説明

流し台

【課題】 庭やベランダスペースが十分でない家でも、室内で食材が育てられ、自分で育てた安全安心な食材を確保することができ、植物の成長を見る喜びを感じることのできる流し台を提供する。
【解決手段】 浄水器9,12を備えた上部シンク5,下部シンク11と、シンク5,11から浄水器9,12を通して排出された水を溜める中水タンク15と、透明な天板3と、天板3の下方に設けられたフレーム状の棚2b,2bと、棚2b,2bに配設された植物栽培用のプランター21,21,21とを備えた流し台であって、中水タンク15内の水を中水汲み上げ供給機17で吸い上げて、供給水路20を通し、植物栽培用の複数のプランター21,21,21に供給できるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流し台に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、カウンター上面の凹溝に水を供給し貯留することにより、凹溝で水耕栽培をすることができる流し台が存在する。
【特許文献1】実公平8−947号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の流し台では、上面に形成された狭い凹溝内でのみ、植物の栽培が可能であり、僅かな植物の栽培しかできないという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、排水を有効に利用して十分な量の植物を育成することができ、安全な食材が確保できる流し台を提供するものであり、その請求項1は、浄水器を備えた少なくとも1つ以上のシンクと、該シンクから該浄水器を通して排出された水を溜めるタンクと、透明な天板と、該天板の下方に設けられたフレーム状の棚と、該棚に配設された植物栽培用のプランターとを備えた流し台であって、前記タンク内の水を前記植物栽培用のプランターへ供給する水路が設けられていることである。
【0005】
また請求項2は、前記フレーム状の棚は、パイプフレームからなっており、前記水路が前記パイプフレーム内に設けられていることである。
【0006】
また請求項3は、前記植物栽培用のプランターは前記棚に着脱可能に配設されており、該プランターには、該プランターを前記棚から取り外すと閉止され、前記棚へ取り付けると開く弁が設けられていることである。
【0007】
また請求項4は、生ゴミから抽出した栄養素を、前記植物栽培用のプランターへ供給するエキス供給路が設けられていることである。
【0008】
また請求項5は、前記パイプフレームには植物育成用の光源が設けられていることである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、浄水器を備えた少なくとも1つ以上のシンクと、シンクから浄水器を通して排出された水を溜めるタンクと、透明な天板と、天板の下方に設けられたフレーム状の棚と、棚に配設された植物栽培用のプランターとを備えた流し台であって、タンク内の水を植物栽培用のプランターへ供給する水路が設けられていることにより、シンク内で使用した水を浄水器で浄化してタンクに溜め、このタンク内の水をプランターへ導入して、プランターで良好にカイワレ大根,ホウレンソウ等の食材となる植物を育てることができ、庭やベランダスペースが十分でない家でも、室内で食材を育てることができて、安心安全な食材が確保でき、しかも、透明な天板を通して、下方のプランター内の植物の育成を見ることができ、植物の成長を日常生活の中で見ることで喜びを感じることができ、また水の節約にもなる。
【0010】
また、フレーム状の棚は、パイプフレームからなっており、水路がパイプフレーム内に設けられていることにより、水路が露出することなく、すっきりとした外観構造となる。
【0011】
また、植物栽培用のプランターは棚に着脱可能に配設されており、プランターには、プランターを棚から取り外すと閉止され、棚へ取り付けると開く弁が設けられていることにより、プランターを持ち上げて外す際に、弁が閉止して内部の水等がこぼれることがなく、プランターの出し入れが容易なものとなる。また適宜プランターを外して、植物の入れ替え等を行うことができるものとなる。
【0012】
また、生ゴミから抽出した栄養素を、植物栽培用のプランターへ供給するエキス供給路が設けられていることにより、キッチン使用により排出された野菜等の生ゴミを利用して、この生ゴミから抽出した栄養素を良好にプランター内で育成される植物に供給し、植物の育成を図ることができ、肥料を購入する必要もなく、また生ゴミ排出の手間を省くこともできるものとなる。
【0013】
また、パイプフレームには植物育成用の光源が設けられていることにより、太陽光が不足する場合でも、光源からの光で良好にプランター内の植物を育成させることができ、住宅内での流し台の設置場所の自由度が向上するものとなる。
【実施例】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、流し台の斜視構成図であり、図2は、流し台の平面図、図3は、流し台の正面構成図である。また、更に図4では、内部の配管構成を要部拡大図で示しており、また図5では、流し台の骨組みを構成するパイプフレームの斜視図を示している。
図において、流し台1は、例えばベランダに近く、床面が土間となっている場所等に設置することができるものであり、ベランダからの光が入り易く、また床面が濡れても大丈夫な場所に設置されるものである。
【0015】
この流し台1は、図5に示すようなパイプにより構成されたパイプフレーム2からなる棚が骨格となっており、パイプフレーム2は、縦方向の、例えば直径25mm程度の複数の垂直パイプ2aと、この垂直パイプ2aに対し直交状に連結された複数段の、例えば直径15mm程度の水平パイプ2b,2b,2bで構成されている。
なお、下端側及び図示右端上方側等の部位では、太い水平パイプ2bが用いられている。
【0016】
このようなパイプフレーム2の上面に、透明天板3が横設され、透明天板3の一部には、埋め込み状にコンロ4が設けられており、このコンロ4の操作スイッチと反対側の上面には、煙を吸い込むための吸煙口4aが横方向にスリット状に開口されている。
また、このコンロ4と反対側の透明天板3の端部には、外側へ突出状にして上部シンク5が設けられており、この上部シンク5内で野菜等を洗うことができるものである。
上部シンク5内には、内周側から略中央付近まで延びてコンポストボックス6が形成されており、このコンポストボックス6の上面には、開閉可能に蓋6aが設けられており、コンポストボックス6の先端側には、上部シンク5の略中央部で立ち上がる蛇口7が立設され、蛇口7には操作用のハンドル7aが設けられている。
【0017】
また、蛇口7の下方側の上部シンク5の底面には、排水口8が形成されており、この排水口8の下方には、上部シンク5から一体状に下方へ凹んで凹部5aが形成されている。
なお、コンポストボックス6内には、例えばコンポストボックス6内に投入される野菜等の生ゴミを裁断或いは圧縮プレスして、野菜等から栄養素(エキス)を搾り出すことのできる装置が内装されている。
【0018】
また、上部シンク5の排水口8の下方の凹部5a内には、ろ過フィルター9aを備えた浄水器9が内装されており、また更に、ポンプで構成される中水汲み上げ供給機17が設けられている。
上部シンク5の側面下部には、流出口10が設けられており、前記浄水器9と流出口10は水路19で連通されている。
この流出口10の下方には、下部タンク11が配置され、下部タンク11の底側にも、ろ過フィルター12aを備えた浄水器12が設けられて、この浄水器12の底面に開口された落水口12bより下方へ排水することができ、この排水を受け止めるために、下部シンク11の下部には、下部シンク11と連続状に錐形状の中水タンク15が設けられて、この中水タンク15内に排水を溜めることができるように構成されている。
【0019】
なお、中水タンク15内には、床面からパイプ状の支柱13が立設されており、この支柱13の上面に下部シンク11が取り付けられて支持されている。
なお、支柱13内には、前記浄水器12の下面側から垂下状に、トラップ部14aを備えた排水管14が設けられており、排水管14の下流端は、図示しない下水管等に接続されるものである。
【0020】
また、排水管14の上端側には、オーバーフロー口14bが形成されており、このオーバーフロー口14bから、中水タンク15内に溜められた水のオーバーフローした分が、排水管14内に排出されるように構成されている。
また、中水タンク15内には、底側から上方に向かって汲み上げ用パイプ16が設けられており、汲み上げ用パイプ16の上端は、中水汲み上げ供給機17のポンプに接続されている。
【0021】
また、この中水汲み上げ供給機17には、前記コンポストボックス6内に設けられた装置で抽出された野菜等の生ゴミの栄養素が通るエキス供給路18が連結されており、エキス供給路18を通り栄養素が中水汲み上げ供給機17内に供給されるように構成されている。
なお、エキス供給路18を通る栄養素の量が多すぎる場合は前記排水管14に排出されるように構成されている。
【0022】
また、中水汲み上げ供給機17には、供給水路20が接続されており、この供給水路20は、パイプフレーム2を構成する複数の水平パイプ2b内を通り複数のプランター21,21,21に接続されており、供給水路20内を通り、中水タンク15内の水と生ゴミからの栄養素が複数のプランター21,21,21に供給されるように構成されている。
即ち、中水汲み上げ供給機17のポンプが作動することにより、汲み上げ用パイプ16を通し中水タンク15内の中水が吸い上げられて、栄養素を含有した状態で、供給水路20を通り各プランター21,21内に供給されるものである。
【0023】
各プランター21,21,21は、上段の水平パイプ2b及び中段の水平パイプ2b上に、着脱可能あるいは引き出し可能に置かれており、それぞれのプランター21の底側には自動弁21aが設けられて、各プランター21を持ち上げた時に、この自動弁21aが閉止されて内部の水がこぼれ出さないように構成されている。なお、各プランター21を水平パイプ2b上に取り付けた時は、自動弁21aが開いて、供給水路20から各プランター21,21へ水が供給される。
また、この自動弁21aは、プランター21内に所定水位まで水が溜まると、前記中水汲み上げ供給機17に指令信号を出力して、中水汲み上げ供給機17のポンプを停止させることができるように構成されている。
【0024】
本例では、上段及び中段に5個のプランター21,21,21が配設されており、それぞれのプランター21内で食材となる野菜を水耕栽培により育成させることができ、適宜プランターを取り出して植物の入れ替え等を行うことができるように構成されている。
なお、この植物の育成状態は、上方の透明天板3を通して、上方から見ることができ、透明天板3上で調理を行う際等にも、下方の植物を良好に視認でき、植物の成長を楽しみながら調理を行うことができるものである。
【0025】
なお、下段の水平パイプ2b上には、下段プランター22,22が、例えば3個配設されており、この下段プランター22は、上下に深いプランターで構成され、内部に土を入れて、土により植物を育成させることができるように構成されており、例えばトマトやその他果実等の育成も可能である。
なお、前記コンロ4の下方側には、3段にステンレス製の棚24,24,24が設けられており、それぞれの棚24上に調理器具を収納させておくことができるものである。
【0026】
なお、本例では、上段及び中段に配設されているプランター21,21、及び下段に配設されている下段プランター22で育成される植物に光合成を行わせるために、水平パイプ2bに複数のLED(光源)23,23,23が設けられており、例えばこのLEDは超光輝度の波長が560ナノメートル程度のものが用いられ、各LED23,23,23には電線を介して電力が供給されるように構成されている。
【0027】
従って、複数のLED23,23からの光で良好に植物を育成させることができ、太陽光が不足する場所でも、植物を育成させることができるため、この流し台1の住宅内での設置場所の自由度が向上するものとなる。
なお、水平パイプに設けられた複数のLED23から発せられる熱は、水平パイプ2b内が供給水路20となっているため、内部を流れる水により良好に冷却することができるものとなる。
【0028】
このように、本例の流し台1では、上部シンク5内でキレイな野菜を洗い、この排水を浄水器9を通して流出口10から下部シンク11内に入れて、下部シンク11内では、例えば泥の付いた野菜等を洗うことができ、下部シンク11で使用した水を浄水器12を通して浄化して、下部の中水タンク15内に溜めることができ、中水タンク15内に溜めた水を中水汲み上げ供給機17のポンプを作動させて、汲み上げ用パイプ16から供給水路20を通し、複数のプランター21内に導入して、複数のプランター21内で水耕栽培により植物を育成させることができ、しかも、コンポストボックス6内で野菜の生ゴミなどを搾って、栄養素のエキスを搾り出し、栄養素をエキス供給路18を通して供給水路20内に混入させて使用することができ、植物育成用の肥料として生ゴミを使用することができ、また、生ゴミを排出する手間を省くことができるものとなる。
【0029】
植物の育成をプランター21,22内で行うことで、キッチン周りに緑を多くすることができ、キッチン空間を緑の多いさわやかな空間とすることができ、また、自分で育てた安心安全な食材を確保することができ、しかも、日常生活の中で植物の成長を見る喜びを感じることができるものとなる。更に、水の節約にもなり、水の有効利用を図れるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】流し台の斜視構成図である。
【図2】流し台の平面構成図である。
【図3】流し台の正面構成図である。
【図4】流し台の内部配管構造を示す要部拡大正面構成図である。
【図5】流し台の骨組みを構成するパイプフレームの斜視構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1 流し台
2 パイプフレーム
2a 垂直パイプ
2b 水平パイプ
3 透明天板
4 コンロ
4a 吸煙口
5 上部シンク
5a 凹部
6 コンポストボックス
6a 蓋
7 蛇口
8 排水口
9 浄水器
9a ろ過フィルター
10 流出口
11 下部シンク
12 浄水器
12a ろ過フィルター
12b 落水口
13 支柱
14 排水管
14a トラップ部
14b オーバーフロー口
15 中水タンク
16 汲み上げ用パイプ
17 中水汲み上げ供給機
18 エキス供給路
19 水路
20 供給水路
21 プランター
21a 自動弁
22 下段プランター
23 LED
24 棚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水器を備えた少なくとも1つ以上のシンクと、該シンクから該浄水器を通して排出された水を溜めるタンクと、透明な天板と、該天板の下方に設けられたフレーム状の棚と、該棚に配設された植物栽培用のプランターとを備えた流し台であって、前記タンク内の水を前記植物栽培用のプランターへ供給する水路が設けられていることを特徴とする流し台。
【請求項2】
前記フレーム状の棚は、パイプフレームからなっており、前記水路が前記パイプフレーム内に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の流し台。
【請求項3】
前記植物栽培用のプランターは前記棚に着脱可能に配設されており、該プランターには、該プランターを前記棚から取り外すと閉止され、前記棚へ取り付けると開く弁が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の流し台。
【請求項4】
生ゴミから抽出した栄養素を、前記植物栽培用のプランターへ供給するエキス供給路が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載の流し台。
【請求項5】
前記パイプフレームには植物育成用の光源が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載の流し台。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−102276(P2006−102276A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−294370(P2004−294370)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】