説明

流体軸受装置およびこれを備えた記録再生装置

【課題】軸受の角度剛性を高く保つとともに、軸受の内部に存在する空気をスムーズに排出して軸受の油膜切れを防止する流体軸受装置を提供する。
【解決手段】流体軸受装置では、連通孔とラジアル動圧発生溝とが潤滑剤の循環経路を構成し、循環経路に接する位置に第1のスラスト軸受面を有する。第1のスラスト軸受面に形成された第1の動圧発生溝は、ポンプインパターンのスパイラル溝である。軸受内の気泡は、非対称ラジアル動圧発生溝による潤滑剤の循環によってスムーズに排出される。軸受の回転中のスラスト軸受面での発生圧力は、高圧になる範囲が広くなる圧力分布である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体軸受装置およびこれを備えた記録再生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、回転するディスクを用いた記録装置等は、そのメモリ容量が増大し、またデータの転送速度が高速化している。このため、これらの記録装置等に搭載される軸受は、常にディスクを高精度に回転させるため、高い性能と信頼性が要求される。そこで、これら回転装置には、高速回転に適した流体軸受装置が多用されている。
【0003】
以下、図13を参照しながら、従来の流体軸受装置および記録再生装置の一例について説明する。
従来の流体軸受装置は、図13に示すように、スリーブ121、軸122、フランジ部123、スラスト板124、シールキャップ125、潤滑剤(オイル)126、ハブ127、ベース128、ロータ磁石129およびステータ130を備えている。
【0004】
軸122は、フランジ部123と一体化しており、スリーブ121の軸受穴121Aに回転可能な状態で挿入される。フランジ部123は、スリーブ121の段部121Cに収納される。軸122の外周面およびスリーブ121の内周面の少なくとも一方には、ラジアル動圧発生溝121Bが形成されている。一方、フランジ部123とスラスト板124との対向面には、第1スラスト動圧発生溝123Aが形成されている。フランジ部123とスリーブ121との対向面には、第2スラスト動圧発生溝123Bが形成されている。スラスト板124は、スリーブ121またはベース128に固着されている。少なくとも各動圧発生溝121B,123A,123Bの付近の軸受隙間は、潤滑剤126によって充填されている。また、スリーブ121と軸122、スラスト板124によって形成される袋状の空間全体についても、必要に応じて潤滑剤126によって充填されている。シールキャップ125は、スリーブ121の上端面付近に取り付けられる固定部125Aと、テーパ部125Bと、換気孔125Cとを有している。連通孔121Gは、軸受穴121Aに略平行に設けられ、シールキャップ125の潤滑剤溜り部(オイル溜り部)と、フランジ部123の外周近傍を連結する。連通孔121Gとラジアル動圧発生溝121Bと第2のスラスト動圧発生溝123Bとは、潤滑剤126の循環経路を形成する。また、軸受内部には、混入もしくは発生した気泡135を模式的に記載している。
【0005】
ベース128には、スリーブ121が固定されている。そして、ベース128には、ロータ磁石129に対向するようにステータ130が固定される。ロータ磁石129は、ベース128が磁性体である場合、漏れ磁束によって軸方向に吸引力を発生させる。これにより、約10〜100グラムの力で、スラスト板124の方向にハブ127を押し付けている。
【0006】
一方、ハブ127は、軸122に対して固定されるとともに、ロータ磁石129、ディスク131、スペーサ132、クランパ133およびネジ134が固定されている。
【特許文献1】特開平8−331796号公報
【特許文献2】特開2006−170344号公報
【特許文献3】特開2001−173645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の流体軸受装置では、以下に示すような課題を有している。
図13において、軸受キャビティ(軸受隙間の全体)の奥部に固定されたスラスト板124と軸122との対向面、またはスラスト板124とフランジ部123との対向面に設けられた第1のスラスト動圧発生溝123Aは、ヘリングボーンパターンまたはスパイラルパターンとなっている。例えば、第1のスラスト動圧発生溝123Aがヘリングボーンパターンである場合には、パターンの中央部に大気圧よりはるかに低い圧力部分、または真空部分が生じる。よって、気泡135が堆積して軸受内部に残留しやすいという課題があった。
【0008】
一方、第1スラスト動圧発生溝123Aがスパイラルパターンである場合には、図14に示すように、軸受の回転中の軸受面での発生圧力は中央部の狭い範囲L2が高圧になる。このような圧力分布では、スラスト板124と軸122の間に発生するモーメント剛性(角度剛性とか回転剛性と称される。)が低くなるという問題が生じる。
【0009】
このような現象は、パターンの外径付近で発生圧力分布が低いため、軸の傾きに対して復元力が小さくなるために生じる。つまり、溝パターンの中央付近における発生圧力は、スラスト方向の荷重を支える反力として働くが、軸の傾きに対する復元力である角度剛性(モーメント剛性)は、溝パターンの外周付近における発生圧力が主として寄与するものである。よって、狭い範囲に分布する溝パターン中央部の圧力は、角度剛性(モーメント剛性)という性能の向上には寄与しにくい。したがって、図14に示す構成では、回転装置に対して強く揺れる動きが付加されたり軸の傾きモーメントが付与された時等に、軸122の回転中心が傾いて、軸受が擦れたり焼け付いたりして、回転装置やディスク記録装置全体が動作しなくなるおそれがあった。
【0010】
本発明は、軸受内に存在する気泡をスムーズに排出し、かつスラスト軸受におけるモーメント剛性を向上させて、安定した性能を発揮する流体軸受装置および記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る流体軸受装置は、軸と、スリーブと、潤滑剤と、連通孔と、第1のスラスト軸受面と、を備えている。スリーブは、軸方向において、開口する開口端と閉塞部材によって閉塞された閉塞端とを有する軸受穴を有し、軸が軸受穴内に相対回転可能な状態で挿入される。潤滑剤は、軸とスリーブとの間の微小隙間に充填されている。連通孔は、微小隙間とともに潤滑剤の循環経路を構成する。第1のスラスト軸受面は、閉塞部材および軸の少なくとも一方において、ポンプインパターンのスパイラル溝として形成された第1のスラスト動圧発生溝が形成されている。ポンプインパターンのスパイラル溝は、中央に溝非形成領域を有するリング状の領域に形成されている。第1のスラスト動圧発生溝は、循環経路に近接配置されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、軸受内に存在する気泡をスムーズに排出することでスラスト軸受面における潤滑剤不足が生じにくく、かつスラスト板と軸(またはフランジ)との間に発生する角度剛性(モーメント剛性)が高いため、外力に対する高い信頼性を有する流体軸受装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施をするための最良の形態を具体的に示した実施の形態について、図面を用いて説明すれば以下の通りである。
(実施の形態1)
図1から図4を用いて、実施の形態1に係る流体軸受装置および記録再生装置の一例について説明する。
本実施形態の流体軸受装置は、図1に示すように、スリーブ1、軸2、フランジ部3、スラスト板(閉塞部材)4、シールキャップ5、潤滑剤6、ハブ7、ベース8、ロータ磁石9およびステータ10を備えている。
【0014】
スリーブ1は、軸受穴1Aを形成する開口部における軸方向一方側に開口端、他方側に閉塞端をそれぞれ有している。そして、スリーブ1の開口端側には、軸受穴1A内で保持される軸2が挿入される。一方、スリーブ1の閉塞端側には、閉塞部材としてのスラスト板4が固定される。
【0015】
軸2は、フランジ部3と一体化しており、スリーブ1の軸受穴1Aに回転可能な状態で挿入される。
フランジ部3は、スリーブ1の段部1Cに収納される。
【0016】
軸2の外周面またはスリーブ1の内周面の少なくとも一方には、非対称形状のヘリングボーンパターン溝からなるラジアル動圧発生溝1Bが形成されている。図1においては、1つのヘリングボーン溝を記載しているが、上下2つのヘリングボーン溝であって、少なくとも一方が非対称形状であってもよい。一方、フランジ部3とスラスト板4との対向面の少なくとも一方には、第1のスラスト動圧発生溝3Aが形成されている。フランジ部3とスリーブ1との対向面の少なくとも一方には、必要に応じて第2のスラスト動圧発生溝3Bが形成されている。
【0017】
スラスト板4は、閉塞部材として、スリーブ1またはベース8に対して固定されている。
各動圧発生溝1B,3A,3Bの付近の軸受隙間は、潤滑剤6によって充填されている。また、スリーブ1、軸2およびスラスト板4によって形成される袋状の軸受隙間全体にも、必要に応じて潤滑剤6が充填されている。潤滑剤6としては、オイルや高流動性グリス、またはイオン性液体等を使用することができる。
【0018】
シールキャップ5は、スリーブ1の上端部に位置されており、スリーブ1またはベース8に取り付けられた固定部5Aと、テーパ部5Bと,換気孔5Cとを有している。図中では、シールキャップ5が全体としてテーパ形状になっているが、内周部のみがテーパを形成していてもよい。また、シールキャップ5がテーパ形状でなくてもよい。
【0019】
連通孔1Gは、軸受穴1Aに略平行に設けられており、シールキャップ5の潤滑剤溜り部(オイル溜り部)1Sと、フランジ3の外周部分の近傍とを連結する。連通孔1Gとラジアル動圧発生溝1Bと第2スラスト動圧発生溝3Bとは、連通するように設けられており、ラジアル動圧発生溝1Bから第2スラスト動圧発生溝3B、連通孔1G、潤滑剤溜まり部(オイル溜まり部)1Sという潤滑剤6の循環経路を構成する。また、連通孔1Gは、例えば、ドリル加工等を用いてスリーブ1の内部に1箇所以上設けられた穴として形成されている。なお、連通孔1Gは、スリーブ1の外周部に金型加工等で縦溝を形成し、スリーブ1の外周を覆うシールキャップ等の内周部とスリーブ1との間に連通溝として構成されていてもよい。
【0020】
第1のスラスト動圧発生溝3Aは、上記の潤滑剤6の循環経路に接するように、あるいは隣接するように設けられており、中央に動圧発生溝を持たない溝非形成領域を有するリング状のポンプインパターンのスパイラル溝である。
【0021】
また、軸受内部には、界面からの空気の巻き込みや大気圧以下の負圧によって発生した気泡15を模式的に示している。
ベース8には、スリーブ1の外周部分が固定されている。さらに、ベース8には、ステータ10が、ロータ磁石9に対向する位置に固定される。
【0022】
ロータ磁石9は、ベース8が磁性体の場合、漏れ磁束によって軸方向に吸引力を発生させ、ハブ7をスラスト板4の方向に約10〜100グラムの力で押し付ける。一方、ベース8が非磁性体の場合には、ロータ磁石9は、端面下方のベース上に図示しない吸引板を固定することで吸引力を発生させる。
【0023】
ハブ7は、軸2の端部に固定されており、ロータ磁石9、記録ディスク11、スペーサ12、クランパ13およびネジ14が固定されている。
ここで、本実施の形態1の流体軸受装置の動作について、図2から図4を用いて説明する。
【0024】
本実施形態の流体軸受装置では、図2に示す状態において、回転が始まると、ラジアル動圧発生溝1Bにおいて潤滑剤6がかき集められて圧力を発生させる。また、第1スラスト動圧発生溝3Aにおいても同様に、潤滑剤6がかき集められて圧力を発生させることで、軸受穴1A内において軸2を浮上させて非接触状態で軸2を回転させる。
【0025】
ここで、回転中におけるヘリングボーン(魚骨状)パターンからなるラジアル動圧発生溝1Bは、図中白色矢印方向に潤滑剤6を運搬するポンプ力を生じさせる。そして、ラジアル動圧発生溝1Bは、シールキャップ5のテーパ部5Bの隙間の潤滑剤6を、軸受穴1Aを通って図中黒色矢印方向に運搬するように、溝パターンが設計されている。このため、潤滑剤6は、第2のスラスト動圧発生溝3Bを通って連通孔1Gに流入し、再びシールキャップ5の潤滑剤溜まり部(オイル溜まり部)1Sやテーパ部5Bへと循環して蓄えられる。シールキャップ5のテーパ部5Bによって気泡15と潤滑剤6とは分離され、潤滑剤6は再びラジアル動圧発生溝1Bへ流入する。また、分離された気泡15は、換気孔5Cから排出される。これにより、潤滑剤6は途切れることなく軸受隙間に供給されるため、軸2はスリーブ1とスラスト板4に対して非接触の状態で回転することができる。よって、磁気ヘッドまたは光学ヘッド(図示せず)を用いて、回転する記録ディスク11に対してデータの記録再生を行うことができる。
【0026】
第1のスラスト動圧発生溝3Aは、この潤滑剤6の循環経路に接して、または隣接して設けられている。また、第1のスラスト動圧発生溝3Aは、中央に溝非形成領域分を有するリング状の領域に形成されたポンプインパターンのスパイラル溝である。ここで、上記溝非形成領域とは、上述したリング状に形成された第1のスラスト動圧発生溝3Aの中央部に配置された動圧発生溝が形成されていない領域をいう。よって、第1のスラスト動圧発生溝3Aにおいては、気泡が溜まりにくく、また連通孔からスムーズに気泡を排出することで、スラスト軸受面における潤滑剤6が欠如する問題の発生を回避することができる。
【0027】
ここで、第1のスラスト動圧発生溝3Aは、図3に示すように、内径(Di)が十分大きいスパイラルパターンであって、回転により内部圧力を高めるポンプインパターンである。この構成は、中央部の圧力が高いために大気圧以下の負圧が発生することはなく、気泡の発生や堆積が起こりにくいものである。これにより、第1のスラスト動圧発生溝3Aは、気泡が堆積しにくい効果を奏するとともに、その他に図3における圧力の高い範囲L1が図14における圧力の高い範囲L2に比べて広いため、流体軸受の角度剛性(モーメント剛性)が高まるという効果も奏する。このような構成では、上述した図14の構成と比較して内径(Di)が大きいため、図3に示すグラフのような圧力分布となる。つまり、図14の圧力分布のように中央の圧力が高い範囲が狭い圧力分布にはならず、中央の圧力が高い範囲が広い圧力分布となる。図14に示す矢印のようにほぼ短いスパンの高圧部で軸を支えているのではなく、図3に示す矢印のように広いスパンの高圧部で軸を支えているため、軸が傾いたときに元に戻すモーメント力を大きくすることができる。このため、角度剛性(モーメント剛性)の高い軸受とすることができる。さらには、一般的にスパイラルパターンの場合には、内周側は負圧にならない。よって、気泡が発生するおそれが小さいことは言うまでもない。
【0028】
図4は、図3の流体軸受装置の部材に形成された動圧発生溝における発生圧力と潤滑剤の流れを示す模式図である。
図4は、一体化された軸22およびフランジ部23と、スラスト板24とを示している。図4の左半分に示す白抜き部分は、ラジアル動圧部(軸受孔21A)、第2スラスト動圧発生部、連通孔21G、潤滑剤溜り部21Sからなる循環経路を模式的に示している。図中のPrと長い白矢印α(シャフト図上)とは、ラジアル動圧発生部のポンプ圧力およびその方向を表しており、Ptと短い矢印β(フランジ図上)とは、第2スラスト動圧発生部のポンプ圧力およびその方向を表している。また、矢印γは、第1のスラスト動圧発生部のスパイラルパターンの動圧発生溝が発生するポンプ圧力およびその方向を表している。そして、矢印αと矢印βのポンプ圧力は、全体として黒矢印εの方向に潤滑剤を循環させることを示している。また、矢印γは、全体として潤滑剤を内周に押し込む力となって、第1のスラスト動圧発生部の内周部に負圧が発生しにくい状態を示している。
【0029】
図3に示す第1のスラスト動圧発生溝3Aの溝パターンは、溝パターンの外径部で十分高い圧力を発生させる。このため、軸2を傾けるような回転モーメントが加えられた場合でも、それに対して充分大きい圧力を発生させることができる。
本実施形態では、以上のような構成によって、軸受内に存在する気泡をスムーズに外気へと放出するとともに、軸2の角度剛性(モーメント剛性)を向上させることができる。
【0030】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2の流体軸受装置および流体軸受式回転装置について、図5および図6を用いて説明する。
【0031】
本実施形態の流体軸受装置は、図5に示すように、第2スリーブ21Dと一体的に形成されたスリーブ21、軸22、スラスト板24、潤滑剤6、ハブ7、ベース8、ロータ磁石9およびステータ10を備えている。
【0032】
軸22は、スリーブ21の軸受穴21Aに回転可能な状態で挿入される。軸22の外周面またはスリーブ21の内周面の少なくとも一方には、非対称なヘリングボーン溝からなるラジアル動圧発生溝21Bが形成されている。図5においても、1つのヘリングボーン溝を示しているが、上下2つのヘリングボーン溝であって、少なくとも一方が非対称形状であってもよい。
【0033】
スラスト板24は、図3に示す内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝を有する第1のスラスト動圧発生溝(24A)を有しており、スリーブ21か第2スリーブ21D、ベース8のいずれかに固着されている。
【0034】
また、各動圧発生溝21B,24A付近の軸受隙間は、潤滑剤6によって充填されている。
また、スリーブ21と軸22とスラスト板24とによって形成される袋状の軸受キャビティ(隙間全体)についても、必要に応じて潤滑剤6が充填されている。
【0035】
連通孔21Gは、ラジアル動圧発生溝21Bの両端を連結するように設けられている。
また、ここでは、気泡15が軸受内部に混入している様子を模式的に示している。
ここで、図5では、軸22およびハブ7からなるロータ部の抜け止め構造を採用しているが、説明の便宜上、ここではその説明を省略している。なお、抜け止めは、ハブ7の垂下部7Aとスリーブ21または第2スリーブ21Dとに構成してもよいし、軸22を段付き構造にして軸22とスリーブ21または第2スリーブ21Dとに構成してもよい。
【0036】
ここで、図5に示す本実施の形態の流体軸受装置について、図5および図6を用いてその動作について説明する。
まず、回転が開始されると、スラスト動圧発生溝24Aにおいて図3のPに示す圧力が発生し、軸22が浮上する。また、ラジアル動圧発生溝21Bにおいても圧力が発生し、軸22は非接触状態で回転する。
【0037】
ラジアル動圧発生溝21Bは、略ヘリングボーン(魚骨状)パターンである。そして、この溝パターンは、そのポンプ力が潤滑剤6を図中黒色矢印方向に運搬するように設計されている。これにより、潤滑剤6は、軸受穴21Aを順次通って連通孔21Gに流入しながら循環を繰り返す。
【0038】
第1のスラスト動圧発生溝24Aは、この循環経路に接するように、あるいは隣接するように設けられており、中央に動圧発生溝を持たない溝非形成領域を有するリング状領域に形成されたポンプインパターンのスパイラル溝である。よって、第1のスラスト動圧発生溝24Aには、気泡が溜まりにくい。
【0039】
ここで、図5のスラスト動圧発生溝24Aは、図3に示すような内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝と同一である。つまり、内径(Di)が大きいため、図3のような圧力分布となる。よって、スラスト軸受において低圧部が発生しないため、軸受に圧力変化が生じても膨張した空気が軸受面で油膜切れを生じる危険性がない。
【0040】
また、第1スラスト動圧発生溝24Aの内部に空気が滞留しにくいため、軸受内部の空気はラジアル動圧発生溝21Bにおいて生じるポンプ力によって、第1のスラスト動圧発生溝24Aに接して、あるいは隣接して設けられる循環経路からスムーズに軸受の外部に向けて排出される。
【0041】
さらに、軸受の回転中のスラスト軸受面における発生圧力は、溝パターンの外周部分において十分に高くなり、中央部の圧力の高い範囲L2が狭くならないような圧力分布となる。このため、フランジ3に発生するモーメント剛性を向上させることができる。
【0042】
図6は、図5の流体軸受装置の動圧発生溝における発生圧力とこれにより循環する潤滑剤6の流れる方向とを示す模式図である。図6は、軸22とスラスト板24とを示している。図6の左半分に示す白抜き部分は、ラジアル動圧発生部(軸受孔21A)、連通孔21G、潤滑剤溜まり部21Sを含む循環経路を模式的に示している。図中Prと長い白矢印α(シャフト図上)とは、ラジアル動圧発生部のポンプ圧力およびその方向を示している。また、矢印γは、第1のスラスト動圧発生部のスパイラルパターンの動圧発生溝において発生するポンプ圧力およびその方向を示している。そして、矢印αのポンプ圧力は、全体として黒矢印εの方向に潤滑剤を循環させることを示している。また、矢印γは、全体として潤滑剤を内周に押し込む力となって、第1のスラスト動圧発生部の内周部に負圧が発生しにくい状態を示している。
【0043】
これにより、潤滑剤6は、軸受隙間に安定的に供給され、スリーブ21とスラスト板24に対して非接触の状態で軸22を回転させることができる。よって、図示しない磁気ヘッドまたは光学ヘッドによって、回転する記録ディスク11(図1参照)に対してデータの記録再生を行うことができる。
【0044】
なお、図5においては、ハブ7とスリーブ21との間の対向面のいずれか一方に、第2のスラスト動圧発生溝21Hが形成されている。この場合には、潤滑剤6の循環経路は第2のスラスト動圧発生溝21Hを含むように構成される。
【0045】
次に、図7から図10は、本実施形態の流体軸受装置(図1)において、第1のスラスト動圧発生溝のパターン形状を変えた場合の性能の変化を示している。図7〜図10においては、図14に示す従来のスパイラル溝を「スパイラル」、図3に示す本実施形態のスパイラル溝を「変形スパイラル」と示している。ここでは2種類のスラスト動圧発生溝のパターンの性能の比較結果を示している。
【0046】
具体的には、第1の溝パターンとしては、図14に示す従来のスパイラル溝であって、この場合、内径Diは約0.3mm(少なくとも0.5mm以下)である。この内径Diの大きさは、幅が狭い動圧発生溝を、電極を用いた電解エッッチング加工法、金型を用いたコイニングプレス加工法等によって、工業的に加工できる最小寸法を基に設定されている。外径Doは、流体軸受装置の重量や、潤滑剤6の粘度等によって別途適切に設計されるものである。
【0047】
第2の溝パターンは、本発明に係る内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝(図3参照)である。ここでは、内径(Di)が大きいため、図3に示すような圧力分布となり、スラスト軸受部(3B)において高圧部の面積(または高圧部間のスパン)が広くなり、また中央部分において低圧部が発生しない。
【0048】
まず、図7は、2種類のスラスト動圧発生溝(図3、図14)における各々の軸受溝パターンの有効面積を比較したものである。ここでいう軸受パターンの有効面積とは、スラスト動圧発生溝を有するリング状の領域に形成された溝パターンの面積を規定している。図7に示すように、同じ外径であれば、第1の溝パターン(図14、スパイラル)の方が、第2の溝パターン(図3、変形スパイラル)よりも有効面積が大きいことが分かる。
【0049】
図8は、2種類のスラスト動圧発生溝(図3、図14)の溝パターンにおけるスラスト方向における浮上量を比較したものである。図8に示すように、第1の溝パターン(図14、スパイラル)の方が、第2の溝パターン(図3、変形スパイラル)よりも若干浮上量が大きいことが分かる。
【0050】
図9は、2種類のスラスト動圧発生溝(図3、図14)の定常回転時における損失トルクを比較したものである。第1の溝パターン(図14、スパイラル)では、損失トルクが大きくなってしまうが、これは軸受面積が大きいために回転抵抗が大きくなったことによるものである。スラスト浮上量は、第1の溝パターン(図14)の方が大きいので、パターン有効面積の比ほど損失トルク比は大きくなっていない。
【0051】
図10は、2種類のスラスト動圧発生溝(図3、図14)の定常回転時の角度剛性を比較したものである。図10に示すように、第2の溝パーターン(図3、変形スパイラル)の方が、第1の溝パターン(図14、スパイラル)と比較して、角度剛性比が大幅に向上していることが分かる。
【0052】
表1は、上述した2種類のスラスト動圧発生溝において、図8から図10に示す3つの軸受性能を比較したものである。
ここでは、3項目(スラスト浮上量、損失トルク比、角度剛性比)の性能を満足し、欠点がなくて良好であるパターンは、「変形スパイラル」パターン(図7から図10における「変形スパイラル」)、つまり内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝である。
【0053】
また、参考までに、透明な材料で作製した軸受の実験によれば、図示しないが、この第1スラスト動圧発生溝3A,24Aがヘリングボーンパターンである場合には、軸受内に多くの気泡(バブル)が残留することが観察された。
【0054】
しかし、表1の「スパイラル」パターンでは、先に述べたように、角度剛性には問題があるが、軸受摺動面に気泡は残留せず、溝パターンの外径(Do)の外回りにまれに気泡が見られるものの、これらの気泡は溝パターンに隣接して設けられた循環経路を通過して排出される様子が観察された。また、表1に示す「変形スパイラル」パターンでは、角度剛性は良好であるが、パターン寸法の設計によっては少量の気泡が溝パターンの中央部に残留する場合がある。このため、設計に際しては寸法の最適化が必要であることが分かった。
【0055】
そこで、以下にこの角度剛性比や損失トルク比の点で良好な「変形スパイラル」パターンについて、内部に気泡(バブル)が残留しない良好なパターンの設計条件について検討した。
【0056】
【表1】

図15は、内部の観察が可能な透明な軸受を用いて、第1のスラスト動圧発生溝3A,24Aが、表1の「変形スパイラル」パターン(内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝)である場合において、スラスト動圧発生溝3A,3B,24A、21H付近およびラジアル動圧発生溝1B,21B付近に軸受装置が回転中に気泡が残留しているか否かを観察した結果である。実験では、最内周半径をRi、最外周半径をRoとしたとき、係数KS(KS=Ri/Ro)の数値を0%から100%に変化させた。
【0057】
変形スパイラルパターン溝(第1のスラスト動圧発生溝3A,24A)が、ラジアル動圧発生溝1B,21Bと循環孔1G,21Gを含む潤滑剤6の循環経路に隣接している場合には、気泡はスムーズに排出された。特に、KSの値が80%以下では気泡の残留量(目視面積%)はほぼゼロに近く良好であった。
【0058】
ただし、循環経路が変形スパイラルパターン溝(第1のスラスト動圧発生溝3A,24A)に隣接して設けられていない場合、例えば、1mm離れた位置に設けられている場合には、図15に示すように、30%近い面積比率(動圧発生溝の形成範囲に気泡が存在する場合)の気泡が第1のスラスト動圧発生溝3A,24Aの外周近傍に残留する様子が観察され、気泡が外気へと排出されていないことが分かった。
【0059】
なお、図15においては、KSの値が微小な範囲(図の左端の領域)では、そのパターンが「変形スパイラル」ではなく「スパイラル」であることを意味している。
ここで、通常観察される気泡は、その幅または直径が0.5mm以上あるため、溝パターンと循環経路との距離は、0〜0.5mmの範囲内であれば、十分に隣接していると判断できる。
【0060】
図16は、図2において、循環経路と変形スパイラルパターン溝(第1のスラスト動圧発生溝3A)との間の距離S1、または図5において、循環経路と変形スパイラルパターン溝(第1のスラスト動圧発生溝24A)との間の距離S2と、軸受内部に残留する気泡の面積比率を求めたものである。S1,S2の距離が0.5mm以下の場合には、気泡がスムーズに外気へと排出されて軸受内に残留しないため、流体軸受装置は良好な性能を発揮することができる。一方、S1,S2が、0.5mmを超える場合には、軸受内に存在する気泡が外気へと排出されにくくなり、残留気泡の影響によって軸受の性能を低下させるおそれがある。
【0061】
なお、距離S1,S2は、図17(a)〜図17(c)および図18に示すように、第1のスラスト動圧発生溝3A,24Aの最外周部から潤滑剤6の循環経路までの距離を意味している。
【0062】
図11は、第1のスラスト動圧発生溝3A,24Aが表1の「変形スパイラル」パターン(内径(Di)が十分大きいスパイラルパターン溝)である場合において、係数KS(KS=Ri/Ro)の数値を0%から100%に変化させた時に摩擦トルク(損失トルク)(gr・cm)および角度剛性比率(%)の変化を表している。ただし、最内周半径をRi、最外周半径をRoとする。
【0063】
係数KSが0%から50%までの範囲では、係数KSが大きくなるにしたがって、摩擦トルク比(損失トルク比)(%)が小さくなる。これは、KSの値がこの範囲内である場合には、スラスト浮上量は充分に大きいが、KSの増加に伴って軸受面積が小さくなって回転摩擦抵抗が下がるためである。
【0064】
しかし、KSが80%を超えると、浮上量が減少するために摩擦トルク比(損失トルク比)は増加する。この結果、係数KSの数値は、50%から80%の間が最適であることが分かった。
【0065】
角度剛性比率の値についても、KSが50%以下では十分な性能が得られないことがあり、50%以上であることが好ましいことも明確になった。
以上のような検討の結果、KSの値(Ri/Ro)は、KS=0.5〜0.8の範囲で溝パターンを設計するのが最適である。
【0066】
Ri:溝パターンの最内周半径
Ro:溝パターンの最外周半径
また、本発明の流体軸受装置は、図4および図6に示すように、ラジアル動圧発生溝1Aと連通孔1Gとを含むように形成された循環経路を有している。そして、その循環経路に接するように第1のスラスト軸受を配置している。
【0067】
このような構成において、第1のスラスト軸受の溝パターンが図3に示される中央に動圧発生溝を持たない溝非形成領域を有するリング状領域に形成されたポンプインパターンのスパイラル溝にすると、これらの組合せ効果が絶大であることが分かった。
【0068】
すなわち、循環経路を有しない流体軸受装置(図示しない)では、本発明に係るスラスト溝パターンを採用することで内部に気泡を溜めない効果が得られる。しかし、気泡15は軸受内の他の場所に回避しているだけであったため、再び気泡が軸受面に侵入する危険性があった。
【0069】
そこで、上述したように、循環経路に接する、または隣接するように第1のスラスト動圧発生溝を配置し、かつ第1のスラスト動圧発生溝をリング状領域に形成されたポンプインパターンのスパイラル溝とする組合せの構造を採用することにより、組合せの効果によって、軸受内部における気泡は軸受の外に完全に排出することが可能になった。
【0070】
なお、この発明は、設計者が通常の努力で設計パラメータの最適化を図ったのではなく、気泡の滞留と流れの現象を解明する中で発明に至った全く新規なものである。
本実施形態の流体軸受装置を、図12に示す記録再生装置に組み込んで、小型ノートパソコンやモバイル機器として使用された場合でも、高山や上空の低圧環境下で使用されても性能劣化がなく、広い環境下において製品の高い性能を発揮することができる。
【0071】
以上のように、軸受内部に空気が残らないようスラスト軸受の溝パターンを設計することにより、スラスト軸受において低圧部が発生しなくなる。よって、製品の使用環境が変化して軸受の内部に圧力変化が生じても、空気が膨張して軸受面で油膜切れが生じる危険性がない。また、軸受の回転中のスラスト軸受面での発生圧力は、溝パターンの外周部分で十分に高圧になるような圧力分布となる。このため、スラスト板との間に発生するスラスト軸受部の角度剛性を向上させることができる。よって、長寿命で高い性能を有する流体軸受装置および記録再生装置を実現できる。
【0072】
また、図12に示すように、上述した流体軸受装置を、蓋16およびヘッドアクチェータユニット17を含む記録再生装置に搭載することにより、信頼性の高い記録再生装置を提供することができる。
【0073】
なお、上記実施形態において、スリーブ1は純鉄、ステンレス鋼、銅合金、鉄系焼結金属等によって構成している。軸2は、ステンレス鋼、高マンガンクロム鋼等によって構成し、その直径は2mmから5mmである。潤滑剤6は、低粘度なエステル系オイルを使用している。
【0074】
なお、図1、図2および図5では、連通孔1Gを一箇所に設けているが、連通孔を一箇所ではなく複数箇所に設けた場合でも、同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、連通孔とラジアル動圧発生溝とが潤滑剤の循環経路を構成し、動圧発生溝のポンプ力(循環力または運搬力)により潤滑剤が循環する流体軸受装置において、第1のスラスト動圧発生溝に気泡が溜まりにくく、また気泡が連通孔からスムーズに排出されるため、スラスト軸受面において潤滑剤不足の状態が生じにくくすることができる。そして、軸受の回転中のスラスト軸受面における発生圧力は、溝パターンの外周部分で十分に高圧になるような圧力分布であり、スラスト板と軸(またはフランジ)の間に発生するモーメント剛性が高い。よって、外力に対しても高い信頼性と性能を維持できる流体軸受装置を実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明に係る流体軸受装置は、軸受の信頼性を大幅に向上することができるという効果を奏するため、流体軸受装置を搭載する記録再生装置等の各種機器に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る流体軸受装置の断面図。
【図2】図1の流体軸受装置の詳細断面図。
【図3】図1の流体軸受装置に含まれるスラスト動圧発生溝の解説図。
【図4】図1の流体軸受装置における潤滑剤の循環経路を示す模式図。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る流体軸受装置を示す詳細断面図。
【図6】図2の流体軸受装置における潤滑剤の循環経路を示す模式図。
【図7】本発明実施例のスラスト軸受パターンの有効面積を示す説明図。
【図8】本発明実施例のスラスト軸受の浮上量を示す説明図。
【図9】本発明実施例のスラスト軸受の損失トルクを示す説明図。
【図10】本発明実施例のスラスト軸受角度剛性(モーメント剛性)を示す説明図。
【図11】本発明実施例のスパイラルパターン溝の特性を示す説明図。
【図12】本発明の流体軸受式回転装置を備えた記録再生装置の断面図。
【図13】従来の流体軸受装置の断面図。
【図14】従来の流体軸受装置に含まれるスラスト動圧発生溝の解説図。
【図15】本発明の実施例のスパイラルパターン溝の特性を示す説明図。
【図16】循環経路と第1のスラスト動圧発生溝との間の距離と、軸受内部に残留する気泡の面積比率との関係を示すグラフ。
【図17】(a)〜(c)は、図2の流体軸受装置における第1のスラスト動圧発生溝と潤滑剤の循環経路との距離を示す拡大図。
【図18】図5の流体軸受装置における第1のスラスト動圧発生溝と潤滑剤の循環経路との距離を示す拡大図。
【符号の説明】
【0077】
1,21 スリーブ
1A,21A 軸受穴
1B,21B ラジアル動圧発生溝
1G,21G 連通孔
2,22 軸
3,23 フランジ部
3A,24A 第1スラスト動圧発生溝
3B,21H 第2スラスト動圧発生溝
4,24 スラスト板
5 シールキャップ
5B テーパ部
5C 換気孔
6 潤滑剤
7 ハブ
8 ベース
9 ロータ磁石
10 ステータ
11 記録ディスク
12 スペーサ
13 クランパ
14 ネジ
15 気泡
16 蓋
21D 第2スリーブ
21H ラジアル動圧発生溝
21S 潤滑剤溜り部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸と、
前記軸方向において、開口する開口端と閉塞部材によって閉塞された閉塞端とを有する軸受穴を有し、前記軸が前記軸受穴内に相対回転可能な状態で挿入されるスリーブと、
前記軸と前記スリーブとの間の微小隙間に充填された潤滑剤と、
前記微小隙間とともに前記潤滑剤の循環経路を構成する連通孔と、
前記閉塞部材および前記軸の少なくとも一方において、中央に溝非形成領域を有するリング状の領域にポンプインパターンのスパイラル溝として形成されており、前記循環経路に近接配置された第1のスラスト動圧発生溝が形成された第1のスラスト軸受面と、
を備えている流体軸受装置。
【請求項2】
前記スパイラル溝の最内周半径をRi、最外周半径をRoとしたとき、これらの比Ks(=Ri/Ro)が下記の関係式を満たす、
請求項1に記載の流体軸受装置。
0.5<Ks<0.8
【請求項3】
前記第1のスラスト動圧発生溝は、前記循環経路に対して0〜0.5mmの範囲内で近接配置されている、
請求項1または2に記載の流体軸受装置。
【請求項4】
前記軸の外周面および前記スリーブの内周面の少なくとも一方に、前記開口端側から前記閉塞端側に向けて潤滑剤を運搬する流れを発生させる非対称溝パターンを有するラジアル動圧発生溝が形成されたラジアル軸受面を、さらに備えている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項5】
前記閉塞部材に対向する面に前記軸に対して一体的に設けられたリング状のフランジ部と、
前記フランジ部と前記スリーブとが対向する少なくとも一方の面に設けられており、前記第1のスラスト動圧発生溝から前記軸に対して付与される軸方向圧力とは反対方向に圧力を発生させる第2のスラスト動圧発生溝と、
をさらに備えており、
前記循環経路は、前記ラジアル動圧発生溝と前記連通孔と前記第2のスラスト動圧発生溝とを含むように形成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項6】
前記軸における前記開口端側に設けられたハブと、
前記スリーブと前記ハブとが対向する少なくとも一方の面に設けられており、前記第1のスラスト動圧発生溝から前記軸に対して付与される軸方向圧力とは反対方向に圧力を発生させる第2のスラスト動圧発生溝と、
をさらに備えており、
前記循環経路は、前記ラジアル動圧発生溝と前記連通孔と前記第2のスラスト動圧発生溝とを含むように形成される、
請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項7】
前記ラジアル動圧発生溝の非対称溝パターンは、溝頂点を中心として前記軸受穴の開口端側の溝が閉塞端側の溝よりも長いヘリングボーン溝である、
請求項1から6のいずれか1項に記載の流体軸受装置。
【請求項8】
請求項7に記載の流体軸受装置を備えた記録再生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−309330(P2008−309330A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−119359(P2008−119359)
【出願日】平成20年4月30日(2008.4.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】