説明

流体を体液分析用のテストエレメントの受承流路内に投与する方法および投与装置

【課題】テストエレメントに供給される流体について、その量を非常に正確に計量して投与できるようにする。
【解決手段】投与方法は、投与チューブ2が休止位置を離れて動作位置に移動するよう移動装置を作動させる段階、および規定量の流体が、投与チャンバから投与チューブ2を介してテストエレメント6の受承流路4内に供給されるよう投与制御装置を作動させる段階を含む。投与チューブ2の先端は、動作位置にあるとき、テストエレメント6の受承流路4に接近するために、計量供給時に、流体の橋が投与チューブの投与先端3とテストエレメント6の受承流路4の間に架かり、また、流体の計量供給の終了時に、流体の少なくとも一部が吸引力により受承流路に達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投与装置を用いて、流体をテストエレメントの受承流路内に投与する方法に関する。テストエレメントは、そこに含有される検体について体液を分析するために用いられる。本発明は、また、体液をテストエレメントの受承流路内に投与するための投与装置および流体をそのような受承流路内に投与するための使い捨てカートリッジに関する。
【0002】
医学分析論の分野において、そこに含有される検体について体液試料を分析する際に、「湿式試薬」を備える分析システムと「乾式試薬」を備える分析システムは完全に区別される。湿式試薬を用いる分析を実施するためには、一般に、各々の構成要素が必要な種々の運動をすることができるようになっている、技術的に複雑で大型の分析装置が必要である。
【背景技術】
【0003】
乾式試薬を用いて動作する分析システムは、一般に、一体化された試薬を有する。そのような検査要素は、一般に試験片であり、この場合、流体試料が試験片の試薬を溶解させ、その反応は、計測可能な測定値の変化として示される。測定値は、光学的または電子化学的方法を用いてテストエレメント上で計測される。この種の検査システムは、費用効率が高く、また、取扱いが簡単である。しかし、試験片や類似の分析要素を用いて、モニターしつつ一連の多段階反応を起こさせることはできない。とりわけ、各々の反応段階が時間的に順序良く進むよう制御することはできない。
【0004】
これに対し、一連の多段階反応(試験プロトコル)は、湿式分析システムを用いて実施される。高性能な装置は、例えば免疫化学的解析に必要となるような一連の多段階反応を起こさせることができ、また、結合相と自由相の分離、所謂結合・自由分離にしばしば用いられる。多数の検体を分析するための複数の試験プロトコルは、種々の点において異なる湿式分析システムを用いて実施されるが、それらは全て、多段階反応に対する複雑な取扱いが求められる。このために用いられる装置は、余りにも大きく、高価で、複雑であるために、多くの用途に用いることはできない。
【0005】
制御可能なテストエレメントを備える分析システムは、両方の種類の分析システムの利点を一つに統合することができる。それらは、外部制御による液体の移送、すなわちテストエレメント以外の要素を用いての、制御された移送を可能にする。また、この外部制御は、圧力差の応用または作用する力の変化を基礎にしている。外部制御は、しばしば回転式テストエレメントに作用する遠心力により実施される。それにも拘らず、これらの分析システムは、小型で、操作も簡単である。
【0006】
制御可能なテストエレメントは、一般に寸法安定性のあるプラスチックのハウジングおよびハウジングにより囲繞されている少なくとも1つの分析機能流路を有する。分析機能流路は、しばしば一連の複数流路部およびそれらの間に位置する拡大チャンバを有する。分析機能流路の構造およびサイズは、射出成形技術または他の周知の方法により形成されたプラスチック部品の輪郭を加工することにより得られる。
【0007】
制御可能なテストエレメントを備える分析システムは、今日まで大型の研究室システムだけが実施可能であった試験プロトコルを小型にすることを可能にする。この場合、比較的少量の体液試料が分析される。これらの量の体液試料は、一般に投与ステーションを介して、試料分析流路でもある分析機能流路内に導入される。別の分析機能流路が、例えば一連の反応を起こさせるために必要な洗浄液または洗浄緩衝剤を受承するために用いられる。また、その他の使用流体は、例えば反応液、洗浄液または希釈緩衝剤である。
【0008】
また、体液試料と同様に、液体は、一般にピストンポンプのような投与ポンプおよび投与針とも呼ばれる、流体を注入するためのパイプを備える投与ステーションを用いて供給される。また、流体を、例えば手動式のピペットまたは注射器を用いて手動で投与することも可能である。
【0009】
投与ポンプを用いて少量の流体を投与するとき、流体は、貯留部から投与チャンバに供給され、次いで、投与時に投与針によりこのチャンバから排出される。貯留部の容積は、投与チャンバのそれより何倍も大きいために、貯留部に貯蔵されている流体の量は、複数回の使用に対して十分である。しかし、このことは、また、流体の大部分の量が時間の経過に伴う劣化を起こし、また、任意の長時間にわたって実施される分析には用いることができないという問題を生じる。長期貯蔵したときには、分析に必要な一部の流体が結晶化して、貯留部と、投与チャンバおよび投与ポンプとの間の両接続パイプを閉塞するために、複雑な修理が必要になる。これを防止するために、投与ステーションに対し頻繁な洗浄と保守管理を実施しなければならない。さらに、パイプも定期的に交換しなければならない。
【0010】
コンタミネーションの問題を回避するために、先行技術により公知の投与装置は、貯留部、投与ピストンを含む投与チャンバ、および投与針を備える交換式の投与カートリッジを有する。この種のシステムは、例えば米国特許出願公開第2005/0035156号明細書および米国特許出願公開第2007/0272710号明細書から公知である。
【0011】
しかし、数多くの一連の反応について、供給される流体の量は、非常に正確でなければならない。とりわけ、この要請は、供給流体量が非常に小さい場合には、非常に厳格なものになる。十分の数μLの正確さが、しばしば必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、テストエレメントに供給される流体について、その量を非常に正確に計量して投与できるようにすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
当該目的は、請求項1の特徴を有する方法、請求項4の特徴を有する投与システム、請求項5の特徴を有する投与装置および請求項16の特徴を有する使い捨てカートリッジによって達成される。関連する従属請求項は、各々の主題の有利な実施形態を包含する。
【0014】
本発明による投与システムは、投与装置およびテストエレメントを有する。システムは、別の構成要素を有していてもよい。それは、また、投与装置およびテストエレメントを備える投与システムに加え、例えば測定装置および分析装置、並びに任意で評価装置および別の機器や装置を有する分析システムの一部であってもよい。
【0015】
流体を体液分析用のテストエレメントの受承流路内に投与するために、本発明による投与装置が用いられる。投与される流体は、分析に必要な流体試料または洗浄緩衝剤のような一連の反応に必要な別の流体(液体)のいずれかである。受承流路は、分析機能流路の一部であり、また、例えば受承開口を備えることが好ましい。また、試料分析流路に加え、洗浄流路などが、分析機能流路として用いられるようになっていてもよい。投与とは、本発明の意味においては、計量された、すなわち投与量を添加することまたは供給することであり、また、液体の供給量は極めて正確であると了解されるものとする。
【0016】
本発明による投与装置は、投与チャンバおよび流体を投与チャンバからテストエレメントの受承流路内に移送するための、投与チャンバと流体連通にある投与チューブを有する。さらに、投与装置は、投与チャンバから投与チューブを介しての受承流路内への流体の流れを計量制御する投与制御装置および投与チューブとテストエレメントの間に相対運動を起こす移動装置を有する。相対運動の運動経路には、テストエレメントの受承流路に対する投与チューブの休止位置と動作位置とがあり、投与チューブの投与先端は、動作位置にあるときには、休止位置にあるときより受承流路に近接している。このように、移動装置は、投与チューブとテストエレメントの間の間隔を縮小するかまたは間隔を拡大する。投与チューブまたはテストエレメントのいずれが動かされるのかまたは両方が互いに動かされるのかは重要ではない。従って、投与チューブの位置を固定して、投与チューブがその動作位置に到達するよう、テストエレメントを投与チューブに向けて動かすこともできる。
【0017】
以下、投与チューブとテストエレメントの間の相対運動は、投与チューブの移動により引き起こされるものと見なすが、一般論を限定するものではない。テストエレメントは、投与チューブに向けてまたはそれから離れるように移動させられることはなく、替わって、パイプが、それに接近するまたはそれから離れるように移動する。
【0018】
投与チューブの先端は、動作位置にあるとき、テストエレメントの受承流路に接近して(十分近くに)位置するようになっているために、流体の投与チューブからの計量供給時に、流体の橋が投与チューブの投与先端とテストエレメントの受承流路の間に架かり、また、流体の計量供給の終了時に、流体の少なくとも一部の量が吸引力により受承流路に移送される。
【0019】
本発明においては、流体供給の少なくとも終了時に投与チューブの先端と受承流路が互いに接近して、先端から最後に出る流体の一部の量が受承流路内に吸引されるために、投与先端の外側には流体が残留しないようになっている。すなわち、投与先端から出た流体の全量は、例えば投与先端に残留することなく投与流路内に移送される。このために、「最後の一滴」も流路内に吸引される。これにより、流路内に供給された流体の量が非常に正確に測定されることになる。流体を数回に分けて連続供給する場合にも、正確に同一量の供給が行なわれる。各々のケースの供給量は非常に正確で、違いは無視できるほど小さい。
【0020】
従って、流体供給の終了時に、投与先端は、その外側および/またはパイプの口に残留する流体はなく、先端には、付着流体が全く存在しないかまたは無視できるほどの量だけが付着している。このようにして、投与量の正確さが確保され、投与量の変動は、±2.5μL以内に確実に留められる。この変動は、通常は±1.5μL以内であり、殆どの場合は±0.5μL以内である。
【0021】
本発明によると、上述した特徴を備える投与装置は、目的達成を可能にする。本発明による投与装置は、投与チャンバ内に少なくとも部分的に突出する投与要素を有する。投与要素の投与チャンバ内に突出している部分は、投与チャンバの流体により、好ましくは完全に囲繞されている。投与要素は、開始位置と終了位置の間の移動経路上を移動することができる。投与要素の小さい部分はチャンバ内の開始位置にあるが、投与要素の大きい部分は、チャンバ内に突出して終了位置にある。開始位置と終了位置の間でチャンバ内にさらに突出する投与要素の部分は、投与チャンバから所望の体積を移送するが、この所望の体積は、供給される流体の量と同じである。投与要素は、注射器のようにチャンバの側壁に接触していないために、移送体積は、投与チャンバから独立している。移送体積は、投与要素の形状だけの関数である。従って、投与要素だけは、正確かつ精密に作製しなければならない。それに対し、投与チャンバそれ自体は精密部品である必要はない。このようにして、投与チャンバおよび全体としての投与装置は、費用効率が非常に高くなるように作製することが可能になる。
【0022】
体液分析用のテストエレメントの受承流路内への正確な量の液体の投与は、上述した投与装置および/または投与システムを用いて実施される。本発明によると、正確な量の液体を投与する方法は、下記の段階を含む。
【0023】
投与チューブが休止位置を離れて動作位置に移動するよう移動装置を作動させる段階。上述したように、このためには、投与チューブとテストエレメントの間の相対運動が必要である。方法は、規定量の流体が、投与チャンバから投与チューブを介してテストエレメントの受承流路内に供給されるよう投与制御装置を作動させる段階をさらに含む。このことは、一般に投与チャンバ内のピストンを動かして実施される。
【0024】
方法の一連の段階の結果として、投与チューブの先端は、動作位置のテストエレメントに接近するために、計量供給時に、投与チューブの投与先端と分析要素の受承流路の間に延在する一定量の流体が形成され、すなわち流体の橋が架かり、流体の計量供給の終了時に、吸引力により流体の一部が受承流路内に流れる。流体供給の終了時には、投与先端を出た流体の全量が受承流路に達する。
【0025】
本発明によると、投与チューブと投与要素の移動は互いに連動する、とりわけ、両者の移動を1つの共通のアクチュエータまたはアクチュエータ要素により起こすことができるようになっている。移動は、好ましくは少なくとも部分的に連動して同時に起こるようになっている。それらは、同期して、非同期的に、若しくは時間的に重複してまたは重複しないようずらして生じるようになっていてもよい。流体のテストエレメントの受承流路内への計量供給時に、投与チューブの投与先端は、動作位置にあることが好ましい。投与チューブの先端は、流体供給の開始前に、前もって動作位置にあることが好ましい。いずれの場合にも、投与チューブの先端は、投与流体の供給の終了時には、好ましくは流体供給の終了の前までには、流体の橋を投与先端と受承流路の間に架け、また、一定量の投与流体の「最後の一滴」が受承流路内に吸引されるようにするために、動作位置になければならない。
【0026】
投与チューブの移動と投与要素の移動を連動させることは、アクチュエータを1つだけ用いて両構成要素を移動させることができるという利点を有する。この連動は、例えば1つまたはそれを超える数のレバーを備えるレバー構造、ピニオンを備えるラックピニオン構造若しくは1つまたはそれを超える数のバネを備えるバネ構造により実現できる。
【0027】
この目的に必要とされる、方法の段階は、上述した順序または任意のいずれの順序で起こるようになっていてもよい。流体の全量が受承流路内に移送されるよう、流体供給の少なくとも終了時には、投与チューブが動作位置にあることだけが重要である。
【0028】
投与チューブの投与先端は、動作位置にあるとき受承流路に接近して、受承流路内に位置するようになっている方が有利である。投与チューブの少なくとも投与先端は、受承開口を介して受承流路内に突出する。
【0029】
本発明においては、投与チューブが動作位置にあるとき、投与先端と、移動方向において投与先端に対向する受承流路の壁との間の最小間隔は、1mm以下、好ましくは0.8mm以下、とりわけ好ましくは0.7mm以下、さらに、極めて好ましくは0.5mm以下であるようになっている。本発明の意味において、本質的に垂直な側壁を有する流路である受承流路の床部は、「移動方向において対向する壁」であると了解されるものとするが、漏斗形状の受承流路の場合、それは漏斗の壁とする。投与先端と壁および/または床部の間の最小間隔は、壁および/または床部に直交するように構成されたときの投与先端までの(最小)間隔である。投与先端と受承流路の受承開口の縁との間の距離が考慮されている場合、それは、最小間隔になっている。
【0030】
投与装置の好適実施形態において、投与装置は、少なくとも部分的に投与チャンバ内に突出する可動式の投与要素を有する。投与要素は、投与チャンバ内に、投与要素の小さい部分が突出する開始位置と投与要素の大きい部分が突出する終了位置の間の移動経路上を投与チャンバに対して移動することができる。投与要素が開始位置から終了位置まで移動することにより、流体の供給量に等しい一定体積の流体が置換されて、投与チャンバから排出される。投与要素の体積は、投与チャンバの容積の、例えば十分の一の係数未満であることが好ましい。
【0031】
投与要素および/または投与ピストンは、投与要素および/またはピストンが投与チャンバの少なくとも1つの側壁と接触しないように実施されている。立方形の投与要素の場合には、4つの側部が、流体と少なくとも部分的に接触していることが好ましい。円筒形の投与ピストンまたは投与要素の場合には、側面が、流体と少なくとも部分的に接触している。側面と投与チャンバの内側壁は、接触していないことが好ましい。このことは、投与チャンバのサイズをとりわけ正確にする必要がなくなるという利点を有する。正確な量の流体を供給できるようにするためには、投与要素の体積、開始位置と終了位置の間で投与チャンバ内にさらに突出する投与要素の少なくとも部分的な体積が、高度に正確であれば十分である。従って、投与要素が精密部品になっていればそれで十分である。これにより投与チャンバの作製時に高次の裕度を維持する必要がなくなるために、全体としての投与装置は、費用効率が非常に高くなる。
【0032】
本発明において用いられる「流体の計量供給の終了」という表現は、投与要素がまさにその終了位置にあるとき、すなわち投与要素の移動経路の終端において、それが停止する時に得られる状態を指す。投与要素が終了位置に達したとき、置換された量の流体が排出される。また、この時点において、投与先端から最後に供給された流体の一部の量は、受承流路に流体の橋を架け、また、投与先端の外側における流体の残留を無くすために、吸引作用により流路内に吸引されるようになっていなければならない。
【0033】
流体をテストエレメントの受承流路内に正確に計量投与するという上述の目的は、また、本発明による、投与装置の構成要素である(とりわけ先に説明したような)使い捨てカートリッジにより達成される。本発明によるカートリッジは、投与チャンバおよび流体をテストエレメントの受承流路内に移送するための、投与チャンバと流体連通にある投与チューブ、流体の貯留部並びに貯留部と投与チャンバの間を流体連通にするための接続パイプを備える投与モジュールを有する。投与モジュールの投与チューブは、(上述したように)休止位置と動作位置がある移動経路上を移動できる。動作位置にあるときには、投与先端が、受承流路に非常に近接した位置にあるために、投与供給時に、流体の橋が投与先端と受承流路の間に架かるようになっていることが好ましく、また、流体の橋は、供給の終了時にも存在していて、流体の少なくとも一部の量は、流体の計量供給の終了時に吸引力により受承流路に達するようになっている。この場合、投与先端を出る流体の最後の一部の量は、受承流路内に完全に吸引されるために、使い捨ての、よって交換式のカートリッジの投与先端には、流体が全くまたは無視できる量の流体だけが残留する。しかし、流体は、投与先端の内部から吸い出されないようになっていることが好ましい。このことは、流体を非常に正確に計量して投与できるようにするために重要である。
【発明の効果】
【0034】
このように、使い捨てカートリッジは、投与流体と接触することになる全ての部品と構成要素を有する。カートリッジの貯留部が空になる、投与流体の時間的な限度の貯蔵期限が過ぎる、または固着のような流体移送部品の1つに支障が生じると、カートリッジは直ちに処分される。これにより、流体移送部品の全てが、確実かつ定期的に交換されることとなる。大型の投与システムにおいて実施されるような高価で複雑な保守管理は、不要になる。
【0035】
以下、本発明について、図示した好適実施形態を用いてより詳細に説明する。そこに示されている特別な特徴は、個別にまたは組み合わせて用いることにより本発明の好適形態が提供される。ここに説明する実施形態は、請求項に記載の主題の一般性の制限を意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1A】テストエレメントの受承流路に接近する投与先端を示す模式図である。
【図1B】テストエレメントの受承流路に接近する投与先端を示す模式図である。
【図1C】テストエレメントの受承流路に接近する投与先端を示す模式図である。
【図1D】テストエレメントの受承流路に接近する投与先端を示す模式図である。
【図2】本発明による投与装置の模式図である。
【図3】投与モジュールおよび貯留部を有する使い捨てカートリッジの斜視図である。
【図4】図3のカートリッジの断面図である。
【図5】図3の投与モジュールの詳細を示す断面図である。
【図6】カートリッジとテストエレメントを備える投与装置の断面図である。
【図7】図6の詳細図である。
【図8A】カートリッジのさらなる詳細図である。
【図8B】カートリッジのさらなる詳細図である。
【図8C】カートリッジのさらなる詳細図である。
【図9】ロッカーバルブの詳細斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
可動式、好ましくは回転式テストエレメントの受承流路内に流体を投与する基本的な方法が、図1a〜図1dに基づいて説明される。見やすくするために、投与装置1の一部だけが示されている。図1には、投与先端3を備える投与チューブ2だけが示されている。投与チューブ2は、パイプ2を介して不動の静止テストエレメント6の受承流路4内に流体を供給する投与チャンバ(ここには図示せず)と流体連通にある。受承流路4は、その上側に受承開口5を備える。好ましくは円板状のテストエレメント6は、例えばデータまたは音楽用のコンパクトディスクに類似の、回転軸を中心にして水平に回転する円板として実施されている。
【0038】
図1aに示されている第1の段階において、相対運動が、投与チューブ2とテストエレメント6の間で起こる。ここに示した実施例において、テストエレメント6は、その垂直位置に固定されている。投与チューブ2が、動作位置に達するまでテストエレメント6に向けて下向きに移動する。動作位置において、投与チューブ2が受承流路4に接近し、先端3が、受承開口5を介して受承流路4内に突出する。
【0039】
ここで一定量の流体の供給が行なわれるが、それは、ここでは例として、一滴だけの形態で生ずる、図1b。投与先端3は、いずれにしろ流体の供給が終了するまでは、好ましくは流体の供給が開始されるまでは、依然として動作位置に達したままである。
【0040】
動作位置において、投与先端3は、流体の橋が受承流路4の床部8に架かるよう、受承流路4の壁7および床部8に接近する。流体の橋は、流体の計量供給の終了時にも存在し続け、流体の一部は、図1cに示されているように、吸引力の作用により受承流路4に達する。一滴の流体は、受承流路4内に移動し、毛管作用によりその中をさらに移送される、図1d。投与チューブ2は、その休止位置に達するまで、テストエレメント6から離れるように上昇する。最後の残留部を含む流体の吸引は急速に(1秒未満で)起こるために、投与先端3は、投与動作の終了時点から1秒後にはすでに、好ましくは0.5秒後にはすでに上昇している。
【0041】
図1の模式図から判るように、投与先端2は、非常に正確に配置することが必要である。投与先端3は、その投与先端3と受承流路4の床部8の間の最小間隔が1mm以下になるようにテストエレメント6に接近する。このようにして、例えば13μL、誤差±20%のようなさらに少量の流体を得ることが可能になる。
【0042】
図2は、投与装置1および流体がその受承流路4内に供給されるテストエレメント6の模式図を示す。投与装置1は、投与先端3を備える投与チューブ2に加え、可撓性を有する供給パイプ10を介して投与先端2と流体連通にある投与チャンバ9を有する。投与チャンバ9は、ピストン13として実施されている投与要素11を有する。ピストンポンプ12の構成要素であるピストン13は、投与チャンバ9内に突出していて、流体供給のために下向きに移動する。ピストンポンプ12は、ピストン13を駆動するために、例えばモータ15と駆動系を備える投与制御装置14により動かされる。また、投与制御装置14は、目的の流体供給を実施するために、とりわけ電子制御器のような別の構成要素を有する。
【0043】
移動装置16は、投与チューブ2に連結されている下降アーム17を動かす駆動装置を有し、下降アーム17を動かすことにより投与チューブ2を移動できるようになっている。
【0044】
投与流体が結晶化した場合には、投与装置1の配管系、パイプおよびポンプを洗浄し、また、定期的な間隔での保守点検も行なわなければならない。全ての構成要素が固定的に装着されており、また、投与流体で満たされているために、洗浄と保守点検は非常に複雑なものになる。このために、交換式カートリッジを備える投与装置が用いられる。
【0045】
本発明による、投与装置の使い捨てカートリッジ19は、図3(ハウジング18は図示せず)と図4に示されている。カートリッジ19は、投与モジュール20、大量の投与流体を貯蔵できる貯留部21、および貯留部21と投与モジュール20の間を流体連通にするための接続パイプ22を有する。
【0046】
カートリッジ19の投与モジュール20は、投与チャンバ9および投与先端3を備える投与チューブ2を有することが好ましい。投与モジュール20の構成要素としての投与チューブ2および投与チャンバ9は、休止位置から動作位置に一緒に動くことができるよう互いの間が固定されていることが好ましい。従って、投与チューブ2が移動することにより、投与モジュール20と投与チャンバ9も移動する。このために、接続パイプ22は、例えば曲げやすい、可撓性を有するパイプとして実施することが好ましい。従って、投与チューブ2の移動は、カートリッジのハウジング18に対する投与モジュール20の移動により実行される。
【0047】
カートリッジ19を投与装置1に取り付けるとき、それは、このために設けられた収容部(ここでは図示せず)に挿着される。カートリッジには(貯留部、投与チャンバ、投与要素を含む)全ての投与技術が内蔵されているために、(電気的)駆動装置を、機械的インターフェース、すなわちアクチュエータを介して連結することだけが必要である。駆動装置それ自体は使い捨てカートリッジ19の構成要素ではなく、カートリッジ19を交換した後にも、投与装置1内に留まる。投与チャンバ9は、貯留部21に固定的に連結されているために、故障しがちであり、また、先行技術においては種々の形態で必要である投与モジュール20と貯留部21の間の流体連通を無くすことができる。
【0048】
図4と図5から判るように、投与モジュール20は、また、ピンに似た投与ピストン24である投与要素23を有する。投与要素23は、投与チャンバ9内に一部が突出している。投与要素23を、図5に示した、また、投与要素23の小さい部分だけが投与チャンバ9内に突出する開始位置から投与要素23の大部分が投与チャンバ9内に突出する終了位置に動かすことにより、所望量の流体が置換され、投与チャンバ9から排出される。投与要素23の、終了位置において投与チャンバ内に突出している部分の体積は、投与チャンバの容積より非常に小さい。最も正確な量の流体を供給できるようにするためには、投与ピストン24を非常に精密に作製することだけが必要である。従って、投与ピストン24は、金属を用いて、代替としては他の材料、とりわけプラスチックを用いて作製された精密部品であることが好ましい。
【0049】
アクチュエータ接触要素25は、投与モジュール20の構成要素であり、アクチュエータ接触要素25を押下したき、好ましくは投与要素23も同時に下がるよう投与要素23に対し作用するようになっていることが好ましい。アクチュエータ接触要素25は、その中に投与ピストン24の上端部が突出する円筒形のヘッド部26として実施されている。ヘッド部26と投与ピストン24は、互いに永久結合、例えば接着、溶着、または同様の方法で互いに結合されている。
【0050】
アクチュエータ接触要素25は、投与装置1のアクチュエータ27により駆動される。アクチュエータ27は、移動装置、投与制御装置、または組み合わせた装置の一部である。それは、例えばアクチュエータ接触要素25に連結されていて、それを上端から下端まで動かすタペット28である。図示した実施形態において、連結は、アクチュエータ27を接触要素25に接触させて(触れていて)、アクチュエータ27を押下するように実施されている。タペット28をヘッド部26に連結するとき、ヘッド部26上方の、カートリッジハウジング18のハウジング開口30を覆うフィルム29が貫通される。フィルム29を貫通するとき、また、アクチュエータ接触要素25(よって投与要素23)を動かすとき、タペット28は、線形(一次元の)運動をする。それは、投与装置1の線形駆動装置により駆動されるようになっていることが好ましい。
【0051】
好適実施形態において、投与モジュール20は、アクチュエータ接触要素25に作用するアクチュエータ27の一次元の運動を利用して、それが投与モジュール20の休止位置と動作位置の間の移動および投与要素23の開始位置と終了位置の間の移動の双方を起こすように実施されている。このことは、投与先端3の受承流路4に対する接近および所望の流体供給の両方を、1つの(線形)駆動装置だけを用いて起こすことができるという利点を有する。従って、投与装置1は、非常に簡単な構造を有し、それによって費用効率が高くなるように作製することができる。1つの駆動装置および1つのアクチュエータ27が設けられているだけであるために、この種の投与装置は非常に堅牢でもある。
【0052】
このために、例えば投与要素と投与チューブの連結が行なわれる。代替として、連結は、投与要素と、投与チャンバおよび投与先端を備える投与チューブを有する投与モジュールとの間で行なわれる。連結は、例えばレバー構造、シングルパートまたはマルチパートリンク構造、滑りクラッチのようなクラッチ、歯車装置に類似の構造またはバネ構造である。これらの連結構造は、投与モジュール20の移動と投与要素23の移動の両方を、アクチュエータ27の一次元の動きにより起こすことができる。両方の移動は、同期してまたは非同期的に、同一のまたは異なるスピードで、同時にまたは時間をずらして、若しくはこれらの可能な条件を組み合わせて起こる(総記ではない)。
【0053】
投与モジュール20は、投与チャンバ9とアクチュエータ接触要素25の間で作用する投与バネ31を有することが好ましい。投与バネ31のスプリング力とバネの作用方向は、アクチュエータ接触要素25に加わる(下向きの)圧力による力がまず投与モジュール20の移動を起こし、次いで投与要素23の移動を起こすように決められる。投与要素23は、投与モジュール20の移動が、特に好ましくは停止部材34により止められたときに初めて動かされるようになっていることが好ましい。
【0054】
図5は、投与バネ31は、ヘッド部26と、それを通して投与要素23が突出する、投与チャンバ9のバネ支持部32との間に支持されていることを示す。投与バネ31は、図示した実施例においてはヘッド部26により圧縮されるコイルバネとして実施されている。勿論、バネを、ヘッド部26の下向きの移動によりその休止位置から伸長させるよう実施することもできる。ここに示した投与バネ31は、投与ピストン25がコイルバネの縦軸に沿って延在するようにそれを囲繞している。
【0055】
図5に示すように、投与モジュール20は、投与チャンバ9と停止部材34の間で作用する下降バネ33を有することが好ましい。停止部材34は、カートリッジ19のハウジング18に配置されていることが好ましい。下降バネ33の作用方向は、投与バネ31の作用方向と同じである。ここに示した実施形態において、バネの作用方向は、上端から下端を向いている。下降バネ33のスプリング力は、投与バネ31のスプリング力より小さい。このようにして、アクチュエータ接触要素25に作用する圧力による力は、まず投与モジュール20の下方への移動を起こし、投与ピストン24の移動を時間的に遅れて、好ましくは投与モジュール20の移動が停止部材34により停止させられて初めて起こる。
【0056】
実際には、投与バネ31と下降バネ33は、下降バネ33のバネ定数が投与バネ31のバネ定数より小さくなるように選ばれる。しかし、これらバネの一方のスプリング力を他方のそれより強くすることは、同一のバネ定数であっても、例えば特定のバネにバイアス張力を加えることによって得られる。
【0057】
投与チャンバ9は、下降バネ33を介してカートリッジ19のハウジング18にバネ仕掛けになるように連結されている。下降バネ33は、投与モジュール20の上部カラー35と下部の、フランジに似た環状保持ウェブ36の間に配置されている。また、それは、アクチュエータ接触要素25が移動するときに圧縮される。
【0058】
以下、流体の計量供給時の一連の運動について説明する。タペット28が、フィルム29を貫通して、アクチュエータ接触要素25のヘッド部26を上方から押下する、すなわちそれは、ヘッド部26に作用する圧力による力を発生する。下降バネ33のスプリング力は投与バネ31のスプリング力より小さいために、投与先端3がその動作位置に達するまで、まず投与モジュール20が投与チャンバ9とともに下降する。投与モジュール20の休止位置から動作位置への移動は、上から下へと起こる。この位置において、投与モジュール20は停止部材34に当接する。このように、停止部材34は、投与モジュール20の移動経路の境界を定める。それは、投与先端3の動作位置を確定する。代替として、停止部材34は、投与装置1の一部であり、よってカートリッジ19から独立していてもよい。
【0059】
タペット28により加えられた力がヘッド部26に直ちに作用して投与バネ31を圧縮することにより、投与ピストン24が、投与チャンバ9内に移動する。この移動時に投与ピストンにより置換された体積は、投与先端3を介してテストエレメント6の受承流路4に達する流体の供給量と同じである。
【0060】
所望量の流体が投与先端3から受承流路4内に供給された後に、タペット28は上昇する。投与要素23および/または投与モジュール20も、また、投与バネ31および下降バネ33のスプリング力により上昇することにより、投与要素23は、その開始位置に再度到達し、また、投与モジュール20は、その休止位置に再度到達する。投与要素23および投与モジュール20の移動は、バネ31、33のスプリング力によりその向きが決まる。それらの移動は、連続して、同時にまたは時間をずらして起こる。2つのバネ31、33の上向きのスプリング力ために、タペット28は、アクチュエータ接触要素25に当接するだけで十分である。タペット28は力を下向きにだけ伝動すればよいために、相互連結は必要ない。
【0061】
図6は、本発明によるカートリッジ19の、投与モジュール20がその動作位置にあるときの別の断面図を示す。投与先端3は、対応するテストエレメント6の受承流路4に接近し、受承開口5を通過して受承流路4内に突出している。下降バネ33と投与バネ31は、投与ピストン24がその終了位置に位置するよう、完全に圧縮される。この場合、所望量の流体が、投与先端3からすでに流出している。
【0062】
受承流路4内にあるときの投与先端3の構成は、図7に示されている。流体の残渣が投与先端3に残留していないことがはっきりと示されている。投与先端3を出た流体の全量は、吸引作用により受承流路4内に吸引される。いずれにしろ、投与先端3の外側には、あったとしても無視できるほどの量の流体がそれに付着しているだけであるという意味において、流体は存在しない。吸引作用は、流体の凝集力、流体とテストエレメント6の床部8の間の付着力、および受承流路4の毛管力が合わさって起こる。
【0063】
この吸引作用は、テストエレメント6の受承流路4が親水性を有するように実施された特別な実施形態に利用されている。投与装置1の投与先端3は、疎水性を有するまたは疎水化されていることが好ましい。これにより、投与先端3から受承流路4への流体の移送が可能になる。
【0064】
流体の受承流路4内への移送を確実にするために、投与先端とテストエレメント6の床部8の間の間隔は、1mm以下になっている。図7に示した実施形態において、投与先端3は、内径0.5mm、外形1.5mmである。投与先端3とテストエレメント6の床部8の間隔は0.8〜0.6mmであり、テストエレメント6の全高は、(プラスチックの射出成形層の2.7mmと下部に配置された(粘着性)床フィルムの厚さ0.3mmを合わせた)3mmである。従って、投与先端3は、テストエレメントの受承開口5の中に約1.9〜2.1mm突出していることになる。
【0065】
本発明によるカートリッジ19の好適実施形態において、投与チャンバ9は、流体が貯留部21から接続パイプ22を介して投与チャンバ9に流入する流体入口37および一定量の流体が投与チャンバ9を出て投与チューブ2に流入する流体出口38を有する。投与チャンバ9に出入りする流れを制御するために、流入弁39と流出弁40を設ける方が有利である。流入弁39は流体入口37を開閉し、流出弁40は、投与チャンバ9の流体出口38を開閉するために用いられる。
【0066】
図8は、本発明によるカートリッジ19の別の断面図を示す。好適実施形態において、流入弁39と流出弁40は、バルブユニット41、例えばロッカーバルブの構成要素である。ロッカーバルブ41は、流入弁39および流出弁40が必然的に異なる開閉状態になるように実施されている。一方のバルブが開いている場合には、他方のバルブは閉まる。
【0067】
図9は、ロッカーバルブ41の詳細を示す。ロッカーバネ42が、ロッカーバルブ41のバルブロッカー43に作用し、これにより、流出弁40は、ロッカーバルブ41が休止位置にあるときに閉じ、流体の投与チューブ2への流出がなくなる。バルブバネ42は、重ね板バネとして実施されている方が有利であるが、別のバネも使用可能である。バルブバネ42は、ロッカーバルブ41を流出弁40の入り(開放)状態から閉鎖状態へのリセットを自動的に行なう。流体入口37と流体出口38の密封を可能な限り確実なものにするために、バルブロッカー43は、入口37と出口38を確実に閉鎖することができる2つの丸いシール要素44を有する。シール要素44は、好ましくは押出され、また、それらは、例えばTPEを含む。それらは、入口37および/または出口38より幾分大きい方が有利である。
【0068】
ロッカーバルブ41をバルブアクチュエータ(図示せず)により作動させることができるよう、バルブレバー45がバルブロッカー43に作り付けられている。このために、ロッカーバルブ41をその休止位置から流体出口38の開放位置に動かす電気的駆動装置が設けられていることが好ましい。バルブ駆動装置は、外部制御器により制御されていることが好ましい。このために、ロッカーバルブ41は外部制御が可能である。バルブレバー45の作動は、投与チューブ2、よって投与モジュール20が動作位置にあるときにだけ間違いなく可能になるよう、電子的および機械的な処置が取られている。従って、流体の投与チャンバ9からの投与は、投与モジュール20が動作位置にあるときにだけ可能である。ロッカーバルブ41が入りにされた場合、バルブロッカー43は、回転軸を構成するとともに、バルブレバーの長さ方向に延在するバルブ軸46を中心にして(図8においては反時計回りに)約10°回転して、流体入口37、よって貯留部21を閉鎖する。同時に、流体出口38、よって投与先端3へのアクセスは開く。
【0069】
ロッカーバルブ41に外部制御器を用いることにより、例えば逆止弁の場合より、動作の信頼性を向上させることができる。この改良は、(外部との間の)接触圧力を高める、従ってバルブをより確実に密封することにより達成される。さらに、外部制御式で、スイッチ付きのロッカーバルブ41を用いることにより、ロッカーバルブ41の適応不全を識別して、投与装置1またはテストエレメント6の、洗浄緩衝剤のような、貯留部21に収容されている流体によるコンタミネーション、および投与量不足を防止するために、投与装置1のバルブ設定を監視するためのセンサと一体化できる可能性もある。外部制御器を用いてロッカーバルブ41を確実に切り替えることができるようにすることは、投与量の正確さをもう一段向上させるという別の利点を有する。
【符号の説明】
【0070】
1 投与装置
2 投与チューブ
3 投与先端
4 受承流路
6 テストエレメント
7、8 壁
9 投与チャンバ
14 投与制御装置
19 使い捨てカートリッジ
20 投与モジュール
21 貯留部
22 接続パイプ
23 投与要素
25 アクチュエータ接触要素
27 アクチュエータ
31 投与バネ
33 下降バネ
34 停止部材
37 流体入口
38 流体出口
39 流入弁
40 流出弁
41 バルブユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投与装置(1)を用いて、流体を体液分析用のテストエレメント(6)の受承流路内に投与する方法において、ここで、前記投与装置(1)は、
−投与チャンバ(9)と、
−流体を前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)内に移送するための、前記投与チャンバ(9)と流体連通にある投与チューブ(2)と、
−可動式であり、また、一定量の流体を前記投与チャンバ(9)から排出するために、前記投与チャンバ(9)内に少なくとも部分的に突出する投与要素(23)と、ここで、前記投与チャンバ(9)内に突出している、前記投与要素(23)の部分は、前記投与チャンバ(23)の流体により囲繞されている、
−前記投与チャンバ(9)から前記投与チューブ(2)を介しての前記受承流路(4)内への流体の流れを制御するための投与制御装置(14)と、
−前記投与チューブ(2)と前記テストエレメント(6)の間に相対運動を起こす移動装置(16)と、ここで、移動経路には、前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)に対する前記投与チューブ(2)の休止位置と動作位置とがあり、前記投与チューブ(2)の投与先端(3)は、前記動作位置にあるときには、前記休止位置にあるときより前記受承流路(4)に近接している、を有し、
−前記投与チューブ(2)が前記休止位置を離れて前記動作位置に移動するよう移動装置(16)を作動させる段階と、
−規定量の流体が、前記投与チャンバ(9)から前記投与チューブ(2)を介して前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)内に供給されるよう前記投与制御装置(14)を作動させる段階とを含み、
前記投与チューブ(2)の前記先端(3)は、前記動作位置にあるとき、前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)に十分に近接しているために、流体供給時に流体の橋が前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)と前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)の間に架かり、また、前記流体供給の終了時に、流体の少なくとも一部が吸引力により前記受承流路(4)内に移送され、さらに、前記投与チューブ(2)の移動と前記投与要素(23)の移動は互いに連動するようになっていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)は、前記動作位置にあるとき、前記受承流路(4)内に位置することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記投与チューブ(2)が前記動作位置にあるとき、その投与先端(3)と前記受承流路(4)の壁(7、8)の間の最小間隔は、1mm以下であることを特徴とする請求項1および2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
受承流路を含む、体液分析用のテストエレメントおよび流体を前記テストエレメントの前記受承流路内に投与する投与装置を備える投与システムにおいて、前記投与装置は、
−投与チャンバ(9)と、
−流体を前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)内に移送するための、前記投与チャンバ(9)と流体連通にある投与チューブ(2)と、
−前記投与チャンバ(9)から前記投与チューブ(2)を介しての前記受承流路(4)内への流体の流れを制御するための投与制御装置(14)と、
−前記投与チューブ(2)と前記テストエレメント(6)の間に相対運動を起こす移動装置(16)と、ここで、移動経路には、前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)に対する前記投与チューブ(2)の休止位置と動作位置とがあり、前記投与チューブ(2)の投与先端(3)は、前記動作位置にあるときには、前記休止位置にあるときより前記受承流路(4)に近接している、を有し、
−前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)は、前記動作位置にあるとき、前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)に十分に近接しているために、供給時に流体の橋が前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)と前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)の間に架かり、また、前記流体の計量供給の終了時に、流体の少なくとも一部の量が吸引力により前記受承流路(4)内に移送されることを特徴とする投与システム。
【請求項5】
流体を体液分析用の、とりわけ請求項4記載の投与システム用のテストエレメントの受承流路内に投与する投与装置(1)において、投与チャンバ(9)内に少なくとも部分的に突出する投与要素(23)を有し、前記投与要素(23)の、前記投与チャンバ(9)内に突出している部分は、前記投与チャンバ(23)の流体により囲繞されており、また、前記投与要素(23)は、前記投与要素(23)の小さい部分が前記投与チャンバ(9)内に突出する開始位置と前記投与要素(23)の大きい部分が前記投与チャンバ(9)内に突出する終了位置の間の移動経路上を前記投与チャンバ(9)に対して移動可能であり、前記投与要素(23)の前記開始位置から前記終了位置への移動により置換された、前記投与チャンバ(9)内の体積は、流体の供給量と同じであることを特徴とする投与装置。
【請求項6】
前記投与チャンバ(9)および前記投与チューブ(2)は、それら(9、2)が休止位置から動作位置に一緒に移動できるよう相互に固定されている投与モジュール(20)の構成要素であることを特徴とする請求項4記載の投与システムまたは請求項5記載の投与装置。
【請求項7】
前記投与モジュール(20)および前記投与要素(23)の移動は、前記投与要素(23)がその終了位置に達する前に前記投与モジュール(20)がその動作位置に到達することになるよう制御されていることを特徴とする請求項5および6記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項8】
前記投与モジュール(20)は、前記投与要素(23)に作用し、また、前記投与装置(1)のアクチュエータ(27)により作動させられるアクチュエータ接触要素(25)を有することを特徴とする請求項6記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項9】
前記投与装置(1)は、前記投与モジュール(20)と、流体の貯留部(21)と、前記貯留部(21)と前記投与チャンバ(9)の間を流体連通にする接続パイプ(22)とを含む使い捨てカートリッジ(19)を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項10】
前記投与モジュール(20)は、前記投与モジュール(20)の休止位置と動作位置の間の移動および前記投与要素(23)のその開始位置とその終了位置の間の移動も、前記アクチュエータ接触要素(25)に作用する前記アクチュエータ(27)の一次元の運動により実施されるようになっていることを特徴とする請求項8または9のいずれか1項に記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項11】
前記投与モジュール(20)は、前記投与チャンバ(9)と前記アクチュエータ接触要素(25)の間で作用する投与バネ(31)を有し、また、そのスプリング力とバネの作用方向が、前記アクチュエータ接触要素(25)に加えられた圧力による力がまず前記投与モジュール(20)の移動を起こし、次いで、好ましくは前記投与モジュール(20)のさらなる移動が停止部材(34)により止められた後に、前記投与要素(23)の移動を起こすように決められていることを特徴とする請求項10記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項12】
前記投与モジュール(20)は、前記投与チャンバ(9)と前記停止部材(34)の間で作用する下降バネ(33)を有し、また、前記投与バネ(31)の作用方向と同じ作用方向を持ち、前記下降バネ(33)のスプリング力は、前記投与バネ(31)のスプリング力より小さいために、前記アクチュエータ接触要素(25)に加えられた圧力による力は、前記投与モジュール(20)の移動をまず起こすことを特徴とする請求項11記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項13】
前記投与チャンバ(9)は、流体が前記貯留部(21)から前記投与チャンバ(9)に流入できる流体入口(37)と、流体が前記投与チャンバ(9)を出て前記投与チューブ(2)に流入することができる流体出口(38)とを有することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項14】
前記投与チャンバ(9)は、前記流体入口(37)を開閉する流入弁(39)および/または前記流体出口(38)を開閉する流出弁(40)を有することを特徴とする請求項13記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項15】
前記流入弁(39)および前記流出弁(40)は、前記流入弁(39)と前記流出弁(40)が必然的に異なるスイッチ状態になるように実施されているバルブユニット(41)の構成要素であることを特徴とする請求項14記載の投与システムまたは投与装置。
【請求項16】
流体を体液分析用のテストエレメントの受承流路内に投与するための、とりわけ請求項4〜15のいずれか1項に記載の投与システムまたは投与装置(9)の構成要素としての使い捨てカートリッジにおいて、
−投与チャンバ(9)および流体を前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)内に移送するための、前記投与チャンバ(9)と流体連通にある投与チューブ(2)を備える投与モジュール(20)と、
−流体の貯留部(21)と、
−前記貯留部(21)と前記投与チャンバ(9)の間を流体連通にする接続パイプ(22)とを有し、
−前記投与モジュール(20)の前記投与チューブ(2)は可動式であり、
−前記投与チューブ(2)の移動経路には、休止位置と動作位置とがあり、
−前記休止位置にあるときには、前記投与チューブ(2)の投与先端(3)が、動作位置にあるときより前記受承流路(4)から大きく離れ、さらに、
−前記動作位置にあるときには、前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)が、前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)に十分に近接しているために、計量供給時に、流体の橋が前記投与チューブ(2)の前記投与先端(3)と前記テストエレメント(6)の前記受承流路(4)の間に架かり、また、前記流体供給の終了時に、流体の少なくとも一部の量が吸引力により前記受承流路(4)内に移送されることを特徴とする使い捨てカートリッジ。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−66265(P2010−66265A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−208117(P2009−208117)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】