説明

活動量監視システムとその監視処理装置及びプログラム

【課題】被監視者の在宅での活動量をセンタ側において集中して監視しその適否を確認できるようにする。
【解決手段】患者に装着した活動量センサSS1〜SSmにより計測された患者の1日分の歩数値を、通信ネットワークNWを介して活動量処理サーバSVで収集する。そして活動量処理サーバSVが、照合処理ブロック332の制御の下で、上記収集した患者の1日分の歩数値を予め設定された歩数値の基準上限値及び基準下限値と比較して上記歩数値が適正範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲から外れていると判定された場合に警告メッセージを主治医の操作端末へ送信する。また、患者用の操作端末TMn及び医療従事者用の操作端末TM1からの閲覧要求に応じ、活動量処理サーバSVが患者用及び医療従事者用の閲覧画面データを作成して、要求元の操作端末TMn,TM1に送信し表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば医療施設を退院した患者が在宅で生活する際の活動量を監視する活動量監視システムとこのシステムで使用される監視処理装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気等により医療施設に入院していた患者が医療施設を退院した後、在宅で療養しながら健康を回復するには、退院後から段階的に活動量を増やしていく必要がある。その際、無理なく回復するためには、退院後の時間経過に応じて活動量を適切に管理することが望ましい。これは、静養が過剰であれば筋力の低下を招いたり、逆に活動量が過剰であれば疲労が蓄積して返って回復を遅らせる原因になるからである。
そこで従来では、退院後の患者の活動量をセンサを用いて計測する方法が種々提案されており、その一つとして加速度を計測する方法が知られている(例えば、非特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】大平雄一 他、「自宅退院する入院患者における退院前後での身体活動量の比較検討」、理学療法科学 23(2),pp.313−317,2008年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
在宅で療養する患者にとっては、入院時と比べて医療従事者と接する機会が低下するため、専門家からの助言を受ける機会が低下し、その結果患者が自身の回復状況について不安を覚えることが多くなる。ところが、上記非特許文献1に記載された計測方法を含め、従来より提案されている活動量の計測方法では、患者本人が退院後の自身の日々の活動量が適切であるか否かを随時確認することができない。また、医療従事者にとっても、在宅患者が在宅でどのような活動を行っているのかを知りたくても、リアルタイムにモニタリングすることができない。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、被監視者の在宅での活動量をセンタ側において集中して監視しその適否を確認できるようにした活動量監視システムとその監視処理装置及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためにこの発明の一観点は、被監視者に装着される計測ユニットと、この計測ユニットに対し通信ネットワークを介して接続可能な監視処理装置とを具備する活動量監視システムにあって、上記計測ユニットに、上記被監視者の活動量を計測する手段と、上記活動量の計測結果を表す情報を上記通信ネットワークを介して上記監視処理装置へ送信する手段とを備える。また監視処理装置には、予め設定された活動量の適正範囲を示す情報を記憶する手段と、上記計測ユニットから送信された、活動量の計測結果を表す情報を受信し記憶する手段と、上記受信された活動量の計測結果を表す情報と上記記憶された活動量の適正範囲を表す情報とを比較し、上記活動量の計測結果が上記活動量の適正範囲内であるか否かを判定してその判定結果を記憶する手段と、上記判定結果を表す情報を出力する手段とを備えるように構成したものである。
【0007】
したがって、例えば被監視者たる患者が退院後に在宅で療養を続ける場合に、当該患者の活動量が計測ユニットにより計測されてその計測結果が監視処理装置に送られ、監視処理装置において上記計測結果が適正範囲か否かが判定される。このため、患者の在宅における活動量を監視処理装置において集中監視することが可能となる。
【0008】
また、この発明の一観点は以下のような態様を備えることを特徴とする。
第1の態様は、被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置が監視処理装置に対し通信ネットワークを介して接続可能な場合に、上記判定結果を表す情報を出力する手段により、上記活動量の計測結果が上記活動量の適正範囲外と判定された場合に警告メッセージを作成し、この警告メッセージを上記第1の端末装置へ送信するものである。
このようにすると、例えば被監視者たる患者の活動量の計測結果が適正範囲外と判定されると、自動的に警告メッセージが作成されて監視者たる医療従事者に通知される。このため、医療従事者は自身が担当する患者の在宅における活動量が不適切な場合に、この状態を速やかに把握することが可能となる。
【0009】
第2の態様は、被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置が監視処理装置に対し通信ネットワークを介して接続可能な場合に、第1の端末装置から活動量の閲覧要求を上記通信ネットワークを介して受信した場合に、監視処理装置が、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して監視者用閲覧データを作成し、この作成された監視者用閲覧データを要求元の第1の端末装置へ送信するようにしたものである。
このようにすると、例えば監視者たる医療従事者は、監視処理装置に対し活動量の閲覧を要求することにより、自身が担当する患者の活動量を随時閲覧することが可能となる。
【0010】
第3の態様は、被監視者が使用する第2の端末装置が監視処理装置に対し通信ネットワークを介して接続可能な場合に、上記第2の端末装置から活動量の閲覧要求を通信ネットワークを介して受信した場合に、監視処理装置が、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して被監視者用閲覧データを作成し、この作成された被監視者用閲覧データを要求元の第2の端末装置へ送信するようにしたものである。
このようにすると、例えば被監視者たる患者は、監視処理装置に対し活動量の閲覧を要求することにより、自身の活動量とその判定結果を随時閲覧することが可能となる。
【0011】
第4の態様は、監視処理装置が、監視者用閲覧データにコメント入力欄を設けて第1の端末へ送信し、このコメント入力欄に対し監視者が入力したコメント情報を第1の端末装置から受信して記憶する。そして、この状態で被監視者の第2の端末装置に対し被監視者用閲覧データを送信する際に、上記記憶されたコメント情報を該当する被監視者用閲覧データに追加するようにしたものである。
このようにすると、監視者は自身が担当する患者の活動量の判定結果を閲覧した際に、アドバイス等のコメントを例えば日付に対応付けて入力することができ、一方被監視者は自身の被監視者用閲覧データを閲覧した際に、監視者が自身宛に監視者用閲覧データに入力したコメント情報を確認することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
すなわちこの発明によれば、被監視者の在宅での活動量をセンタ側において集中して監視しその適否を確認できるようにした活動量監視システムとその監視処理装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の一実施形態に係わる活動量監視システムの概略構成図である。
【図2】図1に示したシステムで使用される活動量センサの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示したシステムで使用される操作端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示したシステムで使用される活動量処理サーバの構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示した活動量処理サーバに設けられる患者データベースに記憶された患者データの一例を示す図である。
【図6】図4に示した活動量処理サーバに設けられる活動量データベースに記憶された活動量データの一例を示す図である。
【図7】図4に示した活動量処理サーバに設けられる基準活動量データに記憶された基準活動量データの一例を示す図である。
【図8】図2に示した活動量センサ及び図4に示した活動量処理サーバによる活動量データの取得からその蓄積までの処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
【図9】図4に示した活動量処理サーバによる活動量判定処理手順とその処理内容を示すフローチャートである。
【図10】図4に示した活動量処理サーバによる活動量データの閲覧処理手順とその処理内容を示すフローチャートである。
【図11】図3に示した操作端末のうち患者が使用する操作端末に表示される患者用表示データの一例を示す図である。
【図12】図3に示した操作端末のうち医療従事者が使用する操作端末に表示される医療従事者用表示データの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係わる活動量監視システムの概略構成図である。このシステムは、複数の活動量センサSS1〜SSm及び複数の操作端末TM1〜TMnを通信ネットワークNWを介して活動量処理サーバSVに接続可能としたものである。通信ネットワークNWは、IP(Internet Protocol)網と、このIP網にアクセスするためのアクセス網とから構成される。
【0015】
活動量センサSS1〜SSmは、例えば歩数計又は位置測定器からなり、被監視者である患者にそれぞれ装着される。図2はその構成を示すブロック図である。同図に示すように活動量センサSS1〜SSmは、データ取得部11と、メモリ12と、通信インタフェース13とを備える。
【0016】
データ取得部11は、歩数計であれば振動等をもとに患者の歩数を計測する歩数センサからなり、患者の歩行期間にその歩数を検出する。また、位置測定器であればGPS(Global Positioning System)を利用した位置検出センサからなる。そして、予め設定した時間間隔で患者の現在位置を表す緯度経度を検出し、検出されるごとに前回の検出値との距離を算出してこれを前回までの距離の累積値に加算することにより、患者の移動距離の合計を求める。メモリ12は、上記データ取得部12により得られた歩数又は移動距離の検出データをその検出時刻と対応付けて蓄積する。通信インタフェース13は、予め設定した報告時刻になるごとに、上記メモリ12から歩数又は移動距離の検出データを読み出し、この読み出された検出データを活動量データとして活動量処理サーバSVへ送信する。
【0017】
操作端末TM1〜TMnには、例えば患者が使用する患者用端末と、医療従事者が使用する医療従事者用端末とがあり、いずれもパーソナル・コンピュータ、或いは携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末が用いられる。図3はこのうちのパーソナル・コンピュータを用いた操作端末の構成を示すブロック図である。
【0018】
操作端末は、CPU(Central Processing Unit)を用いた制御部21に対し、通信インタフェース22、キーボード23、マウス24及び表示部25を接続したものからなる。そして、制御部21のブラウザ機能により、通信インタフェース22を介して活動量処理サーバSVとの間で活動量データを閲覧するための通信を行う。
【0019】
ところで、活動量処理サーバSVは以下のように構成される。図4はそのソフトウエア及びハードウエアの構成を示すブロック図である。
すなわち、活動量処理サーバSVはCPU(Central Processing Unit)を備え、このCPU31にバス32を介してプログラムメモリ33、ストレージユニット34及び通信インタフェース35を接続したものとなっている。
【0020】
通信インタフェース35は、CPU31の制御の下で、通信ネットワークNWを介して上記活動量センサSS1〜SSm及び操作端末TM1〜TMnとの間でそれぞれデータ通信を行う。通信プロトコルとしては、例えばTCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)が使用される。
【0021】
ストレージユニット34は、例えばハードディスクドライブ(HDD)を記憶媒体として使用したもので、この発明を実施するために必要なデータベースとして、患者データベース341と、活動量データベース342と、基準活動量データベース343を格納している。
【0022】
このうち、先ず患者データベース341は、退院した患者に関する種々管理情報を格納するもので、例えば図5に示すように管理項目3411としてユーザID、氏名、担当者アドレス、退院年月日及び病名・処置コードが設定され、これらの項目に対応付けてその値3412がそれぞれ記憶される。担当者アドレスとしては、当該患者の担当者(例えば主治医、看護師又は理学療法士)の連絡先メールアドレスが記憶される。病名・処置コードとしては、例えば医療費の定額支払制度において用いられる14桁の診断群分類番号(DPC;Diagnosis Procedure Combination)コードが用いられる。なお、図5では図示の簡単のため1人分の患者データのみを示しているが、実際には複数の患者データが記憶される。
【0023】
活動量データベース342は、上記活動量センサSS1〜SSmから送信された個々の患者の活動量データを記憶するためのもので、例えば活動量として歩数を用いる場合には、図6に示すように、個々の患者ごとにそのユーザID3421に対応付けて、データ取得日3422、歩数3423及びコメント3424が記憶される。ユーザID3421には、上記患者データベース341で使用されるユーザIDと同じものが使用される。歩数としては1日分の総計値が記憶される。コメントは、患者の活動量データを担当者が閲覧した際に当該担当者によって入力された情報であり、データ取得日3422に対応付けて記憶される。なお、コメントがない場合には<none>が記憶される。
【0024】
基準活動量データベース343は、上記した患者の活動量が適正範囲か否かを判定するために使用する基準活動量データを記憶するもので、例えば図7に示すように病名・処置コード3431,3432に対応付けて、経過日数3433ごとに予め設定された基準上限値3434及び基準下限値3435が記憶される。この基準上限値3434と基準下限値3435との間の範囲が適正範囲となる。
【0025】
プログラムメモリ33には、この発明を実施するために必要なプログラム・ブロックとして、活動量取得ブロック331と、照合処理ブロック332と、WWW(World Wide Web)サービスブロック333が格納されている。
【0026】
活動量取得ブロック331は、予め決められた時刻に、上記活動量センサSS1〜SSmから患者の活動量データをそれぞれ収集し、この収集した各患者の活動量データを上記活動量データベース342に先に述べたフォーマットで記憶させる処理を、上記CPU31に実行させる。
【0027】
照合処理ブロック332は、以下の処理を上記CPU31に実行させる。
(1) 活動量の判定タイミングにおいて、患者ごとに上記活動量データベース342に記憶された活動量データを上記基準活動量データベース343に記憶された基準上限値3434及び基準下限値3435と比較し、上記活動量が適正範囲内であるか否かを判定する処理。
(2) 活動量が適正範囲外と判定された場合に警告メッセージを作成して、この警告メッセージを当該患者の担当者の操作端末に向け電子メールにより送信する処理。
【0028】
WWWサービスブロック333は、WWWサーバとしての処理機能を有するもので、以下の処理を上記CPU31に実行させる。
(1) 患者用及び医療従事者用の操作端末TM1〜TMnからそのブラウザ機能を用いて活動量データの閲覧要求が送られた場合に、それぞれ患者用及び医療従事者用の活動量閲覧データを作成して要求元の操作端末TM1〜TMnへ送信する処理。閲覧データは、例えばHTML(Hyper Text Markup Language)ドキュメントにより作成される。
(2) 上記活動データの閲覧中に医療従事者用の操作端末においてコメントが入力された場合に、当該コメントを受信して活動量データベース342に記憶させる処理。
(3) 上記活動データの閲覧中に患者用の操作端末においてコメントの閲覧要求が入力された場合に、対応するコメントを要求元の操作端末へ送信させる処理。
【0029】
次に、以上のように構成された活動量監視システムの動作を説明する。
(1)活動量データの計測と収集
各活動量センサSS1〜SSm及び活動量処理サーバSVでは、各患者の活動量の計測及び収集が以下のように行われる。図8はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、各活動量センサSS1〜SSmでは、データ取得部11が歩数センサからなる場合、患者が歩行を開始するごとに歩行を停止するまでの期間に歩数が計測され、この計測された歩数値が前回の歩行期間までに得られた歩数の合計値に加算されたのちメモリ12に記憶される(ステップS1)。この結果、メモリ12には最終的に患者の1日分の歩数の合計値が記憶される。
【0030】
この状態で、毎日予め決められたデータ収集時刻(例えば午後11時)になると、通信インタフェース13により上記メモリ12から患者の1日分の歩数の合計値が読み出され、この読み出された歩数の合計値が患者のユーザIDと共に、活動量データとして活動量処理サーバSVへ送信される(ステップS2)。なお、上記活動量データの送信が終了すると、上記メモリ12に記憶された歩数の合計値は初期化される。
【0031】
一方、活動量処理サーバSVでは、毎日上記データ収集時刻(例えば午後11時)の一定時間前になると、ステップS3により活動量取得ブロック331が起動し、この活動量取得ブロック331の制御の下で上記各活動量センサSS1〜SSmからの活動量データの待ち受け動作が行われる。この状態で、各活動量センサSS1〜SSmから送信された活動量データが通信インタフェース35で受信されると、活動量取得ブロック331の制御の下で、上記受信された活動量データに含まれる歩数合計値とユーザIDが、データ取得日を表す情報と共に活動量データベース342に格納される。
【0032】
以後同様に、活動量センサSS1〜SSm及び活動量処理サーバSVでは、毎日データ収集時刻になるごとに上記活動量データの収集処理が行われる。したがって、活動量データベース342には、例えば図6に示すように患者ごとに一日いちにちの歩数合計値が順次蓄積される。
【0033】
(2)活動量の適否判定と警告メッセージの送信
活動量処理サーバSVでは、活動量の適否判定処理と警告メッセージの送信処理が以下のように行われる。図9はその処理手順と処理内容を示すフローチャートである。
すなわち、毎日予め決められた適否判定時刻(例えば午後11時30分)になると、照合処理ブロック332が起動する。そして、この照合処理ブロック332の制御の下で、先ずステップS11により患者データベース341からすべての患者についてその退院日及び病名・処方コードが読み出され、さらに活動量データベース342からすべての患者の本日の活動量データが読み出される。この読み出された患者データ及び活動量データは、患者リストとしてストレージユニット34内の作業用メモリに記憶される。
【0034】
次に、照合処理ブロック332は、上記患者リストの中から適否判定が行われていない患者をステップS12で一人選択する。そして、この選択した患者の退院日から今日までの経過日数をステップS13で算出し、さらにステップS14により基準活動量データベース343から病名・処方コード及び上記経過日数に対応する基準上限値及び基準下限値を読み出す。
【0035】
続いてステップS15において、上記選択した患者の活動量データに含まれる歩数合計値を上記読み出された基準上限値及び基準下限値と比較し、歩数合計値が基準上限値と基準下限値により定義される範囲内に収まっているか範囲外に超過しているかを判定する。この判定の結果超過していたとすると、ステップS16において警告メッセージを作成する。そして、患者データベース341から当該患者の担当者アドレスを読み出し、この読み出された担当者アドレスをもとに、上記警告メッセージを担当者の操作端末に向け電子メールにより送信する。
【0036】
したがって、主治医等の担当者は、上記電子メールにより通知された警告メッセージにより、患者の活動量が不適切であることを認識することができ、電話や電子メールを使用して適正な活動量に戻すように指導することが可能となる。
なお、上記ステップS15による適否判定が終了した患者については、判定済みとして患者リストから除外される。
【0037】
以後、上記患者リストに記載された各患者について一人ずつ上記ステップS12〜ステップS17による活動量の適否判定処理が実行され、すべての患者についての適否判定処理が終了したことがステップS12により検出されると、照合処理ブロック332は処理を終了する。
【0038】
(3)医療従事者による患者の活動量データの閲覧
医療従事者は自身の操作端末により、自身が担当する患者の活動量データを遠隔的に閲覧することができる。
患者の活動量データを閲覧する場合、医療従事者は自身の操作端末(例えばTM1)のWWWブラウザを起動し、このWWWブラウザにおいて医療従事者用の情報閲覧画面のURL(Uniform Resource Locator)を入力し、アクセス要求の操作を行う。そうすると操作端末TM1から活動量処理サーバSVに対し、上記医療従事者用の情報閲覧画面のURLを含むアクセス要求が送信される。
【0039】
活動量処理サーバSVは、WWWサービスブロック333の制御の下で閲覧のためのアクセス要求の到来を監視している(ステップS21)。この状態で、アクセス要求が受信されると、WWWサービスブロック333はステップS22により、要求先のURLは患者用か又は医療従事者用かを判定する。この判定の結果、医療従事者用であればステップS23に移行し、ここで操作端末TM1からの閲覧対象となる患者のユーザIDの入力を待ち、ユーザIDが入力されると、このユーザIDに対応する患者の活動量データを活動量データベース342から読み出す。そして、ステップS24において、HTML形式により医療従事者用閲覧データを作成し、この医療従事者用閲覧データをアクセス要求元の操作端末TM1のWWWブラウザへ送信する。なお、上記活動者データの読み出しに際しては、患者のプライバシに配慮して、必要に応じてベーシック認証等の利用者認証を行うようにしてもよい。
【0040】
図12は、操作端末TM1の表示器に表示される医療従事者用閲覧画面の一例を示すものである。同図に示すように医療従事者用閲覧画面には、退院後の経過日数を横軸、歩数を縦軸にして、歩数と、経過日数に応じた基準上限値及び基準下限値をそれぞれプロットしたグラフが表示される。また医療従事者用閲覧画面には、医療従事者のコメント入力欄が設けられる。このコメント入力欄に、医療従事者が日付を指定した上でコメントを入力し、送信ボタンを押下すると、WWWブラウザは上記送信ボタンの押下に応じて、上記入力されたコメントのテキストデータと日付データを含む電文を活動量処理サーバSVへ送信する。
【0041】
活動量処理サーバSVのWWWサービスブロック333は、ステップS25においてコメントを含む電文の到来を監視している。この状態で、上記コメントのテキストデータと日付データを含む電文が通信インタフェース35により受信されると、この受信されたコメントのテキストデータを、例えば図6に示すように活動量データベース342内の上記日付データに対応するコメント欄3424に記憶させる(ステップS26)。
そして、操作端末TM1において閲覧終了操作が行われ、この閲覧終了をステップS27により検出すると、WWWサービスブロック333は閲覧データの送信処理を終了して待ち受け状態に戻る。
【0042】
(4)患者による自身の活動量データの閲覧
患者は自身の操作端末により、自身の活動量データを遠隔的に閲覧することができる。
自身の活動量データを閲覧する場合、患者は自身の操作端末(例えばTMn)のWWWブラウザを起動し、このWWWブラウザにおいて患者用情報閲覧画面のURL(Uniform Resource Locator)を入力し、アクセス要求の操作を行う。そうすると操作端末TMnから活動量処理サーバSVに対し、上記患者用情報閲覧画面のURLを含むアクセス要求が送信される。
【0043】
活動量処理サーバSVのWWWサービスブロック333は、アクセス要求が受信されると、ステップS21からステップS22に移行し、ここで要求先のURLは患者用か又は医療従事者用かを判定する。この判定の結果、患者用であればステップS28に移行し、ここで操作端末TMnからの閲覧対象となる患者のユーザIDの入力を待ち、ユーザIDが入力されると、このユーザIDに対応する患者の活動量データを活動量データベース342から読み出す。そして、ステップS29において、HTML形式により患者用閲覧データを作成し、この患者用閲覧データをアクセス要求元の操作端末TMnのWWWブラウザへ送信する。なお、上記活動者データの読み出しに際しては、患者のプライバシに配慮して、必要に応じてベーシック認証等の利用者認証を行うようにしてもよい。
【0044】
図11は、操作端末TMnの表示器に表示される患者用閲覧画面の一例を示すものである。同図に示すように患者用閲覧画面には、退院後の経過日数を横軸、歩数を縦軸にして、歩数と、経過日数に応じた基準上限値及び基準下限値をそれぞれプロットしたグラフが表示される。また上記グラフ上の、主治医のコメントが存在する日付に対応する位置には、マークが表示される。操作端末TMnにおいて患者がこのマークに対しマウスカーソルを合わせると、WWWブラウザから活動量処理サーバSVのWWWサービスブロック333へコメント閲覧要求が送信される。
【0045】
上記コメント閲覧要求が受信されると、活動量処理サーバSVのWWWサービスブロック333はステップS30からステップS31に移行し、ここで活動量データベース342内の該当する日付にコメント情報が記憶されているか否かを判定する。そして、コメント情報が記憶されていれば、活動量データベース342から当該コメント情報を読み出して操作端末TMnへ送信する。この結果、操作端末TMnの患者用閲覧画面には、例えば図11に示すように上記コメント情報が吹き出し形式により表示される。したがって、患者は自身の活動量の推移を見ながら、主治医のコメントを確認することができる。なお、コメント情報が記憶されていない場合には、コメントがない旨のメッセージを表示するようにしてもよい。
そして、操作端末TMnにおいて閲覧終了操作が行われ、この閲覧終了をステップS33により検出すると、WWWサービスブロック333は閲覧データの送信処理を終了して待ち受け状態に戻る。
【0046】
以上詳述したようにこの実施形態では、患者に装着した活動量センサSS1〜SSmにより計測された患者の1日分の歩数値を、通信ネットワークNWを介して活動量処理サーバSVで収集し活動量データベース342に記憶する。そして、活動量処理サーバSVが、上記収集した患者の1日分の歩数値を予め設定された歩数値の基準上限値及び基準下限値と比較して上記歩数値が適正範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲から外れていると判定された場合に警告メッセージを主治医の操作端末へ送信するようにしている。
【0047】
したがって、退院した患者の在宅における活動量を活動量処理サーバSVにおいて集中して自動的に監視することが可能となり、活動量が適正範囲から外れている場合にはその時点で警告メッセージを主治医に通知することができる。また、上記歩数値の基準上限値及び基準下限値は、退院後の経過日数に応じて変化するように設定されているので、退院後の経過日数を考慮して常に適切な判定を行うことができる。
【0048】
また、患者用の操作端末TMn及び医療従事者用の操作端末TM1からの閲覧要求に応じて、活動量処理サーバSVにおいて患者用及び医療従事者用の閲覧画面データを作成し、要求元の操作端末TMn,TM1に送信し表示するようにしている。このため、必要に応じて患者及び医療従事者はそれぞれ自身又は担当する患者の活動量データを閲覧することができる。
【0049】
しかも、医療従事者用閲覧データにコメント入力欄を設け、このコメント入力欄に主治医等が記入したコメント情報を活動量処理サーバSVの活動量データベース342に記憶する。そして、患者の要求に応じて、上記コメント情報を読み出して患者用閲覧画面上に表示するようにしている。したがって、医療従事者は閲覧画面において患者の活動量を確認した上でそのままコメントを入力することができ、患者は自身の閲覧画面において自身の活動量の推移を確認しながら主治医のコメントも確認することができる。
【0050】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、前記実施形態では、活動量として歩数を用いて活動量の適否判定を行ったが、他に移動距離を用いて活動量の適否判定を行うようにしてもよい。この移動距離はGPSセンサにより容易に得ることができる。
【0051】
また、前記実施形態では活動量処理サーバSVを操作端末TM1〜TMnとは別に設けたが、監視対象の患者数が少ない場合には、操作端末TM1〜TMnの一つ又は複数に上記活動量処理サーバSVの機能を設けるようにしてもよい。さらに、前記実施形態では被監視者を患者とし、監視者を医療従事者とした場合を例にとって説明したが、子供や老人、その他動物を被監視者とするようにしてもよい。
【0052】
その他、被監視者に装着される計測ユニットの種類や構成、監視処理装置の構成と活動量を監視するための処理の手順及び処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0053】
SV…活動量処理サーバ、NW…通信ネットワーク、SS1〜SSm…活動量センサ、TM1〜TMn…操作端末、11…データ取得部、12…メモリ、13,22,35…通信インタフェース、21…制御部、23…キーボード、24…マウス、25…表示部、31…CPU、32…バス、33…プログラムメモリ、34…ストレージユニット、331…活動量取得ブロック、332…照合処理ブロック、333…WWWサービスブロック、341…患者データベース、342…活動量データベース、343…基準活動量データベース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被監視者に装着される計測ユニットと、
前記計測ユニットに対し通信ネットワークを介して接続可能な監視処理装置と
を具備し、
前記計測ユニットは、
前記被監視者の活動量を計測する手段と、
前記活動量の計測結果を表す情報を前記通信ネットワークを介して前記監視処理装置へ送信する手段と
を備え、
前記監視処理装置は、
予め設定された活動量の適正範囲を示す情報を記憶する手段と、
前記計測ユニットから送信された、活動量の計測結果を表す情報を受信し記憶する手段と、
前記受信された活動量の計測結果を表す情報と前記記憶された活動量の適正範囲を表す情報とを比較し、前記活動量の計測結果が前記活動量の適正範囲内であるか否かを判定してその判定結果を記憶する手段と、
前記判定結果を表す情報を出力する手段と
を備えることを特徴とする活動量監視システム。
【請求項2】
前記被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置が前記監視処理装置に対し前記通信ネットワークを介して接続可能な場合に、
前記判定結果を表す情報を出力する手段は、前記活動量の計測結果が前記活動量の適正範囲外と判定された場合に、警告メッセージを作成して前記第1の端末装置へ送信することを特徴とする請求項1記載の活動量監視システム。
【請求項3】
前記被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置が前記監視処理装置に対し前記通信ネットワークを介して接続可能な場合に、
前記監視処理装置は、
前記第1の端末装置から活動量の閲覧要求を前記通信ネットワークを介して受信した場合に、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して監視者用閲覧データを作成し、この作成された監視者用閲覧データを前記要求元の第1の端末装置へ送信する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の活動量監視システム。
【請求項4】
前記被監視者が使用する第2の端末装置が前記監視処理装置に対し前記通信ネットワークを介して接続可能な場合に、
前記監視処理装置は、
前記第2の端末装置から活動量の閲覧要求を前記通信ネットワークを介して受信した場合に、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して被監視者用閲覧データを作成し、この作成された被監視者用閲覧データを前記要求元の第2の端末装置へ送信する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の活動量監視システム。
【請求項5】
被監視者に装着され当該被監視者の活動量を計測してその計測結果を表す情報を送信する計測ユニットに対し通信ネットワークを介して接続可能な監視処理装置であって、
予め設定された活動量の適正範囲を示す情報を記憶する手段と、
前記計測ユニットから送信された、活動量の計測結果を表す情報を受信し記憶する手段と、
前記受信された活動量の計測結果を表す情報と前記記憶された活動量の適正範囲を表す情報とを比較し、前記活動量の計測結果が前記活動量の適正範囲内であるか否かを判定してその判定結果を記憶する手段と、
前記判定結果を表す情報を出力する手段と
を具備することを特徴とする監視処理装置。
【請求項6】
前記判定結果を表す情報を出力する手段は、前記活動量の計測結果が前記活動量の適正範囲外と判定された場合に警告メッセージを作成し、この作成された警告メッセージを当該被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置へ前記通信ネットワークを介して送信することを特徴とする請求項5記載の監視処理装置。
【請求項7】
前記被監視者の活動量を監視する監視者が使用する第1の端末装置から活動量の閲覧要求を前記通信ネットワークを介して受信した場合に、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して監視者用閲覧データを作成し、この作成された監視者用閲覧データを前記要求元の第1の端末装置へ送信する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項5又は6記載の監視処理装置。
【請求項8】
前記被監視者が使用する第2の端末装置から活動量の閲覧要求を前記通信ネットワークを介して受信した場合に、該当する被監視者の活動量の計測結果及び判定結果を表す情報を読み出して被監視者用閲覧データを作成し、この作成された被監視者用閲覧データを前記要求元の第2の端末装置へ送信する手段を、さらに具備することを特徴とする請求項5乃至7のいずれかに記載の監視処理装置。
【請求項9】
前記監視者用閲覧データを送信する手段は、監視者用閲覧データにコメント入力欄を設け、このコメント入力欄に対し入力されたコメント情報を第1の端末装置から受信して記憶する手段を、さらに備え、
前記被監視者用閲覧データを送信する手段は、前記受信し記憶されたコメント情報を該当する被監視者用閲覧データに追加する手段を、さらに備えることを特徴とする請求項8記載の監視処理装置。
【請求項10】
前記請求項5乃至9のいずれかに記載の監視処理装置に、当該監視処理装置が具備する手段に相当する処理を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−24677(P2011−24677A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171317(P2009−171317)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】