説明

洗浄装置

【課題】 最上部回転ブラシと、その上方に配設される障壁と、の間に、被洗浄物の一部がかみ込まれてしまうことを防止し得る洗浄装置を提供する。
【解決手段】 被洗浄物37を上方へ搬送し得るように回転駆動される回転ブラシ群23,24と、該回転ブラシ群23,24の内の最上部回転ブラシ15aの上側に沿って配設されて該最上部回転ブラシ15aの刷毛部19aが適合通過する櫛状歯20を有する障壁21と、を備え、前記最上部回転ブラシ15aの周速度が、該最上部回転ブラシ15aの回転方向一つ手前の回転ブラシ15bの周速度より低速とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄装置に関するものであり、特に、甘藷、人参、大根等の根菜類を洗浄するのに適する洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
根菜類の洗浄に適する洗浄装置として、甘藷や人参等の被洗浄物を上方へ搬送し得るようにU字状に配設されて回転駆動される回転ブラシ群と、該回転ブラシ群の内の最上部回転ブラシの上側に沿って起立せしめられて該最上部回転ブラシの刷毛部が適合通過する櫛状歯を有するブラシカバーと、を備えてなる洗浄装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
前記被洗浄物は、前記回転ブラシ群上で、重力に起因する下向きの自然な転がり力を有しつつ、前記回転ブラシ群による上向きの搬送力を受けながら、前記回転ブラシ群の回転により外周面を擦られて洗浄される。前記ブラシカバーは、前記回転ブラシ群の回転により前記最上部回転ブラシの位置まで上がってきた前記被洗浄物が前記最上部回転ブラシを乗り越えるのを規制し、前記被洗浄物を下方へと戻すための障壁として作用する。
【0004】
従来、前記洗浄装置において、前記回転ブラシ群を構成する各回転ブラシの外径はすべて同一とされ、該各回転ブラシへの速度伝達比もすべて同一とするのが通常であった。したがって、前記各回転ブラシの外径部周速度も、すべて同一となっていた。
【0005】
なお、下記特許文献2の図3、図8及び図9には、最上部回転ブラシとしての飛び跳ね防止ブラシの外径を他の回転ブラシの外径より小さくしたものが示されている。このものでは、前記飛び跳ね防止ブラシの軸上に固着されたスプロケットの径が前記飛び跳ね防止ブラシのすぐ下の回転ブラシの軸上のスプロケットの径より小さいことから明らかなように、前記飛び跳ね防止ブラシへ伝達される回転速度が増速されているので、結果として、前記飛び跳ね防止ブラシの周速度とその他の回転ブラシの周速度との差を調整していると思われるが、具体的にその関係がどのようになっているかは明らかではない。また、前記特許文献2には、どのようにして前記飛び跳ね防止ブラシにより被洗浄物の飛び跳ねが防止されるのかについての説明は、何ら記載されていない。
【特許文献1】特開2002−96036号公報
【特許文献2】特許第3343683号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1のものにおいては、前記被洗浄物が甘藷等、多数のひげ根を有するものである場合には、前記最上部回転ブラシと前記ブラシカバーの前記櫛状歯との間に、前記ひげ根をかみ込んでしまうことがあり、該ひげ根が引きちぎられ、前記被洗浄物が損傷してしまう等の問題があった。また、前記ひげ根をかみ込んだままの状態で前記洗浄装置を作動させ続けると、前記最上部回転ブラシの前記刷毛部が歪んで前記ブラシカバーに接触し損傷してしまうので、早期に高価な回転ブラシの取替えを余儀なくされ、コスト上大きな問題となる場合があった。
【0007】
本発明は、前記の如き事情に鑑みてなされたもので、最上部回転ブラシと、その上方に配設される障壁と、の間に、被洗浄物の一部がかみ込まれてしまうことを防止し得る洗浄装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明に係る洗浄装置は、被洗浄物を上方へ搬送し得るように回転駆動される回転ブラシ群と、該回転ブラシ群の内の最上部回転ブラシの上側に沿って配設されて該最上部回転ブラシの刷毛部が適合通過する櫛状歯を有する障壁と、を備え、前記最上部回転ブラシの周速度が、該最上部回転ブラシの回転方向一つ手前の回転ブラシの周速度より低速とされたものである(請求項1)。
【0009】
前記洗浄装置によれば、前記被洗浄物は、前記回転ブラシ群上で、重力に起因する下向きの自然な転がり力を有しつつ、前記回転ブラシ群による上向きの搬送力を受けながら、該回転ブラシ群の回転により繰り返し外周面を擦られて洗浄される。前記障壁は、前記回転ブラシ群の回転により前記最上部回転ブラシの位置まで上がってきた前記被洗浄物のそれ以上の上方移動を規制し、前記被洗浄物を下方へと戻すように作用する。前記最上部回転ブラシの前記刷毛部は、前記障壁の前記櫛状歯の隙間に適合して通過するので、前記最上部回転ブラシと前記障壁との間に、前記被洗浄物が食い込んでしまうことが確実に防止される。
【0010】
しかも、本発明によれば、前記最上部回転ブラシの周速度が、該最上部回転ブラシの回転方向一つ手前(一本下側)の回転ブラシの周速度より低速とされているので、前記最上部回転ブラシの部分で前記被洗浄物の更に上方への搬送力が低下する。このため、前記被洗浄物にひげ根等のごく細い部分があっても、前記障壁と前記最上部回転ブラシとの間への前記極細部分のかみ込みは生じにくい。
【0011】
前記構成において、前記最上部回転ブラシの周速度が、前記一つ手前の回転ブラシの周速度に対して十分に低速であれば、前記最上部回転ブラシによる前記被洗浄物の上方への搬送力が極めて小さくなるので、必ずしも前記障壁に前記櫛状歯を設ける必要がない場合もある。この場合、本発明の他の実施の形態として、次のような洗浄装置とすることもできる。
【0012】
すなわち、被洗浄物を上方へ搬送し得るように回転駆動される回転ブラシ群と、該回転ブラシ群の内の最上部回転ブラシの上側に沿って配設されて前記被洗浄物が前記最上部回転ブラシを乗り越えるのを規制する障壁と、を備え、前記最上部回転ブラシの周速度が、該最上部回転ブラシの回転方向一つ手前の回転ブラシの周速度より低速とされている洗浄装置である(請求項2)。
【0013】
好適な実施の一形態として、前記最上部回転ブラシの外径が長手方向に沿って同一であり、前記最上部回転ブラシの回転速度が、前記一つ手前の回転ブラシの回転速度より低速とされたものとすることもできる(請求項3)。
【0014】
なお、前記最上部回転ブラシと前記一つ手前の回転ブラシの相互の位置関係や毛の長さ等によっても異なるが、前記被洗浄物のかみ込み防止効果最適化上、前記最上部回転ブラシの周速度は、前記一つ手前の回転ブラシの周速度の2/3以下とするのが望ましく(請求項4)、さらに望ましくは、前者を後者の1/2以下の速度とするのが良い(請求項5)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0016】
図1は、本発明の好適な実施の一形態に係る洗浄装置の全体斜視図、図2は、図1における回転ブラシ群の駆動部の拡大図、図3は、図2の駆動部の駆動系統図、図4は、回転ブラシ群の一部拡大斜視図、図5は、最上部回転ブラシとブラシカバーの一部拡大斜視図、図6は、図1の洗浄装置の支持脚部の分解斜視図である。
【0017】
図1に示すように、本実施の形態に係る洗浄装置100は、上部が開放された横置きの直方箱体1を備えている。該直方箱体1の長手方向X−Xの一端面には、甘藷や人参等の被洗浄物37(図3参照)を前記直方体箱1内へ供給するための供給凹部2が形成され、他端面には、洗浄された被洗浄物の排出凹部3が形成されている。前記直方箱体1は、その四隅部に設けられた支持脚4によって高さ調整自在に支持されている。該各支持脚4の下端には、前記洗浄装置100の移動時の便宜のために、キャスター6が取着されている。
【0018】
前記各支持脚4は、例えば、図6に示すように、鋼製等のチャンネル材で形成することができる。前記支持脚4には、前記直方体箱1の高さ調整のための複数の調節孔5が、縦方向に所定の間隔で設けられている。
【0019】
他方、前記直方箱体1には、断面コ字状の前記支持脚4の開口部7が嵌合する縦長の支持脚取付部8が設けられている。該支持脚取付部8には、凸部9及び雌ねじ孔10が、前記支持脚4の前記調節孔5同士の間隔と同一の間隔で上下方向に並べて、例えば、交互に形成されている。
【0020】
前記構成において、前記直方体箱1の高さ調整は、次のようにして行うことができる。前記直方箱体1を、適宜の方法で一時持ち上げて仮支持し、前記支持脚4を、前記支持脚取付部8に沿って上下にスライドさせ、前記調節孔5のいずれかを、前記支持脚取付部8に形成された前記凸部9と適合させる。この時、必然的に、前記支持脚4の前記調節孔5と、前記支持脚取付部8に形成された前記雌ねじ孔10と、が一致する。そこで、調節ボルト11を、前記支持脚4の前記調節孔5に挿通し、前記支持脚取付部8に形成された前記雌ねじ孔10に螺合すればよい。
【0021】
前記洗浄装置100は、前記支持脚4によって、前記供給凹部2側が前記排出凹部3側より少し高くなるように傾斜させて使用される。
【0022】
図1に示すように、前記直方箱体1の上部の開放部には、適数本の横桟12が掛け渡されている。該横桟12上には、下面に適数の散水孔13を所定間隔で有する洗浄水供給配管14が支持されている。本実施の一形態では、前記洗浄水供給配管14が、相互間に間隔をおいて、前記長手方向X−Xに沿って二本設けられている。
【0023】
前記直方体箱1の上部の開放部には、洗浄水の飛び散りを防止するシート36が開閉自在に配設されている。該シート36を透明材料で形成すると、内部の洗浄状況を外部から視認できて、好適である。
【0024】
前記洗浄水供給配管14の下方には、複数(多数)の細長の回転ブラシ15を前記長手方向X−Xに沿って互いに隣接させてU字状に配設することにより、洗浄凹部16が形成されている。前記各回転ブラシ15の両端は、それぞれ前記供給凹部2及び前記排出凹部3側において、前記直方箱体1に回転自在に支持されている。
【0025】
限定はされないが、本実施の形態では、図2及び図4に示すように、前記各回転ブラシ15に、大径刷毛部17及び小径刷毛部18が交互に形成されている。そして、前記回転ブラシ15は、隣接するもの同士の前記大径刷毛部17と前記小径刷毛部18が互いに噛み合うようにして配設されている。
【0026】
前記洗浄凹部16を形成する左右両端の最上部回転ブラシ15aを除く他のそれぞれの前記回転ブラシ15には、図4に示すごとく、前記大径刷毛部17及び前記小径刷毛部18を形成する個々の刷毛部19が千鳥状に植設され、回転洗浄時に、その回転方向にすじ状の無洗浄空間が生じたり、前記被洗浄物37の荷重で前記刷毛部19が撓んでしまったりすることがないように配慮されている。
【0027】
図3に示すように、本実施の形態では、多数の前記回転ブラシ15を軸方向に見た時に、前記洗浄凹部16の左右幅方向の中央部(最低部)で、前記回転ブラシ15が駆動機構上左右に分割され、左側回転ブラシ群23と、右側回転ブラシ群24と、が形成されている。本実施の形態では、一例として、前記各回転ブラシ群23,24が、それぞれ四本の回転ブラシで構成されている。前記各回転ブラシ群23,24において、前記各回転ブラシ15は、その長さ方向を一致させて、隣接するもの同士の回転軸22が、前記洗浄凹部16の左右幅方向の外方へ行くにつれて徐々に位置高となるように配設されている。
【0028】
前記回転ブラシ群23,24は、互いに噛み合う回転分配歯車25,26を介して、単一の原動機としての電動モータMにより、前記洗浄凹部16上で被洗浄物37を左右幅方向の内方から外方へと上方へ搬送し得るように、互いに反対方向L−Rに回転駆動される。すなわち、前記左側回転ブラシ群23を構成する前記各回転ブラシ15は、図3の矢印Lの方向に左回転するように駆動され、前記右側回転ブラシ群24を構成する前記各回転ブラシ15は、矢印Rの方向に右回転するように駆動される。これにより、前記直方体箱1の前記供給凹部2から前記洗浄凹部16へと供給された多数の被洗浄物37は、自然に左右に分かれ、前記各回転ブラシ群23,24上で、重力に起因する下向きの自然な転がり力を有しつつ、前記各回転ブラシ群23,24による上向きの搬送力を受けながら、該各回転ブラシ群23,24の回転により繰り返し外周面を擦られて洗浄される。
【0029】
前記被洗浄物37は、前記各回転ブラシ群23,24の回転により、前記洗浄凹部16の左右幅方向の外方へ向けて上方へ搬送されるが、前記各最上部回転ブラシ15a,15aの位置まで到達すると、障壁としてのブラシカバー21に当接してそれ以上の外方への移動を規制され、自重により前記洗浄凹部16の左右幅方向の内方へと転落せしめられる。
【0030】
前記ブラシカバー21は、前記被洗浄物37が前記各最上部回転ブラシ15aを乗り越えてしまうことを防止するための障壁として設けられるものであり、図5に示すように、前記各最上部回転ブラシ15aの長手方向X−Xの上側に沿って立設されている。前記ブラシカバー21の下部には、前記最上部回転ブラシ15aの刷毛部19aが適合通過する間隙20aを備えた櫛状歯20が形成されている。前記最上部回転ブラシ15aの前記刷毛部19aは、前記最上部回転ブラシ15a以外の前記回転ブラシ15の前記大径刷毛部17及び前記小径刷毛部18の千鳥状に植設された前記刷毛部19と異なり、前記ブラシカバー21の前記櫛状歯20に対応して、回転軸22aの円周方向に沿って直線状に植設されている。
【0031】
前記ブラシカバー21の下端は、前記最上部回転ブラシ15aの前記回転軸22aにごく僅かな隙間をおいて近接している。加えて、前記櫛状歯20の前記間隙20aの幅は、前記最上部回転ブラシ15aの前記刷毛部19aがごく僅かな隙間をおいて通過し得る寸法とされている。このため、前記最上部回転ブラシ15aと前記ブラシカバー21との間に、前記被洗浄物37が食い込んでしまうことが確実に防止される。
【0032】
図3に示すように、本実施の形態では、前記各最上部回転ブラシ15aの前記刷毛部19aの先端周速度が、該最上部回転ブラシ15aの回転方向一つ手前(一本下側)の回転ブラシ15bの前記刷毛部19の先端周速度より低速とされている。すなわち、前記左側回転ブラシ群23において、前記最上部回転ブラシ15aの先端周速度は、該最上部回転ブラシ15aの右隣の回転ブラシ15bの先端周速度より低速とされ、同様に、前記右側回転ブラシ群24において、前記最上部回転ブラシ15aの周速度は、該最上部回転ブラシ15aの左隣の回転ブラシ15bの周速度より低速とされている。このため、前記最上部回転ブラシ15aの部分で前記被洗浄物37の上方への搬送力が低下する。よって、前記被洗浄物37にひげ根等のごく細い部分があっても、前記ブラシカバー21と前記最上部回転ブラシ15aとの間への前記ひげ根等のかみ込みは生じにくい。
【0033】
本実施の形態では、前記最上部回転ブラシ15aを含む前記各回転ブラシ15の大径刷毛部17すべてが同一の外径を有するものとされるとともに、前記最上部回転ブラシ15aの回転速度が、該最上部回転ブラシ15a以外のすべての回転ブラシ15の回転速度より低速とされている。
【0034】
前記回転ブラシ15の回転駆動機構について説明すると、図2に示すように、前記回転分配歯車25,26の回転軸25a,26a上には、従動スプロケット27,28がそれぞれ固着されている。また、前記最上部回転ブラシ15aの前記直方体箱1から外方へ突出した前記回転軸22aの端部には、所定の歯数を有する大径スプロケット30aが固着されている。前記最上部回転ブラシ15aを除く前記各回転ブラシ15の前記直方体箱1から外方へ突出した前記各回転軸22の端部には、前記最上部スプロケット30aの歯数より少ない所定の歯数を有する一つ又は二つの小径スプロケット30が固着されている。
【0035】
前記電動モータMの回転軸29aに固着された原動スプロケット29の回転は、前記左側回転ブラシ群23側の前記従動スプロケット27と、前記左側回転ブラシ群23側の前記小径スプロケット30群と、前記大径スプロケット30aと、これらのスプロケット29,27,30,30aを駆動上互いに連結するチェーン33,35と、を介して、前記左側回転ブラシ群23を構成する前記各回転ブラシ15に伝達される。これにより、前記左側回転ブラシ群23を構成する前記各回転ブラシ15が、図3の矢印L方向へと一斉に回転駆動される。
【0036】
本実施の形態では、前記左側回転ブラシ群23の回転駆動機構において、前記最上部回転ブラシ15aの前記大径スプロケット30aに対しては、その右隣の前記回転ブラシ15bの前記小径スプロケット30に巻き掛けられた前記チェーン35によって回転駆動力が伝達されるが、前記大径スプロケット30aと前記小径スプロケット30との歯数の違いにより、減速されて回転駆動力が伝達されるので、前記最上部回転ブラシ15aが、該最上部回転ブラシ15aを除く前記左側回転ブラシ群23の前記各回転ブラシ15より低速で回転駆動される。
【0037】
前記左側回転ブラシ群23の回転に連動して、前記右側回転ブラシ群24も一斉に回転駆動される。すなわち、互いに噛み合う前記回転分配歯車25,26と、前記右側回転ブラシ群24側の前記従動スプロケット28と、前記右側回転ブラシ群24側の前記小径スプロケット30群と、前記大径スプロケット30aと、これらのスプロケット28,30,30aを駆動上互いに連結するチェーン34,35と、を介して、前記右側回転ブラシ群24を構成する前記各回転ブラシ15が、図3の矢印R方向へと一斉に回転駆動される。
【0038】
前記右側回転ブラシ群24の回転駆動機構において、前記最上部回転ブラシ15aの前記大径スプロケット30aに対しては、その左隣の前記回転ブラシ15bの前記小径スプロケット30に巻き掛けられた前記チェーン35によって回転駆動力が伝達されるが、前記大径スプロケット30aと前記小径スプロケット30との歯数の違いにより、減速されて回転駆動力が伝達されるので、前記最上部回転ブラシ15aが、該最上部回転ブラシ15aを除く前記右側回転ブラシ群24の前記各回転ブラシ15より低速で回転駆動される。
【0039】
なお、前記最上部回転ブラシ15a(の前記大径刷毛部17の外径)とその他の前記回転ブラシ15の先端周速度比(本実施の形態では回転速度比)は、前記被洗浄物37のかみ込み防止効果最適化上、回転ブラシ相互の位置関係や毛の長さ等にもよるが、実験結果によれば、前記最上部回転ブラシ15aの周速度(回転速度)を、その他の回転ブラシ15の周速度(回転速度)の2/3以下とするのが望ましく、さらに望ましくは、前者を後者の1/2以下の速度とするのが良い。
【0040】
図2及び図3において、符号31,32は、前記チェーン33,34を所定の強さに緊張せしめるためのテンション歯車である。
【0041】
前記構成において、前記最上部回転ブラシ15aの周速度が、前記一つ手前の回転ブラシ15bを含む他の回転ブラシ15の周速度に対して十分に低速であれば、前記最上部回転ブラシ15aによる前記被洗浄物37の上方への搬送力が極めて小さくなるので、必ずしも前記ブラシカバー21に前記櫛状歯20を設ける必要がない場合もある。この場合には、前記最上部回転ブラシ15aの刷毛部外径を前記長手方向X−Xにわたって同一径とし、櫛状歯20を有しない障壁を前記最上部回転ブラシ15aの上側に沿って配設することもできる。
【0042】
前記洗浄装置100は、前記供給凹部2側が前記排出凹部3側より少し高くなるようにして使用されるので、前記供給凹部2から前記洗浄凹部16上に供給された前記被洗浄物37は、前記左側回転ブラシ群23と前記右側回転ブラシ群24の互いに逆方向への回転によって洗浄作用を付与されながら、自然に前記排出凹部3側へと移動する。洗浄が完了した被洗浄物37は、前記排出凹部3から取り出される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の好適な実施の一形態に係る洗浄装置の全体斜視図である。
【図2】図1における回転ブラシ群の駆動部の拡大図である。
【図3】図2の駆動部の駆動系統図である。
【図4】図1における回転ブラシ群の一部拡大斜視図である。
【図5】最上部回転ブラシとブラシカバーの一部拡大斜視図である。
【図6】図1の洗浄装置の支持脚部の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0044】
15a 最上部回転ブラシ
15b 最上部回転ブラシの回転方向一つ手前の回転ブラシ
19a 刷毛部
20 櫛状歯
21 障壁(ブラシカバー)
23 回転ブラシ群(左側回転ブラシ群)
24 回転ブラシ群(右側回転ブラシ群)
37 被洗浄物
X−X 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄物(37)を上方へ搬送し得るように回転駆動される回転ブラシ群(23,24)と、該回転ブラシ群(23,24)の内の最上部回転ブラシ(15a)の上側に沿って配設されて該最上部回転ブラシ(15a)の刷毛部(19a)が適合通過する櫛状歯(20)を有する障壁(21)と、を備え、前記最上部回転ブラシ(15a)の周速度が、該最上部回転ブラシ(15a)の回転方向一つ手前の回転ブラシ(15b)の周速度より低速とされている、洗浄装置。
【請求項2】
被洗浄物(37)を上方へ搬送し得るように回転駆動される回転ブラシ群(23,24)と、該回転ブラシ群(23,24)の内の最上部回転ブラシ(15a)の上側に沿って配設されて前記被洗浄物(37)が前記最上部回転ブラシ(15a)を乗り越えるのを規制する障壁(21)と、を備え、前記最上部回転ブラシ(15a)の周速度が、該最上部回転ブラシ(15a)の回転方向一つ手前の回転ブラシ(15b)の周速度より低速とされている、洗浄装置。
【請求項3】
前記最上部回転ブラシ(15a)の外径が長手方向(X−X)に沿って同一であり、前記最上部回転ブラシ(15a)の回転速度が、前記一つ手前の回転ブラシ(15b)の回転速度より低速とされている、請求項2に記載の洗浄装置。
【請求項4】
前記最上部回転ブラシ(15a)の周速度が、前記一つ手前の回転ブラシ(15b)の周速度の2/3以下とされている、請求項1,2又は3に記載の洗浄装置。
【請求項5】
前記最上部回転ブラシ(15a)の周速度が、前記一つ手前の回転ブラシ(15b)の周速度の1/2以下とされている、請求項4に記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−34110(P2006−34110A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214400(P2004−214400)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000141990)株式会社共立 (110)
【Fターム(参考)】