説明

洗浄方法および洗浄装置

【課題】内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを対象とし、十分な洗浄性能を確保することが可能な洗浄方法および洗浄装置を提供する。
【解決手段】内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含むノズル部品3を洗浄液によって洗浄する洗浄方法において、クランプ部材56にクランプされたノズル部品3を減圧された洗浄チャンバ13内に装着して加熱開孔部50c内に挿入し、チャンバ加熱ヒータ18の熱をクランプ部材56を介してノズル部品3に伝達して洗浄液の沸点温度以上に加熱しながら、ノズルチップ61から噴射された洗浄液を減圧雰囲気下で気化させて洗浄対象部位に入射させる。これにより、噴射による異物除去作用とともに、液滴または微細液滴が加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって洗浄対象部位に付着した異物を除去することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に狭隘部位を有する被洗浄ワークを洗浄する洗浄方法および洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車部品などの機械部品の製造工程では、機械加工の後にバリや切り粉、油分など、加工過程において付着した異物を除去するための洗浄が行われる。このような機械部品の洗浄方法として、従来より水系や炭化水素系などの洗浄液に被洗浄ワークを浸漬した状態で超音波振動を作用させて異物を除去する超音波洗浄が広く用いられている。この超音波洗浄では、溝や内部孔などの狭隘部位に対しては洗浄効果が不十分であり、さらにこれらの狭隘部位には洗浄液が残留しやすいことから、このような狭隘部位を有する機械部品を対象として、減圧雰囲気下で洗浄を行う方法が用いられるようになっている(例えば特許文献1,2参照)。
【0003】
これらはいずれも減圧によって洗浄液の沸点が急激に低下して生じる突沸現象を利用するものであり、洗浄液が付着した状態の機械部品を減圧雰囲気下に置き、隙間部や袋穴内部などの狭隘部位において洗浄液の突沸を生じさせることにより、これらの狭隘部位に液滴状態で残留する洗浄液を異物とともに除去するようにしている。
【特許文献1】特開平8−290133号公報
【特許文献2】特開2002−192091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年、洗浄対象となる機械部品は機能高度化によってより精密度が向上し、これらの精密部品を対象とする洗浄方式においては、従来と比較して格段の洗浄性能が求められるようになっている。例えば、ディーゼルエンジンの燃料噴射系に用いられるノズル部品では、排ガス対策や燃費向上の要請から噴射圧力が高圧化した結果、ノズル孔径は従来と比較して微細化しており、洗浄工程においては極めて微細な残渣まで除去することが要求されるようになっている。しかしながらこのような微細なノズル孔はノズル部品の内部に加工されていることから、従来の洗浄方式では洗浄作用を有効に洗浄対象部位に及ぼすことが困難で、十分な洗浄性能を確保することができなかった。
【0005】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、上述のノズル部品など、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを対象として、十分な洗浄性能を確保することが可能な洗浄方法および洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の洗浄方法は、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを洗浄液によって洗浄する洗浄方法であって、前記被洗浄ワークを加熱して少なくとも前記洗浄対象部位の表面温度を前記洗浄液の沸点温度以上に保持しながら、前記洗浄対象部位に前記洗浄液の蒸気およびまたは微細液滴を噴射することにより、前記噴射による異物除去作用および前記蒸気が液化した液滴およびまたは前記微細液滴が前記加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって、前記洗浄対象部位に付着した異物を除去する。
【0007】
本発明の洗浄装置は、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを洗浄液によって洗浄する洗浄装置であって、前記被洗浄ワークを保持する保持手段と、前記被洗浄ワークを加熱して少なくとも前記洗浄対象部位の表面温度を前記洗浄液の沸点温度以上に保持する加熱手段と、前記保持手段に保持された被洗浄ワークの洗浄対象部位に前記洗浄液の蒸気およびまたは微細液滴を噴射する噴射手段とを備え、前記噴射による異物除去作用および前記蒸気が液化した液滴およびまたは前記微細液滴が前記加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって、前記洗浄対象部位に付着した異物を除去する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被洗浄ワークを加熱して少なくとも洗浄対象部位の表面温度を洗浄液の沸点温度以上に保持しながら、洗浄対象部位に洗浄液の蒸気およびまたは微細液滴を噴射し、噴射による異物除去作用および蒸気が液化した液滴およびまたは微細液滴が加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって洗浄対象部位に付着した異物を除去する方法を用いることにより、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを対象として、十分な洗浄性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の洗浄装置の構成説明図、図2は本発明の一実施の形態の洗浄方法における被洗浄ワークの断面図、図3は本発明の一実施の形態の洗浄装置に用いられる洗浄チャンバーの断面図、図4、図5は本発明の一実施の形態の洗浄装置において被洗浄ワークを保持するワーク保持部の構造説明図、図6は本発明の一実施の形態の洗浄方法の処理フロー図、図7、図8、図9は本発明の一実施の形態の洗浄方法の工程説明図、図10(a)は本発明の一実施の形態の洗浄方法における被洗浄ワークの断面図、図10(b)は本発明の一実施の形態の洗浄方法における洗浄液噴射部配置の説明図、図11は本発明の一実施の形態の洗浄装置における洗浄チャンバーの断面図である。
【0010】
まず図1を参照して、洗浄装置1の構成を説明する。図1において、洗浄装置1は、ベースプレート2上にワーク受渡し部4および洗浄機構5を配設し、洗浄機構5において使用される洗浄液を供給・再生する洗浄液供給部6を備えた構成となっている。ワーク受渡し部4は、洗浄装置1による洗浄の対象となる被洗浄ワークであるノズル部品3を立姿勢で保持する保持部材11を備えており、マガジンやトレイなどの部品供給手段(図示省略)から取り出されたノズル部品3は保持部材11に渡され、さらに保持部材11に保持されたノズル部品3は洗浄機構5に受け渡される。洗浄機構5から取り出された洗浄後のノズル部品3は再びワーク受渡し部4に戻り、さらにマガジンなどに回収される。またワーク受渡し部4には、後述するワーク保持部15にアンクランプ動作を行わせるための駆動源となるアンクランプ駆動部材12が設けられている。
【0011】
ここで図2を参照して、ノズル部品3の詳細構造を説明する。ノズル部品3はディーゼルエンジンの燃料噴射系に用いられるDDL型のインジェクションノズルである。ノズル部品3は、それぞれ径寸法の異なる3つの円筒部3a、3b、3cを有する段付形状となっており、円筒部3a、3b、3cの内部には、円筒部3aの端面に開口した開口部3eおよび開口部3eから内部に連通して形成された空隙部3f、ニードル孔3gなどの狭隘部が設けられている。
【0012】
ニードル孔3gの端部は円筒部3cの先端に設けられた突部3dまで到達しており、ニードル孔3gには燃料噴射を制御するノズルニードルが嵌合し、突部3dにはニードル孔3gと連通して外部へ開孔した噴射孔3iが設けられている。ノズル部品3は、コモンレースシステムの燃料噴射系に用いられるものであり、噴射圧力が高いことから、噴射孔3iは内径が100μm程度の微細孔となっている。また円筒部3aの端面と空隙部3fの間には、燃料供給用の細孔3hが設けられている。
【0013】
このようなノズル部品3を対象とした洗浄においては、開口部3eから奥部の空隙部3f、ニードル孔3gの内表面3jや、噴射孔3i、細孔3hが主な洗浄対象部位となり、極めて微細な異物まで完全に除去することが求められる。すなわち洗浄装置1は、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークとしてのノズル部品3を、洗浄液によって高い洗浄品質で洗浄する用途に用いられるものである。
【0014】
洗浄機構5は、内部においてノズル部品3を収納保持して洗浄液の噴射による洗浄を行うための洗浄チャンバ13を備えている。洗浄チャンバ13には、上部に設けられた開口部(図3に示す開口部50a参照)を介してワーク保持部15に保持されたノズル部品3が挿入されるとともに、ワーク保持部15に設けられた上下可動蓋14によって開口部が閉塞される。
【0015】
ワーク保持部15を構成する昇降シャフト17は、保持部移動機構16に結合されて昇降・水平移動が可能となっており、ワーク受渡し部4からノズル部品3が受け渡されたワーク保持部15を洗浄チャンバ13内に下降させることによりノズル部品3の搬入が行われ、ワーク保持部15によって保持された状態のノズル部品3に対して加熱された洗浄液を噴射することにより洗浄が行われる。そしてワーク保持部15を洗浄チャンバ13から上昇させることにより、洗浄後のノズル部品3の搬出が行われ、搬出されたノズル部品3は再びワーク受渡し部4に載置される。
【0016】
洗浄機構5は、ワーク保持部15が抜き取られた状態の洗浄チャンバ13の上面を閉塞する閉塞機構20を備えている。閉塞機構20は、直動シリンダとロータリアクチュエータを組み合わせたエア駆動の昇降旋回駆動部21の昇降旋回軸21aに、水平な蓋部材22を結合した構成となっている。すなわち蓋部材22は、昇降旋回駆動部21によって昇降するとともに、昇降旋回軸21a廻りに旋回自在となっている。ワーク保持部15が上昇して洗浄チャンバ13の上面が開放された状態で、蓋部材22を洗浄チャンバ13の上方に旋回させ、次いで蓋部材22を下降させることにより、蓋部材22は洗浄チャンバ13の上面に当接し、これにより洗浄チャンバ13の上面が閉塞される。
【0017】
洗浄チャンバ13の下面の中央には、加熱された洗浄液が供給される液供給ポート23が設けられており、液供給ポート23の両側方には、洗浄チャンバ13の内部を排気するための排気ポート24が設けられている。ノズル部品3を対象とした洗浄実行時には、洗浄液供給部6によって液供給ポート23へ加熱・加圧された洗浄液が供給され、洗浄チャンバ13内に噴射される。洗浄チャンバ13内で気化した洗浄液の蒸気や液滴は、排気ポート24から外部へ排出されて洗浄液供給部6によって回収・再生される。洗浄チャンバ13はチャンバ加熱ヒータ18および温度センサ19を装備しており、チャンバ加熱ヒータ18を駆動することにより洗浄チャンバ13を昇温させて、ノズル部品3を加熱することができる。チャンバ加熱ヒータ18による洗浄チャンバ13の加熱状態は、温度センサ19によって検出される。
【0018】
洗浄液供給部6の構成を説明する。洗浄液タンク30には、ノズル部品3に対して噴射される洗浄液7が貯留されている。ここでは、洗浄液7として再生使用が可能な炭化水素系の洗浄剤が用いられている。洗浄液タンク30内の洗浄液7は、液供給ポート23に接続された液供給配管系31に、循環ポンプPによって圧送される。液供給配管系31には、インラインフィルタ32、逆止弁33、液加熱ヒータ34および遠隔操作式の開閉弁35が設けられている。
【0019】
インラインフィルタ32は、圧送された洗浄液7内の異物を捕集・除去する。逆止弁3は液供給配管系31における洗浄液7の逆流を防止する。液加熱ヒータ34は洗浄液加熱手段であり、圧送される洗浄液7を洗浄のための噴射に先立って予め加熱する。開閉弁35は、圧送され加熱された洗浄液7の洗浄チャンバ13内への供給をオンオフする。これにより、洗浄チャンバ13内における洗浄液7の噴射のオンオフ制御が行われる。液供給配管系31には、温度センサTS、圧力センサPSがつなぎ込まれており、温度センサTSは液加熱ヒータ34によって加熱された洗浄液7の温度を検出し、圧力センサPSは循環ポンプPによって圧送された洗浄液7の圧力を検出する。
【0020】
排気ポート24は排気配管系36に接続されており、排気配管系36には真空センサVSがつなぎ込まれており、さらに排気配管系36はコンデンサ40、開閉弁42、逆止弁43を介してエジェクタ38に接続されている。エジェクタ38には、逆止弁33の手前で液供給配管系31が分岐したエジェクタ駆動管37が接続されており、エジェクタ駆動管37を介してエジェクタ38に加圧された駆動流体を供給することにより、エジェクタ38は排気配管系36内を減圧する。
【0021】
これにより、排気ポート24を介して排気配管系36に接続された洗浄チャンバ13の内部が排気されて減圧されるとともに、排気中の洗浄液7の液滴や蒸気は排気配管系36によって回収される。排気配管系36,エジェクタ38および循環ポンプPは、減圧容器である洗浄チャンバ13内を排気して減圧する減圧手段を構成する。この減圧手段による排気において、真空センサVSは排気配管系36の真空圧を検出し、これにより洗浄チャンバ13内部の真空度を確認出来るようになっている。
【0022】
コンデンサ40には冷却水循環部41が接続されており、洗浄チャンバ13からの排気がコンデンサ40に導入されて、冷却水循環部41から供給された冷却水によって冷却されることにより、排気中の洗浄液の蒸気は凝縮して液化する。開閉弁42は、排気配管系36を断接することにより、洗浄チャンバ13からの排気のオンオフを制御する。逆止弁43は、排気配管系36における洗浄液7の逆流を防止する。そしてコンデンサ40によって液化された洗浄液7はエジェクタ38に吸引されて、駆動流体として用いられた洗浄液7とともに液回収管39を介して洗浄液タンク30に回収される。
【0023】
次に制御系の構成を説明する。洗浄装置1は制御部44を備えており、制御部44は洗浄作業動作におけるノズル部品3の搬送動作を制御するとともに、以下に説明する各部を制御することにより、予め設定された洗浄条件に基づいて、洗浄動作を実行させる。まず制御部44は保持部移動機構16、昇降旋回駆動部21の動作を制御し、これにより、ワーク受渡し部4と洗浄チャンバ13との間でのワーク保持部15によるノズル部品3の搬送動作や、蓋部材22による洗浄チャンバ13の開閉動作が制御される。
【0024】
温度センサ19の温度検出結果は制御部44に送られ、制御部44がこの温度検出結果に基づいてチャンバ加熱ヒータ18の作動を制御することにより、洗浄チャンバ13内において保持されたノズル部品3を所定の洗浄温度に保持することができるようになっている。ここでは洗浄温度として、ノズル部品3の洗浄対象部位である内部の狭隘部の表面温度が、洗浄液7の沸点温度以上となるような温度が設定される。したがって、チャンバ加熱ヒータ18,温度センサ19および制御部44は、ノズル部品3を加熱して少なくとも洗浄対象部位の表面温度を洗浄液7の沸点温度以上に保持する加熱手段を構成している。
【0025】
また制御部44は開閉弁35、42のオンオフを制御し、これにより、加圧された洗浄液7の洗浄チャンバ13への供給および洗浄チャンバ13からの排気が制御される。さらに制御部44には真空センサVS、圧力センサPS、温度センサTSの検出信号が送信され、制御部44がこれらの検出信号に基づいて循環ポンプP、液加熱ヒータ34を制御することにより、洗浄チャンバ13内における洗浄雰囲気の真空度や、洗浄チャンバ13へ供給される洗浄液7の温度、噴射圧力を制御することが可能となっている。
【0026】
次に図3を参照して、洗浄機構5の構造を説明する。図3に示すように、洗浄チャンバ13は略円筒形状のチャンバ本体部50と略円板形状のチャンバ基部51とをボルト52によって結合した構成となっている。チャンバ本体部50は銅やアルミニウムなど熱伝導性に優れた金属より製作されており、チャンバ本体部50の上端面50eおよび下端面50fには、いずれも内部円筒状の開口部50a、洗浄空間50bがそれぞれ設けられている。開口部50a、洗浄空間50bの間には、下窄まりの円錐テーパ状の当接伝熱面50dを有する加熱開孔部50cが、開口部50a、洗浄空間50bを連通させて設けられている。
【0027】
ワーク保持部15は、軸形状の昇降シャフト17の下部に形成されたクランプ部材装着部17cに、1対のクランプ部材56を対向させてピン部材57によって軸支した構成となっている(図4(a)参照)。クランプ部材56は、チャンバ本体部50と同様に、銅やアルミニウムなど高熱伝導性の金属より製作される。被洗浄ワークであるノズル部品3は2つのクランプ部材56の間に挟持され、2つのクランプ部材56に掛け渡された引張スプリング58の弾性力によって両側からクランプされて保持される。すなわちクランプ部材56は、ノズル部品3を保持する保持手段となっている。
【0028】
昇降シャフト17は、鍔部17bおよび鍔部17bの下方に設けられた摺動部17aを備えており、摺動部17aは上下可動蓋14から上方に延出するスリーブ部14aに設けられた摺動孔内で上下に摺動自在となっている。摺動部17aの外周と摺動孔内面との間の摺動隙間は、上下可動蓋14に設けられたシール部材54によって密封される。鍔部17bと上下可動蓋14との間には圧縮スプリング53が介装されており、上下可動蓋14は圧縮スプリング53の弾発力によって常に下方に付勢されている。このときの上下可動蓋14の下限位置は、摺動部17aに装着された止め輪17dによって規制される。
【0029】
クランプ部材56を開口部50a内に挿入した状態で、ワーク保持部15を下降させることにより、ノズル部品3を保持したクランプ部材56は加熱開孔部50c内に進入し、クランプ部材56の外周面56aは当接伝熱面50dに当接する。この状態では、クランプ部材56に保持されたノズル部品3の下端部側(図2に示す端部3aの開口部3e側)が洗浄空間50b内に露呈される。また上端面50eには、ワーク保持部15に設けられた上下可動蓋14の下面が圧縮スプリング53によって下方に付勢された状態で当接し、これにより開口部50aは上下可動蓋14によって閉塞される。このとき、開口部50aは上端面50eに設けられたシール部材55によって密封される。
【0030】
チャンバ基部51は、円板状部材の上面に、下端面50fに対応した形状の円周状突部51aを上方に延出させて設けた構成となっている。円周状突部51aの上端面51bをチャンバ本体部50の下端面50fに当接させて、ボルト52を締結することにより洗浄空間50bは閉塞され、上端面51bに設けられたシール部材59によって密封される。チャンバ基部51の中央部の上面側には、2流体噴射加速部60を装着するための装着座51cが設けられており、下面側にはノズルチップ61を装着するためのチップ装着孔51dが設けられている。
【0031】
装着座51cに2流体噴射加速部60を装着し、チップ装着孔51dにノズルチップ61を装着して液供給ポート23を締結固定することにより、図1に示す液供給配管系31が液供給ポート23に接続される。これにより加熱・加圧された洗浄液7がノズルチップ61のオリフィスから噴射され、2流体噴射加速部60に設けられた円錐テーパ形状の噴流ガイド部60aによってガイドされながら、蒸気、微細液滴のいずれかまたはこれら2流体の混合状態となってノズル部品3の下端面および開口部3eの内部に対して噴射される。循環ポンプP、液供給配管系31およびノズルチップ61は、クランプ部材56に保持されたノズル部品3の洗浄対象部位に洗浄液7の蒸気およびまたは微細液滴を噴射する噴射手段を構成する。
【0032】
装着座51cの両側には、洗浄空間50bに開口した排気開孔51eが設けられており、排気開孔51eには排気ポート24を介して図1に示す排気配管系36が接続されている。エジェクタ38を駆動して排気配管系36から排気することにより、洗浄空間50b内に噴射された洗浄液7の液滴および蒸気は、排気開孔51eを介して洗浄空間50bから排出され、再び液化されて回収される。
【0033】
次に図4、図5を参照して、洗浄機構5に備えられたクランプ部材56の詳細について説明する。クランプ部材56は銅やアルミニウムなどの熱伝導性に優れた金属より製作され、加熱開孔部50cの円錐テーパ状の当接伝熱面50dに倣って当接する形状の外周面56aを有する部材である。円錐テーパ状の外周面56aを有する円錐部の上方には、昇降シャフト17の下部に形成されたクランプ部材装着部17cに装着するために外周面を削り込んだ垂直な平面部が設けられている。そしてこの平面部をクランプ部材装着部17cに装着してピン部材57によって軸支持することにより、クランプ部材56はピン部材57廻りの回動が許容される。通常状態においては、ピン部材57より下方の位置に装着された引張スプリング58の弾性力によって、2つのクランプ部材56には相互を接近させる閉方向の力が作用する。
【0034】
図4(a)のA−A断面に示すように、クランプ部材56の水平断面形状は4分円の外周面56aを有し、内面側に保持対象となるノズル部品3の外形形状に倣ったワーク把持面56cが形成された形状となっている。さらに、1対のクランプ部材56のそれぞれにおいて、ワーク把持面56cが設けられた範囲を含む分割範囲Bは、径方向に貫通して設けられたスリット56bによって2分割されている。このようにスリット56bを設けることにより、クランプ部材56の水平方向の撓みが許容される。これにより、ノズル部品3を保持したクランプ部材56を加熱開孔部50c内に挿入して、外周面56aを当接伝熱面50dに摺接させた状態において、摺接面の倣い度合いが向上する。すなわち、外周面56aを当接伝熱面50dにより高い密着度で当接させるとともに、クランプ部材56がくさびとして機能して、ワーク把持面56cをノズル部品3の外周に押し付けて密着させることができる。
【0035】
図4(b)に示すように、クランプ部材56の上部に設けられた駆動力作用部56dに外側から外力Fを作用させることにより、クランプ部材56は引張スプリング58の付勢力に抗してピン部材57廻りに回動し、クランプ部材56においてワーク把持面56cが形成された下部は、横方向に開く方向に移動する。これにより、ノズル部品3を1対のクランプ部材56の間に位置させてクランプすることが可能な状態となる。なおクランプ部材46によってクランプされた状態のノズル部品3をアンクランプする際には、同様に駆動力作用部56dに外側から外力Fを作用させる。
【0036】
図5は、クランプ部材56を閉じてノズル部品3を保持した状態を示している。この状態では、図5(a)に示すように、引張スプリング58の付勢力によりノズル部品3が左右両側から挟み込まれてクランプされるとともに、クランプ部材56の下端部に内側に延出して設けられた係止部56eによってノズル部品3の下端面が係止され、ノズル部品3のクランプ部材56からの脱落が防止される。そしてこの状態でクランプ部材56を加熱開孔部50c内に挿入することにより、クランプ部材56の外周面56aは加熱開孔部50cの当接伝熱面50dに当接し、チャンバ加熱ヒータ18によって加熱されたチャンバ本体部50から、クランプ部材56を介してノズル部品3を接触熱伝達によって加熱することが可能となっている。このとき、外周面56aと加熱開孔部50cとは高い密着度で当接することから、良好な熱伝導効率が確保される。
【0037】
次に、図6のフロー図および図7,図8、図9を参照して、洗浄装置1による洗浄処理フローおよびノズル部品3を対象とした洗浄方法について説明する。図7(a)は、洗浄作業動作が開始される前の状態を示している。すなわち、ワーク受渡し部4に設けられた保持部材11には、洗浄対象となるノズル部品3が、マガジンなどのワーク供給部(図示省略)から取り出されて載置されている。そして洗浄装置1においては、チャンバ加熱ヒータ18によるチャンバ本体部50の加熱および液加熱ヒータ34による洗浄液7の加熱が既に開始されて、いずれも所定温度まで昇温している。
【0038】
まず図6において、保持部移動機構16(図1参照)によってワーク保持部15をワーク受渡し部4に移動させ、洗浄チャンバ13を蓋部材22によって閉塞する(ST1)。すなわち図7(a)に示すように、ワーク保持部15をノズル部品3の上方に位置させる。このときクランプ部材56は閉じた状態にある。そして洗浄機構5においては、昇降旋回駆動部21によって旋回して洗浄チャンバ13の上方に位置した蓋部材22が下降して上端面50e(図1参照)に当接し、洗浄チャンバ13の上面の開口部50aが閉塞される。
【0039】
次いでワーク保持部15によってノズル部品3を保持する(ST2)。すなわち駆動機構12aによってクランプ開閉駆動部材12を両側から進出させた状態で、ワーク保持部15をノズル部品3に対して下降させる。このとき、図7(b)に示すように、駆動力作用部56dがクランプ開閉駆動部材12の内面に当接してガイドされながらワーク保持部15が下降することにより、駆動力作用部56dが両側から押し込まれ、クランプ部材56の下部が両側に開く。これにより、保持部材11に載置されたノズル部品3をワーク把持面56cによって挟み込むことが可能な状態となる。そして図6(c)に示すように、クランプ開閉駆動部材12を両側に後退させることにより、引張スプリング58の付勢力によってクランプ部材56が閉じ、これによりノズル部品3は1対のクランプ部材56によってクランプされて保持される。
【0040】
このようにしてクランプ部材56によってノズル部品3をクランプしたワーク保持部15を、洗浄機構5に移動させて洗浄チャンバ13に装着し、上下可動蓋14によって洗浄チャンバ13を閉塞する(ST3)。このとき洗浄機構5においては、洗浄チャンバ13を閉塞していた蓋部材22を予め移動させて、図8(a)に示すように、開口部50aを開放状態にしておく。そしてワーク保持部15をチャンバ本体部50に対して位置合わせして下降させ、ノズル部品3を保持したクランプ部材56を開口部50aを介して加熱開孔部50c内へ進入させる。これにより、図8(b)に示すように、クランプ部材56の外周面56aが加熱開孔部50cの当接伝熱面50dに当接するとともに、上下可動蓋14が当接伝熱面50dに当接する。そして洗浄チャンバ13が閉塞されたならば、開閉弁42を開にして洗浄チャンバ13内の排気を開始する(ST4)。これにより、洗浄空間50b内部が減圧される。
【0041】
次いで洗浄条件の確認が行われる。すなわち洗浄チャンバ13のチャンバ本体部50の温度および洗浄液7の温度を、それぞれチャンバ本体部50に設けられた温度センサ19、液供給配管系31に設けられた温度センサTSによって検出して、予め設定された温度以上に保持されているか否かを確認する(ST5)。ここで、設定温度に到達していなければ、さらに昇温待ちの待機を行う。この待機状態において、加熱されたチャンバ本体部50の熱はクランプ部材56を介してノズル部品3に接触熱伝達によって伝達され、予め設定された待機時間が経過することにより、ノズル部品3の温度は所定の洗浄温度まで昇温する。これとともに、洗浄チャンバ13の排気系の真空度を確認する(ST6)。すなわち、真空センサVSによって排気配管系36の真空度を検出し、予め設定された真空度に到達しているか否かを確認し、設定真空度に到達していなければさらに排気待ちの待機を行う。
【0042】
なお洗浄条件は、サンプルワークを対象とする洗浄試行を行ういわゆる条件出しの結果に基づいて、被洗浄ワークの形状や異物付着状態などによる洗浄難易度に応じて決定されるものである。ここでは一般に使用されている、沸点温度が150℃〜220℃程度の炭化水素系の洗浄液を用いる場合における洗浄条件の一部を参考までに例示する。噴射圧力としては、0.1MPa〜0.5MPaのオーダーの圧力が選定され、洗浄チャンバ13の真空度としては、1KPa〜40KPaの圧力範囲から選定する。そして液加熱温度としては、100℃〜140℃の範囲が、またノズル部品3の加熱目標温度は同様に100℃〜140℃の範囲で選定される。
【0043】
洗浄条件が満たされていることが確認されたならば、洗浄液7の噴射を開始する(ST7)。すなわち、図9(a)に示すように、液供給ポート23を介して加熱・加圧された洗浄液7をノズルチップ61から洗浄チャンバ13の内部へ噴射する。噴射された洗浄液7は、2流体噴射加速部60の噴流ガイド部60aによってガイドされ、洗浄空間50b内に露呈されたノズル部品3の下端面に入射する。
【0044】
この洗浄液7の噴射において、洗浄空間50b内は予め排気配管系36から排気ポート24を介して排気することにより減圧されており、また洗浄液7は予め加熱されていることから、ノズルチップ61から洗浄空間50b内に噴射された洗浄液7は、瞬時に蒸発して気化した状態であるいは気化過程の微細な液滴の状態で、ノズル部品3に対して入射する。このとき、洗浄液7が蒸発して気化することにより体積が膨張し、この膨張による流れの方向が噴流ガイド部60aによって一定方向に規制されていることから、気化した洗浄液7はノズルチップ61から噴射されたときの流速よりも遙かに高い流速で、ノズル部品3に対して入射する。
【0045】
図9(b)は、この洗浄過程を示している。下方からノズル部品3に対して噴射された洗浄液7の液滴、蒸気のいずれかまたはこれら2流体の混合物は、開口部3eから洗浄対象部位である空隙部3fやニードル孔3gの内部に高速で進入し、これら噴射される液滴または蒸気による物理力(ジェット衝撃作用)によって内表面3jに付着した異物が除去される。これとともに、噴射された後に潜熱を奪われて蒸気が液化することにより生じた微細な液滴7aや微細な厚みの液膜が内表面3jに付着し、洗浄対象部位に残留した微細異物と内表面3jとの界面に進入する。この洗浄過程において、ノズル部品3を保持したクランプ部材56には、加熱されたチャンバ本体部50の熱が、当接伝熱面50dから外周面56aに接触熱伝達により伝達され(矢印a参照)、さらにこの熱伝達により加熱されたクランプ部材56の熱が、ワーク把持面56cからノズル部品3へ伝達される(矢印b参照)。
【0046】
このとき、温度センサ19によるチャンバ本体部50の温度検出結果に基づいてチャンバ加熱ヒータ18が制御することにより、ノズル部品3の温度を減圧された洗浄空間50b内における洗浄液7の沸点温度以上に保持していることから、ノズル部品3の内部において内表面3jの温度は常に洗浄液7の沸点温度以上に保持されている。したがって、内表面3jに付着した液滴7aや微細異物と内表面3jとの界面に存在する液膜は再沸騰し、この再沸騰による剥離作用によって洗浄対象部位に残留した微細異物が除去される。
【0047】
この洗浄機序は、端部3aに設けられた細孔3hや、突部3dに設けられた噴射孔3iにおいても同様に実現され、超音波洗浄を用いた従来の洗浄方法では困難であった高い洗浄品質を得ることができる。なお、洗浄液7の噴射において、2流体噴射加速部60への振動付与、あるいはノズルチップ61からの噴射の断続によって、噴流に揺らぎを与えることにより、異物除去作用を向上させることができる。
【0048】
そして噴射開始から所定の洗浄時間が経過したか否かをタイマによって計時し(ST8)、タイムアップを確認したならば洗浄液の噴射を停止する(ST9)。次いで、洗浄チャンバ13内の排気を停止し(ST10)、洗浄後のノズル部品3を保持したワーク保持部15を洗浄チャンバ13からワーク受渡し部4に移動させる(ST11)。そしてワーク保持部15が洗浄後のノズル部品3をワーク受渡し部4に受け渡すことにより、1つのノズル部品3を対象とした洗浄処理の1サイクルが終了する。
【0049】
なお上述例においては、被洗浄ワークがディーゼルエンジンの燃料噴射系に用いられるDDL型のノズル部品3である場合を示したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、例えば図10(a)に示すロアボディ103のように、複雑な形状を有する部品であってもよい。ロアボディ103は、ノズル部品3と結合してインジェクタを構成する部品であり、一方側の端部103aから分岐した突部103b、103cを有しており、端部103a、突部103b、103cにはそれぞれ開口部103e、103f、103gが形成されている。すなわち、ロアボディ103は、洗浄対象部位となる狭隘部が複数存在する形態となっている。
【0050】
このような部品が被洗浄ワークとなるような場合には、図3に示すチャンバ基部51に替えて、図10(b)に示すような構成のチャンバ基部151を用い、クランプ部材56Aによって保持されたロアボディ103の開口部103e、103f、103gにそれぞれ対向する位置に、2流体噴射加速部160A、160B、160Cをそれぞれノズルチップ161と組み合わせて個別に配置する。これにより、洗浄対象部位である内部の狭隘部に、開口部103e、103f、103gを介して洗浄液7の蒸気を噴射することができる。
【0051】
また上記実施例においては、チャンバ本体部50を加熱するための加熱手段として電熱式のチャンバ加熱ヒータ18を用いた例を示したが、加熱手段はこれに限定されるものではなく、金属体であるチャンバ本体部50を加熱することが可能な方法であれば、電熱式のチャンバ加熱ヒータ18以外の手段を用いてもよい。例えば、図11に示すように、チャンバ本体部50の外周に金属製の発熱リング118aを設け、その外側に誘導コイル118bを配置した誘導加熱方式の加熱手段118を用いるようにしてもよい。すなわち、誘導コイル118bに通電することにより、発熱リング118aが電磁誘導によって発熱し、この熱によってチャンバ本体部50を加熱する。
【0052】
上述構成の洗浄装置1による洗浄方法は、被洗浄ワークでありノズル部品3を加熱して少なくとも洗浄対象部位の表面温度を洗浄液7の沸点温度以上に保持しながら、洗浄対象部位に洗浄液7の蒸気およびまたは微細液滴を噴射することにより、噴射による異物除去作用および蒸気が液化した液滴およびまたは微細液滴が加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって、洗浄対象部位に付着した異物を除去する形態となっている。
【0053】
また本実施の形態においては、減圧手段であるエジェクタ38の排気作用によって減圧される減圧容器である洗浄チャンバ13内にノズル部品3を保持し、内表面3jなどの洗浄対象部位に付着した液滴の再沸騰を減圧雰囲気下で行うようにしている。これにより、洗浄液7の沸点温度を減圧によって低下させることができ、効率的な洗浄動作が実現される。なお洗浄液7として、沸点温度が低い種類の液体を使用する場合には、常圧雰囲気で行うようにしてもよい。
【0054】
そして本実施の形態においては、さらに洗浄液7を予め液加熱ヒータ34によって加熱した状態で、洗浄空間50b内に噴射するようにしている。これにより、洗浄空間50b内に噴射された状態において蒸発が促進され、より効率的な洗浄動作が実現される。なお被洗浄ワークの熱容量が大きくしかも高い温度まで予熱が可能で、洗浄液7の沸点温度との関係で、付着した液滴を気化させるために必要な潜熱を上回る熱量を予め被洗浄ワークに持たせておくことが可能な場合には、洗浄液7の加熱を省略してもよい。
【0055】
また本実施の形態においては、洗浄液7が炭化水素系の洗浄液であり、洗浄空間50b内に噴射されてノズル部品3に付着した後再沸騰により生じた蒸気を排気配管系36を経由して回収し、コンデンサ40によって蒸留再生して洗浄液タンク30内に回収して再使用するようにしている。これにより噴射された洗浄液を気化させて異物除去を行う洗浄方式において、消費される洗浄液7の量を減少させ、ランニングコストの低減が可能となっている。
【0056】
さらに、本実施の形態においては、ノズル部品3を高熱伝導性の材質より成るクランプ部材56によって接触保持し、熱源であるチャンバ加熱ヒータ18によって加熱されたチャンバ本体部50の熱をクランプ部材56を介してノズル部品3に伝える接触熱伝達によって、ノズル部品3の洗浄対象部位の加熱を行うようにしている。これにより、簡便な構成で確実にノズル部品3の洗浄対象部位に熱を伝達することができる。
【0057】
ここでは、接触熱伝達の形態として、チャンバ本体部50に円錐テーパ状の当接伝熱面50dを有する加熱開口部50cを設け、ノズル部品3を保持するクランプ部材56の外周面56aを当接伝熱面50dに倣う形状とし、クランプ部材56を加熱開口部50cに挿入して、外周面56aを当接伝熱面50dに摺接させてるようにしている。これにより、外周面56aと当接伝熱面50dとの高い密着度が確保され、良好な熱伝達が実現される。
【0058】
なお、洗浄液7として本実施の形態においては炭化水素系の液体を用いた例を示しているが、被洗浄ワークの種類・特性によっては、炭化水素系のもの以外の液体を洗浄液として使用することが可能である。例えば被洗浄ワークがアルミニウムなど発錆のない材質である場合には、防錆剤を含む界面活性剤が添加された水を洗浄液として使用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の洗浄方法および洗浄装置は、内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを対象として、十分な洗浄性能を確保することができるという特徴を有し、自動車部品などの精密加工部品の洗浄の用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態の洗浄装置の構成説明図
【図2】本発明の一実施の形態の洗浄方法における被洗浄ワークの断面図
【図3】本発明の一実施の形態の洗浄装置に用いられる洗浄チャンバーの断面図
【図4】本発明の一実施の形態の洗浄装置において被洗浄ワークを保持するワーク保持部の構造説明図
【図5】本発明の一実施の形態の洗浄装置において被洗浄ワークを保持するワーク保持部の構造説明図
【図6】本発明の一実施の形態の洗浄方法の処理フロー図
【図7】本発明の一実施の形態の洗浄方法の工程説明図
【図8】本発明の一実施の形態の洗浄方法の工程説明図
【図9】本発明の一実施の形態の洗浄方法の工程説明図
【図10】(a)本発明の一実施の形態の洗浄方法における被洗浄ワークの断面図(b)本発明の一実施の形態の洗浄方法における洗浄液噴射部配置の説明図
【図11】本発明の一実施の形態の洗浄装置における洗浄チャンバーの断面図
【符号の説明】
【0061】
1 洗浄装置
3 ノズル部品
4 ワーク受渡し部
5 洗浄機構
6 洗浄液供給部
7 洗浄液
13 洗浄チャンバ
15 ワーク保持部
18 ヒータ
20 閉塞機構
30 洗浄液タンク
31 液供給配管系
36 排気配管系
38 エジェクタ
40 コンデンサ
50 チャンバ本体部
50b 洗浄空間
50c 加熱開孔部
50d 当接伝熱面
56 クランプ部材
60 2流体噴射加速部
61 ノズルチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを洗浄液によって洗浄する洗浄方法であって、
前記被洗浄ワークを加熱して少なくとも前記洗浄対象部位の表面温度を前記洗浄液の沸点温度以上に保持しながら、前記洗浄対象部位に前記洗浄液の蒸気およびまたは微細液滴を噴射することにより、前記噴射による異物除去作用および前記蒸気が液化した液滴およびまたは前記微細液滴が前記加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって、前記洗浄対象部位に付着した異物を除去することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記被洗浄ワークを減圧容器内に保持し、前記再沸騰を減圧雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記洗浄液を予め加熱した状態で噴射することを特徴とする請求項1または2記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記洗浄液が炭化水素系の洗浄液であり、前記再沸騰により生じた蒸気を蒸留再生して洗浄液として再使用することを特徴とする請求項1乃至3記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記被洗浄ワークを熱伝導性の材質より成る保持部材によって接触保持し、熱源からの熱を前記保持部材を介して前記被洗浄ワークに伝える接触熱伝達によって前記加熱を行うことを特徴とする請求項1乃至4記載の洗浄方法。
【請求項6】
内部に形成された狭隘部を洗浄対象部位に含む被洗浄ワークを洗浄液によって洗浄する洗浄装置であって、
前記被洗浄ワークを保持する保持手段と、前記被洗浄ワークを加熱して少なくとも前記洗浄対象部位の表面温度を前記洗浄液の沸点温度以上に保持する加熱手段と、前記保持手段に保持された被洗浄ワークの洗浄対象部位に前記洗浄液の蒸気およびまたは微細液滴を噴射する噴射手段とを備え、
前記噴射による異物除去作用および前記蒸気が液化した液滴およびまたは前記微細液滴が前記加熱された洗浄対象部位に接触して再沸騰することにより生じる剥離作用によって、前記洗浄対象部位に付着した異物を除去することを特徴とする洗浄装置。
【請求項7】
前記保持手段は減圧容器内に設けられ、前記再沸騰を減圧雰囲気下で行うことを特徴とする請求項6記載の洗浄装置。
【請求項8】
前記噴射に先立って洗浄液を予め加熱する洗浄液加熱手段を備えたことを特徴とする請求項6または7記載の洗浄装置。
【請求項9】
前記洗浄液が炭化水素系の洗浄液であり、前記再沸騰により生じた蒸気を蒸留再生して洗浄液として再使用する蒸留再生装置を備えたことを特徴とする請求項6乃至8記載の洗浄方法。
【請求項10】
前記保持部材は高熱伝導性の材質より成り、前記加熱手段は熱源からの熱を前記保持部材を介して前記被洗浄ワークに伝える接触熱伝達によって前記加熱を行うことを特徴とする請求項6乃至9記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−229438(P2008−229438A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70221(P2007−70221)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(000179328)リックス株式会社 (33)
【Fターム(参考)】