説明

流体の流れを神経組織に提供するシステム

提供される装置は、神経導管と、マニホルドと、支持構造とを具え、減圧を提供する。また、減圧源と、神経導管と、マニホルドと、支持構造と、前記マニホルドの支持部と前記減圧源の間の流体連結を提供する導管とを具えるシステムが提供される。さらに、上記の神経導管、マニホルド、および支持構造を神経組織損傷部位に移植するステップと、前記マニホルドに減圧をかけて神経組織を同時に修復および再生するステップとを含む方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2008年12月31日に各々提出された米国仮特許出願番号第61/142,053号および第61/142,065号の優先権を主張するものである。本願はまた、2009年8月18日に提出された米国仮特許出願番号第61/234,692号および2009年9月1日に提出された米国仮特許出願番号第61/238,770号の優先権を主張するものである。これらの出願の各々は全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に再生医療に関し、具体的には損傷した神経組織の治療に用いるのに好適な装置およびシステムに関する。
【従来技術】
【0003】
臨床研究および実施は、組織部位の近くに減圧を供給することが、組織部位で新しい組織の成長を増大させ、促進させることを示してきた。この現象の応用例は非常に多いが、減圧の適用は特に創傷の治療において成功してきた。(一般に医療業界で「負圧創傷治療」、「減圧治療」、または「真空治療」と称される)この治療は、肉芽組織のより早い治癒や形成の増進を含む多くの利益をもたらす。減圧は一般に多孔性パッドまたは他のマニホルド装置を通して組織にかけられる。この多孔性パッドは組織に減圧を分配し、組織から出る流体を導くことができる細孔を含む。この多孔性パッドは治療を実現する他の要素を有するドレッシング内に組み込まれることが多い。さらに足場材料を、欠陥部内の組織の成長をサポートするために欠陥部内に配置することができる。この足場材料は通常、生体吸収性であり、新しい組織をその場所に残す。
【0004】
減圧治療用の足場材料は、例えば、WO08/091521、WO07/092397、WO07/196590、WO07/106594に記載されている。減圧治療用の現在の足場材料の適正は創傷治癒の現在の知識を考慮に入れて評価することができる。身体組織の損傷は、止血(数秒から数時間)、炎症(数時間から数日)、修復(数日から数週間)、および再形成(数週間から数か月)を含む治癒の逐次段階を有する創傷治癒反応が得られる。高レベルの相同性は創傷治癒過程の初期段階において大抵の組織の種類に存在する。しかしながら、様々な組織の治癒段階は異種の成長因子、サイトカイン、および細胞を含み、時間の経過とともに分化し始める。創傷治癒反応の後期段階は前期段階によって決まり、反応の各要素の時間的パターンと相互関係において複雑さを増している。
【0005】
損傷した組織の機能の正常な修復、再生、および回復は、この治癒反応内、特に後の局面の具体的な措置をサポートおよび促進させる方法に焦点を合わせてきた。この目的を達成するために、成長因子、サイトカイン、細胞外基質(ECM)類似体、外因性細胞、および様々な足場材料技術は単独で、または互いに組み合わせて適用されてきた。このアプローチを用いることによりいくつかのレベルの成功を達成してきたが、主な課題がいくつか残る。課題の1つは、創傷治癒反応内の各サイトカインおよび成長因子の時期および協調作用が、適切な時間および正しい調整パターンでの個々の外因性要因を付加する能力を複雑化させることである。外因性細胞の導入はまた、細胞の生存維持を困難にするとともに、潜在的な免疫原性によりさらなる複雑性に直面することとなる。
【0006】
合成および生体性の足場材料は、内因性細胞の付着、移動、および定着を増進する3次元構造を提供する。今日まで、ほぼすべての足場材料は、それらが生体と協働するよう作成できるという概念で設計されている。従来の足場材料技術は、しかしながら、内因性タンパク質、サイトカイン、成長因子、および細胞が多孔性足場材料の間質内に受動的に流入することによるものであった。このようなものとして、外因性細胞の足場材料内への定着は血管要素から離れることにより制限され、組織の種類にかかわらず足場材料の拡散制限内で栄養的サポートを提供する。さらに足場材料は、長い修復過程や移植物周辺の線維性被膜の形成に導く免疫原生または異物反応を引き出すことにもなりうる。総じてこれらの厄介な状況がすべて損傷部位での機能的な組織の再生に導くわけではない。
【0007】
したがって、特殊化した組織の修復や再形成のためのさらなるシステムを提供することは利点がある。本発明はこのようなシステムを提供する。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載される例示的な実施例の装置、システムおよび方法は、移植したマニホルドおよび神経導管を通して神経組織の修復および再生への積極的な誘導を提供する。一実施例において、減圧治療を提供し、患者の神経組織の成長を実現する装置は、神経導管および損傷した神経部位への移植に適合可能なマニホルド支持構造を含んで提供され、マニホルドは損傷した神経組織部位に減圧を提供し分配する。本発明によるマニホルドはまた、さらに減圧の分配および組織の成長のための構造マトリクスを提供する足場材料として作用するか、これに結合されている。
【0009】
本発明にかかる装置の特定の実施例は、神経導管と、マニホルドと、1以上の第1の支持構造とを具える。特定の態様において、神経導管は、外壁と、組織部位を取り囲む内腔壁とを具え、組織部位と内腔壁の間の内腔空間内に流体を含有できるようにする。いくつかの事例では、本発明にかかるマニホルドは、1の側壁面と2の端部壁面とを含む面を有する概ね円筒状の本体であって、当該2の端部壁面のうちの第1の端部壁面は減圧を受ける円筒状本体と、前記第1の端部壁面以外の前記円筒状本体の面の第1の部分を含み前記内腔空間と流体接続する流体接触面と、前記第1の端部壁面および流体接触面以外の前記円筒状本体の第2の部分を含む支持面とを具える。本発明の支持構造は、前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第1の端部壁面を前記減圧源へ連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管へと前記内腔壁に対してほぼ半径方向に連結する第2の端部とを具える。
【0010】
他の実施例において、減圧治療を提供し、患者の神経組織の成長を実現するシステムは、減圧を供給する減圧源と、組織部位への移植に適合可能な神経導管、マニホルド、および支持構造とを具える装置とを含んで提供され、ここでマニホルドは減圧源と流体連結している。このようなシステムはまた、さらに減圧の分配および神経組織の成長のための構造マトリクスを提供するマニホルドに連結される足場材料を含む。さらなる実施例において、このようなシステムはさらに、流体を保存するためのキャニスタおよび/またはマニホルドおよび減圧源との間に流体連結、および配置された減圧制御用の弁を含む。さらに他の実施例において、発明によるシステムはさらに、マニホルドおよび損傷した神経組織と流体連結している流体源を含む。
【0011】
さらなる実施例において、減圧治療を提供し、患者の神経組織の損傷した部位で神経組織の成長を実現させる方法は、組織部位に神経導管と支持構造とを移植するステップを含んで提供され、マニホルドは減圧を損傷した神経組織に提供する。マニホルドはまた足場材料として作用するかこれに結合し、足場材料は神経組織の成長のための構造マトリクスを提供する。ある実施例において、方法はさらに、流体源と流体連結しているマニホルドを提供するステップを含み、流体源は流体をマニホルドと損傷した神経組織とに送達するよう用いることができる。さらなる実施例において、流体源は、抗生物質、抗ウィルス剤、サイトカイン、ケモカイン、抗体、および成長因子を含むがそれらに限定されない1以上の生物活性化合物を含む流体源を含んでもよい。
【0012】
例示的な実施例の他の目的、特徴、および利点が以下の図面と詳細な説明を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1A−Bは、神経導管と、マニホルドを示すために神経導管の一部が取り除かれたマニホルドの第1の実施例とを含む、切断(図1A)または挟まれた(図1B)神経を修復する減圧治療システムの概略斜視図である。
【図2】図2は、神経導管と、マニホルドを示すために神経導管の一部が取り除かれたマニホルドの第2の実施例とを含む、切断あるいは部分的に切断された神経を修復する減圧治療システムの概略斜視図である。
【図3】図3は、神経導管と、マニホルドを示すために神経導管の一部が取り除かれたマニホルドの第3の実施例を含む、切断あるいは部分的に切断された神経を修復するための減圧治療システムの概略図である。
【図4】図4は、図1−3に示されたシステムの概略斜視図であり、損傷した神経を囲む神経導管を示している。
【図5】図5は、図1−3に示されたシステムのための流体制御システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の例示的な実施例の詳細な説明において、その一部を形成する添付の図面を参照する。これらの実施例は、当業者が発明を実施することができるよう十分詳細に記載されており、他の実施例が用いられてもよく、論理的な構造、機械的、電気的、および化学的な変更が、本発明の精神と範囲を逸脱することなくなされてもよいことを理解されたい。当業者が本明細書に記載された実施例を実施するのに必要のない詳細を避けるために、記載は当業者に周知の情報を省略してもよい。したがって、以下の詳細な記載は限定の意味にとられるのではなく、例示的な実施例の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ規定される。
【0015】
図1A−Bを参照すると、例えば、損傷した神経のような欠陥部を修復するために患者の身体の組織部位に減圧をかける減圧治療システム100が開示されている。損傷した神経は、挟まれ、部分的に断絶または切断されるか、あるいは疾患の結果として部分的に変質している。例えば、図1Aの損傷した神経は、患者の中枢神経系(CNS)に対して近位部104と遠位部106とを有する切断された神経102である。図1Bは減圧治療システムを示し、この場合の損傷した神経は挟まれた神経103であり、神経損傷部位108で損傷している。この場合、神経は挟まれ、部分的に切れているか部分的に変質しているが、完全に切断されてはいない。この神経は神経損傷部位108で分断していても、分断していなくてもよい。本明細書に用いられる用語「神経損傷部位」は、切断または部分的に切断された神経、変質または部分的に変質した神経、および圧迫または挟まれた神経を含むがそれらに限定されない任意の神経組織上または神経組織内に位置する創傷または欠陥部を言う。例えば、減圧組織治療は存在する神経組織の修復または再生を促進したり、移植または移された神経組織および/または細胞の成長を実現したりするのに用いることができる。
【0016】
減圧治療システム100は、神経損傷部位108を示すために神経導管110の一部が取り除かれた神経損傷部位108で挟まれた神経103を囲む神経導管110を含む。神経導管110はほぼ管の形状をしており、神経損傷部位108および損傷していない近位部104と遠位部106の一部を塞ぐ。神経導管110は、外面113と内面112とを具え、内面112は神経損傷部位108の面との神経間隙114、すなわち神経導管110の内面112と神経損傷部位108の面との間の内腔空間を形成する。減圧治療システム100はまた、減圧と、第1の導管125を介して圧力源115に流体連結されたマニホルド120とを提供する減圧源115を含む。マニホルド120はマニホルドチャンバ121内に包含されており、マニホルドチャンバ121は当該マニホルドチャンバ121を神経導管110に固定するためにその一方の端部から延在するフランジ122を有する。マニホルドチャンバ121の他端は第1の導管125に接続されており、これによりマニホルド120と第1の導管125との流体接続が保持される。このマニホルドチャンバ121は、神経間隙114と第1の導管125間のマニホルド120の流体接続を保持するためにほぼ不浸透性で生体適合性の材料で製造してもよい。マニホルドチャンバ121は、マニホルド120が神経損傷部位108の面を囲む神経間隙114と流体連通するが神経間隙114の外側に位置するように、フランジ122により神経導管110に固定される。特定の態様において、フランジ122は接着剤で神経導管110に固定される。さらに、いくつかの応用例では、減圧治療が完了した後にフランジ122とマニホルドチャンバ121を神経導管110から取り除けるように、フランジ122は神経導管110に脱着可能に固定されてもよい。一実施例では、マニホルド120は神経導管110の壁内を通り神経間隙114に直接流体接触する。神経導管110が多孔性である別の実施例では、フランジ122は神経導管110の外面113に固定され、マニホルド120が外面113に近接配置されて神経導管110の多孔壁を介して神経間隙114と流体接続する。
【0017】
マニホルド120は神経損傷の種類や、どのようにマニホルドが神経損傷部位108周辺の神経間隙114と流体接続して配置されるのかによって、様々な形状をとることができる。マニホルド120はまたフランジ122に連結され、これが神経導管113の外面に連結されている。フランジ122は神経導管113の外面とマニホルド120の間に密封を形成して、神経導管110の外側に減圧がかからないようにしている。神経導管の管腔と神経間隙114はまた、組織の成長や修復のための構造を提供する足場材料(図示せず)を含んでもよい。減圧治療システム100はさらに、神経間隙114から出る血液または浸出液のような体液を集める導管125を介して減圧源115とマニホルド120とを流体連結するキャニスタ130を具える。一実施例において、減圧源115とキャニスタ130とは1つの収納構造内に一体形成されている。
【0018】
本明細書に用いられるように、用語「連結された」は別個の物体を介する直接連結または間接連結を含む。用語「連結された」はまた、同種の材料から形成された要素の各々により互いに連続する2以上の要素を包含する。また、用語「連結された」は化学的、機械的、熱的、あるいは電気的連結を含んでもよい。流体連結は流体が所定の部分または位置で連通していることを意味する。
【0019】
本明細書の内容において、用語「減圧」は一般に、治療が施される組織部位で雰囲気より低い圧力を言う。大抵の場合、この減圧は患者が置かれている位置の雰囲気圧より低くなる。用語「真空」および「負圧」は組織部位にかけられる圧力を記載するのに用いてもよいが、組織部位にかけられる実際の圧力は完全真空と一般に関連する圧力より著しく大きくてもよい。この学術用語と一致して、減圧または真空における増加は絶対圧力の相対的な減少を言い、減圧または負圧における減少は絶対圧力の相対的な増加を言う。用語「−△p」は減圧の変化を意味する。本明細書に用いられるように、より大きな(すなわち、より真空の)「−△p」は増加した負圧(すなわち、雰囲気圧から圧力のより大きな変化)を意味する。減圧治療は一般に−5mmHg乃至−500mmHg、より一般的には−5mmHg乃至−300mmHgで減圧をかけ、−50、−125または−175mmHgを含むがこれらに限定されない。減圧は特定の圧力レベルで一定であってもよいし、時間とともに変化してもよい。例えば、減圧は周期的にかけても、停止してもよく、時間とともに上昇または下降してもよい。
【0020】
上述のように神経損傷部位は、図2に示される患者のCNSに対する近位部104と遠位部106とを有する、例えば、完全に切断された神経102を含む任意の神経組織上または神経組織内に配置された創傷または欠陥部であってもよい。切断された神経102は完全に切断された神経損傷部位108で損傷している。神経損傷部位108に減圧をかける他の減圧治療システム200は、減圧治療システム100と同様の要素を含み、同じ参照番号で示されている。この減圧治療システム200は、神経損傷部位108と切断された神経102の切断端部とを囲む神経導管110を含む。神経導管110の内面112は、神経損傷部位108内の切断された神経102の切断端部間、すなわち神経導管110の内面112と神経損傷部位108の表面との間の内腔空間に神経間隙114を形成する。減圧治療システム200はまた、第1の導管125および神経間隙114を介して減圧源115に流体連結されたマニホルド220を含む。マニホルド220はまた、フランジ222を有するマニホルドチャンバ221に部分的に収められており、これがマニホルドチャンバ221を神経導管110に固定するか、そうでなくてもマニホルドチャンバ121と同様にする。マニホルド120と異なり、マニホルド220は、神経間隙114内に延在するマニホルド凸部225を具える。このマニホルド220とマニホルド凸部225は、神経損傷の種類や、神経損傷部位108周辺の神経間隙114とどのようにマニホルドが配置され流体接触するかによって、様々な形状とすることができる。フランジ222は、神経導管113の外面とマニホルドチャンバ221との間を密閉し、減圧が神経導管110の外側にかからないようにしている。特定の態様において、フランジ222は接着剤で神経導管110に固定される。さらに、いくつかの応用例では、減圧治療が完了した後にフランジ222とマニホルドチャンバ221を取り除けるように、フランジ222は神経導管110に脱着可能に固定されてもよい。マニホルド凸部225は、当該マニホルド凸部が組織成長および修復のための構造体を提供する足場材料として作用するような材料で形成してもよい。減圧治療システム200はさらに、神経間隙114から流出した血液や浸出液などの体液を回収するために、減圧源115とマニホルド220の間に導管125を介して流体連結されたキャニスタ130を具えてもよい。一実施例では、減圧源115とキャニスタ130は単一ハウジング構造に一体化される。
【0021】
図3に、神経損傷部位108に減圧をかけるさらなる別の減圧治療システム300が示されている。完全に切断された神経102が、CNSに対して近位セグメント104および遠位セグメント106を有して示されている。この切断された神経102は神経損傷部位108にて損傷を受けており、完全に切断されている。減圧治療システム300は、神経損傷部位108および切断された神経102の切断端部を囲む神経導管110を具える。神経導管110の内面112は、神経損傷部位108内の切断神経102の切断端部間、すなわち神経導管110の内面112と神経損傷部位108の面との間の内腔空間に、神経間隙114を形成する。減圧治療システム300はまた、第1の導管125を介して減圧源115に、および神経間隙114に流体連結されたマニホルド320を具える。このマニホルド320はまた、それぞれマニホルドチャンバ321を神経導管110に固定するか、そうでなくてもマニホルドチャンバ121と221と同様のフランジ322を具えるマニホルドチャンバ321に部分的に収まっている。マニホルド220と異なり、マニホルド320は神経間隙114内を通って延在し、マニホルドチャンバ321とフランジ322により神経導管110の両側に固定される。マニホルド320は、神経損傷の種類や、どのようにマニホルドが神経損傷部位108周辺の神経間隙114と流体接続して配置されるのかによって、様々な形状をとることができる。フランジ322は、神経導管113の外面とマニホルドチャンバ321の間に密封を形成して、神経導管110の外側に減圧がかからないようにしている。特定の態様において、フランジ322は神経導管110に接着剤で固定される。いくつかの応用例では、減圧治療が完了した後にフランジ322とマニホルドチャンバ321を神経導管110から取り外せるように、フランジ322の一方または双方が神経導管110に脱着可能に固定される。マニホルド320は、当該マニホルドが組織の成長や修復のための構造体を提供する足場材料として機能するような材料で形成されてもよい。減圧治療システム300はさらに、神経間隙114から流出した血液や浸出液などの体液を回収するために、減圧源115とマニホルド320の間に導管125を介して流体連結されたキャニスタ130を具えてもよい。一実施例では、減圧源115とキャニスタ130は単一ハウジング構造に一体化される。減圧治療システム300はさらに、マニホルド320に第2の導管325を介して流体連結された流体源150を具えてもよい。したがって、特定の態様において、流体源150からマニホルド320および神経間隙114に流体が流れ、最終的にキャニスタ130に回収される。マニホルドを通る流体流は神経損傷部位108を横断して、マニホルドの詰まりを回避する補助となる。
【0022】
上述のように、神経導管110は、一部が取り除かれて図1−3に示されているが、閉じた神経導管410として、神経損傷部位108を完全に囲むよう図4に示されている。マニホルド120、220、320が神経間隙114に挿入されるか、神経間隙114に近い神経導管110に取り付けられた後に、神経導管110は従来技術では周知の1以上の縫い目415または任意の他の締結装置を用いて密閉されてもよい。神経導管110は生体吸収性材料または生体不活性材料から形成されてもよい。神経導管に用いることができる材料は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリフマレート、カプロラクトン、ポリアミド、多糖類(アルギン酸塩(例えば、アルギン酸カルシウム)およびキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシバレレート、ポリジオキサノン、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポロキサマ、ポリホスファゼン、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、エチレン酢酸ビニルポリマ、および他のアシル置換酢酸セルロース、およびその誘導体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリふっ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、およびナイロンを含むがこれらに限定されない。ある態様において、生物学的(例えば、精製した、または組み換え型の)材料は、フィブリン、フィブロネクチンまたはコラーゲン(例えば、DURAMATRIX(商標))を含むがこれらに限定されない神経導管を形成するのに用いられてもよい。
【0023】
神経導管110は、図3に示されているような近位の神経断端と遠位の神経断端との間の間隙を横切って適合した、ほぼ管状の完全な構造であってもよい。このようなほぼ管状の神経導管の例は神経ガイドとも呼ばれ、NEURAGEN(登録商標)およびNEUROFLEX(商標)コラーゲン導管を含むがこれらに限定されない。神経導管はまた、切断または損傷した(例えば、挟まれた)神経周りに配置されたラップから形成され、かつ縫合線のようなクロージャで密閉されてもよい。ラップ型の神経導管の具体例は、NEUROMEND(商標)およびNEURA WRAP(商標)コラーゲン導管を含むがこれらに限定されない。ある態様において、神経導管は損傷した組織を包む材料からできており、神経膠のような非神経細胞の浸潤を排除する。いくつかの実施例において、神経導管の材料は透過性であり、これにより流体およびタンパク因子が導管を通って拡散可能となる。例えば、神経導管の細孔は、導管内腔(例えば、約5μm乃至50μm、10μm乃至30μm、あるいは10μm乃至20μmの内径または平均内径を有する細孔)内に細胞が入るのを防ぐよう十分小さくてもよい。このように減圧が導管内にかけられると、流体およびタンパク質は勾配圧力により導管の内腔に引き入れられてもよい。導管の寸法が任意の具体的な神経の適用に調整されうることは当業者に理解されよう。一般に導管は約5、4、3、2.5または2mmといった約6.0mm以下の内径を含む。
【0024】
図5を参照すると、減圧治療システム100、200、または300はさらに、第1の導管125に動作可能に接続され、マニホルド120、220、320にかけられる減圧を測る圧力センサ140を含む。このシステムはさらに、圧力センサ140と減圧源115とに電気的に接続された制御装置145含む。圧力センサ140は神経間隙114内の減圧を測り、第1の導管125が血液または他の体液で塞がれているかを示すことができる。圧力センサ140はまた、減圧源115により第1の導管125を通りマニホルド120、220、320に適用される減圧治療を調整する制御装置145にフィードバックを提供する。減圧治療システム100、200、または300はまた、第2の導管152を介して第1の導管125に流体連結され、制御装置145に動作可能に接続される流体供給源150を含む。流体供給源150は、抗菌剤、抗ウィルス剤、抗体、細胞増殖促進剤、灌流液、または他の化学的活性剤を含むがこれらに限定されない成長および/または治療剤を神経損傷部位108に送達するよう用いることができる。システム100、200、300はさらに第2の導管152に配置され、そこを通る流体の流れを制御する第1の弁154と、減圧供給源115と第1の導管125と第2の導管152との連結点との間の第1の導管125に配置され、減圧の流れを制御する第2の弁156とを含む。減圧治療システム300の場合、流体供給源150は、点線で示すように第2の導管325を介して神経組織損傷部位108でマニホルド320に直接連結される。制御装置145は、患者に施される特定療法に必要とされる場合に、第1、第2の弁154、156に動作可能に接続され、流体供給源150からマニホルド120、220、320各々への減圧および/または流体の送達を制御する。流体供給源150は上述のように液体を送達してもよいが、神経損傷部位108のその場での治癒を促進し、排出を実現するためにマニホルド120、220、320に空気を送達してもよい。
【0025】
本明細書に用いられるように、用語「マニホルド」は減圧を組織部位に導いたり、流体を組織部位に送達したり、流体を組織部位から取り除いたりする際の助けとなる物質または構造を言う。マニホルドはマニホルド周辺組織の領域へ提供されたり、そこから取り除かれたりする流体の分配を向上させるために内部接続された複数の流れ経路または経路を含みうる。マニホルドの例は、流路、連続気泡発泡体のような細胞状発泡体、多孔性組織の集合体、および、流路を含んだり、含むよう硬化(cure)する液体、ゲルおよび発泡体を形成するよう配置された構造要素を有する装置を含むがこれらに限定されない。本発明によるマニホルドの詳細な記載およびそれら利用は以下に提供される。マニホルドが神経間隙114内へと延在するか、神経間隙114を通って延在する場合、以下に詳述する生体吸収性のマニホルド材料を用いてもよい。
【0026】
本明細書に用いられる用語「足場材料」は、細胞の成長および/または組織の形成のための構造マトリクスを提供する創傷または欠陥部に適用される物質または構造を言う。足場材料は三次元の多孔性構造であることが多い。足場材料は細胞成長を促進させる細胞、成長因子、細胞外マトリクスの成分、栄養素、インテグリン、または他の物質に注入されたり、それらで覆われたり、それらから形成されうる。足場材料はマトリクスを通る流れを導くことによりマニホルドの特徴を有するようになる。マニホルドは流れを足場材料や組織に伝達し、減圧治療のコンテクストにおいて、マニホルドは足場材料と流体連通している。本発明による足場材料の詳細な説明およびそれらの使用を以下に述べる。
【0027】
このようなものとして、本明細書に開示された発明は、微細、ナノスケール、またはメゾスコピックスケールでパターン化したタンパク質構成の制御を可能とする流体の流れの細胞レベルに基づくパターンを制御する方法および装置を開示し、細胞移動、細胞分化、および組織の機能的な再生に必要な作用のための構造化マニホルド、選択的に、足場材料の提供に従うものである。組織の修復および再生に関する従来技術の現状の消極的な性質と比べて、本明細書に開示された方法、足場材料、マニホルド、流れ源、およびシステムは積極的な構造を提供し、これによりタンパク質の内因性沈着と生化学的および物理学的手掛かりを有する暫定的マトリクスの編成とを促進し、足場材料または組織空間の細胞定着に導く。このように本発明は、導かれた流体の流れの活性力を有効に用いて、流体の影響下で生物学の必要性に基づいたマニホルドと足場材料とが設計された構造を提供することにより近年の技術を向上させる。流れベクトルと経路とはタンパク質の沈着と細胞の定着を促進するよう用いられる。本明細書に提供されるシステムは、機能的な組織の連続体を促進する足場材料または組織部位を通して、健康な組織端部から継ぎ目ない移行により暫定的マトリクスのネットワークの構築を促進するよう設計されている。
【0028】
このように、本明細書に開示された装置、方法およびシステムは、機能の回復を促進するために移植された足場材料を通して、あるいは組織部位内で組織の再生を積極的に誘導する手段を提供する。この積極的な誘導は制御された流体の流れのメカニズムを通して起こり、この流れはそれ自体が自然な治癒プロセスの初期段階を開始させたり、増進させたりするように用いることができ、マニホルドは制御された流体の流れを作るのに必要な積極的な誘導を提供できる。特に、マニホルドが提供する制御された流れベクトルは、細胞やタンパク質の有向の流入を実現するよう用いることができる。組織部位や足場材料内に特定の流れの経路を作ることは、マニホルド、足場材料または組織空間内のコラーゲンやフィブリンのようなタンパク質のパターン化した沈着に導くことができる。暫定的マトリクス内に固定されたサイトカイン、成長因子、および細胞からの生物学的手掛かりは、暫定的マトリクスや細胞外マトリクスの物理学的手掛かりとともに作用し、治療の修復段階中、内因性細胞の続く移動をガイドする。これらの手掛かりは周囲の健康な組織から広がる痕跡または勾配として作用し、足場材料または組織空間を通り、編成された組織の再生のための連続したガイド経路を実現する。
【0029】
このため、本開示は流体および勾配の流れの原理に基づいた明確な生物学的必要性のために設計された独自のマニホルド技術を提供する。ある態様において、発明は創傷治癒、流れ(または勾配)が活性化された再生医療への新しいアプローチに関する。基本的な形態において、このアプローチは、続く方向付けられた暫定的マトリクスの形成とともに、タンパク質の組織化された沈着および/またはサイトカインの空間的集合および成長因子のための組織空間内、外、またはそこを通る内因性または外因性流体の何れかの制御された動きのために勾配を形成する流れの源または発生器を含む。本明細書に規定された組織空間は、限定ではないが、神経組織の損傷部位を囲む領域を含む。
【0030】
神経組織空間内、そこを通る、またはその外への流体の流れは、マニホルドおよび/または足場材料を含むシステムの追加の要素の包含を通して精密化され、提供される。システムの調整された要素は、タンパク質の制御された吸着、マトリクスの編成、および特定の細胞種の組織化された定着に影響を与え、提供できる寸法において、十分詳細に流れパラメータ、経路、およびパターンを生成するよう設計されている。システムの各要素は以下の通りである。
【0031】
流れ源または流れ発生器 流れは、機械的、化学的、および/または電気的潜在性における変化を導入する方法または装置により、神経組織空間内へ、そこを通して、またはその外に誘導される。これらの流れ発生器は、内因性または外因性流体の部位または貯留層から、流れ発生器またはその拡張要素(すなわち、マニホルドまたは足場材料)の設置位置への潜在性における勾配または変化の何れかを提供する。一実施例において、流れ源は減圧源を含む。本願によるシステムおよび装置はまた、マニホルドにかけられる負圧の適用および量を制御する弁または弁の配列を含んでもよい。ある態様において、本明細書に記載された神経導管および/またはマニホルドは圧力センサを含む。このように、いくつかの実施例において、源によりかけられた負圧の量は、マニホルドまたは神経導管、または組織の損傷部位で感知される負圧の量に基づいて制御される。
【0032】
マニホルド 流れ発生器は流体の流れを促進させる駆動力である。マニホルドは流れ源または流れ発生器と組織空間との間の流れパターンを精密化する装置である。大規模レベルの流れは、マニホルド/足場材料、および最終的には組織空間内の小規模の流れ経路のための初期サイトを形成すべく、1または複数の選択的に配置された点への有向の局在性に用いられた特殊マニホルドにより精密化される。マニホルドはまた、外因性流体から流体を取り除くための導管として設けてもよいし、外因性流体を組織空間へ送達するための装置として設けてもよい。
【0033】
マニホルドは一般に、機械的、化学的、電気的または類似の変更を流体の流れの変化に適用および伝達する際の助けとなる物理的物質または構造を言い、本明細書においては、タンパク質、細胞、および他の部分のような液体、ガス、および他の変形可能な物質の動きとして規定される。したがって、この物理的装置は、圧力、流体および上記規定されるように足場材料における流体の動きを伝達できる物質の出口または排出用の1または複数の点を含む。これは、細胞および/または治療部分のような外因性要因の、マニホルドに存在する内腔または複数の内腔を通り足場材料内への導入を含むが、これらに限定されない。さらに本明細書に用いられるように、マニホルドは流れの点源に戻る足場材料からの流体の侵入または導入のための1または複数の点を含む。
【0034】
マニホルドにより分配された流れは、外因性タンパク質、成長因子、サイトカイン、および細胞を組織化した方法で、ホスト内のそれらの常駐位置から組織空間または足場材料へと移動させることができる。経路に沿ったこれらの流れの確立は、ホストを足場材料に接続する界面の外因性ネットワークを作るタンパク質の沈着および暫定的マトリクスに導く。このマトリクスの拡大は、足場材料の設計を促進させる流れとともにマニホルドの流れの初期部位の選択的な配置を通して足場材料内に確立することができる。組織化されたタンパク質の沈着と暫定的マトリクスは、足場材料および組織空間を通して導かれた経路に沿って細胞の付着および移動を促進させる生化学的および物理的な枠組みを提供する。タンパク質、成長因子、および細胞の結果として生じた外因性ネットワークは、身体組織修復の続く段階、および再生メカニズムが構築される際の基礎を提供する。
【0035】
マニホルドは配置されると、存在するなら、流れ発生源と足場材料とともに作用する。流れ発生源は、負圧の発生源、陽圧の発生源、および浸透流の発生源を含むがこれらに限定されない。マニホルドに確立された流れ勾配は、足場材料を通りさらに精密化され、流れ勾配を足場材料に送達して、特定の欠陥部に必要とされる足場材料を通して流れを最適化する。本明細書に開示された実施例の多くは、組織を再生に導くために物理的足場材料を通して選択的に圧力の変化を流体の制御された動きに伝達することができるマニホルドである。これらの実施例は一般に、特定の組織の再生における具体的な適用に特定されるが特定の組織に限定されない。
【0036】
組織再生のために流れを誘発する目的を実現するために、前述の機械的、化学的または電気的な機動力は、1の勾配源から物理的な基質または足場材料に伝達されるべきであり、タンパク質沈着、マトリクス組織、細胞移動、および他の組織の再生関連の行為において細胞レベルの変化を誘発する。これらの変更は本質的に多変量であり、創傷部位または組織再生の所望の部位に適用されると、足場材料にかけられた圧力の物理的変化を誘発する機械的変化、タンパク質および/またはイオン濃度の勾配を誘発し、流れを誘発できる浸透勾配を生み出す化学的変化、あるいは点源からの電気信号の伝播を可能にする電流/イオン交換の勾配を生み出す電気的変化を含むことができる。しかしながら、適用者は勾配および流体の流れを通して組織の修復または成長をもたらす利益を誘発する任意の特定のメカニズムに縛られないと解すべきである。これらの勾配を組織に好適に伝達するために、物理的装置は流れの経路をその源から足場材料または組織部位、逆もまた同様、に導くことが必要とされる。
【0037】
いくつかの実施例において、マニホルドは足場材料の内容とほぼ同格または内容内の物理的構造を含み、機械的、化学的、電気的、または本質的に同様のものであろうとなかろうと、その点源から足場材料までこれらの変化を導く手段のために物理的パラメータの変更を伝播するよう作用する。足場材料に対するこのマニホルドの配置は、制御され、方向付けられた特定の組織種の再生を実現するのに決定的に重要となりうる。例えば、近位から遠位の神経残根まで最初に再生が無方向で生じる周辺神経では、より遠位端部に向かった神経導管の長さに沿ってマニホルドを配置し、その端部に向かって再生を導くのを助けることは重要である。しかしながら、その源に向かって神経再生に導くには、遠位の幹から派生する可溶性因子が重要であるよう示されてきたので、足場材料/導管の最も遠位の部分にマニホルドを配置しないこともまた重要である。
【0038】
マニホルドは生体吸収性材料または生体不活性材料から形成されてもよい。例は、医用グレードシリコーンポリマ、メタル、ポリ塩化ビニル(PVC)、およびポリウレタンのような非生体吸収性材料を含むが、これらに限定されない。コラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、多糖類、ヒドロキシアパタイト、またはポリエチレングリコール、またはそれらの組み合わせのような生体吸収性ポリマを用いてもよい。いくつかのマニホルドがまた、非生体吸収性材料および生体吸収性材料の混合である。足場材料に用いられる一般的な材料はまた、マニホルドを構成するよう用いられてもよく、このような材料がさらに以下に詳細に述べられる。ある態様において、マニホルド材料は改良された生体吸収性のための高空隙の留分を含むよう構成されている。
【0039】
支持部 マニホルド支持構造は、許容される任意の生体適合材料で構成してもよい。支持構造は通常、不浸透性で、マニホルドを取り囲んでマニホルドの圧力を維持する。
【0040】
フランジなどの支持部の一部は、マニホルドと神経導管を連結する。特定の態様において、フィブリン接着剤、シアノアクリレート、または他の生体由来の接着剤といった接着剤で、フランジが神経導管の外面に取り付けられる。支持部も、、化学的、熱的、浸透性、機械的(スナップ嵌めまたは他の締まり嵌め、螺合等)、磁気的、および静電機構などの接着剤以外の可逆的機構を介して、神経導管に連結されてもよい。このマニホルドは、(例えば治療完了後に)支持部を神経導管から脱着するために、結合機構の動作を逆にする薬剤を送達するのに用いられてもよい。例えば、静電結合は食塩水を導入すると解除され、接着剤を剥がすのに生体適合性の溶剤を用いてもよい。
【0041】
足場材料 生物学的および合成の足場材料はタンパク質沈着および組織の修復や再生のための細胞の内生をサポートする再生医療の分野に用いられる。足場材料工学における技術の現在の状況は、タンパク質沈着および細胞移動のための組織空間周辺の固有の特徴に依存している。発明に用いられる足場材料はマニホルドに連結され、組織部位に流体の流れの経路を導く物理的ガイダンスを提供し、接着性タンパク質および細胞のための経路を作り、これは組織空間内の組織の所定のパターンにおける暫定的マトリクスの確立に不可欠である。流体の流れの誘発が、勾配の誘発による組織の再生のための記載の方法および装置は、足場材料の設計への直接的な包含を有する。このコンテクスト内で、足場材料は流体源からマニホルド内の流れ開始点まで細胞レベルのパターンに組織空間内で流体の流れの経路を精密化するよう設ける。足場材料は組織部位内の流れ経路を精密化するためにマニホルドと関連して組み合わせられたマニホルドの性質を具体化する。ある態様において、足場材料は網状構造であり、改良された生体吸収性能のための高空隙分留を含む。
【0042】
好適な足場材料の非限定的な例は、フィブリン、コラーゲンまたはフィブロネクチン、および合成または天然由来ポリマのような外因性マトリクスタンパク質を含み、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリビニルピロリドン、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリフマレート、カプロラクトン、ポリアミド、多糖類(アルギナート(例えば、カルシウムアルギナート)およびキトサンを含む)、ヒアルロン酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレート、ポリジオキサノン、ポリオルソエステル、ポリエチレングリコール、ポロキサマ、ポリホスファゼン、ポリ酸無水物、ポリアミノ酸、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリアクリル酸塩、エチレン酢酸ビニルポリマ、および他のアシル置換酢酸セルロース、およびその誘導体、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリふっ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、テフロン(登録商標)、およびナイロンのような生体吸収性材料または非吸収性材料を含む。足場材料はまた、ヒドロキシアパタイト、珊瑚アパタイト、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、または他の炭酸塩、バイオガラス、同種移植片、異種移植片、脱細胞化した組織、または上記の任意の合成物のようなセラミックを含んでもよい。具体的な実施例において、足場材料はコラーゲン、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリラクチド−コ−グリコリド(PLGA)、ポリウレタン、多糖類、ヒドロキシアパタイト、またはポリエチレングリコールを含む。さらに、足場材料は、足場材料の別個の領域あるいは複数の領域において、非共有結合または共有結合(例えば、ポリエチレンオキシド−ポリエチレングリコールブロックポリマ、またはターポリマのようなコポリマ)、またはそれらの組み合わせの何れかにおいて、任意の2、3以上の材料の組み合わせを含むことができる。好適なマトリクス材料は、例えば、Ma and Elisseeff, 2005, Salzman, 2004で議論されている。
【0043】
生物活性剤 ある態様において、本願による装置および方法は生物活性剤に関する。生物活性剤は、いくつかのケースにおいて、マニホルドまたは足場材料に直接組み込まれ(すなわち、生物活性マニホルドおよび/足場材料を生成する)。すなわち、コラーゲンまたはフィブリンのような組織を促進する薬剤が、マニホルドまたは足場材料上またはその中に直接組み込まれてもよい。同様に、異常な免疫反応を避ける必要がある適用例では、ラパマイシンのような(例えば、組織移植片)免疫調整剤がマニホルドまたは足場材料内に組み込まれてもよい。
【0044】
さらなる態様において、可溶性生物活性剤は組織部位を通る流れによって、組織の損傷部位に導入可能である。例えば、マニホルドは流体源と流体連通してもよく、生体活性剤は流体源に導入されてもよく、これによりマニホルドおよび損傷した神経組織内に導入することができる。
【0045】
様々なアプリケーション用の生物活性成長因子の非限定的な例は、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)または神経成長因子(NGF)である。
【0046】
神経組織修復および再生工学 本明細書に記載された装置とシステムは、以下のものを含む様々なコンテクストにおいて、神経組織修復および工学に用いることができる。
【0047】
損傷組織の修復と再生 流れ発生器は、損傷した部位の損傷組織の再生または傷ついた機能に対応すべくマニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。直接再生に導く。外因性の傷、手術、火傷、または他の原因(例えば、伝染または自己免疫性疾患)からの組織の損傷は、発明の方法、足場材料、マニホルド、流れの源、およびシステムを用いた再生に導くことができる。機能的な神経組織は再生へと導かれる。
【0048】
組織の疾患状況の進行の遅延 流れ発生器は、例えば、自己免疫性疾患に生じるような冒された神経組織の疾患の進行を遅らせるために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。
【0049】
組織の生存力の維持 流れ発生器は、例えば、生体内、生体外での足場材料または移植の準備、または移植のための外植された組織の生存能力を維持するために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。マニホルドと組み合わせされた流れ発生器は、養分を含んだ流れを組織に提供し、不要物を組織から取り除くよう制御するのに用いられる。
【0050】
組織の拡大 流れ発生器は、存在する組織の拡大を促進させるために、マニホルドおよび/足場材料と組み合わされてもよい。発明の方法、足場材料、マニホルド、流れ源およびシステムは、さらなる組織の量が必要とされるか、望まれる場合に、この組織を成長に導くよう用いることができる。
【0051】
組織形成の加速 流れ発生器は、自然治癒反応内の組織形成率を加速させるために、マニホルド/足場材料と組み合わされてもよい。発明の方法、足場材料、マニホルド、流れ源、およびシステムは、暫定的マトリクスの形成を増大させ、その安定した配置を実現し、細胞の組織空間への補充を助けることにより細胞の成長を促進させるよう用いられてもよい。
【0052】
特定の経路に沿った幹細胞の分化の刺激 流れ発生器は、幹細胞の分化を刺激するか、他の多能性の細胞を特別な系統を刺激するために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。発明の方法、足場材料、マニホルド、流れ源およびシステムは、多能性細胞を、組織空間での発育を助けるのに必要とされる特定の細胞系統内に導くよう用いられてもよい。
【0053】
タンパク質、マトリクス、細胞、または製薬の生体内環境への導入 流れ発生器は、外因性成長因子、タンパク質、細胞、または医薬品を組織空間に導入し、組織の修復、再生、および/または維持を促進させるために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。
【0054】
生体内への移植のための生体外におけるマトリクスの生成 流れ発生器は、後に生体内の移植に用いことができる生体外のマトリクスの形成を実現させるために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。
【0055】
移植された組織の統合促進 流れ発生器は、移植された組織のホスト環境内への統合を促進させるために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。これは、自家移植片、同種移植片、または異種移植片移植に適用されうる。
【0056】
生体外のマトリクス(ECM)の沈着および配向の指示 流れ発生器は、細胞および組織により示される、導かれたECMの沈着および配向をガイドするために、マニホルドおよび/または足場材料と組み合わされてもよい。ECMの導かれた配向は、続く細胞層および組織の付着および定着を組織化および指示する際に影響を与える。
【0057】
参照
米国特許番号第4,787,906号
米国特許番号第6,103,255号
米国特許番号第6,135,116号
米国特許番号第6,365,146号
米国特許番号第6,695,823号
米国特許番号第6,696,575号
米国特許番号第6,767,334号
米国特許番号第6,814,079号
米国特許番号第6,856,821号
米国特許番号第6,936,037号
米国特許番号第6,951,553号
米国特許番号第6,994,702号
米国特許番号第7,004,915号
米国特許番号第7,070,584号
米国特許番号第7,077,832号
米国特許番号第7,108,683号
米国特許番号第7,160,553号
米国特許番号第7,186,244号
米国特許番号第7,214,202号
米国特許番号第7,279,612号
米国特許番号第7,316,672号
米国特許番号第7,346,945号
米国特許番号第7,351,250号
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米国特許公開番号第2003/0225347号
米国特許公開番号第2005/0260189号
米国特許公開番号第2007/0123895号
米国特許公開番号第2008/0033324号
米国特許公開番号第2008/0208358号
米国仮特許出願番号第61/142,053号
米国仮特許出願番号第61/142,065号
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PCT出願番号第WO00/38755A2
PCT出願番号第WO00/61206A1
PCT出願番号第WO03/018098A2
PCT出願番号第WO03/092620A2
PCT出願番号第WO04/060148A2
PCT出願番号第WO04/105576A2
PCT出願番号第WO05/009488A2
PCT出願番号第WO05/033273A2
PCT出願番号第WO06/004951
PCT出願番号第WO06/127853
PCT出願番号第WO07/067685A2
PCT出願番号第WO07/092397A2
PCT出願番号第WO07/106589A2
PCT出願番号第WO07/106590A2
PCT出願番号第WO07/106591A2
PCT出願番号第WO07/106592A2
PCT出願番号第WO07/106594A2
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PCT出願番号第WO07/196590
PCT出願番号第WO08/013896A2
PCT出願番号第WO08/036162A2
PCT出願番号第WO08/036359A2
PCT出願番号第WO08/036361A1
PCT出願番号第WO08/042481A2
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【0058】
本明細書に引用されたすべての文献はここに参照により組み込まれる。本明細書に記載された文献への言及は、単に著者によりなされた主張を要約することを意図しており、任意の文献が先行技術を構成することを容認しない。出願人は引用された文献の正確性および妥当性に異議を申し立てる権利を留保する。
【0059】
上記観点において、発明の利点が達成されて他の利点が得られる。上記方法および構成において、本願の範囲を逸脱することなく様々な変更がなされてもよく、上記に含まれ、添付の図面に示されるすべての事柄は例として説明されており限定を意図しないことを理解されたい。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経の組織部位で欠陥部に減圧源からの減圧をかける装置であって、当該装置が、
外側壁と、前記組織部位を囲む内腔壁とを含む壁を有し、ほぼ管状の形状を有して、前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間内に流体を含むための神経導管と、
1の側壁面と2の端部壁面とを含む面を有する概ね円筒状の本体であって、当該2の端部壁面のうちの第1の端部壁面は減圧を受ける円筒状本体と、前記第1の端部壁面以外の前記円筒状本体の面の第1の部分を含み前記内腔空間と流体接続する流体接触面と、前記第1の端部壁面および流体接触面以外の前記円筒状本体の第2の部分を含む支持面とを具えるマニホルドと、
前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第1の端部壁面を前記減圧源へ連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管へと前記内腔壁に対してほぼ半径方向に連結する第2の端部とを有する支持構造と、を具えることを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1の装置において、前記流体接触面は、前記内腔壁の近くに位置し前記内腔空間と流体連通するための、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面を具えることを特徴とする装置。
【請求項3】
請求項2の装置において、前記神経導管は、前記神経導管を囲む組織からの流体に対し概ね不浸透性の材料でなることを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項1の装置において、前記神経導管は多孔性であるとともに、前記流体接触面は、前記神経導管の外側面の近くに位置し前記神経導管の壁を通して前記内腔空間と流体連通するための、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面を具えることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項4の装置において、前記神経導管は、前記神経導管を囲む組織からの流体に対し概ね不浸透性の材料でなることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項1の装置において、前記流体接触面が、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面と、前記第2の端部壁面の近くの前記内腔壁から前記内腔空間内へ延在する前記側壁面の一部とを具えることを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項1の装置において、前記流体接触面が、前記内腔壁の第1の側から前記内腔空間を通り前記内腔壁の第2の側へと延びる前記壁面の一部と、前記流体源からの流体を受けるための前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面とを具え、前記装置がさらに、
前記第2の端部壁面の近くの前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第2の端部壁面を前記流体源に連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管に連結する第2の端部とを具えることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置において、前記欠陥部が切断された、部分的に切断された、挟まれた、または変質した神経であることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部がフランジを具えることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部が、前記マニホルドを前記神経導管に着脱可能に連結することを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部が、前記マニホルドを前記神経導管に連結するための接着剤を含むことを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが多孔性構造を有し、この孔のサイズは細胞が前記マニホルドに入るのを排除するのに十分小さいことを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが、組織の成長または再生を促進する足場構造として作用することを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管は、細胞が前記内腔空間に入るのを排除するのに十分小さい複数の孔を具えることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置において、前記複数の孔の内径は、約5μm乃至50μmであることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが、前記組織部位に対する前記神経導管の遠位側に配置されることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドが、前記組織部位に対する神経の遠位側に優先的に減圧をかけることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドまたは神経導管が、生体不活性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項1に記載の装置において、前記マニホルドまたは神経導管が、生体吸収性材料からなることを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置において、前記神経導管の前記内腔空間が、組織の成長または再生を促進する足場材料を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、前記足場材料が、発泡体またはゲル材料から形成されることを特徴とする装置。
【請求項22】
請求項20に記載の装置において、前記足場材料が、フィブリンまたはコラーゲンから選択される生物学的材料であることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置において、前記足場材料が、生物活性剤を含むことを特徴とする装置。
【請求項24】
請求項23に記載の装置において、前記生物活性剤が、抗生物質、抗体および成長因子のうちの少なくとも1を含むことを特徴とする装置。
【請求項25】
請求項24の装置において、前記生物活性成長因子は、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞(FGF)、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、上皮細胞増殖因子(EGF)、血小板由来増殖因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、肝細胞増殖因子/細胞分散因子(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)または神経成長因子(NGF)であることを特徴とする装置。
【請求項26】
請求項1の装置において、前記神経導管は、開口を形成する前記神経導管の長さに沿ったスライスを含み、これにより前記神経導管が、前記組織部位周辺に移植可能であり、1以上の閉塞要素で密閉可能であることを特徴とする装置。
【請求項27】
神経の組織部位で欠陥部に減圧をかけるシステムであって、当該システムが、
減圧を供給する減圧源と、
外側壁と、前記組織部位を囲む内腔壁とを含む壁を有し、ほぼ管状の形状を有して、前記組織部位と前記内腔壁との間の内腔空間内に流体を含むための神経導管と、
1の側壁面と2の端部壁面とを含む面を有し、当該2の端部壁面のうちの第1の端部壁面は前記減圧源に流体連結する概ね円筒状の本体と、前記第1の端部壁面以外の前記円筒状本体の面の第1の部分を含み前記内腔空間と流体接続する流体接触面と、前記第1の端部壁面および流体接触面以外の前記円筒状本体の第2の部分を含む支持面とを具えるマニホルドと、
前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第1の端部壁面を前記減圧源へ連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管へと前記内腔壁に対してほぼ半径方向に連結する第2の端部とを有する第1の支持構造と、を具えることを特徴とするシステム。
【請求項28】
請求項27のシステムがさらに、前記マニホルドに流体接続され前記内腔空間に流体を供給するための流体源を具えることを特徴とするシステム。
【請求項29】
請求項27のシステムがさらに、前記流体接触面は、前記内腔壁の近くに位置し前記内腔空間と流体連通するための、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面を具えることを特徴とするシステム。
【請求項30】
請求項29のシステムがさらに、前記神経導管は、前記神経導管を囲む組織からの流体に対し概ね不浸透性の材料でなることを特徴とするシステム。
【請求項31】
請求項27のシステムがさらに、前記神経導管は多孔性であるとともに、前記流体接触面は、前記神経導管の外側面の近くに位置し前記神経導管の壁を通して前記内腔空間と流体連通するための、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面を具えることを特徴とするシステム。
【請求項32】
請求項31のシステムにおいて、前記神経導管は、前記神経導管を囲む組織からの流体に対し概ね不浸透性の材料でなることを特徴とするシステム。
【請求項33】
請求項27のシステムにおいて、前記流体接触面が、前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面と、前記第2の端部壁面の近くの前記内腔壁から前記内腔空間内へ延在する前記側壁面の一部とを含むことを特徴とするシステム。
【請求項34】
請求項27のシステムにおいて、前記流体接触面が、前記内腔壁の第1の側から前記内腔空間を通り前記内腔壁の第2の側へと延びる前記壁面の一部と、前記流体源からの流体を受けるための前記2の端部壁面のうちの第2の端部壁面とを具え、前記システムがさらに、
前記第2の端部壁面の近くの前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第2の端部壁面を前記流体源に連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管に連結する第2の端部とを具えることを特徴とするシステム。
【請求項35】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記欠陥部が切断された、部分的に切断された、挟まれた、または変質した神経であることを特徴とするシステム。
【請求項36】
請求項27に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部がフランジを具えることを特徴とするシステム。
【請求項37】
請求項27に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部が、前記マニホルドを前記神経導管に着脱可能に連結することを特徴とするシステム。
【請求項38】
請求項27に記載の装置において、前記支持構造の前記第2の端部が、前記マニホルドを前記神経導管に連結するための接着剤を含むことを特徴とするシステム。
【請求項39】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが多孔性構造を有し、この孔のサイズは細胞が前記マニホルドに入るのを排除するのに十分小さいことを特徴とするシステム。
【請求項40】
請求項27に記載の装置において、前記マニホルドが、組織の成長または再生を促進する足場構造として作用することを特徴とするシステム。
【請求項41】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記神経導管は、細胞が前記内腔空間に入るのを排除するのに十分小さい複数の孔を具えることを特徴とするシステム。
【請求項42】
請求項41に記載のシステムにおいて、前記複数の孔の内径は、約5μm乃至50μmであることを特徴とするシステム。
【請求項43】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが、前記組織部位に対する前記神経導管の遠位側に配置されることを特徴とするシステム。
【請求項44】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記マニホルドが、前記組織部位に対する神経の遠位側に優先的に減圧をかけることを特徴とするシステム。
【請求項45】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記マニホルドまたは神経導管が、生体不活性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項46】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記マニホルドまたは神経導管が、生体吸収性材料からなることを特徴とするシステム。
【請求項47】
請求項27に記載のシステムにおいて、前記神経導管の前記内腔空間が、組織の成長または再生を促進する足場材料を含むことを特徴とするシステム。
【請求項48】
請求項47に記載のシステムにおいて、前記足場材料が、発泡体またはゲル材料から形成されることを特徴とするシステム。
【請求項49】
請求項47に記載のシステムにおいて、前記足場材料が、フィブリンまたはコラーゲンから選択される生物学的材料であることを特徴とするシステム。
【請求項50】
請求項47に記載のシステムにおいて、前記足場材料が、生物活性剤を含むことを特徴とするシステム。
【請求項51】
請求項50に記載のシステムにおいて、前記生物活性剤は、抗生物質、抗体、および発育因子のうちの1以上であることを特徴とするシステム。
【請求項52】
請求項51に記載のシステムにおいて、前記生物活性剤が、成長ホルモン(GH)、骨形成タンパク質(BMP)、トランスホーミング増殖因子−α(TGF−α)、TGF−β、繊維芽細胞成長因子(FGF)、顆粒粒コロニー刺激因子(G−CFS)、顆粒粒/マクロファージコロニー刺激因子(GM−CFS)、上皮増殖因子(EGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、インスリン様成長因子(IGF)、血管内皮成長因子(VEGF)、幹細胞増殖因子/散乱係数(HGF/SF)、インターロイキン、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)または神経成長因子(NGF)であることを特徴とするシステム。
【請求項53】
請求項27のシステムにおいて、前記神経導管は、開口を形成する前記神経導管の長さに沿ったスライスを含み、これにより前記神経導管が、前記組織部位周辺に移植可能であり、1以上の閉塞要素で密閉可能であることを特徴とするシステム。
【請求項54】
神経の組織部位で欠陥部に減圧をかける方法であって、当該方法が、
外壁および内腔壁を含む壁を有する概ね管状の神経導管を移植するステップと、
前記内腔空間内に流体を含ませるために前記組織部位周辺の神経導管を密閉するステップと、
マニホルドと支持構造を前記組織部位に移植するステップであって、前記マニホルドは、1の側壁面と2の端部壁面とを含む面を有し、当該2の端部壁面のうちの第1の端部壁面は前記減圧源に流体連結する概ね円筒状の本体と、前記第1の端部壁面以外の前記円筒状本体の面の第1の部分を含み前記内腔空間と流体接続する流体接触面と、前記第1の端部壁面および流体接触面以外の前記円筒状本体の第2の部分を含む支持面とを具え、前記支持構造は、前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第1の端部壁面を前記減圧源へ連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管へと前記内腔壁に対してほぼ半径方向に連結する第2の端部とを有する、ステップと、
前記マニホルドを通して減圧を前記組織部位にかけるステップとを含むことを特徴とする方法。
【請求項55】
請求項54の方法において、前記マニホルドと支持構造を前記組織部位に移植するステップは、前記支持構造の第2の端部を前記神経導管の外側壁に取り付けるステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項56】
神経の組織部位で欠陥部を修復または再生する方法であって、当該方法が、
外壁および内腔壁を含む壁を有する概ね管状の神経導管を移植するステップと、
前記内腔空間内に流体を含ませるために前記組織部位周辺の神経導管を密閉するステップと、
マニホルドと支持構造を前記組織部位に移植するステップであって、前記マニホルドは、1の側壁面と2の端部壁面とを含む面を有し、当該2の端部壁面のうちの第1の端部壁面は前記減圧源に流体連結する概ね円筒状の本体と、前記第1の端部壁面以外の前記円筒状本体の面の第1の部分を含み前記内腔空間と流体接続する流体接触面と、前記第1の端部壁面および流体接触面以外の前記円筒状本体の第2の部分を含む支持面とを具え、前記支持構造は、前記支持面を囲む概ね管状の形状を有し、前記第1の端部壁面を前記減圧源へ連結する第1の端部と、前記マニホルドを前記神経導管へと前記内腔壁に対してほぼ半径方向に連結する第2の端部とを有する、ステップと、
前記マニホルドを通して減圧を前記組織部位にかけるステップとを含み、
この減圧をかけるステップが、前記欠陥部の修復と再生を促すことを特徴とする方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−513846(P2012−513846A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543715(P2011−543715)
【出願日】平成21年12月29日(2009.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2009/069713
【国際公開番号】WO2010/078345
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】