説明

活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置

【課題】 活性汚泥を使った水質浄化装置等において固液分離障害の発生する前に糸状性バルキングの傾向を確実に検出することができる活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置を提供する。
【解決手段】 均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光の少なくとも一つをセンサにより検出してその受光レベルを求めるに際し、前記センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化する変曲点の数が活性汚泥処理装置のSRTよりも長い期間連続して減少したとき、活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置に係り、特に各種工場や研究施設、発電設備、酪農業、遊技施設等から排出される産業排水やビル、一般家庭、宿泊施設、病院等の医療機関、飲食店、各種学校等の教育施設および運動施設等から排出される生活排水等を浄化する目的で設置される活性汚泥を使った水質浄化装置等において、糸状性バルキングの発生を早期に検出するに好適な活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から排水等に含まれる有機物等の不純物を浄化処理すべく嫌気性生物処理や好気性生物処理(活性汚泥処理)を行う浄化処理プラントが知られている。この種の浄化処理プラントは、浄化槽内の活性汚泥に含まれる嫌気性生物や好気性生物等の微生物の状態監視を行い、浄化処理を継続的に安定して行えるよう管理する必要がある。ちなみにこれら微生物からなる活性汚泥の状態監視は、専ら顕微鏡を用いた汚泥フロックの観察によっている。つまりこの観察は、人間系により汚泥フロック粒径の大きさ、圧密性、色等の状態の他、共存する他の生物群(例えば、ワムシ等に代表される大型生物、糸状性細菌や放線菌等)の状態について顕微鏡を用いて行われるものである。
【0003】
或いは、活性汚泥の性状を判定すべく汚泥スラリーに含まれる汚泥の沈降性を測定する方法としてSV30計測法が知られている。この計測法は、汚泥スラリーをそのまま若しくは適当に希釈して1L容メスシリンダに流し込み、30分経過した後、メスシリンダの底部に沈降して堆積した汚泥がなす堆積層の容積を計測して汚泥の沈降性を判定するものである。
【0004】
ところで発明者らは、このような活性汚泥の性状を自動的かつ連続的に計測・監視することのできる活性汚泥監視装置を提唱した(例えば、特許文献1参照)。この活性汚泥監視装置は、均一に撹拌された被計測水における活性汚泥スラリーの濃度に応じた検出信号を出力する例えば散乱光センサを用いるものであって特に、
(a)センサが出力した検出信号のレベルを所定の時間間隔で平均した平均時間を求める手段、
(b)上記検出信号の最大値と最小値との差によって示される振幅データを求める手段、
(c)上記検出信号の振幅の最小尖頭値を求める手段、
(d)上記最小尖頭値の時間変化に伴うデータの最大値と最小値との差によって示される信号の振幅データを求める手段の少なくとも一つのデータを求める演算手段と、
(e)この演算手段で求められたデータから上記被計測水の活性汚泥の状態を判定する判定部と
を備えて構成されている。
【0005】
このように構成された活性汚泥監視装置において上記判定部は、センサが出力した検出信号のレベルを所定の時間間隔で平均した平均データが時間的に変動を繰り返すとき、活性汚泥スラリー中にバルキングが発生したと判定する。
より具体的には、この活性汚泥監視装置を用いて曝気槽からサンプリングした汚泥を計測すると検出信号は、汚泥の性状によって例えば図1や図2に示すような波形になる。ちなみに図1は、正常汚泥を計測したときの検出信号の経時変化を示すグラフであり、図2は、糸状性バルキングが発生した汚泥を計測したときの検出信号の経時変化を示すグラフである。これらのグラフを見るとわかるように正常汚泥は、時間の経過に伴って検出信号のレベルが激しく変化しているのに対して、糸状性バルキングが発生した汚泥は、検出波形のレベル変化が顕著ではない。しかし糸状性バルキングが発生した汚泥にあっては、図2中に記載した破線およびこの変化をわかりやすくモデル化した図3のグラフに示されるように短時間で変化する検出信号の振幅中に、やや時間周期の長い大きな振幅成分が含まれているという特徴がある。
【0006】
ここで、図4に示すようにセンサから出力された検出信号を上述した大きな振幅変化に合わせて分割する。次いでそれぞれの分割時間内の検出信号のレベルの平均値Spを求める。そして求めた平均値Spの中から最大値Spmおよび最小値Spnとの差分Δn(Δn=Spm−Spn)を計算する。このようにして、前述した正常汚泥(図1)および糸状性バルキングが発生した汚泥(図2)のΔnの値を求めると正常汚泥は、Δn=0.226となり、糸状性バルキングが発生した汚泥は、Δn=0.548となった。このように差分Δnの値が正常汚泥と糸状性バルキングが発生した汚泥とで異なる値となる。つまり特許文献1に記載の糸状性バルキング検知方法は、このような点に着目してなされたものである。
【0007】
またこの種の活性汚泥の検査を行うべく、活性汚泥を利用して汚水に含まれる有機物を分解処理する例えば下水プラントなどにおける活性汚泥の性状を測定するため、測定に適した濃度に希釈する希釈装置が発明者らによって提唱されている(例えば、特許文献2を参照)。この希釈装置は、希釈液を収容する希釈水と曝気槽内の活性汚泥とを混合槽に導き、測定に適した濃度にするものである。
【特許文献1】特開2004−31750号公報
【特許文献2】特願2004−41044号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した活性汚泥監視装置にあっては、活性汚泥スラリー中に糸状性バルキングが発生したことを検出することは可能であるものの、軽度の糸状性バルキングを捉えることが困難であるという問題があった。つまり理解をしやすくするため、糸状性バルキングの発生程度を示すべく、糸状性バルキング指標(バルキングレベル)を、バルキングの発生程度に合わせてレベル付けするものとする。具体的には、採取した活性汚泥スラリーをプレパラート等の上に流し込んだとき、活性汚泥に含まれる微生物が全体に占める面積に対する糸状性細菌の割合(面積)を求めて次に示すように5段階のレベル付けを行う。
(1)バルキングレベル1;糸状性細菌がない状態の汚泥
(2)バルキングレベル2;微生物全体の30%未満が糸状性細菌で占められている状態
(3)バルキングレベル3;微生物全体の30%以上、60%未満が糸状性細菌で占められている状態
(4)バルキングレベル4;微生物全体の60%以上、80%未満が糸状性細菌で占められている状態
(5)バルキングレベル5;微生物全体(80%以上)が糸状性細菌で占められている状態
このように糸状性細菌によるバルキング発生の程度をレベル分けし、前述した差分Δnとバルキングレベルとの相関図を作成すると、図5に示す結果が得られた。この図に示されるように従来の活性汚泥監視装置にあっては、バルキングレベルが4以上になると差分Δnの値が大きくなる傾向がある一方、バルキングレベルが4を下回ると差分Δnの値が小さくなりバルキングレベルによって差異が見られないとい結果が得られる。このため従来の活性汚泥監視装置は、バルキングレベルの低い状態ではバルキングの検出が困難になるという問題があった。またこの図が示すように差分Δnとバルキングレベルとは相関がないと判断できる。つまり上述した活性汚泥監視装置は、ある程度糸状性バルキングが進行した状態にならないと検出することができず、それ故、バルキングへの処置対応が遅くなり、それ故、沈殿槽等で固液分離障害が発生するという問題があった。
【0009】
より具体的に二カ所の産業排水処理プラント(プラントAおよびプラントB)から断続的に採取した汚泥について従来の活性汚泥監視装置によって得られる検出信号の差分Δnと、前述した糸状性細菌のバルキングレベル(5段階評価)との相関関係を示す相関図を描いたところ、それぞれ図6(プラントA)および図7(プラントB)に示すような結果が得られた。プラントAは、異なるバルキングレベルであっても、図6に示されるように差分Δnがある程度の範囲内に集中しており有為な相関関係が見られない。一方、プラントBについては、図7に示されるようにバルキングレベルに対する差分Δnの値がばらついて分布する結果となり、バルキングレベルと差分Δnとの間に相関はないと判断できる。
【0010】
したがって、上述した特許文献1に記載の活性汚泥監視装置は、特にバルキングレベルが低い状態では糸状性バルキングの発生を検出することができないという問題がある。
また、上述したセンサは、汚泥濃度がMLSSで3000mg/Lを超えると検出信号が飽和し、正しい汚泥濃度を検出することができないという問題があった。このため汚泥濃度が高い場合、糸状性バルキングの発生を検出することが困難であるという問題もあった。
【0011】
本発明は、このような従来の事情を考慮してなされたもので、その目的は、活性汚泥を使った水質浄化装置等において固液分離障害の発生する前に糸状性バルキングを早期に、しかも確実に検出することができる活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した目的を達成すべく本発明に係る活性汚泥監視方法は、活性汚泥処理装置の均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれた活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記活性汚泥粒子間を透過した透過光の少なくとも一つをセンサにより検出してその受光レベルを求めるに際し、前記センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化する変曲点の数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したとき、前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定する。
【0013】
上述の活性汚泥監視方法は、活性汚泥スラリーの懸濁物濃度(MLSS)を検出してその濃度に応じたレベルの信号を出力するセンサの検出信号中に含まれる変曲点、すなわち検出信号のレベルが増加から減少に転ずる変曲点(ピーク)を検出し、所定時間内にこのピークが何回現れるのかを数える。そして上述した活性汚泥監視方法は、所定時間内におけるピーク数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したとき、該活性汚泥スラリーにおいて糸状性バルキングが進行したと判定する。つまりセンサが出力する検出信号の振幅情報には、活性汚泥粒子の性状情報が含まれている。このため、糸状性バルキングの進行した汚泥を前記センサで測定したときの検出信号に含まれるピーク数は、正常汚泥を測定したときの検出信号に含まれるピーク数に比べて極めて少なくなる。
【0014】
より具体的にセンサが出力する検出信号の経時変化は、前述したように図1(正常汚泥)および図2(糸状性バルキングが発生した汚泥)にそれぞれ描かれるような波形になる。これらの波形に示されるようにバルキングレベルが低い正常汚泥に対して、糸状性バルキングが発生した汚泥は、検出信号のレベルが増加から減少に変化する変曲点(ピーク)が少なく時間的に緩やかな変化を呈していることが見いだせる。つまり、本発明に係る活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置は、汚泥の性状によって所定時間内における検出信号のピーク数が異なるという知見に基づいてなされたものである。
【0015】
このような活性汚泥監視方法を適用した活性汚泥監視装置は、均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記活性汚泥粒子間を透過した透過光をそれぞれ受光してその受光レベルに応じた検出信号をそれぞれ出力する散乱光センサまたは反射光センサあるいは透過光センサの少なくとも一つを有する光学センサと、これらの光学センサが所定時間内にそれぞれ出力した検出信号のレベルが増加から減少に変化する変曲点の数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したとき前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定するバルキング判定部とを備えることを特徴としている。
【0016】
上述の活性汚泥監視装置は、バルキング判定部にて懸濁物濃度を検出する光学センサからの検出信号に含まれるピーク(変曲点)を計数し、このピーク数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したとき、該活性汚泥スラリーの糸状性バルキングが進行していると判定する。
好ましくは前記バルキング判定部は、前記光学センサが視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングするものとして構成することが望ましい。
【0017】
上述の活性汚泥監視装置は、センサの測定視野内に存在する粒子径の異なった汚泥を確実に検出できる。
より好ましくは上述した活性汚泥監視装置は、前記活性汚泥スラリーを収容する汚泥水槽と、希釈水を収容する希釈水槽と、この希釈水層に収容された希釈水と前記汚泥水槽に収容された前記活性汚泥スラリーとを混合して所定の濃度に希釈する混合槽と、前記汚泥水槽内の液位を前記混合槽内の液位よりも高く設定し、前記汚泥水槽から延伸された汚泥液ラインと前記希釈水槽から延伸された希釈水ラインとを接続し、両者の接続部から混合ラインを前記混合槽まで延伸すると共に、前記混合液ライン、前記希釈水ラインおよび前記混合ラインにそれぞれ設けられて各ラインに流れる媒体の流量制御をする第1、第2および第3バルブと、前記汚泥液ラインの空気を前記希釈水で置換した後、前記第1バルブを閉止し、前記第3バルブを開いて希釈水を前記混合水層に先に投入し、該混合層内の希釈水の水位が前記混合ラインの出口位置よりも高くなった後に前記第1バルブを開いて活性汚泥スラリーを混合層に投入する弁駆動制御手段と、前記混合槽内の活性汚泥スラリーの懸濁物濃度を適当な濃度に希釈する希釈手段と
を備えることが望ましい。
【0018】
上述の活性汚泥監視装置は、活性汚泥スラリーの濃度が高い場合、活性汚泥スラリーの濃度を糸状性バルキングが発生したことを検出するのに適した濃度に調整して糸状性バルキングの発生を誤検出することを防止する。
また前記バルキング判定部は、前記光学センサの検波信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定するものとして構成される。
【0019】
上述の活性汚泥監視装置は、検出信号に含まれるノイズ等の外乱を排除し、活性汚泥スラリーのバルキングが発生していないという誤検出を防止して、確実に糸状性バルキングが発生したことを検出する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1に記載の活性汚泥監視方法によれば、例えば散乱光センサにて検出された受光レベルの所定時間内における波形のピーク数、即ち散乱光センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化するピーク(変曲点)の数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したとき、前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定しているので、固液分離障害が発生する前に異常性細菌量が増加したことを確実に検知することができる。
【0021】
また本発明の請求項2に記載の活性汚泥監視装置によれば、上述した請求項1に記載の活性汚泥監視方法を適用しているので、固液分離障害が発生する前に糸状性バルキングの発生を確実に検出することができる。
特に請求項3に記載の活性汚泥監視装置によれば、バルキング判定部が前記光学センサの視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングしているのでセンサの測定視野内に存在する粒子径の異なった汚泥を確実に検出できる。
【0022】
また請求項4に記載の活性汚泥監視装置によれば、希釈手段によって混合槽内の活性汚泥スラリーの懸濁物濃度を適当な濃度に希釈しているので、活性汚泥スラリーの懸濁物濃度が高いことによる糸状性バルキング発生の誤検出を防ぎ、確実に糸状性バルキングの進行を検出することが可能である。
特に本発明の請求項5に記載の活性汚泥監視装置は、前記光学センサの検波信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定しているので、検出信号に含まれるノイズ等の外乱を排除し、活性汚泥スラリーにバルキングが発生していないという誤検出を防止することができる。
【0023】
このように本発明の活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置は、例えば曝気槽等において固液分離障害の発生する前に糸状性バルキングの進行を早期に捉えることができるという優れた効果を奏し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。この活性汚泥監視装置は、例えば産業排水の水質浄化装置に用いられる曝気槽中の活性汚泥の性状、特に糸状性バルキングの発生を早期に監視するのに好適なものである。尚、図8は、本発明の活性汚泥監視方法を適用した活性汚泥監視装置の一実施形態を示すべく図示したものであるが、この図によって本発明の範囲が限定されるものではない。
【0025】
さて図8において、本実施例における活性汚泥監視装置は、円筒状の計測槽Mに収容された被計測水Sに照射するレーザ光を作り出す発光部10、この発光部10が作り出したレーザ光を被計測水S中に導く第1の光ファイバ11、第1の光ファイバ11によって被計測水Sに導かれたレーザ光が被計測水Sに含まれる活性汚泥の粒子に衝突することによって生じた散乱光を受けて該散乱光を後述する検出部20に導く第2の光ファイバ21、この第2の光ファイバ21により導かれた散乱光から所定の信号を取り出す検出部20、検出部20が検出した信号から被計測水S中に糸状性バルキングが発生しているか否かを判定する信号処理部30を有している。
【0026】
ちなみに被計測水S中に浸される第1の光ファイバ11および第2の光ファイバ21の各端部は、それぞれレーザ光照射部12およびレーザ光受光部22を形成する。これらレーザ光照射部12とレーザ光受光部22とは、図9および図10に示すような底面が下方に突出し、この突出した両側面に溝部13が形成された五角柱状の遮蔽部材14に取り付けられる。詳しくはこの遮蔽部材14には、溝部13に第1の光ファイバ11と第2の光ファイバ21とが固定され、第1の光ファイバ11の一端であるレーザ光照射部12と第2の光ファイバ21の一端であるレーザ光受光部22が、図9に示すように左右対称(線対称)に配設されてセンサ15を構成する。尚、このセンサ15は、第1の光ファイバ11のレーザ光照射部12と第2の光ファイバ21のレーザ光受光部22の中心線は互いに90度で交差していることが好ましい。ちなみに、遮蔽部材14は、上方からの自然光がレーザ光照射部12とレーザ光受光部22間の測定領域16に到るのを遮蔽する役割も担う。
【0027】
尚、センサ15は、レーザ光照射部12から被計測水Sに含まれる活性汚泥の粒子径に対して大きな投影面積の光を被計測水S中に照射したとすると、検出部20において波形変化を検出することが難しくなる(SN比の劣化)。このため、被計測水S中に照射する光線束の投影面積は、好ましくは1mm2程度以下となるよう絞り込むことが望ましい。具体的に本実施例における活性汚泥監視装置は、レーザダイオード17が出力した光線束をレンズ等によって絞り込むように構成すればよい。
【0028】
また前述した発光部10は、レーザ光を発光するレーザダイオード(LD)17と、このレーザダイオード17を駆動するレーザダイオード駆動回路18とを備えている。そしてこのレーザダイオード駆動回路18は、レーザダイオード17が発光するレーザ光を所定の周波数、例えば波長が630nmのレーザ光を振幅変調器19によって70〜150kHz(例えば95kHz)で振幅変調(AM変調)するファンクションジェネレータ等の振幅変調器19によって駆動制御されるようになっている。ちなみに発光部10が上記レーザ光に施す振幅変調は、被計測水Sへ照射したレーザ光と、被計測水S中に混入する自然光等の外来光とを区別するべくなされるものである。ちなみに発光部10は、レーザダイオード17に限定されるものではなく、例えば発光ダイオード等を用いることも可能である。
【0029】
一方、検出部20には、第2の光ファイバ21を介して該検出部20に導かれた散乱光をその受光量に比例した大きさの電気信号に変換するフォトディテクタ等の光電変換器(O/E)21に与えられる。また検出部20には、光電変換器23が出力した電気信号から変調レーザ光に含有される振幅変調した周波数成分の信号だけを抽出する帯域通過フィルタ(BPF)24と、この帯域通過フィルタ24の出力信号を増幅する増幅器25と、増幅器25によって増幅された信号に含まれる振幅変調周波数成分を検波して取り出し、その包絡成分を出力する検波器26とを備えたものとして構成される。そうして検波器26から出力された包絡成分(検出信号)は、信号処理部30に与えられて活性汚泥に糸状性バルキングが発生しているか否かが判定される。尚、検出部20は、光電変換器23および帯域通過フィルタ24の代わりにそれぞれフォトダイオードおよび低域フィルタを用いた構成であってもかまわない。
【0030】
一方、信号処理部30は、詳細は後述するが検波器26の検出信号のレベルが増加から減少に変化する変曲点(ピーク)を検出するピーク検出部31、このピーク検出部31が検出したピーク数を数える計数部32、計数部32が計数したピーク数を所定時間毎にクリアする計時部33および所定時間内におけるピーク数が活性汚泥処理装置のSRT(汚泥滞留時間)よりも長い期間連続して減少したか否かを判定する判定部34を備えて構成される。
【0031】
概略的には上述したように構成された本実施形態に係る活性汚泥監視装置が特徴とするところは、所定時間内において検出部20が出力する検出信号に含まれるピーク数が所定期間減少傾向になったとき糸状性バルキングが進行したと判定する点にある。
このような特徴ある本発明の一実施形態に係る活性汚泥監視装置についてさらに詳細に説明する。
【0032】
まず前述した検出部20の検波器26から出力される検出信号のピークを検出する手段について説明する。ここでは理解をしやすくするため検出部20から出力される検出信号が図11に示すように変化したものとする。この図において区間Aは、最初検出信号のレベルが[8]で所定のサンプリング周期毎にサンプルされる検出信号の値が時間の経過と共に[1]ずつ増加して最大値MA(この図では[10])に達して、その後、[−1]ずつ減少する様子を示している。
【0033】
ちなみにピーク検出部31は、検出部20が出力する検出信号が上述したようにサンプリング周期毎に検出信号が連続して増加して最大値MAに到達し、その後、連続して減少したとき、検出部20が出力する検出信号の経時変化が増加から減少に転じたとき、検出信号に変曲点(ピーク)があったものとしている。
しかしながら検波器26が出力する検出信号には、計測データとは無関係な単発的なノイズが重畳されることがある。このため、ピーク検出部31は、検出信号に含まれるピークを誤検出することが否めない。ちなみに単発的なノイズは、極めて短い時間に急峻な波形として検出されることが多く、たとえば連続するサンプリング周期に亘ったノイズは極めて少ない。このためピーク検出部31は、最大値MAに到達する二つ前のサンプリングデータが連続して増加、すなわちこの図の区間Aに示したように検出信号のレベルが[8]から[9]に増加して最大値(変曲点)MA[10]に到達した後、連続する2つの検出信号のレベルが変曲点の値[10]から[9]になり[8]に減少したとき、検出信号に変曲点(ピーク)があると判定する。
【0034】
一方、図11の区間Bは、検出部20から出力される検出信号が変曲点MB(この場合は[8])前にサンプリングされた検出信号のレベルは、[6]、[7]と二つのサンプリング周期において連続して増加する一方、変曲点MBに続く検出信号は、[6]、[7]、[5]というように連続した二つのサンプリング周期で減少していない。この場合、ピーク検出部31は、検出信号にノイズが重畳されたものとして変曲点MBを無視する。
【0035】
ちなみにピーク検出部31は、上述したように二つのサンプリング周期で連続して検出信号が増加する場合のほかにも、汚泥の性状等により更に複数回(n回)連続して増加したことをもってピークを検出するように構成してもよい。要するに、バルキングの検出対象となる活性汚泥の種類によって確実にピークを検出することができる回数(n)を予め実験等によって検証して決定すればよい。
【0036】
そうしてピーク検出部31は、上述したようにして変曲点(ピーク)を検出すると、検出の都度、所定時間内に検出部20から出力される検出信号にピークがいくつあったのかを数える計数部32にピークを検出したことを伝達する。すると計数部32は、所定の時間毎にクリア信号を生成する計時部33のクリア信号を受けて計数を開始し、次のクリア信号を受けるまでの間にピーク検出部31が何回ピークを検出したのかを数える。そして計数部32は計時部33からのクリア信号を受けると、それまで数えたピーク数を判定部34へ転送する。このピーク数を受けた判定部34は、前回受け取ったピーク数と今回受け取ったピーク数とを比較する。そして判定部34は、計数部32が計数したピーク数がSRTよりも長い期間連続して減少している場合、被計測水S内の活性汚泥にバルキングが発生したと判定する。
【0037】
このSRT(汚泥滞留時間)は、活性汚泥処理装置の系内に汚泥が何日間滞留しているかを示す指標である。換言すれば系内にある活性汚泥が何日間で入れ替わるかを示している。SRTは通常、活性汚泥処理装置の曝気槽内に保有されている汚泥量[kg]を1日当たりに引き抜く余剰汚泥量[kg/日]で除して計算される。
つまりSRTよりも長い期間、前記ピーク数が連続して減少するということは、活性汚泥処理装置の系内汚泥が性状の異なる汚泥に入れ替わることを意味しており、すなわち、バルキング汚泥となることを示している。逆にバルキング状態の汚泥から正常汚泥への回復は、このSRTよりも長い期間、前記ピーク数が連続して増加することが認められるときとなる。
【0038】
より具体的に食品工場の活性汚泥処理装置(SRT約9日)における前記ピーク数(変曲点数)のトレンドグラフを示す図12を用いて説明する。この図において右縦軸は、変曲点数を示すが目盛りは上方向に小さくなるように上下反転してある。前記ピーク数の計測と共に、バルキングレベルおよびSV30も同時に測定し、左縦軸に目盛りを付したが、SV30は、1/25倍の値で示した。この図を見るとわかるように10日以上連続して変曲点数は減少しており、バルキングが進行していると判断できる。
【0039】
尚、正常な汚泥と、擬似的に糸状性バルキングを発生させた汚泥のそれぞれについて、検波器26から出力される検出信号を観測すれば、たとえば前述した図1および図2に示す信号が得られる。図1は、正常汚泥における検出波形であり、グラフに示した時間範囲内における変曲点数は、[124]であった。一方、図2は、糸状性バルキングが発生した汚泥における検出波形であって、グラフに示した時間範囲内における変曲点数は、[37]であった。このように被計測水Sに含まれる活性汚泥の状態によって変曲点(ピーク)数が大きくことなる結果が得られる。
【0040】
かくして上述したように構成される本発明の一実施形態に係る活性汚泥監視装置は、発光部10が作り出すレーザ光をレーザ光照射部12から被計測水Sに照射したとき、被計測水Sに含まれる懸濁物粒子への衝突によって生じた散乱光をレーザ光受光部22が受け、その信号のレベルを検出部20が検出するとともに、この検出部20が出力する検出信号について所定の時間当たりにおけるピーク数が所定の期間(SRTより長期間)連続減少するとき、判定部34は、糸状性バルキングが発生したと判定している。したがって、本発明の活性汚泥監視装置は、バルキングレベルが低い状態であっても活性汚泥水スラリーにバルキングが発生したことを検出することができる。それ故、活性汚泥を利用しているプラントにおいて、早期に活性汚泥の異常状態を検出することができる。例えば産業排水処理プラントに本発明に係る活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置を適用すれば、曝気槽において固液分離障害が発生する前に糸状性細菌が増加したことを検出することが可能となる。
【0041】
ところでピーク検出部31のサンプリング時間(サンプリング周波数)は、検出対象の汚泥粒子の粒子径、センサ15の検出面積によって定める必要がある。例えば、レーザ光照射部12が被計測水S中に照射する光線束の投影面積が[1cm2]程度以下で、レーザ光受光部22が被計測水Sを視野する測定エリアの直径が[D=0.5mm]であったとする。そして測定条件は、計測槽M内を撹拌速度[v=50min-1]で撹拌し、センサ15の計測位置を円筒形状の計測槽Mの軸心から半径[r=50mm]の位置に位置付けたものとする。
【0042】
このような条件下において、センサ15近傍の流速は、[2πrv=2π×50mm×50min-1=15700mm/min=261mm/s]となる。したがってサンプリング時間Tは、[D/T>v]の条件を満足する必要がある。即ちサンプリング周波数fは、[1/T>v/D=261mm/s/0.5mm=522Hz]となる。よってピーク検出部31のサンプリング周波数は、ある程度のマージンを見込んで1kHzとすれば十分である。このようにしてピーク検出部31のサンプリング周波数fを決定すれば、センサ15の測定視野内に存在する汚泥粒子を確実に検出できる。
【0043】
このようにして決定したサンプリング周波数の有用性を検証するべく、サンプリング周波数を100Hzとして糸状性バルキングが発生した汚泥と正常汚泥(糸状性バルキングが発生していない汚泥)とをそれぞれ計測したとき、検波器26が出力した検出信号は、それぞれ図13および図14に示す結果となった。これらの図が示すようにサンプリング周波数が100Hzのとき、検出信号には大差が見られない。そこでサンプリング周波数を1kHzとして計測したとき、検波器26が出力した検出信号は、それぞれ図15および図16に示す結果が得られた。この図が示すようにサンプリング周波数を1kHzとして糸状性バルキングが発生した汚泥を計測したとき、検波器26から出力される検出信号の波形は、正常汚泥を計測したときに比べて所定時間内における検出波形のピーク数が著しく少なくなるという結果になった。これはサンプリング周波数が低い場合、即ちサンプリング周期が長い場合、上述したようにセンサ15の視野する測定視野内に存在する粒子が一サンプリング周期内で確実に捉えることができないことによる。
【0044】
次に上述した本発明の一実施形態に係る活性汚泥監視装置を産業排水処理プラントに適応した別の実施形態について説明する。図17は、本発明の別の実施形態に係る活性汚泥監視装置の概略構成を示すものである。この図において1は、活性汚泥スラリーが収容される例えば曝気槽である。この曝気槽1は、図示しない散気管から供給される空気によって曝気しながら活性汚泥法によって産業排水が生物処理され、産業排水に含まれる有機物が生物酸化反応によって分解されるようになっている。この曝気槽1にて処理される処理液は、図示しないラインを経て移送され、沈殿槽2における沈殿分離によって処理水と分離汚泥とに分離される。
【0045】
このような産業排水処理プラントにおいて本実施の形態では、曝気槽1内の活性汚泥と沈殿槽2の上澄水(希釈水)とを混合して測定に適した濃度に希釈する混合槽3を備えている。この混合槽3は、計測対象の活性汚泥スラリーの濃度が、MLSSとして6000mg/Lを超えるような高い濃度である場合、沈殿槽2から希釈水を流入させて計測に適した適当な濃度、例えば1000〜3000mg/L程度になるよう濃度を調整するべく設けられたものである。
【0046】
そしてこれら各槽間には活性汚泥および希釈水を搬送するラインが設けられている。即ち、曝気槽1から混合槽3向かう汚泥ラインaには、沈殿槽2の上澄水(希釈水)から延びる希釈水ラインbが接続されている。これら両ラインが接続される接続部には、それぞれのラインから搬送される活性汚泥および希釈水を混合して搬送する混合ラインcが設けられている。この混合ラインcの端部は、混合槽3に開口している。そして、これらの各ラインa,b,cには、各ラインa,b,cに流れる媒体の制御(開閉制御、流量制御)をするバルブV1,V2,V3がそれぞれ設けられている。また希釈水ラインcの途中には、沈殿槽2の上澄水を汲み上げて混合槽3へと導くポンプ4が設けられている。
【0047】
この混合槽3には、混合槽3内に導かれた活性汚泥および希釈水(以下、活性汚泥および/または希釈水を被計測水Sと称する)とを撹拌して混合する撹拌羽根5が設けられている。また混合槽3には、詳細は後述するが槽内に導かれる被計測水Sの濃度および水位(レベル)をそれぞれ検出する上述したセンサ15およびレベル計7が設けられている。そして混合槽3の底部には、混合槽3内に収容した被計測水Sを排出する排出ラインdが設けられている。この排出ラインdには、該排出ラインdを介して混合槽3外へ排出される被計測水Sの流量を制御するバルブV4が設けられている。
【0048】
またレベル計7は、混合槽3内の液位のLow(L)レベルおよびHigh(H)レベルをそれぞれ検知する低水位レベル計(L)7aおよび高水位レベル計(H)7bによって構成されている。
ちなみに、曝気槽1内の被計測水Sは、混合槽3内の液位が低位(Lowレベル)よりも高く設定されて、両者間には図示のようにΔHのヘッド差が設けられている。
【0049】
尚、上述した曝気槽1内の活性汚泥および沈殿槽2内の上澄水(希釈水)を混合槽3に導くにあたってなされるバルブV1乃至V4の制御は、前述した特許文献2に記載のとおりであるのでその制御手順は割愛する。
このような混合槽3を備えた本発明の別の実施形態に係る活性汚泥監視装置にあっては汚泥の性状検出、すなわち混合槽3内において糸状性バルキングが発生していないかを検出するのに適した濃度被計測水Sの濃度をMLSSとして1000〜3000mg/L程度になるよう調整することができる。つまり、被計測水Sの濃度が高い場合、検出部20から出力される検出信号の時間変化は、得られない。本発明の別の実施形態においては、混合槽3にて計測に適した濃度に調整しているので、誤検出を防止することが可能となる。そして濃度調整の後、上述した実施形態の手順に従い活性汚泥にバルキングが発生していないかどうかを判定すればよい。
【0050】
したがって上述した本発明の別の実施形態に係る活性汚泥監視装置によれば、高濃度(MLSSで3000mg/Lを超える濃度)の活性汚泥であっても、測定に先立って混合槽3で計測に適した濃度に調整しているので、早期に活性汚泥の異常状態を検出することができる。また、汚泥の希釈に沈殿槽2において分離される処理水の上澄水を希釈水として利用しているので、汚泥の性状を変化させることなく、糸状性バルキングの発生状況を検出することができる。
【0051】
更には、曝気槽1内の汚泥を含んだ被処理水の液位を混合槽3の液位よりも高い水頭差ΔHを設けているので、混合槽3に汚泥と希釈水とを流入させるとき、曝気槽1内の汚泥はサイホンの原理によって汚泥の性状を変えることなく混合槽3へ送り込むことも可能である。
ここで本発明に係る活性汚泥監視方法を適用した活性汚泥監視装置の有用性を検証すべく前述した二カ所の下水処理プラント(プラントA(図6)およびプラントB(図7))から断続的に採取した汚泥について前述した糸状性細菌のバルキングレベル(5段階評価)と活性汚泥可視装置の検出部20から出力される検出信号に含まれる波形のピーク数との相関図を描いた。その結果、二カ所の汚泥プラントにおいてそれぞれの相関図は、図18(プラントA)および図19(プラントB)に示すようになった。それぞれの図に示されるようにバルキングレベルが大きくなるにつれて検出部20が出力する検出信号のピーク数が比例して減少していることがわかる。
【0052】
このように本発明に係る活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置によれば、活性汚泥にバルキングが発生したことを早期に、しかも確実に検出することが可能であることが確かめられた。
尚、本発明の活性汚泥監視方法および活性汚泥監視装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0053】
例えば、上述した実施形態に係る活性汚泥監視装置は、被計測水Sに照射したレーザ光が被計測水Sに含まれる活性汚泥粒子に衝突することによって散乱した散乱光を検出する散乱光センサを用いた活性汚泥監視装置を例示したが、被計測水Sに含まれる活性汚泥粒子間を透過した透過光を検出してその受光レベルに応じた検出信号を出力する透過光センサや被計測水Sに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する反射光を検出してその受光レベルに応じた検出信号を出力する反射光センサのいずれであっても、或いはこれらのセンサを組み合わせたセンサを用いたとしても上述した実施形態を準用すれば活性汚泥にバルキングが発生したことを早期に、しかも確実に検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】散乱光センサを用いて正常汚泥を観測したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図2】散乱光センサを用いて糸状性バルキングが発生した汚泥を観測したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図3】糸状性バルキングが発生した汚泥を散乱光センサによって観測したときの検出波形の特徴的な変化を強調して描いたグラフ。
【図4】従来の活性汚泥監視装置によって糸状性バルキングが発生したことを検出する検出手法を説明するためのグラフ。
【図5】従来の活性汚泥監視装置によって求めることができる検出波形の最大平均値と最小平均値との差分と、バルキングレベルとの相関関係を示す相関図。
【図6】あるプラント(プラントA)における活性汚泥について、従来の活性汚泥監視装置によって求めることができる検出波形の最大平均値と最小平均値との差分Δnと、バルキングレベルとの相関関係を示す相関図。
【図7】あるプラント(プラントB)における活性汚泥について、従来の活性汚泥監視装置によって求めることができる検出波形の最大平均値と最小平均値との差分と、バルキングレベルとの相関関係を示す相関図。
【図8】本発明の一実施形態に係る活性汚泥監視装置の構成を示す概略図。
【図9】図8に示す活性汚泥監視装置に適用される透過光センサの構成を示す図。
【図10】図9に示す透過光センサを構成する遮光部材を示す斜視図。
【図11】図8に示すピーク検出部がピークを検出するアルゴリズムを説明するための検出信号の変化の一例を示すグラフ。
【図12】図11でカウントされるピーク数のトレンドグラフ。
【図13】散乱光センサを用いてサンプリング周期100Hzで正常汚泥を観測したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図14】散乱光センサを用いてサンプリング周期100Hzで糸状性バルキングが発生したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図15】散乱光センサを用いて図13と同じ正常汚泥をサンプリング周期1kHzで観測したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図16】散乱光センサを用いて図14と同じ糸状性バルキングが発生した汚泥をサンプリング周期1kHzで観測したときの検出信号の時間的な変化を示すグラフ。
【図17】本発明の別の実施形態に係る活性汚泥監視装置の構成を示す概略図。
【図18】図6と同じプラントAの活性汚泥について本発明に係る活性汚泥監視装置を適用して得られた検出波形のピーク数とバルキングレベルとの相関を示す図。
【図19】図7と同じプラントBの活性汚泥について本発明に係る活性汚泥監視装置を適用して得られた検出波形のピーク数とバルキングレベルとの相関を示す図。
【符号の説明】
【0055】
10 発光部
11,21 光ファイバ
12 レーザ光照射部
17 レーザダイオード
18 レーザダイオード駆動回路
19 振幅変調器
20 検出部
21 光ファイバ
22 レーザ光受光部
23 光電変換器
24 帯域通過フィルタ
25 増幅器
26 検波器
30 信号処理部
31 ピーク検出部
32 計数部
33 計時部
34 判定部
M 計測槽
S 被計測水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性汚泥処理装置の均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光の少なくとも一つをセンサにより検出してその受光レベルを求めるに際し、
前記センサにて検出された受光レベルの所定時間内における該受光レベルが増加から減少に変化する変曲点の数が上記活性汚泥処理装置の汚泥滞留時間よりも長い期間連続して減少したとき、前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定することを特徴とする活性汚泥監視方法。
【請求項2】
前記活性汚泥処理装置の均一に撹拌された活性汚泥スラリーに光を照射し、この光が該活性汚泥スラリーに含まれる活性汚泥粒子への衝突によって発生する散乱光または反射光あるいは上記光が該活性汚泥スラリーに含まれる上記活性汚泥粒子間を透過した透過光をそれぞれ受光してその受光レベルに応じた検出信号をそれぞれ出力する散乱光センサまたは反射光センサあるいは透過光センサの少なくとも一つを有する光学センサと、
これらの光学センサが所定時間内にそれぞれ出力した検出信号のレベルが増加から減少に変化する変曲点の数が上記活性汚泥処理装置の汚泥滞留時間よりも長い期間連続して減少したとき前記活性汚泥スラリーにおける糸状性バルキングが進行したと判定するバルキング判定部と
を備えることを特徴とする活性汚泥監視装置。
【請求項3】
前記バルキング判定部は、前記光学センサが視野する測定エリア径を汚泥フロックの移動速度で除した値として求められるサンプリング周期より短い周期でサンプリングするものである請求項2に記載の活性汚泥監視装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の活性汚泥監視装置であって、
前記活性汚泥スラリーを収容する汚泥水槽と、
希釈水を収容する希釈水槽と、
この希釈水槽に収容された上記希釈水と前記汚泥水槽に収容された上記活性汚泥スラリーとを混合して所定の濃度に希釈する混合槽と、
前記汚泥水槽内の液位を前記混合槽内の液位よりも高く設定し、前記汚泥水槽から延伸された汚泥液ラインと前記希釈水槽から延伸された希釈水ラインとを接続し、両者の接続部から混合ラインを前記混合槽まで延伸すると共に、前記混合液ライン、前記希釈水ラインおよび前記混合ラインにそれぞれ設けられて各ラインに流れる媒体の流量制御をする第1、第2および第3バルブと、
前記汚泥液ラインの空気を前記希釈水で置換した後、前記第1バルブを閉止し、前記第3バルブを開いて希釈水を前記混合水層に先に投入し、該混合層内の希釈水の水位が前記混合ラインの出口位置よりも高くなった後に前記第1バルブを開いて活性汚泥スラリーを混合層に投入する弁駆動制御手段と、
前記混合槽内の活性汚泥スラリーの懸濁物濃度を適当な濃度に希釈する希釈手段と
を備えることを特徴とする活性汚泥監視装置。
【請求項5】
前記バルキング判定部は、前記光学センサが出力する検出信号のレベルがサンプリング周期毎に所定回数連続して増加して前記変曲点に到達した後、所定回数連続して減少したとき、該検出信号にピークがあると判定するものである請求項2または3に記載の活性汚泥監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−272227(P2006−272227A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−97761(P2005−97761)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】