説明

流体圧伝達装置

【課題】小型化及び軽量化を図ることができる流体圧伝達装置を提供する。
【解決手段】流体圧伝達装置は、高圧駆動流体圧シリンダ55,56と、低圧駆動流体圧シリンダ51〜54と、複数の従動流体圧シリンダ41〜46と、駆動流体圧シリンダ51〜56に接続された駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6と、従動流体圧シリンダ41〜46に接続された複数の従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6とを備える。各駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6は、開閉弁V11〜V66を介して全ての従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6と接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動流体圧シリンダと従動流体圧シリンダとを備える流体圧伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、人間の手を模した複数の指機構と、各指機構が接続されたハンド本体とを備える ロボットハンド装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1のハンド装置の指機構は、流体圧伝達装置により屈伸される。この流体圧伝達装置は、ハンド本体内に設けられた複数の従動流体圧シリンダと、ハンド本体の外部に設けられ、各従動流体圧シリンダに流体圧伝達路を介して夫々接続された複数の駆動流体圧シリンダとを備える。
【0003】
モータ等の駆動源により駆動流体圧シリンダで流体圧を発生させると、当該駆動流体圧シリンダに接続された従動流体圧シリンダに当該流体圧が付与される。そして、従動流体圧シリンダのピストンが進退し、このピストンに連結された指機構の関節の構成部品たる可動部材が可動する。このようにして、従動流体圧シリンダのピストンの進退により、指機構の関節の屈伸動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−126984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の駆動流体圧シリンダと従動流体圧シリンダと流体圧伝達管とで構成される流体圧伝達装置では、精密な動作を要求される関節等に用いられる従動流体圧シリンダには、これに対応する1つの駆動流体圧シリンダが接続される。
【0006】
この従動流体圧シリンダが複数設けられているものにおいては、当該従動流体圧シリンダに要求される最大圧力及び最大速度に対応できる内径の駆動流体圧シリンダや適切な最大出力を得られる駆動源を用いる必要がある。このため、精密な動作が要求される関節等に用いられる従動流体圧シリンダの数の増加に比例して、流体圧伝達装置全体が大型化し軽量化が図れなくなってしまう。
【0007】
本発明は、小型化及び軽量化を図ることができる流体圧伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記目的を達成するため、本発明の流体圧伝達装置は、高圧用駆動源により高圧用シリンダ本体内で進退されるピストンを有し、該高圧用駆動源により前記ピストンが前進することにより、前記高圧用シリンダ本体内で高圧の流体圧を発生させる高圧駆動流体圧シリンダと、低圧用駆動源により低圧用シリンダ本体内で進退されるピストンを有し、該低圧用駆動源により前記ピストンが前進することにより、前記低圧用シリンダ本体内で前記高圧駆動流体圧シリンダよりも低圧の流体圧を発生させる低圧駆動流体圧シリンダと、従動用シリンダ本体内で進退自在であり、可動部材に連結されるピストンを有する複数の従動流体圧シリンダと、前記高圧駆動流体圧シリンダ及び前記低圧駆動流体圧シリンダに夫々接続された複数の駆動側流体圧伝達路と、前記各従動流体圧シリンダに夫々接続された複数の従動側流体圧伝達路とを備え、前記各駆動側流体圧伝達路は、開閉弁を介して全ての前記従動側流体圧伝達路と接続されていることを特徴とする。
【0009】
本発明の流体圧伝達装置によれば、開閉弁の開閉により、1つの従動流体圧シリンダに、高圧駆動流体圧シリンダを接続させる状態と、低圧駆動流体圧シリンダを接続させる状態とを切り換えることができる。
【0010】
ここで、一般的に全て従動流体圧シリンダが、同時に最大付勢力又は最大速度を要求することはない。従って、上記切り換えにより、高圧力を必要としている従動流体圧シリンダに高圧駆動流体圧シリンダを接続させることができ、高圧力を必要としていない他の従動流体圧シリンダには低圧駆動流体圧シリンダを接続させることができる。これにより、従動流体圧シリンダの数に併せて高圧駆動シリンダを用意する必要がなく、流体圧伝達装置全体の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0011】
[2]本発明において、前記高圧駆動流体圧シリンダ、及び前記低圧駆動流体圧シリンダの少なくとも一方を複数設けることが好ましい。これによれば、例えば、1つの従動流体圧シリンダに、2つの低圧駆動流体圧シリンダ又は2つの高圧駆動流体圧シリンダの流体圧を作用させることができ、従動流体圧シリンダのピストンの移動速度を増加させることができる。
【0012】
[3]本発明の流体圧伝達装置は、例えば、関節部で屈伸自在な複数の指機構を備えるロボットハンド装置に用いることができる。この場合、従動流体圧シリンダのピストンの進退に伴い、指機構の関節部が屈伸するように、従動流体圧シリンダのピストンと指機構の関節の可動部材とを連結させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態の流体圧伝達装置を用いた人型ロボットを示す模式図。
【図2】実施形態の駆動流体圧シリンダと従動流体圧シリンダとを示す模式図。
【図3】実施形態の流体圧伝達路を示す模式図。
【図4】実施形態の流体圧伝達装置の一作動例を示す模式図。
【図5】実施形態の人型ロボットの他の作動例を示す模式図。
【図6】実施形態の流体圧伝達装置の他の作動例を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1〜図6を参照して、本発明の実施形態の流体圧伝達装置を人型ロボットの両腕の関節の屈伸に用いたものを説明する。図1に示すように、人型ロボット1は、右肩SRに右肩関節A1を介して前後方向にに揺動自在に設けられた上腕UA1と、上腕UA1の先端に右肘関節A2を介して前後方向に揺動自在に設けられた前腕FA1と、前腕FA1の先端に右手首関節A3を介して前後方向に揺動自在に設けられたテニスラケットTRとからなる右腕ARを備える。
【0015】
又、人型ロボット1は、左肩SLに左肩関節A4を介して前後方向に回動自在に設けられた上腕UA2と、上腕UA2の先端に左肘関節A5を介して前後方向に揺動自在に設けられた前腕FA2と、前腕FA2の先端に左手首関節A6を介して前後方向に揺動自在に設けられた掌部HLとからなる左腕ALを備える。
【0016】
図2に示すように、両肩関節A1,A4は、肩SR,SLに夫々設けられた左右方向に延びる揺動軸2a,2dと、揺動軸2a,2dに夫々揺動自在に軸支されるクランクアーム3a,3dとを夫々備える。クランクアーム3a,3dには、可動部材たる上腕UA1,UA2が夫々連結されている。
【0017】
肩SR,SLには、従動用シリンダ本体41a,44aと、従動用シリンダ本体41a,44aの内部を摺動自在なピストン41b,44bとからなる肩用従動流体圧シリンダ41,44が夫々設けられている。クランクアーム3a,3dには、従動流体圧シリンダ41,44のピストン41b,44bに連結されたロッド41c,44cが夫々揺動自在に連結されている。
【0018】
肘関節A2,A5は、肩関節A1,A4と同様に構成され、上腕UA1,UA2の先端に夫々設けられた左右方向に延びる揺動軸2b,2eと、揺動軸2b,2eに夫々揺動自在に軸支されるクランクアーム3b,3eとを備える。クランクアーム3b,3eには、可動部材たる前腕FA1,FA2が夫々連結されている。
【0019】
上腕UA1,UA2の先端部には、従動用シリンダ本体42a,45aと、従動用シリンダ本体42a,45aの内部を摺動自在なピストン42b,45bとからなる肘用従動流体圧シリンダ42,45が設けられている。クランクアーム3b,3eには、従動流体圧シリンダ42,45のピストン42b,45bに連結されたロッド42c,45cが揺動自在に連結されている。
【0020】
手首関節A3,A6は、肩関節A1,A4と同様に構成され、前腕FA1,FA2の先端に夫々設けられた左右方向に延びる揺動軸2c,2fと、揺動軸2c,2fに夫々揺動自在に軸支されるクランクアーム3c,3fとを備える。右手首関節A3のクランクアーム3cには、可動部材たるテニスラケットTRが連結され、左手首関節A6のクランクアーム3fには、可動部材たる掌部HLが連結されている。
【0021】
図3に模式的に示すように、各従動流体圧シリンダ41〜46には、流体圧伝達路たる流体圧伝達回路Lに接続されている。流体圧伝達回路Lには、4つの低圧駆動流体圧シリンダ51〜54と、2つの高圧駆動流体圧シリンダ55,56とが接続されている。
【0022】
流体圧伝達回路Lは、図示省略した2つの矩形板状部材Pを重ね併せて構成される。両板状部材Pには、互いに間隔を存して平行に配置された6つの溝状の流体圧伝達路Ls1〜Ls6,Lm1〜Lm6が形成されている。そして、一方の板状部材Pに形成された従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6が他方の板状部材Pに形成された駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6に対して直交するように両板状部材Pの流体圧伝達路Ls1〜Ls6,Lm1〜Lm6が形成された側の面を重ね合わされて流体圧伝達路Ls1〜Ls6,Lm1〜Lm6がグリッド状となるように構成されている。
【0023】
流体圧伝達路Ls1〜Ls6,Lm1〜Lm6の交差する部分には、従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6と駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6とを連通させる状態と、この連通を断つ状態とに切換自在なオンオフ式ソレノイド弁(開閉弁)V11〜V16,V21〜V26,V31〜V36,V41〜V46,V51〜V56,V61〜V66が夫々設けられている。
【0024】
一方の板状部材Pに形成された各従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6の一端は開口しており、各従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6の一端部には、開口を閉塞自在なソレノイド弁V01〜V06が設けられている。又、この一方の板状部材Pの各従動側流体圧伝達路Ls1〜Ls6の一端には、流体圧伝達管Ls1a〜Ls6aを介して従動流体圧シリンダ41〜46が夫々接続されている。
【0025】
他方の板状部材Pに形成された各駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6の一端も開口している。そして、この開口を介して他方の板状部材Pの各駆動側流体圧伝達路Lm1〜Lm6には、駆動流体圧シリンダ51〜56が夫々接続されている。
【0026】
各駆動流体圧シリンダ51〜56は、シリンダ本体51a〜56aと、シリンダ本体51a〜56aの内部を摺動自在なピストン51b〜56bとで構成される。駆動流体圧シリンダ51〜56のピストン51b〜56bには、ロッド51c〜56cが連結されている。ロッド51c〜56cの後端部にはネジが切られている。
【0027】
図2に示すように、ロッド51c〜56cの後端部には、ナット状の従動プーリ61a〜61fが螺合している。
【0028】
各高圧駆動流体圧シリンダ55,56の後方には、高出力駆動源たる高出力モータM5,M6が配置され、各低圧駆動流体圧シリンダ51〜54の後方には、高出力モータよりも最大出力が低い低出力駆動源たる低出力モータM1〜M4が配置されている。各モータM1〜M6の回転軸には駆動プーリ62a〜62fが設けられている。駆動プーリ62a〜62fと従動プーリ61a〜61fとには、ベルト63a〜63fが夫々巻き掛けられている。
【0029】
モータM1〜M6の回転運動は、駆動プーリ62a〜62f及びベルト63a〜63fを介して従動プーリ61a〜61fに伝達され、ロッド51c〜56cの進退運動に変換される。これにより、ピストン51b〜56bがシリンダ本体51a〜56aの内部で摺動する。
【0030】
又、高圧駆動流体圧シリンダ55,56は、高出力モータM5,M6の駆動によりピストン55b,56bが前進すると高圧の流体圧を発生させる。低圧駆動流体圧シリンダ51〜54は、低出力モータM1〜M4の駆動によりピストン51b〜54bが前進すると、高圧駆動流体圧シリンダ55,56で発生される流体圧よりも低圧の流体圧を発生させる。
【0031】
各従動流体圧シリンダ41〜46のピストン41b〜46bは、接続される駆動流体圧シリンダ51〜56から流体圧伝達回路Lを介して流体圧が作用されると前進する。又、各従動流体圧シリンダ41〜46のピストン41b〜46bは、接続される駆動流体圧シリンダ51〜56のピストン51b〜56bの後退に伴って後退する。
【0032】
これにより、各関節A1〜A6は、駆動流体圧シリンダ51〜56のピストン51b〜56bの進退に伴い、屈伸動作する。尚、各関節A1〜A6に図示省略した戻りバネを設けて、従動流体圧シリンダ41〜46のピストン41b〜46bを後退させるようにしてもよい。
【0033】
以上の如く構成することにより、開閉弁たるソレノイド弁の開閉により、各駆動流体圧シリンダ51〜56を何れの従動流体圧シリンダ41〜46にも接続させることが可能となる。従って、実施形態の人型ロボット1によれば、高圧の流体圧を発生させる2つの高圧駆動流体圧シリンダ55,56を備えるため、同時に最大トルクが必要となる関節が最大で2つまでのものに対応させることができ、6つ全ての駆動流体圧シリンダを高圧タイプのものとする必要がない。
【0034】
これにより、駆動源たるモータM1〜M6の総出力を低減させることができ、装置全体の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0035】
次に、図1に示す人型ロボット1で、テニスラケットTRを用いたボレーのスイングを例に、実施形態の流体圧伝達装置の作動を説明する。このテニスラケットTRによるボレーのスイングの場合には、テニスラケットTRにボールが接触した際に、ラケットTRの面がぶれないように右肩関節A1及び右手首関節A3に比較的高いトルクが要求される。又、ラケットTRでボールを押し返すために、右肘関節A2には比較的速い速度の揺動が要求される。又、左手首関節A6は揺動させる必要がない。
【0036】
そこで、図4に示すように、2つのソレノイド弁V12,V22(電磁弁)を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls2に2つの駆動側流体圧伝達路Lm1,Lm2を連通させる連通状態とすると共に、ソレノイド弁V02を開弁させて、2つの低圧駆動流体圧シリンダ51,52で右肘用従動流体圧シリンダ42に流体圧を作用させる。これにより、第2従動流体圧シリンダ42の作動速度を比較的速くすることができる。
【0037】
又、ソレノイド弁V53を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls3と駆動側流体圧伝達路Lm5とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V03を開弁させて、高圧駆動流体圧シリンダ55の流体圧を右手首用従動流体圧シリンダ43に作用させる。
【0038】
又、ソレノイド弁V61を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls1と駆動側流体圧伝達路Lm6とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V01を開弁させて、高圧駆動流体圧シリンダ56の流体圧を右肩用従動流体圧シリンダ41に作用させる。
【0039】
これにより、2つの駆動流体圧シリンダ41,43に高圧の流体圧が作用し、右肩関節A1及び右手首関節A3で比較的高いトルクを出せるようになる。
【0040】
又、ソレノイド弁V34を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls4と駆動側流体圧伝達路Lm3とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V04を開弁させて、低圧駆動流体圧シリンダ53の流体圧を左肩用従動流体圧シリンダ44に作用させる。
【0041】
又、ソレノイド弁V45を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls5と駆動側流体圧伝達路Lm4とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V05を開弁させて、低圧駆動流体圧シリンダ54の流体圧を左肘用従動流体圧シリンダ45に作用させる。
【0042】
又、ソレノイド弁V06を閉弁させて、第6従動流体圧シリンダ46の作動を阻止し、左手首関節A6を固定状態とする。そして、左肩関節A4及び左肘関節A5を右腕ARの動作に合わせて適宜屈伸させることにより、人型ロボット1の姿勢状態のバランスを取ることができる。
【0043】
次に、図5に示す人型ロボット1を参照して、両腕AR,ALを用いて荷物Wを持ち上げる場合を例に、実施形態の流体圧伝達装置の作動を説明する。尚、図5に示す人型ロボット1は、テニスラケットに代えて、右手首関節A3に掌部HRを設けている。他の構成は、図1の人型ロボットと同一である。
【0044】
図5に示すように、荷物Wを持ち上げる場合には、両肘関節A2,A5に比較的高いトルクが要求される。そこで、図6に示すように、ソレノイド弁V52を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls2と駆動側流体圧伝達路Lm5とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V02を開弁させて、高圧駆動流体圧シリンダ55の流体圧を右肘用従動流体圧シリンダ42に作用させる。
【0045】
又、ソレノイド弁V65を開弁させて、従動側流体圧伝達路Ls5と駆動側流体圧伝達路Lm6とを連通状態とすると共に、ソレノイド弁V05を開弁させて、高圧駆動流体圧シリンダ56の流体圧を左肘用従動流体圧シリンダ45に作用させる。これにより、両肘関節A2,A5で比較的高いトルクを発生させることができる。
【0046】
又、ソレノイド弁V11,V01を開弁させて、低圧駆動流体圧シリンダ51の流体圧を第1従動流体圧シリンダ41に作用させ、ソレノイド弁V24,04を開弁させて、低圧駆動流体圧シリンダ52の流体圧を第4従動流体圧シリンダ44に作用させる。
【0047】
又、ソレノイド弁V36,V06を開弁させて、低圧駆動流体圧シリンダ53の流体圧を第6従動流体圧シリンダ46に作用させ、ソレノイド弁V43,V03を開弁させて低圧駆動流体圧シリンダ54の流体圧を第3従動流体圧シリンダ43に作用させる。これにより、両肘関節A2,A5以外の他の4つの関節A1,A3,A4,A6が比較的低いトルクで屈伸される。
【0048】
又、荷物Wを持ち上げた後には、ソレノイド弁V02,V05を閉弁することで、高出力モータM5,M6の駆動エネルギーを用いることなく、前腕FA1,FA2の位置を保持させることができる。
【0049】
実施形態の流体圧伝達装置によれば、最大トルクが同時に必要とされる従動流体圧シリンダの数だけ、高圧駆動流体圧シリンダを備えていれば、ソレノイド弁の開閉により駆動流体圧シリンダを切り換えることにより対応することができる。このため、従動流体圧シリンダの数だけ高圧駆動流体圧シリンダを設ける必要がなく、流体圧伝達装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
【0050】
尚、実施形態においては、人型ロボット1の両腕の関節を用いて説明したが、これに限らず、本発明の流体圧伝達装置は、例えば、ロボットハンド装置の指機構の関節の屈伸動作に用いても同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0051】
1…人型ロボット、2a〜2f…揺動軸、3a〜3f…クランクアーム、41…右肩用従動流体圧シリンダ、41a…従動用シリンダ本体、41b…ピストン、41c…ロッド、42…右肘用従動流体圧シリンダ、42a…従動用シリンダ本体、42b…ピストン、42c…ロッド、43…右手首用従動流体圧シリンダ、43a…従動用シリンダ本体、43b…ピストン、43c…ロッド、44…左肩用従動流体圧シリンダ、44a…従動用シリンダ本体、44b…ピストン、44c…ロッド、45…左肘用従動流体圧シリンダ、45a…従動用シリンダ本体、45b…ピストン、45c…ロッド、46…左手首用従動流体圧シリンダ、46a…従動用シリンダ本体、46b…ピストン、46c…ロッド、51〜54…低圧駆動流体圧シリンダ、51a〜54a…低圧用シリンダ本体、51b〜54b…ピストン、51c〜54c…ロッド、55,56…高圧駆動流体圧シリンダ、55a,56a…高圧用シリンダ本体、55b,56b…ピストン、55c,56c…ロッド、61…従動プーリ、62…従動プーリ、63…ベルト、SR…右肩、SL…左肩、A1…右肩関節、A2…右肘関節、A3…右手首関節、A4…左肩関節、A5…左肘関節、A6…左手首関節、AR…右腕、UA1…上腕、FA1…前腕、TR…テニスラケット、AL…左腕、UA2…上腕、FA2…前腕、HR,HL…掌部、L…流体圧伝達回路、Ls1〜Ls6…従動側流体圧伝達路、Ls1a〜Ls6a…流体圧伝達管、Lm1〜Lm6…駆動側流体威圧伝達路、V11〜V16,V21〜V26,V31〜V36,V41〜V46,V51〜V56,V61〜V66…オンオフ式ソレノイド弁(開閉弁)、V01〜V06…オンオフ式ソレノイド弁(電磁弁)、M1〜M4…低出力モータ(低圧用駆動源)、M5,M6…高出力モータ(高圧用駆動源)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧用駆動源により高圧用シリンダ本体内で進退されるピストンを有し、該高圧用駆動源により前記ピストンが前進することにより、前記高圧用シリンダ本体内で高圧の流体圧を発生させる高圧駆動流体圧シリンダと、
低圧用駆動源により低圧用シリンダ本体内で進退されるピストンを有し、該低圧用駆動源により前記ピストンが前進することにより、前記低圧用シリンダ本体内で前記高圧駆動流体圧シリンダよりも低圧の流体圧を発生させる低圧駆動流体圧シリンダと、
従動用シリンダ本体内で進退自在であり、可動部材に連結されるピストンを有する複数の従動流体圧シリンダと、
前記高圧駆動流体圧シリンダ及び前記低圧駆動流体圧シリンダに夫々接続された複数の駆動側流体圧伝達路と、
前記各従動流体圧シリンダに夫々接続された複数の従動側流体圧伝達路とを備え、
前記各駆動側流体圧伝達路は、開閉弁を介して全ての前記従動側流体圧伝達路と接続されていることを特徴とする流体圧伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の流体圧伝達装置において、前記高圧駆動流体圧シリンダ、及び前記低圧駆動流体圧シリンダの少なくとも一方が複数設けられることを特徴とする流体圧伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の流体圧伝達装置を用いたロボットハンド装置であって、
該ロボットハンド装置は関節部で屈伸自在な複数の指機構を備え、
前記従動流体圧シリンダのピストンの進退に伴い、前記指機構の関節部が屈伸することを特徴とするロボットハンド装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−62756(P2011−62756A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213062(P2009−213062)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】