説明

活性成分としてのパントプラゾールを含有する投与形

【課題】パントプラゾールのマグネシウム塩の経口投与のための新規投与形を提供する。
【解決手段】賦形剤としての低分子ポリビニルピロリドンを含有するパントプラゾールマグネシウム塩のための経口投与形が安定性を示し、かつ、先行技術から公知であるパントプラゾールマグネシウム塩のための経口投与形と比較した、活性成分のための明らかに改善された放出プロフィールを示すことも見い出された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬学的技術分野に関し、かつパントプラゾールのマグネシウム塩の経口投与のための投与形を記載する。本発明は更に、前記投与形の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
被覆経口投与形、例えば、胃を通過した後に腸のアルカリ性の環境中で急速に溶解する腸溶性コーティングを有する酸不安定性の活性化合物を含有する錠剤又はペレットは一般に公知である。そのような酸不安定性の活性化合物の例は酸不安定性のプロトンポンプインヒビター(H/K ATPaseインヒビター)であり、殊に例えばEP−A−0005129(特許文献1)、EP−A−0166287(特許文献2)、EP−A−0174726(特許文献3)及びEP−A−0268956(特許文献4)に開示されているようにピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾールである。そのH/K ATPase阻害効果の理由で、これらは増大する胃酸分泌により引き起こされる疾患の治療において重要である。このグループからの市販の活性化合物の例は、5−メトキシ−2−[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:オメプラゾール)、5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:パントプラゾール)、2−[3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾール(INN:ランソプラゾール)及び2−{[4−(3−メトキシプロポキシ)−3−メチルピリジン−2−イル]−メチルスルフィニル}−1H−ベンズイミダゾール(INN:ラベプラゾール)である。
【0003】
これらは中性及び特に酸性の環境中で分解する傾向が極めて高く、その際著しく着色された分解生成物が形成されるため、経口調製剤のためには、この場合酸の作用から活性化合物を保護することも必要である。酸不安定性の高いピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾールの場合、更に、このピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾールを錠剤コア中で又はペレット中でそのアルカリ金属塩の形で、例えばナトリウム塩の形で、又はアルカリ金属物質と一緒に加工することが必要である。腸溶性コーティングのために適した物質は遊離カルボキシル基を有する物質であるため、前記腸溶性コーティングは腸内のアルカリ性の環境のために部分的に分解されるか又はその上内部から分解され、かつ前記遊離カルボキシル基は活性化合物の分解を促進するという問題を引き起こす。従って、腸溶性コーティングとアルカリ性の錠剤コア又はペレットとの間に分離中間層(サブコーティング)を設ける必要がある。EP−A−0244380(特許文献5)は、活性化合物をアルカリ金属化合物又はアルカリ金属塩と一緒に含有するコアを、水溶性であるか又は水中で急速に分解しかつ酸性でなくかつ製薬学的に認容性の不活性な物質である少なくとも1つの層で被覆し、その後で腸溶性層を施与することを提案している。前記の1つ又は複数の中間層はpH緩衝区域として機能し、この区域内では外側から内側に向かって拡散する水素イオンはアルカリ性のコアから拡散するヒドロキシルイオンと反応することができる。前記中間層の緩衝能力を高めるために、1つ又は複数の中間層内へ緩衝物質を混入することが提案されている。実際に、この方法により多少安定な調製剤を得ることができる。しかしながら、わずかな分解の際であっても見苦しい変色が生じることを避けるために、比較的厚い中間層が必要である。更に、製造時に水分の痕跡量を避けるために多大な労力が必要とされる。
【0004】
EP−A−0519365(特許文献6)には、水溶性中間層及び腸溶性コーティングで被覆されたアルカリ性コアの原理に基づく、活性化合物であるパントプラゾールのための製剤が提案されており、その際、改善された安定性が、アルカリ性コアのための結合剤としてのポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースの使用により達成されている。結合剤として高分子のポリビニルピロリドンを使用することが開示されている。
【0005】
EP−A−0342522(特許文献7)には酸感受性のベンズイミダゾールのための製剤が開示されており、その際、アルカリ性コアと腸溶性コーティングとの間には、水に微溶性の被膜形成性材料、例えばエチルセルロース又はポリビニルアセテート、及びその中に懸濁された水に微溶性の微粒子状の無機材料又は有機材料、例えば酸化マグネシウム、酸化ケイ素又はショ糖脂肪酸エステルから構成されている中間層が配置されている。
【0006】
EP−A−0277741(特許文献8)には、低置換ヒドロキシプロピルセルロース及び抗潰瘍活性を有するベンズイミダゾール化合物を含有する噴霧粉末で被覆されているコアを有する球状の顆粒剤が記載されている。前記の顆粒剤は腸溶性コーティング剤で被覆されていてよい。
【0007】
EP−A−1213015(特許文献9)には、プロトンポンプインヒビターの遅延放出を伴う経口製薬学的調製剤が開示されている。
【0008】
上記の背景技術が示すように、酸不安定性の活性化合物のための経口投与形は技術的に複雑なプロセスを必要とする。
【0009】
国際特許出願WO97/41114(特許文献10)には、ピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾールのマグネシウム塩を製造するための特定の方法が記載されている。とりわけ、パントプラゾールのマグネシウム塩の製造が実施例によっても記載されている。示されている分析データによれば、製造された塩は無水の形のパントプラゾールマグネシウムである。
【0010】
国際特許出願WO00/10995(特許文献11)には、パントプラゾールのマグネシウム塩の二水和物が記載されている。パントプラゾールのマグネシウム塩の二水和物はとりわけパントプラゾール自体又はパントプラゾールナトリウムセスキ水和物と比較して改善された安定特性を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】EP−A−0005129
【特許文献2】EP−A−0166287
【特許文献3】EP−A−0174726
【特許文献4】EP−A−0268956
【特許文献5】EP−A−0244380
【特許文献6】EP−A−0519365
【特許文献7】EP−A−0342522
【特許文献8】EP−A−0277741
【特許文献9】EP−A−1213015
【特許文献10】国際特許出願WO97/41114
【特許文献11】国際特許出願WO00/10995
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の一つの課題は、投与形を、技術的な大いなる複雑性を伴うことなく製造することができ、かつパントプラゾールの酸不安定性を考慮したものであり、かつパントプラゾールマグネシウム塩を効果的に身体のために、最適な活性成分プロフィール及び従って作用プロフィールが達成されるというように得ることができる、パントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための投与形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
遅延放出型として入手可能なパントプラゾールマグネシウム経口製薬学的投与形は、パントプラゾールナトリウムを含有する相応する投与形と比較して、インビトロで延長された溶解時間を有することが見い出された。従って、薬物動態学的観点から、パントプラゾールマグネシウム経口投与形が、例えばパントプラゾールナトリウム経口投与形と比較して作用の開始が遅延するという臨床的欠点を有し得ることが予想され得る。意外なことに、パントプラゾールマグネシウム経口投与形が、活性成分の予期せぬ放出プロフィール及び臨床的利点を有することが見い出された。
【0014】
従って本発明の一つの態様は、パントプラゾールマグネシウムを製薬学的に認容性の賦形剤と一緒に含有する経口製薬学的投与形に関する。
【0015】
意外なことに、賦形剤としての低分子ポリビニルピロリドンを含有するパントプラゾールマグネシウム塩のための経口投与形が安定性を示し、かつ、先行技術から公知であるパントプラゾールマグネシウム塩のための経口投与形と比較した、活性成分のための明らかに改善された放出プロフィールを示すことも見い出された。
【0016】
従って本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールマグネシウム塩を低分子ポリビニルピロリドン及び1種以上の他の適当な製薬学的賦形剤と一緒に含有する、パントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための投与形にも関する。
【0017】
投与形とは、特に医薬投与形、例えば錠剤、被覆錠剤、多粒子形、例えばペレット又はカプセル中のペレット及びミクロ錠剤又は多重ユニット錠剤化投与形(例えばWO96/01623に開示されたもの)を意味し、ここで、投与形は有利に、パントプラゾールマグネシウム塩が放出されるように設計されるか、又は、最適な活性成分プロフィール及び従って作用プロフィールが達成されるよう身体のために有効となるようにされる。多重ユニット錠剤化投与形に関連するユニットは、パントプラゾールマグネシウム塩を含有する個々のユニットを指し、この個々のユニットは小ビーズ、粒子、顆粒又はペレットであってよく、本発明に関連してペレットとも呼称される。適当な投与形は例えばEP−A−0519365、EP−A−0244380、EP−A−1213015、EP−A−1105105、EP−A−1037634、EP−A−1187601及びEP−A−1341528に開示されている。
【0018】
本発明の経口投与形は、有利に活性成分の変性された遅延、殊に活性成分の遅延放出を伴う投与形である。安定でかつ酸性条件下では活性成分を放出しないが、中性条件及び殊に腸のアルカリ性環境内で急速に分解する、少なくとも1つの腸溶性コーティング層を含有する腸溶性被覆投与形は殊に有利である。更に有利な実施態様において、本発明による投与形は腸溶性コーティング層の他に、1つ以上の中間層(サブコーティング層)を含有する。他の実施態様において、本発明による投与形は少なくとも1つの腸溶性コーティング層を含有するが、中間層を含有しない。
【発明の効果】
【0019】
パントプラゾールマグネシウム塩を効果的に身体のために、最適な活性成分プロフィール及び従って作用プロフィールが達成されるというように得ることができる、パントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための新規投与形を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】種々の分子量を有する種々の型のPVPを含有する錠剤コアからのパントプラゾールのマグネシウム塩の放出を示す図。
【図2】錠剤からのパントプラゾールのマグネシウム塩の放出と、比較可能な成分を有する錠剤からのパントプラゾールのナトリウム塩の放出との比較の差異を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
パントプラゾールは、化合物5−ジフルオロメトキシ−2−[(3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル)メチルスルフィニル]−1H−ベンズイミダゾールのためのINN(国際一般名)である。パントプラゾールのマグネシウム塩は化学化合物マグネシウムビス[5−[ジフルオロメトキシ]−2−[[3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾリド]である。本発明に関連して、パントプラゾールマグネシウム塩は、水和物形(例えば一水和物、セスキ水和物又は二水和物)で存在していてもよい。本発明に関連する殊に有利な水和物は、マグネシウムビス[5−[ジフルオロメトキシ]−2−[[3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾリド]二水和物の化学名を有するパントプラゾールのマグネシウム塩の二水和物である。パントプラゾールのマグネシウム塩の合成は例えば国際特許出願WO97/41114に記載されており、パントプラゾールのマグネシウム塩の二水和物の合成は国際特許出願WO00/10995に開示されている。
【0022】
中性及び特に酸性の環境中で分解する傾向が極めて高く、その際著しく着色された分解生成物が形成されるため、経口調製剤のためには、一方でパントプラゾールのマグネシウム塩をアルカリ性環境中で保持し、他方でパントプラゾールのマグネシウム塩を酸の浸漬から保護することが有利である。胃を通過した後に腸内のアルカリ性の環境中で急速に溶解する腸溶性コーティングで、酸不安定性の活性成分を含有する錠剤又はペレットを被覆することは一般に公知である。極めて酸不安定性であるパントプラゾールの場合、パントプラゾールを錠剤コア中で又はペレット中でそのアルカリ金属塩の形で、及び有利にアルカリ金属物質と一緒に加工することが有利である。腸溶性コーティングのために適した物質は遊離カルボキシル基を有するため、前記腸溶性コーティングは腸内のアルカリ性の環境のために部分的に分解されるか又はその上内部から完全に分解され、かつ前記遊離カルボキシル基は活性成分の分解を促進するという問題を引き起こす。従って、腸溶性コーティングとアルカリ性の錠剤又はペレットコアとの間にシールする中間層(サブコーティング)を設けることが有利である。EP−A−0244380は、活性成分をアルカリ金属化合物又はアルカリ金属塩と一緒に含有するコアを、水中で可溶性であるか又は水中で急速に崩壊し、酸性でなくかつ製薬学的に認容性の物質である少なくとも1つの層で被覆し、その後で腸溶性層を施与することを提案している。
【0023】
1つ又は複数の中間層はpH緩衝区域として機能し、この区域内では外側から内側に向かって拡散する水素イオンはアルカリ性のコアから拡散するヒドロキシルイオンと反応することができる。前記中間層の緩衝能力を高めるために、1つ又は複数の中間層内へ緩衝物質を混入することが提案されている。実際に、この方法により多少安定な調製剤を得ることができる。
【0024】
従って本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、ペレット又は錠剤コア中の1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形にも関する。
【0025】
本発明は更に、治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、アルカリ性のペレット又は錠剤コア中の1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形にも関する。
【0026】
他の実施態様において、本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、ポリビニルピロリドン及び場合によりアルカリ性のペレット又は錠剤コア中の1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形にも関する。
【0027】
他の実施態様において、本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、PVP 90及び場合によりアルカリ性のペレット又は錠剤コア中の1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形にも関する。
【0028】
他の実施態様において、本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、アルカリ性のペレット又は錠剤コア中の低分子ポリビニルピロリドン及び場合により1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形にも関する。
【0029】
本発明の1つの実施態様において、経口投与形は、パントプラゾールマグネシウム塩及び場合により他の賦形剤を含有する個々の腸溶性コーティングで成層されたユニットを有する多重ユニット錠剤化投与形である。
【0030】
本発明による投与形において使用することができる更に適当な製薬学的賦形剤は、例えば充填剤、(付加的)結合剤、崩壊剤又はさもなくば滑剤及び離型剤といった製薬学的賦形剤である。本発明の投与形中に存在していてよい他の適当な賦形剤は、例えば矯味剤(例えば香料及び甘味料)、緩衝剤、防腐剤、着色剤(黄又は赤酸化鉄)、湿潤剤、界面活性剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)又はさもなくば乳化剤である。香料は通常0.05〜1質量%の割合で添加される。一例としての他の矯味剤は、酸、例えばクエン酸、甘味料、例えばショ糖、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム又はマルトールであり、これらは所望の結果により添加される。
【0031】
錠剤又はペレットコアを製造するために使用することができる適当な結合剤は、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ゼラチンであり、その際PVPが有利である。
【0032】
有利な実施態様において、本発明は、治療学的有効量のパントプラゾールマグネシウム塩を、結合剤としてのポリビニルピロリドン(PVP)及び1種以上の他の適当な製薬学的賦形剤と一緒に含有する、パントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための投与形にも関する。
【0033】
本発明により結合剤として使用されるポリビニルピロリドン(PVP)は、2000〜1500000の範囲内の分子量のものであってよい。本発明による一つの実施態様において、PVP 90(平均分子量約1000000〜1500000)又は600000〜700000の範囲内のPVPを有利なものとして挙げることができる。本発明の他の実施態様において、PVPは低い平均分子量を有する水溶性PVPであり、有利に投与形において結合剤として使用される。本発明に関連する低い平均分子量とは、300000未満、有利に100000未満、殊に有利に70000未満、更に殊に有利に60000未満、最も殊に有利に40000未満の平均分子量を有するPVPを指す。挙げることのできる例は、Kollidon 12 PF(分子量2000〜3000)、Kollidon 17 PF(分子量7000〜11000)、Kollidon 25(分子量28000〜34000)及びKollidon 30(分子量44000〜54000)であり、その際、Kollidon 25が有利である。
【0034】
結合剤(及び適当な場合には付加的な他の結合剤)としてのPVPの(仕上がった投与形に対する質量パーセントでの)割合は、本発明によれば有利に0.5〜15質量%であってよい。PVPの割合は1〜5質量%、殊に有利に1.5〜3.5質量%である。
【0035】
本発明に関連する適当な充填剤は、マンニトール、ラクトース、デンプン、セルロース及びリン酸カルシウムであり、その際マンニトールが有利である。本発明の1つの実施態様において、マンニトールは本発明による経口投与形のために使用される単独の充填剤である。
【0036】
ペレット又は錠剤コア(=アルカリ性の錠剤又はペレットコア)の塩基性反応のために、(必要とされるpHの上昇が活性成分塩を使用することによって簡単に達成されない場合には)無機塩が混合される。これに関連して、例えば、弱酸の薬理学的に適当な(認容性の)アルカリ金属、アルカリ土類金属又は土類金属塩、及び、アルカリ土類金属及び土類金属の薬理学的に適当な水酸化物及び酸化物を挙げることができる。一例として強調することができる塩基として、炭酸ナトリウムが挙げられる。
【0037】
充填剤及び結合剤の他に、他の補助物質、殊に滑剤及び付着防止剤及び錠剤崩壊剤を錠剤コアの製造において使用することができる。挙げることのできる滑剤及び付着防止剤の例は、高級脂肪酸及びそのアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩、例えばステアリン酸カルシウムである。適当な崩壊剤は、殊に化学的に不活性な薬剤である。有利なものとして挙げることのできる錠剤崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース、グリコール酸ナトリウムデンプン及びα化デンプンである。
【0038】
本発明の1つの実施態様において、本発明による経口投与形は錠剤であり、かつ錠剤コアのための賦形剤として炭酸ナトリウム、マンニトール、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン及びステアリン酸カルシウムを含有する。
【0039】
本発明の他の実施態様において、本発明による経口投与形はノンパレイル(nonpareill)/シードをベースとするペレット形であり、ペレットコアは賦形剤としてデンプンを含有する。驚異的にも、(ノンパレイル/シードをベースとする)ペレットコアにおいて賦形剤としてデンプンを使用することにより、ペレットコアからのパントプラゾールマグネシウムの放出が、ペレットコア中にデンプンを含まないペレットと比較してより速くかつ増大することが見い出された。これに関連して使用することができるデンプンの適当な型は、種々の型のデンプン、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、米デンプン、コムギデンプン、有利にα化デンプン及び殊にα化コーンスターチ(Starch 1500)である。本発明による有利な実施態様において、ペレットコア中に存在するα化デンプンの量は(ペレットコアの全質量に対して)0.5〜4質量%の範囲内、殊に有利に1〜3質量%の範囲内である。
【0040】
ペレットコアは、付加的な賦形剤、例えば上記のもの、及び錠剤コアに関連して挙げられたもの(例えば結合剤、安定剤、崩壊剤、界面活性剤及び湿潤剤)を含有してよい。湿潤剤はこれに関連して有利に合成界面活性剤(例えばポリソルベート(polysorbate)、スパン(span)、ブリジ(brij))、脂肪酸の硫酸塩及びスルホン酸塩(例えばドデシル硫酸ナトリウム)、非イオン性界面活性剤(例えばポロキサマー(poloxamer))及び脂肪酸のグリセリンエステルを指す。有利な実施態様において、SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)が存在する。存在していてよい結合剤は、例えばPVP、HPMC、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びゼラチンである。存在していてよい崩壊剤は、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びグリコール酸ナトリウムデンプンである。
【0041】
本発明の他の実施態様において、本発明による経口投与形は、賦形剤として、炭酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、α化デンプン、ポリビニルピロリドン及びショ糖を含有する[ペレット]。経口投与形は有利にノンパレイルをベースとするペレットである。
【0042】
ペレットコア又は錠剤コアに施与すべき1つ又は複数の中間層に関して、殊に、通常、胃液耐性である層の施与の前に使用されるような水溶性層か、又は例えばDE−OS3901151に記載されているようなものを引用することができる。中間層のために使用することができる挙げることのできる薄膜ポリマーの例は、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び/又はポリビニルピロリドンであり、所望の場合にはこれらに可塑剤(例えばプロピレングリコール)及び/又は他の添加剤(例えば付着防止剤としてのタルク)及び補助物質(例えば緩衝剤、塩基又は顔料)を添加することもできる。
【0043】
本発明の1つの実施態様において、本発明による経口投与形は、薄膜ポリマーとしてヒドロキシプロピルメチルセルロースをベースとする1つ又は複数の中間層を含有する。
【0044】
当業者は、その専門知識に基づいて、胃液耐性であり使用することができる外側層に精通している。腸溶性コーティングのための適当なポリマーの例は、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー又はメタクリル酸/エチル−アクリレートコポリマー(Eudragit(R)L、S又はEudragit(R)L 30 D)又はセルロース誘導体、例えばカルボキシメチルエチルセルロース(CMEC、Duodcel(R))、セルロースアセテートフタレート(CAP)、セルロースアセテートトリメリテート(CAT)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HP50、HPSS)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート(HPMCAS)又はポリビニルアセテートフタレートであり、所望の場合にはこれらに可塑剤(例えばプロピレングリコール又はクエン酸トリエチル)及び/又は他の添加剤及び補助物質(例えば緩衝剤、塩基、例えば有利に水酸化アルミニウム又は顔料)を添加することもできる。
【0045】
本発明の1つの実施態様において、本発明による経口投与形は、メタクリル酸/メチルメタクリレートコポリマー又はメタクリル酸/エチル−アクリレートコポリマーをベースとする腸溶性コーティングを含有する。Eudragit(R)L 30 Dは殊に有利である(Eudragit(R)L 30 Dは、分子量250000を有するメタクリル酸コポリマー(タイプC)、ドデシル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80から成る)。
【0046】
この目的のために慣用の装置を用いて、慣用の方法で層が施与される。
【0047】
本発明による経口投与形は、例えば錠剤及びペレットの製造のために当業者に公知である方法により製造することができる(例えば、プロトンポンプインヒビターのための経口投与形に関する種々の特許文献に開示されているように;一例として、EP−A−0519365又はEP−A−0244380に記載されている方法を挙げることができる)。
【0048】
ペレットは、場合により、ショ糖スターターペレットへ予備分離を適用し、引き続き、結合剤としてポリビニルピロリドン(PVP)を含有する水中の活性化合物の10〜20%懸濁液を適用することによって、得ることができる。
【0049】
分離層を、同様に、相応するすぐに使用できる分散液(例えばオパドライ(opadry))を用いて、流動床コーター中で錠剤に施与することもできる。胃液耐性である層の被覆は、流動床技術を用いて、錠剤のためのものと同様の処理によって実施することができる。
【0050】
本発明の1つの実施態様において、本発明による製薬学的投与形は、PVPの水溶液中のパントプラゾールマグネシウム塩の懸濁液を製造し、この懸濁液を製薬学的賦形剤の混合物に噴霧し、顆粒を生じさせることにより製造される。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0051】
顆粒から腸溶性被覆錠剤へと後処理する場合には、顆粒を崩壊剤及び滑剤成分と一緒に、当業者に公知の製造プロセスによって加工して錠剤にし、薄膜形成剤、可塑剤及び着色剤成分と一緒に、本発明による腸溶性被覆錠剤を得る。
【0052】
従って本発明の他の主題は、以下の工程:
(a)PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩と場合により他の製薬学的賦形剤との懸濁液を製造する工程;
(b)製薬学的賦形剤の混合物を供給する工程、及び
(c)(b)から得られた混合物を(a)から得られる懸濁液を用いて造粒する工程
を含む、パントプラゾールのマグネシウム塩を含有する錠剤又はペレットの形の経口投与形の製造法である。
【0053】
有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0054】
本発明の投与形が錠剤である場合、(c)から得られる顆粒を乾燥させ、滑剤及び適当であれば他の製薬学的賦形剤と混合した後で、錠剤成形機上でプレスして錠剤にし、成層して腸溶性被覆錠剤を生じさせることができる。
【0055】
本発明の投与形が多重粒子の形である場合、顆粒を、押出成形及び整粒によりペレットへと加工することができる。そのために、パントプラゾールのマグネシウム塩をPVPの溶液中に懸濁させ(a)、その後他の賦形剤と混合することができる(c)。混合物を、適当な処理装置を用いて押出成形/整粒により加工することができる。得られるコアペレットのサイズは約0.2〜3mmであり、有利に0.25〜2mmである。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0056】
製造された押出成形ペレットを、更に、当業者に公知の成分を用いて成層することができる。腸溶性被覆ペレットを、乾燥後に当業者に公知の処理プロセスにより腸溶性被覆ペレットへと加工することができ、これを滑剤と混合した後にカプセル中に充填することもできるし、他の製薬学的賦形剤と混合した後でプレスして錠剤へと加工することもできる。
【0057】
それとは異なって、(a)から得られる懸濁液をシード(例えば糖、セルロース又はHPMCを含有するノンパレイル)に噴霧することができる。得られたペレットを乾燥後に当業者に公知の製造プロセスにより腸溶性被覆ペレットへと加工することができ、これを滑剤と混合した後にカプセル中に充填することもできるし、他の製薬学的賦形剤と混合した後でプレスして錠剤へと加工することもできる。
【0058】
殊に有利に、錠剤の形の本発明の投与形は、マンニトールと不溶性PVPとの混合物を、PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩、炭酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムの懸濁液を用いて造粒し、顆粒を乾燥させ、滑剤と混合し、錠剤成形機上でプレスして錠剤へと加工し、次いで被覆プロセスを行うことにより製造される。一つの実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0059】
殊に有利に、ノンパレイル技術をベースとする多重粒子の形の本発明の投与形は、PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩、炭酸ナトリウム及びドデシル硫酸ナトリウムの懸濁液をスターターペレットに噴霧し、ペレットを乾燥させ、これをサブコーティング及び腸溶性コーティングと共に成層させ、適当であれば滑剤と混合し、カプセルに充填することにより製造される。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0060】
ノンパレイル技術をベースとする本発明の殊に有利な投与形である他の実施態様において、投与形は、PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩、炭酸ナトリウム、α化デンプン及びドデシル硫酸ナトリウムの懸濁液をスターターペレットに噴霧し、ペレットを乾燥させ、これをサブコーティング及び腸溶性コーティングと共に成層させ、適当であれば滑剤と混合し、カプセルに充填することにより製造される。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0061】
殊に有利に、押出成形ペレットの形の本発明の投与形は、微晶質セルロース、炭酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの混合物をPVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩の懸濁液を用いて造粒し、湿潤塊状物を押出成形し、整粒機又はマルメライザーを用いてこれに丸みを付けることにより製造される。得られるペレットコアを流動床乾燥機又は他の適当な乾燥技術を用いて乾燥させる。その後、ペレットをサブコーティング及び胃耐性コーティングを用いて成層させ、適当であれば滑剤と混合し、カプセルに充填する。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0062】
本発明の他の実施態様において、錠剤の形の本発明の製薬学的形は、パントプラゾールのマグネシウム塩と製薬学的賦形剤との乾燥混合物をPVPの水溶液を用いて造粒し、顆粒を乾燥させ、適当であればこれを他の製薬学的賦形剤と混合することにより製造される。顆粒を他の製薬学的賦形剤と混合した後に錠剤成形機上で圧縮して錠剤に加工することができる。有利に、適当な条件下で流動床造粒機を用いることにより造粒を行う。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0063】
従って、以下の工程:
(a)パントプラゾールのマグネシウム塩と製薬学的賦形剤との乾燥混合物を製造する工程
(b)(a)から得られる混合物をPVPの水溶液を用いて造粒する工程
を含む、パントプラゾールのマグネシウム塩を含有する錠剤又は多重粒子の形の経口投与形の製造法も本発明の主題である。
【0064】
有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0065】
本発明の投与形が押出成形ペレットの形である場合、上記の混合物を押出成形及び整粒によりペレットへと加工することができる。そのために、パントプラゾールのマグネシウム塩を他の賦形剤と混合し(a)、PVPの水溶液を用いて造粒する(b)ことができる。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。混合物を、押出成形/整粒により適当な処理装置を用いて加工することができる。得られたコアペレットのサイズは約0.2〜3mmであり、有利に約0.25〜2mmである。
【0066】
殊に有利に、錠剤の形の本発明の投与形は、パントプラゾールのマグネシウム塩、マンニット及び炭酸ナトリウム及び不溶性PVPの混合物をPVPの水溶液を用いて造粒し、顆粒を乾燥させ、滑剤と混合し、錠剤成形機上でプレスして錠剤へと加工し、次いで被覆プロセスを行うことにより製造される。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0067】
殊に有利に、押出成形ペレットの形の本発明の投与形は、微晶質セルロース、炭酸ナトリウム、グリコール酸ナトリウムデンプン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース及びパントプラゾールのマグネシウム塩の乾燥混合物をPVPの水溶液を用いて造粒し、湿潤塊状物を押出成形し、整粒機又はマルメライザーを用いてこれに丸みを付けることにより製造される。得られるペレットコアを流動床乾燥機又は他の適当な乾燥技術を用いて乾燥させ、その後、上記の被覆プロセスを行う。有利な実施態様において、PVPは低分子PVPである。
【0068】
図の説明
図1は種々の分子量を有する種々の型のPVPを含有する錠剤コアからのパントプラゾールのマグネシウム塩の放出を示す。実施例B9の顆粒はPVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩の懸濁液を用いて造粒することにより製造されたものである。実施例B8、B10、B11、B12及び参照例C1の顆粒は、PVPの水溶液を用いて、パントプラゾールのマグネシウム塩と製薬学的賦形剤とのドライブレンドを造粒することにより製造されたものである。
【0069】
図2は、錠剤からのパントプラゾールのマグネシウム塩の放出と、比較可能な成分を有する錠剤からのパントプラゾールのナトリウム塩の放出との比較の差異を示す。
【0070】
本発明による投与形の製造を以下に例を用いて記載する。以下の例は本発明を制限することなくより詳細に説明する。
【実施例】
【0071】
A.マグネシウムビス[5−[ジフルオロメトキシ]−2−[[3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル]−メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾリド]二水和物の合成
パントプラゾールNaセスキ水和物[ナトリウム[5−[ジフルオロメトキシ]−2−[[3,4−ジメトキシ−2−ピリジニル]メチル]スルフィニル]−1H−ベンズイミダゾリド]セスキ水和物]3.85kg(8.9モル)を、20〜25℃で、撹拌容器中で精製水38.5l中に溶解させる。精製水8l中の二塩化マグネシウム六水和物1.0kg(4.90モル)の溶液を撹拌しながら20〜30℃で3〜4時間に亘って添加する。更に18時間撹拌した後、沈殿した固体を遠心分離し、精製水23lで洗浄し、20〜30℃で1〜2時間に亘って精製水35l中で撹拌し、再度遠心分離し、精製水30〜50lで再度洗浄する。固形生成物を、<4.8%の残留含水率が達成されるまで50℃で真空(30〜50ミリバール)中で乾燥させる。その後、生成物を粉砕する。
【0072】
標題の化合物が白色ないしベージュ色の粉末として得られ、これを更なる製薬学的処理のために直接使用する。
【0073】
収量:3.40kg(理論値の90%);含水量:4.5〜4.6%;融点:194〜196℃、分解を伴う。
【0074】
【表1】

【0075】
それとは異なって、標題の化合物を有機溶剤と水との混合物を用いて製造することもできる。このために、パントプラゾールNaセスキ水和物を50〜60℃で有機溶剤中に溶解させる。水中に溶解された0.5モル当量のマグネシウム塩(例えば塩化マグネシウム六水和物)を少量ずつ添加し、撹拌しながら溶液を冷却させる。沈殿した固体を濾別し、相応する有機溶剤で洗浄し、重量が一定となるまで真空中で50℃で乾燥させる。標題の化合物が無色の粉末として得られる。種々の溶剤に関する例を以下の第1表に示す。
【0076】
【表2】

【0077】
それとは異なって、パントプラゾールと塩基性マグネシウム塩、例えばマグネシウムメチラートとを、例えば以下のように反応させることにより標題の化合物を製造することもできる:パントプラゾール90gを2−プロパノール700ml中に60〜70℃で溶解させる。固形マグネシウムメチラート13.4g(0.5モル)を添加し、溶液を撹拌しながら冷却し、濾過する。水36mlを添加した後、形成された結晶質固体を濾別し、水で洗浄し、重量が一定となるまで真空中で50℃で乾燥させる。融点194〜196℃(含水率4.8%)の標題の化合物がベージュ色の固形物として得られる。
【0078】
B.本発明による投与形の製造
実施例B.1
ワースター(Wurster)コーティングにより製造されるペレット(ノンパレイル):
I.活性ペレット:
a.)ショ糖スターターペレット(0.425〜0.5mm) 500.0g
b.)炭酸ナトリウム 30.0g
c.)パントプラゾール−Mg二水和物 300.0g
d.)ポリビニルピロリドンK25 35.0g
aをb、c及びdの水性分散液を用いて流動床プロセス(ワースター装置)又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で噴霧する。
【0079】
II.中間層(サブコーティング):
e.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 120.0g
f.)二酸化チタン 2.0g
g.)LB黄酸化鉄 0.2g
h.)プロピレングリコール 24.0g
eを水中に溶解させる(A)。f及びgを高剪断ミキサーを用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わせ、hを添加した後、生じる懸濁液を適当なシーブに通して篩分けする。懸濁液を、流動床プロセス(ワースター)又は他の適当なプロセス(例えばコーティング槽)を用いてIで得られた活性ペレット500gに噴霧する。
【0080】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
i.)Eudragit(R) L 30 D 230.0g
j.)クエン酸トリエチル 7.0g
iを水中に懸濁させ、jを添加した後、生じる分散液を適当なシーブに通して篩分けする。IIIを、ワースター流動床装置又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で、IIで得られた分離されたペレット500gに噴霧する。
【0081】
得られる腸溶性被覆ペレットを、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤成形機上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる(実施例B6/7を参照のこと)。
【0082】
実施例B.2
ワースターコーティングにより製造されるペレット(ノンパレイル):
I.活性ペレット:
a.)セルロースペレット(0.6〜0.7mm) 1000.0g
b.)炭酸ナトリウム 75.0g
c.)パントプラゾール−Mg二水和物 650.0g
d.)ポリビニルピロリドンK25 80.0g
aをb、c及びdの水性分散液を用いて流動床プロセス(ワースター装置)又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で噴霧する。
【0083】
II.中間層(サブコーティング):
e.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 250.0g
f.)二酸化チタン 5.0g
g.)LB黄酸化鉄 0.45g
eを水中に溶解させる(A)。f及びgを高剪断ミキサーを用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わせ、生じる懸濁液を適当なシーブに通して篩分けする。懸濁液を、流動床プロセス(ワースター)又は他の適当なプロセス(例えばコーティング槽)を用いてIで得られた活性ペレット1000gに噴霧する。
【0084】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
h.)Eudragit(R) L 30 D 365.0g
i.)クエン酸トリエチル 15.0g
hを水中に懸濁させ、iを添加した後、生じる分散液を適当なシーブに通して篩分けする。IIIを、ワースター流動床装置又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で、IIで得られた分離されたペレット1000gに噴霧する。
【0085】
得られる腸溶性被覆ペレットを、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤成形機上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる(実施例B6/7を参照のこと)。
【0086】
実施例B.3
ワースター(Wurster)コーティングにより製造されるペレット(ノンパレイル):
I.活性ペレット:
a.)セルロースペレット(0.4〜0.5mm) 2000.0g
b.)炭酸ナトリウム 136.0g
c.)パントプラゾール−Mg二水和物 1420.0g
d.)ポリビニルピロリドンK25 117.0g
e.)ドデシル硫酸ナトリウム(SDS) 16.4g
コア材料を製造するために、実施例B1に記載されているように、懸濁液の成層を流動床装置又は他の適当な装置中で実施する。
【0087】
II.中間層(サブコーティング):
f.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 600.0g
g.)ポリビニルピロリドンK25 8.0g
h.)二酸化チタン 10.0g
i.)LB黄酸化鉄 1.0g
実施例B1に記載されているように、中間層で被覆されたペレットを製造する。
【0088】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
j.)ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート 800.0g
k.)クエン酸トリエチル 250.0g
l.)エタノール 7250.0g
腸溶性コーティング層を、水/エタノール溶液から流動床装置を用いて分離されたペレットに施与する。
【0089】
得られる腸溶性被覆ペレットを、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤成形機上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる(実施例B6/7を参照のこと)。
【0090】
実施例B.4
押出成形/整粒により製造されるペレット:
I.押出成形/整粒によるペレットの製造:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 250.0g
b.)微晶質セルロース 150.0g
c.)グリコール酸ナトリウムデンプン 20.0g
d.)炭酸ナトリウム 32.5g
e.)ナトリウムカルボキシメチルセルロース 25.0g
f.)ポリビニルピロリドンK25 35.0g
a〜cを適当なミキサーを用いて混合する。d〜fを水中に溶解させ、得られた結合剤溶液を粉末混合物に添加する。溶液を添加し、混合した後、塊状物をスクリュー押出機を用いて押出成形する。その後、整粒機を用いて顆粒に丸みを付け、流動床装置中で乾燥させる。
【0091】
II.中間層(サブコーティング):
中間層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0092】
III.胃液耐性である層を用いた被覆:
胃液耐性層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0093】
得られる腸溶性被覆ペレットを、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤成形機上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる(実施例B6/7を参照のこと)。
【0094】
実施例B.5
押出成形/整粒により製造されるペレット:
I.押出成形/整粒によるペレットの製造:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 1300.0g
b.)微晶質セルロース 700.0g
c.)ラクトース一水和物 150.0g
d.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 110.0g
e.)炭酸ナトリウム 180.0g
f.)α化デンプン 125.0g
g.)ポリビニルピロリドンK25 200.0g
押出成形ペレットを実施例B4に記載されている通りに製造する。
【0095】
II.中間層(サブコーティング):
中間層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0096】
III.胃液耐性である層を用いた被覆:
胃液耐性層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0097】
得られる腸溶性被覆ペレットを、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤成形機上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる(実施例B6/7を参照のこと)。
【0098】
実施例B.6
ノンパレイル−ペレットから製造された多重ユニット錠剤化投与形:
I.活性ペレット:
a.)セルロースペレット(0.6〜0.7mm) 2500.0g
b.)炭酸ナトリウム 180.0g
c.)パントプラゾール−Mg二水和物 1700.0g
d.)ポリビニルピロリドンK25 250.0g
e.)ドデシル硫酸ナトリウム 18.0g
aをb、c、d及びeの水性分散液を用いて流動床プロセス(ワースター装置)又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で噴霧する。
【0099】
II.中間層(サブコーティング):
f.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 600.0g
g.)(微粉砕)タルク 100.0g
h.)ステアリン酸マグネシウム 80.0g
fを水中に溶解させる(A)。g及びhを高剪断ミキサーを用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わせ、生じる懸濁液を適当なシーブに通して篩分けする。懸濁液を、流動床プロセス(ワースター)又は他の適当なプロセス(例えばコーティング槽)を用いてIで得られた活性ペレット2500gに噴霧する。
【0100】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
i.)メタクリル酸コポリマー 925.0g
j.)ポリエチレングリコール400 28.0g
iを水中に懸濁させ、jを添加した後、生じる分散液を適当なシーブに通して篩分けする。IIIを、ワースター流動床装置又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で、IIで得られた分離されたペレット2500gに噴霧する。
【0101】
IV.錠剤:
k.)微晶質セルロース 3750.0g
l.)架橋ポリビニルピロリドン 100.0g
m.)ステアリン酸マグネシウム 7.0g
腸溶性被覆ペレット2500gを錠剤化賦形剤と混合し、11mmの円形の押抜き具を備えたシングル打錠機を用いて圧縮し、錠剤にする。パントプラゾールの量は約20mgである。
【0102】
実施例B.7
押出成形ペレットから製造された多重ユニット錠剤化投与形:
I.押出成形/整粒によるペレットの製造:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 433.0g
b.)微晶質セルロース 240.0g
c.)ラクトース一水和物 55.0g
d.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 35.0g
e.)炭酸ナトリウム 60.0g
f.)ドデシル硫酸ナトリウム 5.5g
g.)α化デンプン 35.0g
h.)ポリビニルピロリドンK25 70.0g
押出成形ペレットを実施例B5に記載されている通りに製造する。
【0103】
II.中間層(サブコーティング):
i.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 190.0g
j.)ポリビニルピロリドンK25 8.0g
j.)(微粉砕)タルク 32.0g
k.)ステアリン酸マグネシウム 14.0g
中間層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0104】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
l.)メタクリル酸コポリマー 296.0g
m.)グリセリントリアセテート 28.0g
胃耐性層の施与を、ノンパレイルペレットのための記載(実施例B1〜B3)と同様に、流動床又は他の適当な装置を用いて処理することによって実施する。
【0105】
IV.錠剤:
n.)微晶質セルロース 1200.0g
o.)架橋ポリビニルピロリドン 32.0g
p.)ポリエチレングリコール4000 38.0g
q.)ステアリン酸マグネシウム 4.5g
腸溶性被覆押出成形ペレットを、約40mgのパントプラゾールの量の実施例B6に記載されている通りに、上記の錠剤化賦形剤を用いて錠剤化する。
【0106】
実施例B.8
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK25 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
aをbの一部、cの一部及びdとドライブレンドし、流動床造粒機の容器中に装入する;eをb及びcの他の部分と一緒にf中に溶解させ、造粒液体を生じさせる。溶液を適切な条件下で混合物に噴霧する。乾燥させ、gと混合した後、混合物を、7mmの円形の押抜き具を備えた回転式錠剤成形機を用いてプレスし、錠剤にする。錠剤の重量は約156.7mgであり、これはパントプラゾール40mg(即ちパントプラゾール−Mg二水和物43.04mg)に相当する。
【0107】
II.中間層(サブコーティング):
h.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 11.87mg
i.)ポリビニルピロリドンK25 0.24mg
j.)二酸化チタン 0.21mg
k.)LB黄酸化鉄 0.02mg
l.)プロピレングリコール 2.66mg
hを水中に溶解させる(A)。j及びkを高剪断ミキサーを用いて水中のiの溶液中に懸濁させる(B)。Bを篩分けした後、A及びBを合わる。lを懸濁液に添加する。懸濁液を、コーティング槽を用いてIで得られた錠剤コアに噴霧する。
【0108】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
m.)Eudragit(R) L 30 D 7.27mg
n.)クエン酸トリエチル 0.73mg
nを水中に懸濁させ、mと混合する。IIIをコーティング槽を用いてIIで得られた分離された錠剤に噴霧する。
【0109】
実施例B.9
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 51.94mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK25 5.00mg
f.)ドデシル硫酸ナトリウム 0.72mg
g.)精製水 7.42mg
h.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
f及びbの一部を水中に溶解させ、cの一部を添加し、aを溶液中に懸濁させる。水中のeの溶液を懸濁液に添加する。b及びcの他の部分をdと混合し、混合物を流動床造粒機の容器中に装入する。懸濁液を適切な条件下で混合物に噴霧する。乾燥させ、hと混合した後、混合物を、7mmの円形の押抜き具を備えた回転式錠剤成形機を用いて圧縮し、錠剤にする。錠剤の重量は約156.7mgである。
【0110】
錠剤コアを分離し、実施例B8に記載された通りに腸溶性コーティングを用いて成層する。
【0111】
実施例B.10
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK30 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例B8に記載されているように製造する。
【0112】
実施例B8に記載されているように、錠剤コアを分離コーティングと腸溶性コーティングと共に成層する。
【0113】
実施例B.11
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK17 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例B8に記載されているように製造する。
【0114】
実施例B8に記載されているように、錠剤コアを分離コーティングと腸溶性コーティングと共に成層する。
【0115】
実施例B.12
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK12 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例B8に記載されているように製造する。
【0116】
実施例B8に記載されているように、錠剤コアを分離コーティングと腸溶性コーティングと共に成層する。
【0117】
実施例B.13
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)ラクトース 55.00mg
d.)クロスポビドン 35.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK25 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例B8に記載されているように製造する。錠剤の重量は約154mgである。
【0118】
II.中間層(サブコーティング):
h.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 12.20mg
i.)二酸化チタン 0.21mg
j.)LB黄酸化鉄 0.02mg
hを水中に溶解させる(A)。i及びjを高剪断ミキサーを用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わせ、生じる懸濁液を適当なシーブに通して篩分けする。懸濁液をコーティング槽を用いてIで得られた錠剤コアに噴霧する。
【0119】
実施例B8に記載されているように、分離された錠剤コアを腸溶性コーティングと共に成層する。
【0120】
実施例B.14
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)トリナトリウムホスフェート 5.55mg
c.)マンニトール 55.00mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK25 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸マグネシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例B8に記載されているように製造する。錠剤の重量は約159mgである。
【0121】
II.中間層(サブコーティング):
実施例B8に記載されているように、錠剤コアを分離コーティングと共に成層する。
【0122】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
m.)メタクリル酸コポリマー 6.5mg
n.)グリセリントリアセテート 0.65mg
胃耐性層の施与を実施例B8に記載されている通りに実施する。
【0123】
実施例B.15
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)PVP 90(ポビドン) 5.00mg
f.)ステアリン酸カルシウム 3.00mg
a)をb)、c)の幾分か及びd)の全量と混合する。b)及びc)の残分をe)の澄明な水溶液に添加する。流動床中でこの溶液を用いて顆粒を得る。f)を乾燥顆粒に添加し、顆粒を適当な錠剤プレス上でプレスする。
【0124】
II.予備分離(中間層):
g.)HPMC 2910、3cps 11.87mg
h.)PVP 25 0.24mg
i.)二酸化チタン 0.21mg
j.)黄酸化鉄100E172 0.02mg
k.)プロピレングリコール 2.66mg
予備分離されたコア1つ当たりの全重量 172mg
g)を水中に溶解させ、h)を添加して溶解させる(A)。i)及びj)を適当な撹拌機を用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わる。k)を添加した後、懸濁液を篩分けし、その後直ちに後処理し、その間に、Iで得られた錠剤コアを適当なコーティング装置中で中間層が適切な厚さとなるように被覆する。
【0125】
III.胃液耐性である層を用いた被覆
l.)Eudragit(R) L 30 D 7.27mg
m.)クエン酸トリエチル 0.73mg
胃液耐性の薄膜コーティングされた錠剤1つ当たりの全重量 180mg
l)を水で希釈し、m)を添加する。分散液を篩分けし、その後処理する。
【0126】
得られた分散液を用いて、予備分離された錠剤を適当なコーティング装置中で噴霧する。
【0127】
実施例B.16
ワースターコーティングにより製造されるペレット(ノンパレイル):
I.活性ペレット:
a.)ショ糖スターターペレット(0.71〜0.85mm) 4.0kg
b.)炭酸ナトリウム 0.27kg
c.)パントプラゾール−Mg二水和物 2.84kg
d.)ポリビニルピロリドンK25 0.23kg
e.)α化デンプン 0.22kg
f.)ドデシル硫酸ナトリウム 0.03kg
aを流動床プロセス(ワースター装置)又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で他の成分の水性分散液を用いて噴霧する。
【0128】
II.中間層(サブコーティング):
g.)ヒドロキシプロピルメチルセルロース 1.830kg
h.)二酸化チタン 0.028kg
i.)LB黄酸化鉄 0.003kg
j.)ポリビニルピロリドンK25 0.021kg
g及びjを水中に溶解させる(A)。h及びiを高剪断ミキサーを用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わせ、生じる懸濁液を適当なシーブに通して篩分けする。懸濁液を流動床プロセス(ワースター)又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)を用いてIで得られた活性ペレットに噴霧する。
【0129】
III.胃液耐性である層を用いた被覆(腸溶性コーティング):
k.)Eudragit(R) L 30 D 4.40kg
l.)クエン酸トリエチル 0.13kg
m.)タルク 0.06kg
kを水中に懸濁させ、lを添加した後、生じる分散液を適当なシーブに通して篩分けする。ワースター流動床装置又は他の適当な装置(例えばコーティング槽)中で、IIで得られた分離されたペレットに分散液を噴霧する。
【0130】
得られる腸溶性被覆ペレットをタルク(m)と混合し、適当なサイズ(例えばサイズ2)の硬質ゼラチンカプセル中に充填するか、又は、慣用の錠剤プレス上で適当な錠剤化成分(例えば微晶質セルロース又はラクトース一水和物)を用いて錠剤化することができる。
【0131】
C.理学的治験及び高分子PVPを結合剤として使用した投与形を用いた比較試験
実施例C.1
錠剤:
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Mg二水和物 43.04mg
b.)炭酸ナトリウム 5.55mg
c.)マンニトール 52.66mg
d.)クロスポビドン 40.00mg
e.)ポリビニルピロリドンK90 5.00mg
f.)精製水 7.42mg
g.)ステアリン酸マグネシウム 3.00mg
錠剤コアを実施例C8に記載されているように製造する。
【0132】
実施例B8に記載されているように、錠剤コアを分離コーティングと腸溶性コーティングと共に成層する。
【0133】
実施例C.2
I.錠剤コア:
a.)パントプラゾール−Naセスキ二水和物 45.10mg
b.)炭酸ナトリウム 10.00mg
c.)マンニトール 42.70mg
d.)クロスポビドン 50.00mg
e.)PVP 90(ポビドン) 4.00mg
f.)ステアリン酸カルシウム 3.20mg
a)をb)、c)及びd)の幾分かと混合する。b)及びc)の残分をe)の澄明な水溶液に添加する。流動床中でこの溶液を用いて顆粒を得る。d)及びf)の残分を乾燥顆粒に添加し、顆粒を適当な錠剤プレス上でプレスする。
【0134】
II.予備分離(中間層):
g.)HPMC 2910、3cps 19.00mg
h.)PVP 25 0.38mg
i.)二酸化チタン 0.34mg
j.)黄酸化鉄100E172 0.03mg
k.)プロピレングリコール 4.25mg
予備分離されたコア1つ当たりの全重量 188mg
g)を水中に溶解させ、h)を添加して溶解させる(A)。i)及びj)を適当な撹拌機を用いて水中に懸濁させる(B)。A及びBを合わる。k)を添加した後、懸濁液を篩分けし、その後直ちに後処理し、その間に、Iで得られた錠剤コアを適当なコーティング装置中で中間層が適切な厚さとなるように被覆する。
【0135】
III.胃液耐性である層を用いた被覆
l.)Eudragit(R) L 30 D 14.56mg
m.)クエン酸トリエチル 1.45mg
胃液耐性の薄膜コーティングされた錠剤1つ当たりの全重量 204mg
l)を水で希釈し、m)を添加する。分散液を篩分けし、その後処理する。
【0136】
得られた分散液を用いて、予備分離された錠剤を適当なコーティング装置中で噴霧する。
【0137】
パントプラゾールのマグネシウムの放出を、実施例B8、B9、B10、B11及びB12に相当する錠剤コアに関して、実施例C1に相応する錠剤コアと比較して試験した。
【0138】
錠剤コアの崩壊:錠剤コアの崩壊を欧州薬局方に記載されているように試験した。
【0139】
活性成分の放出:活性成分の放出をUS薬局方に記載されているように試験した
(USP XXV;装置2;リン酸緩衝液pH6.8;100rpm)。
【0140】
実施例B15及びC2による調剤の放出を、0.1N塩酸中で2時間及びリン酸緩衝液pH6.8;100rpm中で1時間後に試験した。図2にはリン酸緩衝液中での薬剤放出のみが示されている。
【0141】
結果:崩壊結果を第1表に示し、溶解プロフィールを図1に示す。
【表3】

【0142】
全ての錠剤コアの崩壊が15分未満であったが、意外なことに、低分子PVPを結合剤として用いた錠剤コアからのパントプラゾールのマグネシウム塩の溶解は、高分子PVPを使用した錠剤コアからのパントプラゾールのマグネシウム塩の溶解よりも速い。
【0143】
D.理学的治験及びパントプラゾールナトリウムセスキ水和物及びパントプラゾールマグネシウム二水和物を含有する投与形を用いた比較試験
図2に、錠剤からのパントプラゾールのマグネシウム塩の放出と、比較可能な組成を有する錠剤からのパントプラゾールのナトリウム塩の放出との差を示す。活性成分としてパントプラゾールのナトリウム塩を有する投与形(実施例C.2)は、短い遅れ時間の後に、活性成分の迅速かつ完全な放出を示す。意外なことに、パントプラゾールのマグネシウム塩を含有する投与形は活性化合物の放出における遅れ時間を有しておらず、かつ全期間に亘って活性成分の一定の放出を示す。
【0144】
E.臨床試験結果
パントプラゾールマグネシウム二水和物40mg(本発明による投与形)で毎日治療した後の、(Siewertにより変更されたSavary/Miller分類による)GERD(胃食道逆流疾病)I〜IIIに罹患した患者の治癒を、相応するパントプラゾールナトリウムセスキ水和物40mgの投与形で毎日治療した場合と比較して試験した。意外なことに、パントプラゾールマグネシウム二水和物調剤がGERD I〜IIIの治癒において、パントプラゾールナトリウムセスキ水和物調剤よりも優れており、安全性は双方の投与形に関して比較可能であることが判明した。
【0145】
工業的応用性
パントプラゾールのマグネシウム塩を含有する本発明による投与形は、ピリジン−2−イルメチルスルフィニル−1H−ベンズイミダゾールの使用により治療可能であるか又は回避可能であると考えられている全ての疾患の治療及び予防のために使用することができる。殊に、本発明によるそのような投与形は、胃疾患の治療において使用することができる。本発明に関連して挙げることができる例は、良性胃潰瘍、胃食道逆流疾病、ゾリンジャー−エリソン症候群、十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリに関連した十二指腸潰瘍の治療及び予防、継続的なNSAID治療又はヘリコバクターピロリの根絶における抗生物質を用いた併用療法を必要とする胃十二指腸合併症のリスクが増加した患者におけるNSAIDに関連する胃又は十二指腸潰瘍の予防である。本発明によるそのような投与形は、1〜500mg、有利に5〜100mg、殊に有利に5〜80mgのパントプラゾールを含有する。挙げることができる例は、パントプラゾール(遊離酸)10、20、40、50、80又は100mgに相当する量のパントプラゾールのマグネシウム塩を含有する錠剤又はカプセル剤である。日用量(例えば活性化合物40mg)の投与を、例えば、個々の投与の形で、又は本発明による投与形の複数の投与(例えば活性化合物20mgを2回)により実施することができる。
【0146】
従って本発明は、本発明による投与形で治療学的有効量のパントプラゾールマグネシウムを投与することを含む、プロトンポンプインヒビターが必要とされる哺乳動物、例えばヒトにおける臨床症状の予防又は治療のための方法にも関する。1つの実施態様において、臨床症状は、良性胃潰瘍、胃食道逆流疾病、ゾリンジャー−エリソン症候群、十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリに関連した十二指腸潰瘍、継続的なNSAID治療及びヘリコバクターピロリの根絶における抗生物質を用いた併用療法を必要とする胃十二指腸合併症のリスクが増加した患者におけるNSAIDに関連する胃又は十二指腸潰瘍の予防の群から選択される。有利な実施態様において、臨床症状は胃食道逆流疾病(GERD)、殊に(Savary/Miller分類による、場合によりSiewertにより変更された)GERD I〜IIIである。
【0147】
本発明による投与形は、多様な組合せ又は固定された組合せにおいて、他の医薬と組み合わせることができる。活性成分としてパントプラゾールのマグネシウム塩を含有する本発明の投与形との関連で殊に挙げる価値のある組合せは、抗生物質活性成分との組合せ及びNSAIDs(非ステロイド系抗炎症剤)との組合せである。特に、ヘリコバクターピロリ菌(H. pylori)のコントロールのために使用されるような抗菌剤との組合せを挙げることができる。
【0148】
適当な抗菌活性成分(ヘリコバクターピロリに対する活性)の例は、EP−A−0282131に記載されている。ヘリコバクターピロリ菌をコントロールするために適した抗菌剤の挙げることができる例は、例えばビスマス塩[次クエン酸ビスマス、次サリチル酸ビスマス、アンモニウムビスマス(III)クエン酸二水酸化カリウム、酸化硝酸ビスマス、トリス(テトラオキソジアルミン酸)二ビスマス]、特にβ−ラクタム抗生物質、例えばペニシリン(例えばベンジルペニシリン、フェノキシメチルペニシリン、プロピシリン、アジドシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、オキサシリン、アモキシシリン、バカンピシリン、アンピシリン、メズロシリン、ピペラシリン又はアズロシリン)、セファロスポリンス(例えば、セファドロキシル、セファクロル、セファレキシン、セフィキシム、セフロキシム、セフェタメト、セファドロキシル、セフチブテン、セフポドキシム、セホテタン、セファゾリン、セホペラゾン、セフチゾキシム、セホタキシム、セフタジジム、セファマンドール、セフェピム、セホキシチン、セホジジム、セフスロジン、セフトリアキソン、セホチアム又はセフメノキシム)、又は他のβ−ラクタム抗生物質(例えばアズトレオナム、ロラカルベフ又はメロペネム)、酵素阻害剤、例えばスルバクタム;テトラサイクリン類、例えばテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ミノシクリン又はドキシシクリン;アミノグリコシド、例えばトブラマイシン、ゲンタマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、アミカシン、ネチルマイシン、パロモマイシン又はスペクチノマイシン;アンフェニコール、例えばクロラムフェニコール又はチアンフェニコール;リンコマイシン及びマクロライド抗生物質、例えばクリンダマイシン、リンコマイシン、エリスロマイシン、クラリトロマイシン、スピラマイシン、ロキシトロマイシン又はアジトロマイシン;ポリペプチド抗生物質、例えばコリスチン、ポリミキシン B、テイコプラニン又はバンコマイシン、ジャイレース阻害剤、例えばノルフロキサシン、シノキサシン、シプロフロキサシン、ピペミド酸、エノキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、フレロキサシン又はオフロキサシン;ニトロイミダゾール、例えばメトロニダゾール;又は他の抗生物質、例えばホスホマイシン又はフシジン酸である。パントプラゾールのマグネシウム塩を、複数の抗菌活性化合物の組合せと一緒に投与すること、例えばビスマス塩及び/又はテトラサイクリンとメトロニダゾールとの組合せ、又はアモキシシリン又はクラリスロマイシンとメトロニダゾール及びアモキシシリンとクラリスロマイシンとの組合せと一緒に投与することは、この関連で特に言及に値する。
【産業上の利用可能性】
【0149】
パントプラゾールマグネシウム塩を効果的に身体のために、最適な活性成分プロフィール及び従って作用プロフィールが達成されるというように得ることができる、パントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための新規投与形を提供することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療学的有効量のパントプラゾールマグネシウム塩を製薬学的に認容性の賦形剤と一緒に含有するパントプラゾールマグネシウム塩の経口投与のための投与形。
【請求項2】
錠剤又はペレット形の固体投与形である、請求項1記載の投与形。
【請求項3】
中性又はアルカリ性条件で可溶性である腸溶性層及び少なくとも1つの中間層(サブコーティング層)を含有する遅延放出投与形である、請求項1記載の投与形。
【請求項4】
パントプラゾールマグネシウム塩がパントプラゾールマグネシウム二水和物である、請求項1記載の投与形。
【請求項5】
胃液耐性であるペレット又は錠剤形の経口投与可能な医薬品であり、その際、ペレット又は錠剤はそれぞれ、コア、コアを包囲する不活性水溶性中間層及び胃液耐性の外側層から成り、前記コア中で、活性化合物又はその生理的に認容性の塩は、結合剤、充填剤及び場合により他の錠剤助剤及び塩基性の生理的に認容性の無機化合物から成る群から選択された員と混合されており、その際、活性化合物はパントプラゾールマグネシウム二水和物であり、結合剤はポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースであり、場合により充填剤はマンニトールである、請求項1記載の投与形。
【請求項6】
ポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが結合剤であり、かつマンニトールが充填剤である、錠剤形の請求項5記載の投与形。
【請求項7】
ポリビニルピロリドン及び/又はヒドロキシプロピルメチルセルロースが結合剤である、ペレット形の請求項5記載の投与形。
【請求項8】
弱酸の薬理学的に認容性のアルカリ金属、アルカリ土類金属又は土類金属塩、又は、アルカリ土類金属又は土類金属の薬理学的に認容性の水酸化物又は酸化物が、塩基性の生理的に認容性の無機化合物である、請求項5記載の投与形。
【請求項9】
炭酸ナトリウムが塩基性の生理的に認容性の無機化合物である、請求項8記載の投与形。
【請求項10】
結合剤としての低分子ポリビニルピロリドン及び1種以上の他の適当な製薬学的賦形剤を含有する、請求項1記載の投与形。
【請求項11】
低分子ポリビニルピロリドンが70000未満の平均分子量を有する、請求項10記載の投与形。
【請求項12】
低分子ポリビニルピロリドンが60000未満の平均分子量を有する、請求項10記載の投与形。
【請求項13】
低分子ポリビニルピロリドンが40000未満の平均分子量を有する、請求項10記載の投与形。
【請求項14】
パントプラゾールマグネシウム塩をポリビニルピロリドンと一緒にアルカリ性ペレット又は錠剤コア中に含有する、請求項1記載の投与形。
【請求項15】
少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層を含有する、請求項14記載の投与形。
【請求項16】
錠剤コアのための賦形剤として、炭酸ナトリウム、マンニトール、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン及びステアリン酸マグネシウムを含有する、錠剤形の請求項1記載の投与形。
【請求項17】
錠剤コアのための賦形剤として、炭酸ナトリウム、マンニトール、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン及びステアリン酸カルシウムを含有する、錠剤形の請求項1記載の投与形。
【請求項18】
治療学的有効量のパントプラゾールのマグネシウム塩を、アルカリ性ペレット又は錠剤コア中の1種以上の他の製薬学的賦形剤、少なくとも1つのサブコーティング(中間層)及び小腸内で可溶性である外側腸溶性層と一緒に含有する、パントプラゾールのマグネシウム塩のためのペレット又は錠剤形の経口投与形。
【請求項19】
パントプラゾールのマグネシウム塩5〜100mgを含有する、請求項1記載の投与形。
【請求項20】
パントプラゾール(遊離酸)10、20、40、50、80又は100mgに相当する量のパントプラゾールのマグネシウム塩を含有する、請求項19記載の投与形。
【請求項21】
パントプラゾール(遊離酸)80mgに相当する量のパントプラゾールのマグネシウム塩を含有する、請求項20記載の投与形。
【請求項22】
ペレットコア、中間層及び腸溶性コーティングを含有し、その際、ペレットコアが、スターターペレット、パントプラゾールマグネシウム二水和物、デンプン及び場合により他の賦形剤から形成されている、ペレット形の請求項1記載の投与形。
【請求項23】
デンプンがα化デンプンである、請求項22記載の投与形。
【請求項24】
結合剤、塩基性の生理的に認容性の無機化合物及び湿潤剤が付加的な賦形剤として存在する、請求項23記載の投与形。
【請求項25】
PVP、ドデシル硫酸ナトリウム及び炭酸ナトリウムが存在する、請求項24記載の投与形。
【請求項26】
ペレットコア、中間層及び腸溶性コーティングを含有し、その際、ペレットコアが、ショ糖スターターペレット、パントプラゾールマグネシウム二水和物、炭酸ナトリウム、PVP 25、α化デンプン及びドデシル硫酸ナトリウムから形成されており、中間層が、HPMC、PVP 25、二酸化チタン及び黄酸化鉄から形成されており、かつ腸溶性コーティングが、Eudragit L 30 D及びクエン酸トリエチルから形成されている、ペレット形の請求項22記載の投与形。
【請求項27】
錠剤コア、中間層及び腸溶性コーティングを含有し、その際、錠剤コアが、パントプラゾールマグネシウム二水和物、炭酸ナトリウム、マンニトール、クロスポビドン、PVP 90(ポビドン)及びステアリン酸カルシウムを含有し、中間層が、HPMC、PVP 25、二酸化チタン、黄酸化鉄及びプロピレングリコールから形成されており、かつ腸溶性コーティングが、Eudragit L 30 D及びクエン酸トリエチルから形成されている、錠剤形の請求項1記載の投与形。
【請求項28】
プロトンポンプインヒビターが必要とされる哺乳動物、例えばヒトにおける臨床症状の予防又は治療のための方法において、請求項1から27までのいずれか1項記載の投与形で治療学的有効量のパントプラゾールマグネシウムを投与することを含む、予防又は治療のための方法。
【請求項29】
臨床症状が、良性胃潰瘍、胃食道逆流疾病、ゾリンジャー−エリソン症候群、十二指腸潰瘍、ヘリコバクターピロリに関連した十二指腸潰瘍、継続的なNSAID治療及びヘリコバクターピロリの根絶における抗生物質を用いた併用療法を必要とする胃十二指腸合併症のリスクが増加した患者におけるNSAIDに関連する胃又は十二指腸潰瘍の予防の群から選択されている、請求項28記載の治療のための方法。
【請求項30】
臨床症状が胃食道逆流疾病(GERD)である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
臨床症状が(Savary/Miller分類による)GERD I〜IIIである、請求項30記載の方法。
【請求項32】
投与形が請求項26記載の投与形である、請求項30又は31記載の方法。
【請求項33】
パントプラゾールマグネシウムの有効量がパントプラゾール(遊離酸)40〜80mgに相当する、請求項28記載の方法。
【請求項34】
治療が一日一回の治療である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩、デンプン及び場合により他の賦形剤の懸濁液をスターターペレットに噴霧し、前記ペレットを乾燥させ、これをサブコーティング及び腸溶性コーティングと共に成層することによる、ペレット形の請求項1記載の投与形の製造法。
【請求項36】
デンプンがα化デンプンである、請求項35記載の製造法。
【請求項37】
PVPの水溶液中のパントプラゾールのマグネシウム塩、炭酸ナトリウム、α化デンプン及びドデシル硫酸ナトリウムの懸濁液をスターターペレットに噴霧し、前記ペレットを乾燥させ、これをサブコーティング及び腸溶性コーティングと共に成層し、適当であれば滑剤と混合し、カプセルに充填することによる、ペレット形の請求項1記載の投与形の製造法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−126912(P2011−126912A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57961(P2011−57961)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【分割の表示】特願2006−505591(P2006−505591)の分割
【原出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【出願人】(507229021)ニコメッド ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (90)
【氏名又は名称原語表記】Nycomed GmbH
【住所又は居所原語表記】Byk−Gulden−Str. 2, D−78467 Konstanz, Germany
【Fターム(参考)】