説明

流路制御弁

【課題】連通させた可動側開口と固定側開口との間から水漏れを生じさせることなく、可動側弁体の回転動作をがたつき無くスムーズに行わせ得る流路制御弁を提供する。
【解決手段】流路制御弁は、可動側弁体2に流体入口2bと可動側開口4とを形成し、固定側弁体3の内周壁3aに複数の固定側開口5を形成し、可動側弁体2を固定側弁体3内に回転自在に内装して可動側弁体2を回転させて可動側開口4を選択的に固定側開口5に連通させるようにした流路制御弁1である。可動側弁体2の外周壁2aに固定側弁体3の内周壁3aに接する突リブ部9を設ける。突リブ部9を、可動側弁体2の筒軸廻りに複数条設けた横リブ9aと、可動側弁体2の筒軸方向に複数条設けた縦リブ9bとで構成し、横リブ9aと縦リブ9bとで囲んだ可動側弁体2の外周壁2aに可動側開口4を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路制御弁に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、流路制御弁1には、図10のように、内部に流体を流入させる流体入口2bを有した筒状の可動側弁体2の外周壁2aに流体出口となる可動側開口4を形成し、内部中空部3bを有した固定側弁体3の内周壁3aに複数の固定側開口5を形成し、可動側弁体2を固定側弁体3の内部中空部3bに回転自在に内装して可動側弁体2をその筒軸廻りに回転させて可動側開口4を選択的に固定側開口5に連通させるようにして構成されたものが知られている。一般的に、このような流路制御弁1では、固定側弁体3の内径と可動側弁体2の外径とが略同径に形成されているため、固定側弁体3の内部中空部3bで行われる可動側弁体2の回転動作が摩擦抵抗によってスムーズに行えないという問題がある。そこで、たとえば特許文献1では、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成して可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間に摩擦低減用の隙間を形成することが行われているが、これでは、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間から上記隙間によって水漏れが生じてしまうと共に回転する可動側弁体2が固定側弁体3の内部中空部3b内でがたついてしまうものであった。すなわち、現状では、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間から水漏れを生じさせずに、固定側弁体3との摩擦抵抗を減少させて可動側弁体2の回転動作をがたつき無くスムーズに行わせ得る流路制御弁1が存在せず、このような流路制御弁1が切望されるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2001−90851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて為したものであって、連通させた可動側開口と固定側開口との間から水漏れを生じさせることなく、可動側弁体の回転動作をがたつき無くスムーズに行わせ得る流路制御弁を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る流路制御弁は、内部に流体を流入させる流体入口2bを有した筒状の可動側弁体2の外周壁2aに流体出口となる可動側開口4を形成し、内部中空部3bを有した固定側弁体3の内周壁3aに複数の固定側開口5を形成し、可動側弁体2を固定側弁体3の内部中空部3bに回転自在に内装して可動側弁体2をその筒軸廻りに回転させて可動側開口4を選択的に固定側開口5に連通させるようにした流路制御弁1であって、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成し、可動側弁体2の外周壁2aに固定側弁体3の内周壁3aに接する突リブ部9を設け、この突リブ部9を、可動側弁体2の筒軸方向に長尺に形成して可動側弁体2の筒軸廻りに複数条設けた横リブ9aと、可動側弁体2の筒軸廻りに長尺に形成して可動側弁体2の筒軸方向に複数条設けた縦リブ9bとで構成し、横リブ9aと縦リブ9bとで囲んだ可動側弁体2の外周壁2aに可動側開口4を形成したことを特徴とする。
【0006】
これによると、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成したので、可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間には摩擦低減用の隙間Sが形成されることとなり、固定側弁体3との摩擦抵抗が減少されて可動側弁体2の回転動作をスムーズに行うことができる。また、可動側弁体2に設けた固定側弁体3の内周壁3aに接する突リブ部9の縦リブ9bと横リブ9aにて可動側開口4が囲まれて形成されているので、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間からの水漏れを防止できる。また、突リブ部9は可動側弁体2の筒軸方向に長尺に形成して可動側弁体2の筒軸廻りに複数条設けた横リブ9aを有するので、可動側弁体2は固定側弁体3の内部中空部3b内でがたつき無く筒軸廻りに回転することができる。また、突リブ部9は可動側弁体2の筒軸廻りに長尺に形成して可動側弁体2の筒軸方向に複数条設けた縦リブ9bを有するので、可動側弁体2はその筒軸方向に亙って固定側弁体3の内周壁3aに接触することとなり、つまり、可動側弁体2の固定側弁体3の内周壁3aへの筒軸方向における接触バランスも良好になるから、可動側弁体2の固定側弁体3の内部中空部3b内でのがたつきをより抑制することができる。
【0007】
また、請求項2に係る流路制御弁は、内部に流体を流入させる流体入口2bを有した筒状の可動側弁体2の外周壁2aに流体出口となる可動側開口4を形成し、内部中空部3bを有した固定側弁体3の内周壁3aに複数の固定側開口5を形成し、可動側弁体2を固定側弁体3の内部中空部3bに回転自在に内装して可動側弁体2をその筒軸廻りに回転させて可動側開口4を選択的に固定側開口5に連通させるようにした流路制御弁1であって、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成し、固定側弁体3の内周壁3aに可動側弁体2の外周壁2aに接する突部10を全周に設けるかまたは周方向に複数隔設し、突部10で固定側開口5の周囲を囲繞したことを特徴とする。
【0008】
これによると、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成したので、可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間には摩擦低減用の隙間Sが形成されることとなり、固定側弁体3との摩擦抵抗が減少されて可動側弁体2の回転動作をスムーズに行うことができる。また、固定側弁体3の内周壁3aに設けた可動側弁体2の外周壁2aに接する突部10で固定側開口5の周囲を囲繞したので、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間からの水漏れを防止できる。また、突部10は固定側弁体3の内周壁3aに全周に設けるかまたは周方向に複数隔設しているので、可動側弁体2は固定側弁体3の内部中空部3b内でがたつき無く筒軸廻りに回転することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、連通させた可動側開口と固定側開口との間から水漏れを生じさせず、且つ、可動側弁体の回転動作をがたつき無くスムーズに行わせ得るといった利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態の例の流路制御弁における可動側弁体であって、(a)は可動側弁体を筒軸廻りのある角度から見た正面図であり、(b)は(a)の側面図であり、(c)は可動側弁体を筒軸廻りの他の角度から見た正面図である。
【図2】(a)は同上の可動側弁体を筒軸廻りのある角度から見た正面図であり、(b)は(a)のC−C線断面図であり、(c)は(a)のD−D線断面図であり、(d)は(a)のE−E線断面図である。
【図3】(a)は同上の流路制御弁の全体斜視図であり、(b)は流路制御弁の分解斜視図である。
【図4】同上の流路制御弁の要部の断面図である。
【図5】同上の流路制御弁の使用形態の例を示す概略構成図である。
【図6】本発明の実施の形態の他例の流路制御弁における可動側弁体であって、(a)は可動側弁体を筒軸廻りのある角度から見た正面図であり、(b)は(a)の側面図である。
【図7】(a)は同上の可動側弁体を筒軸廻りのある角度から見た正面図であり、(b)は(a)のF−F線断面図であり、(c)は(a)のG−G線断面図であり、(d)は(a)のH−H線断面図である。
【図8】同上の流路制御弁の要部の断面図である。
【図9】本発明の実施の形態の更に他例の流路制御弁の要部の断面図である。
【図10】従来技術を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0012】
図1乃至図6に本発明の実施の形態の例を示す。図1乃至4のように、流路制御弁1は、内部に流体を流入させる流体入口2bを有した筒状の可動側弁体2の外周壁2aに流体出口となる可動側開口4を形成し、内部中空部3bを有した固定側弁体3の内周壁3aに複数の固定側開口5を形成し、可動側弁体2を固定側弁体3の内部中空部3bに回転自在に内装して可動側弁体2をその筒軸廻りに回転させて可動側開口4を選択的に固定側開口5に連通させるように構成されている。なお以下、図中矢印A方向を可動側弁体2の筒軸方向と称し、図中矢印B方向を可動側弁体2の筒軸廻り方向と称して説明する。可動側弁体2は筒軸方向の一端部に軸部11を連設し、固定側弁体3の一端部に取り付けたモータケース12に内装したモータ13に上記軸部11を連結して、モータ13の回転駆動で可動側弁体2が筒軸廻りに回動可能にされている。ここで、モータ13はモータケース本体12a内に収納して蓋12bをすることでモータケース12に内装されている。また、筒状の可動側弁体2は可動側弁体2の筒軸方向の他端部に開口し、この開口が流体入口2bとされている。また、可動側弁体2を収納した固定側弁体3の内部中空部3bは、固定側弁体3の他端部に取り付けた可動弁体抑え14で蓋をされるのであり、可動側弁体2の流体入口2bは可動弁体抑え14に備えた給水側流路15に連通されている。また、固定側弁体3に設ける固定側開口5は筒軸方向の同位置において筒軸廻りに3つ並んで設けられている。詳しくは、一対の固定側開口5aが隣接配置されており、他の固定側開口5bが上記一対の固定側開口5aと離れて配置されている。
【0013】
詳しくは、本例の可動側弁体2は、その筒軸方向の中央部に固定側弁体3の内周壁3aに接する径大部6が筒軸廻りに亙って設けられ、また筒軸方向の両端部に固定側弁体3の内周壁3aとの間に摩擦低減用の隙間Sを形成する径小部7が設けられている。なお、上記隙間Sの隙間幅は0.3〜0.7mmが望ましい。そして、上記可動側弁体2の径大部6に可動側開口4が形成されている。つまり、本例の流路制御弁1は、可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間に摩擦低減用の隙間Sが設けられているので、固定側弁体3との摩擦抵抗が減少されて可動側弁体2の回転動作をスムーズに行うことが可能にされている。また、可動側弁体2に設けた固定側弁体3の内周壁3aに接する径大部6に可動側開口4が形成されているので、可動側開口4が周囲から径大部6で囲まれることとなり、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間からの水漏れが防止可能にされている。また、径大部6は可動側弁体2の筒軸廻りに亙って設けられているので、可動側弁体2は固定側弁体3の内部中空部3b内でがたつき無く筒軸廻りに回転することが可能にされている。また、可動側弁体2は径大部6を可動側弁体2の筒軸方向の中央部に設けると共に径小部7を可動側弁体2の筒軸方向の両端部に設けて形成されているので、径大部6と同外径に形成した可動側弁体2の中間製造物においてその筒軸方向の両端の外周壁2aを削ることで上記径大部6及び径小部7を有した可動側弁体2を得ることができ、つまり製造性良く可動側弁体2を得ることができる利点も有している。
【0014】
また、上記径大部6には筒軸方向に亙るゴミ抜き用の溝8が可動側開口4に連通されないように形成されている。可動側弁体2の径大部6の外面と固定側弁体3の内周壁3aとの間には、厳密には可動側弁体2が回転するための微小隙間があるが、この微小隙間にゴミが入ってしまっても、径大部6に筒軸方向に亙って形成したゴミ抜き用の溝8によって上記ゴミを抜くことができるから、可動側弁体2のスムーズな回動動作を確保することが可能にされている。ここで、ゴミ抜き用の溝8は平面視でV字状に形成されており、つまり、径大部6における筒軸方向の中央部を境にして筒軸廻りの一方向に傾斜する傾斜部8aがそれぞれ形成されている。したがって、上記可動側弁体2の径大部6の外面と固定側弁体3の内周壁3aとの間に入ったゴミは、可動側弁体2がその筒軸廻りに回転した際に、溝の傾斜部に沿って可動側弁体2の筒軸方向の両側にある摩擦低減用の隙間Sにすみやかに排出可能にされているのである。
【0015】
上記構成の流路制御弁1は、たとえば図5のようにジェットバス装置16などの浴槽装置に用いることができる。このジェットバス装置16は、浴槽17に設けた吸込口18から吐出口19に至る循環経路20を有し、この循環経路20に配置したポンプ21によって吸込口18から浴水を吸い込むと共に、循環経路20に設けたエア供給部によって上記吸い込んだ浴水にエアを含ませ、吐出口19から上記吸い込んだ浴水をエアと共に浴槽17に吐出する装置である。ジェットバス装置16は吐出口19から吐出した浴水を浴槽17に入浴した入浴者Nに当てることで入浴者Nにマッサージを施すことが可能であり、図5のジェットバス装置16では、吐出口19が入浴者Nの身体に沿うように浴槽17の複数箇所に設けられ、循環経路20がポンプ21の下流で2股に分岐させられ、この分岐した循環経路20にそれぞれ本例の流路制御弁1が設けられ、各流路制御弁1にて更に循環経路20を分岐させて各吐出口19に至らしめている。ここで、流路制御弁1は、可動側弁体2の流体入口2bがポンプ21から至る循環経路20に連通され、隣接配置された一対の固定側開口5aが一の吐出口19に連通され、上記一対の固定側開口5aと離れた他の固定側開口5bが他の吐出口19に連通されている。詳しくは、吐出口19は、浴水を入浴者Nの足裏に当てる足裏用吐出口19a、浴水を入浴者Nの下腿部に当てる下腿用吐出口19b、浴水を入浴者Nの大腿部に当てる大腿用吐出口19c、浴水を入浴者Nの背中に当てる背中用吐出口19dで構成されており、一の流路制御弁1aは一対の固定側開口5aが足裏用吐出口19aに連通されると共に他の固定側開口5bが下腿用吐出口19bに連通され、他の流路制御弁1bは一対の固定側開口5aが背中用吐出口19dに連通されると共に他の固定側開口5bが大腿用吐出口19cに連通されている。一対の固定側開口5aが連通する足裏用吐出口19aや背中用吐出口19dには、一対の固定側開口5aに流れる各浴水をクロスして吐出させるノズル23が配置されている。各流路制御弁1やポンプ21は制御部24によって運転制御されるようになっている。
【0016】
ここで、流路制御弁1において可動側弁体2をモータ13によってその筒軸廻りに回転駆動させると、可動側開口4が3つの固定側開口5に順次に連通するようになる。このとき、一対の固定側開口5aは隣接配置されたものであるから、回転移動する可動側開口4は、一対の固定側開口5aのうち一方の固定側開口5にのみ連通する状態、一対の固定側開口5aの両方に連通する状態、一対の固定側開口5aのうち他方の固定側開口5にのみ連通する状態が連続して順次生じるようにされている。可動側開口4が一対の固定側開口5aのうち一方の固定側開口5にのみ連通する状態ではノズル23から矢印aの方向に浴水が吐出されるようになり、可動側開口4が一対の固定側開口5aの両方に連通する状態ではノズル23から吐出した各浴水同士が衝突してその結果矢印bの方向に浴水が吐出されるようになり、可動側開口4が一対の固定側開口5aのうち他方の固定側開口5にのみ連通する状態ではノズル23から矢印cの方向に浴水が吐出されるようになる。すなわち、上記一対の固定側開口5aが連通する吐出口(足裏用吐出口9aや背中用吐出口9d)では浴水がスイングして吐出可能にされているのである(矢印d参照)。
【0017】
このように本例の流路制御弁1をジェットバス装置16のような浴槽装置に用いたことによると以下の利点を備えることができる。つまり、流路制御弁1では叙述したように連通状態にある固定側開口5と可動側開口4との間で水漏れが生じないため、各吐出口からの浴水の吐出をロス無く行わせることができる。また、流路制御弁1では叙述したように可動側弁体2ががたつき無く回転できると共に回転する可動側弁体2と固定側弁体3との摩擦が低減されているため、モータ13の小型化を図ることができ、浴槽17とエプロンとの間の比較的狭い部分に配設しなければならないジェットバス装置16の省スペース化に資することができる。更に言うと、流路制御弁1には入浴者Nの皮脂等のゴミを含む浴水が流れるのであって、流路制御弁1は可動側弁体2の径大部6の外面と固定側弁体3の内周壁3aとの間に上記ゴミが入り込む可能性が高い悪条件下での使用となっているが、径大部6に設けた溝8によって上記ゴミを可動側弁体2の径大部6の外面と固定側弁体3の内周壁3aとの間から排除することができるのであり、つまり流路制御弁1では上記ゴミによる故障の発生が抑制されジェットバス装置16の耐久性の向上に資することができる。
【0018】
図7乃至図9には本発明の実施の形態の他例を示す。本例の流路制御弁1は先例の流路制御弁1の一部を変更した例であるから、先例の流路制御弁1と共通する部分については同符号を付して説明を省き、上記変更点を中心に説明していく。
【0019】
本例の流路制御弁1は、図6乃至図8のように、可動側弁体2の外径が固定側弁体3の内径より小さく形成してある。可動側弁体2の外周壁2aには固定側弁体3の内周壁3aに接する突リブ部9が設けられている。この突リブ部9は、可動側弁体2の筒軸方向に長尺に形成して可動側弁体2の筒軸廻りに複数条設けた横リブ9aと、可動側弁体2の筒軸廻りに長尺に形成して可動側弁体2の筒軸方向に複数条設けた縦リブ9bとで構成されている。横リブ9aと縦リブ9bとで囲んだ可動側弁体2の外周壁2aに可動側開口4が形成されている。詳しくは、可動側弁体2の外径が固定側弁体3の内径より小さく形成したことで、図8のように、可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間に摩擦低減用の隙間Sが形成されている。また、複数の横リブ9aは可動側弁体2の外周壁2aにおける筒軸廻りに略対称な位置からそれぞれ突設されている。本例の横リブ9aは可動側弁体2の外周壁2aに筒軸方向の全長に亙るように形成され、可動側弁体2の外周壁2aにおいて筒軸廻りに略90度ずつずらした位置に設けられている。また、複数の縦リブ9bは本例では可動側弁体2の外周壁2aの全周に亙るように形成され、可動側開口4を間に挟むように可動側弁体2の筒軸方向の2箇所の位置に設けられている。なお、横リブ9a及び縦リブ9bの幅は1〜2mm程度が望ましい。これら各横リブ9aと各縦リブ9bとは略垂直に交差して格子状の突リブ部9を形成している。つまり、固定側弁体3の内部中空部3bに可動側弁体2を配置すると、固定側弁体3の内周壁3aと可動側弁体2の外周壁2aとの間に突リブ部9で区分けされた隙間空間が形成されるのである。そして、可動側開口4は少なくとも横リブ9aと縦リブ9bとで隙間無く囲まれた(つまり密閉された隙間空間に臨む)可動側弁体2の外周壁2aの部位に形成されている。
【0020】
この流路制御弁1によると、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成したので、可動側弁体2と外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間には摩擦低減用の隙間S(すなわち上記隙間空間)が形成されることとなり、固定側弁体3との摩擦抵抗が減少されて可動側弁体2の回転動作をスムーズに行うことが可能にされている。また、可動側弁体2に設けた固定側弁体3の内周壁3aに接する突リブ部9の縦リブ9bと横リブ9aにて可動側開口4が囲まれて形成されているので、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間からの水漏れが防止可能にされている。また、突リブ部9は可動側弁体2の筒軸方向に長尺に形成して可動側弁体2の筒軸廻りに複数条設けた横リブ9aを有するので、可動側弁体2は固定側弁体3の内部中空部3b内でがたつき無く筒軸廻りに回転することが可能にされている。また、突リブ部9は可動側弁体2の筒軸廻りに長尺に形成して可動側弁体2の筒軸方向に複数条設けた縦リブ9bを有するので、可動側弁体2はその筒軸方向に亙って固定側弁体3の内周壁3aに接触することとなり、つまり、可動側弁体2の固定側弁体3の内周壁3aへの筒軸方向における接触バランスも良好になるから、可動側弁体2の固定側弁体3の内部中空部3b内でのがたつきをより抑制することが可能にされている。更に言うと、先例の流路制御弁1では、可動側弁体2の外周壁2aの全周に亙って可動側開口4の幅よりも大きな幅の帯状に形成した径大部6が固定側弁体3の内周壁3aに接するものであったが、本例の流路制御弁1では、可動側弁体2の外周壁2aに設けた格子状の突リブ部9が固定側弁体3の内周壁3aに接するものとしたので、本例では先例に比べて回転する可動側弁体2の外面と固定側弁体3の内面との接触面積を少なくできて、可動側弁体2の回転動作を更にスムーズに行わせることができたものであると共に、接する可動側弁体2の外面と固定側弁体3の内面との間にゴミが侵入する恐れも低減されている。
【0021】
図9には本発明の実施の形態の更に他例を示す。本例の流路制御弁1は、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成してある。固定側弁体3の内周壁3aに可動側弁体2の外周壁2aに接する突部10を全周に設けるかまたは周方向に複数隔設してある。そして、この突部10で固定側開口5の周囲を囲繞してある。詳しくは、本例の突部10は、固定側弁体3の内周壁3aの中心軸(可動側弁体2の筒軸と同軸)方向に延びる長尺のリブ状に形成してあり、固定側弁体3の内周壁3aにおいてその中心軸廻りに略対称な位置(具体的には中心軸廻りに略90度ずつずらした位置)に複数隔設してある。そして、各突部10の間には固定側開口5が一つずつ位置されており、突部10で各固定側開口5がそれぞれ隔てられている。つまり、固定側弁体3の内部中空部3bに可動側弁体2を配置すると、固定側弁体3の内周壁3aと可動側弁体2の外周壁2aとの間に突部10で区分けされた隙間空間が形成されるのである。
【0022】
この流路制御弁1によると、可動側弁体2の外径を固定側弁体3の内径より小さく形成したので、可動側弁体2の外周壁2aと固定側弁体3の内周壁3aとの間には摩擦低減用の隙間S(すなわち上記隙間空間)が形成されることとなり、固定側弁体3との摩擦抵抗が減少されて可動側弁体2の回転動作をスムーズに行うことが可能にされている。また、固定側弁体3の内周壁3aに設けた可動側弁体2の外周壁2aに接する突部10で固定側開口5の周囲を囲繞したので、連通させた可動側開口4と固定側開口5との間からの水漏れが防止されている。また、突部10は固定側弁体3の内周壁3aの周方向に複数隔設しているので、可動側弁体2は固定側弁体3の内部中空部3b内でがたつき無く筒軸廻りに回転することが可能にされている。なお、本例の突部10は、先例の横リブ9aのように、固定側弁体3の内周壁3aの中心軸(可動側弁体2の筒軸と同軸)方向に延びる長尺のリブ状(リブ幅は1〜2mm程度にしてある)であって、固定側弁体3の内周壁3aにおいてその中心軸廻りに略対称な位置に複数隔設してあるが、この横リブ9a状の突部10に先例の縦リブ9bのように固定側弁体3の内周壁3aの全周に亙って設けた突部10を加えて格子状の突部10を形成してもよく、この場合、回転する可動側弁体2は周方向に亙って固定側弁体3の内周壁3aに接することができるから、固定側弁体3の内部中空部3bで可動側弁体2を更にがたつき無く筒軸廻りに回転させることが可能になる。
【符号の説明】
【0023】
1 流路制御弁
2 可動側弁体
2a 外周壁
2b 流体入口
3 固定側弁体
3a 内周壁
3b 内部中空部
4 可動側開口
5 固定側開口
6 径大部
7 径小部
8 ゴミ抜き用の溝
9 突リブ部
9a 横リブ
9b 縦リブ
10 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に流体を流入させる流体入口を有した筒状の可動側弁体の外周壁に流体出口となる可動側開口を形成し、内部中空部を有した固定側弁体の内周壁に複数の固定側開口を形成し、可動側弁体を固定側弁体の内部中空部に回転自在に内装して可動側弁体をその筒軸廻りに回転させて可動側開口を選択的に固定側開口に連通させるようにした流路制御弁であって、可動側弁体の外径を固定側弁体の内径より小さく形成し、可動側弁体の外周壁に固定側弁体の内周壁に接する突リブ部を設け、この突リブ部を、可動側弁体の筒軸方向に長尺に形成して可動側弁体の筒軸廻りに複数条設けた横リブと、可動側弁体の筒軸廻りに長尺に形成して可動側弁体の筒軸方向に複数条設けた縦リブとで構成し、横リブと縦リブとで囲んだ可動側弁体の外周壁に可動側開口を形成したことを特徴とする流路制御弁。
【請求項2】
内部に流体を流入させる流体入口を有した筒状の可動側弁体の外周壁に流体出口となる可動側開口を形成し、内部中空部を有した固定側弁体の内周壁に複数の固定側開口を形成し、可動側弁体を固定側弁体の内部中空部に回転自在に内装して可動側弁体をその筒軸廻りに回転させて可動側開口を選択的に固定側開口に連通させるようにした流路制御弁であって、可動側弁体の外径を固定側弁体の内径より小さく形成し、固定側弁体の内周壁に可動側弁体の外周壁に接する突部を全周に設けるかまたは周方向に複数隔設し、突部で固定側開口の周囲を囲繞したことを特徴とする流路制御弁。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−117614(P2011−117614A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−59695(P2011−59695)
【出願日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【分割の表示】特願2005−356997(P2005−356997)の分割
【原出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】