0044】
殺菌剤としては、植物病原菌等の様々な細菌類、真菌類を死滅させることができる薬剤である。その具体的な殺菌剤としては、ヂチオカーバメイト剤(マンゼブ、マンネブ、ポリカバメート等)、有機硫黄系剤(キャプタン、カプタホル、フォルベット等)、有機リン剤(O,O−ジイソプロピル−S−ベンジルチオホスフェ−ト、O−エチル−S,S−ジフェニルジチオホスフェート等)、有機塩素剤(ペンタクロロフェノール、クロロスロニル等)、有機ヒ素剤(メチルアルセニックヂメチルカーバメイト、ドデシル硫酸)、脂肪族ハロゲン剤(臭化メチル、クロルピクリン等)、その他にベノミル、オキシカルボキシン、フェナジンオキサイド、アニラジン、硫酸オキシキノリン、水酸化トリフェニルスズ、ヒドロキシイソキサゾール、ピナパクリル、ブチオベート、無機硫黄剤(硫黄、多硫化石灰等)、銅剤(ボルドー液)、抗生物質(ストレプトマイシン、ノボビオシン、クロラムフェニコール、ブラストサイジンS、カスガマイシン、バリダマイシンA、ポリオキシン、シクロヘキシミド等)、その他植物由来の殺菌成分(ヒュムロン(humulon)、ルプロン(lupulon)、アリシン、アリルイソチアネート(allyl isotiocyanate))、クロロゲン酸、ソラニン、タンゲリチン(tangeritin)、ベルベリン、ヒノキチオール、ヨウ素等が例示できる。そして、この例示された殺菌剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0045】
また殺虫剤としては、ゴキブリ、カ、ノミ、ダニ等の衛生害虫、農業害虫を死滅させることができる薬剤である。その具体的な殺虫剤としては、有機リン殺虫剤(ジクロルボス、サイノフォス、O−エチル−O−フェニルホスフォチオネート、マラソン、パラチオン等)やカーバメイト系殺虫剤(1−ナフチル−N−メチルカーバメイト、イソプロカーブ等)、有機ハロゲン系殺虫剤(ディーディーティ、ベンザヘキサクロライド、エルドリン、アルドリン、ジエルドリン等)、ニコチン類(ニコチン、ノルニコチン等)、フルオロ酢酸アミド、ピレスロイド類(ピレスリン、アレスリン等)、植物由来の精油(シネオール、ディルオイル、日本ハッカオイル、ユーカリオイル、ターペンティンオイル等)、ホウ酸等が例示できる。そして、この例示された殺虫剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0046】
殺ダニ剤としては、ハダニ、コナダニ等のダニ類を死滅させることができる薬剤である。その具体的な殺ダニ剤としては、ケルセン、プロクロノール、クロルベジレート、クロルプロピレート、フェニソブロモレート、クロルフェンソン(chlorfenson)、テトラジホン、プロパルギト(propargito)、ピナパクリル、水酸化トリシクロヘキシルスズ、酸化フェンブタスズ、キノチオメート、アミトラズ、ベンゾメート、ポリナクチオンズ(polynactions)、ラベンダーオイル、メリッサオイル、ペパーミントオイル、サルビアオイル、ローズマリーオイル等が例示できる。そして、この例示された殺ダニ剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0047】
殺線虫剤としては、マツノザイセンチュウ、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ等を死滅させることができる薬剤である。具体的な殺線虫剤としては、メスルフェンホス、酒石酸モランテル、クロルピクリン、2,3−ジクロロプロパンと1,3−ジクロロプロペンの混合物、1,2−ジブロモメタン、メチルイソシアネート等が例示できる。そして、この例示された殺線虫剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0048】
抗菌剤としては、殺菌剤とは異なり、死滅させずに細菌類や真菌類の生育を抑制させることができる薬剤である。その具体的な抗菌剤としては、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ワニリン、シンナミックアルデヒド、p−ヒドロキシ安息香酸エステル、d−リモネン、エチルアルコール、カンファー、フェニルオキシド、p−ジクロルベンゼン、ジメチルフマレート、ヒバオイル、アスナロオイル、タイワンヒノキオイル、カシアオイル、ディルオイル、レモンオイル、シトロネラオイル、クローブオイル、タイムオイル、リナロール、トランス−ピノカルベオール、p−イソプロピルシクロヘキサノール、カンフェレニックアルデヒド、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン等が例示できる。そして、この例示された抗菌剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる。
【0049】
忌避剤としては、動物、衛生害虫、農業害虫または昆虫を特定の箇所に接近もしくは付着しないようにすることができる薬剤である。その具体的な忌避剤としては、レモングラスオイル、レモングラス、合成ムスク、シンナミックアルデヒド、パインオイル、オイゲノール、ターピネオール、木酢、バニリン、アセトキシフェニルブタン、ヘキサナール、ギ酸ゲラニル、α,β−ピネン、リモネン、サフロール、アネトール、アニスアルデヒド、γ−ラクトン、1,8−シネオール、ナフタリン、アンゲリカ、環状テルペンアルコール、メントール、N,N−ジエチル−m−トルアミド、エチルチオメトン、イソチオネート、クレゾール、香辛料(コショウ、トウガラシ、ハッカ、シソ、チョウジ等)、バニラ、ノニルラクトン、シトライル、リナロール、2−ブトキシエタノール、ビスエーテル、シクロヘキサノン、イソホロン、スペアミントオイル、青葉アルコール、桂皮アルコール、メチルノニルケトン、メチルフェニルケトン、しょう脳、シトラール、ユーカリプトール、アリルイソチアネート、カプサイシン、シクロヘキシミド等が例示できる。そして、この例示された忌避剤の中から選んだ1種または2種以上のものも用いることができる
本発明の洗浄剤は、チオカルボン酸及びその塩の少なくとも1種と酸化防止とを、必要に応じ界面活性剤を用いて水好ましくは、精製水に均一に混合する事により、容易に製造する事が出来る。この際、増粘剤をはじめ、その他の各種の添加剤を適宜配合する事が出来る。
【0050】
又、本発明洗浄剤を使用するに際しては、従来のチオグリコール酸塩就中チオグリコールアンモニウムを主剤とする洗浄剤と同様の方法で使用する事が出来、更に詳しくは鉄粉やサビが付着している面に、本発明洗浄剤を塗布又は噴霧し、数分〜数十分放置した後、水洗いする。これにより、完全に鉄粉を除去する事が出来る。
【0051】
尚念の為、自動車を例により鉄粉に依る汚れ等の状態と、これに対する従来の対策を示すと下記の様である。
【0052】
例えば線路沿いでは、車輪から削られた鉄粉が飛び散って来るし、工場近くでも同様の事が起こる。洗車したボディに水をかけながら、手を滑らせてみると、汚れは無くてもザラザラしている事があり、この場合は鉄粉が付着している。鉄粉は最初表面に乗っている状態であるが、太陽の熱で塗装が柔らかくなり、徐々に奥へと突き刺さって行く。
【0053】
鉄粉はサビ始めると小さな茶色のシミに成る。ボディの色が淡色系の物であれば直ぐ分かる。濃色系の場合、ピッチタールと間違えてしまう事が多い。鉄粉はセラミック粘土で取れるが、擦る度に微細なキズが入るという問題がある。
【0054】
粘土は吸着するという働きがあると同時に研磨もするので、水を打ちながらやってもやはり細かなキズが入る。
【0055】
それともう一つは、表面を削る為に、ザラザラは取れるが、突き刺さった奥のサビ迄は、取りきれない。
【0056】
この様な利便性に欠ける鉄粉除去剤に代わるものとして「液体鉄粉除去剤」が市販されている。
【0057】
これらは「中性の液体で、人体やボディに対して安全で塗装面に付着している鉄粉だけを溶解するもの、又この鉄粉取りクリーナーが最も威力を発揮するのは、なんと言ってもホイールの汚れを落とす時」と紹介されている。
【0058】
しかし、その殆どがチオグリコール酸アンモニウムを主剤として使用している事から、使用中に直ぐに活性が低下して性能が劣化する。本発明では、従来と同様の使用方法即ち、鉄粉やサビの付着している面に塗布又は噴霧し、数分〜数十分放置後水洗するだけで、ほぼ完全に鉄粉を除去する事が可能である。 又、ホイールの汚れは大半がブレーキダストによるものであり、泥や油の汚れだけであれば、カーシャンプーを使って洗うだけで、充分落とせるが、ホイールの場合そう簡単ではない。
【0059】
ブレーキパットやローターの削りカスが付着しており、このホイールの汚れが落としにくい主な原因は、これらの鉄粉が突き刺さっている事である。
【0060】
鉄粉が突き刺さると表面はザラザラし、シャンプーで洗っただけでは落とせない粒が残る事となる。又、ホイールは走行中高温に成った削りカスが固着する事がある。こうなると洗っただけでは、落としにくい付着物が残る。この様な汚れに対しても本発明洗浄剤では、噴霧又は塗布後しばらく放置した後、水洗いするだけで容易に洗浄する事が可能である。
【実施例1】
【0061】
重量比で精製水60部にアクリル酸重合体(商品名:カーボポール、昭和電工株式会社製)1部を加えて混合し、更に粘性を与える為に、モノエタノールアミン1部を添加して、増粘液を精製した。これにチオグリコール酸アンモニウムを12部添加してよく攪拌し、界面活性剤として、ポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルフェニルエーテルを15部添加後、次亜硫酸カリウムを3部」添加した。最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【実施例2】
【0062】
重量比で精製水50部にアラビアガム3部を加えて混合し増粘液を作製した。これにチオグリコール酸エチルアミンを20部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルエーテルを5部添加後、チオ硫酸ナトリウムを0.5部添加した。更にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)1部とブチルセロソルブ5部及び香料0.1部を添加して最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【実施例3】
【0063】
重量比で精製水50部にキサンタンガム0.15部を加えて混合し、増粘液を作製した。これにチオグリコール酸アンモニウムを10部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルフェニルエーテルを5部添加後、アスコルビン酸を1部添加した。更にピロガロールを0.25部、没食子酸0.25部、フェニキシエタノール0.5部を添加して、最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【実施例4】
【0064】
重量比で精製水50部にカルボキシメチルセルロース0.3部を加えて混合し、増粘液を作製した。これにチオグリコール酸アンモニウムを10部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてアルキル硫酸エステルソーダを8部添加後、チオ硫酸ソーダを2.5部添加した。次いでサリチル酸2.5部及びジヒドロキシエチルグリシン1部を添加し、更に1,3−ブチレングリコールを3部添加し、テレピン油0.2部添加後、最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【比較例1】
【0065】
重量比で精製水60部アクリル酸重合体(商品名:カーボポール、昭和電工株式会社製)1部を加えて混合し、更に粘性を与える為に、モノエタノールアミン1部を添加して、増粘液を作製した。これにチオグリコール酸アンモニウムを12部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルフェニルエーテルを15部添加後、最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【比較例2】
【0066】
重量比で精製水50部にアラビアガム3部を加えて混合し、増粘液を作製した。これにチオグリコール酸エチルアミンを20部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルエーテルを5部添加後、更にエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を1部とブチルセロソルブ5部、香料0.1部を添加して、最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【比較例3】
【0067】
重量比で精製水50部にキサンタンガム0.15部を加えて混合し、増粘液を作製した。これにチオグリコール酸アンモニウムを10部添加してよく攪拌し、界面活性剤としてポリオキシアルキレン(エチレン10モル付加)アルキルフェニルエーテルを5部添加後、最後に精製水を加えて全量を100部とした。
【0068】
上記実施例1〜4及び、比較例1〜3の成分を表示したものが、表1である。
【0069】
【表1】

【実施例5】
【0070】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【実施例6】
【0071】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【実施例7】
【0072】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【実施例8】
【0073】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【実施例9】
【0074】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【実施例10】
【0075】
表1に示す所定の成分を用いて、実施例1〜4と同様に、洗浄剤を調製した。
【0076】
上記実施例1〜4及び、比較例1〜3の各種洗浄剤について、各種の物性を測定した。
【0077】
この結果を下記に示す。
<臭気試験結果>
ポータブルニオイモニター「OD−85」(理研計器(株)製)を用いて臭気度を測定した
方法
初期値: 300mlのビーカーに試料20mlを入れ、真空鐘で蓋をしてマグネテックスタラーにて攪拌し、5分後の臭気を測定した。
【0078】
次に鉄粉を0.5g添加して同様に時間経過に於ける臭気を測定した。
【0079】
(イ)初期臭気値の結果を図1に示す。
【0080】
(ロ)反応後5分間の臭気の変化を図2に示す。
<鉄粉除去性能>
5×9cmアクリル樹脂プレート1をシャーレ(3)に斜めに置き、両面粘着テープ2を貼り付ける。
【0081】
鉄粉4を散布して表面に固定させる。
【0082】
鉄粉除去剤5を塗布して経時変化を観察する。
【0083】
尚、図3のプレートは、車のボンネットの傾きを考慮して少し斜めに設置する。
【0084】
図3の如くセットした各試験物を図4に示す様な皿6に載置し、経時変化を観察する。但し7はタイマーである。
<試験結果を図5に示す>
図5から次の事が判明する。
【0085】
比較例1は傾斜のある部分では約2〜3分で、水平部分に於いても約5分で赤紫色が消失し、鉄の溶解活性が無くなってしまった。
【0086】
しかし乍ら、本発明の実施例1から3では、経過時間と共に赤紫色が濃くなって行き、30分後に於いても優れた除鉄作業が保持されている。
【0087】
30分後水洗いすると比較例1では、黄褐色に変色した鉄は、乾燥固着してなかなか洗浄出来ないが、本発明の実施例1〜3では容易に洗浄が出来、その差は明確である。
<鉄粉の溶解性能>
実験方法
1. アクリルプレートに両面粘着テープを貼り、粘着部分に鉄粉を0.3グラム均一に付着させる。
【0088】
2. 試料を10mlシャーレに入れて、鉄粉を付けたアクリルプレートを2秒間浸ける。
【0089】
3. 直ぐさま取り出して2分間17度の角度で静置し、直ちに水で洗浄して、溶け出した鉄溶液を回収し、全量を200mlにする。同様に5分、10分及び30分静置した場合を行う。
【0090】
4. 回収した鉄溶液を高周波誘導結合プラズマ発光分析法を用いて、溶液中の鉄の定量を行う。
【0091】
5. その結果を図6に示す。
<浸漬及び塗布による性能評価>
実験方法
試料を10ml採取し、鉄粉を0.3g加えマグネテックスタラーで攪拌し、5、10、30分後の溶解した鉄粉の量を上記粉々の溶解性能と同様にして測定した。この結果を図7及び図8に示す。但し、図7は実施例1を図8は比較例1を示す。
【0092】
図7に示す通り実施例1では、浸漬時と塗布による鉄粉の溶解性能は同等である事が認められるが、図8に示す比較例1の浸漬方法では、優れた鉄の溶解性能が認められるが、塗布方法では殆ど効果が認められなかった。これは、本発明に於ける酸化防止剤の添加に大いに起因している事を示している。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】図1は実施例1〜4と比較例1〜3の初期臭気試験結果を示すグラフである。
【図2】図2は反応後5分間の臭気の変化を示すグラフである。
【図3】図3は実施例1〜3と比較例1の鉄粉除去性能を測定する際の実験方法を示す説明図である。
【図4】図3は実施例1〜3と比較例1の鉄粉除去性能を測定する際の実験方法を示す説明図である。
【図5】図5は図3の性能を測定した結果である。
【図6】図6は実施例1〜3及び比較例1〜2について、その鉄粉の溶解性を測定した結果を示すグラフである。
【図7】図7は浸漬及び塗布による実施例1の性能を測定した結果を示すグラフである。
【図8】図8は図7の実施例1に代えて、比較例1を用いた場合の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0094】
1: アクリル樹脂プレート
2: 両面粘着テープ
3: シャーレ
4: 鉄粉
5: 鉄粉除去剤
6: 皿
7: タイマー
















【特許請求の範囲】
【請求項1】
チオカルボン酸及びチオカルボン酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物と、酸化防止剤とを主成分として含有して成る洗浄剤。
【請求項2】
チオカルボン酸及びチオカルボン酸塩の少なくとも1種を0.5〜60重量%、酸化防止剤を0.1〜60重量%、及び界面活性剤を0.1〜30重量%含有してなる請求項1に記載の洗浄剤。
【請求項3】
キレート剤、溶剤、ビルダー及び増粘剤成分の少なくとも1種を更に含有せしめた請求項1または2に記載の洗浄剤。
















【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−24366(P2010−24366A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−188304(P2008−188304)
【出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(391034891)鈴木油脂工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】