説明

活性物質としてオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物におけるまたはそれに関する改善

活性物質としてオリゴヌクレオチドと、賦形剤としてリポソームと、を含み、該オリゴヌクレオチドが、CD40をコードする核酸を標的にすることによって哺乳類細胞におけるCD40の発現を調節するように構成される、医薬組成物が開示される。該リポソームは両性リポソームである。さらに、かかる組成物の治療的または予防的有効量を該患者に投与することによる、ヒトもしくは非ヒト動物患者におけるCD40の発現に関連した疾患または症状を治療あるいは予防するための方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性物質としてオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物に関し、特にCD40をコードする核酸を標的にするように適用され、そのことにより哺乳類細胞におけるCD40の発現を調節するオリゴヌクレオチドを含むかかる組成物について言及している。本発明は、全身送達または局所適用に適合した組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
CD40については、非特許文献1によって最初に記載された。タンパク質は、主に樹状細胞およびB−細胞に関して示され、T−細胞上のそのリガンド(CD40リガンドまたはCD154)と相互作用する。CD40とCD154の間のシグナル伝達は液性免疫応答の発現にとって重要である。経路の過剰刺激は免疫学的な不均衡や、その結果として、移植片拒絶、対宿主移植片病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、喘息、炎症性腸疾患、乾癬および甲状腺炎を含む種々の免疫関連障害を招く可能性がある。CD40の過剰発現が生じるならば、それは腫瘍成長(非特許文献2)にも関与する可能性がある。NF−κB経路へのCD40シグナルは、結果として転写因子の活性化および最終的にIL−I、TNFαおよびIFNγなどのサイトカインの放出をもたらし、次いで他の細胞を活性化することによって正のフィードバック機構を用いて炎症を促進する。
【0003】
免疫障害または炎症プロセスを阻害するための有効な戦略として、上記の経路における初期事象の阻害が提案されている。例として、抗体を用いたTNFαの競合的結合、TNFα−受容体に対する抗体を用いた受容体遮断およびNF−κB結合の競合的阻害が挙げられる。CD40がその三量体リガンドCD154との相互作用を介してシグナル伝達することから、小分子阻害剤によるシグナル伝達事象の阻害は起こりにくく、治療法の開発では遮断抗体の利用に焦点が当てられている。より詳細には、非特許文献3または非特許文献4に記載のように、CD40/CD154相互作用は一成分に特異的な抗体を使用して遮断されうる。しかし、開発中のCD40抗体は副反応を生じることから、このポイントで炎症性フィードバックループを切るための別の手段が求められている。
【0004】
CD40のmRNAに特異的なオリゴヌクレオチドは、シグナル伝達カスケードを遮断するための別のアプローチを提供する。タンパク質の発現は、例えば、様々な化学物質のアンチセンス、固定化核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、モルホリノ核酸(モルホリノ)および短い干渉RNA(siRNA)などのオリゴヌクレオチドを用いて特異的に下方制御されうる。
【0005】
これまで、CD40 mRNAに特異的な多数の配列はインビトロで確認されている。例えば、特許文献1および特許文献2(いずれもベネット(Bennett)ら)では、アンチセンス機構に基づくかかるオリゴヌクレオチドに関する詳細な説明が示される。非特許文献5では、ヒト標的に対してsiRNAを用いたCD40の下方制御について最初に記載された。さらに、特許文献3(マノハラン(Manoharan))では、CD40タンパク質の発現を阻害するための新規のオリゴヌクレオチドの適用可能性について記載される。特許文献4(ヘッカー(Hecker)およびワグナー(Wagner))では、転写因子IFR−1の阻害を用い、CD40の発現を下方制御するための間接的手段が記載されている。
【0006】
しかし、インビボにおけるその概念を証拠立てるものは過去に開示されておらず、活性を示すオリゴヌクレオチドの送達が不十分であることが最も考えられる理由であると見なされる。オリゴヌクレオチドでは、その実際の化学的原因(chemical origin)とは無関係に、体液中でのその不安定性または細胞への効率の悪い取り込みまたはそれら双方が理由で、治療有効性が不十分でありうることは当該技術では既知である。例えば、上記の変異体またはリガンドもしくはポリマーとの抱合体などの化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドは、実用上の制限を克服するための1つの戦略を示す。第2のまとまった戦略としては、オリゴヌクレオチドの保護、ターゲティングおよび細胞への取り込み促進を目的とした担体系、特にリポソームの使用が包含される。
【0007】
リポソームは、かかる担体系として使用される場合、望ましくは高いカプセル化効率を示しかつ作製が経済的である必要があり、優れたコロイド安定性を有しかつ薬剤の細胞への取り込み促進をもたらす必要があり、さらにその毒性も免疫原性も低い必要がある。全身送達用のリポソームは、ヒト血清中でも安定である必要がある。血清成分、特に補体は、脂質膜をせん孔することによってカプセル化薬剤の放出をもたらす可能性があることは知られている。かかる放出が生じる範囲は、関与する膜の組成物およびその中でカプセル化された薬剤の分子サイズに依存する。したがって、小分子が速やかに放出されうる一方、プラスミドなどの大分子が作用を受ける可能性は全くない。
【0008】
アニオンまたは中性リポソームは、担体と環境の間に凝集が全く生じないことから優れたコロイド安定性を有することが多い。その結果、それらの生体内分布は優れ、かつそれらの炎症および細胞毒性に対する潜在性は低い。しかし、かかる担体におけるカプセル化効率が不十分であることが多く、細胞へのさらなる取り込みを促進するエンドソーム溶解性(endosomolytic)シグナルをもたらすことがない(非特許文献6)。
【0009】
非特許文献7、非特許文献8、非特許文献9を例とする極めて多数の出版物がカチオン性リポソーム系を扱っている。カチオン系は、高い帯電効率をもたらす可能性があるが、特に体液との接触後にコロイド安定性が低下する。タンパク質および/または他の生体高分子とのイオン相互作用により、in situで細胞外マトリックスまたは細胞表面との凝集体形成が起こりうる。非特許文献10、非特許文献11、非特許文献12によって示されるように、カチオン脂質が有毒であると認められることも多かった。
【0010】
担体を立体的に安定化する成分の添加により、かかる制限を克服する試みがなされてきた。例えば、様々な鎖長のポリエチレングリコールは体液中でのカチオン成分の使用に関連した凝集問題を改善することが知られており、PEG化したカチオン性リポソームがインビボで循環時間の増大を示す(非特許文献13)。にもかかわらず、PEGを使用してもカチオン脂質に関連した特有の毒性問題を解決することはない。PEGがかかるリポソームの細胞への積極的侵入(productive entry)または細胞内送達を実質的に阻害しうることも知られている(非特許文献14)。
【0011】
両性リポソームは、pH7.5でアニオンまたは中性電荷およびpH4でカチオン電荷を有する、最近記載されたリポソーム類である。ここでは特許文献5、特許文献6および特許文献7(すべてパンツナー(Panzner)ら)に対して参照がなされ、それらは参照により本明細書中に援用され、両性リポソームに関して詳細な説明を提示している。さらに、特許文献8および特許文献7(同様にパンツナー(Panzner)ら)において開示がなされ、それらは参照により本明細書中に援用され、かかる両性リポソームの作製におけるpHに感受性を示す脂質の使用についてさらに記載している。両性リポソームは優れた生体内分布を有し、動物において十分な耐容性を示す。それらは核酸分子を高効率にカプセル化することが可能である。
【0012】
要するに、CD40は、例えばアンチセンスまたはsiRNA分子などのオリゴヌクレオチド阻害剤を使用して潜在的に軽減可能な炎症性または免疫障害の治療における好ましい標的を示す。しかし、これまではかかる活性オリゴヌクレオチドをインビボでうまく利用することができなかった。
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0186071号明細書
【特許文献2】米国特許第6,197,584号明細書
【特許文献3】国際公開第2004/090108号パンフレット
【特許文献4】DE10049549号明細書
【特許文献5】国際公開第02/066490号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/066012号パンフレット
【特許文献7】国際公開第03/070735号パンフレット
【特許文献8】国際公開第03/070220号パンフレット
【非特許文献1】パウリ(Pauli)ら、1984年(Cancer Immunol. Immunotherapy 17:173−179頁)
【非特許文献2】グラス(Gruss)ら、1997年、Leuk Lymphoma.24(5−6):393−422頁
【非特許文献3】ホルステージャー(Holstager)ら、2000年(J.Biol.Chem.275:15392−15398頁)
【非特許文献4】バッカム(Baccam)およびビショップ(Bishop) 1999年(Eur.J.Immunol.29:3855−3866頁)
【非特許文献5】プルビネ(Pluvinet)ら、Blood、2004年
【非特許文献6】Journal of Pharmacology and experimental Therapeutics (2000年)、292、480−488頁、クリムク(Klimuk)ら
【非特許文献7】Molecular Membrane Biology(1999年)、16、129−140頁、マウラー(Maurer)ら
【非特許文献8】BBA(2000年)1464、251−261頁、メイダン(Meidan)ら
【非特許文献9】Reviews in Biology and Biotechnology(2001年)、1(2)、27−33頁、フィゼ(Fiset)およびガウニ(Gounni)
【非特許文献10】フィリオン(Filion)ら、BBA(1997年)、1329(2)、345−356頁
【非特許文献11】ダス(Dass)、J.Pharm.Pharmacol.(2002年)、54(5)、593−601頁
【非特許文献12】ヒルコ(Hirko)ら、Curr.Med.Chem.、10(14)、1185−1193頁
【非特許文献13】BBA(2001年)1510、152−166頁、センプル(Semple)ら
【非特許文献14】ソン(Song)ら、BBA(2002年)、1558(1)、1−13頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本発明の目的は、CD40に特異的なオリゴヌクレオチドを含む医薬組成物を提供することである。
【0014】
本発明の特定の目的は、局所治療に対してかかる組成物を提供することである。
【0015】
本発明の別の特定の目的は、全身投与されうるかかる組成物を提供することである。望ましくは、かかる組成物は、血清との接触時にそのオリゴヌクレオチドを時期を早めて放出するべきでなく、あるいは少なくともその含有物を単に緩徐に放出するべきである。
【0016】
本発明の異なる目的は、ヒトもしくは非ヒト動物における炎症性、免疫または自己免疫疾患を治療あるいは予防する方法を提供することである。
【0017】
さらに本発明の別の目的は、移植片拒絶、対宿主移植片病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、喘息、炎症性腸疾患、乾癬または甲状腺炎を予防あるいは治療する方法を提供することである。
【0018】
さらに本発明の別の目的は、移植片拒絶、対宿主移植片病、炎症性腸疾患、クローン病(Morbus Crohn)または潰瘍性大腸炎を予防あるいは治療する方法を提供することである。
【0019】
さらに本発明の別の目的は、腸、肺または皮膚の炎症性部位の局所治療に適する医薬組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
したがって、本発明の一態様によると、活性物質としてのオリゴヌクレオチドおよび賦形剤としてのリポソームを含む医薬組成物であって、該オリゴヌクレオチドが、CD40をコードする核酸を標的にするように適用され、そのことにより哺乳類細胞におけるCD40の発現を調節するものである医薬組成物であって、該リポソームが両性リポソームであることを特徴とする医薬組成物が提供される。
【0021】
好ましくは、該オリゴヌクレオチドはヒトCD40に特異的である。
【0022】
本発明の医薬組成物は、一般に局所投与に適し、かつ担体をさらに含み、局所投与のために調合されうる。血清が安定した実施形態は全身送達にも用いることが可能であり、かかる実施形態では、該組成物は担体をさらに含み、かつ全身送達のために調合されうる。
【0023】
該両性リポソームは、負に帯電されるかまたはpH7.4で中性かつpH4でカチオン性でありうる。好ましくは、該オリゴヌクレオチドの実質的割合またはすべては物理的に両性リポソーム内に捕捉される。リポソームの大きさは、50〜500nm、好ましくは100〜500nm、より好ましくは150〜300nmの範囲内にありうる。
【0024】
本発明の異なる態様では、ヒトもしくは非ヒト動物患者におけるCD40の発現に関連した疾患または症状を、本発明に記載の組成物の治療的または予防的有効量を該患者に投与することによって治療あるいは予防するための方法が提供される。
【0025】
本明細書における「両性」とは、リポソームがアニオンとカチオンの双方の性質を有する電荷群を含むことを意味し、
(i)電荷群の少なくとも一方が4〜7.4のpKを有し、
(ii)カチオン電荷がpH4で優勢となり、かつ
(iii)アニオン電荷がpH7.4で優勢となり、
それによってリポソームはpH4〜pH7.4でゼロ正味電荷の等電点を有する。この定義により、両性イオンが上記の範囲内のpKを有しないことから、両性の性質は「両性イオンの性質」とは異なる。結果として、両性イオンはpH値の範囲を超えて本質的に中性である。例えば、ホスファチジルコリンまたはホスファチジルエタノールアミンは、両性イオンの性質を有する中性脂質である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明のいくつかの実施形態では、該両性リポソームは両性脂質を含有する脂質相から形成されうる。該脂質相は、5〜30モル%、好ましくは10〜25モル%の該両性脂質を含有しうる。
【0027】
適切な両性脂質が国際公開第02/066489号パンフレットおよび国際公開第03/070735号パンフレットにおいて開示されている。好ましくは、該両性脂質は、HistChol、HistDG、isoHistSuccDG、アシルカルノシンおよびHCCholからなる群から選択される。(本明細書中で参照される脂質の参照を容易にするために、かかる略式名称の用語集が下記に含められる。かかる多数の略語は当業者によって共通に用いられるものである)。
【0028】
特に好ましい両性脂質はHistCholである。
【0029】
あるいは、該両性リポソームは、両性の特性を有する脂質成分の混合物を含有する脂質相から形成されうる。かかる両性リポソームは、例えば国際公開第02/066012号パンフレットに開示されたpH応答性のアニオンおよび/またはカチオン成分から形成されうる。pHに感受性を示すカチオン脂質は、国際公開第02/066489号パンフレットおよび国際公開第03/070220号パンフレットおよびそれらの中でなされた参照、特にブドカー(Budker)ら、1996年、Nat Biotechnol.14(6):760−4頁において開示され、構成的に帯電されたアニオン脂質またはpHに感受性を示すアニオン脂質と組み合わせて使用されうる。
【0030】
あるいは、カチオン電荷は、pHに感受性を示すアニオン脂質と組み合わせた当業者には既知の構成的に帯電された脂質から導入されうる。DOTAPおよびDPPGを例とする構成的に帯電されたアニオンおよびカチオン脂質の組み合わせは好ましくない。したがって、本発明の一部のここでの好ましい実施形態では、脂質成分の該混合物は、(i)安定なカチオン脂質および帯電可能なアニオン脂質、(ii)帯電可能なカチオン脂質および帯電可能なアニオン脂質または(iii)安定なアニオン脂質および帯電可能なカチオン脂質を含みうる。
【0031】
好ましいカチオン成分は、DPIM、CHIM、DORIE、DDAB、DAC−Chol、TC−Chol、DOTMA、DOGS、(C18)GlyN,N−ジオクタデシルアミド−グリシン、CTAB、CPyC、DODAPおよびDOEPCを含む。
【0032】
さらに好ましいカチオン脂質は、DMTAP、DPTAP、DOTAP、DC−Chol、MoCholおよびHisCholである。
【0033】
本発明での使用にとって好ましいアニオン脂質は、DOGSucc、POGSucc、DMGSucc、DPGSucc、DMPS、DPPS、DOPS、POPS、DMPG、DPPG、DOPG、POPG、DMPA、DPPA、DOPA、POPA、CHEMSおよびCetyl−Pを含む。
【0034】
特に好ましいアニオン脂質は、DOGSucc、DMGSucc、DMPG、DPPG、DOPG、POPG、DMPA、DPPA、DOPA、POPA、CHEMSおよびCetyl−Pである。
【0035】
好ましくは、脂質のかかる両性混合物は、脂質相の約70モル%以下を構成する。いくつかの実施形態では、該混合物は脂質相の50モル%以下、好ましくは該脂質相はかかる混合物の約20〜約40モル%を構成しうる。
【0036】
いくつかの実施形態では、該脂質相は、中性脂質、好ましくはホスファチジルコリンなどの中性リン脂質をさらに含有しうる。ここでの好ましいホスファチジルコリンは、POPC、天然もしくは水素化大豆PC、天然もしくは水素化卵PC、DMPC、DPPC、DSPCおよびDOPCを含む。
【0037】
より好ましくは、該ホスファチジルコリンは、POPC、非水素化大豆PCまたは非水素化卵PCを含む。
【0038】
脂質相は、少なくとも15モル%、好ましくは少なくとも20モル%の該ホスファチジルコリンを含有しうる。いくつかの実施形態では、該脂質相は約25モル%以上のホスファチジルコリンを含有しうる。あるいは、該脂質相は約40モル%以上のホスファチジルコリンを含有しうる。
【0039】
本発明に記載のここで好ましい組成物は、60モル%のPOPC、約10モル%のDOTAPおよび約30モル%のCHEMSである調合物を有するリポソームを含む。
【0040】
該中性脂質は、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの混合物を含みうる。該中性のホスファチジルコリンもしくはホスファチジルエタノールアミンまたはこれら2つの混合物は、脂質相の他の成分によって構成されずに少なくとも20モル%のモル量(モル%)で脂質相中に存在しうる(脂質相における全体が100モル%である)。
【0041】
好ましいホスファチジルエタノールアミンはDOPE、DMPEおよびDPPEを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、該中性脂質はPOPCおよびDOPEを含みうる。
【0043】
有利にも、該脂質相は、両性の特性を有するアニオンおよびカチオン脂質の混合物、ホスファチジルコリンおよびホスファチジルエタノールアミンを含有しうる。かかる脂質相から形成された両性リポソームが血清安定性を示すことから全身送達に適しうることが認められている。好ましくは該脂質相がカチオン脂質としてMoCholおよびアニオン脂質としてCHEMSまたはDMG−Succを含有する。
【0044】
さらに、ここで好ましい両性リポソームは、本発明の組成物における賦形剤として使用される場合に
(a)約15モル%のPOPC、約45モル%のDOPE、約20モル%のMoCholおよび約20モル%のCHEMS;
(b)約10モル%のPOPC、約30モル%のDOPE、約30モル%のMoCholおよび約30モル%のCHEMS;
(c)約10モル%のPOPC、約30モル%のDOPE、約20モル%のMoCholおよび約40モル%のCHEMS;
(d)約6モル%のPOPC、約24モル%のDOPE、約47モル%のMoCholおよび約23モル%のCHEMS
といった調合物を含有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、該リポソームは、中性のホスファチジルコリンおよびコレステロールをさらに含有しうる。かかるリポソームは血清安定性も示しうる。
【0046】
あるいは、全身送達に適する血清安定性を示すリポソームは、両性脂質または両性の特性を有する脂質成分すなわちコレステロールとホスファチジルコリンなどの中性脂質の混合物を含有しうる。いくつかの実施形態では、該脂質相は、30モル%〜50モル%、好ましくは約35モル%〜約45モル%のコレステロールを含有しうる。あるいは、該脂質相は、ホスファチジルコリンと、10モル%〜25モル%、好ましくは約15モル%〜約25モル%のコレステロールを含有しうる。
【0047】
ここで好ましい調合物は、HistChol、HistDGまたはアシルカルノシンを例とする10〜25モル%の両性脂質、15〜25モル%のコレステロール、および残りとしてPOPC、大豆PC、卵PC、DMPC、DPPCまたはDOPC、好ましくはPOPCを含有し、例えば約60モル%のPOPC、約20モル%のHistCholおよび約20モル%のCholを含有する。
【0048】
本発明に記載の別のここで好ましい組成物は、両性の特性を有する脂質成分の混合物を含有しかつ約30モル%のPOPC、約10モル%のDOTAP、約20モル%のCHEMSおよび約40モル%のCholといった調合物を含有するリポソームを含む。
【0049】
本発明の医薬組成物がCD40をコードする核酸を標的にするオリゴヌクレオチドを含むことにより、哺乳類細胞内でのかかるCD40の発現が弱まる。本明細書では「CD40をコードする核酸」とは、CD40をコードするDNAおよびかかるDNA由来のプレ−mRNAまたはmRNAといったRNAを意味する。標的核酸と、活性物質としてかかる配列に特異的な1種もしくは複数種のオリゴヌクレオチドとの間の特異的なハイブリダイゼーションを行う結果、CD40の発現が阻害されうる。かかる特異的なターゲティングを行うため、該オリゴヌクレオチドは、好ましくは標的核酸の配列に相補的なヌクレオチドの連続ストレッチを含む必要がある。オリゴヌクレオチドは、10程度、好ましくは15、およびさらにより好ましくは18ヌクレオチドから50、好ましくは30、およびより好ましくは25ヌクレオチドの間で長さを変更しうる。オリゴヌクレオチドと標的配列の間の適合性は、好ましくは、オリゴヌクレオチドの各塩基が上記オリゴヌクレオチド数の連続ストレッチを上回る標的核酸上のその相補的塩基と塩基対を形成することによって完全である。いくつかの実施形態では、あまり好ましくないが、配列対は、塩基対の該連続ストレッチ内に1個もしくは数個のミスマッチを含みうる。
【0050】
上記基準を満たすオリゴヌクレオチドは、ある範囲の異なる化学物質および/またはトポロジーを有しうる。オリゴヌクレオチドは、一本鎖または二本鎖でありうる。一本鎖オリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチドとして周知であるDNAに基づくオリゴヌクレオチド、固定化核酸および2’−修飾オリゴヌクレオチドを含むがこれらに限定されない。骨格または塩基修飾は、ホスホチオエートDNA(PTO)、2’O−メチルRNA(2’Ome)、2’O−メトキシエチル−RNA(2’MOE)、ペプチド核酸(PNA)、N3’−P5’ホスホアミデート(NP)、2’フルオロアラビノ核酸(FANA)、固定化核酸(LNA)、モルホリンホスホアミデート(モルホリノ)、シクロヘキセン核酸(CeNA)およびトリシクロ−DNA(tcDNA)を含むがこれらに限定されない。さらに、混合化学物質は当該技術では既知であり、例えば共重合体、ブロック共重合体およびギャップマーなど、単一のヌクレオチドよりも多くの種から構成される。
【0051】
上記オリゴヌクレオチドに加え、CD40の発現は、相補配列モチーフを含む二本鎖RNA分子を用いても阻害されうる。かかるRNA分子は、当該技術ではsiRNA分子として知られている。この場合にも様々な化学物質がこのクラスのオリゴヌクレオチドに適合される。さらにDNA/RNAハイブリッド系が当該技術では既知である。
【0052】
より詳細には、本明細書では、かかるオリゴヌクレオチドに有用な配列および化学物質について述べた米国特許第6,197,584号明細書および米国特許出願公開第2004/0186071号明細書(いずれもベネット(Bennett))が参照される。CD40の阻害のためのsiRNA配列モチーフについて述べたプルビネ(Pluvinet)ら、Blood、2004年もまた参照される。さらに、siRNAモチーフは公開されており、例えばサンタクルース・バイオテクノロジー(Santa Cruz Biotechnology)(サンタクルース(Santa Cruz)、米国)から入手してもよい。
【0053】
本発明の医薬組成物は、適切な医薬的に許容できる担体中のコロイドとして使用する場合に調合されうる。この目的のための水、生理食塩水、リン酸塩緩衝生理食塩水などの担体は当業者に周知である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本発明の組成物は約7〜約8の生理的pHで投与されうる。このため、活性物質、賦形剤および担体を含有する組成物を調合することでこの範囲のpHが得られる。
【0055】
当業者に既知の適切な方法を用い、本発明の組成物を製造することが可能である。かかる方法には、所定の孔径の膜を介した押し出し、エタノール中の脂質溶媒のカーゴを含有する水相への注入によるカプセル化、または高圧均一化が含まれるがこれらに限定されない。
【0056】
オリゴヌクレオチドの溶液を中性pHで該賦形剤と接触させることにより、溶液のうちの特定の百分率を占める大量の封入体が生成されうる。活性物質の実質上のカプセル化を行うためには、約50mM〜約150mMの範囲の高濃度の賦形剤が好ましい。
【0057】
本発明に記載の賦形剤として使用される両性リポソームは、それらの等電点またはその近傍でオリゴヌクレオチドと結合することによって該活性物質をリポソーム表面に集結させるという確かな利点をもたらす。このプロセスは、国際公開第02/066012号パンフレット中により詳細に記載されている。
【0058】
本発明の組成物を作製するために用いられる実際の作製プロセスとは無関係に、いくつかの実施形態では、リポソームが密度の高い容器として形成される初期作製ステップの後に、非カプセル化オリゴヌクレオチドがリポソームから除去されうる。この場合も、技術文献および本明細書中に含められる参考文献ではかかる方法について詳細に記載され、かつ適切なプロセスステップには、サイズ排除クロマトグラフィー、沈降、透析、限界濾過およびダイアフィルトレーションが含まれうるがこれらに限定されない。
【0059】
しかし、任意の非カプセル化オリゴヌクレオチドの除去は本発明の実施において必要ではなく、いくつかの実施形態では、組成物は遊離および捕捉薬剤を含みうる。
【0060】
本発明の異なる実施形態では、医薬組成物の調製において有利に用いられうるプロセスステップの特定の組み合わせについて以下に示す。
【0061】
(A)
I.約0.5mg/mL〜約50mg/mL、好ましくは約1〜約20mg/mLの該活性物質濃度、および約50mM〜約150mMの賦形剤濃度を用いた、中性pHでの活性物質のカプセル化
II.該担体は水、生理食塩水または緩衝化生理食塩水でありうる
III.実際のリポソーム形成およびサイジングステップ
IV.捕捉されなかった活性物質が除去されない
V.選択的な凍結乾燥および水を用いた再構成
VI.保存形態:懸濁液または凍結乾燥された粉末
VII.中性pHでの投与
【0062】
(B)
I.約0.5mg/mL〜約50mg/mL、好ましくは約1〜約20mg/mLの活性物質濃度、および約50mM〜約150mMの賦形剤濃度を用いた、中性pHでの活性物質のカプセル化
II.担体は水、生理食塩水または緩衝化生理食塩水でありうる
III.実際のリポソーム形成およびサイジングステップ
IV.捕捉されなかった薬剤が除去される
V.保存形態:懸濁液
VI.中性pHでの投与
【0063】
したがって、本発明は、活性物質としてのCD40に特異的なオリゴヌクレオチドおよび賦形剤としての両性リポソームを含む医薬組成物を包含する。かかる調合物は炎症および自己免疫疾患の治療において治療的活性を示すことが認められており、それ故、本発明は、移植片拒絶、対宿主移植片病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、喘息、気管支喘息、炎症性腸疾患、乾癬、甲状腺炎、クローン病、潰瘍性大腸炎、COPDおよびアトピー性皮膚炎を含む炎症、免疫または自己免疫疾患の予防あるいは治療における本発明の組成物の使用をさらに包含する。
【0064】
上記のように、いくつかの実施形態では、本発明の組成物は、血清において実質的に安定であり、それ故、かかる実施形態では、組成物は動物、特にヒトにおいて全身的に送達されうる。
【0065】
局所治療、例えば炎症性粘膜の治療においても、本発明の医薬組成物を使用することが可能である。特に、炎症性腸疾患もしくは移植片拒絶の治療または予防において本発明の組成物を使用しうる。本発明の組成物は、皮膚または肺への局所適用においても適合しうる。
【0066】
医薬組成物の投与は、当業者の技能の範囲内にある。投与は、治療されるべき疾患の重症度および/または応答性、数日から数か月にかけて持続する治療の治療単位、あるいは治療が有効となっているかまたは疾患の徴候の減少が得られているまでの時間に依存しうる。至適な投与計画は、患者体内の薬剤蓄積の測定値から算出されうる。当業者であれば、至適用量、投与方法および反復率を容易に判定できる。至適用量は本発明の組成物における個々のオリゴヌクレオチドの相対効力に依存して変更され、かつ一般に、動物モデルにおいて有効であることが認められたEC50値に基づいて評価される場合がある。一般に、単位用量はkg体重の約0.01μg〜約20mgのオリゴヌクレオチドであり、かつ毎日、週1回、月1回または年1回与えられるかあるいはより不規則に与えられる場合さえある。当業者であれば、体液中または組織内での薬剤の測定された滞留時間および濃度に基づく投与における反復率を容易に評価することができる。治療が成功した後、患者に維持療法を受けさせることで疾患状態の再発を予防することが望ましい場合があり、ここでは調合物が体重のkg当たりのオリゴヌクレオチドで約0.01μg〜約20mgの範囲の維持用量で1日に1回もしくは複数回から1年に1回まで投与されうる。
【0067】
以下は、添付図面をあくまでも参考として、本発明の実施形態について説明するものである。
【実施例】
【0068】
実施例1:CD40−ODNを含有するリポソームの調製
85μモルのPOPC、42μモルのCHEMSおよび14μモルのDOTAPの混合物をクロロホルムに溶解し、丸底フラスコ内で蒸発させ真空下で乾燥させた。アスタリスクがヌクレオチド間のホスホロチオエート連結を示す場合の配列TTAGATGGACCGCTTを有するODNを用いた(ガオ(Gao)、博士論文、Goettingen 2003年、rAS3を参照)。
【0069】
脂質膜を緩衝液(10mM酢酸ナトリウム、150mM NaCl pH4.5)1mL中の1mgのODNで水和した。懸濁液を水槽内、室温で25分間水和させ、5分間超音波処理し、最終的に−70℃で冷凍した。解凍後、リポソーム懸濁液を孔径400nmのポリカーボネート膜を介して15回押し出した。リポソーム懸濁液を1Mヘペス緩衝液を使用してpH7.5にし、ストック溶液を使用して0.8Mスクロースにした。非カプセル化ODNを10mMヘペス、150mM NaCl pH7.5で重層させた0.5Mスクロースを介した浮遊により押し出した試料から除去し、リポソーム懸濁液を4℃で保存した。得られたリポソームを動的光散乱によって特徴づけると、大きさが220〜250nmであることがわかった。
【0070】
実施例2:結腸炎の誘発
20mgのTNBSを150mMのNaCl中35%エタノール135μlに添加することによって調製した2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の単一の結腸内部への適用を用いることにより、結腸炎を誘発した。光エーテル麻酔下で雄ウィスターラット(200〜250g)を置いて、肛門管を通して下行結腸に挿入された8cm長のカテーテルを使用して混合物を投与した。カテーテルを取り出した後、ラットを頭を下にした姿勢に30秒間保って腸からの流出を回避し、以後はラットを通常の状態で保持した。
【0071】
実施例3:治療および分析
結腸炎誘発の4時間前または3日後に、ラットを実施例1から得たCD40アンチセンスで治療した。実施例1から得たアンチセンス懸濁液を1M緩衝酢酸/酢酸ナトリウム pH4.0を使用してpH4.5にし、2.7μgのCD40アンチセンスを含有する全体で100μlの懸濁液を実施例2に記載の結腸に適用した。
【0072】
結腸炎の誘発の7日後、動物を殺した。結腸を摘出し、縦方向に開いた。4%のホルムアルデヒドを含有するPBS中に結腸試料を固定した。パラフィン包埋切片(5μm)をヘマトキシリン/エオシンで染色してから顕微鏡検査した。
【0073】
結腸障害を以下の基準によってスコアリングした。
【0074】
【表1】

【0075】
図1および図2に示す結果は、スクランブルした対照アンチセンスではなくCD40に特異的なアンチセンスで治療した場合に実験結腸炎が顕著に減少することを示している。かなり意外なことに、3日目で完全に発症した結腸炎に対してたとえ単回治療であっても、炎症が著しくほぼ完全に減少するに至った。それに対する確認として、疾患の開始前に調合物を予防的様式で適用した場合、結腸炎の予防も実現した。
【0076】
実施例4:別の調合物
60モル%のPOPC、20モル%のHistCholおよび20モル%のコレステロールの混合物を賦形剤として使用した場合でも実験結腸炎の治療が奏功するに至った。
【0077】
実施例5:ノンリムーバル(non−removal)の外部アンチセンス
ノンリムーバルの非カプセル化アンチセンスを調合物として使用した場合でも安定なコロイド状の担体系が生成した。
【0078】
実施例6:小腸移植治療
免疫抑制剤治療を施さずに、同種のブラウンノルウェー(Brown Norway)(RT1n)からルイス(RT11)株を組み合わせた雄ラットにおいて異所性の小腸移植を行った。
【0079】
小腸の外植およびリンガー溶液での移植片管の洗浄を行った後、1群の動物(n=3)は、実施例1に記載の賦形剤において調合されたCD40アンチセンスODN(群A)またはそれに対応するスクランブルした対照ODN(群B)で前治療したドナーの小腸移植を受けた。実施例1から得たアンチセンス懸濁液を、1M緩衝酢酸/酢酸ナトリウム pH4.0を用いてpH4.5にした。
【0080】
ドナー血管を、CD40アンチセンスまたはスクランブルした対照ODNを含有するリンガー溶液2ml(全容量100μl中2.7μgのDNA)で前治療した。腸内腔をUW(ウィスコンシン大学(University of Wisconsin))溶液ですすいだ。虚血の2時間後、DNA溶液を流し出し、移植片を移植し、組織学的に分析した。
【0081】
分析
粘膜灌流全体を特徴づけるため、式
PI(%)=Vp+0.5×Vip)/Vt
(式中、Vpは灌流された絨毛の数、Vipはすべての不規則に灌流された絨毛の数およびVtは観察された絨毛の総数を示す)
を用いることにより灌流指数(PI)を算出した。
【0082】
粘膜灌流障害全体を特徴づけるため、鬱血指数(SI)を
SI(%)=Vnp/Vt
(式中、Vnpは灌流されなかった絨毛の数およびVtは観察された全絨毛の総数を示す)
にしたがって算出した。
【0083】
粘膜および筋肉層における微小循環パラメータのさらなる分析として、機能的毛細血管密度(FCD、倍率476倍での絨毛面積当たりの潅流される毛細血管の長さ(1/cm))および赤血球速度(倍率933倍でのmm/秒単位のRBCV)の評価を含めた。CAPIMAGEソフトウェア(ザイントル(Zeintl)、ハイデルベルク(Heidelberg)、ドイツ)を使用して機能性毛細血管密度および赤血球速度の分析を行い、ラインシフト(line−to−shift)分析によって赤血球速度を判定した。さらに、蛍光マーカーローダミン6Gを使用して各管セグメント(100μm)における癒着性の白血球を同定し、観察期間30秒以内に動かないかまたは内皮から離れなかった細胞として計数した。それらの数を血管の直径および長さから算出して円筒の形状を推定し、mm当たりの細胞数として表した。
【0084】
結果
移植片粘膜内部の絨毛でのマイクロキャピラリー灌流
CD40アンチセンスODNで治療した移植物では、治療していない対照またはスクランブルした対照ODNの場合とそれぞれ比較した場合、移植片粘膜における絨毛灌流全体が顕著に改善した。観察フィールド当たりの観察された絨毛に対する灌流された絨毛の百分率を表す灌流指数によってこれを示した(図3)。逆に、観察フィールド当たりの絨毛の総数に対する灌流されなかった絨毛の百分率の指標である鬱血指数は、CD40アンチセンスODNで治療した移植片では、治療していない対照およびスクランブルした対照ODNの場合とそれぞれ比較した場合、顕著に低下した(図3)。
【0085】
絨毛面積当たりの1本の絨毛内部の機能的毛細血管密度の測定による、1本の絨毛の灌流に関するより詳細な分析によると、CD40アンチセンスODNで治療した動物では、治療していない対照およびスクランブルした対照ODNの場合とそれぞれ比較した場合、灌流された毛細血管の密度が顕著に高まることが再び示された(図4)。これは、より良好に保護された絨毛灌流や、それによるより優れた粘膜機能を有するCD40アンチセンスODNで治療された動物について明らかにしている。
【0086】
したがって、絨毛の毛細血管内での赤血球速度の測定によると、CD40アンチセンスODNで治療された移植物では、治療していない対照およびスクランブルした対照ODNの場合とそれぞれ比較した場合、顕著な速度増加が示された(図5)。
【0087】
白血球−内皮細胞の相互作用
それに対し、粘膜下後毛細血管細静脈内での白血球−内皮細胞の相互作用の評価によると、白血球の内皮表面への付着数において異なる治療群と対照群の間に大した差異が示されなかった(図6)。
【0088】
実施例7:CD40−ODNを含有するリポソームの調製
30モル%のPOPC、10モル%のDOTAP、20モル%のChemsおよび40モル%のCholの混合物をクロロホルムに溶解し、丸底フラスコ内で蒸発させ真空下で乾燥させた。
【0089】
配列TCCTAGATGGACCGCTGTを有するODNを、完全なホスホロチオエートヌクレオチド物質を保有するバイオグノスティックGmbH(Biognostik GmbH)、ドイツから購入した(ガオ(Gao)、博士論文、Goettingen 2003年、rAS3を参照)。
【0090】
脂質膜を、最終脂質濃度が懸濁液中で100mMである程度の量のODN溶液(10mMヘペス中、20mg/ml CD40 ODN(18mer、完全ホスホチオエート化)、125mM NaCl pH7.5)で水和した。懸濁液を水槽内、50℃で45分間水和させ、15分間超音波処理した。次いで懸濁液を−70℃で30分間、3回冷凍し、50℃で15分間解凍した。
【0091】
リポソーム懸濁液を孔径400nmを有するポリカーボネート膜を介して19回押し出した。非カプセル化ODNを、35000rpm、15℃で15時間にわたる沈降により、水で希釈した後の押し出した試料から取り出した。
カプセル化CD40 ODNを有する他の調合物を同一条件を用いて調製した。
【0092】
【表2】

【0093】
260nmによる光学密度(OD)を調べることによってカプセル化ODNの量を測定した。異なるSmarticle調合物において以下のODN量をカプセル化した。
【0094】
【表3】

【0095】
実施例8:関節炎における治療有効性
関節炎の誘発の21日前および14日前に完全フロインドアジュバント中のメチル化ウシ血清アルブミン(mBSA)の皮下注射によって雌ルイスラットを免疫した。0日目、生理緩衝液中の抗原(mBSA)を右膝関節に関節内注射することによって関節炎を誘発する一方、左膝関節を注射されない正常な対照関節として用いた。
【0096】
治療試験のため、関節炎の誘発の6、48および96時間後に、確立されたAIAを用い、遊離(非カプセル化)CD40−ODNまたはリポソームCD40−ODN(上記実施例7の調合物1:POPC/DOTAP/Chems/Cholが30:10:20:40)をラットの尾静脈に静脈内注射した。各用量は、1kg体重当たり3mgのCD40−ODN(カプセル化CD40−ODN)または1kg体重当たり3および15mgのCD40−ODN(それぞれ遊離CD40−ODN9および遊離CD40−ODN45)を含有した。
【0097】
実験の間、関節の腫脹および動物の体重を観察した。カプセル化CD40−ODN(リポソーム−ODN、図7)による治療後の21日間にわたり、膝関節の腫脹が顕著に低下した(p<0.05)。それに対し、高用量の遊離CD40−ODN(CD40−ODN45、図7)による治療の結果、生理食塩水の対照と比較し、関節炎の急性期および慢性期において膝関節の炎症が悪化した。全動物群の体重では、生理食塩水の対照と比べて何の相違点も示されていない(図8)。
【0098】
実施例9:耐容性
実施例2に記載のように動物を治療し、炎症の発症の21日後に殺した。顕微鏡検査では、調合物に対する不耐性の徴候を全く呈することなく、対照群と区別できないことが判明した。さらに、肝臓、脾臓、胸腺および腎臓における個々の器官重量を測定した。リポソームCD40−ODNによって治療した群の場合、肝臓重量における若干の低下が観察され、他のすべての器官重量では影響を認めなかった(図9および図10)。
【0099】
実施例10:材料
この実施例は、CD40の発現を調節しかつ本発明に記載の組成物における使用に適するオリゴヌクレオチドによって標的にされうるCD40ヌクレオチド配列の限定されない例を提供する。
【0100】
ヒトCD40 mRNA(ジェンバンク(GenBank)登録番号X60592)
本発明における標的対象のヒトCD40 mRNA配列を配列番号1に示す。関連配列情報が、ベネット(Bennett)ら、米国特許出願公開第2004/0186071号明細書(すなわち配列番号85)、ベネット(Bennett)ら、米国特許第6,197,584号明細書(すなわち配列番号85)およびプルビネ(Pluvinet)ら、Blood、2004年、104(12)、3642−3646頁の中に認められ、それらの内容は参照により本明細書中に援用される。
(配列番号1):

【0101】
ハツカネズミCD40 mRNA
本発明における標的対象のマウスCD40 mRNA配列を配列番号2に示す。関連配列情報が、ベネット(Bennett)ら、米国特許出願公開第2004/0186071号明細書(すなわち配列番号132)中に認められ、その内容は参照により本明細書中に援用される。
(配列番号2):

【0102】
ラットCD40 mRNA(ジェンバンク(GenBank)登録番号AF241231)
本発明における標的対象のラットCD40 mRNA配列を配列番号3に示す(ガオ(Gao)、博士論文、Goettingen 2003年を参照)。
(配列番号3):

【0103】
ブタCD40 cDNA
本発明における標的対象のブタCD40 cDNA配列を配列番号4に示す(図11)。関連配列情報が、ラッシュワース(Rushworth)ら、Transplantation、2002年、73(4)、635−642頁の中に認められ、その内容は参照により本明細書中に援用される。
【0104】
さらに以下に、本発明における使用に適する、アンチセンスCD40核酸配列を例とする抗−CD40オリゴヌクレオチドの限定されない例を提供する。
【0105】
ヒトCD40に対するオリゴヌクレオチド
ヒトアンチセンスCD40オリゴヌクレオチドの例を下記に示す。さらに、配列情報が、ベネット(Bennett)ら、米国特許出願公開第2004/0186071号明細書中および米国特許第6,197,584号明細書中に認められ、それらの内容は参照により本明細書中に提供される。ベネット(Bennett)らによって示された配列番号を右側に示す。

【0106】
以下のsiRNA配列は本発明における使用に適し(例えば、プルビネ(Pluvinet)ら、Blood、2004年、104(12)、3642−3646頁を参照)、その内容は参照により本明細書中に援用される。

【0107】
すべてのsiRNAは、3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを含む。
【0108】
マウスCD40に対するオリゴヌクレオチド
マウスアンチセンスCD40オリゴヌクレオチドの例を下記に示す。さらに、配列情報が、ベネット(Bennett)ら、米国特許出願公開第2004/0186071号明細書中に認められ、これによってその内容は参照により本明細書中に援用される。ベネット(Bennett)らによって示された配列番号を右側に示す。
マウス

【0109】
ラットCD40に対するオリゴヌクレオチド
ラットアンチセンスCD40オリゴヌクレオチドの例を下記に示す(ガオ(Gao)、博士論文、2003年、ゲッチンゲン大学(University of Goettingen)、ドイツを参照)。


【0110】
ブタCD40に対するオリゴヌクレオチド
ブタアンチセンスCD40オリゴヌクレオチドの例を下記に示す。ラッシュワース(Rushworth)ら、Transplantation、2002年、73(4)、635−642頁を参照のこと。その内容は参照により本明細書中に援用される。


【0111】
脂質における共通の略称の用語集
DMPC ジミリストイルホスファチジルコリン
DPPC ジパルミトイルホスファチジルコリン
DSPC ジステアロイルホスファチジルコリン
POPC パルミトイル−オレオイルホスファチジルコリン
DOPC ジオレオイルホスファチジルコリン
DOPE ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン
DMPE ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン
DPPE ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン
DOPG ジオレオイルホスファチジルグリセロール
POPG パルミトイル−オレオイルホスファチジルグリセロール
DMPG ジミリストイルホスファチジルグリセロール
DPPG ジパルミトイルホスファチジルグリセロール
DMPS ジミリストイルホスファチジルセリン
DPPS ジパルミトイルホスファチジルセリン
DOPS ジオレオイルホスファチジルセリン
POPS パルミトイル−オレオイルホスファチジルセリン
DMPA ジミリストイルホスファチジン酸
DPPA ジパルミトイルホスファチジン酸
DOPA ジオレオイルホスファチジン酸
POPA パルミトイル−オレオイルホスファチジン酸
CHEMS コレステロールヘミサクシネート
DC−Chol 3−β−[N−(N’,N’−ジメチルエタン)カルバモイル]コレステロール
Cetyl−P セチルリン酸
DODAP (l,2)−ジオレオイルオキシプロピル)−N,N−塩化ジメチルアンモニウム
DOEPC 1,2−ジオレオイル−sn−グリセロ−3−エチルホスホコリン
DAC−Chol 3−β−[N−(N,N’−ジメチルエタン)カルバモイル]コレステロール
TC−Chol 3−β−[N−(N’,N’,N’−トリメチルアミノエタン)カルバモイル]コレステロール
DOTMA (l,2−ジオレイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド)(Lipofectin(登録商標))
DOGS ((C18)GlySper3)N,N−ジオクタデシルアミド−グリシル−スペルミン(Transfectam(登録商標))
CTAB セチル−トリメチルアンモニウムブロマイド
CPyC セチル−ピリジニウムクロライド
DOTAP (l,2−ジオレオイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩
DMTAP (1,2−ジミリストイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩
DPTAP (1,2−ジパルミトイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩
DOTMA (l,2−ジオレイルオキシプロピル)−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド)
DORIE (l,2−ジオレイルオキシプロピル)−3ジメチルヒドロキシエチルアンモニウムブロマイド)
DDAB ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロマイド
DPIM 4−(2,3−ビス−パルミトイルオキシ−プロピル)−l−メチル−lH−イミダゾール
CHIM ヒスタミニル−コレステロールカルバメート
MoChol 4−(2−アミノエチル)−モルホリノ−コレステロールヘミサクシネート
HisChol ヒスタミニル−コレステロールヘミサクシネート
HCChol Nα−ヒスチジニル−コレステロールカルバメート
HistChol Nα−ヒスチジニル−コレステロール−ヘミサクシネート
AC アシルカルノシン、ステアリル−&パルミトイルカルノシン
HistDG 1,2−ジパルミトイルグリセロール−ヘミサクシネート−Nα−ヒスチジニル−ヘミサクシネート、&ジステアロイル−ジミリストイル、ジオレオイルまたはパルミトイル−オレオイル誘導体
IsoHistSuccDG 1,2−ジパルミトイルグリセロール−Oa−ヒスチジニル−Nα−ヘミサクシネート、&ジステアロイル−、ジミリストイル、ジオレオイルまたはパルミトイル−オレオイル誘導体
DGSucc 1,2−ジパルミトイルグリセロール−3−ヘミサクシネート&ジステアロイル−、ジミリストイル−ジオレオイルまたはパルミトイル−オレオイル誘導体
【化1】

【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】結腸障害の顕微鏡スコアリング(microscopic scoring) 対照 対照動物、PBSで処理 CD40/0 誘発の0日目、4時間前に治療 CD40/0_3 誘発の0日目、4時間前に治療および3日目に治療 SCR/0 スクランブルした対照で誘発の4時間前に治療 CD40/3 3日目のみ治療 SCR/3 3日目にスクランブルした対照で治療
【図2A】治療後の結腸切片(正常、非罹患腸壁)
【図2B】治療後の結腸切片(炎症性を示すが治療されていない腸壁)
【図2C】治療後の結腸切片(スクランブルした対照を用いた結腸炎誘発前の治療)
【図2D】治療後の結腸切片(特異的なCD40アンチセンスを用いた結腸炎誘発前の治療)
【図3】同種対照(対照)、移植の7日後でのCD40アンチセンスODN(AS)またはスクランブルした対照ODN(SCR)で治療された移植片(n=3)における灌流指数(塗りつぶしたカラム)および鬱血指数(白カラム)。p<0.05対対照、#p<0.05AS対SCR。
【図4】同種対照(対照)、移植の7日後でのCD40アンチセンスODN(AS)またはスクランブルした対照ODN(SCR)で治療された移植片(n=3)における粘膜内での機能的毛細血管密度(FCD)。p<0.05対対照、#p<0.05AS対SCR。
【図5】同種対照(対照)、移植の7日後でのCD40アンチセンスODN(AS)またはスクランブルした対照ODN(SCR)で治療された移植片(n=3)における小腸移植物の粘膜下管内での赤血球速度(RBCV)。p<0.05対対照、#p<0.05AS対SCR。
【図6】同種対照(対照)、移植の7日後でのCD40アンチセンスODN(AS)またはスクランブルした対照ODN(SCR)で治療された移植片(n=3)における白血球−内皮細胞の相互作用。p<0.05対対照、#p<0.05AS対SCR。
【図7】遊離またはリポソームCD40−ODNによる治療後でのラットの関節腫脹。腫脹は左右の膝関節の間の大きさの差異として表される。記載のように動物が治療され、6、48および96時間後に3回の注射がなされた。
【図8】遊離CD40−ODNまたはリポソームCD40−ODNの適用の21日後でのラットの体重[g]。記載のように動物が治療され、6、48および96時間後に3回の注射がなされた。
【図9】遊離CD40−ODNまたはリポソームCD40−ODNの適用の21日後でのラットの脾臓および胸腺の器官重量[g]。
【図10】遊離CD40−ODNまたはリポソームCD40−ODNの適用の21日後でのラットの肝臓重量[g]。
【図11】本発明に記載のターゲティングを目的としたブタCD40 cDNA配列(配列番号4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性物質としてのオリゴヌクレオチドおよび賦形剤としてのリポソームを含む医薬組成物であって、前記オリゴヌクレオチドが、CD40をコードする核酸を標的にするように適用され、そのことにより哺乳類細胞におけるCD40の発現を調節するものであり、前記リポソームが両性リポソームである、医薬組成物。
【請求項2】
前記リポソームが4〜7.4の等電点を有することを特徴とする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記両性リポソームがpH7.4で負に帯電するかまたは中性であり、かつpH4でカチオン性であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記両性リポソームが両性脂質を含有する脂質相から形成されることを特徴とする、請求項1、請求項2または請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記脂質相が5〜30モル%の前記両性脂質を含有することを特徴とする、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記両性脂質がHistChol、HistDG、isoHistSuccDG、アシルカルノシンおよびHCCHolからなる群から選択されることを特徴とする、請求項4または請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記両性リポソームが両性の特性を有する脂質成分の混合物を含有する脂質相から形成されることを特徴とする、請求項1、請求項2または請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項8】
脂質成分の前記混合物がアニオンまたはカチオン成分を含み、少なくとも1種のかかる成分がpH応答性を示すことを特徴とする、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
脂質成分の前記混合物が、(i)安定なカチオン脂質および帯電可能なアニオン脂質、(ii)帯電可能なカチオン脂質および帯電可能なアニオン脂質または(iii)安定なアニオン脂質および帯電可能なカチオン脂質を含むことを特徴とする、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記脂質成分が、DGSucc、DMPS、DPPS、DOPS、POPS、DMPG、DPPG、DOPG、POPG、DMPA、DPPA、DOPA、POPA、CHEMSおよびCetyl−Pからなる群から選択される1種もしくは複数種のアニオン脂質を含むことを特徴とする、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記脂質成分が、DGSucc、DOPA、CHEMSおよびCetyl−Pからなる群から選択される1種もしくは複数種のアニオン脂質を含むことを特徴とする、請求項9または請求項10に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記脂質成分が、DMTAP、DPTAP、DOTAP、DC−Chol、MoChol、HisChol、DPIM、CHIM、DORIE、DDAB、DAC−Chol、TC−Chol、DOTMA、DOGS、(C18)GlyN,N−ジオクタデシルアミド−グリシン、CTAP、CPyC、DODAPおよびDOEPCからなる群から選択される1種もしくは複数種のカチオン脂質を含むことを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記脂質成分が、DOTAP、DC−Chol、MoCholおよびHisCholからなる群から選択される1種もしくは複数種のカチオン脂質を含むことを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記脂質相が、中性リン脂質をさらに含有することを特徴とする、請求項4〜13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記脂質相が中性ホスファチジルコリンを含有することを特徴とする、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記中性ホスファチジルコリンが、POPC、天然もしくは水素化大豆PC、天然もしくは水素化卵PC、DMPC、DPPC、DSPCおよびDOPCからなる群から選択されることを特徴とする、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記ホスファチジルコリンが、POPC、非水素化大豆PCまたは非水素化卵PCを含むことを特徴とする、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記脂質相が、少なくとも15モル%の前記ホスファチジルコリンを含有することを特徴とする、請求項15、請求項16または請求項17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記脂質相が、約60モル%のPOPC、約10モル%のDOTAPおよび約30モル%のCHEMSを含有することを特徴とする、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記中性脂質がホスファチジルエタノールアミンを含むことを特徴とする、請求項14〜17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記ホスファチジルエタノールアミンが、DOPE、DMPEおよびDPPEから選択されることを特徴とする、請求項18に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記脂質相が少なくとも20モル%の前記ホスファチジルコリンおよび前記ホスファチジルエタノールアミンを含有することを特徴とする、請求項20または請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記脂質相が両性の特性を有するアニオン脂質とカチオン脂質、ホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの混合物を含有することを特徴とする、請求項20または請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記カチオン脂質がMoCholを含み、かつ前記アニオン脂質がCHEMSまたはDMGSuccを含むことを特徴とする、請求項23に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記脂質相が、
(a)約15モル%のPOPC、約45モル%のDOPE、約20モル%のMoCholおよび約20モル%のCHEMS、
(b)約10モル%のPOPC、約30モル%のDOPE、約30モル%のMoCholおよび約30モル%のCHEMS、
(c)約10モル%のPOPC、約30モル%のDOPE、約20モル%のMoCholおよび約40モル%のCHEMS、または
(d)約6モル%のPOPC、約24モル%のDOPE、約47モル%のMoCholおよび約23モル%のCHEMS
を含有することを特徴とする、請求項24に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記脂質相がDOPEおよびPOPCを含有することを特徴とする、請求項20〜24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
前記脂質相がコレステロールをさらに含有することを特徴とする、請求項14、請求項15または請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項28】
前記脂質相が30モル%〜50モル%のコレステロールを含有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
前記脂質相が約30モル%のPOPC、約10モル%のDOTAP、約20モル%のCHEMSおよび約40モル%のCholを含有することを特徴とする、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項30】
前記脂質相が約60モル%のPOPC、約20モル%のHistCholおよび約20モル%のCholを含有することを特徴とする、請求項28に記載の医薬組成物。
【請求項31】
前記組成物が担体をさらに含有し、かつ全身送達のために調合される、請求項22〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
前記組成物が担体をさらに含有し、かつ局所投与のために調合される、請求項1〜30のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
前記リポソームが50〜1000nmの範囲内の大きさを有することを特徴とする、請求項1〜32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
前記オリゴヌクレオチドが15〜50塩基対の長さのアンチセンスオリゴヌクレオチドであることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
前記オリゴヌクレオチドが、ホスホチオエート結合、2’MOE修飾核酸塩基、LNA核酸塩基、FANA核酸塩基または天然のリボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドを含むことを特徴とする、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記オリゴヌクレオチドが15〜50塩基対の長さのsiRNAであることを特徴とする、請求項1〜33のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記オリゴヌクレオチドが前記ヒトCD40遺伝子を標的にすることを特徴とする、請求項1〜36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
ヒトもしくは非ヒト動物の炎症性、免疫または自己免疫疾患の予防あるいは治療のための、請求項1〜37のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【請求項39】
移植片拒絶、対宿主移植片病、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、関節リウマチ、喘息、炎症性腸疾患、乾癬または甲状腺炎の予防あるいは治療のための、請求項31に記載の医薬組成物の使用。
【請求項40】
移植片拒絶、対宿主移植片病、炎症性腸疾患、クローン病および潰瘍性大腸炎の予防あるいは治療のための、請求項32に記載の医薬組成物の使用。

【図1】
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【図2A−D】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2008−518998(P2008−518998A)
【公表日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539548(P2007−539548)
【出願日】平成17年11月4日(2005.11.4)
【国際出願番号】PCT/EP2005/011905
【国際公開番号】WO2006/048329
【国際公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【出願人】(503300306)ノヴォソム アクチェンゲゼルシャフト (8)
【Fターム(参考)】