説明

流体力学的分流を備える電気脱イオン化方法および装置

【課題】少なくとも1つのプロセスを含む、極性液体(10)からイオンおよびイオン化物質を除去する方法および装置を提供すること。
【解決手段】極性液体(10)は第1のストリーム(F1)および第2のストリーム(F2)に分割され、
上記第1のストリーム(F1)は、電界が印加される2つの電極(4、5)間に位置する電気化学的に再生可能なイオン交換材料(2)を通り、上記第1のストリーム(F1)は、除去されるイオンが、上記イオン交換材料(2)を貫流する第1のストリームに対して逆方向に移動するように、一方の電極(4)から他方の電極(5)に流れ、
上記第2のストリーム(F2)は、上記一方の電極(4)を洗浄し、
上記材料は、他方の電極(5)で形成されるイオンによって再生される方法。
上記方法を実行するための装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊電気脱イオン化(EDI)方法および装置に関する。そのような方法および装置は、液体供給ストリームから脱イオン化された液体を製造するために使用される。
【背景技術】
【0002】
この特許出願において、「脱イオン化」は、「脱アニオン化」、「脱カチオン化」、または「完全脱イオン化」(すなわち、脱アニオン化および脱カチオン化)を意味する。
【0003】
連続電気脱イオン化、またはただの電気脱イオン化(EDI)は、電気的活性媒体および電位差を使用してイオン輸送に影響を及ぼすことによって、水などの液体からイオン化されたスペーシおよびイオン化可能なスペーシを除去するプロセスとして当該技術分野で知られている。EDIは、現在、標準水脱イオン化技術にかかわっている。その主な原理、つまり、電気透析スタックのディリュエートコンパートメントの混床イオン交換樹脂を使用することは、1987年にMillipore Corporationによって市販化された。
【0004】
EDIに関する第1の発明のうちの1つにおいて、ディリュエートコンパートメント内の混床だけでなく、フロー方向と一致され、電界に垂直な(イオン交換膜に平行な)方向のカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂の層、または電界と一致され、フローに垂直な交互層またはクラスタが要求される。そのような方向性は、逆接合を防ぐことを目的としたものであり、混床内に存在し、したがって、脱イオン化性能を改善する。イオン交換樹脂のクラスタまたは層は、イオンを再生するための移動経路をもたらし、樹脂を再生し続け、供給水からイオンを除去することができる。混床を備えるEDIと比較すると、クラスタ化床または層状床は、ディリュエートコンパートメントの電気抵抗を減少させ、特に弱解離電解質に関して、脱イオン化性能を改善した。
【0005】
連続モードで電気化学的に再生された完全分離ディリュエートコンパートメント内でカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂を使用することも知られている。ある方式では、供給水溶液が、連続してカチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂床を流れ、例えば電極反応で生成されたHおよびOHイオンが樹脂を再生するために使用される。
【0006】
EDIの知られている方法およびイオン交換材料を電気化学的に再生する関連する装置において、液体フローは供給され、すべてのコンパートメントから別々に流れ出る、またはコンパートメント外に設置された共通コレクタを通ってモジュールの平行コンパートメント間で分配される。供給使用される典型的な液体は、逆浸透透過水などのあらかじめ処理された水である。
【0007】
市販のEDI装置では、液体の概略フロー方向は、イオン交換膜または電極の表面に対して接線方向である。しかしながら、米国特許出願公開第2003/0213695号および米国特許出願公開第2006/0231403号などのいくつかの開示は、液体の概略フロー方向が電極の表面に完全にまたは部分的に垂直である装置を取り扱う。
【0008】
図1は、先行技術、すなわちUS2006/0231403の図6に基づいて開示された装置100での概略説明図である。
【0009】
装置100は、汚染物質アニオンおよびカチオンを含む水ストリームからアニオンおよびカチオンを除去するために使用される。装置100は、カソード111およびアノード109を含むハウジングからなる。カソード111は、発電機の(−)側113に電気的に接続されている。アノード109は、発電機の(+)側112に電気的に接続されている。電界は電極111、109間で生成される。ハウジングは5つのコンパートメントを含み、それらは、カソードコンパートメント110、カチオン減少コンパートメント102、中央アニオン/カチオン減少コンパートメント103、アニオン減少コンパートメント101、およびアノードコンパートメント108である。
【0010】
それらのコンパートメント110、102、103、101および108は、2つのカチオン交換膜106および107、および2つのアニオン交換膜105および104によってハウジング内部で分割されている。カチオン交換膜106は、カソードコンパートメント110を閉じ、カソード111に近接している。アニオン交換膜104は、アノードコンパートメント108を閉じ、アノード109に近接している。中央アニオン/カチオン減少コンパートメント103は、カチオン減少コンパートメント102側のカチオン交換膜107およびアニオン減少コンパートメント101側のアニオン交換膜105によって分割されている。
【0011】
カチオン減少コンパートメント102は、カチオン交換樹脂で均一に満たされており、カチオン交換樹脂は、それを通る液体フローのカチオンを保持する。アニオン減少コンパートメント101は、それを通る液体フローのアニオンを保持するアニオン交換樹脂で均一に満たされている。アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂は連続的に再生される。
【0012】
中央アニオン/カチオン減少コンパートメント103は異成分からなり、つまり、アニオンおよびカチオン交換樹脂の混床で満たされている。この中央コンパートメント103では、ヒドロニウムイオンH(さらにHとして書かれる)および水酸化物イオンOHの生成が生じる。OHは、フローから捕捉されたアニオンを交換することによって、アニオン交換樹脂を再生するアニオン減少コンパートメント101中にアニオン交換膜105を通って移動し、アノード109の方に移動する。Hは、フローから捕捉されたカチオンを交換することによって、カチオン交換樹脂を再生するカチオン減少コンパートメント102中にカチオン交換膜107を通って移動し、カソード111の方に移動する。
【0013】
電極洗浄ストリーム122は、アノードコンパートメント108に入り、アノード109に対して接線方向に移動し、一見したところ、ストリーム114の入口と同じ側でストリーム120で流出する。ストリーム120は、カソードコンパートメント110に入り、カソード111に対して接線方向に移動し、一見したところ、ストリーム115の入口と同じ側で電極洗浄ストリーム121で流出する。
【0014】
ハウジングは、アニオン交換膜104に近接する位置でアニオン減少コンパートメント101に入る水ストリーム114用の入口を有する。水ストリーム101は、アニオンの移動に対して逆流方向に流れる。アニオン減少水115は、アニオン交換膜105に接近して位置する出口から流出し、さらに、カチオン交換膜106に近接するカチオン減少コンパートメント102に入る。このアニオン減少水115は、カチオンの移動に対して逆流方向に流れる。したがって、アニオン/カチオン減少水116は、カチオン交換膜107に接近して位置する出口から流出する。このアニオン/カチオン減少水116は、イオン交換膜105および107に対して接線方向にアニオン/カチオン減少コンパートメント103を通って流れ、完全に脱イオン化された生成水117は装置100から出る。
【0015】
電極に垂直な、つまり、対イオンの移動に対して逆流方向のフロー方向の装置は、より高い電流効率を有するように要求され、イオン交換膜に対して接線方向で、電界に垂直なフローのEDI装置に、有利により良好な脱イオン化性能をもたらすことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0213695号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0231403号明細書
【特許文献3】国際公開第2006/062176号
【特許文献4】米国特許出願公開第2008/308482号明細書
【特許文献5】国際公開第98/51621号
【特許文献6】国際公開第2008/130578号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
一般に、電極の表面に垂直な方向の液体フローのEDI装置の先行技術の開示は、軽減することが可能な以下の「欠点」を有する:
ユニットは、2から3のコンパートメントを含み、各々は、それ自体の入口および出口、および少なくとも2つの別個の供給ストリーム(1つは脱イオン化用のストリーム、もう1つは濃縮物、例えば電極、コンパートメントの洗浄用のストリーム)を備える。したがって、上記のような装置100は、装置内に5つのコンパートメントを画定する4つのイオン交換膜を必要とするので相対的に複雑である、
イオン交換膜と樹脂との境界を使用して電気化学的に向上された水解離をもたらす装置において、所定の電位差でのHおよびOHの発生の強度は、両方の材料の特性およびそれらの間の接触表面積に依存し、条件に応じて強く変化する可能性がある、
混床において、ビード間の逆接合はイオン除去の効率および能力を低減する。
【0018】
したがって、簡単で、効率的で、コスト効率の良いEDI装置が依然として必要である。従って、有利には、本発明は、上記検討された問題の1つ以上に対応することができる方法および装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
アニオンまたはカチオンを除去するために使用される方法および装置に加えて、液体の完全な脱イオン化のための方法および装置が本発明において開示され、それらは、HイオンおよびOHイオンのソースとして、電気化学的に再生されたイオン交換材料および両極性膜を利用し、イオン交換材料中のイオンのエレクトロマイグレーションに対する逆流方向の液体フローをもたらす。本発明では、新しいフロー分配方法が開示され、ここで、液体ストリームは、コンパートメント自体の内部で、イオン除去のために使用される第1のストリームおよび分離されたイオンを洗浄するために使用される第2の濃縮ストリームに分離される。ストリームの流量は、好ましくは流出ストリームの圧力低下の流体力学的調節によって調整される。本発明は、装置のより多くの簡単な構成および省材料、つまりコンパートメントを分離するのに必要なイオン交換膜がないまたはわずかであることをもたらす。これらおよび他の利点は、以下に記載されるような本発明に従って達成される。
【0020】
本発明は、少なくとも1つのプロセスを含む、極性液体からイオンを除去する方法を開示し:
上記極性液体は、第1のストリームおよび第2のストリームに分割され、
上記第1のストリームは、電界が印加される2つの電極間に位置する電気化学的に再生可能なイオン交換材料を通り、上記第1のストリームは、除去されるイオンが、上記イオン交換材料を貫流する第1のストリームに対して逆方向に移動するように、一方の電極から他方の電極に流れ、
上記第2のストリームは、上記一方の電極、または電極間に設置されたイオン交換膜を洗浄し、
上記材料は、他方の電極または上記イオン交換膜で形成されるイオンによって再生される。
【0021】
本発明によれば、一方の電極から他方の電極に流れる上記第1のストリームは、他方の電極に達する前に、イオン交換膜、例えば、両極性膜によって止めることができる。
【0022】
本発明によれば、イオン交換膜は、概してアニオン交換膜またはカチオン交換膜または両極性膜である。好ましくは、イオン交換膜は両極性膜である。
【0023】
「両極性膜」は、一般に、互いに接触する2つの逆帯電イオン交換層を含む合成非多孔性イオン交換膜である。
【0024】
本発明によれば、一方の電極の洗浄は強制的であり、他方の電極、すなわち対向電極の洗浄は任意である。
【0025】
好ましくは、第2のストリームは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、一方の電極を洗浄する。
【0026】
変形例では、第3のストリームは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、他方の電極を洗浄する。
【0027】
好ましい実施によれば、一方の電極を洗浄するために使用されるストリームの少なくとも1つは、上記電極に対して接線方向に通るおよび/または上記電極を通る前に膜を通る。膜は好ましくはイオン交換膜であり、一般に非多孔性である。膜は多孔質膜とすることもできる。
【0028】
電極間に電界が印加される。電極は対向することができる。
【0029】
本発明はまた以下の方法を含む:
2つの上記プロセスは、電気化学的に再生可能なアニオン交換材料および電気化学的に再生可能なカチオン交換材料によって、アニオンおよびカチオンをそれぞれ除去するために使用され、
アニオン交換材料およびカチオン交換材料のために、OHアニオンおよびHカチオンをそれぞれ再生するソースを準備するための手段が使用される。
【0030】
好ましくは、2つのプロセスは同時に行われ、より好ましくは、2つのプロセスは同時に一意的な装置内で行なわれる。
【0031】
本発明による方法は、液体フローは、少なくとも1つの、好ましくは全ての流出ストリームの圧力低下の流体力学的調節によって調整することができる。
【0032】
流出ストリームは出口を流れるストリームであり、流入ストリームは入口に流入するストリームである。
【0033】
本発明は、また、極性液体からイオンを除去する装置を開示し、装置は、少なくとも1つのコンパートメントを含む少なくとも1つのハウジングを含み、電極および対向電極が、装置の2つの異なる端に位置し、電気化学的に再生可能なイオン交換材料が、電極と対向電極との間に設置され、ハウジングは、装置の電極の端に位置する流入液体フロー用の1つの入口と、装置の対向電極の端、または任意に装置のイオン交換膜の端に位置する脱イオン液体用の出口とを含み、上記イオン交換膜は、電極間に設置され、上記イオン交換膜は、好ましくは両極性膜であり、装置は、流入液体フローを分割するための手段を含み、電極を洗浄するために使用される液体用の第2の出口が少なくともあり、上記第2の出口は、装置の電極の端に位置することを特徴とする。
【0034】
イオン交換膜の存在は任意である。任意に、電極と対向電極との間に設置された電気化学的に再生可能なイオン交換材料があるということは、この材料が電極間の空間を完全に満たすことを必ずしも意味しない。この材料は、一般に、電極間の区域、例えば、電極の1つと電極間に位置するイオン交換膜との間の区域を満たす。区域は、この空間容積またはその一部のみとすることができる。
【0035】
本発明によれば、電極端に位置する入口および第2の出口は、電極端によって形成された区域内で互いに近接している。より好ましくは、それらは他方の電極端の前方の区域にある。これは、流体力学的抵抗の点から有利である。
【0036】
好ましくは、装置は、対向電極または存在する場合、イオン交換膜を洗浄するために使用される液体用の第3の出口を含み、上記第3の出口は、装置の対向電極の端または装置のイオン交換膜の端に位置する。
【0037】
変形例では、ハウジングは、ハウジング内部で2つのコンパートメントを画定するOHおよびHイオンのソースを準備するための手段を含み、各コンパートメントは、流入液体フローを分割するための手段と、脱イオン液体用の出口と、電極または対向電極または存在する場合、イオン交換膜を洗浄するために使用される液体用の出口と、1つのコンパートメントの入口を他のコンパートメントの出口に接続するパイピングとを含むように装置はできる。
【0038】
流入液体フローと流出液体フローとの差に対応する装置の流体力学的抵抗は、装置の設計に緊密に関係する。本発明によれば、装置は、好ましくは、流入液体フローおよび流出液体フローの流体力学的抵抗を調節するための装置の出口下流に位置するバルブ、毛細管などの手段を含む。
【0039】
本発明の好ましい実施形態では、コンパートメントは、電気化学的に再生可能なイオン交換材料に接触して、少なくとも1つの壁によって電極に垂直な方向に画定されており、本発明による装置は、上記壁が、少なくとも一部、好ましくはすべてにおいて波形をつけられており、その表面は、上記イオン交換材料の方を向くことを特徴とする。
【0040】
本発明によれば、「波形」は、「折り目、溝、概して平行な隆線または溝をつけられる、またはアレイ状につけられる」を意味する。これは、当業者に知られているように異なる形状によって実現することができる。
【0041】
電気化学的に再生可能なイオン交換材料は、ビード、特に、球状ビードからなる場合、最も良好な波打ち壁は、ビードが完全に適合する壁である。
【0042】
コンパートメント内の球状ビードの充填によって、コンパートメント中心で最密ビードのバルクは、0.74の最大密度充填に達することができる。壁が平面である場合、コンパートメントの壁に近接する充填密度は0.52より低い。この影響は、10から20を越えるビード直径の距離で無視できるものとして考えられることができる。この影響は、わずかしかないビード直径の距離でより顕著である。このより高い空隙容積により、層中の局部的流速は、壁に近接し、ビード直径の下半分の厚さを有し、バルク中より高い。経路厚さより大きいフローのそのような不均等な分配によって、化学的に再生可能なイオン交換材料の使用はそれほど効率的でない。壁が波打ち壁である場合、この欠点は解決され、壁付近で充填されたビードの密度は、有利に改善される。
【0043】
本発明によれば、充填された床の壁の影響は、壁が特定の波形を示す場合、有利に除去され、経路の中央および壁に近接してビードの充填密度を平衡に保つ。そのような波形は、ビード直径の約1/2の高さを有するはずであり、内部(雌)ねじ、平行ノッチ、ピラミッド型突出物のアレイなどの異なる形状を有することができる。
【0044】
電気化学的に再生可能なイオン交換材料は繊維である、または多孔性ブロックからなる場合、波打ち壁によって、コンパートメント内で材料が良好に固定され、壁とイオン交換材料との間のフローチャンネリングが防止される。
【0045】
したがって、本発明の装置は、少なくとも2つの電極、アノードおよびカソードを含み、イオン導電性材料は電極間に設置され、イオン導電性経路が設けられる。外部電圧差が電極間に適用される場合、反応がそれらの表面で起こり、イオンのエレクトロマイグレーションが電極間の電界で起こり、電流を導く。本発明の装置は、電極間に位置する少なくとも1つのコンパートメントを含み、それは脱イオン化コンパートメントであり、イオン交換材料を含む。イオン交換材料は、一般に、イオン交換貫流媒体、例えば、イオン交換樹脂床である。イオン交換材料内部で過半数を占めている可動イオンは対イオンであり、それらは、カチオン交換材料用のカチオンおよびアニオン交換材料用のアニオンである。これらのイオンは、イオン交換材料内部の電流の伝導性の原因であるが、カチオン交換材料内部のカチオンはアノードからカソードへの方向に移動し、一方、アニオン交換材料内部のアニオンはカソードからアノードへの方向に移動する。
【0046】
イオン除去に使用される液体フローは、イオン交換材料内部のイオンの移動に対して逆流方向、つまり逆流である。供給ストリームからの対応イオンはイオン交換によって除去され、さらに、イオン交換材料内部を移動し、最後には廃棄物になる濃縮ストリームに電極で解放される。
【0047】
対イオン移動および電極面に垂直な向きの電界を検討すると、フローと対イオン移動との角度は、フローがイオン交換材料内部の対イオン移動に対して完全に逆流方向であるために約180°である。装置の設計に応じて、この角度からのある偏差が許容され、フローがイオン交換材料内部のイオン移動に対して逆流であるとして本明細書で記載されるために、角度は180°±80°とすることができる。
【0048】
イオン交換材料は一般に連続的に電気化学的に再生される。したがって、供給ストリームからのイオンは連続的に交換することができ、対応する塩イオンがない水溶液が得られる。
【0049】
本発明によれば、アニオン交換材料を含む装置は、上記されるように供給ストリーム中に存在するアニオン塩の効率的な除去のために使用することができる。炭酸(またはCO)、ケイ酸、ホウ酸などの非解離分子の形態で存在する弱解離酸を除去することもできる。
【0050】
本発明によれば、カチオン交換材料で満たされた装置は、上記されるように、供給ストリーム中に存在するカチオン塩の効率的な除去のために使用することができる。NHOH(またはNH)、アミンなどの非解離分子の形態で存在する塩基を除去することもできる。
【0051】
以下に記載される装置は、対応するイオンをOHイオンまたはHイオンで交換して、極性液体から酸または塩基を除去する、またはその水溶性塩溶液から塩基または酸を製造するために使用することができる。
【0052】
再生可能なイオン交換材料は、通常イオン交換樹脂の床である。より一般には、従来のイオン交換材料は、樹脂ビード、イオン交換樹脂の高いメッシュビード、粉末樹脂、さらに繊維または多孔性イオン交換材料である。それらは床またはブロックとして積み重ねられることができる。
【0053】
本発明によれば、電極コンパートメントは、電極が存在する脱イオン化コンパートメントと異なるコンパートメントである。電極コンパートメントは、金属または炭素などの導電性貫流材料を多孔性ブロックまたはビード床の形態で含むことができる。それは、また、充填物を含むことができないか、炭素ビードなどの、中性、カチオン交換、アニオン交換または電子伝導特性を有する貫流材料で満たすことができる。
【0054】
本発明によれば、装置は、1から5のコンパートメント、好ましくは1から3のコンパートメントを含む。
【0055】
カチオンおよびアニオンの両方を除去するために、つまり、完全な脱イオン化のために、解決法は、直列で2つの装置(カチオン交換材料で満たされたのもの、アニオン交換材料で満たされたもの)を使用することである。この場合、直列の好ましい一連の装置は、汚染物の種類を検討することによって規定されなければならない。天然水または処理された(例えば、逆浸透によって)天然水の典型的な汚染物質について、カチオン交換材料−アニオン交換材料のシーケンスが通常有利であるが、それに限定されない。望む場合、両方の装置は、本発明の範囲外ではなく、1つのハウジング内部で一体化することができる。
【0056】
他の解決法は、有利には本発明による完全脱イオン化のために使用され、液体フローがイオン交換材料内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対して逆流方向である装置を使用することにあり、ここで、双極電極またはイオン交換膜、好ましくは両極性膜が、HイオンおよびOHイオンを再生する構成のために利用される。両極性膜を使用することは、HイオンおよびOHイオンへの水解離が、電極で起こるときにガスおよび他の副生成物を形成することなく、電気化学的に向上されることのみがもたらされるので、極性液体が水溶液である場合に有利である。
【0057】
本発明によれば、電極洗浄は、好ましくは本発明の上記実施形態で記載された方法に類似してもたらされる。電極の洗浄は、以下に記載される任意の方法によって、つまり、電極コンパートメントを分離する膜がない、または有するコンパートメント内部で流体力学的供給分流を使用することによって構成することができる。
【0058】
流体力学的分流および必要に応じて電極洗浄は、当業者に明らかなように、図に開示されるような装置および方法の異なる変形例で構成することができる。したがって、イオンを除去するために使用される本発明の装置は、この材料内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対する逆流方向の、電気化学的に再生されたイオン交換材料をメインストリームが流れるハウジングを有し、一方、少なくとも一方の電極(カソードまたは/およびアノード)の洗浄は、以下に記載される任意の方法によって、つまり、膜がないまたは膜を備えるコンパートメント内部の流体力学的分流を使用する、または独立供給電極コンパートメントを使用することによって管理することができる。
【0059】
本発明の技術は、脱イオン化される水溶液の場合には、添付図面と関連して次の詳細な説明を検討することによって容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】典型的な先行技術の脱イオン化装置の概略説明図である。
【図2】本発明による脱イオン化装置の第1の実施の概略説明図である。
【図3】本発明による脱イオン化装置の第2の実施の概略説明図である。
【図4】本発明による脱イオン化装置の第3の実施の概略説明図である。
【図5】本発明による脱イオン化装置の第4の実施の概略説明図である。
【図6】本発明による脱イオン化装置の第5の実施の概略説明図である。
【図7】図4の装置の一部の概略説明図である。
【図8】図6の装置の一部の概略説明図である。
【図9】図6の装置の細部の概略説明図である。
【図10】図6の装置の変形例の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
理解を容易にするために、可能な場合、図に共通の同一要素を示すために、同一の参照符号が使用された。図面は正確な縮尺ではなく、図面のさまざまな要素の相対寸法が概略的に表され、縮尺通りではない。電気化学的に再生可能なイオン交換材料は、常に実質的に同じ直径のビードからなる。
【0062】
図1は、典型的な先行技術の脱イオン化装置の概略説明図であり、上記されている。
【0063】
図2は、本発明による脱イオン化装置32の第1の実施の概略説明図である。
【0064】
装置32は、アニオンを除去する、またはカチオンを除去するために使用することができる。それは、本明細書で、水からアニオンを除去する、例えば、アニオン塩をOHで置換する、および/または解離形態または非解離形態で存在する酸を除去するために使用される装置32として説明される。
【0065】
装置32は、例えば、円筒形状または他の形状のハウジング21を含み、ハウジング21は、内部に、アノード4と、カソード5と、電極間のアニオン交換材料2とを含む。ハウジング21は、1つのコンパートメントを画定し、電気化学セルを形成する。ハウジング21は、水溶性供給溶液フロー10用の入口7と、アノード洗浄ストリーム12用の出口8と、アニオン塩11がない生成物ストリーム用の出口9とを有する。
【0066】
供給10は、アノード4の端に接近して位置する入口7を通ってセルに入る。入口7およびアノード4は、アノード端であるハウジング21の一端に位置する。ハウジング21は、アノード端の反対端に位置する、カソード5の端である他端を有する。2つの出口8および9がある場合、フロー10は、イオン除去に使用される第1のストリーム(矢印F1)およびアノードを洗浄する第2のストリーム(矢印F2)に分割されることとなる。イオン除去用のストリームF1は電極4および5に垂直な方向に向き、アノード4からカソード5に(図2の右から左に)流れる。
【0067】
電極4、5間に電圧差が印加され、したがって、ハウジング21によって形成されたセルを通って電流が導かれる。水分離の電気化学反応はカソード5で起こり、HおよびOHを生成する。OHイオンは、カソード5からアノード4への方向、つまり、フローF1に対して逆流方向にアニオン交換材料2内部を移動する。フローF1のアニオン塩とアニオン交換材料2のOHとの間で交換が生じる。したがって、アノード4の端に近いアニオン交換材料は、ほとんど塩の形態で存在し、一方、カソード5の端に近接するアニオン交換材料は、ほとんど、再生されたOH形態で存在する。処理されたストリーム11はアニオン塩が実質的になく、出口9からハウジング21を出て、出口9の流体力学的抵抗はバルブ19によって調整される。出口9は、カソード5に接近したカソード端に位置する。
【0068】
除去されたアニオン、およびアノード4で生成されたHアニオンおよびOガスは、アノード洗浄ストリームによって洗浄され、アノード廃棄物12として出口8を通ってハウジング21を出て、出口8の流体力学的抵抗はバルブ18によって調整される。
【0069】
生成物11用のフローと廃棄物12用のフローとの比率は、装置の回収を決める。有利には、本発明によれば、それは両方の経路の流体力学的抵抗によって調節することができ、それら経路は装置に依存し、装置の1つ以上の出口下流のバルブ、毛細管などによってさらに調整することができる。図2に示される実施形態では、出口9および8にそれぞれ設置されたバルブ19および18によって主に調整は実行される。
【0070】
上記されるように、同じ主要部がカチオンを除去するために使用することができる。この場合、図2のいくつかの番号は、異なる意味を有し、したがって、(2)はカチオン交換材料を意味し、極性が逆にされ、例えば(5)はアノードを意味し、(4)はカソードを意味する。装置は、水溶液からカチオンを除去する、例えばカチオン塩をHで置換するおよび/または解離形態または非解離形態で塩基を除去するために使用される。除去されたカチオン、およびカソードで生成されたOHカチオンおよびHガスは、カソード洗浄ストリーム(12)によって洗浄される。
【0071】
図3は、本発明による脱イオン化装置34の第3の実施の概略説明図である。装置34は、アニオンを除去するまたはカチオンを除去するために使用することができる。それは、本明細書で、水溶液からアニオンを除去するために使用される装置34として説明される。
【0072】
装置34はハウジング22を含み、ハウジング22は、円筒形状または他の形状でもよく、アノード4と、カソード5と、電極間のアニオン交換材料2とを含む。ハウジング22は1つのコンパートメントを画定し、電気化学セルを形成する。ハウジング22は、水供給溶液フロー10用の入口7と、アノード洗浄ストリーム12用の出口8と、カソード洗浄ストリーム14用の出口13と、アニオン塩11が実質的にない生成物ストリーム用の出口9とを有する。
【0073】
供給10は、アノード4の端に接近して位置する入口7を通ってセルに入る。入口7およびアノード4は、アノード端であるハウジング21の一端に位置する。ハウジング21は、アノード端の反対端に位置する、カソード端である他端を有する。出口9および13は、カソード5に接近するカソード5の端に位置し、出口13は出口9よりもカソード5に接近している。3つの出口8、13および9がある場合、フロー10は、イオン除去に使用される第1のストリーム(矢印F1)およびアノード4を洗浄する第2のストリーム(矢印F2)に分割される。イオン除去用のストリームF1は電極4および5に垂直な方向に向き、アノード4からカソード5に流れ、ここで、さらに、アニオン塩11が実質的にない生成物ストリーム(矢印F’1)および第3のストリームのカソード洗浄ストリーム14(矢印F3)に分割される。
【0074】
したがって、カソード洗浄ストリーム14用の別個の出口13が設けられ、カソード5は流体力学的分割フローを使用して洗浄される。このカソード洗浄ストリーム14は、有利には、ガス(複数可)(カソード5で生成されたHなど)および電極反応の考えられる副生成物を含み、そうして、生成物ストリーム11は実質的に純粋となる。本発明によれば、イオン除去のために使用される液体ストリームは、イオン交換材料2内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対して逆流方向であるのに対して、処理された液体の一部は生成物11として出口9を通ってハウジング22を出て、一方、他の部分はカソード5を洗浄するために使用され、出口13を通って廃棄物14としてコンパートメントを出る。
【0075】
この場合、ハウジング22内部の水溶液流体力学的分割は2回起こり、主液体フローの方向(矢印F1)において、まず、ハウジング22の入口7に近接して起こり、次に、出口9に近接して起こる。上記説明された実施形態のように、出口8、9および13を通る流量の比率は、3つの経路の流体力学的抵抗によって決まり、3つの経路は装置34の設計によって決まり、装置34の出口の下流でバルブ、毛細管などによって調整することができる。
【0076】
図3の実施では、液体は電極4を通って流れることができ、電極洗浄12用の出口8は、電極4背後のコンパートメント6内に設けられている。したがって、電極洗浄用の第2のストリーム(矢印F2)は、電極4を通り、除去されたイオンおよび電極反応生成物と一緒に、廃棄物12として出口8を通ってセル21を出る。
【0077】
この場合、電極はメッシュ形態の金属とすることができ、または多孔性金属材料または非多孔性金属とすることができる。また、それは異なる材料または構造からなる複合電極とすることができる。コンパートメント6は導電性貫流材料で満たすことができる。これは有効な電極表面を増大させ、イオン濃度、pHの局部的変化、および電極表面での大きな気泡の形成を減少させることができる。ある場合には、スケーリングの形成を防止することが効率的になり得る。電極4がカソードである場合、これは硬度イオンを含む水溶液が使用される場合、カソード4の表面の局部的pHの増大に関連するスケーリングの危険性を低減するのに特に有利である。
【0078】
図4は、本発明による脱イオン化装置35の第3の実施の概略説明図である。装置35は、アニオンを除去するまたはカチオンを除去するために使用することができる。それは、本明細書で、水溶液からアニオンを除去するために使用される装置35として説明される。
【0079】
装置35は、電気化学セルを形成するハウジング24を含む。ハウジング24は、供給ストリーム10用の入口7と、電極洗浄ストリーム12用の出口8と、アニオン塩11が実質的にない生成物ストリームの出口9と、アノード4と、カソード5と、電極間のアニオン交換材料2とを有する。イオン除去用のハウジング24内の液体フロー(矢印F1)は、イオン交換材料2内部の対イオンの移動に対して逆流方向である。
【0080】
ハウジングは、円筒を形成するように閉じられた平面である1つの壁42によって、電極4、5に垂直な方向に形成されている。壁42は、電気化学的に再生可能なイオン交換材料2cと接触している。上記壁42の一部は図7に詳細に示されている。液体のフローは、矢印Fによって表わされている。dは、材料2のビードの半径である。dの長さは、上記材料2のバルク中よりもさらに空隙がある壁層の厚さである。
【0081】
装置35は、本明細書において、膜3が好ましくはイオン交換膜であり、ハウジング24を浄化コンパートメント16およびメイン脱イオン化コンパートメント40に分離することを除いて、図2に説明された装置32に概して類似する。供給ストリーム10(矢印F’2)の一部は、図4で概略的に示されるように、ハウジングおよび/または膜3の下部で、例えば穴(または気孔)を使用して、アノードコンパートメント16を洗浄するために使用される。この膜3は、ハウジング24を2つのコンパートメント16および40に分離し、有利には、より良好な流体力学的分離をもたらす。
【0082】
本明細書では、アニオン除去用の装置の場合には、膜3は好ましくはアニオン交換膜である。カチオン除去の場合には、膜3は好ましくはカチオン交換膜である。
【0083】
電極コンパートメント16はフィラーを有することができず(説明されたように)、または貫流導電性材料によって満たすことができる。
【0084】
生成物ストリーム11中にカソード5でのガスおよび他の反応副生成物が存在することが望まれない場合、カソード5洗浄用の別個の出口が、図5に示されるように流体力学的分流を使用して設けられることができる。
【0085】
図5は、本発明による脱イオン化装置36の第4の実施の概略説明図である。装置36は、アニオンを除去するまたはカチオンを除去するために使用することができる。それは、本明細書で、水溶液からアニオンを除去するために使用される装置36として説明される。
【0086】
装置36は、ハウジング20を含み、ハウジング20は、供給ストリーム10用の入口7と、実質的にアニオン塩がない生成物ストリーム11用の出口9と、カソード5と、カソード洗浄ストリーム14用の出口13と、膜3、15間のアニオン交換材料2と、アノード4と、アノード洗浄ストリーム12用の出口8と、膜3によって分離されたアノードコンパートメント16とを有する。イオン除去用のハウジング20の液体フロー(矢印F1)は、イオン交換材料2内部の対イオンの移動に対して逆流方向である。
【0087】
膜15が好ましくはイオン交換膜であり、カソードコンパートメント16’を分割する以外は、装置36は図4に説明された装置35に概して類似する。脱イオン化された供給ストリームの一部は、図5で概略的に示されるように、ハウジングおよび/または膜15の下部で、例えば穴(または気孔)を使用して、電極コンパートメント16’を洗浄するために使用される。この膜15は、さらに、装置36をコンパートメント16’およびメイン脱イオン化コンパートメント41(図4のメイン脱イオン化コンパートメント40の代わり)に分離し、それは、有利には、より良好な流体力学的分離をもたらす。ハウジング20は、3つのコンパートメント、すなわちカソードコンパートメント16’、アノードコンパートメント16およびそれらの間のメイン脱イオン化コンパートメント41を含む。
【0088】
本明細書では、アニオン除去用の装置の場合には、膜15は好ましくはアニオン交換膜である。カチオン除去の場合には、(4)はカソードを表し、(5)はアノードを表し、(15)は好ましくはカチオン交換膜である。
【0089】
電極コンパートメント16’はフィラーを有することができず、または、中性、カチオン交換、アニオン交換(説明されたように)または電子伝導特性を有する材料で満たすことができる。
【0090】
好ましくは、カソードコンパートメント16’は電子伝導性貫流材料で満たされ、アノードコンパートメント16はアニオン交換貫流材料で満たされる。
【0091】
この場合、入口7を通ってハウジング20に入る供給ストリーム10は、まず、イオン除去のために使用される第1のストリーム(矢印F1)および電極洗浄のための第2のストリーム(矢印F2)に分割され、膜3を通り、除去されたイオンおよび電極反応生成物と一緒に廃棄物12として出口8を通ってセル20を出る。第1のストリームは、イオン交換材料2を通った後、実質的に脱イオン化された生成物11として出口9を通ってセル20を出るストリーム(矢印F”1)および膜15を通り、電極反応生成物と一緒に廃棄物14として出口13を通ってセル20を出る第3のストリーム(矢印F’3)に分割される。
【0092】
図4および図5に示される実施では、本発明者らは、イオン交換材料2で満たされた脱イオン化コンパートメント(40、41)から絶縁された電極コンパートメント(16、16’)を使用することが可能であり、一方、このコンパートメントを通るフロー(矢印F1)はイオン交換材料2内部のイオン移動に対して逆流方向であることを実証した。
【0093】
図6は、本発明による脱イオン化装置37の第5の実施の概略説明図である。
【0094】
装置37は、円筒形状のハウジング25を含み、ハウジング25は、内部にアノード4と、カソード5と、両極性膜17と、アノード4と両極性膜17との間に位置する脱イオン化コンパートメント39内のアニオン交換材料2aと、両極性膜17とカソード5との間に位置する脱イオン化コンパートメント38内のカチオン交換材料2cとを含む。
【0095】
ハウジング25は電気化学セルを形成する。ハウジング25は、円筒を形成するように閉じられた平面である1つの壁43によって、電極4、5に垂直な方向に形成されている。図9に示されるように、壁43は波形をつけられている。波形の深さは寸法aである。
【0096】
壁43は電気化学的に再生可能なイオン交換材料2aおよび2cに接触する。上記壁43の一部は、電気化学的に再生可能なアニオン交換材料2aに接触し、液体フローが矢印Fによって表された図8に詳細に示されている。材料2cのビードは波形にぴったり適合する。波形の各部分は波の形状を有し、図8に示されるように、その深さは寸法aであり、長さは寸法bである。
【0097】
波形の他の変形例が図10に示されており、三角形部分を有する波形(図10A)、およびおおよそ半球部分を有する波形(図10B)を含む。
【0098】
ハウジング25は、カソード洗浄ストリーム14用の出口13と、アノード洗浄ストリーム12用の出口8と、カチオン交換材料2cに流れ込む水供給溶液フロー10用の入口7と、実質的にカチオン塩がなく、パイプ30を介して入口27に流れ、さらにアニオン交換材料2aに流れ込むストリーム26用の出口28と、カチオン塩およびアニオン塩が実質的にない生成物ストリーム11用の出口9とを有する。両極性膜17は、少なくとも2層、すなわちアノード対向アニオン交換層およびカソード対向カチオン交換層を含み、水解離からOHアニオンおよびHカチオンを生成することができる。
【0099】
供給10は、カソード5に接近して位置する入口7を通ってセルに入る。2つの出口13および28がある場合、フロー10は、イオン除去のために使用されるストリーム(矢印Fl1)およびカソードを洗浄するストリーム(矢印Fl2)に分割される。イオンの除去のために使用されるストリームFl1は電極4および5に垂直な方向に向き、カソード5からアノード4(図6の左から右)に流れ、両極性膜17によって流体力学的に制限され、出口28から流出する。
【0100】
供給26は、アノード4の端に接近して位置する入口27を通ってセルに入る。2つの出口8および9がある場合、フロー26は、イオンの除去に使用されるストリーム(矢印Fl3)およびアノードを洗浄するストリーム(矢印Fl4)に分割される。イオンの除去のために使用されるストリームFl3は電極4および5に垂直な方向に向き、アノード4の端からカソード5の端に流れ(図7の右から左)、両極性膜17によって流体力学的に制限され、出口9から流出する。
【0101】
この脱イオン化用装置37は、水解離が電気化学的に向上されるための両極性膜17によって分離されたカチオン交換材料2cおよびアニオン交換材料2aを使用し、一方、フロー(Fl1、Fl3)は、上記材料内部のイオンのエレクトロマイグレーションに対して逆流方向であり、ここで、脱イオン化コンパートメント39および38内部の流体力学的分流が流入電極を洗浄するために使用され、電極4または5背面の空間6または16は、電子導電性材料(図示せず)で満たされる。
【0102】
本発明によれば、出口8を通るフロー12はバルブ18によって調整され、出口13を通るフロー14はバルブ23によって調整される。
【0103】
脱イオン化用装置は、図6に存在する一連のフローに限定されず、ここで、供給フローは、まず、カチオン交換材料2cを備えるコンパートメント38を流れ、次いで、アニオン交換材料2aで満たされたコンパートメント39を流れる。他の一連のものも可能であり、ここで、供給フローは、図6で次の一連の入口および出口(27−9−7−28)を使用して、まず、アニオン交換材料2aを備えるコンパートメント39を通り、次いで、カチオン交換材料2cを備えるコンパートメント38を通り、パイプ30は出口9と入口7との間に位置している。
【0104】
他の実施(図示せず)は、流体密封イオン交換膜によって脱イオン化コンパートメントから分離され、それ自体の入口、および任意に、分離された洗浄ストリーム用のそれ自体の出口を有する電極コンパートメント(複数可)の少なくとも1つ、好ましくは両方を含む。
【0105】
本発明によれば、この実施形態は、第2のストリームによる洗浄を妨げない。したがって、この場合、電極は、その2つの側、すなわち電極コンパートメント側および脱イオン化コンパートメント側で2回洗浄される。
【0106】
そのような場合、ち密(穴または気孔がない)イオン交換膜は、脱イオン化コンパートメントから電極コンパートメントを分離するために使用される。生成物ストリームまたは供給ストリームの一部、他方の電極コンパートメントの洗浄、および他の液体(複数可)が、そのような分離された電極コンパートメントを洗浄するために使用することができる。
【0107】
必要に応じて、両極性膜に近接する空間も、イオン交換膜のないコンパートメント、イオン交換膜を備えるコンパートメント内部で流体力学的分流の同じ原理を使用することによって、または単独で供給されたコンパートメントを使用することによって別々に洗浄することができる。例えば、両極性膜17は、選択透過性が限定することができ、したがって、いくらかの汚染物が移動し、および/または2cで満たされたコンパートメントから2aで満たされたコンパートメントに拡散することを可能にする。この場合、これらの汚染物のいくらかが、生成物11に現われることもあり得る。これを防ぐために、2aで満たされたコンパートメント内で両極性膜に隣接する空間は、イオン交換膜なしでまたはイオン交換膜で流体力学的分流を使用して、またはイオン交換膜によって完全に分離されたさらなるコンパートメントを使用して洗浄することができる。両極性膜に隣接する別個のコンパートメントが使用される場合、それは、両極性膜のアニオン交換層に隣接するアニオン交換材料、または両極性膜のカチオン交換層に隣接するカチオン交換材料で満たされるはずである。したがって、本発明は、電極コンパートメントまたは両極性膜に近接するコンパートメントを分離するためのイオン交換膜を使用することも含む。
【0108】
本発明によれば、第1の脱イオン化コンパートメントと第2の脱イオン化コンパートメントとの間の水溶液ストリーム、水生成物溶液、および他の液体ストリームも、分離された電極コンパートメントまたは外部入口および外部出口を備える両極性膜に隣接するコンパートメントを洗浄するために、一部または全体として利用することができる。
【0109】
直列に脱イオン化コンパートメントを通るフローのための好ましいシーケンスは、汚染物の種類を検討することによって規定されなければならない。天然水または処理された(例えば、逆浸透によって)天然水の典型的な汚染物質について、まず、カチオン交換材料で満たされたコンパートメントを流れ、次いで、アニオン交換材料で満たされたコンパートメントを流れる液体シーケンスが、通常有利であるが、それに限定されない。
【0110】
本発明の方法および装置は、高電流効率、高緩衝能力、優れた脱イオン化性能、簡単な構成および低い材料コストの観点から有利である。小型寸法および好ましくは0から50L/hまたはより好ましくは0.05から5L/hの流量の装置により適用可能であるはずであり、それに限定されない。
【0111】
本発明の装置は、従来の加圧板(plate−and−frame)または渦巻形モジュール設計と概して異なる。それは、さらなる特徴、例えば装置用のオリジナル3D設計を作成する可能性を付与する。一般的な設計は、互いに平行に、および電極間で直線コンパートメントに平行に設置された平面電極に限定されず、イオンのエレクトロマイグレーションに逆流方向の液体フローをもたらす。
【0112】
供給として使用される典型的な液体は、あらかじめ処理された水、例えば、逆浸透、ナノ濾過または限外濾過の透過水である。
【0113】
極性液体からイオンおよび/またはイオン化可能な成分を除去するために使用される本発明の方法および装置の原理は、水性電解質溶液だけでなく、他の極性溶媒または水/極性溶媒混合物における溶液に適用することができる。
【0114】
水/極性溶媒混合物の場合には、イオン輸送の原理は、水溶液の原理と類似しており、つまり、電気化学的水分割が電極でまたは両極性膜内で起こり、イオン交換材料の電気化学的再生のため、および液体からのイオンとの交換のために使用されるHおよびOHを生成する。
【0115】
いくつかの極性溶媒の電気化学的分割は、電極でまたは両極性膜内において可能であることが知られている。両極性膜では、いくつかの有機酸は電界によってHおよびカルボン酸イオンに分割されてもよく、アルコールのいくつかは、Hおよびライエイトイオンに分割されてもよい。例えば、両極性膜内部でのメタノールの分割によって、HおよびCH(メトキシド)イオンが生成される。生成されたイオンは、イオン交換材料中を移動することができ、液体ストリームから除去されるイオンとのイオン交換のために使用することができる。このような次第ではあるが、説明を簡単にするために、本明細書で使用された説明図は、電気化学的な水の分割の生成物としてのHおよび/またはOHイオンがイオン交換材料を電気化学的に再生するために使用される、水溶液、つまり、イオンまたはイオン化可能な汚染物を有する水を使用することに基づく。
【符号の説明】
【0116】
2、2a、2c イオン交換材料
3、15 膜
4、109 アノード、電極
5、111 カソード、電極
6、16 空間
7、27 入口
8、9、13、28 出口
10、26 供給、極性液体、液体フロー
11 アニオン塩、液体フロー、流出ストリーム、脱イオン液体、生成物(ストリーム)
12 アノード洗浄ストリーム、液体フロー、流出ストリーム
14 カソード洗浄ストリーム、液体フロー、流出ストリーム
16 浄化コンパートメント
16’、110 カソードコンパートメント
17 両極性膜、イオン交換膜
18、19、23 バルブ
20、21、22、24、25 ハウジング
30 パイプ
32、34、35、36、37 脱イオン化装置
38、39 脱イオン化コンパートメント
40、41 メイン脱イオン化コンパートメント
42、43 壁
100 装置
101 アニオン減少コンパートメント
102 カチオン減少コンパートメント
103 中央アニオン/カチオン減少コンパートメント
104、105 アニオン交換膜
106、107 カチオン交換膜
108 アノードコンパートメント
112 発電機の(+)側
113 発電機の(−)側
114、120 ストリーム
115 アニオン減少水
116 アニオン/カチオン減少水
117 生成水
121、122 電極洗浄ストリーム
F1、Fl1、Fl3 第1のストリーム
F2、F’2、Fl2、Fl4 第2のストリーム
F3、F’3、Fl4 第3のストリーム
d ビードの半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセスを含む、極性液体(10)からイオンを除去する方法であって、
前記極性液体(10)が、第1のストリーム(F1、Fl1、Fl3)および第2のストリーム(F2、Fl2、Fl4)に分割され、
前記第1のストリーム(F1、Fl1、Fl3)が、電界が印加される2つの電極(4、5)間に位置する電気化学的に再生可能なイオン交換材料(2、2c、2a)を通り、前記第1のストリーム(F1、Fl1、Fl3)が、除去されるイオンが、前記イオン交換材料(2、2c、2a)を貫流する第1のストリームに対して逆方向に移動するように、一方の電極(4、5)から他方の電極(5、4)に流れ、
前記第2のストリーム(F2、Fl2、Fl4)が、前記一方の電極(4、5)、または電極(4、5)間に設置されたイオン交換膜(17)を洗浄し、
前記材料が、他方の電極(5、4)または前記イオン交換膜(17)で形成されるイオンによって再生される、方法。
【請求項2】
第2のストリーム(F2、F’2、Fl2)が、前記電極に対して接線方向に通るおよび/または前記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、一方の電極(4、5)を洗浄する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第3のストリーム(F3、F’3、Fl4)が、前記電極に対して接線方向に通るおよび/または前記電極を通ることによって、好ましくは電極を通ることによって、他方の電極(5、4)を洗浄する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一方の電極(4、5)を洗浄するために使用されるストリーム(F’2、F’3)の少なくとも1つが、前記電極に対して接線方向に通るおよび/または前記電極を通る前に膜(3、15)を通る、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
2つの前記プロセスが、電気化学的に再生可能なアニオン交換材料(2a)および電気化学的に再生可能なカチオン交換材料(2c)によって、アニオンおよびカチオンをそれぞれ除去するために使用され、
アニオン交換材料(2a)およびカチオン交換材料(2c)のために、OHアニオンおよびHカチオン(17)をそれぞれ再生するソースを準備するための手段が使用される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
液体フロー(11、12、14)が、少なくとも1つの、好ましくは全ての流出ストリーム(11、12、14)の圧力低下の流体力学的調節によって調整される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
極性液体(10)からイオンを除去する装置(32、34、35、36、37)であって、装置が、少なくとも1つのコンパートメント(38、39)を含む少なくとも1つのハウジング(21、22、24、20、25)を含み、電極(4、5)および対向電極(5、4)が、装置(32、34、35、36、37)の2つの異なる端に位置し、電気化学的に再生可能なイオン交換材料(2、2a、2c)が、電極(4、5)と対向電極(5、4)との間に設置され、ハウジング(21、22、24、20、25)が、装置の電極(4、5)の端に位置する流入液体フロー(10)用の1つの入口(7、27)と、装置の対向電極(5、4)の端、または任意に装置のイオン交換膜(17)の端に位置する脱イオン液体(11)用の出口(9、28)とを含み、前記イオン交換膜(17)が、電極(4、5)間に設置され、装置(32、34、35、36、37)が、流入液体フロー(10)を分割するための手段(23、18、19)を含み、電極(4、5)を洗浄するために使用される液体用の第2の出口(8、13)が少なくともあり、前記第2の出口(8、13)が、装置の電極(4、5)の端に位置することを特徴とする、装置。
【請求項8】
装置(34、36)が、対向電極(5、4)または存在する場合、イオン交換膜(17)を洗浄するために使用される液体用の第3の出口(13)を含み、前記第3の出口(13)が、装置の対向電極(5)の端または装置のイオン交換膜(17)の端に位置する、請求項7に記載の装置(34、36)。
【請求項9】
ハウジング(21、22、24、20、25)が、ハウジング(25)内部で2つのコンパートメント(38、39)を画定するOHおよびHイオンのソースを準備するための手段(17)を含み、各コンパートメント(38、39)が、流入液体フロー(10、26)を分割するための手段と、脱イオン液体(11、26)用の出口(9、28)と、電極または対向電極(5、4)または存在する場合、イオン交換膜(17)を洗浄するために使用される液体(12、14)用の出口(13、8)と、1つのコンパートメント(39)の入口(27)を他のコンパートメント(38)の出口(28)に接続するパイピング(30)とを含む、請求項7または8に記載の装置(32、34、35、36、37)。
【請求項10】
流入液体フロー(10、26)および流出液体フロー(12、11、14)の流体力学的抵抗を調節するための装置(32、34、35、36、37)の出口(8、9、13、26)下流に位置する手段(18、19、23)を含む、請求項7から9のいずれか一項に記載の装置(32、34、35、36、37)。
【請求項11】
コンパートメント(38)が、電気化学的に再生可能なイオン交換材料(2c)に接触して、少なくとも1つの壁(25)によって電極に垂直な方向に画定されており、前記装置(37)が、前記壁(43)が、少なくとも一部、好ましくはすべてにおいて波形をつけられており、その表面が、前記イオン交換材料(2c)の方を向くことを特徴とする、請求項7から10のいずれか一項に記載の装置(37)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−179605(P2012−179605A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−134014(P2012−134014)
【出願日】平成24年6月13日(2012.6.13)
【分割の表示】特願2009−296643(P2009−296643)の分割
【原出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(504115013)イー・エム・デイー・ミリポア・コーポレイシヨン (33)
【Fターム(参考)】