説明

流体混合装置および蒸気タービンプラント

【課題】流体混合装置に局所的に発生する熱応力を低減させる。
【解決手段】実施形態によれば、流体混合装置10は、連結部21で互いに連結される主流配管20および支流配管30と、第1蒸気入口部41と、混合蒸気出口部42と、貫通穴51が形成された内管50と、第1〜第3ラビリンスフィン61〜63と、を有する。内管50は、半径方向間隙55を保つように主流配管20内に配置される。第1蒸気入口部41は、半径方向間隙55を上流側から閉止して、内管50および主流配管20の上流側端部に連結される。混合蒸気出口部42は、半径方向間隙55を下流側から閉止して、内管50および主流配管20の下流側端部に連結される。第1〜第3ラビリンスフィン61〜63は、連結部21よりも上流側の半径方向間隙55に配置され、半径方向間隙55内の蒸気の流れの一部を阻害可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、互いに温度の異なる2種類の流体を混合させる流体混合装置およびこれを用いた蒸気タービンプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
発電プラントや化学プラントでは、プラントの機能を果たすためにプラントの配管内を流れる蒸気等の流体を所定の温度に制御する必要がある。例えば、プロセス中の蒸気温度を所定の温度にするために、高温蒸気を低温蒸気で減温する場合、または、低温蒸気を高温蒸気で加温する場合に、互いに温度の異なる2種類の流体を混合可能な流体混合装置が用いられている。
【0003】
流体混合装置には、直線状の主流配管に支流配管を垂直に連結させたいわゆるT字形状の混合継手がある。この場合、温度の異なる2種の流体が混じ合う部分、すなわち、主流配管および支流配管が連結される連結部は、当該2種類の流体の温度差に起因して局部的に高い熱応力が発生する。また、当該連結部では、2種類の流体が混合されてなる混合流体の温度が、不均一になることがある。
【0004】
この問題を解決する方法として、主流配管と支流配管とが連結される連結部内の流路に、外周に貫通穴が形成された内管が配置されるものが知られている(特許文献1)。これにより、当該連結部における熱応力の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−156040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した例では、内部を流れる流体の圧力が高いときや流体温度が高くなるときに強度を保つため、当該継手の肉厚を厚くする必要がある。この例では、高温の過熱蒸気の入口となるレジューシングピースが、各流体の境界面となる。当該レジューシングピースは、温度差のある各流体が表裏に接するため、肉厚を厚くする必要がある。この肉厚の厚い部分は、局所的に大きな温度差(ΔT)が生じるため、大きな熱応力が発生する。この熱応力は構造強度および製品寿命等の機械性能上、不利になることがある。また、レジューシングピースを肉厚にするため、設計上の自由度も低下することがある。
【0007】
本発明の実施形態は上記課題を解決するためのものであり、その目的は、混合流体装置に局所的に発生する熱応力を低減させて、安定して流体を混合できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る流体混合装置は、第1流体と、この第1流体よりも低温の第2流体と、が流入し、前記第1流体および第2流体が互いに混合されてなる混合流体を排出可能な流体混合装置において、前記第1流体が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2流体を前記主流路に合流させる支流路が形成された支流配管と、外周面に前記第2流体を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向間隙を保ち、かつ前記主流配管内に前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、少なくとも前記支流配管の前記主流配管の連結部よりも上流側の前記半径方向間隙に配置されて、前記主流配管内の半径方向間隙の長手方向の流れの一部を阻害可能に構成された流動抵抗体と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る流体混合装置は、第1流体と、この第1流体よりも低温の第2流体と、が流入し、前記第1流体および第2流体が互いに混合されてなる混合流体を排出可能な流体混合装置において、前記第1流体が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2流体を前記主流路に合流する支流路が形成された支流配管と、外周面に前記第2流体を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向間隙を保ち、かつ前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、を有し、前記貫通穴が周方向に沿って複数配列されて1つの貫通穴列を構成するとともに前記貫通穴列が流れ方向に沿って配列され、前記支流配管の前期主流配管への連結部にある前記貫通穴列の合計開口面積は、前記連結部よりも上流側にある前記貫通穴列の合計開口面積よりも大きくなるように形成されていること、を特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る蒸気タービンプラントは、第1蒸気を発生させる第1蒸気発生装置と、この第1蒸気よりも低温の第2蒸気を発生させる第2蒸気発生装置と、前記第1蒸気および第2蒸気を互いに混合させてなる混合蒸気を排出可能な混合装置と、前記混合蒸気の少なくとも一部が流入可能なタービン装置と、を有する蒸気タービンプラントにおいて、前記混合装置は、前記第1蒸気が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2蒸気を前記主流路に合流させる支流路が形成された支流配管と、外周面に前記第2蒸気を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向隙間を保ち、かつ前記主流配管内に前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、少なくとも前記支流配管の前記主流配管への連結部よりも上流側の前記半径方向間隙に配置されて、前記主流配管内の半径方向間隙の長手方向の流れの一部を阻害可能に構成された流動抵抗体と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、混合流体装置に局所的に発生する熱応力を抑制し、安定して流体を混合できるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る第1の実施形態の流体混合装置の正断面図である。
【図2】図1のII部の拡大正断面図である。
【図3】図1の第1蒸気入口部の温度特性および半径方向間隙内の温度特性を示すグラフである。
【図4】図1の第1〜第3ラビリンスフィンのない流体混合装置の正断面図である。
【図5】図4の第1蒸気入口部の温度特性および半径方向間隙内の温度特性を示すグラフである。
【図6】図1の流体混合装置が配置された蒸気タービンプラントの一部を示す部分系統図である。
【図7】本発明に係る第2の実施形態の流体混合装置の正断面図である。
【図8】図7の混合蒸気出口部の温度特性および半径方向間隙内の温度特性を示すグラフである。
【図9】図7の第4〜第6ラビリンスフィンのない流体混合装置の正断面図で、第2蒸気が下流側に流れる途中の通過ポイントを示している。
【図10】図9の混合蒸気出口部の温度特性および半径方向間隙内の温度特性を示すグラフである。
【図11】本発明に係る第3の実施形態の流体混合装置の部分正断面図である。
【図12】本発明に係る第4の実施形態の流体混合装置の正断面図である。
【図13】本発明に係る第5の実施形態の流体混合装置の正断面図である。
【図14】本発明に係る第6の実施形態の流体混合装置の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
第1の実施形態について、図1〜図6を用いて説明する。図1は、本実施形態の流体混合装置10の正断面図である。図2は、図1のII部の拡大正断面図である。図3は、図1の第1蒸気入口部41の温度特性および半径方向間隙55内の温度特性を示すグラフである。
【0015】
図4は、図1の第1〜第3ラビリンスフィン61〜63のない比較用流体混合装置10aの正断面図である。図5は、図4の第1蒸気入口部41の温度特性および半径方向間隙55内の温度特性を示すグラフである。図6は、図1の流体混合装置10が配置された蒸気タービンプラントの一部を示す部分系統図である。
【0016】
先ず、本実施形態の流体混合装置10の構成について説明する。
【0017】
この流体混合装置10は、蒸気タービンプラントに配置される(図6)。当該蒸気タービンプラントは、第1蒸気を発生させる第1蒸気発生装置1と、この第1蒸気よりも低温の第2蒸気を発生させる第2蒸気発生装置2と、第1蒸気および第2蒸気が混合された混合蒸気を流入可能な蒸気タービン装置3と、を有する。
【0018】
流体混合装置10は、内部に第1蒸気および第2蒸気が流入された後に、これらを混合して混合流体を生成させて、当該混合蒸気を外部に排出する装置である。当該流体混合装置10で生成された混合蒸気は、混合蒸気流通配管6等を経て蒸気タービン装置3に供給される(図6)。
【0019】
なお、この流体混合装置10は、本実施形態では、2種類の蒸気を流通させているが、これに限らない。第2蒸気に替えて水等の液状の流体を流すことも可能である。
【0020】
この流体混合装置10は、主流配管20と、この主流配管20の外周に連結される支流配管30と、主流配管20の一方の端部に連結される第1蒸気入口部41と、第1蒸気入口部41がある側の反対側に連結される混合蒸気出口部42と、主流配管20内に配置される内管50と、流動抵抗体60と、を有する。
【0021】
主流配管20は、内部に主流路20aが形成されて、直線的に延びた円筒状の配管である。主流路20aには、上述した第1蒸気が軸方向に沿って一方向に流れる。図1の例では、図中の左方から右方に向かって流れるように形成されている。この主流配管20は、長手方向中央の連結部21と、この連結部21よりも上流側(図1の左方)の上流部22、当該連結部21よりも下流側(図1の右方)の下流部23で構成される。連結部21には、支流配管30が連結される。
【0022】
ここで、主流配管20の主流路20a内は、主に第1蒸気が流れている。主流路20aに第2蒸気が流れ込んで第1蒸気に第2蒸気と混合されて、混合蒸気が生成される。
【0023】
支流配管30は、主流配管20の連結部21の外周側面に連結されて、直線的に延びた円筒状の配管である。この支流配管30の内部には、上述した第2蒸気が流通可能な支流路30aが形成されている。支流路30aは、連結部21の内部で主流路20aに合流するように形成されている。この支流路30aには、第2蒸気が一方向に流れる。図1の例では、上方から下方に向かって流れる。
【0024】
主流配管20および支流配管30は、合わせてT字形状の配管である。
【0025】
内管50は、直線的に延びる円筒の配管で、外周面に複数の貫通穴51からなる貫通穴群53が形成される。この貫通穴群53は、貫通穴51が周方向に配列されてなる1つの貫通穴列52が、内管50の軸方向に沿って等間隔に配列されて構成される。
【0026】
当該内管50は、外周面が主流配管20の内周面に互いに半径方向間隙55を保つように、主流配管20の内部に配置される。このとき、主流配管20の横断面中心と、当該内管50の横断面中心が揃うように配置されている。
【0027】
この内管50は、主流配管20内の主流路20aに沿って配置される。すなわち、上述した主流路20aは、当該内管50の内部に形成される。
【0028】
また、この内管50は、連結部21を通り抜けるように配置される。内管50の軸方向両端それぞれは、第1蒸気入口部41および混合蒸気出口部42によって、支持される。
【0029】
第1蒸気入口部41は、互いに直径の異なる配管の間に介在して、これらを連結することができる部材である。この第1蒸気入口部41は、一方の側(図1における左側)に、第1蒸気が流通する第1蒸気流通配管4が接続されて、反対側(図1における右側)に主流配管20および内管50それぞれの上流側の端部が接続される。
【0030】
また、この第1蒸気入口部41は、半径方向間隙55を上流側から閉止する。すなわち、第1蒸気入口部41は、第1蒸気流通配管4を流れる第1蒸気を、半径方向間隙55に流入させずに、内管50にのみ流入するように構成される。
【0031】
混合蒸気出口部42は、第1蒸気入口部41と同じ形状で、主流配管20の下流側の端部(図1における右方端部)に取り付けられる。
【0032】
流動抵抗体60は、3枚のラビリンスフィン、すなわち、第1ラビリンスフィン61、第2ラビリンスフィン62および第3ラビリンスフィン63により構成されている。
【0033】
第1〜第3ラビリンスフィン61〜63それぞれは、周方向に延びてなる。これらの第1〜第3ラビリンスフィン61〜63それぞれは、連結部21よりも上流側、すなわち上流部22に互いに軸方向間隔をあけて配置され、下流側から上流側に向かって第1ラビリンスフィン61、第2ラビリンスフィン62、第3ラビリンスフィン63の順に配列される。
【0034】
第1ラビリンスフィン61は、内管50の外周面に取り付けられて、当該外周面の全周を取り囲む。この第1ラビリンスフィン61は、内管50の半径方向および周方向に広がる面が形成された円環板(穴あき円板状)で、半径方向外側の端部が主流配管20の内面に互いに第1ラビリンス間隙61aを保つように配置される(図2)。当該第1ラビリンス間隙61aには、第2蒸気が流通する。当該面は、半径方向間隙55内を流れる第2蒸気の主流路配管20の長手方向の流動の一部を阻害する機能を備えている。
【0035】
第2および第3ラビリンスフィン62、63それぞれは、第1ラビリンスフィン61と同様の形状で、主流配管20の内周面に取り付けられている。また、第2および第3ラビリンスフィン62、63それぞれの半径方向外側の端部は、主流配管20の内面に互いに第2および第3ラビリンス間隙62a、63aを保つように配置される。
【0036】
上述の第1〜第3ラビリンス間隙61a〜63aの半径方向距離は、半径方向間隙55の半径方向距離に比べ、小さい。第1〜第3ラビリンス間隙61a〜63aの半径方向距離によって、半径方向間隙55を流れる蒸気の流速の減速度合いを調整することができる。また、必要に応じて、ラビリンスフィンの枚数を増減させてもよい。
【0037】
続いて、本実施形態の作用について説明する。本実施形態の流体混合装置10(図1)の作用を説明する前に、比較例の流体混合装置(以下、比較用流体混合装置10aと呼ぶ。)を、図4および図5を用いて説明する。ここで、比較例流体混合装置10aは、流動抵抗体60、すなわち、第1〜第3ラビリンスフィン61〜63が取り付けられていないものである。
【0038】
以下に、比較例流体混合装置10a(図4)における第1蒸気および第2蒸気の流れについて説明する。
【0039】
第1蒸気発生装置1で生成された第1蒸気は、第1蒸気流通配管4を流れた後に、第1蒸気入口部41に流入される。第1入口部に流入された第1蒸気は、主流配管20内の内管50に流れ込む。当該第1蒸気は、内管50の内部を混合蒸気出口部42に向かって流通する。
【0040】
一方、第2蒸気発生装置2で生成された第2蒸気は、第2蒸気流通配管5を流れた後に、支流配管30内の支流路30aに流れ込み、連結部21に向かって支流路30aを流れる。
【0041】
支流路30aを流れる第2蒸気の一部は、連結部21付近に形成された貫通穴51を流通して、内管50の内部で主流路20aに流れ込む。第1および第2蒸気は、当該主流路20aで混合蒸気となって、主流路20aを流通する。
【0042】
また、当該第2蒸気の一部は、半径方向間隙55内を、第1蒸気入口部41の方に向かって、すなわち上流側に向かって流れる。このときの第2蒸気は、内管50を流れる第1蒸気(混合蒸気)と熱交換されるため、温度が上昇する。第1蒸気入口部41に到達した第2蒸気は、第1蒸気入口部41付近にある貫通穴51を通って主流路20aに流れ込む。
【0043】
また、当該第2蒸気の一部は、半径方向間隙55を、混合蒸気出口部42の方に向かって、すなわち下流側に向かって流れる。このときの第2蒸気は、内管50を流れる混合蒸気と熱交換されるため、温度が上昇する。混合蒸気出口部42に到達した第2蒸気は、混合蒸気出口部42付近にある貫通穴51を通って主流路20aに流れ込む。
【0044】
また、上流部22および下流部23の半径方向間隙55を流れる第2蒸気の一部は、貫通穴51を通って内管50に流入し、主流路20a内を流れる混合蒸気に混合される。
【0045】
次に、比較例の温度特性について説明する。図5は、図4に示す各ポイントPr〜Prの7箇所における温度を示している。ここで、各ポイントの位置は、以下の通りである。
【0046】
Prは、第1蒸気入口部41の軸中心の位置である。Prは、第1蒸気入口部41の壁内部である。Prは、第1蒸気入口部41の壁内部で、Prよりも下流側の位置である。図4では、Pr〜Prまでを、1本の仮想的な曲破線(Lr)で示している。
【0047】
Prは、支流路30a内のほぼ軸中心の位置である。Prは、支流路30aと主流路20aとが合流する領域の上流側の位置である。Prは、半径方向間隙55内で、連結部21と第1蒸気入口部41とのほぼ中間の位置である。Prは、第1蒸気入口部41の半径方向間隙55側の端面である。図4では、Pr〜Prまでを、1本の仮想的な曲破線(Lr)で示している。
【0048】
ここで、図4のLrおよびLrと、図5の横軸上のPr〜Prと、の対応関係について説明する。
【0049】
PrおよびPrに係る図5の横軸の位置は、同じである。図4に係るLrのPrからPrまでに相当する部分が、図5の横軸上のPr、PrからPrまでの部分に相当する。すなわち、図5は、図4で曲線的に示しているLrを、直線状に置き換えて示している。
【0050】
また、図4におけるPr〜Prは、図5の横軸のPr〜Prに示す部分に相当する。ここで、図5は、図4で曲線的(L字状)に示しているLrを、直線状に置き換えて示している。
【0051】
以下に、Pr〜Prにおける温度特性について説明する。
【0052】
Prにおける温度Trは、第1蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度である。Prにおける温度Trは、Trよりも少し低温になる。Prにおける温度Trは、Trよりも低温である。
【0053】
一方、Prにおける温度Trは、第2蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度になる。Prの周辺では、ほとんどが第2蒸気であるため、Prにおける温度Trは、Trとほぼ同じである。Prにおける温度Trは、第2蒸気が第1蒸気と熱交換されるため、Trよりも高温になる。Prの温度Trは、Prよりも当該熱交換が促進されるため、Trよりもさらに高温になる。
【0054】
ここで、Lrの下流側の端部Prにおける温度Trと、Lrの上流側の端部Prにおける温度Trとの間には、温度差ΔTrが生じる。この温度差ΔTrにより、第1蒸気入口部41に局所的に熱応力が発生する。この温度差ΔTrが大きくなると、当該熱応力も大きくなる。
【0055】
続いて、本実施形態の流体混合装置10(図1)における第1および第2蒸気の流れについて説明する。
【0056】
第1蒸気発生装置1で生成された第1蒸気は、第1蒸気流通配管4を流れた後に、第1蒸気入口部41に流入される。第1入口部に流入された第1蒸気は、主流配管20内の内管50に流れ込む。当該第1蒸気は、内管50の内部を混合蒸気出口部42に向かって流通する。当該第1蒸気の流れは、上述した比較例(図4)と同様に流れる。
【0057】
第2蒸気は、第2蒸気発生装置2で生成されて、第2蒸気流通配管5を流れた後に、支流配管30内の支流路30aに流れ込む。支流路30aを流れる第2蒸気の一部は、連結部21付近に形成された貫通穴51を流通して、内管50の内部の主流路20aに流れ込む。ここまでの第2蒸気の流れは、比較例(図4)と同様である。
【0058】
一方、支流路30aを流れる第2蒸気の一部は、半径方向間隙55を上流側に向かって流通する。半径方向間隙55内を流れる第2蒸気は、先ず、第1ラビリンスフィン61と主流配管20の内周面との間に形成された第1ラビリンス間隙61aを流通する。当該第1ラビリンス間隙61aは、半径方向間隙55に対して半径方向距離が小さいため、第1ラビリンス間隙61aを通過した後の第2蒸気の流速は、通過前の流速よりも小さくなる。ここで、流速の方向は、主流配管20の長手方向に沿って上流に向かう方向である。
【0059】
第1ラビリンス間隙61aを通り抜けた第2蒸気は、第2ラビリンスフィン62と主流配管20の内周面との間に形成された第2ラビリンス間隙62aを流通する。当該第2ラビリンス間隙62aを通過した後の第2蒸気の流速は、通過前よりも小さくなる。
【0060】
同様に、第2ラビリンス間隙62aを通り抜けた第2蒸気は、第3ラビリンスフィン63と主流配管20の内周面との間に形成された第3ラビリンス間隙63aを流通する。当該第3ラビリンス間隙63aを通過した後の第2蒸気の流速は、さらに小さくなる。
【0061】
第1〜第3ラビリンスフィン61〜63それぞれによって流速を小さくされた第2蒸気は、第1蒸気入口部41に到達して、貫通穴51を通って内管50の内部の主流路20aに流れる。
【0062】
第1〜第3ラビリンス間隙61a〜63aを含む半径方向間隙55を流通する第2蒸気は、流通過程で、主に第1蒸気と熱交換されるため、除々に加温される。このため、第1蒸気入口部41に到達するときには、比較例(図4および図5)で説明したときの第2蒸気の温度よりも、高温になっている。
【0063】
また、当該第2蒸気の一部は、半径方向間隙55を、混合蒸気出口部42の方に向かって、下流部23を流れる。このときの第2蒸気は、内管50を流れる混合蒸気と熱交換されるため、温度が上昇する。混合蒸気出口部42に到達した第2蒸気は、混合蒸気出口部42付近にある貫通穴51を通って主流路20aに流れ込む。
【0064】
また、上流部22および下流部23の半径方向間隙55を流れる第2蒸気の一部は、貫通穴51を通って内管50に流入し、主流路20aを流れる混合蒸気に混合される。
【0065】
このときの温度特性について、上述した比較例と比べながら、図1、図3および図5を用いて説明する。
【0066】
は、第1蒸気入口部41の軸中心の位置である。Pは、第1蒸気入口部41の壁内部である。Pは、第1蒸気入口部41の壁内部で、Pよりも下流側の位置である。図1では、P〜Pまでを、1本の仮想的な曲破線(L)で示している。
【0067】
は、支流路30a内のほぼ軸中心の位置である。Pは、支流路30aと主流路20aとが合流する領域の上流側の位置である。Pは、半径方向間隙55内で、第3ラビリンスフィン63よりも上流側の位置である。なお、このPは、図4におけるPrの位置とほぼ同じ位置で、連結部21と第1蒸気入口部41とのほぼ中間の位置である。Pは、第1蒸気入口部41の半径方向間隙55側の端面である。図1では、P〜Pまでを、1本の仮想的な曲破線(L)で示している。
【0068】
ここで、図1のLおよびLと、図3の横軸上のP〜Pと、の対応関係について説明する。
【0069】
およびPに係る図3の横軸の位置は、同じである。図3におけるLのPからPまでに相当する部分が、図3の横軸上のP、PからPまでに相当する。すなわち、図3は、図1で曲線的に示しているLを、直線状に置き換えて示している。図1におけるP〜Pは、図3の横軸のP〜Pに示す部分に相当する。
【0070】
以下に、図1に係るP〜Pにおける温度特性について説明する。
【0071】
における温度Tは、第1蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度である。Pにおける温度Tは、Tよりも少し低温になる。これは、第1蒸気入口部41が外気により冷却されるためである。Pにおける温度Tは、Tよりも低温である。
【0072】
一方、Pにおける温度Tは、第2蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度になる。Pの周辺は、ほとんどが第2蒸気であるため、Pにおける温度Tは、Tとほぼ同じである。Pにおける温度Tは、第2蒸気が第1蒸気と熱交換されるため、Tよりも高温になる。Pの温度Tは、Pよりも当該熱交換が促進されるため、Tよりもさらに高温になる。
【0073】
ここで、Lの下流側の端部Pにおける温度Tと、Lの上流側の端部Pにおける温度Tとの間に生じる温度差ΔTは、図5におけるΔTrよりも小さくなる。これは、第2蒸気が、第1〜第3ラビリンスフィン61〜63がないとき(図4)よりも高温になった状態で、第1蒸気入口部41に到達するためである。上述したように、第2蒸気は、上流部22の半径方向間隙55を流通している過程で、第1〜第3ラビリンスフィン61〜63によって流速が小さくなる。このため、第1蒸気入口部41に到達するまでに、第1蒸気等との熱交換が促進されるため、より高温になる。
【0074】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、第1蒸気入口部41で局所的に発生する熱応力が抑制可能になり、より安定して第1蒸気および第2蒸気を混合することが可能になる。
【0075】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について、図7〜図10を用いて説明する。図7は、本実施形態の流体混合装置10の正断面図である。図8は、図7の混合蒸気出口部42の温度特性および半径方向間隙55内の温度特性を示すグラフである。
【0076】
図9は、図7の第4〜第6ラビリンスフィン64〜66のない比較用流体混合装置10aの正断面図で、第2蒸気が下流側に流れる途中の通過ポイントを示している。図10は、図9の混合蒸気出口部42の温度特性および半径方向間隙55内の温度特性を示すグラフである。
【0077】
本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図6)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の流体混合装置10は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図6)に用いるものである。
【0078】
本実施形態の流動抵抗体60は、第1の実施形態で説明した第1〜第3ラビリンスフィン61〜63(図1)の他に、第4ラビリンスフィン64、第5ラビリンスフィン65および第6ラビリンスフィン66を有する。
【0079】
第4〜第6ラビリンスフィン64〜66は、連結部21よりも下流側(図7における右方)に互いに軸方向間隔をあけて配置され、上流側から下流側に向かって第4ラビリンスフィン64、第5ラビリンスフィン65、第6ラビリンスフィン66の順に配列される。
【0080】
第4ラビリンスフィン64は、第1ラビリンスフィン61と同様の形状で、当該外周面の全周を取り囲みながら、周方向に延びて、半径方向外側の端部が主流配管20の内面に互いに第4ラビリンス間隙64aを保つように、取り付けられる。
【0081】
第5および第6ラビリンスフィン65、66それぞれは、第1ラビリンスフィン61と同様の形状で、主流配管20の内周面に取り付けられている。また、第5および第6ラビリンスフィン65、66それぞれの半径方向外側の端部は、主流配管20の内面に互いに第5および第6ラビリンス間隙65a、66aを保つように配置される。
【0082】
以下に、本実施形態の比較例として、第1の実施形態(図1)等と同様に、第4〜第6ラビリンスフィン64〜66がない比較用流体混合装置10a(図9)における第2蒸気の流れについて説明する。なお、第1蒸気の流れは、第1の実施形態(図1)と同様である。
【0083】
支流配管30内の支流路30aを流れる第2蒸気の一部は、半径方向間隙55を、混合蒸気出口部42の方に向かって、すなわち下流側に向かって流れる。このときの第2蒸気は、内管50を流れる混合蒸気と熱交換されるため、温度が上昇する。混合蒸気出口部42に到達した第2蒸気は、混合蒸気出口部42付近にある貫通穴51を通って主流路20aに流れ込む。
【0084】
また、半径方向間隙55を下流側に流れる第2蒸気の一部は、貫通穴51を通って内管50の主流路20aに流入して、主流路20aを流れる混合蒸気に混合される。
【0085】
次に、比較例の温度特性について、図9および図10を用いて説明する。図10は、図9に示す各ポイントPr11〜Pr17の7箇所における温度を示している。ここで、各ポイントの位置は、以下の通りである。
【0086】
Pr11は、混合蒸気出口部42の軸中心の位置である。Pr12は、混合蒸気出口部42の壁内部である。Pr13は、混合蒸気出口部42の壁内部で、Pr12よりも上流側の位置である。図10では、Pr11〜Pr13までを、1本の仮想的な曲線(Lr11)で示している。
【0087】
Pr14は、支流路30a内のほぼ軸中心の位置である。Pr15は、支流路30aと主流路20aとが合流する領域の下流側の位置である。Pr16は、半径方向間隙55内で、連結部21と混合蒸気出口部42とのほぼ中間の位置である。Pr17は、混合蒸気出口部42の半径方向間隙55側の端面である。図10では、Pr14〜Pr17までを、1本の仮想的な曲線(Lr12)で示している。
【0088】
ここで、図9のLrおよびLrと、図10の横軸上のPr11〜Pr17と、の対応関係は、第1の実施形態で説明した図1および図3の関係とほぼ同じである。以下に、Pr11〜Pr17における温度特性について説明する。
【0089】
Pr11における温度Tr11は、混合蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度である。Pr12における温度Tr12は、Tr11よりも少し低温になる。Pr13における温度Tr13は、Tr12よりも低温である。
【0090】
一方、Pr14における温度Tr14は、第2蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度になる。Pr15の周辺は、ほとんどが第2蒸気であるため、Pr15における温度Tr15は、Tr14とほぼ同じである。Pr16における温度Tr16は、第2蒸気が混合蒸気と熱交換されるため、Tr15よりも高温になる。Pr17の温度Tr17は、Pr16よりも当該熱交換が促進されるため、Tr15よりも少し高温になる。
【0091】
下流部23では、第1蒸気および第2蒸気が互いに混合されて、第1蒸気よりも低温の混合蒸気が流れている。このため、下流部23の半径方向間隙55を流れる第2蒸気の加温する度合いは、上流部22に比べて小さい。
【0092】
しかし、Lr11の下流側の端部Pr13における温度Tr13と、Lr12の下流側の端部Pr17における温度Tr17との間には、第1の実施形態で説明した第1蒸気入口部41と同様に、温度差ΔTrが生じる。この温度差ΔTrにより、混合蒸気出口部42に局所的に熱応力が発生する。この温度差ΔTrが大きくなると、当該熱応力も大きくなる。
【0093】
続いて、本実施形態の流体混合装置10(図7)における第2蒸気の流れについて説明する。
【0094】
一方、支流路30aを流れる第2蒸気は、連結部21、上流部22の半径方向間隙55、および下流部23の半径方向間隙55に流れ込む。
【0095】
上流部22の半径方向間隙55と、連結部21と、に流れ込む第2蒸気は、第1の実施形態と同様に流れる。
【0096】
一方、下流部23の半径方向間隙55を流れる第2蒸気は、先ず、第4ラビリンスフィン64と主流配管20の内周面との間に形成された第4ラビリンス間隙64aを流通する。当該第4ラビリンス間隙64aは、半径方向間隙55に対して半径方向距離が小さいため、第2蒸気が下流側に流れる流速が小さくなる。
【0097】
第4ラビリンス間隙64aを通り抜けた第2蒸気は、第5ラビリンスフィン65と主流配管20の内周面との間に形成された第5ラビリンス間隙65aを流通する。このとき、第2蒸気の流速はさらに小さくなる。同様に、第5ラビリンス間隙65aを通り抜けた第2蒸気は、第6ラビリンスフィン66と主流配管20の内周面との間に形成された第6ラビリンス間隙66aを流通し、流速がさらに小さくなる。
【0098】
第4〜第6ラビリンスフィン64〜66それぞれによって流速を小さくされた第2蒸気は、混合蒸気出口部42に到達して、貫通穴51を通って内管50の内部に流れる。
【0099】
第4〜第6ラビリンス間隙64a〜66aを含む半径方向間隙55を流通する第2蒸気は、流通過程で、混合蒸気と熱交換されるため、除々に高温になる。このため、混合蒸気出口部42に到達するときには、比較例(図9および図10)で説明したときの第2蒸気の温度よりも、高温になっている。
【0100】
このときの温度特性について、上述した比較例と比べながら、図7、図8および図10を用いて説明する。
【0101】
11は、混合蒸気出口部42の軸中心の位置である。P12は、混合蒸気出口部42の壁内部である。P13は、混合蒸気出口部42の壁内部で、P12よりも上流側の位置である。図7では、P11〜P13までを、1本の仮想的な曲破線(L11)で示している。
【0102】
14は、支流路30a内のほぼ軸中心の位置である。P15は、支流路30aと主流路20aとが合流する領域の下流側の位置である。P16は、半径方向間隙55内で、第6ラビリンスフィン66よりも下流側の位置である。なお、このP16は、図9におけるPrの位置とほぼ同じ位置で、連結部21と混合蒸気出口部42とのほぼ中間の位置である。P17は、混合蒸気出口部42の半径方向間隙55側の端面である。図8では、P14〜P17までを、1本の仮想的な曲破線(L12)で示している。
【0103】
図7のL11およびL12と、図8の横軸上のP11〜P17と、の対応関係は、第1の実施形態で説明した図1および図3と同様である。以下に、図7に係るP11〜P17における温度特性について説明する。
【0104】
11における温度T11は、混合蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度である。P12における温度T12は、T11よりも少し低温になる。P13における温度T13は、T12よりも低温である。
【0105】
一方、P14における温度T14は、第2蒸気の温度(Ts)とほぼ同じ温度になる。P15の周辺は、ほとんどが第2蒸気であるため、P15における温度T15は、T14とほぼ同じである。P16における温度T16は、第2蒸気が混合蒸気と熱交換されるため、T15よりも高温になる。P17の温度T17は、P16よりも当該熱交換が促進されるため、T16よりもさらに高温になる。
【0106】
ここで、L11の下流側の端部P13における温度T13と、L12の下流側の端部P17における温度T17との間に生じる温度差ΔTは、図10におけるΔTrよりも小さくなる。これは、第4〜第6ラビリンスフィン64〜66がない状態(図9)よりも高温になった状態で、混合蒸気出口部42に到達するためである。上述したように、第2蒸気は、半径方向間隙55を下流側(図1の右方)に流通している過程で、第4〜第6ラビリンスフィン64〜66によって流速が小さくされる。このため、混合蒸気出口部42に到達するまでに、混合蒸気等との熱交換が促進されるため、より高温になる。
【0107】
以上の説明からわかるように本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に、第1蒸気入口部41で局所的に発生する熱応力が抑制可能になると共に、混合蒸気出口部42で局所的に発生する応力を抑制することが可能になる。
【0108】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態の流体混合装置10の部分正断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図6)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の流体混合装置10は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図6)に用いるものである。
【0109】
本実施形態の第1および第3ラビリンスフィン61、63は、第1の実施形態(図1)と同様に、内管50の外周面に取り付けられている。
【0110】
第2ラビリンスフィン62は、主流配管20の上流部22の内周面に取り付けられている。第2ラビリンス間隙62aは、第2ラビリンスフィン62の内周側端部と、内管50の外周面との間に形成される。
【0111】
これにより、上流部22の半径方向間隙55を流れる第2蒸気に作用する流動抵抗が、第1の実施形態に比べて、大きくなる。このため、第2蒸気の流速を小さくすることが可能である。
【0112】
[第4の実施形態]
第4の実施形態について、図12を用いて説明する。図12は、本実施形態の流体混合装置10の正断面図である。なお、本実施形態は、第1の実施形態(図1〜図6)の変形例であって、第1の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の流体混合装置10は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図6)に用いるものである。
【0113】
本実施形態の第1〜第3ラビリンスフィン61〜63は、第1の実施形態(図1)と同様に、内管50の外周面に取り付けられている。
【0114】
本実施形態の内管50の貫通穴群53は、各貫通穴列52それぞれの合計開口面積が、最も上流側(図12における最も左側)から連結部21付近に至るまでに、除々に大きくなるように形成されている。
【0115】
これにより、第2蒸気が、上流部22の半径方向間隙55を流通するときに、上流部22の主流路20aに流入しにくくなる。このため、当該第2蒸気の流れの一部は、上流部22の半径方向間隙55内で淀んだ状態になる。このため、本実施形態は、第1の実施形態に比べて、第2蒸気の流速をより小さくすることが可能になる。
【0116】
[第5の実施形態]
第5の実施形態について、図13を用いて説明する。図13は、本実施形態の流体混合装置10の正断面図である。なお、本実施形態は、第4の実施形態(図12)の変形例であって、第4の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の流体混合装置10は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図6)に用いるものである。
【0117】
本実施形態の内管50の貫通穴群53は、連結部21および下流部23に対応する位置に形成されている。貫通穴51を上流部22に形成しないことにより、上流部22の半径方向間隙55内に流入した第2蒸気は、流速が小さくなって淀んだ状態になる。
【0118】
これにより、第2蒸気が、第1蒸気入口部41に到達するまでに加温されて、第1蒸気入口部41に局所的に発生する熱応力を抑制することが可能になる。
【0119】
[第6の実施形態]
第6の実施形態について、図14を用いて説明する。図14は、本実施形態の流体混合装置10の正断面図である。なお、本実施形態は、第5の実施形態(図13)の変形例であって、第5の実施形態と同一部分または類似部分には、同一符号を付して、重複説明を省略する。また、本実施形態の流体混合装置10は、第1の実施形態で説明した蒸気タービンプラント(図6)に用いるものである。
【0120】
本実施形態の流体混合装置10の内管50は、第5の実施形態と同様に、貫通穴群53が連結部21および下流部23に対応する位置に形成されて、上流部22には形成されていない。さらに、この流体混合装置10は、ラビリンスフィンを有さない。
【0121】
この場合においても、第2蒸気は半径方向間隙55内で淀むため、第2蒸気の流動が阻害されている。
【0122】
したがって、半径方向間隙55内の第2蒸気は、第1蒸気入口部41に到達するまでに加温されて、第1蒸気入口部41に局所的に発生する熱応力を抑制することが可能になる。
【0123】
[その他の実施形態]
上記実施形態の説明は、本発明を説明するための例示であって、特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。また、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。
【0124】
例えば、第1の実施形態では、第1〜第3ラビリンスフィン61〜63は、全て主流配管20の内周に取り付けられているが、これに限らない。第1〜第3ラビリンスフィン61〜63を、全て、内管50の外周面に取り付けてもよい。
【0125】
また、下流部23における内管50の貫通穴群53は、第4の実施形態と同様に、各貫通穴列52の合計開口面積が、下流側から連結部21に至るにしたがって、除々に大きくなるように形成してもよい。また、第5の実施形態と同様に、下流部23に貫通穴51を形成しなくてもよい。
【0126】
また、第1の実施形態では、流動抵抗体60を3枚のラビリンスフィンで構成しているが、これに限らない。3枚未満、または4枚以上のラビリンスフィンで構成してもよい。同様に、第2の実施形態で、下流側に配置する流動抵抗体60を、3枚未満、または4枚以上のラビリンスフィンで構成してもよい。
【符号の説明】
【0127】
1…第1蒸気発生装置、2…第2蒸気発生装置、3…蒸気タービン装置、4…第1蒸気流通配管、5…第2蒸気流通配管、6…混合蒸気流通配管、10…流体混合装置、10a…比較用流体混合装置、20…主流配管、20a…主流路、21…連結部、22…上流部、23…下流部、30…支流配管、30a…支流路、41…第1蒸気入口部、42…混合蒸気出口部、50…内管、51…貫通穴、52…貫通穴列、53…貫通穴群、55…半径方向間隙、60…流動抵抗体、61…第1ラビリンスフィン、61a…第1ラビリンス間隙、62…第2ラビリンスフィン、62a…第2ラビリンス間隙、63…第3ラビリンスフィン、63a…第3ラビリンス間隙、64…第4ラビリンスフィン、64a…第4ラビリンス間隙、65…第5ラビリンスフィン、65a…第5ラビリンス間隙、66…第6ラビリンスフィン、66a…第6ラビリンス間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流体と、この第1流体よりも低温の第2流体と、が流入し、前記第1流体および第2流体が互いに混合されてなる混合流体を排出可能な流体混合装置において、
前記第1流体が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、
前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2流体を前記主流路に合流させる支流路が形成された支流配管と、
外周面に前記第2流体を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向間隙を保ち、かつ前記主流配管内に前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、
少なくとも前記支流配管の前記主流配管への連結部よりも上流側の前記半径方向間隙に配置されて、前記主流配管内の半径方向間隙の長手方向の流れの一部を阻害可能に構成された流動抵抗体と、
を有することを特徴とする流体混合装置。
【請求項2】
前記流動抵抗体は、それぞれが、前記主流配管の流れ方向に互いに間隔をあけて配置されて、前記主流配管の内周面および前記内管の外周面の少なくともいずれかに接続されて、前記内管の外周の少なくとも一部を取り囲む複数の円環板であること、を特徴とする請求項1に記載の流体混合装置。
【請求項3】
前記主流配管の内周面に接続された複数の前記円環板は、前記内管の外周面に互いに間隙を保ちながら配置されて、
前記内管の外周面に接続された複数の前記円環板は、前記主流配管の内周面に互いに間隙を保ちながら配置されるように構成された、
ラビリンスフィンであること、を特徴とする請求項2に記載の流体混合装置。
【請求項4】
前記主流配管の内周面に接続された前記各円環板と、前記内管の外周面に接続された前記各円環板と、が前記主流路の流れ方向に交互に配置されていること、を特徴とする請求項2または請求項3に記載された流体混合装置。
【請求項5】
前記貫通穴が、周方向に沿って複数配列されて1つの貫通穴列を構成するとともに前記貫通穴列が、流れ方向に沿って配列され、
前記連結部にある前記貫通穴列の合計開口面積は、当該連結部より上流側にある前記貫通穴列の合計開口面積よりも大きくなるように形成されていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の流体混合装置。
【請求項6】
前記貫通穴列それぞれの合計開口面積は、前記連結部よりも上流側から、前記連結部付近に向かうにしたがい、除々に大きくなるように形成されていること、を特徴とする請求項5に記載の流体混合装置。
【請求項7】
第1流体と、この第1流体よりも低温の第2流体と、が流入し、前記第1流体および第2流体が互いに混合されてなる混合流体を排出可能な流体混合装置において、
前記第1流体が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、
前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2流体を前記主流路に合流させ支流路が内部に形成された支流配管と、
外周面に前記第2流体を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向間隙を保ち、かつ前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、
を有し、
前記貫通穴が周方向に沿って複数配列されて1つの貫通穴列を構成するとともに前記貫通穴列が流れ方向に沿って配列され、
前記支流配管の前記主流配管への連結部にある前記貫通穴列の合計開口面積は、前記連結部よりも上流側にある前記貫通穴列の合計開口面積よりも大きくなるように形成されていること、
を特徴とする流体混合装置。
【請求項8】
第1蒸気を発生させる第1蒸気発生装置と、この第1蒸気よりも低温の第2蒸気を発生させる第2蒸気発生装置と、前記第1蒸気および第2蒸気を互いに混合させなる混合蒸気を排出可能な混合装置と、前記混合蒸気の少なくとも一部が流入可能なタービン装置と、を有する蒸気タービンプラントにおいて、
前記混合装置は、
前記第1蒸気が一方向に流通可能な主流路が内部に形成された主流配管と、
前記主流配管の外周側面に連結されて、前記第2蒸気を前記主流路に合流させる支流路が形成された支流配管と、
外周面に前記第2蒸気を流通させる複数の貫通穴が形成されるとともに、当該外周面が前記主流配管の内周面と互いに半径方向隙間を保ち、かつ前記主流配管内に前記主流路の流れ方向に沿って延びるように配置された内管と、
少なくとも前記支流配管の前記主流配管への連結部よりも上流側の前記半径方向間隙に配置されて、前記主流配管内の半径方向間隙の長手方向の流れの一部を阻害可能に構成された流動抵抗体と、
を有することを特徴とする蒸気タービンプラント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−200662(P2012−200662A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66997(P2011−66997)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】