説明

洗浄殺菌装置、洗浄殺菌方法、及びそれに用いる洗浄殺菌媒体

【課題】洗浄殺菌装置は、その開閉部の液漏洩を防止するために技術的価格的に高度なシール構造と煩雑な操作工程を要し、その為煩雑な装置形態を呈していた。更に、液状洗浄殺菌剤による被洗浄殺菌物の過剰濡れが処理済み被洗浄殺菌物の洗浄効率とハンドリングを大きく損ねていた。
【解決手段】上記課題に対する解決手段は、殺菌作用を有する物質を含有する粒状物を装置の洗浄殺菌媒体に用いたことと、装置の洗浄殺菌工程における該粒状媒体との被洗浄殺菌物の接触及び分離とを簡便容易に実現する装置構造及びその操作法を備えたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体の手や指などに触れて用いられる一般的固形物品、例えば、指輪、イヤリング、ネックレス、イヤホン、キャシュカード、ペンシル等筆記用具など、人の掌中に把握可能な一般固形物品である被洗浄殺菌物(以降の文中では被洗浄殺菌物を単に、一般固形物品あるいは固形物品と略記することがある)すべてを対象とする洗浄殺菌装置、洗浄殺菌方法、及びそれに用いる洗浄殺菌媒体に関するものである。このような洗浄殺菌装置、洗浄殺菌方法、及び洗浄殺菌媒体は、一般の掌中把握可能な物品すべての洗浄殺菌に対応可能である。
【背景技術】
【0002】
貨幣の洗浄殺菌装置、洗浄殺菌方法、及び洗浄殺菌媒体については、以下の特許文献1〜5に既に知られているが、その貨幣も含め従来の一般固形物品の洗浄殺菌装置、洗浄殺菌方法および洗浄殺菌媒体については、洗浄剤は主に液体であり、厳密な液シール構造及び液シール操作を装置及び工程に付与する必要があり、その分、装置製作技術、費用及び洗浄操作に負担が生じていた。また、洗浄液との分離直後の一般固形物品は濡れており、濡れた該固形物品の指び触りには濡れによる違和感が生じ、実用汎用性能が高いとは言えなかった。この濡れを除去するためには更に該固形物品の乾燥工程、乾燥時間を要していた。また、一般固形物品の洗浄殺菌は、主に薬液の化学作用による洗浄と殺菌に拠っていて、薬液には本発明の粒状体の固体媒体による物理的な擦り作用、吸着作用の洗浄力が加わることはなく、この分、洗浄効率に不足がありその為、洗浄殺菌操作に比較的に大容量の薬剤と長時間を要するという問題があった。
【特許文献1】特願2004ー041313号
【特許文献2】特願2004ー041320号
【特許文献3】特願2004ー065401号
【特許文献4】特願2004―292065号
【特許文献5】特開2007―52467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題1は、一般固形物品の洗浄殺菌装置の洗浄殺菌媒体を液状でなく粒状媒体にすることにより、その装置の開閉部からの洗浄殺菌媒体の漏洩防止を開閉部の簡便なシール構造により或いは、シール構造を不要として実現することである。
本発明が解決しようとする課題2は、洗浄殺菌媒体を液状でなく粒状媒体にすることにより、洗浄殺菌剤の該固形物品への過剰添加を防止し、該固形物品の洗浄殺菌効率を向上させ、同時に該固形物品に該粒状媒体による擦れや吸着の物理的洗浄作用を付加して洗浄力を向上させ、更に、このような粒状洗浄殺菌媒体の接触による該固形物品表面への殺菌剤の擦り込み操作により、液状媒体を用いた場合のような過剰濡れの指触違和感を解消し、固形物品の乾燥工程を不要とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題に対する解決手段は、殺菌作用を有する物質を含む粒状の洗浄媒体を作製し用いること、及び洗浄工程において、粒状の洗浄媒体と一般固形物品を接触させる装置の構造及び操作と、かつ、両者を分離する装置の構造及び操作が基本となるものである。
[解決手段1](請求項1に対応)
上記課題1を解決するために講じた解決手段1は、洗浄殺菌装置において、被洗浄殺菌物を収容するケーシングと、該ケーシング内に設けられた被洗浄殺菌物を水平に移動させる移動フロアと、被洗浄殺菌物を洗浄殺菌する洗浄殺菌媒体を溜める洗剤溜めと、該洗浄殺菌媒体が該ケーシングと該洗剤溜め間を移動する為の洗剤孔と、被洗浄殺菌物を該ケーシングに投入し、あるいは該ケーシングから取り出すための開閉蓋とを備えて成ることである。
[作用]
前記開閉蓋を開いて被洗浄殺菌物を投入し、移動フロア上で被洗浄殺菌物を移動させると同時に、洗剤溜めから洗浄殺菌媒体を洗剤孔を通して移動フロアに流出させ、被洗浄殺菌物と該粒状媒体との接触を図って後、該粒状媒体を該洗剤孔を通過させて該洗剤溜めに回収し、被洗浄殺菌物と分離後に、開閉蓋を開けて被洗浄殺菌物を採取することができる。
[実施態様1](請求項2に対応)
実施態様1は、前記解決手段1の洗浄殺菌装置の洗浄殺菌媒体が粒状の媒体を備えて成ることである。
[作用]
粒状の洗浄殺菌媒体は、液状の洗浄殺菌媒体と異なり、装置の開閉部から漏洩することがなく、液状の媒体の場合に該開閉部に施工されるシール構造を液状のときより簡素化、或いは不要とすることができ、装置の作製を技術的に容易にし、作製費用を低減する。
前記粒状の媒体の粒形は球形であることが前記洗浄殺菌媒体として特に好ましく、その粒径範囲は0.5〜5mmφが好ましく、より好ましくは1〜3mmφである。該粒径が0.5mmφより小さいと、該粒状媒体が被洗浄殺菌物の細部に付着乃至入り込み、該粒状媒体の分離回収が困難になる。又、該粒子径が5mmφより大きいと、前記被洗浄殺菌物の細部に接触できず、洗浄殺菌力の低下を来たす。
【0005】
[実施態様2](請求項3に対応)
実施態様2は前記解決手段1及び実施態様1の洗浄殺菌装置において、前記被洗浄殺菌物の前記移動フロアは、該ケーシングの上面に平行して配置されるか、あるいは該上面に傾斜角を有して配置される、底面と一体をなす平滑な板であることを備えて成ることである。
[作用]
被洗浄殺菌物の移動フロアは、該ケーシング内の上面に平行して配置されるか、あるいは該上面に傾斜角を有して配置される、底面と一体を成す平滑な板であることにより、被洗浄殺菌物の移動、粒状媒体との接触の各操作を容易簡便に達成させることができる。
【0006】
[実施態様3](請求項4に対応)
実施態様3は、前記解決手段1、実施態様1及び実施態様2の洗浄殺菌装置において、前記洗剤溜めは、該ケーシングの底面をなす前記移動フロアに隣接して設置される構造を備えて成ることである。
[作用]
前記洗剤溜めは、該ケーシングの底面である前記移動フロアに隣接して設置される構造により、粒状媒体の移動、粒状媒体と被洗浄殺菌物との接触分離、及び該粒状媒体の回収の各操作を容易簡便に達成させることができる。
【0007】
[実施態様4](請求項5に対応)
実施態様4は、前記解決手段1、実施態様1、実施態様2及び実施態様3の洗浄殺菌装置において、前記洗剤孔は前記移動フロアに、被洗浄殺菌物より小さく、かつ前記粒状媒体より大きく、開けられ配置される構造を備えて成ることである。
[作用]
前記洗剤孔は前記移動フロアに被洗浄殺菌物より小さく、かつ前記粒状媒体より大きく開けられ、配置される構造により、前記粒状媒体の移動、被洗浄殺菌物との接触分離、及び該粒状媒体の回収収納の各操作を容易簡便に達成させることができる。
【0008】
[解決手段2](請求項7に対応)
上記課題1を解決するために講じた解決手段2は、前記洗浄殺菌装置に前記粒状媒体を前記開閉蓋を開けて投入し、前記洗剤孔を通過して前記洗剤溜めに収納した後、被洗浄殺菌物を前記開閉蓋を開けて投入し、前記開閉蓋を閉じ次に、該ケーシングを半回転し、該底面を上部にしてから、前記洗剤孔を通じて該ケーシング内に前記粒状媒体を移動させて、これと該ケーシング内の被洗浄殺菌物とを接触させる洗浄殺菌方法であって、被洗浄殺菌物を洗浄殺菌した後、該ケーシングを再度半回転し、該底面を下部にしてから、該洗剤孔を通じて該ケーシング中の前記粒状媒体を前記洗剤溜めに回収収納して被洗浄殺菌物から該粒状媒体を分離後、前記開閉蓋を開けて被洗浄殺菌物を入手することを特徴とする洗浄殺菌方法である。
[作用]
前記洗浄殺菌装置に前記粒状媒体を前記開閉蓋を開けて投入し前記洗剤溜めに収納した後、被洗浄殺菌物を前記開閉蓋を開けて投入し、前記開閉蓋を閉じ次に、該ケーシングを半回転し、該底面を上部にしてから、前記洗剤孔を通じて該ケーシング内に前記粒状媒体を移動させて、これと該ケーシング内の被洗浄殺菌物とを接触させる洗浄殺菌方法であって、被洗浄殺菌物を洗浄殺菌した後、該ケーシングを再度半回転し、該底面を下部にしてから、該洗剤孔を通じて該ケーシング中の前記粒状媒体を前記洗剤溜めに回収収納して被洗浄殺菌物から該粒状媒体を分離後、前記開閉蓋を開けて被洗浄殺菌物を入手することを特徴とする洗浄殺菌方法により、被洗浄殺菌物の洗浄及び殺菌を同時に可能にし、装置の開閉部からの洗浄殺菌媒体の漏洩防止を開閉部の簡便なシール構造により或いは、シール構造を不要として実現することができる。
【0009】
[解決手段3](請求項8に対応)
上記課題2を解決するために講じた解決手段3は、上記請求項1〜5に記載の洗浄殺菌装置、又は上記請求項6に記載の洗浄殺菌方法において、被洗浄殺菌物の洗浄殺菌に用いる粒状媒体に、殺菌作用を有する物質を含有させることである。
[作用]
被洗浄殺菌物の洗浄殺菌に用いる粒状媒体に、殺菌作用を有する物質を含有させることで、該粒状媒体と被洗浄殺菌物との接触時に必要量の殺菌剤を被洗浄殺菌物表面に塗布して殺菌でき、殺菌剤の過剰添加による過剰濡れを防止でき、同時に同表面に該粒状媒体の擦り及び吸着による物理的洗浄力を作用でき、被洗浄殺菌物の乾燥工程、乾燥時間を不要にし、被洗浄殺菌物指触時の過剰濡れの違和感を解消できる。
【0010】
[実施態様5](請求項9に対応)
実施態様5は前記解決手段3の粒状洗浄殺菌媒体において、前記殺菌作用を有する物質が液体、固体、及び又は気体よりなることである。
[作用]
前記抗菌作用物質が液体である場合は、各種濃度のエタノール水溶液及び各種濃度のプロパのール水溶液、両性界面活性剤、各種濃度の塩化ベンザルコ二ウム水溶液、ペパーミントオイルに代表される各種精油等が用いられる。前記抗菌作用物質が固体である場合は、抗菌性金属イオンを吸着乃至イオン交換させた抗菌性無機物質、例えば、銀イオン、亜鉛イオン、及び又は銅イオン含有のアルミノケイ酸塩、ホウ酸亜鉛、亜鉛華、及び昇華性抗菌物質である、パラクロロメタキシレノール、樟脳、ナフタレン、ヒノキチオール等、前記抗菌作用物質が気体である場合は、昇華した天然ヒノキチオールの抗菌性ガス、揮発した各種精油の抗菌性ガス、例えば、シソ科ラベンダーのエッセンシャルオイルの揮発ガス、クスノキ科ローズウッドのエッセンシャルオイルの揮発ガス、フトモモ科テイトウリのエッセンシャルオイルの揮発ガス等のように抗菌性のある液体、固体、及び気体を単独かあるいはそれぞれを混成して前記粒状媒体に適宜含有させたものは、一般固形物品を洗浄殺菌することができる。
[解決手段4](請求項10に対応)
上記課題2を解決する為に講じた解決手段4は、前記粒状洗浄殺菌媒体において、粒状媒体が無機質多孔体及び/又は有機質多孔体を核として粒状洗浄殺菌媒体を形成することである。
[作用]
前記粒状媒体の粒状を形成する核材として、無機質多孔体及び又は有機質多孔体を用いると、前記殺菌剤を該粒状媒体の表面だけでなく、粒内部にも包蔵することができ、殺菌能力の持久性を向上させることができる。更に、被洗浄殺菌物との接触時に被洗浄殺菌物表面に前記無機質多孔体及び前記有機質多孔体により、物理的洗浄力である擦りと吸着力をより効果的に与えることができ、かつ、その物理的洗浄作用に際し、液状殺菌媒体の場合の濡れ作用とは異なり、被洗浄殺菌物に殺菌剤を過剰添加することなく過剰濡れ状態にすることはなく、被洗浄殺菌物の洗浄殺菌効率を向上させるとともに、過剰濡れの手触りの違和感を解消し、過剰濡れのための乾燥工程、乾燥時間を不要とすることができる。
【0011】
[実施態様6](請求項11に対応)
実施態様6は前記解決手段4の粒状洗浄殺菌媒体において、前記無機質多孔体及び又は有機質多孔体が、高比表面積珪酸、高比表面積珪酸塩類、連続気泡型スポンジ、セルロース、及びセルロース組成物であることであることである。
[作用]
前記無機質多孔体の高比評面積珪酸及び高比評面積珪酸塩がBET比表面積が50〜500m/g好ましくは250〜350m/gのゲルタイプシリカ、コロイダルシリカ、ゾノトライト、セピオライトなどが、前期粒状媒体の核として有効であり、前記殺菌剤保持能力、粒子成型能力、前記物理的洗浄能力及び、粒子機械強度が得やすい。前記粒状媒体の核のBET比表面積が50m/gより小さい場合、特に抗菌剤保持能力が小さくなり殺菌能力が低下し、前記物理的洗浄能力も低下し、BET比表面積が500m/gより大きい場合、特に前記粒子成型能力が低下し、核粒の機械強度が低下する傾向があり、実用に供しがたい。前記有機質多孔体として、連続気泡のスポンジ、即ち、ブタジエンゴム、ポリウレタンホーム、ポリプロピレンホーム、ポリエチレンホーム、軟質PVCホーム、各種熱可塑性ゴム等、あるいは、連続気泡のセルロース、およびセルロース組成物等から選ばれる、嵩比重が0.1〜0.01g/cm好ましくは0.07〜0.03g/cmのものが前記粒状媒体の核として有効であり、嵩比重が0.1g/cmより大きいと前記粒状媒体の核としての前記抗菌剤保持能力及び前記物理的洗浄能力が低下する傾向があり、嵩比重が0.01g/cmより小さいと、抗菌剤保持能力が大き過ぎ、被洗浄殺菌物に対し前記過剰濡れの弊害を生起させ、更に前記粒成形性能力、前記物理的洗浄能力、及び粒子の機械的強度が低下する傾向にあり実用に供し難くなる
[実施態様7](請求項12に対応)
実施態様7は解決手段1の洗浄殺菌装置、解決手段2の洗浄殺菌法、及び解決手段3〜4の洗浄殺菌媒体を用てなる携帯型の洗浄殺菌装置である。
[作用]
前記洗浄殺菌装置において、前記洗浄殺菌法により、前記粒状媒体を用いて被洗浄殺菌物を洗浄殺菌すると、洗浄殺菌媒体の装置外漏洩のない、かつ洗浄殺菌媒体による過剰濡れの違和感のない被洗浄殺菌物を得る携帯型の洗浄殺菌装置を得ることができるが、その携帯装置の形状及び大きさは、携帯する一般固体物品の形状、サイズにより前記洗浄殺菌装置の構造を備えた適宜の形態をとることができる。
[実施態様8](請求項13に対応)
実施態様8は解決手段1の洗浄殺菌装置、解決手段2の洗浄殺菌法、及び解決手段3〜4の洗浄殺菌媒体を備えてなる固定型洗浄殺菌装置である。
[作用]
前記洗浄殺菌装置において、前記洗浄殺菌法により、前記粒状媒体を用い被洗浄殺菌物を洗浄殺菌すると、洗浄殺菌媒体の装置外漏洩のない、かつ洗浄殺菌媒体による過剰添加および過剰濡れのない被洗浄殺菌物を得る固定設置型の作業経済効率の高い洗浄殺菌装置を稼動させることができるが、その形状及び大きさは、被洗浄殺菌媒体の形状、サイズ、及び個数により、前記洗浄殺菌装置の構造を備えた適宜の形態を取ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の効果を主な請求項毎に整理すると、次のとおりである
請求項1〜5に係わる発明
本発明の構造を備えて成る一般固形物品の洗浄殺菌装置において、該固形物品の投入、該固形物品の収納、前記粒状媒体の収納、該固形物品と該粒状媒体の接触、該固形物品と該粒状媒体の分離、該粒状媒体の回収収納、前記開閉蓋の開放、及び洗浄殺菌済み該固形物品の採取からなる、該固形物品の洗浄殺菌採取の操作とその操作の反復とを有効、簡便、容易に実現することができる。
請求項2に係わる発明
粒状の洗浄殺菌媒体は、液状の洗浄殺菌媒体と異なり、装置の開閉部から漏洩することがなく、液状の媒体の場合に該開閉部に施工されるシール構造を簡素化、或いは不要とすることができる。
更に、一般固形物品に対する液状媒体のような過剰添加および
過剰濡れがなく、殺菌効率を向上させると同時に濡れの指触違和感を解消し、前記物理的洗浄能力を付与して、洗浄力を向上させることができる。
【0013】
請求項7に係わる発明
前記洗浄殺菌装置における前記移動フロアは、前記ケーシング内の底面を形成する、平滑な板であり、前記洗剤溜めが前記ケーシングの底面と隣接して設置され、該移動フロアに開けられ配置された前記洗剤孔を通じて該ケーシング内に前記粒状媒体を移動させ、これと一般固体物品とを接触させ、洗浄殺菌した後、前記洗剤孔を通じて該ケーシング中の該固形物品から該粒状媒体を前記洗剤溜めに分離回収する本発明の洗浄殺菌操作法によると、該固形物品を短時間に、簡便に、有効に洗浄殺菌できる。
【0014】
(4)請求項8及び請求項9に係わる発明
一般固形物品の洗浄殺菌に用いる前記粒状媒体に、殺菌作用を有する物質を含有させることで、殺菌剤の過剰濡れを防いで殺菌効率を向上させて該固形物品の表面を殺菌でき、その表面に該粒状媒体の擦り及び吸着による物理的洗浄力を作用でき、該固形物品の過剰濡れを除去する為の乾燥工程、乾燥時間を不要とすることができ、指触時の過剰濡れ違和感を解消できる。
【0015】
(5)請求項9及び請求項11に係わる発明
前記粒状媒体の粒状を形成する核材として、無機質多孔体及び又は有機質多孔体を用いると、殺菌剤を該粒状媒体の表面だけでなく、粒内部にも包蔵することができ、殺菌能力の持久性を向上させることができる。更に、該固形物品との接触時にその表面に前記無機質、有機質多孔体による物理的擦りと吸着力をより効果的に与えることができ、より有効に洗浄することができ、殺菌剤が該固形物品表面に過剰に塗布されることを防ぎ、洗浄殺菌効率を向上させるとともに、該物品表面の手触りの違和感を解消して該固形物品の抗菌コート状態の達成度をさらに向上させることができる。
【0016】
(6)請求項12に係わる発明
前記洗浄殺菌装置において、前記洗浄殺菌法により、前記粒状媒体を用いて一般固形物品を洗浄殺菌すると、洗浄殺菌媒体の装置外漏洩のない、その過剰濡れの違和感のない該固形物品を得る携帯型の洗浄殺菌装置を得ることができるが、その携帯装置の形状及び大きさは、携帯する一般固体物品の形状、サイズにより前記洗浄殺菌装置の構造を備えた適宜の形態を取ことができる。
(7)請求項13に係わる発明
前記洗浄殺菌装置において、前記洗浄殺菌法により、前記粒状媒体を用い一般固形物品を洗浄殺菌すると、洗浄殺菌媒体の装置外漏洩のない、かつ洗浄殺菌媒体による過剰濡れの違和感のない該固形物品を得る固定設置型(卓上型)の洗浄殺菌装置をうることができるが、その形状及び大きさは、一般固形物品の形状、サイズ、及び個数により、前記洗浄殺菌装置の構造を備えた適宜の形態を取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
洗浄殺菌剤を用いて行う一般固形物品の洗浄殺菌を無機質及び又は有機質の多孔体を核とする粒状の洗浄殺菌媒体でおこなうことにより、洗浄殺菌装置のシール構造の簡略化と、洗浄殺菌剤の装置外漏洩の回避と、高い洗浄殺菌効率と、該固形物品に対する殺菌剤の過剰濡れの回避と、これによる、該固形物品表面の手触りの違和感を解消した抗菌コートを実現するものである。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1(請求項1〜5)について図1を参照しながら説明する。
先ず、本発明において、公共の受付窓口などで常備されている共用のボールペン群5,8,9,10をケーシング1に入れて洗浄殺菌する場合について述べる。開閉蓋13を開け、粒径2〜3mmφの粒状洗浄殺菌媒体7(実施例2で作製)を洗剤溜め3の容量の約30%の容量で、ケーシング1内に投入し、移動フロア2の孔径5mmφの洗剤孔4を通して洗剤溜め3に収納する。次に例示したボールペン群を移動フロア2上に投入し開閉蓋13を閉じて、ケーシング1を180度回転し、洗剤溜め3を上にして、水平方向に揺すり、洗剤溜め3に収納した粒状媒体7を洗剤孔4を通してケーシング1内に流入させ、例示のボールペン群と接触状態にし、更に数秒間水平揺すりを加えてボールペン群と粒状媒体7の接触、衝突、擦りを図り、再度ケーシング1を180度回転させ、水平揺すり下に粒状媒体7を洗剤孔4を通して、洗剤溜め3に回収して該ボールペン群と分離させ、開閉蓋13を開けて、移動フロア2上の洗浄殺菌されたボールペンを採取し、筆記に用いた後、該ボールペンをケーシング1に戻し、洗浄操作を繰り返しで使用済みボールペンを再度洗浄殺菌状態にして共用ボールペンの使用を完了する。このような共用の筆記具の洗浄殺菌操作が特に公共の場でマナーとして実施されれば、共用ボールペンを介した、指から口への菌の伝播、更に人から人への菌の伝播が阻止される。
【実施例2】
【0019】
本発明の実施例2(請求項8〜11に対応)について説明する。
この実施例2は図1の洗浄殺菌媒体7の作製につき例示するものである。
無機質多孔体として、BET法比表面積300[m/g]、平均粒子径4μm、吸油量280[ml/100g]のゲルタイプシリカ(水澤化学(株)製ミズカシルP−707)1.0gと(無機質多孔体としてはこの他に、比評面積300[m/g]前後のゾノトライト、アエロジル、或いはセピオライト等を使用することが出来る)、無機質抗菌剤として、銀イオン含有アルミノ珪酸塩((株)シナネンゼオミック製ゼオミックAW10N)0.5gと(無機質抗菌剤としてはこの他に、亜鉛華、亜鉛イオン含有アルミノ珪酸塩、硼酸亜鉛等を使用することが出来る)、イオン交換水50gとを(株)石川式擂潰機(型式AGB)で10分間磨砕混合し、均一混合スラリーとして5mlを採取する。
【0020】
有機質多孔体として、見掛け密度0.1[g/cm]、粒径2〜3mmφの連続気泡のセルロース粒子20mlに、前記均一混合スラリー5mlを均等に含浸させることにより、セルロースとゲルタイプシリカを核とする粒状の洗浄殺菌媒体6.8gを得る。
(有機質多孔体としてはこの他に、連続気泡のポリスチレンスポンジ、クロロプレンゴムスポンジ、シリコンゴムスポンジ、フッソゴムスポンジ、ニトリルゴムスポンジ、エチレンプロピレンゴムスポンジ、及びセルロース組成物等を使用することが出来る)
【実施例3】
【0021】
本発明の実施例3(請求項8〜11に対応)について説明する。
この実施例3は図1の洗浄殺菌媒体7の作製につき再度例示するものである。
無機質多孔体として、BET法比表面積400[m/g]、平均粒子径10μm、吸油量250[ml/100g]のゲルタイプシリカ(水澤化学(株)製ミズカソーブ)1.0gと、有機質抗菌剤として、パラクロロメタキシレノール(和光純薬工業(株)試薬特級)1.0gと(有機質抗菌剤としてはこの他に、ヒノキチオール、ショウノウ等を使用することが出来る)、80vol%エタノール50mlとを(株)石川式擂潰機(型式AGB)で10分間磨砕混合し、均一混合スラリーとして5mlを採取する。
【0022】
有機質多孔体として嵩比重0.1[g/cm]、粒径2〜3mmφの連続気泡のセルロース粒子20mlに、前記均一混合スラリー5mlを均等に含浸させる。昇華性抗菌剤のパラクロロメタキシレノールと揮発性抗菌剤のエタノールを含有したセルロースとゲルタイプシリカを核とする粒状の洗浄殺菌媒体6.5gを得る。
【実施例4】
【0023】
本発明の実施例4(請求項12に対応)について図2を参照しながら説明する。
本発明図2のごとく、キャッシュカード分別構造体を請求項11に記載の携帯型洗浄殺菌装置に設置する。
キャッシュカード分別構造体とは、図2のようなカードガイド25と上面29に対して傾斜角を有する移動フロア19より成るもので、ケーシング18にカード群を図のように段差分別状態で収納させる構造体である。ケーシング18は、内容物を観察できるよう透明筐体であることが好適である。
留め金27をはずし、開閉蓋23を開け、ケーシング18の容量の約20%容量の粒状媒体22(実施例3と同等品)を投入し、洗剤孔20を通過させ洗剤溜め21に収納する。次に図のように 縦85mm、横54mm、厚さ0.85mmのキャシュカード群17をカードガード25とケーシング17により形成されるスリッドに差し込む。開閉蓋の留め金27を閉じ、上面28を下にして、粒状媒体22を洗剤孔20次いで、
【0024】
カードガード25を通過させててから、ケーシング18を上下、左右に手動で振り、キャシュカード群17と粒状媒体22を接触させる。この接触操作により粒状洗浄殺菌媒体が簡易シール24から漏洩することはない。簡易シール24は粒状媒体22の乾燥を防止し、揮発成分を保持して洗浄殺菌能力を持続させる。面28を上にして、粒状媒体22をカードガード25及び洗剤孔20を通して洗剤溜め27に回収しながら、キャシュカード群17を傾斜面である移動フロア19上に立たせた後、開閉蓋23を開け、洗浄殺菌済みの段差分別状態のキャシュカードを指で採取する。採取したカードには、粒状媒体に含有された液体成分による過剰濡れはみられない。採取した指先も同時に殺菌され、清潔なカードが清潔な指から第三者に移動する。
【実施例5】
【0025】
(請求項13に対応)
本発明の実施例5について図3.を参照しながら説明する。
請求項12に記載の固定設置型洗浄殺菌装置において、図3に示されるごとく、球体を大量に洗浄殺菌する球体洗浄殺菌装置について例示する。
ケーシング30の中心軸b38の回りに右に90度ケーシングを回転し、開閉蓋36を上側にして開放し、粒状媒体35(実施例2と同等品、粒径3〜4mmφ)をケーシング30の容積の40%まで投入する。次に被洗浄殺菌物である10mmφの球体31をケーシング30の容積の30%の容量を投入し、開閉蓋36を閉じる。
次に、ケーシング30の中心軸b38の回りに左に90度回転を戻し、洗剤溜め34を下側にして、3〜4mmφの粒状媒体35を移動フロア32の洗剤孔(孔径6mmφ)を通して洗剤溜め34に収納する。次に、中心軸a33を中心に180度回転させ洗剤溜め34を上側としてから、中心軸a33を中心に左右に30度ずつ5rpmの速度で往復運動させると、粒状媒体35は移動フロア32の
洗剤孔(孔径6mmφ)を通過し、10mmφ球体31の間隙に拡散し、金属球31の表面に擦り、吸着の物理的洗浄作用を及ぼしながら、殺菌剤を金属球31表面に塗布して、殺菌作用を行う。
5分間同様の往復運動を継続稼動させた後、中心軸a33を中心に180度回転させ洗剤溜め34の位置を下側とし、再度同様の往復運動を5分間稼動すると、粒状媒体35は球体32の間隙より降下し、移動フロア32の洗剤孔を通過して、下部の洗剤溜め34に収納回収され、球体31と分離する。次に、回転軸bの回りに左に15度回転させ、開閉蓋36を開放すると、移動フロアも開閉蓋向きに15度傾斜して金属球31のみがケーシング30より排出され、過剰濡れのない洗浄殺菌済みの球体を得る。以上の一連の運動操作を連続回分の制御系で作動させると、大量の球体を洗浄殺菌媒体が漏洩することなく高効率で自動洗浄殺菌できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】は、ボールペン洗浄殺菌装置の模式図である。
【図2】は、携帯型キャシュカード洗浄殺菌装置の模式図である。
【図3】は、固定型連続回分式の洗浄殺菌装置の模式図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・・・ケーシング
2・・・・(ボールペン)移動フロア
3・・・・洗剤溜め
4・・・・洗剤孔
5・・・・ボールペン
6・・・・開閉留め金
7・・・・粒状洗浄殺菌媒体(粒状媒体)
8・・・・ボールペン
9・・・・ボールペン
10・・・・ボールペン
11・・・・開閉蓋のヒンジ
12・・・・簡易シール材
13・・・・開閉蓋(透明材質)
14・・・・ボールペン
15・・・・ボールペン
16・・・・ケーシング側壁
17・・・・キャシュカード
18・・・・ケーシング
19・・・・移動フロア
20・・・・洗剤孔
21・・・・洗剤溜め
22・・・・粒状媒体
23・・・・開閉蓋(透明材質)
24・・・・簡易シール材
25・・・・カードガイド
26・・・・開閉蓋のヒンジ
27・・・・留め金
28・・・・ケーシング上面
29・・・・ケーシング底面
30・・・・円筒状ケーシング
31・・・・10mmφ球体
32・・・・(球体)移動フロア
33・・・・ケーシング中心軸a
34・・・・洗剤溜め
35・・・・粒状媒体
36・・・・開閉蓋
37・・・・開閉蓋ヒンジ
38・・・・ケーシング中心軸b
39・・・・ハッチ(自動化予備投入口)
40・・・・取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄殺菌物を収容するケーシングと、該ケーシング内に設けられた被洗浄殺菌物を移動させる移動フロアと、被洗浄殺菌物を洗浄殺菌する洗浄殺菌媒体を溜める洗剤溜めと、該洗浄殺菌媒体が該ケーシングと該洗剤溜め間を移動する為の洗剤孔と、被洗浄殺菌物を該ケーシングに投入、あるいは該ケーシングから取り出すための開閉蓋よりなる洗浄殺菌装置。
【請求項2】
前記洗浄殺菌媒体が粒状媒体であることを特徴とする請求項1記載の洗浄殺菌装置。
【請求項3】
前記被洗浄殺菌物の移動フロアは、該ケーシングの上面に平行して配置されるか、あるいは該上面に傾斜角を有して配置される、該ケーシングの底面と一体を成す平滑な板であることを特徴とする請求項1記載の洗浄殺菌装置。
【請求項4】
前記洗剤溜めは、該ケーシングの底面をなす前記移動フロアに隣接して設置される構造を備えて成ることを特徴とする請求項1記載の洗浄殺菌装置。
【請求項5】
前記洗剤孔は前記移動フロアに前記被洗浄殺菌物より小さく、かつ前記粒状媒体より大きく、開けられ配置されることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の洗浄殺菌装置。
【請求項6】
前記被洗浄殺菌物が人が掌中に掌握する全ての固形物品であることを特徴とする請求項1記載の洗浄殺菌装置。
【請求項7】
前記洗浄殺菌装置に前記粒状媒体を前記開閉蓋より投入し前記洗剤孔を通して前記洗剤溜めに収納した後、被洗浄殺菌物を前記開閉蓋より投入し、前記開閉蓋を閉じ、次に、該ケーシングを半回転し、該底面を上部にしてから、前記洗剤孔を通じて該ケーシング内に前記粒状媒体を移動させて、これと該ケーシング内の被洗浄殺菌物とを接触させる洗浄殺菌方法であって、該被洗浄殺菌物を洗浄殺菌した後、該ケーシングを再度半回転し、該底面を下部にしてから、該洗剤孔を通じて該ケーシング中の前記粒状媒体を前記洗剤溜めに回収収納して被洗浄殺菌物から該粒状媒体を分離後、前記開閉蓋を開けて該被洗浄殺菌物を入手することを特徴とする洗浄殺菌方法。
【請求項8】
上記請求項1〜5に記載の洗浄殺菌装置、又は上記請求項6記載の浄殺菌方法において、被洗浄殺菌物の洗浄殺菌に用いる粒状媒体に、殺菌作用を有する物質を含有させることを特徴とする粒状の洗浄殺菌媒体。
【請求項9】
前記殺菌作用を有する物質が液体、固体、及び又は気体よりなることを特徴とする請求項7に記載の粒状の洗浄殺菌媒体。
【請求項10】
前記粒状媒体が無機質多孔体、及び又は有機質多孔体を核としてなることを特徴とする請求項7に記載の粒状の洗浄殺菌媒体。
【請求項11】
前記無機質多孔体及び又は有機質多孔体が、高比評面積珪酸、高比評面積珪塩類、連続気泡型スポンジ、セルロース及びセルロース組成物であることを特徴とする請求項9に記載の粒状の洗浄殺菌媒体。
【請求項12】
上記請求項1〜5に記載の洗浄殺菌装置、上記請求項6記載の洗浄殺菌方法、又は上記請求項7〜10に記載の粒状洗浄殺菌媒体を用いることを特徴とする携帯型洗浄殺菌装置。
【請求項13】
上記請求項1〜5に記載の洗浄殺菌装置、上記請求項6記載の洗浄殺菌方法、又は上記請求項7〜10に記載の粒状洗浄殺菌媒体を用いることを特徴とする固定型洗浄殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−229114(P2008−229114A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−74600(P2007−74600)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(304005093)
【Fターム(参考)】