説明

洗濯装置及び乾燥装置

【課題】 洗濯物に取り付けられた無線情報タグの情報を確実に読み取って、効率良く洗濯物を洗濯することができる洗濯装置及び乾燥装置を提案する。
【解決手段】 無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口5を有する洗濯槽15と、投入口5の周囲に沿って配置され、無線情報タグの情報を受信するアンテナ40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等を洗濯する洗濯装置及び衣類等の洗濯物を乾燥させる乾燥装置に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類においては、繊維の種類、製造方法、大きさ、衣類の種別等に応じて洗濯条件が決められている。この洗濯条件としては、例えば、洗濯時の水温、ドライクリーニングの適否、塩素系漂白剤の使用の適否、中性洗剤の使用の適否、蛍光洗剤の使用の適否、色落ちの有無等があり、これらの洗濯条件は、衣類の一部に縫い付けられた布ラベルに表記されている。
【0003】
一方、洗濯装置においては、洗濯時の水温、水量、洗濯時間、脱水時間等、洗濯動作を種々設定し得るようになされており、ユーザは、衣類に縫い付けられた布ラベルに表記された洗濯条件を確認した上で、洗濯装置に対して手動により衣類の洗濯条件に合致した各種の洗濯動作を設定していた。
【0004】
また近年、洗濯条件を記憶したRFID(Radio Frequency Identification)と呼ばれるIC(Integrated Circuits)タグを衣類等に装着すると共に、洗濯装置においては、このICタグとの間で通信を行なう通信装置を設け、洗濯槽の内部に投入された衣類の洗濯条件をこの通信装置によりICタグから読み取って、洗濯装置の制御部により洗濯条件に応じた洗濯動作を設定するようになされたものが提案されている(特許文献1)。
【0005】
このような洗濯装置においては、ユーザが衣類の洗濯条件を確認してこの洗濯条件に合致した洗濯動作を手動により設定するといった煩雑な操作を回避し得ると考えられる。
【特許文献1】特開2004−174043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載されている洗濯装置においては、衣類から洗濯条件を読み取るための通信装置に関して、そのアンテナの配置については配慮されていない。すなわち、アンテナの配置によっては洗濯する衣類等の洗濯条件等を確実に読み取ることが困難になり、洗濯槽に投入された衣類に応じた洗濯制御を確実に行なうことが困難になる。
【0007】
本発明は、このような技術的課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、洗濯物に取り付けられた無線情報タグの情報を確実に読み取って、効率良く洗濯物を洗濯することができる洗濯装置及び乾燥装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る第1の特徴は、無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する洗濯槽と、投入口の周囲に沿って配置され、無線情報タグの情報を受信するアンテナとを備えたことである。
【0009】
本発明の実施の形態に係る第2の特徴は、洗濯槽と、洗濯槽の内部に交信領域が設定されたアンテナとを備えたことである。
【0010】
本発明の実施の形態に係る第3の特徴は、無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する洗濯槽と、投入口を開閉する扉部と、扉部の一部に配置され、無線情報タグの情報を受信するアンテナとを備えたことである。
【0011】
本発明の実施の形態に係る第4の特徴は、無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する乾燥室と、投入口の周囲に沿って配置されたアンテナとを備えたことである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、洗濯物に取り付けられた無線情報タグの情報を確実に読み取ることができ、これにより効率良く洗濯物を洗濯することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施の形態に係る洗濯乾燥装置1は、無線情報タグであるRFIDを取り付けた洗濯物の投入口5を有する洗濯槽15と、投入口5の周囲に沿って配置され、RFIDの情報を受信するアンテナ40とを備える。
【0015】
すなわち図2に示すように、洗濯乾燥装置1においては、内部に洗濯槽を有する筐体3の前面部4に衣類を出し入れするための投入口5が設けられ、この投入口5は、扉部6により開閉自在となっている。
【0016】
投入口5は、内径が約350mmの内壁部8により形成され、この内壁部8には、ゴムパッキン10が設けられている。扉部6は、全体が樹脂製の円板部材により構成され、投入口5のゴムパッキン10に嵌め合わされる環状の樹脂部材11が後面側に設けられている。また扉部6は、投入口5に対して蝶番12により開閉自在に枢支され、取っ手13により開閉し得るようになされている。
【0017】
これにより図3に示すように、扉部6を閉じると、投入口5が閉塞され、内部の洗濯槽を外部から遮蔽することができる。また図4に示すように、扉部6を開くと、投入口5が開放され、この投入口5を介して外部から内部の洗濯槽に衣類等の洗濯物を投入することができると共に、内部の洗濯物を外部に取り出すことができる。
【0018】
また前面部4の上部には、押しボタン等により構成され洗濯乾燥モードの指定等を行なうための操作部26及び洗濯乾燥動作に関する種々の情報を表示する表示部27が設けられている。
【0019】
図1に示すように、洗濯乾燥装置1の内部には、洗濯槽15が設けられ、この洗濯槽15には、円筒形状の側面16Aを有する容器形状の洗濯ドラム16が支持機構(図示せず)により回転自在に枢支されている。すなわち、この洗濯ドラム16は、一方の端部が閉塞されると共に他方の端部が開放された容器形状に形成されており、その開放端部が筐体3の投入口5に対向するように支持されている。この洗濯ドラム16は、所定の回転支持機構(図示せず)によりその円筒形状の中心軸線を回転中心として回転自在に枢支され、モータ18により回転駆動される。
【0020】
また洗濯槽15には給水機構31及び排水機構32が設けられており給水機構31により洗濯槽15の内部に給水すると共に、排水機構32により洗濯槽15に溜められた水等を排水するようになされている。洗濯槽15の内部にはヒータ33が設けられており、このヒータ33により洗濯層5に給水された水等を加熱することができる。
【0021】
さらに洗濯槽15には送風ヒータ35が設けられており、この送風ヒータ35から洗濯槽5の内部に洗濯物を乾燥させるための温風を供給するようになされている。
【0022】
これらのモータ18、給水機構31、排水機構32、ヒータ33及び温風ヒータ35は、洗濯乾燥装置1の動作を制御する制御部20によりそれぞれ制御される。
【0023】
図5に示すように、制御部20は、CPU21にデータバス28を介してROM(Read Only Memory)22、RAM(Random access Memory)23、RFIDリーダライタ50(図1)との間で通信を行うためのRS232Cインターフェイス24、モータ18、給水機構31、排水機構32、ヒータ33及び温風ヒータ35に対してそれぞれ制御信号を供給するためのインターフェイス25、押しボタン等により構成される操作部26及び洗濯乾燥動作に関する種々の情報を表示する表示部27が接続されている。CPU21は、ROM22に格納されている制御プログラムにより洗濯乾燥装置1の動作を制御するようになされ、RS232Cインターフェイス24を介して情報の読み取り部及び書き込み部であるRFIDリーダライタ50との間で通信を行うことにより、送信する情報をRFIDリーダライタ50からアンテナ40を介して送信し、またRFIDリーダライタ50においてアンテナ40を介して受信した情報を受け取る。CPU21は、この受け取った情報をRAM23に格納すると共に、この情報に基づいて、洗濯乾燥装置1のモータ18、給水機構31、排水機構32、ヒータ33及び温風ヒータ35をそれぞれ制御する。
【0024】
ここで図1において、筐体3の前面部4は、金属板により構成されており、この前面部4において投入口5を形成する開口縁部4Aには、ゴムパッキン10の一方の開口端面に形成された折り返し部10Aを嵌め合わせるためのフランジ4Bが形成されている。一方、前面部4の開口縁部4Aに対向する洗濯槽15側の開口縁部15Aにおいても、ゴムパッキン10の他方の開口端面に形成された折り返し部10Bを嵌め合わせるためのフランジ15Bが形成されている。このフランジ4B、15Bにゴムパッキン10の折り返し部10A、10Bを嵌め合わせることにより、このゴムパッキン10により投入口5の内壁部8が構成される。これにより洗濯槽15の内部空間と外部空間とが投入口5を介して連通するようになされている。
【0025】
投入口5の内壁部8に設けられたゴムパッキン10の周側面10Cには、周方向に導線41が巻回されてループ状のアンテナ40が形成されている。このアンテナ40は、金属で構成されている前面部4のフランジ4A及び洗濯槽15のフランジ15Aに近接することなくこれらに間隙を隔てて設けられている。これによりアンテナ4の交信感度が金属により低下することを防止するようになされている。このアンテナ40は、洗濯乾燥装置1の内部に設けられたRFIDリーダライタ50に接続されており、RFIDリーダライタ50は、制御部20の制御により情報を変調して13.56Mhzの通信周波数によりアンテナ40から送信すると共に、アンテナ40を介して受信した情報を復調して制御部20に出力するようになされている。
【0026】
すなわち投入口5を取り囲むように巻回されたループ状のアンテナ40においては、図6に示すように、ループ状のアンテナ40が配置された投入口5を横切る平面(XY平面)のうち、アンテナ40に取り囲まれた全領域において交信領域ARを設定することができると共に、投入口5の中心においてこのXY平面に対して垂直な方向(Z方向)に最も広い交信領域ARを設定することができる。
【0027】
RFIDリーダライタ50は、この交信領域ARが形成された投入口5を通過するRFIDであるICタグ60との間でアンテナ40を介して通信を行う。すなわち図7に示すように、RFIDリーダライタ50において、制御回路51は、ICタグ60に記録された情報を読み出すためのコマンドを一定周期で発振回路52に出力する。ICタグ60がアンテナ40の交信領域AR内に存在している場合、アンテナ40とICタグ60のアンテナ61との間に生じる電磁誘導作用により、ICタグ60の制御回路62が不揮発性のメモリ63内の情報を読み出す。ICタグ60の制御回路62は、この情報を変調してアンテナ61に出力する。またICタグ60のアンテナ61と、洗濯乾燥装置1側のアンテナ40との間の電磁誘導作用により、ICタグ60から送信された信号が受信回路53において受信されると、この受信された信号が復調回路54において復調され、制御回路51に出力される。制御回路51は、復調された情報を洗濯乾燥装置1全体を制御する制御部20に出力する。またICタグ60の制御回路62は、アンテナ61を介して受信した信号を復調し、この復調した信号を受信データとしてメモリ63に格納する。
【0028】
図8に示すように、ICタグ60のメモリ63には、このICタグ60に固有の識別情報とこのICタグ60が取り付けられている衣類の洗濯に関する情報とが書き込まれている。衣類に関する情報は、衣類の種別(例えばTシャツ等)、衣類の素材(例えば綿100%等)、衣類の色(例えば黄色等)、衣類の色落ちの有無、衣類の重量、洗濯装置による洗濯の可否、液剤(例えば水、石油系溶剤等)、液温、液量、洗剤(無し、弱アルカリ性、中性洗剤等)、漂白剤の使用の可否(不可、塩素系漂白剤の使用可、酵素系漂白剤の使用可等)、柔軟剤の使用の可否、洗濯槽の回転数(強、弱等)、すすぎ時間、すすぎ回数、脱水力、脱水時間、乾燥装置の使用の可否(不可、日陰干し等)、乾燥温度、乾燥時間等である。
【0029】
またICタグ60のメモリ63には、過去の洗濯回数、最終洗濯日等が洗濯履歴情報として書き込まれるようにもなされている。この洗濯履歴情報のICタグ60への書き込みは、洗濯終了時にこのICタグ60が取り付けられている衣類を洗濯槽15から投入口5を介して取り出す際に実行されるようになされている。この書き込み処理については後述する。
【0030】
このように衣類に関する種々の情報が書き込まれているICタグ60が取り付けられた衣類を、洗濯乾燥装置1に対してその投入口5を介して投入する際において、洗濯乾燥装置1の制御部20は、各衣類のICタグ60から衣類に関する情報を読み出し、この情報に基づいて洗濯乾燥動作を制御するようになされている。
【0031】
この洗濯乾燥動作の制御において、洗濯乾燥装置1の制御部20は、洗濯乾燥装置1の電源が投入されると、図9に示す洗濯乾燥処理に係る処理手順に入り、ステップS11において、表示部27に洗濯モードを指定するための選択画面及び選択操作を促すメッセージを表示する。この選択画面には、例えば「ウール」、「綿100パーセント」、「麻」等の衣類の素材を選択指定する項目等があり、ユーザはこれらの項目の中から操作部26の操作により洗濯しようとする衣類の素材の種別を選択することができる。なおこの実施の形態の洗濯乾燥装置1においては、素材の選択以外に例えば水量を節約する「節約コース」、洗濯時間を長くする「念入りコース」等、ユーザ自身の好みに応じて洗濯乾燥モードを選択できるようにもなされているが、この処理手順では素材の選択についてのみ説明する。
【0032】
制御部20は、ステップS12において衣類の素材の種別が選択されたか否かを判断し、選択されていない場合にはステップS12からステップS11に戻って選択画面を引き続き表示する。これに対してユーザが衣類の素材の選択を行った場合には、制御部20はステップS12からステップS13に移り、表示部27に衣類の投入を促すメッセージを表示する。
【0033】
そして制御部20は、続くステップS14に移って、RFIDリーダライタ50を制御することにより、アンテナ40を介して一定周期でコマンドを送信する。これにより投入口5においてICタグ60が通過した場合には、RFIDリーダライタ50においてそのICタグ60からアンテナ40を介して応答信号を受信することができる状態となる。
【0034】
この状態において制御部20は、ステップS15に移って、ICタグ60からの応答があるか否かを判断する。このステップS15において否定結果が得られると、このことは、投入口5に衣類が投入されていないことを意味しており、制御部20は、ステップS15から上述のステップS14に戻って、引き続き一定周期でコマンドを送信する。これに対してステップS15において肯定結果が得られると、このことは、投入口5に衣類が投入されたことを意味しており、制御部20は、ステップS15からステップS16に移って、受信した情報が既にRAM23のテーブルに登録されているか否かを判断する。
【0035】
すなわち図10に示すように、制御部20は、衣類が投入口5を介して投入される毎にその衣類に取り付けられているICタグ60から読み取った識別情報及び洗濯に関する情報をRAM23のテーブルに登録するようになされている。従って読み取った識別情報がテーブルに未登録である場合には、そのICタグ60が取り付けられた衣類が投入口5に投入されたことを意味しており、これに対して読み取った識別情報がテーブルに既に登録されている場合には、そのICタグ60が取り付けられた衣類が投入口5を介して取り出されたことを意味している。
【0036】
従ってステップS16において否定結果が得られると、このことは、衣類が投入口5に投入されたことを意味しており、このとき制御部20は、ステップS16からステップS17に移って、受信した識別情報及び衣類に関する情報をテーブルに登録する。そして制御部20は、ステップS18に移って、上述のステップS17において登録した洗濯に関する情報に基づいて、その投入された衣類が上述のステップS12において選択された素材に一致するか否かの判断により洗濯乾燥し得るものであるか否かを判断する。このステップS18において肯定結果が得られると、このことは、投入された衣類が選択された素材と一致していること、すなわち上述のステップS12において選択された素材に係る洗濯乾燥モードはその衣類の洗濯乾燥に適合していることを意味しており、制御部20はステップS18からステップS19に移って、洗濯可能である旨を表示部27に表示した後、ステップS21に移る。
【0037】
これに対してステップS18において否定結果が得られると、このことは、投入された衣類が選択された素材と一致していないこと、すなわち上述のステップS12において選択された素材に係る洗濯乾燥モードはその衣類に推奨される洗濯乾燥に適合していないことを意味しており、制御部20はステップS18からステップS20に移って、選択された素材と異なる衣類である旨を表示部27に警告表示した後、ステップS21に移る。
【0038】
これにより、制御部20は、投入口5を介して投入された衣類がステップS12において選択された素材によるものと一致するか否かの判定結果を表示部27に表示することにより、ユーザに対して洗濯乾燥の可否を通知することができる。なおステップS20における警告表示において、制御部20は、受信した衣類に関する情報に含まれている衣類の種別を表す情報、衣類の色を表す情報等に基づいて、誤って投入された衣類の外見上の特徴(例えば、黄色いTシャツ)を表示部27に表示する。これにより複数の衣類が投入された場合においても、ユーザは投入された衣類の中から誤って投入された衣類を容易に見つけ出すことができる。またこの警告表示は、誤った衣類が取り出されるまで表示部27に表示されるようになされている。これにより複数の誤った衣類が投入されている状態においては、表示部27にこれら複数の衣類の特徴が一覧表示されることになる。
【0039】
また上述のステップS16において肯定結果が得られた場合、このことは、投入口5を通過したICタグ60(すなわち衣類)が投入口5を介して取り出されたことを意味しており、制御部20は、ステップS16からステップS22に移って、受信した識別情報に基づいて、その衣類が取り出し対象であるか否かを判断する。すなわち制御部20は、受信した識別情報が上述のステップS20において警告表示された衣類と一致するか否かを判断し、一致する場合には、その衣類が取り出し対象であると判断してステップS22において肯定結果を得る。この場合、制御部20は、ステップS22からステップS23に移って、取り出し対象である旨を表示部27に表示した後、ステップS21に移る。これに対して受信した識別情報が上述のステップS20において警告表示された衣類の識別情報と一致しない場合には、その衣類が取り出し対象でないと判断してステップS22において否定結果を得る。この場合、制御部20は、ステップS22からステップS24に移って、取り出し対象でない旨を表示部27に表示した後、ステップS21に移る。
【0040】
これにより、制御部20は、投入口5を介して取り出された衣類がステップS20において警告表示された衣類であるか否かの判断結果を表示部27に表示することにより、ユーザに対してその衣類が取り出し対象であるか否かを通知することができる。なお取り出した衣類が警告表示された衣類ではない場合にはユーザはその取り出した衣類を再度投入口5を介して洗濯槽15の内部(すなわち洗濯ドラム16の内部)に投入することになるが、この場合、再投入された衣類が投入口5を通過した際にその衣類のICタグ60から読み出された識別情報及び衣類に関する情報は、既にRAM23のテーブルに登録されていることにより、テーブルへの新たな登録はなされない。
【0041】
このようにして洗濯槽15への衣類の投入及び投入された衣類の選別が行われた後、制御部20は、ステップS21において、衣類の投入が完了したか否かを判断する。すなわち洗濯乾燥装置1においては、操作部26として衣類の投入が完了したことを通知するための操作子が設けられており、ユーザは洗濯しようとする衣類をすべて投入し終えると、この操作子を操作することにより、投入の完了を制御部20に対して通知するようになされている。従ってステップS21において否定結果が得られると、このことは投入完了の操作子が未だ操作されていないことを意味しており、制御部20は、ステップS21から上述のステップS14に戻ってさらに衣類が投入されるのを待ち受ける。これに対してステップS21において肯定結果が得られると、このことは投入完了の操作子が操作されたことを意味しており、制御部20は、ステップS21からステップS25に移って、上述のステップS12において選択された素材に対応した選択乾燥モードで洗濯乾燥を実行する。
【0042】
かくして図9に示した処理手順を実行する洗濯乾燥装置1においては、洗濯しようとする衣類の素材が指定された後、衣類が投入口5を介して洗濯槽15の洗濯ドラム16に投入された際にその衣類が指定された素材のものであるか否かを表示することにより、ユーザは選択した素材と異なる素材の衣類が混ざって投入されたか否かを認識することができ、選択した素材と異なる素材の衣類が混ざって投入されている場合には、洗濯槽15の洗濯ドラム16に誤って投入された衣類を取り出すことができる。
【0043】
ここでステップS25における洗濯乾燥処理について説明する。洗濯乾燥装置1の制御部20は、衣類の素材毎に対応した洗濯乾燥処理プログラムを予めROM22に格納しており、上述のステップS12において選択された素材に対応するプログラムを実行するようになされている。
【0044】
すなわち図11に示すように、制御部20は、ステップS31において洗濯開始の指示があったか否かを判断する。ここで否定結果が得られると、このことは操作部26の洗濯開始操作子が操作されていないことを意味しており、制御部20はこの操作入力を待ち受ける。これに対してステップS31において肯定結果が得られると、このことは洗濯開始操作子が操作されたことを意味しており、制御部20は、ステップS32に移って、上述のステップS12(図9)において選択された素材に応じた洗濯乾燥モードをROM22から読み出してこのモードによる動作を決定する。
【0045】
そして制御部20は、このとき洗濯槽15の洗濯ドラム16に投入されている衣類の総重量がこの洗濯ドラム16の推奨重量を超えているか否かを判断しこの判断結果に基づいて洗濯可能であるか否かを判断する。すなわち衣類が投入口5を介して投入された際にこの衣類のICタグ60から読み出される洗濯に関する情報には、その衣類の重量を示す情報が含まれており、制御部20は、洗濯物が投入される毎にその重量を加算してRAM23に格納するようになされている。また一旦投入された洗濯物が投入口5を介して取り出された際には、その投入口5の通過の際にICタグ60から読み出された重量を表す情報に基づいて、RAM23内の加算結果を減算するようになされている。これにより洗濯が開始される時点での洗濯槽15の内部に入れられている洗濯物の総重量は、RAM23に格納されていることになり、制御部20はこの総重量を読み出すと共に、この総重量がROM22に予め格納されている推奨重量を超えているか否かを判断することができる。
【0046】
このようにして洗濯物の総重量が推奨重量を超えていない場合には、洗濯が可能であることになり、この場合制御部20は、ステップS33において肯定結果を得ることにより、ステップS33からステップS34に移って、上述のステップS32において設定された洗濯乾燥モードに基づいて、洗濯乾燥装置1のモータ18、給水機構31、排水機構32、ヒータ33及び温風ヒータ35をそれぞれ制御することにより、洗濯乾燥処理を実行する。
【0047】
これに対して上述のステップS33において否定結果が得られると、このことは、洗濯ドラム16に入れられている洗濯物の総重量が推奨重量を超えていることを意味しており、制御部20は、ステップS33からステップS35に移って、洗濯物の重量が推奨重量を超えている旨を警告表示する。この場合、操作部26の継続操作子が操作された場合には、洗濯乾燥モードが続行されるようになされており、制御部20はステップS36に移って、この継続操作子が操作されたか否かを判断する。
【0048】
このステップS36において肯定結果が得られると、このことは継続操作子が操作されたことを意味しており、制御部20は、上述のステップS34に移って洗濯乾燥処理を開始する。これに対してステップS36において否定結果が得られた場合、制御部20は選択乾燥処理を中止する。
【0049】
このようにして制御部20は、選択された素材に応じた運転内容により洗濯乾燥処理を実行することができる。
【0050】
また洗濯乾燥装置1においては、洗濯が完了した衣類のICタグ60に対して、洗濯が行われた日付等の履歴情報を書き込むようになされている。すなわち図12に示すように、洗濯乾燥装置1の制御部20は、洗濯乾燥処理が終了すると、ステップS41において、RFIDリーダライタ50を制御することにより、アンテナ40を介して一定周期でコマンドを送信する。これにより投入口5においてICタグ60が通過した場合には、RFIDリーダライタ50においてそのICタグ60からアンテナ40を介して応答信号を受信することができる状態となる。
【0051】
この状態において制御部20は、ステップS42に移って、ICタグ60からの応答があるか否かを判断する。このステップS42において否定結果が得られると、このことは、投入口5を衣類が通過していないことを意味しており、制御部20は、ステップS42から上述のステップS41に戻って、引き続き一定周期でコマンドを送信する。これに対してステップS42において肯定結果が得られると、このことは、投入口5を衣類が通過したことを意味しており、制御部20は、ステップS42からステップS43に移って、通過した衣類が洗濯済みの衣類であるか否かをICタグ60から読み出した識別情報とRAM23のテーブルに登録されている識別情報とに基づいて判断する。すなわち通過した衣類のICタグ60から読み出した識別情報が、RAM23のテーブルに登録されている識別情報と一致する場合には、洗濯済みであると判断することができる。
【0052】
このステップS43において否定結果が得られると、このことは洗濯済みでない衣類が投入口5を通過したことを意味しており、このとき制御部20は上述のステップS41に戻って引き続きコマンドを送信して新たにICタグ60が通過するのを待ち受ける。これに対してステップS43において肯定結果が得られると、このことは、洗濯済みの衣類が投入口5を介して取り出されたことを意味しており、このとき制御部20は、ステップS43からステップS44に移って、アンテナ40を介して書き込み情報である洗濯履歴情報を送信することにより、このとき投入口5を介して取り出される衣類のICタグ60に対して洗濯履歴情報を書き込む。この洗濯履歴情報の書き込み処理において、制御部20は、ICタグ60に書き込まれている過去の選択回数を表す情報を一旦読み出して、洗濯回数をインクリメントした後、ICタグ60に送信することにより、この選択回数を更新する。また制御部20は、内部に設けられたカレンダ機能により現在日をICタグ60に送信することにより、ICタグ60の最終洗濯日を表す情報を更新する。
【0053】
このようにして洗濯履歴情報をICタグ60に書き込んだ後、制御部60は、ステップS45に移って、洗濯槽15内にあるすべてのICタグ60に対して、洗濯履歴情報を書き込んだか否かを判断する。すなわち洗濯槽15の内部にある衣類の識別情報はRAM23のテーブルに登録されていることにより、衣類が投入口5を介して取り出される毎にそのテーブルの識別情報と洗濯履歴情報を書き込んだICタグ60とを比較しながら、テーブルに登録されているすべてのICタグ60に対して洗濯履歴情報が書き込まれたか否かを判断することができる。
【0054】
ステップS45において否定結果が得られると、このことはすべてのICタグ60に対して洗濯履歴情報が書き込まれていないことを意味しており、制御部20は、上述のステップS41に戻って、引き続きコマンドを送信して新たなICタグ60が投入口5を通過するのを待ち受ける。これに対してステップS45において肯定結果が得られると、このことは、すべての洗濯済みの衣類のICタグ60に対して洗濯履歴情報が書き込まれたこと、すなわち洗濯槽15の洗濯済みの衣類がすべて取り出されたことを意味しており、制御部20はこの処理手順を終了する。
【0055】
このように洗濯済みの衣類に取り付けられたICタグ60に対して洗濯履歴情報を書き込むことにより、そのICタグ60の洗濯履歴情報を読み取るだけで過去の洗濯履歴を容易に把握することができる。
【0056】
次に、以上の構成を有する洗濯乾燥装置1の動作を説明する。洗濯乾燥装置1に対して衣類を投入口5を介して投入すると、この投入口5の周囲を取り囲む位置に配置されたループ状のアンテナ40の交信領域ARをICタグ60が通過することにより、RFIDリーダライタ50によってこのICタグ60との間において情報が送受信される。
【0057】
これにより投入された衣類の種別、素材、色等の洗濯に関する情報が制御部20によって判別される。ユーザは、衣類を投入する前に洗濯乾燥モードを設定することにより、制御部20においては、設定された洗濯乾燥モードに適合した衣類が投入されたか否かを判断することができる。
【0058】
投入された衣類の中に、そのとき設定されている洗濯乾燥モードに適合していないものがある場合、制御部20によりその洗濯物の種別、色等、外見上判別し得る情報が表示部27に表示される。これによりユーザは適合していない衣類を外見上容易に判断することができ、この情報に基づいて該当する衣類を洗濯槽15の中から探して取り出すことができる。この取り出し時において、ユーザが該当すると思われる衣類を投入口5を介して洗濯槽15の中から取り出すと、その衣類に取り付けられているICタグ60からその衣類の識別情報が読み出され、この識別情報に基づいてその衣類がこのとき設定されている洗濯乾燥モードに適合していないと判断された衣類であるか否かが判断される。そして取り出された衣類が適合していない衣類であると判断されると、その旨が表示部27に表示されることにより、ユーザは取り出した衣類が警告表示された衣類であると判断することができる。これに対して取り出された衣類が適合している衣類であると判断されると、その旨が表示部27に表示されることにより、ユーザは取り出した衣類が警告表示された衣類ではないと判断することができる。
【0059】
このように設定された洗濯乾燥モードに適合しない衣類等を取り出すことができることにより、例えばその衣類に適合しない洗濯乾燥モードにより洗濯乾燥された場合等における洗い直しの手間を回避することができると共に、例えば洗濯に弱い素材の衣類等を誤って洗濯することによる衣類等の劣化を防止することができる。
【0060】
以上説明した第1の実施の形態による洗濯乾燥装置1によれば、投入口5の全体をループ状のアンテナ40による交信領域ARとしたことにより、投入口5を通過するICタグ60から識別情報及び衣類に関する情報を確実に読み出すことができ、この結果、洗濯乾燥を行う場合に洗濯槽15に投入された衣類を確実に判別することができる。また設定された洗濯乾燥モードに適合した衣類の判別、又は投入された衣類に応じた洗濯乾燥モードを実行することができる。かくして衣類の洗い直し等の手間を回避することができ、効率良く洗濯物を洗濯することができる。
【0061】
(第2の実施の形態)
図13に示す本発明の第2の実施の形態に係る洗濯乾燥装置100は、図1について上述した第1の実施の形態における洗濯乾燥装置1と比較して、投入口5を通過するICタグ60との間で情報を送受信する構成に代えて、洗濯槽15の内部に入れられている衣類のICタグ60との間で情報を送受信する構成が設けられている点のみが異なる。従って図13においては、図1との対応部分に同一符号を付し、ここではその重複した説明を省略する。
【0062】
すなわち、図13に示すように、第2の実施の形態の洗濯乾燥装置100においては、洗濯槽15の内部にコイル状に巻回されてなるいわゆるパッチアンテナと呼ばれるアンテナ140A、140Bが複数箇所に設けられている。このアンテナ140A、140Bは、ICタグ60との間において13.56MHzの通信周波数で情報を送受信するようになされている。
【0063】
また洗濯槽15の内部に設けられた洗濯ドラム116は、合成樹脂等、電波を透過させることができる材質の部材により構成されており、これによりアンテナ140A、140Bの交信領域が洗濯ドラム116の内部にも形成されるようになされている。
【0064】
複数のアンテナ140A、140Bは、それぞれ一定の指向性を有しており、これらの指向性による交信領域が洗濯ドラム116の内部全体に亘って設定されるように各アンテナ140A、140Bが配置されている。これにより1つのアンテナ140A、140Bでは洗濯ドラム116の内部全体を交信領域には設定し得ない場合であっても、複数のアンテナ140A、140Bにより洗濯ドラム116の内部全体を交信領域とすることができる。
【0065】
従ってアンテナ140A、140Bに接続されたRFIDリーダライタ50は、アンテナ140A140Bを介して洗濯ドラム116の内部に投入されている衣類のICタグ60との間において情報を送受信することができる。
【0066】
このように洗濯槽15の内部にあるICタグ60との間において情報を送受信し得る洗濯乾燥装置100においては、洗濯槽15の内部(すなわち洗濯ドラム116の内部)に投入されたすべての衣類のICタグ60について、その識別情報及び洗濯に関する情報を読み取ることができることにより、洗濯ドラム116の内部のICタグ60を監視しながら、それらの洗濯に関する情報に基づいて、洗濯乾燥モードを設定することができ、また予め洗濯乾燥モードが設定されている場合には、設定された洗濯乾燥モードに適合しない衣類が混在しているか否かを判断することができる。
【0067】
この場合、洗濯槽15の内部に設けられた複数のアンテナ140A、140Bにより洗濯ドラム116の内部に投入されている衣類のICタグ60との間において情報の送受信を行うようになされている。
【0068】
すなわち図14に示すように、制御部20は、ステップS51において運転が停止されているか否かを判断し、停止されている場合にはステップS51からステップS52に移って、RFIDリーダライタ50を制御することにより、複数のアンテナ140A、140Bを介してそれぞれ一定周期でコマンドを送信する。これにより洗濯ドラム116に衣類が投入されている場合には、RFIDリーダライタ50においてその衣類のICタグ60からアンテナ140A、140Bを介して応答信号を受信することができる状態となる。
【0069】
この状態において制御部20は、ステップS53に移って、ICタグ60からの応答があるか否かを判断する。このステップS53において否定結果が得られると、このことは、洗濯ドラム116に衣類が投入されていないことを意味しており、制御部20は、ステップS53から上述のステップS52に戻って、引き続き一定周期でコマンドを送信する。これに対してステップS53において肯定結果が得られると、このことは、洗濯ドラム116に衣類が投入されていることを意味しており、制御部20は、ステップS53からステップS54に移って、受信した情報をRAM23に蓄積する。
【0070】
なお、この洗濯乾燥装置100においては、洗濯ドラム116に投入された衣類のICタグ60から情報を洗濯槽15の内部の複数のアンテナ140A、140Bによって受信するようになされていることにより、複数のアンテナ140A、140Bのうち、いずれかのアンテナ140A、140Bにより情報を受信する場合と、複数のアンテナ140A、140Bにより同じICタグ60からの情報を受信する場合がある。また洗濯ドラム116の内部に留まっている衣類のICタグ60から情報を受信することにより、同じICタグ60からの情報を繰り返し受信する場合もある。従って制御部20は、受信した情報を比較することにより、同じICタグ60からの情報を重複して受信した場合には、それらの受信情報の1つをそのICタグ60からの受信情報として確定するようになされている。
【0071】
すなわちステップS55において、制御部20は、一定時間が経過したか否かを判断し、一定時間が経過していない場合には否定結果を得て上述のステップS52に戻って引き続きコマンドを送信する。これに対して一定時間が経過した場合には、制御部20は、ステップS55において肯定結果を得ることにより、ステップS55からステップS56に移って、この一定期間に蓄積された受信情報に含まれる識別情報に基づいて、同一のICタグ60から受信した情報同士を比較する。そして制御部20は、続くステップS57において比較結果が一致するか否かを判断する。
【0072】
このステップS57において肯定結果が得られると、このことは、同一のICタグ60から複数回受信した情報が一致することを意味しており、この場合制御部20は、ステップS57からステップS58に移って、これらの受信情報のいずれかを確定する。これに対してステップS57において否定結果が得られると、このことは、同一のICタグ60から複数回受信した受信情報の中に受信誤り等を原因とする誤った情報が混在していることを意味しており、この場合制御部20は、ステップS57からステップS59に移って、同一のICタグ60から複数回受信した情報のうち、同じ内容の受信情報をそのICタグ60からの受信情報として確定する。例えば同じICタグ60から1つ又は2つのアンテナ140により4回情報が受信された場合、これら4つの受信情報のうち3つの受信情報が一致する場合には、その一致する受信情報を確定する。
【0073】
かくして洗濯ドラム116の内部に留まっている衣類のICタグ60から複数のアンテナ140を用いて情報を受信する場合において、重複した受信情報の1つを確定することができる。
【0074】
これにより制御部20は、図10について上述した場合と同様にして、洗濯ドラム116内に投入されている衣類の情報をRAM23に登録することができる。制御部20は、これらの衣類の情報に基づいて、最適な洗濯乾燥モードを設定することができ、また例えば予めユーザにより洗濯乾燥モードが設定されている場合には、その洗濯乾燥モードに適合しない衣類が混在している旨を表示部27に警告表示することができる。
【0075】
なお同一のICタグ60から複数受信された情報を重複して登録することを防止する方法としては、例えば受信した情報が既にテーブル上に登録しているか否かを識別情報に基づいて判断し、既に登録されている場合には登録をしない等、種々の方法を適用することができる。
【0076】
また制御部20は、洗濯乾燥処理が完了した場合には、洗濯ドラム116内の各衣類のICタグ60に対して、洗濯履歴情報を書き込むようになされている。この書き込み処理においても、複数のアンテナ140A、140Bが設けられていること、及び衣類が洗濯ドラム116内に留まっていることにより、同じICタグ60に対して重複して洗濯履歴情報を書き込むことを回避するようになされている。
【0077】
すなわち図15に示すように、制御部20は、洗濯乾燥装置100の洗濯乾燥処理に係る運転が終了すると、ステップS61からステップS62に移って、RFIDリーダライタ50を制御することにより、複数のアンテナ140A、140Bを介してそれぞれ一定周期でコマンドを送信する。これにより洗濯ドラム116に衣類が投入されている場合には、RFIDリーダライタ50においてその衣類のICタグ60からアンテナ140A、140Bを介して応答信号を受信することができる状態となる。
【0078】
この状態において制御部20は、ステップS63に移って、ICタグ60からの応答があるか否かを判断し、応答がある場合にはステップS64に移る。ステップS64において、制御部20は、応答があったICタグ60から識別情報を読み出して、そのICタグ60が書き込み対象であるか否かを判断する。すなわち制御部20は、洗濯ドラム116に衣類が投入された際において、図10について上述したように洗濯ドラム116内のすべての衣類の情報をRAM23のテーブルに登録している。従ってこのテーブルに登録されているICタグ60を書き込む対象として判別するようになされている。
【0079】
制御部20は、応答があったICタグ60が書き込み対象であると判断すると、ステップS64において肯定結果を得ることにより、ステップS65に移って、応答があったICタグ60に対して洗濯履歴情報を書き込む。そして制御部20は、ステップS66に移って、ステップS65において洗濯履歴情報を書き込んだICタグ60を書き込み対象から除外する。この除外する方法としては、例えばRAM23のテーブルに登録されているICタグ60の情報に書き込み済みのフラグを立てる等の方法、又はテーブルからそのICタグ60の情報を削除する方法等を用いることができる。
【0080】
そして制御部20は、ステップS67に移って、運転終了後一定の時間が経過したか否かを判断し、経過していない場合には上述のステップS62に戻って書き込み処理を続行し、これに対して一定時間が経過している場合には、この書き込み処理を終了する。
【0081】
かくして制御部20は、洗濯ドラム116内の洗濯済みの衣類のICタグ60に対して、洗濯履歴情報を書き込むことができる。
【0082】
このように第2の実施の形態の洗濯乾燥装置100によれば、洗濯槽15の内部に交信領域が設定されるように複数のアンテナ140A、140Bを配置したことにより、洗濯槽15に投入された衣類を判別することができ、この衣類に応じた洗濯乾燥モードの設定、又は予め設定された洗濯乾燥モードに適合した衣類の判別を確実に行なうことができる。
【0083】
(第3の実施の形態)
図16に示す本発明の第3の実施の形態に係る洗濯乾燥装置200は、図1について上述した第1の実施の形態における洗濯乾燥装置1と比較して、ループ状のアンテナ40を投入口5の周囲に配置する構成に代えて、図17に示すように、扉部6の一部にループ状のアンテナ40を配置する構成となっている点のみが異なる。従って図16においては、図1との対応部分に同一符号を付し、ここではその重複した説明を省略する。
【0084】
図16に示すように、第3の実施の形態の洗濯乾燥装置200においては、扉部6の裏面側の周縁部に沿ってループ状のアンテナ40が配置されている。この実施の形態においては、扉部6の周縁部が金属部材により構成されており、この場合にはこの金属部材の表面に樹脂材料層を介在させてアンテナ40を設けることにより、アンテナ40が金属材料と近接することを防止して交信領域を良好に形成し得るようになされている。なお扉部6が樹脂材料等、電波を透過し得る材質により構成されている場合には、アンテナ40を扉部6に直接設けることもできる。このアンテナ40は、蝶番12を介して引き回された導線によりRFIDリーダライタ50と接続されている。
【0085】
また、図17に示すように、扉部6を閉じた際にはアンテナ40が前面部4の投入口5の周縁部に当接するようになされている。
【0086】
図16に示すように、裏面側にアンテナ40を配置した扉部6を前面部4に対して略直角に開いた状態においては、アンテナ40による交信領域が衣類等の投入口5を覆うことになり、この状態においてICタグ60が取り付けられた衣類等を投入口5に投入すると、アンテナ40による交信領域をICタグ60が通過する。これによりRFIDリーダライタ50は、ICタグ60との間において情報を送受信することができる。
【0087】
従って、扉部6を開けてICタグ60が取り付けられた衣類等を投入口5から投入する際に、ICタグ60から衣類に関する情報を読み取ることができると共に、扉部6を閉じた際に洗濯槽15の内部の衣類等に取り付けられたICタグ60から情報を読み取ることができる。従って洗濯物の投入時には、図9について上述した処理手順により、投入された衣類の情報を読み取ってそのとき設定されている洗濯乾燥モードに適合しない衣類を判別して表示部27に警告表示することができる。
【0088】
また、図17に示すように、扉部6を閉じた際にアンテナ40が前面部4の投入口5の周縁部に当接するが、この実施の形態の洗濯乾燥装置200においては、前面部4のうち少なくとも投入口5の周縁部は電波を透過し得る樹脂材料により構成されており、扉部6を閉じた場合においても、アンテナ40が金属部材に近接することを防止するようになされている。これにより扉部6を閉じた際には、アンテナ40による交信領域が投入口5を介して洗濯槽15の内部に設定され、洗濯槽15の内部に投入された衣類を扉部6を閉じた状態で判別することもできる。
【0089】
従って洗濯槽15の内部の衣類のICタグ60との間において情報を送受信することにより、例えば投入時に読み取りエラーが発生した場合においても、投入された衣類に関する情報を洗濯槽15の内部において読み取ることができる。これにより投入された衣類の情報を確実に読み取ることができ、例えば運転途中において洗濯乾燥モードに適合しない衣類が検知された場合には、一旦運転を中止して表示部27に警告表示することができる。
【0090】
(その他の実施の形態)
上述の第1の実施の形態においては、投入口5のゴムパッキン10の外周にループ状のアンテナ40を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばゴムパッキン10の外周に対して間隙を保った位置に巻回したアンテナを用いるようにしてもよく、投入口5の周囲に沿ってアンテナ40を配置するようにすればよい。
【0091】
また例えば図18に示すように、投入口5の扉部6を受ける部分にアンテナ40を配置するようにしてもよい。この場合、扉部6を受ける部分を樹脂等の電波を透過させる材質の部材120により構成することにより、アンテナ40が金属の近傍に配置されることを回避して、一段と良好な通信感度の交信領域を設定することができる。
【0092】
また図19に示すように、ループ状のアンテナ40に代えて、投入口5のゴムパッキン10にダイポールアンテナ240A、240Bを設け、それぞれに対応して設けられたRFIDリーダライタ50A、50Bにより例えば2.45GHz程度のマイクロ波によってICタグ60との間において通信を行なうようにしてもよい。このようにマイクロ波で通信を行なう場合は、通信距離が大きくなることにより、少ないアンテナ数で投入口5を交信領域に設定することができる。なおこの場合、1つのダイポールアンテナにより投入口5を交信領域に設定することもできる。またこの場合、ダイポールアンテナ240A、240Bに限らず、いわゆるパッチアンテナと呼ばれる平面アンテナを広く適用することができる。
【0093】
また図20に示すように、比較的小さなアンテナ340を投入口5のゴムパッキン10に複数配置してそれぞれのアンテナ340を介してRFIDリーダライタにより情報を送受信するようにしてもよい。このようにすれば、個々のアンテナ340の交信領域が狭い場合であっても、これらのアンテナ340によるアンテナ群により投入口5全体を交信領域に設定してこの投入口5を通過する衣類のICタグ60との間で情報を確実に送受信することができる。
【0094】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、本発明を洗濯乾燥装置1、100、200に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、乾燥機能のみを有する乾燥装置に適用することもできる。この場合、衣類のICタグ60から読み出された衣類に関する情報(図8)のうち、乾燥処理に関する情報を用いて乾燥装置の運転を制御するようにすればよい。
【0095】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、本発明を洗濯乾燥装置1、100、200に適用する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、洗濯機能のみを有する洗濯装置に適用することもできる。この場合、洗濯ドラム16、116を持たない洗濯装置においても本発明を適用することができる。
【0096】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、衣類を洗濯乾燥する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばシーツ等の寝具類等、種々のものを洗濯乾燥させる場合に適用することができる。
【0097】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、洗濯乾燥装置1、100、200に制御部20を設ける場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば複数の洗濯乾燥装置を1つの制御部20により制御するようにしてもよい。
【0098】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、予め設定された洗濯乾燥モードに適合しない衣類が混在している場合に警告表示する場合について述べたが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば洗濯時間が長い衣類と洗濯時間が短い衣類とを混在させて洗濯を開始すると共にこれらの衣類に関する情報をそれぞれの衣類に取り付けられたICタグ60から読み出してテーブルに登録しておき、洗濯時間が短い衣類の推奨洗濯時間が経過した時点で一旦洗濯を中止し、洗濯時間が短い衣類を特定し得るようにICタグ60から読み取った情報に基づいて表示するようにしてもよい。例えば「黄色いTシャツを取り出して下さい」のような表示を行なうことにより特定の衣類を取り出すように促すことができる。
【0099】
また上述の第1〜第3の実施の形態においては、周縁形状が円形である投入口を有する洗濯乾燥装置1、100、200に本発明を適用したが、例えば周縁形状が四角形である投入口を有する洗濯乾燥装置においても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る洗濯乾燥装置を示す断面図である。
【図2】図1の洗濯乾燥装置を示す斜視図である。
【図3】図1の洗濯乾燥装置の正面図である。
【図4】図1の洗濯乾燥装置の正面図である。
【図5】図1の洗濯乾燥装置に設けられた制御部を示すブロック図である。
【図6】図1の洗濯乾燥装置のアンテナの交信領域を示す略線図である。
【図7】図1の洗濯乾燥装置及びICタグを示すブロック図である。
【図8】ICタグに書き込まれている情報を示す図表である。
【図9】図1の洗濯乾燥装置の洗濯乾燥処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図1の洗濯乾燥装置の制御部によって作成されたテーブルを示す図表である。
【図11】図1の洗濯乾燥装置1の洗濯制御の処理手順を示すフローチャートである。
【図12】図1の洗濯乾燥装置における書き込み処理手順を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態に係る洗濯乾燥装置を示す断面図である。
【図14】図13の洗濯乾燥装置における情報受信処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図13の洗濯乾燥装置における書き込み処理手順を示すフローチャートである。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係る洗濯乾燥装置を示す斜視図である。
【図17】図16の洗濯乾燥装置の断面図である。
【図18】本発明の他の実施の形態を示す斜視図である。
【図19】本発明の他の実施の形態を示す略線図である。
【図20】本発明の他の実施の形態を示す略線図である。
【符号の説明】
【0101】
1、100、200…洗濯乾燥装置、3…筐体、4…前面部、5…投入口、6…扉部、10…ゴムパッキン、15…洗濯槽、16…洗濯ドラム、20…制御部、23…RAM、26…操作部、27…表示部、40…アンテナ、50…RFIDリーダライタ、51…制御回路、60…ICタグ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する洗濯槽と、
前記投入口の周囲に沿って配置され、前記無線情報タグの情報を受信するアンテナと、
を備えることを特徴とする洗濯装置。
【請求項2】
前記アンテナにおいて受信された情報を読み取る情報読み取り部と、
前記読み取られた情報に基づいて洗濯処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載の洗濯装置。
【請求項3】
前記アンテナは、前記投入口の周囲に沿って巻回されたループアンテナである
ことを特徴とする請求項1記載の洗濯装置。
【請求項4】
前記アンテナは、前記投入口の周囲に配置されたダイポールアンテナである
ことを特徴とする請求項1記載の洗濯装置。
【請求項5】
前記アンテナは、前記投入口の周囲に配置された複数のアンテナ群である
ことを特徴とする請求項1記載の洗濯装置。
【請求項6】
洗濯槽と、
前記洗濯槽の内部に交信領域が設定されたアンテナと、
を備えることを特徴とする洗濯装置。
【請求項7】
前記アンテナを介して受信された情報に基づいて、前記洗濯槽の内部に投入される洗濯物に取り付けられた無線情報タグの情報を読み取る情報読み取り部と、
前記読み取られた情報に基づいて洗濯処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項5記載の洗濯装置。
【請求項8】
無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する洗濯槽と、
前記投入口を開閉する扉部と、
前記扉部の一部に配置され、前記無線情報タグの情報を受信するアンテナと、
を備えることを特徴とする洗濯装置。
【請求項9】
前記アンテナにおいて受信された情報を読み取る情報読み取り部と、
前記読み取られた情報に基づいて洗濯処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項8記載の洗濯装置。
【請求項10】
無線情報タグを取り付けた洗濯物の投入口を有する乾燥室と、
前記投入口の周囲に沿って配置されたアンテナと、
を備えることを特徴とする乾燥装置。
【請求項11】
前記アンテナにおいて受信された情報を読み取る情報読み取り部と、
前記読み取られた情報に基づいて乾燥処理を実行する制御部と、
を備えることを特徴とする請求項10記載の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2006−75527(P2006−75527A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−265956(P2004−265956)
【出願日】平成16年9月13日(2004.9.13)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【出願人】(301063496)東芝ソリューション株式会社 (1,478)
【Fターム(参考)】