説明

浄水システム

【課題】 アオコのような藻類を低コストで確実に除去して品質の良い上水を提供することができる浄水システムを提供する。
【解決手段】 この浄水システムは、水源Sから取水した原水を浄水設備1において清浄化する浄水システムにおいて、浄水設備より上流側において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する藻類検出装置102と、この藻類検出手段102の検出結果に基づいて藻類の不活化処理の要否を定める判断手段100と、判断手段の判断結果に応じて浄水設備1において藻類の不活化処理を行う藻類処理装置4とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水源から取り入れた原水を処理して上水とするための浄水システムに関する。
【背景技術】
【0002】
浄水システムは、図8に示すように、貯水池Sや、湖沼、あるいは地下水等の水源から取水して清浄化処理する。このような処理を行う浄水場は、いくつかの処理池を連ねて構成されている。まず、沈砂池80において粗い砂等を除いた水を着水井82に貯め、薬品混和池84において凝集剤を添加して攪拌し、混和する。これをフロック形成池86に導いて緩やかに攪拌させることにより、塊状体(フロック)の生成を促進する。これを沈殿池88に導き、塊状体を沈殿させた後、上澄みを濾過池90に導いてさらに細かい異物を除去する。このようにして清澄化させた水を浄水池92に導き、塩素を添加して化学的に処理する。
【0003】
ところで、近年、富栄養化等の原因によって、各地の湖沼、貯水池等の水源において、アオコと呼ばれる藍藻プランクトンの大量発生が起きている。アオコが浄水設備で充分に除去されないと、水道水に悪臭をもたらしたり、さらには、有毒物質が残留する等の問題を引き起こしてしまう。しかしながら、藍藻プランクトンは気泡を含んでおり、浮上性を有するので、凝集や沈殿が難しい。従って、これを完全に除去しようとすると、凝集剤の過剰に投与して水質を損なったり、濾過池90で濾床94の目詰まりを起こす等の弊害をもたらしてしまう。
【0004】
このようなアオコの発生の抑制や除去の方法として、薬品を添加する方法や、特許文献1に示すような水中パルス放電を用いることも考えられる。水中パルス放電を用いる方法では、薬品による除去よりも費用が安い、二次汚染の危険が少ない、等の利点が有ると考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2004−81119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、いずれの方法で処理する場合でも、藻類が発生していないのに常時そのような処理を行うのは、過剰対策であって経済的ではない。一方、発生しているのに対策を執らない場合には、上記のような被害が拡大してしまう。また、水中パルス放電を用いる場合でも、水中の藻類を低コストで確実に処理するための方法が求められている。
【0007】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、アオコのような藻類を低コストで確実に除去して品質の良い上水を提供することができる浄水システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、請求項1に記載の浄水システムは、水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、前記浄水設備より上流側において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する藻類検出装置と、この藻類検出手段の検出結果に基づいて藻類の不活化処理の要否を定める判断手段と、前記判断手段の判断結果に応じて前記浄水設備において藻類の不活化処理を行う藻類処理装置とを有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明においては、藻類の発生を迅速に検出して、早期に藻類の不活化処理を行い、浄水処理における藻類の除去を促進する。
【0009】
請求項2に記載の浄水システムは、請求項1に記載の発明において、前記藻類検出装置は、水中の藻類から離れた位置において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する遠隔検出手段と、水中の藻類に近接した位置において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する近接検出手段のいずれかまたは双方を有することを特徴とする。遠隔検出手段と近接検出手段のそれぞれの特徴を活用して、低コストで効率的な藻類の検出を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載の浄水システムは、水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、前記原水を前記浄水設備に送水するための配管内において水中パルス放電を行って藻類を不活化する放電処理装置が設けられていることを特徴とする。
これにより、取水中の藻類の処理漏れを防止することができる。
【0011】
請求項4に記載の浄水システムは、請求項3に記載の発明において、前記放電処理装置は、取水ポンプと同一の施設内に設けられていることを特徴とする。これにより、電源その他の設備を共有させて効率化を図ることができる。
請求項5に記載の浄水システムは、請求項3または請求項4に記載の発明において、前記放電処理装置は、沈砂池の上流側に設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の浄水システムは、水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、前記原水中に凝集剤を添加すると同時にまたはその後に水中パルス放電を行って藻類の処理を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1ないし請求項6に記載の放電処理装置または放電処理方法によれば、アオコのような藻類を低コストで確実に除去して品質の良い上水を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態の浄水システムを説明する。
図1は、この浄水システムの全体の構成を模式的に示すもので、水源である貯水池Sと、貯水池Sから延びる水路Cと、水路Cから取水した原水を処理する浄水設備1を有している。浄水設備1は、水路Cから原水を取水する取水場2と、これを浄化する浄水場3を有している。
【0015】
この浄水システムは、藻類検出装置を有しており、これは、貯水池Sの近傍に設置された管理センター100と、貯水池S及び/又は水路Cの岸に沿って設置された定置型の遠隔監視装置102とを備えている。管理センター100は、各種情報を集積し、中継し、あるいは判断を行い、指令する機能を有するものであって、そのような機能を有するものであれば、存在する場所や形態は問わないし、また、有人でも無人でもよい。この実施の形態では、貯水池Sの管理事務所(有人)のような建物に設置されているが、無線による送受信に便利な山頂のような高い場所に無人ステーションとして設置してもよく、遠隔監視装置102と一体としてもよい。管理センター100には、上述した機能を行うために、パソコンなどの情報処理機器、無線または有線の通信回線、及びこれらの付属装置が設けられている。
【0016】
定置型の遠隔監視装置102は、この実施の形態では、貯水池S及び/又は水路Cの沿岸に複数配置された監視塔106の頂部に設置された反射型スペクトル分光器を有している。これは、受光器として例えばCCDカメラ(電荷結合素子カメラ)を用い、受けた光のスペクトルを分析することで、貯水池Sにおける特定の物質の存在を認識する。例えば、クロロフィル(葉緑素)aは光合成を行う植物全体に含まれる物質であるが、これが存在すれば、藻類である確率が高い。厳密に藻類の検出を行うためには、藍藻類が保有するフィコシアニン等のフィコビリン色素を検知する方法を補助的に用いてもよい。受光器は駆動機構によって上下あるいは左右に揺動可能とすれば、視野を変えてより広い領域を監視することができる。
【0017】
この実施の形態では、監視塔106にはスペクトル分光器を用いた遠隔監視装置の他に、風向・風速計、湿・温度計のような他の計測機器が設けられ、また、これらの機器に電力を供給する太陽電池や蓄電池が設けられている。スペクトル分光器やその他の計測機器によって得られた情報は、無線または有線の通信回線によって、随時管理センター100に送られる。
【0018】
なお、遠隔監視装置102の受光器の設置個所や設置数、その形式等は、状況に応じて適宜に変更可能である。狭い貯水池Sであれば、少ない設置数でよい。山頂や高い塔などの全体を見渡せる設置場所が有れば、やはり設置数を減らすことができる。監視塔106を水中に建ててもよいし、近傍に建築物があれば、それに受光器を取り付けてもよい。また、このような定置型でなく、気球、飛行船、飛行機、ヘリコプター、あるいはランドサットのような地表を観測可能な人工衛星等、移動型の遠隔監視装置を用いても良い。さらには、例えば、ラジオコントロールで走査可能な水上船や模型飛行機のような簡易な移動体や、他の目的で使用される移動手段、例えば、観光用の遊覧船などに設置してもよい。また、貯水池Sの両岸間にロープ等を張り渡して、それに測定器を吊持させながら移動させるようにしてもよい。勿論、これらを適宜に組み合わせて、あるいは必要に応じて選択して用いるようにしてもよい。
【0019】
また、遠隔監視装置102を監視船104等の船体に設置してもよい。船体では、設置位置が低くなるので、一度に得られる情報は狭い領域のものになるが、走行しながら得られる情報を蓄積することによって、全体の領域の情報を得ることができる。この場合、ある時点における測定情報を、例えば、その時の船の位置と受光器の向きの情報から算出される位置情報とリンクさせておくことで、貯水池Sのマップ情報の要素とすることができる。また、上述した各種の遠隔監視手段は、単独ではなく、組み合わせて用いることで、手間やコストを省いたり、精度を向上させたりすることができる。例えば、定置型の装置の情報を主として用い、情報が不足したり、より詳しい情報を得たい場合に、移動型の監視手段を用いるようにする。
【0020】
監視船104は、監視対象により接近した位置から情報を得るもので、水をサンプリングして、あるいは水中に測定器を浸漬させて、水に関する情報を直接に得ることができる。センサとしては、藻類の存在を検出するものと、藻類の増殖に好適な環境条件を測定するものとが有る。後者の結果は、藻類の増殖を予測するデータとして用いることができる。前者としては、水の濁度測定やスペクトル分光法のような光学的測定方法、あるいは、藻類の増殖時に発生する酸素を測定する方法、藍藻類の増殖時に起こるpHの上昇を検知する方法等が有り、後者としては、藻類の生育に好適な温度・照度を確認する方法や、水の栄養分を測定する方法等が挙げられる。
【0021】
図2は、この実施の形態の浄水設備1の取水場2に設けられた放電処理装置4を示す。これは取水口の下流側の取水配管5中に配置されている。取水配管5には、図示しない取水ポンプ、流量計等が設けられ、その下流側に放電処理配管10が設けられている。放電処理配管10の内部には、軸線に沿って延びる線状の高圧側電極12と、これを取り囲む筒状の接地側電極14とが配置されて、放電処理装置4を構成している。この実施の形態では、放電処理装置4を取水場2の屋内に設置することで、取水ポンプ等の設備と電源設備を共有することができる他、安全上、騒音対策上、有利である。これらの対策として、これらを地下に設置するのは特に有利である。
【0022】
図3に示すように、高圧側電極12は、配管10の一側(ここでは上側)に軸方向に間隔を置いて設けられた開口フランジ16から配管10内に挿入された棒状の絶縁体からなる一対の高圧側支持部材18により両端を支持されている。高圧側電極12は、高圧側支持部材18を挿通する導線20aにより配管10の外部に導出され、電源装置22の高圧端子に接続されている。
【0023】
一方、接地側電極14は同じく配管10の開口フランジ24から配管10内に挿入された棒状の絶縁体からなる接地側支持部材26により支持されている。接地側支持部材26は図示例では1本であるが、複数を配置して強固に支持するようにしてもよい。接地側電極14は、接地側支持部材26を挿通する導線20bにより配管10の外部に導出され、電流計28を介して接地されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、この電流計28は制御装置30に接続されており、制御装置30は、水中での放電状態を、例えば、この装置では、水中で複数の筋状の経路を介して放電するストリーマ放電が生成するように制御する。制御装置30は、そのために、実験的に求めた閾値と電流計28により実測した放電電流値を比較して、アーク放電の発生またはストリーマ放電の消失を検知する。この場合、単に閾値との比較だけでなく、放電電流値の変化率や変化のパターンを考慮し、アーク発生時やストリーマ放電の消失(電離放電路が消失して電界処理状態へ退行する状態)の時のそれらの特徴を予めデータとして得ておいて、それと実測値を比較することにより、より迅速にかつ正確にアーク放電の発生またはストリーマ放電の消失を検知することができる。制御装置30にはアンテナ31が設置されており、処理の開始または停止等の信号を管理センター100から受信することができる。
【0025】
電源装置22は、電気エネルギーを時間的に圧縮したパルス電力として放電装置に供給するためのもので、電源32と、電源32からの電気エネルギーを蓄積するための充分な容量を持つコンデンサ34と、コンデンサ34に蓄積された電気エネルギーを所定のタイミングで電極に送るスイッチ36を備えている。制御装置30は、コンデンサ34の充電電圧を電位計38で測定し、これが所定の値になったときに放電するようにスイッチ36を制御する。電源32には、充電電圧調整手段として、例えばDC/DCコンバータ、パルス幅変調器(PWM)及び/又は可変トランスを有するのが好ましい。
【0026】
制御装置30は、電流計28の測定値がストリーマ放電の時よりも上昇して、アーク放電が発生していると判断される時には、アーク放電の発生を抑制するように、放電電圧の設定値を下げる。また、電流計28の測定値がストリーマ放電の時よりも低下して、ストリーマ放電が消失しつつあると判断される時には、ストリーマ放電を継続するように放電電圧の設定値を上げる。この際の放電電圧の変化量は、一定であってもよく、あるいはアーク放電の発生の程度によって変化させてもよい。例えば、放電電圧を5kVとした際にアーク放電が検出された場合には、次には4.8kVで放電し、それでもアーク放電が発生したら、4.6kVへ下げるようにする。また、アーク放電の発生が無い安定なストリーマ放電状態が継続する場合には、放電電圧の設定値を維持するようにする。
【0027】
このように、この実施の形態では、電流計28により放電電流を検出し、この検出値に基づいてアーク放電の発生またはストリーマ放電の消失を判断し、これに基づいて放電電圧を制御するので、全て電気的な工程により制御が迅速に行われる。また、制御工程において機械的な動作が無いので、構造が簡単であり、設備コストも小さく、従来の装置への設置も容易である。
なお、アーク放電の発生またはストリーマ放電の消失を抑制するように電源装置22を制御する方法としては、パルスのサイクルを調整するようにしてもよく、これを単独で行っても、電圧調整と併用してもよい。
【0028】
なお、図3等において示した接地側電極14は配管との間に隙間を形成して配置されているが、これは処理装置の原理を示すためであって、この隙間を微小に設定し、あるいはなくすことができる。この実施の形態では、配管を通過するすべての流体に放電処理がなされるので、処理漏れが無くなる。すなわち、図5に示すように、図1に示す接地側電極14の替わりに配管10の一部を配管兼接地側電極11とする。配管兼接地側電極11は導電体で構成されるか、導電性の内張を施す。配管10の他の部分は導電体である必要は無いが、金属等の導電体である場合には、同図に示すように、接続フランジ40間に絶縁体42を介在させて電流計28の測定誤差を小さくすると良い。
【0029】
以上のように構成された、図1の浄水システムの動作を、図6のフロー図を参照しながら説明する。
この実施の形態では、定置型の遠隔監視装置102は日光を光源として用いるので、スペクトル情報と位置情報からなる藻類情報が適宜収集される。収集された情報は、順次管理センター100のコンピュータに蓄積され、所定のタイミングでスペクトル情報の画像処理がなされる(ステップ1)。そして、画像処理された情報を基に、藻類の存在を直接または間接に示すクロロフィルa等の物質の濃度が算出される(ステップ2)。この濃度情報と位置情報を基に、貯水池Sにおける分布マップが作成される(ステップ3)。この分布マップは、管理センター100その他の場所に設置されたディスプレイ装置に適宜に表示される。次に、コンピュータは、濃度情報と、予め入力された閾値とを比較し、濃度が閾値より大きい場所、すなわち、発生あるいはその予兆が認められる場所が存在するかどうかを判断する(ステップ4)。そして、そのような場所が存在すると判断された場合は、その領域を監視船104に通知する(ステップ5)。
【0030】
監視船104は、通知された領域情報を基に、水中に投入した測定器による各種測定、サンプリング、及びサンプルの分析等を行う(ステップ6)。サンプルの分析は、リアルタイムで可能な分析を行い、必要に応じて時間を要する試験を行う。そして、藻類発生が処理が必要なレベルに達しているか否かを判断する(ステップ7)。処理が必要である場合には、その旨を処理装置の制御装置に通知し、処理装置を作動させて処理を行う(ステップ8)。ここで、どの程度の処理が必要かを判断して、処理レベルを指示するようにしてもよい。処理レベルは、放電電力やパルスの周波数を変えることにより、あるいは複数の処理装置を配管中に直列して配置した場合に、作動させる台数を変えることにより、調節することができる。
【0031】
この放電処理により、配管を流れる水中の藻類は不活化され、気泡が破裂して浮力を失う。そして、藻類の一部が沈砂池80において沈殿して除去された後、浄水場3に送られる。浄水場3では、着水井82から薬品混和池84に導かれ、凝集剤が添加され、攪拌によって混和されてフロック形成池86に導かれる。ここで、緩やかに攪拌されて、水中の不活化した藻類は、他の異物とともに塊状体(フロック)を生成する。この水は沈殿池88に導かれ、塊状体を沈殿させた後、上澄みが濾過池90に導かれ、さらに細かい異物を除去する。濾過池90では既に藻類は沈殿して除去されているので、濾床94を閉塞することが防止される。このようにして清澄化させた水を浄水池92に導かれ、塩素が添加されて化学的に処理される。
【0032】
上記の実施の形態では、配管中で放電処理を行っているので、処理漏れがほとんど無い。勿論、放電の条件は流量に合わせて調整し、単位流量当たりの放電量を一定以上にする必要が有る。流量が多い場合には、パルス数や放電電流を増やしたり、放電電極の配置を増やしたりする必要が有る。放電電極は、配管に沿って直列に増やしても良いし、並列に増やしても良い。また、流量が多い場合には複数の配管を並列に設置して、それぞれに放電処理装置4を配置するようにしてもよい。この実施の形態では、放電処理装置4を沈砂池80の上流に設置したが、沈砂池80の下流側の配管に配置してもよいし、双方に配置してもよい。
【0033】
上記の実施の形態では、藻類の検出装置として、遠隔型の監視装置102と近接型の監視船104との双方を用いたが、いずれか一方でも、他の形態の検出装置であっても、それらを併用しても良い。また、検出のための場所としては、水源である貯水池S、流路を構成する水路Cの他、取水口より下流の場所であっても良い。
【0034】
上記の実施の形態では、高圧側及び接地側の電極を同軸に配置した構成としたが、一方、あるいは双方が平板状の電極であっても、一方または双方が網状の電極であってもよく、用途や状況に応じてその他の任意の形状を採用することができる。また、上記の実施の形態では、この発明の装置をストリーマ放電を維持するように用いたが、勿論、アーク放電を維持するように用いても良く、電界処理状態を維持するように用いても良い。
【0035】
図7は、この発明の他の実施の形態を示すもので、藻類検出装置として、定置型でなく、気球、飛行船、飛行機、ヘリコプター、あるいはランドサットのような地表を観測可能な人工衛星等、移動型の遠隔監視装置102Aを用いている。また、放電処理装置4Aは、浄水場3の処理池に設置されている。この実施の形態では、放電処理池96は、薬品混和池84とフロック形成池86の間に配置されており、凝集剤が添加されて攪拌によって混和された状態の水に放電処理がなされる。これにより、藻類の不活化と同時に、パルス放電による攪拌作用によって添加された凝集剤を混和させられ、沈殿の促進あるいは凝集剤の添加量の減少等の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】この発明の第1の実施の形態の浄水システムの全体構成を示す図である。
【図2】この発明の第1の実施の形態の浄水システムの取水場を示す図である。
【図3】この発明の第1の実施の形態の放電処理装置を示す図である。
【図4】この発明の第1の実施の形態の電源装置を示す図である。
【図5】放電処理装置の他の実施の形態を示す図である。
【図6】図1の浄水システムの処理工程を示すフロー図である。
【図7】この発明の第2の実施の形態の浄水システムを示す図である。
【図8】従来の浄水システムを示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 浄水設備
2 取水場
3 浄水場
4,4A 放電処理装置
5 取水配管
10 (放電処理)配管
96 放電処理池
100 管理センター
102,102A 遠隔監視装置
104 監視船
106 監視塔
C 水路
S 貯水池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、
前記浄水設備より上流側において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する藻類検出装置と、
この藻類検出手段の検出結果に基づいて藻類の不活化処理の要否を定める判断手段と、
前記判断手段の判断結果に応じて前記浄水設備において藻類の不活化処理を行う藻類処理装置とを有することを特徴とする浄水システム。
【請求項2】
前記藻類検出装置は、水中の藻類から離れた位置において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する遠隔検出手段と、水中の藻類に近接した位置において藻類の発生またはこれを示す所定の指標値を検知する近接検出手段のいずれかまたは双方を有することを特徴とする請求項1に記載の浄水システム。
【請求項3】
水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、
前記原水を前記浄水設備に送水するための配管内において水中パルス放電を行って藻類を不活化する放電処理装置が設けられていることを特徴とする浄水システム。
【請求項4】
前記放電処理装置は、取水ポンプと同一の施設内に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の浄水システム。
【請求項5】
前記放電処理装置は、沈砂池の上流側に設けられていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の浄水システム。
【請求項6】
水源から取水した原水を浄水設備において清浄化する浄水システムにおいて、
前記原水中に凝集剤を添加すると同時にまたはその後に水中パルス放電を行って藻類の処理を行うことを特徴とする浄水システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−297240(P2006−297240A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−120456(P2005−120456)
【出願日】平成17年4月19日(2005.4.19)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】