説明

流体機械駆動システム

【課題】低コストに各種排熱を効率よく回収して、圧縮機や送風機などの流体機械を駆動する。
【解決手段】排熱を用いて作動媒体を加熱し気化させる蒸発器20と、この蒸発器20からの作動媒体を用いて動力を起こす膨張機21と、この膨張機21からの作動媒体を冷却し凝縮させる凝縮器22と、この凝縮器22からの作動媒体を蒸発器20へ送り込む循環ポンプ23と、膨張機21により駆動される圧縮機または送風機などの流体機械28とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱を用いて圧縮機や送風機などの流体機械を駆動するための流体機械駆動システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、排熱を用いて発電する設備が知られている。この文献の図3に基づき概略を説明すると、排熱発電設備は、作動媒体循環経路16、ジャケット冷却水循環路35、排温水循環系39、および冷却水循環系45を備える。
【0003】
そして、各回路について順に説明すると、作動媒体循環経路16は、蒸気発生器11、タービン12、凝縮器14、給液ポンプ15を備えた回路である。また、ジャケット冷却水循環路35は、ディーゼルエンジン33、熱回収用熱交換器36、三方弁37、ジャケット冷却水循環ポンプ38、放熱用熱交換器49を備えた回路である。また、排温水循環系39は、前記熱回収用熱交換器36、往水ヘッダー41、温水循環ポンプ40、前記蒸気発生器11、還水ヘッダー42を備えた回路である。さらに、冷却水循環系45は、冷却塔48からの水を、冷却水ポンプ46を用いて、前記ディーゼルエンジン33および前記放熱用熱交換器49に送る他、前記凝縮器14に送る回路である。
【0004】
このような構成であるから、ディーゼルエンジン33のジャケット冷却水の熱は、ジャケット冷却水循環路35および排温水循環系39を介して、蒸気発生器11で作動媒体を蒸発させる。そして、その作動媒体蒸気によりタービン12を回すことで、そのタービン12により発電機13を駆動させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−2688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の発明では、タービンで発電機を駆動して、発電機からの電気を系統へ送り出すので、法規制との関係で機器コストが高くなる。また、発電機からの電気を系統へ送り出すには、高価なコンバータやインバータが必要である。
【0007】
さらに、前記特許文献1に記載の発明では、回収される熱は、ジャケット冷却水のみである。従って、それ以外の熱、たとえば、過給機からエンジンへの圧縮空気を冷却する際に捨てられる熱や、エンジンからの排ガスで捨てられる熱なども回収できれば好適である。ところが、これらを回収するにしても、簡易な構成で効率よく回収しなければならず、特にそれぞれの温度を考慮した設計が必要となる。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、低コストに各種排熱を効率よく回収して、圧縮機や送風機などの流体機械を駆動するシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、排熱を用いて作動媒体を加熱し気化させる蒸発器と、この蒸発器からの作動媒体を用いて動力を起こす膨張機と、この膨張機からの作動媒体を冷却し凝縮させる凝縮器と、この凝縮器からの作動媒体を前記蒸発器へ送り込む循環ポンプと、圧縮機、送風機またはポンプから構成され、前記膨張機により駆動される流体機械とを備えることを特徴とする流体機械駆動システムである。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、膨張機により直接に圧縮機、送風機またはポンプを駆動するので、発電機が不要で且つ電気系統につなぐ必要がない。これにより、発電機を用いる場合よりも、コストの低減を図ることができる。また、一旦電気に代えて圧縮機などを駆動する場合よりも効率がよい。
【0011】
請求項2に記載の発明は、エンジンのジャケット冷却液、過給機から前記エンジンへの圧縮空気、および前記エンジンからの排ガスの内、いずれか一以上を順に用いて、前記蒸発器としての熱交換器により前記作動媒体を加熱することを特徴とする請求項1に記載の流体機械駆動システムである。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、エンジンのジャケット冷却液、過給機からエンジンへの圧縮空気、およびエンジンからの排ガスの内、いずれか一以上から熱回収して、圧縮機などを駆動することができる。しかも、エンジンのジャケット冷却液、過給機からエンジンへの圧縮空気、およびエンジンからの排ガスの内、複数のものから熱回収を図る場合、エンジンのジャケット冷却液、過給機からエンジンへの圧縮空気、およびエンジンからの排ガスの順に用いることで、熱回収率の向上を図ることができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、前記エンジンからの排ガスが通され、その排ガス熱を用いて蒸気を起こす排ガスボイラをさらに備え、この排ガスボイラからの蒸気を用いて、前記蒸発器としての熱交換器により前記作動媒体を加熱することを特徴とする請求項2に記載の流体機械駆動システムである。
【0014】
蒸発器、膨張機、凝縮器および循環ポンプを備える回路内の作動媒体は、その臨界温度との関係で、実用可能な温度に上限がある。従って、エンジンからの排ガスが、そのままでは高温過ぎるため、直接に蒸発器において作動媒体と熱交換できない場合がある。また、硫黄分の含まれる燃料を用いるエンジンの場合、排ガスの酸露点を考慮する必要もある。すなわち、排ガスと作動媒体とを直接に蒸発器において熱交換して、排ガス温度を下げ過ぎると、熱交換器を腐食させるおそれがある。ところが、請求項3に記載の発明によれば、排ガスボイラを用いて排ガス熱で蒸気を起こし、その蒸気と作動媒体とを熱交換するので、そのような不都合を防止することができる。
【0015】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記エンジンは、船舶に装備されたディーゼルエンジンであり、前記流体機械は、空気圧縮機であり、前記凝縮器は、前記作動媒体と海水との熱交換器であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体機械駆動システムである。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、船舶のエンジンの排熱を用いて、空気圧縮機を駆動することができる。しかも、凝縮器では、海水を用いて作動媒体を凝縮させるので、簡易な構成で効率がよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の流体機械駆動システムによれば、低コストに各種排熱を効率よく回収して、圧縮機や送風機などの流体機械を駆動するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の流体機械駆動システムの一実施例が適用される動力システムの一例を示す概略図である。
【図2】図1の動力システムに適用される本発明の流体機械駆動システムの一実施例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の流体機械駆動システムの一実施例が適用される動力システム1の一例を示す概略図である。また、図2は、図1の動力システム1に適用される本発明の流体機械駆動システム2の一実施例を示す概略図である。
【0020】
まず、図1に基づき動力システム1について説明する。動力システム1は、エンジン3を用いて動力を起こすシステムである。エンジン3の種類は、特に問わないが、典型的にはディーゼルエンジンである。図示例の動力システム1は、船舶に搭載される動力システムであり、舶用ディーゼルエンジンを備える。
【0021】
図示例のエンジン3は、主機ボックス4内にシリンダ5が保持され、そのシリンダ5にピストン6が進退可能にはめ込まれている。そして、周知のとおり、ディーゼルエンジンの場合、エンジン3は、空気をシリンダ5内に吸い込んでピストン6で圧縮して高温とした状態で、燃料ポンプ7から燃料(たとえばC重油)をシリンダ5内へ噴射して発火させ、その爆発力を連接棒8を介してクランク軸9に伝える。このようにして得られる回転動力は、船舶の航行などに用いられる。
【0022】
主機ボックス4内の潤滑油は、オイルクーラ10との間で循環されることで、所望温度に維持される。具体的には、主機ボックス4内の潤滑油は、オイルポンプ11を介してオイルクーラ10へ供給され、オイルクーラ10において冷却液(たとえば海水)と熱交換されて冷却を図られた後、主機ボックス4内へ戻される。また、オイルクーラ10からの潤滑油は、シリンダ5へも供給され、シリンダ5の潤滑と冷却を図った後、主機ボックス4内へ戻される。
【0023】
シリンダ5は、また、ジャケット冷却液(典型的には水)によっても冷却を図られる。具体的には、シリンダ5のジャケット12内の水は、第一熱交換器13との間で循環されることで、所望温度に維持される。つまり、ジャケット12内の冷却液は、送液ポンプ14により第一熱交換器13へ引き込まれ、第一熱交換器13において、後述するように作動媒体(または海水などの冷却液)と熱交換されて冷却を図られた後、ジャケット12内へ戻される。なお、送液ポンプ14は、図1では、第一熱交換器13からの排液路に設置しているが、図2に示すように、第一熱交換器13への給液路に設置してもよい。
【0024】
エンジン3からの排ガスは、図示例では、排ガス過給機15および排ガスボイラ16を介して、外気へ放出される。排ガス過給機15においては、周知のとおり、排ガスのエネルギーを用いて、空気圧縮機17が駆動される。空気圧縮機17からの圧縮空気は、エアクーラとしての第二熱交換器18を介して、エンジン3(より具体的にはシリンダ5内)へ供給される。その際、空気圧縮機17からの圧縮空気は、第二熱交換器18において、後述するように作動媒体(または海水などの冷却液)と熱交換されて冷却を図られた後、エンジン3へ供給される。
【0025】
排ガスボイラ16は、周知のとおり、排ガスと水とを熱交換して、蒸気を起こす装置である。つまり、排ガスボイラ16において、排ガスは水により冷却を図られる一方、水は排ガス熱により蒸気化される。この蒸気は、第三熱交換器19において、後述するように作動媒体(または海水などの冷却液)と熱交換される。
【0026】
次に、図2に基づき本発明の流体機械駆動システム2の一実施例について説明する。本実施例の流体機械駆動システム2は、排熱を用いて作動媒体を加熱し気化させる蒸発器20と、この蒸発器20からの作動媒体を用いて動力を起こす膨張機21と、この膨張機21からの作動媒体を冷却し凝縮させる凝縮器22と、この凝縮器22からの作動媒体を蒸発器20へ送り込む循環ポンプ23とを順に接続して、ランキンサイクルを構成する。
【0027】
蒸発器20として、前述した第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、いずれか一以上の熱交換器を備える。つまり、エンジン3のジャケット冷却液、過給機15からエンジン3への圧縮空気、およびエンジン3からの排ガスの内、いずれか一以上からの熱を用いて、蒸発器20としての熱交換器13,18,19により作動媒体の加熱と気化が図られる。
【0028】
本実施例では、第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19のすべてを順に備える。但し、第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、いずれか一つを蒸発器20として用いてもよいし、いずれか二つを蒸発器20として用いてもよい。第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、蒸発器20として用いられない熱交換器は、図2のサイクルから除かれ、作動媒体との熱交換器ではなく、冷却液(たとえば海水)との熱交換器とされる。
【0029】
第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、複数の熱交換器を蒸発器20として用いる場合、その設置順序は、下流(膨張機21側)の熱交換器ほど作動媒体が高温流体と熱交換するように、第一熱交換器13、第二熱交換器18、第三熱交換器19の順に直列に設置するのが好ましい。
【0030】
たとえば、第一熱交換器13と第三熱交換器19とを用いる場合、循環ポンプ23からの作動媒体は、第一熱交換器13を介した後、第三熱交換器19に通される。この場合、前述したように、蒸発器20として用いられない第二熱交換器18は、圧縮空気と海水などとの熱交換器とされる。また、たとえば、第二熱交換器18と第三熱交換器19とを用いる場合、循環ポンプ23からの作動媒体は、第二熱交換器18を介した後、第三熱交換器19に通される。この場合、前述したように、蒸発器20として用いられない第一熱交換器13は、ジャケット冷却液と海水などとの熱交換器とされる。
【0031】
いずれにしても、循環ポンプ23において蒸発器20へ供給された作動媒体は、蒸発器20において加熱され蒸発を図られる。第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、複数の熱交換器を蒸発器20として用いる場合、上流の熱交換器において作動媒体は相変化せずに加熱され、下流の熱交換器において作動媒体は気化される。あるいは、最下流の熱交換器より上流の熱交換器で作動媒体を気化しておき、それより下流の熱交換器で作動媒体をさらに過熱してもよい。従って、蒸発器20は、文字どおりの蒸発器として機能する以外に、予熱器または過熱器として機能することもある。
【0032】
作動媒体を蒸発器20において所望に加熱し気化するために、蒸発器20を構成する各熱交換器では、その熱交換器の出口側の作動媒体の温度または圧力に基づき、作動媒体と熱交換する流体(第一熱交換器13ではジャケット冷却液、第二熱交換器18では圧縮空気、第三熱交換器19では排ガスボイラ16からの蒸気)の流量を制御してもよい。この際、各熱交換器13,18,19の出口において、作動媒体が液体であれば温度に基づき制御するのがよく、作動媒体が気体であれば圧力に基づき制御するのがよい。
【0033】
たとえば、第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の順に直列に設置して、第三熱交換器19において作動媒体を液体から気体へ相変化させる場合には、次のように制御すればよい。すなわち、第一熱交換器13では、作動媒体とジャケット冷却液とが熱交換されるが、第一熱交換器13の出口における作動媒体の温度に基づき、第一熱交換器13へのジャケット冷却液の供給流量を調整すればよい。また、第二熱交換器18では、作動媒体と圧縮空気とが熱交換されるが、第二熱交換器18の出口における作動媒体の温度に基づき、第二熱交換器18への圧縮空気の供給流量を調整すればよい。さらに、第三熱交換器19では、作動媒体と蒸気とが熱交換されるが、第三熱交換器19の出口における作動媒体の圧力に基づき、第三熱交換器19への蒸気の流入量を調整すればよい。
【0034】
なお、作動媒体と熱交換する流体の各熱交換器13,18,19への供給流量は、その流体の管路に設けるポンプまたはバルブなどの流量調整機構24を制御して行うことができる。また、各熱交換器13,18,19の出口における作動媒体の温度または圧力は、温度センサまたは圧力センサにより検出される。前記の例では、第一熱交換器13の出口に温度センサ25、第二熱交換器18の出口に温度センサ26、および第三熱交換器19の出口に圧力センサ27を設けている。
【0035】
膨張機21は、その形式は特に問わないが、たとえばスクロール式、スクリュ式またはタービン式とされ、蒸発器20からの作動媒体を用いて動力を起こし、各種の流体機械を駆動する。その際、発電機を介することなく、膨張機21により流体機械28が駆動される。流体機械28は、その種類を特に問わないが、たとえば、圧縮機、送風機(ファンもしくはブロア)またはポンプとされる。
【0036】
図示例では、膨張機21により空気圧縮機が駆動され、その圧縮空気は、たとえば船底にマイクロバブルとして吐出され、船底に気泡膜を作ることで海水との摩擦抵抗を軽減させるのに用いられる。この場合、マイクロバブルは、船舶の航行中(つまりエンジン3の運転中)に必要となるが、エンジン運転中に流体機械駆動システム2を稼働して、圧縮空気を発生させることができる。よって、圧縮空気が必要な時間と、圧縮空気を発生させることができる時間帯とが一致し、圧縮空気の需要と供給とをマッチさせることができる。
【0037】
但し、本発明の流体機械駆動システム2において、膨張機21が駆動する流体機械28は、このような用途に用いるための空気圧縮機に限らず、その他の用途に用いる空気圧縮機の他、空気圧縮機以外の圧縮機、さらには圧縮機以外の送風機やポンプなどにも同様に適用可能である。
【0038】
凝縮器22は、膨張機21からの作動媒体を冷却し凝縮させる熱交換器である。具体的には、作動媒体と冷却液(たとえば海水)とを熱交換して、作動媒体を凝縮させる。そして、凝縮器22からの作動媒体は、循環ポンプ23を介して、再び蒸発器20へ送り込まれる。この際、本実施例では、凝縮器22の出口における作動媒体の温度または圧力をセンサ29で検出して、その検出温度または検出圧力が所望に維持されるように、凝縮器22への給水ポンプ30を制御して、凝縮器22へ供給される冷却液の流量が調整される。
【0039】
本実施例の流体機械駆動システム2によれば、膨張機21により直接に圧縮機などを駆動するので、発電機が不要で且つ電気系統につなぐ必要がない。これにより、発電機を用いる場合よりも、コストの低減を図ることができる。また、一旦電気に代えて圧縮機などを駆動する場合よりも効率がよい。膨張機21で駆動する流体機械が圧縮機の場合、圧縮熱を回収すれば、一層効率がよい。
【0040】
ところで、前記実施例では、エンジン3からの排ガスは、直接に第三熱交換器19において作動媒体と熱交換させずに、まずは排ガスボイラ16において水と熱交換させ、その排ガスボイラ16からの蒸気を第三熱交換器19において作動媒体と熱交換させた。その理由は、作動媒体には、その臨界温度との関係で、実用可能な温度に上限があるからである。つまり、エンジン3からの排ガスが、そのままでは高温過ぎるため、直接に蒸発器20において作動媒体と熱交換できない場合がある。また、硫黄分の含まれる燃料を用いるエンジン3の場合、排ガスの酸露点を考慮する必要もある。すなわち、排ガスと作動媒体とを直接に蒸発器20において熱交換して、排ガス温度を下げ過ぎると、熱交換器を腐食させるおそれがある。ところが、排ガスボイラ16を用いて排ガス熱で蒸気を起こし、その蒸気と作動媒体とを第三熱交換器19を用いて熱交換することで、そのような不都合を防止することができる。但し、以上の点を考慮した上、排ガス温度、エンジン3の燃料の種類、作動媒体の種類によっては、エンジン3からの排ガスを直接に第三熱交換器19において作動媒体と熱交換させてもよい場合がある。
【0041】
本発明の流体機械駆動システム2やそれが適用されるシステムは、前記実施例の構成に限らず適宜変更可能である。特に、前記実施例の流体機械駆動システム2が適用されるシステムは、図1の動力システム1に限らず、その他の各種システムにも同様に適用可能である。もちろん、船舶内に装備されるシステムに限られるものでもない。
【0042】
また、図1の動力システム1は、エンジン3には過給機15からの圧縮空気が供給されたが、場合により過給機15を省略することができる。また、過給機を用いる場合でも、その過給機は、排ガスのエネルギーを用いて圧縮空気を得る排ガス過給機15である必要はなく、排ガスを用いずに空気圧縮機を駆動してもよい。
【0043】
さらに、前記実施例では、第一熱交換器13、第二熱交換器18および第三熱交換器19の内、いずれか一つもしくは二つ、または三つ全部を蒸発器20として用いる例を説明したが、場合によりこれら以外の熱交換器も、蒸発器20として用いてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 動力システム
2 流体機械駆動システム
3 エンジン
12 ジャケット
13 第一熱交換器
15 過給機
16 排ガスボイラ
17 空気圧縮機
18 第二熱交換器
19 第三熱交換器
20 蒸発器
21 膨張機
22 凝縮器
23 循環ポンプ
28 流体機械

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排熱を用いて作動媒体を加熱し気化させる蒸発器と、
この蒸発器からの作動媒体を用いて動力を起こす膨張機と、
この膨張機からの作動媒体を冷却し凝縮させる凝縮器と、
この凝縮器からの作動媒体を前記蒸発器へ送り込む循環ポンプと、
圧縮機、送風機またはポンプから構成され、前記膨張機により駆動される流体機械と
を備えることを特徴とする流体機械駆動システム。
【請求項2】
エンジンのジャケット冷却液、過給機から前記エンジンへの圧縮空気、および前記エンジンからの排ガスの内、いずれか一以上を順に用いて、前記蒸発器としての熱交換器により前記作動媒体を加熱する
ことを特徴とする請求項1に記載の流体機械駆動システム。
【請求項3】
前記エンジンからの排ガスが通され、その排ガス熱を用いて蒸気を起こす排ガスボイラをさらに備え、
この排ガスボイラからの蒸気を用いて、前記蒸発器としての熱交換器により前記作動媒体を加熱する
ことを特徴とする請求項2に記載の流体機械駆動システム。
【請求項4】
前記エンジンは、船舶に装備されたディーゼルエンジンであり、
前記流体機械は、空気圧縮機であり、
前記凝縮器は、前記作動媒体と海水との熱交換器である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体機械駆動システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−74897(P2011−74897A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−230073(P2009−230073)
【出願日】平成21年10月2日(2009.10.2)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】