説明

流体冷却器および圧縮機

【課題】低温の周囲温度においてオイル冷却器が使用される場合に、該オイル冷却器の冷却容量が過剰になることがある。
【解決手段】オイル冷却器27が、一段目オイル冷却器24およびこれの下流の二段目オイル冷却器32とからなる。一段目オイル冷却器24と二段目オイル冷却器32とを接続しているフローライン28とフローライン30との間に弁40が設けられる。弁40に取り付けられたセンサ42が、フローライン28における流体の温度を検出していて、二段目オイル冷却器32による追加の冷却を必要としない場合に、弁40を駆動し、この弁40は、二段目オイル冷却器32をバイパスさせるように流体を導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二段オイル冷却器に関し、詳しくは、追加の冷却が必要でないときに、中間のバイパスラインによって、オイルが二段目オイル冷却器をバイパスするように導かれる二段オイル冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機には、一般に、オイルが必要であるが、このオイルが圧縮機の作動中に高温になることがある。従って、オイルは、圧縮機からオイル冷却器を通るように導かれることによって、周期的に冷却されてから圧縮機へ戻される。圧縮機のアプリケーションの1つとしては、空気圧縮機がある。空気圧縮機用のオイル冷却器は、一般に、高温の周囲温度条件を扱うサイズに作られており、高温の周囲温度条件においては、オイルがかなり熱くなる。しかし同じオイル冷却器が低温の周囲温度において使用される場合には、オイルがそれほど熱くはならないので、該オイル冷却器の冷却容量が過剰となることがある。
【0003】
典型的な圧縮機は、該圧縮機の吸入を制限する弁を備え、該圧縮機の容量を低下させることができるが、この容量低下も、オイルが好ましい作動温度まで熱くならないことの原因となり得る。
【0004】
圧縮機は、また、該圧縮機の速度を変化させ得る構成とすることで、該圧縮機の容量を低下させることができるが、この容量低下も、オイルが熱くならないことの原因となり得る。
【0005】
過大なサイズのオイル冷却器に関連する熱サイクルは、該オイル冷却器のコアに応力を誘発させることがあり、これによって、該オイル冷却器の強度と、内部圧力に対する耐久性が低下してしまうことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多段式の熱交換器にバイパス弁を設けることが提案されている。しかし、この種の装置に関連する従来の弁は、バイパスラインの下流端部に配置され、単に、二段目の熱交換器を通流する流体の流量を減らすだけのものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
流体冷却器が、一段目流体冷却器と、下流の二段目流体冷却器と、を備える。一段目流体冷却器と二段目流体冷却器とをフローラインが接続している。弁が、このフローラインに流れている流体の状態を検出し、追加の冷却が必要ではないと判断した場合、二段目流体冷却器をバイパスさせるように流体を導く。この流体冷却器を組み込んでいる空気圧縮機についても特許請求の範囲に記載している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を組み込んでいるシステムの概略図。
【図2】弁の位置が移動したときのシステムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
システム20は圧縮機22を含み、この圧縮機22は、ライン21から空気を受け、この空気を圧縮して、圧縮空気出口23へ送るように作動する。分離器要素17を含むオイル分離槽25が、圧縮機22の出口側に配置される。この分離器は、周知のものとすることができる。分離されたオイルは、ライン125を通ってオイル冷却器27へ流れる。オイル冷却器27の下流において、オイルは、ライン19を通って圧縮機22へ戻る。本発明を空気圧縮機とともに示しているが、本発明のオイル冷却器27は、他の用途に用いられる他の圧縮機に組み込んで使用することもでき、圧縮機用オイル冷却器以外の冷却用途にも用いることができる。
【0010】
オイル冷却器27は、少なくとも二段からなり、一段目オイル冷却器24と、下流の二段目オイル冷却器32と、を備えている。圧縮機22からのオイルは、一段目オイル冷却器24の入口マニホールド31に流れ、管26で概略的に示すフローチャネルを通って、吐出プレナム33へ流れる。このチャネルの周囲に空気が循環し、オイルを冷却する。オイルは、吐出マニホールド33から、接続フローライン28を流れ、続いて接続フローライン30へ流れ、二段目オイル冷却器32の入口マニホールド34へ導かれる。図示していないが、二段目オイル冷却器32もオイルチャネルを含んでいる。なお、一段目オイル冷却器24、二段目オイル冷却器32およびフローチャネルは、種々の構成のいずれであっても良く、フィンなどを含んでいてもよい。
【0011】
入口マニホールド34が、ライン30からオイルを受けると、このオイルは、二段目オイル冷却器32を通流して、吐出マニホールド36へ流れ、さらに、ライン19を流れて圧縮機22へ戻る。バイパスライン41が、ライン28に接続されるとともに、弁40が設けられる。バネ44が、図1に示す位置に弁40を付勢する。弁40が図1に示す位置にあるときは、オイルは、二段目オイル冷却器32をバイパスして、直接的に吐出マニホールド36へ流れる。
【0012】
オイルが二段目オイル冷却器32による追加の冷却を必要としない場合、弁40は、図1に示す位置に留まり、オイルは、二段目オイル冷却器32をバイパスするように流れる。この場合、すべての冷却が一段目オイル冷却器24においてなされ、上述した問題が回避される。弁40に取り付けられたセンサ42が、ライン28におけるオイルの温度を監視している。弁40に達したときのオイルの温度が、閾値よりも高くなった場合、センサ42は、図2に示す位置まで弁40を駆動し、この図2に示す位置においては、オイルは、弁40を通ってフローライン30を流れ、二段目オイル冷却器32へ導かれる。
【0013】
図から理解されるように、弁は、「全開」あるいは「全閉」のいずれかの位置にあり、弁40が図1の位置にあるときには、オイルのすべてが二段目オイル冷却器32をバイパスする。弁40が図2の位置にあるときには、バイパスラインが完全に封鎖されるので、流体は、バイパスラインに流れない。さらには、弁40がバイパスラインの上流端部にあるので、流体のデッドボリューム(dead volume)が生じない。具体例として開示した弁は、全開位置と全閉位置との間で移行するので、流体が分割されて両方の行先へ導かれるような移行状態が存在する。しかし、これは一時的な状態であり、弁40は、最終的には、図1に示す位置あるいは図2に示す位置に達する。
【0014】
一実施例においては、センサ42は、所定の温度に晒されると図2に示す位置まで弁を駆動するように膨張するワックス要素(a wax element)とすることができる。あるいは、他の温度感応要素を使用してもよい。さらには、弁40は、電子制御弁として設けることができ、その場合に、電子センサが温度を検出し、所定の温度になったときに、図2に示す位置まで弁を駆動する。
【0015】
弁40およびこれに関連するセンサ42やバネ44などの構成要素を概略的に示しているが、当業者であれば、開示した機能を実現するように作動することができる弁を設ける方法について理解されるであろう。さらには、他の様式で作動する他の形式の弁が、本発明の範囲内で使用され得る。一例としては、弁は、通常は図2に示す位置に付勢されていて、図1に示す位置まで駆動されるものとすることができ、その場合にも、本発明の範囲内にある。
【0016】
さらには、図は、オイル冷却器を示しているが、本発明は、オイル以外の流体を使用する冷却器に組み込むことができる。
【0017】
本発明の実施例を開示したが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、いくつかの変更がなされ得ることを理解されるであろう。
【符号の説明】
【0018】
22…圧縮機
24…一段目オイル冷却器
32…二段目オイル冷却器
40…弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一段目流体冷却器および下流の二段目流体冷却器と、
上記一段目流体冷却器と二段目流体冷却器とを接続しているフローラインと、
上記フローラインを流れている流体の状態を検出し、追加の冷却が必要ではないと判断した場合に上記二段目流体冷却器をバイパスさせる弁と、
を備える流体冷却器。
【請求項2】
上記弁は、上記流体の温度を検出していることを特徴とする請求項1に記載の流体冷却器。
【請求項3】
上記フローラインにバイパスラインが接続され、このバイパスラインが上記弁と連通することを特徴とする請求項2に記載の流体冷却器。
【請求項4】
上記弁は、所定の温度になったときに、上記バイパスを封鎖する位置まで上記弁を動かすように膨張する温度感応部を有することを特徴とする請求項1に記載の流体冷却器。
【請求項5】
圧縮機から上記流体冷却器へオイルが流れることを特徴とする請求項1に記載の流体冷却器。
【請求項6】
上記二段目流体冷却器の下流端部に吐出マニホールドが存在し、上記流体が、この吐出マニホールドへ直接的に流れるようにバイパスされることを特徴とする請求項1に記載の流体冷却器。
【請求項7】
上記二段目流体冷却器は、さらに、入口マニホールドを有し、この入口マニホールドと上記吐出マニホールドとの間にフローチャネルが設けられ、流体が、このフローチャネルを流れるときに、空気によって冷却されることを特徴とする請求項6に記載の流体冷却器。
【請求項8】
上記弁は、バイパスラインの上流端部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の流体冷却器。
【請求項9】
オイル入口を有する圧縮機と、
上記圧縮機から、一段目流体冷却器および下流の二段目流体冷却器を含んでなる流体冷却器へ延びたオイル供給ラインと、
上記流体冷却器から上記圧縮機へ戻る流体リターンラインと、
上記一段目流体冷却器と二段目流体冷却器とを接続しているフローラインと、
上記フローラインを流れている流体の状態を検出し、追加の冷却が必要ではないと判断した場合に上記二段目流体冷却器をバイパスさせる弁と、
を備える圧縮機。
【請求項10】
上記弁は、上記流体の温度を検出していることを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
【請求項11】
上記フローラインにバイパスラインが接続され、このバイパスラインが上記弁と連通することを特徴とする請求項10に記載の圧縮機。
【請求項12】
上記二段目流体冷却器の下流端部に吐出マニホールドが存在し、上記流体が、この吐出マニホールドへ直接的に流れるようにバイパスされることを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
【請求項13】
上記二段目流体冷却器がさらに入口マニホールドを備え、この入口マニホールドと上記吐出マニホールドとの間にフローチャネルが設けられ、流体が、このフローチャネルを流れるときに、空気によって冷却されることを特徴とする請求項12に記載の圧縮機。
【請求項14】
上記弁は、所定の温度になったときに、上記バイパスを封鎖する位置まで上記弁を動かすように膨張する温度感応部を有することを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。
【請求項15】
上記弁は、バイパスラインの上流端部にあることを特徴とする請求項9に記載の圧縮機。

【図1】
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【図2】
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