説明

活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器、調製する方法、並びにキットおよび前記キットを使用する方法

本発明は、活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を、2.5〜90mg/mLの範囲の容量で容器に保持している閉鎖容器に関する。また、本発明は、様々な係る閉鎖容器を調製するための方法、係る容器を具備するキット、および前記キットを用いる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を、2.5〜90mg/mLの範囲の容量で容器に保持している閉鎖容器に関する。また、本発明は、様々な係る閉鎖容器を調製するための方法、係る容器を含んでいるキット、および前記キットを用いる方法に関する。
【0002】
[発明の背景]
VII因子(凝固カスケードに関与する)は、様々な病理学的なコンディション(conditions)を処置するための有用な治療薬であることが証明されている。従って、薬学的に許容され、均一で、既定の臨床的な有効性を示す活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる製剤(formulations)に対する必要性が増加している。特定の治療上の適用に関して、かなり大量の活性化型のVII因子ポリペプチド(例えば、40μg/kg体重以上の程度で)を投与することが必要である。
【0003】
現在市販されている、組換え技術により作出されたVII因子ポリペプチド組成物であるNovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, デンマーク)は、例えば、1.2 mgの組換え型ヒトVIIa因子, 5.84mgのNaCl, 2.94mgのCaCl2, 2H2O, 2.64 mgのGlyGly, 0.14mgのポリソルベート80、および60.0mgのマンニトールを含有しているバイアル(約3.0 mLの容器容量)として存在する。この製品は、pH5.5に使用前に2.0mLの注射用水(WFI)で再構成され、約0.6mg/mLのVII因子ポリペプチド濃度を生じる。
【0004】
活性化型のVII因子ポリペプチド(例えば、組換え技術で作出したヒトVIIa因子)の投与が必要な治療上の適用に関して、NovoSeven(登録商標)組成物のような製剤を利用することは不便である。というのも、かなり大きい容量(15-30mL)が、典型的には注射によって投与されるからである。
【0005】
従って、相対的に多量の活性化型のVII因子ポリペプチドが特定の容器の容量内に存在し、エンドユーザーに不便さが最小であるように投与される容量(典型的には注射によって)が投与される活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる液体医薬品および後に再構成されるフリーズドライ医薬品が必要とされる。
【0006】
WO03/055512A1は、(i)VII因子ポリペプチド、(ii)約4.0〜約8.0の範囲にpHを維持するために適切な薬剤;(iii)カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤であって;(iii)の濃度は少なくとも15mM未満である薬剤を含んでいる液体の水性組成物を開示している。前記国際特許出願に開示された発明は、様々な濃度範囲(約0.1mg/mL〜約10mg/mLの濃度範囲を含んでいる)でVII因子ポリペプチドに適用可能であると思われる。
【0007】
WO2004/000347A1 i.a.は、水に溶解させた場合に、VII因子ポリペプチド(0.6〜10mg/mL), 塩化カルシウム(5〜20mM), NaCl(0〜50mM), グリシルグリシン(0〜15mM), L-ヒスチジン(0〜20mM), マンニトール(20〜40mg/mL), スクロース(5〜20mg/mL), メチオニン(0〜1mg/mL), ポロキサマー188(0.5〜3mg/mL)を5.0〜7.0の範囲のpHで含む組成物を開示する。
【0008】
WO2004/082708A1は、VII因子ポリペプチド(0.1〜10mg/mL)および約5.0〜約9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(buffering agent)を含み、非複合型(non-complexed)のカルシウムイオン(Ca2+)とVII因子ポリペプチドとのモル比が0.5より低い液体の水性組成物を開示している。
【0009】
WO2004/112828A1は、(i)VII因子ポリペプチド、(ii)約4.0〜約8.0の範囲にpHを維持するために適切な薬剤;(iii)カルシウム塩、マグネシウム塩、又はその混合物のリストから選択される薬剤であって、(iii)の濃度は15mM未満である薬剤;(iv)イオン強度を修飾する薬剤〔ここで前記組成物のイオン強度は、少なくとも約200mMである〕を含んでいる液体の水性組成物を開示している。前記国際特許出願に開示された発明は、様々な濃度範囲(約0.1mg/mL〜約10mg/mLの濃度範囲を含んでいる)でVII因子ポリペプチドに適用可能であると思われる。
【0010】
WO2005/016365A1は、少なくとも0.01mg/mLのVII因子ポリペプチド(i);約5.0〜約9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);および-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2 モチーフ(例えば、ベンザミジンまたはアルギニン)を含んでいる少なくとも1つの安定化剤を含んでいる液体で水性の薬学的組成物を開示している。前記国際特許出願に開示された発明は、様々な濃度範囲(0.01〜約20mg/mLの濃度範囲を含んでいる)でVII因子ポリペプチドに適用可能であると思われる。
【0011】
幾つかの出願人の以前の特許出願(prior patent applications)はかなり広い濃度範囲でVII因子ポリペプチドの液体溶液に関するそれぞれの発明を利用する選択肢を包含しているが、その実施例は係る濃度範囲の上限範囲を調査せず、以前の特許出願は相対的に多量の活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を開示も予期(anticipated)もしていない。このことは次の一般的な理解によるものであると信じられる;その理解とは、VII因子ポリペプチドのデグラデーション(特に重鎖のデグラデーション)の度合が、活性化型のVII因子ポリペプチドの自己触媒的なデグラデーションを減少させる目的で適用される一般的な処置(measures)とは無関係に、VII因子ポリペプチド濃度の増加とともに劇的に増加するだろうこと、及び高度のデグラデーションによって大抵の治療上の適用に関して容認できない産物が生じるだろうことである。
【0012】
さらにまた、従来技術の市販の製品が相対的に高い量のカルシウムを含み、大量の活性成分(VII因子ポリペプチド)が特定のコンディションの治療に必要である場合に問題となるであろうとのことが信じられている。多量のカルシウムは、したがって小さい容量中の高濃度のVII因子ポリペプチドに必要とされるだろう。
【0013】
高い含有量の活性化型のVII因子ポリペプチド/容器の容量単位を有する閉鎖容器を取得可能とするために、容器に分配することができる高度に濃縮されたバルクの精製された活性化型のVII因子ポリペプチドが要求される。現在まで、この事項は困難であるか又は寧ろ不可能であると考えられてきた。というのも、活性化型のVII因子ポリペプチドが、自己触媒活性(これはタンパク質が自身のデグラデーションを触媒することを意味する)を保有するセリンプロテアーゼであるからである〔例えば、「The Use of RP-HPLC for measuring activation and cleavage of rFVIIa during purification" by I. Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng., vol. 48 (1995), 501-505」および「Studies on coagulation factor VIIa autoproteolysis and formation of degradation products" by T. B. Hansen et al., poster presented at ACS (2003)」を参照されたい〕。デグラデーションは、Lys38、Arg290およびArg315のC末端側での切断によって生じる。切断によって、前記タンパク質は、その止血機能を失い、その治療上の効果を失う。デグラデーション速度は、以下の通り二次(second order)の活性化型のVII因子ポリペプチドの濃度と比例的である:
-d[FVIIa]/dt=k[FVIIa]2
式中の[FVIIa]は、活性化型のVII因子ポリペプチドの濃度である。
【0014】
このことは活性化型のVII因子ポリペプチドが濃縮される場合(例えば、10倍)、デグラデーション速度は100倍増加すると予期されることを意味する。
【0015】
活性化型のVII因子ポリペプチドを濃縮することの別の困難性は、その溶解性である(このことは活性化型のVII因子ポリペプチドが任意の所与の緩衝剤において特定の濃度に達するときに、活性化型のVII因子ポリペプチドが沈殿し始めることを意味している)。
【0016】
[発明の簡単な説明]
本発明の発明者は、驚くべきことに次の事項を見出した;その事項とは、便利な医薬品(例えば、バイアル、カープルなど)を、自己触媒的なデグラデーションの度合(特に、活性化型のVII因子ポリペプチドの重鎖のデグラデーション)が適切な条件の選択によって抑制されえる及びデグラデーションの度合が予想よりも低い、関連する多量の活性化型のVII因子ポリペプチドで調製することが実際に可能であることである。
【0017】
本発明の第一の側面は活性化型のVII因子ポリペプチド(i)の組成物を保持している閉鎖容器に関し、該容器は2.5〜90mg/mLの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチドを前記容器のml容量に含んでいる。
【0018】
本発明の第二の側面は、活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法に関する。
【0019】
本発明の第三の側面は、(i)活性化型のVII因子ポリペプチドの固形の薬学的組成物を含有している第1閉鎖容器および(ii)前記固形の薬学的組成物のための液体で水性の溶媒を含有している第2容器を具備し、前記第1容器は2.5〜90mgの範囲で活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる組成物を前記第1容器のmL容量に保持するキットに関する。
【0020】
本発明の第四の側面は、本明細書中で規定されるキットから活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を調製するための方法に関し、該方法は前記第1容器の固形の薬学的組成物を前記第2容器の液体で水性の溶媒の少なくとも一部(a fraction)と、活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を形成するように混合することを備える。
【0021】
[発明の詳細な記載]
上述したように、本発明は活性化型のVII因子ポリペプチド(i)の組成物を保持している閉鎖容器を提供し、該容器は2.5〜90mg/mLの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチドを前記容器のml容量中に含んでいる。
【0022】
「閉鎖(closed)」の用語は、前記容器の内容物が外部(exterior)から分離されていることを意味する。従って、前記容器は、典型的に次のような方式で構築される;その方式とは、前記容器の内容物が接近可能(accessible)となる前に、シール(seal)が破壊されることが必要な又はキャップ(cap)が除去されることが必要な方式である。好適な態様において、前記容器は水密および気密(water and gas tight)であり;例えば、前記容器は、空気または水分が前記容器の内部に入ることができず、内容物のデグラデーションを誘発(provoke)しないように空気密(air-tight)であってもよい。前記容器の空隙スペース(void space)は、不活性ガスで充填されていてもよい。前記不活性ガスは、窒素、アルゴンなどからなる群から選択されてもよい。
【0023】
前記容器〔例えば、バイアル、カープルまたはカートリッジ(例えば、ペンアプリケーターのためのカープルまたはカートリッジ)〕は、典型的にはガラスまたはプラスチック、特にガラスでできており、任意で前記薬学的組成物の完全性(integrity)が保存され、貫通を認容するゴム隔壁(rubber septum)または他の閉鎖手段によって閉鎖される。一態様において、前記容器は、バイアル、シールされたバックに封入されたカープル(carpule)またはカートリッジ、例えば、封入されたプラスチックバック、例えば、ラミネート状の(例えば、金属(例えば、アルミニウム)ラミネート状のプラスチックバック)である。興味深いバリアント(variant)において、前記容器は、シリカで被覆されたガラス, シリコーンで被覆されたガラス, 非環状オレフィンのポリマー, シクロオレフィンポリマー, およびシクロオレフィン/直鎖状オレフィンコポリマー(例えば、出願人の以前の出願WO2004/103398に開示されたようなもの)から選択された内壁材料(inner wall material)を有する。
【0024】
本明細書中に使用される場合、「製品(product)」の用語は、活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を含んでいる容器を意味する。即ち、「製品(product)」の用語は、典型的には活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を保持しているバイアル、カープル、またはカートリッジなどの販売された市販の製品である。
【0025】
「組成物(composition)」の用語は、活性化型のVII因子ポリペプチド及び任意で1以上の添加物、例えば、緩衝液、安定化剤、張性を修飾する薬剤などを含む固形の又は液体の混合物を意味する(以下を参照されたい)。
【0026】
前記活性化型のVII因子ポリペプチドは、以下にさらに規定される。
【0027】
「前記容器のmL容量(mL volume of the container)」の用語は、ミリリットル(mL)として記載された問題の前記容器の内容積(inner volume)を意味する、つまり、前記VII因子ポリペプチドが存在する前記容器の区画の容積を意味する。閉鎖(例えば、シールされた)容器の容量は、対応している閉鎖された及び空の容器の空隙スペースの容量として最も正確に規定することができる(即ち、前記容器の容量は、栓、シールなどによって占められない)。例えば、現行の商業的に利用可能な組換え技術により作出されたVII因子ポリペプチド組成物 NovoSeven(登録商標)(Novo Nordisk A/S, デンマーク)は、3つの異なるサイズのバイアル、(i)4.3mL±0.5mLの容量、(ii)7.1mL±0.5mLの容量、および(iii)13.5mL±1.0mLの容量で存在する。これらのバイアル中で、栓は、0.44mLの前記容器の容量を占める;即ち、対応している閉鎖された及び空の容器の空隙スペースは、(i)3.86mL±0.5mL、(ii)6.66mL±0.5mL、および(iii)13.06mL±1.0mLである。
【0028】
前記容器は、典型的には前記活性化型のVII因子ポリペプチドの2.5〜90mgの範囲(例えば、2.5〜75mgの範囲、又は4〜90mgの範囲)を、前記容器のmL容量ごとに含む。幾つかの態様において、前記容器は、4〜60mg/mL容量(例えば、4〜50mg/mL容量、または5〜25mg/mL容量、または6〜15mg/mL容量)を含む。幾つかの態様において、前記容器は、2.5〜60mg/mL容量(例えば、2.5〜50mg/mL容量、または2.5〜40mg/mL容量、または2.5〜30mg/mL容量)を含む。幾つかの治療的な適用のために、前記容器は、4〜15mg/mL容量、または6〜40mg/mL容量、または10〜30mg/mL容量、または25〜60mg/mL容量を含んでもよい。
【0029】
前記活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物は、可溶化型の形態(例えば、水溶液または懸濁液)、または乾燥型の形態(例えば、凍結乾燥形態)の何れであってもよい。
【0030】
可溶化型の形態の組成物
一態様において、活性化型のVII因子ポリペプチドは、可溶化型の形態(例えば、水溶液)である。好ましくは、活性化型のVII因子ポリペプチドの水溶液は、液体の薬学的組成物(特に、活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な薬学的組成物)である。
【0031】
「水溶液(aqueous solution)」の用語は、活性化型のVII因子ポリペプチドが、主に水で構成される溶媒(即ち、組成の有機溶媒が多くとも5%、特に多くとも2%で構成される)で可溶化されていることを意味する。
【0032】
哺乳類(例えば、ヒト)への直接的な非経口投与に有用な水溶液に溶解(render)させるために、前記組成物のpH値が合理的な限度内(例えば、約 5.0 〜約 9.0)に維持されることが通常必要である。また、所与の条件下で適切なpH値を保証するために、前記薬学的組成物は、典型的には約 5.0 〜約 9.0の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii)を具備する。更に前記水溶液の貯蔵および取扱いに際してより安定とする目的で、前記溶液は、好ましくは5.0〜7.0の範囲でpHを有する。好ましくは、pHは、5.8〜6.5の範囲または5.5〜6.2の範囲であり、5.8〜6.2の範囲のpHが特に優先される。
【0033】
「緩衝剤(buffering agent)」の用語は、溶液のpHを約5.0〜約9.0、特に約5.0〜約6.5、例えば、5.8〜6.5の範囲または5.5〜6.2の範囲、特に5.8〜6.2の範囲の許容される範囲に維持する薬剤または薬剤の組み合わせを包含する。一態様において、前記組成物のpHは、約5.0〜約6.5、約5.0〜約6.0、約5.5〜約6.5、約6.2〜約6.5、または約5.7〜約6.2、または約5.2〜約5.7に維持される。
【0034】
一態様において、緩衝剤(ii)は、MES, PIPES, ACES, BES, TES, HEPES, TRIS, ヒスチジン, イミダゾール, グリシン, グリシルグリシン, グリシンアミド, リン酸, 酢酸(例えば、酢酸ナトリウム又は酢酸カルシウム), 乳酸, グルタル酸, クエン酸, 酒石酸, リンゴ酸, マレイン酸, およびコハク酸の酸または塩からなる群から選択される、少なくとも1つの成分である。前記緩衝剤は、2以上の成分の混合物を具備してもよい(ここで、前記混合物は、特定範囲のpH値を提供することができる)ことが理解されるべきである。例として、酢酸および酢酸ナトリウムなどを言及し得る。
【0035】
緩衝剤の濃度は、溶液の好適なpHを維持するように選択される。多様な態様において、緩衝剤の濃度は、1〜100 mMの範囲; 1〜50 mMの範囲; 1〜25 mMの範囲;又は2〜20 mMの範囲である。
【0036】
3つの必須の成分(FVIIポリペプチド, 溶媒, 緩衝剤)に加えて、液体で水性の薬学的組成物は、組成物の調製, 製剤化, 安定性, または投与に有益な付加的な成分を具備してもよい。
【0037】
前記水溶液の安定性を改善するために、1以上の安定化剤(iii)を含めることも可能であり、例えば、カルシウム塩およびマグネシウム塩から選択される1以上の安定化剤(iiia);および/または1以上の二価の第1遷移系列金属型の安定化剤であって、該金属が酸化状態 +IIの第1遷移系列金属からなる群から選択される(亜鉛を除く)安定化剤(iiib);および/または1以上の安定化剤であって、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2 モチーフを含み、式中のZ1およびZ2は独立に-O-, -S-, -NRH- および単結合からなる群から選択され、ここでRHは水素, C1-4-アルキル, アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、R1およびR2は独立に水素, 任意で置換されたC1-6-アルキル, 任意で置換されたC2-6-アルケニル, 任意で置換されたアリール, 任意で置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される、又はZ2およびR2は上記規定のとおりであり、-C=N-Z1-R1は複素環の一部を形成する、又はZ1およびR1は上記規定のとおりであり、-C-NH-Z2-R2は複素環の一部を形成する、又は-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2は-Z1-R1-R2-Z2-がビラジカル(biradical)である複素環を形成する安定化剤(iiic)である。
【0038】
カルシウム塩およびマグネシウム塩(iiia)
一態様において、安定化剤には、カルシウム塩およびマグネシウム塩(特に、カルシウム塩から)から選択される少なくとも1つの薬剤が含まれる。
【0039】
カルシウム塩の例は、塩化カルシウム, 酢酸カルシウム, グルコン酸カルシウム, カルシウム ラエブレート(calcium laevulate),又はその混合物である。
【0040】
マグネシウム塩の例は、塩化マグネシウム, 酢酸マグネシウム, 硫酸マグネシウム, グルコン酸マグネシウム, マグネシウム ラエブレート(magnesium laevulate), 強酸のマグネシウム塩,又はその混合物である。
【0041】
前記水溶液中の(iiia)の濃度は、好ましくは少なくとも15 mM、例えば少なくとも25 mM、例えば少なくとも50 mM、少なくとも100 mM、少なくとも200 mM、少なくとも400 mM、または少なくとも800 mMである。
【0042】
好適な態様において、安定化剤(iiia)は、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム又はその混合物からなる群から選択される;また、イオン強度を修飾する薬剤(iv)は、塩化ナトリウムまたは塩化ナトリウムと少なくとも1つの付加的なイオン強度を修飾する薬剤との混合物である(更に以下を参照されたい)。
【0043】
二価の第1遷移系列金属型の安定化剤(iiib)
別の態様において、前記安定化剤(iii)は、少なくとも1つの金属含有薬剤(iiib)を含み、該金属は酸化状態+IIの第1遷移系列金属(first transition series metals)からなる群から選択される。
【0044】
本明細書において使用される場合、「酸化状態+IIの第1遷移系列金属(first transition series metals of oxidation state +II)」の用語は、チタン, バナジウム, クロム, マンガン, 鉄, コバルト, ニッケル, および銅の金属を包含する。
【0045】
チタンおよびバナジウムは水性の環境で酸化状態+IIに存在しえるが、クロム, マンガン, 鉄, コバルト, ニッケル, および銅のなかから金属を選択することがより典型的である。これらの金属に対応している金属含有薬剤(iiib)の例は、塩化クロム(II), 塩化マンガン(II), 塩化鉄(II), 塩化コバルト(II), 塩化ニッケル(II), および塩化銅(II)である。金属含有薬剤(iiib)は2以上の第1遷移系列金属などの2以上の金属を具備しえることが理解されるべきである。従って、幾つかの例において、前述の薬剤の2以上を、組み合わせて使用しえる。
【0046】
今まで、最も有望な金属は、銅およびマンガンである。対応している金属含有薬剤(iiib)の例は、塩化銅(II)および塩化マンガン(II)である。
【0047】
金属含有薬剤(iiib)の濃度は、典型的には少なくとも1μMである。望ましい(または必要な)濃度は、典型的には選択された金属含有薬剤に依存し、より具体的にはVII因子ポリペプチドに対する選択された酸化状態+IIの金属の結合親和性に依存する。
【0048】
異なる態様において、金属含有薬剤(iiib)は、少なくとも5 μM, 少なくとも25 μM, 少なくとも50 μM, 少なくとも100 μM, 少なくとも200 μM, 少なくとも400 μM, 少なくとも500 μM, 少なくとも800 μM, 少なくとも900 μM, 少なくとも1000 μM, 少なくとも5 mM, 少なくとも25 mM, 少なくとも50 mM, 少なくとも100 mM, 少なくとも200 mM, 少なくとも400 mM, 少なくとも800 mM, 少なくとも900 mM, または少なくとも1000 mMの濃度で存在する。
【0049】
様々な態様において、金属含有薬剤(iii)(Me2+)とFVIIポリペプチド(薬剤(iiib):FVII)との間のモル比は、0.5よりも大きい;1よりも大きい;2よりも大きい;4よりも大きい;5よりも大きい;10よりも大きい;25よりも大きい;100よりも大きい;150よりも大きい;例えば、0.5〜250の範囲、例えば、0.5〜150、0.5〜100;0.5〜25;1〜250;1〜100;1〜25;1〜10の範囲である。
【0050】
特定の一態様において、金属含有薬剤(iiib)の金属は銅であり、前記薬剤の濃度は少なくとも5 μM, 例えば少なくとも10 μM, または少なくとも15 μMである。
【0051】
特定の別の態様において、金属含有薬剤(iiib)の金属はマンガンであり、前記薬剤の濃度は少なくとも100 μM, 例えば少なくとも500 μM, または少なくとも1 mMである。
【0052】
ベンザミジン/アルギニン型の安定化剤(iiic)
さらに別の態様において、前記安定化剤は、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2 モチーフを含んでいる少なくとも1つの薬剤(iiic)であり、式中で、
Z1およびZ2は独立に-O-, -S-, -NRH-および単結合(single bond)からなる群から選択され、RHは水素, C1-4-アルキル, アリールおよびアリールメチルからなる群から選択され、並びに、R1およびR2は独立に水素, 任意で置換されたC1-6-アルキル, 任意で置換されたC2-6-アルケニル, 任意で置換されたアリール, 任意で置換されたヘテロシクリルからなる群から選択される、或いは、
Z2およびR2は上記の規定のとおりであり、-C=N-Z1-R1は複素環の一部を形成する、或いは、
Z1およびR1は上記の規定のとおりであり、-C-NH-Z2-R2は複素環の一部を形成する、或いは、
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2は、-Z1-R1-R2-Z2-がビラジカルである複素環を形成する。
【0053】
「C1-6-アルキル」の用語は、1〜6の炭素原子を有し、直鎖状または分枝状である非環状および環状の飽和の炭化水素残基を包含する。特定の例は、メチル, エチル, n-プロピル, イソプロピル, シクロプロピル, n-ブチル, イソブチル, sec-ブチル, tert-ブチル, シクロプロピルメチル(cyclopropylmethyl), n-ペンチル, イソペンチル, n-ヘキシル, などである。同様に、「C1-4-アルキル」の用語は、1〜6の炭素原子を有し、直鎖状または分枝状である非環状および環状の飽和の炭化水素残基を包含する。
【0054】
同様に、「C2-6-アルケニル」の用語は、2〜6の炭素原子を有し、1つの不飽和結合を具備し、直鎖状または分枝状でありえる非環状および環状の炭化水素残基を包含する。C2-6-アルケニル基の例は、ビニル, アリル, ブタ-1-エン-1-イル, ブタ-2-エン-1-イル, 5-1-エン-1-イル, および ヘクス(hex)-1-エン-1-イルである。
【0055】
C1-6-アルキルおよびC2-6-アルケニル基に関連する「任意で置換された(optionally substituted)」の用語は、次の事項を意味する;その事項とは、問題の基が、1回または複数回(好ましくは1〜3回)、ヒドロキシ, C1-6-アルコキシ(即ち、C1-6-アルキル-オキシ), C2-6-アルケニルオキシ, オキソ(ケトまたはアルデヒドの機能性を形成している), アリール, アリールオキシ, アリールカルボニル, ヘテロシクリル, ヘテロシクリルオキシ(heterocyclyloxy), ヘテロシクリルカルボニル(heterocyclylcarbonyl), アミノ, モノ- およびジ(C1-6-アルキル)アミノ, ハロゲン(ここで、任意のアリールおよびヘテロシクリルは、任意で置換されたアリールおよびヘテロシクリルに以下に具体的に記載されるように置換されてもよい)からなる群から選択される基で置換されてもよいことである。
【0056】
「ハロゲン」には、フルオロ, クロロ, ブロモ, および ヨードが含まれる。
【0057】
本明細書において使用される場合、「アリール(aryl)」の用語は、完全に又は部分的に芳香族の環状炭素または環系(ring system)、例えば、フェニル, ナフチル, 1,2,3,4-テトラヒドロナフチル, アントラシル(anthracyl), フェナントラシル(phenanthracyl), ピレニル, ベンゾピレニル, フルオレニルおよびキサンテニル(xanthenyl)を意味し、その中でもフェニルが好適な例である。
【0058】
「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」の用語は、飽和の、部分的に不飽和の、部分的に芳香族の又は完全に芳香族の環状炭素または環系であって、1以上の炭素原子がヘテロ原子、例えば、窒素(=N-または-NH)、イオウ(-S-)、および/または酸素(-O-)原子で置換されているものを意味する。係るヘテロシクリルの例は、オキサゾリル, オキサゾリニル(oxazolinyl), オキサゾリジニル(oxazolidinyl), イソキサゾリル, イソキサゾリニル(isoxazolinyl), イソオキサゾリジニル(isoxazolidinyl), オキサジアゾリル(oxadiazolyl), オキサジアゾリニル(oxadiazolinyl), オキサジアゾリジニル(oxadiazolidinyl), チアゾリル, イソチアゾリル, ピロリル, ピロリニル(pyrrolinyl), ピロリジニル, イミダゾリル, イミダゾリニル(imidazolinyl), イミダゾリジニル(imidazolidinyl), ピラゾリル, ピリジニル, ピラジニル(pyrazinyl), ピリダジニル(pyridazinyl), ピペリジニル, クマリル(coumaryl), フリル, キノリル, ベンゾチアゾリル, ベンゾトリアゾリル, ベンゾジアゾリル(benzodiazolyl), ベンゾキソゾリル(benzoxozolyl), ジアゾリル(diazolyl), ジアゾリニル(diazolinyl), ジアゾリジニル(diazolidinyl), トリアゾリル(triazolyl), トリアゾリニル(triazolinyl), トリアゾリジニル(triazolidinyl), テトラゾール, などである。好適なヘテロシクリル基は、5-, 6- または7-員の単環の基であり、例えば、イソキサゾリル(isoxazolyl), イソキサゾリニル(isoxazolinyl), オキサジアゾリル(oxadiazolyl), オキサジアゾリニル(oxadiazolinyl), ピロリル(pyrrolyl), ピロリニル(pyrrolinyl), ジアゾリル(diazolyl), ジアゾリニル(diazolinyl), トリアゾリル(triazolyl), トリアゾリニル(triazolinyl), イミダゾリル, イミダゾリニル(imidazolinyl), などである。
【0059】
「複素環(heterocyclic ring)」の用語は、「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」と規定されたものに対応している環を意味する。
【0060】
「アリール」、「ヘテロシクリル」、および「複素環」の用語と関連して、「任意で置換された(optionally substituted)」の用語は、次の事項を意味する;その事項とは、問題の基が、1回または複数回(好ましくは1〜3回)、ヒドロキシ〔エノール系に存在する場合、互変異性(tautomeric)のケト型で存在してもよい〕, C1-6-アルキル, C2-6-アルケニル, フェニル, ベンジル, C1-6-アルコキシ, オキソ(互変異性のエノール型で存在してもよい), カルボキシル, C1-6-アルコキシカルボニル, C1-6-アルキルカルボニル, アミノ, モノおよびジ(C1-6-アルキル)アミノ, ジハロゲン-C1-4-アルキル, トリハロゲン(trihalogen)-C1-4-アルキル, およびハロゲンから選択される基で置換されてもよいことである。置換基の最も典型的な例は、ヒドロキシル, C1-4-アルキル, フェニル, ベンジル, C1-4-アルコキシ, オキソ, アミノ, モノおよびジメチルアミノおよびハロゲンである。
【0061】
R1およびR2は独立に水素, 任意で置換されたC1-6-アルキル, 任意で置換されたC2-6-アルケニル, 任意で置換されたアリール, 任意で置換されたヘテロシクリルからなる群から選択しえるとの事実に加えて、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフの一部が複素環の一部であってもよいが、前記モチーフの他の部分がそれぞれZ1, Z2, R1およびR2に対し規定された意味を有する可能性もある。幾つかの興味深い態様において、-C=N-Z1-R1は、1,2-ジアゾール環, イソキサゾール環, 1,2,4-トリアゾール環からなる群から選択される複素環の一部を形成してもよい。また、1,2,4-オキサジアゾール環または-C-NH-Z2-R2は、1,2-ジアゾリン環(diazoline ring), イソキサゾリン環, 1,2,4-トリアゾリン環, および1,2,4-オキサジアゾリン環(oxadiazoline ring)からなる群から選択される複素環の一部を形成してもよい。係る複素環は、上記のように置換されてもよい。
【0062】
幾つかの態様において、少なくとも1つのR1およびR2は、水素であり、例えば、両方が水素である。さらに幾つかの態様において(上記の態様と組合わせてもよい)、少なくとも1つのZ1およびZ2は、単結合であり、例えば、両方が単結合である。特殊な態様において、R1およびR2は両方が水素であり、Z1およびZ2は両方が単結合である。
【0063】
-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2 モチーフが、安定化剤(iiic)の安定化効果に特に重要であることが信じられている。特に、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフが、VII因子ポリペプチドの基質のアルギニン部分を模倣(mimics)することが信じられている。
【0064】
より具体的な態様において、安定化剤(iiic)は、-C-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでいるアミジン化合物および>N-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでいるグアニジン化合物からなる群から選択される少なくとも1つである。
【0065】
幾つかの態様において、安定化剤(iiic)はモチーフ-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を含んでいるベンザミジンからなる群から選択される少なくとも1つのアミジン化合物であり、式中のC6H4はベンザミジン(R1およびR2が水素であり、Z1およびZ2が単結合である)が特定の態様を構成する任意で置換されたベンゼン環を意味する。
【0066】
他の特定の態様において、前記ベンザミジンは、モチーフ >N-C6H4-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を具備する;式中のC6H4は、任意で置換されたベンゼン環〔即ち、o-アミノ-ベンザミジン, m-アミノ-ベンザミジンまたはp-アミノ-ベンザミジン、その中でもp-アミノ-ベンザミジン(例えば、p-アミノ-ベンザミジン)が現在最も有望なものである〕を意味する。
【0067】
パラアミノ-ベンズアミジンの更なる例示は、アベンティスによってEP1162194A1(特に、請求項1〜6に規定されたものおよび[0009]〜[0052]を参照されたい)およびEP1270551A1(特に、請求項1および2および[0010]〜[0032]を参照されたい)に開示されたものである。
【0068】
別の態様において、安定化剤(iiic)は、-CH2-NH-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2モチーフを含んでいるグアニジン化合物からなる群から選択される少なくとも1つのグアニジン化合物である。グアニジン化合物の例は、アルギニン、アルギニン誘導体、及び少なくとも1つのアルギニン化合物を含んでいる2〜5つのアミノ酸残基のペプチドからなる群から選択されるものである。アルギニンは、特定の態様を構成する。
【0069】
「アルギニン誘導体(arginine derivatives)」の用語は、アルギニンホモログ(arginine homologues)、N末端機能化アルギニン(例えば、N-メチル化およびN-アシル化(例えば、アセチル化)誘導体)、C末端機能化アルギニン(例えば、C-アミド化, C-アルキルアミド化、およびC-アルキル化誘導体)、及びその組み合わせを包含する。
【0070】
上述したように、安定化剤の1つの重大なモチーフは、-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2である。安定化剤の他の部分も重要であってもよい(特に、安定化効果の至適化および患者による耐性に関連して)。典型的には、安定化剤は、式Y-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2を有し、式中のYは有機物のラジカルである。典型的には、ラジカルYは、安定化効果の効率を改善するために選択される。また、ラジカルYは、式-C(=N-Z1-R1)-NH-Z2-R2の1以上のさらなるモチーフを具備してもよい。
【0071】
安定化剤の分子量は、典型的には多くとも1000 Da(例えば、多くとも500Da)である。
【0072】
安定化剤(iiic)の濃度は、典型的には少なくとも1μMである。望ましい(または必要な)濃度は、典型的には選択された安定化剤に依存し、より具体的にはVII因子ポリペプチドに対する選択された安定化剤の結合親和性に依存する。
【0073】
異なる態様において、安定化剤(iiic)は、少なくとも5 μM, 少なくとも10 μM, 少なくとも20 μM, 少なくとも50 μM, 少なくとも100 μM, 少なくとも150 μM, 少なくとも250 μM, 少なくとも500 μM, 少なくとも1 mM, 少なくとも2 mM, 少なくとも4 mM, 少なくとも5 mM, 少なくとも8 mM, 少なくとも9 mM, 少なくとも10 mM, 少なくとも15 mM, 少なくとも20 mM, 例えば、次の範囲20〜2000 μM, 50〜5000 μM, 0.1〜10 mM, 0.2〜20 mM, または0.5〜50 mMの濃度で存在する。
【0074】
様々な態様において、安定化剤(iii)およびFVIIポリペプチドの間のモル比(剤(iiic):FVII)は、0.1以上, 0.5以上, 1以上, 2以上, 5以上, 10以上, 25以上, 100以上, 250以上, 1000以上, 2500以上, または5000以上, 例えば、0.1〜10000, 0.1〜5000, 0.1〜2500, 0.1〜1000, 0.1〜250, 0.1〜100, 0.1〜25, 0.1〜10, 0.5〜10000, 0.5〜5000, 0.5〜2500, 0.5〜1000, 0.5〜250, 0.5〜100, 0.5〜25, 0.5〜10, 1〜10000, 1〜5000, 1〜2500, 1〜1000, 1〜250, 1〜100; 1〜25; 1〜10, 10〜10000, 10〜5000, 10〜250, 1000〜10000, または1000〜5000などの範囲である。
【0075】
一態様において、安定化剤(iiic)はベンズアミジンであり、該薬剤の濃度は少なくとも 0.5 mM(例えば、少なくとも 2 mM)である。しかしながら、より低い濃度で添加することができるとの理由から、置換型のベンズアミジンがより強力であろうことが想定される。
【0076】
一態様において、安定化剤(iiic)はアルギニンであり、該薬剤の濃度は少なくとも 2 mM(例えば、少なくとも 10 mM)である。
前述の安定化剤(iiia)、(iiib)、および(iiic)は、組み合わせて使用できることが理解されるべきである。
【0077】
他の添加物
また、前記組成物は、更に張性を修飾する薬剤(v)を含んでもよい。
【0078】
本明細書中に使用される、「張性を修飾する薬剤(tonicity modifying agent)」の用語は、重量モル浸透圧濃度(osmolality)に寄与する薬剤を含む。張性を修飾する薬剤(v)には、中性塩, アミノ酸, 2〜5アミノ酸残基のペプチド, 単糖, 二糖類, ポリサッカライド, および糖アルコールからなる群から選択される少なくとも1つの薬剤が含まれる。幾つかの態様において、前記組成物は、2以上の係る薬剤の組み合わせを含む。
【0079】
「中性塩(neutral salt)」は、水溶液に溶解させた場合に、酸でも塩基でもない塩を意味する。
【0080】
一態様において、少なくとも1つの張性を修飾する薬剤(v)は、ナトリウム塩, カリウム塩, カルシウム塩, および マグネシウム塩, 例えば、塩化ナトリウム, 塩化カリウム , 塩化カルシウム, 酢酸カルシウム, グルコン酸カルシウム, カルシウム ラエブレート, 塩化マグネシウム, 酢酸マグネシウム, グルコン酸マグネシウム, およびマグネシウム ラエブレート(magnesium laevulate)からなる群から選択される中性塩である。
【0081】
更なる一態様において、張性を修飾する薬剤(v)には、塩化ナトリウムと、塩化カルシウム, 酢酸カルシウム, 塩化マグネシウムおよび酢酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも1つとの組み合わせが含まれる。
【0082】
なお更なる態様において、張性を修飾する薬剤(v)は、塩化ナトリウム, 塩化カルシウム, スクロース, グルコース, および マンニトールからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0083】
異なる態様において、張性を修飾する薬剤(v)は、少なくとも1 mM, 少なくとも5 mM, 少なくとも10 mM, 少なくとも20 mM, 少なくとも50 mM, 少なくとも100 mM, 少なくとも200 mM, 少なくとも400 mM, 少なくとも800 mM, 少なくとも1000 mM, 少なくとも1200 mM, 少なくとも1500 mM, 少なくとも1800 mM, 少なくとも2000 mM, または少なくとも2200 mMの濃度で存在する。
【0084】
1シリーズの態様において、張性を修飾する薬剤(v)は、5〜2200 mM, 例えば、 25〜2200 mM, 50〜2200 mM, 100〜2200 mM, 200〜2200 mM, 400〜2200 mM, 600〜2200 mM, 800〜2200 mM, 1000〜2200 mM, 1200〜2200 mM, 1400〜2200 mM, 1600〜2200 mM, 1800〜2200 mM, または2000〜2200 mM; 5〜1800 mM, 25〜1800 mM, 50〜1800 mM, 100〜1800 mM, 200〜1800 mM, 400〜1800 mM, 600〜1800 mM, 800〜1800 mM, 1000〜1800 mM, 1200〜1800 mM, 1400〜1800 mM, 1600〜1800 mM; 5〜1500 mM, 25〜1400 mM, 50〜1500 mM, 100〜1500 mM, 200〜1500 mM, 400〜1500 mM, 600〜1500 mM, 800〜1500 mM, 1000〜1500 mM, 1200〜1500 mM; 5〜1200 mM, 25〜1200 mM, 50〜1200 mM, 100〜1200 mM, 200〜1200 mM, 400〜1200 mM, 600〜1200 mM, または800〜1200 mMの範囲の濃度で存在する。
【0085】
本発明の好適な態様において、少なくとも1つの張性を修飾する薬剤(v)は、イオン強度を修飾する薬剤(iv)である。
【0086】
最も好ましくは、本発明の容器の組成物には、イオン強度を修飾する薬剤(iv)が含まれる。従って、水溶液は、好ましくは1以上のイオン強度を修飾する薬剤(iv)、同様に、イオン強度を修飾する薬剤ではない1以上の張性を修飾する薬剤を含む。
【0087】
本明細書中に使用される、「イオン強度を修飾する薬剤(ionic strength modifying agent)」の用語は、溶液のイオン強度に寄与する薬剤を含む。前記薬剤には、中性の塩, アミノ酸, 2〜5のアミノ酸残基のペプチドが含まれるが、これらに限定されない。幾つかの態様において、前記組成物は、2以上の係る薬剤の組み合わせを含む。
【0088】
イオン強度を修飾する薬剤(iv)の好適な例は、中性塩、例えば、塩化ナトリウム, 塩化カリウム, 塩化カルシウムおよび塩化マグネシウム〔後者2つは、「安定化剤」として考慮してもよい(上記を参照されたい)〕である。好適な薬剤(iv)は、塩化ナトリウムである。
【0089】
「イオン強度(ionic strength)」の用語は溶液のイオン強度であり、(μ)は式:μ=1/2Σ([i](Zi2))で規定され、式中のμはイオン強度であり、[i]はイオンのミリモル濃度であり、Ziはそのイオンの電荷(+または-)である(例えば、Solomon, Journal of Chemical Education, 78(12):1691-92, 2001; James Fritz and George Schenk: Quantitative Analytical Chemistry, 1979を参照されたい)。
【0090】
本発明の一態様において、水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mM(例えば、少なくとも約 100 mM)である。本発明の異なる態様において、水溶液のイオン強度は、少なくとも200 mM, 例えば、少なくとも400 mM, 例えば少なくとも800 mM, 少なくとも1000 mM, 少なくとも1200 mM, 少なくとも1500 mM, 少なくとも1800 mM, 少なくとも2000 mM, または少なくとも2200 mMである。その特殊なバリアントにおいて、安定化剤(iiia)(即ち、カルシウム塩およびマグネシウム塩)の水溶液中の濃度は、15 mM未満であるが、少なくとも100 mM NaClの共存在(concurrent presence)を伴う。
【0091】
幾つかの特定の態様において、張性を修飾する薬剤(v)およびイオン強度を修飾する薬剤(iv)の総濃度(total concentration)は、張性およびイオン強度において任意の他の構成成分が有するであろう影響に依存して、1〜500 mMの範囲、例えば、1〜300 mMの範囲、または10〜200 mMの範囲、または20〜150 mMの範囲である。
【0092】
一態様において、前記組成物は等張性である;別の態様において、それは高浸透圧性である。
【0093】
「等張性(isotonic)」の用語は、「血清と等張」であること、即ち、約 300±50 ミリオスモル/kgを意味する。張性(tonicity)は、投与前の溶液の重量モル浸透圧濃度の尺度(a measure)を意図している。「高浸透圧性(hypertonic)」の用語は、血清の生理学的なレベルを超える重量モル浸透圧濃度のレベル、例えば、 300 ± 50 ミリオスモル/kgを超えるレベルを意味する。
【0094】
また、組成物は、非イオン性界面活性剤を含む。一般的に「界面活性剤(Surfactants)」〔洗剤(detergents)としても知られる〕は、タンパク質を、空気/溶液界面により誘導されるストレスおよび溶液/表面により誘導されるストレス(例えば、タンパク質凝集を生じる)から防御する薬剤を含む。
【0095】
典型的なタイプの非イオン性の界面活性剤は、ポリソルベート, ポロキサマー, ポリオキシエチレンアルキルエーテル, ポリエチレン/ポリプロピレンブロックコポリマー(polyethylene/polypropylene block co-polymers), ポリエチレングリコール(PEG), ステアリン酸ポリオキシエチレン(polyxyethylene stearates), およびポリオキシエチレンヒマシ油(polyoxyethylene castor oils)である。
【0096】
非イオン性界面活性剤の例示は、Tween(登録商標), ポリソルベート 20, ポリソルベート80, Brij-35(ポリオキシエチレンドデシルエーテル), ポロキサマー188, ポロキサマー407, PEG8000, Pluronic(登録商標)ポリオール, ポリオキシ-23-ラウリルエーテル, Myrj49, およびCremophorAである。
【0097】
一態様において、非イオン性界面活性剤は、0.005〜2.0%重量の量で存在する。
【0098】
更なる態様において、組成物は、更に抗酸化剤(vi)を含む。異なる態様において、抗酸化剤は、L-メチオニン、D-メチオニン、メチオニン アナログ、メチオニン含有ペプチド(methionine-containing peptides)、メチオニン―ホモログ(methionine-homologues)、アスコルビン酸、システイン、ホモシステイン、グルタチオン、シスチン、およびシスタチオニンからなる群から選択される。好適な態様において、抗酸化剤は、L-メチオニンである。
【0099】
抗酸化剤(vi)の濃度は、典型的には0.1〜5.0 mg/mLの範囲、例えば、0.1〜4.0 mg/mLの範囲、0.1〜3.0 mg/mLの範囲、0.1〜2.0 mg/mLの範囲, または0.5〜2.0 mg/mLの範囲である。
【0100】
特定の態様において、組成物は、抗酸化剤を含まない;代わりに、酸化に対するVII因子ポリペプチドの感受性は、空気の排除によって調節される。抗酸化剤の使用は、もちろん空気の排除と組み合わせてもよい。
【0101】
本発明の容器に有用な水溶液は、好ましくは5 mg/mLを超える, または6 mg/mLを超える、例えば、7 mg/mLを超える, または8 mg/mLを超える, または9 mg/mLを超える, または10 mg/mLを超える活性化型のVII因子ポリペプチドの濃度を有することが信じられている。
【0102】
前記容器内の可溶化型の組成物は、好ましくは活性化型のVII因子ポリペプチドが本明細書で規定する「安定」であるものである。
【0103】
閉鎖容器の多様な態様は、特に興味深いものと思われ、例えば、以下のものである:
(i)本明細書中で規定される容器であって、水溶液は以下を含む容器:
少なくとも 2.5 mg/mL容器容量の活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
ここで前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである。
【0104】
(ii)本明細書中で規定される容器であって、水溶液は以下を含む容器:
少なくとも 2.5 mg/mL容器容量の活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも 15 mMの範囲の濃度のカルシウム塩から選択される少なくとも1つの 安定化剤(iiia);
ここで前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである;
(iii)本明細書中で規定される容器であって、水溶液は以下を含む容器:
少なくとも 2.5 mg/mL容器容量の活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも1つの二価の第1の遷移系列金属型の安定化剤(iiib)であって、安定化剤(iiib)およびFVIIポリペプチドの間のモル比が0.5を超える安定化剤;
ここで前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである;並びに
(iv)本明細書中で規定される容器であって、水溶液は以下を含む容器:
少なくとも 2.5 mg/mL容器容量の活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも1つのベンザミジン/アルギニン型の安定化剤(iiic)であって、安定化剤(iiic)およびFVIIポリペプチドの間のモル比が0.1を超える安定化剤;
ここで前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである。
【0105】
乾燥形態の組成物
別の態様において、組成物は、乾燥形態であり;特に、組成物は、約 3%以下の含水量(moisture content)を有している。好ましくは、組成物は、凍結乾燥形態である。
【0106】
フリーズドライ法に関連するデグラデーションおよび剪断力に対して組成物を安定化するために、少なくとも1つの安定性薬剤(stability agent)を含むことが有利であり、この安定性薬剤は特に、a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;並びにe)メチオニンからなる群から選択される少なくとも1つの安定性薬剤である。
【0107】
活性化型のVII因子ポリペプチドの凍結乾燥された組成物の安定化は、WO 2004/000347(該文献は、本明細書中に参照によって援用される)に更に詳細に記載されている。
【0108】
産物の使用前、凍結乾燥された組成物は、所望の治療上の適用のために有用な液体に再構成される(典型的には水性の緩衝剤)。係る水性の緩衝剤は、上記のとおり、水性の溶媒, 緩衝剤(ii), 1以上の安定化剤(iii), 1以上の張性を修飾する薬剤(v), 1以上のイオン強度を修飾する薬剤(iv), 抗酸化剤(vi)などを含んでもよい。
【0109】
特に、前記容器(その「乾燥」組成物と共に)は、前記組成物を水溶液で再構成した後に上記のような容器を生じる。
【0110】
前記容器内の乾燥組成物は、好ましくは活性化型のVII因子ポリペプチドが、本明細書で規定する「安定な(stable)」ものである。
【0111】
活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を保持している容器の調製
本発明の閉鎖容器は、以下の記載から明らかにされる様々な様式で調製しえる。典型的には、閉鎖容器を調製する方法は、次の工程を備える:(i)活性化型のVII因子ポリペプチドを濃縮された形態にすること(establishing);(ii)適切な容器に事前に存在していない場合、濃縮されたVII因子ポリペプチド(典型的には溶液中)の少なくとも一部を、前記容器が2.5〜90 mgの活性化型のVII因子ポリペプチド/mLの容器の容量の範囲を含むように前記容器に負荷すること(loading);(iii)任意で濃縮されたVII因子ポリペプチドを凍結乾燥すること;および(iv)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること(sealing)。
【0112】
ad(i)
VII因子ポリペプチドの濃縮物を取得するための様々な適切な方法の例が、さらに以下に記載される。
【0113】
ad(ii)
適切な容器に事前に存在しない場合、濃縮されたVII因子ポリペプチド(濃縮物)の少なくとも一部を、前記容器が2.5〜90 mgの活性化型のVII因子ポリペプチド/mLの容器の容量の範囲を含むように前記容器に負荷する。負荷前または負荷と共に、濃縮物は、上記のとおり、緩衝剤(ii), 1以上の安定化剤(iii), 1以上の張性を修飾する薬剤(v), 1以上のイオン強度を修飾する薬剤(iv), 抗酸化剤(vi)などの付加によって修飾されてもよい;産物は、前記容器に貯蔵するための適切な産物を供給するために、クロマトグラフィー法, 機械的な方法〔例えば、濾過、例えば、濾過滅菌(sterile filtration)またはウイルス濾過(virus filtration)〕などで更に精製されてもよい。係る閉鎖容器は、好ましくは上記のようなものである。
【0114】
ad(iii)
幾つかの重要な態様において、濃縮物〔おそらく上記の(ii)で記載されたとおりの修飾の後に〕は、前記容器への負荷後に、上記のとおり再構成されえる貯蔵のための乾燥製品(上記の記載をも参照されたい)を得るためにフリーズドライしてもよい。
【0115】
典型的には、前記容器は、バイアル, カープル, シリンジ, などである。一態様において、前記容器は、少なくとも2つの区画(例えば、カープル)を有し、このうちの第1の区画(compartment)が活性化型のVII因子ポリペプチドを保持する。その態様のバリアントにおいて、第1の区画の活性化型のVII因子ポリペプチドは、凍結乾燥形態(lyophilized form)であり、第2の区画は前記活性化型のVII因子ポリペプチドのための水性溶媒(aqueous solvent)を保持する。その態様の別のバリアントにおいて、第1の区画の活性化型のVII因子ポリペプチドは、水溶液に存在し、第2の区画は前記活性化型のVII因子ポリペプチドのための水性溶媒を保持する。両方の例において、上記のような、即時使用可能な組成物を調製できることが目標である。
【0116】
ad(iv)
最終的な工程として、前記容器は、従来の手段で閉鎖容器を提供するために(例えば、バイアル、カープルなどを形成するために)閉鎖またはシールされる。前記容器は、引き続いて標識および充填(packed)されてもよい。
【0117】
陰イオン交換クロマトグラフィー(AIEC)
重要なバリアントにおいて、濃縮物は陰イオン交換体で取得され、既定のpHの緩衝剤で洗浄および/または溶出することが含まれる。
【0118】
本発明の本側面によれば、少なくとも 16 mg/mLまでのVII因子ポリペプチド濃度を得ることは確実に可能である(cf. 実験の部分);また、本明細書中に記載されるガイドラインによるさらなる最適化によって、本明細書中で規定されるとおり、活性化型のVII因子ポリペプチドの量が2.5〜90 mg/mL容量の範囲である閉鎖容器を調製するために適切な濃度の提供を可能とすることが予見(envisaged)される。
【0119】
1つの主要なバリアントにおいて、VII因子ポリペプチドの原薬(drug substance)、前記原薬を濃縮するための方法は、以下の工程を備える:
(a)前記原薬を陰イオン交換体と、前記原薬の一部と前記陰イオン交換体との結合が促進される条件下で接触させること(この工程は、「負荷(load)」とも称される);
(b)前記陰イオン交換体を、5.5〜7.0の範囲のpHを有している又は8.5〜9.5の範囲で1〜7 mM Ca2+が存在する洗浄緩衝剤で洗浄すること;および
(c)前記陰イオン交換体を、3.0〜7.0の範囲のpHを有している溶出緩衝剤で溶出すること、および負荷と比較して、VII因子ポリペプチドのより濃縮された溶液を溶出液として収集すること。
【0120】
濃縮されたVII因子ポリペプチドをAIECによって取得するための必要条件(prerequisite)は、洗浄および溶出の間にVII因子ポリペプチドの至適な溶解性を維持している間の溶出力(eluting strength)の増強である。これは、例えば、以下によって得られる:
(a)pHを負荷の間に約 5.5〜7.0で、又は8.5〜9.5の範囲で1〜7 mM Ca2+を存在させて保持すること(holding)。
【0121】
(b)イオン強度を洗浄の間に40〜250 mM(例えば、NaCl), 好ましくは 75〜100 mM(150 mMを超えるイオン強度は、VII因子ポリペプチドの「出血(bleeding)」に起因する可能性がある)に維持すること(keeping);および
(c)カルシウム濃度および/またはイオン強度(例えば、NaCl)を、溶出の間に増加させることおよび/またはpHを溶出の間に、5.0〜7.0の範囲から3.0〜4.9の範囲へと(例えば、グラジエントで又はステップで)低下させること
【0122】
これに限定されないが、AIEC法は、特に「工業規模(industrial-scale)」の(または「大規模(large-scale)」)のVII因子ポリペプチドの原薬のために実行できる。「工業規模」の用語は、典型的には液体のVII因子ポリペプチド組成物の容量が少なくとも100 L, 例えば少なくとも500 L, 例えば、 少なくとも1000 L, または少なくとも5000 Lである方法を又は前記組成物の重量が少なくとも100 kg, 例えば少なくとも500 kg, 例えば、 少なくとも1000 kg, または少なくとも5000 kgである方法を意味する。
【0123】
工程(a) 原薬を陰イオン交換体と接触させること
前記方法の第1工程において、VII因子ポリペプチドの原薬は、陰イオン交換体と接触される。目標は、VII因子ポリペプチドの前記原薬の一部と前記陰イオン交換体との結合を促進することである。
【0124】
工程(a)に関連する「一部(portion)」の用語は、VII因子ポリペプチドの原薬に存在する少なくとも 30%(即ち、30〜100%)の質量のVII因子ポリペプチドを意味する。大抵の場合、30%の質量のVII因子ポリペプチドよりもずっと多く(例えば、少なくとも50%, または少なくとも70%, または主な部分)が結合することが望ましいと理解されるべきである。「主な部分(predominant portion)」の用語は、VII因子ポリペプチドの原薬に存在する少なくとも 90%の質量のVII因子ポリペプチドを意味する。好ましくは、さらに多くの部分が陰イオン交換体に結合し、例えば、少なくとも 95%の質量, または少なくとも 98%の質量, または少なくとも 99%の質量, または更にはVII因子ポリペプチドの原薬に存在する実質的に全ての質量のVII因子ポリペプチドが結合する。
【0125】
VII因子ポリペプチドの原薬は、典型的には工業規模の生産方法に由来する〔例えば、細胞培養、クローン化された動物(例えば、ウシ, ブタ, ヒツジ, ヤギ, および魚)または昆虫などであり、特に細胞培養に由来する〕。
【0126】
陰イオン交換体は、好ましくは強陰イオン交換体(例えば、四級アンモニウム基を有している陰イオン交換体)である。係る交換体の市販の例は、Amersham BiosciencesのQ-Sepharose Fast Flow, Q-Sepharose High Performance およびMono Q、PerSeptive BiosystemsのPOROS HQ 50、並びにTosoh BiosciencesのToyopearl Superである。
【0127】
陰イオン交換体の最も一般的な配置(arrangement)は、カラムの型式である。バッチ容器の配置も、もちろん可能である。
【0128】
VII因子ポリペプチドの原薬は、典型的には先行する精製工程から直接的に取得される又は先行する精製工程に引き続くpH、イオン強度の調整、二価金属イオンのキレート化などの必要な処理と共に取得される。
【0129】
陰イオン交換体への適用の前後の原薬のpHは、デグラデーション産物(例えば、desGla-VII因子および重鎖デグラデーション)の形成に影響する。従って、原薬は、液体形態で、陰イオン交換体への適用の際に5.5〜7.0の範囲(例えば、5.7〜6.5, 特に5.8〜6.5 または5.5〜6.2)のpHを有することが好ましい。約 5.5未満のpH値に対し、ダイマー形成の傾向は明らかとなる(特にカルシウムなし)。或いは、負荷する溶液は、8.5〜9.5の範囲のpHで少量のカルシウム(例えば、1-7 mM)が存在する。
【0130】
典型的には、伝導度は、2〜30 mS/cmの範囲(例えば5〜15 mS/cm)である。原薬の温度は、典型的には0〜15゜C(例えば、2〜10゜Cの付近)である。
【0131】
VII因子ポリペプチドが結合した陰イオン交換体の温度は、典型的には0〜15゜C(例えば、2〜10゜Cの付近)であり、冷却ジャケットおよび温度の調節された溶液を用いることによって特定の範囲内に維持される。
【0132】
VII因子ポリペプチドの原薬を接触させることは、典型的には従来のプロトコールにより実施される。即ち、原薬の濃度, 温度, イオン強度などは通常どおりで、陰イオン交換体が、洗浄され、適用前に通常どおり平衡化されてもよい。
【0133】
VII因子ポリペプチドの負荷は、典型的には10〜40 g(例えば、15〜30 g)の範囲のVII因子ポリペプチドをマトリックス(湿性形態での陰イオン交換体)のリットル毎であり、原薬は典型的には3〜200 カラム容量/毎時の流速で適用される。
【0134】
工程(b) 洗浄工程
VII因子ポリペプチドの原薬が陰イオン交換体へ結合した後、洗浄工程(b)は、溶出の開始前にVII因子ポリペプチドを至適に溶解させるための適切なイオン強度を適用するために実施される。また、pH <7.0で実施される場合、本工程によってdesGla-VII因子の除去が提供される。
【0135】
この洗浄工程(b)は、好ましくは5.5〜7.0の範囲のpHを有している洗浄緩衝剤でなされる。幾つかの重要な態様において、洗浄緩衝剤は、多くとも6.8、または多くとも6.7、または多くとも6.6、または多くとも6.5、または多くとも6.4のpHを有する。好ましくは、pHは、5.7〜6.5(特に5.8〜6.5または5.5〜6.2)の範囲である。幾つかの重要な態様において、例えば、7 mMまでの少量のカルシウムの存在下における負荷で、洗浄の間のpHは、約pH 9.0〜pH 5.5〜7.0で変化する。
【0136】
洗浄工程(b)は、典型的には3〜200 カラム容量/毎時で実施される。
【0137】
洗浄緩衝剤は典型的には緩衝剤を含んでいる水溶液であり、典型的には緩衝剤はMES, PIPES, ACES, BES, TES, HEPES, TRIS, ヒスチジン, イミダゾール, グリシン, グリシルグリシン, グリシンアミド, リン酸, 酢酸(例えば、酢酸ナトリウム), 乳酸, グルタル酸, クエン酸, 酒石酸, リンゴ酸, マレイン酸, およびコハク酸の酸または塩からなる群から選択される、少なくとも1つの成分を含んでいる。前記緩衝剤は、2以上の成分の混合物を具備してもよい(ここで、前記混合物は、特定範囲のpH値を提供することができる)ことが理解されるべきである。例として、酢酸および酢酸ナトリウムなどを言及し得る。
【0138】
また、洗浄緩衝剤は塩などを含み、典型的にはVII因子ポリペプチドをカラムから溶出させるためには不十分な陰イオンの濃度であり、例えば、40〜250 mMのイオン強度に相当する。pH 6.0で、洗浄緩衝剤は、50〜250 mM NaCl, 約 10 mM ヒスチジン(緩衝剤), pH 6.0の組成を有してもよい。全ての状況において、洗浄緩衝剤のイオン強度は、VII因子ポリペプチドの最終的な沈殿を回避するために十分に高いことが重要であるが、VII因子ポリペプチドの浸出(bleeding)が開始するほど高くはない。
【0139】
洗浄工程(b)を、1、2、又は幾つかの異なる洗浄緩衝剤を用いることによって又は洗浄緩衝剤をグラジエントで適用することによって実施しえることを理解すべきである。
【0140】
工程(c) 溶出工程
洗浄工程の後 (c)、陰イオン交換体は溶出緩衝剤で溶出され、VII因子ポリペプチドの濃縮された原薬が溶出液として収集される。
【0141】
非常に多くの可変性(variability)が、溶出工程(c)に関して可能である。溶出をかなり急速に実施する場合、有意な量のdesGla-VII因子および重鎖デグラデーションの形成を抑制することができる(溶出をpH 7.0を超えて実施したとしても)。しかしながら、desGla-VII因子および重鎖デグラデーションの形成を回避するために、3.0〜7.0の範囲(例えば、4.0〜7.0の範囲)のpHを有することも好適である。幾つかの重要な態様において、溶出緩衝剤は、多くとも6.8、または多くとも6.7、または多くとも6.6、または多くとも6.5、または多くとも6.4のpHを有する。
【0142】
5〜25 mMの量のカルシウムイオンの存在によって、デグラデーションは減少すると思われる(イオン強度に関して以下のコメントをも参照されたい)。
【0143】
溶出工程(b)は、典型的には3〜200 カラム容量/毎時で実施される。
【0144】
二価の陽イオンを含んでいる溶出緩衝剤で、高濃度の特定の陰イオンを利用した競合的な溶出を行うこと、又はpHグラジエントを使用すること、又は上記のものの組み合わせなどの幾つかの様式で溶出を実施できる。
【0145】
一態様において、溶出は、1以上の二価の陽イオンを含んでいる溶出緩衝剤の手段でなされる。二価の陽イオンの濃度は、典型的には少なくとも5 mM, 例えば、少なくとも10 mM, 例えば、少なくとも15 mM, または少なくとも30 mMである。
【0146】
二価の陽イオンには、好ましくはCa2+, Sr2+, Mg2+, および Ba2+からなる群から選択される少なくとも1つの二価の陽イオンが含まれる。係る二価の陽イオンは、VII因子ポリペプチドのGla-ドメインに結合する傾向を有し、これによって陰イオン交換体からVII因子ポリペプチドの原薬の遊離が促進される。1つの好適な態様において、二価の陽イオンは、Ca2+を含む。
【0147】
溶出緩衝剤は、典型的には少なくとも 5 mM、例えば、5〜100 mMの範囲、例えば、10〜50 mMの範囲の二価の陽イオンの濃度を有する。
【0148】
1つのバリアントにおいて、溶出緩衝剤は、二価の陽イオン(例えば、Ca2+)に関連するグラジエント緩衝剤であり、例えば、二価の陽イオン(例えば、Ca2+)の初濃度が0〜20 mMの範囲であり、グラジエント緩衝剤の二価の陽イオン(例えば、Ca2+)の終濃度が15〜100 mMの範囲であるグラジエント緩衝剤である。
【0149】
別の態様において、溶出工程(c)は、1以上の陰イオン(例えば、1価の、2価の、または3価の陰イオン)での原薬の競合的な溶出によって実施される。係る陰イオンは、典型的には塩素イオン, 酢酸イオン, マロン酸イオン, リン酸イオン, 炭酸イオン, 硫酸イオン, および硝酸イオン;特に塩素イオン(Cl-), 酢酸イオンおよびマロン酸イオンからなる群から選択される。
【0150】
1つのバリアントにおいて、溶出緩衝剤は、100〜800 mM(例えば、 200〜500 mM)の範囲のCl-の濃度を有する。代わりに、溶出緩衝剤は、Cl-に関連するグラジエント緩衝剤であり、例えば、Cl-の初濃度が0〜300 mMの範囲であり、Cl-の終濃度が300〜1000 mMの範囲であるグラジエント緩衝剤である。
【0151】
更なるバリアントにおいて、溶出緩衝剤は、100〜800 mM(例えば、 200〜500 mM)の範囲のマロン酸イオンの濃度を有する。代わりに、溶出緩衝剤は、マロン酸イオンに関連するグラジエント緩衝剤であり、例えば、マロン酸イオンの初濃度が0〜300 mMの範囲であり、マロン酸イオンの終濃度が300〜1000 mMの範囲であるグラジエント緩衝剤である。
【0152】
なおさらなるバリアントにおいて、溶出緩衝剤は、100〜1000 mM(例えば、 400〜800 mM)の範囲の酢酸イオンの濃度を有する。代わりに、溶出緩衝剤は、酢酸イオンに関連するグラジエント緩衝剤であり、例えば、酢酸イオンの初濃度が0〜400 mMの範囲であり、酢酸イオンの終濃度が400〜1000 mMの範囲であるグラジエント緩衝剤である。
【0153】
さらに別の態様において、溶出緩衝剤は、pHに関連するグラジエント緩衝剤である。その1つのバリアントにおいて、グラジエント緩衝剤の初期pH(initial pH)は5.0〜7.0の範囲であり、グラジエント緩衝剤の最終pH(final pH)は3.0〜4.9の範囲である。
【0154】
溶出工程(c)に関連して、溶出緩衝剤のイオン強度は、100〜1000 mM(例えば、 200〜800 mM)(例えば、NaCl)の範囲であることが好適である。
【0155】
通常、陰イオン交換体は、一連の工程(a sequence of steps)に引き続き使用する目的で再生される。
【0156】
本方法は、VII因子ポリペプチドの濃縮された原薬を取得するために特に有用であり、pHに関連する工程(a)-(c)に関する条件が正しく選択される場合、VII因子ポリペプチド構造のデグラデーション産物の形成を最小化することが可能である。これによって前記方法の全収量が増加し、非常に高濃度のVII因子ポリペプチドを取得される。
【0157】
従って、本発明の好適な態様は、VII因子ポリペプチドの原薬を精製するための方法を提供し、該原薬は少なくとも 5 mg/mLのVII因子ポリペプチドの溶出液を含んでおり、該方法は以下の工程を備える:
(a)該原薬を陰イオン交換体と、該原薬の一部と前記陰イオン交換体との結合が促進される条件下で接触させること(該原薬は、液体形態であり、5.5〜7.0の範囲のpHを有するか、又は8.5〜9.5の範囲のpHで1〜7 mM Ca2+が存在する);
(b)前記陰イオン交換体を、5.5〜7.0の範囲のpHおよび75〜100 mM NaClの範囲のイオン強度を有している洗浄緩衝剤で洗浄すること;および
(c)前記陰イオン交換体を、2.0〜7.0の範囲のpHを有し、二価の陽イオン(例えば、カルシウム)を含んでいる溶出緩衝剤、100〜300 mM NaClの存在下で10〜30 mMの二価の陽イオンに関して溶出力を有している溶出緩衝剤で溶出すること;溶出のための二価の陽イオン単独を用いると、濃度は少なくとも50 mMであるべきである、並びに、VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を溶出液として収集すること(収集され精製された原薬は、少なくとも 5 mg/mLの濃度のFVIIaポリペプチドを含んでおり、FVIIaポリペプチドのデグラデーション産物が有意に増加することはない)。
【0158】
ヒドロキシアパタイト
上記のAIEC法の必要な変更を加えたバリアントにおいて、活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法は、必要な変更を加えて(mutatis mutandis)、以下の工程を備える:
(a)VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液とヒドロキシアパタイトとを、前記VII因子ポリペプチドの一部と前記ヒドロキシアパタイトとの結合が促進される条件下で接触させること(例えば、10 mM カルシウムの存在下で、約 15 mg/mL ゲルまで負荷される);
(b)任意で、前記ヒドロキシアパタイトを、洗浄緩衝剤で洗浄すること(例えば最初に、0.1 M リン酸塩, pH 6.8,および次に10 mM リン酸塩, pH 6.8);
(c)前記ヒドロキシアパタイトを、5.5〜7.0の範囲のpHを有している溶出緩衝剤で溶出すること、および活性化型のVII因子ポリペプチドの溶出物を収集すること;
(d)溶出物の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、溶出物を凍結乾燥すること;および
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【0159】
その1つのバリアントにおいて、8 mg/mLのバルク濃度を得ることが可能であった。
【0160】
限外濾過
限外濾過(UF)は、流体中の極度に小さい粒子および溶解分子を分離するために使用される圧力駆動(pressure-driven)での膜に基づく分離技術(a pressure-driven, membrane-based separation technique)である。分離の主な基礎は分子のサイズであるが、他の要素(例えば、分子の形および電荷)も役割を担いうる。膜孔よりも大きな分子は、膜の表面で停留し、限外濾過プロセスの間に濃縮される。ポンプを使用して、膜を横切る溶液の連続的な流れを生み出してもよく、膜の表面で濃縮された分子の蓄積が避けられ、水(または液体)および小分子(例えば、緩衝剤成分)を膜の孔をとおさせるために必要な圧力が生み出される。
【0161】
限外濾過膜の保持特性は、分子量カットオフ(MWCO)として表される。この値は、膜によって90%停留する希釈された球状の溶質(すなわち、典型的なタンパク質)の概算の分子量(MW)を示す。しかしながら、分子の形は、膜による保持に直接的な影響を有しえる。例えば、DNAのような直鎖状の分子は、同じ分子量の球状種を保持する孔をとおる通路をみいだすだろう。
【0162】
限外濾過プロセスで濃縮される開始組成物(starting composition)は、典型的には上記のAIEC法の開始組成物と同じ性質のものである。イオン強度は、典型的には40〜250 mMの範囲であり、上記の最終的な組成物に関して記載されたような、1以上の補助的な因子〔例えば、炭水化物(例えば、スクロース, マンニトール, など)〕、同様に、緩衝剤, 張性を修飾する薬剤およびイオン強度を修飾する薬剤を含むことが望ましい。開始組成物のpHは、典型的には5.5〜7.0の範囲(特に、5.5〜6.5の範囲)である。VII因子ポリペプチドの沈殿は、しばしば5.5未満のpHで観察される。代わりに、pHは、9.0〜10.0の範囲であってもよい。大抵の例において、方法を低温(例えば、0〜15゜Cの範囲, 例えば2〜10゜C付近)で行うことが好適である。
【0163】
限外濾過に関して、以下の3つの一般的な適用性が存在する:
1.濃度. 限外濾過は、希釈されたタンパク質を濃縮するための非常に効率的な方法である(通常、90%以上の回収率)。
【0164】
2.脱塩および緩衝剤交換(ダイアフィルトレーション)。限外濾過によって、塩を除去または交換するための、洗剤を除去するための、結合分子からの遊離物を分離するための、低分子量のものを除去するための、又はイオンの又はpHの環境を急速に変化させるための非常に簡便で効率的な方法が提供される。
【0165】
3.分画. 限外濾過によって、類似する分子量を有している2つの分子の明確な分離が達成されない。分離されるべき分子は、効果的な分離のためにサイズが少なくとも1桁(10X)異なっているべきである。
【0166】
限外濾過のより包括的な記述に関しては、例えば、Leos J. ZemanおよびAndrew L. Zydney〔“Microfiltration and ultrafiltration. Principles and Applications.” by Leos J. Zeman and Andrew L. Zydney. Marcel Dekker, Inc. 270 Madison Avenue, New York (1996)〕を参照されたい。
【0167】
以上より、本発明の容器は、以下の工程を備えている方法によって調製されてもよい:
(a)VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を、VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を得るために、限外濾過および/またはダイアフィルトレーションに供すること(subjecting);
(b)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(c)任意で、前記溶液を凍結乾燥すること;および
(d)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【0168】
沈殿
タンパク質の濃縮は、タンパク質を沈殿させることによって達成でき、次に沈殿物は小容量の同じ又は新しい緩衝剤に溶解される。沈殿は、pHを調整すること及び/又は沈殿剤(precipitating agent)を添加することによって行ってもよい。しかしながら、沈殿剤は、タンパク質に影響(変性、例えば、有機溶媒)し、沈殿物に残り(end up)、沈殿物を再溶解した後の溶液に残る。幾つかの沈殿剤は、タンパク質に非常に穏やかであり、むしろタンパク質を安定化する。そして、残留する沈殿剤は、その後、脱塩、ダイアフィルトレーション(緩衝剤の交換)、透析、またはフリーズドライ(エタノールのような有機溶媒を除去する)などによって除去されえる。
【0169】
PEGは、高度に可溶性で, 無電荷の, 引火性のポリマーであり、タンパク質を変性しないか又は変性が非常に僅かであるとの傾向を有する。従って、タンパク質をPEGによって、伝導性を増加させることなく安全で穏やかな様式で沈殿させることができる。
【0170】
タンパク質沈殿の共通の一般的な方法は、高濃度の塩での塩析であり、通常は硫酸アンモニウム(NH4)2SO4がその高い溶解性が理由で使用される。硫酸アンモニウムは、タンパク質と相互作用しなく、タンパク質に安定化効果を有しえることにおいても好適である。
【0171】
前記方法が行われる温度は、典型的には0〜15゜C(例えば、2〜10゜Cの付近)である。
【0172】
以上より、本発明による容器は、以下の工程を備えている方法によって調製されてもよい:
(a)VII因子ポリペプチドの沈殿を促進するために、硫酸アンモニウムの飽和溶液とVII因子ポリペプチドを含んでいる溶液とを組み合わせること;
(b)VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を調製するために、水性の溶媒中で沈殿したVII因子ポリペプチドを再溶解すること;
(c)任意で、前記濃縮された溶液を脱塩すること;
(d)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶液を凍結乾燥すること;および
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【0173】
凍結乾燥
凍結乾燥(またはフリーズドライ)は、昇華と呼ばれる物理学の単純な法則を用いて実施される。昇華は、中間の液相を通ることのない、固体から蒸気状態への物質の遷移(transition)である。水をタンパク質などの凍結した溶液から抽出するための凍結乾燥の方法は以下からなる:
1. 溶液中の水が氷となるように溶液を凍結させること;
2. 減圧下で、氷を直接的に水蒸気へと昇華させること;
3. 水蒸気を排気すること(Drawing off);
4. 氷が昇華したら、溶質(タンパク質)が、フリーズドライされ、回収することができる。
【0174】
フリーズドライのより包括的な記述に関しては、例えば、文献〔"Freeze-Drying/Lyophilization of Pharmaceutical and Biological Products, Second Edition, Series: Drugs and the Pharmaceutical Sciences, Volume: 137, Marcel Dekker, Inc. 270 Madison Avenue, New York (2004)〕を参照されたい。
【0175】
以上より、本発明による容器は、以下の工程を備えている方法によって調製されてもよい:
(a)約3%以下の含水量を有しているVII因子ポリペプチドの組成物を得るために、VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を凍結乾燥すること;
(b)VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を調製するために、水性の溶媒中で凍結乾燥したVII因子ポリペプチドを再溶解すること;
(c)任意で、前記濃縮された溶液を脱塩すること;
(d)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶液を凍結乾燥すること;および
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【0176】
活性化型のVII因子ポリペプチドの組成物を保持している容器の使用
閉鎖容器によって提示される医薬品は、かなり大量の活性化型のVII因子ポリペプチドを1つの容器で提供することができる治療上の適用に特に有用である。従って、本発明は、特に本明細書中で規定され、医薬として使用するための医薬品を提供する。より具体的には、凝固因子欠乏(例えば、血友病A、血友病B、凝固因子XI欠乏、凝固因子VII欠乏)によって;血小板減少症またはフォンウィルブランド病によって、または凝固因子インヒビターによって生じるもの、および大脳内出血(intra cerebral haemorrhage)、または任意の原因による過剰な出血が含まれる出血障害などのVII因子応答性症候群を治療するための医薬として使用するための医薬品を提供する。また、調製物は、手術または他の外傷(trauma)に関連する患者に、または抗凝固療法を受けている患者に投与され得る(特に、40μg/kg体重を超える用量が必要とされる症状)。
【0177】
「治療(treatment)」の用語は、前記疾患、コンディション(condition)、または障害(disorder)に対処する目的で、被験者(例えば、哺乳類、特にヒト)を管理およびケア(care)することと規定される;これには徴候(symptoms)または合併症(complications)の発症を阻止(prevent)するためにVII因子ポリペプチドを投与すること、または前記徴候もしくは合併症を緩和すること、または前記疾患、コンディション、もしくは障害を排除することが含まれる。VII因子ポリペプチドを含有している、本発明による薬学的組成物は、係る治療を必要とする被験者に非経口的に投与し得る。非経口投与は、皮下、筋肉内、または静脈内の注射で、注射器(自由選択で、ペン様の注射器)の手段によって実施し得る。或いは、非経口投与は、輸液ポンプの手段で実施することができる。
【0178】
重要な態様において、前記薬学的組成物は、当該技術分野において既知の方法による皮下、筋肉内、又は静脈内注射に適用される。
【0179】
キットおよび前記キットを使用するための方法
上記の観点において、本発明は、上記で規定した新規の容器を含んでいるキットをも提供する。従って、本発明は、(i)活性化型のVII因子ポリペプチドの固形の薬学的組成物を含有している第1閉鎖容器および(ii)前記固形の薬学的組成物のための液体で水性の溶媒を含有している第2容器を具備し、前記第1容器は2.5〜90mgの範囲で活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる組成物を前記第1容器のmL容量に保持するキットを提供する。
【0180】
第1容器(組成物および活性化型のVII因子ポリペプチド)は、一般的および特定的に閉鎖容器に関して上記で規定したとおりである。
【0181】
一態様において、第1容器および第2容器は、1つの区画が第1容器に対応し、もう1つの隣接する区画が第2容器に対応するカープルとして配置される。
【0182】
また、本発明は、キットの医薬用途、上記で規定されるキットから活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を調製するための方法を提供し、該方法は前記第1容器の固形の薬学的組成物を前記第2容器の液体で水性の溶媒の少なくとも一部(a fraction)と、活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を形成するように混合することを備える。
【0183】
前記方法の1つのバリアントにおいて、基本的に全ての第2容器の液体で水性の 溶媒が、第1容器の固形の薬学的組成物と混合される。
【0184】
活性化型のVII因子ポリペプチド
本明細書に使用される「FVII」、「VII因子ポリペプチド」または「FVIIポリペプチド」の用語は、野生型ヒトVIIa因子のアミノ酸配列1〜406(即ち、米国特許第4,784,950号に開示されたアミノ酸配列を有しているタンパク質)を含んでいる任意のタンパク質、そのバリアント、同様に、VII因子関連ポリペプチド、VII因子誘導体およびVII因子抱合体を意味する。これには、野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は改善された生物活性を呈している、FVIIバリアント(FVII variants)、VII因子関連ポリペプチド(Factor VII-related polypeptides)、VII因子誘導体およびVII因子抱合体(Factor VII conjugates)が含まれる。
【0185】
「VII因子(Factor VII)」の用語は、VII因子ポリペプチドの未切断(酵素前駆体)の形態、並びにタンパク質分解性にプロセスされてこれらのそれぞれの生理活性な形態に産生された、VIIa因子と称されるものを含むことが意図される。典型的には、VII因子は、残基152および153の間で切断されてVIIa因子を産出する。VII因子の係るバリアントは、ヒトVII因子と比較して、安定度、リン脂質結合、変更された比活性などを含む異なる特性を示してもよい。
【0186】
本明細書中に使用される、「野生型ヒトFVIIa(wild type human FVIIa)」は、米国特許第4,784,950号に開示されたアミノ酸配列を有しているポリペプチドである。
【0187】
本明細書中に使用される、「VII因子関連ポリペプチド(Factor VII-related polypeptides)」は、野生型VIIa因子の活性と比較して、実質的に修飾(例えば、還元)されたVIIa因子生物活性を有するバリアントを含むポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドには、特定のアミノ酸配列の変更を導入して、ポリペプチドの生理活性を修飾または崩壊(disrupt)させた、VII因子またはVIIa因子が限定されることなく含まれる。
【0188】
本明細書中に使用される「VII因子誘導体(Factor VII derivative)」の用語は、野生型VII因子と比べて実質的に同じか又は改善された生物活性を呈しているFVIIポリペプチドを意味することを意図しており、ここで親ペプチドの1以上のアミノ酸は、例えば、アルキル化、糖鎖形成、PEG化(PEGylation)、アシル化、エステル形成またはアミド形成などによって遺伝的および/または化学的および/または酵素的に修飾されている。これにはPEG化ヒトVIIa因子、システイン―PEG化ヒトVIIa因子及びそのバリアントが含まれるが、これらに限定されない。VII因子誘導体の非限定的な例には、WO03/31464および米国特許出願US 20040043446, US 20040063911, US 20040142856, US 20040137557, および US 20040132640 (Neose Technologies, Inc.)に開示された糖PEG化(GlycoPegylated)FVII誘導体;WO 01/04287, 米国特許出願20030165996, WO 01/58935, WO 03/93465 (Maxygen ApS)およびWO 02/02764, 米国特許出願20030211094(ミネソタ大学)に開示されたFVII抱合体が含まれる。
【0189】
「改善された生物活性(improved biological activity)」の用語は、i)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したタンパク分解活性を有するFVIIポリペプチドを、又はii)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチドを、又はiii)組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して実質的に同じか又は増加した血漿中の半減期を有するFVIIポリペプチドを意味する。「PEG化ヒトVIIa因子(PEGylated human Factor VIIa)」の用語は、ヒトVIIa因子ポリペプチドに結合されたPEG分子を有しているヒトVIIa因子を意味する。前記PEG分子は、VIIa因子ポリペプチドの任意のアミノ酸残基または炭水化物部分を含むVIIa因子ポリペプチドの任意の部分に付着しえることが理解される。「システイン―PEG化ヒトVIIa因子(cysteine-PEGylated human Factor VIIa)」の用語は、ヒトVIIa因子に導入されたシステインのスルフヒドリル基に結合させたPEG分子を有しているVIIa因子を意味する。
【0190】
組換え型の野生型ヒトVIIa因子と比較して、実質的に同じ又は増加したタンパク分解活性を有しているVII因子バリアントの非限定の例には、S52A-FVIIa, S60A-FVIIa ( Lino et al., Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5,580,560号に開示された増加したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIaバリアント;残基290および291の間または残基315および316の間でタンパク質分解性に切断されているVIIa因子(Mollerup et al., Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);VIIa因子の酸化型(Kornfelt et al., Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189(WO02/077218に対応する)に開示されたFVIIバリアント;およびWO02/38162(Scripps Research Institute)に開示された増加したタンパク分解の安定性を呈しているFVIIバリアント;WO99/20767, 米国特許US6017882およびUS6747003, 米国特許出願第20030100506(ミネソタ大学)およびWO00/66753, 米国特許出願第US20010018414, US 2004220106, およびUS 200131005, 米国特許US6762286およびUS6693075(ミネソタ大学)に開示された修飾型Glaドメインを有している及び増強した膜結合を呈しているFVIIバリアント;およびWO01/58935, US特許US6806063, US特許出願20030096338 (Maxygen ApS), WO03/93465 (Maxygen ApS), WO04/029091(Maxygen ApS), WO04/083361(Maxygen ApS), およびWO04/111242(Maxygen ApS), 同様にWO04/108763(Canadian Blood Services)に開示されたFVIIバリアントが含まれる。
【0191】
野生型FVIIaと比較して増加した生物活性を有しているFVIIバリアントの限定されることのない例には、WO 01/83725, WO 02/22776, WO 02/077218, PCT/DK02/00635 (WO 03/027147に対応する), デンマーク国特許出願PA 2002 01423 (WO 04/029090に対応する), デンマーク国特許出願PA2001 01627 (WO 03/027147に対応する); WO 02/38162 (Scripps Research Institute)に開示されたFVIIバリアント;およびJP2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示された増強活性を有するFVIIaバリアントが含まれる。
【0192】
VII因子のバリアントの例には、限定されることなく、以下のものが含まれる、即ち、L305V-FVII, L305V/M306D/D309S-FVII, L305I-FVII, L305T-FVII, F374P-FVII, V158T/M298Q-FVII, V158D/E296V/M298Q-FVII, K337A-FVII, M298Q-FVII, V158D/M298Q-FVII, L305V/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V-FVII, V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-FVII, K157A-FVII, E296V-FVII, E296V/M298Q-FVII, V158D/E296V-FVII, V158D/M298K-FVII, and S336G-FVII, L305V/K337A-FVII, L305V/V158D-FVII, L305V/E296V-FVII, L305V/M298Q-FVII, L305V/V158T-FVII, L305V/K337A/V158T-FVII, L305V/K337A/M298Q-FVII, L305V/K337A/E296V-FVII, L305V/K337A/V158D-FVII, L305V/V158D/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V-FVII, L305V/V158T/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V-FVII, L305V/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/K316H-FVII, S314E/K316Q-FVII, S314E/L305V-FVII, S314E/K337A-FVII, S314E/V158D-FVII, S314E/E296V-FVII, S314E/M298Q-FVII, S314E/V158T-FVII, K316H/L305V-FVII, K316H/K337A-FVII, K316H/V158D-FVII, K316H/E296V-FVII, K316H/M298Q-FVII, K316H/V158T-FVII, K316Q/L305V-FVII, K316Q/K337A-FVII, K316Q/V158D-FVII, K316Q/E296V-FVII, K316Q/M298Q-FVII, K316Q/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D-FVII, S314E/L305V/E296V-FVII, S314E/L305V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/V158T-FVII, S314E/L305V/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/K337A/E296V-FVII, S314E/L305V/K337A/V158D-FVII, S314E/L305V/V158D/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V-FVII, S314E/L305V/V158T/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V-FVII, S314E/L305V/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D-FVII, K316H/L305V/E296V-FVII, K316H/L305V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/V158T-FVII, K316H/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/K337A/E296V-FVII, K316H/L305V/K337A/V158D-FVII, K316H/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V-FVII, K316H/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V-FVII, K316H/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D-FVII, K316Q/L305V/E296V-FVII, K316Q/L305V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158T-FVII, K316Q/L305V/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/K337A/E296V-FVII, K316Q/L305V/K337A/V158D-FVII, K316Q/L305V/V158D/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V-FVII, K316Q/L305V/V158T/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V-FVII, K316Q/L305V/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A -FVII, K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/K337A-FVII, F374Y/V158D-FVII, F374Y/E296V-FVII, F374Y/M298Q-FVII, F374Y/V158T-FVII, F374Y/S314E-FVII, F374Y/L305V-FVII, F374Y/L305V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D-FVII, F374Y/L305V/E296V-FVII, F374Y/L305V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T-FVII, F374Y/L305V/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E-FVII, F374Y/K337A/V158T-FVII, F374Y/K337A/M298Q-FVII, F374Y/K337A/E296V-FVII, F374Y/K337A/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q-FVII, F374Y/V158D/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q-FVII, F374Y/V158T/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E-FVII, F374Y/S314E/M298Q-FVII, F374Y/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158D-FVII, F374Y/L305V/K337A/E296V-FVII, F374Y/L305V/K337A/M298Q-FVII, F374Y/L305V/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/E296V/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/V158T-FVII, F374Y/L305V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/S314E-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158T-FVII, F374Y/K337A/S314E/M298Q-FVII, F374Y/K337A/S314E/E296V-FVII, F374Y/K337A/S314E/V158D-FVII, F374Y/K337A/V158T/M298Q-FVII, F374Y/K337A/V158T/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/E296V-FVII, F374Y/K337A/M298Q/V158D-FVII, F374Y/K337A/E296V/V158D-FVII, F374Y/V158D/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158D/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158D/M298Q/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/E296V-FVII, F374Y/V158T/S314E/M298Q-FVII, F374Y/V158T/M298Q/E296V-FVII, F374Y/E296V/S314E/M298Q-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A -FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-FVII, F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-FVII, F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-FVII, F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-FVII, F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-FVII, S52A-VII因子, S60A-VII因子; R152E-VII因子, S344A-VII因子, T106N-FVII, K143N/N145T-FVII, V253N-FVII, R290N/A292T-FVII, G291N-FVII, R315N/V317T-FVII, K143N/N145T/R315N/V317T-FVII;およびアミノ酸配列の233Thr〜240Asnに置換、付加、又は欠失を有しているFVII;アミノ酸配列の304Arg〜329Cysに置換、付加、又は欠失を有しているFVII;およびアミノ酸配列の153Ile〜223Argに置換、付加、又は欠失を有しているFVIIである。
【0193】
本発明の目的のために、VII因子ポリペプチドの生物活性(「VII因子生物活性(Factor VII biological activity)」)は、たとえば米国特許第5,997,864号に記載されているとおり、VII因子が欠乏した血漿およびトロンボプラスチンを使用して、調製物が血液凝固を促進する能力を測定することによって定量してもよい。このアッセイ法において、生物活性は、コントロールサンプルと比較した凝固時間の減少として表され、1単位/mLのVII因子活性を含むプールされたヒト血清標準と比べることにより「VII因子単位」に換算される。或いは、VIIa因子生物活性は、以下によって定量してもよい、
(i)脂質膜に包埋(embedded)されたTFおよびX因子を含んでいる系において、VII因子ポリペプチドが活性化されたX因子(Xa因子)を産生する能力を測定すること(Persson et al., J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);
(ii)水性系におけるX因子の加水分解を測定すること(「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法」、(アッセイ2)、下記);
(iii)表面プラスモン共鳴に基づいた機器を使用して、VII因子ポリペプチドのTFに対する物理的な結合を測定すること(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);
(iV)VII因子ポリペプチドによる合成基質の加水分解を測定すること(「インビトロ加水分解アッセイ法」、(アッセイ1)、下記);および
(V)TF非依存的なインビトロ系におけるトロンビンの生成を測定すること(「トロンビン生成アッセイ法」、(アッセイ3)、下記)。
【0194】
いくつかの態様において、VII因子ポリペプチドは、ヒトVIIa因子である(好ましくは組換え技術で作出されたヒトVIIa因子)。
【0195】
他の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子配列バリアント(Factor VII sequence variant)である。
【0196】
幾つかの態様において、VII因子ポリペプチドは、野生型のヒトVII因子とは異なるグリコシル化を有する。
【0197】
多様な態様において(例えば、VII因子ポリペプチドが、VII因子関連ポリペプチドまたはVII因子配列バリアントであるもの)、VII因子ポリペプチドの活性および本来(native)のヒトVIIa因子(野生型のFVIIa)の間の活性は、本明細書に記載される「インビトロ・タンパク質分解アッセイ法」、(アッセイ2)において試験されたときに、少なくとも約 1.25、好ましくは少なくとも約 2.0、又は4.0、最も好ましくは少なくとも約 8.0である。
【0198】
一部の態様において、VII因子ポリペプチドは、VII因子関連ポリペプチド、特にバリアントであって、ここで「インビトロ加水分解アッセイ法」(下記の「アッセイ1」を参照されたい)で試験したときに、前記VII因子ポリペプチドの活性と天然のヒトVIIa因子(野生型FVIIa)の活性との間の比は少なくとも約1.25であり;その他の態様において、比は、少なくとも約2.0であり;さらなる態様において、比は、少なくとも約4.0である。
【0199】
本発明による組成物は、VII因子ポリペプチドの、安定で、好ましくは即時使用可能(ready-to-use)な組成物として有用である。前記組成物は、典型的には少なくとも6ヶ月、好ましくは36ヶ月まで安定である(2゜ 〜 8゜Cの温度範囲で貯蔵された場合)。
【0200】
「安定な(Stable)」の用語は、次の事項を意味する;その事項とは、(i)2゜C 〜 8゜Cで6 月貯蔵後、前記組成物がその初期の、1段階血餅アッセイ(one-stage clot assay)(アッセイ4)で測定される生物活性の少なくとも 50%を保持すること、又は(ii)2゜C 〜 8゜Cで6 月貯蔵後、重鎖デグラデーション産物の含有量の増加が、VII因子ポリペプチドの初期含有量の多くとも40% (w/w)であることである。
【0201】
「初期含有量(initial content)」の用語は、組成物に、前記組成物の調製に際して添加されるVII因子ポリペプチドの量に関する。
【0202】
好ましくは、前記安定な組成物は、2 〜 8゜Cで6 ヶ月保存後、その初期の生物活性の少なくとも 70%、例えば、少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持する。
【0203】
好ましくは、様々な態様において、安定な組成物における重鎖デグラデーション産物の含有量の増加は、VII因子ポリペプチドの初期含有量の約30% (w/w)以下, 約25% (w/w)以下, 約20% (w/w)以下, 約15% (w/w)以下, 約10% (w/w)以下, 約5% (w/w)以下, または約3% (w/w)以下である。
【0204】
好適な態様において、前記組成物は、(i)20゜C 〜 28゜Cで6 月貯蔵後、前記組成物がその初期の、1段階血餅アッセイ(one-stage clot assay)(アッセイ4)で測定される生物活性の少なくとも 50%を保持する、又は(ii)20゜C 〜 28゜Cで6 月貯蔵後、重鎖デグラデーション産物の含有量の増加が、VII因子ポリペプチドの初期含有量の多くとも40% (w/w)である。より好適な態様において、前記組成物は、(i)37゜C 〜 43゜Cで6 月貯蔵後、前記組成物がその初期の、1段階血餅アッセイ(one-stage clot assay)(アッセイ4)で測定される生物活性の少なくとも 50%を保持する、又は(ii)37゜C 〜 43゜Cで6 月貯蔵後、重鎖デグラデーション産物の含有量の増加が、VII因子ポリペプチドの初期含有量の多くとも40% (w/w)である。
【0205】
VII因子ポリペプチドの調製および精製
本発明での使用に適したヒト精製VIIa因子は、たとえばHagenら(Hagen et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 2412-2416, 1986)に記載されているように、または欧州特許番号第200,421号(ZymoGenetics, Inc.)に記載されているように、好ましくはDNA組換技術によって作出される。
【0206】
また、VII因子は、文献〔Broze and Majerus, J.Biol.Chem. 255 (4): 1242-1247, 1980 およびHedner and Kisiel, J.Clin.Invest. 71: 1836-1841, 1983〕に記載された方法で産生してもよい。これらの方法によって、検出可能な量のその他の血液凝固因子を伴わずにVII因子が産生される。なお、さらに精製されたVII因子標品を、最終的な精製工程として付加的なゲル濾過を含ませることによって得てもよい。次いで、既知の手段(例えば、XIIa因子、IX因子、またはXa因子などの幾つかの異なる血漿タンパク質によって)によって、VII因子は活性化VIIa因子に変換される。或いは、Bjoernら(Research Disclosure, 269 September 1986, pp. 564-565)によって記載されているように、VII因子をMono Q(登録商標)(Pharmacia fine Chemicals)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより、又は溶液中での自己活性化により、完全に活性化させてもよい。
【0207】
VII因子関連ポリペプチドは、野生型VII因子の修飾によって、または組換技術によって産生してもよい。野生型VII因子と比較したときにアミノ酸が変更されているVII因子関連ポリペプチドは、天然のVII因子をコードする核酸において、アミノ酸コドンを変更すること又はいくつかのアミノ酸コドンを除去することにより、周知の手段(例えば、部位特異的突然変異)を用いて、野生型VII因子をコードする核酸配列を修飾することによって産生されてもよい。
【0208】
VIIa因子分子の機能に重要な領域の外側に置換を作成し、なおも活性なポリペプチドを生じさせることができることは当業者には明らかであろう。VII因子ポリペプチドの活性に必須であり、従って、好ましくは、置換を受けないアミノ酸残基は、部位特異的突然変異生成またはアラニン スキャニング変異生成(例えば、Cunningham and Wells, 1989, Science 244: 1081-1085を参照されたい)などの当該技術分野において既知の手順に従って同定し得る。後者の技術では、分子において正に荷電したすべての残基に変異が導入され、そして生じる変異体分子を、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定するために、凝固因子について、架橋性活性をそれぞれ試験する。また、基質−酵素の相互作用部位は、核磁気共鳴解析、結晶学、または光親和性標識化(例えば、de Vos et al., 1992, Science 255: 306-312; Smith et al., 1992, Journal of Molecular Biology 224: 899-904; Wlodaver et al., 1992, FEBS Letters 309: 59-64を参照されたい)などの技術によって決定される、三次構造解析によって決定することもできる。
【0209】
1つのヌクレオチドをもう一つのヌクレオチドに交換するための、核酸配列への突然変異の導入は、当該技術分野において既知の任意の方法を使用した、部位特異的変異誘発によって達成されてもよい。関心対象のインサートを有するスーパーコイル二重鎖DNAベクターおよび所望の変異を含む2つの合成プライマーを利用する手順が、特に有用である。前記ベクターの反対の鎖に対してそれぞれ相補的なオリゴヌクレオチドプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼによって温度サイクリングの間に伸長する。プライマーの取り込みにおいて、ねじれ型のニック(staggered nicks)を含んでいる変異プラスミドが産生される。温度サイクリングの後、産物をメチル化およびヘミメチル化されたDNAに特異的であるDpnlで産物を処理して、親のDNA鋳型を消化し、変異を含んでいる合成されたDNAを選択する。遺伝子混合技術またはファージディスプレイ技術などの、バリアントを作出、同定、および単離するための当該技術分野において既知のその他の手順を使用してもよい。
【0210】
これらの起源の細胞からのポリペプチドの分離は、当該技術分野において既知の任意の方法によって達成されてもよく、付着した細胞培養から所望の産物を含む細胞培養培地を除去すること;非接着細胞を遠心分離または濾過して除去することなどを含むが、これらに限定されない。
【0211】
任意で、VII因子ポリペプチドは、さらに精製されてもよい。精製は、例えば、抗VII因子抗体カラム(例えば、Wakabayashi et al., J. Biol. Chem. 261:11097, 1986およびThim et al., Biochem. 27:7785, 1988を参照)などのアフィニティークロマトグラフィ;疎水性相互作用クロマトグラフィ;イオン交換クロマトグラフィ;サイズ排除クロマトグラフィ;電気泳動的な処置(例えば、調製用の等電点電気泳動(IEF)、溶解度の差(例えば、硫酸アンモニウム沈殿)または抽出などを含む、これらに限定されない、当該技術分野において既知の任意の方法を使用して達成されてもよい。一般に文献(Scopes, Protein Purification, Springer-Verlag, New York, 1982およびProtein Purification, J.C. Janson and Lars Ryden, editors, VCH Publishers, New York, 1989 )を参照されたい。精製に続いて、調製物は、宿主細胞に由来する非VII因子ポリペプチドを好ましくは10重量%未満、より好ましくは5%未満、および最も好ましくは1%未満で含む。
【0212】
VII因子ポリペプチドの濃縮物の調製において完全に活性化されない場合、VII因子ポリペプチドは、XIIa因子または、例えば、IXa因子、カリクレイン、Xa因子、およびトロンビンなどのトリプシン様の特異性を有しているその他のプロテアーゼを用いるタンパク分解性の切断によって活性化されてもよい。例えば、Osterud et al., Biochem. 11:2853 (1972);Thomas, 米国特許第4,456,591号;およびHedner et al., J. Clin. Invest. 71:1836 (1983)を参照されたい。或いは、VII因子ポリペプチドは、それをMono Q(登録商標)(Pharmacia)などのイオン交換クロマトグラフィーに通すことにより、又は溶液中での自己活性化により、活性化されえる。
【0213】
実験
一般的な方法(General methods)
VII因子ポリペプチドの生物活性を決定することに適切なアッセイ
本発明による有用なVII因子ポリペプチドは、単純な予備的なインビトロ試験として実施できる適切なアッセイによって選択し得る。本明細書は、VII因子ポリペプチドの活性に関する、単純な検査(「インビトロ加水分解アッセイ法」と称される)を開示する。
【0214】
インビトロ加水分解アッセイ法(アッセイ1)
本来(野生型)のVIIa因子およびVIIa因子ポリペプチド(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)で、比活性をアッセイしてもよい。また、これらを、並行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイしてもよい。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。終濃度1mMの色素生産性基質D−Ile−Pro−Arg−p−ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix,Sweden)を、VIIa因子(終濃度100nM)の0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mlのウシ血清アルブミンを含む50mMのHepes、pH7.4溶液に添加する。405nmの吸光度を、SpectraMax TM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。20分のインキュベーションの間に発生した吸光度を、酵素を含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、VII因子ポリペプチドおよび野生型VIIa因子の活性の間の比を算出するために使用する:
比率=(A405nm VII因子ポリペプチド)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0215】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子よりも、低いか、匹敵するか、又はそれよりも高い活性を有するVII因子ポリペプチドは、たとえばVII因子ポリペプチドの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、約、対1.0を超える(versus above 1.0)VII因子ポリペプチドなどとして同定されてもよい。
【0216】
また、前記VII因子ポリペプチドの活性は、X因子などの生理学的な基質を、適切には100〜1000nMの濃度で使用して測定してもよく(「インビトロタンパク質分解アッセイ法」)、この場合、Xa因子の生成は、適切な色素生産性基質(例えば、S-2765)を添加した後に測定される。加えて、活性アッセイ法は、生理学的な温度で行ってもよい。
【0217】
インビトロ・タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
本来(野生型)のVIIa因子およびVII因子ポリペプチド(両者とも、これ以降「VIIa因子」と称する)を、平行して、直接これらの比活性を比較するためにアッセイする。アッセイ法は、マイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)において行う。VIIa因子(10nM)およびX因子(0.8 microM)を、0.1M NaCl、5mM CaCl2、および1mg/mLのウシ血清アルブミンを含む50mMのHEPES、pH7.4の100μL中に含む溶液を15分間インキュベートする。次いで、0.1M NaCl、20mM EDTA、および1mg/mLのウシ血清アルブミンを含む50mMのHEPES、pH7.4を50μL添加することにより、X因子の切断を停止する。生成したXa因子の量は、色素生産性基質Z−D−Arg−Gly−Arg−p−ニトロアニリド(S-2765, Chromogenix, Sweden)(終濃度0.5mM)の添加によって測定する。405nmの吸光度を、SpectraMax TM 340プレートリーダー(Molecular Devices, USA)において連続的に測定する。10分の間に発生した吸光度を、FVIIaを含んでいない空のウェルの吸光度を減算した後に、VII因子ポリペプチドおよび野生型VIIa因子のタンパク分解活性間の比を算出するために使用する:
比率=(A405nm VII因子ポリペプチド)/(A405nm VIIa因子野生型)。
【0218】
その結果に基づいて、天然のVIIa因子よりも、低いか、匹敵するか、又はそれよりも高い活性を有するVII因子ポリペプチドは、たとえばVII因子ポリペプチドの活性および天然のVII因子(野生型FVII)の活性の間の比が、約、対1.0を超える(versus above 1.0)VII因子ポリペプチドなどとして同定されてもよい。
【0219】
トロンビン生成アッセイ法(アッセイ3)
トロンビンを生成するVII因子ポリペプチドの能力は、全ての関連性のある凝固因子およびインヒビターの生理的濃度(血友病Aのコンディションを模倣する場合、マイナスVIII因子)および活性化された血小板を含むアッセイ(アッセイ3)において測定できる〔Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547のp.543に記載のとおり、これは本明細書中に参照として援用される〕。
【0220】
1段階凝固アッセイ(血餅アッセイ)(アッセイ4)
VII因子ポリペプチドを、1段階凝固アッセイ(アッセイ4)を用いることによって特異的な活性(「血餅活性(clot activity)」)に関してアッセイしてもよい。この目的のために、試験されるサンプルは50mM PIPES-緩衝液(pH7.5), 1%BSAに希釈され、そして40μlが40μlのVII因子欠乏血漿および80μlのInnovin(登録商標)(Dade-Behring; cat. no. B4212-50)でインキュベーションされる。凝固の時間(凝固時間)が、測定され、参照標準を用いて標準曲線と平行線アッセイ(parallel line assay)で比較される。
【0221】
重鎖デグラデーションおよび酸化型(アッセイ5)
以下の実施例(working examples)において、重鎖デグラデーション産物の含有量および酸化型の含有量は、逆相HPLC(RP-HPLC)で以下に記載のとおり決定される:
逆相HPLCを、メーカーの(proprietary)粒径5 μmで孔径300 Åの4.5x250 mmのブチル結合シリカカラムで行った。カラム温度: 70゜C。A−緩衝液: 0.1% v/vのトリフルオロ酢酸。B−緩衝液: 0.09% v/v のトリフルオロ酢酸, 80% v/vのアセトニトリル。前記カラムを、X から (X+13)% Bのリニアグラジエント(linear gradient)で 30 分間で溶出した。Xを、FVIIaが約 26 分間の保持時間で溶出するように調整した。流速: 1.0 mL/min. 検出: 214 nm。負荷: 25 μgのFVIIa。
【0222】
凝集物の含有量(アッセイ6)
以下の実施例において、凝集物の含有量は、未変性サイズ排除HPLC(SE-HPLC)で以下に記載のとおり決定される:
未変性サイズ排除クロマトグラフィーを、Waters Protein Pak 300 SWカラム, 7.5x300 mmで、0.2 M 硫酸アンモニウム, 5% 2-プロパノール pH 7.0を移動相として用いて行った。流速: 0.5 mL/min. 検出: 215 nm。負荷: 25 μgのFVIIa。
【0223】
desGla-VII因子ポリペプチド構造の含有量の決定
全長のVII因子ポリペプチド構造に対するdesGla-VII因子ポリペプチド構造の含有量は、SDS-PAGEで決定される。150 μlのサンプルには、50 μlのサンプル緩衝剤(非還元性のNuPAGE)が添加され、5 mins沸騰させられる。10 μlのサンプルが、12% BisTris NuPAGEゲル(インビトロゲン)に負荷される。ゲルは、200 Volts, 120 mA で55 mins泳動される。ゲルは、クーマシーブリリアントブルー溶液を用いて染色され、脱染色され、乾燥される。相対的なdesGla-VII因子ポリペプチド含有量は、desGla-VII因子ポリペプチドバンドの領域を、約 50 kDaでのVII因子ポリペプチドバンドおよび約 45 kDaでのdesGla-VII因子ポリペプチドバンドの領域で除して計算される。
【0224】
代わりに、desGla-VII因子ポリペプチド構造の含有量は、陰イオン交換HPLCで決定されてもよい。前記方法によって、GlaドメインのないVII因子ポリペプチド(Gla-domain-less Factor VII polypeptides)が無傷のVII因子ポリペプチドから分離される。Gla-ドメインのないVII因子ポリペプチドの含有量は、VII因子ポリペプチドに関連するピーク領域の%で表される。分析用カラムとしてDNAPac PA-100, 250x4 mm (Dionex Corp.)が使用された。カラムは、0〜0.5 Mの酢酸アンモニウム pH 9.0で流速1.0 mL/minのリニアグラジエントで30分間溶出された。流出液の280 nmの吸光度が、モニターされた。
【0225】
[例]
以下の例によって、本発明が説明される。これらの例は、説明の目的でのみ記載され、請求される発明の範囲を限定しない。
【0226】
例1:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、50 mM NaCl, 20 mM トリ-ナトリウム-クエン酸, pH 7.0で平衡化した陰イオン交換クロマトグラフィー(AIEC)カラム〔1.6cm内径 x 7.5cm長さ=15mL カラム容量(CV)〕で実施された。負荷物(load)は、12CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて7CVの50mM NaCl, 20mM トリ-ナトリウム-クエン酸, pH7.0を用いる洗浄液が適用された。溶出は、50mM NaCl, 20mM トリ-ナトリウム-クエン酸, pH4.2までの段階的グラジエント(step gradient)を用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約3.3CVの後に溶出され、溶出物はpH6.0/NaOHに調整された。溶出液の濃度は、3.3 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0227】
例2:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は12CVsの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの175 mM NaCl, 10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液1(wash1)および5CVの50 mM NaCl, 10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液2(wash 2)が負荷された。溶出は、30 mM CaCl2, 50 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約1.9CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、6.1 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0228】
例3:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は12CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が適用された。溶出は、30 mM CaCl2, 50 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約1.9CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、5.4 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0229】
例4:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は12CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が適用された。溶出は、10 mM CaCl2, 50 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約2.2CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、4.6 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0230】
例5:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は12CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、10 mM CaCl2, 100 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約1.4CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、9.1 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0231】
例6:
濃縮は、アマシャムのQ-sepharose Fast Flowを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は12CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、10 mM CaCl2, 200 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。全体的に精製は、流速40CV/hおよび温度5゜Cで実施された。産物のピークは、約1.4CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、10.0 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0232】
例7:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は11CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、10 mM CaCl2, 100 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。平衡化、負荷、および洗浄は流速80 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約1.5CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、6.6 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0233】
例8:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は11CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、10 mM CaCl2, 200 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。平衡化、負荷、および洗浄は流速80 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約1.4CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、16.0 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0234】
例9:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM EDTA, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は11CVの1.4 mg/mL FVIIaを含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、30 mM CaCl2, 100 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に5 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。平衡化、負荷、および洗浄は流速80 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約3.0CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、8.2 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0235】
例10:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は22CVの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて5CVの50mM NaCl, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、30 mM CaCl2, 100 mM NaCl(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に5 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約2.9CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、7.8 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0236】
例11:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物(load)は22CVsの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて5CVの50 mM NaCl, 10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液1(wash1)および2CVの10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液2(wash 2)が負荷された。溶出は、50 mM CaCl2(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に5 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約3.2CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、7.3 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0237】
例12:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は22CVsの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて5CVの5 mM CaCl2, 10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液1(wash1)および2CVの10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液2(wash 2)が負荷された。溶出は、50 mM CaCl2(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に5 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約3.2CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、6.4 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0238】
例13:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は22CVsの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて5CVの5 mM CaCl2, 10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液1(wash1)および2CVの10 mMヒスチジン, pH 6.0を用いる洗浄液2(wash 2)が負荷された。溶出は、50 mM CaCl2(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)までの段階的グラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約1.3CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、16.0 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0239】
例14:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は22CVの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて6CVの5 mM CaCl2, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、50 mM CaCl2(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に5 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約2.8CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、7.8 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0240】
例15:
濃縮は、Applied Biosystems POROS 50 HQを充填し、10mM グリシルグリシン, 5 mM CaCl2, pH 9.0を含有している溶液で平衡化したAIECカラム(前と同じサイズ)で実施された。負荷物は22CVの0.7 mg/mL FVIIaおよび5 mM CaCl2を含有している溶液であり、続いて6CVの5 mM CaCl2, 10mM ヒスチジン, pH6.0を用いる洗浄液が負荷された。溶出は、50 mM CaCl2(pH 6.0に10mM ヒスチジンで緩衝)に2 CVまでのリニアグラジエントを用いて実施された。負荷および洗浄は流速120 CV/hで温度5゜Cで実施され、溶出は40 CV/hで行われた。産物のピークは、約2.0CVの後に溶出された。溶出液の濃度は、9.0 mg/mL(RP-HPLCで測定された)であった。
【0241】
実施条件および上記の例1〜15からの溶出液の分析データは、表1に示される(以下)。
【表1】

沈殿
例16
250mLの1.2mg rFVIIa/mLの濃度を50mM NaCl, 10mM CaCl2, 10mM グリシル-グリシン, pH6.4の緩衝液中に含有しているrFVIIaバルク溶液に対して、112.5gの硫酸アンモニウムが添加された(65%飽和)。穏やかに15分間撹拌した後に、前記溶液を、Heraus Sorvall Labofugeで約4000G(4500rpm)を1時間4oCで遠心分離した。沈殿物は、100mM NaCl, 10mM CaCl2, 10mM ヒスチジン, pH6.0を含有している30mLの緩衝液に溶解され、0.2 μmのフィルターを通して濾過された。再溶解された沈殿物中のrFVIIaの濃度を、OD280で8.3 mg/mLとRP-HPLCで7.8 mg/mLと測定した。重鎖のデグラデーションのレベルは、沈殿前に8.3%であり、沈殿後に8.5%であった。GD-FVIIaの若干の低下および沈殿の際のオリゴマー/ダイマーの若干の増加が認められた(表2)。
【表2】

限外濾過
例17
Labscale TFFシステム(ミリポア, PelliconXLフィルター装置にBiomax 30kD膜を有するものを備える(ミリポア no. PXB030A50))を、247mLのrFVIIaバルクの限外濾過(UF)に使用した。UFを、2〜8 oC、膜通過速度を20〜30 mL/分、および入口圧を1〜1.5 barで行なった。UF前に、前記バルクは、1.2 mg/mLのrFVIIaを緩衝液(50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 6.05を有する)中に含有していた。前記バルクは、20 mMの終濃度までクエン酸が添加され、UFシステム上で80 mLの容量まで濃縮された。ダイアフィルトレーションを、200 mM NaCl, 1 mM クエン酸塩, pH 6.0を含有している400 mLの緩衝液を用いて、定容量(constant volume)で行なった。ダイアフィルトレーションの後に、前記溶液を、40 mLの容量まで更に濃縮した。ダイアフィルトレーション/濃縮の後に、rFVIIaの濃度は、OD280およびSEC-HPLCの双方で測定し6.3 mg/mLであった。有意な変化は、重鎖デグラデーション、GD-FVIIa、またはポリマーのレベルにおいて認められなかったが、オリゴマー/ダイマーのレベルは若干増加した(表3)。
【表3】

例20
例17におけるものと同じUF系を、ダイアフィルトレーションなしでrFVIIaバルクの濃縮に使用した。濃縮前に、rFVIIaバルクの容量は189 mLであり、rFVIIaの濃度は50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 6.05を有している緩衝液中で1.1 mg/mLであった。CaCl2 を添加して、CaCl2の終濃度をトータルで30 mMに増強させた。UFによる濃縮後に、溶液の容量は23 mLであり、rFVIIaの濃度はOD280で測定した際に7.1 mg/mLであり、SEC-HPLCで測定した際に7.6であった。有意な変化は、UF前からUF後の重鎖デグラデーション、GD-FVIIa、ポリマー、またはダイマー/オリゴマーのレベルにおいて認められなかった(表4)。
【表4】

例19
例17におけるものと同じUF系を、ダイアフィルトレーションなしでrFVIIaバルクの濃縮に使用した。濃縮前に、rFVIIaバルクの容量は188 mLであり、rFVIIaの濃度は50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 6.81を有している緩衝液中で1.1 mg/mLであった。スクロースを、3%(w/w)の終濃度まで添加した。UFによる濃縮後に、溶液の容量は25 mLであり、rFVIIaの濃度はOD280で測定した際に8.3 mg/mLであり、SEC-HPLCで測定した際に8.8であった。有意な変化は、UF前からUF後の重鎖デグラデーション、GD-FVIIa、ポリマー、またはダイマー/オリゴマーのレベルにおいて認められなかった(表5)。
【表5】

例20
1.5 mg/mL〜12.0 mg/mLのrFVIIaの濃縮が例19のとおり実施された〔しかし、スクロースの代わりに3% (w/w)マンニトールが添加された〕。溶液は濃縮の間に視認上透明であり、有意な変化はUF前からUF後の重鎖デグラデーション、酸化、GD-FVIIa、ポリマー、またはダイマー/オリゴマーのレベルにおいて認められなかった。
【0242】
例21
例17におけるものと同じUF系を、ダイアフィルトレーションなしでrFVIIaバルクの濃縮に使用した。濃縮前に、rFVIIaバルクの容量は203 mLであり、rFVIIaの濃度は50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 6.62を有している緩衝液中で1.3 mg/mLであった。NaClを添加して、NaClの終濃度をトータルで100 mMに増強させた。UFによる濃縮後に、溶液の容量は19 mLであり、rFVIIaの濃度はOD280で測定した際に11.6 mg/mLであり、SEC-HPLCで測定した際に11.7であった。有意な変化は、UF前からUF後の重鎖デグラデーション、GD-FVIIa、ポリマー、またはダイマー/オリゴマーのレベルにおいて認められなかった(表6)。
【表6A】

例22
例17におけるものと同じUF系を、ダイアフィルトレーションなしでrFVIIaバルクの濃縮に使用した。UF前に、前記バルクは、1.42 mg/mLのrFVIIaを緩衝液(50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 6.0を有する)中に含有していた。CaCl2 を添加して、CaCl2の終濃度をトータルで30 mMに増強させた。バルクを、OD280で測定された25.3 mg/mL、SEC-HPLCで測定された24.1 mg/mLの濃度までUFシステムで濃縮した。溶液は濃縮の間に視認上透明であり、OD600は濃縮の終了時に0.014に増加した。有意な変化は、UF前からUF後の重鎖デグラデーション、酸化、GD-FVIIa、ポリマー、またはダイマー/オリゴマーのレベルにおいて認められなかった(表6)。
【表6B】

例23
Labscale TFFシステム(ミリポア, PelliconXLフィルター装置にBiomax 30kD膜を有するものを備える(ミリポア no. PXB030A50))を、234mLのrFVIIaバルクの限外濾過(UF)に使用した。UFを、2〜8 oC、膜通過速度を20〜30 mL/分、および入口圧を1〜1.5 barで行なった。UF前に、前記バルクは、1.3 mg/mLのrFVIIaを緩衝液(50 mM NaCl, 10 mM CaCl2, 10 mM グリシル-グリシン, pH 5.53を有する)中に含有していた。バルクをUFシステムで濃縮した。濃縮の間、外見(appearance)を検査し、サンプルを明瞭性(clarity)に関してOD600で測定した。バルクを42 mL(濃度 7.2 mg/mLと計算された)にまで濃縮した際に、溶液は視認上不透明であり、沈殿物がサンプル中に形成され、これを2 〜 8 oCで一晩静置した。溶液を34 mL(濃度8.9 mg/mLと計算された)にまでさらに濃縮した際に、沈殿物が明らかに認められた。OD600は、濃縮の最初の部分で僅かに増加した。しかし、濃縮された溶液が34 mLに落ちた際に急激に増加した(図1)。
【0243】
限外濾過に関する全ての上記の例において、血餅アッセイ(アッセイ4)で測定される比活性(IU/μgのVII因子ポリペプチド)において有意な変化は、観察されなかった。
【0244】
組成物の製造および安定性
例24
濃縮されたrFVIIa製剤の安定性を研究するために、次の組成物を製造した:
15 mg/mLのrFVIIa(3.9 mg rFVIIa/mL バイアル容量に相当する)
1.55 mg/mL ヒスチジン
1.32 mg/mL グリシルグリシン
5.84 mg/mL 塩化ナトリウム
1.47 mg/mL 塩化カルシウム
25.0 mg/mL マンニトール
10.0 mg/mL スクロース
0.07 mg/mL Tween 80
pH=5.50
前記組成物は、精製されたバルク溶液(15.6 mg/mL)から調製された。賦形剤がバルク溶液に添加された。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)された。1.0 mLの生じた溶液を、無菌のガラスバイアル(約 3.86 mL)に充填した。前記バイアルは、フリーズドライされ、閉じられ、アルミニウムのフリップオフ型キャップ(flip-off type caps)でシールされた。
【0245】
安定性を、次に25゜Cで行った:
【表7】

【表8】

安定性を、次に40゜Cで行った:
【表9】

例25
濃縮されたrFVIIa製剤の安定性を研究するために、次の組成物を製造した:
20 mg/mLのrFVIIa(13.0 mg rFVIIa/mL バイアル容量に相当する)
2.34 mg/mL 塩化ナトリウム
1.55 mg/mL ヒスチジン
5.15 mg/mL 塩化カルシウム 2H20
25.0 mg/mL マンニトール
10.0 mg/mL スクロース
0.07 mg/mL Tween 80
0.5 mg/ml メチオニン
pH=6.00
前記組成物は、精製されたバルク溶液(20 mg/mL)から調製された。賦形剤がバルク溶液に添加された。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)された。2.5 mLの生じた溶液を、無菌のガラスバイアル(約 3.86 mL)に充填した。前記バイアルは、フリーズドライされ、閉じられ、アルミニウムのフリップオフ型キャップ(flip-off type caps)でシールされた。
【0246】
安定性を、次に25゜Cで行った:
【表10】

例26
濃縮されたrFVIIa製剤の安定性を研究するために、次の組成物を製造した:
20 mg/mLのrFVIIa(20 mg rFVIIa/mL カートリッジ容量に相当する)
1.55 mg/mL ヒスチジン
5.15 mg/mL 塩化カルシウム 2H20
1.22 mg/mL インヒビター0008
pH=6.50
前記組成物は、精製されたバルク溶液(20 mg/mL)から調製された。賦形剤がバルク溶液に添加された。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)された。3.0 mLの生じた溶液を無菌のガラスカートリッジ(約 3.0 mL)に充填し、アルミニウムのキャップでシールした。
【0247】
安定性を、次に5゜Cで行った:
【表11】

例27
濃縮されたrFVIIa製剤の安定性を研究するために、次の組成物を製造した:
5 mg/mLのrFVIIa(5 mg rFVIIa/mL カートリッジ容量に相当する)
1.55 mg/mL ヒスチジン
122.5 mg/mL 塩化カルシウム 2H20
2.45 mg/ml 酢酸ナトリウム
pH=6.50
前記組成物は、精製されたバルク溶液(7.1 mg/mL)から調製された。賦形剤がバルク溶液に添加された。生じた溶液は、滅菌したメンブランフィルター(0.2 ミクロンのポアサイズまたは均等物)を用いて濾過滅菌(sterile filtered)された。3.0 mLの生じた溶液を無菌のガラスカートリッジ(約 3.0 mL)に充填し、アルミニウムのキャップでシールした。
【0248】
安定性を、次に5゜Cで行った:
【表12】

【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1】図1は、光学濃度OD600とFVIIa濃度(mg/mL)の関係を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性化型のVII因子ポリペプチド(i)の組成物を保持している閉鎖容器であって、2.5〜90mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチドを前記容器のml容量中に含んでいる容器。
【請求項2】
5〜25 mgの活性化型のVII因子ポリペプチドを前記容器のmL容量中に含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記活性化型のVII因子ポリペプチドが水溶液に存在する、請求項1〜2の何れか1項に記載の容器。
【請求項4】
請求項3に記載の容器であって、前記溶液が液体の薬学的組成物、特に即時使用可能な薬学的組成物である容器。
【請求項5】
請求項3〜4の何れか1項に記載の容器であって、前記溶液が5.0〜7.0の範囲のpHを有する容器。
【請求項6】
請求項5記載の容器であって、前記溶液が緩衝剤(ii)を含む容器。
【請求項7】
請求項3〜6の何れか1項に記載の容器であって、前記溶液がさらに1以上の安定化剤(iii)を含む容器。
【請求項8】
請求項3〜7の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が1以上のイオン強度を修飾する薬剤(iv)を含む容器。
【請求項9】
請求項3〜8の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液のイオン強度が少なくとも200 mMである容器。
【請求項10】
請求項3〜9の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が5 mg/mL以上の活性化型のVII因子ポリペプチドの濃度を有する容器。
【請求項11】
請求項3〜10の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が:
少なくとも 2.5 mg/mL容器容量の活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
を含み、
前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである容器。
【請求項12】
請求項3〜10の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が:
少なくとも 2.5 mg/mLの活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも 15 mMの範囲の濃度のカルシウム塩から選択される少なくとも1つの安定化剤(iiia);
を含み、
前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである容器。
【請求項13】
請求項3〜10の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が:
少なくとも 2.5 mg/mLの活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも1つの二価の第1の遷移系列金属型の安定化剤(iiib)であって、安定化剤(iiib)およびFVIIポリペプチドの間のモル比が0.5を超える安定化剤;
を含み、
前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである容器。
【請求項14】
請求項3〜10の何れか1項に記載の容器であって、前記水溶液が:
少なくとも 2.5 mg/mLの活性化型のVII因子ポリペプチド(i);
約 5.0 〜約 6.5の範囲にpHを維持するために適切な緩衝剤(ii);
少なくとも1つのベンザミジン/アルギニン型の安定化剤(iiic)であって、安定化剤(iiic)およびFVIIポリペプチドの間のモル比が0.1を超える安定化剤;
を含み、
前記水溶液のイオン強度は、少なくとも約 50 mMである容器。
【請求項15】
請求項1〜2の何れか1項に記載の容器であって、前記組成物が約3%以下の含水量を有する容器。
【請求項16】
請求項15記載の容器であって、前記組成物が凍結乾燥形態である容器。
【請求項17】
請求項16に記載の容器であって、前記組成物は、a)抗酸化剤およびマンニトールの組み合わせ;b)メチオニンおよびポリオールの組み合わせ;c)サッカライドおよびマンニトールの組み合わせ;d)スクロースおよびポリオールの組み合わせ;並びにe)メチオニンからなる群から選択される少なくとも1つの安定化剤を含む容器。
【請求項18】
前記組成物を水溶液で再構成した後に請求項3〜14の何れか1項に記載の容器を生じる、請求項15〜17の何れか1項に記載の容器。
【請求項19】
少なくとも2つの区画を有し、このうちの第1の区画が活性化型のVII因子ポリペプチドを保持する、請求項1〜18の何れか1項に記載の容器。
【請求項20】
請求項19に記載の容器であって、前記第1の区画の活性化型のVII因子ポリペプチドは凍結乾燥形態であり、前記第2の区画は該活性化型のVII因子ポリペプチドのための水性溶媒を保持する容器。
【請求項21】
請求項19に記載の容器であって、前記第1の区画の活性化型のVII因子ポリペプチドは水溶液中に存在し、前記第2の区画は該活性化型のVII因子ポリペプチドのための水性溶媒を保持する容器。
【請求項22】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を陰イオン交換体と、該VII因子ポリペプチドの一部と該陰イオン交換体との結合が促進される条件下で接触させること;
(b)前記陰イオン交換体を、5.5〜7.0の範囲のpHを有している又は8.5〜9.5の範囲で1〜7 mM Ca2+が存在する洗浄緩衝剤で洗浄すること;および
(c)前記陰イオン交換体を、3.0〜7.0の範囲のpHを有している溶出緩衝剤で溶出すること、および活性化型のVII因子ポリペプチドの溶出物を収集すること;
(d)前記溶出物の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶出物を凍結乾燥すること;並びに
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項23】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を陰イオン交換体と、前記溶液のpHを約 5.5〜7.0で又は8.5〜9.5の範囲で1〜7 mM Ca2+を存在させて保持している間に、該VII因子ポリペプチドの一部と該陰イオン交換体との結合が促進される条件下で接触させること;
(b)任意で、前記陰イオン交換体を、40〜250 mMの間のイオン強度を維持している間に洗浄緩衝剤で洗浄すること;
(c)前記陰イオン交換体をカルシウム濃度および/またはイオン強度(例えば、NaCl)を溶出の間に増加させる及び/又はpHを溶出の間に低下させる間に溶出すること、および活性化型のVII因子ポリペプチドの溶出物を収集すること;
(d)前記溶出物の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶出物を凍結乾燥すること;並びに
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項24】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる溶液をヒドロキシアパタイトと、該VII因子ポリペプチドの一部と該ヒドロキシアパタイトとの結合が促進される条件下で接触させること;
(b)任意で、前記ヒドロキシアパタイトを、洗浄緩衝剤で洗浄すること;
(c)前記ヒドロキシアパタイトを、5.5〜7.0の範囲のpHを有している溶出緩衝剤で溶出すること、および活性化型のVII因子ポリペプチドの溶出物を収集すること;
(d)前記溶出物の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶出物を凍結乾燥すること;並びに
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項25】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)VII因子ポリペプチドの沈殿を促進するために、硫酸アンモニウムの飽和溶液とVII因子ポリペプチドを含んでいる溶液とを組み合わせること;
(b)VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を調製するために、水性の溶媒中で沈殿したVII因子ポリペプチドを再溶解すること;
(c)任意で、前記濃縮された溶液を脱塩すること;
(d)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)任意で、前記溶液を凍結乾燥すること;並びに
(f)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項26】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を、VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を得るために、限外濾過および/またはダイアフィルトレーションに供すること;
(b)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(c)任意で、前記溶液を凍結乾燥すること;並びに
(d)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項27】
請求項1〜21の何れか1項で規定した活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる閉鎖容器を調製するための方法であって、以下の工程を備える方法:
(a)約3%以下の含水量を有しているVII因子ポリペプチドの組成物を得るために、VII因子ポリペプチドを含んでいる溶液を凍結乾燥すること;
(b)VII因子ポリペプチドの濃縮された溶液を調製するために、水性の溶媒中で凍結乾燥したVII因子ポリペプチドを再溶解すること;
(c)任意で、前記濃縮された溶液を脱塩すること;
(d)濃縮された溶液の少なくとも一部を、容器が2.5〜90 mgの範囲の活性化型のVII因子ポリペプチド/mL容量を含むように前記容器に負荷すること;
(e)前記容器を、閉鎖容器を提供するためにシールすること。
【請求項28】
(i)活性化型のVII因子ポリペプチドの固形の薬学的組成物を含有している第1閉鎖容器および(ii)前記固形の薬学的組成物のための液体で水性の溶媒を含有している第2容器を具備し、前記第1容器は2.5〜90mgの範囲で活性化型のVII因子ポリペプチドを含んでいる組成物を前記第1容器のmL容量に保持するキット。
【請求項29】
請求項28に記載のキットであって、前記第1容器および第2容器は、1つの区画が第1容器に対応し、もう1つの隣接する区画が第2容器に対応するカープルとして配置されるキット。
【請求項30】
請求項28〜29の何れか1項で規定されたキットから活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を調製するための方法であって、前記第1容器の固形の薬学的組成物を前記第2容器の液体で水性の溶媒の少なくとも一部と、活性化型のVII因子ポリペプチドの即時使用可能な液体で水性の薬学的組成物を形成するように混合することを備える方法。
【請求項31】
請求項30に記載の方法であって、基本的に全ての前記第2容器の液体で水性の溶媒が、前記第1容器の固形の薬学的組成物と混合される方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−539208(P2008−539208A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508236(P2008−508236)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061921
【国際公開番号】WO2006/114448
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(501497563)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アクチェンゲゼルシャフト (58)
【Fターム(参考)】