流体システムにおける添加剤の制御放出
【課題】最小限の人的介入を必要とし、化学添加剤を流体システムへ一定速度で放出するための比較的低コストの代替的装置の提供。
【解決手段】潤滑剤組成物又は作動液組成物より選ばれる流体材料中に化学添加剤(7)を放出するための容器(1)は、中空内部をもつ流体材料不浸透性ケーシング(3)と、少なくとも1つの流体材料可溶性添加剤を含む添加剤組成物(7)を含んでいる。添加剤(7)は、ケーシング(3)の開口(13)に又はその近傍に設けられ且つ添加剤(7)の流体材料中への放出を提供するのに有効である少なくとも1つの流体材料浸透性要素(11)によって容器(1)内に保持される。添加剤(7)を流体材料へ放出する方法も提供される。
【解決手段】潤滑剤組成物又は作動液組成物より選ばれる流体材料中に化学添加剤(7)を放出するための容器(1)は、中空内部をもつ流体材料不浸透性ケーシング(3)と、少なくとも1つの流体材料可溶性添加剤を含む添加剤組成物(7)を含んでいる。添加剤(7)は、ケーシング(3)の開口(13)に又はその近傍に設けられ且つ添加剤(7)の流体材料中への放出を提供するのに有効である少なくとも1つの流体材料浸透性要素(11)によって容器(1)内に保持される。添加剤(7)を流体材料へ放出する方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、いずれも2001年8月24日出願の米国仮特許出願第60/314,960号及び同第60/314,764号の恩典を主張する。それぞれの開示内容は本願明細書に含まれているものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、潤滑剤システム、例えば、自動車、トラック、重機等(これらに限定されない)ようなものの内燃エンジンの潤滑剤システム、及び作動液システム、例えば、自動車、エレベータ、農業機械や土木機械等(これらに限定されない)のものの作動液システムより選ばれる流体材料システムに補助的化学添加剤を供給するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
内燃エンジンは、電動車両を推進する依然として優勢な手段である。それらは、代替的メカニズムより多くの利点、特にコストと便利さを与えるものである。そのようなエンジンには、潤滑が必要であり、通常は循環する潤滑剤が用いられている。良好な性能を得るために、潤滑剤には、使用期間後に消耗及び/又は不足し得る1つ以上の添加剤がしばしば含まれる。潤滑剤の品質を維持及び/又は増強するために粘度指数向上剤や抗酸化剤等の潤滑剤用添加剤を潤滑剤に添加することが望ましい。
作動液は、有用な機械的利点を提供するシステムにおいて非常に価値がある。これらの作動液は、しばしば非常に長時間、例えば、数年間、そのようなシステムに用いられる。流体中に最初に存在する添加剤は、例えば、長時間の流体使用中に、消耗及び/又は不足することがあり得る。特に流体が使用中である間に、前記作動液に添加剤の添加を提供することは有利である。
一般的には、車両流体システムに添加剤を導入する様々な方法が提案されてきた。Rohdeの米国特許第3,749,247号には、使用中のエンジンの炭化水素をベースとする流体材料へ酸化防止剤を放出するための容器が記載されている。酸化防止剤は、容器壁を通じて添加剤を潤滑剤へ浸透させることができるポリオレフィン容器内に保持されている。Lefebvreの米国特許第5,591,330号には、熱可塑性材料中の酸化添加剤が粒子濾過材料とフェルトパッドとの間のケーシングに取り付けられている炭化水素オイルフィルタを開示している他の方法も記載されている。報告によれば、熱可塑性材料は高温のオイルの存在下で溶解し、よって添加剤を放出させている。
上記装置は、様々な制限を受ける。本発明の目的は、最小限の人的介入を必要とし、化学添加剤を流体システムへ一定速度で放出するための比較的低コストの代替的装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要約)
少なくとも1つの添加剤の液体潤滑剤組成物及び作動液組成物より選ばれる流体材料への放出、好ましくは制御された放出及び/又は徐放を提供するための新規な装置及び方法が開示される。本装置及び方法は、化学添加剤の装置から前記流体材料への徐放、好ましくは実質的に制御された放出を効果的に提供する。化学添加剤(例えば、流体材料用添加剤)は、いかなる種類であってもよく、例えば、潤滑剤に可溶性の潤滑剤用添加剤又は作動液に可溶性の作動液用添加剤であってもよい。
本装置及び方法は、液体潤滑剤組成物若しくは潤滑剤システム又は作動液組成物若しくは作動液システムより選ばれる流体材料若しくは流体材料システムへ添加剤を放出するための端的な方法を与える。1つ又は複数の添加剤以外の本装置の多くの構成部品は、流体材料に実質的に不溶であるので前記構成部品は原型を保持し、流体材料又は流体材料システムに溶解しない及び/又は有害な作用を及ぼさない。更に、本装置の構成部品のいくつかは、添加剤が消費された後に、即ち、流体材料へ実質的に完全に放出された後に再使用し得る。本装置は、コスト効率よく製造するのに容易でかつ端的であり、前記流体材料システムをほとんど又は全く変化させずに用いることができる。
本発明の広範囲の一態様は、少なくとも1つの添加剤の本明細書に定義された流体材料中への徐放又は段階的放出、好ましくは実質的に制御された放出を提供するように設計されている潤滑剤システム、例えば、車両、飛行機、発電設備、鉱山設備等に関連するもの(これらに限定されない)又は作動液システム、例えば、車両油圧システム、エレベータ、農業機械等に関連するもの(これらに限定されない)に用いられる流体材料用添加剤容器を対象としている。本容器は、実質的に中空の内部と少なくとも1つの開口を規定している流体材料不浸透性ケーシングを含んでいる。流体材料に可溶性の少なくとも1つの化学添加剤、例えば、少なくとも1つの流体材料可溶性補助的添加剤を含み、潤滑剤用添加剤組成物及び作動液用添加剤組成物より選ばれる流体材料用添加剤組成物は、ケーシングの内部に供給される。流体材料用添加剤は、液状、ゲル状、ペースト状、又は固形の形態で供給され得る。本発明の特に有用な一態様においては、流体材料用添加剤組成物が複数個の粒子として、又は粒子形態で、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット、顆粒又は他の粒子形態で供給される。
【0005】
本発明の装置のケーシング及び他の流体材料不浸透性構成部品は、好ましくは適切な金属、流体材料不溶性高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる材料で構成される。有用なケーシングは、鋼、アルミニウム等のような金属、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、スルファロン等、これらの組合せ及びこれらの混合物より選ばれる材料から製造し得る。
本発明の容器には、ケーシングの少なくとも1つの開口に又は近傍で提供される少なくとも1つの流体材料浸透性要素又は構成部品が含まれてもよい。前記流体材料浸透性要素は、ケーシング内の化学添加剤組成物、例えば、流体材料用添加剤の一部を、ケーシングと接触した状態の流体材料中、例えば液体潤滑剤組成物又は作動液組成物中へ放出することを提供するのに有効である。そのような放出は長期間にわたって起こるので、少なくとも添加剤の最初の放出が起こった後、化学添加剤の一部はケーシング内に保持されている。本発明に従って得られる添加剤の放出は、添加剤の徐放又は制御された放出であることが好ましい。
本発明の一実施態様においては、ケーシングは形が実質的に円筒形である。ケーシングには、例えばケーシングの端に又はケーシングの側壁に少なくとも1つの開口が含まれ、前記開口において、流体材料がケーシング内に含まれる潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物の一部と接触することができる。例えば、開放端を支えるか又はそれに付着して、ケーシング内に潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物を保持するエンドキャップが用いられ得る。本発明の一実施態様においては、円筒形ケーシングには、2つの開放端が含まれ、それぞれの開放端はエンドキャップで覆われている。エンドキャップは、好ましくは、流体材料不浸透性材料を含み、潤滑剤用添加剤組成物及び作動液用添加剤組成物より選ばれる流体材料用添加剤をケーシング内に保持するのに有効である。エンドキャップには1つ以上の注入口又は開口が含まれており、ケーシングの外部に位置する流体材料とケーシング内の流体材料用添加剤との間の流体連絡が、添加剤を流体材料中へ、例えば拡散等で、好ましくはかなり制御された速度で放出することを可能にする。
【0006】
他の実施態様においては、ケーシングは形が実質的にボウル型である。少なくとも1つの開口は、ケーシングのいずれの箇所にも、例えば、ケーシングの上面、ケーシングの側面(側壁)及び/又はケーシングの底面に位置してもよい。有用な一実施態様においては、特にボウル型ケーシングが開放端、例えば、上面開放端を有する場合に、ケーシング内部の中に潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物を保持する手段を与えるキャップ部材が含まれ得る。キャップ部材は、有利には、高分子材料又は流体材料に実質的に不溶な他の材料から製造され、少なくとも1つの注入口又は開口、好ましくは複数個の注入口又は開口を含み、潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用組成物と流体材料との間の接触を可能にする。キャップ部材は、ケーシングの内部表面に固定することができ、その中に幾分陥凹していてもよい。本発明の一実施態様においては、キャップ部材は、例えば、O-リング又は他の適切な、例えば通常のシーリング要素若しくはアセンブリ(assembly)によってケーシングに取り外し可能に固定又は取り外し可能にシールされる。
更に、プレート部材をボウル型ケーシング内に設け固定することができる。プレート部材には、キャップ部材注入口と実質的に整列している1つ以上のプレート注入口が含まれている。プレート部材は、適切な流体材料不溶性材料のいずれからも製造され得る。
一実施態様においては、本発明の容器が、キャップ部材及び容器の開放端にわたって配置されているプレート部材の双方を有するボウル型ケーシングを含んでいる。流体材料浸透性要素は、キャップ部材とプレート部材との間に配置されているか又は挟まれている。
流体材料浸透性要素又は構成部品は、適切な流体材料浸透性構造を含んでもよく、その前記構造のすべてが本発明の範囲内に包含される。有用な一実施態様においては、流体材料浸透性要素又は構成部品が、フィルタ部材又は濾材、例えば、多孔質膜又は半透膜を含んでいる。別の有用な実施態様においては、流体材料浸透性要素又は構成部品がマイクロオリフィスを含んでいる。
【0007】
本発明の装置の多孔質膜又は半透膜は、特にケーシングが流体材料と接触した状態にあるときに、化学添加剤の流体材料中への所望の放出、好ましくは徐放を可能にする適切な材料のいずれもから製造することができる。前記膜は、流体材料不溶性材料、例えば、その中に不規則な大きさのチャネル又は不連続の大きさの孔をもつ材料から製造し得る。本明細書に用いられる“多孔質”膜は一般的には、ワイヤスクリーン又はろ紙といった実質的に不連続なサイズ範囲の孔を有する膜を指す。本明細書に用いられる“半透性”膜は、不連続なサイズ範囲の孔をもたないが、代わりに好ましくは狭いチャネルを通じて分子の拡散を可能にする分散媒を指し、前記チャネルのサイズは測定が困難であり得る。
一実施態様においては、膜、例えば、多孔質膜又は半透膜は、1つ以上のガラス及び/又は1つ以上の高分子材料を含んでいる。非常に有用な膜は、ナイロン、酢酸セルロース、セルロースポリマー、ガラス、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン酢酸ビニル、天然ゴムや合成ゴム等、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる材料から製造することができる。
或いは又は更に、流体材料浸透性要素又は構成部品には、流体材料の存在下で溶解して、例えば徐々に溶解して、添加剤をケーシングから放出させる流体材料可溶性物質を溶解性シール、即ち、流体材料溶解性シールの形態で含み得る。前記溶解性シールは、例えば、流体材料可溶性ポリマーシールを含み得る。好ましくは、少なくとも1つの流体材料浸透性要素は、流体材料可溶性ポリマーで被覆されて適切なシール構造を形成し得る支持構造物、例えば、ワイヤスクリーン又は布又は他の流体材料不溶性材料を含み得るが、必須ではない。或いは、溶解性シールは、前記のような支持構造物を含まずに流体材料可溶性ポリマーのみを含み得る。添加剤を容器から流体材料中へより効果的に制御放出させるために、膜が、例えば、流体材料可溶性高分子材料又は流体材料不溶性高分子材料のような高分子材料又は流体材料不溶性高分子材料で被覆され得ることも留意される。
【0008】
別の広範囲態様においては、本発明は、化学添加剤を、好ましくは持続した、更に好ましくは実質的に制御された速度で流体材料中へ放出する方法に関する。これらの添加剤には、抗酸化剤、耐摩耗添加剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、清浄剤/分散剤、潤滑剤等及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本方法は、本明細書に示された容器を、液体潤滑剤組成物又は作動液組成物より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む。容器が流体材料にさらされたとき、流体材料が1つ又は複数の流体材料浸透性要素を通過、例えば前記要素を通じて拡散し、潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物の一部と接触する。1つ又は複数の添加剤の燃料材料中への放出、好ましくは持続した実質的に制御された放出が、例えば、流体材料浸透性要素を通って拡散することにより得られる。
有用な一実施態様においては、本発明の容器は、例えば、流体材料が用いられている間、流体材料を濾過することに用いられるフィルタアセンブリのセンターチューブ(center tube)へ少なくとも部分的に置換及び/又は組込まれる。従って、容器は、添加剤の放出を提供するのに、また、フィルタアセンブリの構造部材としても有効である。
本発明に記載された特徴の各々及び全てと、前記特徴の2つ以上の組合せの各々及び全ては、前記組合せに含まれる特徴が相互に矛盾していなければ本発明の範囲内に含まれる。
本発明のさらなる態様と利点は、特に同様の部分が同様の符号をもつ添付の図面とともに考えたときに、下記の説明と特許請求の範囲において示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】好ましい円筒形添加剤容器の部分横断面図であり、添加剤が本発明の容器の両端を通って放出されている。本実施態様においては、容器の両端のネジ蓋が、穴又は開口を備えている。
【図1B】図1Aに示された容器に用いられる流体材料浸透性要素の種々の構成部品の分解図である。
【図2A】本発明の代替的円筒形添加剤容器の横断面図であり、圧入エンドキャップが、添加剤の容器からの放出を制御するのに役立つオリフィスを備えている。
【図2B】図2Aに示されるエンドキャップの端面図である。
【図3A】流体材料ラインと併せて使用中の図1Aの添加剤容器を示す概略図である。
【図3B】流体材料システムと併せて使用中の図2Aの添加剤容器を示す概略図である。
【図4A】本発明の添加剤容器の更なる実施態様の横断面図である。
【図4B】図4Aの4B−4Bの線に大体沿って切った図である。
【図5A】本発明の添加剤容器の別の実施態様の横断面図である。
【図5B】図5Aの5B−5Bの線に大体沿って切った図である。
【図6】本発明の一般的なボウル型添加剤容器の更なる実施態様の概略図である。
【図7】本発明の一般的な円筒形添加剤容器の更に別の実施態様の概略図である。
【図8】添加剤容器を含む流体材料フィルタアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、潤滑剤システム又は作動液システムより選ばれる流体材料システムに用いられる容器に関する。潤滑剤システムは、例えば、自動車、ディーゼルエンジンを動力とした装備、飛行機、汽車、トラック等の車両のモータ内、内燃エンジンのようなエンジン内のもの又はそれと関連があるものであり得るが、これらに限定されない。作動液システムは、車両液圧システム、エレベータ、農業機械等であり得るが、これらに限定されない。
そのような容器は、例えば持続条件下で、1つ以上の化学添加剤を、炭化水素システム潤滑剤組成物(例えば、潤滑油)のような液体潤滑剤又は作動液(例えば、炭化水素システム作動液組成物)より選ばれる流体材料システム中へ長時間にわたって徐々に放出するのに有効である。これらの添加剤には、抗酸化剤、耐摩耗添加剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、清浄剤/分散剤、潤滑剤等又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
反対に述べられない限り、1つ以上のもの又は動作を参照することに用いられる“含む”、“挙げられる”、“含まれる”及び“含んでいる”という言葉並びに “例えば”という略語は、その参照が具体的に言及される1つ以上のもの又は動作に限定されないことを意味する。
本容器は、ケーシング、例えば、実質的に中空の内部をもつ又は規定している流体材料不溶性且つ流体材料不浸透性のケーシングを含む。ケーシングは少なくとも1つの開口をもっている。ケーシングは、適切な形及び大きさのいずれをも有することができ、それらはしばしば関係する特定の用途と適合するように選ばれる。ケーシングは、例えば、実質的に円筒形、実質的にボウル型又は他の多数の形のいずれであってもよい。ケーシングは、1以上の曲がった及び/又は平らな壁を有し得るか、又は全部の曲がった若しくは平らな壁を有してもよい。
ケーシングの少なくとも1つの開口は、ケーシングの1つ又は複数のどの場所に設けられてもよい。例えば、前記のような1つ又は複数の開口は、所望されるようにケーシングの上面及び/又は底面及び/又は端面及び/又は1つ若しくは複数の側面に位置し得る。1つ又は複数の開口に対する場所の選択は、しばしば、関係する特定の用途、及び/又は本添加剤容器の製造の容易さ及び/又はコスト等の要因に少なくとも部分的に基づき、容器の性能効果に対して少なくともある影響を有し得る。
【0011】
本発明を更に明瞭に図示し説明するために、円筒形ケーシングとボウル型ケーシングが本明細書では強調されている。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、他の形のケーシングに応用できる。そのような他の形のケーシングを含む容器は、本発明の範囲内に包含される。
一実施態様においては、ケーシングは、形が、例えば第一端と第二端を有する、円筒形であってもよい。ケーシングは、例えば、第一端と第二端の一方又は双方及び/又はケーシングの側壁に少なくとも1つの開口を与えられている。ケーシングは、実質的にボウル型であってもよい。例えば、ボウル型ケーシングは中空内部、上面、底面、1つ以上の側面を規定している。1つ又は複数の開口は、上面、底面及び/又は1つ以上の側壁に位置し得る。
少なくとも1つの流体材料可溶性添加剤を含む流体材料用添加剤組成物は、ケーシングの中空内部に供給され得る。少なくとも1つの流体材料浸透性要素は、ケーシングの少なくとも1つの開口に又はその近傍に設けられる。例えば、流体材料浸透性要素は、ケーシングの各開口に又はその近傍に設けられることが有利である。1つ又は複数の前記流体材料浸透性要素は、流体材料用添加剤組成物の一部をケーシングと接触している状態の流体材料組成物中へ、例えば、ケーシング内の添加剤の残量を保持しつつ時間をかけて持続した様式で放出させことを提供するのに有効である。
容器のケーシングは、1つ又は複数の適切な構成材料から製造し得る。前記のようなケーシングは、添加剤組成物若しくは流体材料組成物に対して又は本容器の性能に対して実質的に有害な影響を有さない。ケーシングは、好ましくは、鋼、アルミニウム、金属合金等のような金属、高分子材料、それらの組合せ又はそれらの混合物より選ばれる物質から構成される。特に有用な一実施態様においては、ケーシングは金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(高密度及び/又は低密度)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリエステル、アセタール、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる。
【0012】
一実施態様においては、本発明の容器の少なくとも1つの流体材料浸透性要素又は構成部品、好ましくは多孔質膜又は半透膜のような少なくとも1つの流体材料浸透性膜を含むものは、流体材料とケーシング内に供給される流体材料用添加剤との接触を容易に又は可能にする。膜は任意で、所望される場合、ケーシングに対して実質的に固定された位置、例えば、ケーシング内の実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である少なくとも1つの膜保持部材又は2つ以上の保持膜、例えば、オープンメッシュスクリーン、織布等が付随していてもよい。
本発明の流体材料浸透性膜は、有利には、好ましくは高分子材料、ガラス、金属、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる適切な流体材料不溶性材料から構成されている。例えば、適切な材料としては、ガラス、ナイロン、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースポリマー、ポリウレタン、ステンレス鋼メッシュ、焼結金属(例えば、焼結金属ディスク等)、金属膜フィルタ(銀膜フィルタ等のような)等、それらの組合せ又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。膜は或いは、流体材料用添加剤が例えば拡散(必ずしも孔を通らなくもよいが)によって通過し得る材料であってもよく、前記材料は例えばシリコーンゴム、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、天然又は合成のゴム、他のポリマー又はワックス、それらの組合せ又はそれらの混合物である。前記膜は、しばしば半透膜と呼ばれる。一実施態様においては、“半透膜”が、流体材料に浸透性の高分子材料の連続皮膜を指し、微細なチャネルを通じて分子を拡散させることを可能にする。そのような半透膜の孔サイズは、容易に測定されず、典型的には約0.2マイクロメートル(ミクロン)未満である。
【0013】
本発明の流体材料浸透性膜は、好ましくは多孔質膜、有利には約0.2マイクロメートル(ミクロン)〜約100マイクロメートル(ミクロン)の孔サイズを有するもののような微小孔性膜、更に好ましくは約5〜約20マイクロメートル(ミクロン)、例えば約10マイクロメートル(ミクロン)の孔サイズを有する微小孔性膜を含んでいる。本明細書に示されるように、“膜”は単一層であってもよく、多重パイルが含まれてもよい。膜の厚さは、好ましくは約0.1 mm〜約0.5 mm又は約1 mm又は約5 mmの範囲であるが、他の厚さも効果的に用いられ得る。膜材料の例としては、金属ワイヤメッシュ; ナイロン等のようなポリマーメッシュ; 濾材; それらの組合せ及びそれらの混合物等が含まれる。特に有用な膜材料は、例えば、流体材料フィルタ中の濾材として有用な材料が含まれる。そのような材料の例には、STRATOPOREの商標の下でFleetguard-Nelsonにより販売されている濾材、及びWhatmanやMilliporeから入手できる濾材が挙げられる。
本装置の流体材料浸透性膜は、適切な流体材料不溶性材料を含み、ナイロン、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)等、それらの組合せ又はそれらの混合物であり得る。選択される材料が流体材料システムの熱-冷反復サイクル下で硬さが不十分なものである場合は、より耐熱性の材料、例えば、セラミック、ガラス等、それらの組合せ又はそれらの混合物から製造されたものが用いられ得る。
【0014】
上記のように、一実施態様においては、流体材料浸透性要素が少なくとも1つの保持部材を更に含んでいる。例えば膜は、例えばステンレス鋼メッシュスクリーンといった1つ以上のワイヤスクリーン又はメッシュスクリーンによって、ケーシングの開口を横切って保持され得る。更に詳しくは、膜が、少なくとも2つの保持部材の間に挟まれ得る。保持部材は、好ましくは、例えばケーシングからの化学添加剤を容器と接触した状態の流体材料中へ、例えば拡散により通過させることを容易に又は可能にするメッシュサイズをもつように構成される。一例を挙げると、1つ又は複数の保持部材は、好ましくは約10〜約300マイクロメートル(ミクロン)又は約500マイクロメートル(ミクロン)以上の範囲のメッシュサイズを有する。特に好ましい保持部材は、金属、例えば、ステンレス鋼スクリーニング及び/又は織布である。
流体材料浸透性部材の1つ以上の構成部品は、容器と接触した状態の、例えば炭化水素システム潤滑剤又は炭化水素システム作動液といった潤滑剤組成物又は作動液組成物に少なくとも部分的に可溶性であり得る。例えば流体材料浸透性要素には、少なくとも部分的に流体材料溶解性シール又はシーリング要素、例えば、ワックス(パラフィン)シールが含まれ得る。シーリング要素は、シールされた容器を形成するためにアセンブリ膜及び/又は保持部材に加えることができ、添加剤組成物がケーシングから漏れずに及び/又は大気にさらされずに効率的に輸送及び/又は保管され得る。流体材料用添加剤組成物がケーシングに含まれる場合には、シールが、例えば周囲温度で又はおよそ周囲温度で、液体添加剤組成物に可溶性でないように選ばれることが好ましい。この“添加剤不溶性”シールの特徴は、液体添加剤組成物が輸送又は保管中にケーシングから漏れるという危険性を実質的に減少させる又は取り除きさえもする。シールは、容器又はケーシングが流体材料にさらされた後に、例えば、高温で溶解し、よって化学添加剤のケーシングからの放出を可能にする。
【0015】
非常に有用な実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリが、ケーシングが流体材料と接触した状態に配置された後でさえ、流体材料用添加剤組成物のケーシングからの放出を遅らせるように構成されている。例えば、特に新たな添加剤の完全な補充を含む新しい流体材料が流体材料システムに用いられる場合には、流体材料がかなりの時間ケーシングからの1つ又は複数の添加剤を必要としなくてもよい。従って、添加剤のケーシングからの放出を長時間遅らせることが有利であることもある。
一実施態様においては、シーリング要素が流体材料に溶解することに抵抗する材料を含み、例えば、そのため流体材料に長時間さらされた後にのみシールが損なわれ(compromised)、ケーシングからの添加剤が流体材料中へ放出される。非常に有用な実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリに用いられる1つ又は複数の材料が、流体添加剤組成物の流体材料への放出を開始する際に所望される程度の遅れが生じるように選ばれる。そのような選択は、例えば、関係する特定の用途の通常の動作温度及び条件で該流体材料における種々のシーリング材料の溶解度を測定することにより、容易に決定され得る。シール要素又はアセンブリは、ケーシングが流体材料と接触させられた実質的に直後に、1つ又は複数の添加剤がケーシングから流体材料中へ放出されるように構成され得ることは当然のことである。
特に有利な一実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリには、支持構造物、例えばワックスポリマー等といった流体材料可溶性ポリマー若しくはシール部材で被覆若しくは含浸されている又は前記ポリマー若しくはシール部材と別の方法で結び付けられているワイヤスクリーン、織布材料等のような多孔材料が含まれる。例えば、好ましいシールは、例えば流体材料可溶性ワックス及びポリマー等といった冷まして置かれ固められる流体材料可溶性ポリマーで含浸又は被覆又は前記ポリマーと別の方法で結び付けられた前記のようなワイヤスクリーン又は織布支持体を含む。そのような流体材料可溶性高分子シーリング材料、例えば、ポリイソブチレンワックスは、支持構造物を含まないシーリング要素として使用し得る。一実施態様においては、シーリング要素の支持構造物は、流体材料浸透性要素の膜に対する保持部材である。そのような支持構造物/保持部材の使用は、輸送や保管のための容器をシールすること及び添加剤のケーシングからの放出の間に定位置で膜を保持することを容易にするのに有効である。
【0016】
特に有利な一実施態様においては、シーリング要素が、流体材料可溶性ポリマーで被覆又は含浸された多孔質又は微多孔性材料、例えばワイヤスクリーン又は織布材料を含む。例えば、好ましいシールは前記のようなワイヤスクリーン又は織布を含み、前記ワイヤスクリーン又は織布は、ワックス(不溶性)又はポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(可溶性)を含む(がこれらに限定されない)ポリエチレンオキシドで含浸されて、冷やして置かれ固められている。
1つ又は複数の前記材料が化学添加剤、流体材料又は本容器の性能に対して過度に有害な影響を与えなければ、適切な材料又は材料の組合せのいずれもは、少なくとも部分的に流体材料溶解性の本シールに用いられ得る。例えば本シールは、少なくとも約60℃(約140oF)の軟化温度を有しており且つ処理すべき流体材料に可溶性である天然及び/又は合成ワックスより選ぶことができる。シールを製造し得る代表的な材料には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリイソブチレンワックス等及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。前記材料は、流体材料の品質を損なわず、流体材料を実際に向上させ得る。例えば、潤滑剤の場合には潤滑性を向上させ得る。
本発明の容器内に供給される流体材料用添加剤組成物は、流体材料へ放出される場合に、流体材料及び/又は流体材料が用いられている流体材料システムに1つ以上の利点又は有益な特性を付与又は維持するのに有効である少なくとも1つの化学添加剤を含んでいる。添加剤組成物は、液体、ゲル、ペースト又は固体粒子、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット若しくは顆粒等、又はそれらの混合物の形態でケーシング内に供給され得る。
本発明の流体材料用添加剤組成物は、有利には、本明細書の他の場所で考察されるように、化学添加剤を少なくとも部分的に取り囲む又は封入する又は被覆するコーティング材料を更に含むことができる。前記コーティング材料は、所望されるように化学添加剤のケーシングからの放出の制御を少なくとも援助するために、又は制御するために供給され得る。コーティング材料は、流体材料可溶性であっても流体材料不溶性であってもよい。化学添加剤に対するコーティングは、ケーシングから流体材料組成物中への添加剤の少なくとも一部の放出を可能にする又は許容するようなものにすべきである。
【0017】
本発明の流体材料用添加剤成分は、マトリックス材料中、例えば、流体材料不溶性高分子材料のような流体材料不溶性マトリックス材料中に置かれてもよい。マトリックス材料がいくらかでもあるとすれば、ケーシングから流体材料中への添加剤成分の放出を可能にする又は許容するようなものであるべきである。マトリックス材料は、有利には、添加剤成分の流体材料への放出の制御を少なくとも援助するのに、又は制御するのに有効である。一実施態様においては、添加剤成分はケーシング内に存在し、マトリックス材料は用いられていない。
一実施態様においては、本明細書に考察されるように、高められた添加剤放出制御を達成するために、1つ又は複数の流体材料浸透性要素には、ポリマー含有膜、例えば、ポリマー被覆膜が含まれる。この後者の態様においては、膜、即ち、1つ又は複数の流体材料浸透性要素の膜が、例えば、スプレーコーティング、浸漬コーティング等によってポリマー材料で適切に被覆され、含浸され又は別の方法で前記ポリマー材料と適切に結び付けられている。適切なポリマー材料には、処理される流体材料、ケーシング内の添加剤成分又は本容器の性能に対してほとんど有害な影響がない流体材料不溶性材料が含まれるが、これらに限定されない。そのようなコーティング材料の例としては、Mitchellらの米国特許第6,010,639号に挙げられたものが含まれ、その開示は参照により本明細書にそのまま含まれるものとする。特に好ましいポリマー材料はポリエチレン酢酸ビニル共重合体である。更に、又は或いは、1つ又は複数の流体材料浸透性要素の本保持部材は、材料、例えば、Mitchellらの米国特許第6,010,639号に開示されたもののような流体材料不溶性ポリマー材料で被覆され、含浸され、又は別の方法で前記ポリマーと結び付けられ、所望されるように、ケーシングからの添加剤組成物の放出の制御を少なくとも援助し得る又は制御し得る。
本発明の容器は、好ましくは、ケーシングの1つ又は複数の開口を通って又は別な方法により1つ以上の流体材料用添加剤で充填される。
本発明の容器、例えば、容器のケーシングには、例えば、ケーシングの内部の空間を添加剤組成物で充填することを容易にするために、ケーシング又はケーシングの残りのものから脱着可能又は取り外し可能であり得る1つ以上の流体材料不浸透性キャップ部材又は流体材料不浸透性プラグが含まれてもよい。
【0018】
ケーシングが実質的に円筒形で1つ又は複数の開口がケーシングの一端又は両端にある本発明の一実施態様においては、ケーシングの一端又は両端にはキャップ部材が含まれてもよく、キャップ部材の少なくとも1つは、ケーシング又はカートリッジが流体材料用添加剤組成物で充填又は再充填することができるように取り外し可能である。必要に応じて、ケーシングのもう一方の開放端には、例えば製造中、例えば容器の射出成形中、永続的にシールされているキャップ部材が含まれてもよい。キャップ又はプラグをねじ切り又はねじ込みによってケーシングに取り付けるときはいつでも、ネジ山が、成形中又は成形後に適切なダイでそれぞれの部分に又は金型の中に施される。キャップ部材は、あるいは、圧入によってケーシングに施され得る。この場合、ケーシングと末端部分との間にスナップフィットさせるのに適した許容範囲を、例えば、それぞれの部分を作るために用いられるプラスチックの射出金型に与えることができる。末端部分は、例えば、射出成形中にケーシングと一体的に形成することもできる。
化学添加剤を含有するケーシングの少なくとも一端を閉鎖することに用いられるキャップ又は末端部は、典型的には少なくとも1つの開口を備えており、化学添加剤の放出を可能にし且つ容器の外部に位置する流体材料とケーシング内部の中に配置される流体材料用添加剤組成物との間に流体の連絡を提供する。末端部がケーシングと一体的に形成されるときはいつでも、ケーシングの形成中又は形成後に、例えば射出成形によって、前記末端部に開口が提供され得る。
本発明の容器を用いて添加剤組成物を流体材料システムへ放出することが提供され、放出速度がいくつかの要因を考慮することにより実質的に制御され得ることは、当業者によって理解されるであろう。次の要因及びその他の要因も、本発明の容器の性能と有効性に対して効果があり得る。例えば、所望の流体材料用添加剤放出速度は、膜層の数と種類;膜組成;;もしあれば、膜孔サイズ;もしあれば、支持部材又は膜及び/又は保持部材に結び付けられている、例えば、それらを被覆しているポリマーの存在する場所、種類、量;もしあれば、添加剤組成物においてコーティングの存在する場所、種類、量:の適切な選択によって得ることができる。放出速度は、ケーシング内の開口の数とサイズ等によっても影響され得る。考慮すべき他の要因には、特に、流体材料用添加剤組成物中の化学添加剤の種類と形、添加剤の溶解度、潤滑剤温度、例えば、潤滑剤温度、流体材料ラインを通る流体材料の速度等の要因が含まれる。
【0019】
化学添加剤を、好ましくは制御された速度で、液体流体材料組成物中へ放出する方法も本発明の範囲内に含まれることが更に企図される。該方法は、化学添加剤成分又は組成物を含有している本明細書に記載される容器又はカートリッジを流体材料組成物と接触した状態で配置するステップを含んでいる。本明細書に記載される容器又はカートリッジ構成は好ましくは、添加剤成分をケーシング内部から流体材料組成物中へ放出すること、好ましくは制御放出することを可能にする。ある構成においては、流体材料組成物を、化学添加剤を含有するケーシングの周りに流動させ包囲させることが企図される。しかしながら、これらの構成においてさえ、化学添加剤の放出は、ケーシングを通る流体材料組成物の強制流動によるよりも、例えば受動拡散によって、持続及び/又は制御されることが好ましい。
本発明の容器又はカートリッジでの使用のための化学添加剤成分は、好ましくは液体、ゲル、ペースト又は粒子、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット、顆粒、これらを被覆したもの等、又はそれらの混合物として供給される。粒子の物理的サイズは、本明細書の他の場所に記載される本発明の流体材料浸透性成分の通過を妨げるのに十分な大きさである。
本発明と用いられる化学添加剤は、流体材料及び/又は流体材料システムの中で幾らか有益な機能を果たす。例えば、流体材料用添加剤組成物には、1つ以上の粘度指数向上剤、抗酸化剤(酸化防止剤としても知られる)、耐摩耗剤、分散剤/清浄剤、潤滑剤、乳化破壊剤等及びそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。更に、添加剤は多機能であり得る。即ち、各添加剤が1つ以上の特定の機能を果たし得る。
表1には、添加剤の種類例、添加剤の種類の分類の例、及びある種の化学添加剤の例が含まれるが、これらに限定されない。表には添加剤の幾つかの機能も含まれている。添加剤は、表に含まれる機能のみを行うように限定されない。
【0020】
【表1】
【0021】
【0022】
本明細書で用いられる“添加剤”という用語には、徐放性成分と配合又は混合されて流体材料に有益な性質を与え得る材料のいずれもが含まれる。例えば、好ましい実施態様においては、油溶性モリブデン化合物が潤滑剤に添加されて、摩擦を減少させ、耐摩耗剤及び抗酸化剤(酸化防止剤)として作用する。好ましい油溶性モリブデン化合物は、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルによるモリブデンジチオカーボネートである。Holtらの米国特許第6,172,013号には、ポリカルボン酸エステル類と1価アルコールから製造されたエステル類で調製された前記の種類のモリブデン化合物が記載されている。エステル基油は、約500 ppmの濃度で用いられるモリブデン ジチオカーボネートと、約5%〜約15% wt/wt又はwt/volで用いられ得る。
別の実施態様においては、流体材料が薄まることに抵抗するために、粘度指数向上剤が流体材料に添加される。粘度指数向上剤は、自動変速機液の潤滑システムに用いることができる。粘度指数向上剤は、通常は高分子材料である。Tiptonの米国特許第6,133,210号に開示されているように、せん断抵抗ポリマーは、高分子量ポリマーに比べて多量に用いられる低分子量ポリマーである。Blochらの米国特許第5,641,732号には、ハイドロカルビルポリマーやポリエステル類を含む粘度指数向上剤が使用/教示されている。Cusanoらの米国特許第4,146,492号に概略が述べられている一実施態様においては、流体材料組成物が、エチレン-プロピレン共重合体を含む粘度指数向上剤として作用する添加剤を含んでいる。粘度指数向上剤の別の実施態様は、高分子カルボン酸エステルを含んでいる。
【0023】
流体材料に使用し得る耐摩耗剤には、表1に含まれるものと亜鉛ジチオフォスフェート類、ジチオフォスフェート類、ジチオリン酸、ジチオリン酸の塩、チオリン酸エステル類、チオリン酸エステルのアミン塩又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。前記の添加剤の一実施態様は、Mathurらの米国特許第5,622,923号に概略が述べられているように、モノチオリン酸エステル及びそのアミン塩を含む群に由来する少なくとも1つのモノチオリン化合物を含んでいる。モノチオリン化合物は、ハイドロカルビルを末端基とするオキシアルキレン又はハイドロカルビルを末端基とするポリオキシアルキレンを有する。
抗酸化剤(酸化防止剤)は、潤滑剤組成物や作動液組成物に有効である。抗酸化剤の例としては、表1に開示されたものが含まれている。
分散剤/清浄剤も、流体材料中の添加剤として用いられる。有用な分散剤や清浄剤は表1に見出される。
乳化破壊剤の添加剤は、流体材料に用いられてもよい。乳化破壊剤には、油-水分離を促進する物質が含まれる。乳化破壊剤は、ポリオキシエチレンエーテル類が含まれてもよい。亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート(ZDP)は、乳化破壊剤と組合せて用いた場合に有用であり得る。
本発明の装置は、流体材料フィルタ内であって濾材の上流若しくは下流のいずれかに置かれ得るか、又は流体材料ラインの実質的に固定された位置であって流体材料フィルタの上流若しくは下流のいずれかに設けられ得る。添加剤の流体材料への放出は、孔サイズ、膜の厚さ、膜組成、膜の表面積、液体添加剤の粘度、添加剤の表面張力や膜湿潤性能、動作温度、添加剤の溶解度等によって、少なくとも一部は支配されている。
ここで、本発明を特定の実施例によって説明するが、これらは例示であり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0024】
<実施例>
(実施例1 二重放出容器)
ここで図1Aを参照すると、容器1は、端が開放されている固体の円筒形のPVCケーシング3と、ねじで取り付けられているエンドキャップ5及び5'を含んでいる。ケーシング3は、2つの開放端4をもっている。流体材料用添加剤組成物の粒子7がケーシング内に供給され、内部と外部のスクリーン9及び流体材料浸透性膜11によってケーシング内に保持される。ワックスシール10は、容器の輸送/保管のために外部スクリーン9に施されている。或いは、又は更に、ワックスシールが内部スクリーン9に施され得る。シールが上端に位置する場合には、シールは実質的に直接流体材料と接触した状態になり、流体材料用添加剤組成物のより速い放出をもたらす。シールが底面に位置する場合には、流体材料が、ワックスを溶解するために最初に膜を通過しなければならない。そのようなシール配置は、流体材料用添加剤組成物の最初の放出の遅れが所望される場合には、前記放出を遅延させるのに有効であり得る。ワックスシールは、容器が使用されて置かれているときはいつでも、侵食/溶解される。エンドキャップ5及び5'は、流体材料組成物の浸潤及びケーシング3の多孔質膜11との接触を可能にする開口13及び13'をそれぞれ備えている。更に、膜11を通っての流体材料用添加剤の放出は、流体材料用添加剤の流体材料組成物への取り込み、及び流体材料用添加剤の流体剤システム全体を通っての循環を可能にする。図1Aの矢印は、容器1内外の流体材料の流れを示している。
図1Bは本発明の好ましい流体材料浸透性要素の分解図であり、流体材料浸透性膜11の両側にメッシュスクリーン9を含んでいる。スクリーン9は、ケーシング3の所定の位置に膜11を保持する大きさで且つ保持するのに有効である。流体材料浸透性部材11は、流体材料を粒子7と接触させるのに、また流体材料用添加剤がケーシング3を出ることを可能にするのに有効である。スクリーンは、ケーシング3内に粒子7を保持するために膜11を更に支援する。
長さ15.24 cm(6インチ)×内径3.81 cm(1.5インチ)の容器1について、ケーシング内部の添加剤の量は約186 ml(173 g)である。パラフィン(ワックス)シール10は外部スクリーン9に施され得る。好ましいワックスの融点は70℃(158oF)であり、38.78℃(100oF)で数時間かけて流体材料に溶解する。有効量の添加剤の放出は、約24時間以内に開始する。
【0025】
(実施例2 単放出容器)
図2Aは、図1Aに示される本容器の代替的実施態様の横断面図を描いている。本実施態様においては、ケーシング3Aがケーシング3と同様に構成されているが、エンドキャップ5Aで蓋がされている開放端14をたった1つだけ有する。エンドキャップ5Aは、ケーシング3Aにねじ込まれるよりもむしろ圧入され、容器1からの添加剤の放出を制御することを少なくとも助ける放出オリフィス12を更に備えている。本実施態様においては、膜11Aが、所定の位置に保持されて粒子7Aを保持するのに充分に剛性である。ワックスシール10Aは、膜11Aに近接して位置して、好ましくはその上に位置して、輸送/保管用容器1Aをシールする。図2Bは、オリフィス12を明瞭に示している図2Aに示されるエンドキャップ5Aの端面図(end view)を示す。容器1Aは、流体材料と接触した状態に置かれるときに、添加剤組成物をケーシング3Aから流体材料中へ一定時間にわたって持続した様式で放出させるのに有効である。
【0026】
(実施例3 二重放出構造)
図3Aは、二重放出容器1A(図1Aに示されている)が“バイパス”添加剤放出導管(vessel)内に用いられている本発明の一態様を示している。特に、容器1Aはハウジング15内に水平に横たえられ、ハウジングボディ17に固定されているネジ蓋19によって、ハウジングの中に保持されている。注入口ライン21からの流体材料の流れは、ハウジング15に入り、流出口ライン23を通って出る。その間ハウジング15内部では、エンドキャップ5と5’のそれぞれの開口13と13’を通って流体材料が循環し、容器1Aから流体材料への添加剤の放出が起こる。一般的には、流体材料が流体材料システムの流体材料ポンプ(図示せず)の作用によってハウジング15へ流れ込み、重力も役割を果たし得ることが理解されている。更に、流体材料フィルタ要素20、例えば、通常の周知設計のものが、出口又は流出ライン23の中に位置する。或いはフィルタ要素20が注入口ライン21の中に位置し得ることが理解される。そのような代替的態様は本発明の範囲内に包含される。
【0027】
(実施例4 単放出構造)
図3Bに示されるように、本発明の更なる態様は、流体材料システムに“バイパス”構造で提供されているハウジング26内に縦の配置で置かれている容器1A(図2Aに示されている)を有する。オリフィス12の代表的な直径は、長さが15.24 cm(6インチ)で内径が3.81 cm(1.5インチ)である容器1Aの場合、1.905 cm(0.75インチ)である。示されているように、ハウジングボディ22及びハウジングトップ24が組み合って、ハウジング26内に容器を固定している。ハウジングO-リングシール27は、ハウジングボディ22とハウジングトップ24との間に設けられており、ハウジング26の内部空間をシールする。注入口ライン21Aからの流体材料の流れはハウジング26に入り、出口ライン23Aを経て出る。その間ハウジング26内部では、流体材料がオリフィス12を出たり入ったりして通過し、添加剤を容器1Aから流体材料中へ放出させる。流体材料ポンプと流体材料フィルタ要素は、実施例2と同様の様式で本実施態様によって用いられ得る。
【0028】
(実施例5 ボウル型構造)
ここで図4Aと図4Bを参照すると、本発明の容器100が更に示されている。容器100は、一般的には、内部111が流体材料用添加剤組成物107で充填されているボウル型の流体材料不浸透性ケーシング110と、例えば、形が円形である相対的に幅の広い開放上端112を含んでいる。容器100は、開放端112を横切って配置されている、好ましくは開放端112を実質的に完全に覆っているキャップ部材116を更に含む。
容器100は、例えば、自動車エンジン(図示せず)の流体材料ラインに有用である。容器は、例えば図3Aと図3Bに示されるものと同様の様式で、流体材料ラインに典型的に配置又は固定されている。
図示された好ましい容器100においては、容器100を流体材料用添加剤組成物で充填及び/又は再充填することができるように、キャップ部材116がケーシング110に取り外し可能に固定されていることが好ましい。示されるように、キャップ部材116は、ケーシング110の周辺又はリム118から引っ込めて置かれ得る。
キャップ部材116は、弾性O-リング124等によってケーシング110の内部表面122に固定され得る。
キャップ部材116には少なくとも1つの入口12B、好ましくは複数の入口128が含まれ、容器100の外部を流れる流体材料組成物(図示せず)がケーシング110に入り流体材料添加剤組成物107と接触することを可能にする。
【0029】
流体材料用添加剤の流体材料への放出を制御するために、流体材料浸透性要素130が提供される。より具体的には、流体材料浸透性要素が、溶解性シール層134、膜フィルタ部材層136、1つ以上の入口140が通っているプレート部材138が含まれている。
溶解性シール層134は、本明細書に記載される流体材料可溶性ポリマーで含浸されているワイヤ又はメッシュスクリーン、例えばステンレス鋼スクリーンを含んでいることが好ましい。層136は、本明細書に記載される濾材の層である。
プレート部材138は、アルミニウム、又は炭化水素流体材料に不溶である1つ若しくは複数の他の材料から製造され得る。プレート部材138は内部に伸びているツメ139を用いて内部111の所定の位置に支持され、前記ツメはケーシング110の内壁141に対して固定された隣接関係にある。図4Aに示されるように、プレート部材注入口140は一般的にキャップ部材注入口128と一直線上にある。あるいは、プレート注入口128及びキャップ注入口140が、部分的に又は全体的に、互いから中心線をはずして置かれてもよい。注入口128、140のサイズ(及び、応用できる場合にはオフセット位置)は一般的に流体材料用添加剤の流体材料への放出速度に影響するであろうことが理解されるであろう。図示された実施態様においては、シール層134、膜層136、プレート部材138の各々が環状、又は“ドーナツ”型である。
図4Aに示されるように、溶解性シール層134は膜層136の上にかぶせられ、これら層134、136の両方は、キャップ部材116とプレート部材138との間に挟まれている。シール層134と濾材層136が、あるいは、注入口128、140を少なくとも遮断するのに十分な大きさである、より小さな複数(multiple)要素を含んでもよい。
容器100は、容器1Aと実質的に同様な様式で機能し、添加剤を容器から流体材料へ放出するのに有効である。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2に記述するのと同様の様式で本実施態様に用いられ得る。
【0030】
(実施例6 代替的ボウル型構造)
図5Aと図5Bは、図4Aと図4Bに示される容器100と一般的に類似する本発明の更に別の容器200を示している。容器200は、一般的には、流体材料用添加剤組成物207を含むための中空内部211を規定しているボウル型ケーシングを含む。更に、アルミニウムプレート部材213は、流体材料用添加剤組成物207をケーシング210内に保持するために、ケーシング210の内壁241に固定されている。アルミニウムプレート部材213には、複数の注入口212、例えば、図示されている4つの注入口212が含まれている。複数の注入口212の各々のカバーは、溶解性流体材料可溶性ポリマーシール216である。
個々の4つの支持構造物218は、それぞれの注入口212の真下でプレート部材213に固定されている。前記構造物218の各々は開口220をもち、プレート部材213と開口220との間に膜セグメント222を収容する大きさである。
容器220は、容器100と同様の様式で用いられてもよく、添加剤を内部から流体材料へ放出することに機能し得る及び有効であり得る。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2と同様の様式で本実施態様に使用され得る。
【0031】
(実施例7及び実施例8 異なる配置の開口を含む容器)
本明細書に述べられたように、開口と流体材料浸透性要素が容器のケーシングに1つ又は複数の場所で含まれる容器は、本発明の範囲内に包含される。例えば、図6に示されるように、ボウル型容器300は少なくとも1つの開口と流体材料浸透性要素を含む1つ以上の構造物を有してもよく、前記構造物は一般的に302として示され、ケーシング310の上面304及び/又は底面306及び/又は側壁308にある。また、図7に示されるように、円筒形容器400は、少なくとも1つの開口と流体材料浸透性要素を含んでいる1つ以上の構造物を有してもよく、前記構造物は一般的に402として示され、ケーシング410の第一端404及び/又は第二端406及び/又は側壁408にある。
構造物302及び402の各々には、ケーシング310及び410それぞれの開口、輸送/保管に有効であるシール層、及びケーシング内の添加剤の流体材料への放出を制御するのに有効である膜層が含まれる。構造物302又は構造物402は、流体材料浸透性要素をケーシングに固定するための本明細書に記載するものに類似する技術を用いて、それぞれケーシング310と410に固定される。前記の類似する技術は本技術分野において通常の技能の範囲内で可能であり、ここで詳細に記載する必要がない。容器300及び400は、容器1、1A、100及び200に対して本明細書で記載されるのと類似する様式で用いることができ、添加剤を容器から流体材料へ放出するのに有効である。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2に記載するのと類似する様式で本実施態様に用いられ得る。
【0032】
(実施例9 添加剤容器を含んでいるフィルタアセンブリ)
図8は、本発明の添加剤容器560がセンターチューブとして用いられている流体材料フィルタアセンブリ550を模式的に示している。容器560は円筒形であり、本明細書に記載される多くの容器と一般的に類似して構成されている。
注入口ライン562からの流体材料は、フィルタハウジング564の中へ移動し、通常得の構造の濾材566と接触する。濾過された流体材料は、次に容器560と接触させられ、容器からの添加剤が流体材料へ放出される。添加剤に富む濾過された流体材料は、次に流出口ライン570を通ってフィルタハウジング554から移動して、使える状態となる。
フィルタアセンブリは、流体材料が濾材と接触する前に最初に添加剤容器と接触するように構成されてもよく、そのような代替的構成も本明細書の範囲内であることが留意されるべきである。
いずれにしても、添加剤容器560が、添加剤の徐放を提供すること及びフィルタアセンブリ550の構造部材として存在することの双方に働き且つ有効である。
種々の具体的な実施例及び実施態様に関連して本発明を説明してきたが、本発明がそれらに制限されず、特許請求項の範囲の範囲内で種々に実施し得ることが理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、いずれも2001年8月24日出願の米国仮特許出願第60/314,960号及び同第60/314,764号の恩典を主張する。それぞれの開示内容は本願明細書に含まれているものとする。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、潤滑剤システム、例えば、自動車、トラック、重機等(これらに限定されない)ようなものの内燃エンジンの潤滑剤システム、及び作動液システム、例えば、自動車、エレベータ、農業機械や土木機械等(これらに限定されない)のものの作動液システムより選ばれる流体材料システムに補助的化学添加剤を供給するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
内燃エンジンは、電動車両を推進する依然として優勢な手段である。それらは、代替的メカニズムより多くの利点、特にコストと便利さを与えるものである。そのようなエンジンには、潤滑が必要であり、通常は循環する潤滑剤が用いられている。良好な性能を得るために、潤滑剤には、使用期間後に消耗及び/又は不足し得る1つ以上の添加剤がしばしば含まれる。潤滑剤の品質を維持及び/又は増強するために粘度指数向上剤や抗酸化剤等の潤滑剤用添加剤を潤滑剤に添加することが望ましい。
作動液は、有用な機械的利点を提供するシステムにおいて非常に価値がある。これらの作動液は、しばしば非常に長時間、例えば、数年間、そのようなシステムに用いられる。流体中に最初に存在する添加剤は、例えば、長時間の流体使用中に、消耗及び/又は不足することがあり得る。特に流体が使用中である間に、前記作動液に添加剤の添加を提供することは有利である。
一般的には、車両流体システムに添加剤を導入する様々な方法が提案されてきた。Rohdeの米国特許第3,749,247号には、使用中のエンジンの炭化水素をベースとする流体材料へ酸化防止剤を放出するための容器が記載されている。酸化防止剤は、容器壁を通じて添加剤を潤滑剤へ浸透させることができるポリオレフィン容器内に保持されている。Lefebvreの米国特許第5,591,330号には、熱可塑性材料中の酸化添加剤が粒子濾過材料とフェルトパッドとの間のケーシングに取り付けられている炭化水素オイルフィルタを開示している他の方法も記載されている。報告によれば、熱可塑性材料は高温のオイルの存在下で溶解し、よって添加剤を放出させている。
上記装置は、様々な制限を受ける。本発明の目的は、最小限の人的介入を必要とし、化学添加剤を流体システムへ一定速度で放出するための比較的低コストの代替的装置を提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要約)
少なくとも1つの添加剤の液体潤滑剤組成物及び作動液組成物より選ばれる流体材料への放出、好ましくは制御された放出及び/又は徐放を提供するための新規な装置及び方法が開示される。本装置及び方法は、化学添加剤の装置から前記流体材料への徐放、好ましくは実質的に制御された放出を効果的に提供する。化学添加剤(例えば、流体材料用添加剤)は、いかなる種類であってもよく、例えば、潤滑剤に可溶性の潤滑剤用添加剤又は作動液に可溶性の作動液用添加剤であってもよい。
本装置及び方法は、液体潤滑剤組成物若しくは潤滑剤システム又は作動液組成物若しくは作動液システムより選ばれる流体材料若しくは流体材料システムへ添加剤を放出するための端的な方法を与える。1つ又は複数の添加剤以外の本装置の多くの構成部品は、流体材料に実質的に不溶であるので前記構成部品は原型を保持し、流体材料又は流体材料システムに溶解しない及び/又は有害な作用を及ぼさない。更に、本装置の構成部品のいくつかは、添加剤が消費された後に、即ち、流体材料へ実質的に完全に放出された後に再使用し得る。本装置は、コスト効率よく製造するのに容易でかつ端的であり、前記流体材料システムをほとんど又は全く変化させずに用いることができる。
本発明の広範囲の一態様は、少なくとも1つの添加剤の本明細書に定義された流体材料中への徐放又は段階的放出、好ましくは実質的に制御された放出を提供するように設計されている潤滑剤システム、例えば、車両、飛行機、発電設備、鉱山設備等に関連するもの(これらに限定されない)又は作動液システム、例えば、車両油圧システム、エレベータ、農業機械等に関連するもの(これらに限定されない)に用いられる流体材料用添加剤容器を対象としている。本容器は、実質的に中空の内部と少なくとも1つの開口を規定している流体材料不浸透性ケーシングを含んでいる。流体材料に可溶性の少なくとも1つの化学添加剤、例えば、少なくとも1つの流体材料可溶性補助的添加剤を含み、潤滑剤用添加剤組成物及び作動液用添加剤組成物より選ばれる流体材料用添加剤組成物は、ケーシングの内部に供給される。流体材料用添加剤は、液状、ゲル状、ペースト状、又は固形の形態で供給され得る。本発明の特に有用な一態様においては、流体材料用添加剤組成物が複数個の粒子として、又は粒子形態で、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット、顆粒又は他の粒子形態で供給される。
【0005】
本発明の装置のケーシング及び他の流体材料不浸透性構成部品は、好ましくは適切な金属、流体材料不溶性高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる材料で構成される。有用なケーシングは、鋼、アルミニウム等のような金属、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリフェニレンスルフィド、ポリフタルアミド、スルファロン等、これらの組合せ及びこれらの混合物より選ばれる材料から製造し得る。
本発明の容器には、ケーシングの少なくとも1つの開口に又は近傍で提供される少なくとも1つの流体材料浸透性要素又は構成部品が含まれてもよい。前記流体材料浸透性要素は、ケーシング内の化学添加剤組成物、例えば、流体材料用添加剤の一部を、ケーシングと接触した状態の流体材料中、例えば液体潤滑剤組成物又は作動液組成物中へ放出することを提供するのに有効である。そのような放出は長期間にわたって起こるので、少なくとも添加剤の最初の放出が起こった後、化学添加剤の一部はケーシング内に保持されている。本発明に従って得られる添加剤の放出は、添加剤の徐放又は制御された放出であることが好ましい。
本発明の一実施態様においては、ケーシングは形が実質的に円筒形である。ケーシングには、例えばケーシングの端に又はケーシングの側壁に少なくとも1つの開口が含まれ、前記開口において、流体材料がケーシング内に含まれる潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物の一部と接触することができる。例えば、開放端を支えるか又はそれに付着して、ケーシング内に潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物を保持するエンドキャップが用いられ得る。本発明の一実施態様においては、円筒形ケーシングには、2つの開放端が含まれ、それぞれの開放端はエンドキャップで覆われている。エンドキャップは、好ましくは、流体材料不浸透性材料を含み、潤滑剤用添加剤組成物及び作動液用添加剤組成物より選ばれる流体材料用添加剤をケーシング内に保持するのに有効である。エンドキャップには1つ以上の注入口又は開口が含まれており、ケーシングの外部に位置する流体材料とケーシング内の流体材料用添加剤との間の流体連絡が、添加剤を流体材料中へ、例えば拡散等で、好ましくはかなり制御された速度で放出することを可能にする。
【0006】
他の実施態様においては、ケーシングは形が実質的にボウル型である。少なくとも1つの開口は、ケーシングのいずれの箇所にも、例えば、ケーシングの上面、ケーシングの側面(側壁)及び/又はケーシングの底面に位置してもよい。有用な一実施態様においては、特にボウル型ケーシングが開放端、例えば、上面開放端を有する場合に、ケーシング内部の中に潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物を保持する手段を与えるキャップ部材が含まれ得る。キャップ部材は、有利には、高分子材料又は流体材料に実質的に不溶な他の材料から製造され、少なくとも1つの注入口又は開口、好ましくは複数個の注入口又は開口を含み、潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用組成物と流体材料との間の接触を可能にする。キャップ部材は、ケーシングの内部表面に固定することができ、その中に幾分陥凹していてもよい。本発明の一実施態様においては、キャップ部材は、例えば、O-リング又は他の適切な、例えば通常のシーリング要素若しくはアセンブリ(assembly)によってケーシングに取り外し可能に固定又は取り外し可能にシールされる。
更に、プレート部材をボウル型ケーシング内に設け固定することができる。プレート部材には、キャップ部材注入口と実質的に整列している1つ以上のプレート注入口が含まれている。プレート部材は、適切な流体材料不溶性材料のいずれからも製造され得る。
一実施態様においては、本発明の容器が、キャップ部材及び容器の開放端にわたって配置されているプレート部材の双方を有するボウル型ケーシングを含んでいる。流体材料浸透性要素は、キャップ部材とプレート部材との間に配置されているか又は挟まれている。
流体材料浸透性要素又は構成部品は、適切な流体材料浸透性構造を含んでもよく、その前記構造のすべてが本発明の範囲内に包含される。有用な一実施態様においては、流体材料浸透性要素又は構成部品が、フィルタ部材又は濾材、例えば、多孔質膜又は半透膜を含んでいる。別の有用な実施態様においては、流体材料浸透性要素又は構成部品がマイクロオリフィスを含んでいる。
【0007】
本発明の装置の多孔質膜又は半透膜は、特にケーシングが流体材料と接触した状態にあるときに、化学添加剤の流体材料中への所望の放出、好ましくは徐放を可能にする適切な材料のいずれもから製造することができる。前記膜は、流体材料不溶性材料、例えば、その中に不規則な大きさのチャネル又は不連続の大きさの孔をもつ材料から製造し得る。本明細書に用いられる“多孔質”膜は一般的には、ワイヤスクリーン又はろ紙といった実質的に不連続なサイズ範囲の孔を有する膜を指す。本明細書に用いられる“半透性”膜は、不連続なサイズ範囲の孔をもたないが、代わりに好ましくは狭いチャネルを通じて分子の拡散を可能にする分散媒を指し、前記チャネルのサイズは測定が困難であり得る。
一実施態様においては、膜、例えば、多孔質膜又は半透膜は、1つ以上のガラス及び/又は1つ以上の高分子材料を含んでいる。非常に有用な膜は、ナイロン、酢酸セルロース、セルロースポリマー、ガラス、ポリエステル、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン酢酸ビニル、天然ゴムや合成ゴム等、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる材料から製造することができる。
或いは又は更に、流体材料浸透性要素又は構成部品には、流体材料の存在下で溶解して、例えば徐々に溶解して、添加剤をケーシングから放出させる流体材料可溶性物質を溶解性シール、即ち、流体材料溶解性シールの形態で含み得る。前記溶解性シールは、例えば、流体材料可溶性ポリマーシールを含み得る。好ましくは、少なくとも1つの流体材料浸透性要素は、流体材料可溶性ポリマーで被覆されて適切なシール構造を形成し得る支持構造物、例えば、ワイヤスクリーン又は布又は他の流体材料不溶性材料を含み得るが、必須ではない。或いは、溶解性シールは、前記のような支持構造物を含まずに流体材料可溶性ポリマーのみを含み得る。添加剤を容器から流体材料中へより効果的に制御放出させるために、膜が、例えば、流体材料可溶性高分子材料又は流体材料不溶性高分子材料のような高分子材料又は流体材料不溶性高分子材料で被覆され得ることも留意される。
【0008】
別の広範囲態様においては、本発明は、化学添加剤を、好ましくは持続した、更に好ましくは実質的に制御された速度で流体材料中へ放出する方法に関する。これらの添加剤には、抗酸化剤、耐摩耗添加剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、清浄剤/分散剤、潤滑剤等及びこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本方法は、本明細書に示された容器を、液体潤滑剤組成物又は作動液組成物より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む。容器が流体材料にさらされたとき、流体材料が1つ又は複数の流体材料浸透性要素を通過、例えば前記要素を通じて拡散し、潤滑剤用添加剤組成物又は作動液用添加剤組成物の一部と接触する。1つ又は複数の添加剤の燃料材料中への放出、好ましくは持続した実質的に制御された放出が、例えば、流体材料浸透性要素を通って拡散することにより得られる。
有用な一実施態様においては、本発明の容器は、例えば、流体材料が用いられている間、流体材料を濾過することに用いられるフィルタアセンブリのセンターチューブ(center tube)へ少なくとも部分的に置換及び/又は組込まれる。従って、容器は、添加剤の放出を提供するのに、また、フィルタアセンブリの構造部材としても有効である。
本発明に記載された特徴の各々及び全てと、前記特徴の2つ以上の組合せの各々及び全ては、前記組合せに含まれる特徴が相互に矛盾していなければ本発明の範囲内に含まれる。
本発明のさらなる態様と利点は、特に同様の部分が同様の符号をもつ添付の図面とともに考えたときに、下記の説明と特許請求の範囲において示される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】好ましい円筒形添加剤容器の部分横断面図であり、添加剤が本発明の容器の両端を通って放出されている。本実施態様においては、容器の両端のネジ蓋が、穴又は開口を備えている。
【図1B】図1Aに示された容器に用いられる流体材料浸透性要素の種々の構成部品の分解図である。
【図2A】本発明の代替的円筒形添加剤容器の横断面図であり、圧入エンドキャップが、添加剤の容器からの放出を制御するのに役立つオリフィスを備えている。
【図2B】図2Aに示されるエンドキャップの端面図である。
【図3A】流体材料ラインと併せて使用中の図1Aの添加剤容器を示す概略図である。
【図3B】流体材料システムと併せて使用中の図2Aの添加剤容器を示す概略図である。
【図4A】本発明の添加剤容器の更なる実施態様の横断面図である。
【図4B】図4Aの4B−4Bの線に大体沿って切った図である。
【図5A】本発明の添加剤容器の別の実施態様の横断面図である。
【図5B】図5Aの5B−5Bの線に大体沿って切った図である。
【図6】本発明の一般的なボウル型添加剤容器の更なる実施態様の概略図である。
【図7】本発明の一般的な円筒形添加剤容器の更に別の実施態様の概略図である。
【図8】添加剤容器を含む流体材料フィルタアセンブリの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、潤滑剤システム又は作動液システムより選ばれる流体材料システムに用いられる容器に関する。潤滑剤システムは、例えば、自動車、ディーゼルエンジンを動力とした装備、飛行機、汽車、トラック等の車両のモータ内、内燃エンジンのようなエンジン内のもの又はそれと関連があるものであり得るが、これらに限定されない。作動液システムは、車両液圧システム、エレベータ、農業機械等であり得るが、これらに限定されない。
そのような容器は、例えば持続条件下で、1つ以上の化学添加剤を、炭化水素システム潤滑剤組成物(例えば、潤滑油)のような液体潤滑剤又は作動液(例えば、炭化水素システム作動液組成物)より選ばれる流体材料システム中へ長時間にわたって徐々に放出するのに有効である。これらの添加剤には、抗酸化剤、耐摩耗添加剤、粘度指数向上剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、清浄剤/分散剤、潤滑剤等又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
反対に述べられない限り、1つ以上のもの又は動作を参照することに用いられる“含む”、“挙げられる”、“含まれる”及び“含んでいる”という言葉並びに “例えば”という略語は、その参照が具体的に言及される1つ以上のもの又は動作に限定されないことを意味する。
本容器は、ケーシング、例えば、実質的に中空の内部をもつ又は規定している流体材料不溶性且つ流体材料不浸透性のケーシングを含む。ケーシングは少なくとも1つの開口をもっている。ケーシングは、適切な形及び大きさのいずれをも有することができ、それらはしばしば関係する特定の用途と適合するように選ばれる。ケーシングは、例えば、実質的に円筒形、実質的にボウル型又は他の多数の形のいずれであってもよい。ケーシングは、1以上の曲がった及び/又は平らな壁を有し得るか、又は全部の曲がった若しくは平らな壁を有してもよい。
ケーシングの少なくとも1つの開口は、ケーシングの1つ又は複数のどの場所に設けられてもよい。例えば、前記のような1つ又は複数の開口は、所望されるようにケーシングの上面及び/又は底面及び/又は端面及び/又は1つ若しくは複数の側面に位置し得る。1つ又は複数の開口に対する場所の選択は、しばしば、関係する特定の用途、及び/又は本添加剤容器の製造の容易さ及び/又はコスト等の要因に少なくとも部分的に基づき、容器の性能効果に対して少なくともある影響を有し得る。
【0011】
本発明を更に明瞭に図示し説明するために、円筒形ケーシングとボウル型ケーシングが本明細書では強調されている。しかしながら、本発明はこれらに限定されず、他の形のケーシングに応用できる。そのような他の形のケーシングを含む容器は、本発明の範囲内に包含される。
一実施態様においては、ケーシングは、形が、例えば第一端と第二端を有する、円筒形であってもよい。ケーシングは、例えば、第一端と第二端の一方又は双方及び/又はケーシングの側壁に少なくとも1つの開口を与えられている。ケーシングは、実質的にボウル型であってもよい。例えば、ボウル型ケーシングは中空内部、上面、底面、1つ以上の側面を規定している。1つ又は複数の開口は、上面、底面及び/又は1つ以上の側壁に位置し得る。
少なくとも1つの流体材料可溶性添加剤を含む流体材料用添加剤組成物は、ケーシングの中空内部に供給され得る。少なくとも1つの流体材料浸透性要素は、ケーシングの少なくとも1つの開口に又はその近傍に設けられる。例えば、流体材料浸透性要素は、ケーシングの各開口に又はその近傍に設けられることが有利である。1つ又は複数の前記流体材料浸透性要素は、流体材料用添加剤組成物の一部をケーシングと接触している状態の流体材料組成物中へ、例えば、ケーシング内の添加剤の残量を保持しつつ時間をかけて持続した様式で放出させことを提供するのに有効である。
容器のケーシングは、1つ又は複数の適切な構成材料から製造し得る。前記のようなケーシングは、添加剤組成物若しくは流体材料組成物に対して又は本容器の性能に対して実質的に有害な影響を有さない。ケーシングは、好ましくは、鋼、アルミニウム、金属合金等のような金属、高分子材料、それらの組合せ又はそれらの混合物より選ばれる物質から構成される。特に有用な一実施態様においては、ケーシングは金属、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(高密度及び/又は低密度)、ポリプロピレン(PP)、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリエステル、アセタール、ポリフェニレンスルフィド(PPS)等、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる。
【0012】
一実施態様においては、本発明の容器の少なくとも1つの流体材料浸透性要素又は構成部品、好ましくは多孔質膜又は半透膜のような少なくとも1つの流体材料浸透性膜を含むものは、流体材料とケーシング内に供給される流体材料用添加剤との接触を容易に又は可能にする。膜は任意で、所望される場合、ケーシングに対して実質的に固定された位置、例えば、ケーシング内の実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である少なくとも1つの膜保持部材又は2つ以上の保持膜、例えば、オープンメッシュスクリーン、織布等が付随していてもよい。
本発明の流体材料浸透性膜は、有利には、好ましくは高分子材料、ガラス、金属、それらの組合せ及びそれらの混合物より選ばれる適切な流体材料不溶性材料から構成されている。例えば、適切な材料としては、ガラス、ナイロン、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、セルロースポリマー、ポリウレタン、ステンレス鋼メッシュ、焼結金属(例えば、焼結金属ディスク等)、金属膜フィルタ(銀膜フィルタ等のような)等、それらの組合せ又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。膜は或いは、流体材料用添加剤が例えば拡散(必ずしも孔を通らなくもよいが)によって通過し得る材料であってもよく、前記材料は例えばシリコーンゴム、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル、天然又は合成のゴム、他のポリマー又はワックス、それらの組合せ又はそれらの混合物である。前記膜は、しばしば半透膜と呼ばれる。一実施態様においては、“半透膜”が、流体材料に浸透性の高分子材料の連続皮膜を指し、微細なチャネルを通じて分子を拡散させることを可能にする。そのような半透膜の孔サイズは、容易に測定されず、典型的には約0.2マイクロメートル(ミクロン)未満である。
【0013】
本発明の流体材料浸透性膜は、好ましくは多孔質膜、有利には約0.2マイクロメートル(ミクロン)〜約100マイクロメートル(ミクロン)の孔サイズを有するもののような微小孔性膜、更に好ましくは約5〜約20マイクロメートル(ミクロン)、例えば約10マイクロメートル(ミクロン)の孔サイズを有する微小孔性膜を含んでいる。本明細書に示されるように、“膜”は単一層であってもよく、多重パイルが含まれてもよい。膜の厚さは、好ましくは約0.1 mm〜約0.5 mm又は約1 mm又は約5 mmの範囲であるが、他の厚さも効果的に用いられ得る。膜材料の例としては、金属ワイヤメッシュ; ナイロン等のようなポリマーメッシュ; 濾材; それらの組合せ及びそれらの混合物等が含まれる。特に有用な膜材料は、例えば、流体材料フィルタ中の濾材として有用な材料が含まれる。そのような材料の例には、STRATOPOREの商標の下でFleetguard-Nelsonにより販売されている濾材、及びWhatmanやMilliporeから入手できる濾材が挙げられる。
本装置の流体材料浸透性膜は、適切な流体材料不溶性材料を含み、ナイロン、酢酸セルロース、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリエチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリプロピレン酢酸ビニル(PVA)等、それらの組合せ又はそれらの混合物であり得る。選択される材料が流体材料システムの熱-冷反復サイクル下で硬さが不十分なものである場合は、より耐熱性の材料、例えば、セラミック、ガラス等、それらの組合せ又はそれらの混合物から製造されたものが用いられ得る。
【0014】
上記のように、一実施態様においては、流体材料浸透性要素が少なくとも1つの保持部材を更に含んでいる。例えば膜は、例えばステンレス鋼メッシュスクリーンといった1つ以上のワイヤスクリーン又はメッシュスクリーンによって、ケーシングの開口を横切って保持され得る。更に詳しくは、膜が、少なくとも2つの保持部材の間に挟まれ得る。保持部材は、好ましくは、例えばケーシングからの化学添加剤を容器と接触した状態の流体材料中へ、例えば拡散により通過させることを容易に又は可能にするメッシュサイズをもつように構成される。一例を挙げると、1つ又は複数の保持部材は、好ましくは約10〜約300マイクロメートル(ミクロン)又は約500マイクロメートル(ミクロン)以上の範囲のメッシュサイズを有する。特に好ましい保持部材は、金属、例えば、ステンレス鋼スクリーニング及び/又は織布である。
流体材料浸透性部材の1つ以上の構成部品は、容器と接触した状態の、例えば炭化水素システム潤滑剤又は炭化水素システム作動液といった潤滑剤組成物又は作動液組成物に少なくとも部分的に可溶性であり得る。例えば流体材料浸透性要素には、少なくとも部分的に流体材料溶解性シール又はシーリング要素、例えば、ワックス(パラフィン)シールが含まれ得る。シーリング要素は、シールされた容器を形成するためにアセンブリ膜及び/又は保持部材に加えることができ、添加剤組成物がケーシングから漏れずに及び/又は大気にさらされずに効率的に輸送及び/又は保管され得る。流体材料用添加剤組成物がケーシングに含まれる場合には、シールが、例えば周囲温度で又はおよそ周囲温度で、液体添加剤組成物に可溶性でないように選ばれることが好ましい。この“添加剤不溶性”シールの特徴は、液体添加剤組成物が輸送又は保管中にケーシングから漏れるという危険性を実質的に減少させる又は取り除きさえもする。シールは、容器又はケーシングが流体材料にさらされた後に、例えば、高温で溶解し、よって化学添加剤のケーシングからの放出を可能にする。
【0015】
非常に有用な実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリが、ケーシングが流体材料と接触した状態に配置された後でさえ、流体材料用添加剤組成物のケーシングからの放出を遅らせるように構成されている。例えば、特に新たな添加剤の完全な補充を含む新しい流体材料が流体材料システムに用いられる場合には、流体材料がかなりの時間ケーシングからの1つ又は複数の添加剤を必要としなくてもよい。従って、添加剤のケーシングからの放出を長時間遅らせることが有利であることもある。
一実施態様においては、シーリング要素が流体材料に溶解することに抵抗する材料を含み、例えば、そのため流体材料に長時間さらされた後にのみシールが損なわれ(compromised)、ケーシングからの添加剤が流体材料中へ放出される。非常に有用な実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリに用いられる1つ又は複数の材料が、流体添加剤組成物の流体材料への放出を開始する際に所望される程度の遅れが生じるように選ばれる。そのような選択は、例えば、関係する特定の用途の通常の動作温度及び条件で該流体材料における種々のシーリング材料の溶解度を測定することにより、容易に決定され得る。シール要素又はアセンブリは、ケーシングが流体材料と接触させられた実質的に直後に、1つ又は複数の添加剤がケーシングから流体材料中へ放出されるように構成され得ることは当然のことである。
特に有利な一実施態様においては、シーリング要素又はアセンブリには、支持構造物、例えばワックスポリマー等といった流体材料可溶性ポリマー若しくはシール部材で被覆若しくは含浸されている又は前記ポリマー若しくはシール部材と別の方法で結び付けられているワイヤスクリーン、織布材料等のような多孔材料が含まれる。例えば、好ましいシールは、例えば流体材料可溶性ワックス及びポリマー等といった冷まして置かれ固められる流体材料可溶性ポリマーで含浸又は被覆又は前記ポリマーと別の方法で結び付けられた前記のようなワイヤスクリーン又は織布支持体を含む。そのような流体材料可溶性高分子シーリング材料、例えば、ポリイソブチレンワックスは、支持構造物を含まないシーリング要素として使用し得る。一実施態様においては、シーリング要素の支持構造物は、流体材料浸透性要素の膜に対する保持部材である。そのような支持構造物/保持部材の使用は、輸送や保管のための容器をシールすること及び添加剤のケーシングからの放出の間に定位置で膜を保持することを容易にするのに有効である。
【0016】
特に有利な一実施態様においては、シーリング要素が、流体材料可溶性ポリマーで被覆又は含浸された多孔質又は微多孔性材料、例えばワイヤスクリーン又は織布材料を含む。例えば、好ましいシールは前記のようなワイヤスクリーン又は織布を含み、前記ワイヤスクリーン又は織布は、ワックス(不溶性)又はポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール(可溶性)を含む(がこれらに限定されない)ポリエチレンオキシドで含浸されて、冷やして置かれ固められている。
1つ又は複数の前記材料が化学添加剤、流体材料又は本容器の性能に対して過度に有害な影響を与えなければ、適切な材料又は材料の組合せのいずれもは、少なくとも部分的に流体材料溶解性の本シールに用いられ得る。例えば本シールは、少なくとも約60℃(約140oF)の軟化温度を有しており且つ処理すべき流体材料に可溶性である天然及び/又は合成ワックスより選ぶことができる。シールを製造し得る代表的な材料には、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリイソブチレンワックス等及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。前記材料は、流体材料の品質を損なわず、流体材料を実際に向上させ得る。例えば、潤滑剤の場合には潤滑性を向上させ得る。
本発明の容器内に供給される流体材料用添加剤組成物は、流体材料へ放出される場合に、流体材料及び/又は流体材料が用いられている流体材料システムに1つ以上の利点又は有益な特性を付与又は維持するのに有効である少なくとも1つの化学添加剤を含んでいる。添加剤組成物は、液体、ゲル、ペースト又は固体粒子、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット若しくは顆粒等、又はそれらの混合物の形態でケーシング内に供給され得る。
本発明の流体材料用添加剤組成物は、有利には、本明細書の他の場所で考察されるように、化学添加剤を少なくとも部分的に取り囲む又は封入する又は被覆するコーティング材料を更に含むことができる。前記コーティング材料は、所望されるように化学添加剤のケーシングからの放出の制御を少なくとも援助するために、又は制御するために供給され得る。コーティング材料は、流体材料可溶性であっても流体材料不溶性であってもよい。化学添加剤に対するコーティングは、ケーシングから流体材料組成物中への添加剤の少なくとも一部の放出を可能にする又は許容するようなものにすべきである。
【0017】
本発明の流体材料用添加剤成分は、マトリックス材料中、例えば、流体材料不溶性高分子材料のような流体材料不溶性マトリックス材料中に置かれてもよい。マトリックス材料がいくらかでもあるとすれば、ケーシングから流体材料中への添加剤成分の放出を可能にする又は許容するようなものであるべきである。マトリックス材料は、有利には、添加剤成分の流体材料への放出の制御を少なくとも援助するのに、又は制御するのに有効である。一実施態様においては、添加剤成分はケーシング内に存在し、マトリックス材料は用いられていない。
一実施態様においては、本明細書に考察されるように、高められた添加剤放出制御を達成するために、1つ又は複数の流体材料浸透性要素には、ポリマー含有膜、例えば、ポリマー被覆膜が含まれる。この後者の態様においては、膜、即ち、1つ又は複数の流体材料浸透性要素の膜が、例えば、スプレーコーティング、浸漬コーティング等によってポリマー材料で適切に被覆され、含浸され又は別の方法で前記ポリマー材料と適切に結び付けられている。適切なポリマー材料には、処理される流体材料、ケーシング内の添加剤成分又は本容器の性能に対してほとんど有害な影響がない流体材料不溶性材料が含まれるが、これらに限定されない。そのようなコーティング材料の例としては、Mitchellらの米国特許第6,010,639号に挙げられたものが含まれ、その開示は参照により本明細書にそのまま含まれるものとする。特に好ましいポリマー材料はポリエチレン酢酸ビニル共重合体である。更に、又は或いは、1つ又は複数の流体材料浸透性要素の本保持部材は、材料、例えば、Mitchellらの米国特許第6,010,639号に開示されたもののような流体材料不溶性ポリマー材料で被覆され、含浸され、又は別の方法で前記ポリマーと結び付けられ、所望されるように、ケーシングからの添加剤組成物の放出の制御を少なくとも援助し得る又は制御し得る。
本発明の容器は、好ましくは、ケーシングの1つ又は複数の開口を通って又は別な方法により1つ以上の流体材料用添加剤で充填される。
本発明の容器、例えば、容器のケーシングには、例えば、ケーシングの内部の空間を添加剤組成物で充填することを容易にするために、ケーシング又はケーシングの残りのものから脱着可能又は取り外し可能であり得る1つ以上の流体材料不浸透性キャップ部材又は流体材料不浸透性プラグが含まれてもよい。
【0018】
ケーシングが実質的に円筒形で1つ又は複数の開口がケーシングの一端又は両端にある本発明の一実施態様においては、ケーシングの一端又は両端にはキャップ部材が含まれてもよく、キャップ部材の少なくとも1つは、ケーシング又はカートリッジが流体材料用添加剤組成物で充填又は再充填することができるように取り外し可能である。必要に応じて、ケーシングのもう一方の開放端には、例えば製造中、例えば容器の射出成形中、永続的にシールされているキャップ部材が含まれてもよい。キャップ又はプラグをねじ切り又はねじ込みによってケーシングに取り付けるときはいつでも、ネジ山が、成形中又は成形後に適切なダイでそれぞれの部分に又は金型の中に施される。キャップ部材は、あるいは、圧入によってケーシングに施され得る。この場合、ケーシングと末端部分との間にスナップフィットさせるのに適した許容範囲を、例えば、それぞれの部分を作るために用いられるプラスチックの射出金型に与えることができる。末端部分は、例えば、射出成形中にケーシングと一体的に形成することもできる。
化学添加剤を含有するケーシングの少なくとも一端を閉鎖することに用いられるキャップ又は末端部は、典型的には少なくとも1つの開口を備えており、化学添加剤の放出を可能にし且つ容器の外部に位置する流体材料とケーシング内部の中に配置される流体材料用添加剤組成物との間に流体の連絡を提供する。末端部がケーシングと一体的に形成されるときはいつでも、ケーシングの形成中又は形成後に、例えば射出成形によって、前記末端部に開口が提供され得る。
本発明の容器を用いて添加剤組成物を流体材料システムへ放出することが提供され、放出速度がいくつかの要因を考慮することにより実質的に制御され得ることは、当業者によって理解されるであろう。次の要因及びその他の要因も、本発明の容器の性能と有効性に対して効果があり得る。例えば、所望の流体材料用添加剤放出速度は、膜層の数と種類;膜組成;;もしあれば、膜孔サイズ;もしあれば、支持部材又は膜及び/又は保持部材に結び付けられている、例えば、それらを被覆しているポリマーの存在する場所、種類、量;もしあれば、添加剤組成物においてコーティングの存在する場所、種類、量:の適切な選択によって得ることができる。放出速度は、ケーシング内の開口の数とサイズ等によっても影響され得る。考慮すべき他の要因には、特に、流体材料用添加剤組成物中の化学添加剤の種類と形、添加剤の溶解度、潤滑剤温度、例えば、潤滑剤温度、流体材料ラインを通る流体材料の速度等の要因が含まれる。
【0019】
化学添加剤を、好ましくは制御された速度で、液体流体材料組成物中へ放出する方法も本発明の範囲内に含まれることが更に企図される。該方法は、化学添加剤成分又は組成物を含有している本明細書に記載される容器又はカートリッジを流体材料組成物と接触した状態で配置するステップを含んでいる。本明細書に記載される容器又はカートリッジ構成は好ましくは、添加剤成分をケーシング内部から流体材料組成物中へ放出すること、好ましくは制御放出することを可能にする。ある構成においては、流体材料組成物を、化学添加剤を含有するケーシングの周りに流動させ包囲させることが企図される。しかしながら、これらの構成においてさえ、化学添加剤の放出は、ケーシングを通る流体材料組成物の強制流動によるよりも、例えば受動拡散によって、持続及び/又は制御されることが好ましい。
本発明の容器又はカートリッジでの使用のための化学添加剤成分は、好ましくは液体、ゲル、ペースト又は粒子、例えば、ビーズ、錠剤、ペレット、顆粒、これらを被覆したもの等、又はそれらの混合物として供給される。粒子の物理的サイズは、本明細書の他の場所に記載される本発明の流体材料浸透性成分の通過を妨げるのに十分な大きさである。
本発明と用いられる化学添加剤は、流体材料及び/又は流体材料システムの中で幾らか有益な機能を果たす。例えば、流体材料用添加剤組成物には、1つ以上の粘度指数向上剤、抗酸化剤(酸化防止剤としても知られる)、耐摩耗剤、分散剤/清浄剤、潤滑剤、乳化破壊剤等及びそれらの混合物が含まれ得るが、これらに限定されない。更に、添加剤は多機能であり得る。即ち、各添加剤が1つ以上の特定の機能を果たし得る。
表1には、添加剤の種類例、添加剤の種類の分類の例、及びある種の化学添加剤の例が含まれるが、これらに限定されない。表には添加剤の幾つかの機能も含まれている。添加剤は、表に含まれる機能のみを行うように限定されない。
【0020】
【表1】
【0021】
【0022】
本明細書で用いられる“添加剤”という用語には、徐放性成分と配合又は混合されて流体材料に有益な性質を与え得る材料のいずれもが含まれる。例えば、好ましい実施態様においては、油溶性モリブデン化合物が潤滑剤に添加されて、摩擦を減少させ、耐摩耗剤及び抗酸化剤(酸化防止剤)として作用する。好ましい油溶性モリブデン化合物は、脂肪族又は芳香族ジカルボン酸のジアルキルエステルによるモリブデンジチオカーボネートである。Holtらの米国特許第6,172,013号には、ポリカルボン酸エステル類と1価アルコールから製造されたエステル類で調製された前記の種類のモリブデン化合物が記載されている。エステル基油は、約500 ppmの濃度で用いられるモリブデン ジチオカーボネートと、約5%〜約15% wt/wt又はwt/volで用いられ得る。
別の実施態様においては、流体材料が薄まることに抵抗するために、粘度指数向上剤が流体材料に添加される。粘度指数向上剤は、自動変速機液の潤滑システムに用いることができる。粘度指数向上剤は、通常は高分子材料である。Tiptonの米国特許第6,133,210号に開示されているように、せん断抵抗ポリマーは、高分子量ポリマーに比べて多量に用いられる低分子量ポリマーである。Blochらの米国特許第5,641,732号には、ハイドロカルビルポリマーやポリエステル類を含む粘度指数向上剤が使用/教示されている。Cusanoらの米国特許第4,146,492号に概略が述べられている一実施態様においては、流体材料組成物が、エチレン-プロピレン共重合体を含む粘度指数向上剤として作用する添加剤を含んでいる。粘度指数向上剤の別の実施態様は、高分子カルボン酸エステルを含んでいる。
【0023】
流体材料に使用し得る耐摩耗剤には、表1に含まれるものと亜鉛ジチオフォスフェート類、ジチオフォスフェート類、ジチオリン酸、ジチオリン酸の塩、チオリン酸エステル類、チオリン酸エステルのアミン塩又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。前記の添加剤の一実施態様は、Mathurらの米国特許第5,622,923号に概略が述べられているように、モノチオリン酸エステル及びそのアミン塩を含む群に由来する少なくとも1つのモノチオリン化合物を含んでいる。モノチオリン化合物は、ハイドロカルビルを末端基とするオキシアルキレン又はハイドロカルビルを末端基とするポリオキシアルキレンを有する。
抗酸化剤(酸化防止剤)は、潤滑剤組成物や作動液組成物に有効である。抗酸化剤の例としては、表1に開示されたものが含まれている。
分散剤/清浄剤も、流体材料中の添加剤として用いられる。有用な分散剤や清浄剤は表1に見出される。
乳化破壊剤の添加剤は、流体材料に用いられてもよい。乳化破壊剤には、油-水分離を促進する物質が含まれる。乳化破壊剤は、ポリオキシエチレンエーテル類が含まれてもよい。亜鉛ジアルキルジチオフォスフェート(ZDP)は、乳化破壊剤と組合せて用いた場合に有用であり得る。
本発明の装置は、流体材料フィルタ内であって濾材の上流若しくは下流のいずれかに置かれ得るか、又は流体材料ラインの実質的に固定された位置であって流体材料フィルタの上流若しくは下流のいずれかに設けられ得る。添加剤の流体材料への放出は、孔サイズ、膜の厚さ、膜組成、膜の表面積、液体添加剤の粘度、添加剤の表面張力や膜湿潤性能、動作温度、添加剤の溶解度等によって、少なくとも一部は支配されている。
ここで、本発明を特定の実施例によって説明するが、これらは例示であり、本発明を制限するものではない。
【実施例】
【0024】
<実施例>
(実施例1 二重放出容器)
ここで図1Aを参照すると、容器1は、端が開放されている固体の円筒形のPVCケーシング3と、ねじで取り付けられているエンドキャップ5及び5'を含んでいる。ケーシング3は、2つの開放端4をもっている。流体材料用添加剤組成物の粒子7がケーシング内に供給され、内部と外部のスクリーン9及び流体材料浸透性膜11によってケーシング内に保持される。ワックスシール10は、容器の輸送/保管のために外部スクリーン9に施されている。或いは、又は更に、ワックスシールが内部スクリーン9に施され得る。シールが上端に位置する場合には、シールは実質的に直接流体材料と接触した状態になり、流体材料用添加剤組成物のより速い放出をもたらす。シールが底面に位置する場合には、流体材料が、ワックスを溶解するために最初に膜を通過しなければならない。そのようなシール配置は、流体材料用添加剤組成物の最初の放出の遅れが所望される場合には、前記放出を遅延させるのに有効であり得る。ワックスシールは、容器が使用されて置かれているときはいつでも、侵食/溶解される。エンドキャップ5及び5'は、流体材料組成物の浸潤及びケーシング3の多孔質膜11との接触を可能にする開口13及び13'をそれぞれ備えている。更に、膜11を通っての流体材料用添加剤の放出は、流体材料用添加剤の流体材料組成物への取り込み、及び流体材料用添加剤の流体剤システム全体を通っての循環を可能にする。図1Aの矢印は、容器1内外の流体材料の流れを示している。
図1Bは本発明の好ましい流体材料浸透性要素の分解図であり、流体材料浸透性膜11の両側にメッシュスクリーン9を含んでいる。スクリーン9は、ケーシング3の所定の位置に膜11を保持する大きさで且つ保持するのに有効である。流体材料浸透性部材11は、流体材料を粒子7と接触させるのに、また流体材料用添加剤がケーシング3を出ることを可能にするのに有効である。スクリーンは、ケーシング3内に粒子7を保持するために膜11を更に支援する。
長さ15.24 cm(6インチ)×内径3.81 cm(1.5インチ)の容器1について、ケーシング内部の添加剤の量は約186 ml(173 g)である。パラフィン(ワックス)シール10は外部スクリーン9に施され得る。好ましいワックスの融点は70℃(158oF)であり、38.78℃(100oF)で数時間かけて流体材料に溶解する。有効量の添加剤の放出は、約24時間以内に開始する。
【0025】
(実施例2 単放出容器)
図2Aは、図1Aに示される本容器の代替的実施態様の横断面図を描いている。本実施態様においては、ケーシング3Aがケーシング3と同様に構成されているが、エンドキャップ5Aで蓋がされている開放端14をたった1つだけ有する。エンドキャップ5Aは、ケーシング3Aにねじ込まれるよりもむしろ圧入され、容器1からの添加剤の放出を制御することを少なくとも助ける放出オリフィス12を更に備えている。本実施態様においては、膜11Aが、所定の位置に保持されて粒子7Aを保持するのに充分に剛性である。ワックスシール10Aは、膜11Aに近接して位置して、好ましくはその上に位置して、輸送/保管用容器1Aをシールする。図2Bは、オリフィス12を明瞭に示している図2Aに示されるエンドキャップ5Aの端面図(end view)を示す。容器1Aは、流体材料と接触した状態に置かれるときに、添加剤組成物をケーシング3Aから流体材料中へ一定時間にわたって持続した様式で放出させるのに有効である。
【0026】
(実施例3 二重放出構造)
図3Aは、二重放出容器1A(図1Aに示されている)が“バイパス”添加剤放出導管(vessel)内に用いられている本発明の一態様を示している。特に、容器1Aはハウジング15内に水平に横たえられ、ハウジングボディ17に固定されているネジ蓋19によって、ハウジングの中に保持されている。注入口ライン21からの流体材料の流れは、ハウジング15に入り、流出口ライン23を通って出る。その間ハウジング15内部では、エンドキャップ5と5’のそれぞれの開口13と13’を通って流体材料が循環し、容器1Aから流体材料への添加剤の放出が起こる。一般的には、流体材料が流体材料システムの流体材料ポンプ(図示せず)の作用によってハウジング15へ流れ込み、重力も役割を果たし得ることが理解されている。更に、流体材料フィルタ要素20、例えば、通常の周知設計のものが、出口又は流出ライン23の中に位置する。或いはフィルタ要素20が注入口ライン21の中に位置し得ることが理解される。そのような代替的態様は本発明の範囲内に包含される。
【0027】
(実施例4 単放出構造)
図3Bに示されるように、本発明の更なる態様は、流体材料システムに“バイパス”構造で提供されているハウジング26内に縦の配置で置かれている容器1A(図2Aに示されている)を有する。オリフィス12の代表的な直径は、長さが15.24 cm(6インチ)で内径が3.81 cm(1.5インチ)である容器1Aの場合、1.905 cm(0.75インチ)である。示されているように、ハウジングボディ22及びハウジングトップ24が組み合って、ハウジング26内に容器を固定している。ハウジングO-リングシール27は、ハウジングボディ22とハウジングトップ24との間に設けられており、ハウジング26の内部空間をシールする。注入口ライン21Aからの流体材料の流れはハウジング26に入り、出口ライン23Aを経て出る。その間ハウジング26内部では、流体材料がオリフィス12を出たり入ったりして通過し、添加剤を容器1Aから流体材料中へ放出させる。流体材料ポンプと流体材料フィルタ要素は、実施例2と同様の様式で本実施態様によって用いられ得る。
【0028】
(実施例5 ボウル型構造)
ここで図4Aと図4Bを参照すると、本発明の容器100が更に示されている。容器100は、一般的には、内部111が流体材料用添加剤組成物107で充填されているボウル型の流体材料不浸透性ケーシング110と、例えば、形が円形である相対的に幅の広い開放上端112を含んでいる。容器100は、開放端112を横切って配置されている、好ましくは開放端112を実質的に完全に覆っているキャップ部材116を更に含む。
容器100は、例えば、自動車エンジン(図示せず)の流体材料ラインに有用である。容器は、例えば図3Aと図3Bに示されるものと同様の様式で、流体材料ラインに典型的に配置又は固定されている。
図示された好ましい容器100においては、容器100を流体材料用添加剤組成物で充填及び/又は再充填することができるように、キャップ部材116がケーシング110に取り外し可能に固定されていることが好ましい。示されるように、キャップ部材116は、ケーシング110の周辺又はリム118から引っ込めて置かれ得る。
キャップ部材116は、弾性O-リング124等によってケーシング110の内部表面122に固定され得る。
キャップ部材116には少なくとも1つの入口12B、好ましくは複数の入口128が含まれ、容器100の外部を流れる流体材料組成物(図示せず)がケーシング110に入り流体材料添加剤組成物107と接触することを可能にする。
【0029】
流体材料用添加剤の流体材料への放出を制御するために、流体材料浸透性要素130が提供される。より具体的には、流体材料浸透性要素が、溶解性シール層134、膜フィルタ部材層136、1つ以上の入口140が通っているプレート部材138が含まれている。
溶解性シール層134は、本明細書に記載される流体材料可溶性ポリマーで含浸されているワイヤ又はメッシュスクリーン、例えばステンレス鋼スクリーンを含んでいることが好ましい。層136は、本明細書に記載される濾材の層である。
プレート部材138は、アルミニウム、又は炭化水素流体材料に不溶である1つ若しくは複数の他の材料から製造され得る。プレート部材138は内部に伸びているツメ139を用いて内部111の所定の位置に支持され、前記ツメはケーシング110の内壁141に対して固定された隣接関係にある。図4Aに示されるように、プレート部材注入口140は一般的にキャップ部材注入口128と一直線上にある。あるいは、プレート注入口128及びキャップ注入口140が、部分的に又は全体的に、互いから中心線をはずして置かれてもよい。注入口128、140のサイズ(及び、応用できる場合にはオフセット位置)は一般的に流体材料用添加剤の流体材料への放出速度に影響するであろうことが理解されるであろう。図示された実施態様においては、シール層134、膜層136、プレート部材138の各々が環状、又は“ドーナツ”型である。
図4Aに示されるように、溶解性シール層134は膜層136の上にかぶせられ、これら層134、136の両方は、キャップ部材116とプレート部材138との間に挟まれている。シール層134と濾材層136が、あるいは、注入口128、140を少なくとも遮断するのに十分な大きさである、より小さな複数(multiple)要素を含んでもよい。
容器100は、容器1Aと実質的に同様な様式で機能し、添加剤を容器から流体材料へ放出するのに有効である。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2に記述するのと同様の様式で本実施態様に用いられ得る。
【0030】
(実施例6 代替的ボウル型構造)
図5Aと図5Bは、図4Aと図4Bに示される容器100と一般的に類似する本発明の更に別の容器200を示している。容器200は、一般的には、流体材料用添加剤組成物207を含むための中空内部211を規定しているボウル型ケーシングを含む。更に、アルミニウムプレート部材213は、流体材料用添加剤組成物207をケーシング210内に保持するために、ケーシング210の内壁241に固定されている。アルミニウムプレート部材213には、複数の注入口212、例えば、図示されている4つの注入口212が含まれている。複数の注入口212の各々のカバーは、溶解性流体材料可溶性ポリマーシール216である。
個々の4つの支持構造物218は、それぞれの注入口212の真下でプレート部材213に固定されている。前記構造物218の各々は開口220をもち、プレート部材213と開口220との間に膜セグメント222を収容する大きさである。
容器220は、容器100と同様の様式で用いられてもよく、添加剤を内部から流体材料へ放出することに機能し得る及び有効であり得る。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2と同様の様式で本実施態様に使用され得る。
【0031】
(実施例7及び実施例8 異なる配置の開口を含む容器)
本明細書に述べられたように、開口と流体材料浸透性要素が容器のケーシングに1つ又は複数の場所で含まれる容器は、本発明の範囲内に包含される。例えば、図6に示されるように、ボウル型容器300は少なくとも1つの開口と流体材料浸透性要素を含む1つ以上の構造物を有してもよく、前記構造物は一般的に302として示され、ケーシング310の上面304及び/又は底面306及び/又は側壁308にある。また、図7に示されるように、円筒形容器400は、少なくとも1つの開口と流体材料浸透性要素を含んでいる1つ以上の構造物を有してもよく、前記構造物は一般的に402として示され、ケーシング410の第一端404及び/又は第二端406及び/又は側壁408にある。
構造物302及び402の各々には、ケーシング310及び410それぞれの開口、輸送/保管に有効であるシール層、及びケーシング内の添加剤の流体材料への放出を制御するのに有効である膜層が含まれる。構造物302又は構造物402は、流体材料浸透性要素をケーシングに固定するための本明細書に記載するものに類似する技術を用いて、それぞれケーシング310と410に固定される。前記の類似する技術は本技術分野において通常の技能の範囲内で可能であり、ここで詳細に記載する必要がない。容器300及び400は、容器1、1A、100及び200に対して本明細書で記載されるのと類似する様式で用いることができ、添加剤を容器から流体材料へ放出するのに有効である。流体材料ポンプ及び流体材料フィルタ要素は、実施例2に記載するのと類似する様式で本実施態様に用いられ得る。
【0032】
(実施例9 添加剤容器を含んでいるフィルタアセンブリ)
図8は、本発明の添加剤容器560がセンターチューブとして用いられている流体材料フィルタアセンブリ550を模式的に示している。容器560は円筒形であり、本明細書に記載される多くの容器と一般的に類似して構成されている。
注入口ライン562からの流体材料は、フィルタハウジング564の中へ移動し、通常得の構造の濾材566と接触する。濾過された流体材料は、次に容器560と接触させられ、容器からの添加剤が流体材料へ放出される。添加剤に富む濾過された流体材料は、次に流出口ライン570を通ってフィルタハウジング554から移動して、使える状態となる。
フィルタアセンブリは、流体材料が濾材と接触する前に最初に添加剤容器と接触するように構成されてもよく、そのような代替的構成も本明細書の範囲内であることが留意されるべきである。
いずれにしても、添加剤容器560が、添加剤の徐放を提供すること及びフィルタアセンブリ550の構造部材として存在することの双方に働き且つ有効である。
種々の具体的な実施例及び実施態様に関連して本発明を説明してきたが、本発明がそれらに制限されず、特許請求項の範囲の範囲内で種々に実施し得ることが理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料中に化学添加剤を放出するための容器であって、
実質的に中空の内部と少なくとも1つの開口を規定している流体材料不浸透性ケーシング;
該ケーシングの該内部に供給された流体材料用添加剤組成物であって、液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に利益を提供することに有効であり且つその流体材料に可溶性の化学添加剤を含んでいる、前記流体材料用添加剤組成物;
該ケーシングの該開口に又はその近傍に設けられ且つ該化学添加剤の一部を該ケーシングと接触した状態の該流体材料中へ放出させるのに有効である少なくとも1つの流体材料浸透性要素:
を含む前記容器。
【請求項2】
ケーシングが金属、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料から構成されている、請求項1記載の容器。
【請求項3】
材料が、金属、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン酢酸ビニル、スルファノン、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項2記載の容器。
【請求項4】
ケーシングが実質的に円筒形のケーシングである、請求項1記載の容器。
【請求項5】
少なくとも1つの開口が、円筒形のケーシングの少なくとも1つの開放端又は該円筒形のケーシングの側壁の少なくとも1つの側面開口を含む、請求項4記載の容器。
【請求項6】
ケーシングが実質的にボウル型のケーシングである、請求項1記載の容器。
【請求項7】
実質的にボウル型のケーシングの上面を横切って配置されているキャップ部材を更に含む、請求項6記載の容器。
【請求項8】
少なくとも1つの開口が、実質的にボウル型のケーシングの上面、該実質的にボウル型のケーシングの側面又は該実質的にボウル型のケーシングの底面に位置する、請求項6記載の容器。
【請求項9】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が少なくとも部分的に溶解性のシールを含む、請求項1記載の容器。
【請求項10】
少なくとも部分的に溶解性のシールが、流体材料可溶性ポリマーで被覆されている支持構造物を含む、請求項9記載の容器。
【請求項11】
支持構造物がワイヤスクリーンを含む、請求項10記載の容器。
【請求項12】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素がフィルタ部材を含む、請求項1記載の容器。
【請求項13】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が多孔質膜を含む、請求項1記載の容器。
【請求項14】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が、ケーシングに対して実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である少なくとも1つの保持部材を含む、請求項13記載の容器。
【請求項15】
多孔質膜が、孔サイズが約0.2マイクロメートル(ミクロン)〜約100マイクロメートル(ミクロン)の微小孔性膜である、請求項13記載の容器。
【請求項16】
多孔質膜が金属、ガラス、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料を含む、請求項13記載の容器。
【請求項17】
フィルタ部材が半透膜を含む、請求項12記載の容器。
【請求項18】
半透膜が、ガラス、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料を含む、請求項17記載の容器。
【請求項19】
少なくとも1つの開口が複数の開口を含み、少なくとも1つの流体材料浸透性要素が対応する複数の流体材料浸透性要素を含む、請求項1記載の容器。
【請求項20】
流体材料用添加剤組成物が粒子形態で供給される、請求項1記載の容器。
【請求項21】
流体材料用添加剤組成物がケーシング内に液体形態で存在している、請求項1記載の容器。
【請求項22】
流体材料用添加剤組成物がゲルで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項23】
流体材料用添加剤組成物がペーストで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項24】
流体材料用添加剤組成物がマトリックスで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項25】
化学添加剤が、粘度指数向上剤、抗酸化剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、乳化剤、潤滑剤、流動点降下剤、消泡剤、分散剤、清浄剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の容器。
【請求項26】
化学添加剤が、油中に粒子状物質を分散させるもの、スラッジやニスの形成を阻止して沈着物の形成を減少させるもの、フリーラジカル又はペルオキシドとの反応によって生じる油の劣化や酸化を防止するもの、腐食やさびの形成を阻止するもの、摩耗を減少させるもの、温度による粘度変化の速度を低下させるもの、流体が流れる温度を低下させるもの、ワックス結晶化特性の改変により濾過性を改善するもの、流体中の安定な泡の形成を防止するもの、油-水の分離を容易にするもの及び安定な油中水型エマルジョンの形成を促進するものからなる群より選ばれる、請求項1記載の容器。
【請求項27】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が、コーティング高分子材料によって少なくとも部分的に被覆されている、請求項1記載の容器。
【請求項28】
少なくとも1つの流体剤浸透性要素が流体材料可溶性シールを含む、請求項1記載の容器。
【請求項29】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項1記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む前記方法。
【請求項30】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項4記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項31】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項6記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項32】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項9記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項33】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項13記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項34】
化学添加剤を持続した速度で液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料中へ放出する方法であって、請求項17記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む前記方法。
【請求項35】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に利益を提供することに有効であり且つ前記流体材料に可溶性の流体材料用添加剤を含む中空内部を規定しているケーシングの開口に又はその近傍に配置される大きさで且つ配置されるのに適する流体材料浸透性膜であって、該開口を通って該中空内部を出る該流体材料用添加剤の実質的に全部が該膜を通過するように配置されるのに適する前記流体浸透性膜;と
シール部材が原型を保っている場合に、該ケーシングの該開口に対して、流体材料用添加剤が該開口を通って該中空内部を出ることを防止する大きさで且つ防止するように配置されるのに適するシール部材:
を含むシールアセンブリ。
【請求項36】
シール部材が、液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料の存在下で損なわれ、そのため流体材料用添加剤が開口を通って中空内部を出ることを可能にするのに適する、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項37】
シール部材が少なくとも部分的に流体材料可溶性である、請求項36記載のシールアセンブリ。
【請求項38】
シール部材が支持構造物と流体材料可溶性ポリマーを含む、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項39】
支持構造物がワイヤスクリーン及び織布の少なくとも1つを含む、請求項38記載のシールアセンブリ。
【請求項40】
ケーシングに対して実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である大きさで且つ有効であるように配置されるのに適する少なくとも1つの保持部材を更に含む、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項41】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に可溶性の流体材料用添加剤を含む中空内部を規定しているケーシングの開口に又はその近傍に配置される大きさで且つ配置されるのに適する流体材料浸透性膜であって、該開口を通って該中空内部を出る該添加剤の実質的に全部が該膜を通過するように配置されるのに適する前記流体材料浸透性膜;及び
該ケーシングに対して実質的に固定された位置に該膜を保持するのに有効である大きさで且つ有効であるように配置されるのに適する少なくとも1つの保持膜:
を含む、流体材料浸透性アセンブリ。
【請求項42】
膜が多孔質膜要素及び半透性要素の少なくとも1つを含む、請求項41記載のアセンブリ。
【請求項43】
膜が微小孔性要素を含む、請求項41記載のアセンブリ。
【請求項1】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料中に化学添加剤を放出するための容器であって、
実質的に中空の内部と少なくとも1つの開口を規定している流体材料不浸透性ケーシング;
該ケーシングの該内部に供給された流体材料用添加剤組成物であって、液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に利益を提供することに有効であり且つその流体材料に可溶性の化学添加剤を含んでいる、前記流体材料用添加剤組成物;
該ケーシングの該開口に又はその近傍に設けられ且つ該化学添加剤の一部を該ケーシングと接触した状態の該流体材料中へ放出させるのに有効である少なくとも1つの流体材料浸透性要素:
を含む前記容器。
【請求項2】
ケーシングが金属、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料から構成されている、請求項1記載の容器。
【請求項3】
材料が、金属、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン酢酸ビニル、ポリプロピレン酢酸ビニル、スルファノン、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項2記載の容器。
【請求項4】
ケーシングが実質的に円筒形のケーシングである、請求項1記載の容器。
【請求項5】
少なくとも1つの開口が、円筒形のケーシングの少なくとも1つの開放端又は該円筒形のケーシングの側壁の少なくとも1つの側面開口を含む、請求項4記載の容器。
【請求項6】
ケーシングが実質的にボウル型のケーシングである、請求項1記載の容器。
【請求項7】
実質的にボウル型のケーシングの上面を横切って配置されているキャップ部材を更に含む、請求項6記載の容器。
【請求項8】
少なくとも1つの開口が、実質的にボウル型のケーシングの上面、該実質的にボウル型のケーシングの側面又は該実質的にボウル型のケーシングの底面に位置する、請求項6記載の容器。
【請求項9】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が少なくとも部分的に溶解性のシールを含む、請求項1記載の容器。
【請求項10】
少なくとも部分的に溶解性のシールが、流体材料可溶性ポリマーで被覆されている支持構造物を含む、請求項9記載の容器。
【請求項11】
支持構造物がワイヤスクリーンを含む、請求項10記載の容器。
【請求項12】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素がフィルタ部材を含む、請求項1記載の容器。
【請求項13】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が多孔質膜を含む、請求項1記載の容器。
【請求項14】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が、ケーシングに対して実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である少なくとも1つの保持部材を含む、請求項13記載の容器。
【請求項15】
多孔質膜が、孔サイズが約0.2マイクロメートル(ミクロン)〜約100マイクロメートル(ミクロン)の微小孔性膜である、請求項13記載の容器。
【請求項16】
多孔質膜が金属、ガラス、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料を含む、請求項13記載の容器。
【請求項17】
フィルタ部材が半透膜を含む、請求項12記載の容器。
【請求項18】
半透膜が、ガラス、高分子材料、それらの組合せ及びそれらの混合物からなる群より選ばれる材料を含む、請求項17記載の容器。
【請求項19】
少なくとも1つの開口が複数の開口を含み、少なくとも1つの流体材料浸透性要素が対応する複数の流体材料浸透性要素を含む、請求項1記載の容器。
【請求項20】
流体材料用添加剤組成物が粒子形態で供給される、請求項1記載の容器。
【請求項21】
流体材料用添加剤組成物がケーシング内に液体形態で存在している、請求項1記載の容器。
【請求項22】
流体材料用添加剤組成物がゲルで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項23】
流体材料用添加剤組成物がペーストで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項24】
流体材料用添加剤組成物がマトリックスで供給される、請求項1記載の容器。
【請求項25】
化学添加剤が、粘度指数向上剤、抗酸化剤、耐摩耗剤、腐食防止剤、乳化破壊剤、乳化剤、潤滑剤、流動点降下剤、消泡剤、分散剤、清浄剤及びそれらの混合物からなる群より選ばれる、請求項1記載の容器。
【請求項26】
化学添加剤が、油中に粒子状物質を分散させるもの、スラッジやニスの形成を阻止して沈着物の形成を減少させるもの、フリーラジカル又はペルオキシドとの反応によって生じる油の劣化や酸化を防止するもの、腐食やさびの形成を阻止するもの、摩耗を減少させるもの、温度による粘度変化の速度を低下させるもの、流体が流れる温度を低下させるもの、ワックス結晶化特性の改変により濾過性を改善するもの、流体中の安定な泡の形成を防止するもの、油-水の分離を容易にするもの及び安定な油中水型エマルジョンの形成を促進するものからなる群より選ばれる、請求項1記載の容器。
【請求項27】
少なくとも1つの流体材料浸透性要素が、コーティング高分子材料によって少なくとも部分的に被覆されている、請求項1記載の容器。
【請求項28】
少なくとも1つの流体剤浸透性要素が流体材料可溶性シールを含む、請求項1記載の容器。
【請求項29】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項1記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む前記方法。
【請求項30】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項4記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項31】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項6記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項32】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項9記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項33】
化学添加剤を持続した速度で流体材料中へ放出する方法であって、請求項13記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む、前記方法。
【請求項34】
化学添加剤を持続した速度で液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料中へ放出する方法であって、請求項17記載の容器を液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料と接触した状態で配置する工程を含む前記方法。
【請求項35】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に利益を提供することに有効であり且つ前記流体材料に可溶性の流体材料用添加剤を含む中空内部を規定しているケーシングの開口に又はその近傍に配置される大きさで且つ配置されるのに適する流体材料浸透性膜であって、該開口を通って該中空内部を出る該流体材料用添加剤の実質的に全部が該膜を通過するように配置されるのに適する前記流体浸透性膜;と
シール部材が原型を保っている場合に、該ケーシングの該開口に対して、流体材料用添加剤が該開口を通って該中空内部を出ることを防止する大きさで且つ防止するように配置されるのに適するシール部材:
を含むシールアセンブリ。
【請求項36】
シール部材が、液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料の存在下で損なわれ、そのため流体材料用添加剤が開口を通って中空内部を出ることを可能にするのに適する、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項37】
シール部材が少なくとも部分的に流体材料可溶性である、請求項36記載のシールアセンブリ。
【請求項38】
シール部材が支持構造物と流体材料可溶性ポリマーを含む、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項39】
支持構造物がワイヤスクリーン及び織布の少なくとも1つを含む、請求項38記載のシールアセンブリ。
【請求項40】
ケーシングに対して実質的に固定された位置に膜を保持するのに有効である大きさで且つ有効であるように配置されるのに適する少なくとも1つの保持部材を更に含む、請求項35記載のシールアセンブリ。
【請求項41】
液体潤滑剤組成物及び作動液組成物からなる群より選ばれる流体材料に可溶性の流体材料用添加剤を含む中空内部を規定しているケーシングの開口に又はその近傍に配置される大きさで且つ配置されるのに適する流体材料浸透性膜であって、該開口を通って該中空内部を出る該添加剤の実質的に全部が該膜を通過するように配置されるのに適する前記流体材料浸透性膜;及び
該ケーシングに対して実質的に固定された位置に該膜を保持するのに有効である大きさで且つ有効であるように配置されるのに適する少なくとも1つの保持膜:
を含む、流体材料浸透性アセンブリ。
【請求項42】
膜が多孔質膜要素及び半透性要素の少なくとも1つを含む、請求項41記載のアセンブリ。
【請求項43】
膜が微小孔性要素を含む、請求項41記載のアセンブリ。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−195486(P2010−195486A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−16862(P2010−16862)
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2003−522671(P2003−522671)の分割
【原出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(504069978)ドーバー ケミカル コーポレイション (1)
【出願人】(508216644)カミンズ・フィルトレーション・アイピー,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【分割の表示】特願2003−522671(P2003−522671)の分割
【原出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(504069978)ドーバー ケミカル コーポレイション (1)
【出願人】(508216644)カミンズ・フィルトレーション・アイピー,インコーポレーテッド (3)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]