浄水機能付き水栓
【課題】浄水シャワー吐出の選択時に、浄水カートリッジによる圧力損失によって吐出流量が減少した場合でも、吐出の勢いを確保することができる浄水機能付き水栓を提供する。
【解決手段】浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択操作できるようにした浄水機能付き水栓において、複数の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bを設ける。浄水シャワー吐出が選択された場合には、原水シャワー吐出が選択された場合より少ない数の第2シャワー吐水口46Bから吐出されるように切換えるための流路切換機構26を設ける。
【解決手段】浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択操作できるようにした浄水機能付き水栓において、複数の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bを設ける。浄水シャワー吐出が選択された場合には、原水シャワー吐出が選択された場合より少ない数の第2シャワー吐水口46Bから吐出されるように切換えるための流路切換機構26を設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浄水機能付き水栓としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。
この従来構成においては、水栓本体内に浄水カートリッジ及び流路切換機構が配置されている。そして、流路切換機構の操作により、ストレート吐水口からの原水ストレート吐出、シャワー吐水口からの原水シャワー吐出、ストレート吐水口からの浄水ストレート吐出と、シャワー吐水口からの浄水シャワー吐出との切換えが行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−42993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、この従来の浄水機能付き水栓では、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とが、同一のシャワー吐水口から行われるようになっている。このため、浄水シャワー吐出時には、浄水カートリッジによる圧力損失が大きくなることで、十分なシャワー流量を得ることができず、勢いの足りないシャワーとなり、ときにはシャワー状に拡散することもなく滴り落ちるのみで、好適なシャワー機能を得ることができないという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、浄水吐出の選択時に、浄水カートリッジによる圧力損失で吐出流量が減少した場合でも、吐出の勢いを確保することができる浄水機能付き水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、開口総面積が大きな第1シャワー吐水口と、開口総面積が小さな第2シャワー吐水口とを設け、前記原水シャワー吐出が選択された場合は、第1シャワー吐水口から吐水されるとともに、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口から吐水されるように流路を切換える切換手段を設けたことを特徴としている。
【0007】
従って、この発明の浄水機能付き水栓においては、浄水シャワー吐出が選択された場合は、原水シャワー吐出が選択された場合より開口総面積が小さな第2シャワー吐水口から吐水されるように、切換手段によって流路が切換えられる。このため、浄水シャワー吐出の選択時に、浄水カートリッジによる圧力損失によって吐出流量が減少しても、吐出の勢いが低下するおそれはほとんどない。よって、快適な浄水シャワー吐出を得ることができる。
【0008】
前記の構成において、前記切換手段は、原水シャワー吐出用の通路と、浄水シャワー吐出用の通路とを同一円周上に形成することが好ましい。
前記の構成において、第1,第2シャワー吐水口を有する吐水プレートとの間に流路を形成する流路形成部材を設けるとともに、前記流路を第1,第2シャワー吐水口に対応して区画し、前記切換手段は、各区画に対する原水または浄水の供給を切換えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、浄水シャワー吐出の際に、浄水カートリッジによる圧力損失によって吐出流量が減少した場合でも、吐出の勢いを確保することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の浄水機能付き水栓を示す正面図。
【図2】図1の浄水機能付き水栓の軸線方向に沿った断面図。
【図3】図2の浄水機能付き水栓を分解状態で示す断面図。
【図4】浄水機能付き水栓のヘッド部を分解して示す斜視図。
【図5】同ヘッド部内の流路切換機構を示す正面図。
【図6】図5の6−6線における断面図。
【図7】流路切換機構のハウジングを示す断面図。
【図8】(a)は図7の矢印A方向から見た側面図、(b)は(a)の構成から隔壁部分を取り出して示す側面図。
【図9】流路切換機構内の弁体を示す正面図。
【図10】(a)は図9の矢印B方向から見た側面図、(b)は図9の矢印C方向から見た側面図。
【図11】図10(a)の11−11線における断面図。
【図12】流路切換機構内の弁座パッキンを示す側面図。
【図13】(a)〜(d)は異なった流路の切換え状態における隔壁と弁体との対応関係を示す側面図。
【図14】第2実施形態の水栓の要部を示す分解斜視図。
【図15】図14のヘッド内の構成を示す断面図。
【図16】第3実施形態の水栓の要部を示す分解斜視図。
【図17】図16のヘッド内の構成を示す断面図。
【図18】同じく吐水プレート内の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明を具体化した浄水機能付き水栓の各実施形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
まず、この発明の第1実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、浄水機能付き水栓の水栓本体21は、円筒状の把持部22と、その把持部22の先端に着脱可能に連結されたヘッド部23とを備えている。把持部22には、水質を浄化するための浄水カートリッジ24が着脱可能に内装されている。ヘッド部23の先端下部には、吐水筒部25が突設されている。ヘッド部23内には、吐水筒部25からの吐水状態を原水ストレート,原水シャワー,浄水ストレート及び浄水シャワーの4種類のいずれかに切換えるための切換手段としての流路切換機構26が配置されている。この流路切換機構26は、後述のハウジング34,弁体35,吐水口部材41,分配部材43,吐水プレート44,シール部材50,操作摘み60等によって構成されている。
【0013】
図2及び図3に示すように、前記浄水カートリッジ24は、円筒状のケース30内に収容した状態で把持部22内に配置されている。ケース30の一端部には、図示しない混合水栓のホース等に接続するための円筒状の接続口30aが把持部22の端面から突出するように形成されている。ケース30の他端部には、流路切換機構26の後記ハウジング34に接続するための開口部30bが形成されている。浄水カートリッジ24には、活性炭部24aと中空糸膜部24bとが直列に配置されている。浄水カートリッジ24においてケース30の開口部30bと対応する側の端部には、接続キャップ31が嵌着されている。接続キャップ31には、流路切換機構26の後記弁体35に接続するための円筒状の接続部31aが突設されている。
【0014】
そして、流路切換機構26の選択操作により、浄水カートリッジ24のケース30の接続口30aからケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の外周部または内部を通る流路に切換えられて導かれる。浄水カートリッジ24の外周部を通る流路に切換えられた原水は、原水のままの状態で、浄水カートリッジ24の外周部から流路切換機構26のハウジング34内に導かれる。これに対して、浄水カートリッジ24の内部を通る流路に切換えられた原水は、浄水カートリッジ24により浄化されて浄水となり、接続キャップ31の接続部31aから流路切換機構26の弁体35内に導かれる。
【0015】
図2及び図3に示すように、前記流路切換機構26は、前記ハウジング34と、そのハウジング34内に配置された弁体35とを備えている。図3〜図6に示すように、ハウジング34には、浄水カートリッジ24のケース30の開口部30bの内周面に図示左端部において接続される筒状部34aが設けられている。図3及び図4に示すように、前記筒状部34a内の中間部には隔壁36が形成されている。図2、図4及び図6に示すように、隔壁36にはその下流側の空間37B内に位置するように環状壁38が形成されている。そして環状壁38により空間37Bの中心側に位置する空間部40Aが区画形成されている。また、環状壁38と筒状部34aとの間に区画壁39が形成され、この環状壁38と筒状部34aと区画壁39とにより、中心側の空間部40Aの外周側に環状壁38を隔てて第1シャワー用流路40Bと、その第1シャワー用流路40Bと同一円周上に位置する第2シャワー用流路40Cとが区画形成されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、前記ハウジング34の筒状部34aの先端(図示右端)下部には、水栓本体21のヘッド部23の吐水筒部25内に配置される吐水口部材41が突設されている。図6に示すように、吐水口部材41内には、中心側のストレート用連通路42Aと、そのストレート用連通路42Aの図示右側において前記第1シャワー用流路40Bに連通する第1シャワー用連通路42Bと、ストレート用連通路42Aの図示左側において第2シャワー用流路40Cに連通する第2シャワー用連通路42Cとが区画形成されている。吐水口部材41の下端部には、流路形成部材としての分配部材43(図4参照)と吐水プレート44とが固着されている。
【0017】
図2及び図6に示すように、前記吐水プレート44の中心部には、前記ストレート用連通路42Aに連通するストレート吐水口45Aが形成されている。そのストレート吐水口45Aの外周側には円環状に延びる第1シャワー吐水路45Bと、その第1シャワー吐水路45Bとストレート吐水口45Aとの間において円環状に延びる第2シャワー吐水路45Cとが吐水プレート44と一体の区画壁33により区画形成されている。そして、この区画壁33の上端と前記分配部材43の下面との間にはリング状のシール部材50が介在されている。
【0018】
吐水プレート44の底壁部には、第1シャワー吐水路45Bに連通する複数の吐水孔よりなる第1シャワー吐水口46A及び第2シャワー吐水路45Cに連通する複数の吐水孔よりなる第2シャワー吐水口46Bが、同心状の環状領域に配列形成されている。この場合、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の内周側の円形領域によって構成されている。従って、第1シャワー吐水口46Aの数が第2シャワー吐水口46Bの数よりも多くなるように形成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0019】
図4及び図6に示すように、前記分配部材43の上面には、第1シャワー用連通路42B及び第2シャワー用連通路42Cの下端部に嵌合する一対の突起47A,47Bが一体形成されている。第1シャワー用連通路42Bに嵌合する突起47Aには、第1シャワー用連通路42Bを吐水プレート44内の第1シャワー吐水路45B及び第2シャワー吐水路45Cの双方にそれぞれ連通させるための2つの連通孔48Aが形成されている。第2シャワー用連通路42Cに嵌合する突起47Bには、第2シャワー用連通路42Cを吐水プレート44内の第2シャワー吐水路45Cのみに連通させるための1つの連通孔48Bが形成されている。
【0020】
図3、図6〜図8に示すように、前記ハウジング34内の隔壁36の中心部には、軸支孔51が貫通形成されている。隔壁36には、ストレート用流出孔52A、シャワー用流出孔52Bが貫通形成されるとともに、隔壁36の上流側の面には第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bが形成され、それらは同心円周上でほぼ等角度間隔をおいて配設されている。第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bは、隔壁36の上流側の面に円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成された凹部より構成されている。
【0021】
前記ストレート用流出孔52Aは、ハウジング34の筒状部34a内の上流側空間37Aと吐水口部材41内のストレート用連通路42Aとを連通させるように、隔壁36の下部に形成されている。また、このストレート用流出孔52Aは、隔壁36の円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成されている。シャワー用流出孔52Bは、円周方向に沿って隣接して配列された2つの貫通孔52a,52bから構成されている。シャワー用流出孔52Bの一方の貫通孔52aは、第1シャワー用流路40B及び吐水口部材41内の第1シャワー用連通路42Bとを連通させる位置に形成されている。シャワー用流出孔52Bの他方の貫通孔52bは、第2シャワー用流路40C及び吐水口部材41内の第2シャワー用連通路42Cとを連通させる位置に形成されている。
【0022】
図7及び図12に示すように、前記隔壁36の上流側の面には、ゴム等の弾性材よりなる円板状の弁座パッキン54が取り付けられている。この弁座パッキン54には、隔壁36のストレート用流出孔52A及びシャワー用流出孔52Bの開口周縁に配置される環状シール部54a,54bと、隔壁36の第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bに配置される凸状シール部54c,54dとが形成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、前記流路切換機構26におけるハウジング34の筒状部34aの下流側開放端部には、筒状部34a内の下流側空間37Bの端縁を閉鎖するための閉鎖板55が取り付けられている。閉鎖板55の中心には、隔壁36の軸支孔51に対応する軸支孔56が形成されている。
【0024】
図3,図9及び図11に示すように、前記流路切換機構26の弁体35には、円板状の弁板57と、その弁板57の中心から下流側に突出された操作軸58と、弁板57の中心から上流側に突出された接続筒59とが形成されている。そして、弁体35の操作軸58が隔壁36の上流側から軸支孔51,56に挿通されることにより、弁体35が隔壁36と閉鎖板55とに回転可能に支持されている。また、この弁体35の支持状態で、前記接続筒59に対して前記浄水カートリッジ24の端部に取り付けられた接続キャップ31の接続部31aが着脱可能に接続されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、前記水栓本体21のヘッド部23の外側には操作摘み60が設けられており、その操作摘み60は弁体35の操作軸58の端部に連結されている。
弁体35の弁板57と接続キャップ31との間には、弁板57を隔壁36側に向かって押圧付勢するためのバネ61がバネ受け62を介して介装されている。図2,図8〜図10(a)(b)に示すように、隔壁36の上流側の面の外周縁には、4つの位置決め凹部63が同一円周上で等角度間隔をおいて形成されている。弁板57の下流側の面の外周縁には、位置決め凹部63に係脱可能な4つの位置決め凸部64が同一円周上で等角度間隔をおいて形成されている。
【0026】
そして、前記操作摘み60により弁体35が回転操作されたとき、前記バネ61の付勢力のもとで位置決め凸部64が位置決め凹部63に係脱されて、弁体35がクリックモーションで図13(a)〜(d)に示す4つの切換位置に位置決め保持されるようになっている。
【0027】
図4、図10(a)(b)及び図11に示すように、前記弁体35の弁板57には、原水用弁口65A及び浄水用弁口65Bが同一円周上で形成されている。原水用弁口65Aは、弁板57の円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成されている。そして、弁体35が図13(a)に示す切換位置に切換えられたときには、原水用弁口65Aが隔壁36上のストレート用流出孔52Aに合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。また、弁体35が図13(b)に示す切換位置に切換えられたときには、原水用弁口65Aが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bに合致して、両貫通孔52a,52bが開放されるようになっている。
【0028】
図10(a)(b)及び図11に示すように、前記浄水用弁口65Bは、弁体35の接続筒59内から弁板57の下流側面に向かって傾斜状に延びるように形成されている。また、この浄水用弁口65Bは、開口端面が弁板57の径方向に長い楕円形状となるように形成されている。そして、弁体35が図13(c)に示す切換位置に切換えられたときには、浄水用弁口65Bが隔壁36上のストレート用流出孔52Aの一部に合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。また、弁体35が図13(d)に示す切換位置に切換えられたときには、浄水用弁口65Bが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bに合致して、その貫通孔52bのみが開放されるようになっている。
【0029】
次に、前記のように構成された浄水機能付き水栓の作用を主として図13に従って説明する。
(原水ストレート吐出)
流路切換機構26の操作摘み60の回転操作により、弁体35の弁板57が図13(a)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の原水用弁口65Aが隔壁36上のストレート用流出孔52Aに合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。このとき、弁板57上の浄水用弁口65Bは隔壁36上の第1閉鎖部53Aによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bは弁板57によって閉鎖されている。
【0030】
これにより、浄水カートリッジ24のケース30の接続口30aからケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の外周部を通って原水のままの状態で、流路切換機構26のハウジング34の上流側空間37A内に導入される。そして、その原水が弁板57の原水用弁口65A及び隔壁36のストレート用流出孔52Aを通して、吐水口部材41内のストレート用連通路42Aに導かれて、吐水プレート44のストレート吐水口45Aからストレート吐出される。
【0031】
(原水シャワー吐出)
弁体35の弁板57が図13(b)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の原水用弁口65Aが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bに合致して、両貫通孔52a,52bが開放される。このとき、弁板57上の浄水用弁口65Bは隔壁36上の第2閉鎖部53Bによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のストレート用流出孔52Aは弁板57によって閉鎖されている。
【0032】
これにより、浄水カートリッジ24の外周部を通ってハウジング34の上流側空間37A内に導入される原水が、弁板57の原水用弁口65A及び隔壁36のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bを通して、吐水口部材41内の第1及び第2シャワー用連通路42B,42Cに導かれる。そして、その原水が分配部材43の連通孔48A,48Bを通って吐水プレート44の外周側領域に設けられた第1シャワー吐水路45Bのシャワー吐水口46A及び内周側領域に設けられた第2シャワー吐水路45Cのシャワー吐水口46Bの双方から、大吐出流量でシャワー吐水される。
【0033】
(浄水ストレート吐出)
弁体35の弁板57が図13(c)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の浄水用弁口65Bが隔壁36上のストレート用流出孔52Aの一部(ほぼ半部)に合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。このとき、弁板57上の原水用弁口65Aは隔壁36上の第1閉鎖部53Aによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bは弁板57によって閉鎖されている。
【0034】
これにより、接続口30aから浄水カートリッジ24のケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の内部を通って浄化されて浄水となり、この浄水が接続キャップ31の接続部31aから流路切換機構26の弁体35の接続筒59内に導かれる。そして、その浄水が弁板57の浄水用弁口65B及び隔壁36のストレート用流出孔52Aを通して、吐水口部材41内のストレート用連通路42Aに導かれて、吐水プレート44のストレート吐水口45Aから吐出される。
【0035】
(浄水シャワー吐出)
弁体35の弁板57が図13(d)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の浄水用弁口65Bが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bに合致して、その貫通孔52bのみが開放される。このとき、弁板57上の原水用弁口65Aは隔壁36上の第2閉鎖部53Bによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のストレート用流出孔52A及びシャワー用流出孔52Bの他方の貫通孔52aは弁板57によって閉鎖されている。
【0036】
これにより、弁体35の接続筒59内に導入された浄水が、弁板57の浄水用弁口65B及び隔壁36のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bを通って、吐水口部材41内の第2シャワー用連通路42Cに導かれる。そして、その浄水が分配部材43の連通孔48Bを通って吐水プレート44の内周側領域に設けられた第2シャワー吐水路45Cのシャワー吐水口46Bからシャワー吐水される。この浄水シャワー吐出の場合には、前記原水シャワー吐出の場合と比較して、シャワー吐水の開口面積が減らされている。すなわち、原水シャワー吐出では第1及び第2シャワー吐水口46A,46Bが使用されていたが、浄水シャワー吐出では第2シャワー吐水口46Bのみが使用されている。このため、浄水シャワー吐出において、浄水カートリッジ24における圧力損失によって吐出流量が減少しても、シャワー吐水の勢いが低下することはほとんどない。
【0037】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態では、浄水カートリッジ24を内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、複数のシャワー吐水口46A,46Bが設けられている。そして、浄水シャワー吐出が選択された場合には、原水シャワー吐出が選択された場合より狭い開口総面積のシャワー吐水口46Bからシャワー吐出されるように流路が切換えられる。このため、浄水シャワー吐出の選択時に、浄水カートリッジ24による圧力損失によって吐出流量が減少しても、シャワー吐水の勢いが低下するおそれはほとんどない。よって、浄水シャワー吐出であっても、吐出の勢いのある自然なシャワー感を得ることができて、快適に使用することができる。
【0038】
(2) この実施形態では、吐水口部材41の吐水プレート44の内周側領域に第2シャワー吐水口46Bが設けられるとともに、吐水プレート44の内周側及び外周側領域に第1シャワー吐水口46Aが設けられている。そして、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口46Bのみからシャワー吐出が行われる。これに対して、原水シャワー吐出が選択された場合には、両シャワー吐水口46B,46Aからシャワー吐出が行われる。すなわち、原水シャワー吐出の選択時には、浄水シャワー吐出用の内周側の第2シャワー吐水口46Bも使用して、シャワー吐出が行われるようになっている。
【0039】
このため、原水シャワーにおいて両シャワー吐水口46B,46Aを共用できて、水栓全体をコンパクトに構成することができる。
(3) この実施形態では、原水シャワー吐出の選択時には、多くの吐出流量を確保することができる。また、浄水シャワー吐出及び原水シャワー吐出のいずれの選択時においても、吐水口部材41の吐水プレート44の内周側領域における第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐水が行われるため、違和感なく使用することができる。
【0040】
(4) この実施形態では、同心状の環状壁38と筒状部34aとの間に区画壁39が形成されている。そして、この環状壁38と筒状部34aと区画壁39とにより、外周側の第1シャワー用流路40Bと、その第1シャワー用流路40Bと同一円周上に位置する第2シャワー用流路40Cとが区画形成されている。従って、第1,第2シャワー用流路40B,40Cが同一円周上に位置するため、ハウジング34全体をコンパクトに構成できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した第2実施形態を図14及び図15に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
この第2実施形態においては、原水シャワー用の第1シャワー吐水口46Aが吐水プレート44の全周に設けられ、浄水シャワー用の第2シャワー吐水口46Bが同一円周上において吐水プレート44の図14の左側半部のみに設けられている。このため、第1シャワー吐水口46Aはその半部が第2シャワー吐水口46Bと共用されている。すなわち、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の半部の領域によって構成されている。従って、第1シャワー吐水口46Aの数が第2シャワー吐水口46Bの数よりも多くなるように形成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0043】
図15に表れたハウジング34の空間部40A、第1,第2シャワー用流路40B,40C、貫通孔52a,52b、ストレート用流出孔52A、第1,第2シャワー用連通路42B,42C等や、図14及び図15に図示されていない弁体35等は前記第1実施形態と同様な構成である。
【0044】
これに対し、第2実施形態においては、以下の構成が第1実施形態と異なる。すなわち、分配部材43の突起47A,47Bには連通孔48A及び48Bがそれぞれ1箇所ずつ形成されている。また、分配部材43と吐水プレート44との間の区画壁33は、吐水プレート44の外周側の壁部44aと一体の外周部33aと、内周側の壁部44bと一体の内周部33bと、外周部33aと内周部33bとの間の前後方向に延びる直径線上に位置した連結部33cとにより一体形成されている。シール部材50は、前記区画壁33の形状に対応して、外周部50aと、内周部50bと、連結部50cとにより一体形成されている。そして、区画壁33とシール部材50とにより、吐水プレート44と分配部材43との間の流路が区画壁33及びシール部材50の連結部33c,50cを介して左右に分割されている。
【0045】
従って、原水シャワーの場合は、原水が貫通孔52a,52bから第1,第2シャワー用流路40B,40C、第1,第2シャワー用連通路42B,42Cを通り、連通孔48A,48Bを通って左右の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bからシャワー吐出される。また、浄水シャワーの場合は、浄水が貫通孔52bから第2シャワー用流路40C、第2シャワー用連通路42Cを通り、連通孔48Bを通って左側の第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐出される。従って、浄水のシャワー吐出の場合は、原水のシャワー吐出の場合より少ない吐水量となる。
【0046】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態における(1),(2),(4)と同様な効果を得ることができる。なお、この第2実施形態において、弁体35の浄水用弁口65B,貫通孔52a,52b、第1,第2シャワー用流路40B,40C等の配置構成を図15に対して左右逆にすれば、浄水シャワーが図15の右側半部の領域から吐出されるように構成される。
【0047】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した第3実施形態を図16〜図18に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0048】
この実施形態においては、原水シャワー用の第1シャワー吐水口46Aが吐水プレート44の全周に設けられ、浄水シャワー用の第2シャワー吐水口46Bが同一円周上において図16の後側半部に設けられている。従って、この第3実施形態においても、第1シャワー吐水口46Aはその半部が第2シャワー吐水口46Bと共用されている。すなわち、この実施形態においても、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の半部の領域によって構成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0049】
図17に表れたハウジング34の空間部40A、第1,第2シャワー用流路40B,40C、貫通孔52a,52b、ストレート用流出孔52A、第1,第2シャワー用連通路42B,42C等や、図示されていない弁体35等は、前記第2実施形態と同様な構成である。
【0050】
これに対し、第3実施形態においては、以下の構成が第1実施形態と異なる。すなわち、分配部材43の図示右側の突起47Aには前後2箇所に、図示左側の突起47Bには後側の1箇所に連通孔48A及び48Bがそれぞれ形成されている。また、区画壁33は、吐水プレート44の外周側の壁部44aと一体の外周部33aと、内周側の壁部44bと一体の内周部33bと、外周部33aと内周部33bとの間の左右方向に延びる直径線上に位置した連結部33cとにより一体形成されている。シール部材50は、前記区画壁33の形状に対応して、外周部50aと、内周部50bと、連結部50cとにより一体形成されている。そして、区画壁33とシール部材50とにより、吐水プレート44と分配部材43との間の流路が前記連結部33c,50cを介して前後に分割されている。また、右側の突起47Aの一対の連通孔48Aは区画壁33及びシール部材50の連結部33c,50cの前後位置において同連結部33c,50cを挟むように配置されている。また、左側の突起47Bの連通孔48Bは前記連結部33c,50cの後方位置に配置されている。
【0051】
従って、原水シャワーの場合は、原水が貫通孔52a,52bから第1,第2シャワー用流路40B,40C、第1,第2シャワー用連通路42B,42Cを通り、連通孔48A,48Bを通って前後の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bからシャワー吐出される。また、浄水シャワーの場合は、浄水が貫通孔52bから第2シャワー用流路40C、第2シャワー用連通路42Cを通り、連通孔48Bを通って後側の第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐出される。
【0052】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態おける(1),(2),(4)と同様な効果を得ることができる。なお、この第3実施形態において、図17に対して、突起47Bの連通孔48Bの位置を前後逆にすれば、浄水シャワーが図17の前側半部の領域から吐出される。
【0053】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態において、浄水カートリッジ24の構成を任意に変更すること。例えば、中空糸膜を有することなく、活性炭のみの濾材を有する浄水カートリッジを用いること。
【0054】
・ 前記実施形態においては、浄水シャワーの吐水部を内周側に設けたが、外周側に設けること。
・ 前記各実施形態では、第1,第2シャワー吐水口46A,46Bを孔によって構成したが、スリットや、孔とスリットとの組み合わせによって構成してもよい。また、第1,第2シャワー吐水口46A,46Bの開口総面積の差を孔の数の差によって相違させたが、孔の径の差によって構成してもよい。
【0055】
(他の技術的思想)
前記各実施形態から把握されるが、請求項に記載されていない技術的思想は以下の通りである。
【0056】
(A) 複数の第1シャワー吐水口を環状に配列するとともに、複数の第2シャワー吐水口を第1シャワー吐水口と同心状に配列し、原水の場合は第1,第2シャワー吐水口から吐出され、浄水の場合は第2シャワー吐水口から吐出されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の浄水機能付き水栓。
【0057】
(B) 前記第2シャワー吐水口を内周側に配列したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の浄水機能付き水栓。
(C) 第2シャワー吐水口は、第1シャワー吐水口として用いられることを特徴とする前記技術的思想(A)項または(B)項に記載の浄水機能付き水栓。
【0058】
(D) 複数の第1シャワー吐水口を環状に配列するとともに、複数の第2シャワー吐水口を第1シャワー吐水口と同一円周上の前後左右のいずれか一箇所に配列し、原水の場合は第1,第2シャワー吐水口から吐出され、浄水の場合は第2シャワー吐水口から吐出されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の浄水機能付き水栓。
【符号の説明】
【0059】
24…浄水カートリッジ、26…切換手段としての流路切換機構、44…吐水プレート、46A…第1シャワー吐水口、46B…第2シャワー吐水口。
【技術分野】
【0001】
この発明は、浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の浄水機能付き水栓としては、例えば特許文献1に開示されるような構成が提案されている。
この従来構成においては、水栓本体内に浄水カートリッジ及び流路切換機構が配置されている。そして、流路切換機構の操作により、ストレート吐水口からの原水ストレート吐出、シャワー吐水口からの原水シャワー吐出、ストレート吐水口からの浄水ストレート吐出と、シャワー吐水口からの浄水シャワー吐出との切換えが行われるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−42993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記のように、この従来の浄水機能付き水栓では、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とが、同一のシャワー吐水口から行われるようになっている。このため、浄水シャワー吐出時には、浄水カートリッジによる圧力損失が大きくなることで、十分なシャワー流量を得ることができず、勢いの足りないシャワーとなり、ときにはシャワー状に拡散することもなく滴り落ちるのみで、好適なシャワー機能を得ることができないという問題があった。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的は、浄水吐出の選択時に、浄水カートリッジによる圧力損失で吐出流量が減少した場合でも、吐出の勢いを確保することができる浄水機能付き水栓を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明は、浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、開口総面積が大きな第1シャワー吐水口と、開口総面積が小さな第2シャワー吐水口とを設け、前記原水シャワー吐出が選択された場合は、第1シャワー吐水口から吐水されるとともに、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口から吐水されるように流路を切換える切換手段を設けたことを特徴としている。
【0007】
従って、この発明の浄水機能付き水栓においては、浄水シャワー吐出が選択された場合は、原水シャワー吐出が選択された場合より開口総面積が小さな第2シャワー吐水口から吐水されるように、切換手段によって流路が切換えられる。このため、浄水シャワー吐出の選択時に、浄水カートリッジによる圧力損失によって吐出流量が減少しても、吐出の勢いが低下するおそれはほとんどない。よって、快適な浄水シャワー吐出を得ることができる。
【0008】
前記の構成において、前記切換手段は、原水シャワー吐出用の通路と、浄水シャワー吐出用の通路とを同一円周上に形成することが好ましい。
前記の構成において、第1,第2シャワー吐水口を有する吐水プレートとの間に流路を形成する流路形成部材を設けるとともに、前記流路を第1,第2シャワー吐水口に対応して区画し、前記切換手段は、各区画に対する原水または浄水の供給を切換えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、この発明によれば、浄水シャワー吐出の際に、浄水カートリッジによる圧力損失によって吐出流量が減少した場合でも、吐出の勢いを確保することができるという効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態の浄水機能付き水栓を示す正面図。
【図2】図1の浄水機能付き水栓の軸線方向に沿った断面図。
【図3】図2の浄水機能付き水栓を分解状態で示す断面図。
【図4】浄水機能付き水栓のヘッド部を分解して示す斜視図。
【図5】同ヘッド部内の流路切換機構を示す正面図。
【図6】図5の6−6線における断面図。
【図7】流路切換機構のハウジングを示す断面図。
【図8】(a)は図7の矢印A方向から見た側面図、(b)は(a)の構成から隔壁部分を取り出して示す側面図。
【図9】流路切換機構内の弁体を示す正面図。
【図10】(a)は図9の矢印B方向から見た側面図、(b)は図9の矢印C方向から見た側面図。
【図11】図10(a)の11−11線における断面図。
【図12】流路切換機構内の弁座パッキンを示す側面図。
【図13】(a)〜(d)は異なった流路の切換え状態における隔壁と弁体との対応関係を示す側面図。
【図14】第2実施形態の水栓の要部を示す分解斜視図。
【図15】図14のヘッド内の構成を示す断面図。
【図16】第3実施形態の水栓の要部を示す分解斜視図。
【図17】図16のヘッド内の構成を示す断面図。
【図18】同じく吐水プレート内の構成を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、この発明を具体化した浄水機能付き水栓の各実施形態を図面に従って説明する。
(第1実施形態)
まず、この発明の第1実施形態を図1〜図13に基づいて説明する。
【0012】
図1及び図2に示すように、浄水機能付き水栓の水栓本体21は、円筒状の把持部22と、その把持部22の先端に着脱可能に連結されたヘッド部23とを備えている。把持部22には、水質を浄化するための浄水カートリッジ24が着脱可能に内装されている。ヘッド部23の先端下部には、吐水筒部25が突設されている。ヘッド部23内には、吐水筒部25からの吐水状態を原水ストレート,原水シャワー,浄水ストレート及び浄水シャワーの4種類のいずれかに切換えるための切換手段としての流路切換機構26が配置されている。この流路切換機構26は、後述のハウジング34,弁体35,吐水口部材41,分配部材43,吐水プレート44,シール部材50,操作摘み60等によって構成されている。
【0013】
図2及び図3に示すように、前記浄水カートリッジ24は、円筒状のケース30内に収容した状態で把持部22内に配置されている。ケース30の一端部には、図示しない混合水栓のホース等に接続するための円筒状の接続口30aが把持部22の端面から突出するように形成されている。ケース30の他端部には、流路切換機構26の後記ハウジング34に接続するための開口部30bが形成されている。浄水カートリッジ24には、活性炭部24aと中空糸膜部24bとが直列に配置されている。浄水カートリッジ24においてケース30の開口部30bと対応する側の端部には、接続キャップ31が嵌着されている。接続キャップ31には、流路切換機構26の後記弁体35に接続するための円筒状の接続部31aが突設されている。
【0014】
そして、流路切換機構26の選択操作により、浄水カートリッジ24のケース30の接続口30aからケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の外周部または内部を通る流路に切換えられて導かれる。浄水カートリッジ24の外周部を通る流路に切換えられた原水は、原水のままの状態で、浄水カートリッジ24の外周部から流路切換機構26のハウジング34内に導かれる。これに対して、浄水カートリッジ24の内部を通る流路に切換えられた原水は、浄水カートリッジ24により浄化されて浄水となり、接続キャップ31の接続部31aから流路切換機構26の弁体35内に導かれる。
【0015】
図2及び図3に示すように、前記流路切換機構26は、前記ハウジング34と、そのハウジング34内に配置された弁体35とを備えている。図3〜図6に示すように、ハウジング34には、浄水カートリッジ24のケース30の開口部30bの内周面に図示左端部において接続される筒状部34aが設けられている。図3及び図4に示すように、前記筒状部34a内の中間部には隔壁36が形成されている。図2、図4及び図6に示すように、隔壁36にはその下流側の空間37B内に位置するように環状壁38が形成されている。そして環状壁38により空間37Bの中心側に位置する空間部40Aが区画形成されている。また、環状壁38と筒状部34aとの間に区画壁39が形成され、この環状壁38と筒状部34aと区画壁39とにより、中心側の空間部40Aの外周側に環状壁38を隔てて第1シャワー用流路40Bと、その第1シャワー用流路40Bと同一円周上に位置する第2シャワー用流路40Cとが区画形成されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、前記ハウジング34の筒状部34aの先端(図示右端)下部には、水栓本体21のヘッド部23の吐水筒部25内に配置される吐水口部材41が突設されている。図6に示すように、吐水口部材41内には、中心側のストレート用連通路42Aと、そのストレート用連通路42Aの図示右側において前記第1シャワー用流路40Bに連通する第1シャワー用連通路42Bと、ストレート用連通路42Aの図示左側において第2シャワー用流路40Cに連通する第2シャワー用連通路42Cとが区画形成されている。吐水口部材41の下端部には、流路形成部材としての分配部材43(図4参照)と吐水プレート44とが固着されている。
【0017】
図2及び図6に示すように、前記吐水プレート44の中心部には、前記ストレート用連通路42Aに連通するストレート吐水口45Aが形成されている。そのストレート吐水口45Aの外周側には円環状に延びる第1シャワー吐水路45Bと、その第1シャワー吐水路45Bとストレート吐水口45Aとの間において円環状に延びる第2シャワー吐水路45Cとが吐水プレート44と一体の区画壁33により区画形成されている。そして、この区画壁33の上端と前記分配部材43の下面との間にはリング状のシール部材50が介在されている。
【0018】
吐水プレート44の底壁部には、第1シャワー吐水路45Bに連通する複数の吐水孔よりなる第1シャワー吐水口46A及び第2シャワー吐水路45Cに連通する複数の吐水孔よりなる第2シャワー吐水口46Bが、同心状の環状領域に配列形成されている。この場合、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の内周側の円形領域によって構成されている。従って、第1シャワー吐水口46Aの数が第2シャワー吐水口46Bの数よりも多くなるように形成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0019】
図4及び図6に示すように、前記分配部材43の上面には、第1シャワー用連通路42B及び第2シャワー用連通路42Cの下端部に嵌合する一対の突起47A,47Bが一体形成されている。第1シャワー用連通路42Bに嵌合する突起47Aには、第1シャワー用連通路42Bを吐水プレート44内の第1シャワー吐水路45B及び第2シャワー吐水路45Cの双方にそれぞれ連通させるための2つの連通孔48Aが形成されている。第2シャワー用連通路42Cに嵌合する突起47Bには、第2シャワー用連通路42Cを吐水プレート44内の第2シャワー吐水路45Cのみに連通させるための1つの連通孔48Bが形成されている。
【0020】
図3、図6〜図8に示すように、前記ハウジング34内の隔壁36の中心部には、軸支孔51が貫通形成されている。隔壁36には、ストレート用流出孔52A、シャワー用流出孔52Bが貫通形成されるとともに、隔壁36の上流側の面には第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bが形成され、それらは同心円周上でほぼ等角度間隔をおいて配設されている。第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bは、隔壁36の上流側の面に円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成された凹部より構成されている。
【0021】
前記ストレート用流出孔52Aは、ハウジング34の筒状部34a内の上流側空間37Aと吐水口部材41内のストレート用連通路42Aとを連通させるように、隔壁36の下部に形成されている。また、このストレート用流出孔52Aは、隔壁36の円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成されている。シャワー用流出孔52Bは、円周方向に沿って隣接して配列された2つの貫通孔52a,52bから構成されている。シャワー用流出孔52Bの一方の貫通孔52aは、第1シャワー用流路40B及び吐水口部材41内の第1シャワー用連通路42Bとを連通させる位置に形成されている。シャワー用流出孔52Bの他方の貫通孔52bは、第2シャワー用流路40C及び吐水口部材41内の第2シャワー用連通路42Cとを連通させる位置に形成されている。
【0022】
図7及び図12に示すように、前記隔壁36の上流側の面には、ゴム等の弾性材よりなる円板状の弁座パッキン54が取り付けられている。この弁座パッキン54には、隔壁36のストレート用流出孔52A及びシャワー用流出孔52Bの開口周縁に配置される環状シール部54a,54bと、隔壁36の第1閉鎖部53A及び第2閉鎖部53Bに配置される凸状シール部54c,54dとが形成されている。
【0023】
図2及び図3に示すように、前記流路切換機構26におけるハウジング34の筒状部34aの下流側開放端部には、筒状部34a内の下流側空間37Bの端縁を閉鎖するための閉鎖板55が取り付けられている。閉鎖板55の中心には、隔壁36の軸支孔51に対応する軸支孔56が形成されている。
【0024】
図3,図9及び図11に示すように、前記流路切換機構26の弁体35には、円板状の弁板57と、その弁板57の中心から下流側に突出された操作軸58と、弁板57の中心から上流側に突出された接続筒59とが形成されている。そして、弁体35の操作軸58が隔壁36の上流側から軸支孔51,56に挿通されることにより、弁体35が隔壁36と閉鎖板55とに回転可能に支持されている。また、この弁体35の支持状態で、前記接続筒59に対して前記浄水カートリッジ24の端部に取り付けられた接続キャップ31の接続部31aが着脱可能に接続されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、前記水栓本体21のヘッド部23の外側には操作摘み60が設けられており、その操作摘み60は弁体35の操作軸58の端部に連結されている。
弁体35の弁板57と接続キャップ31との間には、弁板57を隔壁36側に向かって押圧付勢するためのバネ61がバネ受け62を介して介装されている。図2,図8〜図10(a)(b)に示すように、隔壁36の上流側の面の外周縁には、4つの位置決め凹部63が同一円周上で等角度間隔をおいて形成されている。弁板57の下流側の面の外周縁には、位置決め凹部63に係脱可能な4つの位置決め凸部64が同一円周上で等角度間隔をおいて形成されている。
【0026】
そして、前記操作摘み60により弁体35が回転操作されたとき、前記バネ61の付勢力のもとで位置決め凸部64が位置決め凹部63に係脱されて、弁体35がクリックモーションで図13(a)〜(d)に示す4つの切換位置に位置決め保持されるようになっている。
【0027】
図4、図10(a)(b)及び図11に示すように、前記弁体35の弁板57には、原水用弁口65A及び浄水用弁口65Bが同一円周上で形成されている。原水用弁口65Aは、弁板57の円周方向に沿って長孔円弧状をなすように形成されている。そして、弁体35が図13(a)に示す切換位置に切換えられたときには、原水用弁口65Aが隔壁36上のストレート用流出孔52Aに合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。また、弁体35が図13(b)に示す切換位置に切換えられたときには、原水用弁口65Aが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bに合致して、両貫通孔52a,52bが開放されるようになっている。
【0028】
図10(a)(b)及び図11に示すように、前記浄水用弁口65Bは、弁体35の接続筒59内から弁板57の下流側面に向かって傾斜状に延びるように形成されている。また、この浄水用弁口65Bは、開口端面が弁板57の径方向に長い楕円形状となるように形成されている。そして、弁体35が図13(c)に示す切換位置に切換えられたときには、浄水用弁口65Bが隔壁36上のストレート用流出孔52Aの一部に合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。また、弁体35が図13(d)に示す切換位置に切換えられたときには、浄水用弁口65Bが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bに合致して、その貫通孔52bのみが開放されるようになっている。
【0029】
次に、前記のように構成された浄水機能付き水栓の作用を主として図13に従って説明する。
(原水ストレート吐出)
流路切換機構26の操作摘み60の回転操作により、弁体35の弁板57が図13(a)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の原水用弁口65Aが隔壁36上のストレート用流出孔52Aに合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。このとき、弁板57上の浄水用弁口65Bは隔壁36上の第1閉鎖部53Aによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bは弁板57によって閉鎖されている。
【0030】
これにより、浄水カートリッジ24のケース30の接続口30aからケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の外周部を通って原水のままの状態で、流路切換機構26のハウジング34の上流側空間37A内に導入される。そして、その原水が弁板57の原水用弁口65A及び隔壁36のストレート用流出孔52Aを通して、吐水口部材41内のストレート用連通路42Aに導かれて、吐水プレート44のストレート吐水口45Aからストレート吐出される。
【0031】
(原水シャワー吐出)
弁体35の弁板57が図13(b)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の原水用弁口65Aが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bに合致して、両貫通孔52a,52bが開放される。このとき、弁板57上の浄水用弁口65Bは隔壁36上の第2閉鎖部53Bによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のストレート用流出孔52Aは弁板57によって閉鎖されている。
【0032】
これにより、浄水カートリッジ24の外周部を通ってハウジング34の上流側空間37A内に導入される原水が、弁板57の原水用弁口65A及び隔壁36のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bを通して、吐水口部材41内の第1及び第2シャワー用連通路42B,42Cに導かれる。そして、その原水が分配部材43の連通孔48A,48Bを通って吐水プレート44の外周側領域に設けられた第1シャワー吐水路45Bのシャワー吐水口46A及び内周側領域に設けられた第2シャワー吐水路45Cのシャワー吐水口46Bの双方から、大吐出流量でシャワー吐水される。
【0033】
(浄水ストレート吐出)
弁体35の弁板57が図13(c)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の浄水用弁口65Bが隔壁36上のストレート用流出孔52Aの一部(ほぼ半部)に合致して、そのストレート用流出孔52Aが開放される。このとき、弁板57上の原水用弁口65Aは隔壁36上の第1閉鎖部53Aによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの両貫通孔52a,52bは弁板57によって閉鎖されている。
【0034】
これにより、接続口30aから浄水カートリッジ24のケース30内に流入する原水が、浄水カートリッジ24の内部を通って浄化されて浄水となり、この浄水が接続キャップ31の接続部31aから流路切換機構26の弁体35の接続筒59内に導かれる。そして、その浄水が弁板57の浄水用弁口65B及び隔壁36のストレート用流出孔52Aを通して、吐水口部材41内のストレート用連通路42Aに導かれて、吐水プレート44のストレート吐水口45Aから吐出される。
【0035】
(浄水シャワー吐出)
弁体35の弁板57が図13(d)に示す切換位置に切換えられると、弁板57上の浄水用弁口65Bが隔壁36上のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bに合致して、その貫通孔52bのみが開放される。このとき、弁板57上の原水用弁口65Aは隔壁36上の第2閉鎖部53Bによって閉鎖されるとともに、隔壁36上のストレート用流出孔52A及びシャワー用流出孔52Bの他方の貫通孔52aは弁板57によって閉鎖されている。
【0036】
これにより、弁体35の接続筒59内に導入された浄水が、弁板57の浄水用弁口65B及び隔壁36のシャワー用流出孔52Bの1つの貫通孔52bを通って、吐水口部材41内の第2シャワー用連通路42Cに導かれる。そして、その浄水が分配部材43の連通孔48Bを通って吐水プレート44の内周側領域に設けられた第2シャワー吐水路45Cのシャワー吐水口46Bからシャワー吐水される。この浄水シャワー吐出の場合には、前記原水シャワー吐出の場合と比較して、シャワー吐水の開口面積が減らされている。すなわち、原水シャワー吐出では第1及び第2シャワー吐水口46A,46Bが使用されていたが、浄水シャワー吐出では第2シャワー吐水口46Bのみが使用されている。このため、浄水シャワー吐出において、浄水カートリッジ24における圧力損失によって吐出流量が減少しても、シャワー吐水の勢いが低下することはほとんどない。
【0037】
従って、この実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1) この実施形態では、浄水カートリッジ24を内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、複数のシャワー吐水口46A,46Bが設けられている。そして、浄水シャワー吐出が選択された場合には、原水シャワー吐出が選択された場合より狭い開口総面積のシャワー吐水口46Bからシャワー吐出されるように流路が切換えられる。このため、浄水シャワー吐出の選択時に、浄水カートリッジ24による圧力損失によって吐出流量が減少しても、シャワー吐水の勢いが低下するおそれはほとんどない。よって、浄水シャワー吐出であっても、吐出の勢いのある自然なシャワー感を得ることができて、快適に使用することができる。
【0038】
(2) この実施形態では、吐水口部材41の吐水プレート44の内周側領域に第2シャワー吐水口46Bが設けられるとともに、吐水プレート44の内周側及び外周側領域に第1シャワー吐水口46Aが設けられている。そして、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口46Bのみからシャワー吐出が行われる。これに対して、原水シャワー吐出が選択された場合には、両シャワー吐水口46B,46Aからシャワー吐出が行われる。すなわち、原水シャワー吐出の選択時には、浄水シャワー吐出用の内周側の第2シャワー吐水口46Bも使用して、シャワー吐出が行われるようになっている。
【0039】
このため、原水シャワーにおいて両シャワー吐水口46B,46Aを共用できて、水栓全体をコンパクトに構成することができる。
(3) この実施形態では、原水シャワー吐出の選択時には、多くの吐出流量を確保することができる。また、浄水シャワー吐出及び原水シャワー吐出のいずれの選択時においても、吐水口部材41の吐水プレート44の内周側領域における第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐水が行われるため、違和感なく使用することができる。
【0040】
(4) この実施形態では、同心状の環状壁38と筒状部34aとの間に区画壁39が形成されている。そして、この環状壁38と筒状部34aと区画壁39とにより、外周側の第1シャワー用流路40Bと、その第1シャワー用流路40Bと同一円周上に位置する第2シャワー用流路40Cとが区画形成されている。従って、第1,第2シャワー用流路40B,40Cが同一円周上に位置するため、ハウジング34全体をコンパクトに構成できる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、この発明を具体化した第2実施形態を図14及び図15に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0042】
この第2実施形態においては、原水シャワー用の第1シャワー吐水口46Aが吐水プレート44の全周に設けられ、浄水シャワー用の第2シャワー吐水口46Bが同一円周上において吐水プレート44の図14の左側半部のみに設けられている。このため、第1シャワー吐水口46Aはその半部が第2シャワー吐水口46Bと共用されている。すなわち、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の半部の領域によって構成されている。従って、第1シャワー吐水口46Aの数が第2シャワー吐水口46Bの数よりも多くなるように形成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0043】
図15に表れたハウジング34の空間部40A、第1,第2シャワー用流路40B,40C、貫通孔52a,52b、ストレート用流出孔52A、第1,第2シャワー用連通路42B,42C等や、図14及び図15に図示されていない弁体35等は前記第1実施形態と同様な構成である。
【0044】
これに対し、第2実施形態においては、以下の構成が第1実施形態と異なる。すなわち、分配部材43の突起47A,47Bには連通孔48A及び48Bがそれぞれ1箇所ずつ形成されている。また、分配部材43と吐水プレート44との間の区画壁33は、吐水プレート44の外周側の壁部44aと一体の外周部33aと、内周側の壁部44bと一体の内周部33bと、外周部33aと内周部33bとの間の前後方向に延びる直径線上に位置した連結部33cとにより一体形成されている。シール部材50は、前記区画壁33の形状に対応して、外周部50aと、内周部50bと、連結部50cとにより一体形成されている。そして、区画壁33とシール部材50とにより、吐水プレート44と分配部材43との間の流路が区画壁33及びシール部材50の連結部33c,50cを介して左右に分割されている。
【0045】
従って、原水シャワーの場合は、原水が貫通孔52a,52bから第1,第2シャワー用流路40B,40C、第1,第2シャワー用連通路42B,42Cを通り、連通孔48A,48Bを通って左右の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bからシャワー吐出される。また、浄水シャワーの場合は、浄水が貫通孔52bから第2シャワー用流路40C、第2シャワー用連通路42Cを通り、連通孔48Bを通って左側の第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐出される。従って、浄水のシャワー吐出の場合は、原水のシャワー吐出の場合より少ない吐水量となる。
【0046】
従って、この第2実施形態においては、前記第1実施形態における(1),(2),(4)と同様な効果を得ることができる。なお、この第2実施形態において、弁体35の浄水用弁口65B,貫通孔52a,52b、第1,第2シャワー用流路40B,40C等の配置構成を図15に対して左右逆にすれば、浄水シャワーが図15の右側半部の領域から吐出されるように構成される。
【0047】
(第3実施形態)
次に、この発明を具体化した第3実施形態を図16〜図18に基づいて第1実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0048】
この実施形態においては、原水シャワー用の第1シャワー吐水口46Aが吐水プレート44の全周に設けられ、浄水シャワー用の第2シャワー吐水口46Bが同一円周上において図16の後側半部に設けられている。従って、この第3実施形態においても、第1シャワー吐水口46Aはその半部が第2シャワー吐水口46Bと共用されている。すなわち、この実施形態においても、第2シャワー吐水口46Bは、第1シャワー吐水口46Aの領域内の半部の領域によって構成されて、第1シャワー吐水口46Aの開口総面積が第2シャワー吐水口46Bの開口総面積よりも広くなるように形成されている。
【0049】
図17に表れたハウジング34の空間部40A、第1,第2シャワー用流路40B,40C、貫通孔52a,52b、ストレート用流出孔52A、第1,第2シャワー用連通路42B,42C等や、図示されていない弁体35等は、前記第2実施形態と同様な構成である。
【0050】
これに対し、第3実施形態においては、以下の構成が第1実施形態と異なる。すなわち、分配部材43の図示右側の突起47Aには前後2箇所に、図示左側の突起47Bには後側の1箇所に連通孔48A及び48Bがそれぞれ形成されている。また、区画壁33は、吐水プレート44の外周側の壁部44aと一体の外周部33aと、内周側の壁部44bと一体の内周部33bと、外周部33aと内周部33bとの間の左右方向に延びる直径線上に位置した連結部33cとにより一体形成されている。シール部材50は、前記区画壁33の形状に対応して、外周部50aと、内周部50bと、連結部50cとにより一体形成されている。そして、区画壁33とシール部材50とにより、吐水プレート44と分配部材43との間の流路が前記連結部33c,50cを介して前後に分割されている。また、右側の突起47Aの一対の連通孔48Aは区画壁33及びシール部材50の連結部33c,50cの前後位置において同連結部33c,50cを挟むように配置されている。また、左側の突起47Bの連通孔48Bは前記連結部33c,50cの後方位置に配置されている。
【0051】
従って、原水シャワーの場合は、原水が貫通孔52a,52bから第1,第2シャワー用流路40B,40C、第1,第2シャワー用連通路42B,42Cを通り、連通孔48A,48Bを通って前後の第1,第2シャワー吐水口46A,46Bからシャワー吐出される。また、浄水シャワーの場合は、浄水が貫通孔52bから第2シャワー用流路40C、第2シャワー用連通路42Cを通り、連通孔48Bを通って後側の第2シャワー吐水口46Bからシャワー吐出される。
【0052】
従って、この第3実施形態においても、前記第1実施形態おける(1),(2),(4)と同様な効果を得ることができる。なお、この第3実施形態において、図17に対して、突起47Bの連通孔48Bの位置を前後逆にすれば、浄水シャワーが図17の前側半部の領域から吐出される。
【0053】
(変更例)
なお、この実施形態は、次のように変更して具体化することも可能である。
・ 前記実施形態において、浄水カートリッジ24の構成を任意に変更すること。例えば、中空糸膜を有することなく、活性炭のみの濾材を有する浄水カートリッジを用いること。
【0054】
・ 前記実施形態においては、浄水シャワーの吐水部を内周側に設けたが、外周側に設けること。
・ 前記各実施形態では、第1,第2シャワー吐水口46A,46Bを孔によって構成したが、スリットや、孔とスリットとの組み合わせによって構成してもよい。また、第1,第2シャワー吐水口46A,46Bの開口総面積の差を孔の数の差によって相違させたが、孔の径の差によって構成してもよい。
【0055】
(他の技術的思想)
前記各実施形態から把握されるが、請求項に記載されていない技術的思想は以下の通りである。
【0056】
(A) 複数の第1シャワー吐水口を環状に配列するとともに、複数の第2シャワー吐水口を第1シャワー吐水口と同心状に配列し、原水の場合は第1,第2シャワー吐水口から吐出され、浄水の場合は第2シャワー吐水口から吐出されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の浄水機能付き水栓。
【0057】
(B) 前記第2シャワー吐水口を内周側に配列したことを特徴とする前記技術的思想(A)項に記載の浄水機能付き水栓。
(C) 第2シャワー吐水口は、第1シャワー吐水口として用いられることを特徴とする前記技術的思想(A)項または(B)項に記載の浄水機能付き水栓。
【0058】
(D) 複数の第1シャワー吐水口を環状に配列するとともに、複数の第2シャワー吐水口を第1シャワー吐水口と同一円周上の前後左右のいずれか一箇所に配列し、原水の場合は第1,第2シャワー吐水口から吐出され、浄水の場合は第2シャワー吐水口から吐出されることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の浄水機能付き水栓。
【符号の説明】
【0059】
24…浄水カートリッジ、26…切換手段としての流路切換機構、44…吐水プレート、46A…第1シャワー吐水口、46B…第2シャワー吐水口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、
開口総面積が大きな第1シャワー吐水口と、開口総面積が小さな第2シャワー吐水口とを設け、前記原水シャワー吐出が選択された場合は、第1シャワー吐水口から吐水されるとともに、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口から吐水されるように流路を切換える切換手段を設けたことを特徴とする浄水機能付き水栓。
【請求項2】
前記切換手段は、原水シャワー吐出用の通路と、浄水シャワー吐出用の通路とを同一円周上に形成したことを特徴とする請求項1に記載の浄水機能付き水栓。
【請求項3】
第1,第2シャワー吐水口を有する吐水プレートとの間に流路を形成する流路形成部材を設けるとともに、前記流路を第1,第2シャワー吐水口に対応して区画し、前記切換手段は、各区画に対する原水または浄水の供給を切換えることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水機能付き水栓。
【請求項1】
浄水カートリッジを内装し、原水シャワー吐出と浄水シャワー吐出とを選択できるようにした浄水機能付き水栓において、
開口総面積が大きな第1シャワー吐水口と、開口総面積が小さな第2シャワー吐水口とを設け、前記原水シャワー吐出が選択された場合は、第1シャワー吐水口から吐水されるとともに、浄水シャワー吐出が選択された場合には、第2シャワー吐水口から吐水されるように流路を切換える切換手段を設けたことを特徴とする浄水機能付き水栓。
【請求項2】
前記切換手段は、原水シャワー吐出用の通路と、浄水シャワー吐出用の通路とを同一円周上に形成したことを特徴とする請求項1に記載の浄水機能付き水栓。
【請求項3】
第1,第2シャワー吐水口を有する吐水プレートとの間に流路を形成する流路形成部材を設けるとともに、前記流路を第1,第2シャワー吐水口に対応して区画し、前記切換手段は、各区画に対する原水または浄水の供給を切換えることを特徴とする請求項1または2に記載の浄水機能付き水栓。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−44216(P2013−44216A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184949(P2011−184949)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000242378)株式会社ケーブイケー (130)
【Fターム(参考)】
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