説明

流路切替えダンパー装置

【課題】被制御流体の流体力により流路を選択的に切り替える切替式ダンパ−装置に於いて、外力による変形の少ないダンパーハネ構造を提供する。
【解決手段】ダンパーハネ2の変形を抑制する為に設けられた補強リブ3がダンパーハネ2の中心部から固定部近傍位置まで伸びており、補強リブ3の先端に補強リブ3の幅よりも大きい直径を有する応力緩和部3aを設けて、ダンパーハネ2の変形を抑制して応力集中を低減し、先端の応力緩和部3aにより、補強リブ先端部の周長を長くして応力集中係数を緩和させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体装置の流路を切替える流路切替えダンパー装置に関し、切替え時に掛かる衝撃力に対し亀裂が発生しないダンパーハネを備えた流路切替えダンパー装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、送風機やポンプ等の流体機械を2台設置し、この2台の交互運転により信頼性の向上を図ったり、異なる性能の2台の流体機械の場合は性能を変えたりする等の方式が一般的に採られている。
【0003】
その際に、この2台の流体機械からの流体の流路を切替えるダンパーの方式は様々あるが、一番簡素な構造は、図4に示すような構成が採用されている。図4は、2系統の流体機械6及び7を備えた流体装置であり、図示の状態では、流体機械6が運転状態で、流体機械7が停止状態である。そこで、運転状態の流体機械6が動作流体の流路11を形成するように、回動するダンパーハネ2が図示の状態で右に倒されている。つまり、図3に示すような片側に回転軸5を設けた平板状のダンパーハネ2を回転軸5廻りに回転させ、片方の流路(図4では、流体機械7からの流路)を塞ぐ構造である。その際にダンパーハネ2に必要な機能としては、切替えた流路の固定部4とダンパーハネ2との間の密閉性であり、塞がれた流路側へのダンパーハネ2の密着性を高めるために、ダンパーハネ2と接して塞がれる流路側の固定部4にパッキン10を付けている(図4)。
【0004】
更に、ダンパーハネ2の変形を防ぎ、かつダンパーハネ2の軽量化の為に、図2に示すようなダンパーハネ2の変形(曲がり)を抑制する補強リブ3が付けられる。この変形は、流路を塞いでいるダンパーハネ2が、運転している流体機械6から圧力を片側の全面に受けるため、図4に示すように曲げにより発生するもので、ダンパーハネ2の密閉性を損なう可能性があった。これに対して、ダンパーハネの厚みを厚くすることにより、ダンパーハネの変形を抑制できるが、厚みを厚くすればそれに比例して、ダンパーハネの質量は増大し、ダンパーハネを回転させる力も大きくなり、装置の大型化や製品価格の上昇に繋がるので、ダンパーハネの軽量化を図ることは重要な課題であった。
【0005】
また、流路を切替える際に、ダンパーハネ2を回転させる駆動源としては、モータ等の外部駆動装置を利用する方法と、切替える流体機械からの作動流体の運転制御によるものがあるが、前者の外部駆動方式では、別装置や電力が必要となり部品点数の増加、消費電力の増加となる。これに対して、後者の流体機械の運転制御による方式であれば、前者のように別駆動装置の必要がなく、比較的安価なため多用されている。つまり、後者の流体機械の運転制御による切替方式では、最初は図4により実線で示すように、運転側の流体機械6からの流体11が流れている(ダンパーハネ2が右に倒れている)が、切替えを行う際には、閉じている流路の流体機械7を運転させ、運転側の流体機械6を停止させる。このように、今までダンパーハネ2が開いていた流路11側の流体機械6を停止させることにより、切り替わった運転流体11aの圧力でダンパーハネ2を動かして回転させる。
【0006】
しかし、この方法では、ダンパーハネ2全面に掛かる作動流体の圧力がそのままダンパーハネ2の回転力となるので、回転するダンパーハネ2が切替えた先の固定部4に当った際に大きな衝撃力が発生する。特に、切替えを行わない定常時における流体圧力による変形を抑えるための補強リブ3を設けている場合には、その補強リブ3の回転軸5から遠い端部近傍に、図5に示すような分布13(ハッチング部分)で応力集中が発生し、亀裂等の疲労破壊に至る場合があることが試験により分かった。更に、ダンパーハネ2回動時の衝撃力も大きく、ダンパーハネ2と固定部4の間に隙間があると、固定部4に当った時の衝撃力を受ける面積に差異が生じ、衝撃力により発生する応力が数倍〜数十倍変わることも分かった。
【0007】
これを解決するために、パッキン10の厚みを厚くしてダンパーハネ2と固定部4の隙間を埋める方法もあるが、パッキン10が経年変化した際には、隙間は大きくなり、上記衝撃力による応力の差異や密閉性に問題が表れる。また、ダンパーハネ2と固定部4の隙間を無くす為に、ダンパーハネの製作段階から隙間を最小にしようとすると、大変な費用と手間が掛かっていた。
【0008】
非特許文献1には、製品として切替ダンパ装置が示されている。大型の装置になるとダンパーハネには大きな力が作用することが容易に分かる。また、上記従来技術に関連するものとして、特許文献1(特開平10−337441号公報)には、流路切替え手段13を構成するスウイング型ダンパ48が開示されている。また、特許文献2(特開2010−151010号公報)には、排気系の排ガス流路を切り替える流路切り替え機構が開示されている。しかしながら、これらの従来技術には、何れも応力緩和手段についての開示はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平10−337441号公報
【特許文献2】特開2010−151010号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】http://www.ns-tec.co.jp/Japanese/ProductJ/DamperJ.htm
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は、流体機械以外には別系統の駆動装置を使用せずに、流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、塞がれる流路側の固定部にダンパーハネが当った時の衝撃力により、ダンパーハネの変形を抑制する為に設けられた補強リブに応力集中が発生し亀裂等疲労破壊が発生する点を解決しようとするものである。
【0012】
これは、ダンパーハネ2全体に掛かる作動流体からの圧力により、ダンパーハネ2が図4に示すような変形を抑制するための補強リブ3を設けたとしても、この補強リブ3の端部には、固定部4とダンパーハネ2との間に不均等な隙間が生じるため、応力集中が発生し易かった(図5)。そこで、ダンパーハネ2に作用する力は同じなので、補強リブ端部の応力を分散させる為に補強リブ3の数を図3に対して倍に増やしてみると(図6)端部に発生する応力は低減した。これは、補強リブ3の数を増やしたことにより、ダンパーハネ2の変形量が相違し、固定部4との位置関係が変わったためと考えられる。
【0013】
また、補強リブ端部の応力集中を緩和するため、端部に補強リブの幅よりも大きい直径を有する丸部を構成すると、丸部の直径を大きくする程、その直径に比例して応力は低減した。
【0014】
さらに、ダンパーハネ2の変形量を抑えることを考え、ダンパーハネ中心部にも補強リブ3が来るよう、図9に示すようなクロス構造(X字型)とした。この場合、応力集中は従来と同様、補強リブ3の先端部分に発生したが、その応力は低減した。
【0015】
また、ある位置における応力σはモーメントMとその位置の断面係数Zにより、下記(式1)により求められる。
σ=M/Z (式1)
これによっても、応力はダンパーハネ2の回動軸5から遠い方で強くなることは理解できる。
【0016】
また、断面係数を大きくし、かつ質量の増加を抑えるため、補強リブ3の構造を3次元的かつ中空にした場合も応力は低減した(図11)。
【0017】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体機械とは別系統の駆動装置を使用せずに、流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、塞がれる流路側の固定部にダンパーハネが当ったとき、その衝撃力により、変形を抑制する為に設けられた補強リブの先端部分に応力集中が発生し、亀裂等疲労破壊が発生しないようにした流路切替えダンパー装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の流路切替えダンパー装置は、別系統の駆動装置を使用せずに流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、前記ダンパーハネには該ダンパーハネの変形を抑制する為の補強リブが設けられており、補強リブの延び出し部の先端部には、応力緩和部を備えていることを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明の流路切替えダンパー装置は、前記ダンパーハネの変形を抑制する為の補強リブが、X型、Y型、W型或いはZ型の何れか一つの型であることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の流路切替えダンパー装置は、ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するための応力緩和部は、補強リブの幅よりも大きい直径を有する円柱形状を呈していることを特徴とする。
【0021】
また、本発明の流路切替えダンパー装置は、ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するための応力緩和部は、その補強リブ先端部に連続してT字型を呈していることを特徴とする。
【0022】
さらに、本発明の流路切替えダンパー装置は、別系統の駆動装置を使用せずに流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、ダンパーハネ上に設けられた前記補強リブの断面係数を大きくするため、補強リブが中空になるように3次元的に薄板を組合わせて構成していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、流体機械の流路が固定部にダンパーハネが当たって切替えられた時、その衝撃によりダンパーハネに強度的問題が発生せず、流路切替えダンパーの信頼性は向上するという効果がある。
【0024】
本発明によると、応力緩和部の形状を丸形から円筒形に変えることにより、応力緩和部を中空状態にしつつ、ダンパーハネとの接触長さの必要長さは確保できるものである。
【0025】
本発明によれば、補強リブを中空の3次元形状物として構成することにより、軽量で、かつダンパーハネとの接触長さを長くすることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)は流路切替えダンパーに構成されるダンパーハネの補強リブを中央部で所定形状に配置し、その伸び出し部の先端部に補強リブの幅よりも大きい直径を有する応力緩和部を備えた実施例の説明図である。
【図2】流路切替えダンパー装置の概略構造を示した説明図である。
【図3】従来のダンパーハネ構造の説明図である。
【図4】従来の流路切替えダンパー装置において、ダンパーハネに流体機械から圧力が掛かり変形した場合を示す説明図である。
【図5】上記図3に示す従来のダンパーハネに衝撃力が掛かった場合の応力集中の状態を示す説明図である。
【図6】ダンパーハネの補強リブを4本にした実施例を示した説明図である。
【図7】ダンパーハネの補強リブの先端部に丸形の応力緩和部を設けた実施例を示した説明図である。
【図8】ダンパーハネの補強リブの先端部の応力緩和部をT字形にした実施例を示した説明図である。
【図9】流路切替えダンパーに構成されるダンパーハネの補強リブを中央部でクロスさせてX字型にした実施例を示した説明図である。
【図10】ダンパーハネの補強リブを4本にした上で、補強リブの先端部分に応力緩和部を設けた実施例を示した説明図である。
【図11】図11の(a)、(b)はダンパーハネの補強リブを3次元形状にした実施例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の課題を解決するため、発明を実施するための形態としては、下記の具体的手段を用いた。
(1) 別系統の駆動装置を使用せずに流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパーにおいて、該流路切替えダンパーに構成された前記ダンパーハネには該ダンパーハネの変形を抑制する為に設けられた補強リブがダンパーハネの中心をクロスしてX型をしており、固定部と隙間ができる位置まで伸び、補強リブの先端は補強リブの幅よりも大きい直径を有する丸を構成した。
(2) 上記(1)の流路切替えダンパーにおいて、ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するため、その先端に補強リブの幅よりも大きい直径を有する丸を構成した。
(3) 上記(1)の流路切替えダンパーにおいて、ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するため、その先端に補強リブと同じかそれ以上幅の部材でT字型を構成した。
(4) 流路切替えダンパーにおいて、ダンパーハネ上に設けられた補強リブの断面係数を大きくするため、補強リブが中空になるように3次元的に薄板を組合わせて構成した。
【0028】
本発明の実施例を以下に説明する。図1は、ダンパーハネ2の変形を抑制する為に設けられた補強リブ3がダンパーハネ2の中心でクロスしてX字型をして、固定部4(図2)の近傍の位置まで伸びており、補強リブ3の先端に補強リブ3の幅よりも大きい直径を有する丸型3a(応力緩和部)を構成した第一の実施例である。X字型にすることでダンパーハネ2の変形を抑制して応力集中を低減し、先端に丸型(応力緩和部)3aを構成することにより、応力集中する補強リブ先端部の周長を長くして応力集中係数を緩和させている。これにより両者の相乗効果が得られる。
【0029】
本発明の流路切替えダンパー装置1は、図2に示すように、選択的に運転される2台の流体機械6,7を備えている。図においては、一方の流体機械6が運転状態であり、他方の流体機械7は停止状態である。流体機械(運転)6と流体機械(停止)7との間には、内部に空間部を有するダクト部1aが設けられている。
【0030】
ダクト部1aの内部にはダンパーハネ2が設けられている。このダンパーハネ2は回転部5において回動自在に支承されているが、特に別系統の駆動装置を備えてはいない。流路の切替えを行う時には、作動流体の圧力(図2に示す斜線矢印)によりダンパーハネ2が回転動作されるようになっている。つまり、ダンパーハネ2の一端部に設けられた円柱状の回転部5が、ダクト部1aの下端の中心部で回転自在に軸支されている。ダンパーハネ2は、選択された流体機械6又は7からの作動流体の圧力によって、回転部5を中心として左右どちらかの方向に回転され、ダクト部1a内に固定された固定部4(より詳しくは固定部4に装着されたパッキン10)に対しその表面の一部位が当接され、停止されるように構成されている。これにより、停止された状態においては、図2に示すように、片方の流路を塞ぐようになっている。なお、固定部4に装着されたパッキン10は、流路を塞いだときのダンパーハネ2と固定部4との密着性を高めるために設けたものである。
【0031】
図1(a)は、ダンパーハネ2の変形を抑制する為に設けられた補強リブ3は、ダンパーハネ2の中心部近傍でクロスしてX型をしており、各々のX型の延び出し部は、ダクト部1aの内部に設けられた固定部4の近傍位置まで伸びるように形成されている。補強リブ3の延び出し部の先端には、該補強リブ3の幅よりも大きい直径を有する丸型(より詳しくは円筒型)の応力緩和部3aを構成した第一の実施例である。このように、補強リブ3をX型にすることで、ダンパーハネ2がパッキン10を介して固定部4に当接されたときの、ダンパーハネ2の変形を抑制して応力集中を低減することができる。また、先端に丸型の応力緩和部3aを構成することにより、補強リブ3の延び出し部端部での応力集中する補強リブ3の延び出し先端部のダンパーハネ2との接触部の周長を長くして応力集中係数を緩和させることができる。第一の実施例では、これにより両者の相乗効果が得られている。
【0032】
第一の実施例において、X型の補強リブ3をダンパーハネ2の両面に形成すれば、ダンパーハネ2の変形はより抑制される。また、補強リブ3の伸びだし分の形状は、X型に限るものではない。図1(b),(c),(d),(e)に示すように、X型以外に、例えば、Y型、W型或いはZ型に構成することも可能である。これらの伸び出し部或いは角部には、同じく、補強リブ3の幅よりも大きい寸法の応力緩和部3aを備えるのが好ましい。しかしながら、この応力緩和部3aの形状も、丸型に限るものではなく、楕円形、正方形、長方形、三角形、多角形等が可能であり、いずれの場合においても、ダンパーハネ2の面に対して応力緩和部3aの接触長が長くなるような構成であれば、如何なる形状であっても良い。図1(d)及び(e)においては、ダンパーハネ2の回動軸方向にも、応力緩和部3a間に補強リブ3bを設けている。この回動軸方向の補強リブ3bは、応力緩和の作用効果も奏している。
【0033】
図6は、図3に示す従来のダンパーハネ2の補強リブ3の本数を倍の4本にした第二の実施例であり、4本設けられた凸角柱状の補強リブ3はダンパーハネ2の両面に形成されている。そして、実施例2によれば、補強リブ3を増加させていくと応力低減効果は得られるが、質量が増加すると、ダンパーハネ2を回転させる圧力が多く必要となるため、流体機械の仕様圧力内で本数を決定したものである。
【0034】
図7は、図3に示す従来のダンパーハネ2の補強リブ3の先端部に該補強リブ3の幅よりも大きい直径を有する丸型(より詳しくは円筒型)の応力緩和部3aを構成した第三の実施例である。そして、この実施例によれば、上記図1(a)の第一の実施例と同様に補強リブ3の伸び出し部の先端に丸型を構成することにより、応力集中する補強リブ先端部の周長を長くして応力集中係数を緩和させることができる。図7では、片側先端部のみ丸型を構成しているが、これはより応力集中が大きいのは回転部5とは離間した反対側の先端(図7に示す上部)であるためで、回転部側の応力集中の度合により、反対の回転軸5側にも丸型を構成してもよい。この実施例でも、2本設けられた補強リブ3と丸型の応力緩和部3aはダンパーハネ2の両面に形成しても良い。勿論、応力緩和部3aは丸型に限定されるものではない。
【0035】
図8は、図3に示す従来のダンパーハネ2の先端に補強リブ3と、これと同じかそれ以上幅の部材でT字型部を構成した第四の実施例であり、2本設けられた補強リブ3とこれとは直交するT字型を呈した応力緩和部3aから構成されている。そして、この実施例によれば、応力が集中する補強リブ先端部の周長を長くして応力集中係数を緩和させ、また図5に示すように、応力分布13がダンパーハネ2の内側に向いているため、この実施例では図8に示された応力の方向に対抗する形でT字型の応力緩和部3aを補強リブ3の内側に伸びる部分を外側に伸びる部分より長くしている。図8では片側先端部のみT字型を構成しているが、上記図7の第三の実施例の場合と同様に、回転部側の応力集中の度合により、反対側(回転部側)にもT字型を構成してもよい。また、補強リブ3とT字型を為した応力緩和部3aをダンパーハネ2の両面に形成しても良い。
【0036】
図9は、上記図1(a)に示す第一の実施例に対し、補強リブ3の先端に丸型の応力緩和部を構成せず、補強リブ3がX型をしている場合の第五の実施例である。この実施例の場合は、図1(b)(c)(d)(e)に示したと同様に、Y型、W型、Z型、変形Z型の補強リブ3の構成とすることができる。この補強リブ3もダンパーハネ2の両面に形成しても良い。また、表側の補強リブ3の型と裏側の補強リブの型を相違させることも可能である。
【0037】
図10は、上記図6に示す第二の実施例に対し、上記図7に示す第三の実施例を組み合わせ、4本設けられた補強リブ3の先端に該補強リブ3の幅よりも大きい直径を有する丸型(より詳しくは円筒型)の補強リブ3aを構成している第六の実施例である。そして、これにより、上記図6の第二の実施例よりさらに応力集中の低減が可能となる。この実施例にこいても、補強リブ3と丸型の応力緩和部3aはダンパーハネ2の両面に形成しても良い。この場合も、応力緩和部3aは丸型に限定されるものではない。
【0038】
図11(a)は、ダンパーハネ2の補強リブ3の断面係数を大きくする事を目的に、補強リブ3が3次元形状をした場合の第七の実施例である。この実施例によれば、補強リブ3の形状を、図11(b)の断面図から分かるように、3次元形状の補強リブ3は、薄板で構成し中を中空にすることにより、軽量化が図れる。この実施例においては、3次元形状を三角柱形状としたが、断面を半円形状や楕円形状とすることも可能である。また、図11(b)では、3次元形状の補強リブ3を、ダンパーハネ2の両面に形成したが、片面に形成することも可能であるし、表裏で互い違いに配置することも可能である。また、3次元形状の補強リブ3の全体形状をT字形にすることも可能である。その場合は、T字の横線部分を、ダンパーハネ2の回動軸5から遠い側に配置するのが好ましい。
【符号の説明】
【0039】
1 流路切替えダンパー装置
1a ダクト部
2 ダンパーハネ
3 補強リブ
3a 応力緩和部
4 固定部
5 回転部
6 流体機械(運転)
7 流体機械(停止)
8 ダンパー吸込口
9 ダンパー吐出口
10 パッキン
11 流体の流れ
12 流体からの圧力
13 応力が大きい領域(応力集中領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
別系統の駆動装置を使用せずに流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、前記ダンパーハネには該ダンパーハネの変形を抑制する為の補強リブが設けられており、補強リブの延び出し部の先端部には、応力緩和部を備えていることを特徴とする流路切替えダンパー装置。
【請求項2】
請求項1に記載の流路切替えダンパー装置において、前記ダンパーハネの変形を抑制する為の補強リブが、X型、Y型、W型或いはZ型の何れか一つの型であることを特徴とする流路切替えダンパー装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の流路切替えダンパー装置において、前記ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するための応力緩和部は、補強リブの幅よりも大きい直径を有する円柱形状を呈していることを特徴とする流路切替えダンパー装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載の流路切替えダンパー装置において、前記ダンパーハネ上に設けられた補強リブに発生する応力集中を緩和するための応力緩和部は、その補強リブ先端部に連続してT字型を呈していることを特徴とする流路切替えダンパー装置。
【請求項5】
別系統の駆動装置を使用せずに流路切替え時に作動流体の圧力によりダンパーハネを動かす簡易的な構造の流路切替えダンパー装置において、ダンパーハネ上に設けられた補強リブの断面係数を大きくするため、補強リブが中空になるように3次元的に薄板を組合わせて構成していることを特徴とする流路切替えダンパー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−127423(P2012−127423A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279519(P2010−279519)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】