説明

浮上搬送装置

【課題】基板Wの往復搬送中において、基板Wの端部と浮上ユニット15との干渉を回避して、基板Wの傷又は割れ等の損傷を極力少なくすること。
【解決手段】搬送方向に隣接関係にある挿入ギャップG1,G2間に、浮上ユニット15と基板Wとの間に生成された浮上ガス溜まり層Sを支点として基板Wの端部側に上向きの力を発生させるように、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する空気吸引器37が設けられ、空気吸引器37は、往動搬送時に吸引する第1吸引位置と、復動搬送時に吸引する第2吸引位置との間で移動可能になっていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス基板等の基板を搬送方向へ浮上させた状態で往復搬送する浮上搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クリーン搬送の分野では浮上搬送装置について種々の開発がなされており、浮上搬送装置の先行技術としては特許文献1に示すもの(本願の出願人が既に出願したもの)がある。そして、先行技術に係る浮上搬送装置の構成等は、次のようになる。
【0003】
先行技術に係る浮上搬送装置は、装置本体(装置フレーム)を具備しており、この装置本体は、搬送方向へ沿って延びている。また、装置本体には、浮上ガスとしての圧縮空気(エア)の圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットが搬送方向及び搬送方向に直交する搬送幅方向に間隔を置いて配設されている。そして、各浮上ユニットの内部は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給源に接続されており、各浮上ユニットの上面には、圧縮空気を噴出するノズルが形成されてあって、各浮上ユニットは、基板との間に浮上ガス溜まり層としてのエア溜まり層(圧力溜まり層)を生成可能である。更に、装置本体には、基板を搬送方向へ搬送する搬送機構が設けられおり、この搬送機構は、搬送幅方向に平行な軸心周りに回転可能な複数の搬送ローラを備えている。なお、特許文献1には明示されていないが、複数の搬送ローラの回転方向を切り替えることにより、搬送機構によって基板を往復搬送(往動搬送及び復動搬送)することが可能である。
【0004】
従って、圧縮空気供給源によって各浮上ユニットの内部に圧縮空気を供給して、各浮上ユニットのノズルから圧縮空気を噴出させると共に、複数の搬送ローラを搬送幅方向へ平行な軸心周りに回転させる。これにより、基板と複数の浮上ユニットとの間にエア溜まり層を生成しつつ、基板を搬送方向へ浮上させた状態で搬送することができる。
【0005】
なお、特許文献1には開示されていないが、通常、搬送方向に隣接関係にあるいずれかの浮上ユニット間であって搬送方向に間隔を置いた複数箇所には、複数の浮上ユニットに対して基板の受渡し又は受取りを行う基板受け部材を挿入するための挿入ギャップがそれぞれ区画形成(形成)されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−182563号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、近年、ガラス基板等の基板の大型薄型化傾向に伴い、基板の剛性は低くなってきており、基板の搬送中において、基板の端部が先行の浮上ユニット側から挿入ギャップを越えて後続の浮上ユニット側へ乗り継ぐ際に、基板の端部側が下方向へ大きく撓むことがある。そのため、このような場合には、基板の端部が浮上ユニットに干渉(衝突)して、基板に傷又は割れ等の損傷を招くという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、前述の問題を解決することができる、新規な構成の浮上搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の特徴は、基板を搬送方向へ浮上させた状態で往復搬送(往動搬送及び復動搬送)する浮上搬送装置において、装置本体と、前記装置本体に前記搬送方向に沿って配設され、内部が浮上ガスを供給する浮上ガス供給源に接続され、上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成され、基板との間に浮上ガス溜まり層を生成可能であって、浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットと、基板を前記搬送方向へ往復搬送する搬送機構と、を具備し、前記搬送方向に隣接関係にあるいずれかの前記浮上ユニット間であってかつ前記搬送方向に間隔を置いた複数箇所に、前記浮上ユニットに対して基板の受渡し又は受取りを行う基板受け部材を挿入するための挿入ギャップ(乗り継ぎ溝)がそれぞれ区画形成され、各挿入ギャップは、前記搬送方向に直交する搬送幅方向へ延びてあって、前記搬送方向に隣接関係にある前記挿入ギャップ間に、前記浮上ユニットと基板との間に生成された浮上ガス溜まり層を支点として基板の端部側に上向きの力を発生させるように、基板の裏側の空気を下方向へ吸引する空気吸引器が設けられ、前記空気吸引器は、往動搬送時に基板の裏側の空気を下方向へ吸引する第1吸引位置と、復動搬送時に基板の裏側の空気を下方向へ吸引する第2吸引位置との間で移動可能になっていることを要旨とする。
【0010】
なお、本願の特許請求の範囲及び明細書において、「配設され」とは、直接的に配設されたことの他に、別部材を介して間接的に配設されたことを含む意であって、「設けられ」とは、直接的に設けられたことの他に、別部材を介して間接的に設けられたことを含む意である。また、「浮上ガス」とは、圧縮空気(エア)、アルゴンガス、窒素ガス等の含む意である。更に、「上流」とは、基板の進行方向から見て上流のことをいい、復動搬送時における上流側は、往動搬送時における上流側と方向が逆になる。
【0011】
本発明の特徴によると、前記浮上ガス供給源の作動によって各浮上ユニットの内部に浮上ガスを供給して、各浮上ユニットの前記ノズルから浮上ガスを噴出させると共に、前記搬送機構を適宜に動作させる。これにより、基板と複数の前記浮上ユニットとの間に浮上ガス溜まり層を生成しつつ、基板を前記搬送方向の一方側へ浮上させた状態で往動搬送することができる。
【0012】
ここで、基板の往動搬送中に、基板の端部が先行の前記浮上ユニットから前記挿入ギャップを越えて後続の前記浮上ユニットに乗り継ぐ前に、予め前記第1吸引位置に位置した前記空気吸引器の作動によって基板の裏側の空気を下方向へ吸引することにより、前記浮上ユニットと基板との間に生成された浮上ガス溜まり層を支点として基板の端部側に上向きの力を発生させる。これにより、基板の往動搬送中において、基板の端部が先行の前記浮上ユニット側から前記挿入ギャップを越えて後続の前記浮上ユニット側へ乗り継ぐ際に、基板の端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0013】
同様に、各浮上ユニットの前記ノズルから浮上ガスを噴出させつつ、前記搬送機構を適宜に動作させて基板の進行方向を反転させる。これにより、基板と複数の前記浮上ユニットとの間に浮上ガス溜まり層を生成しつつ、基板を前記搬送方向の他方側へ浮上させた状態で復動搬送することができる。
【0014】
ここで、基板の復動搬送中に、基板の端部が先行の前記浮上ユニットから前記挿入ギャップを越えて後続の前記浮上ユニットに乗り継ぐ前に、前記吸引器を前記第1吸引位置から前記第2吸引位置まで移動させておく。そして、前記空気吸引器の作動によって基板の裏側の空気を下方向へ吸引することにより、前記浮上ユニットと基板との間に生成された浮上ガス溜まり層を支点として基板の端部側に上向きの力を発生させる。これにより、基板の復動搬送中において、基板の端部が先行の前記浮上ユニット側から前記挿入ギャップを越えて後続の前記浮上ユニット側へ乗り継ぐ際に、基板の端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0015】
なお、本願の明細書において、「先行」とは、基板の進行方向から見て先行することをいい、「後続」とは、基板の進行方向から見て後続することをいう。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板の往復搬送中において、基板の端部が先行の前記浮上ユニット側から前記挿入ギャップを越えて後続の前記浮上ユニット側へ乗り継ぐ際に、基板の端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できるため、基板の端部と前記浮上ユニットとの干渉(衝突)を回避して、基板の傷又は割れ等の損傷を極力少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図3におけるI-I線に沿った拡大断面図であって、基板の往動搬送中の状態を示している。
【図2】図3におけるII-II線に沿った拡大断面図であって、基板の復動搬送中の状態を示している。
【図3】第1実施形態に係る浮上搬送装置の概略的な平面図である。
【図4】図3におけるIV-IV線に沿った拡大図である。
【図5】図7におけるV-V線に沿った拡大断面図であって、基板の往動搬送中の状態を示している。
【図6】図7におけるVI-VI線に沿った拡大断面図であって、基板の復動搬送中の状態を示している。
【図7】第2実施形態に係る浮上搬送装置の概略的な平面図である。
【図8】図7におけるVIII-VIII線に沿った拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1実施形態)
第1実施形態について図1から図4を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向を、「FR」は、後方向を、「L」は、左方向を、「R」は、右方向をそれぞれ指してある。
【0019】
図3、及び図4に示すように、第1実施形態に係る浮上搬送装置1は、例えばガラス基板等の基板Wを搬送方向(前後方向)へ浮上させた状態で往復搬送(往動搬送及び復動搬送)する装置であって、搬送方向に沿って並んだ複数の装置本体(装置フレーム)3を具備している。また、各装置本体3は、搬送方向に直交する搬送幅方向(左右方向)に延びた支持台5と、この支持台5の下側に一体的に設けられた複数の支柱7と、複数の支柱7に連結するように設けられた複数の補強部材9とを備えている。なお、浮上搬送装置1が搬送方向に沿って並んだ複数の装置本体3を具備する代わりに、搬送方向へ延びた装置本体(図示省略)を具備しても構わない。
【0020】
各支持台5には、浮上ガスとしての圧縮空気(エア)を収容する複数(第1実施形態にあっては、3つ)のチャンバー11が設けられており、各チャンバー11の下面には、チャンバー11内に圧縮空気を供給する圧縮空気供給源としての1つ又は複数の供給ファン(第1実施形態にあっては、ファンフィルタユニット)13が設けられている。
【0021】
各チャンバー11の上面には、圧縮空気の圧力を利用して基板Wを浮上させる中空状の浮上ユニット15が配設されており、換言すれば、複数の装置本体3には、複数の浮上ユニット15が複数のチャンバー11等を介して搬送方向及び搬送幅方向に間隔を置いて配設されており、複数の浮上ユニット15の配設状態は、搬送幅方向に複数列(第1実施形態にあっては、5列)になっている。また、各浮上ユニット15の正面視形状(図4参照)及び側面視形状(図1参照)は、それぞれT字形状を呈してあって、各浮上ユニット15の内部は、チャンバー11を介して供給ファン13に接続されている。更に、各浮上ユニット15の上面には、圧縮空気を噴出する矩形枠状のノズル17が浮上ユニット15の外縁(平面視形状)に沿って形成されており、各浮上ユニット15は、基板Wとの間に浮上ガス溜まり層としてのエア溜まり層(圧力溜まり層)S(図1参照)を生成可能である。ここで、各ノズル17は、特開2006−182563号公報に示すように、垂直方向(浮上ユニット15の上面に垂直な方向)に対して浮上ユニット15の中心側へ傾斜するようになっている。なお、各浮上ユニット15の上面に矩形枠状のノズル17が浮上ユニット15の外縁に沿って設けられるの代わりに、スリット状又は小孔状の複数のノズル(図示省略)が浮上ユニット15の外縁に沿って形成されるようにしても構わない。
【0022】
装置本体3には、基板Wを搬送方向へ往復搬送(往動搬送及び復動搬送)する搬送機構19が設けられている。そして、搬送機構19の具体的な構成は、次のようになる。
【0023】
各支持台5の左端部付近には、複数の支持ブラケット21が設けられており、各支持ブラケット21には、基板Wの一端面(左端面)を支持する第1搬送ローラ23が鉛直(垂直)な軸心周りに回転可能に設けられている。ここで、各第1搬送ローラ23は、鉛直な軸心周りに回転自在なフリーローラになっている。
【0024】
各支持台5の右端部付近には、移動エアシリンダ25が設けられており、各移動エアシリンダ25は、支持台5に固定されたシリンダ本体27、及びシリンダ本体27に左右方向(搬送幅方向)へ移動可能に設けられたピストンロッド29を有している。また、各移動エアシリンダ25におけるシリンダ本体27には、スライダ31が左右方向へ移動可能に設けられており、各移動エアシリンダ25におけるピストンロッド29の先端部は、スライダ31の適宜位置に連結してある。更に、各スライダ31の左端部には、基板Wの他端面(右端面)を支持する第2搬送ローラ33が鉛直な軸心周りに回転可能に設けられている。そして、各スライダ31の右端部には、第2搬送ローラ33を鉛直な軸心周りに正方向及び逆方向へ回転させる搬送モータ35が設けられてあって、各搬送モータ35の出力軸(図示省略)は、第2搬送ローラ33の回転軸に連動連結してある。
【0025】
なお、第1搬送ローラ23をフリーローラとし、第2搬送ローラ33を搬送モータ35等のモータの駆動によって回転する駆動ローラとする代わりに、第1搬送ローラ23を駆動ローラとし、第2搬送ローラ33をフリーローラとしたり、第1搬送ローラ23及び第2搬送ローラ33を駆動ローラとしたりするようにしても構わない。
【0026】
図1から図3に示すように、搬送方向に隣接関係にあるいずれかの浮上ユニット間であってかつ搬送方向に間隔を置いた複数箇所(第1実施形態にあっては、説明の便宜上、2箇所)には、複数の浮上ユニット15に対して基板Wの受渡し又は受取りを行う基板受け部材Pを挿入するための複数の挿入ギャップ(乗り継ぎ溝)G1,G2がそれぞれ区画形成(形成)されており、各挿入ギャップG1,G2は、搬送幅方向へ延びている。ここで、基板受け部材Pの例としては、特開平7−311375号公報等に示すような基板受けフォーク、特開2005−159141号公報等に示すような基板カセットにおける基板支持部材(基板カセットの一部分)等が挙げられる。
【0027】
支持台5における搬送方向に隣接関係にある挿入ギャップG1,G2間には、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する一対の空気吸引器37が搬送幅方向に離隔して設けられている。そして、各空気吸引器37の具体的な構成は、次のようになる。
【0028】
支持台5における搬送幅方向に隣接関係にあるチャンバー11間には、上側が開口された吸引ケース39が設けられている。また、吸引ケース39内には、基板Wの裏面を支持する支持ローラ(フリーローラ)41が搬送幅方向に平行な軸心周りに回転自在に設けられており、支持ローラ41は、吸引ケース39に対して上方向へ突出してある。なお、空気吸引器37の構成要素から支持ローラ41を省略しても構わない。
【0029】
吸引ケース39の下面には、基板Wの裏側の空気を吸引ケース39の開口側から下方向へ吸引する吸引ファン43が設けられている。そして、図1及び図2に示すように、空気吸引器37は、吸引ファン43の作動によって基板Wの裏側の空気を吸引ケース39の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG1(G2)の直上流側(往動搬送時における直上流側及び復動搬送における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。なお、基板Wからの反射光を監視しつつ基板Wの端部が挿入ギャップG1(G2)に近接したことを検出する反射型光電センサ(図示省略)を用い、この反射型光電センサの検出信号に基づいて吸引ファン43の作動を開始するようにしても構わない。
【0030】
各空気吸引器37は、往動搬送時に基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第1吸引位置(図1に示す位置)と、復動搬送時に基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第2吸引位置(図2に示す位置)との間で支持台5に対して前後方向(搬送方向)へ移動可能になっている。また、チャンバー11の側面には、各空気吸引器37を前後方向へ移動させるロッドレスシリンダ45(移動アクチュエータの一例)が設けられており、各ロッドレスシリンダ45は、前後方向へ移動可能な可動子47を有してあって、各ロッドレスシリンダ45の可動子47は、各吸引ケース39の適宜位置に連結してある。
【0031】
支持台5における挿入ギャップ(往動搬送時における最上流側の挿入ギャップ)G2の後側(往動搬送時における上流側)の近接した位置には、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する一対の第1サブ空気吸引器49が搬送幅方向に離隔して設けられている。そして、各第1サブ空気吸引器49の具体的な構成は、次のようになる。
【0032】
支持台5における搬送幅方向に隣接関係にあるチャンバー11間には、上側が開口された第1サブ吸引ケース51が設けられている。また、第1サブ吸引ケース51内には、基板Wの裏面を支持する支持ローラ(フリーローラ)53が搬送幅方向に平行な軸心周りに回転自在に設けられており、支持ローラ53は、第1サブ吸引ケース51に対して上方向へ突出してある。なお、第1サブ空気吸引器49の構成要素から支持ローラ53を省略しても構わない。
【0033】
第1サブ吸引ケース51の下面には、基板Wの裏側の空気を第1サブ吸引ケース51の開口側から下方向へ吸引する第1サブ吸引ファン55が設けられている。そして、図1に示すように、第1サブ空気吸引器49は、第1サブ吸引ファン55の作動によって基板Wの裏側の空気を第1サブ吸引ケース51の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG2の直後側(往動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。なお、基板Wからの反射光を監視しつつ基板Wの端部が挿入ギャップG2に近接したことを検出する反射型光電センサ(図示省略)を用い、この反射型光電センサの検出信号に基づいて第1サブ吸引ファン55の作動を開始するようにしても構わない。
【0034】
支持台5における挿入ギャップ(復動搬送時における最上流側の挿入ギャップ)G1の前側(復動搬送時における上流側)の近接した位置には、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する一対の第2サブ空気吸引器57が搬送幅方向に離隔して設けられている。そして、各第2サブ空気吸引器57の具体的な構成は、次のようになる。
【0035】
支持台5における搬送幅方向に隣接関係にあるチャンバー11間には、上側が開口された第2サブ吸引ケース59が設けられている。また、第2サブ吸引ケース59内には、基板Wの裏面を支持する支持ローラ(フリーローラ)61が搬送幅方向に平行な軸心周りに回転自在に設けられており、支持ローラ61は、第2サブ吸引ケース59に対して上方向へ突出してある。なお、第2サブ空気吸引器57の構成要素から支持ローラ61を省略しても構わない。
【0036】
第2サブ吸引ケース59の下面には、基板Wの裏側の空気を第2サブ吸引ケース59の開口側から下方向へ吸引する第2サブ吸引ファン63が設けられている。そして、図2に示すように、第2サブ空気吸引器57は、第2サブ吸引ファン63の作動によって基板Wの裏側の空気を第2サブ吸引ケース59の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG1の直前側(復動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。なお、基板Wからの反射光を監視しつつ基板Wの端部が挿入ギャップG1に近接したことを検出する反射型光電センサ(図示省略)を用い、この反射型光電センサの検出信号に基づいて第2サブ吸引ファン63の作動を開始するようにしても構わない。
【0037】
次に、第1実施形態の作用及び効果について説明する。
【0038】
各供給ファン13の作動によって各チャンバー11の内部へ圧縮空気を供給して、各浮上ユニット15のノズル17から圧縮空気を噴出させる。また、各移動エアシリンダ25の作動によって各第2搬送ローラ33を左方向へ移動させると共に、各搬送モータ35の駆動よって各第2搬送ローラ33を鉛直な軸心周りに正方向へ回転させる。これにより、基板Wと複数の浮上ユニット15との間にエア溜まり層Sを生成しつつ、複数の第1搬送ローラ23及び複数の第2搬送ローラ33の協働により基板Wを両側から支持しつつ、搬送方向の一方向(前方向)へ浮上させた状態で往動搬送することができる。
【0039】
ここで、基板Wの往動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各第1サブ空気吸引器49における第1サブ吸引ファン55の作動によって基板Wの裏側の空気を第1サブ吸引ケース51の開口側から下方向へ吸引することにより、図1に示すように、挿入ギャップG2の直後側の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの往動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0040】
続いて、基板Wの往動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、予め第1吸引位置に位置した各空気吸引器37における吸引ファン43の作動によって基板Wの裏側の空気を吸引ケース39の開口側から下方向へ吸引することにより、図1に示すように、挿入ギャップG1の直上流側(直後側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの往動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0041】
同様に、各供給ファン13の作動によって各チャンバー11の内部へ圧縮空気を供給して、各浮上ユニット15のノズル17から圧縮空気を噴出させる。また、各移動エアシリンダ25の作動によって各第2搬送ローラ33を左方向へ移動させると共に、各搬送モータ35の駆動よって各第2搬送ローラ33を鉛直な軸心周りに逆方向へ回転させる。これにより、基板Wと複数の浮上ユニット15との間にエア溜まり層Sを生成しつつ、複数の第1搬送ローラ23及び複数の第2搬送ローラ33の協働により基板Wを両側から支持しつつ、搬送方向の他方向(後方向)へ浮上させた状態で復動搬送することができる。
【0042】
ここで、基板Wの復動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各第2サブ空気吸引器57における第2サブ吸引ファン63の作動によって基板Wの裏側の空気を第2サブ吸引ケース59の開口側から下方向へ吸引することにより、図2に示すように、挿入ギャップG1の直前側(復動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの復動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0043】
続いて、基板Wの復動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各ロッドレスシリンダ45の作動によって各空気吸引器37を第1吸引位置から第2吸引位置まで移動させておく。そして、各空気吸引器37における吸引ファン43の作動によって基板Wの裏側の空気を吸引ケース39の開口側から下方向へ吸引することにより、図2に示すように、挿入ギャップG2の直前側の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの復動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0044】
従って、第1実施形態によれば、基板Wの往復搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG1,G2を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できるため、基板Wの端部と浮上ユニット15との干渉(衝突)を回避して、基板Wの傷又は割れ等の損傷を極力少なくすることができる。
【0045】
(第2実施形態)
第2実施形態について図5から図8を参照して説明する。なお、図面中、「FF」は、前方向を、「FR」は、後方向を、「L」は、左方向を、「R」は、右方向をそれぞれ指してある。
【0046】
図7及び図8に示すように、第2実施形態に係る浮上搬送装置65は、例えばガラス基板等の基板Wを搬送方向(前後方向)へ浮上させた状態でで往復搬送(往動搬送及び復動搬送)する装置であって、本発明の実施形態に係る浮上搬送装置1と同様の構成要素を有している。以下、本発明の実施形態に係る浮上搬送装置65の構成のうち、第1実施形態に係る浮上搬送装置1の構成と異なる部分について説明する。なお、第2実施形態に係る浮上搬送装置65における複数の構成要素のうち、第1実施形態に係る浮上搬送装置1における構成要素と対応するものについては、図面中に同一番号を付する。
【0047】
図5、図7、及び図8に示すように、支持台5には、基板Wを搬送方向へ往復搬送(往動搬送及び復動搬送)する搬送機構として複数のローラ駆動ユニット67が搬送方向に沿って配設されており、複数のローラ駆動ユニット67の配設状態は、搬送幅方向(左右方向)に複数列(第2実施形態にあっては、2列)になっている。そして、各ローラ駆動ユニット67の具体的な構成は、次のようになる。
【0048】
支持台5には、上側が開口されたユニットケース69が設けられており、ユニットケース69内には、基板Wの裏面を支持する搬送ローラ71が搬送幅方向に平行な軸心周りに回転可能に設けられてあって、搬送ローラ71は、ユニットケース69に対して上方向へ突出してある。そして、ユニットケース69内には、搬送ローラ71を搬送幅方向に平行な軸心周りに正方向及び逆方向回転させる搬送モータ73が設けられており、搬送モータ73の出力軸は、一対のプーリとベルトからなる連結機構75によって搬送ローラ71に連動連結してある。更に、ユニットケース69の下面には、基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引する吸引ファン77が設けられている。
【0049】
搬送方向に隣接関係にある挿入ギャップG1,G2間に介在する一対のローラ駆動ユニット67(67A)は、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する空気吸引器を兼用している。そして、図5及び図6に示すように、ローラ駆動ユニット67Aは、吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG1(G2)の直上流側(往動搬送時における直上流側及び復動搬送における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。
【0050】
各ローラ駆動ユニット67Aは、往動搬送時に基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第1吸引位置(図5に示す位置)と、復動搬送時に基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第2吸引位置(図6に示す位置)との間で支持台5に対して前後方向(搬送方向)へ移動可能になっている。また、各チャンバー11の側面には、各ローラ駆動ユニット67Aを前後方向へ移動させるロッドレスシリンダ79(移動アクチュエータの一例)が設けられており、各ロッドレスシリンダ79は、前後方向へ移動可能な可動子81を有してあって、各ロッドレスシリンダ79の可動子81は、各ローラ駆動ユニット67におけるユニットケース69の適宜位置に連結してある。
【0051】
挿入ギャップ(往動搬送時における最上流側の挿入ギャップ)G2の後側(往動動搬送時における上流側)に近接した一対のローラ駆動ユニット67(67B)は、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第1サブ空気吸引器を兼用している。そして、図5に示すように、ローラ駆動ユニット67Bは、吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG2の直後側(往動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。
【0052】
挿入ギャップ(復動搬送時における最上流側の挿入ギャップ)G1の前側(復動搬送時における上流側)に近接した一対のローラ駆動ユニット67(67C)は、基板Wの裏側の空気を下方向へ吸引する第2サブ空気吸引器を兼用している。そして、図6に示すように、ローラ駆動ユニット67Cは、吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、挿入ギャップG1の直前側(復動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させるようになっている。
【0053】
次に、第2実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
各供給ファン13の作動によって各チャンバー11の内部へ圧縮空気を供給して、各浮上ユニット15のノズル17から圧縮空気を噴出させる。また、各吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気を各ユニットケース69の開口側から吸引して、各搬送ローラ71の周辺域を負圧状態にすると共に、各搬送モータ73の駆動によって各搬送ローラ71を搬送幅方向に平行な軸心周りに正方向へ回転させる。これにより、基板Wの裏面と複数の搬送ローラ71との接触圧を確保しつつ、基板Wを搬送方向の一方側(前方向)へ浮上させた状態で往動搬送することができる。
【0055】
ここで、基板Wの往動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各ローラ駆動ユニット67Bにおける吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、図5に示すように、挿入ギャップG2の直後側(往動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの往動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0056】
続いて、基板Wの往動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、予め第1吸引位置に位置した各ローラ駆動ユニット67Aにおける吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、図5に示すように、挿入ギャップG1の直後側の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの往動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0057】
同様に、各供給ファン13の作動によって各チャンバー11の内部へ圧縮空気を供給して、各浮上ユニット15のノズル17から圧縮空気を噴出させる。また、各吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気を各ユニットケース69の開口側から吸引して、各搬送ローラ71の周辺域を負圧状態にすると共に、各搬送モータ73の駆動によって各搬送ローラ71を搬送幅方向に平行な軸心周りに逆方向へ回転させる。これにより、基板Wの裏面と複数の搬送ローラ71との接触圧を確保しつつ、基板Wを搬送方向の他方側(後方向)へ浮上させた状態で復動搬送することができる。
【0058】
ここで、基板Wの復動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各ローラ駆動ユニット67Cにおける吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、図6に示すように、挿入ギャップG1の直前側(復動搬送時における直上流側)の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの往動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG1を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0059】
続いて、基板Wの復動搬送中に、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15に乗り継ぐ前に、各ロッドレスシリンダ79の作動によって各ローラ駆動ユニット67Aを第1吸引位置から第2吸引位置まで移動させておく。そして、各ローラ駆動ユニット67Aにおける吸引ファン77の作動によって基板Wの裏側の空気をユニットケース69の開口側から下方向へ吸引することにより、図6に示すように、挿入ギャップG2の直前側の浮上ユニット15と基板Wとの間に生成されたエア溜まり層Sの中央部を支点として、基板Wの端部側に上向きの力Fを発生させる。これにより、基板Wの復動搬送中において、基板Wの端部が先行の浮上ユニット15側から挿入ギャップG2を越えて後続の浮上ユニット15側へ乗り継ぐ際に、基板Wの端部側が下方向に撓むことを十分に抑制できる。
【0060】
従って、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果を奏するものである。
【0061】
なお、本発明は、前述の実施形態の説明に限るものでなく、種々の態様で実施可能である。また、本発明に包含される権利範囲は、これらの実施形態に限定されないものである。
【符号の説明】
【0062】
W 基板
G1 挿入ギャップ
G2 挿入ギャップ
P 基板受け部材
S エア溜まり層
1 浮上搬送装置
3 装置本体
5 支持台
11 チャンバー
13 供給ファン
15 浮上ユニット
17 ノズル
19 搬送機構
23 第1搬送ローラ
25 移動エアシリンダ
31 スライダ
33 第2搬送ローラ
35 搬送モータ
37 空気吸引器
39 吸引ケース
41 支持ローラ
43 吸引ファン
45 ロッドレスシリンダ
49 第1サブ空気吸引器
51 第1サブ吸引ケース
53 支持ローラ
55 第1サブ吸引ファン
57 第2サブ空気吸引器
59 第2サブ吸引ケース
61 支持ローラ
63 第2サブ吸引ファン
65 浮上搬送装置
67 ローラ駆動ユニット
67A 吸引器を兼用したローラ駆動ユニット
67B 第1サブ吸引器を兼用したローラ駆動ユニット
67C 第2サブ吸引器を兼用したローラ駆動ユニット
69 ユニットケース
71 搬送ローラ
73 搬送モータ
77 吸引ファン
79 ロッドレスシリンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送方向へ浮上させた状態で往復搬送する浮上搬送装置において、
装置本体と、
前記装置本体に前記搬送方向に沿って配設され、内部が浮上ガスを供給する浮上ガス供給源に接続され、上面に浮上ガスを噴出するノズルが形成され、基板との間に浮上ガス溜まり層を生成可能であって、浮上ガスの圧力を利用して基板を浮上させる複数の浮上ユニットと、
基板を前記搬送方向へ往復搬送する搬送機構と、を具備し、
前記搬送方向に隣接関係にあるいずれかの前記浮上ユニット間であってかつ前記搬送方向に間隔を置いた複数箇所に、前記浮上ユニットに対して基板の受渡し又は受取りを行う基板受け部材を挿入するための挿入ギャップがそれぞれ区画形成され、各挿入ギャップは、前記搬送方向に直交する搬送幅方向へ延びてあって、
前記搬送方向に隣接関係にある前記挿入ギャップ間に、前記浮上ユニットと基板との間に生成された浮上ガス溜まり層を支点として基板の端部側に上向きの力を発生させるように、基板の裏側の空気を下方向へ吸引する空気吸引器が設けられ、前記空気吸引器は、往動搬送時に基板の裏側の空気を下方向へ吸引する第1吸引位置と、復動搬送時に基板の裏側の空気を下方向へ吸引する第2吸引位置との間で移動可能になっていることを特徴とする浮上搬送装置。
【請求項2】
最上流端側の前記挿入ギャップの上流側の近接した位置に、前記浮上ユニットと基板との間に生成された浮上ガス溜まり層を支点として基板の端部側に上向きの力を発生させるように、基板の裏側の空気を下方向へ吸引するサブ空気吸引器が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の浮上搬送装置。
【請求項3】
前記空気吸引器は、
前記装置本体に設けられ、上側が開口された吸引ケースと、
基板の裏側の空気を前記吸引ケースの開口側から下方向へ吸引する吸引ファンと、を備え、
前記サブ空気吸引器は、
前記装置本体に設けられ、上側が開口されたサブ吸引ケースと、
基板の裏側の空気を前記サブ吸引ケースの開口側から下方向へ吸引するサブ吸引ファンと、備えたことを特徴とする請求項2に記載の浮上搬送装置。
【請求項4】
前記搬送機構は、
前記装置本体に前記搬送方向に沿って配設されかつ配設状態が前記搬送幅方向に複数列になっている複数のローラ駆動ユニットであって
各ローラ駆動ユニットは、
前記装置本体に設けられ、上側が開口されたユニットケースと、
前記ユニットケース内に前記搬送幅方向に平行な軸心周りに回転可能に設けられ、前記ユニットケースに対して上方向へ突出してあって、基板の裏面を支持する搬送ローラと、
前記ユニットケース内に設けられ、前記搬送ローラを前記搬送幅方向に平行な軸心周りに正方向及び逆方向へ回転させる搬送モータと、
基板の裏側の空気を前記ユニットケースの開口側から下方向へ吸引する吸引ファンと、を備え、
前記搬送方向に隣接関係にある前記挿入ギャップ間に介在する前記ローラ駆動ユニットは、前記空気吸引器を兼用し、前記第1吸引位置と前記第2吸引位置との間で前記搬送方向へ移動可能になってあって、
最上流側の前記挿入ギャップの上流側に近接した前記ローラ駆動ユニットは、前記サブ空気吸引器を兼用していることを特徴とする請求項2に記載の浮上搬送装置。
【請求項5】
各ノズルが前記浮上ユニットの外縁に沿って形成され、各ノズルが鉛直方向に対して各浮上ユニットの中心側へ傾斜するように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれかの請求項に記載の浮上搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−207552(P2011−207552A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75220(P2010−75220)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】