説明

流動性を有する材料を表面全体に塗布するための方法と装置

本発明は、流動性を有する材料、特に、粒状材料を支持体(50)全体にわたって個々の重ね合わされた層形状に塗布するための方法とデバイスに関し、この流動性を有する材料は、最初に、固定送出ステーション(10)から塗布装置の格納容器(24)に充填される。支持体全体にわたって前後に移動する塗布装置(30)において、流動性を有する材料は、装置の全長にわたって格納容器内に分配され、次に、計量じょうご内の充填レベルが計量じょうごから支持体上への流動性を有する材料の塗布中に一定のままであるように材料がスロットを介して計量じょうご内に計量される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する材料、特に、粒状材料を基板の表面全体にわたって互いに重なる個々の層になるように塗布する方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法と装置は、通常、三次元オブジェクトを層状に生成するために使用される。三次元オブジェクトは、ここでは、粉末状材料の連続層をそのオブジェクトの各断面の適宜位置で選択的に固化することによって、例えば、バインダを各層に選択的に塗布し且つそのバインダを固めることによって、バインダを各層に導入し且つそのバインダを選択的に固めることによって、又は各層に選択的にレーザビームの作用を受けさせることによって生成される。
【0003】
WO 00/78485 A2は、基板の表面全体にわたって流動性のある材料を互いに重なった個々の層になるように塗布するためのコーティング装置を開示している。図4から理解されるように、コーティング装置3は、基板上を前後に変位されることができ、これらの層が塗布される基板の全幅にわたって延出する二つの離間した壁4、5を有する計量シャフトを有し、これらの壁の間に、頂部と底部に向かって開口するシャフト6を形成する。これらの壁4、5は、それらの底端に表面1に隣接して、例えば、ラバーリップとして又は金属ブレードとして設計されることができる平滑化要素7、8を有する。他の例としては、平滑化要素は、セラミック材料から形成される。その二つの反対側端部で、或いは一端部で、コーティング装置3は、全表面1にわたる計量シャフトの前後動、従って、基板に対して所定の層厚になるように各層の塗布を可能とするように、この装置のフレーム内で案内され且つ駆動される。このドキュメントは、機械フレーム10によって支持される固定供給容器9を提供し、同様に頂部と底部に向かって開口するシャフト13を形成する。
【0004】
動作中、粉末は、コーティング装置3の端部位置で、固定供給容器からコーティング装置のシャフト6に導入される。次に、コーティング装置3が、離れるように移動される時に、供給容器内の流動性を有する粉末の自己レベリングが、蓄積する積み重なりによって発生する。供給容器が非常に幅広で、またその深さが比較的に浅い場合、粉末が、バイブレータや分配ウオームによって供給容器内に分配されなければならないかもしれない。これは、特に、流動特性が低い粉末が使用される場合であり、その場合、積み重ねが非常に急勾配となる。
【0005】
分配ウオームやバイブレータによる機械的分配は、供給容器内の粉末が供給容器に沿って圧縮のレベルが非常に異なるようになりやすいことを意味する。これは、コーティング装置の変位可能供給容器内における局所的に異なる計量量となり、計量がこのコーティング装置の端部位置で行われ、そして、これは、結局は、蓄積ゾーン内での圧縮のレベルが局所的に異なることになること、従って、強度、仕上げ及びコンポーネント圧縮に関して質的変動が生じることになる。不均一を回避するために、供給容器が再充填される時に、残留物の密度と新たに導入された粉末の密度とは異なることを考慮して、供給容器は、通常、完全に空にされる及び/又はゼロにされる。しかしながら、これは、更なる量の廃棄物を生成することになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、基板の表面上に基板の略均一なコーティングを実現することを可能とする方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、夫々、請求項1と4の特徴を有する方法と装置によって達成される。本発明の好適な実施の形態は、夫々の従属の請求項に記述される。
【0008】
本発明に従って、前後に変位されることができる塗布装置の計量シャフトであって、当該計量シャフトから流動性のある材料が基板上へ或いはその基板に先に塗布された層上に流れ、この計量シャフトは、計量シャフトにおける材料がコーティング移動中に予め決定された充填レベルのままであるように一体化された充填容器からコーティング移動中のいつでも流動性を有する材料が連続的に充填される。変位可能な塗布装置に一体化される充填容器は、固定材料供給部から容易に再充填されることができる。
【0009】
本発明の更なる利点は、充填容器が固定供給ステーションと計量シャフトとの間に介在されているために、材料が供給ステーションから転送されている時に材料がすでに分配されており、計量シャフトに分配される必要がないので、充填容器が、直接的に、例えば、コンベヤウオームから直接に再充填されることである。むしろ、本発明に従って、材料は、供給ステーションから充填容器の局所的に範囲が定められた領域に転送されることができ、そこでは、材料は、充填容器自体に設けられている、コンベヤウオームのような適切な分配装置によって準備ベースで分配されることができる。
【0010】
更なる利点は、容器の容量が減少されているので、供給されるべき粉末の量が減少されることである。従って、特に、限られたサービス寿命(耐用年数)の粉末のタイプの廃棄物の量を減少することができる。粉末タイプが交換される時に、生成される廃棄物の量が同様に減少される。
【0011】
計量シャフト中の粉末材料の均一な分配は、圧縮のレベルが計量シャフトに沿って異ならないことを意味しているので、本発明により、粉末が再充填される前に、計量シャフトが完全に空にされなければならないことはもはやなく、その結果、更なる量の廃棄物の発生が回避されることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明は、好適な実施の形態を介して且つ図面を参照して以下に述べられる。
【0013】
本発明では、流動性を有する材料、特に、粒状又は粉末材料を基板50の表面全体にわたって互いに重なり合う個別の層を形成するように塗布するために、流動性を有する材料は、固定材料供給部10から基板50上を前後に移動されることができる変位可能塗布装置20に導入され、この塗布装置から導入された材料が下方へ複数の連続層になるように放出されて均一に分配される。ここでの塗布装置2は、充填供給部を有し、計量シャフト中の流動性を有する材料の充填高さが塗布装置の移動中に一定のままであるように、この供給部から、計量シャフトが充填される。
【0014】
例えば、迅速なプロトタイピング塗布の場合、生成されるべき三次元オブジェクトの夫々の横断面が次に接合又は固定される互いに重なり合う均一層を塗布するために、本発明に従う方法の場合に、層塗布条件が、一定に保たれる。これらの条件は、特に、計量シャフトに提供される材料の充填高さとタイプによって予め決定される。計量シャフト中での流動性を有する材料の均一で一定の分配の結果として、流動性を有する材料は、均一の圧力下で且つ計量シャフトの放出開口での均一な量だけ基板に対して層状に常に塗布されることができる。これらの条件を達成するために、本発明に従う塗布装置20は、充填容器24、計量シャフト30及び好ましくは振動手段40を有する。
【0015】
好適な実施の形態において、充填容器24は、頂部で開口する矩形横断面の長尺状容器である。コーティング移動中導く又は引きずる充填容器24の長手壁の底周に沿って、放出スロット26が全長にわたって形成される。矩形容器のベース壁25は、スロット26の方向に斜め下方へ傾斜することが好ましい。このように、流動性を有する材料が収容されることができる空間は、ホッパー形状の横断面を形成する。この横断面は、充填容器の全長に渡って同じであることが好ましく、その結果として、導入された材料がよりよく利用されることを確実にすることが可能である。
【0016】
充填容器24は、計量シャフト30の上方へ配置されており、スロット26は、流動性を有する材料がそれを通して計量シャフト30へ流れることができるように配置される。同様に、計量シャフト30は、頂部で開口するホッパー形状の横断面、即ち、流動性を有する材料が、材料層が塗布されるべき基板50上に流れることができる、計量シャフトの底端に形成される放出スロットを有することが好ましい。
【0017】
充填容器24と計量シャフト30の両方は、少なくとも基板50の全幅にわたるに十分な長さである。
【0018】
更に、好適な実施の形態において、振動手段40は、計量シャフト30の側で充填容器24の真下に設けられる。振動手段40は、例えば、振動ビームであってもよい。計量シャフト30と充填容器24の両方が振動されるので、流動性を有する材料が計量シャフト30及び/又は充填容器24内に均一に分配され且つそれから外へ均一に流れることができることが確保されることができる。
【0019】
基板50の一端の上方で、塗布装置の端部位置において、充填容器24に流動性の材料を充填する手段を提供することが可能である。この目的のために、図1と図2に示されるように、流動性を有する材料が、あるオブジェクトを生成するのに必要な少なくとも複数の層が基板に塗布されることを可能とするために十分である量の流動性を有する材料を含む固定材料供給容器10を提供することが可能である。この固定材料供給容器10の充填容器24の長手範囲に対する位置は、自由に選択されることができる。好適な実施の形態に従って、この位置は、図2に示されているように、充填容器24の一方の横方向端の近傍である。材料供給容器10からの流動性を有する材料の放出は、例えば、バルブ12によって制御されることができる。流動性を有する材料が材料供給容器10から充填容器24に導入されると、好適な実施の形態では、充填容器24内の分配器22、例えば、ウオームが流動性を有する材料を充填容器24の全長にわたって分配することができる。
【0020】
他の方法として、固定材料供給容器10の代わりに、搬送ベルトや流動性を有する材料を送出するための送りウオームを提供することも可能である。
【0021】
しかしながら、流動性を有する材料は、供給容器10から転送されているので、充填容器24内にその長さ方向にわたって分配されることができる。次に、充填容器自体の分配器で供給することができる。基板の長さ/幅、従って、充填容器の長さ/幅及びその高さにより、充填容器中の局所的範囲が定められた位置で積み重ね形状で材料を蓄積するのに十分であり、次に、その材料が、例えば、振動によって、充填容器上に分配され、その場合、放出スロット26は、常に材料で充填されたままである。材料供給容器10から充填容器24内に導入された流動性を有する材料の量は、計量シャフト30内の一定の充填高さを維持しながら、少なくとも一つの層が塗布装置10の前後への移動中に表面50に塗布されることができるのに少なくとも十分であるべきである。
【0022】
本発明の特別な態様は、層が均一にされ且つ密度において実質的に局所的に違いがないように、計量シャフトから材料が表面に流れる当該計量シャフトの充填高さが、塗布中に一定或いは少なくとも略一定に保たれることができる事実である。図3a乃至図3dに描かれている塗布装置のこれらの実施の形態、特に、流動性を有する材料が充填容器24から計量シャフト30中に流れる放出スロット26の構成に関して、計量シャフト30中に一定の充填高さを達成することが可能であることを助ける構造の例を構成している。
【0023】
図3aは、直接的に自己調節する実施の形態を示す。塗布装置20中の流動性を有する材料は、振動手段40の振動のために充填容器と計量シャフト内で均一に分配される。スロット26の幅は、計量シャフト30から表面50上に流れるのと少なくとも同じくらい多くの材料がそのスロット26を通って充填容器24から計量シャフト30に流出し、計量シャフト中の充填レベルがそのスロット26の頂部境界エッジまで略延出するレベルであるように選択される。このように、計量シャフト30中の材料がスロット26を閉塞し、従って、充填容器24からの材料のそれに続く流を阻止する。しかしながら、材料が計量シャフトから下方へ表面50に流出すると、材料は、充填容器24から計量シャフト30内に流入することができる。このように、計量シャフトから流出するのと同じ量の材料が計量シャフトに正確に流入するに過ぎない。
【0024】
図3bは、特に、回転駆動されることができるローラ27がスロット26の全長にわたって設けられる実施の形態を示す。充填容器24のベースとローラ27との間の隙間は、材料が計量シャフト30から表面50へ流出するスロットよりも小さい。従って、充填高さは、材料層が表面50に塗布される時に減少する。示される矢印の方向(図3bを参照)に駆動されるローラ27により、特に、塗布装置の移動の速度によって、充填容器のベースとローラ27の間の流量を調節できる。このように、計量シャフトから流出する量がローラ27を通過して計量シャフト内に流れる材料と量と釣り合いを保たれること、すなわち、計量シャフト中の充填高さを一定に維持することが可能である。
【0025】
図3cは、スロット26の領域における更なる実施の形態を示す。この実施の形態は、図3bの実施の形態と比較すると、その違いは、本ケースでは、充填容器24から計量シャフト30内に流出する材料の量が充填容器24のベースに沿ってスロット26の全長にわたって延出し、流動性を有する材料がスロット26を通って流出するために流動性を有する材料を駆動する被駆動ベルト28によって調節されることである。ここで、スロット26は、材料が計量スロット30から流出する開口よりも小さい。このように、計量シャフト30内の充填高さが一定のままであるように、スロット26を通過して流れる通過量を調節することができる。また、本実施の形態の場合、この場合のベルト28が充填容器のベースの全幅に取って代わる場合、斜めベース25無しで済ますことができ、その結果、充填容器24内のスロット26から遠くにある材料がベルト28によってスロット26を通過するように搬送されることが確保される。
【0026】
図3bに従う実施の形態の場合と図3cに従う実施の形態の両方において、計量シャフト内の実際の充填高さを感知するために一つのセンサ又は一列のセンサ(図示せず)を使用することが可能である。次に、充填高さに対応するセンサ出力信号は、制御ユニット(図示せず)に送られ、それによって、計量シャフト30内に一定の充填高さを維持するために必要なローラ27の又はベルト28の速度を設定する。
【0027】
図3dは、更に他の実施の形態を示す。ここでは、充填容器から計量シャフトへ流れる材料の通過量を調節するために、スライド29を使用してスロット26の高さ、従って、幅を調節することが可能である。従って、図3aの実施の形態の原理を使用して、例えば、異なる材料に対して、また表面50に塗布される層の異なる厚みに対してスロットを通過して流れる量を適応させることが可能である。他方、計量シャフト中の充填高さを一定に維持するために、スロット26を通過して流れる量が層の塗布中に積極的に調節されることができる。ここでは、充填高さを感知し、それを制御ユニットに送る対応するセンサを設けることができる。
【0028】
更に、塗布装置が、例えば、異なる流動性を有する材料及び材料の異なる量に対して適応させられることができるために、スロット26の方向に斜め下方へ傾斜する充填容器のベース壁25が、調節可能な傾斜角度を有することが有利である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】固定材料供給容器と材料が均一な層に塗布されるべき表面を含む本発明に従う塗布装置の好適な実施の形態の概略図である。
【図2】側部から見られる図1の要素の概略図である。
【図3a】図1の好適な実施の形態の細部Aの拡大図を示す。
【図3b】本発明の他の実施の形態における、図1の細部Aの拡大図を示す。
【図3c】本発明の更なる実施の形態における、図1の細部Aの拡大図を示す。
【図3d】本発明の更なる実施の形態における、図1の細部Aの拡大図を示す。
【図4】固定材料供給容器と材料が均一な層に塗布されるべき表面とを含む従来の塗布装置を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性を有する粒状材料を基板の表面全体にわたって個々の重ねられた層になるように塗布してこれらの連続層の選択的固化によって三次元オブジェクトを生成する方法であって、前記方法において、流動性を有する粒状材料が充填容器(24)に導入された材料供給部から全長にわたって長尺状の横断面ホッパー形状の計量シャフト(30)に導入され、前記計量シャフト(30)は、基板上を前後に移動され、その移動中に、導入された粒状材料が計量シャフト(30)の下面のスロットから下方に連続層状に放出されて均一に分配され、且つ流動性を有する粒状材料の供給物は、準備ベースで充填容器(24)に均一に分配され、充填容器(24)は、基板上を計量シャフト(30)と共に移動され、移動中に、計量シャフト(30)は、計量シャフト(30)中の充填高さが一定のままであるように材料供給部から流動性を有する粒状材料が充填される方法。
【請求項2】
流動性を有する粒状材料を基板の表面全体にわたって個々の重ねられた層になるように塗布するための塗布装置(20)であって、この塗布装置は、基板上を前後に移動されることができ、この塗布装置(30)の移動中に流動性を有する粒状材料が連続層として放出されることができる、底部にスロット状の放出開口を有する長尺状の計量シャフト(30)を備え、前記計量シャフト(30)の上方に、上方に向けて開口する充填容器(24)を備え、この充填容器(24)は、充填容器に導入された粒状材料の充填容器内での均一な準備分配のための分配デバイス(22)を有し、予め決定された一定の充填高さが粒状材料の放出中に計量シャフト(30)内で維持されるように導入された材料が充填容器から計量された形態で計量シャフト(30)に送られる、塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図3d】
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【図4】
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【公表番号】特表2009−517194(P2009−517194A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541586(P2008−541586)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/DE2006/002047
【国際公開番号】WO2007/059743
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(508156432)プロメタル アールツェーテー ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】