流量制御弁
【課題】絞り孔における圧力の変動によって弁体が振動を起し、流量制御の動作が不安定化する問題を解決して、安定して動作し得る流量制御弁を提供する。
【解決手段】ばね又は/及び圧力による互いに逆向きの弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体46を進退移動させ、絞り弁部58と固定側の絞り壁部48-1との間の絞り孔79の開度を変化させる定流量弁2において、絞り弁部58にスリット状の貫通の弁部開口80を第2の絞り孔として設けておく。
【解決手段】ばね又は/及び圧力による互いに逆向きの弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体46を進退移動させ、絞り弁部58と固定側の絞り壁部48-1との間の絞り孔79の開度を変化させる定流量弁2において、絞り弁部58にスリット状の貫通の弁部開口80を第2の絞り孔として設けておく。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流量制御弁に関し、詳しくはばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動して流量制御を行う流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体を進退移動させ、弁体に備えた絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、且つ弁体の弁閉方向の前進移動により絞り孔の開度を小として流路の液の流れに対する絞りを大とし、また弁開方向の後退移動により絞り孔の開度を大として液の流れに対する絞りを小とすることで流量制御を行う流量制御弁が公知である。
【0003】
定差圧式の定流量弁はその一例である。
この定流量弁では、上記絞り孔とは別の個所に設けられたオリフィス孔を有し、弁体に作用する1次側圧力と2次側圧力との差圧をバランスさせるように弁体を進退移動させてその差圧を一定に保ち、オリフィス孔を通じて一定流量で液を流通させる。
【0004】
例えば下記特許文献1にこの種の定流量弁が開示されている。
この特許文献1に開示の定流量弁では、軸方向に摺動可能なピストン弁体の胴壁にフランジ部を固着して、その一方の面に1次側圧力P1を、他方の面に2次側圧力P2とばねの付勢力とを作用させ、そしてP1が増加した場合にはピストン弁体を弁閉方向に摺動させて弁座部材の流水孔の開度を絞り、またP1が小さくなった場合にはピストン弁体を逆方向の弁開方向に摺動させて流水孔の開度を広げ、以ってP1とP2との差圧を一定に保って一定流量で水を流通させるようになしている。
【0005】
ところで、特許文献1に開示のものを含めて従来の定流量弁では、1次側圧力が増大して弁体が弁閉方向に前進移動し、絞り弁部が固定側の絞り壁部に向けて移動することで絞り孔の開度を小さくし、流路の液の流れに対する絞りを大きくしたときに、弁体が弁開方向と弁閉方向とに後退及び前進移動を小刻みに繰り返して振動を起す問題を生ずる。
【0006】
この現象を図11に基づいて以下に具体的に説明する。
図において200は定流量弁、202は定流量弁200の本体ボデー、204は円筒状をなすシリンダ壁、206はそのシリンダ壁204に形成された貫通の液の通過開口である。
208は弁体で円筒状の絞り弁部210を備えている。
弁体208は、その絞り弁部210においてシリンダ壁204の内面に軸方向(図中上下方向)に摺動可能に嵌合されている。
【0007】
弁体208は、シリンダ壁204との間にオリフィス孔212を形成しており、また弁体208にはばね(金属製のコイルばね)214の付勢力が図中下向きに及ぼされている。
216は固定側の絞り壁部で、218はこの絞り壁部216と弁体208における絞り弁部210との間に形成された、流路の液の流れを絞る絞り孔である。
尚220,222はそれぞれ本体ボデー202に備えられた液の流入口,流出口である。
【0008】
この定流量弁200では、流入口220から流入した液がオリフィス孔212を通過し、更に絞り孔218を通過して流出口222から流出する。
このとき弁体208は、弁体208に対して図中上向きに働く1次側圧力P1による弁閉方向の力と、弁体208に対して図中下向きに働く2次側圧力P2及びばね214の付勢力による弁開方向の力とをバランスさせるように図中上下方向に進退移動する。
【0009】
詳しくは、1次側圧力P1が高くなると弁体208が図中上向きの弁閉方向に前進移動して、絞り弁部210が液の通過開口206の解放面積を小とし、即ち絞り孔218の開度を狭くして、流路の液の流れに対する絞りを大とし、2次側圧力P2を高めて1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定とする。
一方、1次側圧力P1が低くなると弁体208が図中下向きの弁開方向に後退移動して絞り孔218の開度を広げ、液の流れに対する絞りを小として2次側圧力P2を低くし、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定に保つ。
その結果流路を流れる液の流量が一定に保持される。
以下の式(1)はこのときの液の流量を表している。
【0010】
【数1】
【0011】
但し式(1)中Qは流量で、aはオリフィス孔212の流路面積,cは定数で、ΔPはP1とP2との差圧,ρは液の比重である。
式(1)に示しているように定流量弁200にあっては、差圧ΔPが一定に保たれるため、オリフィス孔212を通過して流れる液の流量は一定流量に保たれる。
【0012】
この定流量弁200では、1次側圧力P1が高圧になると絞り弁部210が絞り孔218を狭くして流路の液の流れを大きく絞る。このとき絞り孔218を通過する液の流速が速くなって、ベルヌーイの定理により絞り弁部210の図中直上部位での液の圧力が2次側の圧力P2よりも局部的に小さくなる。即ち図11(B)に示しているように2次側圧力P2よりも小さな圧力P3が絞り弁部210の図中上面に対して下向きに加わる状態となる。
【0013】
その結果、絞り弁部210の下面に対して上向きに加わる圧力P2による力と、上面に対して下向きに加わる圧力P3による下向きの力とがアンバランスとなり、即ち絞り弁部210に対して上向きに加わる力が下向きに加わる力に打ち勝って大となり、絞り弁部210即ち弁体208が図中上向きに押し上げられる。
ところがこのように弁体208が図中上向きに押し上げられると、絞り孔218での液の流量が減少するために、図11(B)の圧力P3が大となって圧力P2に近くなり、その結果絞り弁部210即ち弁体208が今度は図中下向きに後退移動するようになる。
【0014】
そしてこのような弁体208の図中上向きの前進移動と下向きの後退移動とが繰り返され、弁体208が振動を生じてしまうのである。
而して弁体208がこのような振動を生じると、定流量弁200の動作が不安定となり、本来の適正な定流量化作用を行えなくなってしまう。
また、ΔPを保つために絞り弁部210に対する上向きの力もばね214で支える必要があるため、ばね荷重を大きくする必要必要がある。このため、ばね214を大きくしなければならずコストが高くなってしまう。
【0015】
以上定流量弁を例にとって説明したが、同様の問題はばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体が進退移動して、弁体の絞り弁部にて流路の液の流れを絞る形式の流量制御弁、例えば減圧弁や、感温体としての形状記憶合金製の感温ばねとバイアスばねとの付勢力を、或いは液圧を混合弁体に対し互いに逆向きに作用させて混合弁体を移動させ、湯と水との混合の比率を制御する湯水混合弁等の流量制御弁においても共通して生じ得る問題である。
【0016】
従来において、流量制御弁における上記のような問題点の指摘及びこれを解決するための手段については、特許文献1に開示のものも含めて今までなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開平6−28442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は以上のような事情を背景とし、絞り孔における圧力の変動によって弁体が振動を起し、流量制御の動作が不安定化する問題を解決して、安定して動作し得る流量制御弁を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
而して請求項1のものは、ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とを逆向きに受けて、それら弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動する弁体を有し、該弁体は絞り弁部を備えていて、該絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、該弁体の弁閉方向の前進移動により該絞り弁部を該絞り壁部に向けて移動させて液の流れに対する絞りを大とする流量制御弁において、前記絞り弁部には、少なくとも前記絞り壁部の先端部と、該絞り壁部の先端部に対向する該絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに前記流路の該絞り弁部に対する上流側と下流側とを連通状態とする貫通の弁部開口が第2の絞り孔として設けてあることを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、筒形をなすシリンダ壁の内部に前記弁体が軸方向に摺動可能に嵌合されており、該シリンダ壁には貫通の液の通過開口が形成されていて、前記絞り弁部が前記弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退により該通過開口の解放面積を変化させるものとなしてあり、該シリンダ壁は、該通過開口に対して該弁体の前進側に位置する前進側壁部が前記絞り壁部を成しているとともに、該通過開口と前記絞り弁部の弁部開口とは、該弁部開口が、該シリンダ壁の該通過開口に対して前記弁体の後退側に位置する後退側壁部にて閉鎖され且つ該後退側壁部における該通過開口側の端と該弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、前記絞り弁部の前進側の端である先端と前記絞り壁部の該通過開口側の端である先端との間の軸方向寸法が、該弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさが定めてあることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1において、前記弁体がダイヤフラム式の弁体、前記絞り壁部が該ダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成されており、前記絞り弁部が該筒状の絞り壁部に向って軸方向に突出する状態で該弁体に備えてあることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記流量制御弁の下流側に配置され、開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とともにフラッシュ弁装置を構成していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0023】
以上のように本発明は、弁体における絞り弁部に貫通の弁部開口を第2の絞り孔として設けたものである。
ここで弁部開口は、少なくとも絞り壁部の先端部と、絞り壁部に対向する絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに、絞り弁部に対する流路の上流側と下流側とを連通状態とするように設けておく。
【0024】
従来の流量制御弁の場合、弁体が弁閉方向に前進移動したとき、流路の液は固定側の絞り壁部と可動側である弁体の絞り弁部との間に形成される絞り孔を通じてのみ下流側へと流れる。
これに対し本発明の流量制御弁では、弁体が弁閉方向に前進移動して絞り弁部の先端部が絞り壁部の先端部に接近したとき、絞り弁部に設けた貫通の弁部開口が、絞り弁部の上流側と下流側とを連通した状態となって弁部開口が第2の絞り孔として有効に働く。
【0025】
即ち本発明の流量制御弁では、上流側の液が絞り弁部の先端部と絞り壁部の先端部との間の絞り孔(主絞り孔)を通過して下流側に流れるのに加えて、弁部開口を通じても上流側から下流側へと流れる。従ってこのような弁部開口を設けていない従来の流量制御弁に較べて、同一の主絞り孔の開度の下で絞り弁部を通過して流れる液の流量が多くなる。
【0026】
その結果本発明の流量制御弁では、1次側圧力が高くなったときの弁体の弁閉方向の前進移動量がその分多くなり、弁体の前進端で絞り弁部の先端部と絞り壁部の先端部との間の主絞り孔が従来よりも大きく絞られるか、又は絞り弁部の先端部が絞り壁部と軸直角方向(液の流れの方向)に重なって主絞り孔が閉鎖状態となり、流路の液は弁部開口即ち第2の絞り孔を通じてのみ上流側から下流側へと流れるようになる。
【0027】
このとき、絞り弁部の前進側の先端面には2次側圧力とほぼ同等の圧力が弁開方向に加わる状態となる。
一方弁部開口、即ち第2の絞り孔においては、液の流れが速くなることによってそこで圧力が局部的に低下するが、その低下した圧力は弁部開口の内面に対して弁閉方向の前進方向にも、また弁開方向の後退方向にも加わり、従って弁部開口の内面に対してはそれらの力がキャンセルされて消失するか、又は働くとしても僅かな力となる(弁閉方向に圧力を受ける受圧面と弁開方向に圧力を受ける受圧面との面積が僅かに違っている場合)。
この結果弁体にはこれを振動させる力は作用せず、従って本発明の流量制御弁では、弁体が安定して動作し、流量制御動作を適正に行うようになる。
或いはばねを用いている場合には、必要なばね荷重が適正なばね荷重ですむ。
【0028】
本発明では、筒形をなすシリンダ壁の内部に弁体を軸方向に摺動可能に嵌合し、弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退移動により、シリンダ壁に設けた液の通過開口の解放面積を絞り弁部によって変化させるようになしておくことができる。
即ちシリンダ壁の、上記通過開口に対して弁体の前進側に位置する前進側壁部を絞り壁部となして、これに弁体の絞り弁部を接近離間方向に移動させ、絞り弁部と絞り壁部との間に形成される絞り孔(主絞り孔)を狭く或いは広く開度変化させるようになすことができる。
【0029】
この場合においてシリンダ壁の通過開口と絞り弁部の弁部開口の大きさは、次のような関係となるように定めておくことができる。
即ち弁部開口が、通過開口に対して弁体の後退側に位置するシリンダ壁の後退側壁部にて閉鎖され且つ後退壁部における通過開口側の端と弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、絞り弁部の前進側の端である先端と絞り壁部の通過開口の側の端である先端との間の軸方向寸法が、弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさを定めておくことができる(請求項2)。
【0030】
本発明ではまた、弁体をダイヤフラム式の弁体、絞り壁部をダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成し、そして絞り弁部を、筒状の絞り壁部に向けて軸方向に突出する状態で弁体に備えておくことができる(請求項3)。
【0031】
次に請求項4は、流量制御弁と、その下流側に配置され開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とでフラッシュ弁装置を構成するようになしたものである。
従来のフラッシュ弁装置では、フラッシュ弁の上流側に止水栓を設けておき、その止水栓を操作することによって流量調節し、止水栓の操作により調節した流量で下流側のフラッシュ弁へと水を供給するようになしている。
この止水栓に代えて上記の流量制御弁を設けておくことで、流量制御弁で流量制御した水を下流側のフラッシュ弁へと供給するようになすことができる。
【0032】
本発明では、上記流量制御弁を、絞り部とは別の個所に設けられたオリフィス孔を有し、弁体に作用する1次側圧力と2次側圧力との差圧を一定に保持して、オリフィス孔を通じて一定流量で液を通過させる定流量弁として構成しておくことができる。
【0033】
或いは流量制御弁を、絞り弁部による絞り量を変化させることで2次側圧力を1次側圧力よりも小さい設定圧力に保持する減圧弁として構成しておくことができる。
更には水と湯とのそれぞれの流量を制御して湯水の混合比率を制御する湯水混合弁として構成しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態の定流量弁を備えたフラッシュ弁装置の全体構成を示した図である。
【図2】図1の定流量弁の断面図である。
【図3】図2の要部を示す斜視図である。
【図4】同実施形態の要部の作用説明図である。
【図5】同実施形態の要部を比較例とともに示した図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図7】同実施形態の作用説明図である。
【図8】同実施形態の要部を拡大して示した図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図11】従来の定流量弁の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1は、本発明をフラッシュ弁装置に適用した場合の例を示したもので、図中1はフラッシュ弁装置であり、このフラッシュ弁装置1は、流量制御弁としての定流量弁2と、その下流側に配置されたフラッシュ弁3とを備えて構成されている。
【0036】
ここでフラッシュ弁3は、開弁により設定流量(総流量)の水を便器洗浄水として流した後に自動閉弁する自閉式の弁である。
4はフラッシュ弁装置1における本体ボデー(バルブボデー)で、フラッシュ弁3側の本体ボデー4Aと、定流量弁2側の本体ボデー4Bとを管体4Cにて連結した形態をなしている。
【0037】
この実施形態では、給水源からの水が流入口5から定流量弁2内部に流入し、そこで定流量化された上でフラッシュ弁3側に流入し、流出口6から便器に向けて流出される。
【0038】
従来のフラッシュ弁装置では、フラッシュ弁3の上流側に止水栓を設けておき、その止水栓を操作することによって流量調節し、止水栓の操作により調節した流量で下流側のフラッシュ弁3へと水を供給するようになしていた。
しかしながらこの場合、フラッシュ弁装置ごとに且つ設置場所ごとに給水圧に応じて止水栓を操作し、流量調節しなければならず、フラッシュ弁装置の設置に際して作業量が多くなり、設置作業に面倒を伴う。
しかるにこの実施形態では止水栓に代えて定流量弁2を設けてあるため、定流量弁2で自動的に定流量化した上でフラッシュ弁3に水を供給することができ、従ってフラッシュバルブ装置1ごとに作業者が流量調節を行うといった手間を省くことができる。
【0039】
図1において、10はフラッシュ弁3における内部の流路で、12は流路10を開閉する主弁であり、ピストン式の弁体(主弁体)13を有している。
弁体13は、常時は弁座(主弁座)14に着座した状態にあって、流路10における1次側の上流側流路10aと、2次側の下流側流路10bとを遮断した状態にある。
【0040】
このフラッシュ弁装置1では、弁体13が弁座14から図中上向きに離れて開弁することで、上流側流路10aと下流側流路10bとが連通状態となって、上流側流路10aの水が下流側流路10bへと流れ込み、便器(大便器)に対し洗浄水として給水される。
【0041】
主弁12における弁体13の背後(図中上側)には圧力室16が形成されており、弁体13は通常時はこの圧力室16内の水の圧力で図中下向きに押圧され閉弁状態に維持される。
圧力室16からは、その内部の水を下流側流路10bに抜き出すための水抜路(第2の水抜路)26が、弁体13を貫通して延び出しており、その水抜路26上に傾動式の起動弁(第2の起動弁)28が設けられている。
【0042】
30は、この起動弁28を操作するための押ボタン式の操作部で、この操作部30を図中左向きに押込操作すると、ロッド32によって起動弁28における弁体(起動弁体)29が傾動させられ、開弁動作する。
弁体29が開弁すると、主弁12の弁体13を貫通した水抜路26が開放状態となって、圧力室16内の水が水抜路26を通じて下流側流路10bに抜き出される。
尚、この起動弁28及び操作部30は停電時等における非常用のもので、通常は後述の起動弁20が、図示を省略する押ボタン式の操作部の操作によって動作させられる。
【0043】
上記ピストン式の主弁12の弁体13には、上流側流路10aの水を圧力室16内に導入する、小孔から成る導入小孔34が弁体13を貫通する状態で設けられている。
この導入小孔34は、弁体13が開弁後に閉弁した後において、上流側流路10aの水を圧力室16に導入し圧力室16の圧力を増大させるもので、ここでは導入小孔34は第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2とに分岐させられている。
そして第2分岐孔34-2に、導水制御弁38が開閉可能に設けられている。
【0044】
この導入小孔34において、一方の第1分岐孔34-1は常時開放状態とされ、また他方の第2分岐孔34-2は、導水制御弁38によって開閉されるようになっている。
この導水制御弁38は、主弁12の弁体13の開弁後における閉弁を開弁後早い段階で行うためのもので、節水を目的としたものである。
【0045】
詳しくはこの導水制御弁38は、圧力室16の圧力が高く、主弁12の弁体13が閉弁した状態の下では図中下向きに導水制御弁38における弁体が開弁した状態にあって、第2分岐孔34-2を開放した状態にあるが、後述の第1の起動弁20、或いは第2の起動弁28の開弁により圧力室16の水が下流側流路10bに抜き出されて圧力室16の圧力が消失すると、上流側流路10aの圧力で図中上向きに移動して一旦閉弁状態となる。
その後主弁12の弁体13が図中上向きに上昇即ち開弁動作すると、この導水制御弁38の弁体がストッパ52に当接して開弁し、第2分岐孔34-2を開放する。
【0046】
従って上流側流路10aの水が、導入小孔34の第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2との両方を通って圧力室16に流入し、速やかに圧力室16の圧力を上昇せしめる。
そのために弁体13の開弁後における閉弁の開始が早い段階で行われ、便器洗浄水のための洗浄水の使用水量を低減せしめる。
【0047】
尚この実施形態では、ストッパ52がスプリング73にて下向きに付勢されており、導水制御弁38の弁体が図中上向きに移動したときにストッパ52がスプリング73を撓ませながら上向きに上昇移動する。
そして弁体13の閉弁に際してその上昇端から図中下向きに移動する際、ストッパ52がスプリング73の付勢力によって弁体13の移動とともに下降移動し、弁体13の閉弁運動の途中まで導水制御弁38の弁体を開弁状態に維持する。
【0048】
そして弁体13が閉弁位置近くまで移動したところで、ストッパ52が導水制御弁38の弁体を開放し(ストッパ52が、その下降端を規定する位置決手段によって下向きの突出量が規定されている)、ここにおいて導水制御弁38の弁体が閉弁状態となって、以後は第1分岐孔34-1を通じてのみ上流側流路10aの水が圧力室16内に導入される。
但しこの導水制御弁38は本発明とは直接関係しないものであるため、ここでは更に詳しい説明は省略する。
尚、35は導入小孔34にごみ等が入り込み、目詰りを生ぜしめるのを防止するためのメッシュから成るストレーナである。
【0049】
上記圧力室16からはまた、その内部の水を下流側流路10bに抜き出すための水抜路(第1の水抜路)18が延び出しており、その水抜路18上に起動弁(第1の起動弁)20が設けられている。
水抜路18は、この起動弁20にて開閉される。即ち水抜路18における1次側の上流側流路18aと下流側流路18bとが、起動弁20にて連通及び遮断される。
【0050】
ここで起動弁20は、電磁パイロット弁22とダイヤフラム弁24とを有している。
ダイヤフラム弁24は、電磁パイロット弁22にて開閉制御され、電磁パイロット弁22が開弁することで、このダイヤフラム弁24が開弁動作し、また電磁パイロット弁22が閉弁することで、ダイヤフラム弁24が閉弁動作する。
尚、起動弁20は図示を省略する押ボタン式の操作部の操作に基づいて動作する。
【0051】
この実施形態のフラッシュ弁装置では、起動弁20詳しくはダイヤフラ弁24が開弁動作すると、圧力室16内の水が水抜路18を通じて下流側流路10bへと抜き出され、ここにおいて圧力室16内の水の圧力が消失して、ピストン式の弁体13が上流側流路10aの圧力により図中上向きに開弁動作する。
ここにおいて流路10が開放状態となって給水が行われ、便器に洗浄水が勢い良く供給されて便器洗浄が行われる。
またダイヤフラム弁24が閉弁状態となった後、上流側流路10aの水が上記の導入小孔34を通じて圧力室16内に流入し、これにより圧力室16の圧力が上昇して、その圧力が一定以上になると弁体13が閉弁動作して流路10を遮断し、便器洗浄のための給水を停止する。
尚、起動弁28及び操作部30を用いない場合には、図1(B)の部分拡大図に示しているように開口40を栓42にて閉鎖しておく。
【0052】
上記定流量弁は、本体ボデー4Bの内部に流路44を有しており、この流路44上に弁体46が設けられている。
尚、図中44aは弁体46の上流側流路を、44bは下流側流路をそれぞれ表している。
【0053】
図2及び図3に、定流量弁2の構成が詳しく示してある。
図において48は円筒状をなすシリンダ壁で、下端と上端とがそれぞれ本体ボデー4Bに固定されている。
尚シリンダ壁48は、下部が図中下向きに小径化する略テーパ状に形成されている。
【0054】
シリンダ壁48には、図中上部に肉厚方向に貫通の水の通過開口50がほぼ全周に亘って環状に設けられている。
このシリンダ壁48の、通過開口50よりも図中上側の部分は弁体46の前進側に位置する部分であって、弁体46における後述の絞り弁部58との間に絞り孔79を形成する、固定側の絞り壁部48-1を成している。
尚48-2は、シリンダ壁部48の、通過開口50に対して弁体46の後退側に位置する後退側壁部を表している。
【0055】
上記弁体46は、後述のオリフィス孔66の上流側の1次側圧力P1と、2次側圧力P2及びばね(金属製のコイルばね)53の付勢力による押圧力を図中上下方向に受ける円板状の本体部55と、本体部55の中心部から図中上向きに突き出した軸部56と、円筒状の絞り弁部58とを有している。
弁体46は、この絞り弁部58においてシリンダ壁部48の内面に軸方向、即ち図中上下方向に摺動可能に嵌合され、また軸部56が本体ボデー4Bに固定のガイド軸部60に備えられたガイド孔62に摺動可能に嵌入されている。
【0056】
この実施形態において、弁体46は円板状の板体から成るオリフィス形成部材64を有しており、このオリフィス形成部材64の外周とシリンダ壁48との間に環状のオリフィス孔66を形成している。
弁体46は、オリフィス形成部材64を保持する保持部材68を有しており、この保持部材68に上記の軸部56が一体に構成されている。
保持部材68にはまた円板状の保持部70が備えられており、この保持部70に対して、上記のオリフィス形成部材64がワッシャ72を介して固定ねじ74にて固定され、そこに保持されている。
【0057】
76は弁体46の一部をなす筒体で、この筒体76に上記の絞り弁部58が備えられている。
筒体76はまた、下部にフランジ状のばね受部78を有しており、このばね受部78に上記のばね53の下端が下向きに当接せしめられている。
尚ばね53の上端は本体ボデー4B側に当接せしめられている。
【0058】
上記絞り弁部58は、図中上向き(弁閉方向)の前進と図中下向き(弁開方向)の後退により、シリンダ壁48の通過開口50の解放面積を変化させる。
即ちこの絞り弁部58は、上記の絞り壁部48-1との間に、周方向に環状をなす絞り孔(主絞り孔)79を形成し、その絞り孔79において通過開口50を通過する水の流れを絞る作用をなす。
また絞り孔79の開度を、弁体46の図中上向きの前進及び下向きの後退によって狭く又は拡く変化させ、水の流れに対する絞りを大きく又は小さく変化させる。
【0059】
この定流量弁2では、弁体46に対して1次側圧力P1による力が図中上向き(弁閉方向)に作用する。
また2次側圧力P2による力及びばね53の付勢力による力が図中下向き(弁開方向)に作用する。
弁体46は、1次側圧力P1による上向きの力と、2次側圧力P2及びばね53による図中下向きの力とをバランスさせるように図中上下方向に進退移動する。
【0060】
詳しくは、1次側圧力P1が増大すると、弁体46は図中上向きに前進移動して絞り孔79の開度を狭め、絞り孔79を通過する水の流れに対する絞りを大きくする。
この結果2次側圧力P2が増大し、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定の差圧とする。
【0061】
一方1次側圧力P1が低下したときには、弁体46は図中下向きに後退移動して絞り孔79の開度を拡げ、2次側圧力P2を低下させる。これによって1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定に保持する。
そしてこのようにして1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定とすることで、オリフィス孔66を通じて流れる水の流量を一定流量に保持する。
尚厳密には定流量化作用に際して絞り弁部58に設けられた後述の貫通の弁部開口80を通じても上流側から下流側に水が流れるが、この点については後述する。
【0062】
本実施形態では、図4に拡大して示しているように絞り弁部58に、これを径方向(肉厚方向)に貫通するスリット状の弁部開口80が第2の絞り孔として周方向に環状に設けられ、シリンダ壁48内部の上流側の水が、この弁部開口80を通じても下流側へと流通可能となしてある。
【0063】
図4は、本実施形態における弁体46の絞り弁部58の作用を具体的に示している。
図4(A)は、1次側圧力P1が低いときの状態を表しており、このとき絞り弁部58は図中下側に下がった位置にあって、絞り弁部58の上端(先端)58Aと、絞り壁部48-1の下端(先端)48-1Aとの間に形成される絞り孔79は大きく開かれた状態にある。
【0064】
この状態の下では、シリンダ壁48内の水即ち絞り弁部58の上流側の水は、大きく開かれた絞り孔79を通過して下流側へと流れることができ、従ってこのときには絞り孔79において大きな圧力低下は特に生じず、絞り弁部58の図中上面には2次側圧力P2と同等の圧力P2が下向きに作用する。
即ち絞り弁部58に対して、上向きの力と下向きの力とが釣り合った状態となり、従ってこの状態では絞り弁部58は上下方向の繰返し移動即ち振動を生じることはない。
尚図4(A)の状態の下では、上流側の水は弁部開口80を通じても下流側へと流通する。
【0065】
この状態の下で1次側圧力P1が増大すると、絞り弁部58は図4(B)に示しているように図4(A)に示す状態から上向きに押し上げられる。
その結果、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の絞り孔79は、図4(A)に示す状態のときよりも狭くなる。
このとき、絞り弁部58に弁部開口80が設けられていないと、絞り孔79において水の流れに対する絞りが大きくなって、同部分を通過する水の流速が速くなり、そこで局部的な圧力低下を生じて絞り弁部58の上面に対し、2次側圧力P2よりも低い圧力P3が図中下向きに加わることとなる。
【0066】
しかるにこの実施形態では絞り弁部58に弁部開口80が設けられていて、上流側の水がこの弁部開口80を通じても下流側へと流通することができるため、絞り孔79における水の流れが少なく且つ流速も急激に増大しないために、依然としてこのときにおいても絞り弁部58の上面に対し2次側圧力P2が下向きに加わる状態となる。
従って図4(B)に示す状態の下でも、絞り弁部58は図中上向きに押す力と下向きに押す力とが釣り合った状態となって、絞り弁部58が図中上下方向に振動を生ずることはない。
【0067】
本実施形態では、絞り弁部58に弁部開口80が設けられていて、その弁部開口80を通じても上流側から下流側へと水が流通するため、その分、弁部開口80を設けていない場合に較べて、図4(B)に示す状態において水の流れに対する絞りが小さくなる。
従って絞り弁部58は、図4(B)に示す状態から更に上向きに押し上げられて水の流れを更に絞るように作用する。
【0068】
図4(C)は、絞り弁部58の図中上向きの押し上げによって、絞り弁部58の図中上端が絞り壁部48-1の下端48-1Aよりも上位置まで上昇した状態を表しており、このときには図4(A),(B)に示す絞り孔79は閉鎖された状態となって、弁部開口80だけが絞り孔として働くようになり、上流側の水がこの弁部開口80を通じてのみ下流側へと流通する。
【0069】
このとき、上流側から下流側へと流れる水は弁部開口80にて大きく絞られた状態となる。
従ってこのときには弁部開口80内において圧力低下が生じ、弁部開口80内における圧力は1次側圧力P2よりも小さい圧力P3となって、この圧力P3が弁部開口80の内面に対して作用することとなる。
【0070】
しかしながらこの圧力P3は、弁部開口80の図中上側の面に対しても、また下側の面に対しても作用するため、弁部開口80における上側の面と下側の面との面積、即ち受圧面が等しいときには上向きに働く圧力P3と下向きに働く圧力P3とが相殺され、結果的にこの低下した圧力P3は、絞り弁部58に対してこれを上下方向に動かす力としては働かない。
【0071】
従って図4(C)に示す状態の下でも、絞り弁部58に対して上向きに持ち上げる力と、下向きに押し下げる力とが釣り合った状態となり、絞り弁部58は、それら上向きの力と下向きの力との差によって上下に振動するといったことはない。
【0072】
尚本実施形態では、図5(A)に示しているようにシリンダ壁48の通過開口50と、絞り弁部58の弁部開口80との大きさが、次のような関係を満たしている。
即ち、シリンダ壁48における後退側壁部48-2の通過開口50側の端48-2Bと、絞り弁部58における弁部開口80の前進側の端80Aとを軸方向に一致させたとき、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の軸方向寸法Yが、弁部開口80の軸方向寸法Xよりも大となるような関係で、通過開口50と弁部開口80の大きさが定めてある。
【0073】
例えば図5(B)の比較例図に示しているように、軸方向寸法Yの方が軸方向寸法Xよりも小さくなるような関係で、通過開口50と弁部開口80とを形成しておいた場合、図5(B)に示す状態において絞り孔79が大きく絞られた状態にあるにも拘わらず、弁部開口80が通過開口50に対して開放されず、即ち弁部開口80がその上流側と下流側とに開放されず、それら上流側と下流側とが連通した状態とならないために、上流側の水が弁部開口80を通じて下流側へと流れることができない。
従って絞り孔79での急速な水の流れによって、そこで圧力降下が大きく生じ、絞り弁部58の上面に対して下向きに加わる圧力が2次側圧力P2よりも小さい圧力P3となり、結果として絞り弁部58が上下方向に振動を生じてしまう。
【0074】
このことは、図5(B)に示す状態で弁部開口80が僅かだけ通過開口50に開放された状態の下でも基本的に同様である。
絞り弁部58を通過して流れる水のほとんどが絞り孔79を通じて下流側へと流れて、そこで大きな圧力降下を生じてしまうからである。
【0075】
これに対し、図5(A)に示したものにおいては、(A)(イ)に示した状態から絞り弁部58が図中上向きに前進移動すると、その途中で確実に弁部開口80が通過開口50に対して開放された状態、即ち弁部開口80が上流側と下流側とに対して全体的に開放されて、それら上流側と下流側とを連通状態とするため、上記のような不具合は生じない。
【0076】
図5(A)(ロ)はこれを具体的に表したもので、絞り弁部58が上向きに押し上げられて、その上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの距離が最短となったときに、弁部開口80が確実に全体的に上流側と下流側とに開放された状態となり、弁部開口80が第2の絞り孔として働くようになる。
【0077】
尚厳密な意味で言えば、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の絞り孔79の開度が、仮に弁部開口80がなかったときに絞り孔79の圧力が2次側圧力P2よりも低い圧力P3となる程度まで狭くなったときに、弁部開口80の少なくとも一部、望ましくは弁部開口80の全体が上流側と下流側とに連通した状態となるように、通過開口50及び弁部開口80の大きさを定めておくのが良い。
【0078】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、ダイヤフラム式の弁体を有する流量調節弁(流量制御弁)に本発明を適用した場合の例である。
図において92は本体ボデーを、94はその内部に形成された流路を、96,98はそれぞれ水の流入口,流出口を表している。
また94a,94bは主弁体100の上流側流路,下流側流路をそれぞれ表している。
【0079】
100は、流路94上に設けられたダイヤフラム式の主弁体で、ゴム等の弾性材で形成されたダイヤフラム膜102と、これを保持するダイヤフラムホルダ104とを有している。
主弁体100は、ダイヤフラム膜102の外周部において本体ボデー92に水密に固定されている。
【0080】
本体ボデー92には、主弁体100に対して軸方向に対向して突出する円筒状の絞り壁部106が一体に構成されている。
この絞り壁部106は、図中上端部が主弁体100を着座させる主弁座108をなしている。
尚、この絞り壁部106の図中上端部(先端部)は断面形状が湾曲形状をなしている。
【0081】
主弁体100の図中上側の背後には、圧力室110が設けられている。この圧力室110は、内部の圧力を主弁体100に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体100には、その中心から偏心した位置においてこれを貫通し、上流側流路94aと圧力室110とを連通させる導入小孔112が設けられている。
この導入小孔112は、上流側流路94aの水を圧力室110に導いて圧力室110の圧力を増大せしめる。
【0082】
主弁体100にはまた、その中心部にこれを貫通して圧力室110と下流側流路94bとを連通させる、水抜路としてのパイロット流路114が設けられている。
このパイロット流路114は、圧力室110の水を下流側流路94bに抜いて圧力室110の圧力を減少せしめる。
【0083】
116は、パイロット流路114の開度を制御するパイロット弁体で、このパイロット弁体116が駆動軸118によって図中上下方向に進退移動することで、パイロット流路114の開度が制御される。
パイロット弁体116は、パイロット弁座120に着座することでパイロット流路114を閉鎖する。
【0084】
主弁体100には、絞り壁部106に向って軸方向に突出する形態で絞り弁部122が備えられている。
絞り弁部122は絞り壁部106との間に絞り孔124を形成し、且つその絞り孔124の開度を大小変化させることで流量を調節する。
絞り弁部122は、図中下面が開放された形状の円筒状をなしており、その軸方向の中間部に、径方向に貫通したスリット状の弁部開口126が周方向に環状に設けられている。
【0085】
この実施形態では、主弁体100の下面に対して上流側流路94aの圧力と下流側流路94bの圧力とが、主弁体100を図中上向きに押し上げる向きの力として作用する。
一方主弁体100の上面に対しては、圧力室110の圧力が主弁体100を図中下向きに押し下げる向きの力として作用する。
主弁体100は、これら逆向きに加わる力をバランスさせるようにして図中上下方向に進退移動する。
またパイロット弁体116は、図中上下方向の進退移動によって、圧力室110の圧力を増減変更させるように働く。
【0086】
この例の流量調節弁90では、パイロット弁体116が図中上向きに移動すると、パイロット流路114の開度が一時的に広くなって、圧力室110の水がパイロット流路114を通じて下流側流路94bへと多く流出する。
すると圧力室110の圧力が低下するために、主弁体100が上流側流路94a及び下流側流路94bによる図中上向きの力と、圧力室110による図中下向きの力とをバランスさせるように図中上向きに移動し、そしてそれらの力がバランスした位置で停止する。
【0087】
このとき、パイロット弁体116とパイロット弁座120との間には微小な追従間隙が確保される。主弁体100は、その微小間隙を維持するようにパイロット弁体116の進退移動に追従して同方向に移動する。
【0088】
この実施形態では、主弁体100が図中下向きに移動し、絞り弁部122が絞り壁部106に向って前進移動することで、絞り孔124の開度を狭め、絞り孔124を通過する水の流量を減少させる。
また絞り孔124の開度を更に減少させることで、水の流量を更に減少させる。
【0089】
尚このとき、上流側流路94aの水は絞り弁部122に設けられた弁部開口126を通じても下流側流路94bへと流れる。
絞り弁部122が、図6(B)に示す状態から更に図中下向きの弁閉方向に前進移動すると、図7(I)に示しているように、あるところで絞り孔124が閉鎖した状態となる。ここにおいて上流側流路94aの水は、弁部開口126を通じてのみ下流側流路94bへと流れる。
【0090】
そして図7(II)に示すように絞り弁部122が更に図中下向きに前進移動すると、その弁部開口126の開度が絞り壁部106によって減少せしめられ(絞られ)、弁部開口126を通じて流れる水の流量も減少する。
そして図7(III)に示しているように、主弁体100のダイヤフラム膜102が、絞り壁部106の先端部の主弁座108に着座した時点で主弁体100が閉弁し、ここにおいて上流側流路94aから下流側流路94bへの水の流れが停止する。
【0091】
この実施形態においても、絞り弁部122に弁部開口126が設けられていることによって、絞り弁部122を介して主弁体100が図中上下方向に振動を起すのが有効に防止される。
例えば弁部開口126が設けられていない場合、絞り孔124の開度が小さくなるとそこでの流速が速くなるために、絞り孔124での圧力降下が大となり、上記の第1の実施形態と同様に主弁体100に対してこれを図中下向きに押す力が打ち勝つに到り、主弁体100が下向きに押し下げられる。
【0092】
すると絞り孔124での流量が少なくなることによって、今度は主弁体100が上向きに押し上げられる。そして主弁体100の下向きの押し下げ、及び上向きの押し上げが繰り返されることによって主弁体100が振動を生じ、安定した流量調節が行えなくなる。
しかるにこの実施形態では弁部開口126が設けられ、上流側流路94aの水が、この弁部開口126を通過して下流側流路94bへと流れることで、そのような振動が有効に防止される。
【0093】
またこの弁部開口126の開度が、主弁体100の前進移動に連れて狭くなることで、流路94を流れる水の流量が減少方向に調節される。
また主弁体100が上向きに移動することによって、流路94を流れる水の流量が、同じく弁部開口126及び絞り孔124の開度変化によって増大方向に調節される。
【0094】
本実施形態では、図8に示しているように絞り弁部122の先端部と、絞り壁部106の先端部との距離が最短となったとき、弁部開口126が、絞り弁部122の上流側と下流側に対し開放状態にあってそれらを連通している。そのように弁部開口126が設けられている。
【0095】
尚この例では、絞り弁部122を円筒状をなす絞り壁部106に対して、内嵌状態に嵌入させるようになしているが、図9に示しているように、これとは逆に絞り弁部122を絞り壁部106に対して外嵌させるようにして、絞り弁部122を絞り壁部106側に移動させるようになすこともできる。
【0096】
尚、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となるときは、絞り壁部106の先端部の形状或いは絞り弁部122の先端部の形状によって異なって来る。
図10はその一例を具体的に示している。
【0097】
図10(A)は、絞り壁部106の先端部が軸方向に短い距離に亘って湾曲形状とされている例を、また(B)は絞り壁部106の先端部が(A)よりも軸方向に長い距離に亘って湾曲形状とされている例を、また(C)は絞り壁部106の先端が角形状に形成されている場合の例をそれぞれ表している。
【0098】
本実施形態においては、何れの場合においても絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126が上流部と下流部とに対して開放され、それを連通状態とすることが必要である。
【0099】
例えば図10(A)の例では、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126が絞り壁部106に対して軸直角方向に全体的に重なっておらず、少なくともその一部が開放されている。
また弁部開口126の、絞り壁部106に対して軸直角方向に重なっている部分についても、絞り弁部122と絞り壁部106との間には隙間が生じており、弁部開口126は全体的に上流側と下流側とに開放されてそれらを連通状態としている。
【0100】
図10(B)の例においては、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126全体が絞り壁部106に対して軸直角方向に重なった状態となる。
但し絞り弁部122と絞り壁部106との間には、距離が最短となる部位よりも大きな隙間が生じており、弁部開口126は、上流側と下流側との何れにも全体的に開放された状態にあってそれらを連通状態としている。
【0101】
一方図10(C)の例においても、絞り弁部122と絞り壁部106との距離が最短となったとき、弁部開口126はその全体が上流側と下流側とに開放されてそれらを連通状態としている。
【0102】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば本発明ではばねとして金属ばね以外にゴムばね等のエラストマーから成るばねを用いることも可能であるし、また本発明は絞り孔における絞り量を変化させることで、2次側の圧力を1次側の圧力よりも小さい設定圧力に保持する減圧弁に適用することも可能である。或いは感温体としての形状記憶合金製の感温ばねとバイアスばねとによる、互いに逆向きの力をバランスさせるように混合弁体を移動させて水と湯との混合比率を制御する湯水混合弁、又は互いに逆向きの液の圧力を混合弁体に作用させることで、混合弁体をそれら圧力をバランスさせるように移動させ、湯と水の混合比率を制御する湯水混合弁に適用することも可能である。
更に本発明は、上記第1の実施形態における定流量弁に代えて減圧弁を設け、その減圧弁とフラッシュ弁とでフラッシュ弁装置を構成するといったことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 フラッシュ弁装置
2 定流量弁
3 フラッシュ弁
46 弁体
48 シリンダ壁
48-1,106 絞り壁部
48-1A 下端
48-2 後退側壁部
50 通過開口
58,122 絞り弁部
58A 上端
79,124 絞り孔
80,126 弁部開口
80A 端
100 主弁体
【技術分野】
【0001】
この発明は流量制御弁に関し、詳しくはばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動して流量制御を行う流量制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体を進退移動させ、弁体に備えた絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、且つ弁体の弁閉方向の前進移動により絞り孔の開度を小として流路の液の流れに対する絞りを大とし、また弁開方向の後退移動により絞り孔の開度を大として液の流れに対する絞りを小とすることで流量制御を行う流量制御弁が公知である。
【0003】
定差圧式の定流量弁はその一例である。
この定流量弁では、上記絞り孔とは別の個所に設けられたオリフィス孔を有し、弁体に作用する1次側圧力と2次側圧力との差圧をバランスさせるように弁体を進退移動させてその差圧を一定に保ち、オリフィス孔を通じて一定流量で液を流通させる。
【0004】
例えば下記特許文献1にこの種の定流量弁が開示されている。
この特許文献1に開示の定流量弁では、軸方向に摺動可能なピストン弁体の胴壁にフランジ部を固着して、その一方の面に1次側圧力P1を、他方の面に2次側圧力P2とばねの付勢力とを作用させ、そしてP1が増加した場合にはピストン弁体を弁閉方向に摺動させて弁座部材の流水孔の開度を絞り、またP1が小さくなった場合にはピストン弁体を逆方向の弁開方向に摺動させて流水孔の開度を広げ、以ってP1とP2との差圧を一定に保って一定流量で水を流通させるようになしている。
【0005】
ところで、特許文献1に開示のものを含めて従来の定流量弁では、1次側圧力が増大して弁体が弁閉方向に前進移動し、絞り弁部が固定側の絞り壁部に向けて移動することで絞り孔の開度を小さくし、流路の液の流れに対する絞りを大きくしたときに、弁体が弁開方向と弁閉方向とに後退及び前進移動を小刻みに繰り返して振動を起す問題を生ずる。
【0006】
この現象を図11に基づいて以下に具体的に説明する。
図において200は定流量弁、202は定流量弁200の本体ボデー、204は円筒状をなすシリンダ壁、206はそのシリンダ壁204に形成された貫通の液の通過開口である。
208は弁体で円筒状の絞り弁部210を備えている。
弁体208は、その絞り弁部210においてシリンダ壁204の内面に軸方向(図中上下方向)に摺動可能に嵌合されている。
【0007】
弁体208は、シリンダ壁204との間にオリフィス孔212を形成しており、また弁体208にはばね(金属製のコイルばね)214の付勢力が図中下向きに及ぼされている。
216は固定側の絞り壁部で、218はこの絞り壁部216と弁体208における絞り弁部210との間に形成された、流路の液の流れを絞る絞り孔である。
尚220,222はそれぞれ本体ボデー202に備えられた液の流入口,流出口である。
【0008】
この定流量弁200では、流入口220から流入した液がオリフィス孔212を通過し、更に絞り孔218を通過して流出口222から流出する。
このとき弁体208は、弁体208に対して図中上向きに働く1次側圧力P1による弁閉方向の力と、弁体208に対して図中下向きに働く2次側圧力P2及びばね214の付勢力による弁開方向の力とをバランスさせるように図中上下方向に進退移動する。
【0009】
詳しくは、1次側圧力P1が高くなると弁体208が図中上向きの弁閉方向に前進移動して、絞り弁部210が液の通過開口206の解放面積を小とし、即ち絞り孔218の開度を狭くして、流路の液の流れに対する絞りを大とし、2次側圧力P2を高めて1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定とする。
一方、1次側圧力P1が低くなると弁体208が図中下向きの弁開方向に後退移動して絞り孔218の開度を広げ、液の流れに対する絞りを小として2次側圧力P2を低くし、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定に保つ。
その結果流路を流れる液の流量が一定に保持される。
以下の式(1)はこのときの液の流量を表している。
【0010】
【数1】
【0011】
但し式(1)中Qは流量で、aはオリフィス孔212の流路面積,cは定数で、ΔPはP1とP2との差圧,ρは液の比重である。
式(1)に示しているように定流量弁200にあっては、差圧ΔPが一定に保たれるため、オリフィス孔212を通過して流れる液の流量は一定流量に保たれる。
【0012】
この定流量弁200では、1次側圧力P1が高圧になると絞り弁部210が絞り孔218を狭くして流路の液の流れを大きく絞る。このとき絞り孔218を通過する液の流速が速くなって、ベルヌーイの定理により絞り弁部210の図中直上部位での液の圧力が2次側の圧力P2よりも局部的に小さくなる。即ち図11(B)に示しているように2次側圧力P2よりも小さな圧力P3が絞り弁部210の図中上面に対して下向きに加わる状態となる。
【0013】
その結果、絞り弁部210の下面に対して上向きに加わる圧力P2による力と、上面に対して下向きに加わる圧力P3による下向きの力とがアンバランスとなり、即ち絞り弁部210に対して上向きに加わる力が下向きに加わる力に打ち勝って大となり、絞り弁部210即ち弁体208が図中上向きに押し上げられる。
ところがこのように弁体208が図中上向きに押し上げられると、絞り孔218での液の流量が減少するために、図11(B)の圧力P3が大となって圧力P2に近くなり、その結果絞り弁部210即ち弁体208が今度は図中下向きに後退移動するようになる。
【0014】
そしてこのような弁体208の図中上向きの前進移動と下向きの後退移動とが繰り返され、弁体208が振動を生じてしまうのである。
而して弁体208がこのような振動を生じると、定流量弁200の動作が不安定となり、本来の適正な定流量化作用を行えなくなってしまう。
また、ΔPを保つために絞り弁部210に対する上向きの力もばね214で支える必要があるため、ばね荷重を大きくする必要必要がある。このため、ばね214を大きくしなければならずコストが高くなってしまう。
【0015】
以上定流量弁を例にとって説明したが、同様の問題はばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように弁体が進退移動して、弁体の絞り弁部にて流路の液の流れを絞る形式の流量制御弁、例えば減圧弁や、感温体としての形状記憶合金製の感温ばねとバイアスばねとの付勢力を、或いは液圧を混合弁体に対し互いに逆向きに作用させて混合弁体を移動させ、湯と水との混合の比率を制御する湯水混合弁等の流量制御弁においても共通して生じ得る問題である。
【0016】
従来において、流量制御弁における上記のような問題点の指摘及びこれを解決するための手段については、特許文献1に開示のものも含めて今までなされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】実開平6−28442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明は以上のような事情を背景とし、絞り孔における圧力の変動によって弁体が振動を起し、流量制御の動作が不安定化する問題を解決して、安定して動作し得る流量制御弁を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
而して請求項1のものは、ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とを逆向きに受けて、それら弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動する弁体を有し、該弁体は絞り弁部を備えていて、該絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、該弁体の弁閉方向の前進移動により該絞り弁部を該絞り壁部に向けて移動させて液の流れに対する絞りを大とする流量制御弁において、前記絞り弁部には、少なくとも前記絞り壁部の先端部と、該絞り壁部の先端部に対向する該絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに前記流路の該絞り弁部に対する上流側と下流側とを連通状態とする貫通の弁部開口が第2の絞り孔として設けてあることを特徴とする。
【0020】
請求項2のものは、請求項1において、筒形をなすシリンダ壁の内部に前記弁体が軸方向に摺動可能に嵌合されており、該シリンダ壁には貫通の液の通過開口が形成されていて、前記絞り弁部が前記弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退により該通過開口の解放面積を変化させるものとなしてあり、該シリンダ壁は、該通過開口に対して該弁体の前進側に位置する前進側壁部が前記絞り壁部を成しているとともに、該通過開口と前記絞り弁部の弁部開口とは、該弁部開口が、該シリンダ壁の該通過開口に対して前記弁体の後退側に位置する後退側壁部にて閉鎖され且つ該後退側壁部における該通過開口側の端と該弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、前記絞り弁部の前進側の端である先端と前記絞り壁部の該通過開口側の端である先端との間の軸方向寸法が、該弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさが定めてあることを特徴とする。
【0021】
請求項3のものは、請求項1において、前記弁体がダイヤフラム式の弁体、前記絞り壁部が該ダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成されており、前記絞り弁部が該筒状の絞り壁部に向って軸方向に突出する状態で該弁体に備えてあることを特徴とする。
【0022】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記流量制御弁の下流側に配置され、開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とともにフラッシュ弁装置を構成していることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0023】
以上のように本発明は、弁体における絞り弁部に貫通の弁部開口を第2の絞り孔として設けたものである。
ここで弁部開口は、少なくとも絞り壁部の先端部と、絞り壁部に対向する絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに、絞り弁部に対する流路の上流側と下流側とを連通状態とするように設けておく。
【0024】
従来の流量制御弁の場合、弁体が弁閉方向に前進移動したとき、流路の液は固定側の絞り壁部と可動側である弁体の絞り弁部との間に形成される絞り孔を通じてのみ下流側へと流れる。
これに対し本発明の流量制御弁では、弁体が弁閉方向に前進移動して絞り弁部の先端部が絞り壁部の先端部に接近したとき、絞り弁部に設けた貫通の弁部開口が、絞り弁部の上流側と下流側とを連通した状態となって弁部開口が第2の絞り孔として有効に働く。
【0025】
即ち本発明の流量制御弁では、上流側の液が絞り弁部の先端部と絞り壁部の先端部との間の絞り孔(主絞り孔)を通過して下流側に流れるのに加えて、弁部開口を通じても上流側から下流側へと流れる。従ってこのような弁部開口を設けていない従来の流量制御弁に較べて、同一の主絞り孔の開度の下で絞り弁部を通過して流れる液の流量が多くなる。
【0026】
その結果本発明の流量制御弁では、1次側圧力が高くなったときの弁体の弁閉方向の前進移動量がその分多くなり、弁体の前進端で絞り弁部の先端部と絞り壁部の先端部との間の主絞り孔が従来よりも大きく絞られるか、又は絞り弁部の先端部が絞り壁部と軸直角方向(液の流れの方向)に重なって主絞り孔が閉鎖状態となり、流路の液は弁部開口即ち第2の絞り孔を通じてのみ上流側から下流側へと流れるようになる。
【0027】
このとき、絞り弁部の前進側の先端面には2次側圧力とほぼ同等の圧力が弁開方向に加わる状態となる。
一方弁部開口、即ち第2の絞り孔においては、液の流れが速くなることによってそこで圧力が局部的に低下するが、その低下した圧力は弁部開口の内面に対して弁閉方向の前進方向にも、また弁開方向の後退方向にも加わり、従って弁部開口の内面に対してはそれらの力がキャンセルされて消失するか、又は働くとしても僅かな力となる(弁閉方向に圧力を受ける受圧面と弁開方向に圧力を受ける受圧面との面積が僅かに違っている場合)。
この結果弁体にはこれを振動させる力は作用せず、従って本発明の流量制御弁では、弁体が安定して動作し、流量制御動作を適正に行うようになる。
或いはばねを用いている場合には、必要なばね荷重が適正なばね荷重ですむ。
【0028】
本発明では、筒形をなすシリンダ壁の内部に弁体を軸方向に摺動可能に嵌合し、弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退移動により、シリンダ壁に設けた液の通過開口の解放面積を絞り弁部によって変化させるようになしておくことができる。
即ちシリンダ壁の、上記通過開口に対して弁体の前進側に位置する前進側壁部を絞り壁部となして、これに弁体の絞り弁部を接近離間方向に移動させ、絞り弁部と絞り壁部との間に形成される絞り孔(主絞り孔)を狭く或いは広く開度変化させるようになすことができる。
【0029】
この場合においてシリンダ壁の通過開口と絞り弁部の弁部開口の大きさは、次のような関係となるように定めておくことができる。
即ち弁部開口が、通過開口に対して弁体の後退側に位置するシリンダ壁の後退側壁部にて閉鎖され且つ後退壁部における通過開口側の端と弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、絞り弁部の前進側の端である先端と絞り壁部の通過開口の側の端である先端との間の軸方向寸法が、弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさを定めておくことができる(請求項2)。
【0030】
本発明ではまた、弁体をダイヤフラム式の弁体、絞り壁部をダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成し、そして絞り弁部を、筒状の絞り壁部に向けて軸方向に突出する状態で弁体に備えておくことができる(請求項3)。
【0031】
次に請求項4は、流量制御弁と、その下流側に配置され開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とでフラッシュ弁装置を構成するようになしたものである。
従来のフラッシュ弁装置では、フラッシュ弁の上流側に止水栓を設けておき、その止水栓を操作することによって流量調節し、止水栓の操作により調節した流量で下流側のフラッシュ弁へと水を供給するようになしている。
この止水栓に代えて上記の流量制御弁を設けておくことで、流量制御弁で流量制御した水を下流側のフラッシュ弁へと供給するようになすことができる。
【0032】
本発明では、上記流量制御弁を、絞り部とは別の個所に設けられたオリフィス孔を有し、弁体に作用する1次側圧力と2次側圧力との差圧を一定に保持して、オリフィス孔を通じて一定流量で液を通過させる定流量弁として構成しておくことができる。
【0033】
或いは流量制御弁を、絞り弁部による絞り量を変化させることで2次側圧力を1次側圧力よりも小さい設定圧力に保持する減圧弁として構成しておくことができる。
更には水と湯とのそれぞれの流量を制御して湯水の混合比率を制御する湯水混合弁として構成しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態の定流量弁を備えたフラッシュ弁装置の全体構成を示した図である。
【図2】図1の定流量弁の断面図である。
【図3】図2の要部を示す斜視図である。
【図4】同実施形態の要部の作用説明図である。
【図5】同実施形態の要部を比較例とともに示した図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示した図である。
【図7】同実施形態の作用説明図である。
【図8】同実施形態の要部を拡大して示した図である。
【図9】本発明の更に他の実施形態を示した図である。
【図10】本発明の更に他の実施形態の要部を示した図である。
【図11】従来の定流量弁の一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて以下に詳しく説明する。
図1は、本発明をフラッシュ弁装置に適用した場合の例を示したもので、図中1はフラッシュ弁装置であり、このフラッシュ弁装置1は、流量制御弁としての定流量弁2と、その下流側に配置されたフラッシュ弁3とを備えて構成されている。
【0036】
ここでフラッシュ弁3は、開弁により設定流量(総流量)の水を便器洗浄水として流した後に自動閉弁する自閉式の弁である。
4はフラッシュ弁装置1における本体ボデー(バルブボデー)で、フラッシュ弁3側の本体ボデー4Aと、定流量弁2側の本体ボデー4Bとを管体4Cにて連結した形態をなしている。
【0037】
この実施形態では、給水源からの水が流入口5から定流量弁2内部に流入し、そこで定流量化された上でフラッシュ弁3側に流入し、流出口6から便器に向けて流出される。
【0038】
従来のフラッシュ弁装置では、フラッシュ弁3の上流側に止水栓を設けておき、その止水栓を操作することによって流量調節し、止水栓の操作により調節した流量で下流側のフラッシュ弁3へと水を供給するようになしていた。
しかしながらこの場合、フラッシュ弁装置ごとに且つ設置場所ごとに給水圧に応じて止水栓を操作し、流量調節しなければならず、フラッシュ弁装置の設置に際して作業量が多くなり、設置作業に面倒を伴う。
しかるにこの実施形態では止水栓に代えて定流量弁2を設けてあるため、定流量弁2で自動的に定流量化した上でフラッシュ弁3に水を供給することができ、従ってフラッシュバルブ装置1ごとに作業者が流量調節を行うといった手間を省くことができる。
【0039】
図1において、10はフラッシュ弁3における内部の流路で、12は流路10を開閉する主弁であり、ピストン式の弁体(主弁体)13を有している。
弁体13は、常時は弁座(主弁座)14に着座した状態にあって、流路10における1次側の上流側流路10aと、2次側の下流側流路10bとを遮断した状態にある。
【0040】
このフラッシュ弁装置1では、弁体13が弁座14から図中上向きに離れて開弁することで、上流側流路10aと下流側流路10bとが連通状態となって、上流側流路10aの水が下流側流路10bへと流れ込み、便器(大便器)に対し洗浄水として給水される。
【0041】
主弁12における弁体13の背後(図中上側)には圧力室16が形成されており、弁体13は通常時はこの圧力室16内の水の圧力で図中下向きに押圧され閉弁状態に維持される。
圧力室16からは、その内部の水を下流側流路10bに抜き出すための水抜路(第2の水抜路)26が、弁体13を貫通して延び出しており、その水抜路26上に傾動式の起動弁(第2の起動弁)28が設けられている。
【0042】
30は、この起動弁28を操作するための押ボタン式の操作部で、この操作部30を図中左向きに押込操作すると、ロッド32によって起動弁28における弁体(起動弁体)29が傾動させられ、開弁動作する。
弁体29が開弁すると、主弁12の弁体13を貫通した水抜路26が開放状態となって、圧力室16内の水が水抜路26を通じて下流側流路10bに抜き出される。
尚、この起動弁28及び操作部30は停電時等における非常用のもので、通常は後述の起動弁20が、図示を省略する押ボタン式の操作部の操作によって動作させられる。
【0043】
上記ピストン式の主弁12の弁体13には、上流側流路10aの水を圧力室16内に導入する、小孔から成る導入小孔34が弁体13を貫通する状態で設けられている。
この導入小孔34は、弁体13が開弁後に閉弁した後において、上流側流路10aの水を圧力室16に導入し圧力室16の圧力を増大させるもので、ここでは導入小孔34は第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2とに分岐させられている。
そして第2分岐孔34-2に、導水制御弁38が開閉可能に設けられている。
【0044】
この導入小孔34において、一方の第1分岐孔34-1は常時開放状態とされ、また他方の第2分岐孔34-2は、導水制御弁38によって開閉されるようになっている。
この導水制御弁38は、主弁12の弁体13の開弁後における閉弁を開弁後早い段階で行うためのもので、節水を目的としたものである。
【0045】
詳しくはこの導水制御弁38は、圧力室16の圧力が高く、主弁12の弁体13が閉弁した状態の下では図中下向きに導水制御弁38における弁体が開弁した状態にあって、第2分岐孔34-2を開放した状態にあるが、後述の第1の起動弁20、或いは第2の起動弁28の開弁により圧力室16の水が下流側流路10bに抜き出されて圧力室16の圧力が消失すると、上流側流路10aの圧力で図中上向きに移動して一旦閉弁状態となる。
その後主弁12の弁体13が図中上向きに上昇即ち開弁動作すると、この導水制御弁38の弁体がストッパ52に当接して開弁し、第2分岐孔34-2を開放する。
【0046】
従って上流側流路10aの水が、導入小孔34の第1分岐孔34-1と第2分岐孔34-2との両方を通って圧力室16に流入し、速やかに圧力室16の圧力を上昇せしめる。
そのために弁体13の開弁後における閉弁の開始が早い段階で行われ、便器洗浄水のための洗浄水の使用水量を低減せしめる。
【0047】
尚この実施形態では、ストッパ52がスプリング73にて下向きに付勢されており、導水制御弁38の弁体が図中上向きに移動したときにストッパ52がスプリング73を撓ませながら上向きに上昇移動する。
そして弁体13の閉弁に際してその上昇端から図中下向きに移動する際、ストッパ52がスプリング73の付勢力によって弁体13の移動とともに下降移動し、弁体13の閉弁運動の途中まで導水制御弁38の弁体を開弁状態に維持する。
【0048】
そして弁体13が閉弁位置近くまで移動したところで、ストッパ52が導水制御弁38の弁体を開放し(ストッパ52が、その下降端を規定する位置決手段によって下向きの突出量が規定されている)、ここにおいて導水制御弁38の弁体が閉弁状態となって、以後は第1分岐孔34-1を通じてのみ上流側流路10aの水が圧力室16内に導入される。
但しこの導水制御弁38は本発明とは直接関係しないものであるため、ここでは更に詳しい説明は省略する。
尚、35は導入小孔34にごみ等が入り込み、目詰りを生ぜしめるのを防止するためのメッシュから成るストレーナである。
【0049】
上記圧力室16からはまた、その内部の水を下流側流路10bに抜き出すための水抜路(第1の水抜路)18が延び出しており、その水抜路18上に起動弁(第1の起動弁)20が設けられている。
水抜路18は、この起動弁20にて開閉される。即ち水抜路18における1次側の上流側流路18aと下流側流路18bとが、起動弁20にて連通及び遮断される。
【0050】
ここで起動弁20は、電磁パイロット弁22とダイヤフラム弁24とを有している。
ダイヤフラム弁24は、電磁パイロット弁22にて開閉制御され、電磁パイロット弁22が開弁することで、このダイヤフラム弁24が開弁動作し、また電磁パイロット弁22が閉弁することで、ダイヤフラム弁24が閉弁動作する。
尚、起動弁20は図示を省略する押ボタン式の操作部の操作に基づいて動作する。
【0051】
この実施形態のフラッシュ弁装置では、起動弁20詳しくはダイヤフラ弁24が開弁動作すると、圧力室16内の水が水抜路18を通じて下流側流路10bへと抜き出され、ここにおいて圧力室16内の水の圧力が消失して、ピストン式の弁体13が上流側流路10aの圧力により図中上向きに開弁動作する。
ここにおいて流路10が開放状態となって給水が行われ、便器に洗浄水が勢い良く供給されて便器洗浄が行われる。
またダイヤフラム弁24が閉弁状態となった後、上流側流路10aの水が上記の導入小孔34を通じて圧力室16内に流入し、これにより圧力室16の圧力が上昇して、その圧力が一定以上になると弁体13が閉弁動作して流路10を遮断し、便器洗浄のための給水を停止する。
尚、起動弁28及び操作部30を用いない場合には、図1(B)の部分拡大図に示しているように開口40を栓42にて閉鎖しておく。
【0052】
上記定流量弁は、本体ボデー4Bの内部に流路44を有しており、この流路44上に弁体46が設けられている。
尚、図中44aは弁体46の上流側流路を、44bは下流側流路をそれぞれ表している。
【0053】
図2及び図3に、定流量弁2の構成が詳しく示してある。
図において48は円筒状をなすシリンダ壁で、下端と上端とがそれぞれ本体ボデー4Bに固定されている。
尚シリンダ壁48は、下部が図中下向きに小径化する略テーパ状に形成されている。
【0054】
シリンダ壁48には、図中上部に肉厚方向に貫通の水の通過開口50がほぼ全周に亘って環状に設けられている。
このシリンダ壁48の、通過開口50よりも図中上側の部分は弁体46の前進側に位置する部分であって、弁体46における後述の絞り弁部58との間に絞り孔79を形成する、固定側の絞り壁部48-1を成している。
尚48-2は、シリンダ壁部48の、通過開口50に対して弁体46の後退側に位置する後退側壁部を表している。
【0055】
上記弁体46は、後述のオリフィス孔66の上流側の1次側圧力P1と、2次側圧力P2及びばね(金属製のコイルばね)53の付勢力による押圧力を図中上下方向に受ける円板状の本体部55と、本体部55の中心部から図中上向きに突き出した軸部56と、円筒状の絞り弁部58とを有している。
弁体46は、この絞り弁部58においてシリンダ壁部48の内面に軸方向、即ち図中上下方向に摺動可能に嵌合され、また軸部56が本体ボデー4Bに固定のガイド軸部60に備えられたガイド孔62に摺動可能に嵌入されている。
【0056】
この実施形態において、弁体46は円板状の板体から成るオリフィス形成部材64を有しており、このオリフィス形成部材64の外周とシリンダ壁48との間に環状のオリフィス孔66を形成している。
弁体46は、オリフィス形成部材64を保持する保持部材68を有しており、この保持部材68に上記の軸部56が一体に構成されている。
保持部材68にはまた円板状の保持部70が備えられており、この保持部70に対して、上記のオリフィス形成部材64がワッシャ72を介して固定ねじ74にて固定され、そこに保持されている。
【0057】
76は弁体46の一部をなす筒体で、この筒体76に上記の絞り弁部58が備えられている。
筒体76はまた、下部にフランジ状のばね受部78を有しており、このばね受部78に上記のばね53の下端が下向きに当接せしめられている。
尚ばね53の上端は本体ボデー4B側に当接せしめられている。
【0058】
上記絞り弁部58は、図中上向き(弁閉方向)の前進と図中下向き(弁開方向)の後退により、シリンダ壁48の通過開口50の解放面積を変化させる。
即ちこの絞り弁部58は、上記の絞り壁部48-1との間に、周方向に環状をなす絞り孔(主絞り孔)79を形成し、その絞り孔79において通過開口50を通過する水の流れを絞る作用をなす。
また絞り孔79の開度を、弁体46の図中上向きの前進及び下向きの後退によって狭く又は拡く変化させ、水の流れに対する絞りを大きく又は小さく変化させる。
【0059】
この定流量弁2では、弁体46に対して1次側圧力P1による力が図中上向き(弁閉方向)に作用する。
また2次側圧力P2による力及びばね53の付勢力による力が図中下向き(弁開方向)に作用する。
弁体46は、1次側圧力P1による上向きの力と、2次側圧力P2及びばね53による図中下向きの力とをバランスさせるように図中上下方向に進退移動する。
【0060】
詳しくは、1次側圧力P1が増大すると、弁体46は図中上向きに前進移動して絞り孔79の開度を狭め、絞り孔79を通過する水の流れに対する絞りを大きくする。
この結果2次側圧力P2が増大し、1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定の差圧とする。
【0061】
一方1次側圧力P1が低下したときには、弁体46は図中下向きに後退移動して絞り孔79の開度を拡げ、2次側圧力P2を低下させる。これによって1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定に保持する。
そしてこのようにして1次側圧力P1と2次側圧力P2との差圧を一定とすることで、オリフィス孔66を通じて流れる水の流量を一定流量に保持する。
尚厳密には定流量化作用に際して絞り弁部58に設けられた後述の貫通の弁部開口80を通じても上流側から下流側に水が流れるが、この点については後述する。
【0062】
本実施形態では、図4に拡大して示しているように絞り弁部58に、これを径方向(肉厚方向)に貫通するスリット状の弁部開口80が第2の絞り孔として周方向に環状に設けられ、シリンダ壁48内部の上流側の水が、この弁部開口80を通じても下流側へと流通可能となしてある。
【0063】
図4は、本実施形態における弁体46の絞り弁部58の作用を具体的に示している。
図4(A)は、1次側圧力P1が低いときの状態を表しており、このとき絞り弁部58は図中下側に下がった位置にあって、絞り弁部58の上端(先端)58Aと、絞り壁部48-1の下端(先端)48-1Aとの間に形成される絞り孔79は大きく開かれた状態にある。
【0064】
この状態の下では、シリンダ壁48内の水即ち絞り弁部58の上流側の水は、大きく開かれた絞り孔79を通過して下流側へと流れることができ、従ってこのときには絞り孔79において大きな圧力低下は特に生じず、絞り弁部58の図中上面には2次側圧力P2と同等の圧力P2が下向きに作用する。
即ち絞り弁部58に対して、上向きの力と下向きの力とが釣り合った状態となり、従ってこの状態では絞り弁部58は上下方向の繰返し移動即ち振動を生じることはない。
尚図4(A)の状態の下では、上流側の水は弁部開口80を通じても下流側へと流通する。
【0065】
この状態の下で1次側圧力P1が増大すると、絞り弁部58は図4(B)に示しているように図4(A)に示す状態から上向きに押し上げられる。
その結果、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の絞り孔79は、図4(A)に示す状態のときよりも狭くなる。
このとき、絞り弁部58に弁部開口80が設けられていないと、絞り孔79において水の流れに対する絞りが大きくなって、同部分を通過する水の流速が速くなり、そこで局部的な圧力低下を生じて絞り弁部58の上面に対し、2次側圧力P2よりも低い圧力P3が図中下向きに加わることとなる。
【0066】
しかるにこの実施形態では絞り弁部58に弁部開口80が設けられていて、上流側の水がこの弁部開口80を通じても下流側へと流通することができるため、絞り孔79における水の流れが少なく且つ流速も急激に増大しないために、依然としてこのときにおいても絞り弁部58の上面に対し2次側圧力P2が下向きに加わる状態となる。
従って図4(B)に示す状態の下でも、絞り弁部58は図中上向きに押す力と下向きに押す力とが釣り合った状態となって、絞り弁部58が図中上下方向に振動を生ずることはない。
【0067】
本実施形態では、絞り弁部58に弁部開口80が設けられていて、その弁部開口80を通じても上流側から下流側へと水が流通するため、その分、弁部開口80を設けていない場合に較べて、図4(B)に示す状態において水の流れに対する絞りが小さくなる。
従って絞り弁部58は、図4(B)に示す状態から更に上向きに押し上げられて水の流れを更に絞るように作用する。
【0068】
図4(C)は、絞り弁部58の図中上向きの押し上げによって、絞り弁部58の図中上端が絞り壁部48-1の下端48-1Aよりも上位置まで上昇した状態を表しており、このときには図4(A),(B)に示す絞り孔79は閉鎖された状態となって、弁部開口80だけが絞り孔として働くようになり、上流側の水がこの弁部開口80を通じてのみ下流側へと流通する。
【0069】
このとき、上流側から下流側へと流れる水は弁部開口80にて大きく絞られた状態となる。
従ってこのときには弁部開口80内において圧力低下が生じ、弁部開口80内における圧力は1次側圧力P2よりも小さい圧力P3となって、この圧力P3が弁部開口80の内面に対して作用することとなる。
【0070】
しかしながらこの圧力P3は、弁部開口80の図中上側の面に対しても、また下側の面に対しても作用するため、弁部開口80における上側の面と下側の面との面積、即ち受圧面が等しいときには上向きに働く圧力P3と下向きに働く圧力P3とが相殺され、結果的にこの低下した圧力P3は、絞り弁部58に対してこれを上下方向に動かす力としては働かない。
【0071】
従って図4(C)に示す状態の下でも、絞り弁部58に対して上向きに持ち上げる力と、下向きに押し下げる力とが釣り合った状態となり、絞り弁部58は、それら上向きの力と下向きの力との差によって上下に振動するといったことはない。
【0072】
尚本実施形態では、図5(A)に示しているようにシリンダ壁48の通過開口50と、絞り弁部58の弁部開口80との大きさが、次のような関係を満たしている。
即ち、シリンダ壁48における後退側壁部48-2の通過開口50側の端48-2Bと、絞り弁部58における弁部開口80の前進側の端80Aとを軸方向に一致させたとき、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の軸方向寸法Yが、弁部開口80の軸方向寸法Xよりも大となるような関係で、通過開口50と弁部開口80の大きさが定めてある。
【0073】
例えば図5(B)の比較例図に示しているように、軸方向寸法Yの方が軸方向寸法Xよりも小さくなるような関係で、通過開口50と弁部開口80とを形成しておいた場合、図5(B)に示す状態において絞り孔79が大きく絞られた状態にあるにも拘わらず、弁部開口80が通過開口50に対して開放されず、即ち弁部開口80がその上流側と下流側とに開放されず、それら上流側と下流側とが連通した状態とならないために、上流側の水が弁部開口80を通じて下流側へと流れることができない。
従って絞り孔79での急速な水の流れによって、そこで圧力降下が大きく生じ、絞り弁部58の上面に対して下向きに加わる圧力が2次側圧力P2よりも小さい圧力P3となり、結果として絞り弁部58が上下方向に振動を生じてしまう。
【0074】
このことは、図5(B)に示す状態で弁部開口80が僅かだけ通過開口50に開放された状態の下でも基本的に同様である。
絞り弁部58を通過して流れる水のほとんどが絞り孔79を通じて下流側へと流れて、そこで大きな圧力降下を生じてしまうからである。
【0075】
これに対し、図5(A)に示したものにおいては、(A)(イ)に示した状態から絞り弁部58が図中上向きに前進移動すると、その途中で確実に弁部開口80が通過開口50に対して開放された状態、即ち弁部開口80が上流側と下流側とに対して全体的に開放されて、それら上流側と下流側とを連通状態とするため、上記のような不具合は生じない。
【0076】
図5(A)(ロ)はこれを具体的に表したもので、絞り弁部58が上向きに押し上げられて、その上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの距離が最短となったときに、弁部開口80が確実に全体的に上流側と下流側とに開放された状態となり、弁部開口80が第2の絞り孔として働くようになる。
【0077】
尚厳密な意味で言えば、絞り弁部58の上端58Aと絞り壁部48-1の下端48-1Aとの間の絞り孔79の開度が、仮に弁部開口80がなかったときに絞り孔79の圧力が2次側圧力P2よりも低い圧力P3となる程度まで狭くなったときに、弁部開口80の少なくとも一部、望ましくは弁部開口80の全体が上流側と下流側とに連通した状態となるように、通過開口50及び弁部開口80の大きさを定めておくのが良い。
【0078】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
この例は、ダイヤフラム式の弁体を有する流量調節弁(流量制御弁)に本発明を適用した場合の例である。
図において92は本体ボデーを、94はその内部に形成された流路を、96,98はそれぞれ水の流入口,流出口を表している。
また94a,94bは主弁体100の上流側流路,下流側流路をそれぞれ表している。
【0079】
100は、流路94上に設けられたダイヤフラム式の主弁体で、ゴム等の弾性材で形成されたダイヤフラム膜102と、これを保持するダイヤフラムホルダ104とを有している。
主弁体100は、ダイヤフラム膜102の外周部において本体ボデー92に水密に固定されている。
【0080】
本体ボデー92には、主弁体100に対して軸方向に対向して突出する円筒状の絞り壁部106が一体に構成されている。
この絞り壁部106は、図中上端部が主弁体100を着座させる主弁座108をなしている。
尚、この絞り壁部106の図中上端部(先端部)は断面形状が湾曲形状をなしている。
【0081】
主弁体100の図中上側の背後には、圧力室110が設けられている。この圧力室110は、内部の圧力を主弁体100に対して図中下向きの閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁体100には、その中心から偏心した位置においてこれを貫通し、上流側流路94aと圧力室110とを連通させる導入小孔112が設けられている。
この導入小孔112は、上流側流路94aの水を圧力室110に導いて圧力室110の圧力を増大せしめる。
【0082】
主弁体100にはまた、その中心部にこれを貫通して圧力室110と下流側流路94bとを連通させる、水抜路としてのパイロット流路114が設けられている。
このパイロット流路114は、圧力室110の水を下流側流路94bに抜いて圧力室110の圧力を減少せしめる。
【0083】
116は、パイロット流路114の開度を制御するパイロット弁体で、このパイロット弁体116が駆動軸118によって図中上下方向に進退移動することで、パイロット流路114の開度が制御される。
パイロット弁体116は、パイロット弁座120に着座することでパイロット流路114を閉鎖する。
【0084】
主弁体100には、絞り壁部106に向って軸方向に突出する形態で絞り弁部122が備えられている。
絞り弁部122は絞り壁部106との間に絞り孔124を形成し、且つその絞り孔124の開度を大小変化させることで流量を調節する。
絞り弁部122は、図中下面が開放された形状の円筒状をなしており、その軸方向の中間部に、径方向に貫通したスリット状の弁部開口126が周方向に環状に設けられている。
【0085】
この実施形態では、主弁体100の下面に対して上流側流路94aの圧力と下流側流路94bの圧力とが、主弁体100を図中上向きに押し上げる向きの力として作用する。
一方主弁体100の上面に対しては、圧力室110の圧力が主弁体100を図中下向きに押し下げる向きの力として作用する。
主弁体100は、これら逆向きに加わる力をバランスさせるようにして図中上下方向に進退移動する。
またパイロット弁体116は、図中上下方向の進退移動によって、圧力室110の圧力を増減変更させるように働く。
【0086】
この例の流量調節弁90では、パイロット弁体116が図中上向きに移動すると、パイロット流路114の開度が一時的に広くなって、圧力室110の水がパイロット流路114を通じて下流側流路94bへと多く流出する。
すると圧力室110の圧力が低下するために、主弁体100が上流側流路94a及び下流側流路94bによる図中上向きの力と、圧力室110による図中下向きの力とをバランスさせるように図中上向きに移動し、そしてそれらの力がバランスした位置で停止する。
【0087】
このとき、パイロット弁体116とパイロット弁座120との間には微小な追従間隙が確保される。主弁体100は、その微小間隙を維持するようにパイロット弁体116の進退移動に追従して同方向に移動する。
【0088】
この実施形態では、主弁体100が図中下向きに移動し、絞り弁部122が絞り壁部106に向って前進移動することで、絞り孔124の開度を狭め、絞り孔124を通過する水の流量を減少させる。
また絞り孔124の開度を更に減少させることで、水の流量を更に減少させる。
【0089】
尚このとき、上流側流路94aの水は絞り弁部122に設けられた弁部開口126を通じても下流側流路94bへと流れる。
絞り弁部122が、図6(B)に示す状態から更に図中下向きの弁閉方向に前進移動すると、図7(I)に示しているように、あるところで絞り孔124が閉鎖した状態となる。ここにおいて上流側流路94aの水は、弁部開口126を通じてのみ下流側流路94bへと流れる。
【0090】
そして図7(II)に示すように絞り弁部122が更に図中下向きに前進移動すると、その弁部開口126の開度が絞り壁部106によって減少せしめられ(絞られ)、弁部開口126を通じて流れる水の流量も減少する。
そして図7(III)に示しているように、主弁体100のダイヤフラム膜102が、絞り壁部106の先端部の主弁座108に着座した時点で主弁体100が閉弁し、ここにおいて上流側流路94aから下流側流路94bへの水の流れが停止する。
【0091】
この実施形態においても、絞り弁部122に弁部開口126が設けられていることによって、絞り弁部122を介して主弁体100が図中上下方向に振動を起すのが有効に防止される。
例えば弁部開口126が設けられていない場合、絞り孔124の開度が小さくなるとそこでの流速が速くなるために、絞り孔124での圧力降下が大となり、上記の第1の実施形態と同様に主弁体100に対してこれを図中下向きに押す力が打ち勝つに到り、主弁体100が下向きに押し下げられる。
【0092】
すると絞り孔124での流量が少なくなることによって、今度は主弁体100が上向きに押し上げられる。そして主弁体100の下向きの押し下げ、及び上向きの押し上げが繰り返されることによって主弁体100が振動を生じ、安定した流量調節が行えなくなる。
しかるにこの実施形態では弁部開口126が設けられ、上流側流路94aの水が、この弁部開口126を通過して下流側流路94bへと流れることで、そのような振動が有効に防止される。
【0093】
またこの弁部開口126の開度が、主弁体100の前進移動に連れて狭くなることで、流路94を流れる水の流量が減少方向に調節される。
また主弁体100が上向きに移動することによって、流路94を流れる水の流量が、同じく弁部開口126及び絞り孔124の開度変化によって増大方向に調節される。
【0094】
本実施形態では、図8に示しているように絞り弁部122の先端部と、絞り壁部106の先端部との距離が最短となったとき、弁部開口126が、絞り弁部122の上流側と下流側に対し開放状態にあってそれらを連通している。そのように弁部開口126が設けられている。
【0095】
尚この例では、絞り弁部122を円筒状をなす絞り壁部106に対して、内嵌状態に嵌入させるようになしているが、図9に示しているように、これとは逆に絞り弁部122を絞り壁部106に対して外嵌させるようにして、絞り弁部122を絞り壁部106側に移動させるようになすこともできる。
【0096】
尚、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となるときは、絞り壁部106の先端部の形状或いは絞り弁部122の先端部の形状によって異なって来る。
図10はその一例を具体的に示している。
【0097】
図10(A)は、絞り壁部106の先端部が軸方向に短い距離に亘って湾曲形状とされている例を、また(B)は絞り壁部106の先端部が(A)よりも軸方向に長い距離に亘って湾曲形状とされている例を、また(C)は絞り壁部106の先端が角形状に形成されている場合の例をそれぞれ表している。
【0098】
本実施形態においては、何れの場合においても絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126が上流部と下流部とに対して開放され、それを連通状態とすることが必要である。
【0099】
例えば図10(A)の例では、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126が絞り壁部106に対して軸直角方向に全体的に重なっておらず、少なくともその一部が開放されている。
また弁部開口126の、絞り壁部106に対して軸直角方向に重なっている部分についても、絞り弁部122と絞り壁部106との間には隙間が生じており、弁部開口126は全体的に上流側と下流側とに開放されてそれらを連通状態としている。
【0100】
図10(B)の例においては、絞り弁部122の先端部と絞り壁部106の先端部との距離が最短となったときに、弁部開口126全体が絞り壁部106に対して軸直角方向に重なった状態となる。
但し絞り弁部122と絞り壁部106との間には、距離が最短となる部位よりも大きな隙間が生じており、弁部開口126は、上流側と下流側との何れにも全体的に開放された状態にあってそれらを連通状態としている。
【0101】
一方図10(C)の例においても、絞り弁部122と絞り壁部106との距離が最短となったとき、弁部開口126はその全体が上流側と下流側とに開放されてそれらを連通状態としている。
【0102】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれらはあくまで一例示である。
例えば本発明ではばねとして金属ばね以外にゴムばね等のエラストマーから成るばねを用いることも可能であるし、また本発明は絞り孔における絞り量を変化させることで、2次側の圧力を1次側の圧力よりも小さい設定圧力に保持する減圧弁に適用することも可能である。或いは感温体としての形状記憶合金製の感温ばねとバイアスばねとによる、互いに逆向きの力をバランスさせるように混合弁体を移動させて水と湯との混合比率を制御する湯水混合弁、又は互いに逆向きの液の圧力を混合弁体に作用させることで、混合弁体をそれら圧力をバランスさせるように移動させ、湯と水の混合比率を制御する湯水混合弁に適用することも可能である。
更に本発明は、上記第1の実施形態における定流量弁に代えて減圧弁を設け、その減圧弁とフラッシュ弁とでフラッシュ弁装置を構成するといったことも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【符号の説明】
【0103】
1 フラッシュ弁装置
2 定流量弁
3 フラッシュ弁
46 弁体
48 シリンダ壁
48-1,106 絞り壁部
48-1A 下端
48-2 後退側壁部
50 通過開口
58,122 絞り弁部
58A 上端
79,124 絞り孔
80,126 弁部開口
80A 端
100 主弁体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とを逆向きに受けて、それら弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動する弁体を有し
該弁体は絞り弁部を備えていて、該絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、該弁体の弁閉方向の前進移動により該絞り弁部を該絞り壁部に向けて移動させて液の流れに対する絞りを大とする流量制御弁において
前記絞り弁部には、少なくとも前記絞り壁部の先端部と、該絞り壁部の先端部に対向する該絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに前記流路の該絞り弁部に対する上流側と下流側とを連通状態とする貫通の弁部開口が第2の絞り孔として設けてあることを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
筒形をなすシリンダ壁の内部に前記弁体が軸方向に摺動可能に嵌合されており、
該シリンダ壁には貫通の液の通過開口が形成されていて、前記絞り弁部が前記弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退により該通過開口の解放面積を変化させるものとなしてあり、
該シリンダ壁は、該通過開口に対して該弁体の前進側に位置する前進側壁部が前記絞り壁部を成しているとともに、
該通過開口と前記絞り弁部の弁部開口とは、該弁部開口が、該シリンダ壁の該通過開口に対して前記弁体の後退側に位置する後退側壁部にて閉鎖され且つ該後退側壁部における該通過開口側の端と該弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、前記絞り弁部の前進側の端である先端と前記絞り壁部の該通過開口側の端である先端との間の軸方向寸法が、該弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさが定めてあることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記弁体がダイヤフラム式の弁体、前記絞り壁部が該ダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成されており、前記絞り弁部が該筒状の絞り壁部に向って軸方向に突出する状態で該弁体に備えてあることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項4】
前記流量制御弁の下流側に配置され、開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とともにフラッシュ弁装置を構成していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の流量制御弁。
【請求項1】
ばね又は/及び圧力による弁閉方向の力と弁開方向の力とを逆向きに受けて、それら弁閉方向の力と弁開方向の力とをバランスさせるように進退移動する弁体を有し
該弁体は絞り弁部を備えていて、該絞り弁部と固定側の絞り壁部との間に流路の液の流れを絞る絞り孔を形成し、該弁体の弁閉方向の前進移動により該絞り弁部を該絞り壁部に向けて移動させて液の流れに対する絞りを大とする流量制御弁において
前記絞り弁部には、少なくとも前記絞り壁部の先端部と、該絞り壁部の先端部に対向する該絞り弁部の先端部との間の距離が最短距離となったときに前記流路の該絞り弁部に対する上流側と下流側とを連通状態とする貫通の弁部開口が第2の絞り孔として設けてあることを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】
筒形をなすシリンダ壁の内部に前記弁体が軸方向に摺動可能に嵌合されており、
該シリンダ壁には貫通の液の通過開口が形成されていて、前記絞り弁部が前記弁体の弁閉方向の前進及び弁開方向の後退により該通過開口の解放面積を変化させるものとなしてあり、
該シリンダ壁は、該通過開口に対して該弁体の前進側に位置する前進側壁部が前記絞り壁部を成しているとともに、
該通過開口と前記絞り弁部の弁部開口とは、該弁部開口が、該シリンダ壁の該通過開口に対して前記弁体の後退側に位置する後退側壁部にて閉鎖され且つ該後退側壁部における該通過開口側の端と該弁部開口の前進側の端とが軸方向に一致した状態にあるとき、前記絞り弁部の前進側の端である先端と前記絞り壁部の該通過開口側の端である先端との間の軸方向寸法が、該弁部開口の軸方向寸法よりも大となる関係で大きさが定めてあることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項3】
前記弁体がダイヤフラム式の弁体、前記絞り壁部が該ダイヤフラム弁体に対して軸方向に対向して突出した筒状の壁部としてそれぞれ構成されており、前記絞り弁部が該筒状の絞り壁部に向って軸方向に突出する状態で該弁体に備えてあることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【請求項4】
前記流量制御弁の下流側に配置され、開弁により設定流量だけ水を流した後に自動閉弁するフラッシュ弁とともにフラッシュ弁装置を構成していることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の流量制御弁。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−179575(P2011−179575A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43500(P2010−43500)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】
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