説明

浴室用コーナー部材、及び浴室構造

【課題】コーナーパッキンと床パネル又は天井パネルとの間へのコーキング材の充填が不要で、作業性に優れる浴室用コーナー部材と、この浴室用コーナー部材を用いた浴室構造を得る。
【解決手段】浴室用コーナー部材24は、パッキン本体28と、このパッキン本体28の長手方向の端部に取り付けられた止水部材34で構成される。浴室用コーナー部材24を浴室12のコーナー部14Cに取り付けた状態で、コーナーパッキン26の長手方向端面と、床パネル20や天井パネル22との間が止水部材34により止水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用コーナー部材、及び浴室構造に関し、さらに詳しくは、浴室を構成する側壁パネルどうしの隙間に配置される浴室用コーナー部材と、この浴室用コーナー部材を用いた浴室構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室構造として、特許文献1には、隣接直交する壁パネルの間のコーナー支柱に、コーナー目地を嵌め込んで、壁パネルの隙間を止水するようにした構造のものが記載されている。
【0003】
ところで、このようなコーナー目地を用いても、コーナー目地の長手方向端部と、床パネルや天井パネルの間には隙間が生じる。この隙間にコーキング材を充填して止水することが行われるが、コーキング材の充填する作業が必要で、作業性の改善が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−183438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記事実を考慮し、コーナーパッキンと床パネル又は天井パネルとの間へのコーキング材の充填が不要で、作業性に優れる浴室用コーナー部材と、この浴室用コーナー部材を用いた浴室構造を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明では、浴室を構成する側壁パネルどうしの隙間に沿って延在され、この延在方向に沿って両側の側壁パネルの双方に接触するコーナーパッキンと、浴室を構成する天井パネル及び床パネルの少なくとも一方と前記コーナーパッキンとの間に位置するようにコーナーパッキンの長手方向の端部に取り付けられた止水部材と、を有する。
【0007】
この浴室用コーナー部材では、浴室を構成する側壁パネルどうしの隙間に沿って、コーナーパッキンが延在される。すなわち、コーナーパッキンの両側に側壁パネルが位置することになる。コーナーパッキンには、長手方向の端部に止水部材が取り付けられており、浴室を構成する天井パネル及び床パネルの少なくとも一方とコーナーパッキンとの間に、この止水部材が位置する。したがって、隣接する2枚の側壁パネルと床パネルや天井パネルとの間(いわゆる三方角部分)を止水部材によって止水することができる。止水のために従来のようなコーキング材を充填する必要がないので、作業性に優れる。
【0008】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記止水部材が前記コーナーパッキンに嵌め込まれて取り付けられている。
【0009】
このように、止水部材をコーナーパッキンに嵌め込むことで、簡便に止水部材をコーナーパッキンに取り付けできる。また、止水部材はコーナーパッキンに対し着脱できるので止水部材の材質や形状を適宜選択して、コーナーパッキンに取り付けることも可能になる。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記コーナーパッキンが、前記側壁パネルの幅方向の端面にそれぞれ係止される一対の係止片を備え、前記止水部材が、前記係止片に装着される装着部を有する。
【0011】
すなわち、係止片を側壁パネルの端面に係止させることで、コーナーパッキンを、側壁パネルどうしの隙間に沿って延在させた状態で、側壁パネルに確実に取り付けることができる。
【0012】
止水部材は、装着部を係止片に装着するだけでコーナーパッキンに取り付けできるので、取付構造が簡単になる。
【0013】
請求項4に記載の発明では、前記係止片が、前記側壁パネルの幅方向の端面に沿う形状とされている。
【0014】
係止片が側壁パネルの幅方向の端面に沿っているので、少ないスペースであっても係止片を側壁パネルの幅方向の端面に係止させることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明では、浴室を構成する複数枚の側壁パネルと、前記浴室を構成する床パネル及び天井パネルと、前記側壁パネルどうしの隙間に配置された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の浴室用コーナー部材と、を有する。
【0016】
この浴室構造では、複数枚の側壁パネルと、床パネル及び天井パネルによって浴室が構成される。側壁パネルどうしの隙間には、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の浴室用コーナー部材が配置されているので、隣接する2枚の側壁パネルと床パネル及び天井パネルの少なくとも一方との間を止水部材によって止水することができる。また、従来のようなコーキング材を充填する必要がないので、作業性に優れる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上記構成としたので、コーナーパッキンと床パネル又は天井パネルとの間へのコーキング材の充填が不要で、作業性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の浴室用コーナー部材が用いられた浴室構造を、コーナー部及びその近傍で部分的に拡大して示す一部破断斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の浴室用コーナー部材が用いられた浴室構造を、コーナー部及びその近傍で部分的に拡大して示す水平方向の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の浴室用コーナー部材を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態の浴室用コーナー部材を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1には、本発明の一実施形態の浴室用コーナー部材24が用いられた浴室構造14が、コーナー部14C及びその近傍で部分的に拡大して示されている。また、図2には、浴室構造14が図1におけるII−II線断面図にて示されている。
【0020】
図2に示すように、建物内には、コーナー支柱16が立設されており、このコーナー支柱16が、浴室構造14のコーナー部14Cに位置している。浴室構造14は、複数枚の側壁パネル18を備えており、これら側壁パネル18が、浴室構造14における幅方向(矢印W1方向)及び奥行方向(矢印D1方向)に1枚又は所定枚数並べて配置されることで、その内部が、浴室12となる。なお、浴室12の下部には床パネル20が配置される。また、浴室12の上部には、天井パネル22が配置される。
【0021】
側壁パネル18のそれぞれは、略板状又は略フレーム状のパネル本体18Bを有している。このパネル本体18Bの一方の面には化粧板18Dが貼着されている。側壁パネル18は、化粧板18Dが浴室12の内部を向くように建物内に配置される。化粧板18Dは、パネル本体18Bよりも側方に延出されるとともに、延出端部分で略直角に折り曲げられており、側壁パネル18の端面18Tを構成している。側壁パネル18が所定の位置に取り付けられた状態で、端面18Tとコーナー支柱16との間に所定の間隙D1が構成されている。また、コーナー部14Cでは、2枚の側壁パネル18の間に隙間D2が生じており、この隙間D2が、本実施形態に係る浴室用コーナー部材24によって埋められて解消される。
【0022】
図3及び図4に示すように、浴室用コーナー部材24は、長尺状に形成されたコーナーパッキン26を有している。コーナーパッキン26は、長手方向に沿って(矢印A1方向に)見たときに円弧状に湾曲した、硬質の材料(たとえば硬質塩化ビニール等の硬質樹脂)製のパッキン本体28を有している。パッキン本体28の外側面(曲率半径の大きい方の面)28Sからは、パッキン本体28と同方向を長手方向とする2本の係止片30が突設されている。係止片30のそれぞれの先端部分には先細り状に形成されたテーパー面30Tと、テーパー面30Tの反対側の係止面30Kが形成されている。係止片30のそれぞれは、図2から分かるように、側壁パネル18の端面18Tとコーナー支柱16との間の間隙D1に、浴室12の内側から挿入される。
【0023】
ここで、係止片30はテーパー面30Tによって先細り形状となっているので、容易に挿入できる。そして、所定位置まで係止片30が挿入されると、係止面30Kが側壁パネル18の端面18Tの奥辺18Kに係止され、浴室用コーナー部材24が、コーナー部14Cの所定位置、すなわち2枚の側壁パネル18の間の隙間D2の位置に取り付けられる。このとき、係止片30は、側壁パネル18の端面18Tに沿って(特に本実施形態では端面18Tに接触して)隙間D1に挿入される形状とされている。したがって、隙間D1が狭い場合でも、コーナーパッキン26を隙間D1に挿入し、係止面30Kを側壁パネル18の奥辺18Kに係止させることができる。
【0024】
パッキン本体28の幅方向(矢印W2方向)の両辺には、軟質の材料(たとえば軟質塩化ビニール等の軟質樹脂)で長尺状に形成された密着片32が取り付けられている。密着片32は、その長手方向にはパッキン本体28と同じ長さを有している。図1及び図2に示すように、浴室用コーナー部材24が2枚の側壁パネル18の間の隙間D2に取り付けられた状態で、密着片32のそれぞれが、対応する側壁パネル18の化粧板18Dに、浴室12の内側から接触(密着)する。これにより、隙間D2が浴室用コーナー部材24で止水される。なお、本実施形態のコーナーパッキン26は、パッキン本体28、係止片30及び密着片32により構成されている。
【0025】
図3及び図4に示すように、コーナーパッキン26の長手方向の端部には、軟質の材料(たとえば、軟質塩化ビニール等の軟質樹脂や、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエンゴム等のゴム)で形成された止水部材34が取り付けられている。止水部材34は、パッキン本体28の内面28Uに接触する湾曲部36と、湾曲部36から連続し、パッキン本体28の長手方向端面28Tに接触する端片38、さらに、端片38から延出された2本の脚片40とで構成されている。脚片40は、延出方向(矢印A12方向)に沿って見たとき端面が略L字状に形成されており、2つの係止片30の対向面30Fにそれぞれ接触する内側接触面40Fと、係止片30の端部30Tに接触する端部接触面40Tとを有している。
【0026】
止水部材34は、湾曲部36がパッキン本体28の内面28Uに接触し、端片38がパッキン本体28の長手方向端面28Tに接触した状態で、コーナーパッキン26の長手方向の端部に取り付けられる。このとき、2本の脚片40の延出方向が、それぞれ係止片30に圧接される方向(矢印A3方向)となるように設定されている。このようにして脚片40が係止片30に装着されることで、脚片40が係止片30にそれぞれ圧接され、止水部材34がコーナーパッキン26から不用意に離脱しないようになっている。
【0027】
次に、本実施形態の浴室用コーナー部材24の作用を説明する。
【0028】
図3に示すように、本実施形態の浴室用コーナー部材24は、コーナーパッキン26の長手方向の両端に、止水部材34が取り付けられて構成される。取り付けは、たとえば、止水部材34の脚片40をわすかに矢印A3と反対の方向に撓ませて2本の係止片30の間に入れるようにし、湾曲部36をパッキン本体28の内面28Uに接触させると共に、端片38をパッキン本体28の長手方向端面28Tに接触させる。ここで、脚片40の撓みを解除すれば、脚片40が係止片30にそれぞれ圧接され、止水部材34がコーナーパッキン26から不用意に離脱しなくなる。このように、簡単な手順で、止水部材34をコーナーパッキン26に嵌めこんで取り付けることができる。
【0029】
図1及び図2に示すように、浴室用コーナー部材24(止水部材34が取り付けられた状態のコーナーパッキン26)は、浴室12のコーナー部14C、すなわち直角配置された2枚の側壁パネル18の間の隙間D2に取り付けられる。取付時には、側壁パネル18の端面18Tとコーナー支柱16との間の間隙D1に、係止片30が浴室12の内側から挿入されるが、係止片30に形成されたテーパー面30Tにより、容易に挿入できる。取付状態では、係止面30Kが側壁パネル18の奥辺18Kに係止され、浴室用コーナー部材24は不用意に外れなくなる。
【0030】
本実施形態の浴室用コーナー部材24は、止水部材34を有している。したがって、浴室用コーナー部材24の取付状態では、コーナーパッキン26の長手方向端面28T(図3及び図4参照)と、床パネル20及び天井パネル22との間に、止水部材34が配置されることになる。これにより、2枚の側壁パネル18と床パネル20又は天井パネル22との間のいわゆる三方角部分を、従来のようなコーキング剤を用いることなく止水することができる。三方角部分の止水のためにコーキング剤を充填する必要がないので、作業性に優れる。また、作業者によるコーキング剤の充填状態のバラツキ(止水性のバラツキ)も解消できる。
【0031】
なお、上記では、止水部材34がコーナーパッキン26の長手方向の端部にはめ込まれる構造のものを挙げており、これによって、簡便な構造で、コーナーパッキン26と床パネル20及び天井パネル22との止水性を確保することを可能としている。また、止水部材34がコーナーパッキン26に対し着脱可能なので、止水部材34として、好ましい材料のものを選択し、適宜取り替えて使用することも可能となる。止水部材34をコーナーパッキン26に着脱自在に取り付けるための構造は、上記したものに限定されない。また、止水部材34をコーナーパッキン26に対し、取り外し不能に一体化して取り付けた構造としてもよい。
【0032】
さらに、上記では、コーナーパッキン26の長手方向両端に止水部材34を取り付けた構造を挙げているが、コーナーパッキン26の長手方向の一体にのみ止水部材34を取り付けても、止水部材34を取り付けた側では、床パネル20又は天井パネル22との間の止水性を、コーキング剤を用いることなく確保できる。この場合には、コーナーパッキン26の下側に止水部材34を位置させ、コーナーパッキン26と床パネル20との間の止水性を確保することが好ましい。もちろん、上記実施形態のように、コーナーパッキン26の長手方向両端に止水部材34を取り付け、コーナーパッキン26と床パネル20及び天井パネル22との隙間の止水性を確保することが、より好ましい。
【符号の説明】
【0033】
12 浴室
14 浴室構造
14C コーナー部
18 側壁パネル
18T 端面
20 床パネル
22 天井パネル
24 浴室用コーナー部材
26 コーナーパッキン
28 パッキン本体
28T 長手方向端面
28U 内面
30 係止片
32 密着片
34 止水部材
36 湾曲部
38 端片
40 脚片(装着部)
D2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室を構成する側壁パネルどうしの隙間に沿って延在され、この延在方向に沿って両側の側壁パネルの双方に接触するコーナーパッキンと、
浴室を構成する天井パネル及び床パネルの少なくとも一方と前記コーナーパッキンとの間に位置するようにコーナーパッキンの長手方向の端部に取り付けられた止水部材と、
を有する浴室用コーナー部材。
【請求項2】
前記止水部材が前記コーナーパッキンに嵌め込まれて取り付けられている請求項1に記載の浴室用コーナー部材。
【請求項3】
前記コーナーパッキンが、前記側壁パネルの幅方向の端面にそれぞれ係止される一対の係止片を備え、
前記止水部材が、前記係止片に装着される装着部を有する請求項1又は請求項2に記載の浴室用コーナー部材。
【請求項4】
前記係止片が、前記側壁パネルの幅方向の端面に沿う形状とされている請求項3に記載の浴室用コーナー部材。
【請求項5】
浴室を構成する複数枚の側壁パネルと、
前記浴室を構成する床パネル及び天井パネルと、
前記側壁パネルどうしの隙間に配置された請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の浴室用コーナー部材と、
を有する浴室構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−236568(P2011−236568A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106458(P2010−106458)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】