説明

洗浄方法

【課題】効率良く、UV樹脂をはがし取ることが可能なドライアイスペレットを用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】固定治具に固定される洗浄対象物に対して、ドライエアーを用いて、ドライアイスペレットを吹き付け、前記対象物の表面を洗浄する。前記ドライエアーは、露点が、−60°ないし−80°である。前記ドライエアーと前記ドライアイスペレットを前記対象物の表面に噴射するノズルを有し、前記ノズルと前記対象物の表面との間の間隔は、5mmないし70mmである。前記ノズルの断面形状は、円形形状、あるいは、楕円形状、あるいは長方形である。前記ドライアイスペレットは、直径が1mmないし3mmで、長さが1mmないし5mm、より好ましくは、長さが1mmないし5mmである。前記対象物は、製品分解後の液晶表示パネルの上偏光板、タッチパネル、あるいは、フロントウィンドウのいずれかである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄方法に係わり、特に、製品分解後の液晶表示パネルの各部材に対して、ドライエアーを用いてドライアイスペレットを吹き付けて、各部材の表面を洗浄する洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フロントパネルと液晶表示パネルとを貼り合せたハイブリッド製品、あるいは、フロントパネルと液晶表示パネルとタッチパネルとを貼り合せたハイブリッド製品が多数量産されている。
一般に、ハイブリッド製品における貼り合わせには紫外線硬化樹脂(以下、UV樹脂という)が主流として使用されている。このようなハイブリッド製品において、点灯・外観検査等により不良となった場合に、UV樹脂は硬化膜で除去が非常に困難なため、UV樹脂付着部材はリペアを行わず、UV樹脂付着部材を破棄している。
例えば、フロントパネルと液晶表示パネルとを貼り合せたハイブリッド製品において、点灯・外観検査において不良となった場合には、液晶表示パネルのみを再利用し、液晶表示パネルの上偏光板、フロントパネルは、UV樹脂の除去が非常に困難なため、現在はリペアを行わず破棄している。また、液晶表示パネルのバックライト、上フレームなどは、分解により変形するため、リペアを行わず破棄している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−008995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したように、ハイブリッド製品では、部材の貼り付けにUV樹脂を使用しているが、UV樹脂は除去が困難なため、UV樹脂付着部材はほぼ全て破棄していた。
また、リペア用の液晶表示パネルの製品周辺に付着したUV樹脂は、作業者が手作業により溶剤を浸み込ませた、繊維屑が発生しくに布や、面棒を用いて、製品が破壊しないよう丁寧に掃除している。
このため、部材の破棄量も多く、また、UV樹脂付着品の掃除に時間を要するという問題点があった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、効率良く、UV樹脂をはがし取ることが可能なドライアイスペレットを用いた洗浄方法を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面によって明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明は、固定治具に固定された洗浄対象物を洗浄する洗浄方法であって、ドライエアーを用いて、ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に吹き付け、前記洗浄対象物の表面を洗浄することを特徴とする。
また、本発明では、前記ドライエアーは、露点が、−60°Cないし−80°Cである。
また、本発明では、前記ドライエアーと前記ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に噴射するノズルを有し、前記ノズルと前記洗浄対象物の表面との間の間隔は、5mmないし70mmである。
また、本発明では、前記ノズルの断面形状は、円形形状、あるいは、楕円形状であり、前記洗浄対象物の表面に対する前記ノズルの角度は、30°ないし80°である。
また、本発明では、前記洗浄対象物を前記固定治具に固定する固定手段と、前記洗浄対象物の表面を、20°Cないし80°Cの温度に加熱する加熱手段を有する。より好ましくは、40℃から80℃の温度で加熱する加熱手段を有する。
また、本発明では、前記ドライアイスペレットは、直径が1mmないし3mm、長さが1mmないし5mm、より好ましくは、長さが1mmないし3mmである。
また、本発明では、前記洗浄対象物は、製品分解後の液晶表示パネルの上偏光板、タッチパネル、あるいは、フロントウィンドウのいずれかである。
【発明の効果】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば、下記の通りである。
本発明のドライアイスペレットを用いた洗浄方法によれば、効率良く、UV樹脂をはがし取ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】フロントパネルと液晶表示パネルとを貼り合せたハイブリッド製品を説明するための概念図である。
【図2】フロントパネルと液晶表示パネルとタッチパネルとを貼り合せたハイブリッド製品を説明するための概念図である。
【図3】本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法を実施するための模式機構図である。
【図4】本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法を説明するための図である。
【図5】本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法のより具体的な構成を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法のより具体的な構成を説明するための図である。
【図7】図3に示すノズルの断面形状を示す図である。
【図8】従来の液晶表示パネルのリペア方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
なお、実施例を説明するための全図において、同一機能を有するものは同一符号を付け、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施例は、本発明の特許請求の範囲の解釈を限定するためのものではない。
[従来の液晶表示装置]
図1は、フロントパネルと液晶表示パネルとを貼り合せたハイブリッド製品を説明するための概念図であり、図2は、フロントパネルと液晶表示パネルとタッチパネルとを貼り合せたハイブリッド製品を説明するための概念図である。
図1、図2において、FWはフロントパネル(あるいは、フロントウィンドウともいう)、LCDは液晶表示パネル、TPはタッチパネル、BLはバックライトである。
液晶表示パネル(LCD)は、第1基板(例えば、ガラス基板;SUB1)と、第2基板(例えば、ガラス基板;SUB2)と、第1基板(SUB1)と第2基板(SUB2)との間に挟持される液晶層(図示せず)を有する。また、第1基板(SUB1)の上(バックライト(BL)側)には、下偏光板(POL1)が形成され、第2基板(SUB2)の上(観察者側)には、上偏光板(POL2)が形成される。
図1では、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)上に、フロントパネル(FW)が、紫外線硬化樹脂(以下、UV樹脂という;UVP)により張り合わされている。また、図2では、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)上に、タッチパネル(TP)が、UV樹脂(UVP)により張り合わされているとともに、タッチパネル(TP)上に、フロントパネル(FW)が、UV樹脂(UVP)により張り合わされている。
【0009】
ここで、第1基板(SUB1)の液晶層側には、第1基板(SUB1)から液晶層に向かって順に、走査線(ゲート線ともいう)、対向電極(共通電極ともいう)、層間絶縁膜、映像線(ソース線またはドレイン線ともいう)、薄膜トランジスタ、画素電極、配向膜が形成される。
第2基板(SUB2)の液晶層側には、第2基板から液晶層に向かって順に、遮光膜、赤・緑・青のカラーフィルタ、平坦化膜、配向膜が形成される。
液晶表示パネル(LCD)は、画素電極、薄膜トランジスタ等が形成される第1基板(SUB1)と、カラーフィルタ等が形成される第2基板(SUB2)とを、所定の間隙を隔てて重ね合わせ、該両基板間の周縁部近傍に枠状に設けたシール材により、両基板を貼り合わせると共に、シール材の一部に設けた液晶封入口から両基板間のシール材の内側に液晶を封入、封止し、さらに、両基板の外側に偏光板を貼り付けて構成される。
なお、対向電極は、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertically Aligned)方式の液晶表示装置にも適用可能である。TN方式やVA方式の液晶表示パネルであれば第2基板側に設けられる。IPS方式の場合は、第1基板側に設けられる。
また、本発明は、液晶パネルの内部構造とは関係がないので、液晶パネルの内部構造の詳細な説明は省略する。さらに、本発明は、どのような構造の液晶パネルであっても適用可能である。
【0010】
[従来技術の問題点]
例えば、図1に示す、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを一貼り合せたハイブリッド製品において、点灯・外観検査において不良となった場合には、図8に示すように、液晶表示パネル(LCD)のみを再利用し、上偏光板(POL2)、フロントパネル(FW)は、UV樹脂の除去が非常に困難なため、現在はリペアを行わず破棄している。また、液晶表示パネルのバックライト(BL)は、分解により変形するため、リペアを行わず破棄している。
さらに、リペア用の液晶表示パネル(LCD)の製品周辺に付着したUV樹脂(UVP)は、作業者が手作業により溶剤を浸み込ませた、繊維屑が発生しくに布や、面棒を用いて、製品が破壊しないよう丁寧に掃除している。
このため、部材の破棄量も多く、また、リペア用の液晶表示パネル(LCD)の製品周辺に付着したUV樹脂(UVP)の掃除に時間を要するという問題点があった。
【0011】
[本発明の特徴]
本実施例では、例えば、図1に示す、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合せたハイブリッド製品において、点灯・外観検査において不良となった場合には、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合わせているUV樹脂(UVP)を接着面で分断し、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)と、フロントパネル(FW)の接着面に残っているUV樹脂(UVP)をドライアイスペレット用いて、除去することを特徴とする。
図3は、本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法を説明するための模式機構図である。
図3において、100はドライアイスブラスト装置であり、このドライアイスブラスト装置100には、ドライエアー配管101を介してドライエアーが供給される。また、ドライアイスブラスト装置100のドライアイス投入口102から投入されたドライアイスペレットは、投入量制限装置103により、予め設定された量だけ、ドライアイスブラスト装置100に投入される。
ドライアイスブラスト装置100は、ドライエアーのエアー風量を調整し、ドライアイスペレットとドライエアーとを圧送ホース104に出力し、ノズル110から、固定治具120上に固定された洗浄対象物(図3では、液晶表示パネル(LCD);以下、単に対象物という)に吹き付ける。これにより、液晶表示パネル(LCD)の残留しているUV樹脂(UVP)を除去する。
除去されたUV樹脂(UVR)は、エアダクト配管107を介して吸引される空気と一緒に、エアダクト105から吸引され、フィルタ106で捕獲される。
【0012】
図4は、本発明の実施例の洗浄方法を説明するための図である。以下、図4を用いて本実施例の洗浄方法について説明する。
始めに、ドライアイスブラスト装置100の圧送ホース104の先に設けられたノズル110から、ドライエアーによりドライアイスペレット(DPR)を加速して、対象物(BUH)の表面に対して噴射する。(図4(a)参照)
これにより、ドライアイスペレット(DPR)は、対象物(BUH)の表面上に付着したUV樹脂(UVP)に侵入する。(図4(b)参照)このとき、UV樹脂(UVP)は急激に冷却され、この急激な温度差により付着物である、UV樹脂(UVP)を剥離させる効果が生まれる。
ドライアイスペレット(DPR)は、モース硬度が2以下なので、ドライアイスペレット(DPR)は、対象物(BUH)の表面に衝突すると横方向に広がり、UV樹脂(UVP)と対象物(BUH)との間に入り込み、急激に気化し、その体積が膨張する。この体積変化により隙間を広げ、UV樹脂(UVP)を吹き飛ばす。(図4(c)参照)
ノズル110から噴射されたドライアイスペレット(DPR)は、瞬時に昇華して2酸化炭素となるので、残留物が残ることがない。(図4(d)参照)
【0013】
図5、図6は、本発明の実施例のドライアイスペレットを用いた洗浄方法のより具体的な構成を説明するための図である。
この図5、図6は、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合せたハイブリッド製品において、点灯・外観検査において不良となった場合に、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合わせているUV樹脂(UVP)を接着面で分断し、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)に接着面に残っているUV樹脂(UVP)を、ドライアイスペレット(DPR)を吹き付けて、除去する様子(図5)と、フロントパネル(FW)の接着面に残っているUV樹脂(UVP)をドライアイスペレット(DPR)を吹き付けて、除去する様子(図6)を説明するための図である。
図5、図6において、120は固定治具であり、この固定治具120には、ドライアイスペレットに接触する面の結露防止を目的として、対象物(図5では、液晶表示パネル(LCD))を加熱するための加熱機構121と、ドライエアーによりドライアイスペレット(DPR)を加速して、対象物の表面に対して噴射するときに、対象物が飛ばないように、固定するための吸着機構(例えば、真空吸着機構)122を有する。
【0014】
図5では、ドライアイスブラスト装置100が、ドライエアーのエアー風量と、ドライアイスペレット(DPR)の量を調整し、ドライアイスペレット(DPR)とドライエアーとを圧送ホース104に出力し、ノズル110から、固定治具120上に固定された液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)に吹き付け、これにより、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)に残留しているUV樹脂(UVP)を除去する。
但し、図5では、ドライアイスペレット(DPR)の摩擦帯電による液晶表示パネル(LCD)のチャージアップ破壊を防止するために、第1基板(SUB1)の一辺に電気的・機械的に固定され、ドライバ(Dr)に表示データ、制御信号などを入力するフレキシブル配線基板(FPC)の端子部を接地電位(GND)に接続し、帯電した電荷を常時接地電位(GND)に流すようにしている。
また、図6では、ドライアイスブラスト装置100が、ドライエアーのエアー風量と、ドライアイスペレット(DPR)の量を調整し、ドライアイスペレット(DPR)とドライエアーとを圧送ホース104に出力し、ノズル110から、固定治具120上に固定されたフロントパネル(FW)に吹き付け、これにより、フロントパネル(FW)に残留しているUV樹脂(UVP)を除去する。
以上説明したように、図5、図6では、ドライアイスペレット(DPR)を用いることで、液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)、および、フロントパネル(FW)の表面を傷つけず、かつ、結露させず、効率よく、UV樹脂(UVP)を剥がし取ることが可能となる。
【0015】
以下、本発明の実施例の、ドライアイスペレットを用いた洗浄方法の条件について説明する。
(1)ノズル110の断面形状
ノズル110の断面形状が、図7(a)に示すように、円形状の場合、周辺部、及び微小部分、ポイント部の除去に有効であり、図7(b)、図7(c)に示すように、楕円形状あるいは長方形の場合、広範囲の除去に有効で、ノズル110の往復回数を減らし、短時間での除去が可能となる。
(2)ノズル110と対象物までの距離
ノズル110と洗浄対象物までの距離は、5mm〜70mmが最適であり、ノズル110と対象物までの距離が5mm以下の場合、対象物の表面にキズが発生する、あるいは、対象物の表面に印刷された印刷パターンが剥がれるという危険がある。さらに、対象物の表面温度が低下するため結露する、または、ドライアイスペレット(DPR)による除去面積が小さく、除去効率が悪くなるという欠点がある。
さらに、ノズル110と対象物までの距離が70mm以上の場合、ドライアイスペレット(DPR)の衝突衝撃が弱まり、除去効率が減少するという欠点がある。
(3)ノズル110の角度(図6のθ)
除去する付着物の位置、及び面積に対応し、ノズル110の角度は適宜決定する必要があるが、対象物の表面に対して、ノズル110の角度が垂直(90°)では、ノズル110から噴出し、対象物表面と衝突したドライアイスペレット(DPR)が拡散してしまうという欠点がある。さらに、ノズル110の角度が小さいときは、対象物面とドライアイスペレット(DPR)の接触角度が小さくなるため、除去効率が低下するという欠点がある。そのため、ノズル110の角度は、30°〜80°が最適である。
【0016】
(4)加熱温度
対象物の表面(図5、図6では、UV樹脂(UVP)の除去面)が結露しないように、対象物の表面は、最低20°C〜80°Cの温度に保つ必要がある。
そのため、図5、図6では、固定治具120に、加熱機構121を設けているが、対象物の表面側から加熱することも可能である。例えば、温風エアーを対象物の表面に直接当てて加熱、あるいは、光(赤外線ランプ、蛍光ランプ)を対象物の表面に直接当てて加熱、または、エアコン、ストーブなどにより、対象物周りの空気全体温度を加熱(大気加熱)するようにしてもよい。
(5)ドライエアー露点
ドライエアーは、露点が、−60°C〜−80°Cのドライエアーが最適である。ドライアイスの昇華温度は、−79°Cのため、露点温度が高いとドライアイスペレット(DPR)がノズル110から噴出する時に、ドライエアーに含まれる水分が結露する。そのため洗浄効率が低下する。
(6)ドライアイスペレット(DPR)の形状
ドライアイスペレット(DPR)は、直径がφ1mm〜φ3mmが適当である。ドライアイスペレット(DPR)の直径が、φ1mm以下の場合、ドライアイスペレット(DPR)の表面積が小さいため、除去効率が低下するという欠点がある。
また、ドライアイスペレット(DPR)の直径が、φ3mm以上の場合、ドライアイスペレット(DPR)の表面積が大きいため、 ブラスト時の接触点が大きく、除去時に除去ムラが発生しやすい。
また、ドライアイスペレット(DPR)の長さは、1mm〜5mm、より好ましくは、1mm〜3mmが好ましい。
【0017】
なお、前述の説明では、本発明のドライアイスペレットを用いた洗浄方法を、フロントパネル(FW)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合せたハイブリッド製品のリペア方法に適用した実施例について説明したが、本発明は、これに限らず、フロントパネル(FW)とタッチパネル(T/P)と液晶表示パネル(LCD)とを貼り合せたハイブリッド製品のリペア方法にも適用可能である。
この場合は、図5に示す液晶表示パネル(LCD)の上偏光板(POL2)上に残留するUV樹脂(UVP)と、図6に示すフロントパネル(FW)上に残留するUV樹脂(UVP)に加え、タッチパネル(T/P)の両面に残留するUV樹脂(UVP)を、本発明のドライアイスペレットを用いた洗浄方法により除去する必要がある。
【0018】
また、本発明のドライアイスペレットを用いた洗浄方法は、以下の液晶表示パネル(LCD)の各部の洗浄にも使用可能である。
(1)液晶表示パネル(LCD)の基板として使用されるガラス基板上の表面異物、洗浄残り、汚れの除去
(2)液晶表示パネル(LCD)の偏光板(POL1,POL2)上の粘着剤の除去
(3)タッチパネル(T/P)上の粘着剤の除去
(4)液晶表示パネル(LCD)上、あるいは、タッチパネル(T/P)上のマーキング(印字)の表面汚れの除去
(5)液晶表示パネル(LCD)に使用される導通テープの表面汚れ、粘着剤の除去
さらに、本発明のドライアイスペレットを用いた洗浄方法は、以下の液晶表示パネル(LCD)の製造工程における洗浄にも使用可能である。
(6)液晶表示パネル(ICD)の配光膜、カラーフィルタ膜、ITO膜、シール材、絶縁層、および、スペーサの表面の洗浄
以上、本発明者によってなされた発明を、前記実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0019】
100 ドライアイスブラスト装置
101 ドライエアー配管
102 ドライアイス投入口
103 投入量制限装置
104 圧送ホース
105 エアダクト
106 フィルタ
107 エアダクト配管
110 ノズル
120 固定治具
121 加熱機構
122 吸着機構
Dr ドライバ
FPC フレキシブル配線基板
FW フロントパネル(あるいは、フロントウィンドウともいう)
LCD 液晶表示パネル
TP タッチパネル
BL バックライト
SUB1 第1基板(例えば、ガラス基板)
SUB2 第2基板(例えば、ガラス基板)
POL1 下偏光板
POL2 上偏光板
UVP 紫外線硬化樹脂
UDR 除去された紫外線硬化樹脂
DPR ドライアイスペレット
BUH 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定治具に固定される洗浄対象物を洗浄する洗浄方法であって、
ドライエアーを用いて、ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に吹き付け、前記対象物の表面を洗浄することを特徴とする洗浄方法。
【請求項2】
前記ドライエアーは、露点が、−60°Cないし―80°Cであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記ドライエアーと前記ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に噴射するノズルを有し、
前記ノズルと前記洗浄対象物の表面との間の間隔は、5mmないし70mmであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記ドライエアーと前記ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に吹き付けるノズルを有し、
前記ノズルの断面形状は、円形形状、あるいは、楕円形状であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記ドライエアーと前記ドライアイスペレットを前記洗浄対象物の表面に吹き付けるノズルを有し、
前記洗浄対象物の表面に対する前記ノズルの角度は、30°ないし80°であることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記洗浄対象物を前記固定治具に固定する固定手段と、
前記洗浄対象物の表面を、20°Cないし80°Cの温度に加熱する加熱手段を有することを特徴とする洗浄方法。
【請求項7】
前記ドライアイスペレットは、直径が1mmないし3mm、長さが1mmないし5mmであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項8】
前記ドライアイスペレットは、長さが1mmないし3mmであることを特徴とする請求項7に記載の洗浄方法。
【請求項9】
前記洗浄対象物は、製品分解後の液晶表示パネルの上偏光板、タッチパネル、あるいは、フロントウィンドウのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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