説明

流体流速センサ及び動作方法

流体流速センサはブリッジ回路の出力電圧に対応する第1の信号と流体温度に対応する第2の信号を発生する検出回路を含んでいる。制御モジュールは第1の信号と、第2の信号と、検索表とに基づいて流体流速をさらに正確かつ迅速に決定できる。検索表はデータにしたがって描かれた複数の曲線を含んでおり、流体温度、出力電圧、流体流速の間の関係を示している。この流体流速センサは本質的に温度補償され、短い応答時間を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体流速センサ、特に熱流速計及び動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションの陳述は本発明の説明に関する背景情報を単に提供し、従来技術を構成するものではない。
【0003】
流体転送システムは流体転送システム中の流体の流速を測定し、したがって流速に基づいて分配される流体の体積を決定するための流体流動計を含むことができる。熱流速計は一般的に可動部分がないためにタービンおよび/またはパドルホイールセンサにおいて流体の流速を測定するために使用されており、これらは流体の汚染に敏感である。熱流速計は熱伝導の原理に基づいて動作し、典型的に流体流を受ける抵抗加熱素子を有するブリッジ回路を含んでいる。流体流が抵抗加熱素子上を通過するとき、流体は熱を持ち去り、抵抗過熱素子の温度低下を起こす。流体の流速は加熱素子から流体への熱損失を測定することにより決定されることができる。
【0004】
1方法では、加熱素子への電力は加熱素子をその開始温度へ戻すために温度低下がブリッジ回路で生じた後に増加される(一定温度型)。増加された電力は流体流速の指示を与える。別の方法は流速を決定するためにブリッジ回路を横切る電圧低下とを相関させることを含んでいる(一定電流型)。
【0005】
いずれの方法も、通常の熱流速計は応答時間において制限を有する。流速は、流速すなわち流体の流速を示す信号が定常状態に到達するまで正確に測定されることができない。幾つかの熱流速計は流体の流速を測定するのに比較的長い時間を要する。
【0006】
熱流速計に関する別の問題は温度補償および部品毎の較正を必要とすることである。低い温度の流体は同じ流速において高い温度の流体よりも抵抗加熱素子から熱を除去する能力が大きい。それ故、温度補償が通常必要とされる。部品毎の較正は高価なソフトウェアを要する可能性があり、製造環境で構成することが難しい可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明で開示する説明の幾つかの実施形態は、流速をより正確かつ迅速に決定でき、自己較正され温度補償される流体流速センサを提供する。1形態では、流体の流速を検出するための流体流速センサはプローブモジュールと、検索表と制御モジュールとを含んでいる。プローブモジュールは出力電圧に対応する第1の信号と流体の温度に対応する第2の信号とを発生する。検索表は検出回路の出力電圧、流体の温度、流体の流速の間の関係の経験的データを含んでいる。制御モジュールは第1の信号と、第2の信号と、検索表とに基づいて流体の流速を決定する。
【0008】
別の形態では、流体の流速を検出するための流体流速センサは、出力電圧を発生するためのブリッジ回路と、流体の温度を検出するための温度感知回路と、ブリッジ回路の少なくとも1個のサーミスタを加熱するための加熱回路と制御モジュールとを含んでいる。ブリッジ回路、温度感知回路、加熱回路は並列に接続されている。出力電圧は流体の温度と流速の関数である。制御モジュールは流体の流速と、流体の温度と、経験的データに基づくブリッジ回路の出力電圧の間の関係を示す検索表に基づいて流体の流速を決定する。
【0009】
さらに別の形態では、検出回路を具備する流体流速センサの動作方法が提供され、流体の温度を測定し、検出回路の電圧出力を測定し、検索表に基づいて流体流速を決定する処理を含んでいる。検索表は検出回路の出力電圧、流体の温度、流体の流速の間の関係を示している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による流体流速センサの概略ブロック図である。
【図2】本発明による流体流速センサの例示的なプローブモジュールの斜視図である。
【図3】本発明による流体流速センサの例示的なプローブモジュールの正面図である。
【図4】本発明による流体流速センサの例示的なプローブモジュールの平面図である。
【図5】本発明による流体流速センサの例示的な検出回路を含む印刷回路板の正面図である。
【図6】本発明による流体流速センサの例示的な検出回路を含む印刷回路板の後面図である。
【図7】本発明による流体流速センサ用の例示的な検出回路の概略回路図である。
【図8】本発明による流体流速センサの動作を説明したフローチャートである。
【図9】本発明による流体流速センサの時間にわたる温度応答特性を描いた例示的なグラフである。
【図10】流速、出力電圧、流体温度の間の関係を示し、本発明による流体流速センサの1実施形態で使用するための2次元検索表の内容を示したグラフである。
【図11】本発明による、温度補償回路を有する流体流速センサの別の例示的な検出回路の概略回路図である。
【図12】流速、出力電圧、流体温度の間の関係を示し、本発明による温度補償を有する流体流速センサの1実施形態で使用するための1次元の検索表の内容を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで記載されている図面は単なる例示目的のためであり本発明の技術的範囲を限定することを意図していない。
対応する参照符合は図面の幾つかの図を通して対応する部分を示している。
【0012】
以下の説明は単なる例示であり、本発明の説明、応用又は使用を限定することを意図していない。
【0013】
図1は一般に本発明による流体流速センサ10の主要なコンポーネントを示している。流体流速センサ10は水流を監視するために例えば冷蔵庫、洗濯機、食器洗い機、給水器または自動製氷機のような家庭の機器で使用されることができる。
【0014】
センサ10は通常、プローブモジュール12、制御モジュール14、随意選択的にI/Oモジュール16を含んでいる。プローブモジュール12は制御モジュール14に結合されている。明細書で使用されている用語モジュールは特定用途集積回路(ASIC)、電子回路、プロセッサ(共有、専用またはグループ)、1以上のソフトウェアまたはファームウェアを実行するメモリ、組合せ論理回路、および/または説明された機能を行う他の適切なコンポーネントを指している。
【0015】
プローブモジュール12が流体流11を受けるとき、プローブモジュール12は変化された状態を受け、このような変化に対応して電気信号13を発生する。信号13は処理のために連続的に制御モジュール14へ送られ、制御モジュール14は流体流速を示す出力15を発生する。I/Oモジュール16は流体流速センサ10がその出力15を他の装置またはユーザへ通信することを可能にする手段を提供する。
【0016】
図2乃至6を参照すると、プローブモジュール12はプローブ部17と、プローブ部17を流体源に取付けるためのハウジング部18とを含んでいる。ハウジング部18は本体19と、本体19の対向する端部で形成されている1対のチューブ20と、ねじ22により本体19に固定されるカバー21を含んでいる。本体19は(図4に示されている)室23を規定し、チューブ20はチューブ20の縦軸に沿って延在する通路24を規定する。室23は流体を通路24と連通する。例えば給水器のフレキシブルな供給ホースのような流体源に対するチューブ20の接続を容易にするためにチューブ20にはそれらの自由端部に環状のフランジ25が設けられることができる。
【0017】
プローブ部17はカバー21を通して本体19の室23に挿入される。プローブ部17は熱流速計であり、その上に検出回路32が配置されている(例えば図5と6に示されているような)基板26を含んでいる。基板26は室23中に配置され、ケーブル部28は基板26に接続されている。ケーブル部28は室23の外部へ延在し、制御モジュール14へ電気的に接続されている。
【0018】
基板26は(図5−7に示されている例のように)その上に検出回路32が配置されている印刷回路板であってもよい。基板26は監視されることを意図している流体流11を受ける。薄い真空蒸着されたパリレン被覆は基板26の熱質量を減少するために基板26の表面上に付着される。
【0019】
プローブモジュール12は基板26上の検出回路32の配置に応じて変化された電気特徴を有することができる。ねじ22をはずし、カバー21を本体19から取外すことによって、プローブ部17は異なる電気的特徴を有する別のプローブ部17と交換可能であり、それによってプローブモジュール12は他の流体および/または他の動作条件にさらに適切にすることができる。さらに、プローブモジュール12が所望の機能を行うことを終了するとき、プローブ部17だけしか置換される必要がない。それ故、本発明のプローブモジュール13は交換および/またはコンポーネントの価格における減少を生じることが予想される。
【0020】
本発明による流体流速センサで使用されることができる1個の例示的な検出回路32は図5、6、7に示されている。図7には、検出回路32の概略回路図が示されている。図5、6は基板26上の検出回路32の物理的な実施形態を示している。
【0021】
基板26はその両面上に検出回路32を含んでいる。基板26はケーブル部28が端部30で接続されているピンコネクタP1、P2、P3、P4、P5を有する。検出回路32(図7)はブリッジ回路34、加熱回路36、温度感知回路38を含んでいる。ブリッジ回路34は基板26の前面40にスクリーン印刷された4個のサーミスタNTC1、NTC2、NTC3、NTC4を含んでいる。加熱回路36は基板26の後面42上にスクリーン印刷された加熱抵抗1R1を含んでいる。後面42上の加熱抵抗1R1は動作期間中サーミスタNTC1とNTC2を加熱するために前面40上のサーミスタNTC1とNTC2に近接して配置されている。NTC3とNTC4は物理的に離れて加熱抵抗R1から上流に位置され、それによってこれらは動作期間中に加熱抵抗R1により加熱されない。温度感知回路38は固定抵抗R2と、基板26の後面42上にスクリーン印刷され前面40上のサーミスタNTC3とNTC4に近接するサーミスタNTC5とを含んでいる。サーミスタNTC1、NTC2、NTC3、NTC4、NTC5は負の温度係数を有している。サーミスタNTC5および固定抵抗R2も加熱抵抗R1と加熱されたサーミスタNTC1、NTC2から上流に配置される。
【0022】
図7に示されているように、ブリッジ回路34、加熱回路36、温度感知回路38は並列に接続されている。ブリッジ回路34は並列に接続された第1の足と第2の足を有する4線式のブリッジ回路である。サーミスタNTC1は第1の足を形成するためにサーミスタNTC3と直列に結合される。サーミスタNTC2は第2の足を形成するためにサーミスタNTC4と直列に結合される。2個のサーミスタNTC2とNTC4は、流体の流速を測定する機能を有するブリッジ回路34が流体温度に対してそれ程敏感にならないように、サーミスタNTC1とNTC3よりも小さい温度係数βと室温抵抗Roを有するように適切に選択されることができる。
【0023】
基板26はサーミスタNTC1乃至NTC5を形成するセラミックを充填されたカーボン・ペースト材料がスクリーン印刷されている高い熱伝導セラミックから形成されることができる。このような材料はR100シリーズの称号でHeraeus Incorporatedの回路材料部門から入手可能である。このような構造は完全にディスクリートなサーミスタコンポーネントを除去し、プローブモジュール12の熱質量を減少する助けをする。
【0024】
加熱回路36はブリッジ回路34の2個の足に並列に接続されている。加熱抵抗R1は4乃至6ワット程度の高い定格および0.5乃至1.5ワット程度の低い定格を有することができる。並列又は直列の2以上の加熱抵抗が本発明の技術的範囲を逸脱することなく加熱回路34で設けられることができることを理解すべきである。
【0025】
温度感知回路38はサーミスタNTC5と、分圧器として形成された固定抵抗R2を含んでいる。温度感知回路38は加熱抵抗R1から上流の流体の温度を測定するためにブリッジ回路34に対して並列に接続されている。
【0026】
図7に示されている検出回路32の種々のコンポーネントの値は以下のようになる。
【表1】

【0027】
検出回路32はそれぞれ複数のピンコネクタP1、P2、P3、P4、P5に接続されている導電トレース56、58、60、62、64を含んでいる。ピンコネクタP1、P2、P3、P4、P5はプローブモジュール12の端部30(図5と6)に設けられている。
【0028】
導電トレース56はブリッジ回路34のNTC1およびNTC4に隣接して配置されており、ピンコネクタP1で接地されている。導電トレース58はサーミスタNTC2とNTC4との間の端子66においてブリッジ回路34の第2の足に結合されている。導電トレース60はサーミスタNTC5と固定抵抗R2との間の端子68で温度感知回路38に接続されている。導電トレース62はサーミスタNTC2およびNTC3に隣接して端子70でブリッジ回路34に接続されている。導電トレース64はサーミスタNTC1とサーミスタNTC3との間のブリッジ回路34の第1の足に結合されている。
【0029】
入力電圧Vin(例えば12VDC)は検出回路32を付勢するため端子70でピンコネクタP4を通して与えられることができる。出力電圧Voutは端子66と72の間で測定され、ピンコネクタP2とP5で読取られることができる。流体の温度を表す基準電圧VはピンコネクタP3で測定されることができる。
【0030】
図8乃至10を参照すると、流体の流動の開始前に、入力電圧Vinは検出回路32に与えられ、それによって加熱回路36はサーミスタNTC1およびNTC2を予め定められた上昇温度まで加熱することができる。サーミスタNTC3とNTC4はそれらと加熱抵抗R1との間の物理的分離のために加熱されない。図9に示されているように、検出回路32が付勢されるとすぐに、検出回路32はピンコネクタP2とP5で読取られるブリッジ回路36を横切ってΔVoutの出力電圧を発生する。ΔVoutは4線式ブリッジ回路34の不均衡を示すオフセット電圧である。流体流速を測定するためにブリッジ回路を使用するため、平衡されたブリッジ回路34(即ちゼロ出力電圧)が通常流体流動の開始前に必要とされる。このオフセット電圧は検出回路32の1以上のコンポーネントについての指定された仕様からの製造偏差の結果である。検出回路32の個々のコンポーネントを較正する代わりに、このオフセット電圧ΔVoutは制御モジュール14に記憶され、検索表に加算かまたは減算されることができ、これについては後に説明する。それ故、個々のコンポーネントの工場の較正は必要とされない。
【0031】
この事前の加熱期間中、サーミスタNTC1とNTC2が加熱されるとき、サーミスタNTC1とNTC2の抵抗は減少され、出力電圧Voutは増加される。サーミスタNTC1とNTC2の温度上昇速度が監視され記録され、それによって温度上昇速度に対応する信号が制御モジュール14へ送信される。この事前加熱時間は約250msである。基板26は低熱容量のパリレン被覆を有するので、サーミスタNTC1とNTC2を予め定められた上昇温度まで加熱するには長い時間かからない。
【0032】
サーミスタNTC1とNTC2が予め定められた上昇温度に到達したとき、図9に示されているように流体を制御する弁が開かれ、流体流は時間=0秒で開始される。流体の流動が開始されるとすぐに、プローブモジュール12は流体流を受け、これはサーミスタNTC1とNTC2の熱を吸収し、サーミスタNTC1とNTC2における急速な温度低下を生じる。出力電圧Voutも迅速に低下する。流体流は制御モジュール14が給水された水の量を評価し始める前に定常状態に到達することを必要とされる。定常状態に到達するために必要とされる時間は流体の流速にしたがう。流体流が速いほど、定常状態に到達するために必要な時間は少なくなる。流体流が定常状態に到達していない期間中は、制御モジュール14は一定の流体流速(例えば定常状態に到達後に最初に測定された流速に対応する流速)と仮定できる。
【0033】
基板26における低い熱容量のパリレン被覆により、定常状態に到達するのに長くはかからない(典型的に約500ミリ秒)。定常状態で、流体の温度は既知の方法で電力コネクタP3で読取られる出力電圧Vから決定される。出力電圧Voutは流体流速と流体温度の関数であり、P2とP5で読取られる。検出回路32の出力電圧VoutとVはディスクリートな時間間隔(例えば10ms)で制御モジュール14により抽出されることができる。
【0034】
流体温度と出力電圧Voutに関するデータが記録された後、制御モジュール14は検索表にしたがって流体流速を決定する。
【0035】
図10は水の流速を決定するため制御モジュール14により使用される例示的な2次元の検索表のグラフで示している。このグラフはそれぞれがブリッジ回路34の出力電圧と所定の流体温度における流体流速との間の関係を示している複数の曲線を示している。各曲線は制御された状態下(例えば流速と流体温度)で研究所で得られたデータ点(x=流速、y=Vout)から生成されている。曲線はその後よく知られた方法でデータ点に適合された。検索表を使用して、出力電圧Voutと流体温度Vが制御モジュール14により測定され、または読取られるときに流体流速は容易に決定されることができる。
【0036】
図11は本発明の流体流速センサと共に使用される検出回路100の別の実施形態を示しており、これは温度補償回路を構成している。この実施形態の検出回路100は通常図7の検出回路32と類似しているが、相違点は温度補償回路を含んでおり温度感知回路が所望であるように随意選択的であってもよいことである。さらに、検出回路100は並列に接続されている第1のブリッジ回路102と、第2のブリッジ回路104と、加熱回路106とを含んでいる。第1のブリッジ回路102は流体流速を測定する目的で4個のサーミスタNTC1、NTC2、NTC3、NTC4を含んでいる。第1のブリッジ回路102は2個の足を有し、各足は2個のサーミスタを含んでいる。この実施形態の第1のブリッジ回路102と加熱回路106の構成は図7のブリッジ回路34と加熱回路36の構成に類似している。第2のブリッジ回路104はそれぞれサーミスタNTC1、NTC2、NTC3、NTC4と並列に接続される補償抵抗Rcomp1、Rcomp2、Rcomp3、Rcomp4をそれぞれ含んでいる。この構成は温度補償回路として機能する。第2のブリッジ回路104は2個の足を含み、各足は2個の補償抵抗を有する。補償抵抗Rcomp1乃至Rcomp4は基板26上に直接(例えばスクリーン印刷によって)配置されるか、(例えば制御モジュール14の一部として)4線式ブリッジ回路に外部で接続される。
【0037】
随意選択的に、検出回路100はサーミスタNTC5および固定抵抗R2を含んでいる温度感知回路108を含むことができる。図7の検出回路32と同様に、温度感知回路108は加熱回路106の上流に設けられることができる。しかしながらこの実施形態では、温度感知回路108による流体温度の測定は前述のように流体の流速を決定するためには必要ではない。温度感知回路108は随意選択的であり、所望ならば流体温度に対応する出力Vを与える。
【0038】
温度補償を有する流体流速センサでは、流体温度が考察中の変数として除去されるので、1次元の検索表だけが流体の流速の決定に必要とされる。以下の表で説明するように、サーミスタNTC1、NTC2、NTC3、NTC4と補償抵抗Rcomp1、Rcomp2、Rcomp3、Rcomp4の値を有する検出回路100について、図12は0.5℃、25℃、50℃の流体温度で0.1乃至1.3GPMの範囲内の所定の流体流速におけるVoutの値を示している。
【表2】

【0039】
図12に示されているように、出力電圧Voutは流体の温度と無関係である。結果として、制御モジュール12は温度補償をもたない流体流速センサの制御モジュールで必要とされるよりも少ない1次元の検索表のメモリ記憶スペースしか必要とされない。温度補償を有する流体流速センサはまた温度補償を行うソフトウェアの必要性をなくし、測定速度を改良し、全体的なシステム価格を減少させる。
【0040】
図10と12に示されている流体流速センサの特性は水についてであるが、他の流体の流速は勿論、本発明による装置により測定されることができる。このような他の流体は装置で使用するためのデータの対応する検索表をそれぞれ有する。
【0041】
前述したように、流体流速センサ10が検出回路32が付勢された直後にオフセット電圧ΔVoutを有するならば、検出回路32は較正される必要がある。その較正は検索表の出力電圧に対してオフセット電圧ΔVoutを加算または減算して実現されることができる。
【0042】
流対流速の決定に加えて、本発明のセンサはセンサの故障状態を決定するために使用されることができる。事前加熱期間中と流体の流動の開始時に、センサの温度上昇速度が監視され、記録される。温度上昇速度が過剰である(例えば予め定められたしきい値を超える)とき、制御モジュール14は流体流速センサ10が乾燥状態(例えば流体流にさらされていない)ことを決定できる。制御モジュール14は故障状態を発生する可能性があり、流体流動センサ10を消勢することができる。代わりに又はそれに加えて、他の機器および/またはコンポーネントが乾燥状態のために休止される可能性がある。
【0043】
サーミスタと加熱抵抗の数は流体流速センサのアプリケーションにしたがって変化できることを認識すべきである。また、加熱回路は2以上の直列又は並列に接続された加熱抵抗を含むことができる。さらに加熱抵抗とそれらの対応する電圧源はサーミスタが内部で自己加熱されることができる機器では完全に省略されることができる。
【0044】
この明細書の記載は本質的に単なる例示であり、したがって、発明の技術的範囲を逸脱しない変更は本発明の技術的範囲内であることが意図される。このような変更は本発明の技術的範囲からの逸脱とみなされてはならない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電圧に対応する第1の信号と流体の温度に対応する第2の信号とを発生する検出回路を含んでいるプローブモジュールと、
前記検出回路と通信し、前記検出回路の出力電圧、流体の温度、流体の流速の間の関係に対応するデータを含んでいる検索表を具備し、前記第1の信号と、前記第2の信号と、検索表とに基づいて流体の流速を決定する制御モジュールとを具備している流体の流速を検出するための流体流速センサ。
【請求項2】
前記出力電圧は前記流体の前記温度と前記流速の関数である請求項1記載の流体流速センサ。
【請求項3】
前記検出回路は第1の信号を発生するブリッジ回路を含んでいる請求項1記載の流体流速センサ。
【請求項4】
前記ブリッジ回路は並列に接続されている2個の足と各足における2個のサーミスタとを含んでいる請求項3記載の流体流速センサ。
【請求項5】
前記出力電圧は前記2個の足の中間点で測定される請求項4記載の流体流速センサ。
【請求項6】
前記検出回路は前記第2の信号を発生する分圧器を具備している請求項3記載の流体流速センサ。
【請求項7】
前記分圧器は前記ブリッジ回路と並列に接続されている請求項6記載の流体流速センサ。
【請求項8】
前記分圧器は前記ブリッジ回路の上流に配置されている請求項7記載の流体流速センサ。
【請求項9】
前記分圧器はサーミスタと、既知の抵抗値の抵抗とを含んでいる請求項8記載の流体流速センサ。
【請求項10】
さらに、前記検出回路がスクリーン印刷されている基板を具備している請求項1記載の流体流速センサ。
【請求項11】
さらに、前記基板上にパリレン被覆を具備している請求項10記載の流体流速センサ。
【請求項12】
さらに、前記制御モジュールと通信する入力/出力モジュールを具備している請求項1記載の流体流速センサ。
【請求項13】
印刷回路板基板と、前記基板上にスクリーン印刷された検出回路と、前記検出回路と前記基板との上に層化されたパリレン被覆とを具備しているプローブモジュールと、
前記検出回路と通信し、前記流体の前記流速を決定するための検索表を具備し、その検索表は前記流体の前記流速と、前記流体の前記温度と、前記ブリッジ回路の出力電圧との間の関係を示しており、前記検索表と、前記第1の信号と、前記第2の信号とに基づいて前記流体の前記流速を決定する制御モジュールとを具備しており、
前記検出回路は、
前記基板の第1の表面上に設けられ、少なくとも1個のサーミスタを含んでいるブリッジ回路を備え、前記ブリッジ回路を横切る出力電圧を示す第1の信号を発生し、前記出力電圧は前記流体の温度と前記流体の流速の関数であるブリッジ回路と、
前記流体の温度を検出し、前記流体の温度を示す第2の信号を発生するために前記第1の表面と反対側の基板上の第2の表面上に設けられている温度感知回路と、
前記少なくとも1個のサーミスタを加熱するために前記基板の前記第2の表面上に設けられている加熱回路とを具備しており、
前記ブリッジ回路と、前記温度感知回路と、前記加熱回路とは並列に接続され、前記温度感知回路は前記ブリッジ回路の上流に設けられている流体の流速を検出するための流体流速センサ。
【請求項14】
さらに、前記制御モジュールと通信する入力/出力モジュールを具備している請求項12記載の流体流速センサ。
【請求項15】
出力に対応する第1の信号を発生する検出回路を含んでいるプローブモジュールと、
前記検出回路と通信し、前記検出回路の前記出力電圧と前記流体の流速との間の関係に対応するデータを含んでいる検索表を含み、前記第1の信号と、前記第2の信号と、前記検索表とに基づいて前記流体の前記流速を決定する制御モジュールとを具備している流体の流速を検出するための温度補償された流体流速センサ。
【請求項16】
前記出力電圧は前記流体の流速のみの関数である請求項15記載の流体流速センサ。
【請求項17】
前記検出回路は前記第1の信号を発生するブリッジ回路を含んでいる請求項15記載の流体流速センサ。
【請求項18】
前記ブリッジ回路は並列に接続されている2個の足と各足における2個のサーミスタとを含んでおり、さらに前記4個のサーミスタと並列に接続されている4個の温度補償抵抗を具備している請求項17記載の流体流速センサ。
【請求項19】
前記出力電圧は前記2個の足の中間点で測定される請求項18記載の流体流速センサ。
【請求項20】
前記プローブモジュールはさらに前記検出回路がスクリーン印刷される基板を具備している請求項15記載の流体流速センサ。
【請求項21】
前記プローブモジュールはさらに前記基板上にパリレン被覆を具備している請求項20記載の流体流速センサ。
【請求項22】
印刷回路板と、基板上にスクリーン印刷された検出回路と、前記基板上のパリレンパリレン被覆とを含んでいるプローブモジュールを具備し、前記検出回路は、
前記印刷回路板の第1の表面上に設けられ、少なくとも1個のサーミスタを含んでいるブリッジ回路であり、前記ブリッジ回路を横切る出力電圧を示す第1の信号を発生し、前記出力電圧は前記流体の流速の関数であるブリッジ回路と、
前記少なくとも1個のサーミスタを加熱するために前記基板の前記第2の表面上に設けられている加熱回路とを具備しており、前記ブリッジ回路と前記加熱回路は並列に接続されており、さらに、
前記検出回路と通信し、前記流体の前記流速を決定するための検索表を含み、前記検索表は前記流体の流速と、前記ブリッジ回路の前記出力電圧との間の関係を経験的データに基づいて示し、前記検索表と、前記第1の信号とに基づいて前記流体の前記流速を決定する制御モジュールと、
前記制御モジュールと通信するI/Oモジュールとを具備している流体の流速を検出するための温度補償された流体流速センサ。
【請求項23】
印刷回路板と、基板上にスクリーン印刷された検出回路と、前記基板上のパリレンパリレン被覆とを含んでいるプローブモジュールを具備し、前記検出回路は、
前記印刷回路板の第1の表面上に設けられ、少なくとも1個のサーミスタを含んでいる第1のブリッジ回路であり、前記第1のブリッジ回路を横切る出力電圧を示す第1の信号を発生し、前記出力電圧は前記流体の流速の関数である第1のブリッジ回路と、
前記第1のブリッジ回路に並列に接続され、前記少なくとも1個のサーミスタに対応する少なくとも1個の固定抵抗を含んでいる第2のブリッジ回路であり、前記少なくとも1個の固定抵抗は前記少なくとも1個のサーミスタに対する温度補償を行う第2のブリッジ回路と、
前記少なくとも1個のサーミスタを加熱するため前記基板の前記第2の表面上に設けられており、前記第1のブリッジ回路と並列に接続されている加熱回路とを具備しており、さらに、
前記第1のブリッジ回路と通信し、前記流体の流速を決定するための検索表を含み、前記検索表は前記流体の流速と、前記第1のブリッジ回路の前記出力電圧との間の関係を示し、前記検索表と前記第1の信号とに基づいて前記流体の流速を決定する制御モジュールを具備している流体の流速を検出するための流体流速センサ。
【請求項24】
前記検出モジュールは前記流体の前記温度を測定するための温度感知回路を具備している請求項21記載の流体流速センサ。
【請求項25】
検出回路を具備する流体流速センサの動作方法において、
前記検出回路の少なくとも一部を予め定められた上昇温度まで事前に加熱し、
流体の流速を開始し、
前記流体の温度を測定し、
前記検出回路の電圧出力を測定し、その電圧出力は前記流体の流速と温度の関数であり、
前記検出回路の前記出力電圧と、前記流体の温度と、前記流体の流速との間の関係を与える検索表を使用して前記流体の流速を決定するステップを含んでいる方法。
【請求項26】
前記検索表は前記経験的データから生成される請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記事前に加熱するステップは前記検出回路の少なくとも1個のサーミスタを加熱するステップを含んでいる請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記事前に加熱するステップは約250msの期間行われる請求項27記載の方法。
【請求項29】
さらに、前記少なくとも1個のサーミスタの温度上昇速度が予め定められたしきい値値を超過するとき故障状態を示す信号を発生するステップを含んでいる請求項27記載の方法。
【請求項30】
さらに、前記検出回路が付勢された直後にオフセット電圧を決定するステップを含んでいる請求項25記載の方法。
【請求項31】
さらに、前記検出回路を較正するために前記オフセット電圧を使用するステップを含んでいる請求項30記載の方法。
【請求項32】
前記事前に加熱するステップは約250msの期間行われる請求項25記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−501188(P2011−501188A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531017(P2010−531017)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/011970
【国際公開番号】WO2009/054940
【国際公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【出願人】(504144507)サーム−オー−ディスク・インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】