説明

活性物質の濃縮物の製法および活性物質の濃縮物

【課題】水不溶性または水に辛うじて溶解するだけの抗酸化物質であるα−リポ酸の水相を製造する方法およびかかる水溶性濃縮物に対する要求がある。
【解決手段】本発明は、α−リポ酸を加温したポリソルベートに供給し、そこで透明性が得られるまで加温しながら攪拌することで、α−リポ酸およびポリソルベートを含む濃縮物を得る方法ならびにかかる濃縮物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水不溶性または水に辛うじて溶解するだけの生理活性物質、および可溶化剤を含む水溶性濃縮物に、ならびに当該濃縮物の製法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ビタミンE、ビタミンAおよび他のカロチノイドあるいはまたコエンザイムQ10などの脂溶性化合物は、胆汁酸塩および膵酵素の存在に応じて、吸収される。腸内では、いわゆるミセル形成工程が吸収工程に先んじて起りる;脂溶性化合物は「密集化」し、このようにして腸粘膜の種々の障害が克服され得るため、このミセル形成工程は不可欠である。
胆汁液または膵酵素の分泌が妨げられれば、このことはいわゆる脂溶性化合物の消化不良または吸収不良をもたらす。この最適例が、膵酵素の生成不全によるところの、嚢胞性繊維症であり、脂溶性化合物の吸収は極めてわずかな量でのみ可能である。
同時に脂肪が供給される場合に、脂溶性微量栄養素の摂取が常に向上するという、その吸収特性も明らかになっている。脂肪は一方で胆汁酸および膵酵素の放出を促進し、他方でその脂溶性微量栄養素を含有するミセルの形成を促進する。
【0003】
脂溶性化合物が腸細胞により摂取されると、該化合物はそこでは遊離形態にて利用可能であり、すなわち、もはやミセル構成物質と結合しない。この遊離形態の化合物は、腸細胞内にて形成される輸送体(リポ蛋白−キロミクロン)に取り込まれ、ついで大リンパ管を介して血液中に放出されるように、再び「水溶性」とされる。
親油性化合物を受容しうるためには、生物はその化合物を二工程にて水溶性にしなければならない。第一工程は、腸におけるミセル形成を介して、腸細胞においてその中から当該物質を再び放出させる工程であり、そして第二工程は血液中にて輸送のためのリポ蛋白を形成する工程である。したがって、水性媒体中に分散するだけの親油性物質(混濁溶液)でなく、水溶性とされた親油性物質(透明溶液)は、非水溶性の親油性物質よりも生物によってより迅速かつより効果的に吸収される。
【0004】
水溶性とされた親油性微量栄養素(透明溶液)の生物学的利用能については利用できるデータがほとんどない。かかる化合物の生物学的利用能を試験する方法はいわゆるインビトロ溶解方法により提供される。この点において、化合物が水性コンパートメントにてどれくらい溶けるか、またはその化合物が特定の生薬からどれくらい放出されるかがわかる。米国特許第6048566号によれば、油性溶液または分散液(混濁溶液)のQ10とは対照的に、水溶性とされたQ10は、100%近くまで放出されると記載されている。このことは、このように用いられるQ10は、腸管中、既に遊離形態にて高濃度で利用することができ、まずミセルを形成し、Q10を囲む脂質を分解することにより放出させる必要のないことを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の目的は、水不溶性あるいは水に辛うじて溶解するだけの、ω−3−脂肪酸、α−リポ酸(チオクト酸)、ユビキノン(例えば、コエンザイムQ10)、フィトステリンなどの生理学的に重要な物質の生物学的利用能を改善すること、およびこれら物質の工業生産を技術的に簡素化することである。
本発明の目的はまた、完全かつ安定した水溶性を確保するための許容値を考慮して、JECFA(=FAO/WHO合同食品添加物専門家委員会)によるポリソルベートならびにトコフェロール(例えば、α−トコフェロール)、ω−3−脂肪酸、α−リポ酸(チオクト酸)およびユビキノン(例えば、コエンザイムQ10)などのSCG物質(SCG=食品科学委員会(EU))のADI値(ADI=許容可能な一日摂取量)を顕著に低下させるように、濃縮物の製造にてできるだけ最少量の可溶化剤、特にポリソルベートを用いることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、本発明によれば、水不溶性あるいは水に辛うじて溶解するだけの物質を、過剰量の加熱した、HLB値が6ないし19の生理学的に適合する可溶化剤、特にポリソルベート20またはポリソルベート80に加え、その混合物を透明な粘性の中間生成物が得られるまで加熱しながら攪拌し、ついで室温に冷却する。活性物質が水性相にて得られるならば、活性物質の所望の濃度に対応する量の熱蒸留水をその熱中間生成物に添加し、ついで攪拌して均一とし、こうして得られた相を速やかに室温にまで冷却することで達成される。
当該相が水を含まないものである場合、熱トリグリセリド、例えば、リノール酸含量の高い植物性軽油、および熱ポリソルベートを、所望の濃度の活性物質が得られるような量にて当該中間生成物に加え、その濃縮物が透明になるまで加熱しながら再び攪拌させる。冷却した後、活性物質は水不含相に存在するが、要すれば水に溶かすことができる。このことは、長期間において、極めて低い水含量のみを許容する、カプセル形態にて活性物質を投与するのに適している。
水不含相および水性相の両方は水または脂肪および/または油に可溶性である。
【0007】
単相クロマトグラフィーを用いる測定結果が示すように、活性成分はポリソルベートにより囲まれた分子集合体にて水性および水不含相の両方に存在し、それによれば各ケースにおけるポリソルベートエンベロープは約30nmの直径を示し;囲まれた分子集合体のポリソルベートエンベロープはミセルとみなすことができる。
生理学の分野において、本発明に係るミセル形成は、実質的に、活性物質の生物学的利用能の改良をもたらす。第一に、水不溶性あるいは水難溶性の活性物質を胆汁の分泌との相互作用を介して腸管で摂取可能とする必要がない。
【0008】
次に本発明の具体例を、何ら本発明を制限するものではない、実施例を用いて説明する。添付した図面は次のとおりである。
図1は測定したミセル径分布のダイヤグラムを示す。
図2は一例としてコエンザイムQ10を有する活性物質のミセルの模式図を示す。
図3は活性物質(コエンザイムQ10)および補助物質(リノール酸)を含有するミセルの配置の模式図を示す。
図4はフィトステリンミセルの略図を示す。
図5はフィトステリンミセルの回りにリノール酸ミセルを付加した配置の略図を示す。
図6はω−3−脂肪酸のミセルの略図を示す。
【0009】
実施例1:コエンザイムQ10
85℃に加熱した77重量部のポリソルベート80に、23重量部のコエンザイムQ10を導入し、薄黄色の透明な粘性物質が得られるまで、その混合物を約5分間85℃にて攪拌する。中間生成物におけるコエンザイムQ10のポリソルベート80に対する重量比は1:3.35である。コエンザイムQ10の分子量は863.36であり、ポリソルベート80の分子量は1130.00であるため、分子数の割合は1:2.56である。
【0010】
約3%の濃度のQ10を含有する中間生成物からQ10の水性相を得るために、約865重量部の熱水を当該熱中間生成物に加え、透明な液体が得られるまで加熱しながら攪拌する。ついで、当該液体を速やかに(例えば、約1分ないし2分以内に)室温(約20℃)に冷却し、コエンザイムQ10の最終水性相を得る。その相中に存在する粒子の平均径をクロマトグラフィーカラムにカップリングさせたDAWN EOS検出器(Wyatt Technologie Deutschland GmbH)を用いて場流動分画法(FFF)で測定する。図1の曲線1に示されるように、累積的重量フラクションに応じて、その径は14nmと16nmの間にあり、したがってミセルの大きさの範囲にある。この方法にて測定した約1.586x10のミセルの平均重量から、各ミセルは、図2に概略されているように、コアにて2個の分子集合体(合計400個の分子のコエンザイムQ10)があり、それが同型の5個のポリソルベート80分子集合体(合計約1000個の分子のポリソルベート80)で囲まれていることを特徴とすると予測することができる。
【0011】
5重量%のコエンザイムQ10の水不含相を得るために、多量のトリグリセリドおよびポリソルベート80を、加熱(85℃)しながら、混合物が約5部のコエンザイムQ10、約16部のトリグリセリドおよび約79部のポリソルベート80を含むように、その熱中間生成物に加える。トリグリセリドには、1983年11月29/30日の、1986年12月2/3日の改訂版(1987年8月1日、GM Leaflet 第21、379頁)にある食用油脂についての指導原理に従って、リノール酸を約67.8%ないし約83.2%の高い含量で含む、紅花油を用いる。コエンザイムQ10と類似する分子サイズのため(リノール酸の分子量は725である)、リノール酸が推奨される。この混合物を透明性が得られるまで熱攪拌し、ついでゆっくりと冷却する。引用されている測定結果に基き、ミセルの範囲にある、粒度の、コエンザイムQ10の水不含相を得る。水性相とは対照的に、当該方法では、7.657x10のミセル平均重量が測定され、そのコアにあるミセルは、各々、約200個のコエンザイムQ10分子および合計480個のポリソルベート80の5個の周辺分子集合体を示し、それによればこのミセルは同じ型の他の4つのミセルにより囲まれており、その各々は約190個の紅花油またはリノール酸の分子および合計約480個のポリソルベートの分子の5個の分子集合体のポリソルベートエンベロープを示す。このミセル形成の略図を図3に示す。
【0012】
この水不含相は優れた貯蔵特性を示し、必要ならば、体温の水に溶かすことができる。したがって、かかる相は一般にゼラチンカプセルに配合される栄養補給剤の添加剤に適している。水不含相の安定性を説明するものとして、ある状況下、コエンザイムQ10を含有する中央ミセルは、補助物質である紅花油、すなわち、主にリノール酸を含有する4個の周辺ミセルにより、特にHOなどの極性分子の浸透から広範囲にわたって保護されることがわかる。
【0013】
実施例2:フィトステリン
出発物質は、ADM Nutraceutical, Decatur, Illinois 62526, U.S.A.から、商品コード040095で入手することのできるADMフィトステロールである。この製品は少なくとも90%のフィトステリンを含み、実際に、40%−58%β−シトステリン、20%−30%カンペステリンおよび14%−22%スチグマステリンならびに約5%までのシトスタノールおよびブラシカステロールの各々を含有する。以下において、この製品を、簡単に、フィトステリンという。もちろん、別の組成物を別の濃度で含有する、他の製造業者からのフィトステリンも下記されるように処理し、対応する結果を得ることができる。したがって、本発明はADMフィトステリンに限定されるものではない。
【0014】
水性相を得るために、約320gのポリソルベート、好ましくはポリソルベート80を約100℃に加熱する。約10gのフィトステリンを当該熱ポリソルベートに加え、温度を約100℃に維持しながら、約3%の濃度の均一かつ透明なフィトステリンが得られるまで、当該混合物を約10分間攪拌する。必要ならば、約40℃に加熱した、得られた水不含相を、要すれば、約20℃の水に溶かすことができる。
この研究は図4に示される分子集合体の配列を有するミセルが存在することを示し、それによれば、約107個のフィトステリン「分子」がミセルコアに存在し、約207個のポリソルベート分子がポリソルベート80エンベロープに存在する。ミセル半径の分布は図1の曲線3に見ることができ、約15nmと約22nmの間にある。
【0015】
水不含相を得るために、まず約100gの植物軽油、例えば、紅花油を約100℃に加熱する。約10gのフィトステリンを当該熱紅花油に加え、その混合物を、温度を約100℃に維持しながら、フィトステリンが完全に溶けるまで、例えば10分間攪拌する。約220gのポリソルベート、好ましくはポリソルベート80をこの溶液に加える。混合物が薄黄色の透明になるまで、攪拌を約100℃で続ける。室温に冷却した後、3%濃度のフィトステリンの水不含相を得る。当該相は水および油に可溶性であり、塩酸および胃酸(pH<1)に対して依然として安定しており、加熱作用に対しても安定している。測定により、水不含相にある約90%の粒子が約16nmの半径を有することがわかる。分子集合体の配置を図5に模式的に示す。それによれば、フィトステリンミセルは4個のリノール酸ミセルに囲まれている。
フィトステリンのコレステロール減少の効果は数十年も前に知られており、その効果はさらに最近になって臨床実験により明らかにされている。
【0016】
実施例3:ω−3−脂肪酸
ω−3−脂肪酸の一例として、Merck KGaA, Darmstadtより、商品番号1.00743.0200HI−DHA25Sの下で、商品:ソフトゲルを入出することができる。この製品は25%−28%のドコサヘキサエン酸(DHA)、5%−8%エイコサペンタエン酸(EPA)および合計で約34%−40%のω−3−脂肪酸を含有する。以下、この製品を簡単にオメガ−3−脂肪酸という。もちろん、他の製造業者からのω−3−脂肪酸も以下に記載するように処理することができ、それにより同様の結果が得られる。
【0017】
ω−3−脂肪酸の濃縮物を生成する一例として、約800gのポリソルベート800を約160℃に加熱する。ついで、その温度を維持しながら、約200gのオメガ−3−脂肪酸を加え、中間生成物として均一な混合物が得られるまで当該温度を維持しながら約5分間攪拌する。こうして得られた中間生成物は透明であり、室温にゆっくりと冷却した後もその透明性を保持する。簡単に攪拌した後、混濁または沈降させることなく、要求に応じ、約20℃の水に溶かすことができる。約6%のω−3−脂肪酸を含有する中間生成物は、上記した方法に従って、水性中間生成物を測定することにより得られるような、図1の曲線4に示される平均半径分布を有するミセルを示す。ミセルの平均直径は約33nmである。分子集合体の配置を図6に示す;図6に示される図面に言及する。
胃酸(塩酸)を添加したとしても、水性中間生成物の透明度および水可溶性は保持されている。
1kgの中間生成物は約67gのω−3−脂肪酸を含有する。そこで、約3ないし4gのこの中間生成物はヒトが一日に必要なω−3−脂肪酸を補填する。
【0018】
実施例4:イソフラボン
出発材料は、商品名:NOVASOYの下、Archer Daniels Midland Company, U.S.A.より入手することができる、大豆抽出粉末である。この製品は1.3:1.0:0.3の割合にて少なくとも40重量%のゲニスチン、ダイズジンおよびグリシチンならびにそのアグリコンを含有する。したがって、100gのこの抽出物は20.0gのゲニスチン、15.4gのダイズジンおよび4.6gのグリシチンで、合計40gのイソフラボンを含有する。以下、この製品を、簡単に、ゲニスチンイソフラボンという。もちろん、別の製造業者からの適当な製品も、それが必要に応じて異なる組成物中にてイソフラボンを含有する限り、用いることができる。例えば、約7.58%のゲニスチン、25.43%のゲニステイン、5.48%のダイズジンおよび1.67%のダイズゼイン、すなわち、約40%のイソフラボンを含有する、大豆抽出物がK.-W. Pfannenschmidt GmbH, Hamburgから入手可能である。上記した処理に付した後、略同じ結果が達成され得る。
【0019】
約166gのゲニスチンイソフラボンを約75℃に加熱した約834gのポリソルベート80に少しずつ加え、その混合物を約半時間この温度で一様に攪拌する。透明な暗褐色の中間生成物が沈殿することなく得られる。約1−2mlのこの中間生成物を10倍の室温での蒸留水に加え、透明な水性相を得る。図1の曲線5の測定結果が示すように、その相は約96.1%が約16nmないし約20nmの半径を有するミセルを含有する。
【0020】
もう一つ別の方法によれば、約100gのゲニスチンイソフラボンを、予め約60℃に加熱した、約400gの水中にて一様に攪拌する。その混合物を、かかる温度に維持しながら、約10分間攪拌し、ついで約500gのポリソルベート80を攪拌しながら添加し、その添加の間に温度は約100℃に上昇する。攪拌工程をこの温度で続け、透明な中間生成物を得る。
【0021】
実施例5:ケルセチン
商品番号83370−100Gの下で、Sigma-Aldrich-Chemie GmbHより入手可能なケルセチン二水和物が、ケルセチンの出発原料として用いることができる。
67gのケルセチン二水和物を、予め約60℃に加熱した、約280gの水に一様に攪拌する。その混合物を当該温度に維持しながら約5分間連続的に(いわゆる、磁気攪拌器を用いて)攪拌し、ついで攪拌しながら約653gのポリソルベート80を添加し、それにより温度が略100℃にまで上昇する。約6.7%のケルセチンを含有する透明な中間生成物が得られるまで攪拌を続ける。この生成物の水溶液は約90%が17nmと19nmの間の半径分布(図1の曲線6)を表すミセルを示す。
【0022】
実施例6:リコペン
出発材料は、商品名:Tomato Oleoresinの下で、BASE S.A., Switzerlandから入手可能な製品である。それは約40%のリコペンを含有し、以下のように、ベースリコペンとしても知られている。リコペンを含有する製品はまた、LycoRed Natural Products Industries Ltd, Beer-Sheba, Israelから入手することもできる。
【0023】
約100gの水を正に100℃に加熱し、約50gのベースリコペンを熱水に加える。その温度を維持しながら、混合物が均一かつ透明になるまで、当該混合物を約5分間激しく攪拌する。ついで、約850gのポリソルベート80を約100℃に加熱し、当該混合物に加える。得られた混合物全体を、均一かつ透明な生成物が得られるまで、約100℃にて攪拌する。室温または体温にまで冷却した後、2%の含量でリコペンを有する、その得られた水相は透明度および水溶性を保持する。図1の曲線7に従えば、約86%の得られたミセルは約15nmないし約16nmの半径を有する。
図1の曲線8は活性物質を含まない純粋なポリソルベート80に言及するものである。
【0024】
実施例7:硫酸コンドロイチン
ポリマーガラクトサミン硫酸塩、コンドロイチンは、過剰なストレスに曝された軟骨組織の再生を支持し、変形性関節炎の徴候を減少させる。
約300gのポリソルベート80を約500gの約85℃に加熱した水に加え、その混合物を約85℃で当該混合物が均一かつ透明になるまで(約5分後)攪拌する。ついで、約200gの純粋な硫酸コンドロイチンをこの混合物に加える。均一かつ透明な中間生成物が得られるまで、この混合物を当該温度で順次激しく攪拌する。室温または体温にまで冷却した後、そのように得られた約20%の含量の硫酸コンドロイチンを含む相の透明度および水溶性は保持されている。
【0025】
実施例8:α−リポ酸
約870gのポリソルベート、好ましくはポリソルベート80を約120℃に加熱し、ついで約130gのα−リポ酸−例えば、製品番号1999/010の、K.-W.Pfannenschmidt GmbH, Hamburgからの製品、アルファリポ酸を加え、温度を均一かつ透明な混合物が得られるまで、温度を維持しながら約10分間攪拌する。
こうして生成された中間生成物は、必要に応じて、約25℃の水中にて攪拌しながら冷却した後、溶解させることができる。胃酸(塩酸)をその水溶液に添加する時であっても、その水不含相の透明度および水溶性は保持される。
【0026】
上記事項から、HLB値が9と16の間にある生理学的に適合しうる可溶化剤での処理を介し、加熱しながら、必要に応じて室温に速やかに冷却することにより、水不溶性または水に辛うじて溶ける、生理学的に効果的な活性物質から、約10nmと約20nmの間の半径を有するミセルを示す、活性物質の濃度の低い、水および油に可溶性の相を得ることができる。この相は主として胃酸などの酸に対して極めて耐性である。特に、実際の活性物質よりもその物質での取扱いが簡単である。この相の耐性はさらに、リノール酸などの補助物質を補給することで強化することもできる。図示されるように、活性物質を含有するミセルは、活性物質のミセルについて保護を与える、補助物質を含有する複数のミセルにより囲まれている。
【0027】
本発明に従って形成されるミセルは化学的、微生物学的、機械的および熱的に極めて安定している。当該ミセルは、比例的に、比較され得るリポソームよりもずっと多量の主たる親油性活性物質を含有する。活性物質の濃縮物または形成された活性物質相は、食料品、栄養補給剤への、皮膚、髪および歯のケア製品へ、ならびに化粧品および/または医薬媒体へ一定の目的を達成するために添加することができる。活性物質の濃縮物は胃酸中で絶対的に安定している。そのミセル形成のため、活性物質は、その活性物質がエマルジョンとして投与されるよりも実質的に迅速に生物にて利用され得る。腸の領域での吸収は胆汁酸の関与を無用なものとする。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】測定したミセル径分布のダイヤグラムを示す。
【図2】コエンザイムQ10である活性物質のミセルの模式図を示す。
【図3】活性物質(コエンザイムQ10)および補助物質(リノール酸)を含有するミセルの配置の模式図を示す。
【図4】フィトステリンミセルの略図を示す。
【図5】フィトステリンミセルの回りにリノール酸ミセルを付加した配置の略図を示す。
【図6】ω−3−脂肪酸のミセルの略図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α−リポ酸およびポリソルベートを含む抗酸化剤の水溶性濃縮物。
【請求項2】
α−リポ酸のポリソルベートの量に対する重量比が約1:6.7であるところの、請求項1記載の濃縮物。
【請求項3】
ポリソルベート80を含む、請求項1記載の濃縮物。
【請求項4】
α−リポ酸およびポリソルベートを含む濃縮物の製法であって、α−リポ酸を加温したポリソルベートに供給し、そこで透明性が得られるまで加温しながら攪拌することを含む方法。
【請求項5】
ポリソルベート80が利用されているところの、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ポリソルベートが約120℃に加温されているところの、請求項4記載の方法。
【請求項7】
ポリソルベート80が約120℃に加温されているところの、請求項5記載の方法。
【請求項8】
α−リポ酸のポリソルベートに対する重量比が約1:6.7であるように利用されるところの、請求項4記載の濃縮物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−241167(P2006−241167A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115962(P2006−115962)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【分割の表示】特願2002−582902(P2002−582902)の分割
【原出願日】平成14年2月11日(2002.2.11)
【出願人】(502435638)アクヴァノヴァ・ジャーマン・ソリュービリセイト・テクノロジーズ・(アーゲーテー)・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (6)
【氏名又は名称原語表記】AQUANOVA German Solubilisate Technologies (AGT) GmbH
【Fターム(参考)】