説明

流体加熱装置およびそれを用いた各種の洗浄装置

【課題】流体加熱容器内に臨んでいる部位の発熱体の温度を検知可能な流体加熱装置を提供する。
【解決手段】流体流路6内に臨ませた加熱手段10の流体接触部8と流体加熱容器7とを熱的に接続する伝熱体11を設け、この伝熱体11と対向する流体加熱容器7の外部に温度検知手段12を備え、流体流路内の加熱手段の温度は流体加熱容器の外部から計測精度および応答速度を高めた検知ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を所定温度に加熱する流体加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の流体加熱装置は流体加熱容器内の発熱体に感熱板を接触させ、温度検知手段は、発熱体の温度を感熱板を介して検知することにより、流体の加熱制御や、空焚き時などの異常温度上昇対策を行う構成としている(例えば特許文献1)。
【0003】
図12は、特許文献1に記載された従来の流体加熱装置を示すものである。図12に示すように、流体を滞留させる流体加熱容器1と、発熱体2と、感熱板3と、温度検知手段4と、発熱体2への加熱制御を行う制御手段5から構成されている。
【特許文献1】特開2002−322713号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、感熱板が流体加熱容器内の流体の自然対流による流れを阻害したり、感熱板と発熱体を精度良く接触するように組み立てることが困難であると言う課題を有していた。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、流体加熱容器内に臨んでいる部位の発熱体と流体加熱容器外とを熱的に接触する構成とすることで、流体の流れや組み立て性を阻害することなく、流体加熱容器内に臨んでいる部位の発熱体の温度を検知可能な流体加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の流体加熱装置は、流体流路内に臨ませた加熱手段の流体接触部と流体加熱容器とを熱的に接続する伝熱体を設け、この伝熱体と対向する流体加熱容器の外部に温度検知手段を備えたものである。
【0007】
これによって、流体流路内の加熱手段は、伝熱体により熱的に接続された温度検知手段により、流体加熱容器外部より、検知される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の流体加熱装置は、流体流路内の加熱手段の温度を流体加熱容器の外部から計測する構成で、精度および応答速度を高めた検知ができ、流路内の流体の流れや組み立て性を阻害することなく、加熱装置としての信頼性を向上できるものである。
【0009】
また、本発明の流体加熱装置を用いた各種の装置は、信頼性の向上と小型化の促進ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、流体が貫流する流体流路を有する流体加熱容器と、流体に接触する流体接触部とその内側に配置した発熱部を有し前記流体接触部を前記流体流路内に臨ませた加熱手段と、前記加熱手段の流体接触部と前記流体加熱容器を熱的に接続する伝熱体と、前記伝熱体と対向する位置の前記流体加熱容器の外部に温度検知手段を備えた。これにより、流体流路内の加熱手段の温度が流体加熱容器の外部から計測精度および応答速度を高めた検知ができ、信頼性を向上できる。
【0011】
第2の発明は、特に、第2の発明の伝熱体を伝熱体は流体流路の流れ方向を規制する流れ方向規制体とした。これにより、流体流路内の流速分布を安定化でき、局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することを低減した安定加熱ができる。
【0012】
第3の発明は、特に、第1の発明の伝熱体を伝熱体は流体流路の流れの乱れを促進する乱れ促進体とした。これにより、流体内の温度分布の均等化でき局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することを低減した安定加熱ができ、さらに伝熱面での熱伝達率を向上できるので、伝熱面のコンパクト化により装置の小型化を促進できる。
【0013】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか1つの発明の伝熱体を伝熱体は流体加熱容器に設けた突出部と加熱手段の間で挟持したことにより、局所的に熱接触部を限定することにより確実な熱的接続が実現でき、伝熱の信頼性を向上できる。
【0014】
第5の発明は、特に、第4の発明の突出部を突出部は流体加熱容器を加熱手段方向に変形させて形成したことにより、確実な接触圧力を加えて接触部の熱抵抗を低減して伝熱性を向上でき、突出部を容易に形成できて加工性が向上できる。
【0015】
第6の発明は、特に、第1〜5のいずれか1つの発明の流体加熱容器を流体加熱容器は樹脂材料とし少なくとも伝熱体と対向する部分は熱伝導性を高めた材料で形成した感熱部を設けたことにより、感熱部による温度検知手段への確実な伝熱ができるだけでなく、流体加熱容器は金属に比べて熱伝導性の低い樹脂材料でその大部分を構成するので断熱材を配置しなくても外部への放熱量を低減でき省エネルギー化の促進と断熱材の削減による低コスト化ができる。
【0016】
第7の発明は、特に、第6の発明の感熱部を感熱部は流体加熱容器の壁面に熱伝導性の高い部材をインサートして形成したインサート体としたことにより、感熱部を形成する時の生産性が向上でき、伝熱部の伝熱性能の安定化により信頼性を向上できる。
【0017】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか1つの発明の温度検知手段を温度検知手段は温度過昇防止手段としたことにより、流体流路において加熱手段の流体接触部の温度が最も高くなることが予測される位置に伝熱体および温度検知手段を配置でき、温度過昇防止手段とすることにより安全性が確保できる。
【0018】
第9の発明は、特に、第1〜8のいずれか1つの発明の加熱手段を加熱手段はシーズヒータとしたことにより、機械的強度が強く割れる心配なく水中で使用でき、シーズヒータの非発熱部に流体の外部漏洩防止を行うゴム製のシール部材を当接して使用することができ、安価で確実なシール構成にできる。
【0019】
第10の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、流体加熱装置により加熱された洗浄水を人体の被洗浄部に噴出させる噴出手段を備えたことにより、流体の供給異常などにより空焼きなどが発生した場合でも、異常をすばやく検出して加熱手段への熱供給を停止して安全性を高めることができ、小型コンパクトな衛生洗浄装置とすることができる。
【0020】
第11の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、流体加熱装置により加熱された洗浄水を溜める洗濯槽を備えた洗濯洗浄装置としたので、流体加熱装置自体が小型コンパクトなので、この装置の取付け位置の自由度が高く、洗濯洗浄装置としても小型コンパクトなものとすることができる。
【0021】
第12の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、食器などの被洗浄物を収納する洗浄槽と、前記流体加熱装置により加熱された洗浄水を被洗浄物に噴出させる噴出手段を備えた食器洗浄装置とした。これにより、流体加熱装置自体が小型コンパクトなので、この装置の取付け位置の自由度が高く、洗濯洗浄装置としても小型コンパクトなものとすることができる。また、安全性を高めた小型コンパクトな強制循環型の流体加熱装置により洗浄水の温度を短時間で変更できるので最適な洗浄温度を任意に設定でき、使い勝手のよい食器洗浄装置とすることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態の流体加熱装置の構成を示す断面図である。
【0024】
図1において、内部に流体が貫流する流体流路6を有する流体加熱容器7は、流体流路6内に臨ませ流体に接触する流体接触部8とその内側に配置した発熱部9とを有する加熱手段10を内蔵している。加熱手段10の流体接触部8と流体加熱容器7は流体流路6の途中で伝熱体11により熱的に接続されるとともに、伝熱体11と対向する位置の流体加熱容器7の外部に温度検知手段12を備えている。なお、本実施の形態は加熱手段10をシーズヒータ15を用いて実施したものである。
【0025】
流体加熱容器7は流体の流入口13と流出口14を有する略円筒状であり、流体を所定温度まで加熱するための加熱手段10であるシーズヒータ15が、加熱器容器7を貫通する形で取り付けられている。図1のシーズヒータ15は断面が円形の棒状である。本実施例では、熱伝導性のよい銅管のシースを用いているが、流体の種類によっては耐食性の高いステンレスなどのシースを用いてもよい。
【0026】
シーズヒータ15は、シース内部にニッケルクロムなどのヒータ線を有する発熱部9と、シース端部の非発熱部16に分けられる。この非発熱部16は内部に電極端子17があり、電極端子17は電気抵抗が小さいため通電しても発熱しない。電極端子間のヒータ線周囲は絶縁物である酸化マグネシウム粉末が高密度に充填されており、ヒータ線の発熱はこの酸化マグネシウムを介してシースに伝達され、シース表面を流れる流体が加熱される構成である。
【0027】
そして、流体加熱容器7内を流れる流体が外部へ漏れることを防ぐための気密部材としてのOリング18を設けている。まず、流入口13側は流体加熱容器7と熱伝達部材である押え板19と蓋20がOリング18a、18bによってシールされることで、流体加熱容器7外に流体が漏れるのを防いでいる。そして、流出口14側は、流体加熱容器7と熱伝達部材である押え板21と蓋22が気密部材であるOリング18c、18dによってシールされることで、流体加熱容器7外に流体が漏れるのを防いでいる。
【0028】
なおOリング18b、18dは、流体加熱容器7外に流体が漏れるのを防ぐ流体の外部封止の役目と、加熱器であるシーズヒータ15を保持する役目とを兼ねている。つまり、Oリング18bは押え板19と蓋20によって挟み込まれてシーズヒータ15の一方の端部の非発熱部16の外周に当接し、Oリング18dは押え板21と蓋22によって挟み込まれてシーズヒータ15の他方の端部の非発熱部16の外周に当接した構成である。
【0029】
また、流入口13側の熱伝達部材である押え板19には、前記シーズヒータ15の電力制御素子で発熱電子部品であるトライアック23を熱的に十分接触するようにビスで締結固定してある。
【0030】
伝熱体11は加熱手段10の外周側に環状に形成した流体流路6を螺旋状に区切るだけでなく、通路断面が環状部よりも小さくなるように設定し、流体が加熱手段10の周りを螺旋状に旋回して流動するように流れ方向を規制する流れ方向規制体24であり、この流れ方向規制体24は内周側は加熱手段10に熱的に接続され、また流れ方向規制体24の外周側は流体加熱容器7に熱的に接続されている。そして、伝熱体11としての流れ方向規制体24に対向する位置の流体加熱容器7の外部に前述の温度検知手段12を設け、流体加熱容器7は熱伝導性の良い金属などで形成している。また、ここでは温度検知手段12は異常温度過熱時にシーズヒータ15への通電を遮断する温度過昇防止手段25である温度ヒューズ26を熱的に十分接触するように固定してある。さらに、流体加熱容器7の流出口14には、流体の温度を検知するサーミスタ27が取付けられている。そのサーミスタ27の信号は制御手段29と導線接続されている。そのサーミスタ27や制御手段28などの電気的故障が生じた場合においても、流体の加熱温度が危険な温度になることを防止できるように、所定温度で電気接点が機械的にオンオフする温度スイッチであるサーモスタット29が装着してある。
【0031】
以上のように構成された流体加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0032】
まず、流入口13から流体を流入させ、制御手段28はシーズヒータ15への通電を開始する。すると、シーズヒータ15と流体加熱容器7との間を流れる流体と、シーズヒータ15との間で熱交換が起こる。ここで、流体流路6を流れる流体は環状に断面を流出口14方向に流れるのではなく、流動する断面が環状部よりも小さい螺旋状の流路を流れるので、乱流化促進および旋回流れの攪拌作用により熱伝達を高めた流れにより流体流路6内の流速分布を安定化し、加熱手段10からの伝熱が促進されるとともに局所過熱を防止した安定加熱がなされ、局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することが低減される。このようにして所定温度まで加熱された流体が流出口14から流出される。この際、流出口14から流出される流体の温度は、サーミスタ27から制御手段28に信号が送られ、制御手段28はサーミスタ27からの温度信号に応じてトライアック23を介してシーズヒータ15への供給電力をコントロールしながら、流出口14から流出される流体の温度が所定温度になるように制御される。
【0033】
もし、このとき流入口13からの流体に供給異常が発生して、流体の供給が停止したりあるいは加熱開始の当初から流体が供給されない時など流体加熱容器7内の加熱手段10が空焼き状態となった場合、加熱手段10の発熱部9は急速な温度上昇を発生するが、この異常過熱は伝熱体11として作用する流れ方向規制体24により流体加熱容器7の外部に設けた温度検知手段12に計測精度が高く時間遅れの少ない応答速度を高めた状態で検知されて制御手段28に伝達され、即座に加熱手段10への通電を遮断して安全を確保する。また、温度検知手段12として温度過昇防止手段25となる温度ヒューズ26とした場合は、流体流路6において加熱手段10の流体接触部8の温度が最も高くなることが予測される位置に伝熱体11および温度検知手段12としての温度過昇防止手段25を配置でき、高精度の異常過熱の検出と高応答性が確保できるとともに、温度ヒューズ26自体が異常温度により物理的に切断されて加熱手段10への通電を遮断するため、制御手段28に故障が発生した場合でも安全性が確保できる。
【0034】
また、加熱手段10としてシーズヒータ15とすることにより、機械的強度が強く割れる心配なく水中で使用でき、シーズヒータ15の非発熱部16に流体の外部漏洩防止を行うOリングなどのゴム製のシール部材を当接して使用することができ、安価で確実なシール構成にできる。
【0035】
また、トライアック23によってシーズヒータ15の電力を加減する際、電力制御素子で発熱電子部品であるトライアック23も発熱するため、その熱の冷却をしなければトライアック23が熱で破損することになるわけであるが、本実施例のように流体の流入口13および流出口14を有する流体加熱容器7を貫通するように設けた加熱手段10と、その貫通部で流体に接触した熱伝達部材である押え板19に熱的に接触させて発熱電子部品であるトライアック23を取付けた構成により、トライアック23の熱は熱伝達部材である押え板19を伝わって流体に放熱される。したがって、発熱電子部品であるトライアック23の水冷効果を確保でき、熱伝達部材である押え板19に取付けた発熱電子部品の損傷を防止できる。また、熱伝達部材である押え板19は流体の漏洩防止と発熱電子部品23の放熱とを兼用できる。
【0036】
しかも、トライアック23を取付けた熱伝達部材である押え板19を流体加熱容器7の流入口側13に設けたことにより、流体が加熱器であるシーズヒータ15で加熱される前の低い温度の流体すなわち水が前記熱伝達部材である押え板19と接触し、トライアック23と水との温度差がより大きいため、発熱電子部品であるトライアック23の熱が押え板19からより流体である水に放熱されやすく、トライアック23をより効果的に冷却することができる。
【0037】
先に説明したように、制御手段28が、サーミスタ27で検知した温度信号に基づいてシーズヒータ15の加熱量を制御することにより、流体加熱容器7内を流れる流量が変わっても、所定の温度の流体を流出口14より得ることができる。このような必要な流量だけ流体を短時間で所定の温度まで上昇させる制御を行う瞬間式の流体加熱装置は、流体を滞留させて加熱、保温を行う貯湯式の流体加熱装置と比較して保温時の放熱ロスを削減できるため省エネ性が高い。
【0038】
また、流体加熱容器7の流出口14付近に所定温度で電気接点が機械的にオンオフする温度スイッチであるサーモスタット29が装着してあるので、たとえ何かの異常でサーミスタ27や制御手段28などの電気的故障が生じた場合においても、流体の加熱温度が所定温度以上になるとサーモスタット29の電気接点が機械的に開放状態になり、加熱器であるシーズヒータ15への通電が遮断されるので、危険な温度になることを防止できる。
【0039】
さらにまた、流体加熱容器7の流出口14側の押え板21に温度過昇防止手段25である温度ヒューズ26が取付けてあるので、まず起こり得ないであろう前記サーミスタ27や制御手段28が故障し、さらにはサーモスタット29までも全て不安全側の故障が生じたと仮定した場合においても、流体の温度が所定温度以上になると温度ヒューズ26が電気的導通を遮断する。
【0040】
図2および図3は図1に示した流体加熱装置の伝熱体11部の他の構成を示す断面図である。
【0041】
図2において、伝熱体11は流体加熱容器7に設け加熱手段10に向かって飛び出した突出部30と加熱手段10の間ではさみ付けるように挟持したもので、熱接触部を流れ方向の全域に拡げずに、局所的に熱接触部を限定することにより確実な熱的接続が実現でき、伝熱の信頼性を向上できる。
【0042】
図3において、突出部30は流体加熱容器7を加熱手段10方向に凹部31となるように変形させて形成させたもので、変形方向と押圧方向を略一致させることで、確実な接触圧力を加えて接触部の熱抵抗を低減して伝熱性を向上でき、突出部を容易に形成できて加工性が向上できる。また、流体加熱容器7として薄肉のパイプ状形状にでき生産性を向上できる。
【0043】
図4および図5は図1に示した流体加熱装置の流体加熱容器7の他の構成を示す断面図である。
【0044】
図4において、流体加熱容器7は樹脂材料とし、少なくとも伝熱体11および温度検知手段12と対向する部分は熱伝導性を高めた材料で形成した感熱部32を設けたもので、感熱部32として部分的に金属粉などを混入させたものや、局所的に熱伝導性が比較的に良い別の樹脂材料などを用いることにより、感熱部32による温度検知手段12への確実な伝熱ができるだけでなく、流体加熱容器7は金属に比べて熱伝導性の低い樹脂材料でその大部分を構成するので断熱材を配置しなくても外部への放熱量を低減でき省エネルギー化の促進と断熱材の削減による低コスト化ができる。また、感熱部32の局所に高価な材料を用いてもコストアップを最小に低減できる。
【0045】
図5において、感熱部32は流体加熱容器7の壁面に熱伝導性の高い部材をインサートして形成したインサート体33としたもので、インサート体33として熱伝導に優れた金属などのブロックで伝熱体11と温度検知手段12とを接続することにより、感熱部32を形成する時の生産性が向上でき、感熱部32の伝熱性能の安定化により信頼性を向上できる。
【0046】
以上のように、本実施の形態においては、加熱手段の流体接触部と前記流体加熱容器を熱的に接続する伝熱体と、伝熱体と対向する位置の前記流体加熱容器の外部に温度検知手段を備えたことにより、流体流路内の加熱手段の温度が流体加熱容器の外部から計測精度および応答速度を高めた検知ができ、信頼性を向上できる。
【0047】
また、本実施の形態の伝熱体を伝熱体は流体流路の流れ方向を規制する流れ方向規制体としたことにより、流体流路内の流速分布を安定化でき、局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することを低減した安定加熱ができる。
【0048】
また、本実施の形態の伝熱体を伝熱体は流体加熱容器に設けた突出部と加熱手段の間で挟持したことにより、局所的に熱接触部を限定することにより確実な熱的接続が実現でき、伝熱の信頼性を向上できる。
【0049】
また、本実施の形態の突出部を突出部は流体加熱容器を加熱手段方向に変形させて形成したことにより、確実な接触圧力を加えて接触部の熱抵抗を低減して伝熱性を向上でき、突出部を容易に形成できて加工性が向上できる。
【0050】
また、本実施の形態の流体加熱容器を流体加熱容器は樹脂材料とし少なくとも伝熱体と対向する部分は熱伝導性を高めた材料で形成した感熱部を設けたことにより、感熱部による温度検知手段への確実な伝熱ができるだけでなく、流体加熱容器は金属に比べて熱伝導性の低い樹脂材料でその大部分を構成するので断熱材を配置しなくても外部への放熱量を低減でき省エネルギー化の促進と断熱材の削減による低コスト化ができる。
【0051】
また、本実施の形態の感熱部を感熱部は流体加熱容器の壁面に熱伝導性の高い部材をインサートして形成したインサート体としたことにより、感熱部を形成する時の生産性が向上でき、伝熱部の伝熱性能の安定化により信頼性を向上できる。
【0052】
(実施の形態2)
図6は本発明の第2の実施の形態の流体加熱装置の構成を示す断面図である。
【0053】
図6において、図1〜図5の実施の形態と同一部材、同一機能は同一符号を付し詳細な説明は省略し、異なるところを中心に説明する。
【0054】
伝熱体11は流体流路6の流れの乱れを促進する乱れ促進体34としたもので、図7のように乱れ促進体34には複数の通過孔35が開けられている。この乱れ促進体34を流体過熱容器7に設けた環状の流体流路6に流れ方向に間隔を置いて複数個設置している。
【0055】
このため、流体流路6内の流れは伝熱体11である乱れ促進体34の通過孔35を貫流する毎にその流れの乱れが促進されて伝熱面である流体接触部8での熱伝達の向上と流体内の温度分布が均等化され局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することを低減した安定加熱がなされる。さらに、加熱手段10による加熱エネルギーが効率よく流体に伝達できるので、伝熱面積の小型化による装置の小型化ができる。また、流体が供給されず空焼きが発生した場合などでは、加熱手段10の発熱部9の異常温度上昇が伝熱体11である乱れ促進体34によりすばやく温度検知手段12に伝えられ、加熱手段10への通電を停止して安全性が確保される。特に、温度検知手段12に対向する部分の乱れ促進体34を加熱手段10に熱的に接続するだけでなく、温度検知手段12に対向しない他の部分の乱れ促進体34をも加熱手段10に熱的に接続することにより、有効な伝熱面積を拡大できるので装置の小型化を一層促進できる。
【0056】
以上のように、本実施の形態においては伝熱体を伝熱体は流体流路の流れの乱れを促進する乱れ促進体としたことにより、流体内の温度分布の均等化でき局所過熱などの発生を防止することで流体中の不純物がスケールとして析出することを低減した安定加熱ができ、さらに伝熱面での熱伝達率を向上できるので、伝熱面のコンパクト化により装置の小型化を促進できる。
【0057】
(実施の形態3)
図8〜図11は実施の形態1から2のいずれかの流体加熱装置を用いた第3実施の形態を示す各種の洗浄装置の構成図であり、図8は衛生洗浄装置、図9および図10は洗濯洗浄装置、図11は食器洗浄装置である。
【0058】
図8において、便器36の上に暖房便座37と衛生洗浄装置本体38を設置している。そして、衛生洗浄装置本体38の中に、流体加熱装置39を備え、熱交換された温水が洗浄ノズル40から噴出して人体41の局部を洗浄するものである。そして、衛生洗浄装置本体の中には主用部品として遮断弁42と流量制御装置43、水道などの給水源に接続される給水管44を備えている。その他、制御基板などの部品は省略する。
【0059】
以上のように構成された衛生洗浄装置において、流体の供給異常などにより空焼きなどが発生した場合でも、異常をすばやく検出して加熱手段10への熱供給を停止して安全性の高かめた流体加熱装置39を使用することで安全性の高い装置を提供でき、小型コンパクトな衛生洗浄装置とすることができる。また、小型でスケールの付着の少ない流体加熱装置39を衛生洗浄装置本体38に内蔵することで、本体の小型化を実現すると共に、流体加熱装置39の長寿命化とともに衛生洗浄装置としての寿命も伸ばすことができ、流体加熱装置39はもとより洗浄ノズル40などが詰まることがなく動作の安定した衛生洗浄装置とすることができる。
【0060】
図9において、水を供給する給水口45と、給水口45から洗濯槽46に至る給水経路を主水路47とバイパス経路48に分岐する切換弁49とを備え、バイパス経路48の途中に流体加熱装置39を備えた構成とした。ここで、バイパス経路48を開閉する開閉弁50、温水吐出口51、水路の切換えや流量や温度の調整、および洗濯に関する制御を行う制御回路52、排水口53である。また、図9でのA−A断面である図10に示すように、流体加熱装置39は円筒状に構成し、洗濯機のコーナー部54に縦方向に設置して省スペースを図っている。
【0061】
以上のように構成された洗濯洗浄装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0062】
まず、水は給水口45から供給され、流量比制御弁を兼用した切換弁49によって、バイパス経路48に供給される。供給された水は、瞬間式の流体加熱装置39によって適温に加熱されるものである。ここで、流体加熱装置39の適温制御機能は、流路の下流側に設けたサーミスタ27によって検出される水温が、洗濯に適した温度となるように加熱用ヒータの通電制御を行うものである。
【0063】
給水する水を瞬時に加熱して適温の水を洗濯槽に供給することで、使用時のみに加熱するので低消費電力とすることができるとともに、流体加熱装置の取付け姿勢の高い自由度とコンパクト性により小型コンパクトな洗濯装置とすることができる。
【0064】
図11において、洗浄槽55、扉56により開閉自在とした開口部57、洗浄槽55の下方に設け洗浄水を噴出する噴出手段58および洗浄水を循環させるポンプ59、洗浄水を溜める水受け60、食器などの被洗浄物61を収納する洗浄かご62、洗浄かご62を移動可能に支持するレール63、送風ファン64、洗浄槽55の下方に設けた流体加熱装置39、流体加熱装置39に給水する給水管65である。
【0065】
以上のように構成された食器洗浄装置において、洗浄槽55内の洗浄水は流体加熱装置39によって温水化され、ポンプ59の運転により噴出手段58に圧送されて噴出手段58から勢いよく噴射される。この噴出手段58から噴射される洗浄水により洗浄かご62に収容された食器などの被洗浄物61を洗浄し、洗浄完了後は洗浄水を排水弁(図示せず)を開いて排水し送風ファン63の運転による換気で食器などの被洗浄物61を乾燥させるものである。
【0066】
流体加熱装置39として強制循環型とすることにより洗浄水の温度を被洗浄物61に適した温度に短時間で変更でき、洗浄効果を高めることができるとともに、無駄な高温化を避けて省エネルギー化を促進できる。また、安全性を高めかつコンパクトな流体加熱装置39により洗浄装置の利便性を高めることができる。このように、安全性を高めた強制循環型の流体加熱装置により洗浄水の温度を短時間で変更できるので最適な洗浄温度を任意に設定でき、小型コンパクトな食器洗浄装置とすることができる。
【0067】
以上のように、本実施の形態においては、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、流体加熱装置により加熱された洗浄水を人体の被洗浄部に噴出させる噴出手段を備えたことにより、流体の供給異常などにより空焼きなどが発生した場合でも、異常をすばやく検出して加熱手段への熱供給を停止して安全性の高かめることができ、小型コンパクトな衛生洗浄装置とすることができる。
【0068】
また、本実施の形態においては、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、流体加熱装置により加熱された洗浄水を溜める洗濯槽を備えたことにより、流体加熱装置自体が小型コンパクトなので本体内への取付位置の自由度が高く、小型コンパクトな洗濯洗浄装置とすることができる。
【0069】
また、本実施の形態においては、請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、食器などの被洗浄物を収納する洗浄槽と、前記流体加熱装置により加熱された洗浄水を被洗浄物に噴出させる噴出手段を備えたことにより、安全性を高めた強制循環型の流体加熱装置により洗浄水の温度を短時間で変更できるので最適な洗浄温度を任意に設定でき、小型コンパクトな食器洗浄装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかる流体加熱装置は、以上のように流体の流れや装置の組み立て性を阻害することなく、発熱体の温度を検知することが可能となり安全性が高くコンパクトにできるので、衛生洗浄装置、洗濯洗浄装置、食器洗浄装置などの熱交換器などに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施の形態1における流体加熱装置の断面図
【図2】図1における伝熱体部の他の構成の断面図
【図3】図1における伝熱体部の他の構成の断面図
【図4】本発明の実施の形態1における流体加熱容器の他の構成の断面図
【図5】図4における流体加熱容器の他の構成の断面図
【図6】本発明の実施の形態2における伝熱体の他の構成の断面図
【図7】図6における伝熱体の外観図
【図8】本発明の実施の形態3における衛生洗浄装置の断面図
【図9】本発明の実施の形態3における洗濯洗浄装置の断面図
【図10】図9における洗濯洗浄装置の横断面図
【図11】本発明の実施の形態3における食器洗浄装置の断面図
【図12】従来の流体加熱装置の断面図
【符号の説明】
【0072】
6 流体流路
7 流体加熱容器
8 流体接触部
10 加熱手段
11 伝熱体
12 温度検知手段
15 シーズヒータ
24 流れ方向規制体
25 温度過昇防止手段
30 突出部
32 感熱部
33 インサート体
34 乱れ促進体
39 流体加熱装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が貫流する流体流路を有する流体加熱容器と、流体に接触する流体接触部とその内側に配置した発熱部を有し前記流体接触部を前記流体流路内に臨ませた加熱手段と、前記加熱手段の流体接触部と前記流体加熱容器を熱的に接続する伝熱体と、前記伝熱体と対向する位置の前記流体加熱容器の外部に温度検知手段を備えた流体加熱装置。
【請求項2】
伝熱体は流体流路の流れ方向を規制する流れ方向規制体とした請求項1に記載の流体加熱装置。
【請求項3】
伝熱体は流体流路の流れの乱れを促進する乱れ促進体とした請求項1に記載の流体加熱装置。
【請求項4】
伝熱体は流体加熱容器に設けた突出部と加熱手段の間で挟持した請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体加熱装置。
【請求項5】
突出部は流体加熱容器を加熱手段方向に変形させて形成した請求項4に記載の流体加熱装置。
【請求項6】
流体加熱容器は樹脂材料とし少なくとも伝熱体と対向する部分は熱伝導性を高めた材料で形成した感熱部を設けた請求項1〜5のいずれか1項に記載の流体加熱装置。
【請求項7】
感熱部は流体加熱容器の壁面に熱伝導性の高い部材をインサートして形成したインサート体とした請求項6に記載の流体加熱装置。
【請求項8】
温度検知手段は温度過昇防止手段とした請求項1〜7のいずれか1項に記載の流体加熱装置。
【請求項9】
加熱手段はシーズヒータとした請求項1〜8のいずれか1項に記載の流体加熱装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、前記流体加熱装置により加熱された洗浄水を人体の被洗浄部に噴出させる噴出手段を備えた衛生洗浄装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、前記流体加熱装置により加熱された洗浄水を溜める洗濯槽を備えた洗濯洗浄装置。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の流体加熱装置と、食器などの被洗浄物を収納する洗浄槽と、前記流体加熱装置により加熱された洗浄水を被洗浄物に噴出させる噴出手段を備えた食器洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−38270(P2006−38270A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215229(P2004−215229)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】