説明

流体スプレーヘッド

流体スプレーヘッド
流体スプレーヘッドであって、スプレー開口部(1)と前記スプレーヘッドの端部壁に形成されたスプレープロフィール(10)とが設けられた放出チャネル(5)を有し、前記スプレープロフィール(10)は好ましい構成として非放射状スプレーチャネル(11)を有し、当該非放射状スプレーチャネルは、前記スプレー開口部(1)のすぐ上流に配置された中央スプレーチャンバ(12)に開いており、前記放出チャネル(5)の中にはインサート(20)が配置され、前記スプレープロフィール(10)のカバーを形成しており、前記インサート(20)の中心軸(X)は前記放出チャネル(5)の中心軸(Y)とほぼ一致しており、前記スプレーヘッドは前記インサート(20)を中心に置くための中心決め手段を有する、というスプレーヘッド。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体スプレーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
流体ディスペンサヘッドは、特に薬品の分野において公知である。細粒スプレーを投与するため、一般的に、ヘッドはスプレー開口部のすぐ上流に配置されたスプレープロフィールを有する。スプレープロフィールは、外付け用の外部ノズルとして知られる外部取り付け部品により形成される。このことは、特許US−3 625 437号、EP−0 906 785号、FR−1 355 350号、そしてEP−0 412 524号の文書で説明されている。この解決方法には重大な問題が見られる。それは、使用中、前記ノズルが押し出される危険がある、というものである。この問題点を緩和するため、インサートを用いてスプレープロフィールをつくり、当該インサートをヘッドの内側を通る形で当該ヘッドに挿入し、当該インサートは前記スプレープロフィールの端部壁を形成しデッドボリュームを制限している、という形にすることが提案されている。スプレー特性、特に液滴のサイズ分布とそうした特性の再現性は、前記スプレープロフィールの形状によるところが大きい。ヘッド成形中の製造誤差により、特に医薬品の流体ディスペンサ装置の殆どにおいて、性能が必ずしも一定でないことがわかった。具体的に言えば、製造誤差により、インサートの開口部の中心軸がスプレーチャンバの中心軸からずれてしまう。こうしたずれによって、図2において示すようにスプレープロフィールが非対称的となり、非放射状チャネルのうち1つへと通じるアクセスが実際には塞がれる可能性がある。結果、流体が渦巻いてスプレーチャンバの中に入ることが困難になり、スプレーの性能と特性とは悪影響を受ける。軸のこうしたずれは無視できないものとなり、特にヘッド同士の間で大きく異なる可能性がある。これにより、一定のスプレー特性は実現されにくくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記の問題を生じない流体スプレーヘッドを提供することを目的とする。
さらに具体的に言えば、本発明は、安全かつ信頼性があり、共通の鋳型キャビティから作られたヘッド全てが一定かつ再現可能な流体スプレーの特性と性能とを有する、という流体スプレーヘッドを提供することを目的とする。
さらに、本発明は、製造および組み立てが簡単かつ低コストな流体スプレーヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本発明は、流体スプレーヘッドであって、スプレー開口部と前記スプレーヘッドの端部壁に形成されたスプレープロフィールとが設けられた放出チャネルを有し、前記スプレープロフィールは好ましい構成として非放射状スプレーチャネルを有し、当該非放射状スプレーチャネルは、前記スプレー開口部のすぐ上流に配置された中央スプレーチャンバに開いており、前記放出チャネルの中にはインサートが配置され、前記スプレープロフィールのカバーを形成しており、前記インサートの中心軸は前記放出チャネルの中心軸とほぼ一致しており、前記スプレーヘッドは前記インサートを中心に置くための中心決め手段を有する、というスプレーヘッドを提供する。
【発明の効果】
【0005】
効果的な構成として、前記放出チャネルは、前記インサートを中心に置くための前記中心決め手段を有することとする。
効果的な構成として、前記中心決め手段は、突起部分を少なくとも1つ、好ましい構成として3つ有し、当該突起部分によって形作られる内接円の直径は、インサートの直径とほぼ同一であることとする。
【0006】
効果的な構成として、放出チャネルは3つの平面部を有し、これら平面部は前記チャネルの周囲に対称的な形で分布しており、当該平面部は前記インサートと協働して当該インサートが前記放出チャネルに対し中心にくるようにすることとする。
効果的な構成として、スプレーチャネルへの放出チャネルのアクセスは、前記突起部分同士の間に形成されていることとする。
【0007】
効果的な構成として、前記インサートの中心軸は放出チャネルの中心軸からずれており、当該ずれの距離は0.08mm未満であって、好ましくは0.03mm未満であることとする。
効果的な構成として、前記スプレーチャンバの直径は1mmであることとする。
効果的な構成として、前記スプレー開口部の直径は0.3mmであることとする。
【0008】
さらに、本発明は、共通の鋳型キャビティで製造されたスプレーヘッドのセットであって、当該ヘッドは上述したとおり作られている、というセットを提供する。
効果的な構成として、放出チャネルの中心軸に対する前記インサートの中心軸のずれに関する標準偏差は、共通の鋳型キャビティで作られたスプレーヘッド全てにおいて、0.05mm未満であって、効果的な構成として0.02mm未満であることとする。
【0009】
さらに、本発明は、上述したスプレーヘッドを有する流体ディスペンサ装置を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の他の特徴と効果とに関しては、添付図面を参照しながら、非限定的な例として示す以下の本発明の効果的な実施の形態についての詳細な説明を読めば、さらに明らかになるだろう。
本発明は、あらゆる種類の流体スプレーヘッドに適用できる。しかし、ここでは、細長いヘッド(たとえば、ヘッドの軸に沿って方向づけられたスプレー開口部を有する鼻用ディスペンサヘッド)を参照しながら説明を行う。当然のことながら、本発明は、いかなる種類のヘッド(具体的には、スプレーが横方向に投与されるヘッド)にも適用できる。
【0011】
本発明において、流体スプレーヘッドは放出チャネル5を有し、当該放出チャネルには、スプレー開口部1と当該スプレー開口部1より上流に配置されたスプレープロフィール10とが設けられている。スプレープロフィール10は放出チャネルの端部壁に形成されており、公知の様態においては、好ましい構成として非放射状スプレーチャネル11を有し、当該非放射状スプレーチャネルは、前記スプレー開口部1よりすぐ上流に配置された中央スプレーチャンバ12に通じている。チャネルの数は、図1において示されるように3つとすることができるが、他の何らかの形を考えることもできる。前記放出チャネル5には、好ましい構成として硬くロッドのようなシンプルな形状をしたインサート20が設けられ、デッドボリュームを制限し、前記スプレープロフィール10のカバーを形成している。インサート20は、ヘッドの内部を通る形で挿入され、内部ノズルを形成している。この内部ノズルは、ヘッドの外側に固定される外部ノズルとは対照的に、装置の駆動中に押し出される危険がない。したがって流体は、放出チャネル5に沿って、アクセス15を介して前記インサートの周囲を流れて、前記インサート前面の前方にある非放射状チャネル11に達する。それから流体は、渦を巻いてスプレーチャンバ12の中に入り、その後スプレー開口部1を通ってスプレーの形で放出される。このように、本発明の装置は、2つの部分、すなわち、ヘッドを形成する外側部分およびインサートを形成する内側部分のみで形成されている、という形になっている。
【0012】
本発明の特徴となるのは、可能な限り、前記インサート20の中心軸Xは放出チャネル5の中心軸Yと一致している、ということである。
そのために、インサート20用の中心決め手段が設けられている。好ましい構成として、中心決め手段は、前記スプレープロフィール10の近傍で、放出チャネル5の中に形成されている。これら中心決め手段は、1つまたは複数の突起部分で成り、当該突起部分はインサート20と協働し当該インサートを中心に置く、とすることができる。図3に示すのは、1つの効果的な実施の形態である。この実施の形態において、放出チャネル5は3つの平面部30を有し、当該平面部はチャネルの周囲に均等に分布している。突起部分は内接円を規定しており、当該内接円の直径はインサート20の直径にほぼ一致する。インサート20の組み入れ中、このように、スプレープロフィール10の非放射状チャネル11へのアクセス15同士の間に平面部30がくるようにすれば、図2に示す従来技術のヘッドのようにインサート20がアクセス15のうち1つを閉じてしまう、という事態は防止される。平面部を、たとえば凸形または凹形の突起部(例として、円弧、さらにはチャネルの周囲に分布する複数の突起)といった別のプロフィールに変更してもよい。インサート20は中心に置かれているため、流体は3つのチャネル11をほぼ均等な形で流れ、性能(液滴の平均サイズおよび液滴のサイズ分布)と一定性(あらゆるヘッドの性能の再現性)との両方の点において最適なスプレー特性を有する効果的なスプレーが作られる。当然のことながら、放出チャネル5とインサート20との製造誤差により、軸Xと軸Yとの間にわずかなずれが生じる可能性があるが、平面部30のおかげでこうしたずれを制限することができる。こうしたずれは、効果的な構成として0.08mmより小さく、0.03mmより小さいことが好ましい。さらに、本発明によれば、共通の鋳型キャビティで作られたスプレーヘッドには、放出チャネルの中心軸Yに対するインサート20の中心軸Xのずれに関した標準偏差が見られるが、この標準偏差は0.05mmより小さく、0.02mmより小さいことが好ましい。この比較的小さなずれの値と現在あるものの標準偏位よりはるかに小さな標準偏位とにより、スプレーの品質を向上させることができる。
特に効果的な1つの実施の形態は、スプレーチャンバ12の直径がほぼ1mm、スプレー開口部1の直径がほぼ0.3mmである、というディスペンサヘッドに関する。
【0013】
このように、本発明によれば、流体ディスペンサヘッドから投与されるスプレーの特性と性能とを改良し、さらに、それら特性の一定性を向上させる、という形で流体ディスペンサヘッドを改良することができる。
ここまで、本発明について、その特定の実施の形態を参照しながら説明してきたが、明らかなように、本発明は前記実施の形態により限定されるものではない。それどころか、当業者であれば、本特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を逸脱しない形で、本発明に全ての有用な変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のディスペンサヘッドのスプレープロフィールの水平断面における概略図である。
【図2】先行技術によるスプレーヘッドの放出チャネルの水平断面における概略図である。
【図3】本発明の実施の形態を構成するスプレーヘッドの放出チャネルの水平断面における概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体スプレーヘッドであって、
スプレー開口部(1)と前記スプレーヘッドの端部壁に形成されたスプレープロフィール(10)とが設けられた放出チャネル(5)を有し、前記スプレープロフィール(10)は好ましい構成として非放射状スプレーチャネル(11)を有し、当該非放射状スプレーチャネルは、前記スプレー開口部(1)のすぐ上流に配置された中央スプレーチャンバ(12)に開いており、前記放出チャネル(5)の中にはインサート(20)が配置され、前記スプレープロフィール(10)のカバーを形成しており、
特徴となるのは、
前記インサート(20)の中心軸(X)は前記放出チャネル(5)の中心軸(Y)とほぼ一致しており、前記スプレーヘッドは前記インサート(20)を中心に置くための中心決め手段を有することである、
というスプレーヘッド。
【請求項2】
前記放出チャネル(5)は、前記インサート(20)を中心に置くための前記中心決め手段を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のヘッド。
【請求項3】
前記中心決め手段は、突起部分(30)を少なくとも1つ、好ましい構成として3つ有し、当該突起部分によって形作られる内接円の直径は、インサート(20)の直径とほぼ同一であること、
を特徴とする請求項2に記載のヘッド。
【請求項4】
放出チャネル(5)は3つの平面部(30)を有し、これら平面部は前記チャネルの周囲に対称的な形で分布しており、当該平面部(30)は前記インサート(20)と協働して当該インサートが前記放出チャネル(5)に対し中心にくるようにすること、
を特徴とする請求項3に記載のヘッド。
【請求項5】
スプレーチャネル(11)への放出チャネル(5)のアクセスは、前記突起部分同士の間に形成されていること、
を特徴とする請求項3または4に記載のヘッド。
【請求項6】
前記インサート(20)の中心軸(X)は放出チャネル(5)の中心軸(Y)からずれており、当該ずれの距離は0.08mm未満であって、好ましくは0.03mm未満であること、
を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のヘッド。
【請求項7】
前記スプレーチャンバ(12)の直径は1mmであること、
を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のヘッド。
【請求項8】
前記スプレー開口部(1)の直径は0.3mmであること、
を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のヘッド。
【請求項9】
共通の鋳型キャビティで製造されたスプレーヘッドのセットであって、
特徴となるのは、
前記ヘッドは請求項1乃至8のいずれかにより作られていることである、
というセット。
【請求項10】
放出チャネル(5)の中心軸(Y)に対する前記インサート(20)の中心軸(X)のずれに関する標準偏差は、共通の鋳型キャビティで作られたスプレーヘッド全てにおいて、0.05mm未満であって、効果的な構成として0.02mm未満であること、
を特徴とする請求項9に記載のセット。
【請求項11】
請求項1乃至8のいずれかによるスプレーヘッドを有すること、
を特徴とする流体ディスペンサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−501700(P2007−501700A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523027(P2006−523027)
【出願日】平成16年7月27日(2004.7.27)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002006
【国際公開番号】WO2005/018812
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(502343252)バルワー エス.アー.エス. (144)
【Fターム(参考)】