洗浄媒体飛散防止部材、洗浄対象物保持体及び乾式洗浄装置
【課題】洗浄対象物の表面形状の違いに拘らず、単一の部材で且つ簡単なセッティング操作で洗浄媒体の飛散を防止でき、洗浄装置に対する洗浄対象物の保持操作の容易化を実現できるとともに、洗浄対象物の表面形状の違い毎に用意することの無駄を無くすことができる洗浄媒体飛散防止部材を提供する。
【解決手段】洗浄対象物4は洗浄対象物保持体12の保持ピン32に支持されて洗浄槽6の開口部6aに対向して保持されている。洗浄対象物保持体12の上方から、低反発性ウレタンスポンジを芯材とする洗浄媒体飛散防止部材22Aが挿入され、押圧手段24により押圧される。洗浄媒体飛散防止部材22Aは洗浄対象物4の表面形状に沿って変形し、これにより、洗浄槽6で空気流により飛翔する洗浄媒体5が飛散してその数量が少なくなることが防止される。
【解決手段】洗浄対象物4は洗浄対象物保持体12の保持ピン32に支持されて洗浄槽6の開口部6aに対向して保持されている。洗浄対象物保持体12の上方から、低反発性ウレタンスポンジを芯材とする洗浄媒体飛散防止部材22Aが挿入され、押圧手段24により押圧される。洗浄媒体飛散防止部材22Aは洗浄対象物4の表面形状に沿って変形し、これにより、洗浄槽6で空気流により飛翔する洗浄媒体5が飛散してその数量が少なくなることが防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置、該乾式洗浄装置に用いられる洗浄対象物保持体、該洗浄対象物保持体にセットされる洗浄媒体飛散防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の製造におけるフローはんだ槽によるはんだ付け工程において、はんだ付けの処理を行う領域以外をマスクするマスク治具が多く用いられている。このようなマスク治具はディップパレット、フローパレット等と呼称され、板状の部材に開口部が空いた形状を有している。
このようなマスク治具は、繰り返し使用されるうちに、フラックスが表面に堆積して固着しマスクの精度を下げるため、定期的に洗浄する必要があった。
【0003】
そこで、フラックス、粘着材、又は接着剤等が付着した治具等の洗浄対象物を洗浄するために、溶剤洗浄槽で洗浄対象物の上下両面に溶剤を噴射させて洗浄した後、洗浄対象物に付着した溶剤を水洗いし、洗浄対象物に温風を吹き当てて乾燥する洗浄装置がある。
しかしながら、溶剤を用いる洗浄装置を、フラックス等が付着した洗浄対象物の洗浄に使用した場合、溶剤を大量に使用するだけでなくフラックス等を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理におけるエネルギーの消費といった環境負荷が大きく、高コストになるという問題がある。
【0004】
これらの問題を解消するため、軽量で飛翔しやすい固体からなる洗浄媒体を洗浄槽内で高速に飛翔させて、洗浄媒体を洗浄対象物に連続して接触ないし衝突させ、洗浄対象物に付着した付着物を溶剤を使用することなく分離する乾式の洗浄装置が提案されている。
この洗浄装置は、洗浄媒体が洗浄槽の内部で循環して、洗浄対象物に繰り返し衝突するため、少量の洗浄媒体でかつ乾式であっても大きな洗浄効果を発揮する。
特に、可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を用いることで、さらに少量の洗浄媒体の使用量で超音波洗浄と同等以上の洗浄能力を発揮することができることが明らかになっている。
【0005】
特許文献1には、洗浄対象物を洗浄槽の外側に配置し、洗浄槽の開口部に対して洗浄対象物をスライドさせる方式とすることで洗浄槽の容積を小型化するとともに、洗浄媒体を洗浄槽に滞留させることなく飛翔させて表面に凹凸を有する洗浄対象物でも効率良く洗浄することができる洗浄装置が提案されている。
この洗浄装置では、洗浄媒体が洗浄槽外に漏出することを防ぎ、洗浄媒体が飛翔する空間内に洗浄媒体を速やかに戻すことで、洗浄対象物に衝突する洗浄媒体の数量を維持し、安定した洗浄能力を得ることができる。
この装置を具体的に説明すると、図15に示すように、半円筒状の洗浄槽6の開口部6a側に洗浄対象物(フローパレット)4を保持した洗浄対象物保持体3をセットする構成となっている。
洗浄槽6の開口部側には、洗浄媒体5が滞留するプール部19が形成され、洗浄対象物保持体3は洗浄対象物4を保持した状態でプール部19を図中左右方向に移動する。洗浄媒体5は樹脂製の薄片状であるが本図では分かりやすくするために、丸形状で表示している。
【0006】
洗浄槽6の底部中央には図示しない圧縮空気源に接続された洗浄媒体加速ノズル11が設けられており、ここから噴出する気流により洗浄媒体5は飛翔し、洗浄対象物4に衝突して洗浄対象物4に付着したフラックスを除去する。
洗浄媒体5は図示しない吸引装置に接続された吸引管18による吸引により洗浄槽6の飛翔空間内に戻され、再度飛翔する動作が繰り返される。
また、飛翔運動エネルギーが消失してプール部19に滞留した洗浄媒体5は、洗浄対象物保持体3の下面に設けられたスクレーパ26で洗浄槽へ戻される。
【0007】
洗浄対象物保持体3は洗浄対象物4よりも長い板形状であり、中央部に洗浄対象物4の形状に合わせた凹形状の洗浄対象物保持部23を有している。
洗浄対象物保持体3は、ウレタンゴム又は発泡樹脂などの弾性のある部材で構成されており、洗浄対象物4を洗浄対象物保持部23に押し込んで摩擦力で保持固定するようになっている。
洗浄対象物保持体3は、洗浄媒体によって洗浄するための気流が漏れず、洗浄媒体5が詰まってしまうような間隙を有さない構成となっている。これは、洗浄対象物であるフローパレットが複数の開口を有する板状の部材であるため、洗浄対象物をそのまま洗浄槽の開口部にセットすると、圧縮空気で加速された洗浄媒体が洗浄対象物の開口から飛散してしまい、洗浄槽内で循環しなくなり、洗浄能力が維持できないことを防止するためである。
【0008】
図16に基づいて、上記従来装置における洗浄対象物4の洗浄槽開口部へのセット手順を説明する。
洗浄対象物保持体3の洗浄対象物保持部23に洗浄対象物4を押し込み、洗浄対象物保持体3を裏返しにして洗浄槽ユニット2のプール部19にセットする。洗浄時には、洗浄対象物保持体3が図示しない移動機構によりスライドされ、洗浄面の移動がなされる。
図16において、符号20はリニアガイドを、21はプール部19の側面ガイドを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来装置における洗浄対象物保持体では、実際使用において以下のような問題があった。
・洗浄対象物の形状に合わせた凹形状の洗浄対象物保持部を有する構成では、その形状の洗浄対象物しか保持できず汎用性がない。すなわち、異なる形状の洗浄対象物に対応する場合には洗浄対象物毎の洗浄対象物保持体を用意しなければならない。
・洗浄対象物保持体に洗浄対象物をセットしたあと、洗浄対象物を洗浄槽側に向けるために、反転させて設置する必要があり、操作がわずらわしい。また、大型の洗浄対象物であれば反転動作そのものが困難であり、労力を要する。
・摩擦による保持は確実ではなく、洗浄槽内に発生する負圧によって吸引され、洗浄対象物保持体から洗浄対象物が外れてしまう可能性がある。
【0010】
このため、実用上は、洗浄槽の開口部だけを塞ぐ部材と、洗浄対象物を部分的に保持する保持ピンとを備えた枠形状の洗浄対象物保持体を用いることが多い。
洗浄装置に固定された洗浄対象物保持体の枠内に洗浄対象物を上方から入れ、枠の底面側で保持ピンにより洗浄対象物を支持するものである。
枠のサイズは洗浄対象物の外形に一致するように設計されており、外形が異なる洗浄対象物に対しては、枠の一辺をスライドさせて調整するようになっている。
洗浄対象物がフローパレットである場合、作業者はまず、プリント基板もしくはプリント基板と同サイズの板部材をフローパレットの洗浄面とは反対側の面にセットして、フローパレットの開口を塞ぎ、次に枠の中にフローパレット及び板部材を入れ、保持ピンで支持された状態で固定する。
フローパレットの開口は上記板部材によって塞がれ、フローパレットの側面は洗浄対象物保持体の枠内面と密接するため、洗浄媒体が飛散する隙間をなくすことができる。この場合、板部材は洗浄媒体飛散防止部材として機能することとなる。
【0011】
しかしながら、このような保持方式では、以下の課題が発生する。
(1)洗浄対象物の縦横のサイズが同時に変動する場合に対応できない。
(2)洗浄対象物が四角形以外の形状の場合に対応できない。
(3)複数の種類の洗浄対象物を混在して洗浄する際に段取り変えの負荷が大きい。
【0012】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたもので、洗浄対象物の表面形状の違いに拘らず、単一の部材で且つ簡単なセッティング操作で洗浄媒体の飛散を防止でき、洗浄装置に対する洗浄対象物の保持操作の容易化を実現できるとともに、洗浄対象物の表面形状の違い毎に用意することの無駄を無くすことができる洗浄媒体飛散防止部材の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、洗浄槽内で気流により飛翔する洗浄媒体を、前記洗浄槽の開口部に配置された洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体飛散防止部材であって、前記洗浄対象物を前記開口部に保持する洗浄対象物保持体に、前記洗浄対象物の前記洗浄媒体が衝突する側と反対側に配置されるものであり、自重によりあるいは押圧力により、前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従して変形し、前記洗浄媒体が前記反対側に移動する隙間を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、洗浄対象物の表面形状の違いに拘らず、単一の部材で且つ簡単なセッティング操作で洗浄媒体の飛散を防止でき、洗浄装置に対する洗浄対象物の保持操作の容易化を実現できるとともに、洗浄対象物の表面形状の違い毎に用意することの無駄を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る乾式洗浄装置の要部を示す概要構成図である。
【図2】洗浄媒体飛散防止部材の概要断面図である。
【図3】洗浄媒体飛散防止部材のセッティング動作を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体に挿入した状態を示す図、(b)は押圧により変形した状態を示す図である。
【図4】洗浄媒体飛散防止部材として非変形部材を用いた場合の問題点を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る洗浄媒体飛散防止部材を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体に挿入する前の状態を示す図、(b)は自重により変形した状態を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る洗浄対象物保持体を示す平面図で、(a)は保持領域調整手段の構成を示す図、(b)は調整後に洗浄対象物を載置した状態を示す図、(c)は洗浄媒体飛散防止部材をセットした状態を示す図である。
【図7】図6(c)のY1−Y1線における断面図である。
【図8】洗浄対象物保持体の変形例を示す斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す図で、(a)は洗浄媒体飛散防止ユニットを開放した状態を示す図、(b)は洗浄媒体飛散防止ユニット及びシャッター部材を閉じて洗浄可能な状態を示す図である。
【図10】洗浄媒体飛散防止ユニットを示す図で、(a)は洗浄対象物を保持した状態の平面図、(b)は(a)のY2−Y2線での断面図である。
【図11】第5の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す概要正面図である。
【図12】同装置の概要側面図である。
【図13】同装置の使用状態を示す図で、(a)は洗浄対象物が排出される状態を示す概要正面図、(b)は(a)のY3−Y3線での断面における洗浄媒体の払い落とし動作を示す図である。
【図14】第6の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体を省略した状態の洗浄状態を示す側面図、(b)は洗浄状態を示す正面図、(c)は洗浄ユニットの移動軌跡を示す平面図である。
【図15】従来における乾式洗浄装置の要部断面図である。
【図16】従来の乾式洗浄装置における洗浄対象物のセット手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。なお、上記従来装置と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない場合にはその説明を適宜省略する。
図1乃至図4に基づいて、第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る乾式洗浄装置1の要部を示している。乾式洗浄装置1は、洗浄槽ユニット2と、洗浄対象物保持体12とを有している。
洗浄槽ユニット2は、洗浄槽6と、洗浄媒体加速部7と、プール部19とを有している。洗浄槽6の吸引管18が対向する部分には、分離部10が設けられている。分離部10と吸引管18との間には、洗浄槽6から外部に膨らむように形成された空隙部8が形成されている。
洗浄槽6は、両側が閉塞された半円筒形に形成され、上部に開口部6aを有している。空隙部8は断面半円形状で洗浄槽6の長手方向に延びている。
分離部10は、気体及び粉塵などは通過することができるが、洗浄媒体5が通過できないよう小孔又はスリットを多数有する。分離部10は、例えば、金網、プラスチック網、メッシュ、パンチングメタル、又はスリット板といった多孔性部材で洗浄媒体が滞留しない滑らかな形状に形成される。
特許文献1の図1に記載されているように、洗浄槽6は、洗浄槽本体の内部に分離部を設けた二重構造としてもよい。
【0017】
分離部10は空隙部8を介して吸引ダクト18に接続され、吸引ダクトは図示しない吸引装置に接続されている。吸引装置は、吸引ダクトと分離部とを介して洗浄槽内の空気を吸引する。吸引装置は洗浄媒体加速ノズル11から噴出される空気の流量に比べて十分な空気の流量を吸引し、洗浄槽内を負圧にする性能を有している。
洗浄媒体加速部7は、複数の噴出口を有する洗浄媒体加速ノズル11と、コンプレッサからなる図示しない圧縮空気供給装置を有している。
洗浄媒体加速ノズル11は、複数の噴出口が洗浄槽の底面中心に沿って一直線になるように配置されている。洗浄媒体加速ノズル11は図示しない圧縮空気供給装置に、制御弁を有する送気管を介して接続されている。圧縮空気供給装置は洗浄媒体加速ノズルに圧縮空気を供給し、洗浄媒体5を飛翔させる。
【0018】
上述のように、凹形状に形成されたプール部19は一定長さを有しており、洗浄槽の両側に設けられている。このプール部19の水平な面の角部には、例えば厚さが約5mmの角柱形状のリニアガイド20を有している。リニアガイド20の表面はフッ素樹脂のような滑らかな材質で形成されている。
また、リニアガイド20は洗浄対象物保持体12を保持し、プール部の平行な側面ガイド21とともに洗浄対象物保持体12の図中左右方向の移動を案内する。
洗浄対象物保持体12は、例えば、直動モータ、エアシリンダ又はワイヤー駆動部等の図示しない駆動部に接続されている。図示しない制御装置からの制御信号により駆動部が駆動され、洗浄槽ユニットの動作と並行してプール部に沿って洗浄対象物保持体12が移動する。プール部は、洗浄対象物保持体12で保持された洗浄対象物の移動範囲以上の面積を有している。
【0019】
洗浄対象物保持体12は、洗浄対象物4を開口部6aに臨むように保持する保持枠14と、保持枠14内に配置された洗浄媒体飛散防止部材22Aを押圧する押圧手段24とを有している。
保持枠14は、開口部6aの面積よりも大きい輪郭を有し、開口部6aの上方を覆う矩形の枠形状をなすベース部28と、ベース部28の四辺から上方に立ち上げられた枠壁30とを有している。枠壁30は板金折り曲げ加工によって矩形の枠体として形成されており、各枠壁30の上端部は、保持枠14内に洗浄媒体飛散防止部材22Aを入れやすくするために外側に折り曲げられている。
ベース部28の対向する辺部には、内方へ突出して洗浄対象物4を支持する保持ピン32が設けられている。また、ベース部28の下面には、プール部19に溜まった洗浄媒体5を洗浄槽6側へ戻す漏れ防止部材34が設けられている。漏れ防止部材34は、密状態に植毛されたブラシ状部材から構成されており、洗浄媒体5の漏れは防止するが空気の通りは許容する。
【0020】
押圧手段24はトグルクランプの構成を有しており、ベース部28に固定される支持部材36と、支持部材36に回動自在に支持された円弧状のアーム38と、アーム38の先端にネジ軸を介して取り付けられた調整パッド40とを有している。
アーム38を洗浄媒体飛散防止部材22A側に回動して押圧し、図示しないレバーを操作することにより押圧状態がロックされるようになっている。
押圧手段24は、洗浄対象物4に対する保持枠14の最大保持面積を押圧可能に4箇所に対向して配置されており(図8参照)、各調整パッド40の位置を調整することにより、4箇所での押圧力を均一にすることができる。ベース部28に対する支持部材36の位置は固定してもよいが、着脱自在なネジ固定方式とし、押圧位置を変えられるようにしてもよい。
【0021】
図2に示すように、洗浄媒体飛散防止部材22Aは、洗浄対象物4の外面形状に沿って追従変形する芯材42と、芯材42の洗浄媒体5が衝突する面と反対側の面に固定された剛性を有する部材としてのプラスチック製の面板44と、少なくとも芯材42の表面を覆う表面材46とから構成されている。他の図においては表面材46の表示を適宜省略する。
表面材46は、芯材42の追従変形性を阻害せず且つ洗浄媒体5の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されている。
本実施形態では、芯材42は低反発性ウレタンスポンジから構成されており、表面材46はストレッチ生地から構成されている。表面材46の上端は面板44に接着等の手段で固定されており(図1では省略)、装置とは分離した1つのユニットとしてなる。
ここで、「低反発性」とは、厳密には低反発弾性であり、反発弾性率が15%程度以下(JIS K 6400-3)のものであり、低反発性の発泡材とは、例えば、ポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体である。
【0022】
芯材42は、それ自体は柔らかく物としての取扱い性があまりよくないが、剛性を有する面板44と一体化することにより、取扱いやすくなる。面板44は少ない押圧ポイント(本実施形態では4箇所)で芯材42の全体に亘って均一な押圧力を付与するための介在部材でもある。
【0023】
次に、本実施形態に係る乾式洗浄装置1による洗浄動作の手順を説明する。
まず、洗浄槽6に洗浄対象物4の洗浄に適した量(予め実験により求められている)の洗浄媒体5を投入する。
次に、図3(a)に示すように、保持枠14内に洗浄対象物としてのフローパレット4を挿入し、保持ピン32で支持された状態に載置する。次に、洗浄媒体飛散防止部材22Aをその上から保持枠14に挿入する。保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間には若干の隙間があり、容易に挿入することができる。
洗浄媒体飛散防止部材22Aを挿入しただけの状態では、洗浄媒体飛散防止部材22Aの下面がフローパレット4の最も高さの大きい凸部4aで規制される。このままの状態で洗浄がなされると、保持枠14の上方外側へ洗浄媒体5が飛散することは防止されるが、洗浄媒体5がフローパレット4の両側における保持枠14との間の隙間やフローパレット4の開口4bを通ってフローパレット4の上面に堆積し、洗浄時間の経過とともに洗浄媒体5の数量が減って洗浄能力が低下していくことを避けられない。
図3において、符号4dは、洗浄対象物4を保持ピン32に載置するための載置片4dを示している。
【0024】
洗浄媒体飛散防止部材22Aを挿入した後に、上述のように押圧手段24で押圧してロックすると、図3(b)に示すように、押圧力によって芯材42がフローパレット4の外面形状に沿って変形する。表面材46も芯材42の変形に追従する変形性を有しているので、凸部4aよりも高さの低い凸部4cが混在していても洗浄媒体飛散防止部材22Aはフローパレット4の外面形状に沿って変形し、フローパレット4と保持枠14との間の隙間や、開口4bが塞がれる。
図4に示すように、保持枠14内のフローパレット4の上部を剛性板材やゴム板等の部材50で塞いでも、洗浄媒体5が載置片4dを含むフローパレット4の上面に堆積してその数量が低下する。
特許文献1に記載の「凹部に弾性で保持する方式」ではこの問題を解消できるが、上述のようにフローパレット4の形状の変化に一対一でしか対応できず、洗浄対象物の形状に対応した数量の洗浄対象物保持体を用意する必要がある。
【0025】
本実施形態では、図3(b)に示すように、洗浄媒体飛散防止部材22Aで密接に塞がれるので、洗浄媒体5の堆積は防止され、フローパレット4の洗浄面に衝突しなかったもの、換言すれば、洗浄媒体飛散防止部材22Aがなければ開口4b等を経て洗浄対象物4の上面に堆積する可能性の高いものも確実に洗浄槽6へ戻される。
洗浄媒体飛散防止部材22Aは洗浄対象物4の形状がどのようなものであってもそれに沿って任意に変形するので、1つのもので全ての洗浄対象物4に対応可能となる。
フローパレットのフラックスが付着していない上面には、プリント基板を固定するための部材が多く配置されているが、低反発スポンジおよびストレッチ生地が柔軟に変形することで、開口4bに密接することができる。また、低反発スポンジであるので、押し付けられても洗浄対象物に大きな負荷が掛かることはない。
また、洗浄媒体飛散防止部材22Aは押圧変形により保持枠14の内面に密接するので、保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間に隙間が存在することによる空気漏れによる洗浄媒体5の飛翔速度の低下も抑制される。
【0026】
洗浄媒体飛散防止部材22Aを押圧してロックすると、フローパレット4と洗浄槽6との間に、洗浄媒体5を飛翔させる閉空間が形成される。この状態で図示しない制御装置で吸引装置を駆動させると、洗浄媒体が飛翔する空間内の空気が吸引される。次に、図示しない制御装置は圧縮空気供給装置を駆動して、洗浄媒体加速ノズル11に圧縮空気を供給することで洗浄媒体加速ノズル11から洗浄槽内に垂直上方向の気流を発生させる。
この気流によって洗浄媒体5が飛翔してフローパレット4に衝突することでフローパレットの表面に付着している固着フラックスを効率良く除去する。フローパレットに衝突した洗浄媒体は、気流の流れと重力とによって落下し、分離部10上で吸引されながら洗浄媒体加速ノズル11の近傍に滑り落ちる。
このとき、洗浄媒体に付着した粉状のフラックスが吸引される。分離部10で分離された付着物は吸気ダクト18を通って吸引装置により回収される。
また、洗浄媒体加速ノズル11の近傍に落下した洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11により噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、乾式洗浄装置はフローパレットの表面に付着した固着フラックスを除去する。
【0027】
飛翔する洗浄媒体5によりフローパレット4を洗浄しているとき、プール部19と洗浄対象物保持体12との間隙に、洗浄媒体の一部が入り込む。しかしながら、洗浄媒体は洗浄対象物保持体12の下部に配置された漏れ防止部材34にブロックされるため、洗浄装置の外側には漏れず、最終的にはプール部19の上に堆積する。
プール部19上に堆積した洗浄媒体は、洗浄対象物保持体12の往復動作に伴い、漏れ防止部材34のスクレープ機能により洗浄槽6に掃き戻される。洗浄槽に掃き戻された洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11から噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、フローパレットの表面に付着した付着物が除去される。
【0028】
洗浄媒体飛散防止部材22Aによって洗浄媒体5が上方向に飛散する隙間がなくなるため、洗浄媒体5は洗浄槽6およびプール部19上を数量が減少することなく循環する。このことにより、長時間洗浄装置を稼働させても、洗浄媒体の欠乏による洗浄能力の低下は発生しない。
このように洗浄対象物保持体12を洗浄槽6に対して往復移動させてフローパレットを洗浄することにより、大きな面積を有するフローパレットでも確実に洗浄することができる。
【0029】
洗浄媒体飛散防止部材22Aは、表面材46を設けずに芯材42のみとしてよいが、実験により芯材42として低反発性ウレタンスポンジを採用した場合、洗浄媒体5の衝突によりスポンジ表面の損傷が早期に進行することが分かった。損傷が大きい場合には、良好な変形性が阻害される。
本実施形態ではこの問題を解消すべく、変形性と、洗浄媒体5に対する耐性とを分離してそれぞれ別部材で担わせることにより、洗浄媒体飛散防止部材22Aの早期劣化を抑制することとしたものである。
低反発性ウレタンスポンジの表面に低反発性ウレタンスポンジの変形性を阻害せず、洗浄媒体5に対する耐摩耗性を有するコーティング処理等を行ってもよい。
【0030】
ストレッチ生地で形成された表面材46の耐摩耗性は永久的なものではなく、繰り返し使用により劣化する。
このため、表面材46のみを交換可能とすれば、洗浄媒体飛散防止部材をユニット全体として交換するよりもコスト的に有利である。
本実施形態では、図2に示すように、表面材46の上端は面板44に固定されているが、面状ファスナーで着脱可能として交換できるようにしてもよい。また、芯材42と面板44を包み込む袋状に形成し、ファスナーの開閉で着脱できるようにしてもよい。
本実施形態では、芯材42として低反発性ウレタンスポンジを採用したが、上記変形性を得ることができれば何でも良く、例えば空気や水等の流体や粉体、粒状体等でもよい。
【0031】
洗浄媒体5は、鉛筆硬度(JIS K-5600-5-4に準拠して計測される特性)が固着フラックスの硬度以上に硬くて、かつ耐折性(JIS P8115に準拠して計測される特性)が45以下で、連続で衝撃を与え続けると割れて新たなエッジを生じることにより、固着除去能力を維持する性質を有する。洗浄媒体5の厚さは0.05〜0.2mmであり、面積は1〜100mm2の矩形状をした薄片である。
本実施形態では、上記の厚さやサイズの洗浄媒体を用いているが、洗浄対象物によってサイズや材質を変えることが効果的であり、これに限るものではない。
薄片状の洗浄媒体は、投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗力に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて飛翔する。また、投影面積が小さい方向には空気抵抗が小さく、その方向へ飛翔した場合、高速運動が長距離にわたって維持される。このため洗浄媒体の持つエネルギーが大きく、洗浄対象物に接触したときに作用する力が大きくなって、洗浄対象物の表面に付着した付着物を有効に除去することができるとともに、洗浄媒体を繰り返し循環して洗浄対象物に接触する頻度が増すので洗浄効率を高めることができる。
【0032】
図5に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し特に必要がない限り、既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
上記実施形態では、押圧手段24により押圧して洗浄媒体飛散防止部材22Aを変形させる構成としたが、本実施形態では芯材42の自重を利用している。
本実施形態における洗浄媒体飛散防止部材22Bの芯材42は、ビニール等の軟質の袋にビーズ等の粒状体を入れて構成されている。面板44は取っ手52を有しており、作業者が洗浄媒体飛散防止部材22Bを持ち上げて保持枠14内に落とし込む方式となっている。
洗浄媒体飛散防止部材22Bを落とし込むと、洗浄媒体飛散防止部材22Bは図5(b)に示すように、自重変形性により図3(b)と同様の飛散防止構造を得ることができる。
【0033】
本実施形態では、押圧手段24は不要であり、複数の押圧手段24を操作(ロック、解除)する煩わしさはない。重量物としての洗浄媒体飛散防止部材22Bを取り扱う労力上の不便さはあるが、装置に簡易なクレーン機構を設けて洗浄媒体飛散防止部材22Bの昇降を自動化することもできる。
押圧手段24を用いない構成としては、他に、面板44の面積を若干小さくし、あるいは面板44を無くし、枠壁30の内側の周囲に水平に突出する突縁を設けて保持枠14の挿入開口面積を狭くし、低反発性ウレタンスポンジ等からなる洗浄媒体飛散防止部材を手で押し込んで変形させ、上記突縁で洗浄媒体飛散防止部材の復元を止めて変形状態を維持する構成を採用することもできる。
【0034】
図6及び図7に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、図6に示すように、保持枠14の洗浄対象物4を保持する領域を、洗浄対象物4の大きさに応じて調整する保持領域調整手段54を有していることを特徴とする。
上記のように、洗浄対象物4の外表面の形状(凹凸形状)も様々なものが存在するが、その大きさ(縦・横サイズ)も色々なサイズが存在する。本実施形態ではこの縦横の不定サイズに対応すべく、ベース部28の一辺部に保持領域調整手段54を設けている。
保持領域調整手段54は、ベース部28の一辺部に挿通・支持され、図中左右方向にスライド自在な調整軸56と、調整軸56の先端部に設けられた可動プレート58と、可動プレート58の先端に固定された保持ピン32とを有している。
【0035】
保持枠14の開口面積(最大保持領域)よりもサイズの小さい洗浄対象物4を洗浄するときは、図6(a)に示すように、調整軸56を操作して可動プレート58を平行移動させ、保持領域を洗浄対象物4に合うように狭める。これにより小さいフローパレットであっても枠内に固定することができる。
図6(b)は、調整後に洗浄対象物4を保持ピン32上に載置した状態を示している。
このような小サイズの洗浄対象物4を洗浄する場合でも、洗浄媒体飛散防止部材22のサイズは一定であり、図6(c)に示すように最大保持領域をカバーするサイズとなっている。
【0036】
図7は、図6(c)のY−Y線での断面を示している。保持領域調整手段54により洗浄対象物4の保持領域を変更しても、洗浄媒体飛散防止部材22は最大保持領域に対応したサイズであるため、押圧手段24により押圧すると、洗浄対象物4が存在しない空間領域Xにおいても洗浄媒体飛散防止部材22の任意変形によって塞がれ、洗浄媒体5が上方に飛散してその数量が減少することはない。
洗浄対象物4のサイズによっては、図6(b)の保持領域の図中下側にも空白領域ができるが、この領域も同様に洗浄媒体飛散防止部材22の変形性によって塞がれる。
図8に示すように、ベース部28が枠壁30を兼ねる保持枠140を構成し、保持領域調整手段54は、安定した調整操作が行えるように複数本(ここでは3本)の調整軸56を備えた構成としてもよい。
図面上見えないが、可動プレート58の移動方向前面下端部には保持ピン32が設けられている。各調整軸56は保持枠140の外側において連結プレート55で連結されており、中央部の調整軸56を固定ネジ57で固定することにより調整後の位置が固定される。
【0037】
図9及び図10に基づいて第4の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、洗浄対象物保持体と洗浄媒体飛散防止部材とを別体にして洗浄媒体の漏れを防止する構成としたが、本実施形態では、これらを一体化して、より確実に洗浄媒体の漏れを防止し、かつ洗浄対象物の固定を容易にする構成としたことを特徴とする。
図9に示すように、本実施形態に係る乾式洗浄装置60は、ベース62と、該ベース62から上方に延びる装置本体64とからなる縦型の使用スタイルとなっている。
プール部19を形成する面が、垂直からわずかに図中左側に傾斜した角度で配置されている。装置本体64のプール部19の中心には、第1の実施形態と同様の構成の洗浄槽ユニット2が配置されている。洗浄対象物保持体のベース部28が、洗浄槽ユニットの開口部に相対する位置に、図示しない直動手段に接続されて配置されている。
【0038】
ベース部28の一辺部には、蝶番66によって、保持枠と洗浄媒体飛散防止部材とが一体化した洗浄媒体飛散防止ユニット68が接続されている。また、蝶番66と反対側の辺部には、ベース部28と洗浄媒体飛散防止ユニット68とを接続して固定するロック機構70が配置されている。
洗浄媒体飛散防止ユニット68の側面には、ピン長さを調整できる保持ピン部材72が配置されている。さらに保持ピン部材72は、洗浄媒体飛散防止ユニット68の洗浄媒体飛散防止部材22Aに沿った位置で保持ピン部材72をロックする保持ピンロック機構74を備えている。
【0039】
洗浄媒体飛散防止ユニット68が移動する領域は、安全のため、外装部材と、開閉自在なシャッター部材78とで閉空間とされている。シャッター部材78はスライドする3枚の板状部材78a、78b、78cとからなり、シャッター部材78を開いた状態では、図9(a)に示すように、蝶番66を支点に手前に開いた洗浄媒体飛散防止ユニット68を支えることができる。
【0040】
乾式洗浄装置60の使用動作を説明する。
作業者はまずシャッター部材78を開き、洗浄媒体飛散防止ユニット68のロック機構70を解除して、洗浄媒体飛散防止ユニット68を手前に倒す。洗浄媒体飛散防止ユニット68は、蝶番66と開いたシャッター部材78で保持される。このとき、洗浄媒体飛散防止部材22Aは、低反発性ウレタンスポンジを被覆したストレッチ生地が上になった状態となる。作業者は洗浄対象物4の洗浄したい面を上にして、洗浄媒体飛散防止ユニット内に置く。
次に、図10に示すように、保持ピン部材72の長さを調整して、洗浄対象物4の一方の端を保持ピン32の下に潜り込ませる。そして、洗浄対象物4を手で押さえ付け、洗浄媒体飛散防止部材22A中に押し込み、他方の保持ピン部材72を伸張させて保持ピン固定手段74により位置を固定する。
【0041】
このような動作により、洗浄対象物4は洗浄媒体飛散防止部材22Aに押し付けられた状態で保持される。このとき、洗浄対象物4が洗浄媒体飛散防止ユニット68の外枠の高さ以下に配置されるように、保持ピンを配置する。
次に、洗浄媒体飛散防止ユニット全体を、蝶番を支点に回転させ、図9(b)に示すように、ベース部に接続してロック機構により固定する。
このような状態で、シャッター部材78を閉じ、装置を稼働させると、第1の実施形態の場合と同様に、洗浄媒体が圧縮空気によって加速され、洗浄対象物に衝突して付着物を除去する。
また、洗浄媒体飛散防止ユニット68によって、洗浄媒体5は洗浄槽6およびプール部19の外に漏れ出すことはない。
洗浄媒体飛散防止部材22Aと保持枠とが一体化しているため、上記各実施形態に比べ洗浄媒体の漏れ防止機能を高めることができる。また、洗浄媒体飛散防止部材を一体化したことにより、作業者の手間を低減できる。
【0042】
図11乃至図13に基づいて第5の実施形態を説明する。
本実施形態では、複数の洗浄対象物を連続で洗浄することに適した構成を特徴としている。
洗浄媒体飛散防止部材を用いない従来の乾式洗浄装置や、上記各実施形態における乾式洗浄装置では、個々に洗浄対象物を洗浄対象物保持体に固定する手間が生じるため、連続して複数の洗浄対象物を洗浄装置に投入することが極めて困難である。
本実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22Cとして、芯材としての低反発性ウレタンスポンジローラ80を表面材としてのストレッチ生地82によって被覆されたスポンジローラを使用する。以下、低反発性ウレタンスポンジローラ80とストレッチ生地82とを含めて「スポンジローラ80」という。
また、洗浄槽ユニットとして、吸気吸引により発生する旋回気流を用いて洗浄媒体を飛翔させるドラム状筐体構成を採用している。
スポンジローラ80は、洗浄対象物がない状態で、洗浄槽ユニット84の開口部86を塞ぐのに十分な半径を有している。
【0043】
洗浄対象物としてフローパレット(以下、「パレット」という)を用いる例について説明する。
スポンジローラ80は回転することにより、搬送されるパレット表面に押し付けられ、パレット4の開口部を塞ぐ。
洗浄槽ユニット84及びスポンジローラ80の前後には、パレット4を搬送できる搬送装置(ローダ・アンローダ)88が配置されており、パレット4はどちらか一方に必ず保持されて平行移動するようになっている。
スポンジローラ80は回転軸81で支持されており、パレット4の移動で従動回転する。
【0044】
洗浄槽ユニット84の下流には、図示しない圧縮空気供給装置に接続されたエアノズル90を用いた払落しスペース92が設けられており、スポンジローラ80およびパレット4に残留した洗浄媒体を払い落とす機能を備えている。
払い落とされた洗浄媒体は、ダクトを経由して洗浄槽ユニット84のインレット(通気口)94近辺に落下する構成となっており、洗浄媒体はインレット94から吸引されて再び洗浄槽ユニット84内の旋回気流96によって飛翔する。図11において、符号95は旋回気流の流路断面形状を規定する流路制限部材を示している。円筒状の流路制限部材95は、洗浄媒体5を通さない多孔性の分離手段としても機能し、洗浄槽ユニット84の開口部86がパレットで塞がれない状態では、インレット94からの空気流入が少なく、吸引管18を介した吸気により洗浄媒体5は流路制限部材95に吸着される。
このような構成にすることにより、洗浄対象物に付着した洗浄媒体の飛翔空間からの持ち出し(飛散)により、洗浄槽ユニット内部の洗浄媒体の数量が減少するのを防ぐことができる。
図12において、符号83は漏れを防止するための側壁を示している。
【0045】
図13に本実施例の払落しスペースの構成を示す。図13(b)に示すように、パレット4の側面からラッパ状のエアノズル90によって広い範囲に圧縮空気を吹き付け、パレットの上下面に付着した洗浄媒体を同時に一定の方向に吹き払っている。エアノズル90からのエアー吐出量は、エアバルブ91によって調整される。
吹き払われた側面には、吹き払いスペースの上下を連通する間隙が設けられており、パレットの上面に付着していて吹き払われた洗浄媒体は、この間隙を通って吹き払いスペースの下部に落下する。吹き払いスペースはインレット94に連通しており、インレット94に向かう方向に吸引気流が発生している。
このため、落下した洗浄媒体は吸引気流で搬送されてインレット94に吸い込まれ、再び洗浄槽ユニット内に回帰する。
【0046】
インレット94に吸引される気流は、吹き払いスペースの洗浄対象物出口100から供給される。このため、洗浄対象物出口100には常に吹き払いスペース内に吸い込まれる方向で気流が発生しているため、エアノズル90の気流や洗浄媒体が、ユニット外に漏れ出すことはほとんどない。
洗浄対象物出口100に、暖簾状の部材を配置すれば、より確実に洗浄媒体の漏れを防ぐことができる。
また、スポンジローラ80に接触するスクレーパ102を配置し、スポンジローラ80の表面に静電気などで付着した洗浄媒体を掻き落とし、払落しスペース92に落下させることで洗浄槽ユニット内に回収する。
このような構成にすることにより、板状の洗浄対象物を連続で洗浄できる装置が実現できる。
【0047】
図14に基づいて第6の実施形態を説明する。
本実施形態における乾式洗浄装置(パレット洗浄装置)110は、洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニット112と、洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体114と、洗浄ユニット112を移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段としての3軸タイプの直交ロボット116とを備えている。
直交ロボット116は、図中左右方向(矢印D1方向)の移動を担うX軸118と、紙面厚み方向の移動を担うY軸120と、上下方向の移動を担うZ軸122と、これらの可動軸を支持するベースと、これらの可動軸の動きを制御する図示しない制御手段と有している。
洗浄ユニット112は、Z軸122の下端にバネ部材123を介して取り付けられている。
洗浄対象物保持体114は、洗浄媒体飛散防止部材22を支持する支持フレーム124と、該支持フレーム124から上方に延びる一対の保持枠126、128と、保持枠126、128内に収容された洗浄媒体飛散防止部材22とを有している。
支持フレーム124は、直交ロボット116の上記ベースを兼ねている。
【0048】
一方の保持枠128には、洗浄媒体飛散防止部材22の反発力による洗浄対象物としてのパレット4の浮き上がりを阻止する保持ピン32が複数本固定されている。他方の保持枠126には、寸法の長い複数の保持ピン32が、色々なサイズのパレットを保持可能に水平方向(矢印H方向)に移動自在に設けられている。
上記実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22を洗浄対象物4の上方から覆い被せる洗浄構成を採ったが、本実施形態では逆構成となっている。
【0049】
洗浄ユニット112には、吸引ホース130が接続されており、吸引ホース130には図示しない吸引装置が接続されている。
洗浄ユニット112は、筐体内部で高速の旋回気流を生じさせて洗浄媒体を循環飛翔させ、旋回領域の一部に設けている開口部112aで洗浄媒体を洗浄対象物4に衝突させて洗浄する構成を有している。
上記吸引装置で吸引している状態で、上記開口部112aが洗浄対象物4に当接して塞がれると、通気口としてのインレット112bから外部空気が高速で流入し、筐体中央の円筒部材112cを旋回軸として旋回気流が生成され、筐体内部に保持されている洗浄媒体が飛翔する。
【0050】
吸引装置に接続される部分と筐体内部との間には、除去物を通し洗浄媒体を通さない大きさの孔を有する図示しない多孔性部材が設けられている。吸引によって筐体内部が負圧化されると、旋回気流が生じるまでは、洗浄媒体は多孔性部材に吸着保持される。
したがって、洗浄対象物4から開口部112aが離れても、筐体内部の洗浄媒体は保持され、外部に漏れない。
洗浄ユニット112としては、本出願人による特開2012−050973号公報に記載のクリーニング筐体を利用している。バネ部材123を介したZ軸122との連結を容易にするために、上記クリーニング筐体を矩形のケーシングで覆い、該ケーシングにバネ部材123を固定している。
【0051】
洗浄ユニット112の開口部112aの周りには、表面のすべりがよく、柔軟性のある部材で形成されたシール部材132が設けられている。これにより、開口部112aをパレット4の表面凹凸に追随して密着させることができる。シール部材132としては、ナイロンの毛を植毛したブラシや、スポンジの表面にフェルト生地で被覆したものなどを使用すると良い。
【0052】
本実施形態に係る乾式洗浄装置110の動作について述べる。
まず、作業者は洗浄ユニット112の筐体内に洗浄媒体を適量供給する。供給は、開口部112aから吸い込んでもよく、インレット112bから投入してもよい。
次に、作業者はパレット4を洗浄媒体飛散防止部材22の上におき、固定の保持ピン32の下にパレット4の一端部を挿入し、他端部を押し込んで可動の保持ピン32を操作して押え付ける。
パレット4を固定したら、パレットのすべての開口部が洗浄媒体飛散防止部材22で塞がれていることを確認して、図示しない制御手段に稼動開始信号を入力する。
制御手段は、上記吸引装置を稼動させ、次に直交ロボット116のXY軸を稼動させて、洗浄ユニット112をパレット4の隅(洗浄ホームポジション)に移動させる。
【0053】
次に、直交ロボット116のZ軸を稼動させて洗浄ユニット112を下降させ、バネ部材123が一定量撓むまで、パレットに押し付ける。
この押圧によって、シール部材132が変形してパレットに密着し、洗浄ユニットの開口部112aが塞がれて洗浄ユニット内の圧力が吸引により低下する。
これに伴って洗浄ユニットにインレット112bから流れ込む気流が増大し、洗浄ユニットの筐体内に旋回気流が発生して洗浄媒体が飛翔し、開口部112aに密接したパレットに洗浄媒体が衝突する。
これにより、パレット表面に付着したフラックスを高速に除去することができる。
【0054】
次に、制御手段は、洗浄ユニット112を、図14(c)に点線で示すように、パレットに接触したまま矩形の軌道で平行移動させる。
パレットの表面にうねりや凹凸があっても、Z軸方向のバネ部材123により、押し付け状態を保ったまま平行移動することができる。
平行移動することにより、洗浄ユニットの開口部112aより広い領域を洗浄することができ、さらに洗浄媒体飛散防止部材22の変形効果により、パレットの端部や開口部周りであっても隙間が生じず、洗浄ユニットの開口部から洗浄媒体が漏れ出すことなく、パレット全面を洗浄することができる。洗浄ユニット112の洗浄軌道は予めプログラムされている。
また、特開2012−050973号公報で説明されている「洗浄媒体飛翔・吸着効果」により、洗浄対象物から洗浄ユニットを離しても、洗浄媒体が外部にもれ出ることがないため、不連続な軌道をとることも可能である。
【0055】
パレットの形状が、枠だけであったり、異形状である場合には、形状に合わせた軌道を取って洗浄ユニットを動かすことが望ましい。そのように軌道を最適化することにより、短時間で洗浄が完了し、洗浄媒体の消耗も少なくてすむ。
本実施形態では洗浄ユニットの移動手段として直交ロボットを用いたが、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットを用いてもよい。
また、本実施形態では洗浄する面を上に向けて配置したが、洗浄媒体飛散防止部材を押し付けて洗浄対象物であるパレットの開口部を塞ぐことができれば、洗浄ユニット移動手段の移動形態を変化させることにより、洗浄する面は横向き、もしくは下向きに配置されていても洗浄可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 乾式洗浄装置
5 洗浄媒体
6 洗浄槽
6a 開口部
12、114 洗浄対象物保持体
14 保持枠
22 洗浄媒体飛散防止部材
24 押圧手段
42 芯材
44 剛性を有する部材としての面板
46 表面材
54 保持領域調整手段
112 洗浄ユニット
116 洗浄ユニット移動手段としての直交ロボット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特許第4531841号公報
【特許文献2】特開2011−092448号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置、該乾式洗浄装置に用いられる洗浄対象物保持体、該洗浄対象物保持体にセットされる洗浄媒体飛散防止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板の製造におけるフローはんだ槽によるはんだ付け工程において、はんだ付けの処理を行う領域以外をマスクするマスク治具が多く用いられている。このようなマスク治具はディップパレット、フローパレット等と呼称され、板状の部材に開口部が空いた形状を有している。
このようなマスク治具は、繰り返し使用されるうちに、フラックスが表面に堆積して固着しマスクの精度を下げるため、定期的に洗浄する必要があった。
【0003】
そこで、フラックス、粘着材、又は接着剤等が付着した治具等の洗浄対象物を洗浄するために、溶剤洗浄槽で洗浄対象物の上下両面に溶剤を噴射させて洗浄した後、洗浄対象物に付着した溶剤を水洗いし、洗浄対象物に温風を吹き当てて乾燥する洗浄装置がある。
しかしながら、溶剤を用いる洗浄装置を、フラックス等が付着した洗浄対象物の洗浄に使用した場合、溶剤を大量に使用するだけでなくフラックス等を含んだ廃液の処理及び洗浄後の乾燥処理におけるエネルギーの消費といった環境負荷が大きく、高コストになるという問題がある。
【0004】
これらの問題を解消するため、軽量で飛翔しやすい固体からなる洗浄媒体を洗浄槽内で高速に飛翔させて、洗浄媒体を洗浄対象物に連続して接触ないし衝突させ、洗浄対象物に付着した付着物を溶剤を使用することなく分離する乾式の洗浄装置が提案されている。
この洗浄装置は、洗浄媒体が洗浄槽の内部で循環して、洗浄対象物に繰り返し衝突するため、少量の洗浄媒体でかつ乾式であっても大きな洗浄効果を発揮する。
特に、可撓性を有する薄片状の洗浄媒体を用いることで、さらに少量の洗浄媒体の使用量で超音波洗浄と同等以上の洗浄能力を発揮することができることが明らかになっている。
【0005】
特許文献1には、洗浄対象物を洗浄槽の外側に配置し、洗浄槽の開口部に対して洗浄対象物をスライドさせる方式とすることで洗浄槽の容積を小型化するとともに、洗浄媒体を洗浄槽に滞留させることなく飛翔させて表面に凹凸を有する洗浄対象物でも効率良く洗浄することができる洗浄装置が提案されている。
この洗浄装置では、洗浄媒体が洗浄槽外に漏出することを防ぎ、洗浄媒体が飛翔する空間内に洗浄媒体を速やかに戻すことで、洗浄対象物に衝突する洗浄媒体の数量を維持し、安定した洗浄能力を得ることができる。
この装置を具体的に説明すると、図15に示すように、半円筒状の洗浄槽6の開口部6a側に洗浄対象物(フローパレット)4を保持した洗浄対象物保持体3をセットする構成となっている。
洗浄槽6の開口部側には、洗浄媒体5が滞留するプール部19が形成され、洗浄対象物保持体3は洗浄対象物4を保持した状態でプール部19を図中左右方向に移動する。洗浄媒体5は樹脂製の薄片状であるが本図では分かりやすくするために、丸形状で表示している。
【0006】
洗浄槽6の底部中央には図示しない圧縮空気源に接続された洗浄媒体加速ノズル11が設けられており、ここから噴出する気流により洗浄媒体5は飛翔し、洗浄対象物4に衝突して洗浄対象物4に付着したフラックスを除去する。
洗浄媒体5は図示しない吸引装置に接続された吸引管18による吸引により洗浄槽6の飛翔空間内に戻され、再度飛翔する動作が繰り返される。
また、飛翔運動エネルギーが消失してプール部19に滞留した洗浄媒体5は、洗浄対象物保持体3の下面に設けられたスクレーパ26で洗浄槽へ戻される。
【0007】
洗浄対象物保持体3は洗浄対象物4よりも長い板形状であり、中央部に洗浄対象物4の形状に合わせた凹形状の洗浄対象物保持部23を有している。
洗浄対象物保持体3は、ウレタンゴム又は発泡樹脂などの弾性のある部材で構成されており、洗浄対象物4を洗浄対象物保持部23に押し込んで摩擦力で保持固定するようになっている。
洗浄対象物保持体3は、洗浄媒体によって洗浄するための気流が漏れず、洗浄媒体5が詰まってしまうような間隙を有さない構成となっている。これは、洗浄対象物であるフローパレットが複数の開口を有する板状の部材であるため、洗浄対象物をそのまま洗浄槽の開口部にセットすると、圧縮空気で加速された洗浄媒体が洗浄対象物の開口から飛散してしまい、洗浄槽内で循環しなくなり、洗浄能力が維持できないことを防止するためである。
【0008】
図16に基づいて、上記従来装置における洗浄対象物4の洗浄槽開口部へのセット手順を説明する。
洗浄対象物保持体3の洗浄対象物保持部23に洗浄対象物4を押し込み、洗浄対象物保持体3を裏返しにして洗浄槽ユニット2のプール部19にセットする。洗浄時には、洗浄対象物保持体3が図示しない移動機構によりスライドされ、洗浄面の移動がなされる。
図16において、符号20はリニアガイドを、21はプール部19の側面ガイドを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記の従来装置における洗浄対象物保持体では、実際使用において以下のような問題があった。
・洗浄対象物の形状に合わせた凹形状の洗浄対象物保持部を有する構成では、その形状の洗浄対象物しか保持できず汎用性がない。すなわち、異なる形状の洗浄対象物に対応する場合には洗浄対象物毎の洗浄対象物保持体を用意しなければならない。
・洗浄対象物保持体に洗浄対象物をセットしたあと、洗浄対象物を洗浄槽側に向けるために、反転させて設置する必要があり、操作がわずらわしい。また、大型の洗浄対象物であれば反転動作そのものが困難であり、労力を要する。
・摩擦による保持は確実ではなく、洗浄槽内に発生する負圧によって吸引され、洗浄対象物保持体から洗浄対象物が外れてしまう可能性がある。
【0010】
このため、実用上は、洗浄槽の開口部だけを塞ぐ部材と、洗浄対象物を部分的に保持する保持ピンとを備えた枠形状の洗浄対象物保持体を用いることが多い。
洗浄装置に固定された洗浄対象物保持体の枠内に洗浄対象物を上方から入れ、枠の底面側で保持ピンにより洗浄対象物を支持するものである。
枠のサイズは洗浄対象物の外形に一致するように設計されており、外形が異なる洗浄対象物に対しては、枠の一辺をスライドさせて調整するようになっている。
洗浄対象物がフローパレットである場合、作業者はまず、プリント基板もしくはプリント基板と同サイズの板部材をフローパレットの洗浄面とは反対側の面にセットして、フローパレットの開口を塞ぎ、次に枠の中にフローパレット及び板部材を入れ、保持ピンで支持された状態で固定する。
フローパレットの開口は上記板部材によって塞がれ、フローパレットの側面は洗浄対象物保持体の枠内面と密接するため、洗浄媒体が飛散する隙間をなくすことができる。この場合、板部材は洗浄媒体飛散防止部材として機能することとなる。
【0011】
しかしながら、このような保持方式では、以下の課題が発生する。
(1)洗浄対象物の縦横のサイズが同時に変動する場合に対応できない。
(2)洗浄対象物が四角形以外の形状の場合に対応できない。
(3)複数の種類の洗浄対象物を混在して洗浄する際に段取り変えの負荷が大きい。
【0012】
本発明は、上記のような現状に鑑みてなされたもので、洗浄対象物の表面形状の違いに拘らず、単一の部材で且つ簡単なセッティング操作で洗浄媒体の飛散を防止でき、洗浄装置に対する洗浄対象物の保持操作の容易化を実現できるとともに、洗浄対象物の表面形状の違い毎に用意することの無駄を無くすことができる洗浄媒体飛散防止部材の提供を、その主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明は、洗浄槽内で気流により飛翔する洗浄媒体を、前記洗浄槽の開口部に配置された洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体飛散防止部材であって、前記洗浄対象物を前記開口部に保持する洗浄対象物保持体に、前記洗浄対象物の前記洗浄媒体が衝突する側と反対側に配置されるものであり、自重によりあるいは押圧力により、前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従して変形し、前記洗浄媒体が前記反対側に移動する隙間を塞ぐことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、洗浄対象物の表面形状の違いに拘らず、単一の部材で且つ簡単なセッティング操作で洗浄媒体の飛散を防止でき、洗浄装置に対する洗浄対象物の保持操作の容易化を実現できるとともに、洗浄対象物の表面形状の違い毎に用意することの無駄を無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る乾式洗浄装置の要部を示す概要構成図である。
【図2】洗浄媒体飛散防止部材の概要断面図である。
【図3】洗浄媒体飛散防止部材のセッティング動作を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体に挿入した状態を示す図、(b)は押圧により変形した状態を示す図である。
【図4】洗浄媒体飛散防止部材として非変形部材を用いた場合の問題点を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る洗浄媒体飛散防止部材を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体に挿入する前の状態を示す図、(b)は自重により変形した状態を示す図である。
【図6】第3の実施形態に係る洗浄対象物保持体を示す平面図で、(a)は保持領域調整手段の構成を示す図、(b)は調整後に洗浄対象物を載置した状態を示す図、(c)は洗浄媒体飛散防止部材をセットした状態を示す図である。
【図7】図6(c)のY1−Y1線における断面図である。
【図8】洗浄対象物保持体の変形例を示す斜視図である。
【図9】第4の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す図で、(a)は洗浄媒体飛散防止ユニットを開放した状態を示す図、(b)は洗浄媒体飛散防止ユニット及びシャッター部材を閉じて洗浄可能な状態を示す図である。
【図10】洗浄媒体飛散防止ユニットを示す図で、(a)は洗浄対象物を保持した状態の平面図、(b)は(a)のY2−Y2線での断面図である。
【図11】第5の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す概要正面図である。
【図12】同装置の概要側面図である。
【図13】同装置の使用状態を示す図で、(a)は洗浄対象物が排出される状態を示す概要正面図、(b)は(a)のY3−Y3線での断面における洗浄媒体の払い落とし動作を示す図である。
【図14】第6の実施形態に係る乾式洗浄装置を示す図で、(a)は洗浄対象物保持体を省略した状態の洗浄状態を示す側面図、(b)は洗浄状態を示す正面図、(c)は洗浄ユニットの移動軌跡を示す平面図である。
【図15】従来における乾式洗浄装置の要部断面図である。
【図16】従来の乾式洗浄装置における洗浄対象物のセット手順を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。なお、上記従来装置と同一部分は同一符号で示し、特に必要がない場合にはその説明を適宜省略する。
図1乃至図4に基づいて、第1の実施形態を説明する。図1は、本実施形態に係る乾式洗浄装置1の要部を示している。乾式洗浄装置1は、洗浄槽ユニット2と、洗浄対象物保持体12とを有している。
洗浄槽ユニット2は、洗浄槽6と、洗浄媒体加速部7と、プール部19とを有している。洗浄槽6の吸引管18が対向する部分には、分離部10が設けられている。分離部10と吸引管18との間には、洗浄槽6から外部に膨らむように形成された空隙部8が形成されている。
洗浄槽6は、両側が閉塞された半円筒形に形成され、上部に開口部6aを有している。空隙部8は断面半円形状で洗浄槽6の長手方向に延びている。
分離部10は、気体及び粉塵などは通過することができるが、洗浄媒体5が通過できないよう小孔又はスリットを多数有する。分離部10は、例えば、金網、プラスチック網、メッシュ、パンチングメタル、又はスリット板といった多孔性部材で洗浄媒体が滞留しない滑らかな形状に形成される。
特許文献1の図1に記載されているように、洗浄槽6は、洗浄槽本体の内部に分離部を設けた二重構造としてもよい。
【0017】
分離部10は空隙部8を介して吸引ダクト18に接続され、吸引ダクトは図示しない吸引装置に接続されている。吸引装置は、吸引ダクトと分離部とを介して洗浄槽内の空気を吸引する。吸引装置は洗浄媒体加速ノズル11から噴出される空気の流量に比べて十分な空気の流量を吸引し、洗浄槽内を負圧にする性能を有している。
洗浄媒体加速部7は、複数の噴出口を有する洗浄媒体加速ノズル11と、コンプレッサからなる図示しない圧縮空気供給装置を有している。
洗浄媒体加速ノズル11は、複数の噴出口が洗浄槽の底面中心に沿って一直線になるように配置されている。洗浄媒体加速ノズル11は図示しない圧縮空気供給装置に、制御弁を有する送気管を介して接続されている。圧縮空気供給装置は洗浄媒体加速ノズルに圧縮空気を供給し、洗浄媒体5を飛翔させる。
【0018】
上述のように、凹形状に形成されたプール部19は一定長さを有しており、洗浄槽の両側に設けられている。このプール部19の水平な面の角部には、例えば厚さが約5mmの角柱形状のリニアガイド20を有している。リニアガイド20の表面はフッ素樹脂のような滑らかな材質で形成されている。
また、リニアガイド20は洗浄対象物保持体12を保持し、プール部の平行な側面ガイド21とともに洗浄対象物保持体12の図中左右方向の移動を案内する。
洗浄対象物保持体12は、例えば、直動モータ、エアシリンダ又はワイヤー駆動部等の図示しない駆動部に接続されている。図示しない制御装置からの制御信号により駆動部が駆動され、洗浄槽ユニットの動作と並行してプール部に沿って洗浄対象物保持体12が移動する。プール部は、洗浄対象物保持体12で保持された洗浄対象物の移動範囲以上の面積を有している。
【0019】
洗浄対象物保持体12は、洗浄対象物4を開口部6aに臨むように保持する保持枠14と、保持枠14内に配置された洗浄媒体飛散防止部材22Aを押圧する押圧手段24とを有している。
保持枠14は、開口部6aの面積よりも大きい輪郭を有し、開口部6aの上方を覆う矩形の枠形状をなすベース部28と、ベース部28の四辺から上方に立ち上げられた枠壁30とを有している。枠壁30は板金折り曲げ加工によって矩形の枠体として形成されており、各枠壁30の上端部は、保持枠14内に洗浄媒体飛散防止部材22Aを入れやすくするために外側に折り曲げられている。
ベース部28の対向する辺部には、内方へ突出して洗浄対象物4を支持する保持ピン32が設けられている。また、ベース部28の下面には、プール部19に溜まった洗浄媒体5を洗浄槽6側へ戻す漏れ防止部材34が設けられている。漏れ防止部材34は、密状態に植毛されたブラシ状部材から構成されており、洗浄媒体5の漏れは防止するが空気の通りは許容する。
【0020】
押圧手段24はトグルクランプの構成を有しており、ベース部28に固定される支持部材36と、支持部材36に回動自在に支持された円弧状のアーム38と、アーム38の先端にネジ軸を介して取り付けられた調整パッド40とを有している。
アーム38を洗浄媒体飛散防止部材22A側に回動して押圧し、図示しないレバーを操作することにより押圧状態がロックされるようになっている。
押圧手段24は、洗浄対象物4に対する保持枠14の最大保持面積を押圧可能に4箇所に対向して配置されており(図8参照)、各調整パッド40の位置を調整することにより、4箇所での押圧力を均一にすることができる。ベース部28に対する支持部材36の位置は固定してもよいが、着脱自在なネジ固定方式とし、押圧位置を変えられるようにしてもよい。
【0021】
図2に示すように、洗浄媒体飛散防止部材22Aは、洗浄対象物4の外面形状に沿って追従変形する芯材42と、芯材42の洗浄媒体5が衝突する面と反対側の面に固定された剛性を有する部材としてのプラスチック製の面板44と、少なくとも芯材42の表面を覆う表面材46とから構成されている。他の図においては表面材46の表示を適宜省略する。
表面材46は、芯材42の追従変形性を阻害せず且つ洗浄媒体5の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されている。
本実施形態では、芯材42は低反発性ウレタンスポンジから構成されており、表面材46はストレッチ生地から構成されている。表面材46の上端は面板44に接着等の手段で固定されており(図1では省略)、装置とは分離した1つのユニットとしてなる。
ここで、「低反発性」とは、厳密には低反発弾性であり、反発弾性率が15%程度以下(JIS K 6400-3)のものであり、低反発性の発泡材とは、例えば、ポリウレタン樹脂を組成とした連通気泡の発泡体である。
【0022】
芯材42は、それ自体は柔らかく物としての取扱い性があまりよくないが、剛性を有する面板44と一体化することにより、取扱いやすくなる。面板44は少ない押圧ポイント(本実施形態では4箇所)で芯材42の全体に亘って均一な押圧力を付与するための介在部材でもある。
【0023】
次に、本実施形態に係る乾式洗浄装置1による洗浄動作の手順を説明する。
まず、洗浄槽6に洗浄対象物4の洗浄に適した量(予め実験により求められている)の洗浄媒体5を投入する。
次に、図3(a)に示すように、保持枠14内に洗浄対象物としてのフローパレット4を挿入し、保持ピン32で支持された状態に載置する。次に、洗浄媒体飛散防止部材22Aをその上から保持枠14に挿入する。保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間には若干の隙間があり、容易に挿入することができる。
洗浄媒体飛散防止部材22Aを挿入しただけの状態では、洗浄媒体飛散防止部材22Aの下面がフローパレット4の最も高さの大きい凸部4aで規制される。このままの状態で洗浄がなされると、保持枠14の上方外側へ洗浄媒体5が飛散することは防止されるが、洗浄媒体5がフローパレット4の両側における保持枠14との間の隙間やフローパレット4の開口4bを通ってフローパレット4の上面に堆積し、洗浄時間の経過とともに洗浄媒体5の数量が減って洗浄能力が低下していくことを避けられない。
図3において、符号4dは、洗浄対象物4を保持ピン32に載置するための載置片4dを示している。
【0024】
洗浄媒体飛散防止部材22Aを挿入した後に、上述のように押圧手段24で押圧してロックすると、図3(b)に示すように、押圧力によって芯材42がフローパレット4の外面形状に沿って変形する。表面材46も芯材42の変形に追従する変形性を有しているので、凸部4aよりも高さの低い凸部4cが混在していても洗浄媒体飛散防止部材22Aはフローパレット4の外面形状に沿って変形し、フローパレット4と保持枠14との間の隙間や、開口4bが塞がれる。
図4に示すように、保持枠14内のフローパレット4の上部を剛性板材やゴム板等の部材50で塞いでも、洗浄媒体5が載置片4dを含むフローパレット4の上面に堆積してその数量が低下する。
特許文献1に記載の「凹部に弾性で保持する方式」ではこの問題を解消できるが、上述のようにフローパレット4の形状の変化に一対一でしか対応できず、洗浄対象物の形状に対応した数量の洗浄対象物保持体を用意する必要がある。
【0025】
本実施形態では、図3(b)に示すように、洗浄媒体飛散防止部材22Aで密接に塞がれるので、洗浄媒体5の堆積は防止され、フローパレット4の洗浄面に衝突しなかったもの、換言すれば、洗浄媒体飛散防止部材22Aがなければ開口4b等を経て洗浄対象物4の上面に堆積する可能性の高いものも確実に洗浄槽6へ戻される。
洗浄媒体飛散防止部材22Aは洗浄対象物4の形状がどのようなものであってもそれに沿って任意に変形するので、1つのもので全ての洗浄対象物4に対応可能となる。
フローパレットのフラックスが付着していない上面には、プリント基板を固定するための部材が多く配置されているが、低反発スポンジおよびストレッチ生地が柔軟に変形することで、開口4bに密接することができる。また、低反発スポンジであるので、押し付けられても洗浄対象物に大きな負荷が掛かることはない。
また、洗浄媒体飛散防止部材22Aは押圧変形により保持枠14の内面に密接するので、保持枠14と洗浄媒体飛散防止部材22Aとの間に隙間が存在することによる空気漏れによる洗浄媒体5の飛翔速度の低下も抑制される。
【0026】
洗浄媒体飛散防止部材22Aを押圧してロックすると、フローパレット4と洗浄槽6との間に、洗浄媒体5を飛翔させる閉空間が形成される。この状態で図示しない制御装置で吸引装置を駆動させると、洗浄媒体が飛翔する空間内の空気が吸引される。次に、図示しない制御装置は圧縮空気供給装置を駆動して、洗浄媒体加速ノズル11に圧縮空気を供給することで洗浄媒体加速ノズル11から洗浄槽内に垂直上方向の気流を発生させる。
この気流によって洗浄媒体5が飛翔してフローパレット4に衝突することでフローパレットの表面に付着している固着フラックスを効率良く除去する。フローパレットに衝突した洗浄媒体は、気流の流れと重力とによって落下し、分離部10上で吸引されながら洗浄媒体加速ノズル11の近傍に滑り落ちる。
このとき、洗浄媒体に付着した粉状のフラックスが吸引される。分離部10で分離された付着物は吸気ダクト18を通って吸引装置により回収される。
また、洗浄媒体加速ノズル11の近傍に落下した洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11により噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、乾式洗浄装置はフローパレットの表面に付着した固着フラックスを除去する。
【0027】
飛翔する洗浄媒体5によりフローパレット4を洗浄しているとき、プール部19と洗浄対象物保持体12との間隙に、洗浄媒体の一部が入り込む。しかしながら、洗浄媒体は洗浄対象物保持体12の下部に配置された漏れ防止部材34にブロックされるため、洗浄装置の外側には漏れず、最終的にはプール部19の上に堆積する。
プール部19上に堆積した洗浄媒体は、洗浄対象物保持体12の往復動作に伴い、漏れ防止部材34のスクレープ機能により洗浄槽6に掃き戻される。洗浄槽に掃き戻された洗浄媒体は、再び洗浄媒体加速ノズル11から噴射された気流によって垂直上方向に飛翔する。この動作を繰り返すことにより、フローパレットの表面に付着した付着物が除去される。
【0028】
洗浄媒体飛散防止部材22Aによって洗浄媒体5が上方向に飛散する隙間がなくなるため、洗浄媒体5は洗浄槽6およびプール部19上を数量が減少することなく循環する。このことにより、長時間洗浄装置を稼働させても、洗浄媒体の欠乏による洗浄能力の低下は発生しない。
このように洗浄対象物保持体12を洗浄槽6に対して往復移動させてフローパレットを洗浄することにより、大きな面積を有するフローパレットでも確実に洗浄することができる。
【0029】
洗浄媒体飛散防止部材22Aは、表面材46を設けずに芯材42のみとしてよいが、実験により芯材42として低反発性ウレタンスポンジを採用した場合、洗浄媒体5の衝突によりスポンジ表面の損傷が早期に進行することが分かった。損傷が大きい場合には、良好な変形性が阻害される。
本実施形態ではこの問題を解消すべく、変形性と、洗浄媒体5に対する耐性とを分離してそれぞれ別部材で担わせることにより、洗浄媒体飛散防止部材22Aの早期劣化を抑制することとしたものである。
低反発性ウレタンスポンジの表面に低反発性ウレタンスポンジの変形性を阻害せず、洗浄媒体5に対する耐摩耗性を有するコーティング処理等を行ってもよい。
【0030】
ストレッチ生地で形成された表面材46の耐摩耗性は永久的なものではなく、繰り返し使用により劣化する。
このため、表面材46のみを交換可能とすれば、洗浄媒体飛散防止部材をユニット全体として交換するよりもコスト的に有利である。
本実施形態では、図2に示すように、表面材46の上端は面板44に固定されているが、面状ファスナーで着脱可能として交換できるようにしてもよい。また、芯材42と面板44を包み込む袋状に形成し、ファスナーの開閉で着脱できるようにしてもよい。
本実施形態では、芯材42として低反発性ウレタンスポンジを採用したが、上記変形性を得ることができれば何でも良く、例えば空気や水等の流体や粉体、粒状体等でもよい。
【0031】
洗浄媒体5は、鉛筆硬度(JIS K-5600-5-4に準拠して計測される特性)が固着フラックスの硬度以上に硬くて、かつ耐折性(JIS P8115に準拠して計測される特性)が45以下で、連続で衝撃を与え続けると割れて新たなエッジを生じることにより、固着除去能力を維持する性質を有する。洗浄媒体5の厚さは0.05〜0.2mmであり、面積は1〜100mm2の矩形状をした薄片である。
本実施形態では、上記の厚さやサイズの洗浄媒体を用いているが、洗浄対象物によってサイズや材質を変えることが効果的であり、これに限るものではない。
薄片状の洗浄媒体は、投影面積が大きい方向に気流の力が作用した場合、空気抵抗力に対する質量が非常に小さいため気流によって容易に加速されて飛翔する。また、投影面積が小さい方向には空気抵抗が小さく、その方向へ飛翔した場合、高速運動が長距離にわたって維持される。このため洗浄媒体の持つエネルギーが大きく、洗浄対象物に接触したときに作用する力が大きくなって、洗浄対象物の表面に付着した付着物を有効に除去することができるとともに、洗浄媒体を繰り返し循環して洗浄対象物に接触する頻度が増すので洗浄効率を高めることができる。
【0032】
図5に第2の実施形態を示す。なお、上記実施形態と同一部分は同一符号で示し特に必要がない限り、既にした構成上及び機能上の説明は省略して要部のみ説明する(以下の他の実施形態において同じ)。
上記実施形態では、押圧手段24により押圧して洗浄媒体飛散防止部材22Aを変形させる構成としたが、本実施形態では芯材42の自重を利用している。
本実施形態における洗浄媒体飛散防止部材22Bの芯材42は、ビニール等の軟質の袋にビーズ等の粒状体を入れて構成されている。面板44は取っ手52を有しており、作業者が洗浄媒体飛散防止部材22Bを持ち上げて保持枠14内に落とし込む方式となっている。
洗浄媒体飛散防止部材22Bを落とし込むと、洗浄媒体飛散防止部材22Bは図5(b)に示すように、自重変形性により図3(b)と同様の飛散防止構造を得ることができる。
【0033】
本実施形態では、押圧手段24は不要であり、複数の押圧手段24を操作(ロック、解除)する煩わしさはない。重量物としての洗浄媒体飛散防止部材22Bを取り扱う労力上の不便さはあるが、装置に簡易なクレーン機構を設けて洗浄媒体飛散防止部材22Bの昇降を自動化することもできる。
押圧手段24を用いない構成としては、他に、面板44の面積を若干小さくし、あるいは面板44を無くし、枠壁30の内側の周囲に水平に突出する突縁を設けて保持枠14の挿入開口面積を狭くし、低反発性ウレタンスポンジ等からなる洗浄媒体飛散防止部材を手で押し込んで変形させ、上記突縁で洗浄媒体飛散防止部材の復元を止めて変形状態を維持する構成を採用することもできる。
【0034】
図6及び図7に基づいて第3の実施形態を説明する。
本実施形態では、図6に示すように、保持枠14の洗浄対象物4を保持する領域を、洗浄対象物4の大きさに応じて調整する保持領域調整手段54を有していることを特徴とする。
上記のように、洗浄対象物4の外表面の形状(凹凸形状)も様々なものが存在するが、その大きさ(縦・横サイズ)も色々なサイズが存在する。本実施形態ではこの縦横の不定サイズに対応すべく、ベース部28の一辺部に保持領域調整手段54を設けている。
保持領域調整手段54は、ベース部28の一辺部に挿通・支持され、図中左右方向にスライド自在な調整軸56と、調整軸56の先端部に設けられた可動プレート58と、可動プレート58の先端に固定された保持ピン32とを有している。
【0035】
保持枠14の開口面積(最大保持領域)よりもサイズの小さい洗浄対象物4を洗浄するときは、図6(a)に示すように、調整軸56を操作して可動プレート58を平行移動させ、保持領域を洗浄対象物4に合うように狭める。これにより小さいフローパレットであっても枠内に固定することができる。
図6(b)は、調整後に洗浄対象物4を保持ピン32上に載置した状態を示している。
このような小サイズの洗浄対象物4を洗浄する場合でも、洗浄媒体飛散防止部材22のサイズは一定であり、図6(c)に示すように最大保持領域をカバーするサイズとなっている。
【0036】
図7は、図6(c)のY−Y線での断面を示している。保持領域調整手段54により洗浄対象物4の保持領域を変更しても、洗浄媒体飛散防止部材22は最大保持領域に対応したサイズであるため、押圧手段24により押圧すると、洗浄対象物4が存在しない空間領域Xにおいても洗浄媒体飛散防止部材22の任意変形によって塞がれ、洗浄媒体5が上方に飛散してその数量が減少することはない。
洗浄対象物4のサイズによっては、図6(b)の保持領域の図中下側にも空白領域ができるが、この領域も同様に洗浄媒体飛散防止部材22の変形性によって塞がれる。
図8に示すように、ベース部28が枠壁30を兼ねる保持枠140を構成し、保持領域調整手段54は、安定した調整操作が行えるように複数本(ここでは3本)の調整軸56を備えた構成としてもよい。
図面上見えないが、可動プレート58の移動方向前面下端部には保持ピン32が設けられている。各調整軸56は保持枠140の外側において連結プレート55で連結されており、中央部の調整軸56を固定ネジ57で固定することにより調整後の位置が固定される。
【0037】
図9及び図10に基づいて第4の実施形態を説明する。
上記各実施形態では、洗浄対象物保持体と洗浄媒体飛散防止部材とを別体にして洗浄媒体の漏れを防止する構成としたが、本実施形態では、これらを一体化して、より確実に洗浄媒体の漏れを防止し、かつ洗浄対象物の固定を容易にする構成としたことを特徴とする。
図9に示すように、本実施形態に係る乾式洗浄装置60は、ベース62と、該ベース62から上方に延びる装置本体64とからなる縦型の使用スタイルとなっている。
プール部19を形成する面が、垂直からわずかに図中左側に傾斜した角度で配置されている。装置本体64のプール部19の中心には、第1の実施形態と同様の構成の洗浄槽ユニット2が配置されている。洗浄対象物保持体のベース部28が、洗浄槽ユニットの開口部に相対する位置に、図示しない直動手段に接続されて配置されている。
【0038】
ベース部28の一辺部には、蝶番66によって、保持枠と洗浄媒体飛散防止部材とが一体化した洗浄媒体飛散防止ユニット68が接続されている。また、蝶番66と反対側の辺部には、ベース部28と洗浄媒体飛散防止ユニット68とを接続して固定するロック機構70が配置されている。
洗浄媒体飛散防止ユニット68の側面には、ピン長さを調整できる保持ピン部材72が配置されている。さらに保持ピン部材72は、洗浄媒体飛散防止ユニット68の洗浄媒体飛散防止部材22Aに沿った位置で保持ピン部材72をロックする保持ピンロック機構74を備えている。
【0039】
洗浄媒体飛散防止ユニット68が移動する領域は、安全のため、外装部材と、開閉自在なシャッター部材78とで閉空間とされている。シャッター部材78はスライドする3枚の板状部材78a、78b、78cとからなり、シャッター部材78を開いた状態では、図9(a)に示すように、蝶番66を支点に手前に開いた洗浄媒体飛散防止ユニット68を支えることができる。
【0040】
乾式洗浄装置60の使用動作を説明する。
作業者はまずシャッター部材78を開き、洗浄媒体飛散防止ユニット68のロック機構70を解除して、洗浄媒体飛散防止ユニット68を手前に倒す。洗浄媒体飛散防止ユニット68は、蝶番66と開いたシャッター部材78で保持される。このとき、洗浄媒体飛散防止部材22Aは、低反発性ウレタンスポンジを被覆したストレッチ生地が上になった状態となる。作業者は洗浄対象物4の洗浄したい面を上にして、洗浄媒体飛散防止ユニット内に置く。
次に、図10に示すように、保持ピン部材72の長さを調整して、洗浄対象物4の一方の端を保持ピン32の下に潜り込ませる。そして、洗浄対象物4を手で押さえ付け、洗浄媒体飛散防止部材22A中に押し込み、他方の保持ピン部材72を伸張させて保持ピン固定手段74により位置を固定する。
【0041】
このような動作により、洗浄対象物4は洗浄媒体飛散防止部材22Aに押し付けられた状態で保持される。このとき、洗浄対象物4が洗浄媒体飛散防止ユニット68の外枠の高さ以下に配置されるように、保持ピンを配置する。
次に、洗浄媒体飛散防止ユニット全体を、蝶番を支点に回転させ、図9(b)に示すように、ベース部に接続してロック機構により固定する。
このような状態で、シャッター部材78を閉じ、装置を稼働させると、第1の実施形態の場合と同様に、洗浄媒体が圧縮空気によって加速され、洗浄対象物に衝突して付着物を除去する。
また、洗浄媒体飛散防止ユニット68によって、洗浄媒体5は洗浄槽6およびプール部19の外に漏れ出すことはない。
洗浄媒体飛散防止部材22Aと保持枠とが一体化しているため、上記各実施形態に比べ洗浄媒体の漏れ防止機能を高めることができる。また、洗浄媒体飛散防止部材を一体化したことにより、作業者の手間を低減できる。
【0042】
図11乃至図13に基づいて第5の実施形態を説明する。
本実施形態では、複数の洗浄対象物を連続で洗浄することに適した構成を特徴としている。
洗浄媒体飛散防止部材を用いない従来の乾式洗浄装置や、上記各実施形態における乾式洗浄装置では、個々に洗浄対象物を洗浄対象物保持体に固定する手間が生じるため、連続して複数の洗浄対象物を洗浄装置に投入することが極めて困難である。
本実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22Cとして、芯材としての低反発性ウレタンスポンジローラ80を表面材としてのストレッチ生地82によって被覆されたスポンジローラを使用する。以下、低反発性ウレタンスポンジローラ80とストレッチ生地82とを含めて「スポンジローラ80」という。
また、洗浄槽ユニットとして、吸気吸引により発生する旋回気流を用いて洗浄媒体を飛翔させるドラム状筐体構成を採用している。
スポンジローラ80は、洗浄対象物がない状態で、洗浄槽ユニット84の開口部86を塞ぐのに十分な半径を有している。
【0043】
洗浄対象物としてフローパレット(以下、「パレット」という)を用いる例について説明する。
スポンジローラ80は回転することにより、搬送されるパレット表面に押し付けられ、パレット4の開口部を塞ぐ。
洗浄槽ユニット84及びスポンジローラ80の前後には、パレット4を搬送できる搬送装置(ローダ・アンローダ)88が配置されており、パレット4はどちらか一方に必ず保持されて平行移動するようになっている。
スポンジローラ80は回転軸81で支持されており、パレット4の移動で従動回転する。
【0044】
洗浄槽ユニット84の下流には、図示しない圧縮空気供給装置に接続されたエアノズル90を用いた払落しスペース92が設けられており、スポンジローラ80およびパレット4に残留した洗浄媒体を払い落とす機能を備えている。
払い落とされた洗浄媒体は、ダクトを経由して洗浄槽ユニット84のインレット(通気口)94近辺に落下する構成となっており、洗浄媒体はインレット94から吸引されて再び洗浄槽ユニット84内の旋回気流96によって飛翔する。図11において、符号95は旋回気流の流路断面形状を規定する流路制限部材を示している。円筒状の流路制限部材95は、洗浄媒体5を通さない多孔性の分離手段としても機能し、洗浄槽ユニット84の開口部86がパレットで塞がれない状態では、インレット94からの空気流入が少なく、吸引管18を介した吸気により洗浄媒体5は流路制限部材95に吸着される。
このような構成にすることにより、洗浄対象物に付着した洗浄媒体の飛翔空間からの持ち出し(飛散)により、洗浄槽ユニット内部の洗浄媒体の数量が減少するのを防ぐことができる。
図12において、符号83は漏れを防止するための側壁を示している。
【0045】
図13に本実施例の払落しスペースの構成を示す。図13(b)に示すように、パレット4の側面からラッパ状のエアノズル90によって広い範囲に圧縮空気を吹き付け、パレットの上下面に付着した洗浄媒体を同時に一定の方向に吹き払っている。エアノズル90からのエアー吐出量は、エアバルブ91によって調整される。
吹き払われた側面には、吹き払いスペースの上下を連通する間隙が設けられており、パレットの上面に付着していて吹き払われた洗浄媒体は、この間隙を通って吹き払いスペースの下部に落下する。吹き払いスペースはインレット94に連通しており、インレット94に向かう方向に吸引気流が発生している。
このため、落下した洗浄媒体は吸引気流で搬送されてインレット94に吸い込まれ、再び洗浄槽ユニット内に回帰する。
【0046】
インレット94に吸引される気流は、吹き払いスペースの洗浄対象物出口100から供給される。このため、洗浄対象物出口100には常に吹き払いスペース内に吸い込まれる方向で気流が発生しているため、エアノズル90の気流や洗浄媒体が、ユニット外に漏れ出すことはほとんどない。
洗浄対象物出口100に、暖簾状の部材を配置すれば、より確実に洗浄媒体の漏れを防ぐことができる。
また、スポンジローラ80に接触するスクレーパ102を配置し、スポンジローラ80の表面に静電気などで付着した洗浄媒体を掻き落とし、払落しスペース92に落下させることで洗浄槽ユニット内に回収する。
このような構成にすることにより、板状の洗浄対象物を連続で洗浄できる装置が実現できる。
【0047】
図14に基づいて第6の実施形態を説明する。
本実施形態における乾式洗浄装置(パレット洗浄装置)110は、洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニット112と、洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体114と、洗浄ユニット112を移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段としての3軸タイプの直交ロボット116とを備えている。
直交ロボット116は、図中左右方向(矢印D1方向)の移動を担うX軸118と、紙面厚み方向の移動を担うY軸120と、上下方向の移動を担うZ軸122と、これらの可動軸を支持するベースと、これらの可動軸の動きを制御する図示しない制御手段と有している。
洗浄ユニット112は、Z軸122の下端にバネ部材123を介して取り付けられている。
洗浄対象物保持体114は、洗浄媒体飛散防止部材22を支持する支持フレーム124と、該支持フレーム124から上方に延びる一対の保持枠126、128と、保持枠126、128内に収容された洗浄媒体飛散防止部材22とを有している。
支持フレーム124は、直交ロボット116の上記ベースを兼ねている。
【0048】
一方の保持枠128には、洗浄媒体飛散防止部材22の反発力による洗浄対象物としてのパレット4の浮き上がりを阻止する保持ピン32が複数本固定されている。他方の保持枠126には、寸法の長い複数の保持ピン32が、色々なサイズのパレットを保持可能に水平方向(矢印H方向)に移動自在に設けられている。
上記実施形態では、洗浄媒体飛散防止部材22を洗浄対象物4の上方から覆い被せる洗浄構成を採ったが、本実施形態では逆構成となっている。
【0049】
洗浄ユニット112には、吸引ホース130が接続されており、吸引ホース130には図示しない吸引装置が接続されている。
洗浄ユニット112は、筐体内部で高速の旋回気流を生じさせて洗浄媒体を循環飛翔させ、旋回領域の一部に設けている開口部112aで洗浄媒体を洗浄対象物4に衝突させて洗浄する構成を有している。
上記吸引装置で吸引している状態で、上記開口部112aが洗浄対象物4に当接して塞がれると、通気口としてのインレット112bから外部空気が高速で流入し、筐体中央の円筒部材112cを旋回軸として旋回気流が生成され、筐体内部に保持されている洗浄媒体が飛翔する。
【0050】
吸引装置に接続される部分と筐体内部との間には、除去物を通し洗浄媒体を通さない大きさの孔を有する図示しない多孔性部材が設けられている。吸引によって筐体内部が負圧化されると、旋回気流が生じるまでは、洗浄媒体は多孔性部材に吸着保持される。
したがって、洗浄対象物4から開口部112aが離れても、筐体内部の洗浄媒体は保持され、外部に漏れない。
洗浄ユニット112としては、本出願人による特開2012−050973号公報に記載のクリーニング筐体を利用している。バネ部材123を介したZ軸122との連結を容易にするために、上記クリーニング筐体を矩形のケーシングで覆い、該ケーシングにバネ部材123を固定している。
【0051】
洗浄ユニット112の開口部112aの周りには、表面のすべりがよく、柔軟性のある部材で形成されたシール部材132が設けられている。これにより、開口部112aをパレット4の表面凹凸に追随して密着させることができる。シール部材132としては、ナイロンの毛を植毛したブラシや、スポンジの表面にフェルト生地で被覆したものなどを使用すると良い。
【0052】
本実施形態に係る乾式洗浄装置110の動作について述べる。
まず、作業者は洗浄ユニット112の筐体内に洗浄媒体を適量供給する。供給は、開口部112aから吸い込んでもよく、インレット112bから投入してもよい。
次に、作業者はパレット4を洗浄媒体飛散防止部材22の上におき、固定の保持ピン32の下にパレット4の一端部を挿入し、他端部を押し込んで可動の保持ピン32を操作して押え付ける。
パレット4を固定したら、パレットのすべての開口部が洗浄媒体飛散防止部材22で塞がれていることを確認して、図示しない制御手段に稼動開始信号を入力する。
制御手段は、上記吸引装置を稼動させ、次に直交ロボット116のXY軸を稼動させて、洗浄ユニット112をパレット4の隅(洗浄ホームポジション)に移動させる。
【0053】
次に、直交ロボット116のZ軸を稼動させて洗浄ユニット112を下降させ、バネ部材123が一定量撓むまで、パレットに押し付ける。
この押圧によって、シール部材132が変形してパレットに密着し、洗浄ユニットの開口部112aが塞がれて洗浄ユニット内の圧力が吸引により低下する。
これに伴って洗浄ユニットにインレット112bから流れ込む気流が増大し、洗浄ユニットの筐体内に旋回気流が発生して洗浄媒体が飛翔し、開口部112aに密接したパレットに洗浄媒体が衝突する。
これにより、パレット表面に付着したフラックスを高速に除去することができる。
【0054】
次に、制御手段は、洗浄ユニット112を、図14(c)に点線で示すように、パレットに接触したまま矩形の軌道で平行移動させる。
パレットの表面にうねりや凹凸があっても、Z軸方向のバネ部材123により、押し付け状態を保ったまま平行移動することができる。
平行移動することにより、洗浄ユニットの開口部112aより広い領域を洗浄することができ、さらに洗浄媒体飛散防止部材22の変形効果により、パレットの端部や開口部周りであっても隙間が生じず、洗浄ユニットの開口部から洗浄媒体が漏れ出すことなく、パレット全面を洗浄することができる。洗浄ユニット112の洗浄軌道は予めプログラムされている。
また、特開2012−050973号公報で説明されている「洗浄媒体飛翔・吸着効果」により、洗浄対象物から洗浄ユニットを離しても、洗浄媒体が外部にもれ出ることがないため、不連続な軌道をとることも可能である。
【0055】
パレットの形状が、枠だけであったり、異形状である場合には、形状に合わせた軌道を取って洗浄ユニットを動かすことが望ましい。そのように軌道を最適化することにより、短時間で洗浄が完了し、洗浄媒体の消耗も少なくてすむ。
本実施形態では洗浄ユニットの移動手段として直交ロボットを用いたが、水平多関節ロボットや垂直多関節ロボットを用いてもよい。
また、本実施形態では洗浄する面を上に向けて配置したが、洗浄媒体飛散防止部材を押し付けて洗浄対象物であるパレットの開口部を塞ぐことができれば、洗浄ユニット移動手段の移動形態を変化させることにより、洗浄する面は横向き、もしくは下向きに配置されていても洗浄可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1 乾式洗浄装置
5 洗浄媒体
6 洗浄槽
6a 開口部
12、114 洗浄対象物保持体
14 保持枠
22 洗浄媒体飛散防止部材
24 押圧手段
42 芯材
44 剛性を有する部材としての面板
46 表面材
54 保持領域調整手段
112 洗浄ユニット
116 洗浄ユニット移動手段としての直交ロボット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0057】
【特許文献1】特許第4531841号公報
【特許文献2】特開2011−092448号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体飛散防止部材であって、
前記洗浄対象物を保持する洗浄対象物保持体に、前記洗浄対象物の前記洗浄媒体が衝突する側と反対側に配置されるものであり、
自重によりあるいは押圧力により、前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従して変形し、前記洗浄媒体が前記反対側に移動する隙間を塞ぐことを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従変形する芯材と、該芯材の表面を覆う表面材とからなり、前記表面材は前記芯材の追従変形性を阻害せず且つ前記洗浄媒体の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項3】
請求項2に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材が、低反発性の発泡材からなることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材の前記反対側が剛性を有する部材で支持されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記表面材が取り替え可能に設けられていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項6】
気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられ、前記洗浄対象物を保持する保持枠を備えた洗浄対象物保持体において、
前記保持枠内に、請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押圧して変形させる押圧手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項8】
請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押し込んで変形させた後の該変形状態を維持する構成を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠の前記洗浄対象物を保持する領域を、前記洗浄対象物の大きさに応じて調整する保持領域調整手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項10】
気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体が飛翔し、且つ開口部を有する洗浄槽と、前記開口部に前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項11】
気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体と、前記洗浄ユニットを移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項1】
気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられる洗浄媒体飛散防止部材であって、
前記洗浄対象物を保持する洗浄対象物保持体に、前記洗浄対象物の前記洗浄媒体が衝突する側と反対側に配置されるものであり、
自重によりあるいは押圧力により、前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従して変形し、前記洗浄媒体が前記反対側に移動する隙間を塞ぐことを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項2】
請求項1に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記洗浄対象物の外面形状に沿って追従変形する芯材と、該芯材の表面を覆う表面材とからなり、前記表面材は前記芯材の追従変形性を阻害せず且つ前記洗浄媒体の衝突に対し耐摩耗性を有する材料で形成されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項3】
請求項2に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材が、低反発性の発泡材からなることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記芯材の前記反対側が剛性を有する部材で支持されていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材において、
前記表面材が取り替え可能に設けられていることを特徴とする洗浄媒体飛散防止部材。
【請求項6】
気流により飛翔する洗浄媒体を、洗浄対象物に衝突させて洗浄する乾式洗浄装置に用いられ、前記洗浄対象物を保持する保持枠を備えた洗浄対象物保持体において、
前記保持枠内に、請求項1〜5のいずれか1つに記載の洗浄媒体飛散防止部材を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項7】
請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押圧して変形させる押圧手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項8】
請求項6に記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠が、前記洗浄媒体飛散防止部材を押し込んで変形させた後の該変形状態を維持する構成を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載の洗浄対象物保持体において、
前記保持枠の前記洗浄対象物を保持する領域を、前記洗浄対象物の大きさに応じて調整する保持領域調整手段を有していることを特徴とする洗浄対象物保持体。
【請求項10】
気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体が飛翔し、且つ開口部を有する洗浄槽と、前記開口部に前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。
【請求項11】
気流により飛翔する洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄装置であって、前記洗浄媒体を旋回気流により飛翔させ、旋回領域の一部に設けられた開口部から洗浄媒体を洗浄対象物に衝突させて洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄対象物を洗浄可能に配置して保持する洗浄対象物保持体と、前記洗浄ユニットを移動させて洗浄位置を変える洗浄ユニット移動手段とを備えた乾式洗浄装置において、
前記洗浄対象物保持体が、請求項6〜9のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする乾式洗浄装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−107072(P2013−107072A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−142248(P2012−142248)
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月25日(2012.6.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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